(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記siRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖は一つ以上の化学的修飾(chemical modification)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のsiRNA。
【背景技術】
【0002】
人間の毛髪は毛嚢から生える。毛嚢には毛乳頭があるが、毛乳頭には小さな血管が分布して毛髪の成長に必要な営養分を供給し、毛乳頭側面の上端には毛髪を保護するために皮脂を分泌する皮脂腺が分布している。毛乳頭は毛髪の成長を調節する部位であり、男性型脱毛において男性ホルモンが作用する部位でもある。毛乳頭における調節によって細胞分裂が起きる部位が毛基質であり、毛髪を生成する部位である。
【0003】
男性脱毛の主要因子は、ホルモンの異常に起因したものである。思春期になると性ホルモンが活発に分泌され、第2次性徴が現れる。このような変化は、性ホルモンであるアンドロゲン(男性ホルモン)とエストロゲン(女性ホルモン)によるものである。アンドロゲンは眉毛以下の体毛を発育させ、エストロゲンは主に毛髪の成長を促進する。男性において脱毛は、アンドロゲンが過剰分泌され、過剰分泌されたアンドロゲンがエストロゲンの作用を抑制することに起因する。
【0004】
具体的に、男性ホルモンによる男性脱毛機転と関連して5アルファ−還元酵素(Steroid 5−alpha reductase)が関与するが、5アルファ−還元酵素は、男性ホルモンであるテストステロン(testosterone)をDHT(dihydrotestosterone)に還元させる主要酵素である。変換されたDHTはアンドロゲン受容体(androgen receptor)と結合して毛嚢において毛の成長を調節し、皮脂腺の増殖に関与するものと知られている。
【0005】
アンドロゲン受容体は男性ホルモン(アンドロゲン)受容体であり、テストステロンとDHTのいずれにも結合できるが、DHTに一層強い結合力を示すものと知られている。5アルファ−還元酵素及びアンドロゲン受容体が抑制されると、毛髪成長因子が増加して毛髪の成長を誘導することが知られており、逆に、5アルファ−還元酵素及びアンドロゲン受容体が活性化されると、毛髪の成長を抑制して脱毛が発生することが知られている(Chhipa,RR et al.,Prostate,73:1483,2013; Azzouni,F et al,Advances in Urology,2012:18,2012; Winiarska,A.et al.,Skin Pharmacology and Physiology,19:311,2006)。
【0006】
5アルファ−還元酵素には1型及び2型の2種類がある。5アルファ−還元酵素1型は皮膚全般、特に皮脂腺に主に分布し、2型は毛嚢の毛乳頭(Dermal papilla)周囲及び外毛根鞘(Outer root sheath)に主に分布する。薬物開発の初期には、2型の5アルファ−還元酵素だけを標的とする脱毛治療剤が主に開発されたが、最近は、1型も毛髪の成長に影響を与えることが知られ、5アルファ−還元酵素1型及び2型を全て抑制する治療剤を開発中である。
【0007】
このうち、5アルファ−還元酵素2型を抑制する薬物としてはフィナステリド(finasteride)を挙げることができる。フィナステリドは、もとは陽性前立腺肥大症の治療剤として開発されたが、薬物を服用した患者から毛髪成長促進が確認され、男性型脱毛治療剤としてFDAと韓国食品医薬品安全処に承認された成分である。デュタステリド(Dutasteride)は5アルファ−還元酵素1型と2型を全て抑制する治療剤成分として知られている。アンドロゲン受容体に結合してDHTの結合を妨害する拮抗剤として働く薬物を抗アンドロゲン薬物といい、このような抗アンドロゲン薬物としては、シメチジン(Cimetidine)、スピロノラクトン(Spironolactone)、フルタミド(Flutamide)、酢酸シプロテロン(Cyproterone acetate)などが知られている。
【0008】
ただし、このような治療剤成分は、性機能障害、疲労感の訴えなどの問題点があり、妊娠可能年齢の女性への使用が制限される。妊産婦に露出されたとき、胎児の奇形を誘発しうる。したがって、このような副作用がない脱毛治療剤の開発が必要な現状である。
【0009】
このような技術的背景下で、本出願の発明者らは、SRD5A1(3−oxo−5−alpha−steroid 4−dehydrogenase 1)遺伝子、SRD5A2(3−oxo−5−alpha−steroid 4−dehydrogenase 2)遺伝子又はAR(Adrogen receptor)遺伝子の発現を抑制するsiRNAを用いて副作用の低いRNAi新薬を開発して目的する脱毛の防止又は治療効果を示し得ることを確認し、本発明を完成した。
【発明を実施するための形態】
【0018】
特に定義しい限り、本明細書で使う技術的及び科学的用語はいずれも、本発明の属する技術分野における熟練した専門家によって通常理解されるのと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使う命名法は、本技術分野でよく知られており、通常用いられるものである。
【0019】
本発明は、一観点において、配列番号
669、670、又は671のSRD5A1(3−oxo−5−alpha−steroid 4−dehydrogenase 1)をコードする遺伝子のmRNA、配列番号
672のSRD5A2(3−oxo−5−alpha−steroid 4−dehydrogenase 2)をコードする遺伝子のmRNA、又は配列番号
673のAR(Adrogen receptor)をコードする遺伝子のmRNAに特異的に結合し、15nt〜17ntのセンス鎖及び該センス鎖と相補的な19nt以上のアンチセンス鎖を含み、前記センス鎖の3’末端及びアンチセンス鎖の5’末端はブラント末端(blunt end)を形成することを特徴とするsiRNAに関する。
