【実施例】
【0122】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0123】
<実施例1>
[複合粒子の作製]
本実施例では、まず、電子伝導性材料としてカーボンブラックと、高誘電性酸化物固体粒子としてLi
1.3Al
0.3Ti
1.7P
3O
12(LATP)とを、カーボンブラック:LATP=2:1の質量比で混合した。カーボンブラックは、DBP吸油量が160ml/100gであり、一次粒子径が35nmである。また、LATPは、メディアン径(D50)が0.5μmであり、バルクのリチウムイオン伝導性が5×10
−4S/cmである。なお、DBP吸油量は、ジブチルフタレート(DBP)を用い、JIS K6217−4(2008)に規定される方法に準拠して測定した。
【0124】
次に、カーボンブラックおよびLATPの混合物と、直径2mmのジルコニアボールとをミリングポットに投入し、1000rpmの回転数で1時間、フリッチュ社製遊星ボールミル装置を用いて混練し、複合粒子を得た。得られた複合粒子を電子顕微鏡で観察したところ、LATPの表面のカーボンブラックによる被覆率は、34%であった。
【0125】
[正極の作製]
正極活物質としてLiNi
0.6Co
0.2Mn
0.2O
2(以下、NCM622と略記する)と、上記で得られた複合粒子と、結着剤(バインダー)としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、NCM622:カーボンブラック:LATP:PVDF=91:4:2:3(質量比)となるようにして、分散溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と混合し、正極ペーストを調製した。NCM622は、メディアン径12.4μmである。
【0126】
次に、アルミニウム製正極集電体に得られた正極ペーストを塗布、乾燥し、ロールプレスで加圧した後、120℃の真空中で乾燥させて、正極合剤層を備える正極板を形成した。得られた正極板を30mm×40mmの大きさに打ち抜いて、正極とした。
【0127】
[負極の作製]
負極活物質として天然黒鉛(NG)と、電子伝導性材料としてカーボンブラックと、結着剤(バインダー)としてカルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液およびスチレンブタジエンゴム(SBR)とを、NG:カーボンブラック:SBR:CMC=96.5:1:1.5:1(質量比)となるようにして、分散溶媒としての水と混合し、負極ペーストを調製した。天然黒鉛は、メディアン径12.0μmである。また、カーボンブラックは、複合粒子に用いたものと同一である。
【0128】
次に、銅製負極集電体に得られた負極ペーストを塗布、乾燥し、ロールプレスで加圧した後、100℃の真空中で乾燥させて、負極合剤層を備える負極板を形成した。得られた負極板を34mm×44mmの大きさに打ち抜いて、負極とした。
【0129】
[リチウムイオン二次電池の作製]
二次電池用アルミニウムラミネート(大日本印刷株式会社製)を熱シールして袋状に加工した容器内に、上記で作製した正極と負極との間にセパレータを挟んだ積層体を導入し、電解液を各電極界面に注液した後、容器を真空封止することにより、リチウムイオン二次電池を作製した。
【0130】
セパレータとしては、アルミナ粒子約5μmが片面にコートされたポリエチレン製微多孔膜を用いた。また、電解液としては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとを20:40:40の体積比で混合した混合溶媒に、電解質塩としてLiPF
6を1.2モル/Lの濃度で溶解させたものを用いた。
【0131】
<評価>
得られたリチウムイオン二次電池につき、以下の評価を行った。
【0132】
[初期充電容量および初期放電容量]
作製したリチウムイオン二次電池を用い、0.33Cで4.2Vまで定電流充電を行い、続けて4.2Vの定電圧充電を1時間行って、初期充電容量を測定した。初期充電容量測定後、30分間放置し、0.2Cで2.5Vまで放電し、0.33Cの電流に対する初期放電容量を測定した。
【0133】
次に、定電流充電を1C、3Cで行った以外は、0.33Cの場合と全く同一にして、1Cの電流に対する初期充電容量および初期放電容量と、3Cの電流に対する初期充電容量および初期放電容量とを測定した。初期充電容量を
図1に、初期放電容量を
図2にそれぞれ示す。
【0134】
[耐久後放電容量]
充放電サイクル耐久試験として、45℃の恒温槽にて、1Cで4.2Vまで定電流充電を行い、続けて2Cで2.5Vまで定電流放電を行う操作を1サイクルとして、該操作を1000サイクル繰り返した。1000サイクル終了後、上記の初期放電容量の測定と同様にして、耐久後の放電容量を測定した。
【0135】
[放電容量維持率]
初期放電容量に対する1000サイクル耐久後の放電容量の割合を求め、放電容量維持率とした。結果を
図3に示す。
【0136】
[反応抵抗・拡散抵抗]
前記二次電池用アルミニウムラミネートからなる容器の両端に2つの正極を対向配置する一方、該2つの正極の間に、該2つの正極を結ぶ線に直交するようにリチウム金属からなる第3の電極を配置して、3極セルを2個作製した。電解液は、上記で作製したリチウムイオン二次電池に用いたものと同一の電解液を用いた。
