【文献】
Advanced Healthcare Materials,2013年,Vol.2, No.1,pp.145-154
【文献】
Journal of Micromechanics and Microengineering,2012年,Vol.22, No.11, 115016,pp.1-13
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
幹細胞技術及び再生医療の最近の発達により、幹細胞ベースの治療法の数が著しく増加した。幹細胞は、まだ特殊化しておらず、組織修復及び再生のために多くの種類の細胞に分化し得るため、多くのヒト疾患を治す可能性を有する。間葉幹細胞(MSC)等の十分に研究された成体幹細胞は、現在、骨髄、脂肪組織、胎盤/臍帯、及び末梢血から容易に単離することができる。それらは、骨、軟骨及び皮膚再生のために、骨細胞、軟骨細胞及び脂肪細胞に分化する多能性を有する。
【0004】
MSCはまた、潜在的な治療効果を有するホルモン、成長因子、サイトカイン、ケモカイン及びエキソソームを含む広範な生物活性分子を分泌することが判明している。MSCのいくつかの知られている治療効果は、免疫修飾、抗アポトーシス、血管形成、局所幹前駆細胞の成長及び分化の補助、抗瘢痕形成、並びに化学誘引を含む。幹細胞のこれらの特性は、幹細胞が細胞ベースの治療に関与するのに有用であるだけでなく、細胞により分泌される生物薬剤の製造にも有用である。
【0005】
臨床用途において、典型的な治療用量は、約10
8〜10
9個の幹細胞(典型的には体重キログラム当たり200〜2000万個の細胞)を必要とする。また、組織1グラムは約10
9個の細胞を含有することが知られている。しかしながら、臨床的状況の大半では、ドナーから採取された細胞は、臨床的な必要性を満たすほど十分ではない。典型的には、ドナーの腸骨稜からの30〜50mLの骨髄穿刺液は、約600〜1000×10
6個の骨髄単核細胞(BMMC)を含有し、これにはリンパ球、単球、造血及び内皮前駆細胞、並びにMSCが含まれる。BMMCのうち、約6〜10×10
4個(又は0.01%以下)の細胞のみが、表面接着性MSCである。10
9個の細胞という臨床注入用量を達成するためには、ドナーから採取された約10
5個のMSCから10,000倍の細胞増殖が必要である。
【0006】
従来のMSC増殖は、内側表面に付着させる細胞を選択された培地に浸す組織培養フラスコ(T-フラスコ)又はローラボトルとして認識される、二次元(2D)平面システムに依存している。これらのシステムは両方とも、典型的には、細胞付着を改善するために表面処理(酸素プラズマ)されたポリスチレンで作製される。通常の細胞増殖プロセスは、T-フラスコの底又はローラボトルの壁への3×10
3細胞/cm
2の細胞播種密度で開始する。低い播種密度が使用される場合、おそらくは隣接する細胞からのシグナルの欠如に起因して、細胞はゆっくりと成長する。約5〜6日の培養後、細胞は培養表面上に単層を形成し、全培養面積を被覆し(100%密集度と呼ばれる)、約0.50×10
5細胞/cm
2の細胞密度に到達し得る。細胞が100%密集度に到達したら、細胞は、細胞間接触阻害により増加を停止し、分化を開始して細胞外基質を形成する。次いで、細胞分化が元の細胞表現型を改変し得る。細胞間接触(又は凝集)、細胞表現型変化、及び細胞外基質の形成を低減するために、細胞は通常、80%の密集度(又は約0.40×10
5細胞/cm
2の細胞密度)で回収される。3×10
3細胞/cm
2の播種密度から0.40×10
5細胞/cm
2の回収密度は、約13倍の細胞増殖である。
【0007】
T-フラスコ又はローラボトルで成長し得る細胞の数は、培養表面積に比例する。したがって、T-フラスコは、その細胞培養面積に従ってT-25、T-75、及びT175と命名され、これらはそれぞれ25、75、及び175cm
2の細胞培養面積を示す。2DのT-フラスコは、低い表面対体積比に起因して、合理的な実装面積で数リットル、数十リットル、又は数百リットルのレベルまで拡張するのが困難である。
【0008】
更に、培養プロセスは、播種密度要件に起因して段階的でなければならない。すなわち、ドナーからの10
5個の細胞は、第1の工程でT-25又はT75フラスコ内で増殖されなければならない。次いで、増殖された細胞(約1.3×10
6)は分離され(酵素を使用して表面から解離され)、次いでさらなる増殖のために5〜6個のT-75フラスコに再播種される。10
5個の細胞から臨床的に意義のある10
9個の細胞まで増殖させるのに、120個を超えるT-75フラスコ及び3回の細胞分離再播種プロセスが必要である。
図15を参照されたい。1つの表面からの細胞の各分離及び異なる表面への再播種(又は二次培養)は、「継代」と呼ばれる。細胞増殖において多数のT-フラスコを手で取り扱うことは、費用を要するだけでなく、容易に汚染を持ち込む可能性がある。
【0009】
積層プレート、中空繊維、マイクロキャリアベースの撹拌リアクター、ウェーブバイオリアクター、回転壁バイオリアクター、及び固定床型バイオリアクターを含む、他の三次元細胞増殖戦略が報告されている。Large-Scale Industrialized Cell Expansion: Producing The Critical Raw Material For Biofabrication Processes、A. Kumar及びB. Starly、Biofabrication 7 (4):044103 (2015)を参照されたい。しかしながら、これらの既存の3Dバイオリアクターはいずれも、接着細胞、特に幹細胞増殖のための以下の好ましい条件の全てを満たすことができない:(1)比較的容易な拡張及び縮小、(2)細胞製造のために数百又は更に数千リットルまで拡張し得ること、(3)培地かん流を可能とするための機械的に安定で非分解性の構造、(4)細胞への低いせん断応力、(5)栄養物及び酸素送達における低い勾配差、(6)細胞間凝集の防止、(7)比較的滑らかな(及び好ましくは細孔を含まない)細胞培養表面、(8)単層細胞培養の維持、(9)培養表面から単一細胞懸濁液への容易な細胞解離、並びに(10)自動的及び費用効果の高い細胞製造。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】3Dバイオリアクター固定床の断面図である。
【
図1a】隣接球の重なりを示すバイオリアクターの単位ネガモデルを示す図である。
【
図1b】各球が12個の同一隣接球により包囲された単位ネガモデルを示す図である。
【
図1c】相互接続空隙システムを示す、3Dバイオリアクター固定床幾何構造を示す図である。
【
図1d】断面図としての3Dバイオリアクター固定床幾何構造を示す図である。
【
図1e】3Dバイオリアクターの特定された球形空隙、及び球形空隙間の相互接続された細孔を形成する重なった領域を2D図として示す図である。
【
図2】流体かん流用の入口及び出口を有する筐体内に位置付けられた3Dバイオリアクター固定床を示す図である。
【
図3】典型的な3Dバイオリアクターかん流システムを示す図である。
【
