特許第6987238号(P6987238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987238
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】電気液圧式のブレーキアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   B60T 13/138 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
   B60T13/138 A
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-522362(P2020-522362)
(86)(22)【出願日】2018年9月12日
(65)【公表番号】特表2020-537613(P2020-537613A)
(43)【公表日】2020年12月24日
(86)【国際出願番号】EP2018074650
(87)【国際公開番号】WO2019091629
(87)【国際公開日】20190516
【審査請求日】2020年4月20日
(31)【優先権主張番号】102017219920.2
(32)【優先日】2017年11月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】リーセ,クリスティアン
【審査官】 羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102013224870(DE,A1)
【文献】 特表2016−517371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/00−17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機付車両の1つまたは複数の液圧ホイールブレーキ(14)を操作するためのブレーキ圧を生成するための電気液圧式のブレーキアクチュエータ(1)であって、ブレーキ圧を生成するためのピストン・シリンダ・ユニット(4)と、回転駆動運動をスライドへと変換する、前記ピストン・シリンダ・ユニット(4)のシリンダ(8)の中でピストン(7,9)をスライドさせるための回転・並進・変換伝動装置(6)と、前記回転・並進・変換伝動装置(6)を回転駆動可能である電気モータ(2)とを有し、該回転・並進・変換伝動装置が前記電気モータ(2)の回転駆動運動をスライドに変換して前記ピストン・シリンダ・ユニット(4)の前記シリンダ(8)の中で前記ピストン(7,9)をスライドさせる、そのような電気液圧式のブレーキアクチュエータにおいて、
前記ピストン・シリンダ・ユニット(4)は、圧力生成をする異なる大きさのピストン面(17,18)を備えた2つのピストン(7,9)を有し、圧力生成をする大きいほうのピストン面(17,18)を備えるピストン(7,9)が圧力発生のためにスライドし、圧力生成をする小さいほうのピストン面(17,18)を備えるピストン(7,9)が圧力上昇のために前記シリンダ(8)の中でスライドする、
ことを特徴とする電気液圧式のブレーキアクチュエータ。
【請求項2】
前記ピストン・シリンダ・ユニット(4)は、前記回転・並進・変換伝動装置(6)により前記シリンダ(8)の中でスライド可能である、第2のピストン(9)が中に配置された中空ピストン(10)を有し、該第2のピストンに前記中空ピストン(10)がそのスライド中に突き当たり、それにより前記第2のピストン(9)を一緒にスライドさせることを特徴とする、請求項1に記載の電気液圧式のブレーキアクチュエータ。
【請求項3】
原動機付車両の1つまたは複数の液圧ホイールブレーキ(14)を操作するためのブレーキ圧を生成するための電気液圧式のブレーキアクチュエータ(1)であって、ブレーキ圧を生成するためのピストン・シリンダ・ユニット(4)と、回転駆動運動をスライドへと変換する、前記ピストン・シリンダ・ユニット(4)のシリンダ(8)の中でピストン(7,9)をスライドさせるための回転・並進・変換伝動装置(6)と、前記回転・並進・変換伝動装置(6)を回転駆動可能である電気モータ(2)とを有し、該回転・並進・変換伝動装置が前記電気モータ(2)の回転駆動運動をスライドに変換して前記ピストン・シリンダ・ユニット(4)の前記シリンダ(8)の中で前記ピストン(7,9)をスライドさせる、そのような電気液圧式のブレーキアクチュエータにおいて、
前記ピストン・シリンダ・ユニット(4)は、2つのピストン(7,9)を有し、これらが圧力発生のために共同でスライドし、圧力上昇のためにこれらのうち一方だけが前記シリンダ(8)の中でさらにスライドする、
