特許第6987142号(P6987142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許6987142-薬剤注射デバイス 図000002
  • 特許6987142-薬剤注射デバイス 図000003
  • 特許6987142-薬剤注射デバイス 図000004
  • 特許6987142-薬剤注射デバイス 図000005
  • 特許6987142-薬剤注射デバイス 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987142
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】薬剤注射デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20211213BHJP
   A61M 5/24 20060101ALI20211213BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   A61M5/20 550
   A61M5/24 500
   A61M5/32 500
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-542800(P2019-542800)
(86)(22)【出願日】2017年10月23日
(65)【公表番号】特表2019-531860(P2019-531860A)
(43)【公表日】2019年11月7日
(86)【国際出願番号】EP2017077018
(87)【国際公開番号】WO2018077809
(87)【国際公開日】20180503
【審査請求日】2020年10月9日
(31)【優先権主張番号】16195413.6
(32)【優先日】2016年10月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ハルム
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02944340(EP,A1)
【文献】 特表2014−503298(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/095424(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/24
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤注射デバイスであって:
使用する薬剤カートリッジを受けるための薬剤カートリッジホルダを含むハウジングと;
薬剤カートリッジホルダに連結されたスリーブと;
止め要素を含む回転可能なキャップアセンブリと;
該キャップアセンブリによって解放可能に支持されている、針を保持するニードルホルダと;
ハウジングおよびスリーブに連結されたプリストレスばねと;
を含み、
ここで、キャップアセンブリは、その回転により止め要素がスリーブから係合解除されるように配置され、それによってプリストレスばねが解放され、スリーブおよび薬剤カートリッジホルダが針に向かって軸方向の遠位方向に動き、その結果、薬剤カートリッジホルダに薬剤カートリッジが受けられたときに、薬剤カートリッジホルダの遠位方向の前記軸方向運動により、ニードルホルダが薬剤カートリッジホルダと結合する、前記薬剤注射デバイス。
【請求項2】
キャップアセンブリは、キャップアセンブリが回転する前の薬剤カートリッジホルダの軸方向運動を防止するように配置された、少なくとも1つの径方向リブを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
ニードルホルダは、針の近位端を封止するように配置された穿孔可能封止部材を含む、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
薬剤カートリッジホルダはその遠位端に、穿孔可能封止部材を穿孔するための少なくとも1つの切り込み要素を含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
キャップアセンブリおよびハウジングは、キャップアセンブリとハウジングの回転位置合わせ前にキャップ取り外しを防止するキャップアセンブリロッキング機構を備える、請
求項1〜4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
キャップアセンブリは、その遠位端でキャップに取り付けられた、かつ解放可能にニードルホルダに連結された外側ニードルガードを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
外側ニードルガードの内側に同軸に設置された内側ニードルガードをさらに含み、ここで、内側ニードルガードは針の遠位端を受ける、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
内側ニードルガードは、キャップアセンブリが取り外されるときにキャップアセンブリからデカップリングするように配置される、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
ニードルホルダは、薬剤カートリッジの一部の上に嵌まるように配置されたカップ形部分を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