図4a】3Dバイオリアクターを通る流速プロファイルを示す図である。
【
図4b】3Dバイオリアクターを通る流速プロファイルを示す図である。
【
図4c】3Dバイオリアクターを通る流速プロファイルを示す図である。
【
図4d】3Dバイオリアクターを通る流速プロファイルを示す図である。
【
図4e】3Dバイオリアクターを通る流速の目盛を示す図である。
【
図5a】3Dバイオリアクター内の表面せん断応力の分布を示す図である。
【
図5b】3Dバイオリアクター内の表面せん断応力の分布を示す図である。
【
図5c】Pa単位でのせん断応力の目盛を示す図である。
【
図6a】円筒形3Dバイオリアクター内の流動方向に沿った圧力降下(勾配)を示す図である。
【
図7a】FDM 3D印刷により生成された3Dバイオリアクター固定床を示す図である。
【
図7b】バイオリアクターチャンバと共に3Dバイオリアクター固定床を示す図である。
【
図7c】3Dバイオリアクターの入口及び出口を示す図である。
【
図7d】組み立てられた3Dバイオリアクターを示す図である。
【
図7e】SLA 3D印刷により生成された3Dバイオリアクター固定床を示す図である。
【
図7f】DLP 3D印刷により生成された3Dバイオリアクター固定床を示す図である。
【
図8】層流に近付くように3Dバイオリアクターの入口及び出口に配置された2流体分配器を示す図である。
【
図9】流体分配器を使用した場合の3Dバイオリアクターを通る流速プロファイルを示す図である。
【
図10a】代替のポロゲン浸出法による3Dバイオリアクターの形成を示す図である。
【
図10b】代替のポロゲン浸出法による3Dバイオリアクターの形成を示す図である。
【
図11a】ポリドーパミン及びフィブロネクチンコーティングを有する非医療グレードABS樹脂で作製された基板上への細胞付着を示す図である。
【
図11b】ポリドーパミン及びフィブロネクチンコーティングを有する非医療グレードABS樹脂で作製された基板上への細胞付着を示す図である。
【
図11c】ポリドーパミン及びフィブロネクチンコーティングを有する非医療グレードABS樹脂で作製された基板上への細胞付着を示す図である。
【
図11d】ポリドーパミン及びフィブロネクチンコーティングを有する医療グレードABS樹脂で作製された基板上への細胞付着を示す図である。
【
図11e】ポリドーパミン及びフィブロネクチンコーティングを有する医療グレードABS樹脂で作製された基板上への細胞付着を示す図である。
【
図11f】ポリドーパミン及びフィブロネクチンコーティングを有する医療グレードABS樹脂で作製された基板上への細胞付着を示す図である。
【
図12a】3Dバイオリアクター表面上への細胞付着を示す図である。
【
図12b】3Dバイオリアクター表面上への細胞付着を示す図である。
【
図12c】3Dバイオリアクター表面上への細胞付着を示す図である。
【
図13a】細胞播種後の3Dバイオリアクターの入口、固定床、壁及び流体分配器上への細胞付着を示す図である。
【
図13b】7日間の培養期間後の細胞付着を示す図である。
【
図13c】細胞播種後の3Dバイオリアクターの入口、固定床、壁及び流体分配器上への細胞付着を示す図である。
【
図13d】7日間の培養期間後の細胞付着を示す図である。
【
図13e】細胞播種後の3Dバイオリアクターの入口、固定床、壁及び流体分配器上への細胞付着を示す図である。
【
図13f】7日間の培養期間後の細胞付着を示す図である。
【
図13g】細胞播種後の3Dバイオリアクターの入口、固定床、壁及び流体分配器上への細胞付着を示す図である。
【
図13h】7日間の培養期間後の細胞付着を示す図である。
【
図14】4日の期間にわたる3Dバイオリアクター内の細胞数の変化を示すグラフである。
【
図15】示された細胞増殖レベルを提供するための、120個を超えるT-フラスコの使用に対する3つの異なるサイズの本明細書における3Dバイオリアクターの使用の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、臨床上の細胞増殖投与量要件を達成するための対応する動作能力を有するバイオリアクター設計に関する。本明細書におけるバイオリアクターへの言及は、選択された環境及び動作条件下で生物学的及び/又は生化学的プロセスが実行され得る開示された3Dリアクターを指す。これは、空隙の幾何構造/サイズ、空隙間の相互接続された細孔のサイズ、及び含まれる空隙の総数(バイオリアクターの全体的寸法を決定付ける)の1つ又は複数の制御を含む。更に、表面コーティング、バイオリアクター内の空隙を通る流動特性、pH、温度、圧力、酸素、栄養物供給、及び/又は廃棄物除去を選択的に制御することができる。臨床投与量要件は、10
9細胞以上の用量を提供する能力を指す。
【0019】
本明細書における3Dバイオリアクターは、培養継代及び関連するMSC表現型改変を低減又は排除することもできる、好ましくは比較的少ない数のドナー細胞から臨床用量要件までの細胞増殖を提供するバイオリアクターである。3Dバイオリアクターの好ましい固定床10は、概して、好ましい充填及び球形空隙構造、並びに球形空隙間の相互接続された細孔の例を示す
図1において切断図として例示される。
【0020】
より具体的には、バイオリアクターは、細胞が接着して単層として成長するための能力を提供すると共に、表面対体積比を最大限とするような内部陥凹面を有する、好ましくは球形状の図示されるような複数の相互接続された非無作為空隙14をバイオリアクター内に画定する、連続的な相互接続された3D表面積12を含む。空隙は、ある規定体積の開放空間として理解される。非無作為への言及によって、所望の許容差の実際の反復空隙サイズ及び/又は幾何構造をもたらす、3Dバイオリアクター内の目標数又は選択された数の空隙を特定し得ることが理解されるべきである。
【0021】
連続表面への言及によって、増殖する細胞が1つの表面領域の場所から3Dバイオリアクター内の別の場所に容易に移動し得ること、また表面が、表面における無作為の断絶又は0.1mm以上の無作為のギャップ等のいかなる無作為の遮蔽物も含まないことが理解される。好ましくは、細胞増殖のための3Dバイオリアクター内の表面積の50%以上が連続表面であり、より好ましくは、3Dバイオリアクター内の表面積の60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上又は99%以上が連続的である。
【0022】
更に、バイオリアクター固定床10は、空隙間に非無作為の相互接続された細孔開口部16を含む。この場合も、非無作為への言及は、所望の許容差の細孔直径を有する細孔の実際の数をもたらす、空隙に対して選択された細孔直径の目標数又は選択された数の細孔を特定し得ることを意味することが理解されるべきである。また、切断面で例示されるバイオリアクターは、最終的に、非無作為空隙の層(矢印「L」を参照されたい)を画定し、バイオリアクターの複数の層は、カラム内の複数のそのような非無作為空隙(矢印「C」を参照されたい)の特定を可能にし得ることが理解され得る。
【0023】
