特許第6987083号(P6987083)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987083
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】NOx吸着体触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/63 20060101AFI20211213BHJP
   B01J 37/00 20060101ALI20211213BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20211213BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20211213BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20211213BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20211213BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20211213BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   B01J23/63 AZAB
   B01J37/00 F
   B01J37/08
   B01J37/04 102
   B01D53/94 222
   F01N3/08 A
   F01N3/10 A
   F01N3/24 B
【請求項の数】16
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2018-564407(P2018-564407)
(86)(22)【出願日】2017年5月31日
(65)【公表番号】特表2019-524422(P2019-524422A)
(43)【公表日】2019年9月5日
(86)【国際出願番号】GB2017051545
(87)【国際公開番号】WO2017212219
(87)【国際公開日】20171214
【審査請求日】2020年4月16日
(31)【優先権主張番号】1610160.2
(32)【優先日】2016年6月10日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1704901.6
(32)【優先日】2017年3月28日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アーミテイジ, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】デュラン マルタン, デジレ
(72)【発明者】
【氏名】マクシモヴィッチ, レベッカ
(72)【発明者】
【氏名】ミリントン, ポール ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス, ポール リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ラジャラム, ラジ ラオ
(72)【発明者】
【氏名】リード, スチュアート デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】スワロー, ダニエル
【審査官】 安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/053163(WO,A1)
【文献】 特表2013−536756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
B01D 53/86−53/90,53/94−53/96
F01N 3/08
F01N 3/10
F01N 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーンバーンエンジンからの排出を処理するための、
担体材料;
担体材料上に配置される白金族金属;及び
NO貯蔵材料
から本質的になる第1の層を含むNOx吸着体触媒であって、
担体材料が、アルミナ又はアルミナを含む混合酸化物を含み;
金族金属が、白金とパラジウムの混合物又は合金からなり;かつ
NO貯蔵材料が、ランタンがドープされたセリアからなる
NOx吸着体触媒。
【請求項2】
NO貯蔵材料が0.5〜18mol%のランタンを含む、請求項1に記載のNO吸着体触媒。
【請求項3】
NO貯蔵材料が1.0〜15mol%のランタンを含む、請求項1又は2に記載のNO吸着体触媒。
【請求項4】
NO貯蔵材料が2.0〜14mol%のランタンを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のNO吸着体触媒。
【請求項5】
金属又はセラミック基材に担持されている請求項1からのいずれか一項に記載のNO吸着体触媒を含む、NO吸着体触媒。
【請求項6】
基材がフロースルーモノリス又はフィルターモノリスである、請求項に記載のNO吸着体触媒。
【請求項7】
押出成形されて、フロースルー又はフィルター基材形成している、請求項1からのいずれか一項に記載のNO吸着体触媒を含むNO吸着体触媒。
【請求項8】
請求項1に記載のNO吸着体触媒の作製方法であって、
前記NO吸着体触媒の作製方法は、NO貯蔵材料の作製方法を含み、
前記NO貯蔵材料の作製方法は、ランタン含有塩の溶液とセリア粒子を混合すること、粒子を噴霧乾燥させること、及び噴霧乾燥した粒子を加熱することを含む、方法
【請求項9】
粒子の噴霧乾燥が、250から350℃の間の入口温度で行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
粒子の噴霧乾燥が、80から150℃の間の出口温度で行われる、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
噴霧乾燥した粉末が250から600℃の間の温度で加熱される、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
加熱された噴霧乾燥した粉末を600から800℃の間の温度で乾燥させる工程をさらに含む、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
リーンバーンエンジン及び請求項1からのいずれか一項に記載のNO吸着体触媒を含む、燃焼排気ガスの流れを処理するための排出処理システムであって、
リーンバーンエンジンが、NO吸着体触媒と流体連結しており;かつ
リーンバーンエンジンがディーゼルエンジンである、
排出処理システム。
【請求項14】
選択的触媒還元触媒システム、パティキュレートフィルター、選択的触媒還元フィルターシステム、受動的NO吸着体、三元触媒システム、又はそれらの組み合わせをさらに含む、請求項13に記載の排出処理システム。
【請求項15】
内燃機関からの排気ガスを処理する方法であって、排気ガスを請求項1からのいずれか一項に記載のNO吸着体触媒又は請求項13若しくは14に記載の排出処理システムと接触させることを含む、方法。
【請求項16】
排気ガスが180から300℃の温度である、請求項15に記載の内燃機関からの排気ガスを処理する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NO吸着体触媒、NO貯蔵材料、及びNO吸着体触媒を含む内燃機関のための排出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関は、政府の法規制の対象である窒素酸化物(NO)、一酸化炭素、及び未燃焼炭化水素を含む多種多様な汚染物質を含有する排気ガスを発生させる。ますます、厳しい国家及び地方の法律で、上記ディーゼル又はガソリンエンジンから放出され得る汚染物質の量が低減してきている。排出制御システムは、大気に排出されるこれらの汚染物質の量を低減するために広範に利用されており、典型的には、排出制御システムがその運転温度(典型的には200℃以上)に到達すると、非常に高い効率を実現する。しかし、前記システムは、その運転温度未満(「コールドスタート」期間)で相対的に効率が悪い。
【0003】
排気ガスを除去するために使用される排気ガス処理成分の一つは、NO吸着体触媒(又は「NOトラップ」)である。NO吸着体触媒は、NOをリーン排気条件下で吸着し、吸着したNOをリッチ条件下で放出し、かつ放出したNOを還元してNを生成する装置である。NO吸着体触媒は、典型的にNO貯蔵のためのNO吸着体と酸化/還元触媒を含む。
【0004】
NO吸着体成分は、典型的にはアルカリ土類金属、アルカリ金属、希土類金属又はそれらの組み合わせである。これらの金属は、典型的に、酸化物の形態で見出される。酸化/還元触媒は、典型的に、一又は複数の貴金属、好ましくは白金、パラジウム、及び/又はロジウムである。典型的に、白金は酸化機能を実施するために含められ、ロジウムは還元機能を実施するために含められる。酸化/還元触媒とNO吸着剤は、典型的に、排気システムで使用するための無機酸化物等の担体材料上に担持される。
【0005】
NO吸着体触媒は3つの機能を実施する。第一に、酸化窒素は、酸化触媒の存在下で、酸素と反応してNOを生成する。第二に、NOはNO吸着体によって無機硝酸塩の形で吸着される(例えば、BaO又はBaCOがNO吸着体上でBa(NOに変換される)。最後に、エンジンがリッチ条件下で作動する場合、貯蔵された無機硝酸塩は分解してNO又はNOを生成し、これがその後、還元触媒の存在下で、一酸化炭素、水素、及び/又は炭化水素(又は、NH若しくはNCO中間体を経由)との反応によって還元されてNを生成する。典型的に、窒素酸化物は、排気流中の熱、一酸化炭素、及び炭化水素の存在下で、窒素、二酸化炭素、及び水に変換される。
【0006】
典型的には、NO吸着体材料は、無機酸化物、例えばアルミナ、シリカ、セリア、ジルコニア、チタニア、又は少なくとも一の白金族金属でコーティングされた混合酸化物からなる。例えば、国際公開第2008/047170号は、リーン排気ガスからのNOが、200℃未満の温度で吸着され、その後200℃超の温度で熱的に脱離されるシステムを開示している。NO吸着体は、パラジウムと、酸化セリウム、又は、セリウムと少なくとも1種の他の遷移金属とを含有する混合酸化物若しくは複合酸化物とからなると教示されている。