【0020】
男性型脱毛、例えばアンドロゲン性脱毛の標的遺伝子であるSRD5A1をコードする遺伝子は、NM_001047.3、NM_001324322.1又はNM_001324323.1のmRNA受託番号(accession number)を有し、それぞれは配列番号669、配列番号670及び配列番号671の配列を含む。SRD5A2をコードする遺伝子は、NM_000348.3のmRNA受託番号を有し、配列番号672の配列を含む。ARをコードする遺伝子は、NM_001011645.2のmRNA受託番号を有し、配列番号673の配列を含む。
【0021】
本発明におけるsiRNAは、一般的なRNAi(RNA interference)作用を有する全ての物質を含む概念である。RNAiは、1998年にCaenorhabditis elegansから最初に発見された細胞内遺伝子調節機作であり、作用機転は、細胞内に投入されたRNA二本鎖のうちのアンチセンス鎖が標的遺伝子のmRNAに相補的に結合することによって標的遺伝子分解を誘導することが知られている。そのうち、siRNA(small interfering RNA)は、“in vitro”で遺伝子の発現を抑制する方法の一つである。19bp〜21bpのsiRNAは理論的に、殆どの遺伝子に対する選択的抑制が可能なため、癌、ウイルス性感染などの様々な遺伝子関連疾患治療剤として開発可能であり、最近に最も脚光を浴びている新薬開発候補技術である。哺乳動物に対してsiRNAを用いた生体内治療を初めて試みたのは2003年中半であり、それ以来、応用研究に対する多くの試みによって生体内治療に関して多数が報告された。
【0022】
ただし、可能性と違い、siRNAの副作用及び短所も続いて報告されてきた。RNAiベース治療剤を開発するには、1)効果的な伝達システムの不在、2)オフターゲット効果、3)免疫反応誘導、4)細胞内RNAi機構の飽和といった障壁を克服する必要性がある。siRNAが標的遺伝子の発現を直接調節できる効果的な方法であるにも拘わらず、このような問題によって治療剤の開発に苦労している。これと関連して、本発明の出願人は、非対称siRNA(asymmetric shorter duplex siRNA;asiRNA)構造関連技術を開発したことがある(WO2009/078685)。asiRNAは、従来のsiRNAが持つ19+2構造に比べて短い二重らせん長を有する非対称RNAi誘導構造である。既存のsiRNA構造技術から確認されるオフ−ターゲット効果、RNAi機作の飽和、TLR3による免疫反応などの問題点を克服した技術であり、これによって副作用の低いRNAi新薬の開発が可能である。
【0023】
これに基づいて、本発明では15nt〜17ntの長さを有するセンス鎖及び該センス鎖と相補的な19nt以上のアンチセンス鎖を含む非対称siRNAを提示することによって、本発明によるsiRNAはオフ−ターゲット効果、RNAi機作の飽和、TLR3による免疫反応などの問題を招かず、安定的に高い伝達効率を維持するとともに、目的する程度に有効に5α−還元酵素1型、5α−還元酵素2型、アンドロゲン受容体標的遺伝子に対する発現を抑制することができる。
【0024】
本発明においてセンス鎖は、SRD5A1、SRD5A2又はARをコードする遺伝子と同じ核酸配列を有するポリヌクレオチドを意味し、15nt〜17ntの長さを有する。一実施例において、前記センス鎖は15nt、16nt又は17ntの長さを有し得る。
【0025】
本出願の発明者らは、男性型脱毛において毛嚢の成長に必要なタンパク質合成を阻害し、毛乳頭を縮小させて脱毛誘発に主要な役割を果たす5α−還元酵素1型、5α−還元酵素2型、アンドロゲン受容体を標的遺伝子として選定した。各標的遺伝子に対する100種以上のsiRNAをスクリーニングし、抑制効率に優れたsiRNAを選別した結果、配列番号5、6、15、18、40、48、49、59、62、69、77、86、205、208、228、231、232、233、237、238、239、240、242、248、249、259、260、262、265、283、284、285、291、292、300、471、477、498、500、502、503、505、506、507、509、510、515、517、518、521、524、534、538、539及び546からなる群から選ばれるセンス鎖及び該センス鎖と相補的なアンチセンス鎖を含むsiRNAは、SRD5A1、SRD5A2又はARをコードする遺伝子のmRNA発現を有効に減少させることを確認した。
【0026】
具体的に、配列番号5、6、15、18、40、48、49、59、62、69、77又は86のセンス鎖及び該センス鎖と相補的なアンチセンス鎖を含むsiRNAは、SRD5A1をコードする遺伝子のmRNAの発現を減少させることができ、配列番号205、208、228、231、232、233、237、238、239、240、242、248、249、259、260、262、265、283、284、285、291、292又は300のセンス鎖及び該センス鎖と相補的なアンチセンス鎖を含むsiRNAは、SRD5A2をコードする遺伝子のmRNAの発現を減少させることができ、配列番号471、477、498、500、502、503、505、506、507、509、510、515、517、518、521、524、534、538、539又は546のセンス鎖及び該センス鎖と相補的なアンチセンス鎖を含むsiRNAは、ARをコードする遺伝子のmRNAの発現を減少させることができる。
【0027】
具体的に、配列番号48、49、69、86、231、259、260、262、498、500、506、509、510、518、538、539及び546からなる群から選ばれるセンス鎖及び該センス鎖と相補的なアンチセンス鎖を含むsiRNAは、SRD5A1、SRD5A2又はARタンパク質発現も有効に抑制することを確認した。
