特許第6987237号(P6987237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987237
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】患者ベッド電子ルーラ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20211213BHJP
   G01B 21/00 20060101ALI20211213BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   A61B5/00 102A
   G01B21/00 C
   G01C3/06 120Q
   G01C3/06 110A
【請求項の数】24
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-521294(P2020-521294)
(86)(22)【出願日】2017年10月20日
(65)【公表番号】特表2021-503315(P2021-503315A)
(43)【公表日】2021年2月12日
(86)【国際出願番号】US2017057593
(87)【国際公開番号】WO2019078884
(87)【国際公開日】20190425
【審査請求日】2020年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】593063105
【氏名又は名称】シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】特許業務法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】サンピタック,パタニット
【審査官】 樋口 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−030042(JP,A)
【文献】 特開2006−078369(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0110976(US,A1)
【文献】 国際公開第2016/125904(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/066638(WO,A1)
【文献】 特開平01−189509(JP,A)
【文献】 特開2017−010383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C27/00−27/22
31/00−31/12
A61B5/00−5/01
5/055
6/00−6/14
A61G7/00−7/16
G01B21/00−21/32
G01C3/00−3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合電子ルーラシステムを有する医用画像診断患者ベッドであって、
前記医用画像診断患者ベッドに取りけられた光ストリップと、
開放端と閉端を有し、前記医用画像診断患者ベッドに装着され、前記光ストリップがトラフの開放端と閉端に境を接するように方向付けられたトラフと、
前記トラフの開放端に装着されたレーザ距離計と、
マイクロコントローラと、
前記光ストリップ、前記レーザ距離計、及び前記マイクロコントローラに電源を供給するように構成された電源と、を備え、
前記マイクロコントローラは、物体を前記トラフに挿入したときに、1つ以上の測定距離を前記レーザ距離計から受け取った後に、前記光ストリップを点灯するように構成され、
前記光ストリップの点灯の位置は、前記レーザ距離計から受け取った前記1つ以上の測定距離に対応する、医用画像診断患者ベッド。
【請求項2】
前記光ストリップが、1つ以上の発光体をさらに有し、前記1つ以上の発光体は、前記マイクロコントローラから送られた1つ以上の命令に基づいて点灯するように構成された、請求項1に記載の医用画像診断患者ベッド。
【請求項3】
前記マイクロコントローラが、さらに前記レーザ距離計から受け取った測定距離の範囲に対応する複数の前記1つ以上の発光体を点灯するように構成された、請求項2に記載の医用画像診断患者ベッド。
【請求項4】
前記レーザ距離計が、
レーザを放出するように構成されたレーザ源と、
反射されたレーザを受け取るように構成されたレーザ受信機と、をさらに備え、
放出されたレーザと前記反射されたレーザの受け取りとの間の時間が距離を測定する、請求項1に記載の医用画像診断患者ベッド。
【請求項5】
前記レーザ距離計が、
