特許第6987179号(P6987179)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6987179
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】動物忌避用杭
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/12 20110101AFI20211213BHJP
   A01M 29/30 20110101ALI20211213BHJP
   A01N 37/18 20060101ALI20211213BHJP
   A01N 65/22 20090101ALI20211213BHJP
   A01P 17/00 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   A01M29/12
   A01M29/30
   A01N37/18 A
   A01N65/22
   A01P17/00
【請求項の数】7
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2020-101415(P2020-101415)
(22)【出願日】2020年6月11日
【審査請求日】2020年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】306024148
【氏名又は名称】公立大学法人秋田県立大学
(73)【特許権者】
【識別番号】598034823
【氏名又は名称】株式会社 ウッディさんない
(74)【代理人】
【識別番号】100110537
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 繁
(72)【発明者】
【氏名】野田 龍
(72)【発明者】
【氏名】森岡 吉己
【審査官】 西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−188801(JP,A)
【文献】 特開平07−039289(JP,A)
【文献】 特開2005−013225(JP,A)
【文献】 特開2020−043835(JP,A)
【文献】 実開昭51−014687(JP,U)
【文献】 特開2018−113894(JP,A)
【文献】 特開2000−106766(JP,A)
【文献】 特開2017−014179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01M
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱体や角柱体の周面に等間隔及び/又はランダムに穿孔した木栓穴を設けた標柱と、カプサイシンの忌避剤を含浸させた木栓とからなり、前記標柱の木栓穴に前記木栓を埋設してなることを特徴とする動物忌避用杭。
【請求項2】
前記標柱は、表面全体にカプサイシン粉末、ミント粉末、カプサイシン粉末とミント粉末の混合、カプサイシンオイルの忌避剤、クレオソート油の防腐剤又はミント以外のハーブ類を塗布することを特徴とする請求項1記載の動物忌避用杭。
【請求項3】
前記標柱に案内板や掲示板を取り付けて看板として使用することを特徴とする請求項1記載の動物忌避用杭。
【請求項4】
前記動物忌避用杭間には複数段に渡ってカプサイシンの忌避剤を含浸させた木栓を取り付け固定したワイヤー又はロープを架け渡してワイヤー柵又はロープ柵とし、危害を加える動物や被害を与える動物の侵入を阻止することを特徴とする請求項1記載の動物忌避用杭。
【請求項5】
前記動物忌避用杭間には電線を架け渡して電気柵とし、危害を加える動物や被害を与える動物の侵入を阻止することを特徴とする請求項1記載の動物忌避用杭。
【請求項6】
前記動物忌避用杭間には金網を架け渡して金網柵とし、危害を加える動物や被害を与える動物の侵入を阻止することを特徴とする請求項1記載の動物忌避用杭。
【請求項7】
前記動物忌避用杭間には複数段に渡ってカプサイシンの忌避剤を含浸させた木栓を埋設した棚材を複数段に渡って架け渡して木柵とし、危害を加える動物や被害を与える動物の侵入を阻止することを特徴とする請求項1記載の動物忌避用杭。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クマやイノシシなどの人間に危害を加える動物やハクビシン・リスなど、農作物・果樹に被害を与える動物に対して長期間の芳香忌避効果を持続することができる動物忌避用杭に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、クマやイノシシが人里まで出没して畑の作物を荒らすことが多くなり、畑の周囲に金網柵を巡らしたり、電気柵などの対策を取っているが、多くは期待できない結果となっている。
