(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加熱手段は、平面形状が円形の中心コイルと、この中心コイルの周囲にあって、当該中心コイルとは独立して電力が供給される、1つ又は複数個の副加熱コイルとから構成されており、
前記中心コイルと、副加熱コイルに対して高周波電力を切り替えて供給すること及び同時に供給することを制御する制御装置を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の誘導加熱調理器。
前記加熱手段に対する電力の供給を制御する制御装置と、前記収納室の温度を検知する温度検出回路と、前記分岐ダクトにおける冷却風の供給を制御する風路開閉手段とを、さらに備え、
前記制御装置は、前記加熱手段に対する電力を供給している加熱調理期間中において、前記温度検出回路によって前記収納室の温度を監視し、
前記制御装置は、前記収納室の温度が所定値を超えた場合、前記風路開閉手段を動作させて前記第1の送風機の冷却風を前記分岐ダクトから前記収納室に供給することを特徴とする請求項7に記載の誘導加熱調理器。
【発明を実施するための形態】
【0010】
参考形態1.
図1〜
図15は、参考形態1に係る誘導加熱調理器を示すものである。なお、以下の説明では単に「加熱調理器」と記載する。
図1〜
図15において、本参考形態の加熱調理器1は、例えば流し台付きの厨房家具(「システムキッチン」ともいう)2に組み込まれる、商用電源200Vとする誘導加熱調理器である。2Aは、厨房家具2に形成された設置口である。前記加熱調理器1は、この設置口2Aの口縁部に載せて支持されている。厨房家具2は、この参考形態1では
図3に示すように、水道の給水口2Dから出る水を一時的に貯めることができる水槽2Cを備えている。2Bは、厨房家具2の所定の位置に形成した開口であり、この開口は、加熱調理器1を組み込んだ場合、その正面(後述するカバー30側)を前方へ露出させるためのものである。なお、開口2Bと設置口2Aの大きさは、キッチンの規格によって所定の寸法に形成されている。
【0011】
加熱調理器1を厨房家具2に組み込む通常の方法は、
図14に示している通りである。この
図13は、厨房家具2への組み込み作業の途中段階を示す模式図である。この図のように、本体ケース3の前方側(手前側)が下になるように傾けたまま、前記設置口2Aの中に本体ケース3を入れ、その後、本体ケース3の後方側を下げると、加熱調理器1が厨房家具2の設置口2Aの周縁部に載せられた状態になるので、最後にその状態を固定するため、ネジを締めて本体ケース3の周縁部に設置してある固定金具(図示せず)を移動(回動)させ、当該固定金具を厨房家具2に強く押し当てた状態にして設置が完了する。なお、このような設置方法は既に広く採用されているので、詳しい構造については説明を省略する。
【0012】
加熱調理器1は、その外郭を構成する箱型形状の本体ケース3と、この上部に固定された金属製の額縁状の外枠(図示せず)と、この外枠の上面の略全体を覆うように、その上面に重ねて取り付けられた耐熱強化ガラス製のトッププレート4とから構成されている。なお、このトッププレート4は、その下面全体は可視光線が透過しない塗装面で覆われることにより、トッププレート4の上方からは、その下方の機能部品、例えば後述する右側加熱コイル8Rが視認できないようになっている。
【0013】
図5において、前記本体ケース3は、薄い金属板をプレス装置による折り曲げ加工して断面U字形に成形した胴部3Uと、この胴部の前方側に溶接やネジ止めによって結合された前板3Fと、胴部の後方側に溶接やネジ止めによって結合された後面板3Hとの3者で、上面全体が開口した本体ケースが構成されている。後面板3Hは、1枚の金属製薄板を折り曲げて形成しても良いが、通常は2又は3枚の薄板を溶接やネジ止めによって繋ぎ合せて形成している。3Jは、後述するように設置口2Aの中に、加熱調理器1を挿入する場合(
図13参照)、後面板3Hが厨房家具2に当たらないように(後面板3Hに)形成された傾斜面部である。このため、本体ケース3の底面部3Bにおいて、後述する収納室21が設置できる範囲は、
図5に示しているように前方の挿入口22を基準にして所定の長さ3Kの範囲である。底面部3Bは、前記胴部3Uの一部分である。
【0014】
図10において、BS1は、前記後面板3Hと厨房家具2の背面板2Uとの間に形成された空隙である。後述する第1の送風機BM1は、この空隙から冷却用の空気の全部又は一部を吸引するようにしても良い。
図10において、BS2は、後述する収納室21の背面と前記後面板3Hとの間に形成された空隙である。
【0015】
図10において、後述するカバー30の下面と、飾り板(「化粧枠」ともいう)44の上面との間には、カバー30の移動を許容するために2cm〜数ミリメートル(mm)程度の空隙GPUが形成されている。この空隙GPUも前記空隙BS1に連通しているので、この前方側の空隙GPUから、第1の送風機BM1が空気を導入しても良い。この空隙を利用して吸気する形態にした場合、本体ケース3の上面に吸気口を設置することを省略でき、あるいは吸気口の開口面積を小さくして目立たないようにできるから、上面のデザイン性を向上させることが期待できる。なお、
図10において、GPTは、後述するカバー30の最上部にある手掛け部31A天面と、厨房家具2の前面にある開口2Bの下面との間に、カバー30の移動を許容するために形成される2cm〜数ミリメートル(mm)程度の空隙である。
【0016】
図10において、5は、前記外枠の後部に固定された後部枠板であり、吸気口(図示せず)と排気口6(
図4、
図10参照)がそれぞれ形成されている。7Aは、前記吸気口の上に置かれた吸気カバーであり、通気性を確保するため、互いに並行な複数の細い貫通孔が形成されている。7Bは、前記排気口6の上に置かれた排気カバーであり、通気性を確保するため、互いに並行な複数の細い貫通孔が形成されている。なお、排気口6の横幅寸法は、
図4に破線で示しているように、排気カバー7Bの一部分だけに限定して対応する長さになっている。また前記吸気口(図示せず)も吸気カバー7Aの一部分だけに対応する範囲に限定して形成されており、後述する第1の送風機BM1の真上だけに形成されている。
【0017】
図5、
図6において、8Rは、トッププレート4上の1つの誘導加熱部(「加熱口」ともいう)に合わせてその下方に設置された右側(誘導)加熱コイル(加熱源)であり、ドーナッツ状形状を有している。なお、この右側加熱コイル8Rの最大火力は3000Wである。最大外形寸法(直径)RRは168mmである。
【0018】
8Lは、トッププレート4上の1つの誘導加熱部に合わせてその下方に設置された左側(誘導)加熱コイルであり、ドーナッツ状形状を有している。なお、この左側加熱コイル8Lの最大火力は3000Wである。最大外形寸法(直径)RLは168mmである。
【0019】
8Mは、同じくトッププレート4上の1つの誘導加熱部に合わせてその下方に設置された中央(誘導)加熱コイルであり、ドーナッツ状形状を有している。なお、これら誘導加熱コイルを総称する場合、「加熱コイル、加熱手段」と呼ぶ場合があり、その場合の符号は8を使用する。また特に8R、8L、8Mを特定する必要がない場合には、「右側」や「左側」という用語を省略する場合がある。なお、この中央加熱コイル8Mの最大火力は1500Wである。最大外形寸法(直径)RLは130mmである。
【0020】
3つの加熱コイル8M、8L、8Rは、トッププレート4上の下面との対向間隔が数mm以下となるように、3個全てが同じ水平位置に設置されている。
【0021】
次に
図7を参照しながら、1つの誘導加熱部(加熱口)について説明する。
前記左側加熱コイル8Lと、コイルベース32と、フェライト33と、防磁リング34と、を有している。
コイルベース32は、1つの加熱口に対して設けられた1つ又は複数の加熱コイルを一体的に保持している。具体的には、コイルベース32は、中心部に円形の窓32Aを有し、その窓を中心にして放射状に6本〜10本程度の腕32Wを有している。さらにこの腕の周囲は大きな透孔が形成されている。つまり、コイルベース32自体は上下方向に通気性に富む構造である。このようなコイルベース32は、例えば(日本国)実用新案登録第3018751号公報等で提案されている。
【0022】
コイルベース32は、350℃程度でも変形しない耐熱性、電気絶縁性のプラスチックで一体に形成されている。34は、防磁リングであり、コイルベース32の外周を、間隔を保って一周している。つまり左側加熱コイル8Lを取り囲むように設けられている。この防磁リング34は、左側加熱コイル8Lの外周を囲むことで、そのコイルに高周波電流が流れた際に、上方の被加熱物9、10、11等に到達しない高周波磁界が、左側加熱コイル8Lの外部及び本体ケース3の外部に漏れることを抑制している。
【0023】
この防磁リング34は、短冊状の導電性部材の両端部を電気的に導通可能に結合して形成されている。例えば、一方向に長い部材を円状に曲げ、両端部同士を一体に圧接または溶接することで形成し、電気的に導通したものになっている。従って、左側加熱コイル8Lにより高周波磁界が発生すると、防磁リング34には渦電流が流れ、防磁リング34の内部抵抗により熱へと変換されることにより、漏れ磁束を抑制することとなる。
【0024】
図7において、前記コイルベース32には、左側加熱コイル8Lの下方にフェライト33が設けられている。フェライト33は、左側加熱コイル8Lで発生した磁界が左側加熱コイル8L13よりも下方に流れるのを防止するとともに、磁界を被加熱物10、11等へと集中させる目的がある。本参考形態では設置例として、左側加熱コイル8Lの巻線と概直交するように、すなわち左側加熱コイル8Lに対して、その中心部から放射線状に設置する場合を図示している。
【0025】
前記コイルベース32の下面と、前記送風ダクト74の上面との間には、弾性支持手段として、圧縮バネ等の弾性体(図示せず)が設けてある。その弾性体は、送風ダクト74の上面に形成された支持部に固定されている。これにより、コイルベース32は、弾性支持手段を介して送風ダクト74に支持されるから、コイルベース32は、トッププレート4の裏面(下面)に押し付けられた形で支持される。
【0026】
35は、コイルベース32の最も外側にある環状の枠の上面に、一定の間隔で例えば8個所に固定された間隔保持部材である。この間隔保持部材35は、トッププレート4の下面に押し当てられた形になるから、コイルベース32と左側加熱コイル8Lは、トッププレート4の下面と所定の間隔を空けた状態に保持される。これにより、被加熱物10、11等と左側加熱コイル8Lの上面部との距離が適切に保たれて、誘導加熱を効率良く行なうことができる。
【0027】
また、間隔保持部材35は、左側加熱コイル8L上面とトッププレート4下面との間隔を適切に保ち、これらの間に左側加熱コイル8Lを冷却する冷却風が通過することを可能としている。間隔保持部材35の材質としては、コイルベース32の一部を用いても良いが、コイルベース32とは別部材で、ゴムなど弾性のある材質で形成すると、間隔保持部材35とトッププレート4との密着度が向上するため、好ましい。
【0028】
コイルベース32の中央部は、左側加熱コイル8Lを保持しない部分と、フェライト33が設けられていない部分があるが、この部分の中心には前記した窓32Aが形成されている。この窓にも下方から冷却風が通過可能となっている。また、この窓32Aは、被加熱物9、10、11等から放射される赤外線を受けて、その被加熱物の温度を非接触で検知する赤外線式温度センサー36が設けてある。この赤外線式温度センサー36の温度検知情報は、後述する温度検出回路63に送られる。
【0029】
前記収納室21の上壁面21Tの位置は、左側加熱コイル8Lから磁気的な影響を受けることを低減させるため、所定の間隔H2を保つような構造になっている。これについては後で詳しく述べる。
【0030】
右側加熱コイル8Rと、中央加熱コイル8Mについても、前記したコイルベース32、フェライト33、防磁リング34、間隔保持部材35及び赤外線式温度センサー36を、それぞれ設けてある。
【0031】
図1において、8LSは、左側加熱コイル8Lによって誘導加熱できる目安的な位置を表示した円形マークであり、トッププレート4上面に印刷により形成されている。8MSは、中央加熱コイル8Mによって誘導加熱できる目安的な位置を表示した円形マークであり、トッププレート4上面に印刷により形成されている。この他にも、図示していないが、右側加熱コイル8Rによって誘導加熱できる位置を表示した円形マークも、トッププレート4上面に印刷により設けてある。
【0032】
前記円形マーク8LSの位置と大きさ(直径寸法)は、左側加熱コイル8Lの外径寸法8D(
図5参照)に応じて決定される。他の誘導加熱コイルも同様である。なお、
図4では3つの加熱コイル8の位置が円で示されているが、実際には前述したように非透過性であるトッププレート4が上にあるため、使用者にはこれら加熱コイル8を目視することはできない。また3つの加熱コイル8の内、1つ又は2つを、ラジエントヒータや赤外線ヒータ等の輻射式電熱源に代えても良い。
【0033】
図1、
図2、
図4において、9は、平面形状が楕円形又は長方形の調理器具(第1の調理器具)であり、
図11に詳しく示しているように、ステンレスや鉄等の磁性金属製の皿部9Aと、この皿部の上方を覆う透明な耐熱ガラス製の蓋体9Bと、から構成されている。9Cは、使用者が蓋体9Bを持ち運ぶための摘みである。また9Dは、皿部9Aの両端部に一体成型された取っ手である。なお、
図4に2点鎖線で示した長方形状は、前記皿部9Aの底面の範囲を示しており、皿部9Aの外郭形状を示していない。言い換えると、皿部9A底面の短径寸法は、
図4に符号SSで示している通りである。また、皿部9A底面の長径寸法は、
図4に符号LSで示している通りである。この第1の調理器具(被加熱物)9は、この加熱調理器1のために(この加熱調理器の製造者によって)専用に製造されたものである。
【0034】
調理器具9の外形形状が、皿部9Aの両端部に取っ手9Dを一体に設けたシンプルな構造であるため、後述する挿入口22から収納室21の中に格納する場合、また逆にその挿入口22を介して取り出す場合でも、使用者は皿部9Aと蓋体9Bを一括して移動でき、便利である
【0035】
取っ手9Dは、図示しているように皿部9Aの最も上部に設けると、トッププレート4上面からの間隔を大きくできる。つまり、このトッププレート4の下方にある誘導加熱コイル8Lから遠くなるため、取っ手9Dが誘導加熱されることを抑制できる。取っ手9Dは、皿部9Aの底面(トッププレート4の上面に近接する面)から5cm以上離れた位置にあることが望ましいが、あまり離すと、それだけ皿部9Aの最大高さ寸法が大きくなり、収納室21や挿入口22の高さ寸法を大きくしなければならない。
【0036】
図4において、10は、平面形状が円形の調理器具(第2の調理器具)であり、一般に市販されている金属製(少なくとも底面部が、磁性金属製)の大径の鍋である。また、11は、平面形状が円形の調理器具(第3の調理器具)であり、一般に市販されている金属製(少なくとも底面部が、磁性金属製)の小径の鍋である。
【0037】
図4から明らかなように、前記第1の調理器具9の短径寸法SSは、前記左側加熱コイル8Lの外径寸法(直径8Dは
図5参照)と同等か、それよりも2〜3cm程度大きい。また、右側加熱コイル8Rの上で誘導加熱することに適している第2の調理器具10は、その底面の直径寸法が、右側加熱コイル8Rの外径寸法と同等か、それより3〜4cm程度大きい。さらに、中央加熱コイル8Mの上で誘導加熱することに適している第3の調理器具11は、その底面の直径寸法が、中央加熱コイル8Mの外径寸法と同等か、それより2〜3cm程度大きい。
【0038】
図4から明らかなように、トッププレート4の上面において、吸気カバー7Aと排気カバー7Bよりも前方から、後述する操作部12の後端までの広いエリアは、誘導加熱調理に利用される加熱調理エリア13である。この「加熱エリア」13という意味は、その全域で加熱コイル8によって誘導加熱できるという意味ではなく、第1〜第3の調理器具9、10、11等を、加熱調理しない場合に一時的に置いたり、あるいは誘導加熱するために置いたりできるという範囲である。HAは、この加熱調理エリア13の前後方向の長さ、すなわち奥行寸法を示している。
【0039】
図4から明らかなように、加熱調理エリア13の前後方向中心線CL2の真下に、前記右側加熱コイル8Rと、左側加熱コイル8Lの各中心部が位置している。
一方、中央加熱コイル8Mの中心部は、加熱調理エリア13の左右方向中心線CL1の真下に位置している。
【0040】
図4において、12は、前記トッププレート4の前方側上面に形成された操作部であり、以下述べるように、使用者が指等で軽く触れた時の静電容量の変化を利用して入力できる方式の各種入力キーを、横方向に一直線状に配置している。
操作部12は、右操作部12R、中央操作部12M及び左操作部12Lの3つを含んでいる。
【0041】
図4において、14は、後述する制御装置56に商用電源60(
図13参照)を供給することと遮断することができる主電源スイッチ61の操作ボタン又は操作キー(タッチ入力式)である。
【0042】
前記右操作部12Rには、3つのタッチ式入力キー15を配置してある。これら入力キー15は、1つ又は複数の入力機能が割り当てられている。例えば、誘導加熱時の火力(消費電力)や、誘導加熱時間、誘導加熱パターン等である。前記右操作部12Rは、右側加熱コイル8Rの動作開始や停止、その他通電条件(時間や火力等)を指令できるためのものである。
【0043】
図4において、16は、前記中央操作部12Mに配置した3つのタッチ式入力キーである。この前記中央操作部12Mは、中央加熱コイル8Mの動作開始や停止、その他通電条件(時間や火力等)を指令できるためのものである。
【0044】
図4において、17は、前記左操作部12Lに配置した3つのタッチ式入力キーである。この前記左操作部12Lは、左側加熱コイル8Lの動作開始や停止、その他通電条件(時間や火力等)を指令できるためのものである。
【0045】
図4において、18は、前記制御装置56に対して無線通信を指令するインターネット接続指令用のタッチ式入力キーである。19は、前記制御装置56に対して、前記第1の調理器具9の存在結果を要求する確認指令用のタッチ式入力キーである。これら2つの入力キー18、19の動作については後で詳しく説明する。
【0046】
図4において、20は、トッププレート4の前方中央部に設けた透明の表示窓に対応して、その近傍で真下に配置された長方形状の表示画面であり、例えば液晶表示画面である。この表示画面には、前記操作部12の操作結果が文字や記号等で表示されたり、あるいは前記制御装置56で検知した各種機能部品の動作状況等が表示されたりする。なお、この表示画面は、前記主電源スイッチ61の操作ボタン又は操作キー14を、ONにした以降、前記制御装置56の指令によって表示動作が開始される。
【0047】
次に、本発明の特徴点の1つである収納室21について説明する。
図1、
図6、
図8、
図10に示すように、前記本体ケース3の中に収納室21が区画形成されている。ここで「区画形成」とは、後で説明する下部空間71の中で、収納室21と第2の空間71Bとの間が物理的な物(板や壁等をいう。金属又はプラスチック等で形成されている)で仕切られ、空気の流通が設計上では許容されていない状態をいう。
なお、後述する縦方向の第2の隔壁73が下部空間71に設置され、この第2の隔壁73によって、第2の空間71Bとの間で、空気が自由に流通しないように遮断されている場合には、収納室21の外郭を構成する壁面には通気孔があっても良い。例えば複数の金属製薄板同士を連結して収納室21の外郭の壁を形成する場合、一方の薄板に形成した孔に、他方の薄板に形成した爪の先端部を挿入して係合させるという方法を採用した際に、その爪と孔の間に僅かな隙間が形成されても、「区画形成されている」と定義している。もちろん、前面だけが開放されて筒状に一体成型され、気密性を高めた収納室21であっても良い。
【0048】
図1、
図10、
