(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
以下述べる実施の形態1による衝突回避制御装置は、人の皮膚に直接装着するための密着型、もしくはバンドなどにより人の身体に固定する固定型、又は人の衣服に装着もしくは靴に差し込んで間接装着するための差し込み型、として構成されている場合を想定している。
【0011】
図1は、実施の形態1による衝突回避制御装置のハードウェア構成を示す構成図である。
図1において、実施の形態1による衝突回避制御装置100は、距離、速度、方向、アクションなどにより後述する検知範囲AEを設定するための設定手段1と、設定手段1により設定された検知範囲AEと地図情報とに基づいて、検知範囲AEの中に存在する対象物としての人、自転車、車両の、距離、移動速度、移動加速度、移動方向などの受信情報2Aを受信するための受信手段2と、衝突回避制御装置100を所持する人のID、位置、移動速度、移動加速度、移動方向、などの送信情報3Aを、対象物としての車両、自転車、人、および基地局としてのデータセンタに送信するための送信手段3と、衝突回避制御装置100を所持する人がとるべきアクションをその人に伝えるための通知手段4と、を備えている。
【0012】
また、衝突回避制御装置100は、設定手段1と受信手段2とからの情報に基づき、衝突回避制御装置100を所持する人のアクションを決定するとともに、基地局としてのデータセンタと、対象物としての車両、自転車、人に送信すべき情報を決定するための電子回路5と、バッテリ6と、を備えている。なお、車両には自動二輪車が含まれるものとする。ここで、衝突回避制御装置100を所持する人がとるべきアクションとは、たとえば対象物との衝突を回避する動作を意味する。
【0013】
設定手段1は、たとえば、タッチパネルによる設定、もしくは音声による設定、又はそれらの組み合わせによる設定が可能となるように構成されている。受信手段2が受信する受信情報2Aは、各種センサにより取得する情報により構成される。通知手段4は、たとえば、音による通知、振動による通知、又は音と振動の併用による通知、を行なうように構成されている。
【0014】
電子回路5は、設定手段1との間で相互通信を行なう通信手段51と、SRAM(Static Random Access Memory)を備えた
処理手段としてのプロセッサ52と、書換可能領域531を有するROM〈Read Only Memory〉などからなるメモリ53と、バッテリ6から電源の供給を受けて電子回路5の電源を生成する電源回路54と、タイマ55と、警告手段56と、から構成されている。前述の設定手段1により設定した検知範囲AEを設定するデータは、通信手段51を介してメモリ53の書換可能領域531にコンフィギュレーション(Cofiguration)される。
【0015】
つぎに、以上のように構成された実施の形態1による衝突回避制御装置100による制御の実施例について説明する。
【0016】
実施例1.
[歩行対象物又は走行対象物の検知と警告の発令]
衝突回避制御装置100は、この衝突回避制御装置100を所持する人の存在、およびその人の移動状況に関する情報を、送信情報3Aとして送信手段3から周囲に送信する。また、衝突回避制御装置100は、それを所持する人の周囲に存在する対処物としての人、自転車、車両の存在、およびその対象物の移動状況に関する情報を受信情報2Aとして受信手段2により受信する。そして、送信情報3Aと受信情報2Aとに基づいて、衝突回避制御装置100を所持する人が指定した時間後の、その人の到達位置および対象物の到達位置を推定し、衝突回避制御装置100を所持する人と対象物との衝突を予測し、この予測した衝突を回避する行動を促すための警告を警告手段56から衝突回避制御装置100を所持する自身に与えるように動作する。
【0017】
また、前述の動作において、モビリティ社会において遭遇する異なる道路状況としてのシーンごとに、衝突回避制御装置100を所持する人の周囲に対する検知範囲AEをあらかじめ設定する。検知範囲AEが未設定であるシーンもしくは条件に対しては、デフォルト設定値もしくは標準設定された検知範囲を用い、又はシーンごとにあらかじめ設定されている検知範囲AEを補間して形成した検知範囲を用いて対応する。さらに、送信情報3Aと受信情報2Aとの更新時間、および衝突推定時間を設定して、衝突回避制御装置100を所持する人と対象物との衝突を予測し、衝突を回避する行動を促すための警告を警告手段56から衝突回避制御装置100を所持する人に与える。