【0003】
そのため、取扱作業者に安全であり、環境負荷も小さく、適用した初期段階から優れた忌避効果を発現し、その効果の持続時間も長い猪用忌避材が知られている(特許文献1を参照)。
この公知文献は、唐辛子を微粉砕して得られる微粉末あるいは、合成カプサイシンを低級アルコールに溶解して得られる液体に大鋸屑などの木材を処理することにより有効成分を木質内部に浸透させた後、固定し、徐々に空気中に拡散させることにより、初期段階の優れた忌避効果と長期間の忌避効果を合わせ持つ猪用忌避材である。
【0004】
また、動物忌避剤として用いられる木タール原液を主材料とする、サルやクマなどの動物の侵入を防止できる木タールとその製造方法が知られている(特許文献2を参照)。
この公知文献は、木酢液を蒸留して木タール原液を得て、木タール原液にグリセリンを混合し、その混合液にカプサイシン抽出物を混合する木タール混合物とその製造方法である。
【0005】
上記両公知文献は、動物の忌避効果のある物質として、唐辛子の辛み成分であるカプサイシンを使用するものであるが、前記大鋸屑は畑に撒いたり、畑の土と混ぜることにより忌避効果を発揮させるものであり、また前記木タールは側面に穴をあけた樹脂製円筒容器に木タールを入れたものを吊下げて忌避効果を発揮させるものである。
本発明は、畑の周囲に張り巡らした金網柵や電気柵などに代えてカプサイシンなどの忌避剤を使用した標柱を利用し、クマやイノシシなどの人間に危害を加える動物やハクビシン・リスなど、農作物・果樹に被害を与える動物に対して長期間の芳香忌避効果を持続することができる動物忌避用杭を開発したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017−14179号公報
【特許文献2】特開2019−43910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、カプサイシンなどの忌避剤を使用した動物忌避用杭を利用し、クマやイノシシなどの人間に危害を加える動物やハクビシン・リスなど、農作物・果樹に被害を与える動物に対して長期間の芳香忌避効果を持続することができる動物忌避用杭を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の動物忌避用杭は、円柱体や角柱体の周面に等間隔及び/又はランダムに穿孔した木栓穴を設けた標柱と、カプサイシンなどの忌避剤を含浸させた木栓とからなり、前記標柱の木栓穴に前記木栓を埋設してなる。
前記動物忌避用杭間には複数段に渡ってカプサイシンなどの忌避剤を含浸させた木栓を取り付け固定したワイヤー又はロープを架け渡してワイヤー柵またはロープ柵とし、危害を加える動物や被害を与える動物の侵入を阻止する。
前記動物忌避用杭間には複数段に渡って電線を架け渡して電気柵とし、危害を加える動物や被害を与える動物の侵入を阻止する。
前記動物忌避用杭間には金網を架け渡して金網柵とし、危害を加える動物や被害を与える動物の侵入を阻止する。
前記動物忌避用杭間にはカプサイシンなどの忌避剤を含浸させた木栓を埋設した棚材を複数段に渡って架け渡して木柵とし、危害を加える動物や被害を与える動物の侵入を阻止する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の動物忌避用杭は、標柱の木栓穴にカプサイシンなどの忌避剤を含浸させた木栓を埋設してなるため、単に杭打ち作業で野菜畑や果樹畑を囲むように設置容易であり、かつ動物忌避用杭からは長期間の芳香忌避効果を持続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の動物忌避用杭の正面図である。
図2】本発明の動物忌避用杭をワイヤー柵またはロープ柵にした状態の正面図である。
図3】本発明の動物忌避用杭を電気柵にした状態の正面図である。
図4】本発明の動物忌避用杭を金網柵にした状態の正面図である。
