(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について図に基づいて説明する。なお、説明の便宜のため、X方向、Y方向、Z方向が導入されている。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るヒートシンクおよびこれを含む回路装置が空調機に設置された状態を示す回路図である。
図1に示す空調機400は、熱源ユニット200と、複数の負荷ユニット300とを有している。熱源ユニット200はたとえば室外機に相当し、負荷ユニット300はたとえば室内機に相当する。本実施の形態のヒートシンク100およびこれを含む回路装置101は、熱源ユニット200に含まれている。
【0013】
熱源ユニット200は、主回路210と、バイパス回路220とを有している。このうち主回路210は、圧縮機211と、流路切替装置212と、熱源側熱交換器213とを主に有している。またバイパス回路220は制御装置240を有しているが、これについては後述し、まず主回路210の構成部材について説明する。
【0014】
圧縮機211は、冷媒を圧縮して吐出させるものである。流路切替装置212は、たとえば四方弁で構成され、冷房運転時と暖房運転時との間で冷媒の流路を切り換えるものである。熱源側熱交換器213は、圧縮機211から吐出された主回路210中を循環する冷媒と空気との間で熱交換を行なうものである。熱源側熱交換器213は、冷房運転時には凝縮器として機能し、暖房運転時には蒸発器として機能する。
【0015】
一方、負荷ユニット300は、負荷側絞り装置301と、負荷側熱交換器302とを有する。なお
図1においては1台の熱源ユニット200に対して2台の負荷ユニット300が並列に接続されている。しかし1台の熱源ユニット200に対して接続される負荷ユニット300の数は任意であり、1台のみであっても3台以上であってもよい。負荷側絞り装置301は、たとえば電子式膨張弁または毛細管等により構成される。負荷側絞り装置301は、熱源側熱交換器213から流入する冷媒を減圧して膨張させる。負荷側熱交換器302は、負荷側絞り装置301で減圧された冷媒と空気との間で熱交換を行なうものである。負荷側熱交換器302は、冷房運転時には蒸発器として機能し、暖房運転時には凝縮器として機能する。
【0016】
圧縮機211と、流路切替装置212と、熱源側熱交換器213と、負荷側絞り装置301と、負荷側熱交換器302とは、冷媒配管により接続されて冷媒回路の主回路210を構成している。主回路210を流れる冷媒は、たとえば水、フルオロカーボン、アンモニア、二酸化炭素からなる群から選択されるいずれかが用いられる。
【0017】
次に熱源ユニット200の、バイパス回路220の構成部材について説明する。バイパス回路220は制御装置240を有し、制御装置240は発熱体としての電子部品120と、電子部品120の温度に基づいてこれの冷却を制御する冷却制御器230とを有している。つまりバイパス回路220は、制御装置240の発熱体としての電子部品120を、冷媒を用いて冷却するための回路である。
【0018】
バイパス回路220は、上記各部材の他に、予冷熱交換器222と、流量調整装置223と、ヒートシンク100とを有している。予冷熱交換器222は、熱源側熱交換器213と一体に構成されている。熱源側熱交換器213の一部が予冷熱交換器222として用いられる。予冷熱交換器222は、主回路210から分岐して流入する冷媒を冷却する。流量調整装置223は、開度が可変な電子式膨張弁等で構成され、予冷熱交換器222で冷却された冷媒を減圧して膨張させる。ヒートシンク100は、流量調整装置223で減圧された冷媒の冷熱により、制御装置240に含まれる発熱する電子部品120を冷却する。以下において電子部品120とは、制御装置240を構成する複数の電子部品120のうち発熱するものをいう。なお電子部品120の温度は温度センサ110により検出可能となっている。またヒートシンク100に電子部品120が取り付けられることにより、回路装置101が構成されている。
【0019】
バイパス回路220において、予冷熱交換器222と、流量調整装置223と、ヒートシンク100とは、バイパス配管221により接続される。ここで、圧縮機211と流路切替装置212との間には高圧配管201が接続されており、圧縮機211の吸入側には低圧配管202が接続されている。バイパス配管221は、高圧配管201から分岐し、低圧配管202に接続されている。
【0020】
なお
図1においては、ヒートシンク100の入口側(
図1の左側)に流量調整装置223が設けられている。しかし流量調整装置223はヒートシンク100の出口側(
図1の右側)に設けられてもよい。
図1のように流量調整装置223がヒートシンク100の入口側に設けられる場合、予冷熱交換器222で冷却された冷媒は、流量調整装置223において減圧され、さらに温度が低下した状態でヒートシンク100に流入する。
【0021】
制御装置240は、圧縮機211の周波数、流路切替装置212の切り替えおよび負荷側絞り装置301の開度等を制御する。また制御装置240に含まれる冷却制御器230は、温度センサ110により検出された電子部品120の温度に基づいて流量調整装置223の開度を制御する。具体的には、冷却制御器230は、電子部品120の温度が上限温度以上である場合には流量調整装置223を開いてバイパス回路220に冷媒を流し、電子部品120の温度が下限温度以下である場合には流量調整装置223を閉じてバイパス回路220での冷媒の流通を止める。ここで電子部品120の上限温度はたとえば電子部品120の耐熱温度に応じたものであり、電子部品120の下限温度はたとえば電子部品120に結露が生じる温度に応じたものである。
【0022】
圧縮機211から吐出された冷媒は、主回路210を流れ、負荷ユニット300において空気と熱交換する。これにより冷房または暖房が行なわれる。電子部品120の温度が上限温度以上に上昇すれば、冷却制御器230は流量調整装置223を開くように制御する。これにより圧縮機211から吐出された高圧ガス冷媒の一部がバイパス配管221に流入する。
【0023】
バイパス配管221に流入した高圧ガス冷媒は、予冷熱交換器222で冷却されて液体冷媒となる。その液体冷媒は流量調整装置223で減圧され、ヒートシンク100に流入する。ヒートシンク100に流入した液体冷媒は、電子部品120で発生した熱を吸収し、ガス冷媒となってバイパス配管221へ流出する。ヒートシンク100から流出したガス冷媒は、バイパス配管221から低圧配管202を通ってそこから圧縮機211に吸入される。圧縮機211はガス冷媒を圧縮して高圧ガス冷媒とする。