【0018】
実施例1では、衝突回避制御装置100と基地局としてのデータセンタ200との通信は、たとえば、VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)のような道路交通情報通信手段を用いることを想定している。
【0019】
つぎに、実施の形態1による衝突回避制御装置100の実施例1について、図に基づいて説明する。
図2は、モビリティ社会における、実施の形態1による衝突回避制御装置と、データセンタ、車両、人、の相関と送受信情報を示す説明図である。
図2において、いま、衝突回避制御装置100を所持する人Aは、道路R1の歩道R11を西方向へ歩行中であり、衝突回避制御装置100を所持する人Bは、道路R1と道路R2との交差点内の横断歩道R21を南方向へ歩行中である。
【0020】
また、衝突回避制御装置100を所持する人が運転する自転車Cは、歩道R11を東方向へ走行中であり、衝突回避制御装置100を所持する人が運転する車両Dは、道路R1の車道を東方向へ減速走行中であり、衝突回避制御装置100を所持する人が運転する車両Eは、道路R1と道路R2との交差点の手前で停止中である。さらに、衝突回避制御装置100を所持する人が運転する車両Fは、道路R1の車道を西方向へ減速走行中であり、衝突回避制御装置100を所持する人が運転する車両Gは、道路R1と道路R2との交差点内の車道を北方向へ走行中である。
【0021】
図1および
図2において、道路R1の歩道R11を歩行中である人Aは、衝突回避制御装置100の設定手段1により自身の周囲に対する検知範囲AE1をあらかじめ設定している。ここで、人Aは、ガード付きの歩道R11を歩行中であり、通常、自動車などの車両との接触は考えられないため、検知範囲AE1は短径の比較的小さい楕円形であり狭めに設定されており、とくに検知範囲AE1における人Aの後方はさらに狭めに設定されている。
【0022】
人Bは、道路R1と道路R2との交差点内の横断歩道R21を南方向へ歩行中であり、あらゆる方向からの人、車両、自転車と接触する可能性があるため、人Bが所持する衝突回避制御装置100の検知範囲AE2は、比較的直径の大きな円形であり広く設定されている。
【0023】
また、自転車Cは人Aと同様にガード付きの歩道R11を東方向に走行中であるが、走行速度が早いため、自転車Cを運転する人が所持する衝突回避制御装置100の検知範囲AE3は、自転車Cの前方方向が広くなる楕円形に設定されている。
【0024】
人A、人B、および自転車Cを運転する人がそれぞれ所持する衝突回避制御装置100は、基地局としてのデータセンタ200に、その人のID、位置、速度、方向などの送信情報3Aをそれぞれ送信し、かつデータセンタ200から地図、距離、速度、方向などの受信情報2Aをそれぞれ受信する。
図2では送信情報と受信情報を一括して「送受信情報(対基地局)」2A、3Aとして表示している。
【0025】
また、人A、人B、および自転車Cを運転する人がそれぞれ所持する衝突回避制御装置100は、それぞれの検知範囲AE1、AE2、AE3の中に存在する他の人、自転車、車両に対して、自身のID、位置、速度、方向などの送信情報3Aを送信可能であり、かつそれぞれの検知範囲AE1、AE2、AE3の中に存在する他の人、自転車、車両から、地図、距離、速度、方向などの受信情報2Aを受信可能である。
図2では送信情報と受信情報を一括して「送受信情報(対物)」2A、3Aとして表示している。
【0026】
ここで、人Aの所持する衝突回避制御装置100は、その検知範囲AE1の中に車両Dが侵入したことを、受信手段2が車両Dからの受信情報2Aを受信することにより検出する。人Aが所持する衝突回避制御装置100は、車両Dからの受信情報2Aを解析し、車両Dは東方向への減速走行中であり、このまま人Aが西方向への歩行を継続しても車両Dと衝突はしないと判断し、警告手段56による人Aへの警告は発令しない。
【0027】
人Bが所持する衝突回避制御装置100の場合は、車両Gおよび車両Fが検知範囲AE2の中に侵入したことを、車両Gと車両Fとからのそれぞれの受信情報2Aを受信手段2が受信することで検出する。人Bが所持する衝突回避制御装置100は、車両Fからの受信情報2Aを解析し、車両Fが西方向へ減速走行中であり停止しようとしていることから、このまま人Bが歩行を継続しても車両Fと衝突しないと判断し、警告手段56による警告を人Bに発令しない。また、人Bが所持する衝突回避制御装置100は、車両Gからの受信情報2Aの解析から、北方向へ走行中の車両Gの位置と走行速度、走行方向の情報から、人Bがこのまま歩行を継続しても車両Gと衝突しないと判断し、警告手段56による警告を人Bに発令しない。