バイオリアクターは、生体適合性又は生体不活性ポリマー材料、例えばFDM(熱溶解積層法)3D印刷技術において使用されるポリスチレン、ポリカーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)で作製され得る。生体適合性又は生体不活性への言及は、培養細胞に対して毒性を有さない材料として理解されるべきである。更に、3Dバイオリアクター用のポリマー材料は、好ましくは、加水分解の量が存在するポリマー材料の5.0質量%を超えない、より好ましくは2.5質量%を超えない、最も好ましくは1.0質量%を超えないような、細胞培養中に加水分解を受けにくいにポリマーから選択される。バイオリアクターはまた、SLA(ステレオリソグラフィ)及びDLP(デジタルライトプロセッシング)3D印刷技術において使用される生体適合性の感光性材料(例えば、Pro3Dure、Somos WaterShed XC 11122等)で作製されてもよい。
【0024】
バイオリアクターを製作するために使用される材料は、水性培地中で分解性ではなく、細胞増殖中に水性培地流に耐えるための機械的安定構造を提供し得ることが好ましい。材料及び製造プロセスは、単層細胞増殖のための固体の滑らかな相互接続表面をもたらし得ることが好ましい。固体表面への言及により、表面は培養細胞による貫通又は埋没を低減又は防止するような表面であり、典型的には約20ミクロンから100ミクロンの直径を有することが理解されるべきである。好ましくは、本明細書における3Dバイオリアクターは、表面粗度値(Ra)を有する表面を有するバイオリアクターであり、表面粗度値は、評価長さ内で記録される平均線からの断面高さの偏差の絶対値の算術平均を指す。したがって、本明細書において、3Dバイオリアクター表面のRaは、20μm以下、より好ましくは5μm以下の値を有することが企図される。
【0025】
また、本明細書における3Dバイオリアクターは、好ましくは、少なくとも10、又は10〜95の範囲内、より好ましくは45〜95の範囲内のショアD硬度を示す材料から形成されるバイオリアクターである。また、それに関して、本明細書における3Dバイオリアクターは、ある程度の量の架橋を含む親水性型ポリマー構造として理解され得、また大量の水(例えば10〜40質量%)を吸収する、ヒドロゲル型構造を使用しないバイオリアクターであることに注目すべきである。また、本明細書における3Dバイオリアクターは、好ましくは、コラーゲン、アルギネート、フィブリン、並びに細胞によって容易に消化及び再形成され得る他のポリマーを使用しないバイオリアクターであることに注目すべきである。
【0026】
更に、本明細書における3Dバイオリアクターは、好ましくは、少なくとも0.01GPaの引張弾性率を有する材料から作製されたバイオリアクターである。より好ましくは、引張弾性率は、0.01GPaの増分で0.01GPaから20.0GPaの範囲内の値を有する。更により好ましくは、3Dバイオリアクターのための材料の引張弾性率は、0.01GPaから10.0GPa、又は1.0GPaから10GPaの範囲内である。例えば、本明細書における3Dバイオリアクターの製造に好適な以前に言及されたポリマー材料に関して、ポリスチレンは約3.0GPaの引張弾性率を示し、ポリカーボネートは約2.6GPaの引張弾性率を示し、ABSは約2.3GPaの引張弾性率を示し、PLAは約3.5GPaの引張弾性率を示し、PCLは約1.2GPaの引張弾性率を示す。
【0027】
そのような好ましい規則的な幾何学的特性及び連続的な表面積を有する3Dバイオリアクター設計は、好ましくは、積層造形技術、例えば、SolidWorks(商標)コンピュータ支援設計(CAD)プログラム等により利用可能となっているコンピュータ生成設計による、FDM、選択的レーザー焼結(SLS)、ステレオリソグラフィ(SLA)、デジタルライトプロセッシング(DLP)3D印刷技術等により製作される。
【0028】
好ましい例として、SolidWorks(商標)を利用して3Dバイオリアクター設計を作成するプロセスを以下で説明する。バイオリアクターのネガのコンピュータモデルがまず作成される。より具体的には、例えば重なって球の間に直径1.0mmの接続細孔を形成する充填された直径6.0mmの球を使用して、3Dバイオリアクターネガとして説明され得るものが作成された。当然ながら、本開示の幅広い文脈内で、他の可能な寸法が企図される。
【0029】
球は、好ましくは、六方最密充填(HCP)格子として整列して、効率的に(又は密に)充填された幾何構造を形成し、これによって各球は12個の隣接球により包囲される。この例示的幾何構造の単位胞を、
図1aに示す。より具体的には、
図1aにおいて、HCP格子の単位胞が示されており、上の3つの球は、隣接球間の6つの放射状の重なった領域を示すために半透明で示されている。細孔は、これらの重なった領域に形成される。好ましくは、充填を最適化するためには、細孔の最大数は12である。3Dバイオリアクターの空隙を通して培地かん流を許容するためには、最小細孔数は2である。したがって、3Dバイオリアクター内に存在する空隙の少なくとも90.0%から100%が、空隙当たり少なくとも2個の細孔開口部を有する。より好ましくは、3Dバイオリアクター内の空隙の少なくとも90.0%から100%が、空隙当たり8〜12個の細孔開口部を有する。1つの特に好ましい実施形態において、3Dバイオリアクター内の空隙の少なくとも90.0%から100%が、空隙当たり12個の細孔開口部を有する。
【0030】
より好ましくは、存在する複数の空隙における隣接空隙間に、8〜12個の相互接続された細孔開口部が隣接空隙間に存在し、1つの特に好ましい実施形態において、12個の細孔開口部が隣接空隙間に存在する。
【0031】
図1bにおいて、単位胞の全ての球が示されている。次いで、好ましくは、ネガモデルを反転させ、
図1cに示される相互接続球形空隙システムを含むポジモデルを作成することにより、バイオリアクター幾何構造が作成される。更に、
図1dにおいても、3Dバイオリアクターを断面図として見ることができるが、これは、規則的な幾何学的特性(上述と実質的に同じ空隙容積の制御)及び対応する相互接続された細孔開口部16と共に、14の切断図において示される相互接続された空隙の別の例示を提供する。
【0032】
上述の好ましい規則的幾何構造3Dバイオリアクターにおいて、空隙の直径と相互接続された細孔の直径との間の関係を特定することができる。
図1eを参照されたい。この好ましい幾何構造において、球形空隙1は、実線の円で表され、直径はDである(矢印により示される)。したがって、直径「D」は、内部空隙表面上の任意の2点間の最長距離として理解され得る。球形空隙2は、破線の円により表され、これも直径D(図示せず)を有する。球形空隙2は、球形空隙1の12個の隣接空隙のうちの1つである。隣接空隙間の重なりに起因して、同様に略水平の矢印により示される直径「d」を有する相互接続された細孔が、球形空隙間に形成される。したがって、直径「d」は、細孔開口部における任意の2点間の最長距離として理解され得る。空隙の全3D球面表面積は、SA
空隙=4×π×(D/2)
2である。S
capと称されるAとBとの間の表面積は、π×D×h[式中、
【0034】
である]である。3Dバイオリアクター内の所与の空隙の有効空隙表面は、SA