レーザを放出するように構成されたレーザ源と、
反射されたレーザを受け取るように構成されたレーザ受信機と、をさらに備え、
放出されたレーザと前記反射されたレーザの三角測量で距離を測定する、請求項1に記載の医用画像診断患者ベッド。
【請求項6】
前記トラフ及び前記光ストリップが、それぞれ、前記医用画像診断患者ベッドの長さと略同一の長さを有する、請求項1に記載の医用画像診断患者ベッド。
【請求項7】
前記マイクロコントローラが、さらに前記1つ以上の測定距離を画像診断システムホストコントローラに送るように構成された、請求項1に記載の医用画像診断患者ベッド。
【請求項8】
前記画像診断システムホストコントローラが、前記マイクロコントローラから受け取った前記1つ以上の測定距離に基づいて、医用画像診断スキャンの1つ以上のパラメータを調整するように構成された、請求項7に記載の医用画像診断患者ベッド。
【請求項9】
前記画像診断システムホストコントローラが、1つ以上の仮想スイッチの作成、1つ以上のスワイプ動作の検出、1つ以上の範囲の調整、及び1つ以上の画像診断スキャン限界の検出のうちの少なくとも1つについて、前記1つ以上の測定距離を使用するように構成された、請求項7に記載の医用画像診断患者ベッド。
【請求項10】
前記マイクロコントローラが、さらに前記光ストリップを消灯して、リセット命令を受け取った後に、前記レーザ距離計を、リセットするように構成された、請求項1に記載の医用画像診断患者ベッド。
【請求項11】
前記トラフの閉端が、さらに反射部を有し、
前記レーザ距離計が、前記トラフの前記反射部から取得した測定距離に基づいて較正されるように構成された、請求項1に記載の医用画像診断患者ベッド。
【請求項12】
光ストリップと、
開放端と閉端を有するトラフと、
前記トラフの開放端に装着された距離計と、
マイクロコントローラと、を備え、
前記光ストリップが、前記トラフの開放端と閉端に境が接するように方向付けられ、
前記マイクロコントローラが、物体を前記トラフに挿入したときに、1つ以上の測定距離を前記距離計から受け取った後に、前記光ストリップを点灯するように構成され、
前記光ストリップの点灯の位置が、前記距離計から受け取った前記1つ以上の測定距離に対応する、電子ルーラシステム。
【請求項13】
前記光ストリップが、1つ以上の発光体をさらに備え、前記1つ以上の発光体が、前記マイクロコントローラから送られた1つ以上の命令に基づいて点灯するように構成された、請求項12に記載の電子ルーラシステム。
【請求項14】
前記マイクロコントローラが、さらに前記距離計から受け取った測定距離の範囲に対応する複数の前記1つ以上の発光体を点灯するように構成された、請求項13に記載の電子ルーラシステム。
【請求項15】
前記距離計が、レーザ距離計、超音波距離計、又は赤外線距離計の少なくとも1つを備えた、請求項12に記載の電子ルーラシステム。
【請求項16】
前記レーザ距離計、前記超音波距離計、又は前記赤外線距離計の少なくとも1つが、飛行時間測定によって1つ以上の距離を測定する、請求項15に記載の電子ルーラシステム。
【請求項17】
前記レーザ距離計は、光学三角測量によって前記1つ以上の距離を測定する、請求項15に記載の電子ルーラシステム。
【請求項18】
前記トラフ及び前記光ストリップが、患者ベッドに取り付けられ、
前記トラフ及び前記光ストリップが、それぞれ、前記患者ベッドの長さと略同一の長さを有する、請求項12に記載の電子ルーラシステム。
【請求項19】
前記マイクロコントローラが、さらに前記1つ以上の測定距離をホストコントローラに送るように構成された、請求項12に記載の電子ルーラシステム。
【請求項20】
前記ホストコントローラが、1つ以上の仮想スイッチの作成、1つ以上のスワイプ動作の検出、1つ以上の範囲の調整、及び1つ以上の画像診断スキャン限界の検出の少なくとも1つについて、前記1つ以上の測定距離を使用するように構成された、請求項19に記載の電子ルーラシステム。
【請求項21】
前記マイクロコントローラが、さらに前記光ストリップを消灯し、リセット命令を受け取った後に、前記距離計をリセットするように構成された、請求項12に記載の電子ルーラシステム。
【請求項22】
前記トラフの閉端が、反射部をさらに有し、
前記距離計が、前記トラフの前記反射部から取得した測定距離に基づいて較正されるように構成された、請求項12に記載された電子ルーラシステム。
【請求項23】
レーザ距離計によりレーザを放出し、
前記レーザの物体への反射によって生じた反射レーザを前記レーザ距離計によって受け取り、
放出されたレーザ及び前記反射されたレーザの特性に基づいて、前記レーザ距離計により1つ以上の測定距離を生成し、
