【発明が解決しようとする課題】
【0006】
キャパシタ燃料プローブからの燃料レベル決定を改善するために、燃料中に沈められるプローブを使用して、燃料誘電体定数の実効値を決定し、次いで、燃料誘電体定数についてそれにより得られた値を部分的に沈められているキャパシタ燃料プローブから測定されたキャパシタ値と組み合わせることが提案されている。しかし、これは、燃料レベル決定の精度を改善するけれどもまだ満足のゆくものではないが、それは燃料誘電体定数値および燃料レベル計算に使用される値を決定するために使用されるキャパシタが互いに離れている場所に関係しているからである。そして、水平温度勾配が航空機燃料タンク内に存在している可能性があり、これは特に燃料タンクが配置される航空機の翼に太陽輻射が当たることによる。また、そのような実装は、燃料誘電体定数を得るために使用される各燃料プローブが沈められているかどうかを決定するために複雑なアルゴリズムを必要とし、信頼性が限定されるという問題を抱える。
【0007】
キャパシタプローブに基づき燃料レベル決定の精度を改善する別の試みによれば、プローブの底部に配置され、長さが知られている、小さなキャパシタセグメントを、燃料誘電体定数の値を決定する作業専用にすることが提案されている。しかし、これは、存在している可能性があり、キャパシタ燃料プローブに沿って燃料誘電体定数の値を変動させる、垂直勾配を考慮する上で効率的でない。
【0008】
次いで、米国特許第3,283,577号では、プローブに沿って様々な高さで燃料誘電体定数値の決定を可能にするように適合されているセグメント分割されたキャパシタ燃料プローブを提案している。このために、測定ユニットは、キャパシタセグメントとは別に提供される。これは、燃料レベルを計算するときにより正確な誘電体定数値を考慮することを可能にする。しかし、そのようなシステムは複雑であり、多数のコンポーネントを備えているため総重量およびコストの増大を招く。
【0009】
このような状況から始まり、本発明の一目的は、正確な燃料レベル決定を可能にする新しいキャパシタ燃料プローブを提供することである。特に、本発明は、燃料レベルを決定するときに、プローブに沿って存在し得る燃料誘電体定数の値の変動を考慮することを目指している。
【0010】
追加の目的は、既存のシステムと比較して、追加される必要のあるコンポーネントの個数を制限することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの目的または他の目的を達成するために、本発明の第1の態様では、燃料の誘電体定数値が最小限度K
minと最大限度K
maxとの間にあるときにプローブ軸に沿って燃料レベルを測定することを意図されているキャパシタ燃料プローブを提案し、これらの最小限度および最大限度はキャパシタ燃料プローブに対して規定される。
【0012】
キャパシタ燃料プローブは、Nを5より大きい整数として、プローブ軸に沿って互いに重ね合わされている一連のN個の分離されたキャパシタセグメントを備える。各キャパシタセグメントは、プローブ軸に沿って底部高さ値から頂部高さ値まで延在し、キャパシタセグメントのうちのどれか1つの頂部高さ値は、キャパシタセグメントのうちの最低のキャパシタセグメントから最高のキャパシタセグメントへ移動するときに次のキャパシタセグメントの底部高さ値に対応する。
【0013】
本発明の文脈内で、「キャパシタセグメント」という語句は、適切な電気的接続を通じて様々な方式より互いに並列接続され得るキャパシタの部分を表す。キャパシタ技術における当業者にはよく知られているように、各キャパシタセグメントは、同等に、他のキャパシタセグメントとは別にこのキャパシタ専用の2つのキャパシタ電極からなるか、またはこのキャパシタセグメント専用であり、すべてのキャパシタセグメント間で共有される共通電極に関して配置構成されている1つのキャパシタ電極からなるものとしてよい。この後者の場合において、各キャパシタセグメントは、その専用のキャパシタ電極とこのキャパシタ電極に面する共通電極の一部とを含むものとして考えられてよい。実施形態の両タイプとも、「キャパシタセグメント」という語句を通じてこの説明に包含される。
【0014】
本発明の第1の特徴によれば、キャパシタ燃料プローブは、キャパシタセグメントのうちの任意の3つの連続するセグメントが互いに電気的に絶縁されるようにさらに設計される。次いで、各キャパシタセグメントは少なくとも3つのセットのうちの1つに、プローブ軸に沿って重ね合わせ順序に従いキャパシタセグメントのうちの最低のキャパシタセグメントから最高のキャパシタセグメントへ移動している間にそれらのセットの同一の順序付けられたシーケンスを繰り返すことによって、割り当てられる。各セット内のすべてのキャパシタセグメントは、他のセットとは別に並列接続配置構成に従って電気的に接続される。
【0015】
本発明の第2の特徴は、プローブ軸に沿って最低のキャパシタセグメントから最高のキャパシタセグメントまで整数指数nを用いてすべてのキャパシタセグメントを漸次番号付けし、h
nが第nのキャパシタセグメントの頂部高さ値を表すときに適用される。次の条件が満たされる。
2からNまでの任意のn値について、h
n−1<h
n・(K
min−1)/(K
max−1)。
【0016】
このようにして、並列接続されているすべてのキャパシタセグメントに対応する第1のキャパシタ値を測定することで、補償器セットと呼ばれる、セットのうちの少なくとも1つが、最小限度K
minと最大限度K