【0137】
次に、一方の正極と第3の電極との間と、他方の正極と第3の電極との間とで、それぞれ1サイクルの充電と放電とを行った。その後、グローブボックス内で3極セルを解体して第3の電極を取り除き、2つの正極が対向配置された正極−正極の対称セルを作製した。実施した1サイクルの充電と放電は、いずれも、0.01Cで4.2Vまで定電流充電し、続けて3.2Vまで一定電流放電した。一方のセルは、その後0.02Cで3.8Vまで定電流充電し、さらに3.8Vで1時間の定電圧充電を行った。
【0138】
次に、対称セルについて、10
6〜10
−1の交流インピーダンス測定(ACR)を行い、円筒型細孔モデル・伝送線モデルに基づいて解析することにより、反応抵抗と拡散抵抗とを得た。結果を
図4に示す。
【0139】
<実施例2>
電子伝導性材料としてカーボンブラックと、高誘電性酸化物固体粒子としてLATPとを、カーボンブラック:LATP=1:1の質量比で混合した以外は、実施例1と同様にして、複合粒子を作製した。得られた複合粒子を電子顕微鏡で観察したところ、LATPの表面のカーボンブラックによる被覆率は、30%であった。
【0140】
次に、本実施例で作製した複合粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池と、対称セルとを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0141】
初期充電容量を
図1に、初期放電容量を
図2に、放電容量維持率を
図3に、反応抵抗と拡散抵抗とを
図4に、それぞれ示す。
【0142】
<実施例3>
電子伝導性材料としてカーボンブラックと、高誘電性酸化物固体粒子としてLATPとを、カーボンブラック:LATP=4:1の質量比で混合した以外は、実施例1と同様にして、複合粒子を作製した。得られた複合粒子を電子顕微鏡で観察したところ、LATPの表面のカーボンブラックによる被覆率は、49%であった。
【0143】
次に、本実施例で作製した複合粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池と、対称セルとを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0144】
初期充電容量を
図1に、初期放電容量を
図2に、放電容量維持率を
図3に、反応抵抗と拡散抵抗とを
図4に、それぞれ示す。
【0145】
<実施例4>
電子伝導性材料としてDBP吸油量が220ml/100gであり、一次粒子径が23nmであるカーボンブラックを用い、高誘電性酸化物固体粒子としてLATPを、カーボンブラック:LATP=2:1の質量比で混合した以外は、実施例1と同様にして、複合粒子を作製した。得られた複合粒子を電子顕微鏡で観察したところ、LATPの表面のカーボンブラックによる被覆率は、34%であった。
【0146】
次に、本実施例で作製した複合粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池と、対称セルとを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0147】
初期充電容量を
図1に、初期放電容量を
図2に、放電容量維持率を
図3に、反応抵抗と拡散抵抗とを
図4に、それぞれ示す。
【0148】
<実施例5>
[複合粒子の作製]
高誘電性酸化物固体粒子として、メディアン径0.7μm、バルクのリチウムイオン伝導性5×10
−4S/cmのLi
7La
3Zr
2O
12(LLZO)を用いた以外は、実施例1と同様にして、複合粒子を作製した。得られた複合粒子を電子顕微鏡で観察したところ、LATPの表面のカーボンブラックによる被覆率は、39%であった。
【0149】
[正極の作製]
正極活物質としてNCM622と、電子伝導性材料としてカーボンブラックと、結着剤(バインダー)としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、NCM622:カーボンブラック:PVDF=91:4:3(質量比)となるようにして、分散溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と混合し、正極ペーストを調製した。NCM622は、メディアン径12.4μmであり、カーボンブラックは、複合粒子に用いたものと同一である。
【0150】
次に、アルミニウム製正極集電体に得られた正極ペーストを塗布、乾燥し、ロールプレスで加圧した後、120℃の真空中で乾燥させて、正極合剤層を備える正極板を形成した。得られた正極板を30mm×40mmの大きさに打ち抜いて、正極とした。
【0151】
[負極の作製]
負極活物質として天然黒鉛(NG)と、上記で得られた複合粒子と、結着剤(バインダー)としてカルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液およびスチレンブタジエンゴム(SBR)とを、NG:カーボンブラック:LLZO:SBR:CMC=96.5:1:0.5:1.5:1(質量比)となるようにして、分散溶媒としての水と混合し、負極ペーストを調製した。天然黒鉛は、メディアン径12.0μmである。
【0152】
