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特許6987239バックアップピンセット及びバックアップピン自動交換システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987239
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】バックアップピンセット及びバックアップピン自動交換システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
   H05K13/04 Q
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-522535(P2020-522535)
(86)(22)【出願日】2018年6月1日
(86)【国際出願番号】JP2018021134
(87)【国際公開番号】WO2019229968
(87)【国際公開日】20191205
【審査請求日】2020年8月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100098420
【弁理士】
【氏名又は名称】加古 宗男
(72)【発明者】
【氏名】神田 知久
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/040755(WO,A1)
【文献】 特開2001−111296(JP,A)
【文献】 特開2004−228249(JP,A)
【文献】 特開平04−322500(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/135869(WO,A1)
【文献】 特開2011−233736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/30,13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装機の部品実装ステーションで部品を実装する回路基板を下方から支えるバックアップピンセットにおいて、
前記バックアップピンセットは、硬質材料で形成された硬質のバックアップピンと、前記硬質のバックアップピンと交換可能に構成された軟質のバックアップピンを含み、
前記軟質のバックアップピンには、軟質弾性材料で形成されて前記回路基板を下方から支えるソフトピン部と、前記部品実装機の実装ヘッドに取り付けられた係合保持具が昇降及び回動動作によって係合保持及び係合解除できるバヨネット式の係合ピン部とが並設され、
前記軟質のバックアップピンの前記係合ピン部は、前記硬質のバックアップピンのうちの前記係合保持具に係合保持されるバヨネット式の係合部分と共通の形状に形成されている、バックアップピンセット
【請求項2】
前記係合ピン部には、画像処理により前記硬質のバックアップピンと識別するための識別部が設けられている、請求項1に記載のバックアップピンセット
【請求項3】
前記識別部は、前記係合ピン部の軸心から偏心した位置に設けられ、画像処理により前記識別部の偏心方向を判定することで前記係合ピン部に対して前記ソフトピン部が位置する方角を判定できるように構成されている、請求項2に記載のバックアップピンセット
【請求項4】
前記識別部は、向きを特定可能な形状に形成され、画像処理により前記識別部の向きを判定することで前記係合ピン部に対して前記ソフトピン部が位置する方角を判定できるように構成されている、請求項2に記載のバックアップピンセット
【請求項5】
前記ソフトピン部及び/又は前記係合ピン部は、交換可能に設けられている、請求項1乃至4のいずれかに記載のバックアップピンセット
【請求項6】
前記部品実装ステーションに、前記軟質のバックアップピンと前記硬質バックアップピンを載せる磁性材料製のバックアッププレートが設けられた部品実装機に適用され、
前記軟質のバックアップピンの下部と前記硬質バックアップピンの下部には、前記バックアッププレート上に当該バックアップピンを磁力により保持する磁石が設けられている、請求項1乃至5のいずれかに記載のバックアップピンセット
【請求項7】
前記請求項1に記載のバックアップピンセットの前記軟質のバックアップピンと前記硬質のバックアップピンのどちらも保管できるバックアップピン保管部と、
前記軟質のバックアップピンと前記硬質のバックアップピンのどちらも載置できるバックアッププレートと、
