(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(機能層(偏光フィルム層))
機能層に用いる偏光フィルムは、基材となる樹脂フィルムを水中で膨潤させた後に、二色性有機染料を含有する染色液に、一方向に延伸させつつ含浸することにより、二色性色素を基材樹脂中に配向した状態で分散させて、偏光性及び所望の色調を付与したフィルムである。
【0012】
このときに用いる偏光フィルムの基材となる樹脂としては、ポリビニルアルコール類が用いられ、このポリビニルアルコール類としては、ポリビニルアルコール(以下PVA)、PVAの酢酸エステル構造を微量残したもの及びPVA誘導体または類縁体であるポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等が好ましく、特にPVAが好ましい。
【0013】
また、PVAの分子量は、延伸性とフィルム強度の点から重量平均分子量が50,000から350,000のものが好ましく、より好ましくは分子量100,000から300,000、特に、分子量150,000以上が好ましい。PVAフィルムを延伸する際の倍率は、延伸後の二色比とフィルム強度の点から2〜8倍であり、好ましくは3.5〜6.5倍、特に4.0〜6.0倍が好ましい。延伸後のPVAフィルムの厚みは、10μm以上であり、保護フィルムなどと一体化せずに取り扱いできるとの点から厚み20μm以上で、50μm以下程度が好ましい。
【0014】
基材フィルムとしてPVAフィルムを用いる場合の典型的な製造工程は、
(1)PVAフィルムを水中にて膨潤させつつ水洗し、適宜、不純物を取り除き、
(2)適宜、延伸しつつ、
(3)染色槽にて染色し、
(4)ホウ酸または金属化合物による処理槽にて架橋乃至キレート化処理し、
(5)乾燥する、
との工程にて製造される。尚、工程(2)、(3)(場合により(4))は、適宜、その順序をかえても、また、同時に行っても良いものである。
【0015】
まず、工程(1)の膨潤・水洗の工程は、水を吸収させることにより、常温の乾燥状態では容易に破断するPVAフィルムを均一に軟化させて延伸可能とする。また、PVAフィルムの製造工程に使用される水溶性の可塑剤などを除くこと、あるいは、適宜、添加剤を予備的に吸着させる工程である。このときに、PVAフィルムは順次均一に膨潤するものではなく、必ずバラツキが生じる。この状態でも、局所的に伸ばされ或いは伸び不足のないように、また、皺などの発生を抑えるように可能なかぎり小さい力を均一に負荷するような工夫を行うことが肝要である。また、この工程では、単に均一に膨潤させることが最も望ましいものであり、過剰な延伸などはムラの原因となるので極力しない。
【0016】
工程(2)は、通常2〜8倍となるように延伸を行うものである。
本発明では、加工性が良いことが重要であるので、延伸倍率を3.5〜6.5倍、特に4.0〜6.0倍から選択し、この状態でも配向性を維持するのが好ましい。
延伸配向された状態で、水中に存在する時間、さらに乾燥までの時間が長いと配向緩和が進むものであることから、より高い性能を維持するとの観点からは延伸処理はより短時間となるように設定し、延伸後は、出来るだけ早く水分を除く、すなわち、直ちに乾燥工程に導き過剰な熱負荷を避けつつ乾燥させることが好ましい。
【0017】
工程(3)の染色は、配向したポリビニルアルコール系樹脂フィルムのポリマー鎖への染料を吸着或いは沈着させることによる。この機構からは、一軸延伸の前中後のいずれでも可能であり大きな変化はないが、界面という規制の高い表面が最も配向しやすいものであり、これを生かすような条件を選択するのが好ましい。
温度は、高い生産性との要求から通常は40〜80℃の高温から選択されるが、本発明では通常25〜45℃、好ましくは30〜40℃、特に30〜35℃から選択する。
【0018】
工程(4)は、耐熱性の向上や耐水性や耐有機溶剤性を向上させるために行う。
前者のホウ酸による処理はPVA鎖間の架橋にて耐熱性を向上させるものであるが、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸の前中後のいずれでも可能であり大きな変化はない。また、後者の金属化合物は主に、染料分子とキレート化合物を形成して安定化させるものであり、通常、染色後或いは染色と同時に行う。
金属化合物としては、第4周期、第5周期、第6周期のいずれの周期に属する遷移金属であっても、その金属化合物に前記耐熱性および耐溶剤性効果の確認されるものが存在するが、価格面からクロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などの第4周期遷移金属の酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩などの金属塩が好ましい。これらの中でも、ニッケル、マンガン、コバルト、亜鉛および銅の化合物が、安価で前記効果に優れるため、さらに好ましい。