次に、銅製負極集電体に得られた負極ペーストを塗布、乾燥し、ロールプレスで加圧した後、100℃の真空中で乾燥させて、負極合剤層を備える負極板を形成した。得られた負極板を34mm×44mmの大きさに打ち抜いて、負極とした。
【0153】
[リチウムイオン二次電池の作製]
本実施例で得られた正極と負極とを用いた以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様に、初期充電容量、初期放電容量、および放電容量維持率を測定した。
【0154】
初期充電容量を
図1に、初期放電容量を
図2に、放電容量維持率を
図3に、それぞれ示す。
【0155】
<実施例6>
実施例1と同様にして正極を形成し、次いで、実施例5と同様にして負極を形成した。すなわち本実施例では、正極は、高誘電性酸化物固体粒子がLATPである複合粒子を含んでおり、負極は、高誘電性酸化物固体粒子がLLZOである複合粒子を含んでいる。
【0156】
次に、本実施例で得られた正極と負極とを用いた以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池と、対称セルとを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0157】
初期充電容量を
図1に、初期放電容量を
図2に、放電容量維持率を
図3に、反応抵抗と拡散抵抗とを
図4に、それぞれ示す。
【0158】
<比較例1>
実施例5と同様にして正極を形成し、次いで、実施例1と同様にして負極を形成した。すなわち、本比較例では、正極と負極はいずれも、複合粒子も高誘電性酸化物固体粒子も全く含んでいない。
【0159】
次に、本比較例で作製した正極と負極とを用いた以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池と、対称セルとを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0160】
初期充電容量を
図1に、初期放電容量を
図2に、放電容量維持率を
図3に、反応抵抗と拡散抵抗とを
図4に、それぞれ示す。
【0161】
<比較例2>
[正極の作製]
正極活物質としてNCM622と、電子伝導性材料としてカーボンブラックと、高誘電性酸化物固体粒子としてLATPと、結着剤(バインダー)としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、NCM622:カーボンブラック:LATP:PVDF=91:4:2:3(質量比)となるようにして、分散溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と混合し、正極ペーストを調製した。NCM622、カーボンブラック、LATPは、いずれも実施例1で用いたものと同一である。
【0162】
本比較例で作製した正極ペーストでは、カーボンブラックと、LATPとは単に混合されているだけであり、複合粒子は形成していない。
【0163】
次に、本比較例で作製した正極ペーストを用いた以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池と、対称セルとを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0164】
初期充電容量を
図1に、初期放電容量を
図2に、放電容量維持率を
図3に、反応抵抗と拡散抵抗とを
図4に、それぞれ示す。
【0165】
[考察]
図1および
図2から、実施例1〜6のリチウムイオン二次電池によれば、比較例1〜2のリチウムイオン二次電池よりも、大きな初期充電容量および初期放電容量を得ることができることが明らかである。これは、正極合剤からなる層または負極合剤からなる層に含まれる複合粒子により、リチウムイオンの輸送特性が向上し、正極または負極の内部に存在する電解液中のリチウムイオン濃度が急激に減少し、あるいは急激に増加することを緩和できたためと考えられる。
【0166】
また、
図3から、実施例1〜6のリチウムイオン二次電池によれば、比較例1〜2のリチウムイオン二次電池よりも、大きな放電容量維持率得ることができることが明らかである。これは、正極合剤からなる層または負極合剤からなる層に含まれる複合粒子により、電解液と電子伝導性材料との接触面積が低減され、電解液の分解が抑制されたためと考えられる。
【0167】
また、
図4から、実施例1〜4、6のリチウムイオン二次電池によれば、比較例1〜2のリチウムイオン二次電池よりも、反応抵抗と拡散抵抗との和である総合抵抗が小さく、内部抵抗を低減することができることが明らかである。
【0168】
<実施例7>
[複合粒子の作製]
電子伝導性材料として実施例1と同じカーボンブラック(CB)と、高誘電性酸化物固体粒子としてLi
1.3Al
0.3Ti
1.7P
3O
12(LATP)とを、CB:LATP=1:2の質量比で混合した。CBは、DBP吸油量が160ml/100gであり、一次粒子径が35nmである。また、LATPは、メディアン径(D50)が0.5μmであり、バルクのリチウムイオン伝導性が5×10
−4S/cmである。なお、DBP吸油量は、ジブチルフタレート(DBP)を用い、JIS K6217−4(2008)に規定される方法に準拠して測定した。用いたLATPの物性等を、表1に示す。
