(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0012】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る建設機械100の一例を示す斜視図である。本実施形態においては、建設機械100が油圧ショベル100である例について説明する。
【0013】
図1に示すように、油圧ショベル100は、油圧により作動する作業機1と、作業機1を支持する車体2と、車体2を支持する走行装置3とを備える。車体2は、走行装置3に支持された状態で旋回軸RXを中心に旋回可能である。車体2は、走行装置3の上に配置される。以下の説明においては、車体2を適宜、上部旋回体2、と称し、走行装置3を適宜、下部走行体3、と称する。
【0014】
上部旋回体2は、オペレータが搭乗する運転室4と、エンジンや油圧ポンプなどが収容される機械室5と、手すり6とを有する。運転室4は、オペレータが着座する運転席4Sを有する。機械室5は、運転室4の後方に配置される。手すり6は、機械室5の前方に配置される。
【0015】
下部走行体3は、一対のクローラ7を有する。クローラ7の回転により、油圧ショベル100が走行する。なお、下部走行体3が車輪(タイヤ)でもよい。
【0016】
作業機1は、上部旋回体2に支持される。作業機1は、刃先10を有するバケット11と、バケット11に連結されるアーム12と、アーム12に連結されるブーム13とを有する。バケット11は、刃先10を有する作業部材である。アーム12及びブーム13は、バケット11と上部旋回体2とを連結する連結部材である。
【0017】
バケット11の刃先10は、バケット11に設けられた凸形状の刃の先端部でもよい。バケット11の刃先10は、バケット11に設けられたストレート形状の刃の先端部でもよい。
【0018】
バケット11とアーム12とはバケットピンを介して連結される。バケット11は、回転軸AX1を中心に回転可能にアーム12に支持される。アーム12とブーム13とはアームピンを介して連結される。アーム12は、回転軸AX2を中心に回転可能にブーム13に支持される。ブーム13と車体2とはブームピンを介して連結される。ブーム13は、回転軸AX3を中心に回転可能に車体2に支持される。
【0019】
回転軸AX1と、回転軸AX2と、回転軸AX3とは、平行である。回転軸AX1,AX2,AX3と、旋回軸RXとは、空間内で直交する関係にある。以下の説明においては、回転軸AX1,AX2,AX3の軸方向を適宜、上部旋回体2の車幅方向、と称し、回転軸AX1,AX2,AX3及び旋回軸RXの両方と直交する方向を適宜、上部旋回体2の前後方向、と称する。
【0020】
図2は、本実施形態に係る油圧ショベル100を模式的に示す側面図である。
図3は、本実施形態に係る油圧ショベル100を模式的に示す背面図である。
【0021】
図1及び
図2に示すように、油圧ショベル100は、作業機1を駆動する油圧シリンダ20を有する。油圧シリンダ20は、作動油によって駆動される。油圧シリンダ20は、バケット11を駆動するバケットシリンダ21と、アーム12を駆動するアームシリンダ22と、ブーム13を駆動するブームシリンダ23とを含む。
【0022】
図2に示すように、油圧ショベル100は、バケットシリンダ21に配置されたバケットシリンダストロークセンサ14と、アームシリンダ22に配置されたアームシリンダストロークセンサ15と、ブームシリンダ23に配置されたブームシリンダストロークセンサ16とを有する。バケットシリンダストロークセンサ14は、バケットシリンダ21のストローク長であるバケットシリンダ長を検出する。アームシリンダストロークセンサ15は、アームシリンダ22のストローク長であるアームシリンダ長を検出する。ブームシリンダストロークセンサ16は、ブームシリンダ23のストローク長であるブームシリンダ長を検出する。
【0023】
図2及び
図3に示すように、油圧ショベル100は、上部旋回体2の位置を検出する位置検出装置30を備える。位置検出装置30は、グローバル座標系で規定される上部旋回体2の位置を検出する車体位置センサ31と、上部旋回体2の姿勢を検出する姿勢検出センサ32と、上部旋回体2の方位を検出する方位センサ33とを含む。なお、方位センサ33は、位置検出装置30とは別体でもよい。
【0024】
グローバル座標系(XgYgZg座標系)とは、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)により規定される絶対位置を示す座標系である。位置検出装置30によって、グローバル座標系で規定される上部旋回体2の3次元位置、水平面に対する上部旋回体2の傾斜角度、及び基準方位に対する上部旋回体2の方位が検出される。
【0025】
車体位置センサ31は、GPS受信機を含む。車体位置センサ31は、グローバル座標系で規定される上部旋回体2の3次元位置を検出する。車体位置センサ31は、上部旋回体2のXg方向の位置、Yg方向の位置、及びZg方向の位置を検出する。
【0026】
上部旋回体2にGPSアンテナ31Aが設けられる。GPSアンテナ31Aは、上部旋回体2の手すり6に設けられる。なお、GPSアンテナ31Aは、機械室5の後方に配置されたカウンタウェイトの上に配置されてもよい。GPSアンテナ31Aは、GPS衛星から電波を受信して、受信した電波に基づく信号を車体位置センサ31に出力する。車体位置センサ31は、GPSアンテナ31Aから供給された信号に基づいて、グローバル座標系で規定されるGPSアンテナ31Aの設置位置P1を検出する。車体位置センサ31は、GPSアンテナ31Aの設置位置P1に基づいて、上部旋回体2の絶対位置Pgを検出する。
【0027】
GPSアンテナ31Aは、車幅方向に2つ設けられる。車体位置センサ31は、一方のGPSアンテナ31Aの設置位置P1a及び他方のGPSアンテナ31Aの設置位置P1bのそれぞれを検出する。本実施形態において、車体位置センサ31は1つであるが、GPSアンテナ31Aのそれぞれに設けられてもよい。車体位置センサ31は、設置位置P1aと設置位置P1bとに基づいて演算処理を実施して、上部旋回体2の絶対位置Pgを検出する。本実施形態において、上部旋回体2の絶対位置Pgは、設置位置P1aと設置位置P1bとの中間位置である。なお、上部旋回体2の絶対位置Pgは、設置位置P1a及び設置位置P1bのいずれか一方でもよい。
【0028】
姿勢検出センサ32は、IMU(Inertial Measurement Unit)を含む。姿勢検出センサ32は、上部旋回体2に設けられる。姿勢検出センサ32は、運転室4の下部に配置される。姿勢検出センサ32は、水平面(XgYg平面)に対する上部旋回体2の傾斜角度といった姿勢を検出する。水平面に対する上部旋回体2の傾斜角度は、車幅方向に関する上部旋回体2の傾斜角度θaと、前後方向に関する上部旋回体2の傾斜角度θbと、を含む。
【0029】
方位センサ33は、一方のGPSアンテナ31Aの設置位置P1aと他方のGPSアンテナ31Aの設置位置P1bとに基づいて、グローバル座標系で規定される基準方位に対する上部旋回体2の方位を検出する機能を有する。基準方位は、例えば北である。方位センサ33は、設置位置P1aと設置位置P1bとに基づいて演算処理を実施して、基準方位に対する上部旋回体2の方位を検出する。方位センサ33は、設置位置P1aと設置位置P1bとを結ぶ直線を算出し、算出した直線と基準方位とがなす角度に基づいて、基準方位に対する上部旋回体2の方位を検出する。なお、方位センサ33として、位置検出装置30とは別体であり、上述の方法とは異なる方法(例えば、磁気センサを用いる方法)で方位を検出する方位センサが用いられてもよい。
【0030】