ことを特徴とする電気液圧式のブレーキアクチュエータ。
【請求項4】
前記ピストン・シリンダ・ユニット(4)は前記両方のピストン(7,9)のための連行装置(19)を有することを特徴とする、請求項に記載の電気液圧式のブレーキアクチュエータ。
【請求項5】
前記回転・並進・変換伝動装置(6)は前記両方のピストン(7,9)のうちの第1のピストンを前記シリンダ(8)の中でスライドさせ、前記両方のピストン(7,9)のうちの第2のピストンは前記第1のピストン(7)との摩擦接合により前記シリンダ(8)の中で一緒にスライドし、それは前記シリンダ(8)におけるブレーキ圧が前記両方のピストン(7,9)の間の摩擦を克服する程度に高くなるまでであり、または前記第2のピストン(9)がピストンストッパ(24)に突き当たるまでであることを特徴とする、請求項に記載の電気液圧式のブレーキアクチュエータ。
【請求項6】
前記ピストン・シリンダ・ユニット(4)は、一方の側で前記ピストン(7,9)が生成するブレーキ圧で付勢され、前記回転・並進・変換伝動装置(6)によりスライドし、他方の側で第2のブレーキ回路(II)のブレーキ圧を生成する浮動ピストン(25)を前記第2のブレーキ回路(II)での圧力生成のために有することを特徴とする、請求項1または3に記載の電気液圧式のブレーキアクチュエータ。
【請求項7】
前記ピストン・シリンダ・ユニット(4)はブレーキパッド摩耗の補償のためのブレーキ液備蓄容器(21)を有することを特徴とする、請求項1または3に記載の電気液圧式のブレーキアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブルの構成要件を有する、1つまたは複数の液圧ホイールブレーキを操作するためのブレーキ圧を生成するための電気液圧式のブレーキアクチュエータに関する。ブレーキアクチュエータは、原動機付車両(オートバイや自動車)のパワーブレーキングのために意図されるが、1つまたは複数の液圧ブレーキを有するこれ以外の車両にも同じく適用可能である。冗長性のために、本発明に基づく2つのブレーキアクチュエータが設けられていてよく、原動機付車両またはその他の車両のホイールブレーキの一部がこれらにそれぞれ接続される。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電気モータと、電気モータにより駆動可能である、電気モータの回転駆動運動をスライドに変換するスクリュードライブと、ピストン・シリンダ・ユニットとを有し、そのピストンがシリンダの中で液圧の発生のためにスクリュードライブによりスライド可能である電気液圧式のブレーキアクチュエータを有する、原動機付車両のための液圧ホイールブレーキを開示している。ピストン・シリンダ・ユニットのシリンダに、電磁弁を介在させたうえで液圧ホイールブレーキが接続される。各々の車両ホイールについて、このような電気液圧式のブレーキアクチュエータを有するホイールブレーキが設けられていてよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第4445975A1号明細書
【発明の概要】
【0004】
請求項1の構成要件を有する本発明による電気液圧式のブレーキアクチュエータは、ピストン・シリンダ・ユニットと、回転・並進・変換伝動装置と、電気モータとを有する。回転・並進・変換伝動装置は電気モータにより回転駆動可能であり、電気モータの回転駆動運動をスライドに変換し、これがピストンをピストン・シリンダ・ユニットのシリンダの中でスライドさせる。逆に、シリンダをピストンの上でスライドさせることもできる。
【0005】
回転・並進・変換伝動装置はスクリュードライブ、たとえばスピンドルドライブやボールねじドライブを有することができる。たとえばカムドライブ、ラックドライブ、クランクドライブ、カム伝動装置なども可能である。この列挙は例示であり、完結したものではない。電気モータと回転・並進・変換伝動装置には、機械式の減速伝動装置、特に歯車伝動装置と、たとえば遊星歯車装置が間に介在していてよい。回転・並進・変換伝動装置および場合により間に介在する減速伝動装置を有する電気モータは、電気機械式のアクチュエータとして把握することもできる。
【0006】
シリンダの中でのピストンのスライドは、ピストン・シリンダ・ユニットの操作として把握することもでき、シリンダで、およびホイールブレーキを操作する、シリンダに接続された1つまたは複数の液圧ホイールブレーキで、ブレーキ圧を生成する。
【0007】