マイクロコントローラに前記1つ以上の測定距離を送り、
前記マイクロコントローラによって、前記レーザ距離計から受け取った前記1つ以上の測定距離に対応するように光ストリップを点灯させることを含む、電子ルーラシステムの使用方法。
【請求項24】
前記使用方法が、
前記マイクロコントローラによって、前記1つ以上の距離測定値をホストコントローラに送り、前記ホストコントローラによって、前記1つ以上の距離測定値に基づいて医用画像セッションの1つ以上のパラメータを調節することをさらに含む、請求項23に記載の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本装置は、医用従事者又は他の使用者が患者ベッド上の距離を容易に記録することを可能にするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の医用画像診断患者ベッドには、スキャンしているベッド上の患者体位を基準にしてスキャン限界を容易に記録する能力がない(特に全身画像撮像の場合)。これまでの解決策には、患者ベッドに物理的なルーラを装着することが含まれており、これによりユーザはスキャン限界を手動で入力する必要があった。その他の解決策としては、患者ベッドに沿った電気機械的スイッチを直線符号化したアレイを使用し、スキャン限界を電子的に記録することが挙げられる。しかし、この方法は使用が煩雑であり、材料は比較的高価であった。
【発明の概要】
【0003】
実施形態は、医用画像診断患者ベッドに取りけられた光ストリップと、開放端と閉端を有し、医用画像ベッドに装着され、開放端と閉端に境を接するように方向付けられたトラフと、トラフの開放端に装着されたレーザ距離計と、マイクロコントローラと、光ストリップ、レーザ距離計、及びマイクロコントローラに電源を供給するように構成された電源と、を備え、マイクロコントローラは、物体をトラフに挿入したときに、1つ以上の測定距離をレーザ距離計から受け取った後に、光ストリップを点灯するように構成され、光ストリップの点灯の位置は、レーザ距離計から受け取った1つ以上の測定距離に対応する、統合電子ルーラシステムを有する医用画像診断患者ベッドを提供することができる。
【0004】
実施形態は、光ストリップが、1つ以上の発光体をさらに有し、1つ以上の発光体は、マイクロコントローラから送られた1つ以上の命令に基づいて点灯するように構成された、医用画像診断患者ベッドをさらに提供することができる。
【0005】
実施形態は、マイクロコントローラが、さらにレーザ距離計から受け取った測定距離の範囲に対応する複数の1つ以上の発光体を点灯するように構成された、医用画像診断患者ベッドをさらに提供することができる。
【0006】
実施形態は、レーザ距離計が、レーザを放出するように構成されたレーザ源と、反射されたレーザを受け取るように構成されたレーザ受信機と、をさらに備え、放出されたレーザと反射されたレーザの受け取りとの間の時間が距離を測定する、医用画像診断患者ベッドをさらに提供することができる。
【0007】
実施形態は、レーザ距離計が、レーザを放出するように構成されたレーザ源と、反射されたレーザを受け取るように構成されたレーザ受信機と、をさらに備え、放出されたレーザと反射されたレーザの三角測量で距離を測定する、医用画像診断患者ベッドをさらに提供することができる。
【0008】
実施形態は、トラフ及び光ストリップが、それぞれ、医用画像診断患者ベッドの長さと実質的に類似した長さを有する、医用画像診断患者ベッドをさらに提供することができる。
【0009】
実施形態は、マイクロコントローラが、さらに1つ以上の測定距離を画像診断システムホストコントローラに送るように構成された、医用画像診断患者ベッドをさらに提供することができる。
【0010】
実施形態は、画像診断システムホストコントローラが、マイクロコントローラから受け取った1つ以上の測定距離に基づいて、画像診断スキャンの1つ以上のパラメータを調整するように構成された、医用画像診断患者ベッドをさらに提供することができる。
【0011】
実施形態は、画像診断システムホストコントローラが、1つ以上の仮想スイッチの作成、1つ以上のスワイプ動作の検出、1つ以上の範囲の調整、及び1つ以上の画像診断スキャン限界の検出のうちの少なくとも1つについて、1つ以上の測定距離を使用するように構成された、医用画像診断患者ベッドをさらに提供することができる。
【0012】
実施形態は、マイクロコントローラが、さらに光ストリップを消灯して、リセット命令を受け取った後に、レーザ距離計を、リセットするように構成された、医用画像診断患者ベッドをさらに提供することができる。