油圧ショベル100は、上部旋回体2に対する刃先10の相対位置を検出する刃先位置センサ34を備える。刃先位置センサ34は、ローカル座標系で規定される上部旋回体2に対する作業機1の刃先10の位置を検出する。
【0031】
ローカル座標系(XYZ座標系)とは、油圧ショベル100の上部旋回体2を基準とした相対位置を示す座標系である。
【0032】
本実施形態における刃先位置センサ34とは、バケットシリンダストロークセンサ14の検出結果と、アームシリンダストロークセンサ15の検出結果と、ブームシリンダストロークセンサ16の検出結果と、バケット11の長さL11と、アーム12の長さL12と、ブーム13の長さL13とに基づいて、上部旋回体2に対する刃先10の相対位置を検出するものである。
【0033】
刃先位置センサ34は、バケットシリンダストロークセンサ14で検出されたバケットシリンダ長に基づいて、アーム12に対するバケット11の刃先10の傾斜角θ11を算出する。刃先位置センサ34は、アームシリンダストロークセンサ15で検出されたアームシリンダ長に基づいて、ブーム13に対するアーム12の傾斜角θ12を算出する。刃先位置センサ34は、ブームシリンダストロークセンサ16で検出されたブームシリンダ長に基づいて、上部旋回体2に対するブーム13の傾斜角θ13を算出する。なお、刃先位置センサ34はポテンショメータ等を用いた角度センサであってもよく、その角度センサが、バケット11の傾斜角θ11、アーム12の傾斜角θ12、及びブーム13の傾斜角θ13を検出してもよい。
【0034】
バケット11の長さL11は、バケット11の刃先10と回転軸AX1(バケットピン)との距離である。アーム12の長さL12は、回転軸AX1(バケットピン)と回転軸AX2(アームピン)との距離である。ブーム13の長さL13は、回転軸AX2(アームピン)と回転軸AX3(ブームピン)との距離である。
【0035】
刃先位置センサ34は、傾斜角θ11、傾斜角θ12、傾斜角θ13、長さL11、長さL12、及び長さL13に基づいて、上部旋回体2の回転軸AX3に対する刃先10の相対位置を検出する。
【0036】
また、刃先位置センサ34は、位置検出装置30で検出された上部旋回体2の絶対位置Pgと、上部旋回体2の回転軸AX3と刃先10との相対位置とに基づいて、刃先10の絶対位置Pbを検出する。絶対位置Pgと回転軸AX3との相対位置は、油圧ショベル100の諸元データから導出される既知データである。したがって、刃先位置センサ34は、上部旋回体2の絶対位置Pgと、上部旋回体2の回転軸AX3と刃先10との相対位置と、油圧ショベル100の諸元データとに基づいて、刃先10の絶対位置Pbを検出可能である。
【0037】
次に、本実施形態に係る油圧ショベル100の制御装置50及び表示システム60について説明する。
図4は、本実施形態に係る油圧ショベル100の一例を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、油圧ショベル100は、油圧ショベル100のオペレータに操作される操作入力装置40と、油圧ショベル100を制御する制御装置50と、表示システム60とを備える。
【0038】
制御装置50は、下部走行体3を制御する走行制御装置51と、上部旋回体2の旋回を制御する旋回制御装置52と、作業機1を制御する作業機制御装置53と、表示システム60を制御する表示制御装置54とを有する。
【0039】
操作入力装置40は、運転室4に配置される。操作入力装置40は、下部走行体3、上部旋回体2、及び作業機1を操作するための操作信号を生成する操作部41と、表示システム60を操作するための入力信号を生成する入力部42とを有する。
【0040】
操作部41は、オペレータに操作される走行操作部材、旋回操作部材、及び作業機操作部材を含む。走行操作部材、旋回操作部材、及び作業機操作部材は、ジョイスティック又は操作レバーを含む。走行操作部材が操作されることにより、下部走行体3を操作する走行操作信号が操作部41から出力される。旋回操作部材が操作されることにより、上部旋回体2を操作する旋回操作信号が操作部41から出力される。作業機操作部材が操作されることにより、作業機1を操作する作業機操作信号が操作部41から出力される。走行操作信号は、走行制御装置51に出力される。旋回制御信号は、旋回制御装置52に出力される。作業機操作信号は、作業機制御装置53に出力される。
【0041】
走行制御装置51は、クローラ7を駆動するための油圧モータを制御する。走行制御装置51は、走行操作信号に基づいて、クローラ7を駆動する。旋回制御装置52は、上部旋回体2を旋回させるための油圧モータを制御する。旋回制御装置52は、旋回操作信号に基づいて、上部旋回体2を旋回する。作業機制御装置53は、作業機1を駆動するための油圧シリンダ20を制御する。作業機制御装置53は、作業機操作信号に基づいて、作業機1を駆動する。
【0042】
入力部42は、オペレータに操作される入力ボタン、キーボード、及びタッチパネルのような入力デバイスを含む。入力部42が操作されることにより、表示システム60を操作する入力信号が入力部42から出力される。入力信号は、表示制御装置54に出力される。
【0043】
表示システム60は、表示制御装置54と、画像を表示可能な表示画面を有する表示部55とを有する。表示部55は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display)又は有機ELディスプレイ(organic electroluminescent display)のようなフラットパネルディスプレイを含む。表示部55は、例えば、運転室4に配置される。オペレータは、表示部55の表示画面を見ながら、操作入力装置40を操作可能である。なお、後述するように、油圧ショベル100を遠隔操作する場合などにおいては、少なくとも表示部55や操作入力装置40は油圧ショベル100から離れた遠隔地に設けられてもよい。
【0044】
表示制御装置54は、コンピュータシステムを含む。表示制御装置54は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサと、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のような記憶装置と、入出力インターフェース装置56(入出力部)とを有する。
【0045】
以下の説明において、絶対位置Pgは、現在位置Pgと適宜称して説明する。表示制御装置54は、作業機1を支持する上部旋回体2の現在位置Pgを示す車体位置データを取得する車体位置データ取得部61と、作業機1により処理される処理対象の処理位置Pcを示す処理位置データを保持する処理位置データ保持部62と、刃先10の現在位置Pbを示す刃先位置データを取得する刃先位置データ取得部63と、車体位置データに基づいて、特定位置Psを示す特定位置データを算出する特定位置算出部64と、を有する。
【0046】
また、表示制御装置54は、車体位置データに基づいて、上部旋回体2と下部走行体3を示す上面画像2Gを含む車体画像データを生成する車体画像データ生成部65と、処理位置データに基づいて、処理位置Pcを示す画像200を含む処理位置画像データを生成する処理位置画像データ生成部66と、特定位置データに基づいて、特定位置Psを示す画像300を含む特定位置画像データを生成する特定位置画像データ生成部67と、刃先位置データに基づいて、刃先10を示す画像400を含む刃先位置画像データを生成する刃先位置画像データ生成部68と、を有する。
【0047】
また、表示制御装置54は、表示部55の表示画面に表示させる画像を制御する表示制御部70を有する。
【0048】
また、表示制御装置54は、各種のデータを記憶する記憶部69を有する。本実施形態において、記憶部69は、少なくとも、油圧ショベル100の作業機1(バケット11、アーム12、ブーム13)や上部旋回体2、走行装置3等の諸元データを記憶する。