圧力生成のためにシリンダの中でピストンがスライドしている間に、本発明による電気液圧式のブレーキアクチュエータのピストン・シリンダ・ユニットが、圧力生成をするピストン面を縮小させていく。圧力生成をするピストン面とは、ブレーキ液で付勢され、圧力生成のためにピストンがスライドするときにシリンダの中の容積を縮小させ、それによってブレーキ圧が生成されるピストンの面である。ピストンの圧力生成をする複数のピストン面も考えられる。圧力生成をするピストン面は、スライド中に連続的に、または1つもしくは複数の段階で縮小していくことができる。圧力生成をするピストン面の縮小により、ピストンのスライドのために必要なスライド力が減少する。本発明の利点は、シリンダの中でのピストンのスライドの開始時には、圧力生成をする比較的大きいピストン面が1回のスライド運動ごとに多くのブレーキ液容積をシリンダから押し除け、それにより1つまたは複数の接続された液圧ホイールブレーキが迅速に操作されて、ブレーキ力を迅速に生成することにある。圧力生成をするピストン面が縮小していくことで、上述したように、ピストンをさらにスライドさせてブレーキ圧を上昇させるために必要なスライド力が減少していく。
【0008】
従属請求項は、請求項1に記載されている発明の好ましい実施形態と発展例を対象とする。
【0009】
本発明による電気液圧式のブレーキアクチュエータのピストン・シリンダ・ユニットは、それぞれ異なる大きさの圧力生成をするピストン面を備えた2つまたはそれ以上のピストンを有することもでき、これらのうち、まず最初に圧力生成のために比較的大きい、またはもっとも大きい、圧力生成をするピストン面を備えたピストンがシリンダの中でスライドする。次いで、圧力生成をする比較的小さいピストン面を備えたピストンが圧力生成のためにシリンダの中でスライドする。
【0010】
さらに別の選択肢は、まず最初に圧力生成のために2つあるいはそれ以上のピストンが共同で、次いで圧力上昇のために少数のピストンないし1つだけのピストンが、シリンダの中でスライドすることにある。これらのピストンは等しい大きさの、または異なる大きさの圧力生成をするピストン面を有することができる。
【0011】
次に、図面に示されている実施形態を参照しながら本発明について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に基づく電気液圧式のブレーキアクチュエータの配線図である。
図2】本発明に基づく電気液圧式のブレーキアクチュエータの配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示す本発明に基づく電気液圧式のブレーキアクチュエータ1は、電気モータ2と、スピンドルドライブ3と、ピストン・シリンダ・ユニット4とを有している。図示および説明している本発明の両方の実施形態では、電気モータ2とスピンドルドライブ3の間に機械式の減速伝動装置5が配置されているが、ただしこれは本発明にとって強制的なものではない。減速伝動装置5は特に歯車伝動装置であり、たとえば遊星歯車伝動装置である。電気モータ2により、−存在している限りにおいて−減速伝動装置5を介して、スピンドルドライブ3を回転駆動可能である。
図示および説明している本発明の両方の実施形態では、スピンドルドライブ3はボールねじドライブである。これ以外のスピンドルドライブ3も可能である。一般にスピンドルドライブ3は、電気モータ2ないし減速伝動装置5の回転駆動運動を、ピストン・シリンダ・ユニット4のシリンダ8の中でピストン7をスライドさせるスライドへと変換する回転・並進・変換伝動装置6として把握することができる。スピンドルドライブ3に代えて、たとえばカムドライブ、クランク機構、カム伝動装置、ラック伝動装置(図示せず)なども可能である。この列挙は例示であり、完結したものではない。
【0014】
図1では、ピストン・シリンダ・ユニット4は2つのピストン7,9を有していて、これらのうち第1のピストン7は、スピンドルドライブ3によってシリンダ8の中でスライド可能な中空ピストン10である。第2のピストン9も、第1のピストン7の中でスライド可能な中空ピストンである。第1のピストン7と第2のピストン9は、両方のピストン7,9の相互のスライドによって大きさを変更可能である容積を包囲する。第2のピストン9の方向へ第1のピストン7がスライドすることで、中空ピストン10として製作されている第1のピストン7の中の容積が縮小されて、ブレーキ液が第1のピストン7から第2のピストン9のピストン底面にある中央穴11を通して、同じく中空ピストンとして製作されている第2のピストン9の中に押し除けられる。
【0015】