図5】本発明の動物忌避用杭を木柵にした状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の動物忌避用杭の一実施例を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1の正面図に示すように、先端に先鋭部1を備えた円柱体2や角柱体の周面に等間隔及び/又はランダムに穿孔した木栓穴3を設けた標柱4と、カプサイシンなどの忌避剤を含浸させた木栓5とからなる。
そして、前記標柱4の木栓穴3に前記カプサイシンなどの忌避剤を含浸させた木栓5を埋設して動物忌避用杭としたものである。
前記木栓穴3は、標柱4の直径の1/10〜1/2であり、直径120mmの標柱4に対しては、例えば直径30mm、高さ30mmの円柱状の木栓5を埋設できる大きさの穿孔穴である。
前記標柱4は、目印のために立てる柱であって、表面全体に忌避効果のあるカプサイシン粉末、ミント粉末、カプサイシン粉末とミント粉末の混合、カプサイシンオイルなどの忌避剤又はクレオソート油などの防腐剤、又はミント以外のハーブ類を塗布してもよい。また、前記標柱4に案内板や掲示板などを取り付けて看板として使用してもよい。
【0012】
前記カプサイシンを含浸させた木栓は、次のような手順で作ることができる。
1.唐辛子粉末とアルコールを混合してカプサイシン混合液を作成する。
2.前記カプサイシン混合液に木栓を1週間以上浸漬させ、木栓にカプサイシンを含浸させる。
3.浸漬1週間以上経過後、木栓を取り出し、1〜2日間自然乾燥させる。
4.自然乾燥後、カプサイシンを含浸させた乾燥木栓が使用可能となる。
【0013】
さらに、前記唐辛子粉末に混合させる溶液として、特定99度アルコール以外に、特定99度アルコール+水、イソプロピルアルコール、イソプロピルアルコール+水、食用油、廃酒などを利用してもよい。
なお、標柱4は、杉丸太を切削加工した木製円柱体を使用したが、針葉樹でも広葉樹でも良い。
【0014】
次に、本発明の動物忌避用杭の使用動作を添付図面に基づいて、以下に説明する。
標柱4の木栓穴3にカプサイシンなどの忌避剤を含浸させた木栓5を埋設した動物忌避用杭は、適宜間隔に野菜畑や果樹畑を囲むように立てて、動物忌避用杭間には複数段に渡ってワイヤー又はロープを架け渡してワイヤー柵又はロープ柵とし、単にワイヤー又はロープを架け渡しただけでは危害を加える動物や被害を与える動物の侵入を阻止できないので、図2に示すように、前記ワイヤー又はロープ6には、カプサイシンなどの忌避剤を含浸させた木栓5を千鳥状に等間隔に取り付け固定する。
【0015】
或いは、図3に示すように電線を架け渡して電気柵、図4に示すように金網を架け渡して金網柵、または図5に示すようにカプサイシンなどの忌避剤を含浸させた木栓を埋設した棚材を複数段に渡って架け渡して木柵とし、危害を加える動物や被害を与える動物の侵入を阻止する。なお、前記棚材には、板材や丸材、半割材などを含む。
このようにすることにより、カプサイシンなどの忌避剤を含浸させた木栓5からの芳香により忌避効果を生じ、危害を加える動物や被害を与える動物の野菜畑や果樹畑への侵入を二重に阻止することができる。
【0016】
本発明の動物忌避用杭は、標柱4の木栓穴3にカプサイシンなどの忌避剤を含浸させた木栓5を埋設してなるため、単に杭打ち作業で野菜畑や果樹畑を囲むように設置容易であり、かつ動物忌避用杭からは長期間の芳香忌避効果を持続することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 先鋭部
2 円柱体
3 木栓穴
4 標柱
5 木栓
6 ワイヤー又はロープ
【要約】
【課題】本発明は、カプサイシンなどの忌避剤を使用した動物忌避用杭を利用し、クマやイノシシなどの人間に危害を加える動物やハクビシン・リスなど、農作物・果樹に被害を与える動物に対して長期間の芳香忌避効果を持続することができる動物忌避用杭を提供する。
【解決手段】先端に先鋭部1を備えた円柱体又は角柱体2の周面に等間隔及び/又はランダムに穿孔した木栓穴3を設けた標柱4と、カプサイシンなどの忌避剤を含浸させた木栓5とからなり、前記標柱4の木栓穴3に前記木栓5を埋設して動物忌避用杭としたものである。前記動物忌避用杭は、適宜間隔に野菜畑や果樹畑を囲むように立てて、動物忌避用杭間には複数段に渡ってカプサイシンなどの忌避剤を含浸させた木栓5を千鳥状に等間隔に取り付け固定したワイヤー又はロープ6を架け渡して危害を加える動物や被害を与える動物の侵入を阻止する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5