(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。
【0023】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化がなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。
【0024】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0025】
また、以下に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置と方向とを意味する用語が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、実際に実施される際の方向とは関係しないものである。
【0026】
また、以下に記載される説明において、「第1の」、または、「第2の」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0027】
<第1の実施の形態>
以下、本実施の形態に関する半導体装置、および、半導体装置の製造方法について説明する。なお、以下の説明においては、第1の導電型がn型であり、第2の導電型がp型であるとする。
【0028】
<半導体装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関する半導体装置の構成の例を概略的に示す断面図である。
図1においては、半導体基板にSiCが用いられた場合が示されている。また、
図1に例が示される構成は、プレーナゲート構造のSiC−MOSFETであり、その主要部のセル構造である。半導体装置の全体構成としては、
図1に例が示された構成が
図1の左右方向に連続するものである。
【0029】
図1に例が示されるように、半導体装置は、n型のSiC基板1と、SiC基板1の上面に形成されたn型のドリフト層2と、ドリフト層2の表層に選択的に形成されたp型のベース領域3と、ベース領域3の表層に選択的に形成されたn型のソース領域4と、ソース領域4とドリフト層2とに挟まれたベース領域3の上面にゲート絶縁膜5を介して形成されたゲート電極6と、ゲート電極6を覆って形成された層間絶縁膜20と、層間絶縁膜20の上面および露出しているソース領域4の上面を覆って形成されたソース電極7と、ソース電極7の上面に形成されたソース電極10と、SiC基板1の下面に形成されたドレイン電極9とを備える。
【0030】
ここで、ソース電極7の上面にはテーパー凹部8が形成され、テーパー凹部8の側面はテーパー形状である。なお、テーパー凹部8の側面とSiC基板1の上面との間の角度を角度θとする。また、ソース電極10は、テーパー凹部8内、すなわち、テーパー凹部8の内側を含む上面を覆って形成される。
【0031】
このテーパー角θは、層間絶縁膜20とドリフト層2とのなす角度よりも小さくなっている。なお、ソース電極7とソース電極10とを除いた場合に、紙面上方から俯瞰したものが
図30に示される図である。
【0032】
図30においては、
図1に示された構成のうち、ドレイン電極9と、SiC基板1と、ドリフト層2と、ベース領域3と、ソース領域4と、ゲート絶縁膜5を介して形成されたゲート電極6とが示されている。
【0033】
図2は、半導体装置の構成における角度θの定義に関する断面図である。
図2に例が示されるように、ソース電極7Eのテーパー部としては、テーパー凹部とテーパー凸部とが存在する。
【0034】
半導体装置を製造する過程において、たとえば、絶縁膜の形成などの際に熱処理が行われる場合、または、ソース電極7Eの上面を清浄化するために酸またはアルカリなどの薬液を用いて洗浄が行われる場合、ソース電極7Eの上面におけるテーパー凹部およびテーパー凸部の角部が除去される。
【0035】
その場合、
図1に例が示されたような構造とはならず、
図2に例が示されたような構造となる。このような場合、
図1に例が示されたように角度θを定義することは難しい。
【0036】
そこで、ソース電極7Eのテーパー凸部の最も上方に位置する部分とソース電極7Eのテーパー凹部の底に位置する部分との中点を定め、さらに、当該中点と同じ高さに位置するテーパー凹部の斜面に接する接線を引く。そして、当該接線とSiC基板1の上面とのなす角度を角度θと定義する。
【0037】
図3は、半導体装置の構成における角度θの定義に関する断面図である。
図3に例が示されるように、ソース電極7Fのテーパー部としても、テーパー凹部とテーパー凸部とが存在する。
【0038】
図3に例が示されるようなテーパー凹部が大きい場合であっても、ソース電極7Fのテーパー凸部の最も上方に位置する部分とソース電極7Fのテーパー凹部の底に位置する部分との中点を定め、さらに、当該中点と同じ高さに位置するテーパー凹部の斜面に接する接線を引く。そして、当該接線とSiC基板1の上面とのなす角度を角度θと定義する。
【0039】
図4は、半導体装置の構成における角度θの定義に関する断面図である。
図4に例が示されるように、ソース電極7Gのテーパー部としても、テーパー凹部とテーパー凸部とが存在する。
【0040】
図4に例が示されるような、後述の微小凹部が形成されている場合であっても、ソース電極7Gのテーパー凸部の最も上方に位置する部分とソース電極7Gのテーパー凹部の底に位置する部分との中点を定め、さらに、当該中点と同じ高さに位置するテーパー凹部の斜面に接する接線を引く。ここで、テーパー凹部の斜面は、微小凹部を除く斜面とする。そして、当該接線とSiC基板1の上面とのなす角度を角度θと定義する。
【0041】
図31は、後述するバリアメタルをさらに備える
図1に示された半導体装置の構成の例を概略的に示す断面図である。
【0042】
図31に例が示されるように、半導体装置は、n型のSiC基板1と、ドリフト層2と、ベース領域3と、ソース領域4と、ゲート絶縁膜5を介して形成されたゲート電極6と、層間絶縁膜20と、層間絶縁膜20の上面および露出しているソース領域4の上面を覆って形成されたバリアメタル21と、バリアメタル21の上面および側面を覆って形成されたソース電極7と、ソース電極10と、ドレイン電極9とを備える。
【0043】
<半導体装置の製造方法について>
次に、
図5から
図8を参照しつつ、本実施の形態に関する半導体装置の製造方法を説明する。なお、
図5は、本実施の形態に関する半導体装置の製造工程の例を示すフローチャートである。また、
図6、
図7および
図8は、本実施の形態に関する半導体装置の製造工程の例を示す断面図である。
【0044】
まず、
図6に例が示されるように、n型のSiC基板1の上面に、n型のSiCからなるドリフト層2をエピタキシャル結晶成長させる(ステップST01)。次に、
図7に例が示されるように、レジストなどから成るマスク(ここでは、図示しない)を形成した後で不純物をイオン注入する。そして、p型のベース領域3をドリフト層2の表層に選択的に形成する。p型の不純物としては、たとえば、ボロン(B)またはアルミニウム(Al)などが挙げられる。
【0045】
その後、
図7に例が示されるように、それぞれのp型のベース領域3に対して、レジストなどから成るマスク(ここでは、図示しない)を形成した後に不純物をイオン注入する。そして、n型のソース領域4をベース領域3の表層に選択的に形成する。n型の不純物としては、たとえば、リン(P)または窒素(N)などが挙げられる。
【0046】
その後、
図7に例が示されるように、ベース領域3およびソース領域4の活性化させるために、熱処理装置(ここでは、図示しない)によって、SiC基板1を高温で熱処理する。そうすると、ベース領域3に注入されたp型のイオン、および、ソース領域4に注入されたn型のイオンが電気的に活性化される。
【0047】
次に、
図7に例が示されるように、ゲート絶縁膜5を、熱酸化法または化学気相成長などの堆積法によって、ソース領域4の上面、ベース領域3の上面およびドリフト層2の上面に形成する。次に、ゲート絶縁膜5の上面にゲート電極6を成膜し、さらに、ゲート電極6をパターニングする。パターニングされたゲート電極6は、ソース領域4とドリフト層2とに挟まれたベース領域3の上面に形成される。
【0048】
次に、
図7に例が示されるように、ソース領域の上面におけるゲート絶縁膜5の残余部分は、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によって除去される。そして、層間絶縁膜20を成膜し、さらに、層間絶縁膜20をパターニングする(ステップST02)。
【0049】
次に、
図7に例が示されるように、層間絶縁膜20の上面および露出しているソース領域4の上面に、アルミニウム、アルミニウムとシリコンとからなるアルミニウム合金、または、ニッケルなどを、チタンまたはチッ化チタン(TiN)などのチタン化合物からなるバリアメタルを適宜用いて、ソース電極7として成膜する(ステップST03)。
