特許第6987128号(P6987128)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6987128ディーゼルエンジン用燃料油の浄化の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987128
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】ディーゼルエンジン用燃料油の浄化の方法
(51)【国際特許分類】
   C10L 1/08 20060101AFI20211213BHJP
   B01D 17/02 20060101ALI20211213BHJP
   B01D 17/038 20060101ALI20211213BHJP
   B01D 17/12 20060101ALI20211213BHJP
   B04B 1/08 20060101ALI20211213BHJP
   B04B 11/02 20060101ALI20211213BHJP
   B04B 13/00 20060101ALI20211213BHJP
   F02M 37/22 20190101ALI20211213BHJP
【FI】
   C10L1/08
   B01D17/02 501Z
   B01D17/038
   B01D17/12 C
   B01D17/12 Z
   B04B1/08
   B04B11/02
   B04B13/00
   F02M37/22
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-512671(P2019-512671)
(86)(22)【出願日】2017年8月17日
(65)【公表番号】特表2019-533032(P2019-533032A)
(43)【公表日】2019年11月14日
(86)【国際出願番号】EP2017070866
(87)【国際公開番号】WO2018046275
(87)【国際公開日】20180315
【審査請求日】2019年3月4日
【審判番号】不服2020-10938(P2020-10938/J1)
【審判請求日】2020年8月6日
(31)【優先権主張番号】16187321.1
(32)【優先日】2016年9月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ−ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミトゥル・サウジャニ
【合議体】
【審判長】 門前 浩一
【審判官】 川端 修
【審判官】 蔵野 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 特公平1−33664(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 17/038
B04B 11/02
C10G 31/10
C10L 1/00
F02M 37/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に搭載されるディーゼルエンジン用の燃料油を浄化する方法であって、
浄化すべき燃料油を用意するステップと、
浄化すべき前記燃料油を遠心分離機(2)に供給するステップと、
前記遠心分離機(2)内の前記燃料油を浄化して浄化した油相を供給するステップと、
を含み、
当該方法は、
前記遠心分離機(2)内で浄化する前の浄化すべき燃料油の粘度、または浄化した油相の粘度を測定するステップと、
測定された粘度に基づいて浄化すべき前記燃料油の温度を調整するステップであって、浄化すべき前記燃料油の粘度が特定の最大粘度vmax未満に保たれるように温度を変えることを含む、温度を調整するステップと、
をさらに含み、
前記燃料油の粘度が、前記特定の最大粘度vmaxを下回る設定粘度値vsetに、または前記特定の最大粘度vmaxを下回る特定の粘度間隔内に保たれ、
浄化すべき前記燃料油の温度を調整する前記ステップが、測定された粘度を前記設定粘度値vsetと比較し、測定された前記粘度がvsetより低い場合には温度を下げ、測定された前記粘度がvsetより高い場合に温度を上げるステップを含み、
浄化すべき前記燃料油の温度を調整する前記ステップが、最低温度tlowと最高限界温度tmaxとの間の値で温度を切り変えるステップを含み、最低温度tlowが95℃〜98℃の間の範囲であり、最高限界温度tmaxが105℃を超えていることを特徴とする方法。
【請求項2】
浄化すべき前記燃料油の前記粘度は、前記遠心分離機で浄化する前に測定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記特定の最大粘度vmaxは55mm/s(cSt)であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記特定の粘度間隔は25〜45mm/s(cSt)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