図12において、22は、収納室21の前面側に形成した開口であり、この開口が前記第1の調理器具9を挿入できる「挿入口」となるので、以下「挿入口」と呼ぶ。
【0049】
前記収納室21の挿入口22最前縁から、収納室21の背面を構成する後壁23までの距離(奥行寸法)L2は、例えば30cmである。この奥行寸法L2は、取っ手9Dを含めた第1の調理器具9の最大長さよりも大きく設定されており、第1の調理器具9はこの収納室21の中に、前後方向に挿入されて格納できる。なお、収納室21に取り出し自在に格納する物品として、第1の調理器具9が最も大きいため、この調理器具9の外形寸法を考慮して挿入口22の大きさを決定しているが、この収納室21に格納できる他の物品としては、例えば加熱調理器1に付属している取扱説明書や、調理後に特にトッププレート4の上面や操作部12の表面等の簡単な清掃をする洗剤、あるいは別の調理器具10,11(それらに付属する蓋体があれば、その蓋体も含む)がある。
【0050】
収納室21の底壁面21Uの上面から天井壁21Hの下面までの距離(高さ寸法)HSは、摘み9Cまでも含めた調理器具9全体の最大高さ寸法よりも十分大きく、例えば10cmである。更に挿入口22から奥側まで横幅WXは一定である。挿入口22の間口(横幅寸法)は、例えば15cmである。このため収納室21の平面形状は、挿入口22から後方に向かって細長い形、長方形になっている。
【0051】
前記収納室21の挿入口22の大きさ(横幅と高さ寸法)は、前述した調理器具9の皿部9Aと蓋体9Bとを、重ねた状態のまま挿入できるように設定されているので、使用者が格納する場合、蓋体9Bと皿部9Aを分けたり、方向を変えたりする手間は必要なく、使い勝手が良い。
【0052】
挿入口22は、前述した操作部12が位置しているトッププレート4の手前側、すなわち、本体ケース3の前面側が、使用者の作業性の面で望ましいので、参考形態1では、挿入口22を本体ケース3の前面部に設けている。
【0053】
図1、
図8、
図10において、26は、平面形状が長方形の、浅い容器状の受け皿(「トレイ」ともいう)であり、金属製又はプラスチック材料から形成されている。例えばアルミニウム製薄板をプレス成型して形成している。この受け皿26の内側部分の、奥行寸法L1は、前記収納室21の奥行寸法L2よりも1cm程度小さいので、収納室21の内部に、完全に格納できる(
図10参照)。
【0054】
受け皿26は、
図1に示したように収納室21の中から完全に外へ引き出すことが可能であるが、このように完全に引き出すことができなくとも、
図11に示すように、所定範囲LDまで引き出すことができれば良い。この点については後で詳しく説明する。
【0055】
図1、
図10、
図12において、30は、正面形状が横長長方形のカバーであり、全体がプラスチックの一体成型で形成されている。31は、カバー30を移動させる際に使用者が指を掛けるハンドルであり、手掛け部31Aを備えている。なお、このハンドル31は、必ずしも必要とせず、例えば、カバー30に手掛け部となる穴や貫通孔を形成して代用しても良い。カバー30と前記受け皿26とは、接着材で一体に連結しても良いし、あるいは、連結金具で連結し、使用者が受け皿26の清掃時に、受け皿26とカバー30を分離できるようにしても良い。
図10で、符号29は前記接着材であるが、この接着材は
図10では図示を省略してある。
【0056】
図1において、44は、正面形状が正方形の右カバー(「飾り板」ともいう)であり、全体がプラスチックの一体成型で形成されている。この右カバーは、前記本体ケース3前面において、前記収納室21の挿入口22より右側部分を覆うものである。この右カバーは、前記カバー30と同じ厚みを有し、カバー30の右側に隣接するように本体ケース3前壁面に固定されている。なお、右カバー44とカバー30の高さ寸法は同じであり、またそれら両者の表面の色も同じにしてある。なお、
図6には、カバー30と右カバー44の外形を、破線にて参考的に示している。
図6でW1は、前記カバー30の横幅寸法を示しており、挿入口22の横幅、言い換えると間口寸法よりも大きく設定されている。
【0057】
図10において、45は、本体ケース3の前面で、前記挿入口22の真上位置に取り付けたシール材である。このシール材は、例えばシリコンゴム製等の弾力性に富む素材から形成されており、カバー30で挿入口22を閉鎖した場合、その手掛け部31A背面に先端が接触するようになっている。なお、このシール材45は、収納室21の挿入口22側を完全に気密状態に保つものでなくとも良い。すなわち、カバー30が閉じた状態で、収納室21は、挿入口22口縁とカバー30との間に、空気の流通を許容する程度の隙間(例えば数mm程度の空隙)があっても良い。
【0058】
図10において、30Fは、前記カバー30の前面を示しており、この前面は、厨房家具2の中に加熱調理器1を組み込んだ場合、その下方に隣接して存在する扉又は引出し等の家具表面材40と、面一状態となる。言い換えると、加熱調理器1を組み込んだ場合、そのカバー30の前面30Fは、真上から見ると、家具表面材40の前面40Fと一直線上に並ぶ位置となる。そして家具表面材40と、カバー30とは、厨房家具2を前方から、あるいは斜め前方から見ても、統一された平面になっているような意匠感覚を使用者に呈することができる。なお、右カバー44の前面の位置も、前記カバー30の前面30Fの位置と合わせてある。
【0059】
同じく
図10において、2Fは、厨房家具2の前面(正面)を示している。厨房家具2の中に加熱調理器1を組み込んだ場合、前記カバー30の前面は、この厨房家具2の前面2Fと合致した位置か、それよりも若干(例えば、数mm程度)後退した位置になるように設計させている。
図5では、若干後退した位置にしてある例を示している。
【0060】
図3において、41は、前記家具表面材40とは別の位置にある家具表面材である。この家具表面材41は、厨房家具2の中に加熱調理器1を組み込んだ場合、その右側方で隣接して存在する扉又は引出し等の構造物である。前記右カバー44の前面44Fの位置も、この家具表面材41の前面41Fの位置と合わせてある。これによりカバー30の表面と、家具表面材40、41の各前面40F、41Fが、全て同一の垂直面で揃うことになる。
【0061】
図5において、43は、厨房家具2の内部を上下に複数の部屋に仕切る壁であり、この壁の下方は、例えば、台所用品や食品等の保存庫49に利用する例が多い。
【0062】
以上説明した構成により、厨房家具2の中に加熱調理器1を組み込んだ場合、厨房家具2の前面全体は、略一つの平面を呈する。使用者が厨房家具2を見た場合、全体に前面(正面)が、すっきりした統一感のあるデザインであると認識できるように設計されている。なお、厨房家具2と、加熱調理器1は、同じ製造業者が設計することをこの発明では意図しておらず、実際に、厨房家具は、流し台等の厨房家具、住宅設備業者が製造販売し、加熱調理器1は家電機器業者が製造販売している。なお、前記2種類の家具表面材40、41は同じものであっても良い。またこれら家具表面材は、扉や引き出しのように、前後に移動するものでなくとも良い。例えば厨房家具2の表面に常に固定状態で存在し、全く移動しないものであっても良い。
【0063】
図1、
図2、
図3において、前記カバー30と、右カバー44のそれぞれの前面30F、44Fの色と表面形態(模様や光沢の有無、凹凸状態等)は、前記家具表面材40、41の前面の色や表面形態と合わせると、更に統一的意匠感が高まる。例えば、家具表面材40、41の正面全体が、単色や木目調で統一されている場合、カバー30の前面30Fと、右カバー44の前面44Fも、同じ単色の色や木目調デザインで統一すれば、この前面30F、44Fだけが厨房家具2の中で目立つこともない。なお、カバー30と家具表面材40、41の前面の色や模様を異ならせ、収納室21の挿入口22を覆うカバー30の存在感を示しても良い。なお、42は、家具表面材40、41の前面に印刷で表示した枠線であり、家具表面材40、41の前面に物理的な凹凸を形成するものではないが、光沢のある金属製の細い板等を張り付けて、高級感を出したものでも良い。
【0064】
図2に示した厨房家具2では、加熱調理器1を最も左側に組み込んだため、前記右カバー44の右側に前記家具表面材41が隣接した形になったが、厨房家具2の中央部に加熱調理器1を組み込んだ場合には、前記カバー30の左側には、家具表面材41が隣接する一方、カバー30の右側にも家具表面材41が隣接することになる。このような場合でも、前記したように、加熱調理器1の部分だけが前方へ突出するようなことはなく、厨房家具2の前面全体は、略一つの平面を呈する状態にできる。
【0065】
図11に示しているように、カバー30を前方に引くと、前記受け皿26を収納室21の中から前方に引き出すことが可能であるが、この引き出し量を一定限度に制限した方が好ましい。受け皿26の中には、前記した第1の調理器具9を載せているため、必要以上に引き出すことを防止し、受け皿26の落下を防止する機構を備えているが、具体的には図示していない。しかし、収納室21受け皿26の後部に突起を設ける一方、収納室21の内側には、前記受け皿26をある限界位置まで引き出した際に当るようなストッパーを設けることで簡単に実現できる。
【0066】
図11において、LDは、カバー30を前方に引いた場合の最大引出し量を示している。この最大引出し量は、前記第1の調理器具9を、受け皿26の上から持ち上げて、収納室21の挿入口22から外へ運び出せる寸法に設定されている。例えば25cmである。また、この
図11に示すように、受け皿26を前方に一定限度まで引き出した状態でも、受け皿26は、略水平に支持される構成になっている。これは、受け皿26の左右両側に設けた溝に、収納室21の左右内側壁面から突出する支持ピン等の剛性のある部材が係合しているからである。
図11に示しているように、第1の調理器具9の重量とカバー30の重量を受け皿26が支え、その受け皿26の総重量を、前記収納室21の左右壁面が支えるという形になっている。
【0067】
図10、
図12において、50は、受け皿26の後部垂直壁26Bに取り付けた永久磁石、51は、収納室21の後壁面21Bに設置した磁気感知スイッチ(リードスイッチ)である。受け皿26が収納室21の最も奥の所定位置まで挿入されている場合、加熱調理器1の運転開始準備段階では、前記リードスイッチ51が、永久磁石50の接近を検知するからONを示す信号を出力することとなり、その検出信号は制御装置56に入力されるので、制御装置56では、カバー30が閉鎖されており、加熱調理を開始して良いと判断する。つまり、前記リードスイッチ51は、安全装置SDの一部を構成している。ここでいう「安全装置」は、前記制御装置56とリードスイッチ51の両者によって構成されていることが分かる。
【0068】
図11に示しているように、前記収納室21は、前記挿入口22を除いた左右側方と上下面、及び後方側が一連の壁面(21B、21L、21R、21T)で囲まれ、後述する第1の送風機BM1の冷却風が侵入しない閉鎖空間として区画されている。このため、第1の送風機BM1の冷却風が収納室21の空間には実質的に流入しない。「実質的」とは、風を意図的に供給しないという意味であり、気体の移動が絶対無いというような厳密な気密性が保たれていることを意味していない。
【0069】
収納室21の一連の壁面(21B、21L、21R、21T)は、全て錆びにくい金属、例えば亜鉛鋼板や磁性ステンレス鋼板等の金属製薄板で構成され、互いに溶接やネジ止めによって箱形状に組み立てられている。このように収納室21を金属製の板で形成すると、この収納室自体の耐熱温度が向上し、熱いままの第1の調理器具9を万一格納されても、収納室21が焼損や変形するような事態を防止できる。
【0070】
次に、前記本体ケース3の内部構造について説明する。
図8と
図10に示すように、前記本体ケース3の内部空間は、上部空間70と、下部空間71を備えている。72は、この2つの空間を区画する横方向に伸びる第1の隔壁である。この第1の隔壁は、プラスチック板や金属板から形成されている。2枚以上のプラスチック板や金属板を連結して形成しても良いが、前記本体ケース3の胴部3Uと、後面板3Hの内側まで、それぞれ達するような大きな平面積を有している。
【0071】
図8において、前記下部空間71は、第1の空間(「左空間」ともいう)71Aと、第2の空間(「右空間」ともいう)71Bの2つから構成されている。
73は、前記下部空間71を左右に仕切る縦方向の第2の隔壁であり、金属製の薄板又はプラスチックから形成されている。
CL4は、本体ケース3の左右中心を示す垂直中心線である。
【0072】
図8において、SP1は、前記第1の隔壁72の下面と、収納室21の上壁面21Tとの間に形成された空隙であり、少なくとも1cm以上に設定されている。SP2は、前記第2の隔壁73の左側面と、収納室21の右壁面21Rとの間に形成された空隙で、30mm〜50mmに設定してある。なお、前記収納室21の上壁面21Tの位置は、この上壁面21Tが左側加熱コイル8Lから磁気的な影響を受けることを低減させるため、左側加熱コイル8Lとの間隔H2が、最低でも50mm、好ましくは60mm以上離れた位置となるように設定されている。実際にこの参考形態では、間隔H2は65.9mmである。
【0073】
図6に示しているように、中央加熱コイル8Mも、収納室21の真上の位置にあるので、この中央加熱コイル8Mと収納室21の上壁面21Tとの間に形成された間隔H2も、前記左側加熱コイル8Lの場合と同じく、最低でも50mm、好ましくは60mm以上離れた位置となるように設定されている。実際にこの参考形態では、間隔H2は65.9mmである。
【0074】
図8において、72Aは前記第1の隔壁72の右端部に形成した連通口である。74は、3つの加熱コイル8と前記連通口72Aの上方を一連に覆う送風ダクトであり、全体がプラスチックの一体成型で形成されており、底面全体が開放された縦断面形状になっている。74Aは、この送風ダクトの前記加熱コイル8との対向部に形成された通気孔であり、3つの加熱コイル8の下面と対抗する範囲に、多数形成されている。
【0075】
図8において、75は、前記第1の隔壁72の上面と前記送風ダクト74との間に形成された冷却風路である。74Bは、前記送風ダクト74の中央部に一体形成された分岐用の突起であり、これにより右側加熱コイル8R側から冷却風路75を流れる冷却風が途中で2つに分かれ、一方は、左側加熱コイル8Lの真下の方向に、また他方は中央加熱コイル8Mの真下の方向に流れる。この分岐の様子は
図5に破線の矢印で示している。なお、この冷却風路75の高さ、すなわち、前記送風ダクト74から第1の隔壁72までの間隔H1は、少なくとも20mm以上に設定されている。この間隔H1が狭いと、冷却風が送風ダクト74の中を進むのに抵抗が大きくなり、送風ダクト74の末端まで風が届かず、左側加熱コイル8Lや中央加熱コイル8Mの冷却効率が落ちる懸念がある。
【0076】
図9、
図11において、57は冷却ユニットであり、全体がプラスチックで形成された筒状又は箱形状の制御箱58と、この制御箱の中に設置された3つのインバーター回路基板55とを備えている。インバーター回路基板55の上には、電力制御用電子部品等の多数の回路素子59及びそれら電子部品が取り付けられた放熱用フィン(「ヒートシンク」ともいう)等が実装されている。回路素子59には、インバーター回路としてスイッチング動作する絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)やこれに逆並列接続されたフリーホイールダイオード(FWD)等の駆動部品が含まれている。放熱用フィンは、IGBTの放熱性能を高めるための部品である。
【0077】
前記3つのインバーター回路基板55は、前記加熱コイル8に1つずつ割り当てられている。そしてこれらインバーター回路基板55は、
図5、
図6、
図8に示しているように、等間隔に垂直に設置され、各インバーター回路基板55の両面に冷却風が通過するようになっている。
【0078】
図8において、58Aは、前記制御箱58の天井面に形成された開口であり、前記送風ダクト74の連通口72Aと対応した位置で、略同じ開口面積を有している。そしてこの開口58Aが連通口72Aの口縁に密着する状態に設置されているので、制御箱58の内部に供給された冷却用の空気が漏れることなく、送風ダクト74の内部へ案内される。58Bは、制御箱58の内部空間で最も下流側の底面から前面にかけて一体に形成した傾斜面で、第1の送風機BM1からの送風を、前記開口58A側に案内する目的で設けてある。
【0079】
前記冷却ユニット57は、
図9に示しているように送風機ケース接続型と、送風機ケース内蔵型の何れかの形態である。つまり、制御箱58の入口開口部に第1の送風機BM1の送風機ケースを密着させる形態と、制御箱58の入口開口部から内部に第1の送風機BM1を挿入して設置する形態である。この参考形態1では、これら何れかの形態で冷却ユニット57が形成されている。76は、後述するモータである。なお、
図9Aは、送風機ケース接続型の冷却ユニット57の外観を示す平面図であり、
図9Bは、送風機ケース内蔵型の冷却ユニット57の構造を示す横断面図である。なお、
図9A、
図9Bの双方とも、第1の送風機BM1は、モータ付きの軸流型ファンを用いた例であり、参考形態1の多翼式送風機とは異なったタイプである。113は、吹出し口を示し、112は吸込み口を示す。
【0080】
前記第2の空間71Bには、前記冷却ユニット57が収納されており、その冷却ユニット57の中に制御箱58があるため、3つのインバーター回路基板55を中心とする高周波電力供給回路は、この制御箱の中に格納されている。この制御箱から前記各加熱コイル8R、8L、8Mに対する電源供給線等の必要な配線は、第2の隔壁73を乗り越えて、送風ダクト74の上まで行き、上部空間70の中で水平に広がって目的の接続端子まで至る。
【0081】
図6、
図8、
図10において、77は、前記上部空間70の後部を前後に仕切る仕切り壁、78は、仕切り壁77で本体ケース3の内部に前後に区画された空間の内、左側を排気側空間79Bに区画する仕切り板である。
【0082】
38は、前後の両端部においては前記第2の隔壁73の略真上の位置にあり、また中間部は右側加熱コイル8Rの右側位置にある仕切り板(第3の隔壁)である。このように上部空間70の中に、前後方向に長く設置している。この仕切り板38は、これより左側の空間が、これより右側にある吸気側空間79Aに連通しないようにしている。そのため、仕切り板38の上面は、トッププレート4の下面に接触している。仕切り板39は、第1の送風機BM1から加熱手段8に対して吹出された冷却風が、吸気側空間79Aに戻ってしまうことを防止している。なお、吸気側空間79Aは、
図6に示している。この吸気側空間79Aの中に、前記第1の送風機BM1の吸込み口112が臨んでいる。
【0083】
仕切り板38と第2の隔壁73とは一体化しても良い。つまり第2の隔壁73と第3の隔壁38とを連結するか、あるいは一体形成して1つの部材として構成しても良い。また仕切り板(第3の隔壁)は、剛性を有する板材で形成せず、ゴムや発泡ウレタンフォーム等の弾力性を有するシール材で形成しても良い。なお、仕切り板38は、場合によっては省略できる部材である。例えば、上部空間70の上で、送風ダクト74から吹出された冷却風が、本体ケース3の外に排出されないまま、第1の送風機BM1の吸込み口112に戻って来ない(所謂、「ショートカットしない」)場合には、設けなくとも良い。
【0084】
第1の送風機BM1は、平面視では仕切り壁77の後方にまで突出し、本体ケース3の後面板3Hに接近した位置にあり、吸気側空間79Aに空気の吸込み口112(
図10参照)が臨んでいる。なお、第1の送風機BM1は、軸流ファン、(多翼式)遠心ファン(シロッコ型、ターボ型)、斜流ファン等の各種タイプのファンが用いられる。
【0085】
以上の構成であるから、前記第1の送風機BM1は、誘導加熱調理の開始と同時に運転開始され、本体ケース3の外部から前記吸気側空間79Aを経由して新鮮な空気を吸引し、吸引した冷却用の空気を冷却ユニット57の内部へ供給する。そして、インバーター回路基板55と、その後は加熱コイル8R、8L、8Mを冷却し、その冷却用の空気は排気側空間79Bを経由し、本体ケース3の外部へ放出する。