【0050】
バリアメタルは、前述のアルミニウムおよびアルミニウム合金とSiCで構成されるドリフト層2との合金化を抑制するだけではなく、後述のソース電極10を形成する際に、ソース電極10のドリフト層2への浸食を抑制することが、発明者らによって確認されている。
【0051】
この際、ソース電極7の上面にテーパー凹部8を形成する。
図8に示されたテーパー凹部8の側面とSiC基板1の上面との間の角度θは、ソース電極7を成膜した後に350℃以上、かつ、500℃以下の熱処理を適宜行うことによって、調整可能である。具体的には、400℃を超える温度での加熱時間を長くすることで、角度θを小さくすることができる一方、400℃以下の温度での加熱時間を短くすることで、角度θを大きくすることができる。
【0052】
テーパー凹部8の角部ならびにテーパー部の形状についても、ソース電極7を成膜した後に350℃以上、かつ、500℃以下の熱処理を適宜行うことによって、
図2または
図3に示されたような角に丸みを有する形状に調整することができる。
【0053】
図9は、ソース電極7を形成した後の、
図8に例が示された構造の平面図である。なお、
図8は、
図9におけるA−A’断面図に対応する。
【0054】
その後、必要に応じて、SiC基板1の下面に、たとえば、アルミナ砥粒またはダイヤモンド砥粒によって構成される研削砥石を用いて機械加工を行いSiC基板1を削る。そして、SiC基板1の薄板化させる(ステップST04)。
【0055】
その後、SiC基板1の下面に、600nm程度のニッケル膜をスパッタ法などを適宜用いて成膜する。そうすることによって、ドレイン電極9を形成する(ステップST05)。
【0056】
なお、ニッケル膜は、その最表面が酸化することによって、はんだ合金とニッケルとの間の濡れ性が悪くなると、はんだ付け時の接合状態が悪化する。そのため、ニッケル膜の表面に、金または銀などの外部との反応性の乏しい金属を保護膜として形成し、ニッケル膜と保護膜とからなる積層膜をドレイン電極9としてもよい。
【0057】
次に、ソース電極7の上面に対し、めっき前処理を実施する(ステップST06)。ソース電極7がアルミニウム合金からなる場合、アルミニウム合金の上面に対し、一般的に知られた脱脂および酸洗いを実施した後で湿式成膜法であるめっき処理を行っても、アルミニウム合金の上面には強固な有機物残渣と酸化膜とが形成されているため、アルミニウム合金とめっき金属との間で金属拡散が十分に生じず、強固な付着力を有するめっき層を形成することはできない。
【0058】
そこで、上記のめっき前処理では、ソース電極7の上面に対するめっき処理に先んじて表面活性化処理、脱脂処理、酸洗浄、および、ジンケート処理を順に行い、その後で、湿式成膜法であるめっき処理を行う。なお、それぞれの工程の間には十分な水洗時間を確保し、前の工程の処理液または残渣が次工程に持ち込まれないようにする必要がある。
【0059】
次に、
図10を参照しつつ、本実施の形態に関するめっき前処理の具体的な内容を説明する。なお、
図10は、本実施の形態に関するめっき前処理の工程の例を示すフローチャートである。
【0060】
まず、表面活性化処理(ステップST11)を行う。表面活性化処理は、たとえば、プラズマを利用して実施されるものである。特に、プラズマクリーニングは、ソース電極7の上面に焼きついてしまった、一般的なめっき前処理では除去できない有機物残渣を、プラズマによって酸化分解するまたはプラズマによって叩き出すことによって、ソース電極7の上面を清浄化する処理である。
【0061】
次に、脱脂処理(ステップST12)、さらに、酸洗浄(ステップST13)を行う。脱脂処理は、ソース電極7の上面に残留している軽度の有機物汚染または酸化膜などを除去するために行う。また、酸洗浄は、ソース電極7の上面を中和し、かつ、エッチングによって荒らす。当該工程によって、後工程における処理液の反応性を高め、かつ、めっきの付着力を向上させることができる。
【0062】
次に、ジンケート処理(ステップST14)を行う。その後、湿式成膜法であるめっき処理を行うことによって、強固な付着力を有するめっき膜を成膜する。
【0063】
ジンケート処理について詳しく説明する。ジンケート処理とは、ソース電極7がアルミニウム合金からなる場合、アルミニウム合金の上面における酸化アルミニウム膜を除去しつつ、亜鉛(Zn)の皮膜を形成する処理である。具体的には、亜鉛がイオンとして溶解した水溶液にアルミニウム合金を浸漬すると、亜鉛の方がアルミニウムよりも標準酸化還元電位が貴であるため、アルミニウムがイオンとして溶解する。この際に生じる電子によって亜鉛イオンがアルミニウム合金の上面で電子を受け取り、アルミニウム合金の上面に亜鉛の皮膜を作る。また、この際に酸化アルミニウム膜が除去される。
【0064】
次に、無電解Niめっきを形成する(ステップST15)。亜鉛の皮膜が形成された状態のアルミニウム合金を無電解Niめっき液に浸漬すると、まず、亜鉛の方がニッケルよりも標準酸化還元電位が卑であるため、アルミニウム合金の上面にニッケルが析出する。
【0065】
続いて、アルミニウム合金の上面がニッケルで覆われると、無電解Niめっき液中に含まれる還元剤の作用によって、自動触媒的にニッケルが析出する。ただし、この自動触媒的析出の際には、還元剤の成分が無電解Niめっき皮膜に取り込まれるため、無電解Niめっき皮膜は合金となる。また、還元剤の濃度が高いと、形成される無電解Niめっき皮膜は非晶となる。また、一般に還元剤として次亜リン酸が利用されているため、無電解Niめっきにはリン(P)が含まれる。
【0066】
このような条件で、ソース電極7の上面に厚さ5μmの無電解Niめっき膜を形成する。そして、無電解Niめっきを形成した後に、無電解Auめっきを形成する(ステップST16)。
【0067】
置換型の無電解Auめっきは、無電解Niめっきの上面に形成するものであり、めっき液中に含まれる錯化剤の作用によってニッケルとAuとが置換する作用を利用するものである。
【0068】
置換型であるため、ニッケルの表面がAuで被覆されてしまうと反応は停止する。そのため、無電解Auめっきを厚く成膜することは難しく、厚くても0.1μmであり、一般的には0.05μm程度の無電解Auめっきを成膜することが多い。ただし、はんだ付け用として利用する場合は、Auめっきの厚さは上述した値でも薄すぎるということはない。このように形成された無電解Niめっきおよび無電解Auめっきからなる膜を、ソース電極10とする(ステップST07)。
【0069】
図11は、半導体装置を備える半導体モジュールの構成の例を示す断面図である。
図11に例示されるように、上記のようにして製造された半導体装置11は、たとえば、半導体装置11の上面および下面が、それぞれリードフレーム13に対して、たとえば、はんだ12を用いて接続された後、モールド樹脂14によって封止されて、半導体モジュールが完成する。
【0070】
図12は、
図11に例が示された半導体モジュールの断面図である。
図12においては、ソース電極7の上面にソース電極10が形成され、ソース電極10の上面に金属間化合物16、さらには、はんだ12が形成されている。なお、金属間化合物16は、当該はんだ12内にも拡散して形成されている。
【0071】
一方で、ドレイン電極9の下面にも金属間化合物16、さらには、はんだ12が形成されている。なお、金属間化合物16は、当該はんだ12内にも拡散して形成されている。
【0072】
図13は、半導体装置のオン動作とオフ動作とを繰り返し行いながら、半導体モジュールの定格電流を断続的に流す、すなわち、通電と遮断とを繰り返した後の半導体装置のオン抵抗の変化を示す図である。
図13において、縦軸は通電サイクルを経た後のオン抵抗の変化[%]を示し、横軸はテーパー凹部8の側面とSiC基板1の上面との間の角度θ[°]を示す。ここで、半導体モジュールの定格電流は200Aとし、ゲート電極に与えるゲート電圧は通電時が15V、遮断時が−15Vとする。また、本実施の形態では、通電と遮断との繰り返しサイクルは10万サイクルとするが、半導体装置の使用条件などに基づいて試験条件を適宜選択することも可能である。
【0073】
テーパー凹部8の側面とSiC基板1の上面との間の角度θが5°未満である場合には、通電サイクルによってモールド樹脂などに起因する応力の影響を受けて、ソース電極7とソース電極10との間でオン抵抗が上昇する。これに対して、テーパー凹部8の側面とSiC基板1の上面との間の角度θが5°以上である場合には、通電サイクルを経た後でもオン抵抗の上昇は見られず、安定したオン抵抗が維持された。
【0074】
なお、角度θは、テーパー凹部8の底面が丸い形状である場合には、テーパー凹部8の側面に接する接線と、SiC基板1の上面との間の角度を示すものとする。
【0075】
