(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、オープンキャビンビークルに上記のような電子機器を搭載する場合、消費電力を抑えつつ、利便性を高めることが求められる。しかしながら、利便性を向上させるために、オープンキャビンビークルにナビゲーションシステム等の電子機器を導入した場合、本来オープンキャビンビークルが持っていた利便性が低下することが分かった。
【0007】
オープンキャビンビークルは、シートの横にドアを備えない車両である。したがって、通常の乗用車等の自動車と比較して、搭乗者は乗車する際にドアを開閉する必要がない。そのため、自動車と比較して、乗車する際に搭乗者が行う動作が少なく、発進(つまり、走行可能状態とする)までの時間を短縮できる。これは、オープンキャビンビークルの利点の一つである。
【0008】
しかしながら、上述のとおり、オープンキャビンビークルに電子機器を搭載する場合、搭乗者は、オープンキャビンビークルに搭乗してから、オープンキャビンビークルのメインスイッチを入れて電源を起動した後、電子機器を起動する。この場合、電子機器が起動して使用可能な状態(以下、通常状態という)となるまで、ある程度の時間が掛かる。そのため、オープンキャビンビークルに電子機器を搭載した場合、搭乗者がオープンキャビンビークルに搭乗してから電子機器が通常状態となるまで、搭乗者は待機しなければならない。そのため、オープンキャビンビークルの利点である、搭乗から走行可能状態にするまでの時間を短くできるという利便性が低下してしまう。
【0009】
そこで、本発明の目的は、消費電力を抑え、オープンキャビンビークルの利便性の低下を抑えつつ、電子機器による利便性を受けることができるオープンキャビンビークルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは初めに、オープンキャビンビークルの利便性が低下しないように、電子機器を早期に通常状態にするために、電子機器の起動速度を高めることを検討した。
【0011】
オープンキャビンビークルが走行不能状態(つまり、駆動力制御装置が通常状態でない状態)のときであっても、各電子機器がスタンバイ状態(つまり、通電された状態)となっていれば、電子機器を早期に起動できる。しかしながらこの場合、電力消費が大きくなる。そのため、オープンキャビンビークルの電源(バッテリ)が早期に消耗してしまう可能性がある。上述のとおり、オープンキャビンビークルの電源容量は、自動車よりもはるかに小さい。したがって、電子機器をスタンバイ状態としておくのは、消費電力の観点から、好ましくない。
【0012】
そこで本発明者らは、オープンキャビンビークルが走行可能状態となる前に、搭乗者がオープンキャビンビークルから離れた場所から電子機器の起動を開始できれば、搭乗者がオープンキャビンビークルに近づいて搭乗するまでの時間(準備時間)を電子機器の起動時間に割り当てることができると考えた。
【0013】
各電子機器用のリモコンを準備すれば、搭乗者が離れた場所から電子機器を起動できる。しかしながらこの場合、オープンキャビンビークルに搭乗するまでに、搭乗者が電子機器のリモコンを操作しなければならない。オープンキャビンビークルの場合、搭乗者は走行準備(服装、ヘルメット、手袋等)を完了した後に搭乗する。搭乗者は、いったん走行準備が完了すれば、なるべくリモコン操作等を行いたくない場合がある。せっかく装着した手袋やヘルメット等を外して、リモコン操作をしなければならないからである。
【0014】
そこで、本発明者はリモコンに代えて、ビーコンに代表される識別信号を発信する制御装置をオープンキャビンビークルに搭載し、この識別信号を利用して電子機器を起動することを考えた。この場合、搭乗者がオープンキャビンビークルに近づいて搭乗するまでの準備時間を、電子機器の起動に利用できる。具体的には、オープンキャビンビークルに搭載された制御装置(識別信号を発信する識別信号発信部を含む)が識別信号を間欠的に発信する。この場合、搭乗者が所持する携帯端末が、オープンキャビンビークルから離れた場所で、搭乗者の操作なしに、識別信号を受ける。そして、搭乗者の操作なしに携帯端末から応答信号がオープンキャビンビークルに返ってきたときに、制御装置が、電子機器への通電を許可する。この場合、上述の準備時間中を電子機器の起動に活用できる。また、搭乗者が走行準備を完了した後で余計な操作をしなくても電子機器が起動を開始する。
【0015】
一方で、オープンキャビンビークルから離れた領域の携帯端末を検知する場合、識別信号を間欠的に発信する識別信号発信部を含む制御装置の消費電力が大きくなる可能性がある。上述のとおりオープンキャビンビークルのバッテリ容量は小さい。そのため、オープンキャビンビークルに識別信号発信部を含む制御装置を採用することは困難と思われた。
【0016】
しかしながら、識別信号の発信頻度を落とせば、消費電力を抑えることができる。識別信号の発信頻度を落とした場合、オープンキャビンビークルでの携帯端末の検知精度が低下する。検知精度が低下した場合、携帯端末の検知時期にばらつきが生じる。しかしながら、このような場合であっても、本発明においては、搭乗者がオープンキャビンビークルに到達する前に、識別信号発信部から発信された識別信号を受けた携帯端末からの応答信号に応じて、電子機器の起動を開始できる。したがって、搭乗者がオープンキャビンビークルに到達する前に(オープンキャビンビークルが走行可能状態となる前に)、電子機器の起動を開始することができる。したがって、識別信号発信部を搭載した制御装置を利用することにより、消費電力を抑えつつ、オープンキャビンビークルの利便性の低下を抑え、電子機器による利便性を受けることができることが判明した。
【0017】
以上の知見に基づいて完成した本発明によるオープンキャビンビークルは、次の構成を備える。
【0018】
(1)一の観点によれば、本発明によるオープンキャビンビークルは、搭乗エリアが密閉空間ではないオープンキャビンビークルであって、
電源と、
駆動力を発生する駆動力発生装置と、
駆動力発生装置を制御する駆動力制御装置と、
電子機器と電気的に接続可能であり、電気機器に電力を供給可能な第1電力供給回路と、
駆動力制御装置に電力を供給可能な第2電力供給回路と、
第1電力供給回路での通電及び遮断を制御し、第2電力供給回路での通電及び遮断を制御する電力制御装置とを備える。
電力制御装置は、
携帯端末を所持している搭乗者によるオープンキャビンビークル及び携帯端末に対する操作なしに、識別可能な情報を含む識別信号を間欠的に発信する識別信号発信部と、
間欠的に発信された識別信号に応答して、携帯端末を所持している搭乗者によるオープンキャビンビークル及び携帯端末に対する操作なしに、携帯端末から送信された応答信号を受信する応答信号受信部と、
応答信号受信部が応答信号を受けたとき、第2電力供給回路での通電を指示せずに、第1電力供給回路での通電を指示する指示部とを含む。
【0019】
本明細書において、オープンキャビンビークルとは、キャビンが密閉空間ではなく、外部に開放されている車両であって、シートの横にドアを備えない車両である。オープンキャビンビークルはたとえば、鞍乗型車両、ROV(Recreational Off highway Vehicle)等である。ROVは、窓を有さないドアを備える場合もある。鞍乗型車両はたとえば、自動二輪車、全地形対応車(ATV:All Terrain Vehicle)等である。本実施形態では、オープンキャビンビークルの一例として、自動二輪車を示す。しかしながら、オープンキャビンビークルは自動二輪車に限定されない。オープンキャビンビークルは上記の定義の車両を含む。
【0020】
ここで、「通電」、「遮断」とは、電力の供給に対する通電、遮断を意味する。したがって、第1供給回路での通電とは、第1供給回路が電源からの電力を電子機器に供給することを意味し、第1供給回路での遮断とは、第1供給回路が電源からの電力を電子機器に供給するのを停止することを意味する。第2供給回路での通電とは、第2供給回路が電源からの電力を電子機器に供給することを意味し、第2供給回路での遮断とは、第2供給回路が電源からの電力を電子機器に供給するのを停止することを意味する。
【0021】
「指示する」とは、指示部が100%指示することに限定されない。たとえば、電源の電力が不足している場合、指示部は通電を指示しなくてもよい。要するに、指示部が1回でも通電を指示すれば、上記「指示する」に該当する。
【0022】
また、携帯端末を所持している搭乗者によるオープンキャビンビークル及び携帯端末に対する操作なしに、とは、搭乗者が携帯端末の物理キー(ハードキー)又はソフトキー(ソフトウェア的に再現されたキー)の操作ボタンを操作したり、オープンキャビンビークルの物理キー又はソフトキーを操作したりすることなしに、という意味である。物理キーは、スイッチ又はボタンが物理的に移動してオンオフを検知するキー(ハードキー)である。携帯端末の物理キー又はソフトキーはたとえば、キーボード、テンキー、電源ボタン、音量ボタン、ホーム画面に戻すためのホームボタン等である。オープンキャビンビークルの物理キーはたとえば、各種操作スイッチ(イグニッションスイッチ、メインスイッチ、アクセルグリップ、ブレーキレバー、ウインカースイッチ、ヘッドライトのハイ/ロー切り替えスイッチ)である。上記操作スイッチは、ソフトキーで機能可能な場合もある。
【0023】
また携帯端末はたとえば、スマートフォン、携帯電話機に代表されるPDA(Personal Digital Assistant)、タブレット、スマートキー、ノートパソコン、携帯ゲーム機等である。
【0024】