【0007】
国際公開第2004/076829号は、SCR触媒の上流に配置されたNO貯蔵触媒を備える排気ガス浄化システムを開示している。NO貯蔵触媒は、少なくとも1種の白金族金属(Pt、Pd、Rh又はIr)でコーティング又は活性化されている少なくとも1種のアルカリ金属、アルカリ土類金属又は希土類金属を含む。特に好ましいNO貯蔵触媒は、白金でコーティングされた酸化セリウムと、それに加えて、酸化アルミニウムを基とする担体上の酸化触媒としての白金とを含むと教示されている。EP1027919は、アルミナ、ゼオライト、ジルコニア、チタニア及び/又はランタナといった多孔性担体材料と、少なくとも0.1重量%の貴金属(Pt、Pd及び/又はRh)とを含むNO吸着体材料を開示している。アルミナに担持された白金が例示されている。
【0008】
また、米国特許第5,656,244号及び同第5,800,793号は、NO貯蔵/放出触媒と三元触媒とを組み合わせるシステムを記載している。NO吸着体は、クロム、銅、ニッケル、マンガン、モリブデン又はコバルトの酸化物と、アルミナ、ムライト、コーディエライト又は炭化ケイ素上に担持される他の金属とを含むと教示される。
【0009】
低温(典型的には約200℃未満)では、これらの触媒のNO貯蔵機能は不十分であり、改善する必要のある触媒開発の分野が継続して存在する。特定の温度よりも高い温度でNO貯蔵特性をほとんど又は全く有しない触媒を開発し、例えばさらに下流の触媒による後の変換のためにNOが放出されるときの制御を可能にすることが望ましい。燃料又はエンジン潤滑油中に存在しうる硫黄によるNO吸着体触媒の失活も、特に触媒を熱的に脱硫酸化するのに困難でありうる低温条件下で問題でもある。
【0010】
どのような自動車システム及びプロセスでも、排気ガス処理システムのなお更なる改善を達成することが望ましい。当社は、改善した低温NO貯蔵特徴、改善したNO放出特性、及び改善した脱硫酸化特性を有する新規のNO吸着体触媒を発見した。
【発明の概要】
【0011】
本発明の第1の態様では、リーンバーンエンジンからの排出を処理するための、
担体材料;
担体材料上に配置される一又は複数の白金族金属;及び
NOx貯蔵材料
から本質的になる第1の層を含むNOx吸着体触媒であって、
担体材料が、アルミナ又はアルミナを含む混合酸化物を含み;
一又は複数の白金族金属が、白金とパラジウムの混合物又は合金からなり;かつ
NOx貯蔵材料が、ランタンがドープされたセリアからなる
NOx吸着体触媒が提供される。
【0012】
本発明の第2の態様では、金属又はセラミック基材上に担持された上記のNO吸着体触媒を含むNO吸着体触媒が提供される。
【0013】
本発明の第3の態様では、上記のNO吸着体触媒を含むNO吸着体触媒であって、押し出されてフロースルー又はフィルター基材が形成される触媒が提供される。
【0014】
本発明の第4の態様では、ランタン含有塩の溶液とセリア粒子を混合すること、粒子を噴霧乾燥すること、及び噴霧乾燥した粒子を加熱することを含む、NO貯蔵材料を作製する方法が提供される。
【0015】
本発明の第5の態様では、リーンバーンエンジンからの排出を処理するための、
担体材料;
担体材料上に配置される一又は複数の白金族金属;及び
NOx貯蔵材料;
から本質的になる第1の層を含むNOx吸着体触媒であって、
担体材料が、アルミナ又はアルミナを含む混合酸化物を含み;
一又は複数の白金族金属が、白金とパラジウムの混合物又は合金からなり;かつ
NOx貯蔵材料が上記の方法により得ることができる
NOx吸着体触媒が提供される。
【0016】
本発明の第6の態様では、リーンバーンエンジン及び上記のNOx吸着体触媒を含む燃焼排気ガスの流れを処理するための排出処理システムであって、
リーンバーンエンジンが、NOx吸着体触媒と流体連結しており;かつ
リーンバーンエンジンがディーゼルエンジンである、
排出処理システムが提供される。
【0017】
本発明の第7の態様では、排気ガスを上記のNOx吸着体触媒と接触させることを含む、内燃機関からの排気ガスを処理する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義
「ウォッシュコート」という用語は、当該技術分野ではよく知られており、通常は触媒の製造中に基材に塗布される接着性コーティングを指す。
【0019】
本明細書で用いられる頭字語「PGM」とは、「白金族金属」を指す。用語「白金族金属」とは、一般的に、Ru、Rh、Pd、Os、Ir及びPtからなる群より選択される金属、好ましくはRu、Rh、Pd、Ir及びPtからなる群より選択される金属のことを指す。一般に、用語「PGM」とは、好ましくは、Rh、Pt及びPdからなる群より選択される金属のことを指す。
【0020】
本明細書で用いられる「混合酸化物」という用語は、通常、当技術分野で従来から知られているような、単一相における酸化物の混合物のことを指す。本明細書で用いられる「複合酸化物」という用語は、通常、当技術分野で従来から知られているような、二相以上の相を有する酸化物の組成物のことを指す。
【0021】
材料に関して本明細書で用いられる表現「実質的に含まない」とは、例えば≦5重量%、好ましくは≦2重量%、さらに好ましくは≦1重量%といった、少量で存在しうる材料を意味する。表現「〜を実質的に含まない」は、表現「〜を含まない」を包含する。
【0022】
本発明のリーンバーンエンジンからの排出を処理するためのNOx吸着体触媒は、担体材料;担体材料上に配置される一又は複数の白金族金属;及びNOx貯蔵材料担体材料から本質的になる第1の層を含む。担体材料は、アルミナ又はアルミナを含む混合酸化物を含む。一又は複数の白金族金属は、白金とパラジウムの混合物又は合金からなる。NOx貯蔵材料はランタンがドープされたセリアからなる。
【0023】
ランタンがドープされたセリアは、酸化セリウム及びランタン含有成分からなる。ランタンに加えて、酸化セリウムは、セリウム、酸素、及び任意選択的に、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、ニオビア、プラセオジム、酸化タンタル、酸化モリブデン、酸化タングステン、これらいずれか二つ以上の混合酸化物若しくは複合酸化物又はこれらの混合物から選択される一又は複数の金属又は金属酸化物を含む。好ましい酸化セリウムは、セリアと一又は複数のアルミナ、マグネシア、ジルコニウム、チタニア又はこれらの混合酸化物若しくは複合酸化物を含む。特に好ましい酸化セリウムは、ランタン含有成分に加えて、セリアとジルコニア、又はセリアとアルミナ、又はセリアとマグネシアを含む。ランタンがドープされたセリアの特に好ましいものの一つは、セリアとランタンからなり、これはすなわち、ランタンがドープされたセリアである。
【0024】
ランタンがドープされたセリアのランタン含有成分は、任意の塩、酸化物、複合体、又はランタン、例えば酸化ランタン(III)を含有する他の化合物でありうる。それは、ランタン金属であってもよい。疑義を避けるために、可能性のあるランタン含有成分のこの列挙は非制限的である。
【0025】
ランタン含有成分は、セリアの表面上に存在しうる。ランタン含有成分は、追加的に又は代替的に、担体材料、NO貯蔵材料又は両方に組み込まれうる。セリアに組み込まれているランタン含有成分の一例は、ランタンによるセリアの原子の置き換え(例えばいずれかの材料の格子構造中)であろう。
【0026】
本発明の触媒に存在するランタンがドープされたセリアは、それらは所与の温度、例えば180、200、250又は300℃超、好ましくは約300℃超でNOを貯蔵しないか又は実質的に貯蔵しない点において有利である。よって、リッチ排気流は「ハイウェイ」条件下でNOを放出及び/又は変換する必要はないため、これは有利である。NO吸着体触媒がSCR又はSCRFTM触媒の上流に存在するときにこれは特に好ましく、そのような条件下でSCR又はSCRFTM触媒は、定量的NO変換を達成する。加えて、180、200、250又は300℃を超える温度、好ましくは約300℃でのこのNO貯蔵の少なさ又は欠如は、車両が比較的低温条件、例えば「シティ」条件下で続いて使用されるときに貯蔵されたNOが存在しないことを意味し、これは、そのような低温条件下でNOスリップを減少させるさらなる利点を有する。
【0027】
いくつかの実施態様では、ランタンがドープされたセリアは、ランタンを含有しない同等の材料と比較して、特有のラマンシフトを有する。一実施態様では、特有のラマンシフトは、ドープされていないセリア材料の465cm−1と比較して、463cm−1である。
【0028】
ランタンがドープされたセリアは、X線回折により測定される場合、ランタンを含有しない同等の材料よりも低い結晶サイズを有することを特徴としうる。ランタンがドープされたセリアの結晶サイズは、ドープされていない材料の約7.5nm超、例えば7.5から8.5nm、好ましくは約8.0nmの結晶サイズと比較して、約6.5nm、例えば6.1から6.7nm、好ましくは約6.3nmでありうる。理論に縛られることを望むものではないが、ランタンは、ランタンがドープされたセリアの格子構造に組み込まれていると考えられる。
【0029】
ランタン含有成分は、任意の量で存在することができるが、好ましくは約0.5〜18mol%、より好ましくは約1〜16mol%、さらにより好ましくは約2〜14mol%のランタンの量で存在する(ランタンがドープされたセリア中のLaのmol%として表記)。例えば、ランタン含有成分は、約0.5、1、2、4、6、8、10、11、12、14、16又は18mol%の量で存在しうる。
【0030】
ランタンがドープされたセリアは、好ましくは約5〜30wt%、より好ましくは約7〜20wt%のランタンを含む(ランタンがドープされたセリア中のLaのwt%として表記)。例えば、ランタンがドープされたセリアは、約7、10、13、16、19、22又は26mol%で存在しうる。一又は複数の追加の層が第1の層に加えて存在する場合、wt%とは、第1の層のみに存在するランタンの量を指す。
【0031】
ランタンがドープされたセリアは、好ましくは約1.0〜15wt%、より好ましくは約2.0〜11wt%のランタンを含む(NO吸着体触媒のwt%として表記)。一又は複数の追加の層が第1の層に加えて存在する場合、wt%とは、第1の層のみに存在するランタンの量を指す。
