(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記物体検知部は、前記オプティカルフロー演算部で抽出された前記接近特徴点を含み、且つ前記路面検知部で前記路面領域以外と判定された領域に存在する物体を前記対象物体とすることを特徴とする請求項1記載の障害物検知装置。
前記障害物領域限定部は、前記オプティカルフロー演算部で抽出された前記接近特徴点から前記路面領域に存在する前記接近特徴点を除去し、残った前記接近特徴点を全て含む矩形の障害物領域を設定することを特徴とする請求項1記載の障害物検知装置。
前記障害物領域限定部は、前記オプティカルフロー演算部で抽出された前記接近特徴点から前記路面領域に存在する前記接近特徴点を除去し、残った前記接近特徴点を密度によってグループ化し、グループ毎の前記接近特徴点を全て含む矩形の障害物領域を設定することを特徴とする請求項1記載の障害物検知装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
以下に、実施の形態1に係る障害物検知装置及びこれを備えた障害物検知システムについて、図面に基づいて説明する。
図1は、実施の形態1に係る障害物検知システムの構成を示す図、
図2は、実施の形態1に係る障害物検知装置のハードウエア構成例を示す図である。なお、図中、同一、相当部分には同一符号を付している。
【0017】
図1に示すように、障害物検知システム200は、障害物検知装置100、撮像部1、警報部8、制御部9、及び表示部10を備えている。障害物検知装置100は、フレームバッファ2、オプティカルフロー演算部3、路面検知部4、障害物領域限定部5、物体検知部6、及び警報判断部7を備えている。
【0018】
障害物検知装置100は、ドライバーが運転する車両(以下、自車両11と記す)に搭載され、自車両11に接近する障害物を検知する。障害物とは、例えば自車両11に接近する周辺車両、二輪車、または歩行者等を含む物体である。
【0019】
障害物検知装置100のハードウエア構成は、一例を
図2に示すように、プロセッサ101と記憶装置102を含む。記憶装置102は、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、フラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置とを具備する。また、フラッシュメモリの代わりにハードディスクの補助記憶装置を具備してもよい。
【0020】
プロセッサ101は、記憶装置102から入力されたプログラムを実行する。この場合、補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプロセッサ101にプログラムが入力される。また、プロセッサ101は、演算結果等のデータを記憶装置102の揮発性記憶装置に出力してもよいし、揮発性記憶装置を介して補助記憶装置にデータを保存してもよい。
【0021】
さらに具体的には、障害物検知装置100の構成要素の中で、フレームバッファ2、オプティカルフロー演算部3、路面検知部4、障害物領域限定部5、物体検知部6、及び警報判断部7で行われる処理は、画像処理機能を備えた障害物検知ECU(Electronic Control Unit)においてプログラムにより実行される。撮像部1、警報部8、制御部9、及び表示部10は、車載ネットワークを介して障害物検知ECUと接続されている。
【0022】
障害物検知システム200の撮像部1は、自車両11に設置されたカメラ12であり、自車両11の周囲を撮影し時系列で複数の画像を取得する。
図3に示す例では、ドアミラーの位置に設置されたカメラ12の撮影範囲13は、自車両11の左側後方である。この撮影範囲13は、自車両11が右ハンドルの車両である場合の、ドライバーの死角を補う目的で設定されている。
【0023】
なお、カメラ12の設置箇所は、ドアミラーの位置に限定されるものではなく、自車両11の左側側面の他の箇所に設けて左側後方を撮影してもよい。またカメラ12による撮影範囲13は、自車両11の左側後方に限るものではなく、自車両11の右側後方、もしくは自車両11の後方等を撮影するようにし、障害物を検知する領域を変更してもよい。
【0024】
図4は、障害物検知システム200のカメラ12で撮影された画像の例を示している。画像14の画角は、自車両11の側面が入る設定としている。警報領域15は、自車両11から後方の距離に応じて設定される。カメラ12で撮影された画像14には、接近車両20の他、非障害物である道路のひび割れ17、白線18、ポール19等が存在している。
【0025】
カメラ12で撮影された画像データは、フレームバッファ2に出力される。フレームバッファ2は、カメラ12で撮影された例えば数フレーム分の画像データを蓄積する。画像データは、フレームバッファ2を経由して、後段のオプティカルフロー演算部3、路面検知部4、及び物体検知部6のそれぞれに出力される。