【0019】
金属化合物およびホウ酸の前記偏光フィルム中の含有率は、前記偏光フィルムに耐熱性および耐溶剤性を与える点から、偏光フィルム1g当たり、金属化合物では金属として0.2〜20mg含有されることが好ましく、1〜5mgが更に好ましい。ホウ酸の含有率は、ホウ素として0.3〜30mgが好ましく、0.5〜10mgが更に好ましい。
処理に用いる処理液の組成は以上の含有率を満たすように設定され、一般的には、金属化合物の濃度は0.5〜30g/L、ホウ酸濃度は2〜20g/Lであることが好ましい。
偏光フィルムに含有される金属およびホウ素の含有率の分析は、原子吸光分析法により行うことができる。
【0020】
温度は、通常、染色と同じ条件を採用するが、通常、20〜70℃、好ましくは25〜45℃、より好ましくは30〜40℃、特に30〜35℃から選択する。また、時間は、通常、0.5〜15分から選択する。
【0021】
工程(5)にて、延伸、染色及び適宜、ホウ酸または金属化合物にて処理された染色一軸延伸PVAフィルムを乾燥する。PVAフィルムは、含有する水分量に相当する耐熱性を示すものであり、水を多量に含む状態で温度が高くなってくると、より短時間で、一軸延伸状態からの乱れなどが生じ、二色比の低下が起こる。
乾燥は表面から進むものであり、両表面から乾燥させることが好ましく、乾燥空気送風にて水蒸気を除きつつ行うことが好ましい。また、周知のように、過剰な加熱を避ける点から、蒸発した水分を直ちに除去して蒸発を促進させる方法が温度上昇を抑えた乾燥ができる点から好ましく、乾燥空気の温度を乾燥状態の偏光フィルムが実質的に変色しない温度以下の範囲から、通常、70℃以上、好ましくは90〜120℃の温度で、1〜120分間、好ましくは3〜40分間にて送風乾燥する。
乾燥後のPVA含水率は、通常1〜4wt%の含水率となるように製造される。
【0022】
(機能層(調光層))
本発明の機能層としては、ウレタン系フィルムに調光色素が練りこまれた調光フィルムなども好適に用いることができる。また、後述する接着層に調光色素を練りこんでもよく、例えば、以下の方法により、フォトクロミック化合物を含有する熱硬化性ポリウレタン樹脂層からなる調光層を製造できる。尚、調光色素(フォトクロミック化合物)としては、ポリウレタンプレポリマーとの相溶性が良ければ特に制限されず、市販の有機フォトクロミック化合物が使用できる。フォトクロミック性能から、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物およびナフトピラン系化合物好ましく使用される。
【0023】
調光層に用いる調光フィルムの製造法を例示する。ポリウレタンプレポリマーを特定有機溶媒で希釈した溶液に、フォトクロミック化合物を樹脂固形分に対して0.2〜5重量%の割合で加え、さらに樹脂固形分に対して0.1〜5重量%のヒンダードアミン系の光安定剤及び/又は酸化防止剤等の添加剤を加え、均一に攪拌混合する。その後、更にイソシアネート基(I)と硬化剤の水酸基(H)の比I/Hが0.9〜20、好ましくは1〜10を目安として硬化剤を加えさらに攪拌し、溶液を形成させる。溶液中のポリマー濃度は、一般的には40〜90重量%が適当である。該溶液を表面に塗膜層を設けた透明なポリカーボネートシートの裏面に塗布厚50〜1000μmのドクターブレードを使用して塗布する。塗布後、塗布面が溶媒を実質的に含まない状態まで加熱乾燥し、該合成樹脂シートの塗布面に他の表面に塗膜層を設けた透明なポリカーボネートシートの裏面を貼り合わせ、サンドイッチ状として、更に放置乾燥して調光フィルムを得る。
【0024】
(接着層)
機能層と保護層とを積層して機能性シートとするために機能層と保護層との間に接着層を介在させる。通常、機能性シートに用いられる接着剤の材料としては、ポリビニルアルコール樹脂系材料、アクリル樹脂系材料、ウレタン樹脂系材料、ポリエステル樹脂系材料、メラミン樹脂系材料、エポキシ樹脂系材料、シリコーン系材料等がある。
本願においては、熱曲げ加工、射出成型工程での安定性を考慮した場合、熱硬化性材料が好ましく、特にウレタン樹脂系材料であるポリウレタンプレポリマーと硬化剤からなる2液型の熱硬化性ウレタン樹脂が好ましい。
【0025】