【0032】
ランタンがドープされたセリアは、好ましくは約1.0〜15mol%、より好ましくは2.0〜12%のランタンを含む(NO吸着体触媒のmol%として表記)。一又は複数の追加の層が第1の層に加えて存在する場合、wt%とは、第1の層のみに存在するランタンの量を指す。
【0033】
担体材料は、アルミナ、又はマグネシア/アルミナ混合酸化物である。好ましい担体材料は、好ましくは、10から1500m/gの範囲の表面積、0.1から4mL/gの範囲の細孔容積、及び約10から1000オングストロームの細孔径を有する。80m/g超の表面積を有する高表面積担体、例えば高表面積アルミナが、特に好ましい。他の好ましい担体材料は、マグネシア/アルミナ複合酸化物を含み、任意選択的にはさらにセリウム含有成分、例えばセリアを含む。そのような場合、セリアは、例えばコーティングとして、マグネシア/アルミナ複合酸化物の表面上に存在しうる。
【0034】
本発明のいくつかの実施態様では、NO貯蔵材料はバリウムをさらに含む。しかしながら、本発明のNO貯蔵触媒の第1の層には、NO貯蔵材料としてバリウムを含有させる必要はなく、すなわち、バリウムは第1の層の任意の成分であることに留意すべきである。言い換えれば、本発明の触媒のいくつかは、実質的にバリウムを含まない。
【0035】
したがって、本発明のいくつかの触媒は、ランタンがドープされたセリアを含むバリウム非含有NO捕捉触媒である。そのような触媒において、ランタンがドープされたセリアは、NO貯蔵材料として機能しうる。
【0036】
実質的にバリウムを含まないか、又はNO貯蔵材料としてバリウムを含まない本発明の触媒(例えばバリウム非含有NO捕捉触媒)は、それらが180、200、250又は300℃を超える温度、好ましくは約300℃で、同等のバリウム含有触媒よりもNOを貯蔵しないため、特に有利である。言い換えれば、実質的にバリウムを含まないか、又はNO貯蔵材料としてバリウムを含まない本発明の触媒は、バリウム含有触媒と比較して、180、200、250又は300℃を超える温度、好ましくは約300℃で改善したNO放出特性を有する。そのような触媒は、同等のバリウム含有触媒と比べて、改善した耐硫黄性も有しうる。この文脈において、「改善した耐硫黄性」とは、バリウムを実質的に含まない本発明の触媒が、同等のバリウム含有触媒と比較して、硫酸化により耐性があるか、低温で熱的に脱硫酸化しうるかのいずれか、又は両方であることを意味する。
【0037】
一又は複数の白金族金属(PGM)は、白金とパラジウムの混合物又は合金からなる。NO吸着体触媒は、好ましくは0.1から10重量パーセントのPGM、より好ましくは0.5から5重量パーセントのPGM、最も好ましくは1から3重量パーセントのPGMを含む。
【0038】
本発明の好ましいNOx吸着体触媒では、第1の層は実質的にロジウムを含まない。
【0039】
本発明の好ましいNOx吸着体触媒では、第1の層は、アルカリ金属、例えばカリウム(K)及びナトリウム(Na)を実質的に含まない。
【0040】
本発明の好ましいNOx吸着体触媒では、第1の層は実質的にモレキュラーシーブを含まない。用語「モレキュラーシーブ」とは、ゼオライト及びゼオライト様構造、例えば合成アルミノホスフェートモレキュラーシーブを包含する。
【0041】
本発明の好ましいNOx吸着体触媒では、第1の層は、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ホルミウム(Ho)、ルテニウム(Lu)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、スカンジウム(Sc)、テルビウム(Tb)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)及びイットリウム(Y)を実質的に含まない。
【0042】
本発明のNO吸着体触媒は、当業者に知られるさらなる成分を含みうる。例えば、本発明の触媒は、少なくとも一の結合剤及び/又は少なくとも一の界面活性剤をさらに含みうる。結合剤が存在する場合、分散性アルミナ結合剤が好ましい。
【0043】
本発明のNO吸着体触媒は、いかなる好適な方法によって調製されてもよい。好ましくは、一又は複数の白金族金属、及び/又はNO貯蔵材料は、任意の既知の方法によって担体上にロードされて、NO吸着体触媒が形成される。添加の方法は、特に重大であるとは考えられない。例えば、白金族金属化合物(硝酸白金等)、ランタン化合物(硝酸ランタン等)、及びセリウム化合物(硝酸セリウム等)は、含浸法、吸着法、イオン交換法、初期湿潤法、沈殿法等によって、又は当該技術分野で一般的に知られる任意の他の方法によって担体(アルミナ等)に担持されてもよい。
【0044】
白金族金属(PGM)及び/又はNO貯蔵成分の担体への添加の順序は重大であると考えられない。例えば、白金族金属及びNO貯蔵材料は、担体に同時に添加されてもよいし、任意の順序で逐次的に添加されてもよい。
【0045】
本発明のさらなる態様は、金属又はセラミック基材上に担持された上記のNO吸着体触媒を含むNO吸着体触媒である。基材は、フロースルー基材又はフィルター基材であってもよいが、好ましくは、フロースルーモノリス基材である。
【0046】
フロースルーモノリス基材は、各面の間の縦方向を規定する第1の面及び第2の面を有する。フロースルーモノリス基材は、第1の面と第2の面との間に延びる複数のチャネルを有する。複数のチャネルは縦方向に延び、複数の内部表面(例えば各チャネルを規定する壁の表面)を提供する。複数のチャネルのそれぞれは、第1の面及び第2の面で開口部を有する。疑義を避けるために、フロースルーモノリス基材は、ウォールフローフィルターではない。
【0047】
第1の面は、典型的には基材の入口端にあり、第2の面は基材の出口端にある。
【0048】
チャネルは、一定の幅であってもよく、各複数のチャネルは、均一なチャネル幅を有してもよい。
【0049】
好ましくは、縦方向に直交する平面内で、モノリス基材は1平方インチ当たり100から500チャネル、好ましくは200から400チャネルを有する。例えば、第1の面上で、開口第1チャネル及び閉鎖第2チャネルの密度は、1平方インチ当たり200から400チャネルである。チャネルは、長方形、正方形、円形、楕円形、三角形、六角形、又はその他多角形の断面を有しうる。
【0050】
モノリス基材はまた、触媒材料を保持するための担体としても作用する。モノリス基材を形成するのに適した材料は、セラミック様材料、例えば、コーディエライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア、ムライト、スポジュメン、アルミナ−シリカ−マグネシア若しくはケイ酸ジルコニウム、又は多孔質の耐火性金属を含む。多孔質モノリス基材の製造におけるそのような材料及びそれらの使用は当該技術分野でよく知られている。
【0051】
本明細書に記載されるフロースルーモノリス基材は単一成分(すなわち単一のれんが)であることに留意すべきである。それにもかかわらず、排出処理システムを形成するとき、使用されるモノリスは、複数のチャネルを一緒に接着することによって、又は本明細書に記載されるような複数の小さなモノリスを一緒に接着することによって形成されうる。そのような技術は、当該技術分野においてよく知られており、排出処理システムの適切なケーシング及び構成も同様である。
【0052】
本発明の別の実施態様では、上記のNO吸着体触媒を含むNO吸着体触媒は押し出されて、フロースルー又はフィルター基材が形成される。
【0053】
NO吸着体触媒がセラミック基材を含む実施態様では、セラミック基材は、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、マグネシア、ゼオライト、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム類、ケイ酸マグネシウム類、アルミノシリケート及びメタロアルミノシリケート(コーディエライト及びスポジュメン等)、又はこれらのいずれか二つ以上の混合物又は混合酸化物のいかなる好適な耐火性材料から作られてもよい。コーディエライト、マグネシウムアルミノシリケート及び炭化ケイ素が特に好ましい。
【0054】
NO吸着体触媒が金属基材を含む実施態様では、金属基材は、チタン及びステンレス鋼、並びに、鉄、ニッケル、クロム及び/又はアルミニウムをその他の微量金属に加えて含有するフェライト合金のような、任意の適切な金属、特に耐熱性の金属及び金属合金で作製されうる。
【0055】
好ましくは、上記のNO吸着体触媒は、上記のNO吸着体触媒を基材上にウォッシュコート法を用いて堆積させることによって調製される。ウォッシュコート法を用いるNO吸着体成分を調製するための代表的な方法は、以下に記載する。下記の方法は本発明の種々の実施態様に従って変更可能であることが理解されよう。
【0056】
ウォッシュコートは、適切な溶媒中、好ましくは水中で、NO吸着体触媒の細かく分割された粒子を最初にスラリー化することにより好適に実施されて、スラリーが形成される。スラリーは、5から70重量パーセントの固体を含むことが好ましく、より好ましくは10から50重量パーセントの固体を含む。好ましくは、スラリーを形成する前に、実質的に全ての固体粒子が平均直径で20ミクロン未満の粒径を有することを確実にするために、粒子は粉砕される(milled)か、又は別の粉砕(comminution)プロセスに供される。安定剤又は促進剤のような追加的な成分も、水溶性又は水分散性の化合物又は錯体の混合物として、スラリー内に取り込まれうる。
【0057】
その後、基材は、NO吸着体触媒の望ましいローディングが基材上に堆積されるように、スラリーで一回又は複数回、コーティングされてもよい。
【0058】
好ましくは、NO吸着体触媒は、基材及び基材上の少なくとも一の層を含む。一実施態様では、少なくとも一の層は、上記のNO吸着体触媒を含む。これは、上記のウォッシュコート法によって生成することができる。一又は複数の追加の層が、NO吸着体触媒の一層に添加されてもよい。
【0059】
一又は複数の追加の層が存在する(すなわち、NO吸着体触媒を含む第1の層に加えて)実施態様では、一又は複数の追加の層は、NO吸着体触媒を含む第1の層とは異なる組成を有する。