【0028】
前記センス鎖の3’末端及びアンチセンス鎖の5’末端は、ブラント末端(blunt end)を形成する。例えば、アンチセンス鎖の5’末端は、例えば1nt、2nt、3nt、4nt、5nt、6nt、7nt又は8ntのオーバーハングを含むことができる。
【0029】
本発明においてアンチセンス鎖は、ターゲット遺伝子に相補的なポリヌクレオチドであり、19nt以上、例えば20nt以上、21nt以上、22nt以上、23nt以上、24nt以上、25nt以上、26nt以上、27nt以上、29nt以上、30nt以上又は31nt以上の長さを有する。一実施例において、前記アンチセンス鎖は19nt〜24ntの長さ、例えば19nt、20nt、21nt、22nt、23nt又は24ntの長さを有することができる。前記アンチセンス鎖は非対称構造を考慮すると、センス鎖と一部分において相補的な配列を有することができる。
【0030】
前記アンチセンス鎖は、例えば、配列番号105、106、115、118、140、148、149、159、162、169、177、186、317、320、340、343、344、345、349、350、351、352、354、360、361、371、372、374、377、395、396、397、403、404、412、589、595、616、618、620、621、623、624、625、627、628、633、635、636、639、642、652、656、657、664からなる群から選ばれ得る。
【0031】
具体的に、配列番号148、149、169、186、343、371、372、374、616、618、624、627、628、636、656、657及び664からなる群から選ばれるアンチセンス鎖を含むsiRNAは、SRD5A1、SRD5A2又はARタンパク質発現も有効に抑制することを確認した。
【0032】
場合によって、前記siRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖は、一つ以上の化学的修飾(chemical modification)を含むことができる。
【0033】
一般のsiRNAは、リン酸バックボーン構造による高い陰電荷及び高い分子量などによって細胞膜を通過できず、血液中で速く分解及び除去されるため、実際に標的部位にRNAi誘導のための十分な量を伝達することは難しい。現在、in vitro伝達の場合、陽イオン脂質と陽イオンポリマーを用いた高い効率の伝達(delivry)方法が多く開発されているが、in vivoの場合には、in vitroと同じ程度の高い効率でsiRNAを伝達し難く、生体内に存在する様々なタンパク質との相互作用によってsiRNA伝達効率が減少するという問題点がある。
【0034】
そこで、本出願の発明者らは、非対称siRNA構造に化学的修飾を導入し、別の伝達ビークル無しに効果的であるとともに細胞内伝達ができる自己伝達能を持つasiRNA構造体(cell penetrating asiRNA:cp−asiRNA)を開発した。
前記センス鎖又はアンチセンス鎖において化学的修飾は、例えば、次に構成された群から選ばれる一つ以上を含むことができる:
【0035】
ヌクレオチド内糖構造の2’炭素位置で−OH基が−CH
3(メチル)、−OCH
3(メトキシ)、−NH2、−F(フッ素)、−O−2−メトキシエチル−O−プロピル(propyl)、−O−2−メチルチオエチル(methylthioethyl)、−O−3−アミノプロピル、−O−3−ジメチルアミノプロピルに置換;
ヌクレオチド内糖(sugar)構造の酸素が硫黄に置換;
ヌクレオチド結合がホスホロチオエート(phosphorothioate)、ボラノホスフェート(boranophosphate)、又はメチルホスホネート(methyl phosphonate)で修飾;
PNA(peptide nucleic acid)、LNA(locked nucleic acid)又はUNA(unlocked nucleic acid)形態への修飾;及び
コレステロール又は細胞侵入ペプチド結合。
【0036】
一実施例において、前記化学的修飾は、センス鎖又はアンチセンス鎖においてヌクレオチド内糖構造の2’炭素位置で−OH基が−CH3(メチル)に置換、ヌクレオチド結合がホスホロチオエート(phosphorothioate)で修飾、又はコレステロール結合であり得る。これをよって、siRNAの生体内安定性を向上させることができる。
【0037】
糖構造の2’炭素位置で−OH基が−CH
3(メチル)に置換されるか、或いはヌクレオチド結合がホスホロチオエートに修飾されると、核酸分解酵素に対する抵抗性を高めることができ、コレステロール結合によって細胞膜と結合することにより、細胞内にsiRNAの伝達を容易にさせることができる。
【0038】
具体的に、センス鎖の5’末端又は3’末端ヌクレオチド内糖構造の2’炭素位置で−OH基が−CH3(メチル)に置換される修飾;センス鎖又はアンチセンス鎖のうち2個以上のヌクレオチド内糖構造2’炭素位置で−OH基が−CH
3(メチル)に置換される修飾;センス鎖又はアンチセンス鎖において25%以上のヌクレオチド結合がホスホロチオエートで修飾;及びセンス鎖の3’末端にコレステロール結合;からなる群から選ばれる一つ以上の修飾を含むことができる。
【0039】
ヌクレオチド内糖構造の2’炭素位置で−OH基が−CH
3(メチル)に置換される修飾に関連して、センス鎖の5’末端に位置するヌクレオチド内糖構造の2’炭素位置で−OH基が−CH
3(メチル)に置換され得る。また、センス鎖の5’末端から3’末端の方向に、糖構造の2’炭素位置で−OH基が−CH