【0086】
次に加熱調理器1の制御関係の構成について
図13を参照しながら説明する。
61は、使用者によって開閉操作される主電源スイッチで、200Vの商用電源60に電源プラグ(図示せず)介して接続されている。14は使用者によって開閉操作される主電源スイッチ用の操作キー、62は、この主電源スイッチ61を介して電気エネルギーが供給される電源回路、56は、この電源回路から所定の定圧電流が供給され、マイクロコンピューターを中心に構成されている制御装置である。
【0087】
前記マイクロコンピューターは、入力部と、出力部と、記憶部と、CPU(演算制御部)の4つの部分から構成され、その記憶部には、各種調理メニューに対応した通電制御プログラムが予め記憶(格納)されている。また、前記マイクロコンピューターの記憶部(ROM、RAM)とは別に、異常監視情報を記録する大容量の記憶装置56Rを内蔵している。
【0088】
誘導加熱調理中は、電気的な異常状態の有無の監視が制御装置56によって実施されている。そのために図示していないが、前記インバーター回路基板55には、複数の電圧計、電流計(電流センサー)等を備えている。さらに制御装置56は、温度検出回路63から温度情報を得て、加熱調理器の主要な部分が異常な高温度になっていないかどうかを監視している。例えば前記表示画面20は、液晶表示基板で構成されているが、比較的熱に弱いので、所定温度(例えば60℃)を超えないように温度検出回路63を通じて監視しており、前記所定温度を超えた時点で「異常予備状態」と制御装置56によって判定される(なお、異常予備状態は、検出温度が60℃〜65℃の範囲にある場合に限る。65℃を超えると危険度高まり、制御装置56は本当の異常状態と認定する)。
【0089】
この異常予備状態では直ちに加熱動作は停止せず、本体ケース3の内部空間を冷却している第1の送風機BM1の送風能力を上げることで改善する。しかし65℃を超えた時点で異常状態と制御装置56によって判定され、直ちに加熱動作を停止するため、例えば、右側加熱コイル8Rに高周波電力を供給しているインバーター回路55Rの電源供給を遮断する。
【0090】
そして、少なくともこのような異常予備状態から緊急停止までの期間における加熱調理器1の主要な部分の電気的、物理的(一例として前記した表示画面20の温度)の変化状況を示す(異常監視)情報が、制御装置56の記憶装置56Rの中に格納される。なお、記憶装置56Rに記憶される異常監視情報は、主電源スイッチ61を入れた時点から取得開始され、調理を停止するまでの電気的、物理的変化の履歴が反映されたものとなる。そのため、その後選択した調理メニュー(例えば、「湯沸し」、「煮込み」、「揚げ物」など)や、誘導加熱の火力の情報も、時系列で記録される。途中で異常状態が原因で緊急停止した場合は、その時点まで異常監視情報が前記記憶装置56Rに保存されることになる。
【0091】
またこの参考形態1では、より広範囲にわたって加熱調理器1の動作を監視してデータを取得するため、主電源スイッチ61をONにしてから誘導加熱調理を緊急停止するまでの期間の監視情報を制御装置56が取得できるようにしている。
【0092】
前記3つのインバーター回路基板55の中には、3つのインバーター回路55L、55M、55Rが1つずつ内蔵されている。
インバーター回路55Lは、前記左側の誘導加熱コイル8Lに高周波電流を供給するためのものであり、共振コンデンサー等が接続された周知の共振回路に接続されている。
【0093】
55Rは、前記右側加熱コイル8Rに高周波電流を供給するためのインバーター回路である。また55Mは、中央加熱コイル8Mに高周波電流を供給するためのインバーター回路である。
【0094】
そしてこれら3つのインバーター回路55L、55M、55Rは、前記制御装置56によって互いに独立して駆動されるようになっている。
【0095】
64は、電子的に作成した音声を合成する音声合成装置であり、使用者に対する操作の案内や、異常発生時の報知などをスピーカー65から音声でその都度報知する。
【0096】
63は、前記した温度検出回路である。この温度検出回路は、前記した3つの加熱コイル8L、8M、8Rによって加熱されるトッププレート4上の、第1の調理器具9の温度や、そのトッププレート4の温度、冷却用空間52の雰囲気温度、インバーター回路55L、55M、55R、表示画面20等の温度を検知するための複数個の温度センサー(図示せず)から、それぞれ温度検知情報を受け取り、それら温度検出結果を制御装置56に送る。前記温度センサー(図示せず)は赤外線センサーのような非接触型、あるいはサーミスタのような接触型の何れであっても良く、それらを単独で、又は組み合わせて使用している。
【0097】
66は、リアルタイム・クロックとも呼ばれている時計回路であり、後述する主電源スイッチ61に繋がる電源回路62とは別の専用電源(内蔵電池)BT1から電源が供給され、長期間に亘って駆動されるようになっている。これは例えば電波時計でも良く、常に制御装置56から求めがあれば、現在の日にちと正確な時刻を秒単位で知らせるものであり、この加熱調理器1の製造段階で正しい日時にセットされている。従って、加熱調理器1の主電源を切り、その後再度主電源を投入しても、この時計回路の時刻情報は影響受けず、常に最新の正しい時刻を制御装置56に伝える機能がある。このため、前記制御装置56の記憶装置56Rに記録される異常監視情報も、常に正確な時間が同時に記録されて保存されることになる。
【0098】
67は、地震発生時の揺れを検知する感振機器であり、所定の震度(加速度)以上を感知した場合、振動感知信号を前記制御装置56に送り、制御装置56ではその信号を受けて地震発生と判断し、使用中の全ての加熱手段の電源を瞬時に遮断する動作を行う。
【0099】
68は、無線通信手段である。この無線通信手段は、加熱調理器1の本体ケース3に内蔵されたものでも良いし、後述するアダプター形式で加熱調理器1の電源回路62に接続したものでも良いが、この参考形態1では、アダプター形式を採用している。
【0100】
前記「アダプター」とは、加熱調理器1のような個々の家電機器とその電源との間に設けられる制御機器をいう。例えばここでいうアダプターとは、特開2011−205821号公報、特開2011−55623号公報に示されるようなアダプターをいい、電源プラグとコンセントを有し、そのコンセントに通電を制御すべき電気機器(この参考形態1においては、加熱調理器1)を接続する。そして電力指令信号をアダプターが無線通信によって受け取ると、制御すべき家電機器(加熱調理器1)の電源供給を制限し、又は遮断する。このように既存の家電機器(加熱調理器1)にアダプターを接続し、そのアダプターに、家庭内の総電力量を制限する電力制御装置(図示せず)から電力指令信号を送り、その信号によってアダプターが加熱調理器1を制御するので、既存の加熱調理器1にもアダプターを電源側に介在させることで、電力指令装置によって電力を集中制御できる利点が得られる。
【0101】
図5に示したように、操作部12には入力キー18がある。この入力キー18をタッチ操作すると、前記制御装置56は、無線通信手段68を介して、家庭の外部空間にある広域通信回路網に接続し、情報プロバーダーが設置したサーバー(図示せず)から、前記第1の調理器具9の使用に役立つ情報を取得する。取得した情報は、前記記憶装置56Rに格納される。また表示画面20で表示し、あるいはこの表示に加えて更に、音声合成装置64によってスピーカー65から音声で報知される。
【0102】
69は、表示画面20を駆動するための駆動回路である。この駆動回路は前記制御装置56と接続されている。なお、この表示部駆動回路69は、図示していないが、表示用メモリー、表示コントローラー、インターフェース、電源回路、コモンドライバー、およびセグメントドライバーを、それぞれ備えている。
【0103】
図13において、80は、前記第1の送風機BM1を駆動する駆動回路であり、前記制御装置56によって運転が制御される。
【0104】
以上の構成であるから、次に加熱調理動作について説明する。
次に加熱調理器1の制御関係の構成について
図13を参照しながら説明する。
まず、使用者が主電源スイッチ61をONすると、この主電源スイッチを介して電気エネルギーが電源回路62に供給される。そしてこの電源回路から所定の定圧電流が供給され制御装置56が起動される。
制御装置56は、温度検出回路63や、音声合成装置64、表示部駆動回路69を起動し、異常な温度状態が温度検出回路で検出されない場合で、かつ異常な電圧や電流が検出されない場合には、起動時の自己チェック動作を完了する。そして加熱調理開始できる旨を、前記表示画面20で表示し、かつ音声合成装置64でもスピーカーを通じて報知する。
【0105】
そこで、収納室21のカバー30を手前に引出して、第1の調理器具9を取り出して、例えば
図4、
図10に示すように、左側加熱コイル8Lの真上位置に置く。なお、第1の調理器具9は、皿部9Aだけでも誘導加熱調理に利用できるが、蓋体9Bを同時に使用した方が、被調理物(例えば、魚や肉等)が飛散せず、また熱気が逃げないので、加熱効率が良くなる。
【0106】
制御装置56は、起動時の自己チェック動作を完了した後で、前記安全装置SDの一部を構成するリードスイッチ51が開放(OFF)されると、受け皿26が収納室21の最も奥の所定位置から引き出されたものであると判定する。その後、3つの加熱コイル8L、8M、8Rの何れかの上に、金属製の鍋等の被加熱物が置かれたかどうかを、検知する(このような検知方法は既に各種方法が提案されているので詳しい説明は省略する)。
【0107】
制御装置56は、左側加熱コイル8Lか、又は右側加熱コイル8Rの上に第1の調理器具9があることを検知すると、表示画面20と音声合成装置64によって、加熱調理の条件を操作部12からインプットするように促す。
左側加熱コイル8Lの上に、第1の調理器具9が置かれている場合、左操作部12Lにある、3つの入力キー17を使って、火力や加熱時間等を入力し、その入力キー17の1つで加熱開始の指令を入力すれば、インバーター回路55Lが制御装置56によって駆動され、誘導加熱調理が実行される。
【0108】
このような誘導加熱調理の実行前でも、また実行中、実行後においても、操作部12にある入力キー18をタッチ操作すると、前記制御装置56は、無線通信手段68を介して、家庭の外部空間にある広域通信回路網に接続し、情報プロバーダーが設置したサーバー(図示せず)から、前記第1の調理器具9の使用に役立つ情報をリアルタイムで取得し、取得した情報は、前記記憶装置56Rに格納される一方、表示画面20で表示し、あるいはこの表示に加えて更に、音声合成装置64によってスピーカー65から音声で報知されるので、使用者は、第1の調理器具9を使用する場合に、外部の有益な情報を利用でき、便利である。例えば、魚を焼く場合には、左側加熱コイル8Lの火力について知ることができる。
【0109】
このような誘導加熱調理の実行中、使用者が任意のタイミングで加熱動作を停止できるが、その停止指令は、前記入力キー17の1つで行える。緊急時には、前記主電源スイッチ61の操作キー14を押すことでも簡単に自動停止を行える。
【0110】
誘導加熱調理を終えた第1の調理器具9は、まず、収納室21のカバー30を手前に引出して、受け皿26を収納室21から前方に引き出し、次に、その受け皿26の上に第1の調理器具9を載せれば良い。仮に第1の調理器具9が、まだ加熱調理の直後であって温度が高くとも、受け皿26は金属や耐熱性のプラスチックで形成されているので、何ら支障はない。
【0111】
制御装置56は、前記安全装置SDの一部を構成するリードスイッチ51がONされると、受け皿26が収納室21の最も奥の所定位置に戻されたことを検知する。この状態は、カバー30が挿入口22を閉鎖した状態でもある。そこで収納室21は、外部との空気の連通がない閉鎖空間に戻ったことになるので、前記したように、まだ高温度の第1の調理器具9の影響で、収納室21の内部雰囲気の温度が上昇することが想定される。しかし、この参考形態1では、このような温度上昇も考慮して収納室21を設計してあり、本体ケース3の外郭温度やカバー30の表面温度を所定温度以上に上げることはない。
【0112】
収納室21の内部雰囲気の温度上昇を抑制する対策の1つとして、収納室21の背面や天井面等に通気孔を設け、収納室21を冷却用空間52と連通させても良い。その場合、更に積極的に空気で冷却するならば、送風機BMの冷却風の一部が収納室21の内部に導入され、またそこから排出されて、最終的に収納室21の熱気が、前記排気口6(
図10参照)からの排気流と同様に、本体ケース3から外部へ放出されるようにしても良い。
【0113】
以上の説明では、第1の調理器具9を使用して誘導加熱調理をした場合であったが、その他の一般の金属鍋やフライパン等の調理器具、すなわち前記した第2、第3の調理器具10、11でも調理は可能である。
【0114】
次に、前記制御装置56に対して、前記第1の調理器具9の存在結果を要求する確認指令用のタッチ式入力キー19を操作した場合の制御装置56の動作について説明する。入力キー19を操作されると、収納室21の内部に第1の調理器具9があるかどうかを、制御装置56が検出する。そのために、収納室21には、第1の調理器具9がある場合と、無い場合を判別するセンサー、例えば、受け皿26の上の所定位置に第1の調理器具9があることを、磁気的又は光学的、あるいは重量で検知するセンサーを別途設けている。そして、前記カバー30が開放され、その後閉鎖されたことを前記リードスイッチ51で検知した場合、その開放前と後の磁気的、光学的又は重量(受け皿26を含めた重量で良い)の変化を判定して、金属製であり、比較的に重量がある(例えば、500g以上はある)第1の調理器具9の存在を検知している。第1の調理器具9がある場合、入力キー19を操作した時から直ぐに、その調理器具9の有無が、表示画面20で表示され、又は音声合成装置64で報知されるので、使用者は、例えば左側加熱コイル8Lの上で別の加熱調理をしている場合であっても、前記カバー30を前方に引き出さずに、第1の調理器具9の格納状態を直ぐに確認できるため、便利である。
【0115】
次に、前記第1の送風機BM1による冷却風の流れについて、
図5、
図6、
図7、
図8を参照しながら説明する。
インバーター回路55Lが制御装置56によって駆動され、誘導加熱調理が実行されると、これと同期して制御装置56はモータ駆動回路80を起動し、第1の送風機BM1のモータ76を回転駆動する。
【0116】
すると、
図4に矢印53で示すような吸気流が発生し、本体ケース3の外部の新鮮な空気が、第1の送風機BM1の吸込み口112から吸い込まれ、冷却ユニット57の内部へ強制的に送り込まれる。送り込まれた空気流は、冷却ユニット57の内部を、後方から前方に進む過程で、3枚のインバーター回路基板55の表面を流れるから、多数の回路素子59や、それらが実装されたアルミニウム製放熱フィン(図示せず)等を冷却しながら、制御箱58の天井面にある開口58Aに至る。
【0117】
さらに冷却空気は、連通口72Aから送風ダクト74の内部に入る。そして冷却風路75を、
図5に示すように右側から左方向に進むが、一部は送風ダクト74の多数の小さな通気孔74Aから上方に吹出され、直ぐ上にある右側加熱コイル8Rに衝突してその熱を奪う。これによりこの右側加熱コイル8Rが過熱されることを防止する。なお、右側加熱コイル8Rが駆動されておらず、加熱されていない場合でもこのような冷却風が加熱調理中は行われる。
【0118】
冷却風路75の中を進んだ冷却空気は、突起74Bの所で2つに分かれ、一方は左側加熱コイル8Lへ、他方は中央加熱コイル8Mの方に送り込まれる。そして、中央加熱コイル8Mと、左側加熱コイル8Lに向かってそれぞれの通気孔74Aから吹出す。これにより、これによりこの左側加熱コイル8Lと中央加熱コイル8Mが過熱されることを防止する。なお、中央加熱コイル8Mが駆動されておらず、加熱されていない場合でもこのような冷却風が加熱調理中は行われる。前記したように、この時点では、前記インバーター回路55Lが制御装置56によって駆動され、左側加熱コイル8Lだけが誘導加熱調理を実行している訳であるから、左側加熱コイル8Lは、冷却風路75から吹出された冷却風によって効率良く冷却される。そして冷却後の空気は、送風ダクト74の上を後方に進み、排気側空間79Bに入り、最終的には排気口6から
図10に矢印54Bで示す排気流となって室内空間へ放出される。
【0119】
次に上記したような、第1の送風機BM1からの空気流によって、収納室21の温度上昇が抑制されていることを説明する。
通常、加熱コイル8には、その周囲に防磁リングという漏洩磁束防止の手段が設けてあるが、左側加熱コイル8Lの直下にある第1の隔壁72や収納室21が、真上の位置で誘導加熱している左側加熱コイル8Lの影響を受けて温度上昇する懸念がある。特に200V電源で、インバーター回路55Lを駆動した場合には、左側加熱コイル8Lの下方にまで高周波磁界の影響を強く受けるので、最も近くにある金属製、例えば鋼板製の第1の隔壁72が加熱されることにもなる。またその第1の隔壁72の温度が上がると、これと空隙SP1を介して上壁面21Tが接近している収納室21も間接的に温められる懸念もある。さらにこの収納室21の全体、又は少なくともその上壁面21Tが鋼板等で形成されている場合には、この上壁面21Tが左側加熱コイル8Lの高周波磁界の影響を受けて温度上昇する懸念がある。
【0120】
そこで、この参考形態1においては、左側加熱コイル8Lと収納室21との間に、送風ダクト74を配置し、その送風ダクトの下側、すなわち収納室21に近い側に第1の送風機BM1の冷却風を流すことにした。この構成によれば、
図6に示しているように、左側加熱コイル8Lの下方全体に前記送風ダクト74が存在しているため、その送風ダクト74の範囲の温度上昇が冷却風によって抑制されるので、その送風ダクト74下方にある第1の隔壁72の温度上昇が抑制される。なお、冷却ユニット57から左側加熱コイル8Lの下方に供給される冷却風は、インバーター回路55L、55M、55Rを冷却しただけのものであり(左側加熱コイル8Lで誘導加熱している場合は、インバーター回路55Lだけが駆動される)、室温を数℃〜10℃程度上げる程度であるので、左側加熱コイル8Lの真下まで到達した段階でも未だ温風にはなっていない。このため、第1の隔壁72の温度上昇を抑制する効果が期待できる。
【0121】
この参考形態1においては、なお、第1の送風機BM1は、インバーター回路55Lの駆動が制御装置56によって停止された後も、一定時間(例えば数分間から10分間程度)運転が継続されるように制御装置56の制御プログラムが設定されている。またその一定時間を経過して段階でも、温度検出回路63に温度計測結果を伝える複数の温度センサー(図示せず)が、冷却ユニット57の内部の雰囲気温度、排気側空間79Bの内部、トッププレート4の温度等を計測し、所定の温度まで下がった段階になったことを温度検出回路63が判定しないまでは、前記制御装置56は第1の送風機BM1の駆動回路80に駆動指令を出しているので、インバーター回路55L、55M、55Rの駆動が停止された後も、上部空間70の温度が十分に低下するまで第1の送風機BM1による冷却は継続される。なお、第1の送風機BM1は、インバーター回路55L、55M、55Rの駆動停止後は、モータ76の回転数を落として省エネ運転に自動的に切り替わるようにしても良い。
【0122】
なお、この参考形態1における第2の隔壁73の意義について説明する。前記収納室21には、第1の調理器具9やその他の調理器具等が収容されるので、場合によっては、洗浄した直後の濡れた調理器具や熱い状態の第1の調理器具9が入れられる可能性もある。このような場合、第1の空間71Aの内部が一時的に温度と湿度が高い状態になる懸念もあるが、第2の隔壁73によって、冷却ユニット57が存在する第2の空間71Bとの間が、空気の強制的な対流も自然対流もないように遮断されているので、冷却ユニット57側に高温多湿の空気を吸込ませる懸念もない。
【0123】
参考形態1の総括.