【0060】
一又は複数の追加の層は、一のゾーン又は複数のゾーン、例えば二以上のゾーンを含んでもよい。一又は複数の追加の層が複数のゾーンを含む場合、ゾーンは好ましくは、縦方向のゾーンである。複数のゾーン又は個々のゾーンは、勾配として存在してもよい。すなわち、ゾーンは、勾配を形成するためにその全長に沿って均一な厚さでなくてもよい。あるいは、ゾーンはその全長に沿って均一な厚さであってもよい。
【0061】
いくつかの好ましい実施態様では、一つの追加の層、すなわち第2の層が存在する。
【0062】
典型的には、第2の層は、白金族金属(PGM)(以下「第2の白金族金属」と称する)を含む。第2の層は、唯一の白金族金属として第2の白金族金属(PGM)を含む(すなわち、明記したものを除いて、触媒材料中にPGM成分以外は存在しない)ことが一般的に好ましい。
【0063】
第2のPGMは、白金、パラジウム、及び白金とパラジウムの組み合わせ又は混合物からなる群より選択されうる。好ましくは、白金族金属は、パラジウム(Pd)及び白金(Pt)とパラジウム(Pd)との組み合わせ又は混合物からなる群より選択される。より好ましくは、白金族金属は、白金(Pt)とパラジウム(Pd)との組み合わせ又は混合物からなる群より選択される。
【0064】
第2の層は、一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)の酸化のためにある(すなわち、そのために配合される)。
【0065】
好ましくは、第2の層は、パラジウム(Pd)と任意選択的に白金(Pt)を、1:0(例えばPdのみ)から1:4の重量比で含む(これは、4:1から0:1のPt:Pdの重量比と同等である)。より好ましくは、第2の層は、白金(Pt)とパラジウムを(Pd)<4:1、例えば≦3.5:1の重量比で含む。
【0066】
白金族金属が、白金とパラジウムの組み合わせ又は混合物であるとき、第2の層は、白金(Pt)とパラジウム(Pd)を、5:1から3.5:1、好ましくは2.5:1から1:2.5、より好ましくは1:1から2:1の重量比で含む。
【0067】
第2の層は、典型的には担体材料(本書では以下「第2の担体材料」と称する)をさらに含む。第2のPGMは、一般的に第2の担体材料上に配置又は担持される。
【0068】
第2の担体材料は、好ましくは耐火性酸化物である。耐火性酸化物は、アルミナ、シリカ、セリア、シリカ−アルミナ、セリア−アルミナ、セリア−ジルコニア及びアルミナ−酸化マグネシウムからなる群から選択されることが好ましい。より好ましくは、耐火性酸化物は、アルミナ、セリア、シリカ−アルミナ、及びセリア−ジルコニアからなる群から選択される。さらにより好ましくは、耐火性酸化物は、アルミナ又はシリカ−アルミナであり、特にシリカ−アルミナである。
【0069】
特に好ましい第2の層は、シリカ−アルミナ担体、白金、パラジウム、バリウム、モレキュラーシーブ及びアルミナ担体上白金族金属(PGM)、例えば希土類安定化アルミナを含む。特に好ましくは、この好ましい第2の層は、シリカ−アルミナ担体、白金、パラジウム、バリウム、モレキュラーシーブを含む第1のゾーンと、アルミナ担体上白金族金属(PGM)、例えば希土類安定化アルミナを含む第2のゾーンとを含む。この好ましい第2の層は、酸化触媒、例えばディーゼル酸化触媒(DOC)としての活性を有しうる。
【0070】
さらに好ましい第2の層は、アルミナ上の白金族金属を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。この好ましい第2の層は、酸化触媒、例えばNO作成触媒としての活性を有しうる。
【0071】
さらに好ましい第2の層は、白金族金属、ロジウム及びセリウム含有成分を含む。
【0072】
他の好ましい実施態様では、NO吸着体触媒を含む第1の層に加えて、上記の好ましい第2の層のうちの複数が存在する。そのような実施態様では、一又は複数の追加の層が、区分された構成を含む任意の構成で存在しうる。
【0073】
NO吸着体触媒を含む第1の層は、第2の層又は基材(例えばスルーフローモノリス基材の複数の内部表面)上に配置又は担持されてもよく、好ましくは、第2の層は、NO吸着体触媒を含む第1の層上に配置又は担持される。
【0074】
第2の層は、基材(例えばスルーフローモノリス基材の複数の内部表面)に配置又は担持されてもよい。
【0075】
第2の層は、基材の全長又はNO吸着体触媒を含む第1の層上に配置又は担持されてもよい。あるいは、第2の層は、基材又はNO吸着体触媒を含む第1の層の一部、例えば5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%上に配置又は担持されてもよい。
【0076】
好ましくは、基材の全長はNO吸着体触媒を含む第1の層でコーティングされている。
【0077】
本発明のさらなる態様は、上記のNO吸着体触媒を作製する方法であって、一又は複数の貴金属又は貴金属塩を担体材料に添加して、PGM−担体混合物を作製すること、及びNO貯蔵材料をPGM−担体混合物に添加することを含む、方法である。好ましい方法は、ランタン含有NO貯蔵材料、すなわちランタンがドープされたセリアを形成する工程をさらに含む。いくつかの好ましい方法では、ランタンがドープされたセリア(すなわちNO貯蔵材料)は、初期湿潤含浸によって形成される。
【0078】
ランタンがドープされたセリアは、噴霧乾燥によって形成されうる。本発明のさらなる態様は、ランタン含有塩の溶液とセリア粒子を混合すること、粒子を噴霧乾燥させること、及び噴霧乾燥した粒子を加熱することを含む、NOx貯蔵材料を作製する方法である。
【0079】
本発明の好ましい方法では、ネオジム含有塩とセリア粒子の混合は、溶媒、例えば水中で行われる。
【0080】
いくつかの好ましい方法では、粒子の噴霧乾燥は、250から350℃の間、好ましくは280から320℃の間、特に好ましくは約300℃の入口温度で行われる。
【0081】
いくつかの好ましい方法では、粒子の噴霧乾燥は、80から150℃の間、好ましくは100から130℃の間、特に好ましくは約110℃の出口温度で行われる。
【0082】
いくつかの好ましい方法では、噴霧乾燥した粒子は、250から600℃の間、好ましくは400から550℃の間、特に好ましくは約500℃の温度で加熱される。
【0083】
いくつかのこのましい方法は、加熱した噴霧乾燥粉末を、600から800℃の間、好ましくは620から680℃の間、特に好ましくは約650℃の温度で乾燥させる追加の工程を含む。
【0084】
本発明のさらに好ましい方法は、少なくとも一の結合剤を添加すること及び/又は少なくとも一の界面活性剤を添加することのような、一又は複数の追加の工程をさらに含む。
【0085】
本発明のさらなる態様は、担体材料;担体材料上に配置された一又は複数の白金族金属;及びNOx貯蔵材料を含む第1の層を含む、リーンバーンエンジンからの排出を処理するためのNOx吸着体触媒であって、担体材料がアルミナ又はアルミナを含む混合酸化物を含み;一又は複数の白金族金属が白金とパラジウムの混合物又は合金からなり;且つNOx貯蔵材料が上記の方法により得ることができる、NOx吸着体触媒である。言い換えれば、NOx貯蔵材料は、ランタン含有塩とセリア粒子を混合すること、粒子を噴霧乾燥させること、及び噴霧乾燥した粒子を加熱することにより得ることができる。
【0086】
本発明のさらなる態様は、リーンバーンエンジン及び上記のNO吸着体触媒を含む燃焼排気ガスの流れを処理するための排出処理システムである。好ましいシステムでは、リーンバーンエンジンは、ディーゼルエンジン、好ましくは軽量ディーゼルエンジンである。NO吸着体触媒は、エンジンに近い位置又は排気パイプ出口に近い位置に置かれうる。
【0087】
排出処理システムは、典型的には、排出制御装置をさらに含む。
【0088】
排出制御装置は、好ましくはNO吸着体触媒の下流にある。
【0089】
排出制御装置の例としては、ディーゼル微粒子フィルター(DPF)、リーンNOトラップ(LNT)、リーンNO触媒(LNC)、選択的触媒還元(SCR)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、触媒化スートフィルター(CSF)、選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒、アンモニアスリップ触媒(ASC)及びこれらの二つ以上の組み合わせが挙げられる。このような排出制御装置は、当該技術分野でよく知られている。
【0090】
前述の排出制御装置のいくつかは、フィルターリング基材を有する。フィルターリング基材を有する排出制御装置は、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)、触媒化スートフィルター(CSF)、及び選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒からなる群より選択されうる。
【0091】
排出処理システムは、リーンNOトラップ(LNT)、アンモニアスリップ触媒(ASC)、ディーゼル微粒子フィルター(DPF)、選択的触媒還元(SCR)触媒、触媒化スートフィルター(CSF)、選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群より選択されるエミッションコントロールデバイスを備えることが好ましい。さらに好ましくは、排出制御装置は、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)、選択的触媒還元(SCR)触媒、触媒化スートフィルター(CSF)、選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群より選択される。さらにより好ましくは、排出制御装置は、選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒である。
【0092】
本発明の排出処理システムがSCR触媒又はSCRFTM触媒を備える場合、排出処理システムは、窒素系還元剤、例えばアンモニア又は尿素若しくはギ酸アンモニウムなどのアンモニア前駆体、好ましくは尿素を、NO吸着体触媒の下流及びSCR触媒又はSCRFTM触媒の上流で排気ガスに噴射するためのインジェクターをさらに備えていてもよい。
【0093】
