(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987222
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】軸整合したコンポーネントを有するパルスチューブクライオクーラー
(51)【国際特許分類】
F25B 9/00 20060101AFI20211213BHJP
F04B 37/16 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
F25B9/00 311
F04B37/16 G
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-513727(P2020-513727)
(86)(22)【出願日】2018年4月13日
(65)【公表番号】特表2020-532705(P2020-532705A)
(43)【公表日】2020年11月12日
(86)【国際出願番号】US2018027420
(87)【国際公開番号】WO2019050571
(87)【国際公開日】20190314
【審査請求日】2020年3月6日
(31)【優先権主張番号】15/698,940
(32)【優先日】2017年9月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ヤテス,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】コンラド,セオドア,ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー,ブライアン,アール.
【審査官】
飯星 潤耶
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−227831(JP,A)
【文献】
米国特許第05245830(US,A)
【文献】
米国特許第04365982(US,A)
【文献】
特開平06−185817(JP,A)
【文献】
特開2007−071515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 9/00 −9/14
F04B 37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライオクーラーであって:
パルスチューブ;
再生器;及び
コンプレッサ;
を有し、
前記コンプレッサは、前記パルスチューブと軸整合したコンプレッサピストンを含み、前記コンプレッサピストンの運動が前記再生器及び前記パルスチューブを通して作動流体を押し、
前記コンプレッサピストンに動作可能に連結され、前記コンプレッサピストンと同軸に沿って反対方向に運動するよう能動的に制御され、前記コンプレッサピストンの運動によって生成される力をバランスさせるバランサをさらに備え、
前記バランサの少なくとも一部は、前記コンプレッサピストンの径方向内側に配置されている、
クライオクーラー。
【請求項2】
前記コンプレッサピストンは、貫通する中央孔を有する環状ピストンであることを特徴とする請求項1に記載のクライオクーラー。
【請求項3】
前記パルスチューブに接続され、前記中央孔を通過する直線状イナータンスチューブセグメントをさらに備え、それによって前記直線状イナータンスチューブセグメントが前記コンプレッサピストン及び前記パルスチューブと軸整合する、請求項2に記載のクライオクーラー。
【請求項4】
前記パルスチューブとは反対側の前記直線状イナータンスチューブセグメントの端部に取り付けられたチューブのコイルをさらに備える、請求項3に記載のクライオクーラー。
【請求項5】
前記バランサは、前記バランサを軸方向に運動させるアクチュエータに動作可能に結合されていることを特徴とする請求項1に記載のクライオクーラー。
【請求項6】
前記アクチュエータの制御を通じて前記バランサの運動を制御するために、前記アクチュエータに動作可能に結合されたコントローラをさらに備える、請求項5に記載のクライオクーラー。
【請求項7】
前記コントローラに動作可能に結合された振動センサをさらに備える、請求項6に記載のクライオクーラー。
【請求項8】
前記バランサは、前記コンプレッサピストン及び前記パルスチューブと軸整合されている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のクライオクーラー。
【請求項9】