自動注射器である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
薬剤カートリッジは薬剤を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の薬剤注射デバイスの作動方法であって:
キャップアセンブリの回転が、ハウジングおよびスリーブに連結されたプリストレスばねを解放するように止め要素をスリーブから係合解除させ、それによって、スリーブおよび薬剤カートリッジホルダが針の近位端に向かって軸方向の遠位方向に動くようになることを含む、前記方法。
【請求項13】
薬剤カートリッジホルダは薬剤カートリッジを含み、薬剤カートリッジホルダの遠位方向の軸方向運動により、針の近位端が穿孔可能バリアを薬剤カートリッジの遠位端で穿孔する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
薬剤カートリッジホルダの遠位方向の軸方向運動により、ニードルホルダが薬剤カートリッジホルダと結合する、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤注射デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤注射デバイスはさまざまな形態をとることができる。1つの形態ではシリンジを使用し、通常ではガラスで形成される中空シリンダに薬剤が収納される。薬剤は、シリンダの中で可動のプランジャと、シリンジの遠位端に流体連結された針とによって環境から封止される。針は、薬剤を滅菌状態のもとで保持するために、キャップを被せたままにしておかなければならない。
【0003】
注射デバイスの別の形態では、シリンジの代わりにカートリッジを使用し、このカートリッジには、シリンジの針の代わりの遠位封止がある。通常は、注射の前に患者が両頭針をカートリッジに連結し、それによって、カートリッジの封止が両頭針の近位先端部で穿孔される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カートリッジは、シリンジと比べて取り扱いおよび収納を有利にすることができるが、欠点がないわけではない。たとえば、針をカートリッジに取り付けるには追加の段階が必要である。この段階は、器用さが限られていたり、協調が不十分であったり、または手の感覚をある程度失っている患者にとって問題になり得る。このような短所があっても、特定の状況においては、患者が注射の開始を望むような時間まで針を薬剤から分離したままにしておく注射デバイスが得られることが望ましい。本明細書に記載の注射デバイスは、従来のデバイスに付随する1つまたはそれ以上の問題を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、本明細書は薬剤注射デバイスを提供し、このデバイスは:
薬剤カートリッジホルダを含むハウジングと;
スリーブと;
止め要素を含む回転可能なキャップアセンブリと;
キャップアセンブリによって解放可能に支持されている、針を保持するニードルホルダと;
ハウジングおよびスリーブに連結されたプリストレスばねと;
を含み、
キャップアセンブリは、その回転により止め要素がスリーブから係合解除されるように配置され、それによってプリストレスばねが解放され、スリーブおよび薬剤カートリッジホルダが針に向かって軸方向の遠位方向に動く。
【0006】
キャップアセンブリは、キャップアセンブリが回転する前の薬剤カートリッジホルダの軸方向運動を防止するように配置された少なくとも1つの径方向リブを含むことができる。
【0007】
ニードルホルダは、針の近位端を封止するように配置された穿孔可能封止部材を含むことができる。
【0008】
薬剤カートリッジホルダはその遠位端に、封止部材を穿孔するための少なくとも1つの切り込み要素を含むことができる。
【0009】
キャップアセンブリおよびハウジングは、キャップアセンブリとハウジングの回転位置合わせ前にキャップ取り外しを防止するキャップアセンブリロッキング機構を備えることができる。
【0010】
キャップアセンブリは、その遠位端でキャップに取り付けられた、かつ解放可能にニードルホルダに連結された外側ニードルガードを含むことができる。
【0011】
デバイスは、外側ニードルガードの内側に同軸に設置された内側ニードルガードをさらに含むことができ、内側ニードルガードは針の遠位端を受ける。
【0012】
内側ニードルガードは、キャップアセンブリが取り外されるときにキャップアセンブリからデカップリングするように配置される。
【0013】
ニードルホルダは、薬剤カートリッジの一部の上に嵌まるように配置されたカップ形部分を有することができる。
【0014】
デバイスは自動注射器とすることができる。
【0015】
薬剤カートリッジは薬剤を含むことができる。
【0016】
第2の態様によれば、本明細書は回転可能なキャップアセンブリを有する薬剤注射デバイスを操作する方法を提供し、この方法は:
キャップアセンブリを回転させて、ハウジングおよびスリーブに連結されたプリストレスばねを解放するように止め要素をスリーブから係合解除させ、それによって、スリーブおよび薬剤カートリッジホルダが針の近位端に向かって軸方向の遠位方向に動くようにすることを含む。
【0017】