【0028】
自転車Cの運転者が所持する衝突回避制御装置100は、その受信手段2が人Aと車両Dとからの受信情報2Aをそれぞれ受信することにより、人Aおよび車両Dが検知範囲AE3の中に侵入したことを検出する。自転車Cの運転者が所持する衝突回避制御装置100は、人Aからの受信情報2Aを解析の結果、自転車Cがこのまま走行を継続すると人Aとの衝突を予見し、警告手段56により、例えば、振動、ブザーを用いて自転車Cを運転する人に警告を与える。また、自転車Cを運転する人が所持する衝突回避制御装置100は、車両Dからの受信情報2Aの解析により、検知範囲AE3の中へ車両Dが侵入することも検知するが、車両Dは東方向へ減速走行中であることから、このまま自転車Cが走行を継続しても車両Dと衝突はしないと判断し、車両Dについての警告を自転車Cを運転する人に発令しない。
【0029】
前述のようなアクションを行うために、たとえばGPS(Global Positioning System)機能を用いてデータセンタ200から地図データを受信し、光ビーコンのような外部通信手段を用いてデータセンタ200に送信情報を送信することができる。また、検知範囲の中に存在する他の人、自転車、車両に対して、互いの行動データとして、位置、速度、方向などの相互検知を可能とするために、たとえば無線機能を用いた送受信手段により交信することができる。
【0030】
実施例2.
[検知制御]
つぎに、実施の形態1による衝突回避制御装置100の実施例2として、検知制御について説明する。
図3は、実施の形態1による衝突回避制御装置における、衝突検知のための初期設定アルゴリズムを示すフローチャートであって、衝突回避制御装置100を所持する人の位置、移動速度、方向などを衝突回避制御装置100に入力して検知範囲を設定する例について示している。衝突回避制御装置100に検知範囲を設定しない場合は、あらかじめ入力されているデフォルト設定値による検知範囲、又は設定した検知範囲を補完した値による検知範囲が採用される。
【0031】
図3において、まず、ステップS31で所持する衝突回避制御装置100に検知範囲を設定するか否かを判断し、検知範囲を設定する(Yes)と判断すれば、ステップS32に進み、衝突回避制御装置100を所持する人が遭遇し得るシーン、たとえば、歩道、信号付き交差点の歩行などのシーンを設定手段1により設定する。つぎに、ステップS33において自身の歩行による移動速度を設定手段1により設定する。
【0032】
つぎに、ステップS34に進んで、自身が所持する衝突回避制御装置100に対する検知範囲を設定手段1により指定する。具体的には、自身の前後方向と左右方向の径を設定し、必要に応じてオフセット(Offset)を行なって前後方向、左右方向の径を補正する。最後に、ステップS35に進んで、自身が所持する衝突回避制御装置100の検知範囲の更新時刻、衝突予測に対する推定時間を、設定手段1によりタイマ55に設定する。
【0033】
ステップS31で自身が所持する衝突回避制御装置100に検知範囲を設定しない(No)と判断すれば、ステップS36に進み、予め設定されているデフォルト設定値による検知範囲を用い、ステップS35で自身が所持する衝突回避制御装置100における検知範囲の更新時刻、衝突予測に対する推定時間を、設定手段1により設定する。
【0034】
ステップS33による移動速度設定が1ポイントのみであれば、
図3の手順で設定した検知範囲が全移動速度に適用され、ステップS33による移動速度設定が2ポイント以上であれば、
図3の手順で設定した検知範囲の線形補間値が任意の移動速度に対して適用される。ステップS32で設定して登録されたシーンに合致したシーンが実シーンとして存在しなければ、設定されている類似のシーン、もしくは、デフォルト設定されているシーンが適用される。
【0035】
つぎに、自身が所持する衝突回避制御装置における検知範囲の設定に対する具体例を説明する。
図4は、実施の形態1による衝突回避制御装置の設定を示す概念図である。