以上の説明から明らかなように、この参考形態1の加熱調理器1は、次の構成を備えていた。
すなわち、この参考形態1における加熱調理器1は、
厨房家具2に支持される本体ケース3と、
前記本体ケース3内を上部空間70と下部空間71の2つの空間に区画する(横方向)第1の隔壁72と、
前記下部空間71を第1の空間71Aと第2の空間71Bに区画する(縦方向)第2の隔壁73と、を備え、
前記第1の空間71A内部には、前記本体ケース3の前面に形成された挿入口22を介して当該本体ケース3の外部に通ずる収納室21を形成し、
前記上部空間70には、前記本体ケース3の上面を構成するトッププレート4上に置かれた被加熱物(第1の調理器具9など)を誘導加熱する加熱手段8を配置し、
前記挿入口22の前方側には、前記挿入口22を開閉自在に塞ぐカバー30を備え、
前記第2の空間71Bには、前記加熱手段8の電源回路用電気部品(回路素子)59を実装したインバーター回路基板55と、前記加熱手段8の駆動中に前記回路素子59の冷却用空気を供給する第1の送風機BM1と、を配置し、
前記第1の送風機BM1から前記加熱手段8に対する冷却風は、前記収納室21の上方で、前記第1の隔壁72の上方空間を通過する構成である。
この構成により、この参考形態1の加熱調理器では、本体ケース3の内部には、収納室21が確保されており、この中に挿入口22から付属品や第1の調理器具9、第2の調理器具10等の物品を挿入して格納でき、また必要な都度取り出すことができる。しかも、収納室21の上方には、加熱手段8の駆動中には冷却風が通過して収納室21の上方の温度上昇を抑制することが期待できるものである。
【0124】
この参考形態1の加熱調理器1によれば、厨房家具2に組み込まれた状態では、加熱調理器1の前面を覆うカバー30が、その左側又は右側の少なくとも何れか一方に隣接する厨房家具2の家具表面材41の前面41Fと大きな段差を生ずることがない。このため、厨房家具2の外観のデザイン性を損なうこともない。
【0125】
この参考形態1の加熱調理器1によれば、前記カバー30は、前記挿入口22を閉じた状態で、その左側又は右側の少なくとも何れか一方に隣接する前記飾り板44の前面位置と合され、当該飾り板44はそれと隣接する厨房家具2の前面と合わせた位置に設置されるものである。このため、この加熱調理器1によれば、加熱調理器1前面と厨房家具2の前面との全体に、統一的平面感を持たせることができる。
【0126】
この参考形態1の加熱調理器1によれば、カバー30と一体化されている受け皿26によって調理器具9を前方へ引き出すことができ、使用者の操作性を向上させることができる。
【0127】
さらに、この参考形態1の加熱調理器1は、制御装置56には、前記カバー30が開いている状態を検知し、当該カバーが開いている状態では前記インバーター回路55L、55M、55Rの動作開始を禁止する安全装置SD(50、51)を設けているものであるため、カバー30が開いている状態では前記インバーター回路55L、55M、55Rの動作開始が自動的に禁止され、安全性を高めることができる。
【0128】
さらに、この参考形態1の加熱調理器1は、操作部12に、前記第1の調理器具9を使用する場合に、前記無線通信手段68を介して調理参考情報を取得することを指令する入力キー18を備えているので、調理に参考となる情報を外部から無線通信で取得することができ、第1の調理器具9を使う場合の利便性を高めることができる。
【0129】
さらに、この参考形態1の加熱調理器1は、全体がプラスチックで形成された筒状又は箱形状の制御箱58と、この制御箱の中に設置された3つのインバーター回路基板55とを備えた冷却ユニット57の中に、電力制御用電子部品等の多数の回路素子59及びそれら電子部品が取り付けられた放熱用フィン等が実装されているため、第1の送風機BM1によって制御箱58の中に強制的に送り込まれる冷却風により、前記インバーター回路基板55や多数の回路素子59等を効率良く冷却することができる。
【0130】
さらに、この参考形態1では、以下の特徴的な構成を備えていた。
すなわち、この参考形態1における加熱調理器1は、
厨房家具2に支持される本体ケース3と、
前記本体ケース3の内部に区画形成され、前面に形成された挿入口22を介して当該本体ケース3の外部に通ずる収納室21と、
前記本体ケース3内を上部空間70と下部空間71の2つの空間に区画する(横方向)第1の隔壁72と、を備え、
前記上部空間70には、前記本体ケース3の上面を構成するトッププレート4上に置かれた被加熱物(第1の調理器具9など)を誘導加熱するための少なくとも2つの加熱手段8L、8Mが水平方向に並べて配置され、
前記挿入口22の前方側には、前記挿入口22を開閉自在に塞ぐカバー30を備え、
前記加熱手段8L、8Mの電源回路用電気部品(回路素子)59を実装したインバーター回路基板55と、前記加熱手段8の駆動中に前記回路素子59の冷却用空気を供給する第1の送風機BM1と、を前記本体ケース3の内部に配置し、
前記第1の送風機BM1から前記加熱手段8L、8Mに対する冷却風は、前記収納室21の上方で、前記第1の隔壁72の上方空間を通過する構成であり、
前記収納室21は、少なくともその上壁面21Tが磁性金属製であり、かつその上壁面21Tの位置は、この上壁面21Tの真上に位置する前記2つの加熱手段8L、8Mとの間隔H2が、5cm以上離れた位置となるように設定されている構成である。
【0131】
この構成であるから、前記収納室21の上壁面21Tが仮に磁性金属製であっても、上方に設置された左側加熱コイル8Lと中央加熱コイル8Mからの磁気的な影響を受けることが殆どないように間隔H2が確保されていることから、上壁面21T自体が誘導加熱されるという影響を無くすことができる。これにより、トッププレート4の上で左側加熱コイル8Lと中央加熱コイル8Mを同時に、又は個別に使用して、それぞれ誘導加熱調理ができる。しかも第1の送風機BM1からの冷却風により収納室21の真上の前記第1の隔壁72の温度上昇が抑制され、また上壁面21T自体の過剰な温度上昇が避けられ、収納室21の過熱が防止できる。このため収納室21に収容する物品等の制約が少なくなり、利便性が向上する。
【0132】
この参考形態1の加熱調理器1は、次の構成を備えていた。
すなわち、この参考形態1における加熱調理器1は、厨房家具2に支持され上面にトッププレート4を有した本体ケース3の内部に、挿入口22を介して当該本体ケース3の外部に通ずる収納室21と、前記トッププレート4上に載置される被加熱物9、10、11を誘導加熱する加熱手段8と、前記加熱手段8の電源回路用インバーター回路基板55と、当該インバーター回路基板55と前記加熱手段8に冷却風を供給する第1の送風機BM1とを、それぞれ設け、前記挿入口22を開閉自在に覆うカバー30を有し、前記収納室21と前記加熱手段8の間には第1の隔壁72を設置し、当該隔壁72の上方に前記第1の送風機BM1からの冷却風を通過させる冷却風路75を備えた構成である。
この構成であるから、トッププレート4の上で誘導加熱調理した際に、収納室21の真上にある第1の隔壁72の上が、第1の送風機BM1からの冷却風の通路になっているため、温度上昇が抑制され、この面からも上壁面21Tの温度上昇が避けられる。
これらにより収納室21の温度上昇が抑制できる。このため収納室21に収容する物品等の制約が少なくなり、利便性が向上する。
【0133】
この参考形態1の加熱調理器1は、次の構成を備えていた。
すなわち、この参考形態1における加熱調理器1は、厨房家具2に支持され上面にトッププレート4を有した本体ケース3の内部に、挿入口22を介して当該本体ケース3の外部に通ずる収納室21と、前記トッププレート4上に載置される被加熱物9、10、11を誘導加熱する加熱手段8と、前記加熱手段8の電源回路用インバーター回路基板55と、当該インバーター回路基板55と前記加熱手段に冷却風を供給する第1の送風機BM1とを、それぞれ設け、前記挿入口22を開閉自在に覆うカバー30を有し、前記加熱手段8は、個別に通電が制御される左側加熱コイル8Lと右側加熱コイル8Rが、前記本体ケース3の左右方向に離れてそれぞれ設置されており、前記収納室21は、前記右側加熱コイル8Rの真下の位置を避けてそれよりも左側の範囲にあり、前記収納室21と、前記左側加熱コイル8Lとの間には第1の隔壁72を設置し、当該隔壁72の上方に前記第1の送風機BM1からの冷却風を通過させる冷却風路75を備えた構成である。
この構成であるから、トッププレート4の上で左側加熱コイル8Lと右側加熱コイル8Rを同時に、又は個別に使用して、誘導加熱調理ができる。しかもそれら加熱調理時に、収納室21の真上にある第1の隔壁72の上が、第1の送風機BM1からの冷却風の通路になっているため、温度上昇が抑制される。これらにより収納室21の温度上昇が抑制できる。このため収納室21に収容する物品等の制約が少なくなり、利便性が向上する。しかも、右側加熱コイル8Rの使用時には、収納室21が仮に磁性金属製であっても、右側加熱コイル8Rによって誘導加熱されることがないように離れた範囲にあり、この面からも収納室21の温度上昇が避けられる。
これらにより収納室21に収容する物品等の制約が少なくなり、利便性が向上する。
【0134】
この参考形態1の加熱調理器1は、次の構成を備えていた。
すなわち、この参考形態1における加熱調理器1は、厨房家具2に支持され上面にトッププレート4を有した本体ケース3の内部に、挿入口22を介して当該本体ケース3の外部に通ずる収納室21と、前記トッププレート4上に載置される被加熱物9、10、11を誘導加熱する加熱手段8と、前記加熱手段8の電源回路用インバーター回路基板55と、当該インバーター回路基板55と前記加熱手段8に冷却風を供給する第1の送風機BM1とを、それぞれ設け、前記挿入口22を開閉自在に覆うカバー30を有し、前記加熱手段8は、個別に通電が制御される左側加熱コイル8L、中央加熱コイル8M及び右側加熱コイル8Rが、前記本体ケース3の左右方向に3個所離れてそれぞれ設置されており、前記収納室21は、前記右側加熱コイル8Rの真下の位置を避けてそれよりも左側の範囲にあり、前記収納室21と、前記左側加熱コイル8Lと中央加熱コイル8Mの両者との間には第1の隔壁72を設置し、当該隔壁72の上方に前記第1の送風機BM1からの冷却風を通過させる冷却風路75を備えたこと構成である。
この構成であるから、トッププレート4の上で左側加熱コイル8L、中央加熱コイル8M、右側加熱コイル8Rの3つを同時に又は別々に使用して、誘導加熱調理ができる。しかもそれら加熱調理時に、収納室21の真上にある第1の隔壁72の上が、第1の送風機BM1からの冷却風の通路になっているため、温度上昇が抑制され、上壁面21Tの温度上昇が避けられる。しかも、右側加熱コイル8Rの使用時には、収納室21が仮に磁性金属製であっても、右側加熱コイル8Rによって誘導加熱されることがないように離れた範囲にあり、この面からも収納室21の温度上昇が避けられる。
これらにより収納室21に収容する物品等の制約が少なくなり、利便性が向上する。
【0135】
参考形態1の変形例.
図16と
図17は、本発明の参考形態1の変形例に係る加熱調理器を示すものである。この変形例では、参考形態1の送風ダクト74を、3つに分離したところが大きな特徴である。なお、以下の説明では、
図1〜
図15と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0136】
図16に示すように、この変形例の送風ダクト74は、3つに分離して形成されている。すなわち、74Rは最も右側に配置された右側送風ダクトであり、右側加熱コイル8Rの真下に配置されている。
4Mは、中央送風ダクトであり、中央加熱コイル8Mの真下に配置されている。74Lは左側送風ダクトである。これら全ての送風ダクトの下面は開放されており、側面と天井面が一連に覆われている。
【0137】
図16に示すように、制御箱58の天井面に形成された開口は2つあり、その内の1つは、第1の送風機BM1に近い側の開口58Aである。もう1つは第1の送風機BM1から見て遠い側にある開口58B(図示せず)である。
【0138】
送風ダクト74の連通口は、前記2つの開口58A、58Bとそれぞれ対応した位置に形成されている。そしてこの2つの開口58A、58Bが、2つの連通口72A、72Bの口縁にそれぞれ密着する状態に設置されているので、制御箱58の内部に供給された冷却用の空気が漏れることなく、送風ダクト74の内部へ2つに分かれて案内される。
つまり、一方の開口58Aから一方の連通口72Aに流れる冷却風と、他方の開口58Bから他方の連通口72Aに流れる冷却風の2つとなる。
【0139】
46は、右側送風ダクト74R中に設置した分離壁であり、これにより連通口72Aと連通口72Bから冷却風の流れにおいて下流側を2つに仕切っている。
【0140】
右側送風ダクト74Rの左端部は、左側送風ダクト74Lの右端部と、連結シール部材37Aを挟んで連通している。連結シール部材37Aは、弾力性に富んでおり、気流の漏れを防止するためのものであり、右側送風ダクト74R左端面と左側送風ダクト74Lの右端面との間に圧縮状態に設置され、それら2つの送風ダクトの内部に連続して形成される冷却風路75の気密性を保っている。連結シール部材37Aは、全体がリング状を呈し、その厚さは10mm以下である。
【0141】
右側送風ダクト74Rの左端部は、中央送風ダクト74Mの右端部と、連結シール部材37Bを挟んで連通している。この連結シール部材37Bも、弾力性に富んでおり、気流の漏れを防止するためのものである。この連結シール部材37Bも右側送風ダクト74Rと中央送風ダクト74Mとの間に圧縮状態に設置されている。連結シール部材37Bは、全体がリング状を呈し、その厚さは10mm以下である。
【0142】
図17において、SP1は、前記第1の隔壁72の下面と、収納室21の上壁面21Tとの間に形成された空隙であり、少なくとも1cm以上に設定されている。SP2は、前記第2の隔壁73の左側面と、収納室21の右壁面21Rとの間に形成された空隙で、30mm〜50mmに設定してある。収納室21の上壁面21Tの位置は、左側加熱コイル8Lと中央加熱コイルから磁気的な影響を受けることを低減させるため、左側加熱コイル8L、中央加熱コイルとの間隔H2が、それぞれ最低でも50mm、好ましくは60mm以上離れた位置となるように設定されている。実際にこの変形例では、間隔H2は70mmである。
【0143】
図17に示しているように、左側送風ダクト74Lは、その天井面までの高さが高い部分74L1と低い部分74L2の2つの部分を備えた一体成型品である。耐熱性プラスチッチで形成してある。天井面までの高さが低い部分74L2は、長く形成すると送風抵抗(風路の圧力損出)が大きくなり、十分な風量を供給できない懸念があるので、短い方が良い。この変形例では長さLLは、150mm以下にしている(
図16参照)。
【0144】
図17に示しているように、左側送風ダクト74Lの天井面までの高さが高い部分74L1から第1の隔壁72までの間隔H1は、30mmに設定されている。しかし、天井面までの高さが低い部分74L2から第1の隔壁72までの間隔SHは、20mmに設定されている。つまり、この変形例でも、冷却風路75の実質的な高さは、20mmが確保されている。この間隔SHが、20mmよりも狭いと、冷却風が送風ダクト74の中を進むのに抵抗が大きくなり、左側送風ダクト74Lの末端まで風が届かないという懸念がある。
【0145】
次に、前記第1の送風機BM1による冷却風の流れについて、
図16〜
図17を参照しながら説明する。
インバーター回路55Lが制御装置56によって駆動され、誘導加熱調理が実行されると、これと同期して制御装置56はモータ駆動回路80を起動し、第1の送風機BM1のモータ76を回転駆動する。
【0146】
すると、本体ケース3の外部の新鮮な空気が、参考形態1で説明したように第1の送風機BM1から吸い込まれ、冷却ユニット57の制御箱58の内部へ強制的に送り込まれる。送り込まれた空気流は、インバーター回路基板55やその他発熱性電子部品等を冷却しながら、制御箱58の天井面にある開口58Aに至る。
【0147】
そして冷却空気は、上流側にある連通口72Aから右側送風ダクト74Rの内部に入る。そして一部はその送風ダクトの真上に向かって噴出する。但し、この場合、右側加熱コイル8Rは加熱動作していないので、噴出した空気流で右側加熱コイル8Rを冷却することはない。
【0148】
一方、噴出しなかった残りの冷却空気は、冷却風路75の中で、分離壁46よりも後方側を通り、中央送風ダクト74Mの中に到達する。そしてこのダクト74Mの真上に向かって噴出する。中央送風ダクト74Mから噴出した空気と、前記右側送風ダクト74Rから噴出した空気は、排気側空間79Bに至り、排気口6から室内へ放出される。
【0149】
一方、上流側にある連通口72Aから出ずに、制御箱58の中をそのまま直進した冷却風は、下流側にある連通口72Bから右側送風ダクト74Rの内部(分離壁46よりも前方)に入る。そして右側送風ダクト74Rから右側加熱コイル8Rに向かっては噴出しない。
【0150】
その後、冷却空気は冷却風路75の中(分離壁46よりも前方側)を通り、左側送風ダクト74Lの中に到達する。そして左側加熱コイル8Lに向かって多数の通気孔74Aから噴出する(吹き出す)。これにより左側加熱コイル8Lはもちろん、コイルベース32、フェライト33、防磁リング34等が冷却される。
【0151】
次に上記したような、第1の送風機BM1からの空気流によって、収納室21の温度上昇が抑制されていることを説明する。
参考形態1で説明したように、収納室21の上方の加熱手段8が誘導加熱動作を開始すると、例えば、左側加熱コイル8Lでは、その下方にまで高周波磁界の影響を強く受け、例えば鋼板製の第1の隔壁72が加熱されることにもなる。またその第1の隔壁72の温度が上がると、これと空隙SP1を介して上壁面21Tが接近している収納室21も間接的に温められる懸念もある。
【0152】
これに対してこの変形例では、左側加熱コイル8Lと収納室21との間、及びに中央加熱コイル8Mと収納室21との間の双方に、送風ダクト74(74L、74M)を配置し、その送風ダクトの下側、すなわち収納室21に近い側に第1の送風機BM1の冷却風を流すことにした。この構成によれば、
図6に示しているように、左側加熱コイル8Lの下方全体に前記送風ダクト74が存在しているため、その送風ダクト74の範囲の温度上昇が冷却風によって抑制されるので、その送風ダクト74下方にある第1の隔壁72の温度上昇が抑制される。なお、冷却ユニット57から左側加熱コイル8Lの下方に供給される冷却風は、インバーター回路55L、55M、55Rを冷却しただけのものであり(左側加熱コイル8Lで誘導加熱している場合は、インバーター回路55Lだけが駆動される)、室温を数℃〜10℃程度上げる程度であるので、左側加熱コイル8Lの真下まで到達した段階でも未だ温風にはなっていない。このため、第1の隔壁72の温度上昇を抑制する効果が期待できる。
【0153】
図16に示すように、この変形例の送風ダクト74は、3つに分割されて形成されているため、右側送風ダクト74R、中央送風ダクト74M、左側送風ダクト74Lを、別々に形成できる。このため大きなプラスチック成形用の金型や、金属プレス用の金型等を用意する必要がなくなる。このため、参考形態1に比較して送風ダクトの製造コストを低減できるという効果がある。
【0154】
参考形態2.
図18は、参考形態2に係る加熱調理器を示すものである。この参考形態では、加熱調理器1の収納室21を、さらに積極的に冷却する工夫を施したところが特徴である。なお、
図1〜
図15と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。
【0155】
図18は、
図8と同様な位置で見た場合の縦断面図である。
図18に示すように、この参考形態2の加熱調理器1では、収納室21の天井部を構成する上壁面21Tが金属製の薄板で構成され、その他の壁面(後壁面21B、右壁面21R、左壁面21L、底壁面21U)は、全てプラスチック製である。
【0156】
図18において、81は、第1の隔壁72に形成した開口であり、左側加熱コイル8Lの真下の位置に形成されている。82は、この開口を下方から塞ぐように第1の隔壁72の下面に取り付けられた防磁板であり、例えばアルミニウム製の薄板から全体が構成されている。83は、防磁板82の上面に一体成型又は取り付けられた放熱フィンであり、薄いアルミニウム板で形成されている。この放熱フィンは、連通口72A側に向かうように、互いに近接して複数列に並べてある。
【0157】
図18においても、W1は、前記カバー30の横幅寸法を示しており、収納室21の挿入口22の横幅、言い換えると間口寸法よりも大きく設定されている。第2の隔壁73から右側の範囲は、本体ケース3の前方に固定された右カバー44によって、前方側全体が覆われている。
【0158】
以上のような構成であるから、参考形態2に係る加熱調理器1では、第1の送風機BM1から左側加熱コイル8Lに対する冷却風は、前記収納室21の上方で、前記第1の隔壁72の上方空間を通過する。その際に、送風ダクト74から通気孔74Aに行く直前の冷却風が、前記防磁板82と連結されている放熱フィン83を冷却する。このため、防磁板82が冷却されることになる。そのため、収納室21の上壁面21Tが左側加熱コイル8Lに行く前の冷却風によって間接的に冷却されることになる。
【0159】
参考形態2の総括.
以上の説明から明らかなように、この参考形態2の加熱調理器1においても、参考形態1と同様に、第1の送風機BM1から左側加熱コイル8Lに対する冷却風は、前記収納室21の上方で、前記第1の隔壁72の上方空間を通過する構成である。
しかも、参考形態2では、前記収納室21の天井面を構成する上壁面21Tが左側加熱コイル8Lに行く前の冷却風によって間接的に(防磁板82を介して)冷却されるので、参考形態1よりも更に効果的に収納室21の温度上昇抑制効果を期待できる。
なお、収納室21を設けたことによる効果は、参考形態1と同等のものが期待できるので、詳しい説明は省略する。
【0160】
参考形態3.
図19と
図20は、参考形態3に係る加熱調理器を示すものである。この参考形態では、加熱調理器1の収納室21を、さらに積極的に冷却する工夫を施したところが特徴である。なお、
図1〜
図15と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。
【0161】
図19は、
図6と同様な位置で見た場合の平面図であり、トッププレートと後部枠板とを取り外した状態で示している。
図19に示すように、この参考形態3の加熱調理器1では、第2の空間71Bの中にある冷却ユニット57の制御箱58と収納室21との間を、分岐ダクト84で連結したところが特徴である。
【0162】
図20は、
図19のY−Y線の縦断面図である。
図19と
図20に示しているように、分岐ダクト84は、一端部(上流側)が制御箱58の左側面に接続され、他端部(下流側)が収納室21の右壁面21Rの上部に接続されている。これにより、第1の送風機BM1から冷却ユニット57の内部へ供給された冷却風の一部は、インバーター回路基板55の後部に至る段階で分岐して分岐ダクト84の中に流入する。
【0163】
分岐ダクト84の中に流入した冷却風は、
図20に破線の矢印で示すように分岐ダクト84の末端部から収納室21の内部に導入され、収納室21の中を通ったあと、収納室21の天井部(上壁面21T)を貫通するように設けた排気ダクト85から、上部空間70に放出される。
【0164】
38は、3つの加熱コイル8R、8L、8Mの周囲を囲むように設けた仕切り板(第3の隔壁)である。参考形態1では、上部空間70の中に、前後方向に長く設置していた。これに対し、この参考形態3では、仕切り板38は、第1の送風機BM1から加熱手段8に対して吹出された冷却風が、周囲に拡散しないように包囲する目的で設けている。そして排気側空間79Bの中に、第1の送風機BM1からの冷却風が効率よく案内されるようにしている。
【0165】
排気ダクト85は、
図19に破線で示すように、収納室21の後部の左隅部の天井部(上壁面21T)を貫通するように設けてあるが、この排気ダクト85から排出された収納室21内部の空気を、排気口6まで案内する仕切り板39が上部空間70の中に設置されている。
【0166】
仕切り板39は、排気ダクト85の出口の左側と前方を一連に囲むように、平面視でL字型に設けてあるが、排気ダクト85の出口の前後・左右と全て囲むように設けても良い。仕切り板39の上面は、トッププレート4の下面に接触している。
【0167】
排気ダクト85から排出された空気と、第1の送風機BM1から加熱手段8に対して吹出された冷却風は、仕切り板38と、仕切り板39によって、仕切り壁77よりも前方では混じり合うことはなく、排気口6に至るまでは分離されて流れる。なお、
図19に排気口6の位置を参考的に破線で示しているが、トッププレート4と後部枠板5とを取り外した状態で、この排気口6の位置が
図19の位置に目視できるという意味ではない。
【0168】
参考形態3の総括.
以上の説明から明らかなように、この参考形態3の加熱調理器1においても、参考形態1と同様に、第1の送風機BM1から左側加熱コイル8Lに対する冷却風は、前記収納室21の上方で、前記第1の隔壁72の上方空間を通過する構成である。
しかも、参考形態3では、第1の送風機BM1から冷却ユニット57の内部へ供給された冷却風の一部は、インバーター回路基板55の後部に至る段階で分岐して分岐ダクト84の中に流入する。つまり、インバーター回路基板55の熱を奪って温度が上昇する前の冷却風が分岐ダクト84で収納室21の内部へ直接供給される構成であるため、収納室21が冷却風によって直接的に冷却される。このため、参考形態1及び参考形態2よりも更に効果的に収納室21の温度上昇抑制効果を期待できる。
なお、収納室21を設けたことによる効果は、参考形態1と同等のものが期待できるので、詳しい説明は省略する。
【0169】
参考形態4.
