特許第6987203号(P6987203)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6987203
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 37/10 20060101AFI20211213BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   F02M37/10 A
   F02M37/00 301R
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-184103(P2020-184103)
(22)【出願日】2020年11月4日
【審査請求日】2020年11月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】特許業務法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 穰
(72)【発明者】
【氏名】江口 慶祐
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−117323(JP,A)
【文献】 特開2019−190429(JP,A)
【文献】 特開2015−137589(JP,A)
【文献】 特開2012−136983(JP,A)
【文献】 特開2010−084538(JP,A)
【文献】 特開2015−190425(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/014719(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/10〜37/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクに設けられた開口部を閉塞し、燃料を前記燃料タンクの内側から外側へ吐出する吐出流路を備えたフランジと、
第1端部が前記フランジに保持され、燃料を吸引して昇圧し、前記第1端部とは反対側の第2端部に設けられた吐出部から燃料を吐出する燃料ポンプと、
前記燃料ポンプを収容し、前記燃料ポンプの前記第2端部を支持すると共に、前記燃料ポンプの前記吐出部に連結される吐出連結部を有するケース部材、及び前記吐出部を除く前記第2端部から離間して配置され、前記吐出連結部に連結される燃料通路を備え、前記ケース部材に溶着されたカバー部材を有したポンプケースと、
前記燃料タンクの内部の燃料の液面高さを検出する燃料ゲージと、
前記燃料ゲージを前記ポンプケースに取り付けるジョイント部材と、を備え、
前記ジョイント部材における前記ポンプケースに係止される第一係止部は、前記吐出部を除いた前記第2端部の部分と前記ポンプケースの溶着部との間の、前記第2端部を支持する前記ケース部材の部分に係止されている燃料供給装置。
【請求項2】
前記ジョイント部材は第二係止部を備え、
前記第二係止部は、前記ポンプケースの溶着部よりも前記カバー部材の側において、前記カバー部材に係止されている請求項1に記載の燃料供給装置。
【請求項3】
前記ジョイント部材の前記第一係止部は、前記ケース部材の部分と嵌合する第一のスナップフィットを備え、
前記ケース部材の部分と前記第一のスナップフィットとを嵌合する方向は、前記燃料タンクの開口部に取り付けられる前記フランジの部分である前記フランジの設置面に平行である請求項1または請求項2に記載の燃料供給装置。
【請求項4】
前記ジョイント部材の前記第二係止部は、前記カバー部材と嵌合する第二のスナップフィットを備え、
前記カバー部材と前記第二のスナップフィットとを嵌合する方向は、前記燃料タンクの開口部に取り付けられる前記フランジの部分である前記フランジの設置面に平行である請求項2に記載の燃料供給装置。
【請求項5】
前記ジョイント部材は、前記燃料ポンプの前記第2端部に垂直な方向に立設し、前記第2端部の前記吐出部と前記第2端部の外周部との間に配置された固定壁を備え、
前記燃料ゲージは前記固定壁に取り付けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、燃料供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料供給装置は、燃料タンクの内部に貯留された燃料を燃料タンクの外部に設けられたエンジンへ圧送する装置である。二輪車などの車両に使用される燃料供給装置は、車体の構造上、燃料タンクの底面から燃料タンクの内部に挿入される。そして燃料タンクの底面から燃料供給装置が立ち上がるように設置されることを想定して、燃料供給装置を構成する各部は設計される。