前記軟質のバックアップピンの前記係合ピン部と前記硬質のバックアップピンの前記係合部分のどちらかを視野に収めて上方から撮像するカメラと、
前記部品実装機の実装ヘッドに取り付けられた係合保持具の上下左右方向の移動、昇降及び回動動作と前記カメラの撮像動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記バックアップピン保管部と前記バックアッププレートとの間で前記軟質のバックアップピン又は前記硬質のバックアップピンを載せ替えたり、前記バックアッププレート上の前記軟質のバックアップピン又は前記硬質のバックアップピンの配置を変更する際に、前記係合保持具で係合保持しようとするバックアップピンの前記係合ピン部又は前記係合部分を上方から前記カメラで撮像した画像を処理して当該バックアップピンの前記係合ピン部又は前記係合部分の位置を認識してその位置の上方に前記係合保持具を位置決めして下降及び回動動作させることで当該バックアップピンの前記係合ピン部又は前記係合部分に前記係合保持具を係合させる、バックアップピン自動交換システム。
【請求項8】
前記軟質のバックアップピンの前記係合ピン部には、画像処理により前記硬質のバックアップピンと識別するための識別部が設けられ、
前記制御装置は、前記カメラで撮像した画像を処理して前記識別部の有無を判定することで前記軟質のバックアップピンと前記硬質のバックアップピンとを識別する、請求項7に記載のバックアップピン自動交換システム。
【請求項9】
前記識別部は、前記係合ピン部の軸心から偏心した位置に設けられ、
前記カメラは、前記係合ピン部を撮像する際に視野から前記ソフトピン部が外れる視野サイズであり、
前記制御装置は、前記カメラで撮像した画像を処理して前記識別部を認識した場合に、前記識別部の偏心方向を判定することで前記ソフトピン部が位置する方角を判定して前記ソフトピン部の位置を推定する、請求項8に記載のバックアップピン自動交換システム。
【請求項10】
前記識別部は、向きを特定可能な形状に形成され、
前記カメラは、前記係合ピン部を撮像する際に視野から前記ソフトピン部が外れる視野サイズであり、
前記制御装置は、前記カメラで撮像した画像を処理して前記識別部を認識した場合に、前記識別部の向きを判定することで前記係合ピン部に対して前記ソフトピン部が位置する方角を判定して前記ソフトピン部の位置を推定する、請求項8に記載のバックアップピン自動交換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品実装機の部品実装ステーションで部品を実装する回路基板を下方から支えるバックアップピンセット及びバックアップピン自動交換システムに関する技術を開示したものである。
【背景技術】
【0002】
近年の部品実装基板は薄型化が進み、曲りやすくなっているため、部品実装機で回路基板に部品を実装する場合は、回路基板の下方に位置するバックアッププレート上に複数のバックアップピンを配置して、回路基板を下方から複数のバックアップピンで支えて回路基板の曲りを防ぐようにしている。また、近年の高密度実装化・小型化の要求を満たすために、回路基板の両面に部品を実装した両面実装基板の需要も多い。この両面実装基板を部品実装機で生産する場合は、まず基板の片面に部品を実装した後、当該基板を裏返して部品実装機に再投入して基板の残りの片面に部品を実装するようにしている。
【0003】
基板の残りの片面に部品を実装する際に、基板を下方から支えるバックアップピンが基板下面の先付け部品に当たると、その先付け部品が損傷したり、基板が押し上げられる可能性があるため、特許文献1(国際公開WO2015/040755号公報)に記載されているように、バックアップピンをウレタン等の軟質弾性材料で形成して、ピン先端部が先付け部品に当たったときに、弾性変形して先付け部品の損傷や基板の押し上げを防ぐようにしている。一般に、このような弾性変形可能な軟質のバックアップピンは、「ソフトピン」と呼ばれ、弾性変形しない硬質のバックアップピンは、「ハードピン」と呼ばれている。
【0004】
また、生産する部品実装基板の種類に応じてバックアッププレート上のバックアップピンを交換したり、バックアップピンの配置を変更する作業を自動化するために、特許文献2(特開2011−14626号公報)に記載されているように、部品実装機の実装ヘッドにバックアップピン吸着用の吸着ノズルを取り付けて、その吸着ノズルでバックアップピンを吸着してバックアップピンの交換や配置変更を行うようにしたものがある。
【0005】