この場合、携帯端末を所持する搭乗者が、電力制御装置を含むオープンキャビンビークルに近づくというアクションを起こせば、搭乗者がオープンキャビンビークルに到達する前に、電子機器に電力が供給され、電子機器が起動を開始する。したがって、従来のように搭乗者がオープンキャビンビークルに到達してから電子機器を起動する場合と比較して、搭乗者がオープンキャビンビークルに到達してから電子機器が通常状態(使用可能状態)となるまでの時間を短縮できる。したがって、オープンキャビンビークルの利便性の低下を抑え、電子機器による利便性を受けることができる。
【0025】
(2)他の観点によれば、本発明のオープンキャビンビークルにおいて、
携帯端末は鍵情報を含む。
電力制御装置はさらに、
応答信号受信部が応答信号を受信したとき、携帯端末を所持している搭乗者によるオープンキャビンビークル及び携帯端末に対する操作なしに、鍵情報を含む鍵情報信号の送信を携帯端末に要求する要求信号を送信する要求信号送信部と、
要求信号送信部による要求信号に応答して、携帯端末を所持している搭乗者によるオープンキャビンビークル及び携帯端末に対する操作なしに、携帯端末から送信された鍵情報を含む鍵情報信号を受信する鍵情報信号受信部と、
鍵情報信号受信部により受信された鍵情報信号に基づいて、通電を許可するか否かを判断する通電許可判断部とを備える。
指示部は、通電許可判断部が通電を許可したとき、第2電力供給回路での通電を指示せずに、第1電力供給回路の通電を指示する。
【0026】
この場合、携帯端末を所持している搭乗者とオープンキャビンビークルとの間の距離が所定距離内となったときに、鍵認証を実施する。そのため、セキュリティを高めることができる。
【0027】
(3)他の観点によれば、本発明のオープンキャビンビークルにおいて、
応答信号は、携帯端末とオープンキャビンビークルとの間の距離に関する距離情報を含む。
電力制御装置はさらに、
携帯端末を所持している搭乗者によるオープンキャビンビークル及び携帯端末に対する操作なしに携帯端末から送信された距離情報を含む応答信号に基づいて、携帯端末とオープンキャビンビークルとの距離が第1距離内であるか、又は、第1距離よりも短い第2距離内であるかを判断する距離判断部を含む。
指示部は、
携帯端末とオープンキャビンビークルとの距離が第1距離内と距離判断部が判断したとき、第2電力供給回路での通電を指示せずに、第1電力供給回路での通電を指示し、
携帯端末とオープンキャビンビークルとの距離が第1距離よりも短い第2距離内と距離判断部が判断したとき、第2電力供給回路での通電を指示する。
【0028】
この場合、搭乗者がオープンキャビンビークルに近づくというアクションを行えば、第1距離内で電子機器が事前に起動を開始し、第1距離よりもオープンキャビンビークルに近い第2距離内で、駆動力制御装置12の起動を開始する。これにより、搭乗者がオープンキャビンビークルに到達してから電子機器が通常状態になるまでの時間を短縮できるだけでなく、オープンキャビンビークルが走行可能状態となるまでの時間も短縮できる。さらに、第1距離よりもオープンキャビンビークルに近い第2距離で駆動力制御装置の起動を開始することにより、搭乗者以外の第三者が、搭乗者がオープンキャビンビークルに到達する前に、オープンキャビンビークルに乗り込んでハンドルロックの解除及び/又は駆動力発生装置の始動等を行うのを抑制できる。
【0029】
(4)他の観点によれば、本発明のオープンキャビンビークルにおいて、
応答信号は、携帯端末とオープンキャビンビークルとの間の距離に関する距離情報を含む。
電力制御装置はさらに、
携帯端末を所持している搭乗者によるオープンキャビンビークル及び携帯端末に対する操作なしに携帯端末から送信された距離情報を含む応答信号に基づいて、携帯端末とオープンキャビンビークルとの距離が第1距離内であるか、又は、第1距離よりも短い第2距離内であるかを判断する距離判断部を含む。
指示部は、
通電許可判断部が通電を許可し、かつ、携帯端末とオープンキャビンビークルとの距離が第1距離内と距離判断部が判断したとき、第2電力供給回路での通電を指示せずに、第1電力供給回路での通電を指示し、
通電許可判断部が通電を許可し、かつ、携帯端末とオープンキャビンビークルとの距離が第1距離よりも短い第2距離内と距離判断部が判断したとき、第2電力供給回路での通電を指示する。
【0030】
この場合、搭乗者がオープンキャビンビークルに近づくというアクションを行えば、第1距離内で電子機器が事前に起動を開始し、第1距離よりもオープンキャビンビークルに近い第2距離内で、駆動力制御装置12の起動を開始する。これにより、搭乗者がオープンキャビンビークルに到達してから電子機器が通常状態になるまでの時間を短縮できるだけでなく、オープンキャビンビークルが走行可能状態となるまでの時間も短縮できる。さらに、第1距離よりもオープンキャビンビークルに近い第2距離で駆動力制御装置の起動を開始することにより、搭乗者以外の第三者が、搭乗者がオープンキャビンビークルに到達する前に、オープンキャビンビークルに乗り込んでハンドルロックの解除及び/又は駆動力発生装置の始動等を行うのを抑制できる。さらに、セキュリティを高めることができる。
【0031】
本明細書にて使用される場合、用語「及び/又は(and/or)」は1つの、又は複数の関連した列挙されたアイテム(items)のあらゆる又は全ての組み合わせを含む。
【0032】
本明細書中で使用される場合、用語「含む、備える(including)」、「含む、備える(comprising)」又は「有する(having)」及びその変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分及び/又はそれらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループのうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0033】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0034】
一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0035】
本発明の説明においては、技術及び工程の数が開示されていると理解される。これらの各々は個別の利益を有し、それぞれは、他の開示された技術の1つ以上、又は、場合によっては全てと共に使用することもできる。従って、明確にするために、この説明は、不要に個々のステップの可能な組み合わせの全てを繰り返すことを控える。それにもかかわらず、明細書及び請求の範囲は、そのような組み合わせが全て本発明及び請求項の範囲内にあることを理解して読まれるべきである。
【0036】
以下の説明では、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細を述べる。しかしながら、当業者には、これらの特定の詳細なしに本発明を実施できることが明らかである。本開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面又は説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態を説明する。以下の説明では、説明の目的で、本発明の理解を提供するために複数の具体的な詳細を述べる。しかしながら、当業者には、これらの特定の詳細なしに本発明を実施できることが明らかである。本開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0039】
[第1の実施形態]
[オープンキャビンビークルの全体構成]
本明細書において、オープンキャビンビークルとは、シートの横に窓を有するドアを備えない車両である。オープンキャビンビークルはたとえば、鞍乗型車両、ROV(Recreational Off highway Vehicle)等である。ROVは窓を有さないドアを備える場合もある。鞍乗型車両はたとえば、自動二輪車、全地形対応車(ATV:All Terrain Vehicle)等である。本実施形態では、オープンキャビンビークルの一例として、自動二輪車を示す。しかしながら、オープンキャビンビークルは自動二輪車に限定されない。オープンキャビンビークルは上記の定義の車両を含む。
【0040】
図1は、本発明の一実施の形態によるオープンキャビンビークル(自動二輪車)の構成を示す模式図である。以下の説明では、オープンキャビンビークルを自動二輪車として説明するが、オープンキャビンビークルは上述のとおり、自動二輪車に限定されない。
図1を参照して、自動二輪車100には、フロントフォーク2が、車両1の前部に設けられる。フロントフォーク2の上端にハンドル4が取付けられる。フロントフォーク2の下端に前輪3が回転可能に取付けられる。
【0041】
車両1の略中央上部にシート5が配置される。シート5の後部の下方には、制御装置10と、電源20とが配置される。制御装置10は、駆動力発生装置EUを制御したり、自動二輪車100内の駆動力発生装置EU以外の他の要素を制御したりする。電源20はたとえば、バッテリである。車両1の下部には、駆動力発生装置EUが設けられる。駆動力発生装置EUはエンジンであってもよいし、モータであってもよい。車両1の後端下部には、後輪8が回転可能に取り付けられている。後輪8は、駆動力発生装置EUにより発生される動力により回転する。
【0042】
[制御装置10周辺の機能ブロック図]
図1中に制御装置10及びその周辺の機能ブロック図を示す。
図1を参照して、電源20は、制御装置10に電力を供給する。制御装置10は駆動力発生装置EUと接続されており、駆動力発生装置EUを制御する。
【0043】