ポリウレタンプレポリマーとしては、ジイソシアネート化合物とポリオキシアルキレンジオールとを一定割合で反応させた化合物であって、両末端にイソシアネート基を有する化合物である。ポリウレタンプレポリマーに使用されるジイソシアネート化合物としては、ジフェニールメタン−4,4’−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートが使用できるが、ジフェニールメタン−4,4’−ジイソシアネートが好ましい。ポリオキシアルキレンジオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールが使用できるが、5〜30の重合度を有するポリプロピレングリコールを使用することが好ましい。ポリウレタンプレポリマーの分子量は、特に限定されないが通常数平均分子量500〜5000のものであり、好ましくは1500〜4000、より好ましくは2000〜3000である。
【0026】
一方、硬化剤としては、水酸基を2個以上有する化合物であれば特に限定されるものではなく、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリカーボネートポリオール等が例示され、その中でも特定のイソシアネートと特定のポリオールから得られる末端に水酸基を有するポリウレタンポリオールが好ましい。特にジイソシアネート化合物とポリオールから誘導される少なくとも両末端に水酸基を有するポリウレタンポリオールが好ましい。該ジイソシアネート化合物としては、ジフェニールメタン−4,4’−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートが使用できるが、トリレンジイソシアネートを使用することが好ましい。また、ポリオールとしては、トリメチロールプロパン等をエチレンオキサイド或いはプロピレンオキサイドと反応させたものが使用でき、重合度が5〜30のポリプロピレングリコール誘導体を使用することが好ましい。この硬化剤の分子量は特に限定されないが通常数平均分子量500〜5000であり、好ましくは1500〜4000、より好ましくは2000〜3000である。
【0027】
これらのポリウレタンプレポリマー及び硬化剤は粘度調節のために酢酸エチル及びテトラヒドロフランなどの溶媒を使用することができる。また、接着層に調光機能を付与する場合において、溶媒の使用はフォトクロミック化合物をウレタン樹脂中に均一に分散させるために有効な方法である。
【0028】
(保護層)
本発明の機能性シートには、少なくともその片面にポリアミド樹脂からなる保護層(又は保護フィルム又は偏光膜用保護フィルム)が形成されている。
前記ポリアミド樹脂は、透明性や成形加工性の観点から非晶性ポリアミド或いは微結晶性ポリアミドと称されるものが望ましく、後述する射出成形加工ができるものが好ましい。すなわち、熱可塑性で、熱分解温度以下で成形可能な溶融流動性を示すものであり、適度のTg(ガラス転移温度)を有するものであれば、好適に用いることができる。
非晶性を条件とした場合、結晶性となる繰り返し単位の量に制限が生じ、結晶性を阻害する分子構造の例として立体障害性を付与する構造が挙げられ、分岐構造や置換基の導入、シクロアルカンのような嵩高い分子構造が用いられる。
適度の耐熱性との条件においては、繰り返し単位中(単位分子鎖長)にエンタルピーの大きい構造や、繰り返し単位内及び繰り返し単位相互間の分子運動を制限する構造が必須となり、前者の典型例が芳香族であり、後者の例が合成物では芳香核の不飽和結合を水素添加した構造のシクロアルカン、シクロアルケンなどが用いられる。また、脂環構造を持つものは、上記したように、耐熱性と結晶性を阻害する分子構造とを有することから、熱曲げ加工等に供するポリアミドを保護層としたサングラス用の機能性シートとするために有用な材料といえる。
ポリアミドは一般的にジアミン、ジカルボン酸、アミノカルボン酸等のモノマーに由来する構成単位を有する。芳香族ポリアミドや脂環族ポリアミドは、原理的には、全脂肪族ポリアミドを構成する少なくとも一種のモノマーに由来する構成単位を芳香族または脂環族とすることにより製造される。これらモノマーの全部または一部を芳香族または脂環族として、部分芳香族ポリアミド、芳香族部分脂環族ポリアミド、部分芳香族部分脂環族ポリアミド、部分芳香族脂環族ポリアミド、部分脂環族ポリアミドなど、或いはそれらの組み合わせが本願発明に使用可能であるが、非晶性と適度な耐熱性とを有する非晶性ポリアミドの典型例の一つとして、脂環構造を持つポリアミドを好適に用いることができる。尚、後述するリタデーションなどの光学特性を考慮した場合には、芳香族部分を含むことが望ましい。
当然に、ポリアミドの酸化劣化、加工不具合への対処などのために、本発明に使用するポリアミド樹脂には適宜、滑剤、酸化防止剤などの添加剤が用いられる。
【0029】