【0049】
表示制御装置54のプロセッサは、車両位置データ取得部61、処理位置データ保持部62、刃先位置データ取得部63、特定位置算出部64、車体画像データ生成部65、処理位置画像データ生成部66、特定位置画像データ生成部67、刃先位置画像データ生成部68、及び表示制御部70を含む。表示制御装置54の記憶装置は、記憶部69を含む。
【0050】
車体位置データ取得部61は、位置検出装置30から、入出力インターフェース装置56を介して、作業機1を支持する上部旋回体2の現在位置Pgを示す車体位置データを取得する。現在位置Pgは、グローバル座標系で規定される現在の絶対位置である。車体位置センサ31は、GPSアンテナ31Aの設置位置P1a及び設置位置P1bに基づいて、上部旋回体2の現在位置Pgを検出する。車体位置データ取得部61は、車体位置センサ31から、上部旋回体2の現在位置Pgを示す車体位置データを取得する。
【0051】
処理位置データ保持部62は、施工データ生成装置57から、入出力インターフェース装置56を介して、作業機1により処理される処理対象の処理位置Pcを示す処理位置データを取得して保持する。処理位置Pcは、グローバル座標系で規定される絶対位置である。施工データ生成装置57は、油圧ショベル100の外部に設けられた外部装置である。処理対象とは、作業機1によって施工される地面のような対象物をいう。作業機1による施工とは、作業機1による掘削、切土、押土、盛土、転圧及び整地の少なくとも一つを含む。なお、処理対象は、建築物でもよい。
【0052】
施工データ生成装置57は、例えば、油圧ショベル100の遠隔地に設けられる。施工データ生成装置57は、施工会社に設置される。施工データ生成装置57は、コンピュータシステムを含む。施工データ生成装置57は、施工エリアの目標形状である設計地形を示す設計地形データを生成する。設計地形データは、作業機1による施工後に得られる2次元又は3次元の目標形状を示す。処理位置Pcを示す処理位置データとは、設計地形データのうち、作業機1によって施工される処理位置Pcを示すデータである。入出力インターフェース装置56は、無線通信装置を含み、施工データ生成装置57と表示制御装置54とは無線通信可能である。施工データ生成装置57で生成された処理位置データを含む設計地形データは、無線で表示制御装置54に送信される。なお、施工データ生成装置57と入出力インターフェース装置56とを有線で接続し、施工データ生成装置57から入出力インターフェース装置56に設計地形データを送信するようにしてもよい。また、施工データ生成装置57は、設計地形データを記憶した記憶媒体を含み、入出力インターフェース装置56が、その記憶媒体から設計地形データを読み込むことが可能な読み込み装置であってもよい。処理位置データ保持部62は、施工データ生成装置57から、処理位置Pcを示す処理位置データを取得する。
【0053】
刃先位置データ取得部63は、刃先位置センサ34から、入出力インターフェース装置56を介して、刃先10の現在位置Pbを示す刃先位置データを取得する。現在位置Pbは、グローバル座標系で規定される現在の絶対位置である。刃先位置センサ34は、上部旋回体2の絶対位置Pgと、上部旋回体2の回転軸AX3と刃先10との相対位置と、油圧ショベル100の諸元データとに基づいて、刃先10の現在位置Pbを検出する。刃先位置データ取得部63は、刃先位置センサ34から、刃先10の現在位置Pbを示す刃先位置データを取得する。
【0054】
特定位置算出部64は、車体位置データ取得部61で取得された車体位置データに基づいて、上部旋回体2の現在位置Pgに対する相対位置が固定された特定位置Psを示す特定位置データを算出する。特定位置Psは、グローバル座標系で規定される絶対位置である。
図2及び
図3に示すように、本実施形態において、例えば、特定位置Psは、上部旋回体2の旋回軸RX上のいずれかの位置を含む。本実施形態において、特定位置Psは、旋回軸RXと上部旋回体2の下面との交点に設定される。特定位置データは、逐次算出されるため、油圧ショベル100の動きや姿勢に追従した正確な特定位置Psを求めることができる。
【0055】
現在位置Pgは、例えばGPSアンテナ31Aの設置位置P1に基づいて決定されるが、これに限定されない。特定位置Psは、例えば上部旋回体2の旋回軸RXに基づいて決定されるが、これに限定されない。
【0056】
現在位置Pgと特定位置Psとは離れている。現在位置Pgと特定位置Psとの相対位置は固定されている。現在位置Pgと特定位置Psとの相対位置は、油圧ショベル100の諸元データから導出される既知データである。特定位置算出部64は、車体位置データ取得部61で取得された現在位置Pgと、油圧ショベル100の諸元データとに基づいて、グローバル座標系で規定される特定位置Psを算出する。
【0057】
車体画像データ生成部65は、車体位置データ取得部61で取得された車体位置データに基づいて、上部旋回体2と下部走行体3を示す上面画像2G(以下、上部旋回体2の上面画像2Gと適宜称する)を含む車体画像データを生成する。車体画像データ生成部65は、上方から見た上部旋回体2のグラフィックデータ(上面画像)を生成する。油圧ショベル100の外形の大きさ及びデザインは既知データである。車体画像データ生成部65は、車体位置データに基づいて、上部旋回体2の上面画像2Gが上部旋回体2の現在位置Pgに配置されるように、上部旋回体2の上面画像2Gを生成する。なお、車体画像データや刃先位置画像データは、以下のように生成することができる。上部旋回体2の上面画像2G及び作業機1の上面画像1Gを含む油圧ショベル100の上面画像100Gについて、油圧ショベル100の上部旋回体2や作業機1(バケット11を含む)の設計寸法といった諸言データに基づく、例えば、ワイヤーフレームの3次元モデルデータを、予め所定の記憶部に記憶させておく。そこで、車体画像データ生成部65や刃先位置画像データ生成部68は、車体位置データ取得部61で取得された車体位置データや刃先位置データ取得部63で取得された刃先位置データ等に基づき、その3次元モデルデータを使って上面画像100Gを生成することができる。なお、車体画像データや刃先位置画像データは、指標マーク300や指標マーク400を含むグラフィックデータとして予め所定の記憶部に記憶させておき、車体位置データや刃先位置データに基づき、そのグラフィックデータの表示位置を変えて表示するようにしてもよい。この場合、特定位置Psを特定位置算出部64により逐次算出せずに、表示制御装置54は、車体位置データと処理位置データとの相対位置関係に応じて、指標マーク300を含むグラフィックデータを表示部55の表示画面に表示する。
【0058】
処理位置画像データ生成部66は、処理位置データ保持部62で取得された処理位置データに基づいて、処理対象の処理位置Pcを示す画像200を含む処理位置画像データを生成する。処理位置画像データ生成部66は、上方から見た処理対象のグラフィックデータ(上面画像)及び上方から見た処理位置Pcを示すグラフィックデータ(上面画像)を生成する。処理位置Pcは、グローバル座標系で規定される絶対位置である。処理位置画像データ生成部66は、処理位置データに基づいて、処理位置Pcを示す画像200を生成する。本実施形態において、本実施形態において、処理位置Pcを示す画像200は、処理位置Pcと重なるように表示されるガイドライン200を含む。
【0059】