制御装置10はさらに、電子機器30と電気的に接続可能である。電子機器30はたとえば、PDA(Personal Digital Assistant)や、ナビゲーションシステム機器、電話システム機器、電子メール等の通信システム機器、オーディオプレーヤー機器等である。電子機器30は自動二輪車100に予め搭載されているものでもよい。電子機器30はまた、自動二輪車100に予め搭載されておらず、自動二輪車100に着脱可能であってもよい。着脱可能な電子機器30は、電力を供給するためのコネクタ(たとえばUSB等)を有する。
【0044】
[制御装置10の機能ブロック図]
図1を参照して、制御装置10内の駆動力制御装置12は、駆動力発生装置EUを制御する。駆動力制御装置はたとえば、ECU(Engine Control Unit)である。第2電力供給回路14は、電源20と電気的に接続されている。第2電力供給回路14はさらに、駆動力制御装置12と電気的に接続されている。ここで、電気的に接続されているとは、通電可能な状態であり、電力の供給を受けることが可能な状態であることを意味する。第2電力供給回路14は、電源20から電力を受け、駆動力制御装置12に電力を供給したり、遮断したりする。つまり、第2電力供給回路14はスイッチ回路(ドライバ)として機能する。
【0045】
第1電力供給回路13は、電源20と電気的に接続されている。第1電力供給回路13はさらに、電子機器30と電気的に接続される。電子機器30は自動二輪車100に着脱可能であってもよいし、一体化されて固定されたものであってもよい。電子機器30が自動二輪車100から着脱可能である場合、電子機器30が自動二輪車100に取付けられたとき、第1電力供給回路13は、電子機器30と電気的に接続される。第1電力供給回路13は、電源20から電力を受け、第1電力供給回路13と電気的に接続された電子機器30に電力を供給したり、遮断したりする。つまり、第1電力供給回路13はスイッチ回路(ドライバ)として機能する。
【0046】
電力制御装置11は、電源20と、第1電力供給回路13と、第2電力供給回路14とに電気的に接続されている。電力制御装置11は、第1電力供給回路13での通電及び遮断を制御する。つまり、電力制御装置11は、第1電力供給回路13に対して、電源20からの電力を、電子機器30に供給させたり、遮断させたりする。電力制御装置11はまた、第2電力供給回路14での通電及び遮断を制御する。つまり、電力制御装置11は、第2電力供給回路14に対して、電源20からの電力を、駆動力制御装置12に供給させたり、遮断させたりする。
【0047】
図1中に電力制御装置11の機能ブロック図を示す。
図1を参照して、電力制御装置11は識別信号発信部111を含む。識別信号発信部111は、識別可能な情報を含む識別信号ID(たとえばビーコン)を間欠的に外部に発信する。ここで、識別可能な情報はたとえば、UUID(University Unique Identifier)やUIID(Unique Installation IDentifier)、SecureUDID(Unique Device IDentifier)等である。
【0048】
識別信号発信部111は、自発的に、識別信号IDを間欠的に外部に発信する。したがって、識別信号発信部111は、携帯端末200を所持している搭乗者による自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、識別信号IDを間欠的に外部に発信する。ここで、携帯端末200を所持している搭乗者による自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、とは、搭乗者が携帯端末の物理キー(ハードキー)又はソフトキー(ディスプレイ内にソフトウェア的に再現されたキー)の操作ボタンを操作したり、自動二輪車100の物理キー又はソフトキーを操作したりすることなしに、という意味である。また、「間欠的に」とは、識別信号発信部111が所定期間ごとに発信してもよいし、不連続又は不定期に発信してもよい。好ましくは、識別信号発信部111は、所定期間ごとに定期的に識別信号IDを発信する。所定期間とはたとえば、10〜5000mm秒間隔である。所定期間の好ましい下限は50mm秒であり、さらに好ましくは100mm秒である。所定期間の好ましい上限は200mm秒であり、さらに好ましくは、1000mm秒であり、さらに好ましくは800mm秒であり、さらに好ましくは、700mm秒である。ただし、所定期間は上記間隔に限定されず、自由に設定可能である。
【0049】
電力制御装置11はさらに、応答信号受信部112を含む。応答信号受信部112は、携帯端末200を所持しているライダーによる自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、識別信号IDに応答した携帯端末200から送信される応答信号REを受信する。このとき、応答信号受信部112は、携帯端末200を所持している搭乗者による自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、携帯端末200から送信される応答信号REを受信する。携帯端末200を所持している搭乗者による自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、とは、搭乗者が携帯端末の物理キー(ハードキー)又はソフトキー(ディスプレイ内にソフトウェア的に再現されたキー)の操作ボタンを操作したり、自動二輪車100の物理キー又はソフトキーを操作したりすることなしに、という意味である。
【0050】
電力制御装置11はさらに、指示部113を含む。指示部113は、応答信号受信部112が、携帯端末200から送信される応答信号REを受信したとき、携帯端末200を所持している搭乗者による自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、第1電力供給回路13での通電を指示する。たとえば、応答信号受信部112が応答信号REを受信したとき、指示部113は、携帯端末200を所持している搭乗者による自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、第1電力供給回路13に対して、電源20から電子機器30への電力の供給の許可する通電許可信号PE1を出力する。第1電力供給回路13は、通電許可信号PE1を受けたとき、携帯端末200を所持している搭乗者による自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、電源20からの電力を電子機器30へ供給する。電子機器30は電力の供給を受けたとき(受電したとき)、携帯端末200を所持している搭乗者による自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、起動を開始する。携帯端末200を所持している搭乗者による自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、とは、搭乗者が携帯端末の物理キー(ハードキー)又はソフトキー(ディスプレイ内にソフトウェア的に再現されたキー)の操作ボタンを操作したり、自動二輪車100の物理キー又はソフトキーを操作したりすることなしに、という意味である。
【0051】
[電力制御装置11及び携帯端末200のハードウェア構成]
図2は、
図1に示す電力制御装置11のハードウェア構成の一例を示す機能ブロック図である。
図2を参照して、電力制御装置11は、ビーコン101と、マイコン102とを含む。ビーコン101とマイコン102とは1つのチップに搭載されていてもよい。ビーコン101はマイコン102と別個のチップに搭載されていてもよい。ビーコン101は、
図1中の電力制御装置11の機能ブロック図における識別信号発信部111に相当する。
【0052】
図3は、
図1中のマイコン102の機能ブロック図である。マイコン102は中央処理演算装置(CPU)103と、メモリ104と、通信部105とを備える。CPU103と、メモリ104と、通信部105とは、図示しないバスで互いに接続されている。メモリ104は、図示しないRAM及びROMを含む。メモリ104内のROMに格納された事前電力供給プログラムがRAMにロードされ、CPU103で実行されることにより、
図1中の機能モジュール(応答信号受信部112、指示部113)が実現する。
【0053】
図2を再び参照して、ビーコン101及びマイコン102は、電源20と接続されており、電源20から電力の供給を受ける。なお、
図2では、ビーコン101は電源20から電力の供給を受けている。しかしながら、ビーコン101自身に電源20とは異なる電源が内蔵されていてもよい。この場合、ビーコン101に内蔵される電源はたとえば、ボタン電池等の一次電池であってもよいし、二次電池であってもよい。
【0054】
図4は、
図1中の携帯端末200の機能ブロック図である。
図4を参照して、携帯端末200は、CPU201と、メモリ202と、通信部203とを備える。CPU201、メモリ202及び通信部203は、図示しないバスで互いに接続されている。メモリ202は、図示しないRAM及びROMを含む。メモリ202内に格納された携帯端末応答処理プログラムがロードされ、CPU201で実行されることにより、携帯端末200は、後述する携帯端末応答処理を実行する。
【0055】
ここで、携帯端末200は、ライダー(搭乗者)が所持可能であり、かつ、自動二輪車100と通信可能な機器である。携帯端末200はたとえば、スマートフォン、携帯電話機に代表されるPDA(Personal Digital Assistant)、スマートキー、ノートパソコン、携帯ゲーム機等である。
【0056】
[オープンキャビンビークル100の動作概要]
図1を参照して、電力制御装置11は、間欠的に識別信号IDを、電力制御装置11を中心とした距離DI1の範囲内に発信する。このとき、電力制御装置11は、自動二輪車100を上方から見た場合(平面視において)、全方位的に、識別信号IDを発信する。