浄化すべき前記燃料油の流速を調整するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
浄化すべき前記燃料油の流速を調整するステップが、浄化した油相を用いるエンジンの作業負荷に依存していることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ディーゼルエンジン用の燃料油を浄化するためのシステムであって、
ディーゼルエンジン用の燃料油から不純物を分離するための、かつ浄化した油相を生成するための遠心分離機(2)と、
浄化すべき前記燃料油の粘度または浄化した油相の粘度を測定するための少なくとも1つの機器(5)と、
浄化すべき前記燃料油の温度を調整するための手段(4)と、
粘度を測定するための少なくとも1つの前記機器から粘度の情報を受信するように構成され、さらに受信された前記粘度の情報に基づいて浄化すべき前記燃料油の温度を調整する前記手段(4)への出力信号を生成するように構成された制御ユニットであって、浄化すべき前記燃料油の粘度が特定の最大粘度vmax未満に保たれ、さらに、前記燃料油の前記粘度が、前記特定の最大粘度vmaxを下回る設定粘度値vsetに、或いは前記特定の最大粘度vmaxを下回る特定の粘度間隔内に保たれる、制御ユニットと、
を含んでなるシステムであって、
前記制御ユニットは、測定された前記粘度を前記設定粘度値vsetと比較し、測定された前記粘度がvsetより低い場合には温度を最低温度tlow下げ、測定された前記粘度がvsetより高い場合に温度を最高限界温度tmax上げるように、浄化すべき前記燃料油の温度を調整する、前記手段(4)への出力信号を生成するように構成され
前記最低温度tlowが95℃〜98℃の間の範囲であり、前記最高限界温度tmaxが105℃を超えていることを特徴とするシステム。
【請求項8】
浄化すべき前記燃料油の流速を調整するためのポンプ(19)をさらに含み、
前記制御ユニットは、浄化すべき前記燃料油の流速を調整するための前記ポンプ(19)に対する出力信号を生成するようにさらに構成されていることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
当該システムが、前記遠心分離機(2)の下流に配置されて、浄化した油相の流速を測定するための流速計(23)をさらに含み、
前記制御ユニット(6)が、前記流速計(23)からの情報に基づいて浄化すべき前記燃料油の流速を調整するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
当該システムは、浄化すべき前記燃料油の粘度を測定するための少なくとも1つの機器(5)を含み、
前記機器(5)は、浄化すべき前記燃料油の温度を調整するための前記手段(4)の下流に配置されていることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は船上の燃料油の浄化などの燃料油の浄化の分野に関し、具体的に、遠心分離機を用いた燃料油の浄化に関する。
【0002】
遠心分離機は、一般に、液体混合物または気体混合物から液体および/または固体を分離するために使用される。運転中、分離されようとしている流体混合物は回転ボウルに導入され、遠心力のために、重い粒子または水などのより密度の高い液体が回転ボウルの周囲に蓄積する。これにより、分離された画分の収集は、例えば、回転軸線の周囲および近いところにそれぞれ配置された異なる出口によって可能になる。
【0003】
船上および発電所におけるディーゼルエンジン用の燃料油は、触媒微粉と呼ばれるケイ素およびアルミニウム化合物(例えば、ゼオライトとして知られている微孔性ケイ酸アルミニウムまたはアルミノケイ酸塩)の粒子を含有する。触媒微粉は、接触分解として知られる原油の精製プロセスからの残留物であり、ここでは長い炭化水素分子がより短い分子に分解される。これらの粒子は研磨剤であり、エンジンおよび補助装置の摩耗を引き起こす可能性があるため、燃料油中では望ましくない。船舶でディーゼルエンジン用の燃料として使用される燃料油を処理する場合、油中のそのような触媒微粉の濃度は遠心分離中に減少し、その結果、使用される油はISO 8217などの環境規制に適合する。
【背景技術】
【0004】
燃料油の浄化温度は通常約98℃である。触媒微粉などの有害粒子の除去が増加するように分離効率を高めるためにより高い温度を使用することができる。しかし、98℃を超える温度で分離すると、遠心分離機部品の磨耗と劣化が加速される。
【0005】
したがって、遠心分離機の磨耗の危険性を低減しながら、98℃を超える温度などの高温で燃料油を分離することを可能にする方法が、当技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、高温での分離を可能にし、遠心分離機部品の磨耗および劣化を減少させながらディーゼルエンジン用の燃料油を浄化する方法を提供することである。
【0007】
さらなる目的は、高温での分離を可能にするディーゼルエンジン用の燃料油を浄化するためのシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様として、ディーゼルエンジン用の燃料油を浄化する方法を提供する。該方法は、