3(メチル)に置換された2’−O−メチル化ヌクレオシド(2’−O−methylated nucleoside)が連続的又は非周期的に含まれ得る。前記センス鎖において2’−O−メチル化ヌクレオシド(2’−O−methylated nucleoside)が非修飾ヌクレオシドと交互に含まれ得る。前記センス鎖において2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個の連続した2’−O−メチル化ヌクレオシドが非修飾ヌクレオシドと交互に含まれ得る。前記センス鎖において2’−O−メチル化ヌクレオシドが、例えば2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、2〜8個、又は8個存在し得る。
【0040】
前記アンチセンス鎖の5’末端から3’末端の方向に2’−O−メチル化ヌクレオシド(2’−O−methylated nucleoside)が連続的又は非周期的に含まれ得る。前記アンチセンス鎖において2’−O−メチル化ヌクレオシド(2’−O−methylated nucleoside)が非修飾ヌクレオシドと交互に含まれ得る。前記アンチセンス鎖において2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個の連続した2’−O−メチル化ヌクレオシドが非修飾ヌクレオシドと交互に含まれ得る。前記アンチセンス鎖において2’−O−メチル化ヌクレオシドが、例えば2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、2〜7個存在し得る。
【0041】
ヌクレオチド結合のホスホロチオエートへの修飾と関連して、センス鎖においてリボヌクレオチド間の25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%以上がホスホロチオエートに修飾され得る。場合によって、センス鎖においてリボヌクレオチド間の結合全部(100%)がホスホロチオエートに修飾され得る。
【0042】
前記アンチセンス鎖においてリボヌクレオチド間の25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%以上がホスホロチオエートに修飾され得る。場合によって、アンチセンス鎖においてリボヌクレオチド間の結合全部(100%)がホスホロチオエートに修飾され得る。
【0043】
他の観点において、本発明は、前記siRNAを含む脱毛予防又は治療用の組成物に関する。
【0044】
本発明において治療は、組成物が投与された個体において脱毛の症状又は脱毛の深刻度が減少することを意味するか、悪化を防止することを意味し、場合によって、発毛が進行することを含み得る。本発明において予防は、脱毛の開始を防止する、脱毛の開始を遅延させる、或いは脱毛の発生可能性を減少させ得ることを意味する。
【0045】
前記組成物は、有効成分であるsiRNAに加えて、薬剤学的に許容可能な担体を1種以上含んで製造することができる。薬剤学的に許容可能な担体は、本発明の有効成分と両立可能でなければならず、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノールのいずれか1成分、又は2以上の成分を混合して使用することができ、必要によって、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤などの他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び潤滑剤をさらに添加して水溶液、懸濁液、乳濁液などの注射用剤形に製剤化できる。特に、凍結乾燥(lyophilized)した形態の剤形に製剤化して提供することが好ましい。凍結乾燥剤形の製造のために、本発明の属する技術分野に周知されている方法を用いることができ、凍結乾燥のための安定化剤が付加されてもよい。
【0046】
前記組成物の投与方法は、通常の患者の症候と疾病の深刻度に基づいて、本技術分野における通常の専門家が決定することができる。また、散剤、錠剤、カプセル剤、液剤、注射剤、軟膏剤、シロップ剤などの様々な形態で製剤化でき、単位−投与量又は多−投与量の容器、例えば密封したアンプル及び瓶などで提供されてもよい。
【0047】
組成物は、経口又は非経口投与が可能である。本発明による組成物の投与経路はこれらに限定されるものではないが、例えば、口腔、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、硬膜内、心臓内、経皮、皮下、腹腔内、腸管、舌下又は局所投与が可能である。本発明による組成物の投与量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、方法、排泄率又は疾病の重症度などに従って様々な範囲とすることができ、本技術分野における通常の専門家が容易に決定することができる。また、臨床投与のために公知の技術を用いて本発明の組成物を適切な剤形に製剤化することができる。
【0048】
さらに他の観点において、前記siRNAを個体に投与する段階を含む脱毛の予防又は治療方法を提供する。
【0049】
さらに他の観点において、本発明は、脱毛予防又は治療のための前記siRNAの用途に関する。
【0050】
さらに他の観点において、本発明は、脱毛予防又は治療用薬剤の製造のための前記siRNAの使用に関する。
【0051】
本発明による予防又は治療方法に含まれる構成は、前述した発明に含まれる構成と同一であり、前述の説明は、予防又は治療方法にも同一に適用することができる。
【0052】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明をさらに具体的に説明するためのもので、本発明の範囲がそれらの実施例によって制限されないということは、当該技術の分野における通常の知識を有する者には明らかであろう。
【0053】
[実施例1]SRD5A1を標的とするRNAi誘導二本鎖核酸分子100種のスクリーニング