或は、特許文献1や特許文献3(特許第6037412号公報)に記載されているように、部品実装機の実装ヘッドにチャック装置を取り付けて、このチャック装置のチャック爪でバックアップピンを挟持してバックアップピンの交換や配置変更を行うようにしたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO2015/040755号公報
【特許文献2】特開2011−14626号公報
【特許文献3】特許第6037412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、バックアップピンは、回路基板に実装する部品と比べて大きく且つ重いため、上記特許文献2のように、実装ヘッドに取り付けた吸着ノズルでバックアップピンの交換や配置変更を行う場合は、バックアップピンに対する吸着ノズルの吸着力が不足して、吸着ノズルに吸着したバックアップピンが位置ずれしたり、脱落する可能性がある。
【0008】
一方、上記特許文献1,3のように、実装ヘッドに取り付けたチャック装置でバックアップピンの交換や配置変更を行う場合は、吸着ノズルよりもバックアップピンを安定して保持できて、チャック装置で挟持したバックアップピンの位置ずれや脱落を防止する効果を期待できるが、チャック装置は、バックアップピンを挟むチャック爪を開閉動作させる機構が必要となるため、バックアップピンを保持する装置が大型化・高コスト化する欠点がある。しかも、開閉するチャック爪が隣接するバックアップピンと干渉してバックアップピンの配置がずれたり、バックアップピンが損傷する可能性もある。
【0009】
また、生産する部品実装基板の種類に応じて軟質のバックアップピン(ソフトピン)と硬質のバックアップピン(ハードピン)のどちらかを選択して使用する場合は、上記特許文献1,3のように、チャック装置を使用してバックアップピンの交換や配置変更を行うことが考えられるが、この場合は、上述した装置の大型化・高コスト化の問題や、開閉するチャック爪が隣接するバックアップピンと干渉する可能性があるという問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、部品実装機の部品実装ステーションで部品を実装する回路基板を下方から支えるバックアップピンセットにおいて、前記バックアップピンセットは、硬質材料で形成された硬質のバックアップピンと、前記硬質のバックアップピンと交換可能に構成された軟質のバックアップピンを含み、前記軟質のバックアップピンには、軟質弾性材料で形成されて前記回路基板を下方から支えるソフトピン部と、前記部品実装機の実装ヘッドに取り付けられた係合保持具が昇降及び回動動作によって係合保持及び係合解除できるバヨネット式の係合ピン部とが並設され、前記係合ピン部は、前記硬質のバックアップピンのうちの前記係合保持具に係合保持されるバヨネット式の係合部分と共通の形状に形成されている。
【0011】
この構成では、ソフトピン部と係合ピン部とが並設された軟質のバックアップピンの係合ピン部を、部品実装機の実装ヘッドに取り付けられた係合保持具で係合保持する際に、係合保持具の昇降及び回動動作によって係合ピン部を係合保持及び係合解除するバヨネット式の係合であるため、係合保持具自体に開閉機構等の可動部分が不要で、従来のチャック装置と比較してバックアップピンを保持する構成が簡単で小型化できると共に、従来の吸着ノズルの負圧吸引力でバックアップピンを保持する構成と比較して、バックアップピンを係合により機械的に安定して確実に保持できる。しかも、軟質のバックアップピンの係合ピン部は、硬質のバックアップピンのうちの係合保持具に係合保持される係合部分と共通の形状に形成されているため、軟質のバックアップピンと硬質のバックアップピンのどちらを係合保持する場合でも、同一の係合保持具を使用して係合保持でき、係合保持具を取り替える必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は実施例1の軟質のバックアップピンを示す斜視図である。
図2図2は軟質のバックアップピンを上方から見た平面図である。
図3図3は回路基板を下方から軟質のバックアップのソフトピン部で支える状態を示す正面図である。
図4図4は硬質のバックアップピンを示す斜視図である。
図5図5は吸着ノズルを示す斜視図である。
図6図6は係合保持具を示す斜視図である。
図7図7は係合保持具が軟質のバックアップピンの係合ピン部を係合保持した状態を示す側面図である。