このようなインジェクターは、窒素系還元剤前駆体の供給源(例えばタンク)に流体連結することができる。排気ガス中への前駆体のバルブ制御された投与量は、適切にプログラミングされたエンジン管理手段及び排気ガスの組成をモニタリングするセンサーによって供給される閉ループ又は開ループフィードバックによって調整されうる。
【0094】
アンモニアはまた、カルバミン酸アンモニウム(固体)を加熱することによって生成することができ、生成されたアンモニアは排気ガス中に噴射することができる。
【0095】
インジェクターの代わりに、又はインジェクターに加えて、アンモニアをin situで(例えばSCR触媒又はSCRFTM触媒の上流に配置されているLNTのリッチ再生の間に)、例えば本発明のNO吸着体触媒を含むNO吸着体触媒を生成することができる。よって、排出処理システムは、排気ガスに炭化水素を混入するためのエンジンマネジメント手段をさらに備えていてもよい。
【0096】
SCR触媒又はSCRFTM触媒は、Cu、Hf、La、Au、In、V、ランタニド、及びVIII族遷移金属(例えばFe)のうち少なくとも1つからなる群より選択される金属を含んでいてもよく、この金属は耐火性酸化物又はモレキュラーシーブに担持される。金属は、好ましくはCe、Fe、Cu及びこれらのいずれか2種以上の組み合わせから選択され、さらに好ましくは、金属はFe又はCuである。
【0097】
SCR触媒又はSCRFTM触媒用の耐火性酸化物は、Al、TiO、CeO、SiO、ZrO、及びそれらの2つ以上を含有する混合酸化物からなる群より選択されうる。非ゼオライト触媒はまた、酸化タングステン(例えばV/WO/TiO、WO/CeZrO、WO/ZrO又はFe/WO/ZrO)も含むことができる。
【0098】
SCR触媒、SCRFTM触媒又はそれらのウォッシュコートが、アルミノシリケートゼオライト又はSAPOなどの少なくとも1つのモレキュラーシーブを含む場合が特に好ましい。少なくとも1種類のモレキュラーシーブは、小細孔、中細孔又は大細孔モレキュラーシーブでありうる。本明細書において「小細孔モレキュラーシーブ」とは、CHAなど、最大環サイズ8を有するモレキュラーシーブを意味し;本明細書において「中細孔モレキュラーシーブ」とは、ZSM−5など、最大環サイズ10を有するモレキュラーシーブを意味し;本明細書において「大細孔モレキュラーシーブ」とは、ベータなど、最大環サイズ12を有するモレキュラーシーブを意味する。小細孔モレキュラーシーブはSCR触媒における使用にとって潜在的に有利である。
【0099】
本発明の排出処理システムにおいて、SCR触媒又はSCRFTM触媒にとって好ましいモレキュラーシーブは、AEI、ZSM−5、ZSM−20、ZSM−34を含むERI、モルデナイト、フェリエライト、ベータを含むBEA、Y、CHA、Nu−3を含むLEV、MCM−22、及びEU−1(好ましくはAEI又はCHA)からなる群より選択された合成アルミノシリケートゼオライトモレキュラーシーブであり、シリカ対アルミナの比は、約10対約50、例えば約15対約40である。
【0100】
第1の排出処理システムの実施態様において、排出処理システムは、本発明のNO吸着体触媒及び触媒化スートフィルター(CSF)を備える。典型的には、NO吸着体触媒の後に触媒化スートフィルター(CSF)が続く(例えば、NO吸着体触媒はCSFの上流にある)。よって、例えば、NO吸着体触媒の出口は触媒化スートフィルターの入口に接続される。
【0101】
第2の排出処理システムの実施態様は、本発明のNO吸着体触媒、触媒化スートフィルター(CSF)、及び選択的触媒還元(SCR)触媒を備える排出処理システムに関する。
【0102】
典型的には、NO吸着体触媒の後に触媒化スートフィルター(CSF)が続く(例えば、NO吸着体触媒はCSFの上流にある)。典型的には、触媒化スートフィルターの後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、CSFはSCR触媒の上流にある)。窒素系還元剤インジェクターは、触媒化スートフィルター(CSF)と選択的触媒還元(SCR)触媒の間に配置してもよい。よって、触媒化スートフィルター(CSF)の後に窒素系還元剤のインジェクターが続いてもよく(例えば、CSFはインジェクターの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクターの後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、インジェクターはSCR触媒の上流にある)。
【0103】
第3の排出処理システムの実施態様において、排出処理システムは、本発明のNO吸着体触媒、選択的触媒還元(SCR)触媒、及び触媒化スートフィルター(CSF)又はディーゼル微粒子フィルター(DPF)のいずれかを備える。
【0104】
第3の排出処理システムの実施態様では、典型的には本発明のNO吸着体触媒の後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、NO吸着体触媒はSCRの上流にある)。窒素還元剤インジェクターは、酸化触媒と選択的触媒還元(SCR)触媒との間に配置されてもよい。よって、触媒化モノリス基材の後に窒素系還元剤インジェクターが続いてもよく(例えば、触媒化モノリス基材はインジェクターの上流にある)、窒素系還元剤インジェクターの後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、インジェクターはSCR触媒の上流にある)。選択的触媒還元(SCR)触媒の後に、触媒化スートフィルター(CSF)又はディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)が続く(例えば、SCRはCSF又はDPFの上流にある)。
【0105】
第4の排出処理システムの実施態様は、本発明のNO吸着体触媒と、選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒とを含む。本発明のNO吸着体触媒の後に、典型的に選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒が続く(例えば、NO吸着体触媒はSCRFTM触媒の上流にある)。
【0106】
窒素系還元剤インジェクターは、NO吸着体触媒と選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒との間に配置してもよい。よって、NO吸着体触媒の後に窒素系還元剤インジェクターが続いてもよく(例えば、NO吸着体触媒はインジェクターの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクターの後に選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒が続いてもよい(例えば、インジェクターはSCRF触媒の上流にある)。
【0107】
排出処理システムが、上述の第2から第4の排気システムの実施態様にあるような、選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒を含むとき、ASCは、SCR触媒又はSCRFTM触媒の下流に(すなわち別個のモノリス基材として)配置することができるか、又は、さらに好ましくは、SCR触媒を含むモノリス基材の下流のゾーン又は終端はASCの担体として使用することができる。
【0108】
本発明の別の態様は車両に関する。車両は、内燃機関、好ましくはディーゼルエンジンを含む。内燃機関、好ましくはディーゼルエンジンは、本発明の排出処理システムに結合されている。
【0109】
ディーゼルエンジンは、≦50ppmの硫黄、より好ましくは、≦15ppmの硫黄、例えば≦10ppmの硫黄、さらにより好ましくは≦5ppmの硫黄を含む燃料、好ましくはディーゼル燃料で動作するよう構成又は適合されている。
【0110】
車両は、米国又は欧州の法律で規定されるような軽量ディーゼル車両(LDV)でありうる。軽量ディーゼル車は、典型的には<2840kgの重量を有し、より好ましくは<2610kgの重量を有する。米国では、軽量ディーゼル車(LDV)とは、≦8500ポンド(米国ポンド)の総重量を有するディーゼル車を指す。欧州では、軽量ディーゼル車(LDV)という用語は、(i)運転席の他に8席以下の座席を備え、5トン以下の最大質量を有する乗用車、及び(ii)12トン以下の最大質量を有する貨物輸送車を指す。
【0111】
あるいは、車両は、米国の法律で規定されている、>8500ポンド(米国ポンド)の総重量を有するディーゼル車のような大型ディーゼル車(HDV)であってもよい。
【0112】
本発明のさらなる態様は、排気ガスを上記のNOx吸着体触媒と接触させることを含む、内燃機関からの排気ガスを処理する方法である。好ましい方法では、排気ガスはリッチガス混合物である。さらに好ましい方法では、排気ガスは、リッチガス混合物とリーンガス混合物の間を循環する。
【0113】
内燃機関からの排気ガスを処理するいくつかの好ましい方法では、排気ガスは、約180から300℃の温度である。
【0114】
内燃機関からの排気ガスを処理するさらに好ましい方法では、排気ガスは、上記のNO吸着体触媒に加えて、一又は複数の排出制御装置と接触している。排出制御装置は、好ましくはNO吸着体触媒の下流にある。
【0115】
さらなる排出制御装置の例としては、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)、リーンNOトラップ(LNT)、リーンNO触媒(LNC)、選択的触媒還元(SCR)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、触媒化スートフィルター(CSF)、選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒、アンモニアスリップ触媒(ASC)及びこれらの二つ以上の組み合わせが挙げられる。このような排出制御装置は、当該技術分野でよく知られている。
【0116】
前述の排出制御装置のいくつかは、フィルターリング基材を有する。フィルターリング基材を有する排出制御装置は、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)、触媒化スートフィルター(CSF)、及び選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒からなる群より選択されうる。