特定位置画像データ生成部67は、特定位置算出部64で算出された特定位置データに基づいて、特定位置Psを示す画像300を含む特定位置画像データを生成する。特定位置画像データ生成部67は、上方から見た特定位置Psのグラフィックデータを生成する。上述のように、特定位置Psは、グローバル座標系で規定される絶対位置である。特定位置画像データ生成部67は、特定位置データに基づいて、特定位置Psの上面画像を生成する。本実施形態において、特定位置Psを示す画像300は、特定位置Psと重なるように表示される指標マーク300を含む。
【0060】
刃先位置画像データ生成部68は、刃先位置データ取得部63で取得された刃先位置データに基づいて、刃先10を示す画像及び刃先10の現在位置Pbを示す画像400を含む刃先位置画像データを生成する。刃先位置画像データ生成部68は、上方から見た刃先10のグラフィックデータ(上面画像)及び上方から見た刃先10の現在位置Pbを示すグラフィックデータ(上面画像)を生成する。刃先10の現在位置Pbは、グローバル座標系で規定される絶対位置である。刃先位置画像データ生成部68は、刃先位置データに基づいて、刃先10を示す画像及び刃先10の現在位置Pbを示す画像400を生成する。本実施形態において、刃先10の現在位置Pbを示す画像400は、刃先10と重なるように表示される指標マーク400を含む。
【0061】
また、刃先位置画像データ生成部68は、刃先10のグラフィックデータのみならず、バケット11、アーム12、及びブーム13を含む作業機1のグラフィックデータ(上面画像)も生成する。すなわち、車体画像データ生成部65及び刃先位置画像データ生成部68により、上部旋回体2の上面画像2G及び作業機1の上面画像1Gを含む油圧ショベル100の上面画像100Gが生成される。上面画像1Gは、バケット11の画像を含み、バケット11の動きに対して変化する、上面からみたバケット11の見え方に応じて、バケット11の画像は変化する。また、上面画像1Gは、作業機1の動きに対して変化する、上面から見た作業機1の見え方に応じて、作業機1の画像も変化する。
【0062】
表示制御部70は、表示部55の表示画面に表示させる画像を制御する。表示制御部70は、処理位置データと特定位置データとに基づいて、処理位置Pcを示す画像200及び特定位置Psを示す画像300を表示部55に表示させる。
【0063】
また、表示制御部70は、上部旋回体2を示す上面画像2Gを、処理位置Pcを示す画像200及び特定位置Psを示す画像300と一緒に表示部55の表示画面に表示させる。また、表示制御部70は、上部旋回体2を示す上面画像2Gと特定位置Psを示す画像300と重ねて表示部55の表示画面に表示させる。
【0064】
また、表示制御部70は、刃先10の現在位置Pbを示す画像400を、処理位置Pcを示す画像200及び特定位置Psを示す画像300と一緒に表示部55の表示画面に表示させる。
【0065】
次に、本実施形態に係る表示システム60の表示部55による画像の表示例について説明する。
図5は、本実施形態に係る表示部55の表示画面の一例を示す図である。以下の説明においては、油圧ショベル100を用いて施工エリア(処理対象)に対して情報化施工する例について説明する。情報化施工とは、調査、設計、施工、監督、検査、及び維持管理を含む建設工程のうち、施工に注目して、各工程から得られる電子情報を活用して、ICT(Information and Communication Technology)により高効率及び高精度な施工を実現するシステムである。また、施工で得られる電子情報が他の工程に活用されることにより、建設工程全体の生産性向上及び品質確保が図られる。油圧ショベル100は、情報化施工を実施可能であり、作業機1の動きを自動的に制御する。油圧ショベル100は、施工データ生成装置57から供給された、施工エリアの目標地形を示す設計地形データに基づいて、作業機1を用いて、現況地形を目標地形に施工する。処理対象とは、目標地形に対して施工する前の地形あるいは、目標地形に対して所定の段階まで施工が進んだ地形とを含む。
【0066】
以下の説明においては、目標地形が地面に形成される溝CHであることとする。すなわち、作業機1による処理対象は、地面に形成される溝CHであり、処理位置Pcは、溝CHの位置である。溝CHは、特定の幅を有し、特定の深さを有するとともに、所定方向に長さを有して延在する。処理位置Pcは、少なくとも、作業機1によって施工される溝CHの幅方向における中心部の位置、及び溝CHの幅方向における両端部の位置を含む。
【0067】
処理位置画像データ生成部66は、処理位置データに基づいて、処理位置Pcを示す画像200を含む処理位置画像データを生成する。
図5に示すように、表示制御部70は、油圧ショベル100の諸元データに基づいて、油圧ショベル100を側方から見たグラフィックデータを表示部55に表示させる。また、表示制御部70は、目標地形である溝CHを示す設計地形データの3次元画像を表示部55に表示させる。
【0068】
作業機1によって施工される処理位置Pcは、溝CHの幅方向における中心部及び溝CHの幅方向における両端部を含む。処理位置画像データ生成部66は、処理位置データに基づいて、溝CHの幅方向における中心部を示す画像201、及び溝CHの両端部を示す画像202を生成する。
図5に示すように、処理位置Pcを示す画像200は、処理位置Pcと重なるように表示されるガイドライン200を含む。ガイドライン200は、処理位置Pcである溝CHの少なくとも一部と重なるように表示される。ガイドライン200は、溝CHの底部にあって、溝CHの幅方向における中心部と重なるように表示されるセンターガイドライン201と、溝CHの両端部(溝CHの両側の上端部)と重なるように表示されるエッジガイドライン202とを含む。なお、処理位置Pcを示す画像200は、溝CHの底部や両端部がラインではなく色分けされて表示されてもよい。
【0069】
図6は、表示部55の表示画面の一例を示す図である。特定位置画像データ生成部67は、特定位置データに基づいて、特定位置Psを示す画像300を含む特定位置画像データを生成する。車体画像データ生成部65は、前述のように、車体位置データ及び油圧ショベル100の諸元データに基づいて、上部旋回体2を示す上面画像2Gを含む車体画像データを生成する。
【0070】
本実施形態において、特定位置Psは、上部旋回体2の旋回軸RXに設定される。
図6に示すように、特定位置Psを示す画像300は、特定位置Psである旋回軸RXと重なるように表示される指標マーク300を含む。指標マーク300は、例えば、十字マーク(cross shaped mark)である。
【0071】
図6に示すように、表示制御部70は、ガイドライン200を含む処理位置Pcを示す画像及び指標マーク300を含む特定位置Psを示す画像を、表示部55の表示画面に一緒に表示させる。表示制御部70は、指標マーク300の中心と特定位置Psとが一致するように、指標マーク300を表示させる。処理位置Pcを示す画像であるガイドライン200、及び特定位置Psを示す画像である指標マーク300は、グローバル座標系で規定される絶対位置を示す。表示部55の表示画面を見たオペレータは、グローバル座標系で規定される溝CHと上部旋回体2との相対位置を、視覚を通じて認識することができる。
【0072】
また、
図6に示すように、表示制御部70は、上部旋回体2を示す上面画像2Gを、処理位置Pcを示す画像200及び特定位置Psを示す画像300と一緒に、表示部55の表示画面に表示させる。表示制御部70は、上部旋回体2を示す上面画像2Gと特定位置Psを示す画像300と重ねて表示部55の表示画面に表示させる。上面画像2Gの外形及びデザインは、例えば、油圧ショベル100の諸元データを反映して表示されたものである。上面画像2Gの外形の位置は、グローバル座標系で規定される絶対位置を示す。表示部55の表示画面を見たオペレータは、グローバル座標系で規定される溝CHと上部旋回体2との相対位置のみならず、溝CHと上部旋回体2の外形との位置関係、及び溝CHと上部旋回体2との大小関係も、視覚を通じて認識することができる。なお、表示制御部70は、画像200と画像300の両者だけを一緒に、表示部55の表示画面に表示させてもよい。このような表示によっても、オペレータは、溝CHの幅方向の中心部と上部旋回体2との相対位置を視覚を通じて認識することができる。