【0013】
実施形態は、トラフの閉端がさらに反射部を有し、距離計が、トラフの反射部から取得した測定距離に基づいて較正されるように構成された、医用画像診断患者ベッドをさらに提供することができる。
【0014】
実施形態は、光ストリップと、開放端と閉端を有するトラフと、トラフの開放端に装着された距離計と、マイクロコントローラと、を備え、光ストリップが、トラフの開放端と閉端に境が接するように方向付けられ、マイクロコントローラが、物体をトラフに挿入したときに、1つ以上の測定距離を距離計から受け取った後に、光ストリップを点灯するように構成され、光ストリップの点灯の位置が、距離計から受け取った1つ以上の測定距離に対応する、電子ルーラシステムをさらに提供することができる。
【0015】
実施形態は、光ストリップが、1つ以上の発光体をさらに備え、1つ以上の発光体が、マイクロコントローラから送られた1つ以上の命令に基づいて点灯するように構成された、電子ルーラシステムをさらに提供することができる。
【0016】
実施形態は、マイクロコントローラが、さらに距離計から受け取った測定距離の範囲に対応する複数の1つ以上の発光体を点灯するように構成された、電子ルーラシステムをさらに提供することができる。
【0017】
実施形態は、距離計が、レーザ距離計、超音波距離計、又は赤外線距離計の少なくとも1つを備えた、電子ルーラシステムをさらに提供することができる。
【0018】
実施形態は、レーザ距離計、超音波距離計、又は赤外線距離計の少なくとも1つが、飛行時間測定によって1つ以上の距離を測定する、電子ルーラシステムをさらに提供することができる。
【0019】
実施形態は、レーザ距離計が、光学三角測量によって1つ以上の距離を測定する、電子ルーラシステムをさらに提供することができる。
【0020】
実施形態は、トラフ及び光ストリップが、患者ベッドに取り付けられ、トラフ及び光ストリップが、それぞれ、患者ベッドの長さと実質的に類似した長さを有する、電子ルーラシステムをさらに提供することができる。
【0021】
実施形態は、マイクロコントローラは、ざらに1つ以上の測定距離をホストコントローラに送るように構成された、電子ルーラシステムをさらに提供することができる。
【0022】
実施形態は、ホストコントローラが、1つ以上の仮想スイッチの作成、1つ以上のスワイプ動作の検出、1つ以上の範囲の調整、及び1つ以上の画像診断スキャン限界の検出の少なくとも1つについて、1つ以上の測定距離を使用するように構成された、電子ルーラシステムをさらに提供することができる。
【0023】
実施形態は、マイクロコントローラが、さらに光ストリップを消灯し、リセット命令を受け取った後に、距離計をリセットするように構成された、電子ルーラシステムをさらに提供することができる。
【0024】
実施形態は、トラフの閉端が反射部をさらに有し、距離計は、トラフの反射部から取得した測定距離に基づいて較正されるように構成された、電子ルーラシステムをさらに提供することができる。
【0025】
実施形態は、レーザ距離計によりレーザを生成し、レーザの物体への反射によって生じた反射レーザをレーザ距離計によって受け取り、放出されたレーザ及び反射されたレーザの特性に基づいて、レーザ距離計により1つ以上の測定距離を生成し、マイクロコントローラに1つ以上の測定距離を送り、マイクロコントローラによって、レーザ距離計から受け取った1つ以上の測定距離に対応するように光ストリップを点灯させることを含む、電子ルーラシステムの使用方法をさらに提供することができる。
【0026】
実施形態は、使用方法が、マイクロコントローラによって、1つ以上の距離測定をホストコントローラに送り、ホストコントローラによって、1つ以上の距離測定値に基づいて医用画像診断セッションの1つ以上のパラメータを調節することをさらに含む、使用方法をさらに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の上記及び他の態様は、添付図面を併せて読むと、以下の詳細な説明から最もよく理解できる。本発明を例示する目的で、図面には現在好適な実施形態を示しているが、本発明は開示した特定の手段に限定されない。
図1】本明細書に記載された実施形態による電子ルーラシステムのグラフを示す。
図2】本明細書に記載された実施形態による電子ルーラシステムの使用方法を示す。