薬剤カートリッジホルダは薬剤カートリッジを含むことができ、薬剤カートリッジホルダの遠位方向の軸方向運動により、針の近位端が穿孔可能バリアを薬剤カートリッジの遠位端で穿孔することができる。
【0018】
薬剤カートリッジホルダの遠位方向の軸方向運動により、ニードルホルダが薬剤カートリッジと結合することができる。
【0019】
本発明の例示的な実施形態について添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】本発明の実施形態による自動注射デバイスの側面図である。
図1B】本発明の実施形態による自動注射デバイスの側面図である。
図2】キャップ回転前のデバイスの遠位端の側面断面図である。
図3】キャップが回転しているデバイスの遠位端の側面断面図である。
図4】キャップが取り外されているときのデバイスの遠位端の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態では、カートリッジ自動注射器(CAI)またはシリンジなどの注射デバイスの針を、注射予定の薬剤を含む薬剤カートリッジに挿入するための機構を提供する。このような機構を提供することにより、使用者が注射の開始を望むようなときまで薬剤カートリッジが封止されていることが可能になる。針を薬剤カートリッジに挿入するための自動機構を提供することによりまた、使用者が注射の前に針を手で扱うことが減る。実際、本発明の諸実施形態では、使用者は、針を薬剤カートリッジに挿入する段階中、およびその後に薬剤の注射を起動する段階中に針に触れる必要がない。
【0022】
本発明の実施形態では、針挿入機構をデバイスキャップの取り外しに従属させる。プリストレスばねが薬剤カートリッジホルダおよびハウジングに連結される。デバイスの組み立て後および収納中は、ばねを固定することで針が薬剤カートリッジから隔てられた状態に保たれる。キャップが取り外されると、ばねが解放されて薬剤カートリッジホルダがデバイスの遠位端に向かって動き、それにより針が薬剤カートリッジのセプタムを穿孔する。
【0023】
本明細書に記載の薬物送達デバイスは、薬剤を患者に注射するように構成される。たとえば送達は、皮下、筋肉内、または静脈内送達とすることができる。このようなデバイスは、患者、または看護師もしくは医師などの介護者によって操作され、さまざまなタイプの安全シリンジ、ペン注射器または自動注射器を含み得る。このデバイスは、使用前に封止アンプルを穿孔する必要がある、カートリッジベースのシステムを含み得る。これらのさまざまなデバイスを用いて送達される薬剤の量は、約0.5mLから約2mLになり得る。さらに別のデバイスは、「大」量の薬剤(通常約2mLから約10mLまで)を送達するためにある期間(たとえば、約5、15、30、60、または120分)患者の皮膚に粘着するように構成された、大容量デバイス(「LVD」)またはパッチポンプを含み得る。
【0024】
特定の薬剤と組み合わせることで、本記載のデバイスはまた、必要な仕様内で動作するようにカスタマイズされる。たとえば、デバイスは、ある一定の期間内(たとえば、自動注射器では約3秒から約20秒、LVDでは約10分から約60分)に薬剤を注射するようにカスタマイズされる。他の仕様には、低レベルまたは最小レベルの不快感、またはヒューマンファクタに関連するいくつかの条件に対し、保存寿命、使用期限、生体適合性、環境的考慮事項などが含まれ得る。このような違いは、たとえば、粘性が約3cPから約50cPまでの薬物など、さまざまな要因により生じ得る。その結果、薬物送達デバイスは、サイズが約25から約31ゲージまでの中空針を含むことが多い。一般的なサイズは27および29ゲージである。
【0025】
本明細書に記載の送達デバイスはまた、1つまたはそれ以上の自動化機能を含み得る。たとえば、1回またはそれ以上の針挿入、薬剤注射、および針引き込みが自動化される。1つまたはそれ以上の自動化段階のためのエネルギーは、1つまたはそれ以上のエネルギー源によって供給される。エネルギー源は、たとえば、機械エネルギー、空気エネルギー、化学エネルギーまたは電気エネルギーを含み得る。たとえば、機械エネルギー源は、エネルギーを保存または解放するためのばね、てこ、エラストマー、または他の機械機構を含み得る。1つまたはそれ以上のエネルギー源は、単一のデバイスの中に集約することができる。デバイスはさらに、エネルギーをデバイスの1つまたはそれ以上の構成要素の動きに変換するための歯車、弁、または他の機構を含み得る。自動注射器の1つまたはそれ以上の自動化機能はそれぞれ、起動機構を介して起動される。このような起動機構は、1つまたはそれ以上のボタン、レバー、ニードルスリーブ、または他の起動構成要素を含み得る。自動化機能の起動は、一段階または多段階手順になり得る。すなわち、使用者が、自動化機能を行わせるために1つまたはそれ以上の起動構成要素を起動する必要があり得る。たとえば、一段階手順では、使用者が、薬剤の注射をするためにニードルスリーブを使用者の体に当てて押し下げることができる。他のデバイスでは、自動化機能の多段階起動が必要となり得る。たとえば、使用者が、注射をするためにボタンを押し下げ、ニードルシールドを引き込む必要がある。
【0026】
加えて、1つの自動化機能の起動が1つまたはそれ以上の後続の自動化機能を起動し、それによって起動シーケンスを形成することもできる。たとえば、第1の自動化機能の起動が、少なくとも2回の針挿入、薬剤注射、および針引き込みを起動することができる。いくつかのデバイスはまた、1つまたはそれ以上の自動化機能を行わせるための特定の一連の段階を必要とし得る。他のデバイスは、一連の独立した段階によって動作し得る。