【0003】
このような燃料供給装置は、燃料タンクの開口部を塞ぐフランジと、燃料を昇圧し吐出する燃料ポンプと、燃料ポンプに吸入される燃料を濾過するサクションフィルタと、燃料ポンプから吐出された燃料を濾過する高圧フィルタと、燃料ポンプと高圧フィルタを収納して支持するポンプケースと、フロートを用いて燃料タンクの内部に貯留された燃料の液面高さを検出する燃料ゲージとから構成される。燃料タンクの内部の限られた空間に燃料供給装置を設置可能とするために、燃料供給装置に対する小型化の要求が高まっている。また、悪路の走行及び競技用等の多様な走行環境への対応が可能な様に、車両及び燃料供給装置に走行中の振動に耐える耐振性向上、さらに低価格化などの要求も高まっている。
【0004】
燃料タンク毎に異なる燃料タンクの内部の限られた空間に容易にフロートを配置することができる液面検出装置を備えた燃料供給装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。燃料供給装置の上端に燃料ゲージの保持部品を設置しているため、燃料タンク毎に異なる燃料タンクの内部の限られた空間内に、燃料ゲージのフロートを容易に配置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019−196726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1においては、燃料タンクの形状が異なっていても、燃料タンクの限られた空間内において燃料ゲージのフロートを燃料タンクの内部に容易に配置することはできる。しかしながら、燃料供給装置の上部に燃料供給装置を構成する部品が積み上げられるため、燃料タンクの開口部と燃料供給装置との干渉は抑制されるものの、燃料供給装置の高さが増加するので燃料供給装置を小型化できないという課題があった。また、ポンプケースを構成するケース本体とカバー部材とを溶着することでポンプケースの内部に燃料通路を形成しているが、溶着工程においてケース本体とカバー部材との溶着面の周囲に他の部材の配置を避けるといった組立上の制約が存在しているため、燃料供給装置の小型化が妨げられると共に、燃料供給装置の組み立てが複雑化するという課題があった。
【0007】
そこで、本願は、小型化しつつ、組立性を向上させた燃料供給装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願に開示される燃料供給装置は、燃料タンクに設けられた開口部を閉塞し、燃料を燃料タンクの内側から外側へ吐出する吐出流路を備えたフランジと、第1端部がフランジに保持され、燃料を吸引して昇圧し、第1端部とは反対側の第2端部に設けられた吐出部から燃料を吐出する燃料ポンプと、燃料ポンプを収容し、燃料ポンプの第2端部を支持すると共に、燃料ポンプの吐出部に連結される吐出連結部を有するケース部材、及び吐出部を除く第2端部から離間して配置され、吐出連結部に連結される燃料通路を備え、ケース部材に溶着されたカバー部材を有したポンプケースと、燃料タンクの内部の燃料の液面高さを検出する燃料ゲージと、燃料ゲージをポンプケースに取り付けるジョイント部材とを備え、ジョイント部材におけるポンプケースに係止される第一係止部は、吐出部を除いた第2端部の部分とポンプケースの溶着部との間の、第2端部を支持するケース部材の部分に係止されている。
【発明の効果】
【0009】
本願に開示される燃料供給装置によれば、燃料ゲージをポンプケースに取り付けるジョイント部材の第一係止部は、吐出部を除いた燃料ポンプの第2端部の部分と、ポンプケースにおけるケース部材及びカバー部材の溶着部との間の、第2端部を支持するケース部材の部分に係止されているため、カバー部材の上に部品が積み上げられることがなく燃料供給装置の高さが増加することがないので、燃料供給装置を小型化することができる。また、第一係止部が係止されるケース部材の部分と第一係止部は、ケース部材及びカバー部材の溶着部と干渉しない配置となるため、組み立てにおけるケース部材とカバー部材との溶着工程を容易にすることができ、燃料供給装置の組立性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る燃料供給装置の概略を示す平面図である。
図2図1のA−A断面位置で切断した燃料供給装置の断面図である。
図3】実施の形態1に係る燃料供給装置の概略を示す分解斜視図である。