図3】本明細書に記載された実施形態による電子ルーラの様々な構成要素を例示するブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態は、撮像又は一連の医用行為時に、レーザ、超音波、又は赤外線距離計、1つ以上のLED、及びホストコントローラに接続されたマイクロコントローラを用いて、ベッドサイドの測定値を非侵襲的に測定するためのシステム及び方法を含む。実施形態において、電子ルーラは、測定値をグラフで表示、又は1つ以上の医用システムに直接組み込まれたデジタル出力をすることができる。
【0029】
図1は、本明細書に記載された実施形態による電子ルーラシステムのグラフを示す。電子ルーラシステムは、患者ベッド101に直接取り付けることができるか、又はシステムを必要に応じてベッドからベッドへ移動できるようにモジュール式で着脱可能とすることができる。電子ルーラシステムは、1つ以上の発光体103からなる光ストリップ102を有することができる。一実施形態において、1つ以上の発光体103はLEDとすることができるが、いずれの高効率発光ソリューションも検討することができる。1つ以上の発光体103は、同一又は異なる色であっても、又は色を変えるLEDであってもよい。その代わりに、光ストリップは、1つ以上の画素を含む単一の長い網からなることができ、これは、1つ以上の発光体と同様に機能することができる。一実施形態において、光ストリップ102は、金網又は他の保護網の後ろに配置することができる。一実施形態において、光ストリップ102をトラフ107に取り付けることができるか、又は患者ベッド101に取り付ける別のユニットとすることができる。光ストリップ102の解像度は、光ストリップ102に組み込まれた発光体103の数に基づいて変えることができ、発光体103が多ければ、より高性能の解像度に変換される。
【0030】
距離を感知するために、電子ルーラシステムは、レーザ源105及びレーザ受信機106を備えるレーザ距離計104を使用することができる。レーザ距離計104は、レーザ源105から放出されたレーザ光109を生成するように構成することができ、これにより、レーザ光109は、トラフ107内を進むことができる。トラフ107は、レーザ距離計104を取り付けることができる開放端113と、閉端114に位置する反射部108とを有することができる。トラフ107は、とりわけ、金属、プラスチック、又はそれらの複合体で作ることができる。一実施形態において、トラフ107は、患者ベッド101と同じ長さにすることができる。トラフ107は、マットレスの底部の高さの周りのフレームの上部等の、腰までの高さで患者ベッド101の側面に取り付けることができる。一実施形態において、光ストリップ102は、トラフ107の真上の患者ベッド101のフレームに取り付けることができる。一実施形態において、光ストリップ102は、L字形状でトラフ107に、又はトラフ107とは別に取り付けることができる。レーザ距離計104の反対側のトラフ107の末端には、鏡又は他の反射面となりうる先端反射部108が、放出されたレーザ光109を反射し、反射したレーザ光110を生成することができる。これはトラフ107に沿って進み、レーザ受信器106によって検出される。反射部108を使用することで、ユーザによる使用後のレーザ距離計104の較正及びリセットを助けることができる。
【0031】
一実施形態において、赤色レーザなどの可視レーザ源105を使用することができる。その代わりに、赤外レーザ又は他の低出力レーザを、レーザ距離計104に使用することができる。代替実施形態では、超音波距離計又は赤外(非レーザ)距離計をレーザ距離計104の代わりに使用することができ、超音波源及び超音波受信機、又は赤外線源及び赤外線受信機をそれぞれ使用して距離を測定することができる。
【0032】
電子ルーラは、レーザ距離計104と光ストリップ102との間の相互作用を和らげることができるマイクロコントローラ111を使用することによって、光ストリップ102とレーザ距離計104を制御することができる。マイクロコントローラ111は、画像診断システムのような特定の医用システムに結合することができる、ホストコントローラ112とやり取りすることができる。このようにして、マイクロコントローラ111は、光ストリップ102によって測定距離を視覚的に表示することに加えて、測定信号のデジタル値をホストコントローラ112に送信して、使用している特定のシステム上で表示又は記録することもできる。
【0033】