u=SA
空隙-[12×S
cap]である。
【0035】
空隙直径Dが小さいほど、より多数の空隙が設定3D空間(容積)内に充填され得、したがってより広い全細胞培養表面をもたらす。しかしながら、細胞凝集を最小限化又は防止するためには(これは、本明細書において議論されるように、細胞成長を阻害し、細胞表現型変化を誘引し得る)、この幾何構造において細孔の最小直径d=0.2mmである。細孔の直径dは、0.2mmから10mm、より好ましくは0.2mmから2.0mmの範囲内に収まり得る。最も好ましくは、d≧0.5mmであり、0.5mmから2.0mmの範囲内に収まる。
【0036】
D=0.40mm以下である場合、d=0.2mmである時の計算SA
uは0未満であり、これは不可能な構造をもたらすため、Dは、この3Dバイオリアクター幾何構造においては>0.4mmでなければならない。しかしながら、Dは、0.4mmから100.0mm、より好ましくは0.4mmから50.0mmの間、また0.4mmから25.0mmの範囲内の値を有し得る。1つの特に好ましいDの値は、2.0mmから10.0mmの範囲内に収まる。比較的大きいDの値を有する球形空隙は、同じバイオリアクター容積内で可能な限り細胞培養表面積を増加させるという目的に反し得る。したがって、
図1Eに示される好ましい幾何構造において、D>0.4mm(空隙の直径)及びd>0.20mm(細孔の直径)である。また、0.4mmから100.0の範囲内の空隙の直径Dの任意の選択された値、及び0.2mmから10.0mmの範囲内の細孔の直径dの任意の選択された値に関して、Dの値はdの値より大きくなるような値(D>d)であることに注目すべきである。
【0037】
ここで、本明細書における3Dバイオリアクターは、その非無作為の特徴の点で特徴付けられ得ることが理解され得る。好ましくは、3Dバイオリアクター内の空隙は全て、最も効率的な3D空間充填を達成し、対応する最も大きい連続表面積を提供するように、実質的に同じ容積を有するような空隙である。所与の3Dバイオリアクター内に存在する相互接続された空隙の総数に関して、好ましくは、そのような空隙の90.0%以上、又は更にそのような空隙の95.0%以上、又は更にそのような空隙の99.0%から100%が、許容差が+/-10.0%、又は+/-5.0%、又は+/-2.5%、又は+/-1.0%、又は+/-0.5%、又は+/-0.1%を超えて変動しないような空隙容積(V)を有する。
図1における空隙は、略球形として示されているが、他の空隙幾何構造も企図されることが留意されるべきである。空隙の直径は、細胞凝集を最小限化又は回避するように、及び細胞培養のための最大有効表面積を提供するように選択される。
【0038】
本明細書における3Dバイオリアクターの別の非無作為特性は、直径dを有する空隙間の細孔開口部である(再び
図1eを参照されたい)。上述と同様に、細孔開口部の90.0%以上、又は更に細孔開口部の95.0%以上、又は更に細孔開口部の99.0%から100%が、許容差が+/-10.%、又は+/-5.0%、又は+/-2.5%、又は+/-1.0%、又は+/-0.5%、又は+/-0.1%を超えて変動しないdの値を示す。
【0039】
したがって、ここで、細胞成長のための本明細書における3Dバイオリアクターは、細胞増殖のための表面積と、直径D(内部空隙表面上の任意の2点間の最長距離)を有する複数の空隙と、直径d(細孔開口部における任意の2点間の最長距離)を有する前記空隙間の複数の細孔開口部とを含み、D>dであることが理解され得る。更に、空隙の90%以上が、+/-10.0%を超えて変動しない空隙容積(V)を有し、細孔開口部の90%以上が、+/-10.0%を超えて変動しないdの値を有する。
【0040】
更に、細胞成長のための本明細書における3Dバイオリアクターは、直径D
1を有する第1の複数の空隙と、直径d
1を有する前記第1の複数の空隙間の複数の細孔開口部とを含み得、D
1>d
1であり、第1の複数の空隙の90%以上は、+/-10.0%を超えて変動しない許容差で空隙容積(V
1)を有する。そのような3Dバイオリアクターはまた、直径D
2を有する第2の複数の空隙と、直径d
2を有する前記第2の複数の空隙間の複数の細孔開口部とを有し得、D
2>d
2であり、第2の複数の空隙の90%は、+/-10.0%を超えて変動しない許容差で空隙容積(V
2)を有する。V
1及びV
2の値は異なり、その許容差の変動の範囲外である。換言すれば、その+/-10.0%の許容差を含むV
1の値、及びその+/-10.0%の許容差を含むV
2の値は異なる、又は[V
1+/-10.0%]≠[V
2+/-10.0%]である。
【0041】
したがって、空隙内の表面の曲率半径(Rc)は、好ましくは、1/0.5(D)、又は1/0.2mm=5mm
-1以下である。好ましくは、Rcは、0.2mm
-1から1.0mm
-1の値を有してもよく、これは10.0mmから2.0mmのDの値に対応する。高い曲率(高いRc)の表面は、典型的な単層2D培養とは著しく異なる環境を提供し、これはまた細胞表現型変化を誘引し得る。
【0042】
細胞は、好ましくは、3Dバイオリアクターの相互接続された球形空隙表面上に播種される。そのような3D構造は、好ましくは拡張可能であり、比較的小さい実装面積の細胞増殖バイオリアクターによる比較的大量の細胞増殖のための、比較的高い表面対体積比を提供し得る。表面積対体積比はまた、好ましくは、球状空隙の直径により決定される。直径が小さいほど、表面積対体積比が高い。好ましくは、空隙は、20μmから100μmのサイズを有する比較的「平坦」な細胞成長のための表面(すなわち、1.0mm
-1以下の低い曲率半径)を提供し、また細胞凝集を低減又は回避する。更に、上で示唆されたように、細胞凝集はまた、相互接続された細孔の直径dを制御することにより低減又は回避され、この直径は、好ましくは少なくとも500μmであるが、述べられたように、200μmを超える任意のサイズである。
【0043】
したがって、バイオリアクター固定床10は、好ましくは、
図2に更に示されるような単回使用3Dバイオリアクターとして機能してもよい。より具体的には、バイオリアクター10は、筐体18内に位置付けられ、次いで流体の流入及び流出が提供され得る入口及び出口区画20内に設置されてもよい。好ましくは、バイオリアクター10、筐体18、並びに入口及び出口区画20は、積層造形技術を使用して単一部品として製作され得る。
図3に示されるように、筐体18並びに入口及び出口区画20内のバイオリアクター10は、MSC増殖のための全3Dバイオリアクターシステムの一部となり得る。より具体的には、3Dバイオリアクターは、好ましくは、細胞成長を促進するために3Dバイオリアクターを通して細胞培養培地及び酸素を送達するかん流システム内に位置付けられる。2DのT-フラスコ内で使用される複数継代細胞増殖法もまた、3Dバイオリアクターに直接適用され得るが、但し、3Dバイオリアクターは、数十、数百又は数千のT-フラスコと同等の細胞培養面積を有する。複数継代細胞増殖の他に、少数のドナー細胞から臨床的に意義のある数の細胞までの1工程での増殖が企図され、したがって増殖中にMSC表現型変化を誘引する複数継代の問題が排除される。