【0024】
このとき、冷却制御器230は、電子部品120の温度が上限温度以上である場合にはバイパス回路220にて冷媒を流入させ電子部品120を冷却し、電子部品120の温度が下限温度以下である場合にはバイパス回路220への冷媒の流入を閉止する。
【0025】
以上の空調機の回路図におけるヒートシンク100およびこれを含む回路装置101が、本実施の形態のヒートシンク100および回路装置101である。次に
図2〜
図7を用いて、本実施の形態のヒートシンク100としてのヒートシンク100Aについて説明する。
【0026】
図2は、実施の形態1に係るヒートシンク100Aの一部分の概略斜視図である。
図3および
図4は
図2の構成を各方向から見た概略断面図である。
図2〜
図4を参照して、本実施の形態のヒートシンク100Aは、冷却ブロック11を備えている。冷却ブロック11は、XY平面において矩形状を有し、Z方向について厚みを有する平板状である。冷却ブロック11は伝熱性のよい材料、たとえばアルミニウムまたは銅などにより形成される。
【0027】
冷却ブロック11には少なくとも1つ以上の凸部12が形成されている。
図2の例においては冷却ブロック11に1つの凸部12が形成されている。凸部12は冷却ブロック11の凸部以外の部分である平坦部13に比べて、Z方向上方に盛り上がった部分である。すなわち冷却ブロック11はXY平面に沿うように、主表面14としての一方の主表面14a(
図2のZ方向下側)とその反対側の他方の主表面14b(Z方向上側)とを有する。一方の主表面14aはその全体においてXY平面に沿うよう平坦に形成される。これに対して、他方の主表面14bは凸部12において平坦部13に比べて
図2のZ方向上方に隆起している。ただし他方の主表面14bは凸部12および平坦部13ともに、一方の主表面14a(XY平面)に沿うように拡がっている。
【0028】
凸部12は、冷却ブロック11のX方向の全体に亘り形成されている。ただし凸部12は冷却ブロック11のY方向に関する中央部のみに形成されている。冷却ブロック11のY方向に関しては、凸部12の奥側および手前側の双方から凸部12を挟むように、平坦部13が形成されている。
【0029】
凸部12には溝部15が形成されている。溝部15は凸部12の、平面視における一の方向すなわちY方向に沿って延びている。溝部15は凸部12の他方の主表面14bが部分的にZ方向下方に凹んだ領域である。溝部15はたとえばY方向に沿って延びた形状を有している。凸部12の平面視における一の方向であるY方向における寸法は、冷却ブロック11全体のY方向における寸法よりも短い。言い換えれば、冷却ブロック11は、溝部15の延びる方向に関して、凸部12の部分の寸法が、冷却ブロック11全体の寸法よりも短い。
【0030】
図2および
図4に示すように、溝部15はその延びるY方向に交差する断面において、円弧形状を有している。すなわちこの場合、溝部15を形成する表面は曲面状となっている。しかし溝部15の形状はこれに限らず、後述する配管の形状に応じて適宜変更可能である。溝部15はたとえば
図4の断面において楕円形状の一部を有していてもよい。
【0031】
図5は、
図2の冷却ブロックに配管が設置された実施の形態1に係るヒートシンク100A全体の概略斜視図である。
図6および
図7は
図5の構成を各方向から見た概略断面図である。
図5〜
図7を参照して、本実施の形態のヒートシンク100Aは、
図2の冷却ブロック11にさらに配管10が設置されている。配管10は、内部に冷媒が流れるものである。配管10は
図5に示すように、平面視においてたとえばU字形状を有する。配管10は
図5および
図7に示すように、その延びる方向(おおむねY方向)に交差する断面がたとえば円形状であるがこれに限られない。配管10の断面はたとえば楕円形状であっても矩形状または正方形状であってもよい。また配管10は平面視においてM字形状を有していてもよい。
【0032】
凸部12に配管10が接触するように設置されている。具体的には、配管10の一部分の表面が、凸部12に形成された溝部15の曲面状の表面に接触するように配管10が配置されている。溝部15に対して配管10は、ろう付け加工などにより接合されている。これにより配管10は、溝部15に嵌合して凸部12と接触する。
【0033】
U字形状の配管10は、
図5に示すように、Y方向については、冷却ブロック11の配置される領域のほぼ全体に重なるように配置されている。つまり配管10は、平面視において冷却ブロック11の凸部12、およびそのY方向における一方側および他方側に配置される平坦部13と重なるように配置されている。ただし上記のように、配管10は凸部12とは、溝部15において接触されているが、平坦部13とは接触していない。つまり特に
図6に示すように、配管10は、冷却ブロック11の凸部12以外の部分である平坦部13(より詳しくは平坦部13の他方の主表面14bとしての部分)とは、Z方向に関して距離を保って離間して配置されている。すなわち配管10は平坦部13とは互いに間隔をあけて配置されている。
【0034】
図8は、
図5のヒートシンクに電子部品が取り付けられた回路装置の概略斜視図である。
図9は、
図8の回路装置がプリント配線板に実装されたものを矢印IXに示す方向から見た概略正面図である。
図8および
図9を参照して、上記のようにヒートシンク100Aは、XY平面に沿う方向に関して、凸部12が形成される第1の面としての他方の主表面14bと、他方の主表面14bと反対側の第2の面としての一方の主表面14aとを有している。本実施の形態の回路装置101としての回路装置101Aはヒートシンク100Aと、後述の電子部品とを含む。回路装置101Aにおいてヒートシンク100Aは、一方の主表面14aがZ方向上方を向くように、他方の主表面14bがZ方向下方を向くように設置されることが好ましい。一方の主表面14a上には電子部品としてのダイオードモジュール1およびIGBTモジュール2が取り付けられている。ダイオードモジュール1は整流ダイオードを含む。IGBTモジュール2はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)の素子を含む。
【0035】