図8図8は部品実装機の部品実装ステーションを示す斜視図である。
図9図9は部品実装機の制御系の構成を示すブロック図である。
図10図10は実施例2の軟質のバックアップピンを上方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本明細書で開示する2つの実施例1、2を説明する。
【実施例1】
【0014】
実施例1を図1乃至図9に基づいて説明する。
図1乃至図4に示す2種類のバックアップピン10,20は、ピン先端部(ソフトピン部12)が弾性変形可能な軟質のバックアップピン10と、弾性変形しない硬質のバックアップピン20であり、生産する部品実装基板の種類に応じてどちらかを選択して使用するようになっている。
【0015】
まず、ピン先端部(ソフトピン部12)が弾性変形可能な軟質のバックアップピン10の構成を図1乃至図3を用いて説明する。
【0016】
軟質のバックアップピン10は、下部側のベース部11と、該ベース部11上に並設されたソフトピン部12及び係合ピン部13とを備えた構成となっている。ベース部11は、金属、プラスチック等の硬質材料で段付き支柱状に形成され、その下部には、後述するバックアッププレート46上に該バックアップピン10を磁力により保持する磁石14が設けられている。
【0017】
ベース部11の上部側には、ソフトピン部12と係合ピン部13を上向きに支持するホルダ部15が設けられている。このホルダ部15は、ベース部11に一体に形成しても良いし、別体に形成したものをベース部11の上端部に、例えばねじ止め、かしめ付け、接着、溶着、圧着等で固定したものであっても良い。
【0018】
係合ピン部13は、金属、プラスチック等の硬質材料でホルダ部15に一体に形成しても良いし、別体に形成したものをホルダ部15の上面側に、例えばねじ止め、かしめ付け、接着、溶着、圧着等で固定したものであっても良い。係合ピン部13は、硬質のバックアップピン20のうちの後述する係合保持具30に係合保持される係合部分25と共通の形状に形成されている。本実施例1では、係合ピン部13の外周部には、図2に示すように、複数個(例えば3個)の係合突起16が同一円周上に等ピッチで形成されている。
【0019】
尚、係合ピン部13をホルダ部15と別体に形成する場合は、ホルダ部15に係合ピン部13を交換可能に取り付ける構成とし、硬質のバックアップピン20の係合部分25と共通の形状のものに交換できるようにしても良い。或は、係合ピン部13の軸心回りの角度(係合突起16の位置)を調整できるようにしても良い。
【0020】
一方、ソフトピン部12は、ウレタン、ゴム等の軟質弾性材料で形成され、その上端部が略球面状(R形状)に形成されている。ソフトピン部12の上端の高さは、係合ピン部13の上端の高さよりも高くなっており、図3に示すように、ソフトピン部12で回路基板35を下方から支えたときに、係合ピン部13の上端が回路基板35に接触しないように設定されている。本実施例1では、ホルダ部15に形成された取付穴17にソフトピン部12の下端部が嵌合されてねじ18により固定され、ねじ18を緩めることでソフトピン部12を交換可能となっている。或は、ねじ18を緩めることでソフトピン部12の上端の高さを調整できるようにしても良い。
【0021】
図2に示すように、係合ピン部13の上端面には、画像処理により硬質のバックアップピン20と識別するための識別部19が設けられている。この識別部19は、係合ピン部13の軸心から偏心した位置に設けられ、画像処理により識別部19の偏心方向を判定することで係合ピン部13に対してソフトピン部12が位置する方角を判定できるように構成されている。図2の例では、識別部19の偏心方向が下方向のときにソフトピン部12が係合ピン部13の右方向に位置するようになっているが、これに限定されず、例えば、識別部19の偏心方向が右方向のときにソフトピン部12が係合ピン部13の右方向に位置するようにしても良い。識別部19は、係合ピン部13の上端面と区別して画像認識可能なものであれば、形状、色、材質等はどの様なものであっても良い。
【0022】
本実施例1では、係合ピン部13の下部が下方に向かって拡径するテーパ状に形成され、そのテーパ状部分13aの下端の円形部分を画像処理によりホルダ部15と区別して画像認識できるようになっている。このテーパ状部分13aをホルダ部15と区別して画像認識しやすい色に着色しても良い。これにより、係合ピン部13のテーパ状部分13aが係合ピン部13の位置を画像認識するマークとなっている。尚、係合ピン部13の位置を画像認識するマークは、係合ピン部13のテーパ状部分13aに限定されず、例えば、係合ピン部13の上端面全体又はその中心部を他の部分と区別して画像認識可能な色に着色して、それを係合ピン部13の位置を画像認識するマークとしても良い。