【0026】
オプティカルフロー演算部3は、複数の画像から抽出された特徴点のオプティカルフローの演算を行い、自車両11に接近する特徴点を接近特徴点として抽出し、接近特徴点の情報を出力する。
【0027】
路面検知部4は、複数の画像それぞれについて路面領域を抽出し、路面領域と路面領域以外の領域とに分ける。路面領域を抽出する手法は複数あるが、ここでは自車両11の周辺領域から取得した路面の色に基づいて路面領域を抽出する。具体的には、自車両11の直近の領域は路面であることを前提とし、自車両11の直近の路面検知領域16(
図4参照)を撮影した画像からヒストグラムを作成し、リファレンスデータとして利用する。
【0028】
障害物領域限定部5は、オプティカルフロー演算部3で抽出された接近特徴点の情報と、路面検知部4で抽出された路面領域の情報とに基づいて、障害物が存在する可能性がある障害物領域を設定する。具体的には、矩形領域であるバウンディングボックス(Bounding Box)を作成し、障害物領域を限定する。
【0029】
障害物領域限定部5は、障害物領域の設定方法の1つとして、オプティカルフロー演算部3で抽出された接近特徴点から路面領域に存在する接近特徴点を除去し、残った接近特徴点を全て含むバウンディングボックスを障害物領域として設定する。
【0030】
また、別の方法として、オプティカルフロー演算部3で抽出された接近特徴点から路面領域に存在する接近特徴点を除去し、残った接近特徴点を密度によってグループ化し、グループ毎の接近特徴点を全て含むバウンディングボックスを障害物領域として設定する。さらに、バウンディングボックスが路面領域の境界を含むようにしてもよい。
【0031】
物体検知部6は、複数の画像のそれぞれについて事前に学習された物体の特徴に基づいて、対象物体が障害物か否かの判別を行い、対象物体の位置情報(障害物座標)及び種別情報を含む物体情報を出力する。物体検知部6により対象物体が障害物と判別された場合、該物体情報は障害物情報となる。物体検知部6が出力する障害物情報は、物体検知部6により出力された障害物の位置情報、種別情報、及び障害物領域(バウンディングボックス)の情報を含む。
【0032】
ここで、物体検知部6の対象物体とは、オプティカルフロー演算部3で抽出された接近特徴点を含み、且つ路面検知部4で路面領域以外と判定された領域に存在する物体である。物体検知部6は、障害物領域限定部5が出力したバウンディングボックスに対し、事前に学習された物体の特徴に基づいて対象物体の判別を行う。
【0033】
学習に基づく物体検知処理は、事前に用意した画像と障害物のアノテーション情報に基づいて学習したパラメータを用いるものであり、例えばディープラーニングに基づく方法でもよいし、HOG(Histograms of Oriented Gradients)とSVN(Support Vector Machine)を用いたものでもよい。パラメータには、車両、二輪車、歩行者等の他、ポール、パイロン、ガードレール等、道路上に存在する可能性のある様々な物体が含まれる。
【0034】
警報判断部7は、物体検知部6により出力された障害物情報に基づいて、警報を通知するか否か、または制御を実施するか否かを判断する。警報判断部7は、物体が検知されたバウンディングボックスが警報領域15(
図4参照)に入っている場合、または物体情報に含まれるオプティカルフローが警報領域15に入っている場合に、警報が必要であると判断する。
【0035】
警報部8は、障害物検知装置100で検知された障害物に関する警報を通知する。具体的には、警報判断部7で警報が必要であると判断された場合、自車両11のドライバーに対して音または振動で警報を通知する。警報を振動で通知する場合、例えば、EPS(electric power steering)に信号を送り、EPSに高周波の振動を発生させることでハンドルを振動させ、ドライバーに通知する。なお、ハンドルを振動させる方法としては、ハンドル振動用モータをハンドルに取り付ける方法もある。
【0036】
さらに、音による通知と振動による通知を使い分けてもよい。例えばバウンディングボックスの中に警報領域15の少なくとも一部が含まれるときはまず音で通知し、接近車両等の障害物が自車両11に接触の可能性があるところまで接近したときに振動で通知してもよい。
【0037】
制御部9は、警報判断部7で制御が必要であると判断された場合、障害物検知装置100で検知された障害物と自車両11との接触が回避されるように自車両11を制御する。表示部10は、障害物検知装置100で検知された障害物の位置情報を映像でドライバーに通知する。また、警報判断部7で警報が必要であると判断された場合、表示部10の映像に警報を重畳して表示し、自車両11のドライバーに通知するようにしてもよい。