第1の電子部品としてのIGBTモジュール2は、その少なくとも一部が凸部12の領域と平面視において重なるように、ヒートシンク100Aの一方の主表面14a上に設置されている。なお、ここで平面視とはヒートシンク100Aの一方の主表面14aに対して垂直な方向からヒートシンク100Aを見た場合を意味する。しかし第2の電子部品としてのダイオードモジュール1は、平坦部13と平面視において重なるように、ヒートシンク100Aの一方の主表面14a上に設置されている。ダイオードモジュール1およびIGBTモジュール2は、固定部材のある一例でネジにより、一方の主表面14aに固定されている。ただしダイオードモジュール1およびIGBTモジュール2は、放熱シートまたはグリスなどの放熱インターフェースを介して冷却ブロック11に取り付けられることが好ましい。これにより、ダイオードモジュール1およびIGBTモジュール2と、ヒートシンク100Aとの間の接触熱抵抗を低減することができる。
【0036】
図9に示すように、ダイオードモジュール1およびIGBTモジュール2は、ヒートシンク100Aと平面的に重なるように配置されたプリント配線板30に実装されている。
【0037】
図10は
図8および
図9の電子部品(
図1の電子部品120)を含む制御装置240(
図1参照)に組み込まれるインバータ装置の回路図である。
図10を参照して、インバータ装置は、入力電源P
in、ダイオードモジュール1を含む整流回路、平滑コンデンサ3、IGBTモジュール2を含むインバータ回路、および出力電源P
outを備えている。入力電源P
inは三相すなわちR相、S相およびT相を有している。また出力電源P
outは三相すなわちU相、V相およびW相を有している。R相、S相およびT相のそれぞれにはダイオードモジュール1を構成する整流ダイオード1a〜1fが接続されている。具体的には、整流ダイオード1aおよび整流ダイオード1dは互いに直列接続されており、両者の間にR相の端子が接続されている。また整流ダイオード1bおよび整流ダイオード1eは互いに直列接続されており、両者の間にS相の端子が接続されている。また整流ダイオード1cおよび整流ダイオード1fは互いに直列接続されており、両者の間にT相の端子が接続されている。整流ダイオード1a,1b,1cのそれぞれは、整流ダイオード1d,1e,1fのそれぞれのカソード側に直列接続されている。整流ダイオード1a,1dと整流ダイオード1b,1eと整流ダイオード1c,1fとは互いに並列接続されている。
【0038】
ダイオードモジュール1の整流ダイオード1a〜1fのアノード側には負ラインLnが、カソード側には正ラインLpが、それぞれ接続されている。この負ラインLnおよび正ラインLpを繋ぐように、整流ダイオード1a〜1fに並列に平滑コンデンサ3が接続されている。
【0039】
IGBTモジュール2は、
図10に示すようにIGBT素子21a〜21fのそれぞれと、還流ダイオード22a〜22fのそれぞれとが並列接続されたものが6つ形成された素子により構成されている。IGBT素子21aおよび還流ダイオード22aと、IGBT素子21dおよび還流ダイオード22dとが互いに直列接続されており、両者の間にU相の端子が接続されている。またIGBT素子21bおよび還流ダイオード22bと、IGBT素子21eおよび還流ダイオード22eとが互いに直列接続されており、両者の間にV相の端子が接続されている。またIGBT素子21cおよび還流ダイオード22cと、IGBT素子21fおよび還流ダイオード22fとが互いに直列接続されており、両者の間にW相の端子が接続されている。IGBT素子21a,21dとIGBT素子21b,21eとIGBT素子21c,21fとは互いに並列接続されている。
【0040】
IGBT素子21a,21dからなる直列回路はU相をスイッチングする。IGBT素子21b,21eからなる直列回路はV相をスイッチングする。IGBT素子21c,21fからなる直列回路はW相をスイッチングする。出力電源P
outのU相、V相、W相のそれぞれには負荷であるたとえばモータのU相端子、V相端子、W相端子のそれぞれが接続される。
【0041】
なお各IGBT素子21a〜21fのゲートおよびエミッタには、複数の駆動回路23a〜23fのそれぞれから駆動信号が個別に供給される。駆動回路23a〜23fのそれぞれは、光絶縁用のフォトカプラを備える。駆動回路23a〜23fのそれぞれは、マイクロプロセッサ等の外部制御回路からの制御信号を受信して、個々の駆動信号を出力し、各IGBT素子21a〜21fのゲートおよびエミッタに供給する。
【0042】
IGBT素子21d,21e,21fのそれぞれのエミッタと負ラインLnとの間には、U相端子、V相端子、W相端子に流れる電流を検知するためのシャント抵抗24が接続される。
【0043】
図10の回路においては、全体として、入力電源P
in側から出力電源P
out側に向けて、ダイオードモジュール1、平滑コンデンサ3、IGBT素子21a〜21fなどの順に接続されている。
【0044】
以上に説明した本実施の形態のヒートシンク100Aは、以下のように製造される。
図11は、実施の形態1に係るヒートシンク100Aの特に冷却ブロック11の形状の加工方法を示す概略図である。
図11を参照して、ヒートシンク100Aの冷却ブロック11は、平板形状に形成された金属部材をヒートシンク100AのYZ面における断面形状を有するダイス孔が形成されたダイス内に設置し、たとえばX方向正側から矢印で示す力Fが印加され、押し出し加工がなされる。この力Fは、特に金属部材のY方向手前側および奥側に印加されることが好ましい。これにより、力が印加された領域において、特に他方の主表面14b側の金属材料が、X方向負側に移動されるように除去される。これにより、金属部材が除去された領域においては他の領域よりもZ方向の高さが低くされた平坦部13が形成される。逆に言えば、金属部材が除去された領域以外の領域においては、金属部材が除去された領域に比べて相対的にZ方向の寸法が大きい凸部12が形成される。押し出し加工時のX方向に加わる力Fにより、平坦部13の領域においてはX方向の全体に力が加わり材料が押し出される。このため平坦部13および凸部12は、冷却ブロック11のX方向に関する全体に形成される。
【0045】
なお凸部12を形成するための加工方法は上記の押し出し加工に限定されない。ただし押し出し加工によれば、加工コストを低減させることができる。
【0046】
凸部12が形成された後、押し出し加工において印加された力Fの方向に交差(たとえば直交)するY方向に沿って延びるように、凸部12の他方の主表面14bに溝部15が形成される。溝部15は、凸部12の切削加工により形成される。
【0047】
図2および