浄化するべき燃料油を提供するステップと、
浄化するべき燃料油を遠心分離機に供給するステップと、
遠心分離機内の燃料油を浄化して浄化した油相を得るステップと、を含み、
この方法は、以下の
遠心分離機で浄化する前に浄化すべき燃料油の粘度または浄化した油相の粘度を測定するステップと、
測定した粘度に基づいて浄化するべき燃料油の温度を調整するステップと、をさらに含むことを特徴とする。
【0009】
「ディーゼルエンジン用の燃料油」という用語は、本明細書では、船舶に搭載されたエンジンまたは発電所などの発電用エンジンに使用することを目的とした油を指す。「燃料油」という用語は、ISO 8217「石油製品 − 燃料(クラスF) − 海洋用燃料の規格(2005年および2012年版)、または船上のエンジンまたは発電所で使用する前のそのような油の前処理から生じる油成分/相に定義される。燃料油は、石油蒸留からの留分として、留出物または残渣として得ることができる。本明細書ではディーゼルを燃料油と見なす。したがって、燃料油は、海洋(残留)燃料油(MFO)またはバンカーC油であり得る。
【0010】
「浄化すべき燃料油」は、一般にタンクに貯蔵されている、異なる粘度を有する異なる種類の燃料油からなることができる。これは、浄化のために分離機に送られる燃料油の種類が時間的に異なり得ることを意味する。
【0011】
実施形態では、ディーゼルエンジン用の燃料油は重質燃料油(HFO)を含む。HFOは、蒸留からの、または鉱油処理におけるクラッキングからの残留油である。
【0012】
この方法は、燃料油を船上で処理する方法、すなわち船上で使用される方法であり得る。
【0013】
遠心分離機は、密度が異なる、液体混合物などの流体混合物の少なくとも2つの成分を分離するためのものであり得る。遠心分離機は、静止フレームと、静止フレームに対して回転部分を回転させるように構成された駆動部材とを備えることができる。回転部分は、スピンドルと、分離空間を取り囲む遠心分離機ローターとを含む。遠心分離機ローターは、スピンドルと共に回転軸(X)の周りを回転するようにスピンドルに取り付けられる。 回転部は、少なくとも1つの軸受装置によって静止フレームによって支持されている。 分離空間は、回転軸の周りに中央に配置された分離ディスクのスタックを含み得る。 そのような分離ディスクは分離空間内に表面拡大インサートを形成する。分離ディスクは円錐台形の形状を有していてもよく、すなわちスタックは円錐台形の分離ディスクのスタックであってもよい。ディスクは、回転軸の周りに配置された軸方向ディスクでもあり得る。
【0014】
したがって、遠心分離機に浄化すべき燃料油を供給するステップは、例えば、燃料油を貯蔵するためのタンクから、分離空間に通じる入口管を介することなどで、浄化すべき燃料油燃料油を遠心分離器の分離空間に供給することを含むことができる。
【0015】
遠心分離機での浄化前に浄化すべき燃料油の粘度を測定するステップと、または浄化した油相の粘度を測定するステップと、および測定した粘度に基づいて浄化すべき燃料油の温度を調整するステップとは、浄化すべき燃料油を遠心分離機に供給するステップの間に、例えば、タンクから遠心分離機へのなどの輸送中に、および/または遠心分離機内の燃料油の連続分離中に、行われ得る。
【0016】
遠心分離機内の燃料油を浄化して浄化した油相を提供するステップは、浄化すべき燃料油を浄化した油相、スラッジ相および水性相に分離することを含み得る。スラッジ相は、触媒微粉(cat fines)などの固体不純物を含み得る。 触媒微粉は、接触分解として知られる原油の精製プロセスからの残留物であり、ここでは長い炭化水素分子がより短い分子に分解される。これらの粒子は研磨剤であり、エンジンおよび補助装置の摩耗を引き起こす可能性があるので、燃料油中では望ましくない。 燃料油中の触媒微粉の濃度は通常0〜60ppmの間で変動する。 触媒微粉は、0.1ミクロン(マイクロメートル)〜100ミクロンのサイズ範囲であり得る。したがって、遠心分離機内の燃料油を浄化するステップは、燃料油から触媒微粉を分離すること、すなわち油中の触媒微粉の濃度を下げることを含むことができる。
【0017】
この方法は、浄化すべき燃料油の流に、すなわち分離器の上流に分離助剤を添加するステップをさらに含むことができる。このような分離助剤はポリマーなどの液体分離助剤であり得る。その結果、浄化ステップは、遠心分離機の分離空間内で遠心力によって触媒微粉と分離助剤とを燃料油から分離することを含むことができる。浄化した油相を分離空間からその中央の軽相出口を通して排出する。触媒微粉などの分離された、より小さい粒子を、分離された分離助剤と共に、中央の軽相の出口の半径方向外側に位置する分離室の重相の出口を通して排出する。
【0018】
遠心分離機で浄化する前に浄化すべき燃料油の粘度または浄化した油相の粘度を測定するステップは、連続的にまたは一定の時間間隔で実施することができる。
【0019】
調整するステップは、浄化した燃料油の温度を断続的または恒久的に上昇および/または下降させることを含むことができ、その結果、実際の遠心分離機における油の分離中に浄化した燃料油の温度も上昇または低下する。