図4】実施の形態1に係る別の燃料供給装置の概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本願の実施の形態による燃料供給装置を図に基づいて説明する。なお、各図において同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る燃料供給装置1の概略を示す平面図、図2図1のA−A断面位置で切断した燃料供給装置1の断面図、図3は実施の形態1に係る燃料供給装置1の概略を示す分解斜視図、図4図1のA−A断面位置と同等の位置で切断した実施の形態1に係る別の燃料供給装置1の概略を示す断面図である。図3では、燃料供給装置1を構成する部品のうち、燃料ゲージ9、ジョイント部材10、及びカバー部材12を分解して示している。図2図3及び図4において、燃料ゲージ9のフロート9aは省略している。燃料供給装置1は、図2に示すように燃料タンク2の内部に配置され、燃料タンク2の内部に貯蔵された燃料を燃料タンク2の外部に設けられたエンジン(図示せず)へ吐出パイプ3aを介して圧送する装置である。
【0013】
<燃料供給装置1>
燃料供給装置1は、フランジ3、燃料ポンプ4、ポンプケース5、サクションフィルタ6、高圧フィルタ7、プレッシャレギュレータ8、燃料ゲージ9、及びジョイント部材10を備える。二輪車などの車両に使用される燃料供給装置1は、車体の構造上、燃料タンク2の底面の開口部2aから燃料タンク2の内部に挿入して燃料タンク2に配置される。燃料タンク2における燃料供給装置1の配置は燃料タンク2の底面に限るものではなく、燃料タンク2の他の箇所であっても構わない。
【0014】
フランジ3は、燃料タンク2の底面に設けられた開口部2aを閉塞する。燃料タンク2の開口部2aに取り付けられるフランジ3の部分は、フランジ3の設置面3cである。フランジ3は、例えば、ポリアセタール(Polyoxymethylene、以下POMと称す)等の樹脂で成形して作製される。フランジ3は、吐出流路である吐出パイプ3aを備える。吐出パイプ3aは、燃料ポンプ4によって圧送された燃料を燃料タンク2の内側から外側へ吐出する。また、フランジ3は、電気配線の接続に使用される電気コネクタ3bを備える。電気コネクタ3bは、リード線(図示せず)を介して燃料ポンプ4へ電源を供給する。また、電気コネクタ3bは、燃料ゲージ9から出力された検出信号を外部へ出力する。
【0015】
燃料ポンプ4は円筒形状に形成され、第1端部4aがフランジ3に保持され、燃料を吸引して昇圧し、第1端部4aとは反対側の第2端部4bに設けられた吐出部4cから燃料を吐出する。第1端部4aは、サクションフィルタ6に連結され、燃料を吸い込む吸込部4dを有する。燃料ポンプ4は電気コネクタ3bと接続された端子(図示せず)を有し、内部に備えたモータ駆動で回転するインペラ等の回転部材により、燃料を吸引して昇圧する。燃料ポンプ4が吸引する燃料を濾過するサクションフィルタ6は、燃料ポンプ4の内部の詰りを防止するために設けられる。サクションフィルタ6は、燃料タンク2の内部の燃料に混入している比較的大きな異物を除去する。
【0016】
燃料ポンプ4をポンプ保持部11aで保持し、燃料の流路が内部に形成されるポンプケース5は、ケース部材11及びカバー部材12を備える。ケース部材11及びカバー部材12は、例えば、POM等の樹脂で成形して作製される。ポンプケース5は、図3に示すように、燃料タンク2に取り付けられるフランジ3の設置面3cから立設した外壁部3dと例えばポンプ保持部11aが有したスナップフィット11a1によって係止される。ケース部材11は、円筒形状のポンプ保持部11aで燃料ポンプ4を収容する。ケース部材11は、図2に示すように、ポンプ支持部11bで燃料ポンプ4の第2端部4bを支持する。ケース部材11は、燃料ポンプ4の吐出部4cとOリングを介して連結される吐出連結部11cを有する。ケース部材11がポンプ支持部11bで第2端部4bを支持するため、筒状の燃料ポンプ4の軸方向の移動を第2端部4bの側から抑制することができる。燃料ポンプ4の軸方向の移動が抑制されるので、燃料ポンプ4の耐振性を向上させることができる。
【0017】
カバー部材12は、吐出部4cを除く第2端部4bから離間して配置され、吐出連結部11cに連結される燃料通路12aを備える。カバー部材12は、ケース部材11に熱版溶着等により溶着される。ケース部材11とカバー部材12とが溶着されることで、燃料の流路が密封される。燃料ポンプ4を通過した燃料は、燃料通路12aで折り返して、燃料タンク2の開口部2aの方向に向かう。ケース部材11は、高圧フィルタ7を収容するフィルタ収容部11dを有する。高圧フィルタ7は、燃料通路12aと連結され、燃料通路12aを通過した燃料を濾過する。ケース部材11は、図1に示すように、高圧フィルタ7で異物が除去された燃料をエンジンへ圧送する第一流出口11e、及び余剰燃料を燃料タンク2に排出する第二流出口11fを備える。第一流出口11eは、フランジ3とシーリングを介して連結される。第二流出口11fは、プレッシャレギュレータ8と連結される。プレッシャレギュレータ8は、余剰燃料の圧力を調圧し、調圧された余剰燃料を燃料タンク2へ排出する。