【0169】
次に、カーボンブラックおよびLATPの混合物を、φ3mmのジルコニアボールを用いビーズミル装置に投入した。ミル周速を5.0m/sとして約1時間のミリングを実施し、複合粒子を得た。得られた複合粒子を電子顕微鏡で観察したところ、LATP表面のカーボンブラックによる被覆率は、25%であった。
【0170】
[正極の作製]
得られた複合粒子と、電子伝導性材料としてCBと、結着剤(バインダー)としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、分散溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に予備混合し、自転公転ミキサーで湿式混合し、予備混合スラリーを得た。続いて、正極活物質としてNCM622と、得られた予備混合スラリーとを混合し、プラネタリーミキサーを用いて分散処理を行い、正極ペーストを得た。正極ペーストにおける各成分の質量比率は、NCM622:CB:LATP:PVDF=93.1:4.1:1.0:1.8となるようにした。NCM622は、メディアン径12μmである。
【0171】
次に、アルミニウム製正極集電体に得られた正極ペーストを塗布、乾燥し、ロールプレスで加圧した後、120℃の真空中で乾燥させて、正極合剤層を備える正極板を形成した。得られた正極板を30mm×40mmの大きさに打ち抜いて、正極とした。
【0172】
[負極の作製]
結着剤(バインダー)としてカルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液と、電子伝導性材料としてカーボンブラック(CB)とを、プラネタリーミキサーを用いて予備混合した。続いて、負極活物質として天然黒鉛(NG)を混合し、プラネタリーミキサーを用いてさらに予備混合した。その後、分散溶媒としての水と、結着剤(バインダー)としてスチレンブタジエンゴム(SBR)とを添加して、プラネタリーミキサーを用いて分散処理を行い、負極ペーストを得た。負極ペーストにおける各成分の質量比率は、NG:CB:SBR:CMC=96.5:1.0:1.5:1.0となるようにした。天然黒鉛は、メディアン径12μmである。また、カーボンブラック(CB)は、複合粒子に用いたものと同一である。
【0173】
次に、銅製負極集電体に得られた負極ペーストを塗布、乾燥し、ロールプレスで加圧した後、100℃の真空中で乾燥させて、負極合剤層を備える負極板を形成した。得られた負極板を34mm×44mmの大きさに打ち抜いて、負極とした。
【0174】
[リチウムイオン二次電池の作製]
二次電池用アルミニウムラミネート(大日本印刷株式会社製)を熱シールして袋状に加工した容器内に、上記で作製した正極と負極との間にセパレータを挟んだ積層体を導入し、電解液を各電極界面に注液した後、容器を−95kPaに減圧して封止することにより、リチウムイオン二次電池を作製した。
【0175】
セパレータとしては、アルミナ粒子約5μmが片面にコートされたポリエチレン製微多孔膜を用いた。また、電解液としては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートとを30:30:40の体積比で混合した混合溶媒に、電解質塩としてLiPF
6を1.2モル/Lの濃度で溶解させたものを用いた。
【0176】
<評価>
実施例7で得られたリチウムイオン二次電池につき、以下の評価を行った。
【0177】
[初期放電容量]
作製したリチウムイオン二次電池を、測定温度(25℃)で1時間放置し、8.4mAで4.2Vまで定電流充電を行い、続けて4.2Vの電圧で定電圧充電を1時間行い、30分間放置した後、8.4mAの電流値で2.5Vまで定電流放電を行った。上記を5回繰り返し、5回目の放電時の放電容量を初期放電容量とした。結果を表2に示す。なお、得られた放電容量に対し、1時間で放電が完了できる電流値を1Cとした。
【0178】
[初期セル抵抗]
初期放電容量測定後のリチウムイオン二次電池を、測定温度(25℃)で1時間放置した後に0.2Cで充電し、充電レベル(SOC(State of Charge))50%に調整して10分間放置した。次に、Cレートを0.5Cとして10秒間パルス放電し、10秒放電時の電圧を測定した。そして、横軸を電流値、縦軸を電圧として、0.5Cにおける電流に対する10秒放電時の電圧をプロットした。次に、10分間放置後、補充電を行ってSOCを50%に復帰させた後、さらに10分間放置した。
【0179】
上記の操作を、1.0C、1.5C、2.0C、2.5C、3.0Cの各Cレートについて行い、各Cレートにおける電流値に対する10秒放電時の電圧をプロットした。そして、各プロットから得られた最小二乗法による近似直線の傾きを、本実施例で得られたリチウムイオン二次電池の内部抵抗とした。結果を表2に示す。
【0180】
[耐久後放電容量]
充放電サイクル耐久試験として、45℃の恒温槽にて、1Cの充電レートで4.2Vまで定電流充電を行った後、2Cの放電レートで2.5Vまで定電流放電を行う操作を1サイクルとし、上記の操作を500サイクル繰り返した。500サイクル終了後、恒温槽を25℃に変更した状態で24時間放置し、その後、0.2Cで4.2Vまで定電流充電を行い、続けて4.2Vの電圧で定電圧充電を1時間行い、30分間放置した後、0.2Cの放電レートで2.5Vまで定電流放電を行い、耐久後の放電容量を測定した。結果を表2に示す。