【0020】
本発明の第1の態様は、測定した粘度が分離前の燃料油の加熱を制御するための信号として使用され得るという洞察に基づいている。これは、分離温度が、分離すべき油の実際の粘度に調整され得るか、または分離した油の粘度の情報に基づいて調整され得ることを意味する。したがって、本発明の第1の態様の方法では、測定した燃料の粘度によって、98℃を超える温度などの高い分離温度がいつ必要とされるかを決定することが可能になる。これは、この方法による温度が必要なときにのみ、すなわち粘度が高いときにのみ使用されることを可能にするので、分離機部品の摩耗および劣化が減少され得ることを意味する。
【0021】
本発明の第1の態様の実施形態では、浄化した燃料油の粘度は、遠心分離機内で浄化する前に測定される。
【0022】
したがって、粘度は、燃料油タンクと分離機との間などの分離機の上流側の燃料油について測定することができる。粘度は、例えば、油を加熱するためのヒーターの下流、すなわち油の加熱後に、測定することができる。これは、実際に分離しようとしている油に基づいて温度を調整できることを意味します。
【0023】
しかしながら、浄化した油の粘度も測定することができる。したがって、本発明の第1の態様の実施形態では、粘度は遠心分離機の下流で測定される。この粘度は、例えば、分離された燃料油がエンジン内で使用される前に、分離器の液相の出口に若しくはその後に、または分離器のタンクの下流で測定することができる。
【0024】
本発明の第1の態様の実施形態では、浄化すべき燃料油の温度を調整するステップは、浄化すべき油の粘度が特定の最大粘度vmax未満に保たれるように温度を変えることを含む。
【0025】
したがって、予め設定された最大粘度vmaxを設定し、温度を調整して、全ての燃料油がこの予め設定された最大粘度よりも低い粘度で分離されるようにすることができる。
【0026】
一例として、この特定の最大粘度vmaxは、約55cStなどの、50から60cStの間であり得る。
【0027】
センチストークス(cSt)は、1/100(0.01)ストロークである動粘度のセンチメートル−グラム−秒(CGS)単位、すなわち1cSt=1mm/sである。センチストークスは、海洋用燃料油の粘度を定義するために使用される一般的な単位である。
【0028】
さらに、油の粘度は、特定の最大粘度vmaxを下回る設定粘度値vsetに、または特定の最大粘度vmaxを下回る特定の粘度間隔内に保たれてもよい。
【0029】
したがって、燃料油が同じ基準粘度、すなわちオペレータによって分離される前に設定されていてもよい設定値粘度vsetで浄化されるように温度が調整されてもよい。この設定粘度値vsetは、約35cStなどの、25〜45cStの間の値であり得る。
【0030】
さらに、粘度が特定の粘度範囲内に保たれるように温度を調整することができ、ここで全期間は特定の最大粘度vmax未満であり、これは全ての燃料油がこの範囲内の粘度を有するときに浄化されることを意味する。一例として、特定の粘度間隔は25〜45cStの間であり得る。
【0031】
本発明の第1の態様の実施形態では、燃料油の温度を調整するステップは、測定した粘度を設定粘度値vsetと比較し、測定した粘度がvsetより低い場合は温度を下げ、測定した粘度がvsetより高い測定場合は温度を上げることを含む。
【0032】
さらに、浄化すべき燃料油は、異なる粘度を有する少なくとも2つの異なる燃料油の間で変動することができ、vsetは、温度tsetにおいて最高粘度の燃料油の測定した粘度として設定することができ、ここでtsetは105℃を超える。
【0033】
浄化すべき燃料油の中で最も高い粘度の燃料油は、例えば、50℃で約700cStの粘度を有する油であり得る。
【0034】
温度tsetは、遠心分離機における分離ステップの上限温度tmaxであり、使用される分離器の種類に依存し得る。すなわち、分離器に含まれる部品等の種類に依存し得る。tmaxはオペレータによって決定されてもよく、105℃を超え、例えば110℃を超え、例えば115℃以上であってもよい。
【0035】
本発明の第1の態様の実施形態において、温度を調整するステップは、温度を98℃を超える温度に調整することを含む。
【0036】
したがって、温度を調整することは、浄化すべき燃料油の温度を「高温分離」と見なされる温度に調整することを含み得る。
【0037】
一例として、浄化すべき燃料油の温度は、105℃を超える、例えば110℃を超える、例えば115℃を超える温度を含む温度に調整することができる。
【0038】
本発明の第1の態様の実施の形態では、浄化すべき燃料油の温度を調整するステップは最低温度tlowと最高限界温度tmaxとの間の値に温度を変更することを含む。tlowは95℃から98℃の間である。tmaxは105℃を超え、例えば110℃超え、例えば115℃以上である。
【0039】
使用される最低温度は燃料油の粘度に依存する。これは燃料油の粘度が非常に低い場合、浄化される燃料油が調整される最低温度は室温、室温より低い、または室温と例えば95若しくは98℃との間のどこかであり得ることを意味する。