【0018】
燃料ゲージ9は、フロートアーム9cを介して設けられたフロート9aにより、燃料タンク2の内部に貯留された燃料の液面高さを検出する。燃料ゲージ9から出力される燃料の液面高さに対応した検出信号は、電気コネクタ3bを介して外部に出力される。
【0019】
<ジョイント部材10>
本願の要部であるジョイント部材10について説明する。ジョイント部材10は、燃料ゲージ9をポンプケース5に取り付ける部材である。ジョイント部材10は、例えば、POM等の樹脂で成形して作製される。ジョイント部材10におけるポンプケース5に係止される第一係止部10bは、図2に示すように、吐出部4cを除いた第2端部4bの部分とポンプケース5におけるケース部材11及びカバー部材12の溶着部(後述する水平面B)との間の、第2端部4bを支持するケース部材11の部分であるポンプ支持部11bに係止されている。燃料ポンプ4の第2端部4bに設けられた吐出部4cは、フィルタ収容部11dに隣接して配置される。この配置により、燃料通路12aの長さを短縮することができ、ケース部材11のポンプ支持部11bの図2における上方の部分に空間が設けられるので、この箇所にジョイント部材10が配置される。この構成によれば、カバー部材12の上方に部品が積み上げられないため、燃料供給装置1の高さが増加することがないので、燃料供給装置1を小型化することができる。また、燃料供給装置1の周囲において部品が配置されない無効な空間の発生が抑制されるため、燃料供給装置1を小型化することができる。
【0020】
ジョイント部材10は、燃料ポンプ4の第2端部4bに垂直な方向に立設し、第2端部4bの吐出部4cと第2端部4bの外周部との間に配置された固定壁10aを備える。燃料ゲージ9は、図3に示すように、複数のスナップフィット9bにより固定壁10aに取り付けられている。この構成によれば、固定壁10aが第2端部4bの外周部よりも第2端部4bの内側に設けられているので、燃料供給装置1を小型化することができる。また、燃料ゲージ9は、複数のスナップフィット9bで固定壁10aに固定されているため、燃料ゲージ9のフロートアーム9cによって発生する遠心力を複数の箇所で固定壁10aが受けることになるので、燃料ゲージ9の保持強度を向上させることができる。なおジョイント部材10における固定壁10aの配置はこれに限るものではなく、燃料タンク2の内部において燃料ゲージ9のフロート9aが配置される位置に応じて他の位置に固定壁10aを配置しても構わない。
【0021】
図2及び図3において、二点鎖線で示した部分がケース部材11及びカバー部材12の溶着部が位置する水平面Bである。ジョイント部材10の2つの第一係止部10bは、図3に示すように、それぞれ第一のスナップフィット10dを備える。第一のスナップフィット10dをポンプ支持部11bに設けられたガイド部11b1、11b2のそれぞれの隙間部に挿入して嵌合することで、第一係止部10bはポンプ支持部11bに係止される。ポンプ支持部11bと第一のスナップフィット10dとを嵌合する方向は、燃料タンク2の開口部2aに取り付けられるフランジ3の設置面3cに平行である。ポンプ支持部11bと第一のスナップフィット10dとを嵌合する方向は設置面3cに平行な方向に限るものではなく、例えば、設置面3cに垂直な方向(図3に示した矢印Cの方向)であっても構わない。本実施の形態では、ジョイント部材10は2つの第一係止部10bを備えたが、第一係止部10bの個数は2つに限るものではなく、1つもしくは3つ以上であっても構わない。
【0022】
この構成によれば、水平面Bに第一係止部10bとポンプ支持部11bが設けられておらず、第一係止部10bとポンプ支持部11bは水平面Bと干渉しない配置となるため、組み立てにおけるケース部材11とカバー部材12との溶着工程を容易にすることができる。溶着工程が容易であるため、燃料供給装置1の組立性を向上させることができる。また、第一のスナップフィット10dはガイド部11b1、11b2の隙間部に挿入して嵌合されるため、第一係止部10bによりジョイント部材10の移動を抑制してジョイント部材10を固定することができる。ジョイント部材10の移動が抑制されるので、ジョイント部材10に固定された燃料ゲージ9の耐振性を向上させることができる。また、ポンプ支持部11bと第一のスナップフィット10dとを嵌合する方向がフランジ3の設置面3cに平行であるため、第一のスナップフィット10dと設置面3cとは平行に配置されるので、ポンプケース5の径方向のサイズの拡大を抑制することができる。また、燃料供給装置1の組立後において、第一のスナップフィット10dの係止が正常に行われていないハーフロック状態の有無の目視検査を容易に行うことができる。
