【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様において、薬物送達デバイスの駆動機構が提供される。駆動機構は、薬剤の用量の設定ならびに投薬のために動作することができる。駆動機構は、軸方向に延びる細長いハウジングを含む。駆動機構は、カートリッジのピストンに動作可能に係合するピストンロッドをさらに含む。カートリッジは、駆動機構によっておよび/または薬物送達デバイスによって投薬予定の薬剤をそれぞれ含む。
【0010】
典型的には、カートリッジは、カートリッジの本体またはバレルの近位シールとして働く、カートリッジ内に軸方向に摺動可能に配置されるピストンを含む。駆動機構は、特に、注射針などのような穿孔要素によって貫入されるカートリッジの遠位に位置するセプタムを介して所望用量の薬剤を排出するために、カートリッジのピストンに遠位方向の推力を加えるまたは及ぼすように動作することができる。
【0011】
駆動機構は、用量を設定および投薬するために手動でハウジングに対して軸方向に変位可能な用量投与装置をさらに含む。用量投与装置によって、デバイスによって投薬予定の用量サイズが、用量設定手順の間に使用者によって個別に設定され得るようになる。その後の工程および所定用量の設定の後に、使用者は、用量投与装置、特に用量投与装置に連結され得るまたは用量投与装置内に実装され得る用量投薬部材に手で遠位方向の注射力を加えることによって、注射手順をトリガするまたは実施することができる。
【0012】
この場合、用量投与装置は、可変の用量サイズの設定を可能にし支援することができる。あるいは、用量投与装置は、使用者によって修正されない固定用量を投薬するように構成されてもよい。
【0013】
駆動機構は、用量投与装置の手動操作による用量投薬のための変位を支援するように、駆動機構のピストンロッドに動作可能に係合される付属または補助の駆動装置をさらに含むことができる。付属駆動装置によって、投薬手順が支援され得るようになる。付属駆動装置は、典型的には、追加の力またはトルクをもたらし、それによって手動により動作され得る用量投薬動作が支援され得る。その結果、使用者がもたらし及ぼさなければならない最低限の投薬力が大幅に減少され得る。したがって、駆動機構およびそれぞれの薬物送達デバイスの全体的な取扱いが向上され容易にされ得る。
【0014】
付属または補助の駆動装置は、特に、駆動機構の投薬動作を排他的に支援するように適
用される。用量設定の間、付属駆動装置は、事実上、動作不能であってよい。さらに、付属駆動装置は、駆動機構の投薬手順を排他的に支援するが完全には制御しないように動作することができる。このように、用量投与装置とピストンロッドとの間の機械的な相互作用は、すべて機械的に実装される駆動機構に比べて、実質的に変更されないままであってよい。
【0015】
典型的には、用量投与装置は、用量設定の間ならびに用量投薬の間、ハウジングに対して軸方向に変位させられる。用量投与装置とピストンロッドは、動作可能に機械的に係合された状態にあるので、用量設定および/または用量投薬についての用量投与装置の全体的な取扱いは、使用者または患者がすでに慣れている可能性があるすべて機械的に実装される駆動機構の一般的な取扱いと非常に似ていてもよい。
【0016】
さらに、用量投与装置とピストンロッドの機械的な動作可能な係合によって、駆動機構は、実際に設定されたおよび/または投薬された用量サイズについてのすべての機械的表示および制御を提供する。付属駆動装置の動力がなくなった場合、または付属駆動装置もしくはその構成要素が正常に動かなくなった場合でも、駆動機構は十分に機能し続ける。その場合、付属駆動装置の誤作動は、駆動機構、したがって薬物送達デバイスの操作の快適さにしか影響を及ぼさない。
【0017】
他の実施形態では、付属駆動装置は動力作動式である。この場合、付属駆動装置は電気的に駆動される。したがって、付属駆動装置は、電池、たとえば充電式電池に電気接続されるDCモータを含むことができる。典型的には、付属駆動装置は、用量投薬手順の間、要求に応じて選択的に動作することができる。付属駆動装置は、投薬手順の開始時に起動され、投薬手順の終了まで起動されたままになる。
【0018】
付属駆動装置は、典型的には、一定のまたは可変の大きさの所定トルクをもたらし、それが駆動機構の少なくとも1つの機能構成要素に伝えられ、補助的なトルクまたは駆動力がそのピストンロッドに伝えられる。付属駆動装置とピストンロッドの相互連結は、恒久的か一時的かのどちらかであってよい。さらに、付属駆動装置とピストンロッドの相互連結は、用量投薬の間、付属駆動装置とピストンロッドを連結させるように動作可能なクラッチまたはクラッチ機構を含むことができる。
【0019】
付属駆動装置とピストンロッドの相互連結は、付属駆動装置と回転可能に支持されるピストンロッドとの直接的な機械的相互作用を含むことができる。しかし、ピストンロッドがハウジングに回転可能にロックされ用量投薬のときにハウジングに対して摺動自在に変位される場合、付属駆動装置は、駆動機構の他の機能構成要素、たとえばピストンロッドを遠位方向にしたがって用量投薬方向に押しやるためにピストンロッドに直接的か間接的かのどちらかで係合される駆動スリーブまたは同様のものに、機械的に係合され得る。
【0020】
さらなる一実施形態では、用量投与装置は、用量設定部材と、用量表示部材と、用量投薬部材とを含む。したがって、用量投与装置は、用量の設定および/または投薬のためにハウジングに対して軸方向に変位可能に支持されるユニットを表しておりそれに相当する。典型的な実施形態では、用量表示部材は、その上に印刷された様々な用量サイズを示す数を有するスリーブを含む。用量表示部材は、用量設定手順の間、ハウジングに対して近位方向に変位することができ、それによって一連の用量を示す数がその外周に示される。