第2のピストン9は、ピストン・シリンダ・ユニット4のシリンダ8の中に固定的に配置された固定ピストン12の上でスライド可能であり、それにより、中空ピストンとして製作されている第2のピストン9の中の容積を変更可能である。固定ピストン12の上で第2のピストン9がスライドすることで、第2のピストン9の容積が縮小されていき、ブレーキ液が第2のピストン9から固定ピストン12の中央穴13を通して、ブレーキホース15によりピストン・シリンダ・ユニット4のシリンダ8に接続された液圧ホイールブレーキ14の中へ押し除けられる。複数のホイールブレーキ14がピストン・シリンダ・ユニット4に接続されていてもよい(図示せず)。
【0016】
ピストンばね16がシリンダ8の中で第2のピストン9を支持している。
【0017】
ホイールブレーキ14を操作するために、電気モータ2により減速伝動装置5を介して、および回転・並進・変換伝動装置6を形成するスピンドルドライブ3を介して、第1のピストン7がピストン・シリンダ・ユニット4のシリンダ8の中で第2のピストン9の上をスライドし、このときピストンばね16が第2のピストン9を当初は第1のピストン7と一緒にスライドしないように保つ。第2のピストン9の上で第1のピストン7がスライドすることで、中空ピストン10として製作されている第1のピストン7の中の容積が縮小していき、その結果、ブレーキ液が第1のピストン7から、同じく中空ピストンとして製作された第2のピストン9のピストン底面にある中央穴11を通して押し除けられる。それにより、ピストン・シリンダ・ユニット4のシリンダ8ないし両方のピストン7,9で、およびピストン・シリンダ・ユニット4に接続されたホイールブレーキ14で、ブレーキ圧が生成されてホイールブレーキ14が操作される。
【0018】
第2のピストン9を一緒にスライドしないように支持するピストンばね16のばね力をブレーキ圧が克服すると、または第1のピストン7が第2のピストン9に突き当たると、ただちに第2のピストン9が第1のピストン7とともに固定ピストン12の上でスライドし、その結果、同じく中空ピストンとして製作されている第2のピストン9の中の容積が縮小していき、ブレーキ液がホールブレーキ14の中へと押し除けられる。第1のピストン7が第2のピストン9に突き当たると、両方のピストン7,9がもはや相互にではなく一緒にスライドするようになり、その結果、第1のピストン7の中の容積は変化しなくなり、第1のピストン7からブレーキ液が押し除けられることはなくなる。ブレーキ圧は、固定ピストン12の上での第2のピストン9のスライドによってのみ高められるが、その圧力生成をするピストン面17は、第1のピストン7の圧力生成をするピストン面18よりも小さい。本発明による電気液圧式のブレーキアクチュエータ1のピストン・シリンダ・ユニット4の中空ピストンとして製作されている両方のピストン7,9の圧力生成をするピストン面17,18は、両方のピストン7,9のピストン底面の径方向の内面である。第2のピストン9の圧力生成をする小さいピストン面18に基づき、シリンダ8の中での両方のピストン7,9のスライドのために必要なスライド力は、第1のピストン7が第2のピストン9に当接して両方のピストン7,9が互いに、かつ相互のスライドなしに、かつそれに伴って第1のピストン7の中の容積の変化なしにスライドするときには小さくなっている。それにより、最初に第2のピストン9の上で第1のピストン7がスライドすることによってブレーキ圧が生成された後には、圧力上昇のために両方のピストン7,9をスライドさせるためのスライド力が小さくなる。このようにして、ピストン・シリンダ・ユニット4のシリンダ8の中でピストン7,9がスライドするとき、両方のピストン7,9ないしはピストン・シリンダ・ユニット4の圧力生成をするピストン面17,18が圧力発生中に縮小する。当初は第1のピストン7が大きなブレーキ液容積を押し除け、それによってホイールブレーキ14が迅速に緊締されて迅速にブレーキ圧が生成される。これに続いて、固定ピストン12の上での第2のピストン9のスライドが、ブレーキ圧を低いスライド力で上昇させていく。
【0019】
第2のピストン9に突き当たり、第2のピストン9を第1のピストン7とともにスライドさせる第1のピストン7のピストン底面は、一般的に連行装置19として把握することもできる。これ以外の連行装置、たとえば第1のピストン7で内方に向くリブ、ラグ、環状段部、またはピストン底面から屹立するピンなども可能であり、これらによって、第1のピストンが第2のピストン9に突き当たったとき、第1のピストン7の中の容積がゼロまで縮小するのではなくなる(図示せず)。
【0020】
逆止め弁20が中に配置された、固定ピストン12にある軸平行の穴を通して、ブレーキ液備蓄容器21が第2のピストン9の中の容積と連通している。逆止め弁20はブレーキ液備蓄容器21から第2のピストン9の中へと貫流可能であり、それによってホイールブレーキ14のブレーキパッド摩耗が行われる。