【0073】
また、刃先位置画像データ生成部68は、刃先位置データに基づいて、刃先10の現在位置Pbを示す画像400を含む刃先位置画像データを生成する。刃先10の現在位置Pbは、車幅方向の刃先10の中心部を含む。
図6に示すように、刃先10の現在位置Pbを示す画像400は、刃先10と重なるように表示される指標マーク400を含む。指標マーク400は、例えば、十字マーク(cross shaped mark)である。
【0074】
また、刃先位置画像データ生成部68は、刃先位置データ及び油圧ショベル100の諸元データに基づいて、作業機1を示す上面画像1Gを含む作業機画像データを生成する。上面画像2G及び上面画像1Gにより、油圧ショベル100の上面画像100Gが生成される。
【0075】
図6に示すように、表示制御部70は、指標マーク400を含む刃先10の現在位置Pbを示す画像を、ガイドライン200を含む処理位置Pcを示す画像、指標マーク300を含む特定位置Psを示す画像、上面画像2Gを含む上部旋回体2を示す画像、及び上面画像1Gを含む作業機1を示す画像と一緒に、表示部55の表示画面に表示させる。表示制御部70は、指標マーク400の中心と刃先10の現在位置Pb(車幅方向の刃先10の中心部の位置)とが一致するように、指標マーク400を表示させる。刃先10の現在位置Pbを示す画像である指標マーク400も、ガイドライン200及び指標マーク300と同様、グローバル座標系で規定される絶対位置を示す。表示部55の表示画面を見たオペレータは、グローバル座標系で規定される溝CHと上部旋回体2と刃先10との相対位置を、視覚を通じて認識することができる。なお、作業機1を示す上面画像1G、上部旋回体2を示す上面画像2G、油圧ショベル100の上面画像100Gは、少なくとも作業機1等の外形が認識できるように、例えば単純な矩形で表された画像で表示されるようにしてもよい。
【0076】
次に、
図7、
図8、及び
図9を参照して、表示システム60の使用例について説明する。
図7に示すように、表示部55の表示画面に、処理対象である溝CHを示す上面画像と、上部旋回体2を示す上面画像2G及び作業機1を示す上面画像1Gを含む油圧ショベル100の上面画像100Gとが同時に表示される。溝CHを示す上面画像、及び油圧ショベル100を示す上面画像100Gは、グローバル座標系で規定される絶対位置を示す。油圧ショベル100のオペレータは、表示部55の表示画面を見ることにより、溝CHと油圧ショベル100との相対位置を視覚を通じて認識することができる。
【0077】
図7に示す状態において、溝CHと油圧ショベル100とは離れている。溝CHから離れた状態では、油圧ショベル100は、作業機1を用いて溝CHを施工することができない。
【0078】
したがって、オペレータは、油圧ショベル100の作業機1で溝CHを施工するために、表示部55の表示画面を見ながら、操作部41を操作して、油圧ショベル100を溝CHに移動させるための操作を実施する。すなわち、上部旋回体2を旋回させるだけでは、溝CHを施工させることができない位置に油圧ショベル100があるならば、オペレータは、作業機1で溝CHを施工可能な目標位置に油圧ショベル100が配置されるように、表示部55の表示画面を見ながら、操作部41の走行操作部材を操作して、下部走行体3を駆動する。
【0079】
下部走行体3が駆動され、油圧ショベル100が移動すると、油圧ショベル100の移動に伴って、表示部55の表示画面に表示される上面画像100Gは移動せず、背景(画像200)が移動する。ここで、油圧ショベル100の移動に伴って、表示部55の表示画面に表示される上面画像100Gが移動し、背景(画像200)は移動しないようにしてもよい。位置検出装置30の車体位置センサ31は、上部旋回体2(油圧ショベル100)の現在位置Pgを監視し続ける。車体位置データ取得部61は、上部旋回体2の現在位置Pgを示す車体位置データを取得し続ける。したがって、車体画像データ生成部65は、車体位置データに基づいて、上部旋回体2の移動と同期して、油圧ショベル100の上面画像100Gを表示画面において移動させるための車体画像データを生成可能である。表示制御部70は、上部旋回体2の移動と同期して、油圧ショベル100の上面画像100Gを表示画面において移動させることができる。
【0080】
また、上部旋回体2が旋回すると、上部旋回体2の旋回に伴って、表示部55の表示画面に表示される作業機1の上面画像1Gも回転する。位置検出装置30の刃先位置センサ34は、刃先10の現在位置Pbを監視し続ける。刃先位置データ取得部68は、刃先10の現在位置Pbを示す刃先位置データを取得し続ける。したがって、刃先位置画像データ生成部68は、刃先位置データに基づいて、上部旋回体2の旋回や上述のような油圧ショベル100の移動と同期して、作業機1の上面画像1Gを表示画面において移動や回転させるための刃先画像データを生成可能である。表示制御部70は、上部旋回体2の旋回や油圧ショベル100の移動と同期して、作業機1の上面画像1Gを表示画面において移動や回転させることができる。
【0081】
図8は、
図7に示す位置から油圧ショベル100が移動したときの表示部55の表示画面を示す図である。作業機1で溝CHを形成可能な油圧ショベル100の目標位置とは、溝CHの中心部(センターガイドライン201)と、上部旋回体2の特定位置Ps(旋回軸RX)とが一致する油圧ショベル100の絶対位置である。油圧ショベル100のオペレータは、表示部55の表示画面を見ながら、センターガイドライン201と指標マーク300とが一致するように、操作部41の走行操作部材を操作して、下部走行体3を駆動する。上述のように、オペレータは、センターガイドライン201と指標マーク300の中心とが一致するように油圧ショベル100を移動させてもよいが、センターガイドライン201と指標マーク300の十字マークを構成する各線とが重なるように油圧ショベル100を移動させてもよい。
【0082】
本実施形態においては、処理位置Pcを示す画像であるガイドライン200と、上部旋回体2の特定位置Psを示す画像である指標マーク300とが表示部55の表示画面に同時に表示される。そのため、油圧ショベル100を処理対象である溝CHに移動させるとき、オペレータは、表示部55の表示画面を見ながら、溝CHとその溝CHに移動する油圧ショベル100との位置合わせを円滑に実施することができる。なお、本実施形態において、溝CHと油圧ショベル100との位置合わせは、溝CHの底部における幅方向の中心部と油圧ショベル100の旋回軸RXとを一致させることである。
【0083】
図8に示すように、旋回軸RXを示す指標マーク300の中心(例えば、十字マークを構成する各線の交点)と溝CHの中心部を示すセンターガイドライン201とが一致した後、オペレータは、作業機1で溝CHが形成されるように、操作部41の旋回操作部材を操作して、下部走行体3の駆動を停止した状態で、下部走行体3に対して上部旋回体2を旋回させる。もちろん、旋回軸RXを示す指標マーク300の中心(例えば、十字マークを構成する各線の交点)と溝CHの中心部を示すセンターガイドライン201とが一致した状態で、バケット11の刃先10の中心部の位置とセンターガイドライン201の位置とが一致しているのであれば、上部旋回体2を旋回せずに、そのまま溝CHを形成することができる場合もある。
【0084】
図9は、