【0044】
ここで理解され得るように、本明細書における3Dバイオリアクターは、相互接続された空隙の直径に依存して、比較的大きい表面対体積比を提供する。例として、直径5cm及び高さ15cmの円筒を画定する従来のローラボトルは、236cm
2の細胞成長表面積を提供する。同じ容積を使用して直径2.0mmの相互接続された空隙を有する本明細書における3Dバイオリアクターを封入した場合、全部で44,968個の球形空隙が空間内に充填され得、これは、ローラボトルの表面積よりほぼ24倍大きい約5,648cm
2の表面積を有するマトリックスを提供し得る。更に、ローラボトルは約9.4×10
6個の細胞しか回収できないが、同容積の本明細書における3Dバイオリアクターは、2.2×10
8個の細胞を回収することが企図される。
【0045】
中空繊維又はマイクロキャリアベースのバイオリアクターと比較して、本明細書における3Dバイオリアクターの少なくとも1つの固有の特徴は、断片化された表面の代わりに広い相互接続された連続表面を提供する能力である。したがって、本明細書における3Dバイオリアクター内の連続表面は、細胞が1つの領域から別の領域により自由に移動し得るようにすることが企図される。次いで、細胞は、局所的に増加すると同時に、細胞間接触阻害及び分化を回避するように領域外に徐々に移動し得る。
図3に示されるかん流システムを使用して、バイオリアクター内の栄養物又は細胞シグナルの勾配を容易に形成して、増加させながら(創傷治癒プロセスの場合のように)開放空間内への細胞移動を誘引することができることが企図される。
【0046】
また、本明細書における3Dバイオリアクターによって、比較的少数の細胞をマトリックス表面にわたり比較的均一に播種することができる。播種細胞の数は、3Dバイオリアクターのサイズに依存して、有効空隙表面積1平方センチメートル当たり30から3000細胞の範囲内に収まり得る。本明細書における3Dバイオリアクター内の3D空間内に分布した細胞は、比較的大きな細胞内2D分離を有し、直接的な細胞間接触を回避し得る。同時に、近くの細胞からのシグナルを受け取ることを可能にする、比較的短い3D分離距離(例えば、細胞が反対方向の球形表面上に存在する場合)を有することが可能である。
【0047】
ここで、3Dバイオリアクターの作製のための本明細書に記載の好ましい3D印刷技術と併せて、計算流体力学(CFD)を使用して、バイオリアクター内の培地流をシミュレートし、3D相互接続表面内の任意の場所での流速及びせん断応力を推定し、細胞培養環境を改善するための最適化を可能にすることができる。より具体的には、CFDを使用して、本明細書におけるバイオリアクターの3D相互接続空隙を通る流動特性をシミュレートし、また(1)流動速度、(2)圧力降下、及び(3)壁せん断応力の分布を推定した。後者のパラメータであるせん断応力は、細胞増殖に重要であることが理解され得る。せん断応力の低減は、せん断により誘引される細胞分化を低減又は防止し得る。
【0048】
以下に報告されるシミュレーションにおいて、直径17.5mm、高さ5.83mm、空隙直径2mm、及び細孔直径0.5mmの小規模(コンピュータシミュレーション速度を増加させるため)円筒形3Dバイオリアクターを使用した。この場合、バイオリアクターの直径(Φ=17.5mm)対高さ(H=5.83mm)の比は3:1であり(
図1d)、これは、バイオリアクターの入口と出口との間の栄養物及び酸素の勾配を低減するために好ましい比である。固定床球面上において利用可能な細胞密度に基づいて、酸素及び栄養物消費速度を推定し、どれほどの頻度で細胞培養培地を交換する必要があるか(すなわち体積流速)を決定した。このシミュレーションにおいて、38.5μm/秒の全体的線流速が仮定された。3Dバイオリアクターへの入力として38.5μm/秒の速度の層流を使用し、CFDの結果を
図4〜
図6に示す。
【0049】
図4a、
図4b、
図4c及び
図4dは、小規模円筒形3Dバイオリアクターを通る流動速度プロファイルを示す。
図4eは、流速の目盛を示す。より具体的には、
図4aは、バイオリアクターの側方から見た流速分布を示す。流れは、流動方向に沿って、細孔を通って各球形空隙を通過する。図中の白色/灰色領域は、流体流が存在しない球形空隙間の中実領域である。
図4eにおける色付きの速度スケールバーと比較することにより、
図4aは、流動方向に沿った細孔における流速が、200μm/秒から240μm/秒の最大流速に達することを示す。対照的に、球面近くの流速は、0.06μm/秒から19.0μm/秒の最小値まで低減し、これは、球面上に存在する細胞に対する、流動に起因するせん断応力を大幅に低減する。
【0050】
図4bは、3D構造の中心断面を通る、バイオリアクターの上面から見た速度プロファイルを示す。ここでも、画像は、最大速度が流動方向に沿って球形空隙の細孔の各中心にあることを示している。この最大速度は、ここでも200μm/秒から240μm/秒の範囲内である。球面近くの流速は、ここでも低く、0.06μm/秒から19.0μm/秒の値を有する。
【0051】
図4cは、放射状に相互接続された細孔を通過する流れを示す、個々の球空隙の速度プロファイルを示す。したがって、
図4cは、球形空隙内の流動分布の有用な図示を提供する。高い流速は、細胞が存在しない空隙の中心空洞空間にあり、200μm/秒から240μm/秒のレベルである。細胞は凹状の空隙表面上に存在し、ここでは流速が低減され、流速はここでも0.06μm/秒から19.0μm/秒のレベルである。したがって、この固有の構造は、比較的高い流動応力への曝露から細胞を遮断し得る。これは、例えば、細胞培養培地中に懸濁され、細胞に栄養物及び酸素を送達するためにバイオリアクター内で撹拌される、凸状球面を有する直径300μmから400μmのマイクロビーズの外側表面上に細胞を成長させるマイクロキャリアベースのリアクターに勝る、本明細書に記載の3Dバイオリアクターの別の異なる利点である。そのような凸状球面上に存在する細胞は、0.1Paまでの比較的大きいせん断応力に曝露され得るが、これは細胞形態、透過性、及び遺伝子発現に影響することが知られている。
図4dは、流動方向に沿った側部細孔を通る流動の軌跡を示し、本明細書における3Dバイオリアクターが、全体にわたり栄養物及び酸素を提供する比較的均一な流動パターンを提供することを示している。
【0052】
したがって、好ましい3Dバイオリアクター内の計算最大線流速は、200μm/秒から240μm/秒であり、これは、流動方向に沿って、直径2.0mmの空隙間の直径0.5mmの相互接続された細孔で生じる。
図4a〜
図4eに示されるように、流動は、優先的には流動に沿った中心方向にあるが、球面近くにまだ流動(約19.0μm/秒)が存在し、球面上に存在する細胞への栄養物供給を許容する。したがって、3Dバイオリアクター構造全体への対流及び拡散の両方を通して栄養物が供給され得るため、細胞が構造全体のいずれの箇所にも存在し、任意の場所に生育し得ることが企図される。
【0053】
図5a及び
図5bは、上述の円筒形3Dバイオリアクター全体及び単一球形空隙表面上の表面せん断応力の分布を示す。