【0038】
障害物検知システム200において実施される各々の処理について、
図5から
図14を用いて説明する。
図5は、障害物検知システム200における全体的な処理の流れを説明するフローチャートである。
図5において、ステップS1は撮像部1による処理、ステップS2からステップS7は障害物検知装置100による処理、ステップS8は警報部8及び表示部10による処理、及びステップS9は制御部9による処理である。
【0039】
また、
図6は、オプティカルフロー演算部3による処理の流れを説明するフローチャート、
図7は、路面検知部4による処理の流れを説明するフローチャート、
図9は、障害物領域限定部5による処理の流れを説明するフローチャート、及び
図13は、物体検知部による処理の流れを説明するフローチャートである。
【0040】
図5のステップS1(画像取得ステップ)において、撮像部1は、自車両11の周囲を撮影し、時系列で複数の画像を取得して出力する。続いてステップS2(接近特徴点抽出ステップ)において、オプティカルフロー演算部3は、複数の画像から抽出した特徴点のオプティカルフローの演算を行い、自車両11に接近する特徴点を接近特徴点とし、接近特徴点の情報を抽出して出力する。
【0041】
オプティカルフロー演算部3による接近特徴点抽出処理について、
図6を用いて詳細に説明する。
図6のステップS21において、画像の中から、オプティカルフローの演算に利用するオプティカルフロー演算領域を部分画像として取得する。ここでは、オプティカルフロー演算領域は、
図4に示す画像14から自車両11を除いた領域とするが、障害物を検知する必要がある領域であれば画像中のどの領域でも構わない。
【0042】
次に、ステップS22において、ステップS21で取得した部分画像に対し、画像上のコーナー点を特徴点として抽出する。コーナー点を検出する手法は、例えばHarrisのコーナー検出アルゴリズム等があるが、どの手法を用いてもよい。また、コーナー点ではない特徴点を用いる手法、特徴点を用いずに演算領域に均等に分布させる手法等を用いることもできる。
【0043】
次に、ステップS23において、最新の画像から抽出した特徴点と、過去の画像から抽出した特徴点とのマッチングを行い、オプティカルフローの演算を行う。続いて、ステップS24において、ステップS23における演算結果から、自車両11に接近するオプティカルフローの抽出を行う。
【0044】
図4に示す画像14において、上下方向をY方向とし下方向を正とすると共に、左右方向をX方向とし右方向を正とする。この定義において、自車両11に後方から接近する障害物は、Y成分が正のオプティカルフローを有する。反対に、建物及び路上に駐車された車両等の、自車両11から遠ざかる構造物は、Y成分が負のオプティカルフローを有する。従ってステップS24では、Y成分が正のオプティカルフローを抽出する。
【0045】
続いて、ステップS25において、ステップS24で抽出された接近特徴点の情報を、障害物領域限定部5に出力する。接近特徴点の情報とは、接近特徴点の座標、オプティカルフローのY成分長さ、X成分長さ、向き、移動量の長さ等を含む。以上でオプティカルフロー演算部3による接近特徴点抽出処理は終了する。
【0046】
次に、
図5のステップS3(路面検知ステップ)において、路面検知部4は、ステップS1で取得された複数の画像のそれぞれについて路面領域を抽出し、路面領域と路面領域以外の領域とを分けた結果を出力する。路面検知部4による路面検知処理について、
図4、
図7、及び
図8を用いて詳細に説明する。
【0047】
図7のステップS31において、画像の中から、警報領域15を含む部分画像を取得する。ここでは、部分画像は、オプティカルフロー演算領域と同様に、
図4に示す画像14から自車両11を除いた領域とする。次に、ステップS32において、自車両11の直近に設定された路面検知領域16を路面ヒストグラム抽出領域として設定する。路面ヒストグラム抽出領域は、取得した画像における自車両11の周辺領域であればよく、カメラ12の画角、設置位置、または向きに応じて設定される。
【0048】
続いて、ステップS33において、路面ヒストグラム抽出領域である路面検知領域16のヒストグラムを作成する。具体的には、路面検知領域16の各画素に輝度値を割り当て、横軸を輝度値、縦軸を度数とすることにより、輝度値のヒストグラムが作成される。輝度値は、例えば0(黒)から255(白)の範囲で表される。路面検知領域16から得られたヒストグラムは、リファレンスデータとして用いられる。
【0049】
図8は、路面検知処理で作成されたヒストグラムのパターンの一例として、路面検知領域16の輝度値のヒストグラムを示している。ヒストグラムは、横軸の輝度値を階級で示し、その頻度を縦軸に示して画像の特徴を捉えた図である。路面検知領域16は、路面の領域が大半を占めているため、グレーの輝度が多く、