図13に示される例では、ソース電極7の厚さは5μmであるが、ソース電極7の厚さが1μmである場合も同様の傾向が示された。
【0076】
また、テーパー凹部8の側面とSiC基板1の上面との間の角度θが60°を超える場合、通電サイクルを経た後にオン抵抗の上昇が見られた。すなわち、テーパー凹部8の側面とSiC基板1の上面との間の角度θが60°以下である場合には、通電サイクルを経た後にオン抵抗の上昇が見られなかった。具体的には、角度θが65°である場合、オン抵抗はおよそ580%となり、角度θが70°である場合、オン抵抗は1000%程度となった。
【0077】
角度θが65°である場合、オン抵抗が上昇した後のソース電極部分を観察すると、AlSi合金によって形成されたソース電極7と、NiPめっきによって形成されたソース電極10との間の界面で部分的な剥離が見られた。
【0078】
また、角度θが70°である場合、オン抵抗が上昇した後のソース電極部分を観察すると、ソース電極7とソース電極10と間の界面での剥離の程度は、角度θが65°である場合よりも悪化した。このように、ソース電極7が形成するテーパー凹部8の角度θは、5°以上、かつ、60°以下が好適である。
【0079】
テーパー凹部8の底面が丸い形状である場合も、上記の傾向には変化は見られなかったことから、テーパー凹部8の側面とSiC基板1の上面との間の角度θが、通電サイクルにおけるモールド樹脂などに起因する応力の緩和に寄与することが、発明者らの検証によって明らかとなった。
【0080】
また、テーパー凹部8の開口幅は0.1μm以上かつ4μm以下、テーパー凹部8の深さは0.2μm以上かつ2μm以下が望ましいということが、発明者らの調査によって明らかとなった。
【0081】
図14は、テーパー凹部8の側面とSiC基板1の上面との間の角度θが90°である場合の、オン抵抗が上昇した後の半導体装置の構成の例を示す断面図である。
【0082】
図14に例が示されるように、オン抵抗が上昇した後のソース電極部分を観察すると、ソース電極7Xが変形してソース電極10Xがソース領域4に直接接続されている。そして、発熱解析の結果に基づけば、ソース電極10Xがソース領域4に直接接続されたことに起因して、ゲート電極6とソース電極10Xとの間に電流の漏れが確認され、半導体装置としての正常な動作ができていないことが分かった。
【0083】
図15は、ソース電極7の上面に形成されるテーパー凹部8の繰り返し個数と、通電サイクルを経た後のオン抵抗の変化との関係の例を示す図である。
図15において、縦軸はオン抵抗を示し、横軸はテーパー凹部8の繰り返し個数[個]を示す。
【0084】
図15に例が示されるように、テーパー凹部8の繰り返し個数を100個以上とすることによって、通電サイクルを経た後のオン抵抗を安定させることができる。すなわち、テーパー凹部8の繰り返し個数を100個以上とすることによって、ソース電極7とソース電極10との間の接続を安定させることができる。
【0085】
なお、
図15におけるソース電極7の上面に形成されるテーパー凹部8の個数は、後述の微小凹部を除く凹部の個数である。
【0086】
また、本実施の形態では、プレーナゲート構造のSiC−MOSFETが例として示されているが、トレンチゲート構造のSiC−MOSFETでは、
図27に示された断面形状であり、プレーナゲート構造の実施の形態と同様に適用することが可能である。
【0087】
図27に例が示される構成は、トレンチゲート構造のSiC−MOSFETであり、その主要部のセル構造である。半導体装置の全体構成としては、
図27に例が示された構成が
図27の左右方向に連続するものである。
【0088】
図27に例が示されるように、半導体装置は、n型のSiC基板1と、SiC基板1の上面に形成されたn型のドリフト層2Yと、ドリフト層2Yの表層に形成されたp型のベース領域3Yと、ベース領域3Yの表層に選択的に形成されたn型のソース領域4Yと、ソース領域4Yの上面からベース領域3Yを貫通し、かつ、ドリフト層2Yに達して形成されたトレンチ400と、トレンチ400の内壁に形成されたゲート絶縁膜5Yと、トレンチ400の内部において、ソース領域4Yとドリフト層2Yとに挟まれたベース領域3Yの側面にゲート絶縁膜5Yを介して形成されたゲート電極6Yと、ゲート電極6Yを覆って形成された層間絶縁膜20Yと、層間絶縁膜20Yの上面、露出しているソース領域4Yの上面およびベース領域3Yの上面を覆って形成されたソース電極7Yと、ソース電極7Yの上面に形成されたソース電極10Yと、SiC基板1の下面に形成されたドレイン電極9とを備える。
【0089】
ここで、ソース電極7Yの上面にはテーパー凹部8Yが形成され、テーパー凹部8Yの側面はテーパー形状である。なお、テーパー凹部8Yの側面とSiC基板1の上面との間の角度を角度θとする。また、ソース電極10Yは、テーパー凹部8Y内、すなわち、テーパー凹部8Yの内側を含む上面を覆って形成される。
【0090】
このテーパー角θは、層間絶縁膜20Yとドリフト層2Yとのなす角度よりも小さくなっている。
【0091】
また、
図33は、バリアメタルをさらに備える
図27に示された半導体装置の構成の例を概略的に示す断面図である。
【0092】
図33に例が示されるように、半導体装置は、n型のSiC基板1と、ドリフト層2と、ベース領域3Yと、ソース領域4Yと、ゲート絶縁膜5Yを介して形成されたゲート電極6Yと、層間絶縁膜20Yと、層間絶縁膜20Yの上面および露出しているソース領域4Yの上面を覆って形成されたバリアメタル21と、バリアメタル21の上面および側面を覆って形成されたソース電極7Yと、ソース電極10Yと、ドレイン電極9とを備える。
【0093】
<第2の実施の形態>
本実施の形態に関する半導体装置、および、半導体装置の製造方法について説明する。以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0094】
<半導体装置の構成について>
図16は、本実施の形態に関する半導体装置の構成の例を概略的に示す断面図である。
図16においては、半導体基板にSiCが用いられた場合が示されている。また、
図16に例が示される構成は、プレーナゲート構造のSiC−MOSFETであり、その主要部のセル構造である。半導体装置の全体構成としては、
図16に例が示された構成が
図16の左右方向に連続するものである。
【0095】
図16に例が示されるように、半導体装置は、n型のSiC基板1と、n型のドリフト層2と、p型のベース領域3と、n型のソース領域4と、ゲート絶縁膜5を介して形成されたゲート電極6と、層間絶縁膜20と、ソース電極7Aと、ソース電極10と、ドレイン電極9とを備える。
【0096】
ここで、ソース電極7Aの上面にはテーパー凹部8が形成され、テーパー凹部8の側面とSiC基板1の上面との間の角度を角度θとする。また、ソース電極7Aのテーパー凹部8内、すなわち、テーパー凹部8の内側を含む上面には、テーパー凹部8よりも小さい微小凹部15が形成される。
【0097】
図17は、
図16に例が示された半導体装置の、ソース電極7Aを含む一部の構造を拡大して示す断面図である。
図17に例が示されるように、テーパー凹部8は開口部分の幅Wが0.1μm以上であり、微小凹部15は開口部分の幅Wが0.1μm未満であるものとする。
【0098】
また、
図16に例が示された構成ではテーパー凹部8内にも微小凹部15が形成されているため、
図16に例が示された構成のテーパー凹部8の底面は、
図8に例が示された構成のテーパー凹部8の底面よりも平坦部が少なくなっている。
【0099】
図32は、後述するバリアメタルをさらに備える
図16に示された半導体装置の構成の例を概略的に示す断面図である。
【0100】
図32に例が示されるように、半導体装置は、n型のSiC基板1と、ドリフト層2と、ベース領域3と、ソース領域4と、ゲート絶縁膜5を介して形成されたゲート電極6と、層間絶縁膜20と、層間絶縁膜20の上面および露出しているソース領域4の上面を覆って形成されたバリアメタル21と、バリアメタル21の上面および側面を覆って形成されたソース電極7Aと、ソース電極10と、ドレイン電極9とを備える。
【0101】
<半導体装置の製造方法について>
本実施の形態に関する半導体装置の製造工程は、
図5に例示された製造工程とステップST05までは同様である。
【0102】
すなわち、まず、n型のSiC基板1の上面に、n型のSiCからなるドリフト層2をエピタキシャル結晶成長させる(ステップST01)。次に、レジストなどから成るマスクを形成した後で不純物をイオン注入する。そして、p型のベース領域3をドリフト層2の表層に選択的に形成する。
【0103】
その後、それぞれのp型のベース領域3に対して、レジストなどから成るマスクを形成した後に不純物をイオン注入する。そして、n型のソース領域4をベース領域3の表層に選択的に形成する。
【0104】