前記バランサに機械的に接続されたバランサフレクシャスタックと、当該クライオクーラーのハウジングとをさらに備える、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のクライオクーラー。
【請求項10】
前記バランサフレクシャスタックは、非回転的バランサフレクシャを含むことを特徴とする請求項9に記載のクライオクーラー。
【請求項11】
前記コンプレッサに機械的に接続されたコンプレッサフレクシャスタックと、当該クライオクーラーのハウジングとをさらに備える、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のクライオクーラー。
【請求項12】
前記コンプレッサフレクシャスタックは、非回転的コンプレッサフレクシャを含む、請求項11に記載のクライオクーラー。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載のクライオクーラーを動作させる方法であって:
前記クライオクーラーの前記パルスチューブと同軸である前記コンプレッサピストンの軸に沿って、前記コンプレッサピストンを振動させることによって、前記クライオクーラーの前記コンプレッサピストンを運動させるステップと;
前記コンプレッサピストン及び前記パルスチューブと同軸のバランサを前記軸に沿って振動させることによって、前記コンプレッサピストンの運動を補償するステップと;
を含み、
前記補償するステップは、前記クライオクーラーの振動を感知する振動センサからのフィードバックを用いて前記バランサの運動を調整し、前記バランサを能動的に制御することを含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、パルスチューブクライオクーラーの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
宇宙赤外線センサシステムのような特定の用途では、センサ性能を改善するために極低温冷却サブシステム(cryogenic cooling subsystem)が必要とされる。多数のタイプの極低温冷却サブシステムが当技術分野で知られており、各々が他のタイプと比較して比較的強い特性を有する。スターリング(Stirling)及びパルスチューブ線形クライオクーラー(pulse-tube linear cryocoolers)は、典型的には、軍用、商用及び実験室用の種々のセンサ及び焦点面アレイを冷却するために使用される。どちらのタイプのクライオクーラーも、電気的パワーを熱力学的圧力-体積パワーに変換するために線形振動コンプレッサを使用している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような冷却システムの運動部分は、このようなシステム内の作動ガスの運動と同様に、振動を発生する。このような振動を補償することは困難であり、また、それらが発生するあらゆる方向に力を低減するための高価で複雑な分離システムを必要とし、クライオクーラーシステムのコスト及び重量を増大させる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
クライオクーラーは、その軸に沿って取り付けられた部品を有し、例えば、パルスチューブとコンプレッサピストンが同じ軸に取り付けられ、軸整合している。
【0005】
クライオクーラーは、環状コンプレッサピストンを有し、ピストンの中央孔を通過するイナータンスチューブを有する。
【0006】
本発明の一態様によれば、クライオクーラーは、パルスチューブと、再生器と、コンプレッサとを含む。コンプレッサは、パルスチューブと軸方向に整列(軸整合)されたコンプレッサピストンを含み、ピストンの移動は、再生器及びパルスチューブを通る作動流体を押す。
【0007】
本概要の任意のパラグラフの実施形態によれば、コンプレッサピストンは、その中に中心孔を有する環状ピストンである。
【0008】
本概要の任意のパラグラフの実施形態によれば、クライオクーラーはさらに、パルスチューブに接続され、中央孔を通過する直線状のイナータンスチューブセグメントを含み、それによって、直線状のイナータンスチューブセグメントは、コンプレッサピストン及びパルスチューブと軸整合する。
【0009】
本概要のパラグラフのいずれかの実施形態によれば、クライオクーラーはさらに、パルスチューブの反対側にある直線状イナータンスチューブセグメントの端部に取り付けられたチューブのコイルを含む。