図4においては、溝部15の延びる方向に交差する断面がなす円弧形状は、半円形状となっている。つまり溝部15の断面の、円形状の中心に対する円弧の形成される角度は180°となっている。この円弧の形成される角度は180°以上360°以下であることが好ましい。
図12はこのことを示すグラフである。
【0048】
図12の横軸は、溝部15の延びる方向に交差する断面がなす円弧形状の形成される角度を示し、縦軸は溝部15に設置された配管10による冷却能力の高さを示している。
図12を参照して、溝部15としての円弧の形成される角度が大きくなるにつれて、冷却能力は高くなる。上記角度が大きくなるにつれて配管10と溝部15との接触面積が大きくなるためである。
【0049】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態のヒートシンク100Aは、冷媒が流れる配管10と、冷却ブロック11とを備える。冷却ブロック11には少なくとも1つ以上の凸部12が形成され、凸部12に配管10が接触する。配管10は冷却ブロック11の凸部12以外の部分である平坦部13と互いに間隔をあけて配置される。
【0050】
このため、冷却ブロック11のうち特に凸部12は配管10の接触により冷却しやすくなる領域となるが、平坦部13は配管10と接触しないため冷却しにくい領域となる。つまり冷却しやすい凸部12と冷却しにくい平坦部13とをヒートシンク100Aに共存させることにより、冷却量を調整することができる。したがって過冷却によるヒートシンク100Aの結露を抑制することができる。
【0051】
冷却ブロック11の加工時の押し出し加工における、凸部12を形成するための金属部材を押し出し除去する領域は、押し出し加工に用いるダイスのダイス孔の形状を調整することにより調整可能である。よって、冷却ブロック11全体のうち凸部12が形成される領域の割合を調整することにより、配管10と凸部12との接触面積を容易に調整することができる。よって接触面積の調整により、ダイオードモジュール1およびIGBTモジュール2の冷却効率を調整することができる。
【0052】
なお冷却ブロック11が平坦部13を有するため、冷却ブロック11は平坦部13による熱容量を有している。このため、たとえば冷却ブロック11が平坦部13を有さない場合に比べて、凸部12の温度変化を小さくすることができる。
【0053】
また配管10と冷却ブロック11とが接触する領域は、冷却ブロック11の凸部12に限定される。このため、ダイオードモジュール1およびIGBTモジュール2などの発熱源から離れた冷却ブロック11の領域における、過冷却に起因する結露の発生を抑制することができる。また、配管10が冷却ブロック11の凸部以外の部分と一定の距離を保って離間してほぼ平行に配置される。このため配管10と冷却ブロック11との物理的な干渉が抑制される。
【0054】
上記凸部12には、平面視における一の方向(
図2のY方向)に沿って延びる溝部15が形成され、配管10は溝部15に嵌合して凸部12と接触する。これにより、凸部12が形成された領域に配管10が容易に接触するように、配管10を固定することができる。
【0055】
凸部12の一の方向(
図2のY方向)における寸法は、冷却ブロック11のY方向における寸法よりも短い。このため一の方向に沿って延びる配管10は、冷却ブロック11のY方向における全体と平面的に重なった場合に、その一部が凸部12すなわち冷却ブロック11と接触し、その他の一部が平坦部13と重なる(冷却ブロック11と非接触になる)。このため上記のように、過冷却を抑制することが可能なヒートシンク100Aを提供することができる。
【0056】
冷却ブロック11は、凸部12が形成される他方の主表面14bと、その反対側の一方の主表面14aとを有しており、一方の主表面14aに電子部品が取り付けられることで回路装置101Aが形成される。一方の主表面14aは凸部12が形成されずその全体が平坦であるため、容易かつ安定に電子部品を取り付けることができる。
【0057】
電子部品としてはIGBTモジュール2とダイオードモジュール1とを含むが、IGBTモジュール2の方がダイオードモジュール1よりも駆動時の発熱量が多い。このため、IGBTモジュール2の少なくとも一部が凸部12の領域と平面視において重なり、ダイオードモジュール1は平坦部13と平面視において重なることが好ましい。
【0058】
これによりIGBTモジュール2は、少なくとも一部が、冷媒の流れる配管10が固定された凸部12により近い領域に固定されることになる。このため、発熱量がダイオードモジュール1より多いIGBTモジュール2を、凸部12と平面的に重なる領域にて、効率よく冷却することができる。
【0059】
一方、ダイオードモジュール1は、配管10が接合された凸部12とは平面視において重ならない。このためダイオードモジュール1はIGBTモジュール2よりも配管10から離れた位置に配置される。したがってダイオードモジュール1はIGBTモジュール2よりも冷却されにくくなる。しかしダイオードモジュール1はIGBTモジュール2よりも発熱量が少ないため問題はない。
【0060】
むしろ、ダイオードモジュール1を配管10から離れた平坦部13に配置し、冷却効率を低下させることにより、以下の効果を奏する。ダイオードモジュール1に含まれる整流ダイオード1a〜1f(
図10参照)の順電圧は一般に温度係数が負となる。このため整流ダイオード1a〜1fが冷却されにくくその温度が上昇することにより、順電圧は低下する。よって順方向電流と順電圧との積により発生する順電力損失は、整流ダイオード1a〜1fの温度が上昇するにつれて低下していく。このためにダイオードモジュール2の効率を向上させることができる。
【0061】
第1の電子部品としてのIGBTモジュール2は、その少なくとも一部が凸部12の領域と平面視において重なればよい。つまりIGBTモジュール2の他の一部は凸部12の領域と平面視において重ならず、たとえば平坦部13と平面視において重なってもよい。しかし平面視においてIGBTモジュール2は、凸部12の平面積よりもその平面積が小さいことが好ましい。このようにすれば、発熱量が大きいIGBTモジュール2の平面視における全体を凸部12と重なるように載置することができる。このため発熱量が大きいIGBTモジュール2をより高効率に冷却することができる。
【0062】
以上の実施の形態1の説明においては、
図10において、三相(R相、S相、T相)の入力電源P
inを三相(U相、V相、W相)の出力電源P
outへ変換するインバータ装置が例示されている。しかし本実施の形態は、その他の各種コンバータまたは各種インバータにも適用可能である。
【0063】
実施の形態2.