【0057】
自動二輪車100のライダーの所持している携帯端末200では、上述のとおり、予めメモリ202に格納された携帯端末応答処理プログラムが起動している。一方、自動二輪車100の電力制御装置11では、メモリ104に格納された事前電力供給プログラムが起動している。
【0058】
携帯端末200を所持しているライダーが自動二輪車100に近づくと、ライダーが自動二輪車100に到達する前に、識別信号IDの到達範囲(電力制御装置11から距離DI1の範囲)内において、携帯端末200が識別信号IDを受信する。このとき、携帯端末200は、携帯端末200及び自動二輪車100に対する搭乗者の操作なしに、識別信号IDに対応した応答信号REを自動二輪車100に送信する。ここで、携帯端末を所持している搭乗者によるオープンキャビンビークル及び携帯端末に対する操作なしに、とは、搭乗者が携帯端末の物理キー(ハードキー)又はソフトキー(ソフトウェア的に再現されたキー)の操作ボタンを操作したり、オープンキャビンビークルの物理キー又はソフトキーを操作したりすることなしに、という意味である。
【0059】
電力制御装置11は、携帯端末200から送信された応答信号REを受信する。このとき、電力制御装置11は、第1電力供給回路に対して、第1電力供給回路13での通電を指示する。これにより、第1電力供給回路13は電源20の電力を、第1電力供給回路13に接続された電子機器30に供給する。電子機器30は、電源20からの電力を受け、起動を開始する。
【0060】
なお、応答信号REを受信したとき、電力制御装置11は、第1電力供給回路13での通電を指示するが、第2電力供給回路14での通電を指示しない。つまり、応答信号REを受信したとき、第1電力供給回路13は電力を電子機器30に供給するものの、この時点では、第2電力供給回路14は、電力を駆動力制御装置12に供給しない。そのため、電子機器30が起動を開始した時点では、駆動力制御装置12は起動を開始しておらず、駆動力発生装置EUも起動していない。
【0061】
以上のとおり、本発明では、携帯端末200を所持しているライダーが、電力制御装置11からの距離DI1の範囲内に入ったとき、電力制御装置11が、第1電力供給回路に対して、第1電力供給回路13での通電を指示して、電子機器30が起動を開始する。そのため、ライダーが自動二輪車100に到達してから自動二輪車100のメインスイッチを押して、電子機器30を起動する場合と比較して、ライダーが自動二輪車100に到達してから、電子機器30が通常状態となるまでの時間が短くなる。ライダーが自動二輪車100に到達する前に、事前に電子機器30に電力が供給され、起動が開始されるためである。そのため、ライダーが自動二輪車に到達した後、メインスイッチを押して駆動力制御装置12を起動して走行可能状態となった後、電子機器30が通常状態になるまで待つ時間を少なくすることができる。その結果、ライダーのストレスを抑制でき、自動二輪車100及び電子機器30の利便性を高めることができる。
【0062】
ここで、電子機器30が通常状態(使用可能状態)になるとは、その電子機器30が、通常の動作を実施できる状態を意味する。たとえば、電子機器30がナビゲーションシステムである場合、目的地の入力又は目的地への案内が可能な状態となることを意味する。電子機器30がオーディオプレーヤーである場合、音楽データが再生可能な状態を意味する。電子機器30が電話システム機器である場合、たとえば、電話システム機器の連絡先情報を閲覧可能であり、通話可能な状態であることを意味する。電子機器30が電子メール等の通信システム機器である場合、電子メールを作成可能であり、電子メールを送受信可能な状態であることを意味する。
【0063】
また、自動二輪車100が走行可能状態になるとは、駆動力制御装置12が駆動力発生装置EUを制御して駆動力を発生可能な状態(つまり、自動二輪車100が発進可能な状態)を意味する。
【0064】
なお、本例では、ライダーが自動二輪車100に到達して、ライダーが自動二輪車100に搭載されたメインスイッチ(図示せず)を押したとき、メインスイッチからの起動信号が出力される。電力制御装置11はメインスイッチからの通電許可信号PE2を受けたとき、第2電力供給回路14での通電を指示する。これにより、駆動力制御装置12が起動を開始し、走行可能状態となる。
【0065】
駆動力制御装置12が起動を開始して走行可能状態となるまでの時間は、電子機器30が起動して通常状態となるまでの時間よりも短い場合が多い。本実施形態では、ライダーが自動二輪車100に到達して自動二輪車100のメインスイッチを押す前、又は、メインスイッチを押す前後において速やかに、電子機器30の起動を開始できる。そのため、ライダーが自動二輪車100に到達してメインスイッチを押して電子機器30を起動する場合よりも、ライダーが自動二輪車100に到達してから電子機器30が通常状態となるまでの時間を短縮できる。
【0066】
本実施形態ではさらに、ライダーが携帯端末200を操作したり、自動二輪車100を操作したりするのではなく、ライダーが自動二輪車100に近づくという動作(アクション)を起こせば、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーの操作なしに、電子機器30の起動を開始することができる。そのため、ヘルメットや手袋を装着して、走行準備を完了したライダーは、ヘルメットや手袋を外して携帯端末200の操作を行う等の余分な動作をすることなく、電子機器30を起動できる。そのため、利便性がさらに高まる。
【0067】
以下、本実施形態における電力制御装置11及び携帯端末200の動作について、フロー図を用いて詳述する。
【0068】
[電力制御装置11及び携帯端末200の動作]
上記動作を実現するために、識別信号IDを間欠的に発信するビーコン発信処理と、識別信号IDに応答した携帯端末200の動作処理(携帯端末応答処理)と、携帯端末の動作処理に応答した自動二輪車100の動作処理(事前電力供給処理)とが実施される。ビーコン発信処理及び事前電力供給処理は、自動二輪車100内の電力制御装置11により実施される。携帯端末応答処理は携帯端末200により実施される。
【0069】
[ビーコン発信処理]
図5は、ビーコン発信処理の動作フロー図である。
図5を参照して、電力制御装置11内の識別信号発信部111は、所定のΔt時間経過ごとに(S2でYES)、識別信号ID(ビーコン)を、自動二輪車100の全方位的に発信する(S1)。なお、上述のとおり、識別信号発信部111は、自発的に識別信号IDを発信する。つまり、識別信号発信部111は、ライダーの自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、識別信号IDを発信する。ここで、ライダーの自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、とは、上述のとおり、識別信号発信部111が間欠的に識別信号IDを発信するために、ライダーが自動二輪車100を物理キー又はソフトキー等を用いて操作したり、携帯端末200を物理キー又はソフトキー等を用いて操作したりしないことを意味する。具体的には、識別信号発信部111に電源20から、又は、識別信号発信部111が有する電池等の電源により、識別信号発信部111に電力さえ供給されていれば、識別信号発信部111が識別信号IDを発信するために、ライダーが自動二輪車100を操作したり、携帯端末200を操作したりする必要がないことを意味する。
【0070】
[携帯端末応答処理]
図6は、携帯端末200による携帯端末応答処理の動作フロー図である。
図6を参照して、上記
図5の動作により間欠的に発信した識別信号IDを、携帯端末200が受信したとき(
図6中のS11)、携帯端末200は、応答信号REを自動二輪車100に送信する(S12)。上述のとおり、携帯端末200では、予めメモリ202に格納された携帯端末応答処理プログラムが作動している。携帯端末200はさらに、メモリ202に、自動二輪車100の制御装置10内の識別信号発信部111に固有の識別信号IDに関する情報(識別信号ID情報)を格納している。携帯端末200は、受信した識別信号IDがメモリ202内に格納された識別信号ID情報に対応するとき、応答信号REを送信する。
【0071】
なお、携帯端末200は、識別信号IDを受けたとき、ライダーの自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、上記動作を実行して、応答信号REを送信する。ここで、S11及びS12において、ライダーの自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、とは、携帯端末200が識別信号IDを受けたとき、ライダーが物理キー又はソフトキー等を用いて携帯端末200を操作しなくても、携帯端末200が応答信号REを送信することを意味する。したがって、携帯端末200が識別信号IDを受けたとき、ライダーが携帯端末200の物理キー及びソフトキー等の操作ボタンを操作したり、携帯端末200の音声コントロールシステム(携帯端末200がライダーの音声を認証することにより操作が行われるシステム)等により携帯端末200を操作したりすることなく、携帯端末200は応答信号REを送信する。
【0072】
[事前電力供給処理]
図7は、電力制御装置11による事前電力供給処理の動作フロー図である。