【0010】
本概要のパラグラフの実施形態によれば、クライオクーラーはさらに、コンプレッサピストンとは反対方向に動くようにコンプレッサピストンに動作可能に連結されたバランサを含み、コンプレッサピストンの運動によって生成される力をバランスさせる。
【0011】
本概要のパラグラフの一実施形態によれば、バランサは能動的に制御される。
【0012】
本概要のパラグラフのいずれかの実施形態によれば、バランサは、アクチュエータに動作可能に結合され、バランサを軸方向に移動させる。
【0013】
本概要のパラグラフの一実施形態によれば、アクチュエータは、ボイスコイル・アクチュエータを含む。
【0014】
本概要の任意のパラグラフの実施形態によれば、クライオクーラーはさらに、アクチュエータに動作可能に結合されたコントローラをさらに含み、アクチュエータの制御を通じてバランサの移動を制御する。
【0015】
本概要の任意のパラグラフの実施形態によれば、クライオクーラーはさらに、コントローラに動作可能に結合された振動センサを含む。
【0016】
本概要の任意のパラグラフの実施形態によれば、振動センサはロードセル(load cell)を含む。
【0017】
本概要の任意のパラグラフの実施形態によれば、振動センサは加速度計を含む。
【0018】
本概要のパラグラフの一実施形態によれば、バランサは受動的に制御される。
【0019】
本概要のパラグラフの実施形態によれば、バランサは、コンプレッサピストン及びパルスチューブと軸整合される。
【0020】
本概要の任意のパラグラフの実施形態によれば、クライオクーラーはさらに、パルスチューブに接続され、バランサの中央孔を通過するイナータンスチューブを含む。
【0021】
本概要のパラグラフの一実施形態によれば、バランサの少なくとも一部は、コンプレッサピストンの径方向内側に配置される。
【0022】
本概要の任意のパラグラフの実施形態によれば、クライオクーラーはさらに、バランサに機械的に接続されたバランサフレクシャスタックと、クライオクーラーのハウジングとを含む。
【0023】
本概要のパラグラフの一実施形態によれば、バランサフレクシャスタックは、回転しない非回転バランサフレクシャを含む。
【0024】
本概要の任意のパラグラフの実施形態によれば、クライオクーラーはさらに、コンプレッサと機械的に接続されたコンプレッサフレクシャスタックと、クライオクーラーのハウジングとを含む。
【0025】
本概要の任意のパラグラフの実施形態によれば、コンプレッサフレクシャスタックは、非回転コンプレッサフレクシャを含む。
【0026】
本概要の任意のパラグラフの実施形態によれば、クライオクーラーはさらに、コンプレッサを軸方向に移動させるためにコンプレッサに動作可能に結合されたボイスコイル・アクチュエータを含む。
【0027】
本発明の別の態様に従った、本概要のいずれかのパラグラフの実施形態によるクライオクーラーを動作させる方法は、コンプレッサピストンをクライオクーラーのパルスチューブと同軸のコンプレッサピストンの軸に沿って振動させることによってクライオクーラーのコンプレッサピストンを運動させるステップと;コンプレッサピストン及びパルスチューブと同軸のバランサを軸に沿って振動させることによってコンプレッサピストンの運動を補償するステップとを含む。この補償は、クライオクーラーの振動を感知する振動センサからのフィードバックを用いてバランサの動きを調整し、バランサを能動的に制御することを含む。
【0028】
本発明の別の態様に従った、クライオクーラーを動作させる方法は、クライオクーラーのパルスチューブと同軸のコンプレッサピストンの軸に沿ってコンプレッサピストンを振動させることによって、クライオクーラーのコンプレッサピストンを運動させるステップと;コンプレッサピストン及びパルスチューブと同軸のバランサを軸に沿って振動させることによってコンプレッサピストンの運動を補償するステップとを含む。この補償は、クライオクーラーの振動を感知する振動センサからのフィードバックを用いてバランサの動きを調整し、バランサを能動的に制御することを含む。
【0029】
本概要のパラグラフの一実施形態によれば、バランサの動作の調整は、フィードバックに基づいて、バランサを駆動するバランサ・アクチュエータへ送信される信号を摂動させることを含む。
【0030】