図13は、実施の形態2に係るヒートシンク100B全体の概略斜視図である。
図13を参照して、本実施の形態のヒートシンク100としてのヒートシンク100Bは、実施の形態1の
図5に示すヒートシンク100Aと大筋で同様の構成を有しており、その製造方法も大筋で同様である。このため
図13において
図5と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。ただし
図13のヒートシンク100Bの冷却ブロック11においては、凸部12が複数(2つ)、互いに間隔をあけて形成されている。それぞれの凸部をここでは凸部12a、凸部12bとしている。なお凸部12の数は2つに限らず3つ以上であってもよい。また複数の凸部12a,12bのそれぞれの形状は同じでもよいが異なっていてもよい。たとえば凸部12aのY方向の幅は凸部12bのY方向の幅と異なっていてもよい。ヒートシンク100Bの凸部12a,12bは、ヒートシンク100Aの凸部12と同様に、冷却ブロック11のX方向の全体に亘り形成されている。また凸部12a,12bのそれぞれに溝部15(図示せず)が形成されている。凸部12a,12bのそれぞれの溝部15には、冷媒の配管10が接触するように嵌合されている。
【0064】
そしてヒートシンク100Bの凸部12a,12bは、Y方向に関して互いに間隔をあけて形成されている。複数(2つ)の凸部12a,12bのそれぞれの延びる方向は互いにほぼ平行であることが好ましいが、これに限られない。この点において本実施の形態のヒートシンク100Bの冷却ブロック11は、単一の凸部12a,12bのみが形成されたヒートシンク100Aの冷却ブロック11とは異なっている。
【0065】
図14は、
図13のヒートシンクに電子部品が取り付けられた回路装置の概略斜視図である。
図15は、
図14の回路装置がプリント配線板に実装されたものを矢印XVに示す方向から見た概略正面図である。
図14および
図15を参照して、ヒートシンク100Bもヒートシンク100Aと同様に、XY平面に沿う方向に関して、凸部12a,12bが形成される第1の面としての他方の主表面14bと、他方の主表面14bと反対側の一方の主表面14aとを有している。本実施の形態の回路装置101としての回路装置101Bはヒートシンク100Bを含む。一方の主表面14a上には電子部品として、ダイオードモジュール1、IGBTモジュール2に加えて昇圧モジュール5が取り付けられている。
【0066】
第1の電子部品としてのIGBTモジュール2および昇圧モジュール5は、その少なくとも一部は凸部12の領域と平面視において重なるように、ヒートシンク100Bの一方の主表面14a上に設置されている。
図14および
図15においては一例として、凸部12aと重なるようにIGBTモジュール2が、凸部12bと重なるように昇圧モジュール5が、それぞれ取り付けられている。ただし逆に凸部12aと重なるように昇圧モジュール5が、凸部12bと重なるようにIGBTモジュール2が取り付けられてもよい。なお本実施の形態においても実施の形態1と同様に、ダイオードモジュール1は平坦部13と平面視において重なるようにヒートシンク100Bの一方の主表面14a上に設置されている。
【0067】
ダイオードモジュール1、IGBTモジュール2および昇圧モジュール5の取付態様は、実施の形態1と同様である。また
図15に示すように、ダイオードモジュール1およびIGBTモジュール2は、ヒートシンク100Bと平面的に重なるように配置されたプリント配線板30に実装されている。
【0068】
図16は
図14および
図15の電子部品(
図1の電子部品120)を含む制御装置240(
図1参照)に組み込まれるインバータ装置の回路図である。
図16を参照して、本実施の形態のインバータ装置は、
図10の実施の形態1のインバータ装置の回路に、さらに昇圧回路が設けられている。
図16においては、昇圧回路として、リアクトル4と昇圧モジュール5とが用いられている。リアクトル4は、ダイオードモジュール1の整流ダイオード1a,1b,1cのカソード側、すなわち正ラインLpに接続されている。
【0069】
昇圧モジュール5は、駆動回路5aと、IGBT素子5bと、還流ダイオード5cと、ダイオード5dとを有している。駆動回路5aとIGBT素子5bと還流ダイオード5cとの接続態様は、平滑コンデンサ3の出力側の駆動回路23a〜23fとIGBT素子21a〜21fと還流ダイオード22a〜22fとの接続態様と同様である。またIGBT素子5bのエミッタと負ラインLnとの間には、U相端子、V相端子、W相端子に流れる電流を検知するためのシャント抵抗24が接続される。
【0070】
駆動回路5aと、IGBT素子5bと、還流ダイオード5cとの組み合わせは、負ラインLnおよび正ラインLpを繋ぐように、整流ダイオード1a〜1fおよび平滑コンデンサ3と並列に接続されている。一方、ダイオード5dは、リアクトル4と直列に接続された整流ダイオードである。言い換えればダイオード5dはリアクトル4と同様に、正ラインLpに接続されている。ダイオード5dのアノード側はリアクトル4に、カソード側は平滑コンデンサ3に、それぞれ接続されている。
【0071】
図16の回路においては、全体として、入力電源P
in側から出力電源P
out側に向けて、ダイオードモジュール1、リアクトル4、昇圧モジュール5、平滑コンデンサ3、IGBT素子21a〜21fなどの順に接続されている。
【0072】
本実施の形態の作用効果は、基本的に、実施の形態1の作用効果と同様である。すなわち、複数(2つ)の凸部12a,12bに配管10が接触し、配管10が平坦部13と互いに間隔をあけて配置される。このため、凸部12a,12bと平面視において重なる領域を含むように配置された、発熱量のより多いIGBTモジュール2および昇圧モジュール5を、配管10の中を流れる冷媒により高効率に冷却可能とする。一方、発熱量の少ないダイオードモジュール1を平坦部13と平面視にて重なるように設置することにより、ダイオードモジュール1の冷却効率を低下させ、順電力損失を低下させることでその効率を向上させることができる。
【0073】
実施の形態3.