SRD5A1を標的とする高効率のRNAi干渉を誘導する二本鎖の核酸分子を確保するために、SRD5A1遺伝子に対する標的配列の選定後にasiRNAをデザインした。asiRNA構造は一般に知られたsiRNAと異なる構造を有するので、一般のsiRNAデザインプログラムを用いてasiRNAの塩基配列をデザインする場合、最適化したasiRNAをデザインすることが多少困難である。したがって、asiRNAは、次のような方法で作製した。NCBI db検索によって男性型脱毛(アンドロゲン性脱毛)疾患の標的遺伝子であるSRD5A1遺伝子情報を取得した(mRNA受託番号:NM_001047.3、NM_001324322.1、NM_001324323.1)。後で行う動物実験のために、マウスとの塩基配列相同性(homology)を考慮した塩基配列を確保した後、GC含量30〜62%、4個以上のG、C連続配列は排除するなどのデザイン方法によって100種のasiRNAをデザイン後に、OliX社(韓国)で合成した。合成されたセンス鎖及びアンチセンス鎖RNAオリゴヌクレオチドを95℃2分間、37℃1時間インキュベーション過程を経てアニールし、10%PAGE(Polyacrylamide Gel Electrophoresis)により、アニールされたasiRNAをUVトランスルミネーターで確認した。
【0055】
[実施例2]SRD5A1を標的とするRNAi誘導二本鎖の核酸分子スクリーニング
mRNAレベルで遺伝子抑制効率を確認するために、選定した100種のasiRNAをHuH−7細胞株に0.3nM濃度で形質感染した後、qRT−PCRを行ってSRD5A1 mRNAの発現程度を測定した。
【0056】
HuH−7細胞株はDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium,Gibco)、10%ウシ胎児血清(FBS,Gibco)、100units/mlペニシリン100μg/mlストレプトマイシン条件で培養した。HuH−7細胞を96ウェルプレートに5×10
3cells/wellに播種(seeding)し、asiRNA(0.3nM、OliX社)とLipofectamine2000(1μl/ml、Invitrogen社)を用いて総体積100μl Opti−MEM条件で、Invitrogen提供プロトコルに従ってリバーストランスフェクション(Reverse Transfection)実験を行った。24時間後にTOYOBO superprepから提供する基本プロトコルに従ってRNA精製及びcDNAを合成し、BioRad CFX−4000機械でSRD5A1TaqManプローブ(Hs00602694_mH)を用いてSRD5A1遺伝子発現程度を確認し、その結果を
図1A及び
図1Bに示した。
【0057】
100種のasiRNAスクリーニング結果から、上位12種(表1で、No.5、6、15、18、40、48、49、59、62、69、77、86)を選別して0.3nM、1nM、3nM、10nM濃度で処理した後、ウェスタンブロットを用いてタンパク質発現抑制効果を分析した。HuH−7細胞を6ウェルプレートに2.5×10
5cells/wellで播種した後、asiRNAとLipofectamine2000(1μl/ml、Invitrogen社)を用いて総体積2ml Opti−MEM条件で、Invitrogen提供プロトコルに従ってリバーストランスフェクション実験を行った。48時間後にMammalian Protein Extraction buffer(GE healthcare)を用いて細胞溶解(cell lysis)した後、Bradfordアッセイでタンパク質を定量した。12%SDS−PAGEを用いて各サンプルごとに10μgタンパク質を80Vで20分間、120Vで1時間電気泳動した後、PVDE膜(Bio−rad)に、300mAで80分間転写した。転写後に膜を5%スキームミルクで1時間ブロッキングした後、SRD5A1抗体(ABcam,ab110123)1:2000で12時間反応させた。翌日、抗ヤギHRP(Santa cruz)1:10000で1時間反応させた後、ChemiDox(BioRad)を用いてSRD5A1タンパク質発現程度を比較した。
図2の結果から、SRD5A1タンパク質発現を抑制できる4種の(表1で、No.48、49、69、86)asiRNAを選定した。
【0058】
[実施例3]SRD5A1遺伝子を標的とする細胞自己伝達能を持つ16種のcp−asiRNA
SRD5A1を標的とする4種(表1でNo.48、49、69、86)のasiRNAに2’OMe(メチル)、PS(ホスホロチオエート結合)、コレステロールの個数及び位置によって3つの修飾パターンを持つSRD5A1 cp−asiRNA(総16本鎖)をデザイン後、OliX社(韓国)で合成した。cp−asiRNAはエンドサイトーシス効率及び安定性(stability)を高め、伝達ビークル(delivery vehicle)の援助なしにも高い効率で細胞膜を透過して標的遺伝子の発現を抑制することができる。合成されたセンス鎖及びアンチセンス鎖RNAオリゴヌクレオチドを95℃2分間、37℃1時間インキュベーション過程を経てアニールし、10%PAGE(Polyacrylamide Gel Electrophoresis)により、アニールされたcp−asiRNAをUVトランスルミネーターで確認した。
【0060】
[実施例4]SRD5A1遺伝子を標的とする細胞自己伝達能を持つcp−asiRNAスクリーニング
上記の表2による12種のcp−asiRNAを用いてHuH−7細胞株でSRD5A1の発現抑制効果を確認した。HuH−7細胞株に12種のcp−asiRNAをOptiMEM培地条件で1μM又は3μMで24時間インキュベーションした後、ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)(Gibco)、10%ウシ胎児血清(Fetal Bovine Serum)(Gibco)、100units/mlペニシリン100μg/mlストレプトマイシン条件で培地を交換し、培地交換24時間後に、タンパク質レベルでSRD5A1発現を確認した。