図7を参照して、携帯端末200から応答信号REが送信されたとき、電力制御装置11内の応答信号受信部112は、その応答信号REを受信する(S21でYES)。このとき、応答信号受信部112は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーによる操作なしに、上記応答信号REを受信する。つまり、ライダーが自動二輪車100の電力制御装置11を操作したり、携帯端末200を操作したりすることなく、応答信号受信部112は自動で、応答信号REを受信する。
【0073】
応答信号受信部112が応答信号REを受信した後、指示部113は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーによる操作なしに、第1電力供給回路13での通電を指示する(S22)。具体的には、指示部113は、第1電力供給回路13に対して通電許可信号PE1を出力する。このとき、ライダーが自動二輪車100の電力制御装置11を操作したり、携帯端末200を操作したりすることなく、指示部113は、通電許可信号PE1を出力する。
【0074】
通電許可信号PE1を受けた第1電力供給回路13は、電源20からの電力を電子機器30に供給する。電子機器30は、電力の供給を受けたとき、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーによる操作なしに、起動を開始する。つまり、電子機器30は受電したとき、起動を開始する。
【0075】
なお、応答信号受信部112が応答信号REを受信したとき(S21でYES)、指示部113は、第1電力供給回路13での通電を指示するものの、第2電力供給回路14での通電を指示しない(S22)。つまり、応答信号REの受信に対して、指示部113は第1電力供給回路13での通電のみ許可する。したがってこの場合、駆動力制御装置12の起動は開始せず、電子機器30の起動が開始する。
【0076】
以上の動作フローにより、携帯端末200を所持するライダーが、電力制御装置11から距離DI1の距離に近づくというアクションを起こせば、自動二輪車100及び携帯端末200に対してライダーが何らの操作をすることなく、電子機器30が起動を開始できる。したがって、ライダーが自動二輪車100に到達するまでに、電子機器30は既に起動を開始している。そのため、従来のようにライダーが自動二輪車100に到達してから電子機器30を起動する場合と比較して、ライダーが自動二輪車100に到達してから電子機器30が通常状態となるまでの時間を短縮できる。
【0077】
なお、本実施形態では、ライダーが自動二輪車100に到達したのち、メインスイッチを押す。このとき、メインスイッチの押下に応じて(つまり、ライダーの操作に応じて)、指示部113は第2電力供給回路14での通電を指示する。具体的には、指示部113は通電許可信号PE2を出力する。第2電力供給回路14は、通電許可信号PE2を受けたとき、電源20の電力を駆動力制御装置12に供給する。駆動力制御装置12は、電力の供給を受けたとき、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーによる操作なしに、起動を開始する。起動を開始した後所定時間が経過すると、駆動力制御装置12が通常状態(つまり、駆動力制御装置12が駆動力発生装置EUを制御できる状態)となり、走行可能状態となる。
【0078】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、電力制御装置11の事前電力供給処理及び携帯端末200の携帯端末応答処理において、ライダーの利便性を高めつつ、セキュリティも高める。
【0079】
図8は第2の実施形態におけるオープンキャビンビークル(自動二輪車)の構成を示す模式図である。
図8を参照して、第2の実施形態では、
図1の第1の実施形態と比較して、電力制御装置11の構成が異なる。
【0080】
図8を参照して、電力制御装置11は、
図1と同様に、識別信号発信部111と、応答信号受信部112と、指示部113とを含む。
【0081】
電力制御装置11はさらに、要求信号送信部114を含む。要求信号送信部114は、携帯端末200からの応答信号REの受信に応じて、携帯端末200を所持するライダーによる自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、鍵情報KEYを含む信号の送信を要求する要求信号CAを携帯端末200に送信する。
【0082】
電力制御装置11はさらに、鍵情報信号受信部115を含む。鍵情報信号受信部115は、携帯端末200を所持しているライダーによる自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、携帯端末200から送信される鍵情報KEYを含む鍵情報信号を受信する。ここで、鍵情報KEYは、固有のIDコードである。携帯端末200は、電力制御装置11に格納されている鍵情報(IDコード)に対応する鍵情報KEYを予めメモリ202等に格納している。鍵情報KEYはたとえば、携帯端末応答プログラムに格納されている。
【0083】
電力制御装置11はさらに、通電許可判断部116を含む。通電許可判断部116は、鍵情報信号受信部115により受信された鍵情報KEYに基づいて、携帯端末200を所持しているライダーによる自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、第1電力供給回路13での通電を許可するか否かを判断する。具体的には、通電許可判断部116は、鍵情報信号受信部115により受信された鍵情報KEYと、予め電力制御装置11内に格納された鍵情報とを電子的に照合し、受信された鍵情報KEYと、電力制御装置11内に格納された鍵情報とが一致するか否かを判断する。受信された鍵情報KEYと、電力制御装置11内に格納された鍵情報とが一致するとき、通電許可判断部116は、第1電力供給回路13での通電を許可する。
【0084】
本実施形態では、通電許可判断部116が第1電力供給回路13での通電を許可したとき、指示部113は、第1電力供給回路13での通電を指示する。たとえば、指示部113は、第1電力供給回路13に対して、電源20から電子機器30への電力の供給の許可する通電許可信号PE1を出力する。このとき、指示部113は、第2電力供給回路14での通電を指示しない。
【0085】
第1電力供給回路13は、通電許可信号PE1を受けたとき、電源20からの電力を電子機器30へ供給する。これにより、電子機器30は、電力を受け、起動を開始する。
【0086】
以上のとおり、本実施形態では、第1実施形態と比較して、電力制御装置11の事前電力供給処理及び携帯端末200の携帯端末応答処理において、いわゆる鍵認証を実施する。これにより、ライダーの利便性を高めつつ、セキュリティを高める。以下、本実施形態における電力制御装置11でのビーコン発信処理、事前電力供給処理、及び、携帯端末200での携帯端末応答処理について詳述する。
【0087】
[ビーコン発信処理]
第2の実施形態のビーコン発信処理は、第1の実施形態の
図5と同じである。すなわち、
図5を参照して、電力制御装置11内の識別信号発信部111は、所定のΔt時間経過ごとに(S2でYES)、識別信号IDを、自動二輪車100の平面視において全方位的に発信する(S1)。なお、上述のとおり、識別信号発信部111は、自動的に識別信号IDを発信する。つまり、識別信号発信部111は、ライダーの自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、自発的に、識別信号IDを発信する。
【0088】
[携帯端末応答処理及び事前電力供給処理]
図9は、携帯端末200での携帯端末応答処理の動作フロー図であり、
図10は、電力制御装置11での事前電力供給処理の動作フロー図である。
【0089】
図9及び
図10を参照して、ビーコン発信処理により識別信号発信部111から発信された識別信号IDを携帯端末200が識別信号IDを受信したとき(S11)、携帯端末200は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーの操作なしに、応答信号REを自動二輪車100に送信する(S12)。ここで、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーの操作なしに、とは、上述のとおり、ライダーが携帯端末200の物理キー(ハードキー)又はソフトキー等の操作ボタンを操作したり、ライダーが自動二輪車100の物理キー又はソフトキーを操作したりすることなしに、という意味である。以下の各動作においても同じである。
【0090】
自動二輪車100の電力制御装置11内の応答信号受信部112は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーの操作なしに、携帯端末200からの応答信号REを受信する(S21でYES)。
【0091】
応答信号受信部112による応答信号REの受信に応じて、要求信号送信部114は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーの操作なしに、鍵情報KEYを含む信号(鍵情報信号)の送信を携帯端末200に要求する要求信号CAを送信する(S22)。
【0092】
携帯端末200は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーの操作なしに、要求信号CAを受信する(S13でYES)。携帯端末200は、受信した要求信号CAに応じて、メモリ202内に予め格納された鍵情報KEYを含む鍵情報信号を、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーの操作なしに、自動二輪車100に送信する(S14)。
【0093】