図5cは、Pa単位でのせん断応力の目盛を示す。相互接続された細孔の縁部に最も高いせん断応力が観察された。これは、これらの場所におけるより高い流速に起因する。しかしながら、バイオリアクター内の有効球面表面積の大部分は、3×10
-4Pa未満のせん断応力を示し、これはバイオリアクターの表面積の90%以上と理解され得る。これは、せん断により誘引される分化のない細胞増加を提供する。更に、4.0×10
-3Paの最大せん断応力でさえ、中空繊維ベースのバイオリアクター、ウェーブバイオリアクター、及びマイクロキャリアベースのバイオリアクターにおいて培養された場合に細胞が経験する平均せん断応力よりも低いと考えられる。したがって、本明細書における3Dバイオリアクターは、既存の細胞増殖バイオリアクターと比較して、細胞成長のための比較的より低いせん断応力の環境を提供することが企図される。例えば、Large-Scale Industrialized Cell Expansion: Producing The Critical Raw Material For Biofabrication Processes、A. Kumar及びB. Starly、Biofabrication 7 (4):044103 (2015)を参照されたい。
【0054】
図6aは、上述の円筒形3Dバイオリアクターの底部から上部への流動方向に沿った圧力降下を示す。
図6bは、該当する圧力の目盛を示す。図は、バイオリアクターの入口と出口との間の全体的圧力降下が、1.0Pa以下であることを示している。したがって、圧力降下は、0.1Paから1.0Paまでの範囲内に収まり得る。換言すれば、バイオリアクターの入口及び出口付近の細胞は、著しい圧力差を経験しない。低い圧力勾配は、そのような設計がまた、バイオリアクターの入口と出口との間に栄養物/代謝産物濃度の小さい勾配(又は差)を生成することを示唆する。低い勾配は、全バイオリアクター容積を同じに維持しながら直径Φが高さHより大きくなるようなバイオリアクターの設計に起因する。これは、中空繊維バイオリアクターより優れている。バイオリアクターの入口と出口との間の栄養物/代謝産物の勾配を低減するようなΦ>H比を有する中空繊維バイオリアクターを製作することは困難である。
【0055】
異なるアスペクト比(すなわちΦ:H比、Φ:バイオリアクター固定床の全体的直径、H:バイオリアクター固定床の全体的高さ)を有する同じ全容積の円筒形3Dバイオリアクターに対しても比較を行った。
図1dを参照されたい。Table 1(表1)に示されるように、同じ体積流速(体積流速=流れの断面積×線速度)に対して、線速度は、低いΦ:H比を有するバイオリアクターに対して著しく増加する。線速度の増加はまた、表面せん断応力、圧力降下、及び入口と出口との間の栄養物/代謝産物濃度の勾配を増加させ、これは細胞増殖に望ましくない効果を有する。したがって、開示された固定床3Dバイオリアクターは、好ましくは、例えば1:1超から100:1までの範囲内のΦ:H比等のΦ:H比構造に設計される。好ましくは、Φ:H比は、1:1超から10:1までである。
【0057】
図7aは、相互接続された直径6mmの空隙及び1mmの相互接続された細孔を有する、FDM 3D印刷により生成された3Dバイオリアクター固定床部分を示す。この3Dバイオリアクターは、ABSフィラメントで印刷された。この特定の3Dバイオリアクターの直径(Φ)及び高さ(H)は、それぞれ4.28cm及び1.43cmである。したがって、Φ:H比は、3:1である。固定床には、約134個の相互接続された開放空隙が含まれている。細胞培養のための全相互接続連続球面表面積SA
uは、約152cm
2である。入口及び出口における入口及び出口壁並びに流体分配器22(
図8)は、細胞培養のための追加の88cm
2の表面積を提供する。換言すれば、細胞付着のための3Dバイオリアクターにおいて、約240cm
2の全有効表面積が存在する。流体分配器は、バイオリアクターを通る層流を改善し得る。流体分配器は、レイノルズ数が2100未満である場合、又は0超から2100未満までの範囲内である場合、任意選択的である。
【0058】
図7bは、3Dバイオリアクターの固定床が、バイオリアクターチャンバ内に結合した溶媒であったことを示す。これは固定床とチャンバ壁との間の隙間を封止し、それによってかん流細胞培養培地をそれらの隙間ではなく相互接続された細孔に通過させる。好ましくは、固定床及びチャンバは、製造効率を増加させるために統合部分として一緒に印刷される。
図7cは、バイオリアクターの入口及び出口を示す。これらは、固定床を通る層流を促進するように幾何学的に設計される。バイオリアクターの入口は、任意選択で、内蔵式回転ギアを含み、これはステッパモータに結合されて、均一な細胞播種のためにバイオリアクターの回転を制御し得る(以下を参照されたい)。統合バイオリアクターは、
図7dに示されており、1/8インチの配管に接続されて流体流動を誘引することができる。代替として、入口及び出口は、繰り返し使用するように作製されてもよく、内側のバイオリアクター固定床のみが使い捨てである。また、
図7eには、6.0mmの空隙及び1.0mmの細孔を有する、SLA 3D印刷により生成された3Dバイオリアクター固定床が示されている。
図7fは、3.0mmの空隙及び0.5mmの細孔を有する、DLP 3D印刷を使用した3Dバイオリアクター固定床である。
【0059】
次に、流体分配器22(
図8)は、好ましくは、3Dバイオリアクターを通る流動均一性を改善するような分配器であることが留意されるべきである。また、入口、出口及び流体分配器の設計は、好ましくは、(1)3Dバイオリアクターを通る流動均一性を改善すること、(2)バイオリアクターの全プライミング容積を低減するための、入口及び出口における死容積24の最小限化、並びに(3)バイオリアクター内の気泡捕集の防止を考慮している。
図9は、流体分配器を使用したCFDシミュレーションに基づく3Dバイオリアクターを通る流動速度プロファイルを示す。流体分配器(
図8)の使用は、流動の均一性を改善した。最大流速(約30μm/秒)及び最小流速(約10μm/秒)は、比較的互いに近く、均一な層流(すなわち、比較的平行な層としての流体の流動)を促進するように機能する。バイオリアクター内のいたる所での比較的均一な流速はまた、バイオリアクター内の異なる場所に存在する細胞に対するせん断応力のより小さい差を提供する。
【0060】
3Dバイオリアクターは、選択的レーザー焼結(SLS)、ステレオリソグラフィ(SLA)、デジタルライトプロセッシング(DLP)等の他の積層造形技術により製作されてもよい。
図7b、
図7e、
図7f。
【0061】
積層造形又は3D印刷による本明細書における3Dバイオリアクターの作製に加えて、3Dバイオリアクターは、相互接続された細胞培養表面を提供するための従来のポロゲン浸出法により作製されてもよい。
図10a及び
図10bは、ポロゲン浸出法を利用した3Dバイオリアクターを示す。これは、型内でポロゲン及びポリマーを合わせ、続いてポロゲンを浸出させて細孔を生成することを指す。