図17は、実施の形態3に係るヒートシンクに電子部品が取り付けられた回路装置の概略斜視図である。すなわち
図17は、実施の形態1の
図8、および実施の形態2の
図14に相当する。
図18は、
図17の回路装置がプリント配線板に実装されたものを矢印XVIIIに示す方向から見た概略正面図である。
図17および
図18を参照して、本実施の形態のヒートシンク100としてのヒートシンク100Cは、実施の形態2の
図13に示すヒートシンク100Bと大筋で同様の構成を有している。このため
図17において
図13と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。ただし
図17のヒートシンク100Cの冷却ブロック11においては、一方の主表面14aの一部に、円弧状突起16を更に設けている。この点において、ヒートシンク100Cはヒートシンク100Bと異なっている。
【0074】
円弧状突起16は、一方の主表面14aが
図17のZ方向上方に盛り上がった部分である。円弧状突起16は、凸部12a,12bと同様に、冷却ブロック11のX方向の全体に亘り形成されている。
図17においては円弧状突起16は突起12bと平面視において重なるように形成されているが、円弧状突起16は突起12aと平面視において重なるように形成されてもよい。
【0075】
円弧状突起16も、突起12a,12bと同様に、たとえば押し出し加工により形成されることが好ましい。円弧状突起16は、その延びる方向に交差する断面が円弧状を有しているが、この円弧状部分の内側には、たとえば円柱形状のリアクトル4(
図16および
図18参照)を配置可能である。
【0076】
本実施の形態の回路装置101としての回路装置101Cは、実施の形態2の
図14および
図15に示す回路装置101Bと大筋で同様の構成を有している。このため
図17および
図18において
図14および
図15と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。回路装置101Cにおいては、回路装置101Bと同様に、電子部品としてのダイオードモジュール1と、IGBTモジュール2と、昇圧モジュール5とが設置されている。ダイオードモジュール1は平坦部13と平面視において重なるように配置されている。これに対してIGBTモジュール2と昇圧モジュール5との双方が、少なくともその一部が凸部12aと平面視において重なる領域を含むように配置されている。これらのダイオードモジュール1、IGBTモジュール2および昇圧モジュール5は、ヒートシンク100Cと平面的に重なるように配置されたプリント配線板30に実装されている。
【0077】
図18に示すように、
図17の回路装置101Cにおいて、リアクトル4はその表面が円弧状突起16の円弧状の部分の内側に接触するように配置される。リアクトル4の配線は、円弧状突起16の上側(
図18のZ方向下側)の切れ目から引き出される。このリアクトル4の配線は、プリント配線板30と接続される。円弧状突起16により固定されるリアクトル4の本体部分は、樹脂封止材40により封止された構成を有している。これによりリアクトル4の本体部分は、金属材料からなるヒートシンク100Cの円弧状突起16に接触するように固定可能である。リアクトル4の本体部分を封止する樹脂封止材40は、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂などにより形成される。
【0078】
本実施の形態の作用効果は、基本的に、実施の形態1,2の作用効果と同様である。加えて、本実施の形態においては上記の構成を有することにより、リアクトル4を樹脂封止するためのケースを別途使用することなく、冷却ブロック11と容易に一体化することができる。このため、回路装置101Cの製造コストの低減および、各部材の一体化による熱抵抗の低減効果が得られる。
【0079】
また本実施の形態によれば、リアクトル4がヒートシンク100Cに接触するため、リアクトル4の熱をヒートシンク100Cへ放熱し、その温度上昇を抑制することができる。このためリアクトル4を小型化することができる。なお本実施の形態においては一例としてリアクトル4が円弧状突起16に収納される例を示している。しかしこれに限らず、たとえばリアクトル4の代わりにチョークコイルなどの巻線部品を用いた場合にも同様の効果を得ることができる。
【0080】
実施の形態4.