その後、ベース領域3およびソース領域4の活性化させるために、熱処理装置によって、SiC基板1を高温で熱処理する。
【0105】
次に、ゲート絶縁膜5を、熱酸化法または化学気相成長などの堆積法によって、ソース領域4の上面、ベース領域3の上面およびドリフト層2の上面に形成する。次に、ゲート絶縁膜5の上面にゲート電極6を成膜し、さらに、ゲート電極6をパターニングする。パターニングされたゲート電極6は、ソース領域4とドリフト層2とに挟まれたベース領域3の上面に形成される。
【0106】
次に、ソース領域の上面におけるゲート絶縁膜5の残余部分は、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によって除去される。そして、層間絶縁膜20を成膜し、さらに、層間絶縁膜20をパターニングする(ステップST02)。
【0107】
次に、層間絶縁膜20の上面および露出しているソース領域4の上面に、アルミニウム、アルミニウムとシリコンとからなるアルミニウム合金、または、ニッケルなどを、チタンまたはチッ化チタン(TiN)などのチタン化合物からなるバリアメタルを適宜用いて、ソース電極7Aとして成膜する(ステップST03)。
【0108】
バリアメタルは、前述のアルミニウムおよびアルミニウム合金とSiCで構成されるドリフト層2との合金化を抑制するだけではない。本実施の形態では、後述のソース電極10に微小凹部を形成する際に、ジンケート処理時またはソース電極10の形成時に、ドリフト層2への浸食を十分に抑制することが発明者らによって確認されている。この際、ソース電極7Aの上面にテーパー凹部8を形成する。
【0109】
その後、必要に応じて、SiC基板1の下面に、たとえば、アルミナ砥粒またはダイヤモンド砥粒によって構成される研削砥石を用いて機械加工を行いSiC基板1を削る。そして、SiC基板1の薄板化させる(ステップST04)。
【0110】
その後、SiC基板1の下面に、600nm程度のニッケル膜をスパッタ法などを適宜用いて成膜する。そうすることによって、ドレイン電極9を形成する(ステップST05)。
【0111】
次に、ソース電極7Aの上面に対し、めっき前処理を実施する(ステップST06)。上記のめっき前処理では、ソース電極7Aの上面に対するめっき処理に先んじて表面活性化処理、脱脂処理、酸洗浄、および、複数回のジンケート処理を順に行い、その後で、めっき処理を行う。なお、それぞれの工程の間には十分な水洗時間を確保し、前の工程の処理液または残渣が次工程に持ち込まれないようにする必要がある。
【0112】
次に、
図18および
図19を参照しつつ、本実施の形態に関するめっき前処理の具体的な内容を説明する。なお、
図18および
図19は、本実施の形態に関するめっき前処理の工程の例を示すフローチャートである。
【0113】
まず、表面活性化処理(ステップST21、ステップST31)を行う。表面活性化処理は、たとえば、プラズマを利用して実施されるものである。特に、プラズマクリーニングは、ソース電極7Aの上面に焼きついてしまった、一般的なめっき前処理では除去できない有機物残渣を、プラズマによって酸化分解するまたはプラズマによって叩き出すことによって、ソース電極7Aの上面を清浄化する処理である。
【0114】
次に、脱脂処理(ステップST22、ステップST32)、さらに、酸洗浄(ステップST23、ステップST33)を行う。脱脂処理は、ソース電極7Aの上面に残留している軽度の有機物汚染または酸化膜などを除去するために行う。また、酸洗浄は、ソース電極7Aの上面を中和し、かつ、エッチングによって荒らす。
【0115】
次に、ジンケート処理(ステップST24、ステップST34)を行う。ジンケート処理とは、第1の実施の形態において記載されたように、ソース電極7Aがアルミニウム合金からなる場合、アルミニウム合金の上面における酸化アルミニウム膜を除去しつつ、亜鉛(Zn)の皮膜を形成する処理である。具体的には、亜鉛がイオンとして溶解した水溶液にアルミニウム合金を浸漬すると、亜鉛の方がアルミニウムよりも標準酸化還元電位が貴であるため、アルミニウムがイオンとして溶解する。この際に生じる電子によって亜鉛イオンがアルミニウム合金の上面で電子を受け取り、アルミニウム合金の上面に亜鉛の皮膜を作る。また、この際に酸化アルミニウム膜が除去される。
【0116】
そして、ジンケート剥離として、亜鉛で被覆されたアルミニウム合金を濃硝酸に浸漬して亜鉛を溶解させる(ステップST25、ステップST35)。また、アルミニウム合金の上面に、薄く、かつ、均一な酸化アルミニウム膜を形成する。
【0117】
そして、再度ジンケート処理を行う(ステップST26、ステップST36)。具体的には、アルミニウム合金を、亜鉛がイオンとして溶解した水溶液に浸漬して、アルミニウム合金の上面を亜鉛で被覆する。また、この際に酸化アルミニウム膜が除去される。
【0118】
上述された2回のジンケート処理によって、アルミニウム合金の上面に形成される酸化アルミニウム膜の厚さは薄くなり、かつ、平滑となる。ジンケート処理の回数を増やすほどアルミニウム合金の上面における酸化アルミニウム膜の厚さは均一となり、後の工程で形成されるめっき膜の出来映え(すなわち、めっき膜の厚みの均一さまたは平滑さなど)も向上するが、生産性を考慮すると2回、多くても3回のジンケート処理を行うことが限度である。
【0119】
3回のジンケート処理を行う場合には、
図19に例が示されるように、再度ジンケート剥離、具体的には、亜鉛で被覆されたアルミニウム合金を濃硝酸に浸漬して亜鉛を溶解させる(ステップST37)。また、アルミニウム合金の上面に、薄く、かつ、均一な酸化アルミニウム膜を形成する。そして、さらにジンケート処理を行う(ステップST38)。具体的には、アルミニウム合金を、亜鉛がイオンとして溶解した水溶液に浸漬して、アルミニウム合金の上面を亜鉛で被覆する。また、この際に酸化アルミニウム膜が除去される。
【0120】
このように、ジンケート処理およびジンケート剥離を行うことによって、
図16に例が示されるように、ソース電極7Aの上面に微小凹部15を形成することができる。
【0121】
この時、ソース電極7Aの斜面に対して微小凹部が垂直に形成されているために、微小凹部は、紙面の上下方向に対して必ずしも平行にはなっていない。
【0122】
微小凹部15は、たとえば、開口部分の幅Wが0.01μm以上、かつ、0.1μm未満であり、深さが0.01μm以上、かつ、0.5μm以下である。また、微小凹部15は、ゲート電極6の直上の領域、および、ソース電極7Aのテーパー凹部8の内部にそれぞれ形成することができる。
【0123】
次に、無電解Niめっきを形成する(ステップST27、ステップST39)。具体的には、ソース電極7Aの上面に厚さ5μmの無電解Niめっき膜を形成する。そして、無電解Niめっきを形成した後に、無電解Auめっきを形成する(ステップST28、ステップST40)。このように形成された無電解Niめっきおよび無電解Auめっきからなる膜を、ソース電極10とする。
【0124】
図20は、上記の製造工程を経て製造される半導体モジュールの断面図である。
図20においては、ソース電極7Aの上面にソース電極10が形成され、ソース電極10の上面に金属間化合物16、さらには、はんだ12が形成されている。なお、金属間化合物16は、当該はんだ12内にも拡散して形成されている。
【0125】
一方で、ドレイン電極9の下面にも金属間化合物16、さらには、はんだ12が形成されている。なお、金属間化合物16は、当該はんだ12内にも拡散して形成されている。
【0126】
金属間化合物16の硬度は比較的高いため、半導体装置のオン動作とオフ動作とが繰り返された場合、電極部分の加熱と冷却とが繰り返されることによって、金属間化合物16に大きな応力が加わる。そして、ソース電極に破壊が生じる場合がある。
【0127】
図21は、半導体モジュールの定格電流を断続的に流す、すなわち、通電と遮断とを繰り返した後の半導体装置のオン抵抗の変化を示す図である。
図21において、縦軸は通電サイクルを経た後のオン抵抗の変化[%]を示し、横軸はテーパー凹部8の側面とSiC基板1の上面との間の角度θ[°]を示す。ここで、半導体モジュールの定格電流は200Aとし、ゲート電極に与えるゲート電圧は通電時が15V、遮断時が−15Vとする。また、本実施の形態では、通電と遮断との繰り返しサイクルは10万サイクルとするが、半導体装置の使用条件などに基づいて試験条件を適宜選択することも可能である。
【0128】
また、
図21において、点線で示されるプロットは微小凹部15が形成されない場合、すなわち、
図12に例が示された構成の通電試験における抵抗の変化を示し、実線で示されるプロットは微小凹部15が形成される場合、すなわち、
図20に例が示された構成の通電試験における抵抗の変化を示す。
【0129】