【0027】
いくつかの送達デバイスは、安全シリンジ、ペン注射器、または自動注射器の1つまたはそれ以上の機能を含み得る。たとえば、送達デバイスが、薬剤を自動的に注射するように構成された機械エネルギー源(自動注射器で通常見られる)と、用量設定機構(ペン注射器で通常見られる)とを含み得る。
【0028】
本開示のいくつかの実施形態による、例示的な薬物送達デバイス10が図1Aおよび図1Bに示されている。上述のように、デバイス10は、薬剤を患者の体に注射するように構成される。デバイス10は、注射予定の薬剤を含むリザーバを通常は含むハウジング11(たとえば、シリンジ)と、送達手順の1つまたはそれ以上の段階を容易にするために必要な構成要素とを含む。デバイス10はまた、ハウジング11に取り外し可能に取り付けられるキャップアセンブリ12を含み得る。通常は使用者が、デバイス10が動作する前に、キャップ12をハウジング11から取り外さなければならない。
【0029】
図示のように、ハウジング11は実質的に円筒形であり、長手方向軸Xに沿って実質的に一定の直径を有する。ハウジング11は、遠位領域20および近位領域21を有する。用語「遠位」は、注射の部位に相対的に近い場所を指し、用語「近位」は、注射部位から相対的に遠い場所を指す。
【0030】
デバイス10はまた、ハウジング11に対してスリーブ13が動くことを可能にするようにハウジング11に連結されたスリーブ13を含み得る。たとえば、スリーブ13は長手方向軸Xと平行な長手方向に動くことができる。具体的には、スリーブ13が近位方向に動くことにより、針17がハウジング11の遠位領域20から延びることが可能になり得る。
【0031】
針17を挿入することは、いくつかの機構を介して行うことができる。たとえば、針17は、ハウジング11に対して固定して配置され、最初に、延びたニードルスリーブ13の中に配置される。スリーブ13の遠位端を患者の体に当て、ハウジング11を遠位方向に動かすことによってスリーブ13が近位に動くと、針17の遠位端のカバーが取り外される。このような相対的な動きが、針17の遠位端が患者の体の中へ延びることを可能にする。このような挿入は、スリーブ13に対してハウジング11が患者の手操作で動くことにより針17が手動で挿入されるので、「手動」挿入と呼ばれる。
【0032】
挿入の別の形態は「自動化された」ものであり、それによって針17がハウジング11に対して動く。このような挿入は、スリーブ13が動くことによって、または、たとえばボタン22などの別の形態の起動によってトリガされる。図1Aおよび図1Bに示されるように、ボタン22はハウジング11の近位端にある。しかし、他の実施形態では、ボタン22はハウジング11の側面にある。
【0033】
他の手動または自動化機能には、薬物注射もしくは針引き込み、または両方が含まれ得る。注射とは、薬剤をシリンジから針17に強制的に通すために、栓またはピストン23をシリンジ(図示せず)内の近位位置からシリンジ内のより遠くの位置まで動かす過程のことである。いくつかの実施形態では、駆動ばね(図示せず)が、デバイス10が起動される前に圧縮の状態にある。駆動ばねの近位端はハウジング11の近位領域21内に固定され、駆動ばねの遠位端は、ピストン23の近位面に圧縮力をかけるように構成される。起動に続いて、駆動ばねに保存されたエネルギーの少なくとも一部がピストン23の近位面に加えられる。この圧縮力はピストン23に、ピストンを遠位方向に動かすように作用する。このような遠位の動きは、シリンジ内の液体薬剤を圧縮するように作用して、液体薬剤を針17から外に強制的に出す。注射に続いて、針17はスリーブ13またはハウジング11の中に引き込まれる。引き込みは、使用者がデバイス10を患者の体から離すにつれてスリーブ13が遠位に動くときに行うことができる。これは、針17がハウジング11に対して固定位置にとどまったままであるので行うことができる。スリーブ13の遠位端が針17の遠位端を通り過ぎ、針17が覆われると、スリーブ13がロックされる。このようなロッキングは、ハウジング11に対するスリーブ13の近位の動きをロックすることを含み得る。
【0034】
別の形態の針引き込みは、針17がハウジング11に対して動く場合に行うことができる。このような動きは、ハウジング11内のシリンジがハウジング11に対して近位方向に動く場合に行うことができる。この近位動きは、遠位領域20にある引き込みばね(図示せず)を使用して実現される。圧縮された引き込みばねが、起動したときに十分な力をシリンジに供給して、シリンジを近位方向に動かすことができる。十分な引き込みの後では、針17とハウジング11の間の相対的な動きがロッキング機構によってロックされる。加えて、デバイス10のボタン22または他の構成要素が必要に応じてロックされる。
【0035】