前述の及びこれに関連した目的を達成するために、本発明は、以下に詳細に記載されかつ特許請求の範囲に特に示された特徴を含んでいる。以下の記載及び添付の図面は、本発明の例示的な実施形態を詳細に示している。しかしながら、これらの実施形態は、本発明の原理が使用され得る種々の方法のうちのいくつかを示しているにすぎない。本発明の他の目的、利点及び新規な特徴は、図面を参照した発明を実施するための形態の欄の記載から明らかになるであろう。
【0031】
添付の図面は、必ずしも縮尺どおりではないが、本発明の種々の態様を示す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態に従ったクライオクーラーの側断面概略図である。
【
図2】
図1のクライオクーラーの一部として使用可能なフレクシャの平面図である。
【
図3】
図1のクライオクーラーの一部である制御システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
パルスチューブクライオクーラーが、パルスチューブと軸方向に整列(軸整合)されたコンプレッサピストンを含む。コンプレッサピストンは、その軸の周りに中心孔を有する環状ピストンである。パルスチューブの一端に接続されたイナータンスチューブが、コンプレッサピストンの中央孔を貫通している。クライオクーラーはまた、コンプレッサピストンに対向して移動し、コンプレッサピストンを運動させる際の力を相殺するバランサを含む。バランサはまた、パルスチューブ、環状ピストン及びイナータンスチューブと軸方向に整列させることができる。コンプレッサピストン、パルスチューブ、及びイナータンスチューブの整合は、クライオクーラー内の流体の動きによって生じる力を整合する。このことは、全ての(又はほとんどの)力が単一の軸方向にあるので、クライオクーラーが作動中に発生する機械的力を打ち消すことを容易にする。力は、例えば、バランサの能動的制御(active control)を使用して、バランサによって相殺され得る。このことは、バランサ・アクチュエータに動作可能に結合されたコントローラを使用して行うことができる。バランサ・アクチュエータは、ロードセル又は加速度計などの1つ以上の振動センサからの入力を使用して、バランサの動きを制御する。振動センサは、クライオクーラーの動きを検出し、コントローラにフィードバックを提供するために、クライオクーラーに取り付けられ、或いはクライオクーラーに機械的に結合される。クライオクーラーはまた、コンプレッサ、パルスチューブ及び再生器(クライオクーラーの「コールドフィンガー」の部品)を含む一体型ユニットを提供する。この一体型構成は、利点の中でもとりわけ、クライオクーラーの取り付けを簡単にする。
【0034】
図1は、クライオクーラー10を示す。クライオクーラー10は、パルスチューブ16及び再生器(regenerator)18をも含むコールドフィンガー14の端部にあるコールドチップ12において冷却を生成する。再生器18はコンプレッサ20に動作可能に連結されており、コンプレッサは作動流体を再生器18を通って前後に循環させ、それによってパルスチューブ16を通っても作動流体を前後に循環させる。
【0035】
コイル状イナータンスチューブセグメント(inertance tube segment)32に接続された直線状イナータンスチューブセグメント30は、コールドチップ12と反対側のパルスチューブ16の端部にある。直線状イナータンスチューブ30は、クライオクーラー10の中心縦軸36に沿っており、パルスチューブ16、再生器18、コールドチップ12、及びコンプレッサピストン40のようなコンプレッサ20の構成要素のような、クライオクーラー10の他の多数の構成要素と同軸であり、すなわち軸整合している。図示の実施形態のコンプレッサピストン40は環状ピストンであり、コンプレッサピストン40の中央孔42を貫通して直線状イナータンスチューブ30が延びている。同じ中心縦軸36に沿った構成要素のこの配置は、以下に詳述するように、クライオクーラー10からの振動を制御するのを助ける。
【0036】
図示の実施形態では、コイル状イナータンスチューブ32は、直線状イナータンスチューブセグメント30の延長である。あるいは、直線状イナータンスチューブ30の延長部は、異なる構成を有してもよい。例えば、延長部は、移動するガスによって生じるトルクを回避するために、平行に巻かれた逆巻きのイナータンスチューブを含むことができる。セグメント30及び32を含むイナータンスチューブの端部、リザーバ容積を取り付けることができる。
【0037】