図3に示すように、2回の反復実験の結果、SRD5A1 cp−asiRNA #49(2,4)、#86(7,4)が50%以上の遺伝子抑制効率を示すことを確認した。
【0061】
上で選別された2種のcp−asiRNAを用いてHuH−7細胞株でSRD5A1の発現抑制効果を確認した。HuH−7細胞株に2種のcp−asiRNをOptiMEM培地条件で0.3μM、1μM及び3μMでそれぞれ24時間インキュベーションした後、mRNAレベルでSRD5A1発現を確認した。4回の反復実験の結果、SRD5A1 cp−asiRNA #49(2,4)、#86(7,4)が1μM以上の濃度条件で50%以上の遺伝子抑制効率を示すことを確認した(
図4)。
【0062】
[実施例5]SRD5A2を標的とするRNAiを誘導する112種の二本鎖核酸分子のスクリーニング
SRD5A2を標的とし、高効率のRNAi干渉を誘導する二本鎖の核酸分子を確保するために、SRD5A2遺伝子に対する標的配列選定後にasiRNAをデザインした。asiRNA構造は一般に知られたsiRNAと異なる構造を有するため、一般のsiRNAデザインプログラムを用いてasiRNAの塩基配列をデザインする場合、最適化したasiRNAをデザインすることが多少難しい。したがって、asiRNAは、次のような方法で行った。NCBI db検索によって、男性型脱毛(アンドロゲン性脱毛)疾患を標的し得ると考えられるSRD5A2遺伝子情報を取得した(mRNA受託番号:NM_000348.3)。後で行う動物実験を考慮して、マウスと80%以上の相同性を示す塩基配列を確保した後、GC含量30〜62%、4個以上のG、C連続配列は排除するなどのデザイン方法で100種のasiRNAをデザイン後に、OliX社(韓国)で合成した。合成されたセンス鎖及びアンチセンス鎖RNAオリゴヌクレオチドを95℃2分間、37℃1時間インキュベーション過程を経てアニールし、10%PAGEにより、アニールされたasiRNAをUVトランスルミネーターで確認した。
【0064】
[実施例6]SRD5A2を標的とするRNAiを誘導する二本鎖の核酸分子スクリーニング
mRNAレベルで遺伝子抑制効率を確認するために、選定した112種のasiRNAをHuH−7細胞株に0.3nM濃度でトランスフェクションした後、qRT−PCRを行ってSRD5A2 mRNAの発現程度を測定した。HuH−7細胞株は、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM,Gibco)、10%ウシ胎児血清(FBS,Gibco)、100units/mlペニシリン100μg/mlストレプトマイシン条件で培養した。HuH−7細胞を24ウェルプレートに5×10
4cells/wellで播種し、siRNA(0.3nM,OliX社)とLipofectamine2000(1μl/ml,Invitrogen社)を用いて総体積500μl Opti−MEM条件で、Invitrogen提供プロトコルに従ってリバーストランスフェクション実験を行った。24時間後にTrizol(TaKaRa)を用いてトータルRNAを抽出した後、High−capacity cDNA reverse transcription kit(Applied Biosystems)を用いてcDNAを合成し、StepOneリアルタイムPCRシステム機械でpower SYBR green PCR master Mix(Applied Biosystems)と下記のプライマーを用いてSRD5A2遺伝子発現程度を確認した(
図5A及び
図5B)。
【0065】
実験に用いたプライマー塩基配列は、次の表4の通りである。
【表4】
【0066】
112種のasiRNAスクリーニング結果から、上位23種(表3でNo.5、8、28、31、32、33、37、38、39、40、42、48、49、59、60、62、65、83、84、85、91、92、100)を選別し、10nM濃度でウェスタンブロット実験を行った。HuH−7細胞を6ウェルプレートに2.5×10
5cells/wellで播種した後、asiRNAとLipofectamine2000(1μl/ml,Invitrogen社)を用いて総体積2ml Opti−MEM条件で、Invitrogen提供プロトコルに従ってリバーストランスフェクション実験を行った。48時間後にMammalian Protein Extraction buffer(GE healthcare)を用いて細胞溶解をした後、Bradfordアッセイでタンパク質を定量した。12%SDS−PAGEを用いて各サンプルごとに10μgタンパク質を80Vで20分間、120Vで1時間電気泳動後、PVDE膜(Bio−rad)に300mAで80分間転写した。転写後に膜を5%スキームミルクで1時間ブロッキングした後、SRD5A2抗体(ABcam,ab124877)1:2000で12時間反応させた。翌日、抗ウサギHRP(Santa cruz)1:10000で1時間反応させた後、ChemiDox(BioRad)を用いSRD5A2タンパク質発現程度を比較した。この実験により、SRD5A2タンパク質発現を約50%以上抑制できる4種の(表3で、No.31、59、60、62)asiRNAを選定した(
図6A及び
図6B)。
【0067】
[実施例7]SRD5A2遺伝子を標的とする細胞自己伝達能を持つ16種のcp−asiRNA
SRD5A2を標的とする4種(表3でNo.31、59、60、62)のasiRNAに2’OMe(メチル)、PS(ホスホロチオエート結合)、コレステロール個数及び位置によって、3つの修飾パターンを持つSRD5A2cp−asiRNA(総16本)をデザイン後、OliX社(韓国)で合成した。cp−asiRNAは、エンドサイトーシス効率及び安定性を高めるので、伝達ビークルの援助無しにも高い効率で細胞膜を透過して標的遺伝子の発現を抑制することができる。合成されたセンス鎖及びアンチセンス鎖RNAオリゴヌクレオチドを95℃2分、37℃1時間インキュベーション過程を経てアニールし、10%PAGEにより、アニールされたcp−asiRNAをUVトランスルミネーターで確認した。