図21〜
図23は、本発明の参考形態4に係る加熱調理器を示すものである。
この参考形態4では、加熱調理器1の左側誘導加熱部に特徴がある。なお、
図1〜
図14と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0170】
図21〜
図23において、この参考形態4の加熱調理器は、左側の誘導加熱部と右側の誘導加熱部と中央加熱部とを備えた、いわゆる3口の誘導加熱調理器であり、平面視で横長矩形(横長方形ともいう)の本体ケース3を備えている。
【0171】
本体ケース3は、外形形状が流し台等の厨房家具2に形成した設置口2Aを覆う大きさに合わせて、外形形状が設定されている。
金属製薄板から形成された本体ケース3の胴部3Uは、内側寸法で横幅W3が540mm(又は550mm)、奥行DP1が402mmの箱形に設計されている。この本体ケース3の内部に前記左側加熱コイル8L、右側加熱コイル8R及び中央加熱コイル8Mが、それぞれ設置されている。胴部3Uの平面的な大きさは
図17で分かる。
【0172】
トッププレート4は、
図21に示すように長方形である。このトッププレート4を構成する耐熱性の強化ガラス板は、横幅W2が728mm、奥行寸法DP2は前記奥行寸法DP1よりも大きい。
【0173】
図21、
図22において、8Mは、中央加熱コイルであり、最大外形寸法DM1は100〜120mm程度である。
8Rは、中央加熱コイルであり、最大外形寸法DM3は、200mm程度である。
【0174】
8Lは、左側加熱コイルである。MCは左側加熱コイル8Lの中心部にある主加熱コイルであり、被加熱物を載せるトッププレート4に接近して配置されている。第21、
図22中、破線の円で示したものが、金属の鍋等の被加熱物の底面部分の範囲である。
またこの主加熱コイルは、中心点X1を基点として外形形状が円形になるようにして最終的に円盤形にコイル線を巻いて成形されている。主加熱コイルMCの直径(最大外径寸法)DA2は約180mm程度である。この参考形態4では例えば、定格最大消費電力(最大火力)2000Wの能力を備えている。主加熱コイルは、環状の内側コイルと、これに直列接続された環状の外側コイルの2つの部分で構成されている。
【0175】
SC1〜SC4は、4個の長円形副加熱コイルであり、前記主加熱コイルMCの中心点X1を基点として前後・左右に、かつ等間隔で、それぞれ対称的に配置されている。
4個の副加熱コイルSC1〜SC4は、前記主加熱コイルMCの外周面に所定の空間(数mmから10mm程度の大きさ。以下の説明では「5mm」の例で説明する)の空間を保って、コイルベース板(図示せず)の上面に固定されている。
4つの副加熱コイルSC1〜SC4は、平面的形状が同じで、縦・横・高さ(厚さ)寸法も全て同一寸法である。従って1つの副加熱コイルを4個製造し、それを4箇所に配置している。
【0176】
これら4つの副加熱コイルSC1〜SC4は
図22に示すように、中心点X1から所定の半径の主加熱コイルMCの周囲において、その接線方向が丁度各副加熱コイルSC1〜SC4の長手方向の中心線と一致している。言い換えると長径方向と一致している。
副加熱コイルSC1〜SC4は、それぞれの集合線が長円形に湾曲しながら伸びて電気的に一本の閉回路を構成している。また主加熱コイルMCの垂直方向寸法(高さ寸法、厚さともいう)と各副加熱コイルSC1〜SC4の垂直方向寸法は同じであり、しかもそれら上面と前記トッププレートの下面との対向間隔は同一寸法になるように水平に設置、固定されている。
4つの副加熱コイルSC1〜SC4の最も外側を囲む円の直径は、例えば300mmである。このため、この左側加熱コイル8Lでは、底面の直径が320〜350mm程度の被加熱物に対応できる。
【0177】
図21は、左側加熱コイル8Lに電力供給するための回路ブロック図である。左側加熱部の主加熱コイルMCのための主インバーター回路55LMと、4つの副加熱コイルSC1〜SC4毎に接続されている専用の副インバーター回路55LS1、55LS2、55LS3、55LS4を備える。
【0178】
55Rは、右側加熱コイル8Rのためのインバーター回路、55Mは、中央加熱コイル8Mのための駆動回路である。
前記右側加熱コイル8Rは、環状に巻かれた1つの加熱コイルと、この加熱コイルと並列になっている外側の加熱コイルとの二重構成であり、2つの加熱コイルは、別々のタイミングで独立して加熱駆動することができる。そのために、前記インバーター回路55Rの構成は、参考形態1のインバーター回路55Rの構成とは異なっている。具体的には2つの加熱コイルの、それぞれに専用のインバーター回路55R1と55R2を備えている。
図21では2つのインバーター回路55R1、55R2を纏めて、符号55Rで表示している。
【0179】
以下具体的に説明すると、前述したように、右側の加熱コイル8Rの最大外形DA3は、200mmであるが、これは外側の環状コイルの外径である。
内側の環状コイルの最大外形は約100mmである。
このため、例えば内側の環状コイルだけを駆動して、小径(例えば80mm〜120mm程度)の被加熱物Nを誘導加熱することができる一方、外側環状コイルと内側環状コイルを同時に駆動して(又は短時間に交互通電して)、より大きな直径、例えば220mm程度のものも加熱できる。
【0180】
主インバーター回路55LMと副インバーター回路55LS1〜55LS4は、商用電源60からの電力がコンバーター(図示せず)を介して直流電流で供給されるので、その直流電流を高周波電流に変換し、それぞれ主加熱コイルMCおよび副加熱コイルSC1〜SC4に(互いに)独立して供給できる。
【0181】
一般に、誘導加熱コイルのインピーダンスは、誘導加熱コイルの上方に載置された被加熱物Nの有無および大きさ(面積)に依存して変化するから、これに伴って前記主インバーター回路55LMと副インバーター回路55LS1〜55LS4に流れる電流量も変化する。この参考形態4では、主加熱コイル55MCと副加熱コイルSC1〜SC4に流れる、それぞれの電流量を検出するための電流検出部(検出手段)87を有する。この電流検出部は、後述する被加熱物載置判断部86の一種である。
【0182】
この参考形態4では、電流検出部87を用いて、主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4に流れる電流量を検出することにより、それぞれのコイルの上方に被加熱物が載置されているか否か、または被加熱物の底部面積が所定値より大きいか否かを推定し、その推定結果を制御装置56に伝達するので、被加熱物の載置状態について精度よく検出することができる。なお、ここでいう被加熱物とは、参考形態1で説明したような、第1の調理器具9、第2の調理器具10、第3の調理器具11の全てを含んでいる。
【0183】
この参考形態4では、図示のように、制御装置56は、電流検出部87接続されており、被加熱物の載置状態に応じて、主インバーター回路55LMと副インバーター回路55LS1〜55LS4に制御信号を与えるものである。すなわち、制御装置56は、電流検出部87で検出された主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4に流れる電流量に関する信号(被加熱物の載置状態を示すデータ)を受け、被加熱物が載置されていないか、あるいは被加熱物の直径が所定値(例えば120mm)より小さいと判断した場合には、それら主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4への高周波電流の供給を禁止又は(既に供給開始されている場合はそれを)停止するように主インバーター回路55LMと副インバーター回路55LS1〜55LS4を選択的に制御する。
【0184】
この参考形態4によれば、制御装置56は、被加熱物の載置状態に応じた制御信号を主インバーター回路56LMと副インバーター回路55LS1〜55LS4に供給することにより、主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4への給電を互いに独立して制御することができる。また、中央にある主加熱コイルMCを駆動せず(OFF状態とし)、かつ、すべての副加熱コイルSC1〜SC4を駆動する(ON状態とする)ことにより、フライパンなどの鍋肌(鍋の側面)だけを予熱するといった調理方法も実現可能となる。
【0185】
図21において、88は、前記主加熱コイルMCを構成する外側の環状コイルと、内側の環状コイルの間に確保された空間に、温度検出素子を設置した温度センサーである。例えば、赤外線を検知して温度を感知する温度センサーである。この温度センサーも、前記被加熱物載置判断部86の一部を構成している。つまり、第1の調理器具9等の被加熱物が、左側加熱コイル8Lの上に置かれて誘導加熱が開始されると、その被加熱物がある温度以上になれば、この温度センサーによって存在が検知される。
【0186】
図23において、89は、収納室21と同様に、前方に挿入口90を備えた第2の収納室である。この収納室89は、鍋等の調理器具を収納するためのものではない。加熱調理器1の使用説明書等を収容するためのものである。
【0187】
30は、プラスチック製のカバーであり、前記2つの収納室21、89の双方の挿入口22、90を同時に開閉できるよう、正面から見て横長長方形である。
【0188】
この参考形態4では、第1の送風機BM1は、本体ケース3の背後側の壁面(後面板3H)に設けた多数の吸込孔(図示せず)から、本体ケース3の外部の空気を吸込む。そして
図23に矢印91で示すように、インバーター回路基板92を冷却した後の空気が、図示していないが、送風ダクト74を介して加熱手段8に供給され、最終的には本体ケース3の後部の排気側空間79Bに連通した排気口6(図示していない)から排出される。
【0189】
93は、厨房家具の家具表面材である。この家具表面材93の前面93Fと、前記カバー30とは、上方から見て、横一線上に並ぶように、カバー30の厚みと前後方向の位置が管理されている。これにより、カバー30を取り付けた状態では、前面の位置が揃う。
【0190】
なお、第2の収納室89を設けずに、参考形態1に示したように、飾り板44をカバー30の右隣に設置しても良い。
【0191】
図23に示しているように、第1の調理器具9は、内側の底面形状が楕円形である。その底面の長径寸法LSは、例えば280mmである。そして、この第1の調理器具9は、その両側に設けた取っ手9Dを含めた最大長さが、例えば320mmである。このため、前記収納室21の奥行寸法L2(330mm)の範囲に収まる。
【0192】
また、第1の調理器具9は、
図22に示したように、右側加熱コイル8Rによって加熱した場合には、第1の調理器具9が楕円形であり、底面の長径寸法LSは、280mmであるから、最大外形DA3が200mmの右側加熱コイル8Rでは小さすぎる。つまり、第1の調理器具9の両端部が十分に加熱できない懸念がある。
【0193】
これに対して、左側加熱コイル8Lは、前述したように、4つの副加熱コイルSC1〜SC4の最も外側を囲む円の直径は、例えば300mmであり、この左側加熱コイル8Lでは、底面の直径が320〜350mm程度の被加熱物に対応できる。
前述したように、制御装置56は、被加熱物の載置状態に応じた制御信号を主インバーター回路56LMと副インバーター回路55LS1〜55LS4に供給する。
図21のように主加熱コイルMCと、これを挟んで両側にある2つ副加熱コイルSC2、SC3の上に、第1の調理器具9がある場合には、主インバーター回路56LMと、2つの副インバーター回路55LS2、55LS3の3つのインバーター回路が、制御装置56によって選定され、それらに対し、個々に(同時又は時間差で)高周波電力が印加される。これにより、例えば、第1の調理器具9の中に、細長い魚(例えば、秋刀魚)を入れて魚焼きをする場合でも、その第1の調理器具9底面全体を誘導加熱できるから、魚全体を加熱できる。
【0194】
左側加熱コイル8Lは、
図22に示したように、主加熱コイルMCだけの加熱もできるので、この左側加熱コイル8Lでは、大きさや平面形状の異なる多種類の金属製被加熱物に対応できる。そして、秋刀魚のような長い被調理物を調理できるように楕円形や長方形に形成した第1の調理器具9であっても、その調理器具の大きさに対応して、駆動に必要な副加熱コイルSC1〜SC4が制御装置56によって自動的に選択できる構成であるから、使用者の利便性を向上させることができる。
【0195】
さらにこのような長い第1の調理器具9であっても、
図23に示しているように、この本体ケース3の前面に形成された挿入口22から後方側に連続して当該本体ケース3の内部に収納室21を形成しているので、大きな第1の調理器具9であっても収納できる。
【0196】
参考形態4の総括.
以上の説明から明らかなように、この参考形態4の加熱調理器1においても、参考形態1と同様に、第1の送風機BM1から左側加熱コイル8Lに対する冷却風は、前記収納室21の上方で、前記第1の隔壁72の上方空間を通過する構成である。
しかも、左側加熱コイル8Lは、は、4個の長円形副加熱コイルSC1〜SC4と、主加熱コイルMCとを備えた構成である。そのため、中心コイルと独立して電力が供給される副加熱コイルSC1〜SC4と主加熱コイルMCの協同加熱時には、加熱できる範囲が大きくなるので、円形以外の大きな調理器具9であっても加熱調理に使用でき、しかもそのような調理器具9は、使用しない場合には、前記収納室21に格納できるから、使用時、非使用時の双方で利便性を高めることができる。また、長方形や楕円形の被加熱物も加熱できるので、従来よりも大径の鍋や調理用鉄板等も使用することができ、多種の調理に対応できる。
なお、収納室21を設けたことによる効果は、参考形態1と同等のものが期待できるので、詳しい説明は省略する。
【0197】
参考形態5.
図24は、本発明の参考形態5に係る加熱調理器を示すものである。この参考形態5では、加熱調理器1の収納室21の形態を変化させ、受け皿26を支持するだけの支持部を残して収納室21の左右両側を区画する左壁面21L、右壁面21R、後壁面21B、上壁面21Tを無くしたところが大きな特徴である。なお、
図1〜
図15と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0198】
この参考形態5で、21は収納室であり、この収納室21の専用の壁はなく、左側は本体ケース3の胴部3Uの左壁面を利用し、また右側は第2の隔壁73を利用している。また天井面は、金属製の薄板から形成された第1の隔壁72の一部が利用(兼用)されている。
収納室21の底面を構成する本体ケース3の胴部3U底面には、複数個所に通気口95が形成され、収納室21の中と外部とを連通させている。
【0199】
26は、収納室21の内部に前後方向に移動自在に設置された受け皿であり、左右両側の垂直壁26L、26Rの部分は、垂直に立ててある金属製の支持板94L、94Rによって支持されている。2枚の支持板94L、94Rは、本体ケース3の胴部3Uの上面に溶接等で固定されている。
【0200】
96は、収納室21の内部の所定位置に必要に応じて挿入口22から挿入される仕切り板であり、この仕切り板96を設置した場合には、右側にある第2の隔壁73との間に、別の収納空間97が出現する。つまり、仕切り板96と第2の隔壁73との間に、数cm程度の空隙SP2の空間が区画形成される。このため、受け皿26の上に収納する調理器具9等とは別の、小物の付属品や調味料、食品等が格納できる部屋になる。なお、この収納空間97と収納室21は、共通のカバー30によって前方の挿入口部分が塞ぐことができるので、厨房家具2を正面から見た場合に、収納した物品等が目視されて美観を損なうようなことはない。
【0201】
参考形態5の総括.
以上の説明から明らかなように、この参考形態5の加熱調理器1においても、参考形態1と同様に、第1の送風機BM1から左側加熱コイル8Lに対する冷却風は、前記収納室21の上方で、前記第1の隔壁72の上方空間を通過する構成である。
しかも、この参考形態5では、前記収納室21の天井面を構成する上面壁自体が第1の隔壁72で形成され、この第1の隔壁72の上面に沿って左側加熱コイル8Lに行く前の冷却風が流れるので、その冷却風によって直接的に冷却されることになる。従って、参考形態1よりも更に効果的に収納室21の温度上昇抑制効果を期待できる。
【0202】
さらにこの参考形態5では、収納室21の内部に必要に応じて挿入口22から仕切り板96を入れて固定した場合には、右側にある第2の隔壁73との間に、別の収納空間97が出現するので、調理器具9等とは別の、小物の付属品や調味料、食品等が格納できる部屋になり、利便性が更に向上する。なお、仕切り板96を支持するために、収納室21の天井部と底面には、仕切り板96の上下端部を受けるレール等の支持部が事前に固定されてある。
【0203】
さらにこの参考形態5では、収納室21のための後壁面21Bは用意したが、参考形態1のような、専用の左壁面21Lや右壁面21R、底壁面21U、上壁面21Tを設けていないため、それだけ材料費を節約でき、安価に提供できるという効果が期待できる。なお、収納室21を設けたことによる効果は、参考形態1と同等のものが期待できるので、詳しい説明は省略する。
【0204】
参考形態6
図25は、本発明の参考形態6に係る加熱調理器を示すものである。この参考形態6では、参考形態5と同様に、加熱調理器1の収納室21の形態を変化させ、受け皿26を支持するだけの支持部を残して収納室21の左右の壁面を無くしたところが大きな特徴である。なお、
図1〜
図15と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0205】
この参考形態6では、受け皿26の支持構造も変更している。すなわち、受け皿26は、収納室21の底部にあって、前後方向に延びる金属製の一対の固定レール98と、この固定レールの中を転動して前進又は後進する転動体(コロ)99とを備えた構成である。受け皿26は、前記転動体99に軸(図示せず)で支持されている。
【0206】
本体ケース3内部を上部空間70と下部空間71に仕切る第1の隔壁72は、参考形態1のように、本体ケース3の右側面まで至らず、途中までしか存在しない。しかし、その第1の隔壁72の右端部には、前記冷却ユニット57の制御箱58の上端部(側面)が接触するように設置されている。そしてこの制御箱58と第1の隔壁72とによって、本体ケース3内部は、上部空間70と下部空間71との2つの部分に実質的に仕切られていることが、この参考形態6の1つの特徴である。
【0207】
21は収納室であり、この収納室21の専用の壁はなく、左側は本体ケース3の胴部3Uの左壁面を利用し、また右側は第2の隔壁73を利用している。また天井面は、金属製の薄板から形成された第1の隔壁72の一部が利用(兼用)されている。この点は、参考形態5の構成と同じである。
【0208】
さらにこの参考形態6でも、参考形態5と同じように、収納室21の内部に必要に応じて挿入口22から仕切り板96を入れた場合には、右側にある第2の隔壁73との間に、別の収納空間97が確保できるようにしており、その収納空間97には、調理器具9等とは別の、小物の付属品や調味料、食品等が格納できる。
【0209】
参考形態6の総括.
以上の説明から明らかなように、この参考形態6の加熱調理器1においても、参考形態1と同様に、第1の送風機BM1から左側加熱コイル8Lに対する冷却風は、前記収納室21の上方で、前記第1の隔壁72の上方空間を通過する構成である。
しかも、この参考形態6では、前記収納室21の天井面を構成する壁面自体が第1の隔壁72で形成され、この第1の隔壁72の上面に沿って左側加熱コイル8Lに行く前の冷却風が流れるので、その冷却風によって直接的に冷却されることになる。従って、参考形態1よりも更に効果的に収納室21の温度上昇抑制効果を期待できる。
【0210】
さらに、本体ケース3内部を上部空間70と下部空間71に仕切る第1の隔壁72は、本体ケース3の右側面まで至らず、途中までしか存在しないので、参考形態1に比べて第1の隔壁72の面積を少なくでき、コスト上で安価にできる。なお、収納室21を設けたことによる効果は、参考形態1と同等のものが期待できるので、詳しい説明は省略する。
【0211】
参考形態7.
図26は、本発明の参考形態7に係る加熱調理器を示すものである。この参考形態7では、参考形態6を更に改良し、収納室21の内部に、専用の送風機によって本体ケース3の外部からの空気を取り入れたところが大きな特徴である。なお、以下の説明では、
図1〜
図15と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0212】
図26において、BM2は第1の空間71Aの下部に設置された第2の送風機であり、本体ケース3の胴部3Uの底面に形成した吸気孔101の真上に設置されている。なお、この第2の送風機は、ファンの回転軸が垂直になるように設置された軸流型の送風機であり、下方から吸込んだ空気を上方へ供給するように設置してある。
【0213】
102は、第2の送風機BM2の下流側になる位置に設置されたイオン発生器又はオゾン発生器等の空気殺菌手段である。103は、更にこの空気殺菌手段よりも第2の送風機100の下流側になる位置に設置された案内板である。前記空気殺菌手段102と案内板103は、第2の隔壁73の第1の空間71A側の面に取り付けられている。
【0214】
104は、収納室21の天井面を構成する第1の隔壁72に設けた排気口である。この排気口は、第2の送風機BM2から見て、最も遠い収納室の左奥部に形成されている。105は、一対の支持板94L、94Rにそれぞれ設けた水平方向(前後方向)に細長い溝、106は、受け皿26の左右両側に水平に固定された支持用ピンであり、このピンは前記溝105の中に通されている。このため、受け皿26を使用者が挿入口22側へ引き出そうとして引っ張れば、受け皿26は前記ピン106が溝105に支えられて前方に摺動するから、受け皿26の重量を使用者が手で支えなくとも、簡単に前方へ引き出せる。
【0215】
26Rは、受け皿26の右側垂直壁、26Lは、受け皿26の左側垂直壁である。
図26に示しているように、受け皿26の全体は、前記左右の垂直壁26L、26Rに多数の透孔26Fが形成された形状を呈している。すなわち、この受け皿全体がプラスチック等で一体成型されており、また多数の透孔26Fが周囲に形成されて通気性を高めているので、食器籠のような形態である。なお、前記排気口104には、イオン発生器又はオゾン発生器等の空気殺菌手段102と併用して空気の雑菌、脱臭効果を高めるために、活性炭のフィルターや、オゾンを除去する触媒等を設けても良い。もし、そのようなフィルターや触媒を設ける場合には、挿入口22から交換ができるように設置構造を工夫すると良い。
【0216】
図26に示した参考形態7では、収納室21の収納容積を実質的決める右壁面は、多数の透孔26Fが形成されている右側垂直壁26Rである。この右側垂直壁26Rと、第2の隔壁73との間には数cm〜10cm程度の第2の空隙SP2が形成される。そしてこの第2の空隙SP2の底部近くに、前記第2の送風機BM2が配置された構造になっている。
【0217】
この参考形態7では、参考形態3(
図20)で説明したような仕切り板38と、仕切り板39は設置していない。これは、収納室21のための専用の送風機として第2の送風機BM2が設置されているため、収納室21から放出された空気と、第1の送風機BM1から加熱手段8の冷却用に吹出された空気が、仕切り壁77よりも前方では混じり合うことはないためである。なお、収納室21から放出された空気と、第1の送風機BM1から加熱手段8の冷却用に吹出された空気の圧力が排気口104の位置で同等でない場合、例えば、第1の送風機BM1側からの送風圧が高い場合、排気口104に流入(逆流)してしまう懸念があるので、そのような場合には、排気口6に至るまでは分離されて流れるように、例えば参考形態3(
図20)で説明したような仕切り板38と、仕切り板39を設置すれば良い。
【0218】
第2の隔壁73と右側垂直壁26Rとの間の空間の前方までも本体ケース3に固定された右カバー44によって覆っている。そしてこの右カバーよりも左側前面全体が前記カバー30によって開閉自在に覆われている。このため、前記カバー30の横幅寸法W1は、参考形態1のものよりも狭くなっている。なお、送風機BM2の点検を可能にするために、前記右カバー44は、専門の修理業者等によって取り外せる構成になっている。
【0219】
参考形態7の総括.