自動二輪車100の電力制御装置11内の鍵情報信号受信部115は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーの操作なしに、鍵情報KEYを含む鍵情報信号を受信する(S23でYES)。このとき、電力制御装置11内の通電許可判断部116は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーの操作なしに、鍵認証処理を実行する(S24)。
【0094】
鍵認証処理では、通電許可判断部116が、携帯端末200を所持するライダーの自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、ステップS23で受信した鍵情報KEYに基づいて、第1電力供給回路13での通電を許可するか否かを判断する。判断手法は特に限定されない。たとえば、通電許可判断部116が実行する鍵認証処理は、イモビライザー認証であってもよいし、他の周知の認証方法であってもよい。一例として、上記のとおり、電力制御装置11の通電許可判断部116は、メモリ104に格納された鍵情報と、携帯端末200から送信された鍵情報KEYとが一致するか否かを判断する。
【0095】
鍵情報KEYを認証できない場合(S25でNO)、電力制御装置11の事前電力供給処理は終了する。一方、鍵情報KEYを認証できた場合、通電許可判断部116は、第1電力供給回路13での通電を許可する(S25でYES)。通電許可判断部116は、以上の動作を自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーの操作なしに実施する。
【0096】
通電許可判断部116が第1電力供給回路13での通電を許可したとき(S25でYES)、指示部113は、第1電力供給回路13での通電を指示する(S26)。具体的には、指示部113は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーの操作なしに、第1電力供給回路13に対して通電許可信号PE1を出力する。このとき、指示部113は、第2電力供給回路14での通電を指示しない。
【0097】
第1電力供給回路13は、通電許可信号PE1を受けたとき、電子機器30に電源20の電力を供給する。これにより、電子機器30は起動を開始し、特定時間経過後に、通常状態(使用可能状態)になる。
【0098】
第1の実施形態と同様に、例えば、ライダーが自動二輪車100に到達してメインスイッチを押したとき、メインスイッチから起動信号が出力される。指示部113は起動信号を受けたとき、第2電力供給回路14での通電を指示する。具体的には、指示部113は、第2電力供給回路14に対して通電許可信号PE2を出力する。第2電力供給回路14は、通電許可信号PE2を受け、駆動力制御装置12に電源20の電力を供給する。これにより、駆動力制御装置12が起動を開始し、特定時間経過後に、走行可能状態となる。
【0099】
以上のとおり、第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、携帯端末200を所持するライダーが、電力制御装置11から第1距離DI1の距離に近づくというアクションを起こせば、ライダーが自動二輪車100の物理キー又はソフトキー等を操作したり、携帯端末200の物理キー又はソフトキー等を操作したりすることなく、ライダーが自動二輪車100に到達する前に、電子機器30の起動を開始できる。したがって、従来のようにライダーが自動二輪車100に到達してから電子機器30を起動する場合と比較して、ライダーが自動二輪車100に到達してから電子機器30が通常状態となるまでの時間を短縮できる。さらに、事前電力供給処理において鍵認証を実施するため、セキュリティを高めることができる。
【0100】
[第3の実施形態]
上述の実施の形態では、ライダーが自動二輪車100に近づくというアクションに基づいて、電子機器30の起動をライダーが自動二輪車100に到達する前に起動した。第3の実施の形態では、ライダーが自動二輪車100に近づくというアクションに基づいてさらに、ライダーが自動二輪車100に到達する前に、自動二輪車100の駆動力制御装置12の起動を開始する。これにより、ライダーが自動二輪車100に到達したとき、電子機器30が既に起動しているだけでなく、駆動力制御装置12も既に起動を開始している。そのため、ライダーが自動二輪車100に到達してから電子機器30が使用可能状態になるまでの時間を短縮できるだけでなく、自動二輪車100が走行可能状態となるまでの時間も短縮できる。
【0101】
図11は第3の実施形態におけるオープンキャビンビークル(自動二輪車)の構成を示す模式図である。
図11を参照して、第3の実施形態では、第1及び第2の実施形態と比較して、電力制御装置11の構成が異なる。
【0102】
図11を参照して、識別信号発信部111は、識別信号IDを間欠的に発信する。この識別信号は、電力制御装置11(の識別信号発信部111)からの距離に関する距離情報を含む。たとえば、識別信号IDは、信号強度の指標であるRSSI(Received Signal Strength Indicator)を含む。
図11中の第1距離DI1でのRSSIと、第1距離DI1よりも短い第2距離DI2でのRSSIとは異なる値を示す。たとえば、第2距離DI2地点での識別信号IDのRSSI値は、第1距離DI1地点での識別信号IDのRSSI値よりも高い。
【0103】
識別信号IDは、上記RSSIに代えて、他の距離情報を含んでもよい。たとえば、識別信号IDは、第2距離DI2まで届く強度の場合、近距離識別子IMMEDIATEを含み、第1距離DI1まで届く強度の場合、中距離識別子NEARを含む。この場合においても、識別信号IDは距離情報を含むことができる。
【0104】
携帯端末200は、識別信号IDを受信したとき、識別信号に含まれる距離情報を応答信号REに含めて送信する。
【0105】
電力制御装置11はさらに、距離判断部117を含む。距離判断部117は、応答信号REに含まれる距離情報に基づいて、携帯端末200を所持しているライダーによる自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、携帯端末200と自動二輪車100との距離が第1距離DI1内であるか、第1距離DI1よりも短い第2距離DI2内であるかを判断する。ここで、携帯端末200と自動二輪車100との距離が第1距離DI1内であるとは、第1距離DI1内であって第2距離DI2外であることを意味する。
【0106】
携帯端末200と自動二輪車100との間の距離が第1距離DI1内であると距離判断部117が判断したとき、指示部113は、第2電力供給回路14での通電を指示せずに、第1電力供給回路13での通電を指示する。これにより、第1電力供給回路13は、電子機器30に電力を供給し、電子機器30は、電力を受けて起動を開始する。また、携帯端末200と自動二輪車100との間の距離が、第1距離DI1よりも自動二輪車100に近い第2距離DI2内であると距離判断部117が判断したとき、指示部113は、第2電力供給回路での通電を指示する。これにより、第2電力供給回路14は、駆動力制御装置12に電力を供給し、駆動力制御装置12は、電力を受けて起動を開始する。このとき、指示部113は、携帯端末200を所持するライダーの自動二輪車100及び携帯端末200の操作なしに、上記動作を実施する。
【0107】
以上の動作により、ライダーは、自動二輪車100に近づくというアクションを行えば、第1距離DI1内(であって第2距離DI2外)で電子機器30が事前に起動を開始し、第1距離DI1よりも自動二輪車100に近い第2距離DI2内で、駆動力制御装置12の起動を開始する。これにより、ライダーが自動二輪車100に到達してから電子機器30が使用可能状態になるまでの時間を短縮できるだけでなく、自動二輪車100が走行可能状態となるまでの時間も短縮できる。さらに、第1距離DI1よりも近い第2距離DI2で駆動力制御装置12の起動を開始することにより、ライダー以外の第三者が、ライダーが自動二輪車100に到達する前に、自動二輪車100に乗り込んでハンドルロックの解除及び/又は駆動力発生装置EUの始動等を行うのを抑制できる。
【0108】
以下、本実施形態における電力制御装置11でのビーコン発信処理、事前電力供給処理、及び、携帯端末200での携帯端末応答処理について詳述する。
【0109】
[ビーコン発信処理]
第3の実施形態のビーコン発信処理は、第1の実施形態の
図5と同じである。すなわち、
図5を参照して、電力制御装置11内の識別信号発信部111は、所定のΔt時間経過ごとに(S2でYES)、識別信号IDを、自動二輪車100の平面視において全方位的に発信する(S1)。なお、上述のとおり、識別信号発信部111は、自動的に識別信号IDを発信する。つまり、識別信号発信部111は、ライダーの自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、自発的に、識別信号IDを発信する。なお、本実施形態では、識別信号発信部111は、上述の距離情報を含む識別信号IDを発信する。
【0110】
[携帯端末応答処理]
図12は、携帯端末200による携帯端末応答処理の動作フロー図である。
図12を参照して、間欠的に発信した識別信号IDを、携帯端末200が受信したとき(S11)、携帯端末200は、応答信号REを自動二輪車100に送信する(S15)。上述のとおり、携帯端末200では、予めメモリ202に格納された携帯端末応答処理プログラムが作動している。携帯端末200はさらに、メモリ202に、自動二輪車100の電力制御装置11内の識別信号発信部111に固有の識別信号IDに関する情報(識別信号ID情報)を格納している。携帯端末200は、受信した識別信号IDがメモリ202内に格納された識別信号ID情報に対応するとき、応答信号REを送信する。