図2は、デバイス10の遠位端の断面図である。ハウジング11は、ハウジング11およびキャップ12に対して軸方向に可動である同軸中空円筒形薬剤カートリッジホルダ14を含む。薬剤カートリッジホルダ14は、穿孔可能セプタム15aを遠位端に有する薬剤カートリッジ15を保持するように配置される。カートリッジ15は、カートリッジ本体15b、ネック15cおよびヘッド15dを有する。ヘッド15dはネック15cよりも広く、それによってフランジ付き端部を形成する。ネック15cおよびヘッド15dは、薬剤を通過させると共に針17の近位端をそれが挿入されると受け入れるための通路を含む。セプタム15aは、通路を塞ぐように、また薬剤カートリッジ15の内容物を封止するように配置される。カートリッジ本体15b、ネック15cおよびヘッド15dは、概して円筒形の形状とすることができる。しかし、代替の形状が使用されてもよい。
【0036】
キャップ12は、スリーブ13およびハウジング11の上に嵌まる。キャップ12は端壁および湾曲側壁を有する。キャップ12は、キャップ12の端壁から延びる管状固定部材12aを含む。管状部材は、針17の遠位端が収納される外側ニードルガード16を受けるのに適切な直径である。摩擦嵌めが、デバイス10の組み立て中に管状固定部材12aと、針17の遠位端を含むニードルガード16との間に形成される。摩擦嵌めは、キャップ12が取り外されるときにニードルガード16もまた取り外されるように十分に強い。管状固定部材12aとニードルガード16の間の嵌合は、クリップを使用して提供される。あるいは、ニードルガード16は、接着剤を使用してキャップ12の上に形づくられる、またはそこに接着剤で付けられる熱可塑性エラストマー(TPE)から形成される。実際は、いくつかの実施形態では、管状部材12aが設けられずに、ニードルガード16がキャップ12の主本体に取り付けられる。
【0037】
針17の遠位端は、外側ニードルガード16に対し同軸である内側ニードルガード19によって保護される。内側ニードルガード19は、外側ニードルガード16によって解放可能に保持される。
【0038】
針17は、ニードルホルダ18によって針17の近位端の方に保持される。ニードルホルダ18は、概してカップ形の部分18aと、針17が通る通路とを有する。カップ形部分18aは、針17の近位端をカートリッジ15に挿入した後に薬剤カートリッジホルダ14の遠位端と係合するように形づくられる。
【0039】
いくつかの実施形態では、薬剤カートリッジ15のネック15cおよびヘッド15dは、薬剤カートリッジホルダ14の遠位端から突き出る。ニードルホルダ18のカップ形部分18aは、ニードルホルダ18をカートリッジ15に取り付けた後にニードルホルダ18がカートリッジ15から外れることを防止するために、薬剤カートリッジ15のヘッド15dの上に留まる働きをするリップを含むことができる。
【0040】
カップ形部分18aの湾曲壁は、針17の近位端を取り囲む。箔シートなどの穿孔可能封止部材24は、カップ形部分18aの湾曲壁の近位端に取り付けられ、それによって針17の近位端が封止される。薬剤カートリッジホルダ14は、薬剤カートリッジホルダ14の遠位方向の軸方向運動によって封止部材24を穿孔する、1つまたはそれ以上の切り込み要素14aを含む。
【0041】
1つまたはそれ以上のばね25が、その第1の縁部でハウジング11に連結され、その第2の端部でスリーブ13に連結される。図2に示されるように、ばね25は圧縮されている。ばね25は、キャップ12の湾曲壁から径方向内向きに延びるリブなどの、少なくとも1つの止め要素26を含むキャップ12によって圧縮状態に保持される。そのため、図2に示されるように、薬剤カートリッジ15の遠位端は、デバイス10の主軸Xに沿って針17の近位端から分離される。
【0042】
デバイス10は、ハウジング11とキャップ12の間にバヨネットロッキング配置を含む。図2に示されるように、ハウジング11はピン27を有し、キャップ12の内側はスロットリンク28を備える。しかし、代替実施形態では、キャップ12がピンを備え、ハウジング11がスロットリンクを備える。スロットリンク28は、キャップ12の湾曲壁の内側の部分に沿って延びる円周長と、この円周長からキャップ12の近位端に延びる軸方向長を有する溝である。ピン27とスロットリンク28の間の係合により、ハウジング11に対してキャップ12が回転する前にキャップ12が外れることが防止される。
【0043】
図3は、回転するキャップ12を示す。キャップ12が回転すると、止め要素26がスリーブ13の遠位端から係合解除する。これにより、圧縮されたばね25が解放され、それによりスリーブ13および薬剤カートリッジホルダ14が、デバイス10の遠位端に向かって軸方向に変位する。切り込み要素14aは、封止部材24を穿孔する。針17の近位端は、薬剤カートリッジ15のセプタム15aを穿孔する。ニードルホルダ18のカップ形部分18aは、薬剤カートリッジホルダ14(または薬剤カートリッジ15のヘッド15d)の遠位端の上に嵌まる。
【0044】
ハウジング11に対してキャップ12がさらに回転すると、ピン27がスロットリンク28の軸方向長と位置が合うことになる。そうしてキャップ12は、図4に示されるように、軸方向の遠位方向に引っ張ることによって取り外される。外側ニードルガード16は、キャップ12の残りの部分と共に取り外される。内側ニードルガード19は、ニードルホルダ18に取り付けられたままであり、針17の遠位端を覆っている。次に内側ニードルガード19が使用者によって取り外されて針の遠位端が露出する。その後注射が開始される。
【0045】