以上の説明から明らかなように、この参考形態7の加熱調理器1においては、次の発明を実施していた。
すなわち、
図26の加熱調理器は、厨房家具に支持される本体ケース3と、
前記本体ケース3内を上部空間70と下部空間71の2つの空間に区画する(横方向)第1の隔壁72と、
前記下部空間71を第1の空間71Aと第2の空間71Bに区画する(縦方向)第2の隔壁73と、を備え、
前記第1の空間71A内部には、前記本体ケース3の前面に形成された挿入口22を介して当該本体ケース3の外部に通ずる収納室21を形成し、
前記上部空間70には、前記本体ケース3の上面を構成するトッププレート4上に置かれた被加熱物9、10、11を誘導加熱する加熱手段8を配置し、
前記挿入口22の前方側には、前記挿入口22を開閉自在に塞ぐカバー30を備え、
前記第2の空間71Bには、前記加熱手段8の電源回路用の回路素子59を実装したインバーター回路基板55と、前記加熱手段8の駆動中に前記本体ケース3の外部から吸引した冷却風を、前記回路素子59の冷却用に供給する第1の送風機BM1とを、内蔵し、 前記第1の空間71Aには、前記本体ケース3の外部から前記収納室21の外部又は内部を通過する冷却風を導入する第2の送風機BM2を配置している構成である。
【0220】
つまり、前記吸気側空間79Aから第1の送風機BM1、冷却ユニット57を経由して加熱手段8に至る冷却風路を「第1の吸気風路」とすれば、この参考形態では、この第1の吸気風路とは別の経路を有する「第2の吸気風路」を備えている。つまり、第2の吸気風路は、前記吸気孔101から第2の送風機BM2を経て収納室21に至る風路である。
【0221】
この構成であるから、この参考形態7の加熱調理器1では、第1の送風機BM1から左側加熱コイル8Lに対する冷却風は、前記収納室21の上方で、前記第1の隔壁72の上方空間を通過する構成である。
また第2の送風機BM2から導入された空気は、前記収納室21の内部に強制的に供給され、前記第1の隔壁72の上にある上部空間70に放出される構成である。
【0222】
このため、この参考形態7の加熱調理器1では、前記収納室21の内部に熱気が滞留しにくくなり、収納室21の内部が過熱状態になることが防止される。
【0223】
しかも、この参考形態7では、前記収納室21の天井面を構成する壁面自体が第1の隔壁72で形成され、また第1の隔壁72の上面に沿って左側加熱コイル8Lに行く前の冷却風が流れるので、その冷却風によって直接的に第1の隔壁72も冷却されることになる。従って、参考形態1よりも更に効果的に収納室21の温度上昇抑制効果を期待できる。
【0224】
さらに、この参考形態7においては、第2の送風機BM2の下流側になる位置に設置されたイオン発生器又はオゾン発生器等の空気殺菌手段102が駆動されると、空気中の雑菌等を殺菌できるから、収納室21の内部雰囲気を清浄化できる。このため、長期間に亘り、悪臭やカビ等の発生を抑制でき、清潔な収納空間を維持できる。
【0225】
なお、案内板103は、第2の送風機BM2から吸い込まれた直後の冷却用空気の流れを、収納室21側に向けるためのものであり、必須の構成部品ではない。
【0226】
第1の送風機BM1は、前記加熱手段8の駆動と同時に運転開始されたが、第2の送風機BM2は、前記加熱手段8の駆動と同時に運転開始する必要はない。この第2の送風機BM2は、収納室21の内部の温度が上昇した場合に運転開始すれば良く、このような制御は、収納室21の内部の温度を検出する温度センサーを設け、その温度センサーの温度検知データを温度検出回路63に入力するように構成すれば良い。このように構成すれば、第2の送風機BM2の運転開始や運転停止、運転速度等を制御する制御装置56が、自動的に第2の送風機BM2の運転を制御する。なお、第2の送風機BM2の送風能力は、第1の送風機BM1の送風能力に比較して遥かに小さいので、消費電力も少ない。
【0227】
さらに、この参考形態7においては、本体ケース3の内部には、収納室21が確保されており、この中に挿入口22から付属品や第1の調理器具9、第2の調理器具10等の物品を挿入して格納でき、また必要な都度取り出すことができる。しかも、収納室21の中にある受け皿26は、
図26に示しているように、全体が空気の流通に適するように多数の透孔26Fが形成された籠形状を有しているため、第2の送風機BM2から供給された空気が循環しやすく、受け皿26全体にマイナスイオンやオゾンが行きわたる。このため、収納室21の内部空気の雑菌、脱臭効果が高められるものである。
【0228】
なお、前記吸気側空間79Aから第1の送風機BM1、冷却ユニット57を経由して加熱手段8に至る第1の吸気風路の冷却風路は、加熱手段8の冷却に貢献するものであるが、前記吸気孔101から第2の送風機BM2を経て収納室21に至り、そこから上部空間70に供給される冷却用空気は、加熱手段8の冷却を期待するものではないので、前記排気口104から直接本体ケース3の外部へ放出して良い。
【0229】
参考形態7の変形例.
図27と
図28は、本発明の参考形態7の変形例に係る加熱調理器を示すものである。この変形例では、参考形態7の第2の送風機BM2の位置を変更し、収納室21の内部に、専用の送風機によって本体ケース3の外部からの空気を取り入れたところが大きな特徴である。なお、以下の説明では、
図1〜
図15と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0230】
図27において、94Rは、第1の空間71Aに立設した金属製の支持板であり、その上端部には、空気の導入口107が開口している。第2の送風機BM2は、この導入口107に対応して右側の支持板94Rに取り付けてある。
図27に示しているように、第2の送風機BM2は前後方向中心線CL2上に設置されており、収納室21の前後方向の中心部に配置されている。
【0231】
第2の隔壁73は、下部空間71を第1の空間71Aと第2の空間71Bに区画している。特にこの変形例では、参考形態7と同様に、第2の隔壁73の直ぐ左側の下方に設けた吸気孔101から本体ケース3の外部の空気を吸引するので、第2の隔壁73の区画が不十分であると、第2の空間71Bから空気を吸込んでしまう。又は送風ダクト74に送られた空気の一部が流入してしまう。従って、第2の隔壁73は、パッキン等のシール材を用いて周縁の気密性を保つ形態が理想であるが、第2の空間71Bから多量の空気を誘引することがない限り、本体ケース3との間の微小な隙間は許容している。
【0232】
第2の隔壁73と支持板94Rとの間の空間の前方までも本体ケース3に固定された右カバー44によって覆っている。そしてこの右カバーよりも左側前面全体が前記カバー30によって開閉自在に覆われている。このため、前記カバー30の横幅寸法W1は、参考形態1のものよりも狭くなっている。なお、送風機BM2の点検を可能にするために、前記右カバー44は、専門の修理業者等によって取り外せる構成になっている。
【0233】
図28は、
図27の前後方向中心線CL2で切断した場合の中央部縦断面図である。
104は、収納室21の天井面を構成する第1の隔壁72に設けた排気口である。この排気口104は、
図27から明らかなように、収納室21の左右中心点(XO)を挟んで、前記第2の送風機BM2と反対側に位置している。
【0234】
以上の説明から明らかなように、この参考形態7の変形例の加熱調理器1においても、参考形態7と同様に、前記収納室21の内部に熱気が滞留しにくくなり、収納室21の内部が過熱状態になることが防止される。但し、この変形例では、イオン発生器又はオゾン発生器等の空気殺菌手段102を備えていないので、参考形態7のような空気殺菌効果はない。
【0235】
なお、
図27に示したように、前記第2の送風機BM2から見て、収納室21内部の空気を排出するための排気口104は、収納室21の左右中心点(XO)を挟んで前記第2の送風機BM2と反対側に位置しているので、第2の送風機BM2から吹き込まれた冷却風は、収納室21の右側から左側に向かって効率良く流れる。しかも、収納室21の左右垂直壁26L、26Rには多数の透孔26Fがあるので、収納室21の内部の空気が流通しやすい。これらの理由から、収納室21内部の一部分に熱気が滞留するような現象を無くすことができる効果がある。
【0236】
また第2の隔壁73と支持板94Rとの間の空間の前方までも本体ケース3に固定された右カバー44によって覆っているので、支持板94Rの右側空間に使用者が誤って手や異物を挿入する懸念もない。また、送風機BM2自体が加熱調理器1の正面側からは目視できないので、美観を損ねることもないという利点がある。
【0237】
参考形態8.
図29は、本発明の参考形態8に係る加熱調理器を示すものである。この参考形態8では、参考形態1を更に改良し、収納室21の外部に、専用の第2の送風機を設置し、その送風機によって本体ケース3の外部からの空気を取り入れたところが大きな特徴である。なお、以下の説明では、
図1〜
図15と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0238】
図29において、104は、収納室21の天井面を構成する第1の隔壁72に設けた排気口である。BM2は、第2の送風機であり、排気口104の真上の位置で、第1の隔壁72の上面に設置されている。105は、左右一対の支持板94L、94Rにそれぞれ設けた水平方向(前後方向)に細長い溝、106は、受け皿26の左右両側に水平に固定された支持用ピンであり、このピンは前記溝105の中に通されている。
【0239】
前記2つの支持板94L、94Rの下端部は、本体ケース3の底面部3Bにそれぞれ固定されている。この支持板94L、94Rの上端面は、前記第1の隔壁72の下面までは届いておらず、数cm程度の間隔が保たれている。その間隔は、空気の流通を促進できることを目的にしている。
【0240】
収納室21の底面を構成する本体ケース3の胴部3U底面には、複数個所に吸気孔108が形成され、収納室21の中と外部とを連通させている。第2の送風機BM2が運転された場合には、
図29に破線の矢印で空気の流れを示しているように、吸気孔108から本体ケース3の外部の新鮮な空気が導入される。そして収納室21の中を通過して最終的には排気口104から第2の送風機BM2に吸引されて上部空間70に排出される。
【0241】
109は、前記受け皿26と同様に、本体ケース3に支持されている棚であり、全体に亘り開口部110が多数形成されており、通気性が良い。なお、この棚は、前記受け皿26と同様に本体ケース3に支持されているが、挿入口22から外に引き出した状態では、この棚109だけを取り外すことができるようになっており、この棚を取り外した状態で、大きな調理器具9等を受け皿26に載せることができる。なお、棚109は常に必要なものではなく、これを使用せずに受け皿26だけを収納室21に収容することもできる。
【0242】
さらに前記棚109は、全体に亘り開口部110が多数形成されており、通気性が良いので、洗った直後の食器や調理器具をこの棚109の上に載せて収納室21に格納しても良い。
【0243】
前記カバー30は、収納室21の右側面を構成する支持板94Rと第2の隔壁73までの空間の前方全体を覆うような横幅寸法W1を有している。そしてこのカバー30の直ぐ右側に隣接するように本体ケース3の前板3Fに右カバー44(
図29では図示せず)が固定されている。
【0244】
参考形態8の総括.
以上の説明から明らかなように、この参考形態8の加熱調理器1においては、次の発明を実施していた。
すなわち、
図29の加熱調理器1は、
厨房家具に支持される本体ケース3と、
前記本体ケース3内を上部空間70と下部空間71の2つの空間に区画する(横方向)第1の隔壁72と、
前記下部空間71を第1の空間71Aと第2の空間71Bに区画する(縦方向)第2の隔壁73と、を備え、
前記第1の空間71A内部には、前記本体ケース3の前面に形成された挿入口22を介して当該本体ケース3の外部に通ずる収納室21を形成し、
前記上部空間70には、前記本体ケース3の上面を構成するトッププレート4上に置かれた被加熱物9、10、11を誘導加熱する加熱手段8を配置し、
前記挿入口22の前方側には、前記挿入口22を開閉自在に塞ぐカバー30を備え、
前記第2の空間71Bには、前記加熱手段8の電源回路用電気部品(回路素子)59を実装したインバーター回路基板55と、前記加熱手段8の駆動中に前記本体ケース3の外部から吸引した冷却風を、前記電気部品の冷却用に供給する第1の送風機BM1とを、内蔵し、
前記上部空間70には、前記加熱手段8を経由することなく、前記本体ケース3の外部から前記収納室21の外部又は内部を通過する冷却風を導入する第2の送風機BM2を配置している構成である。
この発明の加熱調理器では、本体ケース3の内部には、収納室21が確保されており、この中に挿入口22から付属品や調理器具9等の物品を挿入して格納でき、また必要な都度取り出すことができる。しかも、加熱手段8のある上部空間70には、当該加熱手段8の冷却用の第1の送風機BM1とは別に、第2の送風機BM2が配置され、この第2の送風機BM2が収納室21の内部に冷却風を導入する。そして収納室21の内部空間の温度上昇が抑制される。
【0245】
さらに、この参考形態8においては、本体ケース3の内部には、収納室21が確保されており、この中に挿入口22から付属品や第1の調理器具9、第2の調理器具10等の物品を挿入して格納でき、また必要な都度取り出すことができる。しかも、収納室21の中にある受け皿26の上には、
図29に示しているように、全体が空気の流通に適するように多数の開口部110が形成された棚109を有しているため、第2の送風機BM2から供給された空気が循環しやすく、受け皿26全体や棚109の上に置かれた食器や物品に収納室21の外部から新鮮な空気を供給できるものである。
【0246】
なお、参考形態8を示す
図28の加熱調理器1では、受け皿26の上方が通気性に富んだ棚であったため、冷却風が流通しやすい構造であったが、受け皿26を収容するように、参考形態1で示したような閉鎖空間の収納室21に変更しても良い。このようにした場合でも、その収納室の外部に前記第2の送風機BM2に向かう冷却用の空気を通過させる方法と、収納室21の内部に冷却用の空気を通過させる方法があるが、何れの方法でも収納室21には、本体ケース3の外部から直接吸引された新鮮な空気が接触するので、収納室21が過熱状態になることが防止できる。
【0247】
参考形態9.
図30は、本発明の参考形態9に係る加熱調理器を示すものである。この参考形態の収納室21は、天井面(上壁面)21Tを備えた閉鎖型の空間にしてあること、この収納室21の外部に、専用の第2の送風機BM2を設置し、その送風機によって本体ケース3の外部からの空気を取り入れたところが大きな特徴である。なお、以下の説明では、
図1〜
図15と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0248】
収納室21の上壁面21Tの位置は、参考形態1と同様に、上壁面21Tが左側加熱コイル8Lから磁気的な影響を受けることを低減させるため、左側加熱コイル8Lとの間隔H2が、最低でも50mm、好ましくは60mm以上離れた位置となるように設定されている。SP2は、前記第2の隔壁73の左側面と、収納室21の右壁面21Rとの間に形成された空隙で、空気の通過が可能なように30mm〜50mmに設定してある。なお、この空隙SP2を更に大きくすることも可能であるが、その分、収納室21の横幅寸法が小さくなり、収納室21の収容能力が低下する。
【0249】
さらに、収納室21の上壁面21Tの位置は、参考形態1と同様に、上壁面21Tが中央加熱コイル8Mから磁気的な影響を受けることを低減させるため、その加熱コイル8Mとの間隔H2が、最低でも50mm、好ましくは60mm以上離れた位置となるように設定されている。なお、中央加熱コイル8M単体の消費電力(火力)は、左側加熱コイル8Lに比較して大幅に小さいため、中央加熱コイル8Mからの磁気的な影響は、左側加熱コイル8Lに比較して大幅に小さい。しかし、中央加熱コイル8Mと、左側加熱コイル8Lとを同時に使用する場面も想定し、上記のように、上壁面21Tは、2つの加熱コイル8M、8Lから一定以上離すように構成されている。
【0250】
収納室21の内部には、引き出し式の受け皿26が設置され、収納室21の前方端にある挿入口22を塞ぐカバー30の背面と連結されている。そのため、カバー30を手前に引けば、収納室21の中から所定の範囲だけ受け皿26を引き出すことができる。
【0251】
参考形態9の総括.
以上の説明から明らかなように、この参考形態9の加熱調理器1においては、次の発明を実施していた。
すなわち、
図30の加熱調理器1は、
厨房家具に支持される本体ケース3と、
前記本体ケース3内に区画形成された収納室21と、を備え、
前記収納室21は、水平方向に延びる第1の隔壁72で上方を覆われ、右側には所定の空隙SP2を置いて縦方向に延びる第2の隔壁73を配置し、
前記収納室は、前記本体ケース3の前面に形成された挿入口22を介して当該本体ケース3の外部に通ずるものであり、
前記挿入口22には使用者により開閉されるカバー30を有し、
前記第1の隔壁72の上方空間には、前記本体ケース3の上面を構成するトッププレート4上に置かれた被加熱物9、10、11を誘導加熱する加熱手段8を配置し、
前記第2の隔壁73を挟んで前記収納室21と反対側の空間には、前記加熱手段8の電源回路用インバーター回路基板55と、前記加熱手段8の駆動中に前記本体ケース3の外部から吸引した冷却風を、前記電気部品の冷却用に供給する第1の送風機BM1とを、配置し、
前記収納室21は、その天井面を構成する上壁面21Tが、前記加熱手段8(8L)の下面から5cm以上の間隔H2を保って配置されている構成である。
この発明の加熱調理器では、前記収納室21の上壁面21Tが、仮に磁性金属で形成されていても、その上壁面21Tが、上方に設置された左側加熱コイル8Lから磁気的な影響を受けることが殆どなく、上壁面21T自体が誘導加熱されるという影響を無くすことができる。また収納室21の右壁面21Rも、その右側にインバーター回路基板55が配置された空間との間に、第2の隔壁73と所定の空隙SP2とを挟んでいるため、右側方向からの熱的影響も受けることが回避される。これにより、収納室21の内部空間の温度上昇が抑制される。
【0252】
さらに、参考形態9では、前記収納室21の周囲に、前記加熱手段8を経由することなく、前記本体ケース3の外部から導入した冷却風を通過させて、収納室21の上にある第1の隔壁72の上方へ放出している構成である。
この構成であるから、この参考形態9の加熱調理器では、本体ケース3の内部には、収納室21が確保されており、この中に挿入口22から付属品や調理器具9等の物品を挿入して格納でき、また必要な都度取り出すことができる。しかも、収納室21の冷却用の第2の送風機BM2の冷却風により、収納室21の内部空間の温度上昇が抑制されるという効果が期待できる。
【0253】
実施の形態1.