図8中、G1で示すような度数ピークが現れる。
【0050】
なお、路面には白線の他に黄色線もあり、赤もしくは青ペイントで塗られた路面もあるため、R、G、Bを組み合わせて階級を作り、その階級毎に頻度をとり、色も含めて路面の特徴を捉えてもよいし、RGB以外の色空間を利用しても構わない。また、1つの度数ピークだけを取得してもよいし、複数のピークを取得してもよい。さらに、色情報はフレーム毎に変化していくため、複数の色情報をリファレンスデータとして記録するようにしてもよい。
【0051】
続いて、ステップS34において、路面検知領域16のヒストグラムをリファレンスデータとして、警報領域15の中から路面領域を抽出する。ヒストグラムを利用して路面領域を抽出する方法は、特に限定されるものでないが、ここではリファレンスデータのヒストグラムと他の領域のヒストグラムとを比較し、リファレンスデータに類似するヒストグラムの領域を路面として判定し、路面領域として抽出する。
【0052】
ヒストグラムの類似度は、ヒストグラムの形状および分布している輝度値の範囲から判定することができるが、ヒストグラムの類似度を判定する手法はこの手法に限定するものではない。路面と判定された領域の輝度値を255、路面でないと判定された領域の輝度値を0として、二値化画像を作成する。
【0053】
最後に、ステップS35において、路面領域の情報を障害物領域限定部5に出力する。路面領域の情報は、例えば部分画像を路面領域と路面領域以外の領域とに分けた二値化画像である。以上で路面検知部4による路面検知処理は終了する。
【0054】
なお、ここではヒストグラムを利用した路面検知処理の手法を説明したが、路面検知の手法はこの手法に限るものではない。その他の手法としては、モーションステレオによる手法、路面の色特徴量を学習した手法、またはディープラーニングを利用した画像セグメンテーションによる手法等がある。
【0055】
次に、
図5のステップS4(障害物領域限定ステップ)において、障害物領域限定部5は、ステップS2で抽出された接近特徴点の情報と、ステップS3で抽出された路面領域の情報とに基づいて、障害物が存在する可能性がある障害物領域を設定する。障害物領域限定部5による障害物領域限定処理について、
図9から
図12を用いて詳細に説明する。
【0056】
図9のステップS41において、オプティカルフロー演算部3から出力された部分画像の接近特徴点の情報を取得する。また、ステップS42において、路面検知部4から出力された部分画像の路面領域の情報を取得する。
【0057】
続いて、ステップS43において、路面領域にある接近特徴点の情報を除去する。接近特徴点の座標が路面領域にある場合、その接近特徴点の情報は、路面上の模様またはひび割れといった非障害物から発生した誤フローであると判定され除去される。
【0058】
次に、ステップS44において、除去されずに残った接近特徴点を密度によってグループ化する。さらに詳しくは、接近特徴点の座標及び接近特徴点のフローの方向から、互いに近接した位置にありフローの方向が一致する接近特徴点をグループ化する。続いて、ステップS45において、ステップS44で生じた複数の接近特徴点のグループを分類し、接近特徴点を囲うバウンディングボックスを作成する。
【0059】
バウンディングボックスの例を
図10から
図12に示す。
図10に示すバウンディングボックス23は、路面領域22に存在する接近特徴点を除去した残りの接近特徴点を全て含む外接矩形である。この手法は簡易であり、部分画像に存在する全ての接近障害物を含めることができる。なお、外接矩形の設定をする場合、接近特徴点から一定のマージンをもって外接矩形を設定してもよい。
【0060】
また、
図11に示すバウンディングボックス23a、23bは、接近特徴点の密度によって障害物領域を複数のグループに分けたものである。
図10に示す例に比べて、効果的に障害物領域を限定することができる。さらに、
図12に示すバウンディングボックス23c、23dは、
図11に示すバウンディングボックス23a、23bの下端を移動させ、路面領域22の境界を含むようにしたものである。これにより障害物の下端がバウンディングボックス23c、23dに入り易くなり、物体検知処理において障害物の検知が容易となる。
【0061】
最後に、ステップS46において、作成されたバウンディングボックスの情報を、障害物領域の情報として物体検知部6に出力する。障害物領域の情報は、画像上のバウンディングボックスの座標、バウンディングボックス内に含まれるオプティカルフローのサイズ、個数、フローの平均長、フローの平均向き等を含む。以上で障害物領域限定部5による障害物領域限定処理は終了する。
【0062】
次に、