【0023】
ジョイント部材10は第二係止部10cを備える。第二係止部10cは、ポンプケース5におけるケース部材11及びカバー部材12の溶着部よりもカバー部材12の側において、カバー部材12に係止されている。ジョイント部材10の第二係止部10cは、カバー部材12と嵌合する第二のスナップフィット10eを備える。カバー部材12の第二のスナップフィット10eと嵌合する箇所は、カバー部材12の側面に設けられた嵌合部12bである。カバー部材12と第二のスナップフィット10eとを嵌合する方向は、フランジ3の設置面3cに平行である。カバー部材12と第二のスナップフィット10eとを嵌合する方向は設置面3cに平行な方向に限るものではなく、例えば、設置面3cに垂直な方向(図3に示した矢印Cの方向)であっても構わない。
【0024】
この構成によれば、水平面Bに第二係止部10cが設けられておらず、第二係止部10cは水平面Bと干渉しない配置となるため、組み立てにおけるケース部材11とカバー部材12との溶着工程を容易にすることができる。溶着工程が容易であるため、燃料供給装置1の組立性を向上させることができる。また、ジョイント部材10は第一係止部10bと第二係止部10cの二箇所でポンプケース5に固定されるため、ジョイント部材10及び燃料ゲージ9の保持強度を向上させることができ、ジョイント部材10を小型化しても十分な燃料ゲージ9の保持強度を確保することができる。ジョイント部材10及び燃料ゲージ9の保持強度が向上されるので、ジョイント部材10及び燃料ゲージ9の耐振性を向上させることができる。また、カバー部材12と第二のスナップフィット10eとを嵌合する方向がフランジ3の設置面3cに平行であるため、第二のスナップフィット10eと設置面3cとは平行に配置されるので、ポンプケース5の径方向のサイズの拡大を抑制することができる。また、燃料供給装置1の組立後において、第二のスナップフィット10eの係止が正常に行われていないハーフロックの状態の有無の目視検査を容易に行うことができる。
【0025】
本実施の形態では、ジョイント部材10が第一係止部10bと第二係止部10cとを備え、第一係止部10bと第二係止部10cの二箇所でポンプケース5に固定される構成について示したが、ジョイント部材10をポンプケース5に固定する構成はこれに限るものではない。図4に示すように、ジョイント部材10が第一係止部10bのみを備え、第一係止部10bのみでポンプケース5に固定される構成でも構わない。
【0026】
<燃料供給装置1の組立>
図3において、分解して示した燃料ゲージ9、ジョイント部材10、及びカバー部材12の組立の順序について説明する。まず、カバー部材12がケース部材11に熱版溶着等により溶着される。次に、燃料ゲージ9が複数のスナップフィット9bによりジョイント部材10の固定壁10aに取り付けられる。次に、ジョイント部材10が備えた第一係止部10bと第二係止部10cをケース部材11のポンプ支持部11bとカバー部材12の嵌合部12bのそれぞれに係止して、ジョイント部材10をポンプケース5に固定する。
【0027】
この組立順序によれば、水平面Bに他の部材が配置されていない状態でカバー部材12がケース部材11に溶着できるため、組み立てにおけるケース部材11とカバー部材12との溶着工程を容易にすることができる。溶着工程が容易であるため、燃料供給装置1の組立性を向上させることができる。第一係止部10bと第二係止部10cがケース部材11とカバー部材12のそれぞれに係止されている状態を確認する組立後の外観検査は、図3に示した矢印Cで示される一つの方向から燃料供給装置1を見下ろすのみで行うことができる。外観検査が一方向からの検査のみで行うことができるため、検査に要する時間を短縮することができる。検査の時間が短縮されるため、燃料供給装置1の生産性を向上させることができ、燃料供給装置1の製造コストを低減することができる。
【0028】
以上のように、実施の形態1による燃料供給装置1において、燃料ゲージ9をポンプケース5に取り付けるジョイント部材10の第一係止部10bは、吐出部4cを除いた燃料ポンプ4の第2端部4bの部分と、ポンプケース5におけるケース部材11及びカバー部材12の溶着部との間の、第2端部4bを支持するケース部材11の部分であるポンプ支持部11bに係止されているため、カバー部材12の上方に部品が積み上げられることがなく燃料供給装置1の高さが増加することがないので、燃料供給装置1を小型化することができる。また、第一係止部10bが係止されるポンプ支持部11bと第一係止部10bは、ケース部材11及びカバー部材12の溶着部と干渉しない配置となるため、組み立てにおけるケース部材11とカバー部材12との溶着工程を容易にすることができ、燃料供給装置1の組立性を向上させることができる。