コンプレッサ20は、コンプレッサピストン40及びフレクシャスタック(flexure stacks)52を含む。フレクシャスタック52は、ピストン40を支持する複数のフレクシャスタックを表す。コンプレッサピストン40及びコンプレッサフレクシャスタック52の移動(運動)は、コンプレッサ・アクチュエータ58によって制御される。コンプレッサ・アクチュエータ58は、コンプレッサピストン40を軸(縦)方向に前後に移動(振動移動)させる。図示の実施形態では、コンプレッサ・アクチュエータ58は、永久磁石62と共に作用するボイスコイル60である。図示のボイスコイル構成の代わりに、可動磁石アーキテクチャを使用することができ、そのアーキテクチャでは、コイルが静止しており、磁石が可動コンプレッサピストンに取り付けられる。フレクシャスタック52内のコンプレッサのたわみ(フレクシャ)は、密封されたハウジング70内の適切な固定構造に、その外側端部で固定される。ピストン40は、コンプレッサフレクシャスタック52の内方開口部に連結されている。
【0038】
バランサ74が用いられて、コンプレッサ20の動きから力をバランスさせる。バランサ74はまた、縦軸36について、他の部分と同軸である。バランサ74は、バランサ・アクチュエータ76によってその運動が制御されて、能動的に制御されることができる。バランサ・アクチュエータ76は、永久磁石80と共に動作するボイスコイル78を含むことができる。磁石を使用する他の種類のメカニズムが、代替として使用され得る。バランサ74は、フレクシャスタック82内のバランサフレクシャの内方開口部に取り付けられている。フレクシャスタック82は、バランサ74を支持するために使用される複数のフレクシャスタックを代表する。バランサフレクシャスタック82の外方端は、ハウジング70、又はハウジング70内の固定構造に取り付けられている。
【0039】
バランサ74は縦軸方向に前後に運動し、バランサ74はコンプレッサピストン40とは反対方向に移動する。このことは、クライオクーラー10の可動部分に起因する全体的な力及び振動をバランスさせる。以下にさらに説明するように、バランサ74の能動的制御(active control)は、コンプレッサピストン40(及びクライオクーラー10の他の可動部分、作動流体の前後の動きからの力を含む)の移動から生じる正味の力/振動をより良く相殺するために、バランサ74の動きを変化させることができる。例えば、バランサ74の動作の振幅及び位相遅れを変化させることができる。
【0040】
コンプレッサフレクシャスタック52及びバランサフレクシャスタック82内のフレクシャは、回転しないフレクシャ、たわむ際に径方向の力を伝えないフレクシャであろう。このようなフレクシャの一例は、
図2に示すフレクシャ88である。そのようなフレクシャに関するさらなる説明が、共同所有の米国特許公開公報2015/0041619 A1に見出すことができ、その図面及び明細書は、参照により本明細書に組み入れられる。スパイラルフレクシャとは異なり、非回転フレクシャ88のようなフレクシャは、有意な回転運動又はトルクを与えない。
【0041】
フレクシャスタック52及び82内のフレクシャはすべて、同じ(又は実質的に同じ)形状を有してよい。あるいは、スタック52及び82内のフレクシャの一部又は全部が、異なる構成を有してもよい。
【0042】
ハウジング70内にシールされたクーラー10の作動流体として、ヘリウム(又は他の適当な作動流体)を使用することができる。ピストン40の動きは、ピストン40によって作用される作用容積(コンプレッサ空間)94を含むインサート内の孔を通してヘリウムを駆動する。作動流体は、インサート孔から、ハウジング70の一部であるマニホールドの孔を通って移動する。作動流体は、マニホールド孔から再生器18を通って移動し、コールドチップ12を通ってパルスチューブ16に戻る。ピストン40が周期的に前後に移動するにつれて、作動ガスもシステムを通して前後に振動し、システム内の圧力は増加及び減少する。作用容積94からのガスは、高温T
HIGHで再生器18に入り、低温T
LOWでコールド端部で再生器18を離れる。こうして、熱が再生器18の材料中へと伝達される。その戻り(ピストン40が作動ガスを作用容積94中に戻すとき)に、再生器18内に蓄えられた熱は作動ガスへと戻される。
【0043】
低温温度はコールドチップ12にあり、冷却のために熱負荷(図示せず)をコールドチップ12に取り付ける(又は熱的に結合する)ことができる。この熱負荷は、他の可能性の中でも特に、センサシステム、光学システム、宇宙システム、又は超伝導体のような、冷却されるべき種々の適切な対象のいずれであってもよい。