図21によれば、微小凹部15が形成される場合の構成で抵抗の変化が抑えられ、微小凹部15が通電サイクルにおけるモールド樹脂などに起因する応力の緩和に寄与することが明らかとなった。
【0130】
なお、本実施の形態においても、テーパー凹部8の繰り返し個数を100個以上とすることによって、通電サイクルを経た後のオン抵抗を安定させることができる。すなわち、テーパー凹部8の繰り返し個数を100個以上とすることによって、ソース電極7Aとソース電極10との間の接続を安定させることができる。
【0131】
<第3の実施の形態>
本実施の形態に関する半導体装置、および、半導体装置の製造方法について説明する。以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0132】
<半導体装置の構成について>
図22は、本実施の形態に関する半導体装置の構成の例を概略的に示す断面図である。
図22においては、半導体基板にSiCが用いられた場合が示されている。また、
図22に例が示される構成は、プレーナゲート構造のSiC−MOSFETであり、その主要部のセル構造である。半導体装置の全体構成としては、
図22に例が示された構成が
図22の左右方向に連続するものである。
【0133】
図22に例が示されるように、半導体装置は、n型のSiC基板1と、n型のドリフト層2と、p型のベース領域3と、n型のソース領域4と、ゲート絶縁膜5を介して形成されたゲート電極6と、層間絶縁膜20と、ソース電極7Bと、ソース電極10と、ドレイン電極9とを備える。
【0134】
ここで、ソース電極7Bの上面には微小凹部15が形成され、テーパー凹部8は形成されていない。微小凹部15は開口部分の幅Wが0.1μm未満であるものとする。ソース電極10は、微小凹部15内を含むソース電極7Bの上面を覆って形成される。
【0135】
<半導体装置の製造方法について>
本実施の形態に関する半導体装置の製造工程は、
図5に例示された製造工程とステップST05までは同様である。
【0136】
すなわち、まず、n型のSiC基板1の上面に、n型のSiCからなるドリフト層2をエピタキシャル結晶成長させる(ステップST01)。次に、レジストなどから成るマスクを形成した後で不純物をイオン注入する。そして、p型のベース領域3をドリフト層2の表層に選択的に形成する。
【0137】
その後、それぞれのp型のベース領域3に対して、レジストなどから成るマスクを形成した後に不純物をイオン注入する。そして、n型のソース領域4をベース領域3の表層に選択的に形成する。
【0138】
その後、ベース領域3およびソース領域4の活性化させるために、熱処理装置によって、SiC基板1を高温で熱処理する。
【0139】
次に、ゲート絶縁膜5を、熱酸化法または化学気相成長などの堆積法によって、ソース領域4の上面、ベース領域3の上面およびドリフト層2の上面に形成する。次に、ゲート絶縁膜5の上面にゲート電極6を成膜し、さらに、ゲート電極6をパターニングする。パターニングされたゲート電極6は、ソース領域4とドリフト層2とに挟まれたベース領域3の上面に形成される。
【0140】
次に、ソース領域の上面におけるゲート絶縁膜5の残余部分は、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によって除去される。そして、層間絶縁膜20を成膜し、さらに、層間絶縁膜20をパターニングする(ステップST02)。
【0141】
次に、層間絶縁膜20の上面および露出しているソース領域4の上面に、アルミニウム、アルミニウムとシリコンとからなるアルミニウム合金、または、ニッケルなどを、チタンまたはチッ化チタン(TiN)などのチタン化合物からなるバリアメタルを適宜用いて、ソース電極として成膜する(ステップST03)。
【0142】
バリアメタルは、前述のアルミニウムおよびアルミニウム合金とSiCで構成されるドリフト層2との合金化を抑制するだけではない。本実施の形態では、後述のソース電極10に微小凹部を形成する際に、ジンケート処理時またはソース電極10形成時に、ドリフト層2への浸食を十分に抑制することが発明者らによって確認されている。
【0143】
そして、250℃以上、かつ、500℃以下の熱処理をソース電極の成膜中および成膜後に行うことによって、上面が平坦なソース電極7Cを形成することができる。
図23は、上面が平坦なソース電極7Cが形成された状態の構成の例を示す断面図である。
【0144】
また、
図24は、接合用電極をさらに備える構成の例を示す断面図である。
図24に例が示されるように、ゲート電極6および層間絶縁膜20の形成後に、タングステンまたはチタンなどの金属材料を用いて、露出しているソース領域4の上面に、接合用電極17を形成してもよい。接合用電極17を形成した後で、上面が平坦なソース電極7Dを形成することができる。
【0145】
上記のように、上面が平坦なソース電極7Cまたはソース電極7Dを形成することによって、ソース電極7Cの上面またはソース電極7Dの上面に微細なパターンを形成することが容易となるため、半導体装置の動作時の損失を抑制することができ、また、より高性能な半導体装置を製造することができる。
【0146】
その後、必要に応じて、SiC基板1の下面に、たとえば、アルミナ砥粒またはダイヤモンド砥粒によって構成される研削砥石を用いて機械加工を行いSiC基板1を削る。そして、SiC基板1の薄板化させる(ステップST04)。
【0147】
その後、SiC基板1の下面に、600nm程度のニッケル膜をスパッタ法などを適宜用いて成膜する。そうすることによって、ドレイン電極9を形成する(ステップST05)。
【0148】
次に、無電解Niめっきを形成する。具体的には、ソース電極7Bの上面に厚さ5μmの無電解Niめっき膜を形成する。そして、無電解Niめっきを形成した後に、無電解Auめっきを形成する。このように形成された無電解Niめっきおよび無電解Auめっきからなる膜を、ソース電極10とする。
【0149】
上記のソース電極10を形成する際には、第2の実施の形態に例が示された場合と同様に、ジンケート処理およびジンケート剥離を行うことによって、
図22に例が示されるように、ソース電極7Bの上面に微小凹部15を形成することができる。
【0150】
微小凹部15は、たとえば、開口部分の幅Wが0.01μm以上、かつ、0.1μm未満であり、深さが0.01μm以上、かつ、0.5μm以下である。また、微小凹部15は、ゲート電極6の直上の領域を含む領域に形成することができる。
【0151】
図25は、上記の製造工程を経て製造される半導体装置の、通電と遮断とを繰り返した後のオン抵抗の変化を示す図である。ここで、半導体モジュールの定格電流は200Aとし、ゲート電極に与えるゲート電圧は通電時が15V、遮断時が−15Vとする。また、本実施の形態では、通電と遮断との繰り返しサイクルは10万サイクルとするが、半導体装置の使用条件などに基づいて試験条件を適宜選択することも可能である。
【0152】
図25によれば、1μm
2あたりに1個以上の微小凹部15が形成される場合の構成で抵抗の変化が抑えられ、微小凹部15が通電サイクルにおけるモールド樹脂などに起因する応力の緩和に寄与することが明らかとなった。
【0153】
<第4の実施の形態>
本実施の形態に関する電力変換装置、および、電力変換装置の製造方法について説明する。以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0154】
<電力変換装置の構成について>
本実施の形態は、以上に記載された実施の形態に関する半導体装置を電力変換装置に適用するものである。適用する電力変換装置は特定の用途のものに限定されるものではないが、以下では、三相のインバータに適用する場合について説明する。
【0155】
図26は、本実施の形態に関する電力変換装置を含む電力変換システムの構成の例を概念的に示す図である。
【0156】
図26に例が示されるように、電力変換システムは、電源100と、電力変換装置200と、負荷300とを備える。電源100は、直流電源であり、かつ、電力変換装置200に直流電力を供給する。電源100は種々のもので構成することが可能であり、たとえば、直流系統、太陽電池または蓄電池などで構成することができる。また、電源100は、交流系統に接続された整流回路またはAC−DCコンバータなどで構成することができる。また、電源100を、直流系統から出力される直流電力を所定の電力に変換するDC−DCコンバータによって構成することもできる。
【0157】
電力変換装置200は、電源100と負荷300との間に接続される三相のインバータである。電力変換装置200は、電源100から供給された直流電力を交流電力に変換し、さらに、負荷300に当該交流電力を供給する。
【0158】
また、電力変換装置200は、