針をさらに安全にするために、スリーブ13は、電源装置をトリガすると共に起動させることができる。図2〜4に示された実施形態では、スリーブ13は、それ自体をカートリッジホルダ14に対して少し回転させることによって起動させることができ、したがって、スリーブ13に設けられた協働リブ13b、14bとカートリッジホルダ14の間の係合が解除される。カートリッジホルダ14は、ハウジング11とカートリッジホルダ14の間の止めリブ(図示せず)により、ハウジング11に対して同じ位置にとどまることができる。
【0046】
用語「薬物」または「薬剤」は、本明細書において同意語として使用され、1つまたはそれ以上の医薬品有効成分または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物と、場合により、薬学的に許容される担体とを含む医薬製剤を示す。医薬品有効成分(「API」)とは、最も広範な言い方で、ヒトまたは動物に生物学的影響を及ぼす化学構造のことである。薬理学では、薬物または薬剤が、疾患の処置、治療、予防、または診断に使用され、またはそれとは別に、身体的または精神的健康を向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限られた継続期間、または慢性疾患では定期的に、使用される。
【0047】
以下に説明されるように、薬物または薬剤は、1つまたはそれ以上の疾患を処置するための、さまざまなタイプの製剤の少なくとも1つのAPI、またはその組み合わせを含むことができる。APIの例としては、分子量が500Da以下である低分子;ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえばホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素);炭水化物および多糖類;ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(裸およびcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNAおよびRNAなどのアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが含まれ得る。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに組み込まれる。1つまたはそれ以上の薬物の混合物もまた企図される。
【0048】
用語「薬物送達デバイス」は、薬物または薬剤をヒトまたは動物の体内に投薬するように構成されたあらゆるタイプのデバイスまたはシステムを包含するものである。それだけには限らないが、薬物送達デバイスは、注射デバイス(たとえばシリンジ、ペン型注射器、自動注射器、大容量デバイス、ポンプ、潅流システム、または眼内、皮下、筋肉内、もしくは血管内送達にあわせて構成された他のデバイス)、皮膚パッチ(たとえば、浸透圧性、化学的、マイクロニードル)、吸入器(たとえば鼻用または肺用)、埋め込み型デバイス(たとえば、薬物またはAPIコーティングされたステント、カプセル)、または胃腸管用の供給システムとすることができる。ここで説明される薬物は、たとえば24以上のゲージ数を有する、たとえば皮下針である針を含む注射デバイスでは特に有用であり得る。
【0049】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスで使用するように適用された主要パッケージまたは「薬物容器」内に含まれる。薬物容器は、たとえば、カートリッジ、シリンジ、リザーバ、または1つもしくはそれ以上の薬物の保存(たとえば短期または長期保存)に適したチャンバを提供するように構成された他の固体もしくは可撓性の容器とすることができる。たとえば、場合によって、チャンバは、少なくとも1日(たとえば1日から少なくとも30日まで)の間薬物を収納するように設計される。場合によって、チャンバは、約1ヶ月から約2年の間薬物を保存するように設計される。保存は、室温(たとえば約20℃)または冷蔵温度(たとえば約−4℃から約4℃まで)で行うことができる。場合によって、薬物容器は、投与予定の医薬製剤の2つまたはそれ以上の成分(たとえばAPIおよび希釈剤、または2つの異なるタイプの薬物)を別々に、各チャンバに1つずつ保存するように構成された二重チャンバカートリッジとすることができ、またはこれを含むことができる。そのような場合、二重チャンバカートリッジの2つのチャンバは、ヒトまたは動物の体内に投薬する前、および/または投薬中に2つまたはそれ以上の成分間で混合することを可能にするように構成される。たとえば、2つのチャンバは、これらが(たとえば2つのチャンバ間の導管によって)互いに流体連通し、所望の場合、投薬の前にユーザによって2つの成分を混合することを可能にするように構成される。代替的に、またはこれに加えて、2つのチャンバは、成分がヒトまたは動物の体内に投薬されているときに混合することを可能にするように構成される。
【0050】
本明細書において説明される薬物送達デバイス内に含まれる薬物または薬剤は、数多くの異なるタイプの医学的障害の処置および/または予防に使用される。障害の例としては、たとえば、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病に伴う合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症が含まれる。障害の別の例としては、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチがある。APIおよび薬物の例としては、たとえば、それだけには限らないが、ハンドブックのRote Liste 2014、主グループ12(抗糖尿病薬物)または主グループ86(腫瘍薬物)、およびMerck Index、第15版などに記載されているものがある。