【0069】
[実施例8]SRD5A2遺伝子を標的とする細胞自己伝達能を持つcp−asiRNAスクリーニング
上記の表5による12種のcp−asiRNAを用いてHuH−7細胞株でSRD5A2の発現抑制効果を確認した。HuH−7細胞株に12種のcp−asiRNAをOptiMEM培地条件で1μM、3μMで24時間インキュベーションした後、ダルベッコ改変イーグル培地(Gibco)、10%ウシ胎児血清(Gibco)、100units/mlペニシリン100μg/mlストレプトマイシン条件で培地を交換し、培地交換24時間後にタンパク質レベルでSRD5A2発現を確認した。2回の反復実験の結果、SRD5A2cp−asiRNA #59(4,4)、#62(4,4)が50%以上の遺伝子抑制効率を示すことを確認した(
図7)。
【0070】
[実施例9]選定された2種のcp−asiRNAに対する標的遺伝子SRD5A2発現抑制効率の確認
上で選別された2種のcp−asiRNAを用いてHuH−7細胞株でSRD5A2の発現抑制効果を確認した。HuH−7細胞株に2種のcp−asiRNAをOptiMEM培地条件で1.95、3.9、7.8、15.6、31.3、62.5、125、250、500、1000(nM)で24時間インキュベーションした後、mRNAレベルでSRD5A2発現を確認した。3回の反復実験の結果、SRD5A2 cp−asiRNA #59(4,4)、#62(4,4)がそれぞれ22.37nM、27.18nMのIC50値を有することを確認した(
図8)。
【0071】
上で選別された2種のcp−asiRNAを用いてHuH−7細胞株でSRD5A2の発現抑制効果を確認した。HuH−7細胞株に2種のcp−asiRNAをOptiMEM培地条件で0.1μM、0.3μM、1μM又は3μM濃度で24時間インキュベーションした後、ダルベッコ改変イーグル培地(Gibco)、10%ウシ胎児血清(Gibco)、100units/mlペニシリン100μg/mlストレプトマイシン条件で培地を交換し、培地交換24時間後にタンパク質レベルでSRD5A2発現を確認した。2回の反復実験の結果、cp−asiSRD5A2#59(4,4)、#62(4,4)の処理濃度が高くなるにつれて、標的とする遺伝子SRD5A2のタンパク質発現が減少することを確認した(
図9)。
【0072】
[実施例10]ARを標的とするRNAiを誘導する118種の二本鎖核酸分子のスクリーニング
ARを標的とする高効率のRNAi干渉を誘導する二本鎖の核酸分子を確保するために、AR遺伝子に対する標的配列の選定後にasiRNAをデザインした。asiRNA構造は一般に知られたsiRNAと異なる構造を有するので、一般のsiRNAデザインプログラムを用いてasiRNAの塩基配列をデザインする場合、最適化したasiRNAをデザインすることが多少難しい。したがって、asiRNAデザインは、次のような方法で行った。NCBI db検索によって男性型脱毛(アンドロゲン性脱毛)疾患の標的遺伝子であるAR遺伝子情報を取得した(mRNA受託番号:NM_001011645.2)。後で行う動物実験を考慮して、マウスと80%以上の相同性を示す塩基配列を確保した後、GC含量30〜62%、4個以上のG、C連続配列は排除するなどのデザイン方法によって100種のasiRNAをデザイン後、OliX社(韓国)で合成した。合成されたセンス鎖及びアンチセンス鎖RNAオリゴヌクレオチドを95℃2分間、37℃1時間インキュベーション過程を経てアニールし、10%PAGEにより、アニールされたasiRNAをUVトランスルミネーターで確認した。
【0074】
[実施例11]ARを標的とするRNAi誘導二本鎖核酸分子のスクリーニング
mRNAレベルで遺伝子抑制効率を確認するために、選定した118種のasiRNAをA549細胞株に0.3nM濃度でトランスフェクションした後、qRT−PCRを行ってAR mRNAの発現程度を測定した。
【0075】
A549細胞株はダルベッコ改変イーグル培地(DMEM,Gibco)、10%ウシ胎児血清(FBS,Gibco)、100units/mlペニシリン100μg/mlストレプトマイシン条件で培養した。A549細胞を96ウェルプレートに5×10
3cells/wellで播種し、siRNA(0.3nM、OliX Pharmaceuticals社)とRNAiMAX(1μl/ml、Invitrogen社)を用いて総体積100μl Opti−MEM条件でInvitrogen提供プロトコルに従ってリバーストランスフェクション実験を行った。24時間後に、TOYOBO superprepから提供する基本プロトコルに従ってRNA精製及びcDNAを合成し、BioRad CFX−4000機械でAR TaqManプローブ(T)を用いてAR遺伝子発現程度を確認した。118種のうち88種に対してまずasiRNAスクリーニング実験を行い、標的遺伝子の発現を減少させる抑制効力を基準にして上位13種(表6でNo.43、49、67、70、72、74、75、77、78、79、81、82、87)を選別し、選ばれた13種は、残り30種(表6でNo.88〜118)と2次asiRNAスクリーニング実験を行った(
図10A及び
図10B)。
【0076】
2次のasiRNAスクリーニングを経て、標的遺伝子の発現を減少させる抑制効力を基準に上位20種(表6でNo.43、49、70、72、74、75、77、78、79、81、82、87、89、90、93、96、106、110、111、118)を選別し、選ばれた20種を、タンパク質レベルにおけるAR発現抑制効力を確認する実験を行った。A549細胞を12ウェルプレートに5×10