図8に示す位置から上部旋回体2が旋回したときの表示部55の表示画面を示す図である。上部旋回体2が旋回すると、上部旋回体2の旋回に伴って、表示部55の表示画面に表示される、上部旋回体2と下部走行体3を示した上面画像2Gも旋回する。位置検出装置30の方位センサ33は、グローバル座標系で規定される上部旋回体2の方位を監視し続ける。車体位置データ取得部61は、上部旋回体2の現在の方位を示す車体方位データを取得し続ける。したがって、車体画像データ生成部65は、車体方位データに基づいて、上部旋回体2の旋回と同期して、上部旋回体2の上面画像2Gを表示画面において旋回させるための車体画像データを生成可能である。表示制御部70は、上部旋回体2の旋回と同期して、上部旋回体2の上面画像2Gを表示画面において旋回させる。この場合、上部旋回体2が旋回しても、上面画像2Gの走行装置3の部分は旋回しないように表示してもよい。例えば、上部旋回体2と走行装置3の相対位置関係を検出するための旋回位置検出装置を設けることで、上面画像2Gの上部旋回体2の部分と走行装置3の部分とを実際の位置に応じて表示することができる。
【0085】
また、上部旋回体2が旋回すると、上部旋回体2の旋回に伴って、表示部55の表示画面に表示される作業機1の上面画像1Gも旋回する。位置検出装置30の刃先位置センサ34は、グローバル座標系で規定される刃先10の現在位置Pbを監視し続ける。車体位置データ取得部61は、刃先10の現在位置Pbを示す刃先位置データを取得し続ける。したがって、刃先画像データ生成部68は、刃先位置データに基づいて、上部旋回体2の旋回と同期して、作業機1の上面画像1Gを表示画面において旋回させるための刃先位置画像データを生成可能である。表示制御部70は、上部旋回体2の旋回と同期して、作業機1の上面画像1Gを表示画面において旋回させることができる。
【0086】
溝CHの中心部を示すセンターガイドライン201と、上部旋回体2の旋回軸RXを示す指標マーク300とが一致した状態で、上部旋回体2が旋回することにより、
図9に示すように、溝CHの中心部を示すセンターガイドライン201と、刃先10の中心部を示す指標マーク400とが一致する。すなわち、溝CHの中心部を示すセンターガイドライン201と、上部旋回体2の旋回軸RXを示す指標マーク300とが一致した状態で、上部旋回体2が旋回することにより、溝CHの中心部と、車幅方向に関するバケット11の刃先10の中心部とが合致する。これにより、溝CHの幅方向における中心部とバケット11の刃先10の中心部とが合致された状態で、溝CHを形成するための掘削処理を開始することができる。
【0087】
以上説明したように、本実施形態によれば、作業機1によって処理される処理対象の処理位置Pcを示す画像200及び特定位置Psを示す画像300が表示システム60の表示画面に表示されるので、オペレータは、表示画面を見ながら、操作部41を操作することにより、処理対象とその処理対象に移動する油圧ショベル100とを円滑に位置合わせすることができる。
【0088】
また、本実施形態においては、上部旋回体2を示す上面画像2Gが、処理位置Pcを示す画像200及び特定位置Psを示す画像300と一緒に表示画面に表示される。そのため、オペレータは、視覚を通じて、処理位置Pcと特定位置Psと上部旋回体2との位置関係を認識することができる。
【0089】
また、本実施形態によれば、上部旋回体2を示す上面画像2Gと特定位置Psを示す画像300とが重ねて表示画面に表示される。そのため、オペレータは、画像300と重ねられた上面画像2Gを見ながら、処理位置Pcと特定位置Psとを位置合わせするための操作を円滑に実施することができる。
【0090】
また、本実施形態によれば、刃先10の現在位置Pbを示す画像400が、処理位置Pcを示す画像200及び特定位置Psを示す画像300と一緒に表示画面に表示される。そのため、オペレータは、視覚を通じて、処理位置Pcと特定位置Psと刃先10との位置関係を認識することができる。
【0091】
また、本実施形態によれば、刃先10の現在位置Pbとして、回転軸AX1の軸方向(車幅方向)における刃先10の中心部が表示される。そのため、オペレータは、視覚を通じて、刃先10の中心部と処理位置Pcと特定位置Psとの位置関係を認識することができる。
【0092】
また、本実施形態によれば、特定位置Psは、上部旋回体2の旋回軸RXを含む。そのため、
図8及び
図9を参照して説明したように、処理位置Pcを示す画像201と特定位置Psを示す画像300とを合致させた後、上部旋回体2を旋回させることにより、処理対象である溝CHと刃先10を有するバケット11とは精度良く位置合わせされる。
【0093】
また、本実施形態によれば、処理位置Pcとして、作業機1により施工される溝CHの幅方向における中心部が表示される。そのため、オペレータは、視覚を通じて、溝CHの幅方向における中心部と処理位置Pcと特定位置Psとの位置関係を認識することができる。
【0094】
また、本実施形態によれば、特定位置Psを示す画像300は、特定位置Psと重なるように表示される指標マーク300を含む。これにより、オペレータは、視覚を通じて、特定位置Psを円滑に認識することができる。
【0095】
また、本実施形態によれば、処理位置Pcを示す画像は、処理位置Pcと重なるように表示されるガイドライン200を含む。これにより、オペレータは、視覚を通じて、処理位置Pcを円滑に認識することができる。
【0096】
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態の構成要素と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0097】
図10は、本実施形態に係る表示システムの一例を示し、特に、上部旋回体2を示す上面画像2G及び作業機1を示す上面画像1Gを含む油圧ショベル100を示す上面画像100Gの一例を示す図である。
図10に示すように、上面画像100Gが、油圧ショベル100の複数の構成部材それぞれの外形を示すワイヤーフレーム方式で表示されてもよい。ワイヤーフレーム方式において、複数のワイヤーの間の油圧ショベル100の画像は透明(塗りつぶしなし)である。上面画像100Gを介して、処理対象である地面及び溝CHを示す画像が表示される。すなわち、上面画像100Gが重なる部分においても、ガイドライン200(201,202)を視認することができる。これにより、オペレータは、表示部55の表示画面を見ながら、指標マーク300とセンターガイドライン201とを容易に合致させることができる。
【0098】
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態の構成要素と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0099】
図11は、本実施形態に係る表示システムの一例を示し、特に、油圧ショベル100を示す上面画像100Gの一例を示す図である。
図11に示すように、上面画像100Gのうち、少なくとも油圧ショベル100の外形輪郭線が破線あるいは実線にて表示され、その他の部分が透明表示あるいは半透明表示されてもよい。なお、外形輪郭線を表示せずに、上面画像100Gを半透明表示してもよい。半透明表示を行う場合、油圧ショベル100を示す画像は薄い色で塗られている。つまり、油圧ショベル100の外形がわかるような表示形態にて上面画像100Gが表示されればよい。これらのような場合においても、上面画像100Gが重なる部分において、ガイドライン200(201,202)を視認することができるので、オペレータは、表示部55の表示画面を見ながら、指標マーク300とセンターガイドライン201とを容易に合致させることができる。
【0100】
<第4実施形態>
