【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る容器は、容器本体の口部を閉栓するキャップが取り付けられた容器であって、キャップは、口部の上方を覆う天部と、天部に連結され、口部の側方を覆う筒部と、を有し、天部の上面は、ベース面と、ベース面から上方に突出するスタンプ用凸部と、を有する。
【0008】
この態様によれば、容器本体の口部の上方を覆う天部が有効に利用されて、天部の上面にスタンプ用凸部が形成される。これにより、閉栓機能に加えて、スタンプ機能をキャップに具備させることができる。したがって、例えば容器の使用後にキャップを取り外した消費者は、キャップをリサイクル又は廃棄する前にスタンプとして利用することができる。
【0009】
ここで、一般にキャップを樹脂で成形した場合、成形収縮によって天部の上面が窪む現象が生じ得る(以下、この現象を「成形収縮現象」という。)。この成形収縮現象は、天部の下面にインナーリングが形成されている場合、主としてインナーリングよりも内側で生じ、天部の中央部で窪みの深さが最も大きくなり得る。
【0010】
他方、このような窪みが生じたキャップを容器本体の口部への閉栓に供し、口部によってキャップのインナーリングを内側に押すことで、窪みが戻り、天部の上面が、インナーリングがある位置から中央部にかけてドーム状に上方に湾曲変形し得ることが本発明者の知見により得られた(以下、ドーム状に湾曲変形する現象を「ドーミング現象」という。)。また、ドーミング現象が起きると、キャップを開栓しても、所定時間(例えば24時間)は、天部の上面のドーム状が維持されることも本発明者の知見により得られた。
【0011】
したがって、これらの知見に基づくと、本発明の一態様においては、天部の下面には、下方に延在するインナーリングが形成され、スタンプ用凸部は、インナーリングの最も外側部位よりも内側に位置しているとよい。
【0012】
こうすることで、ドーミング現象によってドーム状に上方に湾曲し得る部分にスタンプ用凸部を位置させることができるため、スタンプ性が確保しやすくなる。すなわち、仮にスタンプ用凸部の一部がインナーリングの最も外側部位よりも外側に位置していたとすれば、その一部ではインクの転写が欠ける可能性があるが、スタンプ用凸部がインナーリングの最も外側部位よりも内側に位置しているため、インクの転写が欠けなくてすむ。
【0013】
また、本発明の一態様においては、天部の上面は、インナーリングがある部分から中央部にかけて、ドーム状に上方に湾曲しているとよい。
【0014】
こうすることで、スタンプ性をより確実に確保することができる。
【0015】
さらに、キャップは、閉栓された際に口部によってインナーリングが内側に押されることで天部の上面がドーム状に湾曲変形し、かつ、開栓されて所定時間の経過後でもドーム状が維持されるとよい。
【0016】
こうすることで、容器本体の口部とキャップのインナーリングとを関連づけてドーミング現象を起こすことができ(成形収縮現象で生じた窪みを戻すことができ)、キャップの天部の上面におけるスタンプ性を確保することができる。また、スタンプ性を所定時間維持できるため、スタンプ機能を有するキャップ付き容器としての商品性を高めることができる。
【0017】
本発明のいくつかの態様においては、天部の上面は、当該上面の外周縁に沿って延在する外周縁面をさらに有し、外周縁面は、高さレベルがベース面よりも高くてスタンプ用凸部のスタンプ面と同じ又はこれよりも低く、キャップについて、天部の上面にインクを付着させてスタンプとして使用したときに、スタンプ面及び外周縁面に付着したインクが転写されてもよい。
【0018】
こうすることで、スタンプ面上のインクのみならず、外周縁面上のインクについても転写させることができる。したがって、スタンプ面による転写部分を囲む枠を転写させることができる。
【0019】
上記の場合、スタンプ面及び外周縁面には、ベース面よりもインクの付着性を向上するための表面加工(例えばシボ加工)が施されているとよい。
【0020】
こうすることで、インクを転写させる面(スタンプ面及び外周縁面)の転写性を向上することができる。
【0021】
本発明のいくつかの態様においては、スタンプ用凸部は、シボ加工されたスタンプ面を有するとよい。
【0022】
こうすることで、比較的簡単な表面加工により、インクを転写させる面(スタンプ面)の転写性を向上することができる。
【0023】
本発明のいくつかの態様においては、キャップは、樹脂からなり、当該容器は、飲料を充填したプラスチックボトルであるとよい。
【0024】
こうすることで、飲料用プラスチックボトルの樹脂製キャップにスタンプ機能を具備させることができる。
【0025】
本発明のいくつかの態様においては、スタンプ用凸部は、ベース面から0.2mm〜0.3mmだけ上方に突出しているとよい。
【0026】