図4において、シーン1としては、道路R1のガードで保護された歩道R11を、自身Aが矢印方向に歩行することを想定し、自身Aの歩行による移動速度は4[km/h]と設定する。自身が所持する衝突回避制御装置100における検知範囲AE11の範囲指定に関しては、自身Aを中心に前後方向(進行方向)に直径10[m]、左右方向に直径3[m]の楕円形の口径とし、オフセットとして、前方に2[m]、左方向(車道方向)に0.5[m]だけ検知範囲AE11の中心を移動させる設定とする。
【0036】
次に、シーン2として、道路R1と道路R2との交差点を、自身Aが矢印方向に歩行することを想定し、自身Aの歩行による移動速度は4[km/h]と設定する。道幅にも依存するが、自身が所持する衝突回避制御装置100における検知範囲AE12の範囲指定に関しては、自身Aを中心に直径10[m]の円形の口径を設定し、オフセットとして、前後方向(進行方向)方向に対して前方に1[m]だけ中心をシフトさせた検知範囲AE12を設定する。
【0037】
次に、シーン3として、自身Aが、歩道のない一車線の道路R3を、自転車で矢印方向に走行することを想定し、自転車による移動速度は20[km/h]を設定する。自身が所持する衝突回避制御装置100における検知範囲AE13の範囲指定に関しては、自身Aを中心に前後方向(進行方向)に直径30[m]、左右方向に直径3[m]を設定し、かつ、オフセットとして、自身Aの前方に10[m]だけ検知範囲AE13の中心を移動させた設定とする。
【0038】
最後に、更新時刻の設定を1[秒]、衝突予測に対する推定時間を2[秒]に設定する。衝突回避制御装置100は、歩行情報又は自転車による走行情報は、設定した更新時刻ごとにデータセンタ200の地図情報とともに更新され、当該シーンが更新されるタイミングで自身の情報も更新するように制御する。
【0039】
実施例3.
[衝突警告]
つぎに、前述の実施例1で述べた衝突警告までのアルゴリズムについて説明する。
図5は、実施の形態1による衝突回避制御装置における、衝突検知アルゴリズムを示すフローチャートである。
図5において、まず、ステップS51において、前述の実施例2で設定したシーン、および衝突回避制御装置100を所持する自身の移動速度からシーンを抽出し、その検知範囲を更新する。該当するシーンがなければ、実施例2でも述べたようにデフォルト値か、既存設定値からの線形補間値を使用する。
【0040】
つぎに、ステップS52では、抽出したシーンで設定した検知範囲の中に他の人、自転車、車両などの対象物が存在するかどうかを確認し、対象物が存在すれば(Yes)、ステップS53に進んで、受信手段2により受診した対象物からの受信情報を用いて、対象物の現在位置、移動方向、移動速度、移動加速度を検知する。つぎに、ステップS54において、検知したこれらの情報から前述の設定した推定時間後の対象物の位置を予測する。
【0041】
ステップS55では、推定時間後の対象物の予測位置から自身が対象物に衝突するかどうかを推定し、衝突すると推定すれば(Yes)、ステップS56に進んで音声、振動などにより自身への警告を発する。ステップS55での推定の結果、自身が対象物に衝突する可能性がなければ(No)、何も処置も行わず、ステップS52に戻って、自身が所持する衝突回避制御装置100における検知範囲に存在する次の対象物を検出する。このようにして、自身が所持する衝突回避制御装置100における検知範囲による対象物の探索が完了すると、次の更新時刻まで待つ。次の更新時刻になると設定済のシーンと、自身が所持する衝突回避制御装置100における検知範囲とを更新し、
図5に示すアクションを繰り返す。
【0042】
ステップS52からステップS57における動作は、たとえば、プロセッサ52からの指令に基づいて自動的に行なわれる。
【0043】
本願は、例示的な実施の形態1及び実施例1から3を記載しているが、実施の形態1および実施例1から3に記載された様々な特徴、態様、及び機能は、実施の形態1および実施例に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【解決手段】人(A)により所持される衝突回避制御装置(100)が、所持する人(A)の存在と人(A)の移動状況に関する情報を送信情報として人(A)の周囲に送信し、人(A)の周囲に存在する対象物(B、C、D)から少なくとも対象物(B、C、D)の移動状況に関する情報を受信情報として受信し、送信情報と受信情報とに基づいて、設定した時間の後の人(A)と対象物(B、C、D)との到達位置を推定し、推定した到達位置において人(A)と対象物(B、C、D)とが衝突することを予測したとき、人(A)に警告を与えるように構成されている。