【0040】
本発明の第1の態様の実施形態においては、この方法は、浄化すべき燃料油の流速を調整するステップをさらに含む。したがって、温度に加えて、浄化すべき燃料油の流速も調整され得る。流速は分離効率に影響を与える可能性があります。例えば、低い粘度の燃料油と比較してより高い粘度の燃料油をより低い流速を用いて分離することができる。
【0041】
浄化すべき燃料油の流速を調整するステップは、測定した粘度に基づいてもよい。温度を調整する前に流速を調整することが有利であり得る。
【0042】
本発明の第1の態様の実施形態においては、浄化される燃料油の流速を調整するステップは、浄化した油相が使用されているエンジンの作業負荷に依存する。
【0043】
したがって、浄化すべき燃料油の流速を調整するステップは、エンジンの燃料消費量のなどのエンジンの作業負荷に関する情報に依存し得る。エンジンの作業負荷、例えば、エンジンの燃料消費量が減少すると、浄化すべき燃料油の流速が減少する可能性がある。エンジンの作業負荷、例えば、エンジンの燃料消費量が増加すると、浄化すべき燃料油の流速が増加する可能性がある。
【0044】
しかしながら、浄化すべき燃料油の流速を調整するステップは、浄化した油相中の触媒微粉の測定濃度および/または浄化すべき燃料油中の触媒微粉の測定濃度に依存し得る。
【0045】
本発明の第1の態様の実施形態では、浄化すべき燃料油の流速を調整するステップは、浄化した油相が使用されるエンジンの作業負荷と少なくとも1つの測定された触媒微粉濃度の両方に依存する。触媒微粉濃度は、浄化した油相中の触媒微粉の濃度および/または浄化すべき燃料油中の触媒微粉の測定された濃度などである。
【0046】
浄化した油相および/または浄化すべき燃料油中の触媒微粉の濃度が増加すると、浄化すべき燃料油の流速が減少する可能性がある。浄化すべき燃料油が少なくなると、浄化すべき燃料油の流速が多くなる可能性がある。
【0047】
本発明の第2の態様として、ディーゼルエンジン用の燃料油を浄化するためのシステムを提供する。このシステムは、
ディーゼルエンジン用の燃料油から不純物を分離し、浄化した油相を生成するための遠心分離機と、
浄化すべき燃料油の粘度または浄化した油相の粘度を測定するための少なくとも1つの機器と、
浄化すべき燃料油の温度を調整するための手段と、
粘度を測定するための少なくとも1つの機器から粘度の情報を受信するように構成され、さらに、受信された前記粘度の情報に基づいて浄化すべき燃料油の温度を調整する手段への出力信号を生成するように構成される制御ユニット。
【0048】
第2の態様に関して使用される用語および定義は、上記第1の態様に関して説明したものと同じである。
【0049】
したがって、遠心分離機は、上記の第1の態様に関して説明した通りであり得る。
【0050】
浄化すべき燃料油の粘度または浄化した油相の粘度を測定するための少なくとも1つの機器は、1つまたは複数の粘度計であり得る。したがって、粘度を測定するための機器は、遠心分離機の上流に、すなわち遠心分離機の入口管に供給される燃料油の粘度を測定するために配置することができる。機器は補足としてまたは代替として、浄化した油相の粘度を測定するために遠心分離機の下流にさらに配置することができる。
【0051】
浄化すべき燃料油の温度を調整するための手段は、加熱器および/または熱交換器を含み得る。
【0052】
制御ユニットは、測定した粘度の情報に基づいて浄化すべき燃料油の温度を調整するように構成される。制御ユニットは、温度を調整するための手段と通信し、浄化すべき燃料油の粘度または浄化した油相の粘度を測定するための情報を少なくとも1つの機器から受信するためのプロセッサおよび入出力インターフェースを含み得る。
【0053】
本発明の第2の態様の実施形態においては、システムは浄化すべき燃料油の流速を調整するための手段をさらに含む。制御ユニットは浄化すべき燃料油の流速を調整するための手段への出力信号をさらに生成するようにさらに構成されてもよい。
【0054】
浄化すべき燃料油の流速を調整するための手段はポンプであってもよく、またはポンプを含んでもよい。
【0055】
ポンプなどの浄化すべき燃料油の流速を調整するための手段は、浄化すべき燃料油の粘度を測定するための少なくとも1つの機器と浄化すべき燃料油の温度を調整するための手段との両方の上流に配置することができる。
【0056】
本発明の第2の態様の実施形態においては、システムは、遠心分離機の下流に配置されて浄化した油相の流速を測定するための流速計をさらに含む。制御ユニットは流速計からの情報に基づいて浄化すべき燃料油の流速を調整するように構成される。したがって、流速計は、システムによって浄化した燃料油を使用するエンジンに入る浄化した油の流速を測定するように構成されてもよい。
【0057】
エンジンに入る燃料の流速を測定するように構成された流速計は、エンジンの燃料油消費量に関する情報を与え、したがってエンジン作業負荷の測定である。流速計は遠心分離機の下流に配置されている。したがって、モーターに入る燃料は、分離器からの浄化した油相に由来し得るが、例えば、エンジンで使用される前のタンクに貯蔵されていてもよい。したがって、システムは、遠心分離機の下流側にエンジンに供給される前に浄化すべき燃料油を貯蔵するためのバンカータンクなどをさらに備えてもよく、流速計はこのようなタンクの下流側に配置されてもよい。