【0181】
[耐久後セル抵抗]
耐久後放電容量測定後のリチウムイオン二次電池を、初期セル抵抗の測定と同様に、(SOC(State of Charge))50%になるように充電を行い、初期セル抵抗の測定と同様の方法で、耐久後セル抵抗を求めた。結果を表1および表2に示す。
【0182】
[容量維持率]
初期放電容量に対する耐久後の放電容量を求め、容量維持率とした。結果を表2に示す。
【0183】
[セル抵抗上昇率]
初期セル抵抗に対する耐久後のセル抵抗を求め、セル抵抗上昇率とした。結果を表2に示す。
【0184】
【表1】
【0185】
【表2】
【0186】
<実施例8>
電子伝導性材料としてCBと、高誘電性酸化物固体粒子としてLATPとを、CB:LATP=1:6の質量比で混合した以外は、実施例7と同様にして、複合粒子を作製した。得られた複合粒子を電子顕微鏡で観察したところ、LATP表面のCBによる被覆率は、17%であった。
【0187】
次に、本実施例で作製した複合粒子を用いた以外は、実施例7と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0188】
<実施例9>
高誘電性酸化物固体粒子として表1に示すLPOを用いて、電子伝導性材料としてCBと、高誘電性酸化物固体粒子としてLPOとを、CB:LPO=1:6の質量比で混合した以外は、実施例7と同様にして、複合粒子を作製した。得られた複合粒子を電子顕微鏡で観察したところ、LPO表面のCBによる被覆率は、15%であった。
【0189】
次に、本実施例で作製した複合粒子を用いた以外は、実施例7と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0190】
<実施例10>
高誘電性酸化物固体粒子として表1に示すLNOを用いて、電子伝導性材料としてCBと、高誘電性酸化物固体粒子としてLNOとを、CB:LNO=1:6の質量比で混合した以外は、実施例7と同様にして、複合粒子を作製した。得られた複合粒子を電子顕微鏡で観察したところ、LNO表面のCBによる被覆率は、28%であった。
【0191】
次に、本実施例で作製した複合粒子を用いた以外は、実施例7と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0192】
<実施例11>
[複合粒子の作製]
高誘電性酸化物固体粒子として20gの表1に示すLATP(メディアン径(D50):0.5μm)を、ガス雰囲気制御が可能な石英管キルン炉に挿入し、石英管キルン炉を2rpmで回転させながらプロパンガスを300ml/minでフローさせて、800℃で20分間の焼成を行うことにより、熱分解によりプロパンガスを炭化させ、生成した炭素をLATP表面にコーティングすることで、複合粒子を得た。得られた複合粒子を電子顕微鏡で観察したところ、LATP表面の炭素による被覆率は、100%であった。また、LATP表面を被覆した炭素の厚みは、1.4nmであった。
【0193】
次に、本実施例で作製した複合粒子を用いた以外は、実施例7と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0194】
<実施例12>
[複合粒子の作製]
800℃で120分間の焼成を行った以外は、実施例11と同様にして、複合粒子を作製した。得られた複合粒子を電子顕微鏡で観察したところ、LATP表面の炭素による被覆率は、100%であった。また、LATP表面を被覆した炭素の厚みは、13nmであった。なお、化学的手法による実施例11および12においては、焼成時間を調製することによって、炭素による被覆量を制御することができる。
【0195】
次に、本実施例で作製した複合粒子を用いた以外は、実施例7と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0196】
【表3】
【0197】
<実施例13>
高誘電性酸化物固体粒子として表1に示すBTOを用いて、電子伝導性材料としてCBと、高誘電性酸化物固体粒子としてBTOとを、CB:BTO=1:6の質量比で混合した以外は、実施例7と同様にして、複合粒子を作製した。得られた複合粒子を電子顕微鏡で観察したところ、BTOの表面のCBによる被覆率は、36%であった。
【0198】
次に、本実施例で作製した複合粒子を用いた以外は、実施例7と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0199】
<実施例14>
高誘電性酸化物固体粒子として表1に示すKNOを用いて、電子伝導性材料としてCBと、高誘電性酸化物固体粒子としてKNOとを、CB:KNO=1:6の質量比で混合した以外は、実施例7と同様にして、複合粒子を作製した。得られた複合粒子を電子顕微鏡で観察したところ、KNOの表面のCBによる被覆率は、27%であった。
【0200】
次に、本実施例で作製した複合粒子を用いた以外は、実施例7と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0201】
<実施例15>
[複合粒子の作製]