4cells/wellで播種した後、asiRNA(0.3nM、OliX Pharmaceuticals社)とRNAiMAX(1μl/ml、Invitrogen社)を用いて総体積1ml Opti−MEM条件でInvitrogen提供プロトコルに従ってリバーストランスフェクション実験を行った。48時間後に、Mammalian protein Extraction Buffer(GE Healthcare)で細胞溶解をした後、Bradfordアッセイでタンパク質を定量した。10%SDS−PAGEを用いて各サンプルごとに20μgタンパク質を80Vで20分間、120Vで1時間電気泳動後、PVDE膜(Bio−rad)に300mAで1時間転写した。転写後に膜を5%スキームミルクで1時間ブロッキングした後、AR抗体(ABcam,ab133273)1:2000で12時間反応させた。翌日、抗ウサギHRP(Santa cruz)1:5000で1時間反応させた後ChemiDox(BioRad)を用いてARタンパク質発現程度を比較した。これにより、ARタンパク質発現をより効果的に抑制できる上位9種(70、72、78、81、82、90、110、111、118)のasiRNAを選定した(
図11)。
【0077】
asiRNAスクリーニングを経て標的遺伝子の発現を減少させる抑制効力を基準にして上位9種(表6でNo.70、72、78、81、82、90、110、111、118)のasiRNA候補を選別し、選ばれた9種をより低い濃度(0.1nM)で実験し、mRNAとタンパク質レベルにおけるAR発現抑制効力を確認する実験を行った。A549細胞を12ウェルプレートに5×10
4cells/wellに播種した後、asiRNAとRNAiMAX(1μl/ml,Invitrogen社)を用いて総体積0.5ml Opti−MEM条件でInvitrogen提供プロトコルに従ってリバーストランスフェクション実験を行った。48時間後に、Trizol(TaKaRa)を用いてトータルRNAを抽出した後、High−capacity cDNA reverse transcription kit(Applied Biosystems)を用いてcDNAを合成し、StepOneリアルタイムPCRシステム機械でpower SYBR green PCR master Mix(Applied Biosystems)と下記の表7のプライマーを用いてAR遺伝子発現程度を確認した。
【0079】
また、A549細胞を12ウェルプレートに5×10
4cells/wellで播種した後、asiRNAとRNAiMAX(1μl/ml,Invitrogen社)を用いて総体積0.5ml Opti−MEM条件で、Invitrogen提供プロトコルに従ってリバーストランスフェクション実験を行った。48時間後に、Mammalian protein Extraction Buffer(GE Healthcare)で細胞溶解をした後、Bradfordアッセイでタンパク質を定量した。10%SDS−PAGEを用いて各サンプルごとに20μgタンパク質を80Vで20分間、120Vで1時間電気泳動後にPVDE膜(Bio−rad)で300mAで1時間転写した。転写後に、膜を5%スキームミルクで1時間ブロッキングした後、AR抗体(ABcam,ab133273)1:2000で12時間反応させた。翌日、抗ウサギHRP(Santa cruz)1:5000で1時間反応させた後、ChemiDox(BioRad)を用いてARタンパク質発現程度を比較した。選ばれた9種の実験の結果、0.1nM濃度でも効果的に72、78、110番が50%レベルの遺伝子抑制効率を示すことを確認した(
図12)。
【0080】
[実施例12]AR遺伝子を標的とする細胞自己伝達能を持つ9種のcp−asiRNA
ARを標的とする3種のasiRNAに2’OMe(Methyl)、PS(ホスホロチオエート結合)、コレステロールの個数及び位置によって3つの修飾パターンを持つAR cp−asiRNA(総9種)をデザイン後、Dharmaconに合成を依頼した。cp−asiRNAはエンドサイトーシス効率及び安定性を高めるので、伝達ビークルの援助なしにも高い効率で細胞膜を透過して標的遺伝子の発現を抑制することができる。合成されたセンス鎖及びアンチセンス鎖RNAオリゴヌクレオチドを95℃2分間、37℃1時間インキュベーション過程を経てアニールし、10%PAGEにより、アニールされたcp−asiRNAをUVトランスルミネーターで確認した。
【0082】
[実施例13]AR遺伝子を標的とする細胞自己伝達能を持つcp−asiRNAスクリーニング
上記の表8による9種のcp−asiRNAを用いてA549細胞株でARの発現抑制効果を確認した。A549細胞株に9種のcp−asiRNAをOptiMEM培地条件で1μM又は3μMで24時間インキュベーションした後、ダルベッコ改変イーグル培地(Gibco)、10%ウシ胎児血清(Gibco)、100units/mlペニシリン100μg/mlストレプトマイシン条件で培地を交換し、さらに24時間経過後にmRNAレベルでARの発現を確認した。4回の反復実験の結果、9種のAR cp−asiRNA 3μMレベルで50%レベルの遺伝子抑制効率を示すことを確認した(
図13)。
【0083】
同じ実験条件で9種のcp−asiRNAを用いてA549細胞株でARの発現抑制効果をタンパク質レベルで確認した。A549細胞株に9種のcp−asiRNAをOptiMEM培地条件で1μM又は3μMで24時間インキュベーションした後、ダルベッコ改変イーグル培地(Gibco)、10%ウシ胎児血清(Gibco)、100units/mlペニシリン100μg/mlストレプトマイシン条件で培地を交換し、さらに24時間経過後にProteinレベルでARの発現を確認した。このうち、#72(7,4)、#78(7,4)(4,4)(2,4)、#110(7,4)(4,4)で1μMレベルで無処理(NT)サンプルと1/2NTサンプルの帯強度(band intensity)を基準に50%以上の標的遺伝子タンパク質発現の抑制効率を示した(
図14)。
【0084】
具体的な構成を参照して本発明を詳しく記載したが、このような記載は好ましい具現例に関するもので、発明の範囲を制限しないことは、当業者にとって明らかである。そこで、本発明の実質的範囲は、出願された請求項及びその等価物によって定義されるといえよう。