【0051】
1型もしくは2型の糖尿病、または1型もしくは2型の糖尿病に伴う合併症の処置および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえばヒトインスリン、またはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、GLP−1類似体もしくはGLP−1受容体アゴニスト、またはその類似体もしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP4)阻害剤、または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの任意の混合物が含まれる。本明細書において使用される用語「類似体」および「誘導体」は、元の物質と構造的に十分に類似しており、それによって同様の機能または活性(たとえば治療効果性)を有することができる任意の物質を指す。特に、用語「類似体」は、天然のペプチドの構造、たとえばヒトのインスリンの構造から、天然のペプチド中に見出される少なくとも1つのアミノ酸残基を欠失させるおよび/もしくは交換することによって、ならびに/または少なくとも1つのアミノ酸残基を付加することによって式上で得られる分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換されるアミノ酸残基は、コード可能なアミノ酸残基、または他の天然の残基もしくは完全に合成によるアミノ酸残基とすることができる。インスリン類似体は「インスリン受容体リガンド」とも呼ばれる。特に、用語「誘導体」は、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば、脂肪酸)が1つまたはそれ以上のアミノ酸に結合している、天然のペプチドの構造、たとえばヒトのインスリンの構造から式上で得られる分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然のペプチド中に見出される1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失され、かつ/もしくはコード不可能なアミノ酸を含む他のアミノ酸によって置換されていてもよく、または、コード不可能なアミノ酸を含むアミノ酸が、天然のペプチドに付加されていてもよい。
【0052】
インスリン類似体の例としては、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置換されているヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンがある。
【0053】
インスリン誘導体の例としては、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;Lys(B29)(N−テトラデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、Levemir(登録商標))、B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ω−カルボキシヘプタデカノイル−γ−L−グルタミル−des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、Tresiba(登録商標))、B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンがある。
【0054】
GLP−1、GLP−1類似体およびGLP−1受容体アゴニストの例としては、たとえば、リキシセナチド(Lyxumia(登録商標)、エキセナチド(エキセンディン−4、Dyetta(登録商標)、Bydureon(登録商標)、アメリカドクトカゲの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Victoza(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(Syncria(登録商標))、デュラグルチド(Trulicity(登録商標))、rエキセンディン−4、CJC−1134−PC、PB−1023、TTP−054、ラングレナチド/HM−11260C、CM−3、GLP−1エリゲン(Eligen)、ORMD−0901、NN−9924、NN−9926、NN−9927、ノデキセン(Nodexen)、ビアドール(Viador)−GLP−1、CVX−096、ZYOG−1、ZYD−1、GSK−2374697、DA−3091、MAR−701、MAR709、ZP−2929、ZP−3022、TT−401、BHM−034、MOD−6030、CAM−2036、DA−15864、ARI−2651、ARI−2255、エキセナチド−XTENおよびグルカゴン−Xtenがある。オリゴヌクレオチドの例としては、たとえば:家族性高コレステロール血症の処置のためのコレステロール低下アンチセンス治療薬である、ミポメルセンナトリウム(Kynamro(登録商標))がある。DPP4阻害剤の例としては、ビルダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンがある。ホルモンの例としては、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンなどの、脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストが含まれる。