高誘電性酸化物固体粒子として20gの表1に示すBTO(メディアン径(D50):0.6μm)を、ガス雰囲気制御が可能な石英管キルン炉に挿入し、石英管キルン炉を2rpmで回転させながらプロパンガスを300ml/minでフローさせて、800℃で120分間の焼成を行うことにより、熱分解によりプロパンガスを炭化させ、生成した炭素をBTO表面にコーティングすることで、複合粒子を得た。得られた複合粒子を目視および電子顕微鏡で観察したところ、BTO表面の炭素による被覆率は、100%であった。また、BTO表面を被覆した炭素の厚みは、19nmであった。
【0202】
次に、本実施例で作製した複合粒子を用いた以外は、実施例7と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0203】
<実施例16>
実施例8で作製した複合粒子を用いて、正極ペーストにおける各成分の質量比率が、NCM622:CB:LATP:PVDF=93.6:4.1:0.5:1.8となるようにした以外は、実施例7と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0204】
<実施例17>
実施例8で作製した複合粒子を用いて、正極ペーストにおける各成分の質量比率が、NCM622:CB:LATP:PVDF=89.1:4.1:5.0:1.8となるようにした以外は、実施例7と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0205】
<実施例18>
[複合粒子の作製]
高誘電性酸化物固体粒子として20gの表1に示すLLZO(メディアン径(D50):0.7μm)を、ガス雰囲気制御が可能な石英管キルン炉に挿入し、石英管キルン炉を2rpmで回転させながらプロパンガスを300ml/minでフローさせて、800℃で120分間の焼成を行うことにより、熱分解によりプロパンガスを炭化させ、生成した炭素をLLZO表面にコーティングすることで、複合粒子を得た。得られた複合粒子を電子顕微鏡で観察したところ、LLZO表面の炭素による被覆率は、100%であった。また、LLZO表面を被覆した炭素の厚みは、19nmであった。
【0206】
[正極の作製]
電子伝導性材料としてカーボンブラック(CB)と、結着剤(バインダー)としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)と、分散溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)とを、自転公転ミキサーで湿式混合し、予備混合スラリーを得た。続いて、正極活物質としてNCM622と、得られた予備混合スラリーとを混合し、プラネタリーミキサーを用いて分散処理を行い、正極ペーストを得た。正極ペーストにおける各成分の質量比率は、NCM622:CB:PVDF=94.0:4.1:1.9となるようにした。NCM622は、メディアン径12μmである。また、カーボンブラック(CB)は、複合粒子に用いたものと同一である。
【0207】
次に、アルミニウム製正極集電体に得られた正極ペーストを塗布、乾燥し、ロールプレスで加圧した後、120℃の真空中で乾燥させて、正極合剤層を備える正極板を形成した。得られた正極板を30mm×40mmの大きさに打ち抜いて、正極とした。
【0208】
[負極の作製]
上記で得られた複合粒子と、結着剤(バインダー)としてカルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液とを、プラネタリーミキサーを用いて予備混合した。続いて、負極活物質として天然黒鉛(NG)を混合し、プラネタリーミキサーを用いてさらに予備混合した。その後、分散溶媒としての水と、結着剤(バインダー)としてスチレンブタジエンゴム(SBR)とを添加して、プラネタリーミキサーを用いて分散処理を行い、負極ペーストを得た。負極ペーストにおける各成分の質量比率は、NG:CB:LLZO:SBR:CMC=96.0:1.0:0.5:1.5:1.0となるようにした。天然黒鉛は、メディアン径12μmである。
【0209】
次に、銅製負極集電体に得られた負極ペーストを塗布、乾燥し、ロールプレスで加圧した後、100℃の真空中で乾燥させて、負極合剤層を備える負極板を形成した。得られた負極板を34mm×44mmの大きさに打ち抜いて、負極とした。
【0210】
[リチウムイオン二次電池の作製]
本実施例で作製した正極および負極を用いた以外は、実施例7と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
【0211】
【表4】
【0212】
<実施例19>
実施例9で作製した複合粒子を用いた以外は、実施例18と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
【0213】
<実施例20>
実施例10で作製した複合粒子を用いた以外は、実施例18と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
【0214】
<実施例21>
実施例15で作製した複合粒子を用いた以外は、実施例18と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
【0215】
<実施例22>