こうすることで、スタンプ性を確保しつつ、キャップの全高の増加を抑えることができる。すなわち、仮に、0.2mm未満であると、押印時にベース面上のインクが転写され得るが、0.2mm以上にすると、ベース面上のインクが転写されることなくスタンプ用凸部上のインクを転写することができる。また、0.3mmを超えると、スタンプ用凸部の全高が大きくなってしまい、例えば既存の飲料充填装置におけるキャップ搬送機構に影響を及ぼし得るが、0.3mm以下にすると、そのような影響を回避することができる。
【0027】
本発明の一態様に係るキャップは、容器本体の口部を閉栓するために当該口部に取り付けられる樹脂製のキャップであって、閉栓された際に口部の上方を覆う天部と、天部に連結され、閉栓された際に口部の側方を覆う筒部と、を有し、天部の上面には、当該上面の窪んだ部分に、ベース面から上方に突出するスタンプ用凸部が形成されており、天部の上面は、当該キャップが閉栓された際に、窪んだ部分が隆起してスタンプ用凸部のスタンプ面が天部の上面の最も高さレベルの高い位置となるように変形する。
【0028】
この態様によれば、閉栓される前のキャップは、例えば成形収縮現象によって天部の上面に窪んだ部分があり、かかる窪んだ部分にスタンプ用凸部が形成されている。他方、閉栓されると、キャップは、例えばドーミング現象によって窪んだ部分が隆起する。そして、スタンプ用凸部のスタンプ面が天部の上面の最も高さレベルの高い位置となる。すなわち、容器本体の口部に閉栓されることでスタンプ機能を具備するキャップを提供することができる。
【0029】
本発明の一態様に係るキャップにおいては、天部の上面は、当該上面の外周縁に沿って延在する外周縁面を有し、外周縁面は、天部の上面の最も高さレベルの高い位置にあり、窪んだ部分を囲んでいるとよい。
【0030】
こうすることで、閉栓前のキャップの取扱い性を向上することができる。具体的には、閉栓前のキャップを上下逆さにして置いておく場合や搬送する場合に、外周縁面を接地面又は搬送面に接触させることができる。これにより、キャップの姿勢が傾かないため、閉栓前のキャップを安定して保管し、搬送させることができる。
【0031】
この場合、天部の上面は、当該キャップが閉栓された際に、スタンプ面が外周縁面と同じ又はこれより高い位置となるように変形し、当該キャップについて、天部の上面にインクを付着させてスタンプとして使用したときに、スタンプ面及び外周縁面に付着したインクが転写されるとよい。
【0032】
こうすることで、スタンプ面による転写性を外周縁面で損なわずに済む。また、外周縁面上のインクについても転写させることができるため、スタンプ面による転写部分を囲む枠を転写させることができる。
【0033】
この場合、スタンプ面及び外周縁面には、ベース面よりもインクの付着性を向上するための表面加工が施されているとよい。
【0034】
こうすることで、インクを転写させる面(スタンプ面及び外周縁面)の転写性を向上することができる。
【0035】
本発明のいくつかの態様に係るキャップにおいては、天部の下面には、下方に延在するインナーリングが形成されており、スタンプ用凸部は、インナーリングの最も外側部位よりも内側に位置しているとよい。また、天部の上面は、当該キャップが閉栓された際に、インナーリングがある位置から中央部にかけて、ドーム状に上方に湾曲変形するとよい。さらに、当該キャップは、閉栓された際に口部によってインナーリングが内側に押されることでドーム状の湾曲変形が生じ、かつ、開栓されて所定時間の経過後でもドーム状が維持されるとよい。
【0036】
こうすることで、上述の成形収縮現象及びドーミング現象を考慮した、スタンプ機能を有するキャップを提供することができる。
【0037】
本発明の別の態様に係るキャップは、容器本体の口部を閉栓するために当該口部に取り付けられるキャップであって、閉栓された際に口部の上方を覆う天部と、天部に連結され、閉栓された際に口部の側方を覆う筒部と、を有し、天部の上面は、ベース面と、ベース面から上方に突出するスタンプ用凸部と、を有し、スタンプ用凸部は、ベース面よりもインクの付着性を向上するための表面加工が施されたスタンプ面を有する。
【0038】
この態様によれば、天部が有効に利用されて、天部の上面にスタンプ用凸部が形成される。これにより、閉栓機能に加えて、スタンプ機能をキャップに具備させることができる。加えて、スタンプ面に表面加工を施しているため、インクを転写させるスタンプ面の転写性を向上させることができる。
【0039】
この場合、天部の上面は、当該上面の外周縁に沿って延在する外周縁面をさらに有し、外周縁面は、天部の上面の最も高さレベルの高い位置にあり、表面加工が施されているとよい。
【0040】
こうすることで、上述のように、閉栓前のキャップの取扱い性及び外周縁面の転写性を向上することができる。
【0041】
本発明のいくつかの態様に係るキャップは、コンプレッション成形により形成されているとよい。
【0042】
こうすることで、例えば射出成形の場合と比べて、スタンプ用凸部によるスタンプデザインの幅に自由度をもたせることができると共に、スタンプ機能の追加のために必要となる既存の成形設備・金型に対する投資が少なくて済む。