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態の構成要素と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0101】
本実施形態においては、特定位置Psの設定方法の変形例について説明する。
図12は、本実施形態に係る特定位置Psの設定方法の一例を示す模式図である。上述の実施形態においては、特定位置Psが、旋回軸RXと上部旋回体2の下面との交点であることとした。
図12に示すように、特定位置Psが、下部走行体3の接地面CFを含む平面と旋回軸RXとの交点に設定されてもよい。
【0102】
図2及び
図3に示したように、油圧ショベル100の施工エリアの地面の状況によっては、
図2に示したように、油圧ショベル100が前後方向に傾斜(ピッチング)したり、車幅方向に傾斜(ローリング)したりする可能性がある。その結果、旋回軸RXは、水平面(XgYg平面)に対して傾斜する。特定位置Psが上部旋回体2に設定された場合、油圧ショベル100の傾斜に伴って旋回軸RXが傾斜すると、XgYg平面内において特定位置Psが変動する。
【0103】
本実施形態においては、
図12に示すように、下部走行体3の接地面CFを含む平面と旋回軸RXとの交点に特定位置Psが設定される。すなわち、特定位置Psは、下部走行体3が走行する地面と旋回軸RXとの交点に設定される。下部走行体3の接地面CFを含む平面の傾斜は、姿勢検出センサ32によって検出される。設置位置P1と実質的に等しい高さの旋回軸RXの現在位置は、車体位置センサ31によって検出される上部旋回体2の現在位置Pgから導出される。設置位置P1と実質的に等しい高さの旋回軸RXの現在位置から下部走行体3の接地面CFまでの旋回軸RXと平行な方向の距離は、油圧ショベル100の諸元データから導出される既知データである。したがって、特定位置算出部64は、車体位置センサ31の検出結果と姿勢検出センサ32の検出結果と記憶部69に記憶されている油圧ショベル100の諸元データとに基づいて、下部走行体3の接地面CFを含む平面と旋回軸RXとの交点の絶対位置を特定位置Psとして算出することができる。
【0104】
なお、上述の第1実施形態から第4実施形態においては、旋回軸RXを示す指標マーク300と、溝CHの幅方向における中心部を示すセンターガイドライン201と、溝CHの幅方向における両端部(溝幅)を示すエッジガイドライン202と、刃先10の幅方向における中心部を示す指標マーク400とが同時に表示される例について説明した。処理対象が溝でない場合であっても、表示部55には、施工の処理位置を示す画像と特定位置を示す画像とが同時に表示されればよい。
【0105】
処理対象が溝である場合には、例えば、旋回軸RXを示す指標マーク300と溝CHの幅方向における両端部(溝幅)を示すエッジガイドライン202とが表示され、溝CHの幅方向における中心部を示すセンターガイドライン201と刃先10の幅方向における中心部を示す指標マーク400との表示が省略されてもよい。この場合においても、オペレータは、油圧ショベル100を溝CHの目標位置に進入させるときの油圧ショベル100の位置合わせを円滑に実施することができる。
【0106】
旋回軸RXを示す指標マーク300と溝CHの幅方向における中心部を示すセンターガイドライン201とが表示され、溝CHの幅方向における両端部(溝幅)を示すエッジガイドライン202と刃先10の幅方向における中心部を示す指標マーク400との表示が省略されてもよい。この場合においても、オペレータは、油圧ショベル100を溝CHの目標位置に進入させるときの油圧ショベル100の位置合わせを円滑に実施することができる。
【0107】
旋回軸RXを示す指標マーク300と溝CHの幅方向における中心部を示すセンターガイドライン201と溝CHの幅方向における両端部(溝幅)を示すエッジガイドライン202とが表示され、刃先10の中心部を示す指標マーク400が表示されなくてもよい。
【0108】
旋回軸RXを示す指標マーク300と溝CHの幅方向における両端部(溝幅)を示すエッジガイドライン202と刃先10の幅方向における中心部を示す指標マーク400とが表示され、溝CHの幅方向における中心部を示すセンターガイドライン201が表示されなくてもよい。
【0109】
旋回軸RXを示す指標マーク300と溝CHの幅方向における中心部を示すセンターガイドライン201と刃先10の幅方向における中心部を示す指標マーク400とが表示され、溝CHの幅方向における両端部(溝幅)を示すエッジガイドライン202が表示されなくてもよい。
【0110】
なお、上述の各実施形態においては、指標マーク300が旋回軸RXに配置されるように表示される例について説明した。これにより、指標マーク300とセンターガイドライン201とを一致させた後、上部旋回体2を旋回させることにより、刃先10の幅方向における中心部と溝CHの幅方向における中心部とを合致させることができる。なお、回転軸AX3の軸方向である車幅方向に関して、刃先10の幅方向における中心部の位置と旋回軸RXの車幅方向における位置とが異なる場合がある。しかし、車幅方向に関する刃先10の中心部の位置と旋回軸RXの車幅方向における位置との距離は、例えば、数cm以下である場合が多い。このように、刃先10の幅方向における中心部の位置と旋回軸RXの車幅方向における位置との距離が小さいため、指標マーク300とセンターガイドライン201とを一致させれば、刃先10の中心部と溝CHの中心部とを実質的に合致させることができる。
【0111】
なお、指標マーク300の位置は、旋回軸RX上に限定するものではなく、旋回軸RXに対して車幅方向又は前後方向にずれた位置であってもよい。例えば、指標マーク300の車幅方向の位置については、車幅方向に関して旋回軸RXと刃先10の幅方向における中心部との間の位置でもよいし、刃先10あるいは作業機1の幅方向における中心部と一致する位置でもよい。また、指標マーク300の前後方向の位置については、例えば車幅方向における中心位置に相当する位置であればよく、旋回軸RXの位置でもよいし、回転軸AX3の位置でもよいし、旋回軸RXと回転軸AX3との間の位置でもよい。このように指標マーク300が表示される場合、車体2の特定位置を示す画像である指標マーク300の位置は、少なくとも車体2(上面画像2Gの上)のいずれかの位置にあればよい。
【0112】
また、指標マーク400の位置は、
図6などに示すように刃先10の位置であって刃先10の幅方向の中心部に表示されることに限定するものではない。指標マーク400の位置は、幅方向の中心部であればよく、刃先10の位置とは異なる位置でもよい。このように指標マーク400の位置は、バケット11の上あるいはバケット11の近傍の位置にあればよい。
【0113】
また、特定位置Psは、旋回軸RXに基づいて設定されてもよいし、回転軸AX3の軸方向(車体幅方向)であって上部旋回体2の特定位置に設定されてもよい。例えば、特定位置Psが、回転軸AX3の軸方向(車体幅方向)であって上部旋回体2の中心部を含んでもよい。すなわち、指標マーク300が、車幅方向の上部旋回体2の中心部と一致するように表示されてもよい。
【0114】
なお、上述の各実施形態においては、指標マーク300や指標マーク400が十字マークであることした。十字マークを構成する各線は、実線でもよいし破線でもよい。また、指標マーク300や指標マーク400は、丸マーク(round-shaped mark)でもよいし、点マーク(point-shaped mark)でもよい。また、指標マーク300や指標マーク400は、マークとして表示するものに限らず、表示したい部分の色彩を周囲の色彩と異なるように表示させるものであってもよい。
【0115】