図5のステップS5(物体検知ステップ)において、物体検知部6は、障害物領域限定部5により設定された障害物領域に対し学習に基づく物体検知処理を行い、対象物体の位置及び種別を含む物体情報を出力する。物体検知部6による物体検知処理について、
図13及び
図14を用いて詳細に説明する。
【0063】
図13のステップS51において、障害物領域限定部5により出力された障害物領域の情報に基づいて、障害物領域の部分画像を取得する。続いてステップS52において。バウンディングボックスの中に存在する対象物体の特徴を抽出する。特徴の抽出は、HOGであってもよいしRGBの画像そのままであってもよい。
【0064】
続いて、ステップS53において、ステップS52で抽出した特徴を学習済みパラメータと比較し、対象物体の位置及び種別を判別する。これにより、対象物体が障害物であるか否かが判別される。最後に、ステップS54において、障害物と判別された対象物体の位置情報、種別情報、及び障害物領域の情報を含む障害物情報を、警報判断部7に出力する。以上で物体検知部6による物体検知処理は終了する。
【0065】
物体検知部6による物体検知処理の結果を
図14に示す。
図14に示すバウンディングボックス24は、障害物と判別された接近車両20とそのオプティカルフロー21を含んでいる。なお、
図12に示すバウンディングボックス23dの対象物体はポール19であるため、物体検知部6による物体検知処理の結果、障害物ではないと判別される。
【0066】
さらに、
図5のステップS6において、警報判断部7は、ステップS5で検知された障害物について警報の必要性を判断する。具体的には、ステップS7で、障害物が警報領域15に存在するか否かを障害物の物体情報に基づいて判定する。ステップS7において、障害物が警報領域15に存在しないと判定した場合(NO)、今回取得した画像についての全ての処理を終了する。また、障害物が警報領域15に存在すると判定した場合(YES)、ステップS8またはステップS9に進む。
【0067】
ステップS8において、警報部8は音または振動で警報を通知し、表示部10は映像に重畳して警報を通知する。このとき表示部10に表示される映像は、フレームバッファ2に蓄積された元の画像であってもよいし、元の画像を切り抜いて拡大、縮小、あるいは変形させた画像であってもよい。ステップS9において、制御部9は、検知された障害物と自車両11との接触が回避されるように自車両11を制御する。なお、ステップS8では、音、振動、または映像による通知のいずれか1つ以上を実施してもよい。また、ステップS8とステップS9は、いずれか一方を実施してもよい。
【0068】
このように、実施の形態1による障害物検知装置100は、オプティカルフロー演算部3で抽出された接近特徴点が路面領域に存在する場合、その接近特徴点の情報を除去するようにしたので、
図4に示す道路のひび割れ17、白線18に係る接近特徴点は除去される。なお、除去される接近特徴点としては、例えば路面領域にある水たまり、路面に描かれたゼブラパターン、等間隔に描画された路面標示等に係る接近特徴点も含まれる。
【0069】
さらに、路面領域以外の領域に存在する接近特徴点であっても、規則正しく設置されたポール及びパイロン、壁に描かれた等間隔の模様等に対し、ストロボ効果の影響で接近特徴点が現れていることがあるが、このような対象物体は、学習に基づく物体検知処理により障害物でないと判別される。よって、オプティカルフロー処理による誤検知を、路面検知処理と学習に基づく物体検知処理によって除去することができる。
【0070】
また、学習に基づく物体検知処理は、オプティカルフロー処理または路面検知処理に比べて処理量が大きいが、障害物領域限定部5で設定された障害物領域に対してのみ物体検知を行うことにより処理効率が向上し、検知性能を低下させることなく処理量を削減することができる。
【0071】
また、自車両11の周囲に障害物が検知されたとき、ドライバーに対して音、振動、または映像で警報を通知する警報部8及び表示部10を備えたので、ドライバーに接近車両20等の障害物の存在を適正なタイミングで知らせることができる。さらに、自車両11の周囲に障害物が検知されたとき、自車両11と障害物との接触が回避されるように自車両11を制御する制御部9を備えたので、ドライバーの操作を介さずに障害物との接触を適正なタイミングで回避することができる。
【0072】
以上のことから、実施の形態1によれば、カメラ以外の他のセンサを追加して設けることなく、障害物に対する検知精度を向上させた障害物検知装置100が得られる。また、障害物検知装置100を備えることにより、誤検知及び誤警報を抑制することができ、ドライバーに障害物の存在を適正なタイミングで知らせることが可能な障害物検知システム200が得られる。
【0073】
本開示は、例示的な実施の形態が記載されているが、実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。