図31と
図32は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器を示すものである。この実施の形態1では、参考形態1を更に改良し、収納室21の外部に、専用の第2の送風機BM2を設置し、その送風機によって本体ケース3の外部からの空気を取り入れ、収納室21を冷却した空気を最終的には下部空間71から本体ケース3の外部に放出したところが大きな特徴である。なお、以下の説明では、
図1〜
図15と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0254】
図31と
図32において、BM2は第2の送風機であり、多翼式送風機(シロッコファン)である。この送風機は、第1の隔壁72の下面に支持されている(
図32参照)。112は、その送風機BM2の右側面に形成された吸込み口、113は吹出し口である。この吹出し口は、収納室21の天井面と第1の隔壁72との間の空隙SP1に向けてある。
【0255】
図31と
図32において、111は、本体ケース3の前板3Fに形成した排気孔(排気口)であり、複数個が真横に並べて設けてある。なお、この排気孔111の位置は、第1の隔壁72の直ぐ下方である。なお、
図32では、排気孔111と第2の送風機BM2の吹出し口113とは、向かい合った位置にあるように描かれているが、実際には、
図31に示しているように、収納室の左右中心点XOを挟んで向かい合った位置にある。
【0256】
図32において、114は、本体ケース3の傾斜面部3Jに形成した吸気口であり、多数の小さい孔から構成されている。この吸気口は前記第2の送風機BM2が導入する空気の入口となる。なお、この吸気口は、後面板3Hに形成しても良く、傾斜面部3Jと後面板3Hの両方に形成しても良い。なお、第2の送風機BM2は、カバー30側から見て収納室21の左右の中心より右側に位置しているが、この位置以外に設けても良い。例えば、収納室21の左右の中心より左側に設けても良い。また第2の送風機BM2の吹出し口113から吹出された冷却風が横方向に不用意に拡散しないように、収納室21の天井面には、吹出し口113側から排気孔111の近くまで、空気を案内する仕切り板を複数個並べて設けても良い。つまり、収納室21の天井面の広い範囲に第2の送風機BM2からの風が円滑に流れるように風路を設計すると更に良い。
【0257】
以上の構成であるから、第2の送風機BM2が運転された場合には、
図32に実線の矢印で冷却用空気の流れを示しているように、まず空隙GPUから本体ケース3の外部の空気が吸引され、本体ケース3の中に導入される。つまり厨房家具2の外部からキッチン等の室内の新鮮な空気が吸引される。
【0258】
そして前記吸気口114から導入された冷却用空気は、前記吸込み口112から第2の送風機BM2の中に入り、吹出し口113から前方に向けて吹出される。吹出された空気は、
図28に破線の矢印で冷却用空気の流れを示しているように、収納室21の上の空隙SP1の中を前方に移動する。
【0259】
最終的に、冷却用空気は、下部空間71の排気口である多数の排気孔111から厨房家具2の前方へ放出される。なお、排気孔111を多数設けたのは、厨房家具2の前方側には使用者が居る場合があるので、1つの場所から集中的に排気すると、使用者に不快感を与える懸念があるためであり、この実施の形態1のように分散排気すれば、使用者には気にならない程度の弱い排気流とすることができる。
【0260】
この構成であるから、収納室21は、その外部、特に天井面を流れる冷却用空気流によって冷却されるので、収納室21の内部が過熱状態になることが防止される。
【0261】
実施の形態1の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態1の加熱調理器1においては、本発明を実施していた。
すなわち、
図31と
図32の加熱調理器1は、
厨房家具2に支持される本体ケース3と、
前記本体ケース3内を上部空間70と下部空間71の2つの空間に区画する(横方向)第1の隔壁72と、
前記下部空間71を第1の空間71Aと第2の空間71Bに区画する(縦方向)第2の隔壁73と、を備え、
前記第1の空間内部71Aには、前記本体ケース3の前面に形成された挿入口22を介して当該本体ケース3の外部に通ずる収納室21を形成し、
前記上部空間70には、前記本体ケースの上面を構成するトッププレート4上に置かれた被加熱物を加熱する加熱手段8を配置し、
前記挿入口22の前方側には、前記挿入口22を開閉自在に塞ぐカバー30を備え、
前記第2の空間71Bには、前記加熱手段8の電源回路用電気部品(回路素子)59を実装したインバーター回路基板55と、前記加熱手段8の駆動中に前記本体ケース3の外部から吸引した冷却風を、前記回路素子の冷却用に供給する第1の送風機BM1とを、内蔵し、
前記上部空間70には、前記加熱手段8を経由した前記第1の送風機BM1の冷却風を排出する排気口6を有し、
前記下部空間71には、前記本体ケース3の外部から前記収納室21の外部又は内部を通過する冷却風を導入する第2の送風機BM2と、この送風機用の排気口111とを、それぞれを設けた構成である。
本発明の加熱調理器1では、本体ケース3の内部には、収納室21が確保されており、この中に挿入口22から付属品や調理器具9、10、11等の物品を挿入して格納でき、また必要な都度取り出すことができる。しかも、収納室21のある下部空間71には、収納室21の外部に冷却風を導入する第2の送風機BM2と、この送風機用の排気口111とを、それぞれ設けているので、本体ケース3の下部空間71において、上部空間70の冷却風路とは独立して、収納室21の外部に冷却風が流れる冷却風路が形成されている。これにより、収納室21の内部空間の温度上昇が抑制される。
【0262】
なお、
図32に示したように、第2の送風機BM2を設置する空間は、収納室21の背後を利用すると、広い設置空間が確保できる。この理由について以下説明する。
収納室21は、多数の物品を格納できるようにする目的で、可能な限り容積が大きいものが好ましい。しかし、この加熱調理器1のように厨房家具2の中に据え付けるために、参考形態1で述べたように、本体ケース3の後部には傾斜面部3Jがあるため、収納室21の奥行寸法が制約される。つまり、
図32に示しているように、収納室21の背面は、傾斜面部3Jと干渉しないよう、その傾斜面部3Jの直前の位置になるように設計される。このため、収納室21の背後で、傾斜面部31Jの上方には(傾斜面部31Jの奥行き寸法に応じた)空間ができる。そこで、多翼式送風機(シロッコファン)等の第2の送風機BM2は、この空間に配置すれば、本体ケース3の内部空間を有効に利用できる。従って、厨房家具2の規格によって本体ケース3の内部空間寸法に一定の制約があっても、上記したように第2の送風機BM2を傾斜面部3Jの上方に配置すれば、収納室21の上方の空隙SP1を効果的に冷却する風路構造を得ることができる。
【0263】
実施の形態1の変形例1.
図33は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る加熱調理器を示すものである。この変形例1では、実施の形態1の第2の送風機BM2の吸気経路を増やし、収納室21の内部と外部の両方を第2の送風機BM2の吸気流が流れるようにしたものである。なお、以下の説明では、
図1〜
図15と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0264】
図33において、104は、収納室21の後壁面(背面)21Bの上部に形成した排気口である。115は、前記排気口104の近傍で直ぐ下方に設けられ、空気流の流れを案内する案内板である。この案内板は、収納室21の後壁面(背面)21B外側に取り付けてある。第2の送風機BM2は、前記案内板115の上方に設置されている。これ以外の構成は
図31と
図32の実施の形態1と同じであるので、説明は省略する。
【0265】
以上の構成であるから、第2の送風機BM2が運転された場合には、
図33に冷却用空気の流れを実線の矢印で示しているように、まず空隙GPUから本体ケース3の外部の空気が吸引され、本体ケース3の中に導入される。つまり厨房家具2の外部からキッチン等の室内の新鮮な空気が吸引される。
【0266】
一方、収納室21とカバー30との間には隙間があるので、第2の送風機BM2が運転されると、その送風機の吸込み口112の近くにある排気口104を介して、収納室21の内部の気圧が下がる。そのため、誘引される空気の流れを
図33に矢印FFで示しているように、収納室21とカバー30との間には隙間からも本体ケース3の外部の新鮮な空気が導入され、収納室21を下方から上方に貫通するように通った後、排気口104から排出される。
【0267】
そして前記吸気口114と排気口104から吸込み口112に導入された空気は、前記吹出し口113から前方に向けて吹出される。吹出された空気は収納室21の上の空隙SP1の中を前方に移動し、最終的にこの下部空間71の排気口である多数の排気孔111から厨房家具2の前方へ放出される。なお、排気孔111を多数設けたのは、厨房家具2の前方側には使用者が居る場合があるので、1つの場所から集中的に排気すると、使用者に不快感を与える懸念があるためである。この点は実施の形態1で既に説明した通りである。
【0268】
実施の形態1の変形例1の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態1の変形例1においては、本発明を実施している。
すなわち、
図33の加熱調理器1は
厨房家具2に支持される本体ケース3と、
前記本体ケース3内を上部空間70と下部空間71の2つの空間に区画する(横方向)第1の隔壁72と、
前記下部空間71を第1の空間71Aと第2の空間71Bに区画する(縦方向)第2の隔壁73と、を備え、
前記第1の空間内部71Aには、前記本体ケース3の前面に形成された挿入口22を介して当該本体ケース3の外部に通ずる収納室21を形成し、
前記上部空間70には、前記本体ケースの上面を構成する天板(トッププレート)4上に置かれた被加熱物を加熱する加熱手段8を配置し、
前記挿入口22の前方側には、前記挿入口22を開閉自在に塞ぐカバー30を備え、
前記第2の空間71Bには、前記加熱手段8の電源回路用電気部品(回路素子)59を実装したインバーター回路基板55と、前記加熱手段8の駆動中に前記本体ケース3の外部から吸引した冷却風を、前記回路素子の冷却用に供給する第1の送風機BM1とを、内蔵し、
前記上部空間70には、前記加熱手段8を経由した前記第1の送風機BM1の冷却風を排出する排気口6を有し、
前記下部空間71には、前記本体ケース3の外部から前記収納室21の外部と内部の双方を通過する冷却風を導入する第2の送風機BM2と、この送風機用の排気口111とを、それぞれを設けた構成である。
この発明の加熱調理器1では、本体ケース3の内部には、収納室21が確保されており、この中に挿入口22から付属品や調理器具9、10、11等の物品を挿入して格納でき、また必要な都度取り出すことができる。しかも、収納室21のある下部空間71には、収納室21の内部と外部の双方に流れる冷却風を導入する第2の送風機BM2と、この送風機用の排気口111とを、それぞれ設けているので、本体ケース3の下部空間71において、上部空間70の冷却風路とは独立して、収納室21の外部に冷却風が流れ、また収納室21内にも別の冷却風が流れる。これにより、収納室21の内部空間の温度上昇が抑制される。
【0269】
実施の形態1の変形例2.
図34と
図35は、本発明の実施の形態1の変形例2に係る加熱調理器を示すものである。この変形例2では、実施の形態1の第2の送風機BM2の吸気経路を増やし、収納室21の内部と外部の両方を第2の送風機BM2の吸気流が流れるようにしたものである。なお、以下の説明では、
図1〜
図15と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0270】
図34と
図35において、104は、収納室21の後壁面21Bに形成した排気口である。111は、
図33に示した排気孔111と同様の目的の排気孔である。
第2の送風機BM2は例えば、所謂、軸流式のモータ内蔵型送風機であり、前記排気口104の上方に設置されている。なお、多翼式等他のファン方式の送風機でも良い。
【0271】
116は、上部空間70の最も前方位置に設けた排気口であり、本体ケース3の前板3Fの上部に形成されている。なお、この排気口は、一つの大きな孔ではなく、多数の小さな穴を並べて形成したものでも良い。これにより分散排気が可能となる。またこの排気口116は、厨房家具2の正面側に使用者が居ることを考慮し、正面中央を避けて左右に分散して形成しても良い。
【0272】
117は、本体ケース3の底面部3Bに形成した通気孔であり、複数個離れた場所に点在させてある。118は、この通気孔の真上の位置にある複数個の収納室通気孔であり、収納室21の底壁面21Uに形成してある。
【0273】
119は、受け皿26の底面に形成した通気孔であり、前記収納室通気孔118と対応した位置にそれぞれ形成されている。
120は、前記第2の送風機BM2の近傍で直ぐ上方に設けられ、吹出された空気流の流れを前方側へ案内する案内板である。この案内板は、第1の隔壁72の下側に取り付けてある。なお、図示していないが、前記第2の送風機BM2の排気流の下流側には、収納室21の上方の空隙SP1の中に広い範囲で空気を流すようなダクトや別の案内板を設置しても良い。これ以外の構成は
図30に示した構成と同じであるので、説明は省略する。
【0274】
129Lは、第1の隔壁72の上で、前記前後方向中心線CL2に沿って設けた仕切り壁であり、突条(リブ)形態を呈している。この仕切り壁は、前記第1の隔壁72に一体成型で形成したり、あるいは別体で形成したりしたものを、第1の隔壁72の上面に固定しても良い。129Rは、同様な仕切り壁である。これら2つの仕切り壁129L、129Mの双方とも、その最上部は前記トッププレート4の下面に密着又は接近した状態となっている。
【0275】
以上の構成であるから、第2の送風機BM2が運転された場合には、冷却用空気の流れを
図35に実線の矢印で示しているように、まず空隙GPUから本体ケース3の外部の空気が吸引され、本体ケース3の中に導入される。つまり厨房家具2の外部からキッチン等の室内の新鮮な空気が吸引される。
【0276】
一方、通気孔117から収納室通気孔118を経由し、さらに通気孔119を介して、本体ケース3の外部の空気が収納室21の中に誘引される。つまり、第2の送風機BM2が運転されると、その送風機の吸込み口112の近くにある排気口104を介して、収納室21の内部の気圧が下がる。そのため、誘引される空気の流れを
図35に実線矢印FGで示しているように、本体ケース3の外部の新鮮な空気が導入され、収納室21を通った後、排気口104から排出される。
【0277】
そして前記吸気口114と排気口104から吸込み口112に導入された空気は、前記吹出し口113から前方に向けて吹出される。吹出された空気は収納室21の上の空隙SP1の中を、
図34に破線の矢印で示すように前方に移動し、最終的にこの下部空間71の排気口である多数の排気孔111から厨房家具2の前方へ放出される。なお、排気孔111を多数設けたのは、厨房家具2の前方側には使用者が居る場合があるので、1つの場所から集中的に排気すると、使用者に不快感を与える懸念があるためである。この点は実施の形態1で既に説明した通りである。
【0278】
一方、上部空間70の内部では、第1の隔壁72の上方は、前記前後方向中心線CL2に沿って設けた仕切り壁129Lと129Mより、右側加熱コイル8Rから左側は前後に分けられた形になっている。
【0279】
このため、右側加熱コイル8Rを冷却した後の冷却風と、中央加熱コイル8Mと左側加熱コイル8Lをそれぞれ冷却した後の冷却風とは、前記仕切り壁129L、129Mによって2つに分けられる。そして仕切り壁129Lと129Mの後方に流れた冷却風は、
図34に実線の矢印54Bで示すように、後方の排気側空間79Bに向かう。
【0280】
一方、仕切り壁129Lと129Mの前方に流れた冷却風は、
図34に実線の矢印54Fで示すように、前方の排気口116に向かう。
【0281】
ところで、この変形例2では、前記排気孔111の近くに前記排気口116がある。排気口116から排気される空気は、加熱調理のために高温になる加熱手段8や、その熱を受けるトッププレート4の熱を奪ったものであり、下部空間71から排気孔111を経て排出される空気よりも高温度でなっている。しかしながら、排気口116の直ぐ下方に排気口111を配置してあるこの変形例では、排気孔111からの温度の低い空気が排気口116からの排気に混合し、全体の温度を下げる効果がある。そのため、分散排気であることとの相乗効果により、厨房家具2の正面側の特定位置だけに集中して熱い温風が放出されることはなく、使用者に不快感や不安感を抱かせることはない。
【0282】
なお、
図34では、本体ケース3の後ろ側に排気口6を設けており、そこからも加熱手段8や、その熱を受けるトッププレート4の熱を奪ったために高温になった排気をする構成になっているが、上述したように、排気口116から排気される温度の低い空気と混合して排気することで排気全体の温度を下げることが可能であるので、上記の排気口6は廃止し、上部空間70の排気を加熱調理器1の上面から全く排気しないようにしても良い。このようにすれば、加熱調理器1の上面外観は、吸気口も排気口もないフラットな意匠となり、清掃性が向上するだけではなく、外観のデザイン性も向上する。
【0283】
実施の形態1の変形例2の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態1の変形例2においては、本発明を実施していた。
すなわち、
図34と
図35の加熱調理器1は
厨房家具2に支持される本体ケース3と、
前記本体ケース3内を上部空間70と下部空間71の2つの空間に区画する(横方向)第1の隔壁72と、
前記下部空間71を第1の空間71Aと第2の空間71Bに区画する(縦方向)第2の隔壁73と、を備え、
前記第1の空間内部71Aには、前記本体ケース3の前面に形成された挿入口22を介して当該本体ケース3の外部に通ずる収納室21を形成し、
前記上部空間70には、前記本体ケースの上面を構成するトッププレート4上に置かれた被加熱物を加熱する加熱手段8を配置し、
前記挿入口22の前方側には、前記挿入口22を開閉自在に塞ぐカバー30を備え、
前記第2の空間71Bには、前記加熱手段8の電源回路用電気部品(回路素子)59を実装したインバーター回路基板55と、前記加熱手段8の駆動中に前記本体ケース3の外部から吸引した冷却風を、前記回路素子の冷却用に供給する第1の送風機BM1とを、内蔵し、
前記上部空間70には、前記加熱手段8を経由した前記第1の送風機BM1の冷却風を排出する排気口6、116を有し、
前記下部空間71には、前記本体ケース3の通気孔117、収納室21の通気孔117と、さらに本体ケース3の外部から前記収納室21の外部と内部の双方を通過する冷却風を導入する第2の送風機BM2と、この送風機用の空気が通過するために形成した排気口111とを、それぞれを設けた構成である。
この変形例2の加熱調理器1では、本体ケース3の内部には、収納室21が確保されており、この中に挿入口22から付属品や調理器具9、10、11等の物品を挿入して格納でき、また必要な都度取り出すことができる。しかも、収納室21のある下部空間71には、収納室21の内部と外部の双方に流れる冷却風を導入する第2の送風機BM2と、この送風機用の排気口111とを、それぞれ設けているので、本体ケース3の下部空間71において、上部空間70の冷却風路とは独立して、収納室21の外部に冷却風が流れ、また収納室21内にも別の冷却風が流れる。これにより、収納室21の内部空間の温度上昇が抑制される。
【0284】
参考形態10.
図36と
図37は、参考形態10に係る加熱調理器を示すものである。この参考形態では、加熱調理器1の収納室21を、さらに積極的に冷却する工夫を施し、しかも、収納室への冷却用空気の供給を制御する構成にしたところが特徴である。なお、
図1〜
図15と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。
【0285】
図36は、
図6と同様に、トッププレートと後部枠板とを取り外した状態で示した加熱調理器の平面図である。この参考形態10の加熱調理器1では、
図19で示したものと同様に、第2の空間71Bの中にある冷却ユニット57の制御箱58と収納室21との間を、分岐ダクト84で連結したところが1つの特徴である。
図37は、
図36に示す加熱調理器の主要な制御関係部分を示すブロック図である。
【0286】
分岐ダクト84は、一端部(上流側)が制御箱58の左側面に接続され、他端部(下流側)が収納室21の右壁面21Rの上部に接続されている。これにより、第1の送風機BM1から冷却ユニット57の内部へ供給された冷却風の一部は、インバーター回路基板55の後部に至る段階で分岐して分岐ダクト84の中に流入する。
【0287】
分岐ダクト84の中に流入した冷却風は、分岐ダクト84の末端部から収納室21の内部に導入され、収納室21の中を通ったあと、収納室21の天井部(上壁面21T)を貫通するように設けた排気ダクト85(図示せず。
図20参照)から、上部空間70に放出される。なお、上部空間70には、送風ダクト74から放出された冷却風も流入するが、送風ダクト74から放出される空気は、制御箱58から長い経路の送風ダクト74を経由してから放出されるため、圧力は低下しており、この空気が排気ダクト85を逆流して収納室21に入ることはない。
【0288】
図36において、127は、分岐ダクト84の途中に設けた電磁式開閉バルブ又はシャッター等の風路開閉手段である。所定の電気信号が駆動回路128(
図37参照)から送信された場合、分岐ダクト84の内部風路を開放する。なお、当該電気信号が出ていない場合には、バネ等の力で自動的に内部風路を閉じるようになっている。これが、この実施形態の1つの大きな特徴である。
【0289】
図37において、128は、前記風路開閉手段127を駆動する駆動回路であり、前記制御装置56からの制御信号に応じて動作する。なお、温度検出回路63に接続された複数の温度センサーの内の1つは、前記収納室21の内部空間に臨ませてある。又はその温度センサーは、上壁面21Tの下面又は上面(外側面)に密着するように設置してある。何れにしても、温度検出回路63は、収納室21の内部雰囲気温度又は周囲の壁面温度が一定温度を超えるかどうかを判定できるように、少なくとも加熱手段8が駆動されている期間中には温度検出データを取得する。
【0290】
前記風路開閉手段127を駆動する駆動回路128は、左側加熱コイル8Lと、中央加熱コイル8Mの少なくとも何れか一方が前記制御装置56によって駆動される場合には、優先的に動作する。この理由は、
図36の平面図から明らかなように、収納室21に対して左側加熱コイル8Lと中央加熱コイル8Mの2つだけが真上にあり、その他の右側加熱コイル8Rは真上の位置にないからである。特に、左側加熱コイル8Lの最大火力も3000Wであり、他の2つの加熱コイルに比較して加熱能力が大きいことも理由である。言い換えると、左側加熱コイル8Lと、中央加熱コイル8Mの少なくとも何れか一方が誘導加熱動作した際に、その加熱コイル8L、8Mからの漏洩磁束が収納室21の壁面を加熱する懸念があるためである。
【0291】
但し、前記風路開閉手段127を駆動する駆動回路128は、2つの加熱コイル8M、8Lの何れか一方又は両方が前記制御装置56によって駆動されている場合でも、温度検出回路63によって検出された前記収納室21の内部温度が所定値よりも高くなった場合には、駆動されて風路開閉手段127を開放する。
【0292】
以上の構成であるから、例えば左側加熱コイル8Lの上に、第1の調理器具9が置かれている場合、左操作部12Lにある、3つの入力キー17を使って、火力や加熱時間等を入力し、その入力キー17の1つで加熱開始の指令を入力すれば、インバーター回路55Lが制御装置56によって駆動され、誘導加熱調理が実行される。
【0293】
この加熱調理の開始時点では、制御装置56は前記風路開閉手段127を駆動する駆動回路128には、所定の駆動指令を送信しない。従って分岐ダクト84の内部風路は、途中で閉鎖されたままであり、冷却ユニット57から冷却風が供給されることはない。
【0294】
加熱調理が進行している間に、もし収納室21の温度が所定の温度を超えた場合、温度検出回路63はその状態を検知し、この検知結果を受けて制御装置56は駆動回路128に対し、風路開放の指令信号を送信する。すると、駆動回路128が前記風路開閉手段127に駆動信号を与え、風路開閉手段127は所定の開放位置まで弁又はシャッターが移動する。
【0295】
このため、分岐ダクト84を介して冷却ユニット57から第1の送風機BM1の冷却風の一部が収納室21に供給され、収納室21の内部雰囲気温度を下げることができる。なお、前記風路開閉手段127の開放指令と同期して、前記制御装置56は第1の送風機BM1に対して、送風能力を上げる指令を発しても良い。このようにすれば、加熱手段8側へ供給される冷却風の量を低下させることがなくなり、安定的に加熱手段8やインバーター回路基板55を冷却することができる。
【0296】
なお、第1の送風機BM1は、加熱調理の間だけではなく、加熱調理が終了した後も、例えば10分間程度送風を継続し、調理で高温になった加熱手段8やトッププレート4等の温度が下がるようにしているが、同様に、加熱調理が終わっても依然として収納室21の温度が所定の温度を超えている場合には、温度検出回路63はその状態を検知し、この検知結果を受けて制御装置56は駆動回路128に対し、風路開放の命令を継続する。このため、調理で高温になった加熱手段8やトッププレート4が先に基準温度以下に低下しても、収納室21の温度が下がらない期間中は、第1の送風機BM1の運転が継続する場合がある。
【0297】
また、第1の送風機BM1は、右側加熱コイル8Rが前記制御装置56によって駆動されている場合でも、その前に例えば左側加熱コイル8Lの上で誘導加熱調理をした場合には、右側加熱コイル8Rで誘導加熱を開始した時点で、既に収納室21の内部温度が所定値よりも高くなっている場合がある。このような場合には、右側加熱コイル8Rで誘導加熱を開始する前の時点から、分岐ダクト84の風路開閉手段127に対しては、制御装置56は、風路開放の命令を継続するため、最初から風路開閉手段127は開放された状態になっている。
【0298】
制御装置56は、操作部12の表示画面20によって、収納室21に対して風を送っていることを表示しても良く、また音声合成装置64で、同様な情報を報知しても良い。加熱調理が終わっても依然として収納室21の温度が所定の温度を超えている場合には、制御装置56は一連の制御動作を完了しない。完了した場合には自動的に自ら電源回路62を遮断する。
【0299】
参考形態10の総括.