【0117】
該方法は、排気ガスを、リーンNOトラップ(LNT)、アンモニアスリップ触媒(ASC)、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)、選択的触媒還元(SCR)触媒、触媒化スートフィルター(CSF)、選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群より選択される制御装置と接触させることを含むことが好ましい。さらに好ましくは、排出制御装置は、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)、選択的触媒還元(SCR)触媒、触媒化スートフィルター(CSF)、選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群より選択される。さらにより好ましくは、排出制御装置は、選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒である。
【0118】
本発明の方法が、排気ガスをSCR触媒又はSCRFTM触媒と接触させることを含む場合、該方法は、窒素系還元剤、例えばアンモニア又は尿素若しくはギ酸アンモニウムなどのアンモニア前駆体、好ましくは尿素を、NO吸着体触媒の下流及びSCR触媒又はSCRFTM触媒の上流で排気ガスに噴射することをさらに含んでもよい。
【0119】
そのような噴射はインジェクターによって行われうる。インジェクターは、窒素系還元剤前駆体の供給源(例えばタンク)に流体連結することができる。前駆体の排気ガスへのバルブ制御された投入は、適切にプログラミングされたエンジン管理手段及び排気ガスの組成を監視するセンサーによって供給される閉ループ又は開ループフィードバックによって調節することができる。
【0120】
アンモニアはまた、カルバミン酸アンモニウム(固体)を加熱することによって生成することができ、生成されたアンモニアは排気ガス中に噴射することができる。
【0121】
インジェクターの代わりに、又はインジェクターに加えて、アンモニアをin situで(例えば、SCR触媒又はSCRFTM触媒の上流に配置されているLNTのリッチ再生の間に)生成することができる。よって、該方法は、排気ガスに炭化水素を混入することをさらに含んでもよい。
【0122】
SCR触媒又はSCRFTM触媒は、Cu、Hf、La、Au、In、V、ランタニド、及びVIII族遷移金属(例えばFe)のうち少なくとも1つからなる群より選択される金属を含んでいてもよく、この金属は耐火性酸化物又はモレキュラーシーブに担持される。金属は、好ましくはCe、Fe、Cu及びこれらのいずれか2種以上の組み合わせから選択され、さらに好ましくは、金属はFe又はCuである。
【0123】
SCR触媒又はSCRFTM触媒用の耐火性酸化物は、Al、TiO、CeO、SiO、ZrO、及びそれらの2つ以上を含有する混合酸化物からなる群より選択されうる。非ゼオライト触媒はまた、酸化タングステン(例えばV/WO/TiO、WO/CeZrO、WO/ZrO又はFe/WO/ZrO)も含むことができる。
【0124】
SCR触媒、SCRFTM触媒又はそれらのウォッシュコートが、アルミノシリケートゼオライト又はSAPOなどの少なくとも1つのモレキュラーシーブを含む場合が特に好ましい。少なくとも1種類のモレキュラーシーブは、小細孔、中細孔又は大細孔モレキュラーシーブでありうる。本明細書において「小細孔モレキュラーシーブ」とは、CHAなど、最大環サイズ8を有するモレキュラーシーブを意味し;本明細書において「中細孔モレキュラーシーブ」とは、ZSM−5など、最大環サイズ10を有するモレキュラーシーブを意味し;本明細書において「大細孔モレキュラーシーブ」とは、ベータなど、最大環サイズ12を有するモレキュラーシーブを意味する。小細孔モレキュラーシーブはSCR触媒における使用にとって潜在的に有利である。
【0125】
本発明の排気ガスを処理する方法において、SCR触媒又はSCRFTM触媒にとって好ましいモレキュラーシーブは、AEI、ZSM−5、ZSM−20、ZSM−34を含むERI、モルデナイト、フェリエライト、ベータを含むBEA、Y、CHA、Nu−3を含むLEV、MCM−22、及びEU−1(好ましくはAEI又はCHA)からなる群より選択される合成アルミノシリケートゼオライトモレキュラーシーブであり、シリカ対アルミナの比は、約10対約50、例えば約15対約40である。
【0126】
第1の実施態様では、該方法は、排気ガスを本発明のNO吸着体触媒及び触媒化スートフィルター(CSF)に接触させることを含む。典型的には、NO吸着体触媒の後に触媒化スートフィルター(CSF)が続く(例えば、NO吸着体触媒はCSFの上流にある)。よって、例えば、NO吸着体触媒の出口は触媒化スートフィルターの入口に接続される。
【0127】
排気ガスを処理する方法の第2の実施態様は、排気ガスを本発明のNO吸着体触媒、触媒化スートフィルター(CSF)及び選択的触媒還元(SCR)触媒と接触させることを含む方法に関する。
【0128】
典型的には、NO吸着体触媒の後に触媒化スートフィルター(CSF)が続く(例えば、NO吸着体触媒はCSFの上流にある)。典型的には、触媒化スートフィルターの後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、CSFはSCR触媒の上流にある)。窒素系還元剤インジェクターは、触媒化スートフィルター(CSF)と選択的触媒還元(SCR)触媒の間に配置してもよい。よって、触媒化スートフィルター(CSF)の後に窒素系還元剤のインジェクターが続いてもよく(例えば、CSFはインジェクターの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクターの後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、インジェクターはSCR触媒の上流にある)。
【0129】
排気ガスを処理する方法の第3の実施態様では、排気ガスを本発明のNO吸着体触媒、選択的触媒還元(SCR)触媒、及び触媒化スートフィルター(CSF)又はディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)のいずれかと接触させることを含む。
【0130】
排気ガスを処理する方法の第3の実施態様では、典型的には本発明のNO吸着体触媒の後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、NO吸着体触媒はSCRの上流にある)。窒素還元剤インジェクターは、酸化触媒と選択的触媒還元(SCR)触媒との間に配置されてもよい。よって、NOx吸着体触媒の後に窒素系還元剤のインジェクターが続いてもよく(例えば、NOx吸着体触媒はインジェクターの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクターの後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、インジェクターはSCR触媒の上流にある)。選択的触媒還元(SCR)触媒の後に、触媒化スートフィルター(CSF)又はディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)が続く(例えば、SCRはCSF又はDPFの上流にある)。
【0131】
排気ガスを処理する方法の第4の実施態様は、本発明のNO吸着体触媒及び選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒を含む。本発明のNO吸着体触媒の後に、典型的に選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒が続く(例えば、NO吸着体触媒はSCRFTM触媒の上流にある)。
【0132】
窒素系還元剤インジェクターは、NO吸着体触媒と選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒との間に配置してもよい。よって、NO吸着体触媒の後に窒素系還元剤インジェクターが続いてもよく(例えば、NO吸着体触媒はインジェクターの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクターの後に選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒が続いてもよい(例えば、インジェクターはSCRF触媒の上流にある)。
【0133】
排出処理システムが、上述の第2から第4の方法の実施態様にあるような、選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒を含むとき、ASCは、SCR触媒又はSCRFTM触媒の下流に(すなわち別個のモノリス基材として)配置することができるか、又は、さらに好ましくは、SCR触媒を含むモノリス基材の下流のゾーン又は終端はASCの担体として使用することができる。
【0134】
本発明のさらなる態様は、ランタン含有材料を含有しない同等のNO吸着体材料と比較して、NO吸着体材料の低温NO貯蔵容量を改善するために、ランタン含有材料を使用することである。
【0135】
本発明のまたさらなる態様は、ランタン含有材料を含有しない同等のNOx吸着体材料と比較して、所与の温度でのNO吸着体材料のNO貯蔵容量を減少させるために、ランタン含有材料を使用することである。好ましくは、所与の温度は約200℃、より好ましくは約250℃、さらにより好ましくは約280℃、特に好ましくは約300℃である。
【0136】
本発明のまたさらなる態様は、ランタン含有材料を含有しない同等のNO吸着体材料と比較して、NOx吸着体材料の耐硫黄性を改善するために、ランタン含有材料を使用することである。
【0137】
次に、以下の非限定的な実施例によって本発明を例証する。
【実施例】
【0138】
方法
Bruker AXS D8回折計及びLynxeye PSD検出器を使用して、X線回折データを決定した。10から130°2θの走査範囲、0.02°のステップサイズで、θ/θ結合走査モード中、40kVのチューブ電圧及び40mAの電流、周囲温度で、Cu Kα放射を使用した。