本発明の機能性シートを個別レンズ用片とし、これを熱曲げ加工し、必要に応じてその凹面側に熱可塑性樹脂を射出融着にて一体化してポリアミド機能性レンズとすると、光学歪が生じることがある。すなわちそれを斜めから見ると虹色の「色むら」が観測されたり、又は、該曲面偏光板を互いの偏光軸が直交位となるように配置した平面偏光板と重ねて観察すると、光が透過する、いわゆる「偏光漏れ」が観察されたりする。これらは、保護層に用いる樹脂の複屈折が大きい、すなわち固有複屈折率、或いは光弾性係数が大きいため、溶融押し出し成型時や前記熱曲げ加工時の応力によって、リタデーション値(定義:複屈折△n×厚さd)が大きくなり(例えば、300nm〜1200nmなど)、内層に設けられた偏光フィルム層の偏光を乱して、加工後にレンズの凹面になる面において上記した「偏光漏れ」などの不具合が観察される。また、凸面では、斜めから観察すると「色むら」として着色干渉縞が観察される。
【0030】
以上から、保護層は内層に設けられた偏光フィルム層の機能を阻害しない程度のリタデーション値(例えば、300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下)である保護層を、少なくともレンズ加工後に凸面となる位置に配置することが望ましい。
このような低いリタデーションとする場合、その保護層の厚みは、100μm以下、好ましくは80μm以下の厚みとすることが望ましい。また、より分子配向を促しにくいキャスト法などにより製造されたフィルムを保護層として好適に用いることができるが、キャスト製法においても、引き取り時に不要な応力が発生してリタデーション値が大きくなることの無いように注意が必要である。
また、上記したキャストフィルムのような、厚み100μm以下でリタデーションが上記した小さな値となるように製造する場合、ポリアミド樹脂は芳香族成分を含まないほうが固有複屈折値は小さく保ちやすく、後述する熱曲げ加工などにおいてもリタデーション値の増加を抑制しやすい。
【0031】
或いは、リタデーション値を小さく保つ以外の方法では、逆にリタデーション値を極端に大きく、例えば、1300nm以上、好ましくは2000nm以上、より好ましくは3000nm以上とした保護層をレンズに加工した後の凸面に配置されるようにして、「色ムラ」や「偏光漏れ」という現象を、肉眼では問題とならない程度に分かり難くすることにより対処できる。
このようにリタデーション値を極端に高くする場合には、ポリアミド樹脂からなる保護層を延伸処理する必要がある。その場合、溶融押し出し法などによりある程度の厚み、例えば100μm以上、好ましくは150μm以上、より好ましくは200μm以上、更に好ましくは300μm以上の厚みに成型したシートを延伸し、所望のリタデーション値と厚みを有する保護フィルムにするなどの方法が望ましい。なお、本願発明においてリタデーション値は面内リタデーション値である。面内リタデーション値は入射直線偏光を遅相軸及び進相軸に分解したときに、遅相軸方向の屈折率、進相軸方向の屈折率、およびフィルムの厚みから導きだせることは当業者の知識の範囲内である。なお、本開示において、リタデーション値は590nmにて測定した値である。測定装置としては、大塚電子製リタデーション測定装置:RETS−100などがある。
【0032】
溶融押し出し法で成型したフィルムを延伸してリタデーション値を高めるには、引き取る際に延伸しながら引き取るドロー延伸法や、成型後に一度巻取り、別途延伸を行うオフライン延伸法などが挙げられる。
溶融押出成形法では、例えば、前記ポリアミド樹脂又は保護層を構成する樹脂を押出機などで溶融混合し、ダイ(例えば、Tダイなど)から押出成形し、冷却することによりポリアミドシートを製造できる。前記ポリアミド樹脂又は保護層を構成する樹脂を溶融して成形する(溶融成形する)際の樹脂温度は、通常、120℃〜350℃程度の温度範囲から選択でき、例えば、130〜300℃、好ましくは150〜280℃、さらに好ましくは160〜250℃程度である。この際、冷却ロールの速度よりも引き取る速度を速めることにより延伸処理を行うことができる。
【0033】
本発明の機能性シートの性能を阻害することがなければ、延伸の具体的方法は特に限定されるものではない。延伸部分のロールは、延伸ムラを抑制するために、適宜金型温調器などでロールを加温しつつ樹脂温を一定に保つことが好ましい。一般には、ポリアミド樹脂のTg付近においてサングラス用のシートとして好適な外観性を維持した延伸が可能となる。樹脂温度が、使用するポリアミド樹脂のTgに対して低い温度帯で延伸する場合には、均一に延伸されない延伸ムラを招きやすく、延伸された箇所と延伸されていない箇所のムラ模様が生じる。また、Tgに対して高い温度帯で延伸する場合には、ポリアミドフィルム、或いはシートのロールへの溶着を招くため、ロールからフィルム、或いはシートが引き剥がされる際の跡が残るなどの問題を招く。適宜、後述するリタデーションとの関係も考慮しつつ、ロールやその他温調機の条件を選択する必要がある。