maxとの間で燃料誘電体定数の値が何であれ燃料レベルが交差するキャパシタセグメントを有しないことを指示し得る。したがって、補償器セットに対して測定される第2のキャパシタ値が、燃料誘電体定数の推定値を計算することを可能にする。次いで、第1のキャパシタ値と組み合わせた燃料誘電体定数のこの推定値は、燃料レベルに対する精緻化値を計算することを可能にする。
【0017】
このようにして、補償器セットは、プローブ軸に沿って燃料誘電体定数に存在する可能性のあるレベル計算変動を補償する機能を有する。そのような補償は、高燃料レベルの場合を含めて正確であるものとしてよいが、それは、補償に使用されるプローブ部分はプローブの最低のキャパシタセグメントに制限されないからである。
【0018】
そのようなキャパシタ燃料プローブは、航空機の燃料タンク内で動作するように適合され得る。
【0019】
本発明の好ましい実施形態において、次の追加の特徴のうちの少なくとも1つは、互いに独立して、またはそれらのうちのいくつかの組合せにより、有利に実装され得る。
− キャパシタセグメントの個数Nは、8より大きい、好ましくは9に等しい、および/または16より小さいものとしてよい。
− キャパシタセグメントが他のセットとは別に各セット内で並列接続されているセットの数は、3であってもよい。
− 燃料誘電体定数に対する最小限度K
minは、1.90から2.06の間にあるものとしてよい。
− 燃料誘電体定数に対する最大限度K
maxは、2.19から2.35の間にあるものとしてよい。
− すべてのキャパシタセグメントのそれぞれの長さ値は、キャパシタ燃料プローブに沿って漸次n値とともに大きくなり得る。
− キャパシタセグメントの頂部高さ値は、h
1・r
(n−1)に等しいものとしてよく、h
1はn=1に対応する最低のキャパシタセグメントの頂部高さ値であり、rは(K
max−1)/(K
min−1)より大きい等比数列の公比であり、好ましくは2未満である。
【0020】
特に、K
min=1.98からK
max=2.27までの範囲は、燃料温度が−55℃から+70℃の間であり、燃料が、JETA/A1、JP4、JP5、JP7、JP8、およびTS1を含む、主JETタイプのうちの1つであるときに、燃料誘電体定数Kに対するすべての可能な値を含む。
【0021】
一般に、本発明では、キャパシタ燃料プローブは、少なくとも1つのキャパシタ測定ユニットと、キャパシタ測定ユニットをキャパシタセグメントのセットのうちのどれか1つに電気的に接続するのに適している接続配置構成とをさらに備え得る。このようにして、キャパシタ測定ユニットは、キャパシタセグメントセットのうちのどれか1つに対して測定されたキャパシタ値を提供することができる。
【0022】
本発明の第2の態様は、プローブの軸に沿って燃料レベルを測定する作業専用のキャパシタ燃料プローブを製造するためのプロセスを提供し、このプロセスは
/1/ 燃料の誘電体定数値が最小限度K
minと最大限度K
maxとの間にあり、これらはキャパシタ燃料プローブに対して規定されていると仮定するステップと、
/2/ Nが5より大きい、一連のN個のキャパシタセグメントに対してそれぞれの頂部高さ値を決定するステップと、
/3/ N個のキャパシタセグメントがプローブ軸に沿って互いに重ね合わされるようにキャパシタ燃料プローブを生産するステップと、
/4/ N個のキャパシタセグメントを少なくとも3つのセットに、プローブ軸に沿ってキャパシタセグメントのうちの最低のキャパシタセグメントから最高のキャパシタセグメントへ移動している間にセットの同一の順序付けられたシーケンスを繰り返し、他のセットとは別に並列接続配置構成に従って各セット内のすべてのキャパシタセグメントを電気的に接続することによって、分配するステップと、
/5/ 任意選択で、キャパシタ燃料プローブを航空機燃料タンク内に固定するステップとを含む。
【0023】
ステップ/2/から/4/は、ステップ/1/で規定されているような燃料誘電体定数値に対する最小限度K
minおよび最大限度K
maxとともに、そのように設計され製造されているキャパシタ燃料プローブが場合によっては好ましい実施形態の任意選択の特徴を含む本発明の第1の態様に適合するように実行される。
【0024】
場合によっては、キャパシタ燃料プローブの設計では、燃料誘電体定数範囲の知識に関係する不確定性以外の不確定性を考慮してもよい。特に、キャパシタセグメントの頂部高さ値は、ステップ/2/において、燃料レベルが最小限度K
minと最大限度K
maxとの間にある燃料誘電体定数の少なくとも1つの値について第nのキャパシタセグメントと交差することを示す第1のキャパシタ値が、3からNまでのnについて、最小限度K
minと最大限度K
maxとの間にある燃料誘電体定数値が何であれ、またキャパシタセグメントの長さに関係する製造誤差、キャパシタ燃料プローブの組み立てステップに関係する位置決め誤差、および実際のキャパシタ値に関して測定されるようなキャパシタ値に関係する測定誤差から選択される誤差値が何であれ、これらの誤差値の各1つはキャパシタ燃料プローブに対して規定されているそれぞれの追加の最小限度と最大限度の間にあり、第(n−2)のキャパシタセグメントが燃料内に完全に沈められることを確実にするように決定される。
【0025】
最後に、本発明の第3の態様では、燃料タンクと、燃料タンク内に固定される、本発明の第1の態様に従う少なくとも1つのキャパシタ燃料プローブとを備える、航空機用の燃料タンク機器を提案している。
【0026】
本発明のこれらのおよび他の特徴は、次に、好ましいが、非限定的な、本発明の実施形態に関係する、添付図を参照しつつ説明される。