図2は、本明細書に記載された実施形態による電子ルーラシステムの使用方法を示す。上述のように、レーザ距離計104は、レーザ源105により、放射するレーザビーム109を連続的に生成することができる。妨害されることなく、放出されたレーザビーム109は、トラフ107に沿って進み、トラフ107の反射部108で反射され、反射レーザビーム110としてレーザ受信機106に戻ることができる。電子ルーラシステムを用いて測定を行うために、ユーザは、指201(又は他の物体)を所望の距離でトラフ107に挿入することができる。所望の距離は、ちょうど雑像された領域、身体部分の位置、又はユーザにとって重要である他の測定基準に対応することができる。トラフ107に指201を挿入することによって、放出されたレーザ光109が遮られ、反射されたレーザ光110は、遮られていないときとは異なる時間でレーザ受信機106に戻る。これは飛行時間計算としても知られている。反射されたレーザ光110は、レーザ受信機106によって受信され、距離値を、マイクロコントローラ111に送ることができる。マイクロコントローラ111に送られた距離値に基づいて、マイクロコントローラ111は、光ストリップ102に命令を送って、1つ以上の発光体103を点灯させることができる。点灯した発光体202は、トラフ107内のユーザの指201の位置に対応させることができる。
【0034】
あるいは、放出されたレーザビーム109及び反射されたレーザ光110は、飛行時間の代わりに、距離を測定するために光学三角測量を使用し得る。光学三角測量では、物体201の距離は、放出されたレーザビーム109と反射されたレーザ光110との間の角度差を測定することによって計算することができる。この角度差は、レーザ源105及びレーザ受信機106からの物体201の距離に基づいて変化させることができる。
【0035】
一実施形態において、単一発光体103を点灯させることができる。代替実施形態において、マイクロコントローラ111は、ユーザの指とレーザ距離計104に最も近い光ストリップ103の末端との間の全ての発光体、又は一部が点灯し一部が消灯する発光体のパターンを含む、1つ以上の発光体を点灯させることができる。一実施形態において、発光体は絶えず点灯したままか、又は点灯と消灯を周的的に繰り返し得る。一実施形態においえ、点灯した発光体202は、ユーザの指201が対応する距離にある限り点灯したままであり、ユーザの指201が抜去されると消灯させることができる。あるいは、点灯した発光体202は、ユーザの指201が抜去された後、所定の時間間隔の間、点灯したままでも、又は、マイクロコントローラ111によってリセット命令が送られるまで、点灯したままであってもよい。ユーザがトラフ107内で指201を動かした場合、発光体103は、必要に応じて点灯又は消灯して、ユーザの指の距離経路を辿ることができる。一実施形態において、ユーザは、異なる距離で指201を挿入し抜去することによって、1つ以上の測定値を指定することができ、それらの距離に対応する複数の発光体103が点灯することになる。光ストリップ102は、マイクロコントローラ111によってリセット命令が送られたとき、又はユーザが光ストリップをクリアするように予め設定された特定のスワイプ動作を行ったときに、完全に消灯させることができる。
【0036】
上述のように、1つ以上の発光体103が点灯するので、測定された距離のデジタル値は、マイクロコントローラ111によって、ホストコントローラ112に送って、保存、使用、及び/又は画面又はモニタ上に表示することができる。一実施形態において、ユーザの指201をトラフ107に挿入するたびに、マイクロコントローラ111からホストコントローラ112に測定値を送ることができる。電子ルーラシステムと共に使用する特定のユーザインタフェースに応じて、マイクロコントローラ111は、ユーザインタフェースに距離を記録する(例えば、医用画像スキャンにスキャン限界を課すことによって)、距離範囲を表示する(例えば、スキャン範囲)、測定距離をクリアする、又はその位置をホストコントローラ112に報告するよう指示することもできる。
【0037】
図3は、本明細書に記載された実施形態による電子ルーラの様々な構成要素を例示するブロック図を示す。上述したように、電子ルーラシステムは、距離計305と光ストリップ102との間のやり取りを仲介することができるマイクロコントローラ111によって制御することができる。物体(すなわち、ユーザの指)201がトラフ内の距離計305と相互作用すると、測定された距離に対応するので、マイクロコントローラ111は、光ストリップ102の発光体を点灯及び消灯することができる。1つ以上の発光体が点灯した場合(例えば、スキャン範囲を視覚的に表示する場合)、システムは、スイッチ、ボタン、トグル、又はソフトウェアの命令により送ることができる、リセット命令306を用い、基本動作状態に完全にリセットすることができる。基本動作状態は、光ストリップ102の消灯及び距離計305のリセットを含むことができる。さらに、測定された距離は、マイクロコントローラ111によってホストコントローラ112に出力することができ、これにより、医用画像診断システム307に送ることができる。電子ルーラシステムは、外部プラグ又はバッテリである電源301によって電力を供給できる。電子ルーラを設置した患者ベッドは、システムの接続を外し再接続する必要なく、部屋間又は大きな部屋内で移動することができるように、携帯性を目的としてバッテリを使用することができる。