尚、本願発明でいうTgとは、DSCで測定した場合のTg曲線における始点、中間点、終点温度の内、中間点温度を示唆している。
【0034】
また、延伸時における保護層シートの樹脂温度は、リタデーションの付与にも関係する。延伸時のフィルム、或いはシートの樹脂温度が、使用している樹脂のTgに対して低い温度帯で延伸処理を行うならば、より高いリタデーションを付与しやすく、また高い温度となるほどにリタデーションは発現しにくいものとなる。更に、延伸後は、可能な限りすばやく冷却することが好ましく、それによりリタデーション及び、遅走軸と進走軸の角度を固定することができる。
また、Tgに対して低い温度帯で延伸した場合には、シート成型後に収縮などの問題に影響する場合があるので、その点を考慮して延伸温度条件を選択することが必須である。逆に、Tgに対して高い樹脂温度で延伸した場合には、延伸中にシートのネックインの影響が大きくなって厚み分布に影響し、リタデーションや進相軸角度のバラツキを大きくさせる場合があるので、延伸倍率を上げすぎないなどの注意が必要となる。
【0035】
溶融押し出し法で成型されたポリアミド樹脂を延伸して保護層とする場合には、芳香族成分の含まれたポリアミド樹脂を使用することは望ましい。これにより、樹脂としての固有複屈折値が高くなり、より低い応力にてリタデーションを高く発現させやすく、また、Tgより高い樹脂温で延伸してもリタデーションを維持しやすくなる。
上記したとおりポリアミド樹脂の組成により固有複屈折値は異なり、また所望するリタデーション値にもよる為、延伸処理における延伸倍率については適宜調整が必須となる。尚、一般的には、最低でも1.1倍、好ましくは1.2倍、より好ましくは1.3倍以上が必要となる。倍率が高まるほどにネックインが促進され、或いは破断のリスクが生じるなどの理由から生産効率の観点でその上限が決まる。通常には2.2倍程度、好ましくは2.0倍以下程度である。
【0036】
本願発明においては、ポリアミド樹脂からなる保護層のガスバリア性と、気泡の発生に大きな関係があること見出している。課題の項でも言及したとおり、気泡発生の要因については保護層、接着層、及び機能層を積層した後に生じる気体ではないかと考えられている。
【0037】
これまでサングラス用偏光シートの保護層として一般に用いられてきた芳香族ポリカーボネート樹脂と比較して、ポリアミド樹脂からなる保護層は高いガスバリア性を有している。特に、ポリアミド樹脂の構造として規則性が高いもの、例えば、テレフタル酸(1,4−ジカルビキシベンゼン)や1,4−ジアミノベンゼンをモノマーとするものを含むポリアミドなどは、その結合は平板状で同一平面上配置を持ち、規則性が高く気体透過の小さい集合体を作りやすくなるので、ガスバリア性が高くなる傾向にある。この点も考慮して、ポリアミド樹脂シートの組成を選択しなければならない。
また、当然に、保護層の厚みや延伸処理の条件により、保護層のガスバリア性も大きく影響を受ける。未延伸の状態において気泡が発生しない程度のガスバリア性を備える保護層であっても、その延伸倍率が高くなるほどに分子配向が促され、そのような状態で冷却、固定されてなる保護層では気泡が発生するようなガスバリア性を示す場合がある。
尚、ガスバリア性については、酸素透過度や水蒸気透過度など他にも幾つもの指標があるが、本願においては、酸素透過度と気泡発生の関連性を見出しているので、本願発明ではそれを採用した。酸素透過度の評価法は、DIS/ISO 15105−1に準拠した。
【0038】
以上から、一定上の酸素透過度を示すものを用いることが本願においては重要であり、保護層の厚みや延伸の程度については、最終製品の仕様と酸素透過度とを考慮して決定することができる。
本願においては、保護層の酸素透過度が23℃、85%RHにて、10cm
3/m
2・24hr・bar程度となる場合は気泡の発生が顕著となり機能性シートとしての使用に耐えない。
気泡の発生を抑制する場合には、保護層の酸素透過度が、50cm
3/m
2・24hr・bar以上、60cm
3/m
2・24hr・bar以上、70cm
3/m
2・24hr・bar以上、90cm
3/m
2・24hr・bar以上、110cm
3/m
2・24hr・bar以上、130cm
3/m
2・24hr・bar以上、150cm
3/m
2・24hr・bar以上である事が望ましい。あるいは、400cm
3/m
2・24hr・bar以上、410cm