図26に例が示されるように、直流電力を交流電力に変換して出力する変換回路201と、変換回路201のそれぞれのスイッチング素子を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路202と、駆動回路202を制御するための制御信号を駆動回路202に出力する制御回路203とを備える。
【0159】
負荷300は、電力変換装置200から供給された交流電力によって駆動される三相の電動機である。なお、負荷300は特定の用途に限られるものではなく、各種電気機器に搭載される電動機であり、たとえば、ハイブリッド自動車、電気自動車、鉄道車両、エレベーター、または、空調機器向けの電動機として用いられるものである。
【0160】
以下、電力変換装置200の詳細を説明する。変換回路201は、スイッチング素子と還流ダイオードとを備える(ここでは、図示せず)。そして、スイッチング素子がスイッチング動作をすることによって、電源100から供給される直流電力を交流電力に変換し、さらに、負荷300に供給する。
【0161】
変換回路201の具体的な回路構成は種々のものがあるが、本実施の形態に関する変換回路201は、2レベルの三相フルブリッジ回路であり、かつ、6つのスイッチング素子とそれぞれのスイッチング素子に逆並列に接続される6つの還流ダイオードとを備えるものである。
【0162】
変換回路201におけるそれぞれのスイッチング素子とそれぞれの還流ダイオードの少なくとも一方には、以上に記載された実施の形態のいずれかにおける半導体装置を適用する。6つのスイッチング素子は2つのスイッチング素子ごとに直列接続されて上下アームを構成し、それぞれの上下アームは、フルブリッジ回路の各相(すなわち、U相、V相およびW相)を構成する。そして、それぞれの上下アームの出力端子(すなわち、変換回路201の3つの出力端子)は、負荷300に接続される。
【0163】
駆動回路202は、変換回路201のスイッチング素子を駆動するための駆動信号を生成し、さらに、変換回路201のスイッチング素子の制御電極に当該駆動信号を供給する。具体的には、後述する制御回路203から出力される制御信号に基づいて、スイッチング素子をオン状態にする駆動信号とスイッチング素子をオフ状態にする駆動信号とをそれぞれのスイッチング素子の制御電極に出力する。
【0164】
スイッチング素子をオン状態に維持する場合、駆動信号はスイッチング素子の閾値電圧以上の電圧信号(すなわち、オン信号)であり、スイッチング素子をオフ状態に維持する場合、駆動信号はスイッチング素子の閾値電圧以下の電圧信号(すなわち、オフ信号)となる。
【0165】
制御回路203は、負荷300に所望の電力が供給されるよう変換回路201のスイッチング素子を制御する。具体的には、負荷300に供給すべき電力に基づいて変換回路201のそれぞれのスイッチング素子がオン状態となるべき時間(すなわち、オン時間)を算出する。たとえば、出力すべき電圧に応じてスイッチング素子のオン時間を変調するPWM制御によって、変換回路201を制御することができる。
【0166】
そして、制御回路203は、それぞれの時点においてオン状態となるべきスイッチング素子にはオン信号が、オフ状態となるべきスイッチング素子にはオフ信号がそれぞれ出力されるように、駆動回路202に制御指令(すなわち、制御信号)を出力する。駆動回路202は、当該制御信号に基づいて、それぞれのスイッチング素子の制御電極にオン信号またはオフ信号を駆動信号として出力する。
【0167】
本実施の形態に関する電力変換装置200では、変換回路201のスイッチング素子として以上に記載された実施の形態のいずれかにおける半導体装置を適用するため、通電サイクルを経た後のオン抵抗を安定させることができる。
【0168】
なお、本実施の形態では、2レベルの三相インバータに以上に記載された実施の形態のいずれかにおける半導体装置を適用する例が説明されたが、適用例はこれに限られるものではなく、種々の電力変換装置に以上に記載された実施の形態のいずれかにおける半導体装置を適用することができる。
【0169】
また、本実施の形態では、2レベルの電力変換装置について説明されたが、3レベルまたはマルチレベルの電力変換装置に以上に記載された実施の形態のいずれかにおける半導体装置が適用されてもよい。また、単相負荷に電力を供給する場合には、単相のインバータに以上に記載された実施の形態のいずれかにおける半導体装置が適用されてもよい。
【0170】
また、直流負荷などに電力を供給する場合には、DC−DCコンバータまたはAC−DCコンバータに、以上に記載された実施の形態のいずれかにおける半導体装置を適用することもできる。
【0171】
また、以上に記載された実施の形態のいずれかにおける半導体装置が適用された電力変換装置は、上述された負荷が電動機である場合に限定されるものではなく、たとえば、放電加工機、レーザー加工機、誘導加熱調理器または非接触器給電システムの電源装置として用いることもできる。また、以上に記載された実施の形態のいずれかにおける半導体装置が適用された電力変換装置は、太陽光発電システムまたは蓄電システムなどにおけるパワーコンディショナーとして用いることもできる。
【0172】
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。
【0173】
また、当該置き換えは、複数の実施の形態に跨ってなされてもよい。すなわち、異なる実施の形態において例が示されたそれぞれの構成が組み合わされて、同様の効果が生じる場合であってもよい。
【0174】
以上に記載された実施の形態によれば、半導体装置は、n型の半導体層と、半導体層の少なくとも表層に形成される上面構造と、少なくとも上面構造を覆って形成される上面電極とを備える。ここで、半導体層は、たとえば、ドリフト層2に対応するものである。また、上面構造は、たとえば、ベース領域3、ソース領域4、ゲート絶縁膜5、ゲート電極6および層間絶縁膜20を含むものである。また、上面電極は、ドリフト層2の少なくとも上面に形成される第1の電極と、第1の電極の上面を覆って形成される第2の電極とを備える。ここで、第1の電極は、たとえば、ソース電極7に対応するものである。また、第2の電極は、たとえば、ソース電極10に対応するものである。また、ソース電極7の上面には、少なくとも1つの凹部が形成される。ここで、凹部は、たとえば、テーパー凹部8に対応するものである。テーパー凹部8の側面は、テーパー形状である。また、ソース電極10は、テーパー凹部8内を含むソース電極7の上面を覆って形成される。
【0175】
このような構成によれば、通電またはスイッチング動作などによって応力が加わる場合であっても、ソース電極7の上面に形成されたテーパー凹部8内にもソース電極10が形成される構成によって、ソース電極7とソース電極10との接触面積を増大させ、かつ、当該接触部分に加えられる応力を緩和することができる。したがって、ソース電極7とソース電極10との接続を適切な状態で維持することができるため、半導体装置の電極の剥離を抑制しつつ半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0176】
なお、これらの構成以外の本願明細書に例が示される他の構成については適宜省略することができる。すなわち、少なくともこれらの構成を備えていれば、以上に記載された効果を生じさせることができる。
【0177】
しかしながら、本願明細書に例が示される他の構成のうちの少なくとも1つを以上に記載された構成に適宜追加した場合、すなわち、以上に記載された構成としては言及されなかった本願明細書に例が示される他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0178】
また、以上に記載された実施の形態によれば、テーパー凹部8の側面とドリフト層2の上面との間の角度が、5°以上である。このような構成によれば、ソース電極7とソース電極10との接触部分に加えられる応力を緩和することができる。したがって、ソース電極7とソース電極10との接続を適切な状態で維持することができる。
【0179】
また、以上に記載された実施の形態によれば、テーパー凹部8の側面とドリフト層2の上面との間の角度が、60°以下である。このような構成によれば、ソース電極7とソース電極10との接触部分に加えられる応力を緩和することができる。したがって、ソース電極7とソース電極10との接続を適切な状態で維持することができる。
【0180】
また、以上に記載された実施の形態によれば、テーパー凹部8は、ソース電極7の上面に100個以上形成されるものである。このような構成によれば、ソース電極7とソース電極10との接触部分に加えられる応力を緩和することができる。したがって、ソース電極7とソース電極10との接続を適切な状態で維持することができる。
【0181】