【0055】
多糖類の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩が含まれる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。ヒアルロン酸誘導体の例としては、ハイランG−F20(Synvisc(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムがある。
【0056】
本明細書において使用する用語「抗体」は、免疫グロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例には、抗原を結合する能力を保持するF(ab)およびF(ab’)フラグメントが含まれる。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、組換え型、キメラ型、非免疫型またはヒト化、完全ヒト型、非ヒト型(たとえばネズミ)、または一本鎖抗体とすることができる。いくつかの実施形態では、抗体はエフェクター機能を有し、補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体と結合する能力が低く、または結合することはできない。たとえば、抗体は、アイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは変異体とすることができ、これはFc受容体との結合を支持せず、たとえば、突然変異した、または欠失したFc受容体結合領域を有する。用語の抗体はまた、四価二重特異性タンデム免疫グロブリン(TBTI)および/または交差結合領域の配向性を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗体結合分子を含む。
【0057】
用語「フラグメント」または「抗体フラグメント」は、全長抗体ポリペプチドを含まないが、抗原と結合することができる全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を依然として含む、抗体ポリペプチド分子(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)由来のポリペプチドを指す。抗体フラグメントは、全長抗体ポリペプチドの切断された部分を含むことができるが、この用語はそのような切断されたフラグメントに限定されない。本発明に有用である抗体フラグメントは、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、直鎖抗体、単一特異性抗体フラグメント、または二重特異性、三重特異性、四重特異性および多重特異性抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)などの多重特異性抗体フラグメント、一価抗体フラグメント、または二価、三価、四価および多価抗体などの多価抗体フラグメント、ミニボディ、キレート組換え抗体、トリボディまたはバイボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュラー免疫薬(SMIP)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体を含む。抗原結合抗体フラグメントのさらなる例が当技術分野で知られている。
【0058】
用語「相補性決定領域」または「CDR」は、特異的抗原認識を仲介する役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。用語「フレームワーク領域」は、CDR配列ではなく、CDR配列の正しい位置決めを維持して抗原結合を可能にする役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、通常、当技術分野で知られているように、抗原結合に直接的に関与しないが、特定の抗体のフレームワーク領域内の特定の残基が、抗原結合に直接的に関与することができ、またはCDR内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が抗原と相互作用する能力に影響を与えることができる。
【0059】
抗体の例としては、アンチPCSK−9mAb(たとえばアリロクマブ)、アンチIL−6mAb(たとえばサリルマブ)、およびアンチIL−4mAb(たとえばデュピルマブ)がある。
【0060】
本明細書において説明される任意のAPIの薬学的に許容される塩もまた、薬物送達デバイスにおける薬物または薬剤の使用に企図される。薬学的に許容される塩は、たとえば酸付加塩および塩基性塩である。
【0061】
API、製剤、装置、方法、システムのさまざまな構成要素および本明細書に記載の実施形態の修正(追加および/または除去)を、このような修正、およびありとあらゆるその均等物を包含する本発明の全範囲および趣旨から逸脱せずに加えることができることは当業者に理解されよう。
図1A
図1B
図2
図3
図4