3/m
2・24hr・bar以上、420cm
3/m
2・24hr・bar以上、430cm
3/m
2・24hr・bar以上であってもよい。なお、本願発明の趣旨より、良好なレンズ成形が可能な保護層である限り、保護層の酸素透過度の上限値は特に重要ではない。樹脂組成及び、保護層厚みや延伸処理などの条件は、この点を考慮して組み合わせを選択する必要がある。
【0039】
(機能性シートの作製)
上記した偏光フィルム層を機能層とし、上記接着層をグラビアコーター、或いはダイコーターなどで塗布して、上記保護層を両面に貼り合わせ、所望の長さに裁断することにより機能性シートとすることができる。ラミネート方法においては特に限定はないが、接着材塗工時に塗工液不足による気泡巻き込みなどを回避するために、十分な吐出量を維持する。また、貼り合わせ時の張力、及び貼り合わせロールのニップ圧などは、貼り合わせ後のシートの反り状態などを考慮して、適切に調節することが望ましい。
【0040】
(機能性レンズの作製)
次いで、機能性シートを個別レンズ用片に打ち抜き、得られた個別レンズ用片に曲面加工を施し、必要に応じ射出成形機にインサートして個別レンズ用片の凹面側に熱可塑性樹脂を射出し、機能性レンズとする。
打ち抜き加工は、通常、トムソン刃からなる打ち抜き刃を用いることができる。通常1枚の機能性シートから複数の個別レンズ用片を打ち抜き加工により得る。個別レンズ用片の形状は、最終製品の形状(サングラス、ゴーグルなど)により適宜、選択される。二眼用の場合の標準的なレンズ形状品は、直径80mmの円盤或いはその両端を偏光軸に垂直な方向に同幅切り取ったスリット形状である。
【0041】
上記打ち抜き加工においては、偏光フィルム層、接着層、両表面の保護層、両表面の保護フィルムが大きく破壊されることはなく、微細な破砕片の発生や延伸方向への割れの伝搬、過剰な変形伸びなどの有無が検討対象となり、適度なねばりが必須となる。この際、偏光フィルム層が乾燥して打ち抜きされたことにより破壊され、微細な破砕片を生じさせないために、適宜吸湿させたものを用いる方法も推奨される。
次いで、個別レンズ用片を、前乾燥処理した後、加熱下に球面あるいは非球面に熱曲げしてなる熱曲げシートとする。前乾燥は、個別レンズ用片を熱曲げ加工後に、色変化しない条件を選択する。通常、60〜80℃、好ましくは65〜75℃で8時間以上、好ましくは24時間程度の送風乾燥をすることによる。
個別レンズ用片の熱曲げ加工は、金型表面に沿うように曲げられる。金型は射出成形に用いる金型であってもよい。熱曲げ加工は、平面である個別レンズ用片を、通常、部分球面、場合により楕円面のような三次元曲面とするものである。変形に伴うエネルギー最小のこのような加工は、縮みを伴う加工となり、スムースな縮みが妨げられる場合には、波、さらに皺の発生となり、良品の製造ができないものとなるので、スムースな縮みを確保するように、温度、荷重の負荷など、緩やかな過重負荷による制御を行うことが好ましい。
加熱温度は、保護シートに用いたポリアミド樹脂のガラス転移点より50℃低い温度以上でガラス転移点未満の温度が加工温度として選択される。好ましくは、ポリアミド樹脂のガラス転移温度より25℃低い温度以上、より好ましくは20℃低い温度以上でガラス転移点より5℃低い温度以下である。
射出成形する場合の加工条件は、外観に優れたレンズが製造できることが必須である。したがって、バリの出ない範囲で充填率の高いレンズ成形品の得られる射出条件、例えば、射出圧、保持圧、計量、成形サイクルなどが、適宜選択される。樹脂温度は、ポリアミド樹脂の溶融温度、ポリアミド樹脂の組成にもよるが、通常、230〜320℃から適宜選択され、好ましくは250〜300℃である。射出圧力は50〜200MPaから適宜選択される。
また、金型温度はポリアミド樹脂のTgより100℃低い温度以上乃至Tg未満の温度から選択され、好ましくは70〜120℃である。
射出成形に用いる熱可塑性樹脂はポリアミド樹脂であることが好ましく、非晶性ポリアミドと称されるものがより好ましい。熱可塑性で、熱分解温度以下で成形可能な溶融流動性を示し、適度のTg(ガラス転移温度)を有するものであれば良いが、機能性シートとの界面の外観を損ねないように、機能性シートに用いるポリアミド樹脂と同じ、または、それと屈折率の近いポリアミド樹脂を選択することが好ましい。
【0042】
上記にて製造した機能性レンズは、適宜、ハードコート処理が施され、さらに、ミラーコートや反射防止コート等が施されて、製品とされる。