以上の説明から明らかなように、この参考形態10の加熱調理器1においては、次の発明を実施していた。
すなわち、
図36と
図37の加熱調理器1は、
厨房家具2に支持される本体ケース3と、
前記本体ケース3内を上部空間70と下部空間71の2つの空間に区画する(横方向)第1の隔壁72と、
前記下部空間71を第1の空間71Aと第2の空間71Bに区画する(縦方向)第2の隔壁73と、を備え、
前記第1の空間内部71Aには、前記本体ケース3の前面に形成された挿入口22を介して当該本体ケース3の外部に通ずる収納室21を形成し、
前記上部空間70には、前記本体ケース3の上面を構成するトッププレート4上に置かれた被加熱物を誘導加熱する加熱手段8を配置し、
前記挿入口22の前方側には、前記挿入口22を開閉自在に塞ぐカバー30を備え、
前記第2の空間71Bには、前記加熱手段8の電源回路用電気部品(回路素子)59を実装したインバーター回路基板55と、前記加熱手段8の駆動中に前記回路素子の冷却用空気を供給する第1の送風機BM1と、を配置し、
前記第1の送風機BM1から前記加熱手段8に対する冷却風は、当該加熱手段の手前で分岐して前記収納室21に供給される構成である。
この加熱調理器では、本体ケースの内部には、収納室が確保されており、この中に挿入口から付属品や調理器具等の物品を挿入して格納でき、また必要な都度取り出すことができる。しかも、収納室には、加熱手段を冷却する前の冷却風が供給され収納室の温度上昇を抑制する。
【0300】
参考形態11.
図38〜
図41は、本発明の参考形態11に係る加熱調理器を示すものである。この参考形態11では、加熱調理器1と厨房家具2との間に形成される空隙を目立たないようにするサイドカバーを使用した事例である。
図38は、参考形態11の第1の事例に係る加熱調理器の前方上部と厨房家具の前方上部を示す拡大縦断面図である。
図39は、
図35の変形例を示す拡大縦断面図である。
図40は、参考形態11に係る加熱調理器の右カバー右端部と、これに隣接する家具表面材の左端部とを示す拡大横断面図である。
図41は、
図40の実施形態の変形例を示す拡大横断面図である。この参考形態11の構造は、基本的に上述した実施の形態1、参考形態1〜10の何れにも適用できる。なお、
図1〜
図15と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0301】
この実施形態でいう「サイドカバー」とは、厨房家具2にこの種の加熱調理器1を設置する場合、厨房家具2と加熱調理器1の間に生じてしまう空隙(隙間)を、目立たないようにするための補助部品をいう。なお、加熱調理器1の上方と、側方(右側方、左側方の両方又はその何れか一方)に使用される上記補助部品を、統一的に「サイドカバー」と呼ぶ。
【0302】
従来から各種サイドカバーが提案されているので、先にそれらを説明する。
実開平5−52611号公報では、加熱調理器の設置空間とその調理器外側面との間に生じる隙間を封鎖するサイドカバーを、該隙間に前方から挿入して加熱調理器の外側面に係合せしめる構成が紹介されている。これにより、サイドカバーを取り付けるための部品を別途設ける必要がなく、部品点数が削減されコストが低減されるという効果が期待できるとされている。
【0303】
特開平10−110957号公報では、サイドカバーを組み付ける時の上下のずれと着脱時のサイドカバーの変形を無くすため、加熱調理器(ガスコンロ)の本体ケース側面に、挿入ガイドを形成しておき、サイドカバーを加熱調理器の本体ケースに着脱自在に取り付け構成を提案している。
【0304】
また特開2012−47411号公報では、加熱室の扉を開閉した時でも見栄えを損ねることなく、取付け作業が簡単であり、製造コストの低減が可能なサイドカバーおよびこのサイドカバーを備えた加熱調理器と、その取付け方法が提案されている。この従来技術では、加熱調理器の本体ケースと厨房家具との隙間を隠すために、本体ケースの前面左側に取付けられるサイドカバーは、第1の部品と、第2の部品とで構成され、第1の部品は予め本体ケースに取り付けておき、加熱調理器本体ケースを厨房家具に収納するときに、上記第2の部品を前記第1の部品を利用して取り付けるものである。これにより、取付け作業が簡単であり、特別な工具や部品が不要であるため製造コストを低減できるとされている。
【0305】
前述した実施の形態1、参考形態1〜10では、上記のような各種サイドカバーについて説明していないが、それらサイドカバーのような隙間対応用の補助部品を使用しても、本発明の効果には影響がない。また本発明は、そのようなサイドカバーを使用しないことを前提にしておらず、必要に応じて使用しても構わない。例えば、収納室21の挿入口22を覆うカバー30の右側に、最終的にサイドカバーが隣り合うように位置する場合、そのサイドカバーの前面の位置が、カバー30の前面よりも前方へ突出しないようにサイドカバーの大きさや設置位置を調整すれば良い。そのようなサイドカバーの存在は無視して、厨房家具2の前面とカバー30の前面の位置を合わせることに焦点を当てて、実施の形態1、参考形態1〜10では加熱調理器1の構成と厨房家具2の位置関係や構成を説明した。従って、実施の形態1、参考形態1〜10において「カバー30と隣接する厨房家具2の家具表面材41」という説明をしていても、そのカバー30と家具表面材41との間に、上記のサイドカバーが介在している場合もある。
【0306】
この参考形態10では、そのようなサイドカバーを使用した例である。
図38において、GPTは、参考形態1で説明したように、カバー30の最上部にある手掛け部31A天面と、厨房家具2の前面にある開口2Bの下面との間に、カバー30の移動を許容するために形成される20mm〜数ミリメートル(mm)程度の上側空隙である。
【0307】
121は、前記上側空隙GPTに対応して、本体ケース3の上部前面に設けた支持突起部である。これは薄板金属製の本体ケース3の一部を切り起こして爪状に形成したものでも良いが、この
図38の例では、尖った棒状のものを別に形成し、これを本体ケース3の前面に固定したものである。
【0308】
122は、上側のサイドカバーであり、全体がプラスチックの一体成型で形成され、あるいはアルミニウム等の金属材料を押し出し成型してサッシ状に形成されている。
前記カバー30の前面30Fと、厨房家具2の前面2Fの色彩や表面処理、模様等のデザインを統一している場合、このサイドカバー122の表面もそれらデザインに合わせる、デザインの統一感が向上する。
【0309】
123は、前記サイドカバーの背面側からその内部に空洞状に形成された嵌合穴である。この嵌合穴が前記支持突起部121に嵌ることにより、サイドカバー122は本体ケース3に取り付けられた状態になる。なお、このサイドカバー122は、加熱調理器1の出荷時には取り外されてあり、本体ケース3を収納した梱包箱の中に挿入してある。従って、据付業者等が厨房家具2に本体ケース3を設置した後で、その厨房家具2の開口2Bの外側(
図38では、左方向)から、前記支持突起部121の先端に向けて挿入する。
【0310】
前記カバー30は、サイドカバー122を本体ケース3に取り付けた後で、厨房家具2の開口2Bの外側(
図38では、左方向)から、本体ケース3に装着される。
【0311】
前記サイドカバー122の長さは、
図38のように本体ケース3に装着した状態で、後から取り付けられたカバー30の前面より突出しないような長さにしてある。
上記の構成によって、加熱調理器1の厨房家具2への設置作業が完全に終わった段階では、想定される垂直面VLの上に、前記カバー30の前面と、手掛け部31A前面と、サイドカバー122の前面が、全て位置するようになる。なお、厨房家具2の最上部の前面2Fも、その垂直面VLに一致させても良い。
【0312】
なお、前記上側空隙GPTの大きさは、各種の厨房家具2に設置した場合に、常に一定ではないので、そのような場面も想定し、前記サイドカバー122の厚みを異ならせたものを複数個補助部品として用意していても良いし、またオプション品として用意し、加熱調理器1の使用者や据付業者等からの注文に対応して供給することでも良い。又は据付工事の際に、本体ケース3に対してサイドカバー122の固定位置を前後方向に微調整できるようにしても良い。
【0313】
以上の説明から明らかなように、
図38の参考形態においては、厨房家具2に加熱調理器1を組み込んだ状態では、加熱調理器1の前面を覆うカバー30が、その左側又は右側の少なくとも何れか一方に隣接する厨房家具2の前面と大きな段差を生ずることがない。さらに、カバー30の上方と厨房家具2の前面との間の隙間を目立たなくするための上側のサイドカバー122の前後方向の位置も、加熱調理器1のカバー30の前面30Fの位置に合わせることができる。これにより厨房家具2の前面2Fとの全体に、統一的平面感を持たせることができる。
【0314】
次に、
図39について説明する。
図39は、
図38の実施形態の変形例を示す拡大縦断面図である。
この変形例では、前記サイドカバー122の長さは、加熱調理器1を厨房家具2へ設置した段階で、想定される垂直面VLよりも後退した位置までである。しかしながら、この
図39の構成でも、前記カバー30を前方に移動させて収納室21の挿入口22が開放された状態では、その挿入口22の口縁と略近接した前面位置にサイドカバー122があるから、前記上側空隙GPTの存在感は薄れる。このため、この
図39の構成でも、上側空隙GPTによって厨房家具2の前面のデザイン性を大きく損なうことが回避できる。
【0315】
次に
図40について説明する。
図40は、参考形態11における、右カバー(飾り板)44と、これの右側に隣接する家具表面材41の左端部とを示す拡大横断面図である
図40において、GPRは、参考形態1で説明したように、飾り板44と、加熱調理器1の右側に隣接する厨房家具2の左側面との間に、ある20mm〜数ミリメートル(mm)程度の右側空隙である。なお、加熱調理器1の右側にも厨房家具2がある場合は、カバー30と厨房家具2の右側面との間にも形成される空隙があり、その場合は「左側空隙」GPLと呼ぶ。
【0316】
124は、前記右側空隙GPRに対応して、本体ケース3の右側面前部に設けた支持突起部である。これは薄板金属製の本体ケース3の一部を切り起こして爪状に形成したものである。なお、尖った棒状のものを別に形成し、これを本体ケース3の前面や側面前方部に固定したものでも良い。
【0317】
125は、右側のサイドカバーであり、全体がプラスチックの一体成型で形成され、あるいはアルミニウム等の金属材料を押し出し成型してサッシ状に形成されている。
前記飾り板44の前面44Fと、厨房家具2の前面2Fの色彩や表面処理、模様等のデザインを統一している場合、このサイドカバー125の表面もそれらデザインに合わせる、デザインの統一感が向上する。
【0318】
126は、前記サイドカバーの背面側からその内部に空洞状に形成された嵌合穴である。この嵌合穴が前記支持突起部124に嵌ることにより、サイドカバー125は本体ケース3に取り付けられた状態になる。なお、このサイドカバー125は、加熱調理器1の出荷時には取り外されてあり、本体ケース3を収納した梱包箱の中に挿入してある。従って、据付業者等が厨房家具2に本体ケース3を設置した後で、その厨房家具2の開口2Bの外側(
図40では、紙面の下方向)から、前記支持突起部123の先端に向けて挿入する。
【0319】
前記飾り板44は、サイドカバー125を本体ケース3に取り付けた後で、厨房家具2の開口2Bの外側(
図40では、紙面の下方向)から、本体ケース3に装着される。
【0320】
前記サイドカバー125の長さは、
図40のように本体ケース3に装着した状態で、後から取り付けられた飾り板44の前面44Fより突出しないような長さにしてある。
上記の構成によって、加熱調理器1の厨房家具2への設置作業が完全に終わった段階では、想定される垂直面HLの上に、前記飾り板44の前面44Fと、サイドカバー125の前面125Fが、全て位置するようになる。なお、このサイドカバー125の直ぐ右隣りの厨房家具2の家具表面材41も、その垂直面VLに一致する。なお、
図38の垂直面VLとこの
図40の垂直面HLは、同じ位置にある。
【0321】
なお、前記右側空隙GPRの大きさは、各種の厨房家具2に設置した場合に、常に一定ではないので、そのような場面も想定し、前記サイドカバー125の厚み(横幅寸法)を異ならせたものを複数個補助部品として用意していても良いし、またオプション品として用意し、加熱調理器1の使用者や据付業者等からの注文に対応して供給することでも良い。
【0322】
さらに、前記サイドカバー125の長さを異ならせたものを複数個補助部品として用意していても良い。又は据付工事の際に、本体ケース3に対して固定位置を前後方向に微調整できるようにしても良い。
【0323】
次に、
図41の変形例について説明する。
図41は、
図40の変形例を示す拡大横断面図である。
この変形例では、前記サイドカバー122の長さは、加熱調理器1を厨房家具2へ設置した段階で、想定される垂直面HLよりも後退した位置までである。しかしながら、この
図41の構成でも、前記カバー30を前方に移動させて収納室21の挿入口22が開放された状態では、その挿入口22の口縁と略近接した前面位置にサイドカバー125があるから、前記右側空隙GPRの存在感は薄れる。このため、この
図41の構成でも、右側空隙GPRの存在によって厨房家具2の前面のデザイン性を大きく損なうことが回避できる。
【0324】
その他の参考形態.
本発明の実施の形態1、参考形態1〜10では、上記のような各種サイドカバー122、125について説明していないが、それらサイドカバーのような隙間対応用の補助部品を使用しても、本発明の効果には影響がない。また本発明は、そのようなサイドカバー122、125を使用しないことを前提にしておらず、必要に応じて使用しても構わない。例えば、収納室21の挿入口22を覆うカバー30の右側に、最終的にサイドカバー125が隣り合うように位置する場合、そのサイドカバー125の前面の位置が、カバー30の前面よりも前方へ突出しないようにサイドカバーの大きさや設置位置を調整すれば良い。
【0325】
本発明の参考形態1などでは、
図10で説明したように、後部枠板5に吸気口(図示せず)と排気口6(
図4、
図10参照)をそれぞれ形成していた。そしてその吸気口の上を吸気カバー7Aで覆っていた構成であったが、上記のような本体ケース3の上面からの吸気に加えて、本体ケース3の側面からの吸気するようにしても良い。あるいは本体ケース3の上面からの吸気は完全に止めて、本体ケース3の側面からの吸気にしても良い。具体的には本体ケースの後面板3Hや、傾斜面部3Jの何れか一方、又はその両方に吸気口(図示せず)を形成しても良い。なお、参考形態4では、第1の送風機BM1は、本体ケース3の背後側の壁面(後面板3H)に設けた多数の吸込孔(図示せず)から、本体ケース3の外部の空気を吸込む構成である。
【0326】
本発明の参考形態1では、本体ケース3の上面に吸気カバー7Aと排気カバー7Bを着脱自在に設けていた。例えば、排気口6の上方に排気カバー7Bを置いておく構造であった。しかしながら、このように吸気カバー7Aと排気カバー7Bを別々に用意する必要はなく、両者を一体化したもので覆っても良い。また、本体ケース3の上面に排気口や吸気口を設けた場合であっても、使用者が本体ケース3の操作部12側から見た場合、その使用者に目視できないように、排気カバーや吸気カバーの背面に吸気や吸気をする孔を設けるようにしても良い。このようにすれば、その排気カバーや吸気カバーから後方側斜め上の方向に向けて、排気や吸気が行われる構成になる。
【0327】
実施の形態1、参考形態1〜11では、カバー30や飾り板44が、本体ケース3に取り付けられると説明したが、これは、加熱調理器1をメーカが出荷する時点で、本体ケース3に必ず取り付けてあるという意味ではない。
図15に示したような厨房家具2への設置作業が円滑にできるように、また設置作業の過程でカバー等の装飾部品が厨房家具2に当って破損したり、傷が付いたりしないようするため、例えば本体ケース3の前面には、廃棄して良いような「保護シート」や「保護パネル」という緩衝材、保護部材が取り付けられて出荷されている。そして、加熱調理器1の販売店や設置会社の作業者が、
図15に示したような厨房家具2の中へ、加熱調理器1を水平に挿入した後で、上記のような「保護シート」や「保護パネル」を取り外し、その後でカバー30や飾り板44を取り付けることが良い。そのため、本発明の実施の形態1、参考形態1〜11においても、上記のようなカバー30や飾り板44、更には参考形態11で説明したような。各種サイドカバー122、125を、加熱調理器1の本体ケース3を格納した梱包箱に、一緒に入れて出荷すれば良い。
【0328】
実施の形態1、参考形態1〜11では、収納室21が本体ケース3の中央から左側に位置していたが、これを左右逆にし、右側に設けても良い。また収納室21の内部空間を、2つ以上に仕切れるようにし、その全ての前方側挿入口を1枚のカバー30で開閉するようにすれば、1枚のカバー30の開放で、全ての収納室21の内部が前方に開放でき、調理器具9やその他調味料、食料品、雑貨等の格納と取り出しが更に容易になる。
【0329】
また収納室21は、その内部を複数に区画する場合、仕切板や通気性のある網や枠で2つ以上に分けて使うようにしても良い。つまり、この収納室21は、例えば第1の調理器具9を収納できれば良いので、余った空間を他の調理器具や調理用の小物備品等の収納に利用して良い。なお、参考形態7の
図26で紹介したように、収納室21に本体ケース3の外部の新鮮な空気を積極的に導入すると、収納室21が長期間にわたり密閉空間になりにくいので、カビの発生も抑制できる。また
図26で説明したように、空気殺菌手段102を設ければ、さらに確実にカビの発生やそれによる悪臭の発生等を防止できる。
【0330】
実施の形態1、参考形態1〜11では、第1の調理器具9が、ステンレスや鉄等の磁性金属製の皿部9Aと、この皿部の上方を覆う耐熱ガラス製の蓋体9Bと、から構成されていたが、この構成を変更しても良い。例えば、1つの皿部9Aに、ガラス製の蓋体9Bと、鋳物等の金属製蓋体とを用意しておき、加熱調理の種類に応じて使用者が使い分けるものでも良い。金属製の蓋体は、例えば炊飯のような加熱調理に伴う圧力上昇によって蓋体が簡単に持ち上がってしまう場合に使用する。つまり、蓋体自体が重いので、炊飯中に不用意に開いてしまうことがない。
【0331】
また皿部9Aに蓋体9Bをロックできるように、皿部を支点として回動する掛け金を設けて、調理中は、蓋体9Bを開かないように固定する構造でも良い。
また必ずしも調理器具9には、蓋体9Bが無いものであっても良い。また、収納室21に調理器具9を収容する場合、皿部9Aに蓋体9Bを(調理時と同じ向きで)載せて格納できなくとも良い。例えば、蓋体9Bを逆さ(裏返し)にして、その状態で収納しても良い。このようにした方が、調理器具9の全体の高さが低くなり、狭い収納室21でも収容できることになる場合があるが、それは蓋体9Bと皿部9Aの大きさや形状に依存する。
【0332】
第1の調理器具9の金属製皿部9Aの表面全体に、黒色のセラミックコーティングを施しても良い。そのようなセラミックコーティングによって遠赤外線効果が期待できるので、炊飯やその他調理を更に内部まで加熱することができ、美味しい料理を作ることができる。
【0333】
今回開示された実施の形態および参考形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の実質的な範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。