【0139】
材料
別途注記しない限り、全ての材料は市販されており、既知の供給業者から得た。
【0140】
一般的な調製(1)−[Ce.La]
CeO粉末を水中硝酸ランタン(III)の溶液を使用して含浸させる。その後、含浸された粉末を110℃で一晩乾燥させ、後に、650℃で1時間焼成する。
【0141】
一般的な調製(2)−[Al.La]
Al(べーマイト)粉末を水中硝酸ランタン(III)の溶液を使用して含浸させる。その後、含浸された粉末を110℃で一晩乾燥させ、後に、650℃で1時間焼成する。
【0142】
一般的な調製(3)−[Ce.Nd]
CeO粉末を水中硝酸ネオジム(III)の溶液を使用して含浸させる。その後、含浸された粉末を110℃で一晩乾燥させ、後に、650℃で1時間焼成する。
【0143】
一般的な調製(4)−噴霧乾燥[Ce.La]
903gのLa(NOを3583gの脱塩水に溶解した。1850gの高表面積CeOを粉末形態で添加し、混合物を60分間撹拌した。生じたスラリーを向流モードのSpray Dryer(二流体、注入ノズル、入口温度を300℃、出口温度を110℃に設定)で乾燥させた。生じた粉末をサイクロンから回収した。
【0144】
粉末を固定オーブン内650℃で1時間焼成した。
【0145】
実施例1
Al PGM Ceの調製
1.5g/inのAlを蒸留水でスラリーにし、その後、13〜15μmのd90に破砕する。このスラリーに、その後、94g/ftのマロン酸Pt及び19g/ftの硝酸Pd溶液を添加し、均一になるまで撹拌する。Pt/PdをAl担体に1時間吸着させる。
【0146】
その後、これに3g/inの高表面積セリア及び0.2g/inのアルミナ結合体を添加し、均一になるまで撹拌してウォッシュコートを形成する。
【0147】
その後、標準的な手順を使用してウォッシュコートをセラミック又は金属モノリスにコーティングし、100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成する。
【0148】
Ceは約51.9wt%(51.1mol%)のローディングで存在する。
【0149】
実施例2
[Al.La(13.0wt%)]PGM Ce(10.7mol% Al.La)の調製
実施例1と同様に調製する。ただし、[Al.La]を使用(上記の一般的な調製(2)に従って調製)。
【0150】
Ceは約49.1wt%(49.9mol%)のローディングで存在する。Laは約4.6%(4.8mol%)のローディングで存在する。
【0151】
実施例3
[Al.La(26.6wt%)]PGM Ce(24.9mol% Al.La)の調製
実施例1と同様に調製する。ただし、[Al.La]を使用(上記の一般的な調製(2)に従って調製)。
【0152】
Ceは約45.4wt%(48.1mol%)のローディングで存在する。Laは約10.8wt%(11.5mol%)のローディングで存在する。
【0153】
実験結果
合成ガスベンチ試験を使用して、触媒活性を決定した。表1の入口ガス混合物を使用して、模擬的な触媒活性試験(SCAT)ガス装置内で、コアを試験した。試験は、40,000h−1の空間速度(SV)、300秒リーン/16秒リッチの5サイクルで構成された。
【0154】
結果
SCAT試験の一つの代表的なサイクルの結果を以下の表2に示す。
【0155】
表2から、400g/ftのLaを含む実施例2は、ランタン含有成分を含まない実施例1と比較して、150〜250℃の範囲でNO変換の増加を示すことがわかる。1000g/ftのLaを含む実施例3は、実施例1と比べてNO変換の増加を同様に示すが、この温度範囲でのNO変換においては、この実施例と比較して高ローディングのLa(すなわち400g/ftのLaと比較して1000g/ftのLa)であるにもかかわらず、実施例2よりも有効ではないこともわかる。これは、高すぎるランタン含有成分のローディングは、NO吸着体触媒の性能に悪影響を及ぼしうることを示す。
【0156】
実施例4
「Ce ref」の調製
20% MgO/Alスピネル上1.54g/inの10% Ceを蒸留水でスラリーにし、その後、13〜15μmのd90に破砕する。このスラリーに、その後、94g/ftのマロン酸Pt及び19g/ftの硝酸Pd溶液を添加し、均一になるまで撹拌する。Pt/PdをCeO担体に1時間吸着させる。
【0157】
その後、これに3g/inの高表面積Ce及び0.2g/inのアルミナ結合体を添加し、均一になるまで撹拌してウォッシュコートを形成する。
【0158】
その後、標準的な手順を使用してウォッシュコートをセラミック又は金属モノリスにコーティングし、100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成する。
【0159】
Ceは約54.2wt%(49.0mol%)のローディングで存在する。
【0160】
実施例5
20% MgO/Alスピネル(10.1wt% Ce)PGM上10% Ceの調製
[Ce.La(7.0wt%)](9.1mol% Ce.La)
20% MgO/Alスピネル上1.54g/inの10% Ceを蒸留水でスラリーにし、その後、13〜15μmのd90に破砕する。このスラリーに、その後、94g/ftのマロン酸Pt及び19g/ftの硝酸Pd溶液を添加し、均一になるまで撹拌する。Pt/Pdを20% MgO/Alスピネル担体上10% Ceに1時間吸着させる。
【0161】
その後、これに3.27g/inの[Ce.La](上記の一般的な手順(1)に従って調製)、続いて0.2g/inのアルミナ結合剤を添加し、均一になるまで撹拌してウォッシュコートを形成する。
【0162】
その後、標準的な手順を使用してウォッシュコートをセラミック又は金属モノリスにコーティングし、100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成する。
【0163】
Ceは約51.8wt%(48.0mol%)のローディングで存在する。Laは約4.6wt%(4.3mol%)のローディングで存在する。
【0164】
実施例6
20% MgO/Alスピネル(10.1wt% Ce)PGM上10% Ceの調製
[CeO.La(10.3wt%)] 13.5mol% Ce.La
実施例5と同様に調製する。ただし、[CeO.La]を使用(上記の一般的な調製(1)に従って調製)。
Ceは約50.4wt%(47.5mol%)のローディングで存在する。Laは約6.8wt%(6.5mol%)のローディングで存在する。
【0165】
実施例7
20% MgO/Alスピネル(10.1wt% Ce)PGM上10% Ceの調製
[CeOLa(13.0wt%)] (17.3mol% CeO.La)
実施例5と同様に調製する。ただし、[CeO.La]を使用(上記の一般的な調製(1)に従って調製)。
【0166】
Ceは約49.1wt%(47.0mol%)のローディングで存在する。Laは約8.7wt%(8.4mol%)のローディングで存在する。
【0167】
実施例8
20% MgO/Alスピネル(10.1wt% Ce)PGM上10% Ceの調製
[CeO.La(15.8wt%)](21.4mol% CeO.La)
実施例5と同様に調製する。ただし、[CeO.La]を使用(上記の一般的な調製(1)に従って調製)。
Ceは約47.8wt%(46.5mol%)のローディングで存在する。Laは約10.7wt%(10.5mol%)のローディングで存在する。
【0168】
実験結果
実施例4〜8の触媒のそれぞれからコア試料を採取した。6%のCO、12%のO、6%のHO及び残余のNを含むガス混合物中、コアを徐々に600℃に加熱することによって、コアを事前調整した。
【0169】
合成ガスベンチ試験を使用して、触媒活性を決定した。表3の入口ガス混合物を使用して、模擬的な触媒活性試験(SCAT)ガス装置内で、コアを試験した。試験は、40,000 h−1の空間速度(SV)、300秒リーン/16秒リッチの5サイクルで構成された。
【0170】
結果
250℃でのSCAT試験の一つの代表的なサイクルの結果を以下の表4に示す。
【0171】
表4から、400から1000g/ftのLaを含む実施例5〜8のそれぞれは、Laを含有しない実施例4よりも、触媒出口で低いNO濃度をもたらすことがわかる。しかしながら、1000g/ftのLaを有する実施例8は、実施例5、6及び7のいずれよりもわずかに多くのNOスリップ(すなわち、より高い触媒出力NO濃度)を示しており、これは、高すぎるLaのローディングは、NO吸着体性能に関して収穫逓減をもたらしうることを示唆している。
【0172】
実施例9
20% MgO/Alスピネル(10.1wt% Ce)PGM上10% Ceの調製
[CeO.Nd(3.7wt%)] 4.5mol% Ce.Nd
実施例5と同様に調製する。ただし、[CeO.Nd]を使用(上記の一般的な調製(3)に従って調製)。
Ceは約53.2wt%(48.9mol%)のローディングで存在する。Ndは約2.4wt%(2.1mol%)のローディングで存在する。
【0173】
実施例10
20% MgO/Alスピネル(10.1wt% Ce)PGM上10% Ceの調製
[CeONd(7.0wt%)] (8.72mol% CeO.Nd)
実施例5と同様に調製する。ただし、[CeO.Nd]を使用(上記の一般的な調製(3)に従って調製)。
Ceは約51.8wt%(48.1mol%)のローディングで存在する。Ndは約4.6wt%(4.1mol%)のローディングで存在する。
【0174】
実施例11
20% MgO/Alスピネル(10.1wt% Ce)PGM上10% Ceの調製
[CeO.Nd(10.2wt%)](12.9mol% CeO.Nd)
実施例5と同様に調製する。ただし、[CeO.Nd]を使用(上記の一般的な調製(3)に従って調製)。
Ceは約50.4wt%(47.6mol%)のローディングで存在する。Ndは約6.7wt%(6.2mol%)のローディングで存在する。
【0175】
実験結果
実施例4〜7及び9〜11の触媒のそれぞれからコア試料を採取した。6%のCO、12%のO、6%のHO及び残余のNを含むガス混合物中、コアを徐々に600℃に加熱することによって、コアを事前調整した。