図10aにおける3Dバイオリアクターは、4.0mmの水溶性球形糖ビーズ(ポロゲンとして)を、円筒形ステンレス型内に、ビーズが接触するようにビーズを振盪、タッピング、及び加圧することにより密に充填する工程から開始する。ビーズ間の隙間を、5.0質量%の脱イオン水を含有するアセトンで充填する。これに続いて、真空チャンバ内で一晩、アセトン及び水を蒸発させる。次いで、ビーズ間の隙間を、ベンゾイル又はtert-ブチルペルオキシベンゾエート等の重合開始剤と共にスチレン等の低粘度重合性ビニルモノマーで充填する。次いで、スチレンモノマーが重合して、ポリスチレンを形成する。試料を90℃で8〜12時間維持し、次いで更に3時間115℃に加熱し、炉から取り出すと、
図10aに示されるものが得られる。次いで、糖ビーズを超音波水浴中に浸漬しながら浸出すると、相互接続された空隙を有するポリスチレン3Dバイオリアクター固定床が得られた。
図10bを参照されたい。次いで、3Dバイオリアクターをメタノールで3日間抽出し、いかなる残留スチレンモノマーも除去する。しかしながら、ポロゲン浸出法は、複雑な製造プロセスを有するだけでなく、ポロゲンビーズの充填が無作為なプロセスであるため、正確に再現可能な構造を達成するのは困難である。
【0062】
ABSを使用した3D印刷バイオリアクター(
図7d)の場合、バイオリアクターの疎水性内部表面は、好ましくは細胞接着を可能にするように修飾される。したがって、ABS表面を改善するために、プライマーコーティングとしてのポリドーパミンに続くフィブロネクチンコーティングが利用された。コーティング手順を最適化するために、異なる濃度の塩酸ドーパミン(Sigma #H8502)及びフィブロネクチン(Sigma #F1141)を使用したコーティングを、それぞれ医療グレード及び非医療グレードABSの両方の基板上で評価した。10mMトリス緩衝液(25℃でpH=8.5)に溶解した0.25mg/mLのドーパミン中でのABS表面の約18時間の期間のインキュベーションにより、その後のフィブロネクチンコーティングに効果的なポリドーパミン層が得られた。ポリドーパミンコーティングの後、50又は100μg/mLの濃度のフィブロネクチン(ウシ血漿由来フィブロネクチン)中でのABS表面の4時間のインキュベーションにより、間葉幹細胞付着が促進された。ポリドーパミン及びフィブロネクチンコーティングの使用は、本明細書において開示されるABSベース3Dバイオリアクター以外のバイオリアクター、特に疎水性材料で製作されたバイオリアクターへの使用にも企図されることが留意されるべきである。また、ポリドーパミンプライマーコーティングは、ペプチド、コラーゲン、ラミニン、複数の細胞外基質タンパク質、又は特定の細胞型により必要とされる選択された抗体と合わせることができることが留意されるべきである。ポリドーパミンがバイオリアクター表面上に堆積された後、次いでこれはマイケル付加反応及び/又はシッフ塩基反応を介して機能的リガンドと結合され得る。したがって、リガンド分子は、アミン及びチオール官能基等の求核性官能基を含む。
【0063】
図11a、
図11b及び
図11cは、それぞれ、上述のポリドーパミンコーティング後の、20μg/mlフィブロネクチン、50μg/mlフィブロネクチン及び100μg/mlフィブロネクチンのコーティング用濃度での非医療グレードABSに対する細胞(緑色蛍光で標識化されている)付着を示す。
図11d、
図11e、及び
図11fは、それぞれ、20μg/mlフィブロネクチン、50μg/mlフィブロネクチン及び100μg/mlフィブロネクチンのコーティング用濃度での医療グレードABSに対する細胞付着を示す。これらの図は、医療グレードABS及び非医療グレードABSの両方が、ポリドーパミン/フィブロネクチンコーティング後に同様の細胞付着性能を有することを示唆している。50μg/ml又は100μg/ml濃度でのフィブロネクチンのコーティングが、良好な細胞付着に好ましい。これらの図はまた、細胞が、3D印刷プロセスの間に生成された表面テクスチャに対し整列していたことを示している。したがって、SLA又はDLP 3D印刷により生成されたバイオリアクター表面が、細胞増殖に好ましい。
【0064】
また、3Dバイオリアクターに対しても細胞付着を評価した。細胞(緑色蛍光で標識化されている)が3Dバイオリアクター表面上に良好に付着することを示す
図12a、
図12b及び
図12cを参照されたい。
図12aは、3Dバイオリアクター固定床を示し、
図12bは、球形空隙の表面上に播種された細胞(緑色蛍光を指す矢印で標示されている)を示し、
図12cは、細胞が球形空隙間の相互接続された細孔近くに位置することを示している。
【0065】
上で示唆されたように(
図3)、本明細書における3Dバイオリアクターは、好ましくは、かん流システムにおいて利用される。より具体的には、3Dバイオリアクター取付具を37℃のインキュベータ内に置き、システムを体温に維持した。Cole-Parmer Masterflexポンプを使用して、酸素供給器への通過後に細胞培養培地をバイオリアクターに送達した。MCQ 3チャネルガスブレンダが適切な量の酸素、二酸化炭素、及び窒素を混合し、酸素供給器にガス混合物供給を提供して細胞培養培地を調整した。ガスブレンダにより、ガス混合物は、必要に応じて約2%酸素濃度の低酸素状態を生成するように制御され得、これは21%の酸素濃度よりも比較的急速な間葉幹細胞の成長を提供することが企図される。ガスブレンダはまた、バイオリアクター内の全細胞数の増加に従って酸素濃度を調節することができる。更に、かん流システムにおいて、細胞播種の間の3Dバイオリアクターは、好ましくは、バイオリアクターがバイオリアクター軸周りに回転し、細胞がバイオリアクター内により均一に播種されるように、水平に位置付けられ、ステッパモータに接続され得る。
【0066】
3Dバイオリアクターの細胞播種は、以下のような例として達成され得る。
図7a〜7dに示される3Dバイオリアクターの場合、バイオリアクターの全プライミング容積は約22mLであり、これは、固定床の容積(約16mL)並びに入口及び出口の空間(約6mL)を含む。25mL中に懸濁した全部で1.5×10
6個の間葉幹細胞を、バイオリアクター内に注入した。注入は、2mL/分の注入速度を用い、シリンジポンプにより行った。培地注入直後、バイオリアクターをバイオリアクター取付具上に水平に設置し、バイオリアクターをその軸周りに0.15RPMの回転速度でゆっくり回転させた。したがって、本明細書におけるバイオリアクターは、0.5RPMから0.5RPMの範囲内の回転速度で回転され得る。バイオリアクターを約6時間回転させた後、かん流を開始した。この細胞投入法を使用して、96.3%の高投入効率が測定された。
【0067】
播種後のバイオリアクター内の細胞分布を観察するために、細胞をバイオリアクターの表面上に固定した。次いで、固定された細胞をDAPI蛍光染料(青色)で染色し、細胞核を標識化した。次いで、バイオリアクターを接合して内部チャンバを開き、蛍光顕微鏡を使用して、バイオリアクター内の異なる表面上の細胞付着及び分布を観察した。
図13a、
図13c、
図13e、及び