【0021】
典型的には、そうした数は、ハウジングの用量表示窓内に表示される。さらに、ハウジングは、その近位端に、駆動機構によって実際に設定された用量サイズを視覚化するインジケータを含むことが考えられ得る。
【0022】
用量表示部材は、たとえばその近位端に、用量設定部材を含むことができる。用量設定部材は、典型的には、用量設定のときの用量投与装置全体のねじ様の変位の間における用量設定部材および相互連結された用量表示部材の明確な把持および回転を提供する、用量ダイヤルグリップを含む。用量投与装置は、その近位端面に、用量投薬部材をさらに含むことができる。
【0023】
用量投薬部材は、典型的には、用量設定手順の間、前もって設定された用量の投薬のために、遠位方向に押し下げられる用量ボタンを含む。この場合、用量投薬部材は、用量投薬手順の間、使用者の親指によって及ぼされる遠位方向の推力を受けて伝える、推力受け構造をさらに含むことができる。
【0024】
用量設定モードから用量投薬モードにデバイスを切り換えるために、用量投薬部材または用量投与装置全体が、駆動機構のクラッチ機構を起動または停止状態にするように、軸方向、典型的には遠位方向に変位可能に支援され得る。クラッチ機構を起動または停止状態にすることによって、駆動機構は投薬モードと用量設定モードとの間で切り換えられ得る。
【0025】
さらなる一実施形態では、前もって設定された用量の投薬のための用量投薬手順の間、付属駆動装置は、用量設定部材または用量表示部材に動作可能に係合することができる。この文脈において、2つ以上の構成要素間の動作可能な係合とは、前記構成要素間においてトルクまたは力作用を伝える機械的係合に関連する。
【0026】
付属駆動装置が用量設定部材か用量表示部材かのどちらかに機械的に直接連結される場合、付属駆動装置によってもたらされる投薬力は、用量設定部材または用量表示部材を介してピストンロッドに伝えられることになる。
【0027】
そうでない場合は、付属駆動装置は、ピストンロッドに直接的に連結または係合され得る。その場合、付属駆動装置によって支援される投薬手順の間、用量設定部材および/または用量表示部材の戻り運動は、ピストンロッドによっておよび/または用量設定部材の使用者により支援される変位によって調整され誘導され得る。
【0028】
他の実施形態では、用量投与装置は、用量設定のために、ハウジングに対して近位方向に軸方向に変位可能である。それに応じて、用量投与装置、したがって用量表示部材、用量設定部材ならびに用量投薬部材は、用量の投薬のために遠位方向に変位され得る。このように、デバイスは、投薬手順の終わりに初期構成に戻ることができる。
【0029】
他の実施形態では、用量表示部材は、用量投薬手順の間、ピストンロッドに動作可能に、したがって機械的に係合される。そうした一実施形態では、付属駆動装置は、用量表示部材に作用し、したがって、用量表示部材に動作可能に直接係合され得る。この実施形態では、用量投薬手順の間、付属駆動装置が起動されることによって、用量表示部材およびピストンロッドの組み合わせたかたちで支援される変位が引き起こされる。その場合、付属駆動装置によってもたらされるトルクまたは力は、用量表示部材を介してピストンロッドに伝えられ得る。
【0030】
このように、用量測定および用量表示は、すべて機械的に実装され得る。その場合、駆動機構のソフトウェアまたは電子ハードウェアの障害または誤作動は、用量測定および用量表示に実質的な影響を与えない。その結果、駆動機構の障害についての安全性が向上され得る。さらなる利点としては、駆動機構のそれぞれのソフトウェアおよび電子ハードウェアは、より簡単で費用効果が高くなるように設計され実装され得る。
【0031】
他の実施形態では、用量投薬部材は、用量投薬の間、ピストンロッドに動作可能に、したがって機械的に係合される。このように、手動で加えられ遠位方向に及ぼされる投薬力は、ピストンロッドに直接伝えられ、ピストンロッドを遠位方向に押しやることができる。用量投薬部材とピストンロッドの組み合わせられた同時の変位は、付属駆動装置によって支援され得る。投薬手順の間、ピストンロッドを遠位かつ用量投薬方向に押しやるには、付属駆動装置が用量投薬部材に動作可能または機械的に係合されれば十分である。それに応じて、付属駆動装置によってもたらされるトルクまたは力が用量投薬部材を介してピストンロッドに伝えられ得る。
【0032】
他の実施形態では、付属駆動装置は、付属駆動装置を選択的に起動および/または停止状態にするためのスイッチに連結される。スイッチは、用量投薬手順の開始時および/または終了時に本質的にまたは自動的にそれぞれ起動されるまたは停止状態にされ得る。スイッチは、特に、付属駆動装置を始動および停止させるように動作可能であってよい。
【0033】
さらなる一実施形態では、スイッチは、用量投薬部材に動作可能に係合される。特に、スイッチは、用量投薬部材と一体であってよい。このように、用量投薬のために用量投薬部材を押し下げることによって、スイッチが本質的に同時に押し下げられ、それによって付属駆動装置が同時に起動され得るようになる。
【0034】
さらなる一実施形態では、スイッチは、用量投薬部材と用量設定部材との間の接触面に位置する。スイッチは、すべて機械的に実装され、投薬部材に固定される第1の部分を含むことができ、さらに、用量設定部材に固定される第2の部分を含むことができる。この実施形態では、用量投薬部材は、少なくとも用量投薬のときに、用量設定部材に対して変位可能である。その場合、用量設定部材に対して用量投薬部材が相対的に変位されることによって、スイッチの第1の部分と第2の部分の電気接続またはその切断がそれぞれ引き起こされ得る。