実施例14で作製した複合粒子を用いた以外は、実施例18と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
【0216】
<実施例23>
高誘電性酸化物固体粒子として表1に示すLLZOを用いて、電子伝導性材料としてCBと、高誘電性酸化物固体粒子としてLLZOとを、CB:LLZO=1:6の質量比で混合した以外は、実施例7と同様にして、複合粒子を作製した。得られた複合粒子を電子顕微鏡で観察したところ、LLZO表面のCBによる被覆率は、15%であった。
【0217】
次に、本実施例で作製した複合粒子を用いて、負極ペーストにおける各成分の質量比率が、NG:CB:LLZO:SBR:CMC=96.4:1.0:0.1:1.5:1.0となるようにした以外は、実施例18と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
【0218】
<実施例24>
[複合粒子の作製]
(複合粒子−1の作製)
電子伝導性材料としてCBと、高誘電性酸化物固体粒子としてLATPとを、CB:LATP=1:4の質量比で混合した以外は、実施例7と同様にして、複合粒子を作製した。得られた複合粒子を電子顕微鏡で観察したところ、LATP表面のCBによる被覆率は、26%であった。
【0219】
(複合粒子−2の作製)
電子伝導性材料としてCBと、高誘電性酸化物固体粒子としてLLZOとを、CB:LLZO=1:4の質量比で混合した以外は、実施例7と同様にして、複合粒子を作製した。得られた複合粒子を電子顕微鏡で観察したところ、LLZO表面のCBによる被覆率は、46%であった。
【0220】
[正極の作製]
上記で作製した複合粒子−1を用いた以外は、実施例7と同様にして、正極を作製した。
【0221】
[負極の作製]
上記で作製した複合粒子−2を用いた以外は、実施例19と同様にして、正極を作製した。
【0222】
本実施例で作製した正極および負極を用いた以外は、実施例7と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表5に示す。
【0223】
【表5】
【0224】
<実施例25>
実施例24で作製した正極と、実施例21で作製した負極を用いた以外は、実施例7と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表5に示す。
【0225】
<実施例26>
実施例15で作製した正極と、実施例18で作製した負極を用いた以外は、実施例7と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表5に示す。
【0226】
<実施例27>
[正極の作製]
実施例12で作製した複合粒子を用いて、正極ペーストにおける各成分の質量比率が、NCM622:CB:LATP:PVDF=93.6:4.1:0.5:1.8となるようにした以外は、実施例7と同様にして、正極を作製した。
【0227】
[負極の作製]
電子伝導性材料としてCBと、高誘電性酸化物固体粒子としてBTOと、結着剤(バインダー)としてカルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液とを、プラネタリーミキサーを用いて予備混合した。続いて、負極活物質として天然黒鉛(NG)を混合し、プラネタリーミキサーを用いてさらに予備混合した。その後、分散溶媒として水と、結着剤(バインダー)としてスチレンブタジエンゴム(SBR)とを添加して、プラネタリーミキサーを用いて分散処理を行い、負極ペーストを得た。負極ペーストにおける各成分の質量比率は、NG:CB:BTO:SBR:CMC=96.0:1.0:0.5:1.5:1.0となるようにした。
【0228】
次に、銅製負極集電体に得られた負極ペーストを塗布、乾燥し、ロールプレスで加圧した後、100℃の真空中で乾燥させて、負極合剤層を備える負極板を形成した。得られた負極板を34mm×44mmの大きさに打ち抜いて、負極とした。
【0229】
本実施例で作製した負極ペーストでは、カーボンブラックと、BTOとは単に混合されているだけであり、複合粒子は形成していない。
【0230】
[リチウムイオン二次電池の作製]
上記で作製した正極と負極とを用いた以外は、実施例7と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表5に示す。
【0231】
<比較例3>
実施例18で作製した正極と、実施例7で作製した負極を用いた以外は、実施例7と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。すなわち、本比較例では、正極と負極はいずれも、複合粒子も高誘電性酸化物固体粒子も全く含んでいない。結果を表6に示す。
【0232】
【表6】
【0233】
<比較例4>
[正極の作製]
電子伝導性材料としてCBと、高誘電性酸化物固体粒子としてLATPと、結着剤(バインダー)としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、分散溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に予備混合し、自転公転ミキサーで湿式混合し、予備混合スラリーを得た。続いて、正極活物質としてNCM622と、得られた予備混合スラリーとを混合し、プラネタリーミキサーを用いて分散処理を行い、正極ペーストを得た。正極ペーストにおける各成分の質量比率は、NCM622:CB:LATP:PVDF=93.1:4.1:1.0:1.8となるようにした。