【0023】
次に、弾性変形しない硬質のバックアップピン20の構成を図4を用いて説明する。
硬質のバックアップピン20は、下部側のベース部21と、該ベース部21上に上向きに設けられたハードピン部22とを備えた構成となっている。ベース部21とハードピン部22は、金属、プラスチック等の硬質材料で一体に形成され、ベース部21の下部には、後述するバックアッププレート46上に該バックアップピン20を磁力により保持する磁石23が設けられている。ハードピン部22の上部側は、軟質のバックアップピン10の係合ピン部13と共通の形状に形成され、その外周部に係合保持具30に係合保持される複数個の係合突起24が等ピッチで形成された係合部分25となっている。
【0024】
次に、図6及び図7を用いて係合保持具30の構成を説明する。
係合保持具30の上部側は、部品を吸着する吸着ノズル37(図5参照)の上部側と共通の形状に形成され、部品実装機の実装ヘッド(図示せず)に係合保持具30が吸着ノズル37と交換可能に保持されるようになっている。
【0025】
係合保持具30の下部側の部分31は、軟質のバックアップピン10の係合ピン部13(又は硬質のバックアップピン20の係合部分25)を挿入する円筒状に形成され、その円筒状部31には、軟質のバックアップピン10の複数の係合突起16(又は硬質のバックアップピン20の複数の係合突起16)をバヨネット式の係合で保持する複数の係合溝32が形成されている。各係合溝32は、全体として略逆J字状をなすように形成され、円筒状部31の下端から上方に延びる縦溝部32aと、その縦溝部32aの上部側から横方向に延びる横溝部32bとを有し、その横溝部32bの先端側には、下方に窪む係合凹部32cが形成されている。
【0026】
部品実装機の実装ヘッドに保持した係合保持具30で軟質のバックアップピン10(又は硬質のバックアップピン20)を係合保持する場合は、まず、実装ヘッドと一体的に移動するマーク撮像用のカメラ54(図9参照)で係合保持具30を軟質のバックアップピン10の係合ピン部13(又は硬質のバックアップピン20の係合部分25)を上方から撮像して、その画像を処理することで、係合ピン部13(又は係合部分25)の位置と係合突起16の向き(又は係合部分25の向き)を認識し、その認識結果に基づいて係合保持具30を係合ピン部13(又は係合部分25)の上方に移動させると共に、係合保持具30を適宜回転させて円筒状部31の各係合溝32の縦溝部32aの位置を係合ピン部13の各係合突起16(又は係合部分25の各係合突起24)の位置に合わせる。
【0027】
その状態で、係合保持具30を下降させて円筒状部31を軟質のバックアップピン10の係合ピン部13(又は硬質のバックアップピン20の係合部分25)に挿入し、その挿入途中から円筒状部31の各係合溝32の縦溝部32aを係合ピン部13の各係合突起16(又は係合部分25の各係合突起24)に差し込んでいく。その途中から、係合保持具30の内部に設けられたばね(図示せず)の押し下げ力が係合ピン部13(又は係合部分25)に作用するようになる。そして、各係合溝32の縦溝部32aの上部まで係合ピン部13の各係合突起16(又は係合部分25の各係合突起24)を差し込んだ時点で、係合保持具30を係合方向に所定角度だけ回転させて円筒状部31の各係合溝32の横溝部32bを係合ピン部13の各係合突起16(又は係合部分25の各係合突起24)に差し込んでいく。
【0028】
その後、係合保持具30を上昇させることで、係合保持具30内部のばね(図示せず)によって係合ピン部13(又は係合部分25)が押し下げられて係合ピン部13の各係合突起16(又は係合部分25の各係合突起24)が各係合溝32の係合凹部32cに嵌まり込んで係合保持された状態となる。この係合を解除する場合は、係合保持具30の昇降及び回転動作を上述した係合動作時とは逆順序で逆方向に行う。以上説明した係合保持具30の昇降及び回動動作は、部品実装機の制御装置51(図9参照)によって制御される。
【0029】