【0029】
ジョイント部材10が第二係止部10cを備え、第二係止部10cがポンプケース5におけるケース部材11及びカバー部材12の溶着部よりもカバー部材12の側において、カバー部材12に係止されている場合、第二係止部10cはケース部材11及びカバー部材12の溶着部と干渉しない配置となるため、組み立てにおけるケース部材11とカバー部材12との溶着工程を容易にすることができ、燃料供給装置1の組立性を向上させることができる。また、ジョイント部材10は第一係止部10bと第二係止部10cの二箇所でポンプケース5に固定されるため、ジョイント部材10及び燃料ゲージ9の保持強度を向上させることができ、ジョイント部材10を小型化しても十分な燃料ゲージ9の保持強度を確保することができる。
【0030】
ポンプ支持部11bと第一のスナップフィット10dとを嵌合する方向がフランジ3の設置面3cに平行である場合、第一のスナップフィット10dと設置面3cとは平行に配置されるので、ポンプケース5の径方向のサイズの拡大を抑制することができる。また、燃料供給装置1の組立後において、第一のスナップフィット10dの係止が正常に行われていないハーフロック状態の有無の目視検査を容易に行うことができる。また、カバー部材12と第二のスナップフィット10eとを嵌合する方向がフランジ3の設置面3cに平行である場合、第二のスナップフィット10eと設置面3cとは平行に配置されるので、ポンプケース5の径方向のサイズの拡大を抑制することができる。また、燃料供給装置1の組立後において、第二のスナップフィット10eの係止が正常に行われていないハーフロックの状態の有無の目視検査を容易に行うことができる。
【0031】
ジョイント部材10が、燃料ポンプ4の第2端部4bに垂直な方向に立設し第2端部4bの吐出部4cと第2端部4bの外周部との間に配置された固定壁10aを備え、燃料ゲージ9が固定壁10aに取り付けられている場合、固定壁10aが第2端部4bの外周部よりも内側に設けられているので、燃料供給装置1を小型化することができる。
【0032】
また本願は、様々な例示的な実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施例に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施例の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施例に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施例の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0033】
1 燃料供給装置、2 燃料タンク、2a 開口部、3 フランジ、3a 吐出パイプ、3b 電気コネクタ、3c 設置面、3d 外壁部、4 燃料ポンプ、4a 第1端部、4b 第2端部、4c 吐出部、4d 吸込部、5 ポンプケース、6 サクションフィルタ、7 高圧フィルタ、8 プレッシャレギュレータ、9 燃料ゲージ、9a フロート、9b スナップフィット、9c フロートアーム、10 ジョイント部材、10a 固定壁、10b 第一係止部、10c 第二係止部、10d 第一のスナップフィット、10e 第二のスナップフィット、11 ケース部材、11a ポンプ保持部、11a1 スナップフィット、11b ポンプ支持部、11b1 ガイド部、11b2 ガイド部、11c 吐出連結部、11d フィルタ収容部、11e 第一流出口、11f 第二流出口、12 カバー部材、12a 燃料通路、12b 嵌合部
【要約】
【課題】小型化しつつ、組立性を向上させた燃料供給装置を得ること。
【解決手段】燃料タンクの開口部を閉塞し、燃料を吐出する吐出流路を備えたフランジと、第1端部がフランジに保持され、燃料を吸引して昇圧し、第2端部に設けられた吐出部から燃料を吐出する燃料ポンプと、燃料ポンプを収容し、燃料ポンプの第2端部を支持すると共に、燃料ポンプの吐出部に連結される吐出連結部を有するケース部材、及び第2端部から離間して配置され、吐出連結部に連結される燃料通路を備え、ケース部材に溶着されたカバー部材を有したポンプケースと、燃料の液面高さを検出する燃料ゲージと、燃料ゲージをポンプケースに取り付けるジョイント部材とを備え、ジョイント部材におけるポンプケースに係止される第一係止部は、吐出部を除いた第2端部の部分とポンプケースの溶着部との間の、第2端部を支持するケース部材の部分に係止されている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4