図13gは、それぞれ、入口、固定床、壁、及び流体分配器上の細胞分布を示す。全ての領域が、比較的低い細胞密度の播種細胞を示していた。画像は、細胞播種がバイオリアクター全体に比較的均一に分布していたことを示している。
図13b、
図13d、
図13f、及び
図13hは、7日間の増殖期間後のバイオリアクター内の対応する表面上の細胞分布を示す。
図13a及び
図13bは、3Dバイオリアクター入口壁であり、
図13c及び
図13dは、3Dバイオリアクター内壁上であり、
図13e及び13fは、3Dバイオリアクター中心空隙球面上であり、
図13g及び
図13hは、3Dバイオリアクター流動誘導表面上である。
【0068】
静的(培地かん流なし)細胞播種期間後、3Dバイオリアクターは、好ましくは、バイオリアクター内の気泡の捕集を防止するために、かん流の間垂直位置で設置される(バイオリアクター入口が出口より低い)。
図7dに示される組み立てられたバイオリアクターは、2mL/分の流速でかん流された。CFDシミュレーションによれば、38.5μm/秒の層流速度は、細胞に対する比較的高いせん断応力を生成しない。4.28cmの固定床直径又は約14.4cm
2の断面積を有する
図7に示されるこのバイオリアクターの場合、計算等価流速は、3.3mL/分である。体積かん流速度は、バイオリアクターの全容積及び断面積、バイオリアクター内の球形空隙直径及び細孔直径、並びに細胞型、酸素及び栄養物消費、せん断耐性等に依存することが留意されるべきである。したがって、細胞製造プロセスの開発により、最適化されたかん流速度が決定される必要がある。
【0069】
細胞培養培地は、3Dバイオリアクターへの流入前に酸素供給器を通って循環した。ガスブレンダは、74%のN
2、21%のO
2、及び5%のCO
2を含有するガス混合物を生成し、これが酸素供給器内に供給されて細胞培養培地がリフレッシュされてから、バイオリアクター内の細胞に送達された。
【0070】
24時間毎に、グルコース及びラクテートの変化を測定した。グルコース及びラクテートの変化に基づいて、バイオリアクター内の細胞の数を推定した。
図14は、4日の期間にわたるバイオリアクター内の細胞数の変化を示す。成長曲線は、細胞成長の3つの期間、すなわち、緩やかな細胞成長(1日目)、指数関数的細胞成長(2日目)、並びに成長停滞(3日目及び4日目)を示す。回収時約8×10
6個の細胞が、4日間の増殖後に推定される。
【0071】
細胞が80%の密集度又は約0.4×10
5細胞/cm
2で回収されると仮定すると、
図15に示されるような10
7、10
8、及び10
9細胞増殖能力を有するバイオリアクターは、それぞれ250cm
2、2,500cm
2、及び25,000cm
2の全細胞培養表面積を必要とする。バイオリアクターが直径2.0mmの球形空隙及び12個の直径0.5mmの相互接続された細孔を含むと仮定する。各球形空隙は、SAu=10.16mm
2を有する。換言すれば、10
7、10
8、及び10
9細胞増殖能力を有するバイオリアクターは、2,461個、24,606個、及び246,063個の直径2.0mmの球状空隙を必要とする。各球形空隙が4.19mm
3の容積、73.6%の合理的充填効率(SolidWorks(商標)コンピュータシミュレーションによる)を有することを考慮すると、10
7、10
8、及び10
9細胞増殖能力を有するバイオリアクターは、それぞれ14.0cm
3、140.1cm
3、及び1400.8cm
3の容積を必要とする。充填効率は、球形空隙により占有される容積(V
占有)を、所与の直径Φ及び高さHを有する3D円筒空洞空間の全容積(V
円筒)で除したものを指す。本明細書における3Dバイオリアクターの場合、充填効率は、好ましくは、64.0%超、より好ましくは70.0%超の値、最も好ましくは75.0%超の値を有する。バイオリアクターの直径Φ及び高さHが3:1の比を有すると仮定すると、
図15に示される10
7、10
8、及び10
9細胞増殖能力を有するバイオリアクターは、それぞれ、5.2cm(Φ)及び1.7cm(H)、16.4cm(Φ)及び5.5cm(H)、51.8cm(Φ)及び17.3cm(H)のΦ及びHを有する。また、バイオリアクターは、10
10、10
11、10
12細胞増殖能力まで拡張可能であると推定される。
【0072】
次いで、3Dバイオリアクターからの細胞分離を評価した。2種類の試薬を細胞分離に試験した。1つは従来のトリプシン-EDTA(0.25%)であり、他方は新たなTrypLE Selectであった。後者は、トリプシンの優れた代替物であると期待される。約5分間の温暖(37℃)インキュベーション期間でトリプシンを使用して、3Dバイオリアクターから細胞の95%超を成功裏に分離することが可能であった。
【0073】
ここで、上記の全てから、本明細書において開示された3Dバイオリアクターの追加的な特徴の1つが、特定の幾何構造及び空隙容積要件、並びに対応する利用可能表面積要件を有する3Dバイオリアクターが設計され得ること、また比較的小さい変動でそのような目標が達成され得ること(すなわち製作又は製造中に)であることが理解されるべきである。例えば、1つ又は複数の内部空隙が目標空隙容積「V
t」を有し、3Dバイオリアクター自体が細胞培養のための目標全表面積「SA
t」を有する、3Dバイオリアクターの設計要件が特定され得る。したがって、1つ又は複数の内部空隙がV
tの+/-10.0%以内、又はより好ましくはV
tの+/-5.0%以内である実際の空隙容積「V
a」を有する、そのような3Dバイオリアクターが形成され得る。同様に、細胞培養のための実際の表面積SA
aは、SA
tの+/-10.0%以内、又はより好ましくはSA
tの+/-5.0%以内である。更に、目標空隙内の内部表面に対して、製作のための目標幾何構造、例えば目標曲率半径「Rc
t」もまた特定され得、次いで、製作の際、Rc
tの+/-5%以内である空隙内部表面の実際の曲率半径「Rc
a」が達成され得る。
【0074】
したがって、本発明は、10
5個から10
9個への細胞増殖のために、数百のT-フラスコの使用から、異なるサイズのわずか3つの個々の3Dバイオリアクターの使用まで低減し得る、拡張可能な3Dバイオリアクターを説明している。
図15に示されるように、10
5個の細胞から10
9個の細胞へ増殖させるために、124個のT-フラスコを利用しなければならない。一方、増加するサイズの3つの本明細書における3Dバイオリアクターを使用すると、このレベルの細胞増殖をより容易に達成することができる。更に、3Dバイオリアクターは、自動的な閉ループ細胞増殖を容易にし、これは、細胞増殖の効率を著しく増加させ、臨床用途のために細胞を増殖させるためのcGMP(現行の適正製造規準)規制要件に適合する。更に、本明細書における3Dバイオリアクターの使用は、細胞培養培地の使用を著しく低減する。本明細書における3Dバイオリアクターは、単層細胞培養を維持し、細胞凝集(細胞間接触及び/若しくは積層)、表現型変化、又は細胞外生成を低減又は防止するために、定義された幾何構造、表面コーティング、及び流体力学を有するように拡張可能であり、また、バイオリアクターの適切な表面コーティング下での幹細胞、初代細胞、及び他の接着細胞又は非接着細胞の増殖に特に好適である。