【0038】
距離計305による測定方法は、レーザ距離計304、超音波距離計303、又は赤外線距離計302を含むことができる。一実施形態において、レーザ距離計304、超音波距離計303、及び赤外線距離計302は、飛行時間によって距離を測定することができる。あるいは、レーザ距離計304は、光学三角測量によって距離を測定することができる。
【0039】
電子ルーラシステムの他の使用には、撮像スキャン限度(又はスキャン範囲)の検出及び記録、スキャン限度の終了時からのスキャン範囲の調整、スキャン範囲の移動、ユーザが事前に設定された範囲モード又は他の動作モードを選択するための「仮想スイッチ」の作成、又はユーザ入力制御の他の手段としてユーザの「スワイプ動作」を検出することが含まれる。これらの各機能は、予めプログラムされた動作命令を使用することによって、起動又は達成することができる。一実施形態において、電子ルーラの使用に基づいて、一組の命令を選択することができる(例えば、医用画像診断用の1組、一般患者測定用の別の組)。
【0040】
このシステムの利点は、(電気機械的スイッチがないため)より高い信頼性、離散的な一連の電動スイッチに比べてユーザにとっての継続的なタッチとレスポンス、IEC−60601−1、安全性、EMC準拠の容易さ、ユーザ入力制御とユーザ表示フィードバックの柔軟性などである。
【0041】
本明細書及び特許請求の範囲において、例示的実施形態の特定の特徴及び要素に関して、「a」、「少なくとも1つ」、及び「1つ以上」という用語を使用してもよい。これらの用語及び語句は、特定の例示的実施形態において存在する特定の特徴又は要素の少なくとも1つが存在するが、1つ以上存在し得ることを意図している。すなわち、これらの用語/語句は、明細書又は特許請求の範囲を単一の特徴/要素に限定することを意図したものではなく、かかる特徴/要素が複数存在することを意図するものである。それと反対に、これらの用語/語句は、少なくとも単一の特徴/要素のみを必要とし、かかる特徴/要素のうち複数のものは明細書及び特許請求の範囲内に含まれる。
【0042】
さらに、以下の説明は、例示的実施形態の様々な要素に対して複数の様々な例を使用して、例示的実施形態の実施例をさらに例示的にし、例示的実施形態のメカニズムの理解を助けるものである。これらの例は、非限定的であることを意図しており、例示的な実施形態のメカニズムを実施するための様々な可能性を網羅しているわけではない。本明細書を鑑み、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施例に加えて、又はその代わりに利用することができる、これらの様々な要素に対する他の代替実施例が多数存在することは、当業者に明白であろう。
【0043】
図のシステム及びプロセスは排他的でない。他のシステム、プロセス、及びメニューは、同じ目的を達成するために、本明細書に記載された実施形態の原則に従って導出し得る。本明細書に示され記載された実施形態及び変形例は、例示のみを目的とするものであると理解すべきである。現在の設計に対する変更は、例示の範囲から逸脱することなく、当業者によって実装することができる。本明細書で述べたように、種々のシステム、サブシステム、エージェント、マネージャー、及びプロセスは、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、及び/又はその組合せを使用して実装し得る。本明細書中の特許請求の範囲の構成要素が、「means for」という表現を用いて明示的に記載しない限り、ここで述べた構成要素は、米国特許法第112条第6項の規定に基づき解釈されないものとする。
【0044】
本発明を例示的実施形態を参照して説明したが、本発明はそれに限定されない。本発明の好適な実施形態に対して多数の変更及び修正を行うことができること、及び、本発明の真の趣旨から逸脱することなく、こうした変更及び修正を行うことができることを当業者は認識するであろう。従って、添付した特許請求の範囲が、本発明の真の趣旨及び範囲内に入る全ての均等な変形例を包含すると解釈すべきである。
図1
図2
図3