ハードコートの材質あるいは加工条件は、外観や下地のポリアミドに対して、あるいは続いてコートされるミラーコートや反射防止コート等の無機層に対する密着性に優れている必要があり、この点から、ハードコートの焼成温度はポリアミド樹脂のガラス転移点より50℃低い温度以上でガラス転移点未満の温度が好ましく、特に、ガラス転移点より40℃低い温度以上でガラス転移点より15℃低い温度未満であることがより好ましく、30℃前後低い温度であることが最も好ましい。ハードコートの焼成時間は概ね0.5〜2時間である。
【0043】
上記で製造された機能性レンズは、レンズメーカーにて、最終製品であるサングラスやゴーグルなどに加工されて販売され、また、個別の販売店(小売店)にて、玉摺り、穴あけ、ネジ締めなど、様々な製品用にレンズ加工がなされてサングラスやゴーグルなどとして販売される。
【実施例】
【0044】
(気泡不具合の評価)
後述の手順で作製した偏光シートを、後述するレンズに加工する段階の前で気泡発生有無を評価した。20×15cmの大きさに切断された枚葉シートを観察し、1枚当たり長径50μm以上の気泡が7個以上観察されたシートを×、7個未満の気泡が観察されたシートを○、気泡が観察されなかったシートを◎として、表2にまとめた。
(偏光レンズの評価)
偏光シートを作成した後、該偏光シートにポリアミド樹脂を射出成型して射出成形レンズを作成した。後述する比較例の偏光シートは射出成型レンズの作成には、気泡が多く生じていたため、レンズの作成を行わなかった。実施例の射出偏光レンズはいずれも製品として使用可能な程度に外観が良好であった。
【0045】
(偏光フィルムの作製)
次いで、ポリビニルアルコールフィルム(クラレ株式会社製)を35℃の水中で膨潤させ、その後、二色性色素カヤラスブルーG(C.I. Blue 78)、スミライトレッド4B(C.I. Red 81)、クリソフェニン(C.I. Yellow 12)及び10g/Lの無水硫酸ナトリウムを含む35℃の水溶液中で染色し、酢酸ニッケル2.5g/L、ホウ酸5g/Lを含む35℃の水溶液中に浸漬して最終的に4倍の倍率になるように延伸した。そのフィルムを緊張状態が保持された状態で、110℃で3分間加熱処理し、偏光フィルムを得、低湿度保管庫にて次工程までの間保管した。
【0046】
(ポリアミドシートの作製)
(PA1):脂肪族、及び脂環族からなる非晶質透明ポリアミド樹脂(EMS−CHEMIE社、Grilamid TR90)を加熱溶解し、短軸押出し機でTダイから溶融樹脂を押出し、冷却ロールで冷却後に巻き取り機で巻き取る溶融押し出し製法にて、Tgが155℃、厚み200μmのポリアミドシート(以下PA1と記す)を作製した。なお、製造したすべてのポリアミドシートは製造後ただちに低湿度保管庫にて保管した。
(PA2):脂肪族、脂環族及び芳香族からなる非晶質透明ポリアミド樹脂(EMS−CHEMIE社、Grilamid TR55)を用いた以外は、PA1と同様にして、Tgが160℃、厚み200μmのポリアミドシート(以下PA2と記す)を得た。
(PA3):厚みを250μmとした以外はPA1と同様にして得たポリアミドシートを10cm角に切り出し、四方をクランプで固定してPA1のTg(DSC測定における中間点)温度で20分間保持した後、1.3倍の延伸倍率で一軸方向のみに延伸して、延伸後緊張状態を保持したまま室温で30分間冷却して、リタデーションが2000nmである延伸ポリアミドシート(以下PA3と記す)を得た。
(PA4):厚みを250μmとした以外はPA2と同様にして得たポリアミドシートを用い、延伸倍率を1.2倍とした以外は、PA3と同様の手順で延伸ポリアミドシート(以下PA4と記す)を取得した。
(PA5)上記で使用したPA1と同じ透明ポリアミド樹脂を、キャスト法で80μmの厚みに成型してポリアミドシート(以下PA5と記す)を取得した。
(PA6)脂肪族、及び芳香族からなる非晶質透明ポリアミド樹脂(EMS−CHEMIE社、Grivory G21)を加熱溶解して用いた以外は、PA1と同様にして、Tgが125℃、厚み200μmのポリアミドシート(以下PA6と記す)を得た。
(PA7)厚みを250μmとした以外はPA6と同様にして得たポリアミドシートを、PA3と同様の手順で延伸し、延伸ポリアミドシート(以下PA7と記す)を取得した。
(PA8):厚みを530μmとした以外はPA1と同様にして得たポリアミドシートを用い、延伸倍率を2.0倍とした以外は、PA3と同様の手順で延伸し、延伸ポリアミドシート(以下PA8と記す)を取得した。
(PA9):脂肪族、及び脂環族からなる非晶質透明ポリアミド樹脂(Arkema社、RILSAN CLEAR G850 Rnew)を加熱溶解して用いた以外は、PA1と同様にして、Tgが150℃、厚み300μmのポリアミドシート(以下PA9と記す)を得た。