【0021】
図2についての以下の説明では、図1と一致する部材は図1と同じ符号で表されている。図2に示す本発明に基づく電気液圧式のブレーキアクチュエータ1は、中実ピストンとして製作された第1のピストン7を取り囲む、第2のピストン9としてのリングピストン22を有している。図1と同じく、第1のピストン7は電気モータ2により、本発明にとって強制的ではない機械式の減速伝動装置5を介して、および回転・並進・変換伝動装置6としてのスピンドルドライブ3を介して、ピストン・シリンダ・ユニット4のシリンダ8の中でスライド可能である。両方のピストン7,9の間の摩擦により、リングピストンとして製作された第2のピストン9も第1のピストン7とともにスライドし、その結果、シリンダ8におけるブレーキ圧は当初、両方のピストン7,9によって共同で生成される。両方のピストン7,9の圧力生成をするピストン面17,18が大きなブレーキ液量を押し除けて、ピストン・シリンダ・ユニット4のシリンダ8に接続されている液圧ホイールブレーキ14でブレーキ圧の迅速な生成を惹起する。それにより、ホイールブレーキ14が迅速に緊締されて操作される。
【0022】
図2ではシリンダ8は環状段部23を有していて、そこでその直径を第2のピストン9の外径から第1のピストン7の直径へと縮小させる。一般的にはピストンストッパ24として把握することもできる環状段部23に第2のピストン9が突き当たると、第2のピストンはそれ以上はスライドせず、その後は第1のピストン7だけが直径段差のあるシリンダ8の小径部の区域でスライドする。それにより、シリンダ8でブレーキ圧を上昇させるために圧力生成をするピストン面が小さくなり、すなわち、その後には第1のピストン7の圧力生成をするピストン面17だけとなる。それにより、本発明による電気液圧式のブレーキアクチュエータ1のピストン・シリンダ・ユニット4のシリンダ8で、およびこれに接続されたホイールブレーキ14で、ブレーキ圧を生成するために第1のピストン7をスライドさせるためのスライド力は、両方のピストン7,9が一緒にスライドするときよりも低くなる。図2に示す本発明の実施形態でも、シリンダ8の中でのピストン7,9のスライド中に圧力生成をするピストン面17,18が圧力発生中に縮小される。
【0023】
第1のピストン7と第2のピストン9を一緒にスライドさせるための連行装置19は、両方のピストン7,9の間の摩擦接合によって形成される。
【0024】
シリンダ8の方向に貫流可能な逆止め弁20により、シリンダ8は、ブレーキパッド摩耗を補償するためのブレーキ液備蓄容器21と連通している。
【0025】
本発明による図2のブレーキアクチュエータ1のピストン・シリンダ・ユニット4のシリンダ8の小径部を有する区域には、第1および第2のピストン7,9のほうを向く側で第1および第2のピストン7,9が生成するブレーキ圧による付勢を受ける浮動ピストン25が配置されている。第1および第2のピストン7,9と反対を向くほうの浮動ピストン25の側は、第1および第2のピストン7,9と反対を向くほうの浮動ピストン25の側に対するブレーキ圧をシリンダ8の中で生成し、そこには別の液圧ホイールブレーキ14が接続されている。それにより図2の電気液圧式のブレーキアクチュエータ1のピストン・シリンダ・ユニット4は、筋肉操作式または補助力操作式の従来のマスタブレーキシリンダから知られているように、2つの液圧ホイールブレーキ14を互いに別々に液圧式に操作する。シリンダ8には、浮動ピストン25の両側にそれぞれ1つを超える液圧ホイールブレーキ14が接続されていてよい(図示せず)。第1および第2のピストン7,9と反対を向くほうの浮動ピストン25の側のシリンダ8、ならびにそこに接続されているホイールブレーキ14は、第2のブレーキ回路IIとして把握することもできる。
【0026】
各図面に示すブレーキ液備蓄容器21は本発明にとって強制的ではなく、ブレーキアクチュエータ1はブレーキ液備蓄容器21のない閉じた系としても施工可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 電気液圧式のブレーキアクチュエータ
2 電気モータ
4 ピストン・シリンダ・ユニット
6 回転・並進・変換伝動装置
7 第1のピストン
8 シリンダ
9 第2のピストン
10 中空ピストン
14 液圧ホイールブレーキ
17,18 圧力生成をするピストン面
19 連行装置
21 ブレーキ液備蓄容器
24 ピストンストッパ
25 浮動ピストン
II 第2のブレーキ回路

図1
図2