また、以上に記載された実施の形態によれば、テーパー凹部8内を含むソース電極7Aの上面に形成され、かつ、テーパー凹部8よりも幅が狭い微小凹部15を備える。このような構成によれば、幅の異なる凹部を備えることによって、ソース電極7とソース電極10との接触面積を増大させ、かつ、当該接触部分に加えられる応力を緩和することができる。したがって、ソース電極7とソース電極10との接続を適切な状態で維持することができる。
【0182】
また、以上に記載された実施の形態によれば、テーパー凹部8の幅が0.1μm以上であり、微小凹部15の幅が0.1μm未満である。このような構成によれば、幅の異なる凹部を備えることによって、ソース電極7とソース電極10との接触面積を増大させ、かつ、当該接触部分に加えられる応力を緩和することができる。したがって、ソース電極7とソース電極10との接続を適切な状態で維持することができる。
【0183】
また、以上に記載された実施の形態によれば、n型のドリフト層2と、ドリフト層2の少なくとも表層に形成される上面構造と、少なくとも上面構造を覆って形成される上面電極とを備える。上面電極は、ドリフト層2の少なくとも上面に形成される第1の電極と、第1の電極の上面を覆って形成されるソース電極10とを備える。ここで、第1の電極は、たとえば、ソース電極7Bに対応するものである。ソース電極7Bの上面には、少なくとも1つの凹部が形成される。ここで、凹部は、たとえば、微小凹部15に対応するものである。また、微小凹部15の幅は、0.1μm未満である。そして、ソース電極10は、微小凹部15内を含むソース電極7Bの上面を覆って形成されるものである。このような構成によれば、ソース電極7Bとソース電極10との接触面積を増大させ、かつ、当該接触部分に加えられる応力を緩和することができる。したがって、ソース電極7Bとソース電極10との接続を適切な状態で維持することができる。
【0184】
なお、これらの構成以外の本願明細書に例が示される他の構成については適宜省略することができる。すなわち、少なくともこれらの構成を備えていれば、以上に記載された効果を生じさせることができる。
【0185】
しかしながら、本願明細書に例が示される他の構成のうちの少なくとも1つを以上に記載された構成に適宜追加した場合、すなわち、以上に記載された構成としては言及されなかった本願明細書に例が示される他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0186】
また、以上に記載された実施の形態によれば、微小凹部15が、1μm
2あたり1個以上配置されるものである。このような構成によれば、ソース電極7Bとソース電極10との接触面積を増大させ、かつ、当該接触部分に加えられる応力を緩和することができる。したがって、ソース電極7Bとソース電極10との接続を適切な状態で維持することができる。
【0187】
また、以上に記載された実施の形態によれば、上面構造は、ドリフト層2の表層に選択的に形成されるp型のベース領域3と、ベース領域3の表層に選択的に形成されるn型のソース領域4と、ソース領域4とドリフト層2とに挟まれたベース領域3に、ゲート絶縁膜5を介して接触して形成されるゲート電極6と、ゲート電極6を覆って形成される層間絶縁膜20とを備えるものである。このような構成によれば、ソース電極7またはソース電極7Bとソース電極10との接続を適切な状態で維持することができるため、半導体装置の電極の剥離を抑制しつつ半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0188】
また、以上に記載された実施の形態によれば、上記の半導体装置を有し、かつ、入力される電力を変換して出力する変換回路201と、半導体装置を駆動するための駆動信号を半導体装置に出力する駆動回路202と、駆動回路202を制御するための制御信号を駆動回路202に出力する制御回路203とを備える。このような構成によれば、通電またはスイッチング動作などによって応力が加わる場合であっても、ソース電極の上面に形成された凹部内にもソース電極10が形成される構成によって、ソース電極とソース電極10との接触面積を増大させ、かつ、当該接触部分に加えられる応力を緩和することができる。したがって、ソース電極とソース電極10との接続を適切な状態で維持することができるため、半導体装置の電極の剥離を抑制しつつ半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0189】
以上に記載された実施の形態によれば、半導体装置の製造方法において、n型のドリフト層2の少なくとも表層に、上面構造を形成する。そして、少なくとも上面構造を覆う、第1の上面電極を形成する。ここで、第1の上面電極は、たとえば、ソース電極7、ソース電極7Aまたはソース電極7Bに対応するものである。そして、ソース電極7の上面に対し、活性化処理を行う。そして、活性化処理の後に、ソース電極7の上面に対し、亜鉛の皮膜を形成する第1のジンケート処理を行う。そして、第1のジンケート処理の後に、ソース電極7の上面に対し、めっき処理を行うことによって第2の上面電極を形成する。ここで、第2の上面電極は、たとえば、ソース電極10に対応するものである。
【0190】
このような構成によれば、通電またはスイッチング動作などによって応力が加わる場合であっても、ソース電極7の上面に対する活性化処理、および、ソース電極7の上面に対するジンケート処理をめっき前処理として行った後で、めっき処理によってソース電極10を形成することによって、ソース電極7の上面が清浄化し、さらに、めっき膜の付着力が向上するため、電極層の接続状態を適切に維持することができる。
【0191】
なお、これらの構成以外の本願明細書に例が示される他の構成については適宜省略することができる。すなわち、少なくともこれらの構成を備えていれば、以上に記載された効果を生じさせることができる。
【0192】
しかしながら、本願明細書に例が示される他の構成のうちの少なくとも1つを以上に記載された構成に適宜追加した場合、すなわち、以上に記載された構成としては言及されなかった本願明細書に例が示される他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0193】
また、特段の制限がない場合には、それぞれの処理が行われる順序は変更することができる。
【0194】
また、以上に記載された実施の形態によれば、第1のジンケート処理の後かつめっき処理の前に、亜鉛の皮膜を除去するジンケート剥離を行い、さらに、亜鉛の皮膜を形成する第2のジンケート処理を行う。このような構成によれば、ジンケート剥離によって薄く、かつ、均一な酸化アルミニウム膜を形成することができるため、めっき処理によって形成されるめっき膜の均一性も向上する。よって、電極層の接続状態を向上させることができる。
【0195】
また、以上に記載された実施の形態によれば、ジンケート剥離の際に、ソース電極7Aの上面に第1の凹部を形成する。ここで、第1の凹部は、たとえば、微小凹部15に対応するものである。このような構成によれば、ソース電極7Aとソース電極10との接触面積を増大させ、かつ、当該接触部分に加えられる応力を緩和することができる。したがって、ソース電極7Aとソース電極10との接続を適切な状態で維持することができる。
【0196】
また、以上に記載された実施の形態によれば、ソース電極7を形成した後に、ソース電極7の上面に熱処理によって第2の凹部を形成する。ここで、第2の凹部は、たとえば、テーパー凹部8に対応するものである。このような構成によれば、ソース電極7とソース電極10との接触面積を増大させ、かつ、当該接触部分に加えられる応力を緩和することができる。したがって、ソース電極7とソース電極10との接続を適切な状態で維持することができる。
【0197】
また、以上に記載された実施の形態によれば、テーパー凹部8の側面は、テーパー形状である。このような構成によれば、ソース電極7とソース電極10との接触面積を増大させ、かつ、当該接触部分に加えられる応力を緩和することができる。したがって、ソース電極7とソース電極10との接続を適切な状態で維持することができる。
【0198】
また、以上に記載された実施の形態によれば、テーパー凹部8を形成する際の熱処理は、350℃以上、かつ、500℃以下で行う。このような構成によれば、ソース電極7を形成した後の熱処理の温度によって、角度θを大きくまたは小さくすることができる。
【0199】
また、以上に記載された実施の形態によれば、上記の半導体装置を有し、かつ、入力される電力を変換して出力する変換回路201を設ける。そして、半導体装置を駆動するための駆動信号を半導体装置に出力する駆動回路202を設ける。そして、駆動回路202を制御するための制御信号を駆動回路202に出力する制御回路203を設ける。このような構成によれば、通電またはスイッチング動作などによって応力が加わる場合であっても、ソース電極7の上面に対する活性化処理、および、ソース電極7の上面に対するジンケート処理をめっき前処理として行った後で、めっき処理によってソース電極10を形成することによって、ソース電極7の上面が清浄化し、さらに、めっき膜の付着力が向上するため、電極層の接続状態を適切に維持することができる。