【0044】
次に
図3を参照すると、制御システム100が示されており、制御システム100はバランサ・アクチュエータ76の制御のための適切な信号を送信することによってバランサ74を制御するためのものである。制御システム100は、コントローラ102がロードセル又は加速度計などの振動センサ106から信号を受信するというフィードバックループを含む。振動センサ106は、
図3に示すように、ハウジング70上などのクライオクーラー10上に配置することができる。代替的に、振動センサ106は、クライオクーラー10を取り付けるために使用される構造(図示せず)上、クライオクーラー10と取り付け構造との間、又は他の近傍の物体又は構造に配置されてもよい。
【0045】
振動センサ106は、クライオクーラー10(主にピストン40とバランサ74)の可動部分の組み合わせ運動によって生じる振動又は不均衡を測定するために使用される。コントローラ102は、クライオクーラー10によって生じる振動を最小限にするために、バランサ・アクチュエータ76の動作を変更する。例えば、クライオクーラー10は、能動的に制御されたバランサ74を有し、外部へ伝達される外乱(振動)を50ミリニュートンのオーダに押さえることができる。
【0046】
コントローラ102は、例えば、集積回路又は集積プロセッサであるか又はそれを含む種々の適切な電子素子のいずれかを含んでもよく、また振動を最小限に抑えるようにバランサ74の駆動を制御する機能を実行するためのハードウェア及び/又はソフトウェアを含んでもよい。振動センサ106からのフィードバックは、バランサ74を駆動するためにバランサ・アクチュエータ76への送信信号を摂動(perturb)させるために使用することができる。例えば、コンプレッサピストン40は、コンプレッサ・アクチュエータ58(
図1)に供給される正弦波を使用して駆動でき、バランサ・アクチュエータ76へのベース信号として供給される正弦波の反転信号を用いることができる。次に、バランサ・アクチュエータ76への信号は、振動センサ106によってコントローラ102に提供されたフィードバックに基づいて摂動され得る。
【0047】
上述の能動的制御システム100の代わりとして、バランサ74は、代わりに受動的であってもよく、コンプレッサピストン40の動きに応答して受動的に動く。このような受動的制御は、低レベルの振動がもたらされかつ不均衡が重要ではない状況において使用され得る。
【0048】
クライオクーラー10は、種々の適切な周波数のいずれかで動作することができる。周波数は、非限定的な例を与えると、67Hzであってもよく、又はより広く50〜80Hzであってもよい。
【0049】
上述のクライオクーラーは、従来のパルスチューブクライオクーラーと比較していくつかの利点を提供することができる。本明細書に記載されるクライオクーラーは、よりコンパクトなパッケージを有し、単一のモジュールを使用することを可能にし、単一のブラケット上又は他の取り付け構造上に取り付けることができる。
【0050】
パルスチューブ、バランサ及びピストンを単一の軸上にすべて配置することで、潜在的不均衡を制約でき、不均衡を検出して相殺することがより容易になり、フィードバックを用いて不均衡力を相殺する。これらの構成要素が共通軸上に有しない従来のシステムでは、力を相殺するために、各軸に対して複数のバランサ又は補償器が必要とされる。
【0051】
本発明を或る用途及び実施に対して図示して説明してきたが、本明細書と添付された図面とを読んで理解すると当業者にも同等の変更や修正ができるものと認識することができる。特に、上述のエレメント(コンポーネント、アセンブリ、デバイス、組成物等)によって実行される種々の機能に関して、そのようなエレメントを記述するために使用される用語(「手段」への言及を含む)は、別段の指示がない限り、本発明の本明細書に示された例示的な実施形態においてその機能を実行する開示された構造と構造的に等価ではないとしても、記載されたエレメントの特定の機能(すなわち、機能的に同等である)を実行する任意のエレメントに対応することを意図している。さらに、本発明の特定の特徴は、例示されたいくつかの実施形態のうちの1つ又は複数のみに関して上述したが、このような特徴は、任意の与えられた又は特定の用途に対して所望かつ有利であり得るように、他の実施形態の1つ又は複数の他の特徴と組み合わせることができる。