【0035】
他の実施形態によれば、スイッチは、復元力に抗して作動可能である。典型的には、スイッチは、ばね要素などのような復元要素の作用に抗して動作することができる。したがって、スイッチの押し下げは、ばねの作用に抗して行われ、したがってスイッチの解放によって、ばねの作用を受けてスイッチが自動的にその初期位置に移行される。
【0036】
さらなる一実施形態では、駆動機構は、駆動装置の使用者によって加えられるまたは及ぼされる投薬力に応じて付属駆動装置の動力を調節する制御装置を含む。この場合、スイッチは、用量投薬の間、遠位方向に駆動機構上に作用する投薬力のサイズまたは大きさを量的に決定するように動作可能である。外部から加えられる力の大きさを測定または決定することによって、それに応じて付属駆動装置の動力が修正され得る。
【0037】
使用者が比較的大きな投薬力を用量投薬部材に加えた場合、用量投薬手順の間の付属駆動装置の支援は比較的小さくなり得る。この場合、電気的エネルギーは、ある程度まで節約され得る。使用者によってもたらされる作動力が比較的小さい別の事象では、付属駆動装置によってもたらされるトルクまたは力は、それに応じて増加され得る。
【0038】
実際、付属駆動装置によってもたらされる動力および力またはトルクは、使用者によって及ぼされる用量投薬部材に実際存在する投薬力に個別に適用され得る。用量投薬の間に付属駆動装置によってもたらされる動力、力またはトルクの大きさは、使用者によって加えられる力と付属駆動装置によってもたらされる力またはトルクの合計が、少なくとも、ピストンロッドを遠位方向に押しやるまたは前進させるのに必要な所定の閾力を上回るように、調節され得る。
【0039】
他の態様において、本発明は、さらに、薬物送達デバイス、特にペン型注射器に関する。薬物送達デバイスは、上述したような駆動機構を含み、さらに、薬剤が少なくとも部分的に充填され近位方向においてピストンによって封止されているカートリッジを含む。ピストンは、薬剤の用量を排出し投薬するように、駆動機構のピストンロッドによって遠位方向に変位される。
【0040】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0041】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0042】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0043】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pr
o−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0044】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0045】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−3
9)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶
媒和化合物
から選択される。
【0046】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0047】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0048】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0049】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0050】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0051】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C
H)と可変領域(V
H)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0052】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの
連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0053】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(VH)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0054】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0055】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0056】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0057】
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明に様々な修正および変更を加えることができることが、当業者にはさらに明らかであろう。さらに、添付の特許請求の範囲で使用されるいかなる参照記号も、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではないことに留意されたい。
【0058】
以下において、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。