【0058】
本システムは、浄化した油相中の触媒微粉の濃度を測定するためのセンサ、および/または浄化すべき燃料油中の触媒微粉の濃度を測定するためのセンサをさらに含むことができる。したがって、制御ユニットは、このようなセンサからの、またはいくつかのこのようなセンサからの情報に基づいて、浄化すべき燃料油の流速を調整するように構成することができる。制御ユニットは、浄化した油相中の触媒微粉の濃度および/または浄化すべき燃料油の濃度が上昇するという情報を受信した場合、浄化すべき燃料油の流速を減少させるように構成することができる。浄化した油相中の触媒微粉末の濃度および/または浄化すべき燃料油が減少するという情報を受信した場合には、浄化すべき燃料油の流速を増加させる。
【0059】
本発明の第2の態様の実施形態においては、システムは浄化すべき燃料油の粘度を測定するための少なくとも1つの機器を含み、この機器は浄化すべき燃料油の温度を調整する手段の下流に配置される。したがって、浄化すべき燃料油の温度を調整するための手段は、分離器の上流に、および浄化すべき燃料油の粘度を測定するための手段の上流に配置することができる。
【0060】
本システムは、遠心分離機に供給される前に洗化すべき燃料油を貯蔵するためのバンカータンクなどをさらに含むことができる。
【0061】
このシステムは、ディーゼルエンジンなどのエンジンも含むことができ、このエンジンでは、分離器からの浄化した油相が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】本発明のシステムの一実施形態の概略図を示す。
図2】本発明のシステムのさらなる実施形態の概略図を示す。
図3】本発明のシステムの一実施形態の概略図を示す。
図4】本発明のシステムのさらなる実施形態の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本開示による方法およびシステムは、添付の図面を参照した以下の説明によってさらに説明される。
【0064】
図1は、ディーゼルエンジン用の燃料油を浄化するためのシステム1の一実施形態の概略図を示す。システム1は遠心分離機2を備える。遠心分離機2の中でバンカー燃料油タンク3に貯蔵された異なる種類の燃料油が浄化される。浄化すべき燃料油は配管7、を介して、例えば、遠心分離機2の入口管8に接続されたポンプ(図1には示されていない)によって、遠心分離機2に供給される。粘度計5は、分離器2に到達する前に配管7内で浄化すべき燃料油の粘度を測定するように配置されている。システムは、浄化すべき燃料油の温度を調整するためのヒーター4と、ヒーター4を調整するための制御ユニットとをさらに含む。制御ユニット6は、粘度計5から浄化すべき燃料油の粘度の受信情報に基づいてヒーター4を調整するように構成されている。この例では、ヒーター4は粘度計5の上流に配置されている。しかし、他の実施形態では、ヒーター4は粘度計5の下流に配置されてもよい。
【0065】
遠心分離機2は、運転中に燃料油の遠心分離が行われる分離チャンバ10をその内部に形成するローター9を備える。
【0066】
分離室10は、燃料油の効果的な分離を達成するために、円錐台形の分離ディスク11のスタックを備えている。切頭円錐形分離ディスク11のスタックは、表面拡大インサートの例である。これらの円板11は、ローターと中心的にかつ同軸に取り付けられ、分離円板11が遠心分離機2に取り付けられたときに液体の軸方向流れのためのチャネル12を形成する孔を含み得る。入口管8は中央ダクトを形成し、したがって遠心分離用の燃料油を分離チャンバ10内に導入するように配置されている。燃料油はこの実施形態では頂部から供給されるが、底部から供給される分離器もシステムにおいて使用できる。
【0067】
ローター9は、そこから延在している、液体から分離された低密度成分用の液体軽相出口13と、液体から分離された高密度成分または重相用の液体重相出口14とを有する。従って、軽相出口13は浄化した油相を排出するためのものであり得、そして重相出口14は分離した水相を排出するためのものであり得る。出口13、14はフレーム15を貫通している。
【0068】
ローター9の外周には、油中のスラッジまたは他の固形物などの高密度成分を排出するための断続的に開放可能な排出口の形態の一組の半径方向スラッジ排出口16がさらに設けられている。したがって、この材料は、分離チャンバ10の半径方向外側部分からローターの周囲の空間に排出される。例えば、触媒粉末を含む相を、出口16を介して排出することができる。
【0069】