次に、図8を用いて部品実装機の部品実装ステーション41の構成を説明する。部品実装ステーション41は、コンベア42,43で搬入されてきた回路基板35に部品実装機の実装ヘッドで部品を実装する場所である。コンベア42,43は、回路基板35の左右両辺部を載せて搬送するように該回路基板35の搬送方向と平行に配置され、右側のコンベア43を保持するレール45は、位置が固定された基準レールであり、左側のコンベア42を保持するレール44は、回路基板35の幅に応じてその幅方向に移動する可動レールとなっている。
【0030】
部品実装ステーション41には、軟質のバックアップピン10や硬質のバックアップピン20を載せるバックアッププレート46が水平に設けられている。このバックアッププレート46は、鉄等の磁性材料で形成され、軟質のバックアップピン10や硬質のバックアップピン20が磁石14,23によりバックアッププレート46上に吸着保持されるようになっている。バックアッププレート46は、昇降装置47(図9参照)によって昇降するように構成され、搬入されてきた回路基板35をクランプするときにバックアッププレート46が上限位置へ上昇し、回路基板35のクランプを解除するときにバックアッププレート46が下限位置へ下降するようになっている。
【0031】
本実施例1では、バックアッププレート46のサイズが回路基板35のサイズよりも大きく設定され、バックアッププレート46のうちの回路基板35の真下から張り出す部分をバックアップピン保管部として使用し、このバックアップピン保管部に、交換する軟質のバックアップピン10や硬質のバックアップピン20を載せて保管するようになっている。尚、バックアップピン保管部は、バックアッププレート46とは別の場所(例えばコンベア42,43の近傍)に設けても良く、要は、実装ヘッドに保持した係合保持具30が移動可能なエリア内に設ければ良い。
【0032】
部品実装機には、実装ヘッドに保持された吸着ノズル37に吸着した部品をその下面側から撮像する部品撮像用のカメラ53(図9参照)と、回路基板35の基準位置マーク(図示せず)を撮像するマーク撮像用のカメラ54(図9参照)とが設けられている。マーク撮像用のカメラ54は、実装ヘッド移動装置52(図9参照)によって実装ヘッドと一体的に移動し、軟質のバックアップピン10の係合ピン部13や硬質のバックアップピン20の係合部分25を上方から撮像するカメラとしても用いられる。マーク撮像用のカメラ54の視野サイズは、軟質のバックアップピン10の係合ピン部13を撮像する際に視野からソフトピン部12が外れる視野サイズとなっている。
【0033】
図9に示すように、部品実装機の制御装置51には、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置55と、LCD、EL、CRT等の表示装置56等が接続されている。更に、制御装置51には、部品撮像用のカメラ53やマーク撮像用のカメラ54で撮像した画像を処理する画像処理ユニット57が内蔵されている。
【0034】
部品実装機の制御装置51は、1つ又は複数のコンピュータ(CPU)を主体として構成され、部品実装機の各部の動作を制御して回路基板35に部品を実装する動作を制御する。更に、制御装置51は、バックアップピン10又は20の交換、配置変更時に、実装ヘッドに保持した係合保持具30の上下左右方向の移動、昇降及び回動動作とマーク撮像用のカメラ54の撮像動作を制御して、バックアップピン保管部とバックアッププレート46との間で軟質のバックアップピン10又は硬質のバックアップピン20を載せ替えたり、バックアッププレート46上のバックアップピン10又は20の配置を変更する際に、係合保持具30で係合保持しようとするバックアップピン10,20の係合ピン部13又は係合部分25を上方からマーク撮像用のカメラ54で撮像した画像を処理して当該バックアップピン10又は20の係合ピン部13又は係合部分25の位置を認識してその位置の上方に係合保持具30を位置決めして下降及び回動動作させることで当該バックアップピン10又は20の係合ピン部13又は係合部分25に係合保持具30を係合させる動作を制御する。
【0035】
この際、制御装置51は、マーク撮像用のカメラ54で撮像した画像を処理する際に、識別部19の有無を判定することで軟質のバックアップピン10と硬質のバックアップピン20とを識別する。これにより、マーク撮像用のカメラ54で撮像した軟質のバックアップピン10の係合ピン部13と硬質のバックアップピン20の係合部分25とが共通の形状であっても、画像処理で識別部19の有無を判定することで軟質のバックアップピン10と硬質のバックアップピン20とを識別することができる。
【0036】