(PA10):厚みを450μmとした以外はPA9と同様にして得たポリアミドシートを用い、延伸倍率を2.0倍とした以外は、PA3と同様の手順で延伸し、延伸ポリアミドシート(以下PA10と記す)を取得した。
なお、ポリアミドシートの詳細については表1にまとめた。酸素透過度の測定は、23℃、85%RHにて、OX−TRAN 2/61(MOCON社製)を用いて行った。リタデーション値は、大塚電子製リタデーション測定装置:RETS−100を用いて波長590nmにて測定した値である。
【0047】
(機能性シートの作製)
(
参考例1)
上記で取得したPA3に熱硬化性ポリウレタン系接着剤を塗布して、上記で取得した偏光フィルムを積層し、偏光フィルムの残りの片面へ同じようにPA3を積層した。積層後、70℃の恒温槽に放置して接着剤を硬化させ、機能性シートを得た。
上記手順にて作製した機能性シートの両面について、上述した気泡を観察評価したところ、特に気泡不具合はごく微量であり、レンズ加工に支障をきたすものでは無かった。
ついで、上記で取得した機能性シートを、直径80mmの円盤をその中心を通る直線の両側を平行に同量切り取り幅55mmとしたスリット形状に切り出し、雰囲気温度125℃にて予備加熱し、雌型は6R相当(半径約65.6mm)の部分球面で表面温度135℃、シリコンゴム製雄型による押し付け時間を4秒、雌型への真空引きにより吸着させ、吹き込み熱風温度が150℃である雰囲気下で8分間保持し、熱曲げ偏光シートを得た。
該熱曲げ機能性シートを、度数を持たないプラノレンズ用の射出成型に供した。
上記で製造した熱曲げ機能性シートを、射出成形機金型キャビティーに装着し、ポリアミド樹脂(EMS−CHEMIE社、Grilamid、TR−90)を用いて、射出成形した。射出成形条件は、樹脂温度310℃、射出圧力125MPa、保持圧63MPa、金型温度80℃、射出サイクル70秒にそれぞれ設定した。
結果、良好な外観のポリアミド偏光レンズを得た。
【0048】
(
参考例2)
PA4を、偏光フィルムの両面に用いた以外は、
参考例1と同様にして機能性シートを得た。その後、気泡不具合を観察評価したところ、気泡不具合はごく微量であり、レンズ加工に支障をきたすものでは無かった。また、
参考例1と同様にレンズ加工を行った結果、特に不具合は無く良好なポリアミド偏光レンズを得た。
【0049】
(実施例3)
PA3を偏光フィルムの片面に、また残りの片面にPA1を用いた以外は、
参考例1と同様にして機能性シートを得た。その後、気泡の観察評価では気泡は無かった。また、PA3をレンズの凸面になるようにして、
参考例1と同様にレンズ加工を行った結果、特に不具合は無く良好なポリアミド偏光レンズを得た。
【0050】
(実施例4)
片側の接着層に、スピロピラン系調光性色素を0.25g添加して調光層とした以外は、実施例3と同様にして機能性シートを得た。その後、気泡を観察評価したところ気泡は観察されなかった。また、実施例3と同様にレンズ加工を行った結果、特に不具合は無く良好なポリアミド偏光レンズを得た。
【0051】
(参考例5)
PA5を偏光フィルムの片面に、残りの片面にPA1を用いた以外は、
参考例1と同様にして機能性シートを得た。その後、気泡を観察評価したところ気泡は観察されなかった。また、PA5をレンズの凸面になるようにして、
参考例1と同様にレンズ加工を行った結果、特に不具合は無く良好なポリアミド偏光レンズを得た。
(実施例6)
PA8を偏光フィルムの片面に、残りの片面にPA1を用いた以外は、
参考例1と同様にして機能性シートを得た。その後、気泡を観察評価したところ気泡は観察されなかった。また、PA8をレンズの凸面になるようにして、
参考例1と同様にレンズ加工を行った結果、特に不具合は無く良好なポリアミド偏光レンズを得た。
(参考例7)
PA10を偏光フィルムの片面に、残りの片面にPA9を用いた以外は、
参考例1と同様にして機能性シートを得た。その後、気泡を観察評価したところ気泡は観察されなかった。また、PA10をレンズの凸面になるようにして、
参考例1と同様にレンズ加工を行った結果、特に不具合は無く良好なポリアミド偏光レンズを得た。
【0052】
(比較例1)
PA7を偏光フィルムの両面に用いた以外は、
参考例1と同様にして機能性シートを得た。その後、気泡を観察したところ、気泡が多発しており、レンズへの加工には敵なさないものであった。
【0053】
(比較例2)
PA7を偏光フィルムの片面に、残りの片面にPA6を用いた以外は、
参考例1と同様にして機能性シートを得た。その後、気泡不具合を観察評価したところ気泡が頻発しており、レンズ加工には適さないものであった。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】