【0200】
<半導体装置の構成について>
図28は、本実施の形態に関する半導体装置の構成の例を概略的に示す断面図である。
【0201】
図28においては、半導体基板にSiCが用いられた場合が示されている。また、
図28に例が示される構成は、プレーナゲート構造のSiC−MOSFETであり、その主要部のセル構造である。半導体装置の全体構成としては、
図28に例が示された構成が
図28の左右方向に連続するものである。
【0202】
図28に例が示されるように、半導体装置は、n型のSiC基板1と、n型のドリフト層2と、p型のベース領域3と、n型のソース領域4と、ゲート絶縁膜5を介して形成されたゲート電極6と、層間絶縁膜20Zと、ソース電極7と、ソース電極10と、ドレイン電極9とを備える。
【0203】
ここで、層間絶縁膜20Zの側面はテーパー形状である。なお、テーパー形状である層間絶縁膜20Zの側面とSiC基板1の上面との間の角度を角度θ
2とする。また、ソース電極7は、層間絶縁膜20Zの側面を含む層間絶縁膜20Zを覆って形成される。テーパー凹部8の側面とSiC基板1の上面との間の角度θは、層間絶縁膜20Zの側面とSiC基板1の上面との間の角度θ
2よりも小さくなっている。
【0204】
また、
図34は、バリアメタルをさらに備える
図28に示された半導体装置の構成の例を概略的に示す断面図である。
【0205】
図34に例が示されるように、半導体装置は、n型のSiC基板1と、ドリフト層2と、ベース領域3と、ソース領域4と、ゲート絶縁膜5を介して形成されたゲート電極6と、層間絶縁膜20Zと、層間絶縁膜20Zの上面および露出しているソース領域4の上面を覆って形成されたバリアメタル21Zと、バリアメタル21Zの上面および側面を覆って形成されたソース電極7と、ソース電極10と、ドレイン電極9とを備える。
【0206】
<半導体装置の製造方法について>
本実施の形態に関する半導体装置の製造工程は、
図5に例示された製造工程とほぼ同様である。すなわち、
図7に例が示されるように、ソース領域4の上面におけるゲート絶縁膜5の残余部分は、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によって除去される。そして、層間絶縁膜20Zを成膜し、さらに、層間絶縁膜20Zをパターニングする(ステップST02)。
【0207】
ただし、
図28に例が示された態様では、層間絶縁膜20Zとして、ボロンまたはリンなどを含むガラスからなるboron phosphor silicate glass(BPSG)膜を、たとえばボロンを1.5以上、かつ、3.5以下重量パーセント程度、リンを6.0以上、かつ、9.0以下mol%程度含むガラス膜を堆積させている。
【0208】
また、
図28に例が示された態様では、層間絶縁膜20Zをパターニングした後に、800℃以上、かつ、1050℃以下で2時間程度の熱処理を行い、層間絶縁膜20Zの側面の角度をθ
2としている。
【0209】
より好ましくは、ボロン濃度は2.0以上、かつ、3.0以下重量パーセント程度、リンは6.5以上、かつ、8.5以下mol%程度含まれ、850℃以上、かつ、1000℃以下で30分間以上、かつ、60分間以下の熱処理が行われることが望ましい。
【0210】
ここで、半導体装置を製造する過程において、たとえば、層間絶縁膜20Zの形成などの際に熱処理が行われると、層間絶縁膜20Zの上面における角部、および、層間絶縁膜20Zの側面における底部とが削られて除去される。その場合、
図28に例が示されたように角度θ
2を定義することは難しい。
【0211】
そこで、そのような場合には、層間絶縁膜20Zの上面における最も上方に位置する部分と層間絶縁膜20Zの側面における底部との中点を定め、さらに、当該中点と同じ高さに位置する層間絶縁膜20Zの側面に接する接線を引く。そして、当該接線とSiC基板1の上面とのなす角度を角度θ
2と定義する。
【0212】
図29は、半導体装置の構成における角度θ
2の定義に関する断面図である。
【0213】
図29に例が示されるような形状の層間絶縁膜20Wの場合、層間絶縁膜20Wの上面における最も上方に位置する部分と層間絶縁膜20Wの側面における底部との中点を定め、さらに、当該中点と同じ高さに位置する層間絶縁膜20Wの側面に接する接線を引く。そして、当該接線とSiC基板1の上面とのなす角度を角度θ
2と定義する。
【0214】
なお、
図4に例が示されるような微小凹部が形成されている場合であっても、角度θ
2を同様に定義することができる。
【0215】
図28および
図29に示された態様では、層間絶縁膜の側面をテーパー形状とすることで、ソース電極7と層間絶縁膜との接触面積を増大させることができる。そのため、半導体装置のオン抵抗の変化を低減しつつ、ソース電極7と層間絶縁膜との間に加わる応力を緩和することができる。
【0216】
より好ましくは、
図29に示されるように、層間絶縁膜20Wの側面の角度θ
2が、層間絶縁膜20Wの側面における底部に近づくにつれて大きくなっていることが望ましい。この構成によれば、層間絶縁膜20Wの上面に発生するクラックを抑制することができ、ソース電極7とゲート電極6との間の絶縁不良を低減することができる。
【0217】
<以上に記載された実施の形態における変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、本願明細書に記載されたものに限られることはないものとする。
【0218】
したがって、例が示されていない無数の変形例、および、均等物が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの実施の形態における少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0219】
また、矛盾が生じない限り、以上に記載された実施の形態において「1つ」備えられるものとして記載された構成要素は、「1つ以上」備えられていてもよいものとする。
【0220】
さらに、以上に記載された実施の形態におけるそれぞれの構成要素は概念的な単位であって、本願明細書に開示される技術の範囲内には、1つの構成要素が複数の構造物から成る場合と、1つの構成要素がある構造物の一部に対応する場合と、さらには、複数の構成要素が1つの構造物に備えられる場合とを含むものとする。
【0221】
また、以上に記載された実施の形態におけるそれぞれの構成要素には、同一の機能を発揮する限り、他の構造または形状を有する構造物が含まれるものとする。
【0222】
また、本願明細書における説明は、本技術に関するすべての目的のために参照され、いずれも、従来技術であると認めるものではない。
【0223】
また、以上に記載された実施の形態において、特に指定されずに材料名などが記載された場合は、矛盾が生じない限り、当該材料に他の添加物が含まれた、たとえば、合金などが含まれるものとする。
【0224】
また、以上に記載された実施の形態では、半導体基板がn型とされたが、p型とされる場合であってもよいものとする。すなわち、以上に記載された実施の形態では、炭化珪素半導体装置の例としてMOSFETが説明されたが、炭化珪素半導体装置の例がIGBT、SBDまたはpnダイオードである場合も想定することができるものとする。
【0225】
なお、炭化珪素半導体装置の例がIGBTである場合には、ソース電極がエミッタ電極に対応し、かつ、ドレイン電極がコレクタ電極に対応するものとする。また、炭化珪素半導体装置の例がIGBTである場合には、ドリフト層の下面にドリフト層とは逆の導電型の層が位置するが、ドリフト層の下面に位置する層は、ドリフト層の下面に新たに形成される層であってもよいし、以上に記載された実施の形態における場合のようにドリフト層が形成されるための半導体基板であってもよい。
【0226】
また、以上に記載された実施の形態では、第1の導電型がn型であり、第2の導電型がp型であるとして説明されたが、逆に、第1の導電型がp型であり、第2の導電型がn型であってもよいものとする。
【0227】
また、以上に記載された実施の形態では、いわゆる縦型のMOSFETについて説明されたが、横型のMOSFETに適用される場合も想定することができるものとする。
【0228】
また、以上に記載された実施の形態では、プレーナ型のMOSFETについて説明されたが、ドリフト層の上面にトレンチが形成されたトレンチ型のMOSFETに適用される場合も想定することができるものとする。トレンチ型のMOSFETに適用される場合、ドリフト層の上面に溝部、すなわち、トレンチが形成され、当該溝部内にゲート電極が埋め込まれる。ゲート電極は、トレンチの底面および側面との間に、ゲート絶縁膜を介して埋め込まれる。