遠心分離機1には、ローター9を所望の速度で回転させるための駆動モーター(図示せず)がさらに設けられている。図1の分離器の作動中、ローター9は駆動モーターによって回転させられる。入口管8を介して、分離されるべき燃料油が分離空間10に導かれる。密度に応じて、燃料油中の異なる相が分離ディスク11の間で分離される。水相およびスラッジ相などのより重い成分は分離ディスク間で半径方向外側に移動し、一方、浄化油相などの最も密度の低い相は、分離ディスク間で半径方向内向きに移動し、分離器内の半径方向最内側レベルに配置された出口13を通って押し出される。より高密度の液体は、代わりに、出口13の半径方向レベルよりも大きい半径方向距離にある出口14を通って押し出される。このため、分離時には、分離空間10内に密度の低い液体と密度の高い液体との間に界面が形成される。固形物またはスラッジは分離チャンバ10の周囲に蓄積し、スラッジ出口16が開かれることによって分離空間から断続的に空にされる。その際、スラッジおよび一定量の流体が遠心力によって分離空間から排出される。しかしながら、スラッジの排出もまた連続的に起こり得、その場合において、スラッジ出口16は開放ノズルの形態をとり、そしてスラッジおよび/または重相の一定の流れが遠心力によって連続的に排出される。
【0070】
特定の用途においては、分離器1は、液体出口13のみ、およびとスラッジ出口16のみなどの単一の液体出口を含む。これは、処理される燃料油に依存する。
【0071】
浄化すべき燃料油はバンカータンク3から供給され、この実施態様においてはヒーター4により約98℃に最初に加熱される。図1の接続部17によって視覚化されるように、洗化すべき燃料油の粘度が粘度計5によって測定され、情報が制御ユニット6に送られる。制御ユニット6は、接続18によって視覚化されるように、ヒーター4を制御して、したがって、ヒーター4が燃料油の温度を調整することができるようにするように、または、限られた数の温度を得ることができるように、若しくは連続的な温度変化を行うことができるように、構成される。
【0072】
したがって、制御ユニット6は、送信機/受信機を介して粘度計5からデータを受信し、さらにデータをヒーター4に送信することができる送信機/受信機などの通信インターフェースを備えることができる。送信されたデータは、例えばヒーター4を調整するための制御信号を含むことができる。
【0073】
この実施形態では、制御ユニット6は、燃料油の粘度が約35cStの一定レベルvsetに維持されるように温度を調整するようにさらに構成される。粘度計5からの測定した粘度が、浄化すべき燃料油の粘度が35cStを超えることを示す場合に、制御ユニットは、測定した粘度が35cStに減少するまでヒーター4の温度を上昇させるように構成される。例えば、浄化すべき燃料油の温度は約98℃であり得、制御ユニット6は、粘度計5からの測定した粘度が35cStに減少するまで、例えば、115℃まで油の加熱を引き起こすことができる。
【0074】
同様に、粘度計5からの測定した粘度が、後で浄化すべき燃料油の粘度が35cSt未満であることを示す場合に、制御ユニットは、測定した粘度が35cStに低下するまでヒーター4の温度を低下させるように構成される。したがって、粘度計5から測定した粘度が35cStに上昇するまで、浄化すべき燃料油の温度を115℃から98℃に低下させることができた。このように、98℃を超える分離温度は、必要なとき、すなわち、油の粘度が特定の基準値(設定値)を超えるときにのみ使用され、これは分離器部品の磨耗が少なくなり得ることを意味する。これは、燃料油の分離が、浄化される燃料油の温度を調整することによって、多かれ少なかれ一定の粘度で行われることを意味する。
【0075】
上記のタイプの調整は連続的に行うことができ、すなわち、制御ユニットは、粘度が基準値vsetになるように温度を連続的に調整する内蔵調整ループを有することができる。あるいは、この調整は断続的に、すなわち特定の頻度で実行され得る。
【0076】
調整の目的のために、制御ユニット6は、例えば、メモリに記憶することができるコンピュータコード命令を実行するように構成された中央処理装置などの処理装置を含むことができる。したがって、このメモリは、そのようなコンピュータコード命令を格納するための(非一時的な)コンピュータ可読媒体を形成することができる。処理ユニットは、その代わりに、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイなどのハードウェア構成要素の形態であり得る。
【0077】
図2は、ディーゼルエンジン用の燃料油を浄化するためのシステム1の別の実施形態の概略図を示す。このシステム1の各部は、図1のシステムに関して説明したように機能する。しかし、図2に示すシステム1は、タンク3から分離機2に浄化すべき燃料油を供給するためのポンプ19をさらに備え、制御ユニット6は、図2の矢印20で視覚化されるように、ポンプを制御するためにさらに構成される。したがって、制御ユニット6は、粘度計5からの情報に基づいて温度を調整することに加えて、浄化すべき燃料油の流速を調整することもできる。この例では、図2の矢印21で示すように、触媒微粉の濃度に関するパラメータ、または触媒微粉自体の濃度を検出するためのセンサ22からの情報に基づいて流速が調整される。このセンサ22は、図2では、浄化した油相中、すなわち軽質相出口13の下流における触媒微粉の濃度を測定するように構成されている。