【0111】
このとき、携帯端末200はさらに、応答信号REに、受信した識別信号IDに含まれる距離情報を含めて送信する(S15)。なお、携帯端末200は上記動作を、ライダーの自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに実行する。ここで、S11及びS15において、ライダーの自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、とは、携帯端末200が上記動作をするときに、ライダーが携帯端末200の物理キー又はソフトキー等を操作したり、自動二輪車100の物理キー又はソフトキー等を操作したりしないことを意味する。
【0112】
[事前電力供給処理]
図13は、電力制御装置11による事前電力供給処理の動作フロー図である。
図13を参照して、携帯端末200から応答信号REが送信されたとき、電力制御装置11内の応答信号受信部112は、その応答信号REを受信する(S21でYES)。このとき、応答信号受信部112は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーによる操作なしに、上記応答信号REを受信する。
【0113】
応答信号受信部112が応答信号REを受信した後、距離判断部117は、応答信号REに含まれる距離情報に基づいて、携帯端末200と自動二輪車100との間の距離を判断する(S27)。このとき、距離判断部117は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーによる操作なしに、上記判断を実行する。
【0114】
距離判断部117が、携帯端末200と自動二輪車100との間の距離が第1距離DI1内であると判断したとき、指示部113は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーによる操作なしに、第2電力供給回路14での通電を指示せずに、第1電力供給回路13での通電を指示する(S22)。これにより、第1電力供給回路13は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーによる操作なしに、電源20の電力を電子機器30に供給する。これにより、電子機器30は、受電して起動を開始する。
【0115】
携帯端末200を所持するライダーがさらに自動二輪車100に近づき、第2距離DI2内に入ったとき、携帯端末200は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーによる操作なしに、距離DI2に相当する距離情報を含む応答信号REを送信する(S15)。
【0116】
このとき、電力制御装置11の応答信号受信部112は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーによる操作なしに、応答信号REを受信する(S21)。そして、距離判断部117は、受信した応答信号RE内の距離情報に基づいて、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーによる操作なしに、携帯端末200と自動二輪車100との間の距離が第2距離DI2内であると判断する(S27)。このとき、指示部113は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーによる操作なしに、第2電力供給回路14での通電を指示する(S28)。これにより、第2電力供給回路14は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーによる操作なしに、電源20の電力を駆動力制御装置12に供給する。そのため、駆動力制御装置12は、受電して起動を開始する。
【0117】
以上の動作により、ライダーは、自動二輪車100に近づくというアクションを行えば、第1距離DI1内で電子機器30が事前に起動を開始し、第1距離DI1よりも自動二輪車100に近い第2距離DI2内で、駆動力制御装置12の起動を開始する。これにより、ライダーが自動二輪車100に到達してから電子機器30が使用可能状態になるまでの時間を短縮できるだけでなく、自動二輪車100が走行可能状態となるまでの時間も短縮できる。さらに、第1距離DI1よりも自動二輪車100に近い第2距離DI2内で駆動力制御装置12の起動を開始することにより、ライダー以外の第三者が、ライダーが自動二輪車100に到達する前に、自動二輪車100に乗り込んでハンドルロックの解除及び/又は駆動力発生装置EUの始動等を行うのを抑制できる。
【0118】
[第4の実施形態]
第4の実施形態では、第3の実施形態に対してさらに、第2の実施形態のようにセキュリティを高める。
【0119】
図14は第4の実施形態におけるオープンキャビンビークル(自動二輪車)の構成を示す模式図である。
図14を参照して、第4の実施形態では、
図11の第3の実施形態と比較して、電力制御装置11の構成が異なる。
【0120】
電力制御装置11は、
図11と同様に、識別信号発信部111と、応答信号受信部112と、指示部113と、距離判断部117とを含む。
【0121】
電力制御装置11はさらに、要求信号送信部114を含む。要求信号送信部114は、携帯端末200からの応答信号REの受信に応じて、携帯端末200を所持するライダーによる自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、鍵情報KEYを含む信号の送信を要求する要求信号CAを携帯端末200に送信する。
【0122】
電力制御装置11はさらに、鍵情報信号受信部115を含む。鍵情報信号受信部115は、携帯端末200を所持しているライダーによる自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、携帯端末200から送信される鍵情報KEYを含む鍵情報信号を受信する。ここで、鍵情報KEYは、固有のIDコードである。携帯端末200は、電力制御装置11に格納されている鍵情報(IDコード)に対応する鍵情報KEYを予めメモリ202等に格納している。鍵情報KEYはたとえば、携帯端末応答プログラムに格納されている。
【0123】
電力制御装置11はさらに、通電許可判断部116を含む。通電許可判断部116は、鍵情報信号受信部115により受信された鍵情報KEYに基づいて、携帯端末200を所持しているライダーによる自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、第1電力供給回路13又は第2電力供給回路14での通電を許可するか否かを判断する。具体的には、通電許可判断部116は、鍵情報信号受信部115により受信された鍵情報KEYと、予め電力制御装置11内に格納された鍵情報とを電子的に照合し、受信された鍵情報KEYと、電力制御装置11内に格納された鍵情報とが一致するか否かを判断する。受信された鍵情報KEYと、電力制御装置11内に格納された鍵情報とが一致するとき、通電許可判断部116は、第1電力供給回路13又は第2電力供給回路14での通電を許可する。
【0124】
本実施形態では、通電許可判断部116が通電を許可したとき、距離判断部117が、応答信号REに含まれる距離情報に基づいて、携帯端末200を所持しているライダーによる自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、携帯端末200と自動二輪車100との距離が第1距離DI1内であるか、第1距離DI1よりも短い第2距離DI2内であるかを判断する。
【0125】
通電許可判断部116が通電を許可し、かつ、携帯端末200と自動二輪車100との間の距離が第1距離DI1内であると距離判断部117が判断したとき、指示部113は、第2電力供給回路14での通電を指示せずに、第1電力供給回路13での通電を指示する。これにより、第1電力供給回路13は、電子機器30に電力を供給し、電子機器30は、電力を受けて起動を開始する。また、通電許可判断部116が通電を許可し、かつ、携帯端末200と自動二輪車100との間の距離が第2距離DI2内であると距離判断部117が判断したとき、指示部113は、第2電力供給回路14での通電を指示する。これにより、第2電力供給回路14は、駆動力制御装置12に電力を供給し、駆動力制御装置12は、電力を受けて起動を開始する。このとき、指示部113は、携帯端末200を所持するライダーの自動二輪車100及び携帯端末200の操作なしに、上記動作を実施する。
【0126】
以上の動作により、ライダーは、自動二輪車100に近づくというアクションを行えば、第1距離DI1内(かつ、第2距離DI2外)で電子機器30が事前に起動を開始し、第1距離DI1よりも自動二輪車100に近い第2距離DI2内で、駆動力制御装置12の起動を開始する。これにより、ライダーが自動二輪車100に到達してから電子機器30が使用可能状態になるまでの時間を短縮できるだけでなく、自動二輪車100が走行可能状態となるまでの時間も短縮できる。さらに、第1距離DI1よりも自動二輪車100に近い第2距離DI2で駆動力制御装置12の起動を開始することにより、ライダー以外の第三者が、ライダーが自動二輪車100に到達する前に、自動二輪車100に乗り込んでハンドルロックの解除及び/又は駆動力発生装置EUの始動等を行うのを抑制できる。さらに、鍵情報に基づく鍵認証を実施するため、上記処理動作のセキュリティを高めることができる。
【0127】
以下、本実施形態における電力制御装置11でのビーコン発信処理、事前電力供給処理、及び、携帯端末200での携帯端末応答処理について詳述する。
【0128】
[ビーコン発信処理]
第4の実施形態のビーコン発信処理は、第3の実施形態と同じである。すなわち、