【0176】
合成ガスベンチ試験を使用して、触媒活性を決定した。表5の入口ガス混合物を使用して、模擬的な触媒活性試験(SCAT)ガス装置内で、コアを試験した。試験は、40,000h−1の空間速度(SV)、300秒リーン/16秒リッチの5サイクルで構成された。
【0177】
結果
200℃でのSCAT試験の一つの代表的なサイクルの結果を以下の表6に示す。
【0178】
表6において、実施例4は参照、すなわちドープされていない例である。実施例5、6及び7はそれぞれ、400、600及び800g/ftのLaを含む。実施例9、10及び11はそれぞれ、400、600及び800g/ftのNdを含む。
【0179】
表6から、400から800g/ftのLaを含む実施例5〜7のそれぞれは、Laを含有しない実施例4よりも、触媒出口で低いNO濃度をもたらすことがわかる。ランタン含有実施例5〜7は、一般的に、ネオジム含有実施例9〜11よりも、低いNOスリップ(すなわち、低い触媒出力NO濃度)を示す。これは、600及び800g/ftのローディングの場合に特に当てはまる。それぞれ、実施例10と比較した実施例6、及び実施例11と比較した実施例7を参照のこと。
【0180】
これらの結果は、ランタン含有成分を含む組成物が、ドーパントを含まない同等の組成物、及び別のドーパント、すなわちネオジムを含む同等の組成物の両方よりも、良好なNO吸着体性能を有することを示す。
【0181】
実施例12
20% MgO/Alスピネル(10.1wt% Ce)PGM Ce上10% Ceの調製
20% MgO/Alスピネル上1.54g/inの10% Ceを蒸留水でスラリーにし、その後、13〜15μmのd90に破砕する。このスラリーに、その後、94g/ftのマロン酸Pt及び19g/ftの硝酸Pd溶液を添加し、均一になるまで撹拌する。Pt/Pdを20% MgO/Alスピネル担体上10% Ceに1時間吸着させる。
【0182】
その後、これに3g/inのセリア、続いて0.2g/inのアルミナ結合剤を添加し、均一になるまで撹拌してウォッシュコートを形成する。
【0183】
その後、標準的な手順を使用してウォッシュコートをセラミック又は金属モノリスにコーティングし、100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成する。
Ceは約54.1wt%(49.0mol%)のローディングで存在する。
【0184】
実施例13
20% MgO/Alスピネル(10.1wt% Ce)PGM上10% Ceの調製
[Ce.Ba(2.8wt%)])(3.5mol% Ce.Ba)
酢酸バリウム及び高表面積セリアからCeO−BaCO複合材料を形成し、続いて650℃で1時間焼成する。
【0185】
20% MgO/Alスピネル上1.54g/inの10% Ceを蒸留水でスラリーにし、その後、13−15μmのd90に破砕する。このスラリーに、その後、94g/ftのマロン酸Pt及び19g/ftの硝酸Pd溶液を添加し、均一になるまで撹拌する。Pt/Pdを20% MgO/Alスピネル担体上10% Ceに1時間吸着させる。
【0186】
その後、これに3.13g/inのCeO−BaCO複合材料、続いて0.2g/inのアルミナ結合剤を添加し、均一になるまで撹拌してウォッシュコートを形成する。
【0187】
その後、標準的な手順を使用してウォッシュコートをセラミック又は金属モノリスにコーティングし、100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成する。
【0188】
Ceは約53.3wt%(48.3mol%)のローディングで存在する。Baは約1.8wt%(1.6mol%)のローディングで存在する。
【0189】
実施例14
20% MgO/Alスピネル(10.1wt% Ce)PGM上10% Ceの調製
[Ce.Ba(7wt%)](8.7mol% Ce.Ba)
酢酸バリウム及び高表面積セリアからCeO−BaCO複合材料を形成し、続いて650℃で1時間焼成する。
【0190】
20% MgO/Alスピネル上1.54g/inの10% Ceを蒸留水でスラリーにし、その後、13〜15μmのd90に破砕する。このスラリーに、その後、94g/ftのマロン酸Pt及び19g/ftの硝酸Pd溶液を添加し、均一になるまで撹拌する。Pt/Pdを20% MgO/Alスピネル担体上10% Ceに1時間吸着させる。
【0191】
その後、これに3.33g/inのCeO−BaCO複合材料、続いて0.2g/inのアルミナ結合剤を添加し、均一になるまで撹拌してウォッシュコートを形成する。
【0192】
その後、標準的な手順を使用してウォッシュコートをセラミック又は金属モノリスにコーティングし、100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成する。
【0193】
Ceは約51.2wt%(47mol%)のローディングで存在する。Baは約4.5wt%(4.2mol%)のローディングで存在する。
【0194】
実施例15
20% MgO/Alスピネル(10.1wt% Ce)PGM上10% Ceの調製
[Ce.Nd(7wt%)](8.7mol% Ce.Nd)
20% MgO/Alスピネル上1.54g/inの10% Ceを蒸留水でスラリーにし、その後、13〜15μmのd90に破砕する。このスラリーに、その後、94g/ftのマロン酸Pt及び19g/ftの硝酸Pd溶液を添加し、均一になるまで撹拌する。Pt/Pdを20% MgO/Alスピネル担体上10% Ceに1時間吸着させる。
【0195】
その後、これに3.27g/inの[Ce.Nd](上記の一般的な手順(3)に従って調製)、続いて0.2g/inのアルミナ結合剤を添加し、均一になるまで撹拌してウォッシュコートを形成する。
【0196】
その後、標準的な手順を使用してウォッシュコートをセラミック又は金属モノリスにコーティングし、100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成する。
【0197】
Ceは約51.8wt%(48.3mol%)のローディングで存在する。Ndは約4.6wt%(4.1mol%)のローディングで存在する。
【0198】
実施例16
20% MgO/Alスピネル(10.1wt% Ce)PGM上10% Ceの調製
[Ce.La(7.0wt%)](9.1mol% Ce.La)
20% MgO/Alスピネル上1.54g/inの10% Ceを蒸留水でスラリーにし、その後、13〜15μmのd90に破砕する。このスラリーに、その後、94g/ftのマロン酸Pt及び19g/ftの硝酸Pd溶液を添加し、均一になるまで撹拌する。Pt/Pdを20% MgO/Alスピネル担体上10% Ceに1時間吸着させる。
【0199】
その後、これに3.27g/inの[Ce.La](上記の一般的な手順(1)に従って調製)、続いて0.2g/inのアルミナ結合剤を添加し、均一になるまで撹拌してウォッシュコートを形成する。
【0200】
その後、標準的な手順を使用してウォッシュコートをセラミック又は金属モノリスにコーティングし、100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成する。
【0201】
Ceは約51.8wt%(48.0mol%)のローディングで存在する。Laは約4.6wt%(4.3mol%)のローディングで存在する。
【0202】
実験結果
実施例12〜16の触媒のそれぞれからコア試料を採取した。8%のHO、14%のO、35ppmのSO及び残余のNを含むガス混合物中、45,000h−1の空間速度(SV)、350℃で加熱することにより、コアを2g/Lの硫黄に硫酸化した。
【0203】
合成ガスベンチ試験を使用して、脱硫酸化活性を決定した。45,000h−1の空間速度(SV)、120から650℃への20℃/分の温度ランプにわたって、表7の入口ガス混合物を使用して、模擬的な触媒活性試験(SCAT)ガス装置内で、コアを試験した。HS及びSOの放出を質量分析法により測定し、結果を表8に示す。
【0204】
表8から、400g/ftのLaを含む実施例16は、ランタン含有成分を含まない実施例12〜15のいずれよりも所与の温度でより効率的な脱硫酸化を受けることがわかる。とりわけ、実施例16は、ドープされていないセリウムを含む実施例12、150g/ftのバリウムを含む実施例13、及び400g/ftのBaを含む実施例14と比べて、改善された硫酸化効率を示す。さらに、実施例16はまた、400g/ftのNdを含む実施例15と比べて、改善した脱硫酸化効率を示す。これは、上の表8に示す450及び500℃のデータポイントにおいて特に明らかである。
【0205】
上記のように得られたDeSO効率データの別の代表的なものを表9に示す。
【0206】
表9から、400g/ftのLaを含む実施例16は、ランタン含有性成分を含まない実施例12〜15のそれぞれよりも、低温でDeSO効率の所与の%を達成することがわかる。150g/ftのBaを含む実施例13と400g/ftのBaを含む実施例14のどちらも、90%の硫黄除去を達成しなかったが、実施例16は489℃で90%の硫黄除去を達成した(ドープされていないセリアを含む実施例12よりも低く、400g/ftのNdを含む実施例15よりも低い)。
【0207】
表8及び表9から、ランタン含有成分を含む触媒は、ランタン含有成分(ネオジムを含有するものを含む)を含まない触媒よりも、より容易に(すなわち低温で、又は所与の温度でより効率的に)脱硫酸化できることがわかる。
【0208】
【0209】
X線回折データを上記のように回収した。表10から、ランタンを含む組成物は、ランタンを含有しない同等の材料、すなわち、Pt/CeOの例におけるドープされていないセリアにおけるものより、低い微結晶サイズを有することがわかる。微結晶サイズはまたネオジム含有の例及びマグネシウム含有の例よりも低いことにも注目すべきであり、これはこの効果がすべてのドーパントについて普遍的ではないことを示唆している。理論に縛られることを望むものではないが、ランタンは、ランタン含有成分、例えばランタンがドープされたセリアの格子構造に組み込まれていると考えられる。
【0210】
ランタン含有試料中の格子パラメーターは、ランタンを含有しない試料(ネオジム含有の例及びマグネシウム含有の例の両方も含む)と比べて増加する。