しかしながら、センサ22はまた、浄化すべき燃料油中の触媒微粉の濃度を測定するように構成され得、例えば、ライン7の触媒微粉、例えば、粘度計5の下流の濃度を測定するように構成される。さらに、システムは、触媒微粉の濃度を測定するために、2つ以上のセンサ22を含むことができ、例えば、図2に示されるようなセンサ22、すなわち浄化した油相中の触媒微粉の濃度を測定するように構成され、および浄化すべき燃料油中の触媒微粉の濃度を測定するように構成された追加のセンサである。そして、制御ユニット6は、ポンプ19によって浄化すべき燃料油の流速を調整するときに両方の測定値を考慮に入れるように構成され得る。浄化すべき燃料油中の触媒微粉の濃度を測定するように構成されている。そして、制御ユニット6は、ポンプ19によって浄化すべき燃料油の流速を調整するときに両方の測定値を考慮に入れるように構成され得る。
【0078】
一例として、制御ユニット6は、上記図1の実施形態に関して説明したように、粘度計5から浄化すべき燃料油の粘度が上昇しているという情報を受信し、次いでヒーター4を使用して油の温度を上昇させるか、または粘度が減少している場合には油の温度を低下させる。
【0079】
さらに、制御ユニット6は、浄化した油相中の触媒微粉の濃度が増加しているというセンサ22からの情報を受信し、次いでポンプ19を使用して浄化すべき燃料油の流速を減少させることができる。同様に、制御ユニット6は、浄化した油相中の触媒微粉の濃度が減少しているというセンサ22からの情報を受信し、次いでポンプ19を使用して浄化される燃料油の流速を再び増加させることができる。
【0080】
図3は、ディーゼルエンジン用の燃料油を浄化するためのシステム1の別の実施形態の概略図を示す。このシステム1の各部は、図2のシステムに関して説明したように機能する。しかしながら、図3に示されるようなシステム1において、粘度計は、分離器2の下流で粘度を測定するように配置され、制御ユニットは、図3の矢印21によって示されるように、粘度計から情報を受信するように構成される。粘度計3は、例えば、軽相の出口13である油出口に、または油出口に接続されたパイプ内に配置することができる。粘度計5は、分離機と、例えば、システム1が接続されているエンジン、すなわち分離機2によって浄化した油を使用しようとしているエンジンとの間のどこにでも接続することができる。粘度計5およびセンサ22からの情報に基づいて制御ユニット6によって浄化すべき燃料油の温度および流速の調整は、上記の図1および図2に関して説明した実施形態に関して説明したように機能することができる。
【0081】
図4は、ディーゼルエンジン用の燃料油を浄化するためのシステム1の別の実施形態の概略図を示す。このシステム1の各部は、図2のシステムに関して説明したように機能する。しかしながら、図4に示すようなシステム1において、制御ユニット6は、図4の矢印24で示されるように、遠心分離機2の下流に配置された流速計23からの情報に基づいて浄化すべき燃料油の流速を調整する。流速計23は、浄化した油相を燃料として使用するエンジン(図示せず)に入る燃料の流速を測定するようにシステム内に配置されており、したがって、これはエンジン作業負荷の直接的な指標である。一例として、制御ユニット6は、流速計23からエンジンへの油の流速が増加しているという情報を受信し、次いでポンプ19を使用して浄化すべき燃料油の流速を増加させることができる。同様に、制御ユニット6は、流速計23からエンジンへの油の流速が減少しているという情報を受信し、次いでポンプ19を使用して浄化すべき燃料油の流速を再び減少させることができる。このように、エンジンの実際の作業負荷に応じて浄化すべき燃料油の流速を変えることができる。これは、作業負荷が低い場合には、浄化すべき燃料油の流速を減らすことができ、これによって、より効果的な分離が分離器2において起こり得ることを意味する。したがって、システム1は、油浄化した油相の需要が低いとき、すなわちエンジンの作業負荷が低いときに、分離機2を効果的に使用することを可能にする。
【0082】
さらに、粘度計5からの情報に基づいて制御ユニット6によって浄化される燃料油の温度の調整は、上記の図1図3に関して論じたような先の実施形態に関して論じたように機能することができる。
【0083】
さらに、図4のシステム1は、清浄な油の出口、すなわち液相出口13と、流速計23との間に他の機器を備えてもよい。例えば、エンジンで使用される前の浄化した油相を貯蔵するためのタンクなどである。
【0084】
したがって、流速計23は、そのようなタンクの下流であるがエンジンの前に配置されて、実際にエンジンに入る油の流れを測定するようにしてもよい。
【0085】
本発明は、開示された実施形態に限定されず、特許請求の範囲内に変更または修正されてもよい。本発明は、図面に示されるような分離機の種類に限定されない。用語「遠心分離機」はまた、実質的に水平方向の回転軸を有する遠心分離機と単一の液体出口を有する分離機とを含む。
【符号の説明】
【0086】
1 システム
3 タンク
4 ヒーター
6 制御ユニット
9 ローター
13 出口
14 出口
22 センサ
23 流速計
19 ポンプ
図1
図2
図3
図4