図5を参照して、電力制御装置11内の識別信号発信部111は、所定のΔt時間経過ごとに(S2でYES)、識別信号IDを、自動二輪車100において全方位的に発信する(S1)。なお、上述のとおり、識別信号発信部111は、自動的に識別信号IDを発信する。つまり、識別信号発信部111は、ライダーの自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、自発的に、識別信号IDを発信する。ただし、本実施形態では、識別信号発信部111は、第3の実施形態と同様に、上述の距離情報を含む識別信号IDを発信する。
【0129】
[携帯端末応答処理及び事前電力供給処理]
図15は、携帯端末200での携帯端末応答処理の動作フロー図であり、
図16は、電力制御装置11での事前電力供給処理の動作フロー図である。
【0130】
図15及び
図16を参照して、ビーコン発信処理により識別信号発信部111から発信された識別信号IDを携帯端末200が受信したとき(S11)、携帯端末200は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーの操作なしに、応答信号REを自動二輪車100に送信する(S15)。このとき、携帯端末200は、応答信号REに、識別信号IDに含まれる距離情報を含めて送信する(S15)。
【0131】
自動二輪車100の電力制御装置11内の応答信号受信部112は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーの操作なしに、携帯端末200からの応答信号REを受信する(S21でYES)。
【0132】
応答信号受信部112による応答信号REの受信に応じて、要求信号送信部114は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーの操作なしに、鍵情報KEYを含む信号の送信を携帯端末200に要求する要求信号CAを送信する(S22)。
【0133】
携帯端末200は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーの操作なしに、要求信号CAを受信する(S13でYES)。携帯端末200は、受信した要求信号CAに応じて、メモリ202内に予め格納された鍵情報KEYを含む鍵情報信号を、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーの操作なしに、自動二輪車100に送信する(S14)。
【0134】
自動二輪車100の電力制御装置11内の鍵情報信号受信部115は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーの操作なしに、鍵情報KEYを含む信号を受信する(S23でYES)。このとき、電力制御装置11内の通電許可判断部116は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーの操作なしに、鍵認証処理を実行する(S24)。
【0135】
鍵認証処理では、通電許可判断部116が、携帯端末200を所持するライダーの自動二輪車100及び携帯端末200に対する操作なしに、ステップS23で受信した鍵情報KEYに基づいて、第1電力供給回路13又は第2電力供給回路14での通電を許可するか否かを判断する。判断手法は特に限定されない。たとえば、通電許可判断部116が実行する鍵認証処理は、イモビライザー認証であってもよいし、他の周知の認証方法であってもよい。一例として、上記のとおり、電力制御装置11の通電許可判断部116は、メモリ104に格納された鍵情報と、携帯端末200から送信された鍵情報KEYとが一致するか否かを判断する。
【0136】
鍵情報KEYを認証できない場合(S25でNO)、電力制御装置11の処理動作は終了する。一方、鍵情報KEYを認証できた場合、通電許可判断部116は、第1電力供給回路13又は第2電力供給回路14での通電を許可する(S25でYES)。
【0137】
通電許可116判断部が通電を許可したとき(S25でYES)、距離判断部117は、ステップS21で受信した応答信号REに基づいて、携帯端末200と自動二輪車100との間の距離が第1距離DI1内であるか、第2距離DI2内であるかを判断する(S27)。携帯端末200と自動二輪車100との間の距離が第1距離DI1内と距離判断部117が判断した場合、指示部113は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーによる操作なしに、第2電力供給回路14での通電を指示せずに、第1電力供給回路13での通電を指示する(S26)。これにより、第1電力供給回路13は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーによる操作なしに、電源20の電力を電子機器30に供給する。これにより、電子機器30は、受電して起動を開始する。
【0138】
さらに、携帯端末200を所持するライダーがさらに自動二輪車100に近づき、第2距離DI2内に入ったとき、携帯端末200は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーによる操作なしに、距離DI2に相当する距離情報を含む応答信号REを送信する(S15)。
【0139】
この場合において、通電許可判断部116が通電を許可したとき(S25でYES)、距離判断部117は、受信した応答信号RE内の距離情報に基づいて、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーによる操作なしに、携帯端末200と自動二輪車100との間の距離が第2距離DI2内であると判断する(S27)。このとき、指示部113は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーによる操作なしに、第2電力供給回路14での通電を指示する(S28)。これにより、第2電力供給回路14は、自動二輪車100及び携帯端末200に対するライダーによる操作なしに、電源20の電力を駆動力制御装置12に供給する。これにより、駆動力制御装置12は、受電して起動を開始する。
【0140】
なお、
図16では、通電許可判断部116が鍵認証を実施した後(S24及びS25)、通電許可判断部116が距離の判断を行った(S27)。しかしながら、本発明はこれに限定されない。通電許可判断部116の判断は、通電許可判断部116の判断の後で実施してもよい。いずれにおいても、指示部113は、通電許可判断部116が通電を許可し、かつ、通電許可判断部116が携帯端末200と自動二輪車100との距離を第1距離DI1内と判断したとき、第2電力供給回路14での通電を指示せずに、第1電力供給回路13での通電を指示する。指示部113はまた、通電許可判断部116が通電を許可し、かつ、通電許可判断部116が携帯端末200と自動二輪車100との距離を第2距離DI2内と判断したとき、第2電力供給回路14での通電を指示する。
【0141】
以上の動作により、ライダーは、自動二輪車100に近づくというアクションを行えば、第1距離DI1内で電子機器30が事前に起動を開始し、第1距離DI1よりも自動二輪車100に近い第2距離DI2内で、駆動力制御装置12の起動を開始する。これにより、ライダーが自動二輪車100に到達してから電子機器30が使用可能状態になるまでの時間を短縮できるだけでなく、自動二輪車100が走行可能状態となるまでの時間も短縮できる。さらに、第1距離DI1よりも自動二輪車100に近い第2距離DI2で駆動力制御装置12の起動を開始することにより、ライダー以外の第三者が、ライダーが自動二輪車100に到達する前に、自動二輪車100に乗り込んでハンドルロックの解除及び/又は駆動力発生装置EUの始動等を行うのを抑制できる。さらに、事前電力供給処理において鍵認証を実施するため、セキュリティを高めることができる。
【0142】
上記第1距離DI1、第2距離DI2は、自動二輪車100に代表されるオープンキャビンビークルの種類、大きさ等に応じた距離(たとえば、第三者によって自動二輪車100を操作されるのを抑制しやすい距離)、又は、ライダーに代表される搭乗者の電子機器30及び駆動力制御装置12の起動タイミングに不満が出にくいような条件に基づいて適宜決めることができる。
【0143】
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
【0144】
電力制御装置11を含む制御装置10の配置場所は、
図1、
図8、
図11、
図14に示す場所に限定されない。電力制御装置11を含む制御装置10は、自動二輪車100に代表されるオープンキャビンビークルに搭載されれば、搭載位置は特に限定されない。電子機器30の配置場所も、
図1、
図8、
図11及び
図14に示す場所に限定されない。電子機器30は、自動二輪車100に代表されるオープンキャビンビークルに搭載されれば、搭載位置は特に限定されない。
【0145】
また、携帯端末200内の鍵情報KEYや識別信号IDに関する情報は、図示しないサーバを経由して携帯端末200にダウンロード可能である。したがって、たとえば、ライダーに代表される搭乗者が携帯端末200を紛失した場合や、友人等に自動二輪車100を貸す場合、携帯端末200と異なる他の携帯端末に鍵情報KEY及び識別信号IDに関する情報をダウンロードすることにより、上述の携帯端末応答処理を実行することができる。
【0146】
上述の実施の形態では、駆動力制御装置12が起動を開始したとき、ハンドルロックの解除と駆動力制御装置12の起動とを同時に実施してもよい。
【0147】
本明細書にて使用される専門用語は特定の実施例のみを定義する目的であって、発明を制限する意図を有しない。