なお、上述の各実施形態においては、操作入力装置40及び表示システム60が油圧ショベル100に設けられることとした。表示部55を含む表示システム60及び操作入力装置40は、上部旋回体2の外部にあってもよい。例えば、操作入力装置40及び、表示システム60の少なくとも表示部55と入出力部56とが、油圧ショベル100に対して遠隔地に配置されてもよい。すなわち、油圧ショベル100が、遠隔地に設けられた操作入力装置40によって、遠隔操作されてもよい。
図13は、遠隔操作室1000から油圧ショベル100が遠隔操作される方法の一例を説明するための図である。遠隔操作室1000は、油圧ショベル100の遠隔地に設けられている。遠隔操作室1000と油圧ショベル100とは、通信装置を介して無線通信可能である。
図13に示すように、遠隔操作室1000には、表示部55及びモニタ部1400を有する表示システム60と、運転席4Sと、油圧ショベル100を遠隔操作するための操作入力装置40とが設けられる。
【0116】
遠隔操作室1000に設けられている操作入力装置40は、遠隔地に存在する油圧ショベル100の下部走行体3、上部旋回体2、及び作業機1を操作するための操作信号を生成する操作部41と、表示システム60を操作するための入力信号を生成する入力部42とを有する。
【0117】
操作部41は、右作業レバー410Rと、左作業レバー410Lと、右走行レバー412Rと、左走行レバー412Lとを含む。操作部41が操作されると、その操作方向及び操作量に基づいて、操作信号が油圧ショベル100に無線送信される。これにより、油圧ショベル100は遠隔操作される。本実施形態においては、中立位置にある右作業レバー410Rを前方に傾倒させるとブーム13が下げ動作し後方に傾倒させるとブーム13が上げ動作する。中立位置にある右作業レバー410Rを右方に傾倒させるとバケット11がダンプ動作し左方に傾倒させるとバケット11が掻き込み動作する。
【0118】
中立位置にある左作業レバー410Lを右方に傾倒させると上部旋回体2が右旋回し左方に傾倒させると上部旋回体2が左旋回する。中立位置にある左作業レバー410Lを後方に傾倒させるとアーム12が掻き込み動作し前方に傾倒させるとアーム12が伸ばし動作する。なお、操作部41の傾倒方向と作業機1あるいは上部旋回体2の動作方向との関係は、以上に述べたような関係でなくてもよい。
【0119】
中立位置にある右走行レバー412Rを前方に傾倒させると右方のクローラ7が前進動作し後方に傾倒させると右方のクローラ7が後進動作する。中立位置にある左走行レバー412Lを前方に傾倒させると左方のクローラ7が前進動作し後方に傾倒させると左方のクローラ7が後進動作する。
【0120】
入力部42は、遠隔操作室1000のオペレータに操作される入力ボタン、キーボード、及びタッチパネルのような入力デバイスを含む。入力部42が操作されることにより、表示システム60を操作する入力信号が入力部42から出力される。
【0121】
表示部55は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display)又は有機ELディスプレイ(organic electroluminescent display)のようなフラットパネルディスプレイを含む。遠隔操作室1000のオペレータは、表示部55の表示画面を見ながら、操作入力装置40を操作可能である。
【0122】
遠隔地に居るオペレータは、遠隔地に配置されている表示システム60の表示部55を見ながら、操作入力装置40を操作して、制御装置50を制御して、油圧ショベル100の下部走行体3の走行、上部旋回体2の旋回、及び作業機1の作業を制御することができる。この場合、油圧ショベル100に設けられている車体位置センサ31、姿勢検出センサ32、方位センサ33、及び刃先位置センサ34の検出結果は、無線通信により、遠隔地に配置されている表示システム60の入出力部56に送信される。遠隔地に配置されている入出力部56は、例えば、車体位置センサ31から供給された車体位置データと、施工データ生成装置57で生成された処理位置データとに基づいて、遠隔地に配置されている表示部55の表示画面に、処理位置の画像及び特定位置の画像を表示させることができる。また、操作部41の操作信号は、無線通信により、油圧ショベル100に設けられている走行制御装置51、旋回制御装置52、及び作業機制御装置53に供給される。遠隔地に居るオペレータは、遠隔地に配置されている表示部55の表示画面を見ながら操作部41を操作することができる。
【0123】
図14は、携帯端末装置2000によって油圧ショベル100が遠隔操作される方法を示す図である。携帯端末装置2000は、表示部55を有する表示システム60と、油圧ショベル100を遠隔操作する操作入力装置40とを有する。
【0124】
なお、上述の各実施形態においては、建設機械が油圧ショベル100である例について説明した。建設機械は、
図15に示すような、ブルドーザ100Bでもよい。油圧ショベル100と同様、ブルドーザ100Bも、作業機1Bを支持する車体2Bと、運転室4Bと、車体2を支持して走行する走行装置3Bとを有する。作業機1Bは、刃先10Bを有する作業部材であるブレード11Bと、ブレード11Bと車体2Bとを連結する連結部材であるアーム12Bとを有する。作業機1Bは、油圧シリンダ20Bにより駆動される。ブレード11Bは、回転軸AX3Bを中心に上下に方向に動くようにアーム12Bに支持される。作業機1Bのアーム12Bは、回転軸AX3Bに設けた接続部材によって車体2Bに支持される。建設機械がブルドーザ100Bの場合、特定位置Psは、例えば、回転軸AX3Bの軸方向である車体2Bの車幅方向の中心部に設定される。
【0125】
なお、上述の各実施形態においては、溝CHを示す設計地形データに基づいて施工が実施される情報化施工である例について説明した。溝CHが既に途中まで形成されている実際の溝であっても、その溝を処理対象として形成途中の溝CHを示す設計地形データを用いて、上述の表示システム60を適用することができる。
【0126】
なお、上述の各実施形態においては、施工現場の施工エリアにおいて作業機1により施工される処理対象である地面の溝CHに進入する例について説明した。すなわち、処理対象が、作業機1によって施工される地面のような対象物であることとした。処理対象が、以下のような運搬車両やトレーラ、駐機場、整備場等の場合であって、これらの位置(処理位置Pc)を示すデータを用いて、上述の実施形態で説明した表示システム60を使うことで効率的な作業を行うことができる。このような場合、表示システム60の刃先位置データ取得部63や刃先位置画像データ生成部68は無くてもよい。
【0127】
例えば、建設機械の作業機を使って、ダンプトラックのような運搬車両に荷物を積載するとき、上述の実施形態で説明した表示システム60を使うことにより、建設機械と処理対象である運搬車両との位置合わせを精度良く行うことができる。また、建設機械を遠方に移動させるとき、建設機械をトレーラに載せることがあるが、上述の実施形態で説明した表示システム60を使うことで、建設機械をトレーラの荷台に適切に載せることができる。つまり、建設機械のオペレータは、表示システム60を見ながら、建設機械と処理対象であるトレーラとの位置合わせを精度良く行いながら建設機械をトレーラに載せることができる。
【0128】
また、建設機械を予め決められた駐機場に移動して建設機械を駐機場の特定の設置位置に配置させるとき、上述の実施形態で説明した表示システム60を使うことにより、建設機械と処理対象である駐機場との位置合わせを精度良く行うことができる。また、建設機械を整備場に移動して建設機械自身あるいは作業機を特定の整備位置に配置させるとき、上述の実施形態で説明した表示システム60を使うことにより、建設機械あるいは作業機と、処理対象である整備場との位置合わせを精度良く行うことができる。