図19は、実施の形態4に係るヒートシンクに電子部品が取り付けられた回路装置の概略斜視図である。すなわち
図19は、実施の形態1の
図8、実施の形態2の
図14、および実施の形態3の
図17に相当する。
図20は、
図19の回路装置がプリント配線板に実装されたものを矢印XXに示す方向から見た概略正面図である。
図21は、
図19および
図20の電子部品(
図1の電子部品120)を含む制御装置240(
図1参照)に組み込まれるインバータ装置の回路図である。
【0081】
図19、
図20および
図21を参照して、本実施の形態のヒートシンク100としてのヒートシンク100Dは、実施の形態1のヒートシンク100Aと大筋で同様の構成を有している。このため
図19において
図8と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。ただし
図19の回路装置101としての回路装置101Dに設置される電子部品は複合モジュール6である。複合モジュール6は、実施の形態1におけるダイオードモジュール1およびIGBTモジュール2が複合され一体とされたモジュールである。すなわち複合モジュール6には、整流ダイオード1a〜1fと、IGBT素子21a〜21fと、還流ダイオード22a〜22fとが含まれる。複合モジュール6は直接プリント配線板30に実装されている。
【0082】
このようにすれば、発熱量の多寡にかかわらずすべての素子が凸部12と平面的に重なる領域に配置され、その冷却効果を高められることとなる。しかし少なくとも本実施の形態においても、凸部12が存在することにより、凸部12が存在しない場合に比べて、凸部12と配管10との接触面積を小さくするなどの調整が可能となる。このため本実施の形態においても、接触面積の調整により、ダイオードモジュール1およびIGBTモジュール2の冷却効率を調整することができる。
【0083】
なお上記においては一例として、実施の形態1と同様にダイオードモジュール1とIGBTモジュール2とを有する複合モジュール6を用いた場合を示している。しかし本実施の形態においては、実施の形態2,3のように複数の凸部12a,12bを有し昇圧モジュール5をさらに有する例において、複合モジュール6を形成したものが適用されてもよい。
【0084】
実施の形態5.
図22は、実施の形態5の第1例に係るヒートシンクの一部分を第1の面側から見た態様を示す概略斜視図である。
図23は、実施の形態5の第1例に係るヒートシンクの一部分を第2の面側から見た態様を示す概略斜視図である。
図22および
図23を参照して、本実施の形態の第1例のヒートシンク100としてのヒートシンク100Eは、冷却ブロック11の部分が実施の形態1のヒートシンク100Aと大筋で同様の構成を有している。このため
図22および
図23において
図5のヒートシンク100Aと同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。ただし
図22および
図23のヒートシンク100Eは、凸部12が第1の面としての他方の主表面14bと、第2の面としての一方の主表面14aとの双方に形成されている。ヒートシンク100Eは、第2の面としての一方の主表面14aに形成された凸部12が、第1の凸部と第2の凸部とを含んでいる。
【0085】
具体的には、ヒートシンク100Eにおいては、上記他の実施の形態と同様に他方の主表面14bの一部としての平坦部13がZ方向正側に隆起した、他方の主表面14bの他の一部としての凸部12cが形成されている。またヒートシンク100Eにおいては、一方の主表面14aの一部としての平坦部13がZ方向負側に隆起した、一方の主表面14aの他の一部としての凸部12d,12eが形成されている。一方の主表面14aの平坦部13に形成された凸部12は、第1の凸部としての凸部12dと、第2の凸部としての凸部12eとを含んでいる。
【0086】
図22に示すように、ヒートシンク100Eにおいては、凸部12cは、冷却ブロック11のX方向の一部分、すなわちX方向の中央部に形成されている。またヒートシンク100Eにおいては、凸部12cは、上記の他の実施の形態のヒートシンク100に比べてY方向に長く延びている。ただしヒートシンク100Eにおいても他の実施の形態と同様に、凸部12の平面視における一の方向であるY方向における寸法は、冷却ブロック11全体のY方向における寸法よりも短い。このため
図23ではY方向の最も手前側において、凸部12cが配置されずその左右側の平坦部13と繋がるような平坦部13が配置された領域を有する。凸部12cにはY方向に延びるU字形状の配管10がY方向に延びる2か所の部分のうちの1か所の部分のみが嵌合するように、Y方向に沿って延びる溝部15が1つ形成されている。
【0087】
図23に示すように、ヒートシンク100Eにおいては、凸部12dは、冷却ブロック11のX方向の一部分、すなわちX方向の中央部に形成されている。またヒートシンク100Eにおいては、凸部12dは、冷却ブロック11のY方向の全体に亘り形成されている。ただしこのような態様に限らず、凸部12dは、冷却ブロック11のY方向の一部のみに形成されてもよい。
【0088】
一方、ヒートシンク100Eにおいては、凸部12eは、一方の主表面14aのうち、たとえば凸部12dのX方向右側の平坦部13が部分的に隆起されるように形成されている。凸部12eがY方向に延びる長さは、凸部12dがY方向に延びる長さに比べて短い。ただし凸部12eのY方向の長さは凸部12dのY方向の長さと等しくてもよい。また凸部12eのX方向に延びる長さは、凸部12dのX方向に延びる長さに比べて短くてもよいし、等しくても長くてもよい。
【0089】
図23に示すように、凸部12dと凸部12eとは、他方の主表面14bと一方の主表面14aとを結ぶ方向すなわちZ方向に関する厚みが異なっている。具体的には、
図23においては、凸部12dの方が凸部12eよりも、Z方向に関して厚く形成されている。なお凸部12d,12eと凸部12cとのZ方向の厚みの大小関係は任意である。
【0090】
図24は、
図22または
図23の実施の形態5の第1例に係るヒートシンクに電子部品が取り付けられた回路装置の概略斜視図である。すなわち
図24は、実施の形態1の
図8、実施の形態2の
図14、実施の形態3の
図17、および実施の形態4の
図19に相当する。
図25は、
図24の回路装置がプリント配線板に実装されたものを矢印XXVに示す方向から見た概略正面図である。
図26は、
図24および
図25の電子部品(
図1の電子部品120)を含む制御装置240(
図1参照)に組み込まれるインバータ装置の回路図である。
【0091】
図24、
図25および