【0234】
次に、アルミニウム製正極集電体に得られた正極ペーストを塗布、乾燥し、ロールプレスで加圧した後、120℃の真空中で乾燥させて、正極合剤層を備える正極板を形成した。得られた正極板を30mm×40mmの大きさに打ち抜いて、正極とした。
【0235】
本比較例で作製した正極ペーストでは、カーボンブラックと、BTOとは単に混合されているだけであり、複合粒子は形成していない。
【0236】
上記で作製した正極と、実施例7で作製した負極とを用いた以外は、実施例7と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表6に示す。
【0237】
<比較例5>
[負極の作製]
電子伝導性材料としてCBと、高誘電性酸化物固体粒子としてLLZOと、結着剤(バインダー)としてカルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液とを、プラネタリーミキサーを用いて予備混合した。続いて、負極活物質として天然黒鉛(NG)を混合し、プラネタリーミキサーを用いてさらに予備混合した。その後、分散溶媒として水と、結着剤(バインダー)としてスチレンブタジエンゴム(SBR)とを添加して、プラネタリーミキサーを用いて分散処理を行い、負極ペーストを得た。負極ペーストにおける各成分の質量比率は、NG:CB:LLZO:SBR:CMC=96.0:1.0:0.5:1.5:1.0となるようにした。
【0238】
次に、銅製負極集電体に得られた負極ペーストを塗布、乾燥し、ロールプレスで加圧した後、100℃の真空中で乾燥させて、負極合剤層を備える負極板を形成した。得られた負極板を34mm×44mmの大きさに打ち抜いて、負極とした。
【0239】
本実施例で作製した負極ペーストでは、カーボンブラックと、LLZOとは単に混合されているだけであり、複合粒子は形成していない。
【0240】
[リチウムイオン二次電池の作製]
実施例18で作製した正極と、上記で作製した負極を用いた以外は、実施例7と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表6に示す。
【0241】
<比較例6>
[負極の作製]
電子伝導性材料としてCBと、高誘電性酸化物固体粒子としてLATPと、結着剤(バインダー)としてカルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液とを、プラネタリーミキサーを用いて予備混合した。続いて、負極活物質として天然黒鉛(NG)を混合し、プラネタリーミキサーを用いてさらに予備混合した。その後、分散溶媒として水と、結着剤(バインダー)としてスチレンブタジエンゴム(SBR)とを添加して、プラネタリーミキサーを用いて分散処理を行い、負極ペーストを得た。負極ペーストにおける各成分の質量比率は、NG:CB:LATP:SBR:CMC=96.0:1.0:0.5:1.5:1.0となるようにした。
【0242】
次に、銅製負極集電体に得られた負極ペーストを塗布、乾燥し、ロールプレスで加圧した後、100℃の真空中で乾燥させて、負極合剤層を備える負極板を形成した。得られた負極板を34mm×44mmの大きさに打ち抜いて、負極とした。
【0243】
本実施例で作製した負極ペーストでは、カーボンブラックと、LATPとは単に混合されているだけであり、複合粒子は形成していない。
【0244】
[リチウムイオン二次電池の作製]
実施例18で作製した正極と、上記で作製した負極を用いた以外は、実施例7と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表6に示す。
【0245】
<比較例7>
[正極の作製]
電子伝導性材料としてCBと、高誘電性酸化物固体粒子として表1に示すAlOと、結着剤(バインダー)としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、分散溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に予備混合し、自転公転ミキサーで湿式混合し、予備混合スラリーを得た。続いて、正極活物質としてNCM622と、得られた予備混合スラリーとを混合し、プラネタリーミキサーを用いて分散処理を行い、正極ペーストを得た。正極ペーストにおける各成分の質量比率は、NCM622:CB:AlO:PVDF=93.1:4.1:1.0:1.8となるようにした。
【0246】
次に、アルミニウム製正極集電体に得られた正極ペーストを塗布、乾燥し、ロールプレスで加圧した後、120℃の真空中で乾燥させて、正極合剤層を備える正極板を形成した。得られた正極板を30mm×40mmの大きさに打ち抜いて、正極とした。
【0247】
本比較例で作製した正極ペーストでは、カーボンブラックと、AlOとは単に混合されているだけであり、複合粒子は形成していない。
【0248】
上記で作製した正極と、実施例7で作製した負極とを用いた以外は、実施例7と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例7と同様の評価を行った。結果を表6に示す。