図26を参照して、本実施の形態においては、電子部品として、ダイオードモジュール1と、インテリジェントパワーモジュール7とが取り付けられている。具体的には、インテリジェントパワーモジュール7として、インテリジェントパワーモジュール7a,7b,7cを有している。インテリジェントパワーモジュール7a,7b,7cは、実施の形態1におけるIGBTモジュール2および駆動回路23が複合され一体とされたモジュールである。
【0092】
これらの電子部品としてのダイオードモジュール1およびインテリジェントパワーモジュール7a,7b,7cがヒートシンク100Eの一方の主表面14aに取り付けられることにより、本実施の形態の回路装置101としての回路装置101Eが形成される。すなわち回路装置101Eにおいては、ヒートシンク100Eの一方の主表面14aの凸部12d,12e上に上記の電子部品が取り付けられている。
【0093】
より具体的には、第1の電子部品としてのインテリジェントパワーモジュール7は、一方の主表面14aのうちの凸部12dに取り付けられている。また第2の電子部品としてのダイオードモジュール1は、一方の主表面14aのうちの凸部12eに取り付けられている。しかしこれに限らず逆に、インテリジェントパワーモジュール7が凸部12eに取り付けられ、ダイオードモジュール1が凸部12dに取り付けられてもよい。いずれにせよ本実施の形態では、第1の電子部品および第2の電子部品のうち一方は凸部12dに取り付けられることが好ましい。また本実施の形態では、第1の電子部品および第2の電子部品のうち上記一方と異なる他方は、一方の主表面14aにこれが隆起する態様として形成された凸部12dとは異なる凸部12eに取り付けられることが好ましい。なお
図25に示すように、ダイオードモジュール1と、インテリジェントパワーモジュール7a,7b,7cとは直接、プリント配線板30に実装されている。
【0094】
以上のように、本実施の形態では一方の主表面14aに複数の凸部12d,12eが形成される。これにより、回路装置101Eに取り付けられる電子部品のZ方向の設置位置を任意に変更できる。具体的には、まずダイオードモジュール1と、インテリジェントパワーモジュール7とのZ方向の寸法が比較される。ここでたとえばダイオードモジュール1の方がインテリジェントパワーモジュール7よりZ方向の寸法が大きい(すなわち厚い)場合、仮にダイオードモジュール1とインテリジェントパワーモジュール7とが同一の凸部上に設けられれば、
図25のようにプリント配線板30が厚いダイオードモジュール1と干渉する。その結果、ダイオードモジュール1とインテリジェントパワーモジュール7との双方を適切にプリント配線板30に実装することが困難となる。
【0095】
そこで本実施の形態では、複数の凸部12d,12eのZ方向の厚みを異なるものとしている。これにより、厚いダイオードモジュール1を薄い凸部12eに、薄いインテリジェントパワーモジュール7を厚い凸部12dに取り付けることができる。このようにすれば、元々厚みの異なるダイオードモジュール1とインテリジェントパワーモジュール7とは、Z方向に関して異なる位置に取り付けられる。このため
図25に示すように、一方の主表面14aの平坦部13からの、ダイオードモジュール1の平坦部13から最も離れた上面と、インテリジェントパワーモジュール7の平坦部13から最も離れた上面とのZ方向に関する距離をほぼ等しくすることができる。このためダイオードモジュール1とインテリジェントパワーモジュール7とを同一のプリント配線板30に実装することができる。したがってたとえば厚いダイオードモジュール1と薄いインテリジェントパワーモジュール7とを分割された複数のプリント配線板のそれぞれに実装する必要がなくなる。
【0096】
また本実施の形態においても上記他の実施の形態と同様に、凸部12と配管10との接触面積を小さくするなどの調整により、ダイオード1と、インテリジェントパワーモジュール7との冷却効率を調整することができる。
【0097】
図27は、実施の形態5の第2例に係るヒートシンクの一部分を第1の面側から見た態様を示す概略斜視図である。
図27を参照して、本実施の形態の第2例のヒートシンク100としてのヒートシンク100Fは、同第1例のヒートシンク100Eと大筋で同様の構成を有している。このため
図27において
図22のヒートシンク100Eと同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。ただし
図27のヒートシンク100Fは、他方の主表面14bに形成される凸部12cが、
図2のヒートシンク100Aと同様の態様を有している。すなわち凸部12cは、冷却ブロック11のX方向の全体に亘り形成されている。ただし凸部12は冷却ブロック11のY方向に関する中央部のみに形成されている。凸部12cの溝部15は、U字形状に延びる配管10の湾曲部を挟むように直線状に延びる一方側と他方側との双方を嵌合可能とすべく、X方向に互いに間隔をあけて2か所形成されている。一方、ヒートシンク100Fの一方の主表面14a側の凸部12d,12eはヒートシンク100Eと同様である。凸部12cの反対側の位置に発熱の大きい電子部品が搭載される場合は、
図27の構成を有するヒートシンク100Fを用いて回路装置101が形成されてもよい。
【0098】
図28は、
図24に対する実施の形態5の変形例としての回路装置の概略斜視図である。
図28を参照して、当該変形例の回路装置101Gは、本実施の形態の
図24の回路装置101Eと大筋で同様の構成を有する。このため
図28において
図24の回路装置101Eと同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。ただし
図28の回路装置101Gは、第1の電子部品および第2の電子部品のうち一方であるインテリジェントパワーモジュール7とは、凸部12dに取り付けられている。一方、第1の電子部品および第2の電子部品のうち上記一方と異なる他方は、一方の主表面14a上の凸部12d,12e以外の領域、すなわち平坦部13上に取り付けられている。
【0099】
このようにインテリジェントパワーモジュール7が設けられても、
図24の実施の形態5と同様の作用効果を奏することができる。
図24および
図28とをまとめると、本実施の形態においては、第1の電子部品および第2の電子部品のうち第1の凸部である凸部12dに取り付けられる一方とは異なる他方は、第2の面に形成された第1の凸部とは異なる凸部である第2の凸部、および第2の面上の凸部以外の領域のいずれかに取り付けられればよい。
【0100】
なお図示されないが、第1の電子部品が凸部12eに、第2の電子部品が平坦部13に、取り付けられてもよい。
【0101】
以上に述べた各実施の形態に記載した特徴を、技術的に矛盾のない範囲で適宜組み合わせるように適用してもよい。
【0102】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。