本実施例1では、回路基板35の基準位置マークを撮像するマーク撮像用のカメラ54を、軟質のバックアップピン10の係合ピン部13を撮像するカメラとしても使用するため、バックアップピン撮像専用のカメラを別途設ける必要がないという利点があるが、一般に、マーク撮像用のカメラ54は、視野が狭く、係合ピン部13とソフトピン部12の両方を同時に視野に収めて撮像することができないため、マーク撮像用のカメラ54で撮像した画像からは係合ピン部13に対してソフトピン部12がどの方角に位置するのか不明である。軟質のバックアップピン10の交換、配置変更時に、隣接する軟質のバックアップピン10間の干渉を避けるためには、係合ピン部13に対してソフトピン部12がどの方角に位置するのかを知る必要がある。
【0037】
そこで、本実施例1では、識別部19を係合ピン部13の軸心から偏心した位置に設け、この識別部19の偏心方向が、係合ピン部13に対してソフトピン部12が位置する方角を定める指標となるようにしている。従って、制御装置51は、マーク撮像用のカメラ54で撮像した画像を処理して識別部19を認識した場合に、その識別部19の偏心方向を判定することでソフトピン部12が位置する方角を判定してソフトピン部12の位置を推定する。これにより、軟質のバックアップピン10の係合ピン部13を撮像した画像にソフトピン部12が写っていなくても、識別部19の偏心方向からソフトピン部12の位置を精度良く推定することができる。つまり、係合ピン部13とソフトピン部12との間の距離は、製品仕様データ等によって既知のデータであるため、係合ピン部13に対してソフトピン部12が位置する方角が分かれば、係合ピン部13の位置を基準にしてソフトピン部12の位置を演算することができる。
【0038】
以上説明した本実施例1では、ソフトピン部12と係合ピン部13とが並設された軟質のバックアップピン10の係合ピン部13を、部品実装機の実装ヘッドに取り付けられた係合保持具30で係合保持する際に、係合保持具30の昇降及び回動動作によって係合ピン部13を係合保持及び係合解除するバヨネット式の係合であるため、係合保持具30自体に開閉機構等の可動部分が不要で、従来のチャック装置と比較してバックアップピン10を保持する構成が簡単で小型化でき、コスト削減にも貢献できると共に、係合動作(昇降及び回動動作)する係合保持具30が隣接するバックアップピン10,20と干渉することを防止できる。しかも、従来の吸着ノズルの負圧吸引力でバックアップピンを保持する構成と比較して、バックアップピン10,20を係合により機械的に安定して確実に保持でき、係合保持具30で保持したバックアップピン10,20の位置ずれや脱落を防止できる。更に、軟質のバックアップピン10の係合ピン部13は、硬質のバックアップピン20の係合部分25と共通の形状に形成されているため、軟質のバックアップピン10と硬質のバックアップピン20のどちらを係合保持する場合でも、同一の係合保持具30を使用して係合保持でき、係合保持具30を取り替える必要がなく、バックアップピン10,20の交換作業を能率良く行うことができる。
【実施例2】
【0039】
次に、図10を用いて実施例2を説明する。但し、上記実施例1と実質的に同じ部分については同一符号を付して説明を省略又は簡略化し、主として異なる部分について説明する。
【0040】
上記実施例1では、識別部19を係合ピン部13の軸心から偏心した位置に設け、識別部19の偏心方向を判定することで係合ピン部13に対してソフトピン部12が位置する方角を判定できるようにしたが、本実施例2では、図10に示すように、係合ピン部13の上端面に、識別部60の向きを特定可能な形状(例えば矢印、楔形等)に形成し、制御装置51は、マーク撮像用のカメラ54で撮像した画像を処理して識別部60を認識した場合に、その識別部60の向きを判定することで係合ピン部13に対してソフトピン部12が位置する方角を判定してソフトピン部12の位置を推定するようにしている。
以上説明した本実施例2でも、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0041】
本発明は、上記実施例1,2に限定されず、例えば、軟質のバックアップピン10の形状を変更したり、係合保持具30の構成を変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
10…軟質のバックアップピン、11…ベース部、12…ソフトピン部、13…係合ピン部、14…磁石、15…ホルダ部、16…係合突起、19…識別部、20…硬質のバックアップピン、24…係合突起、25…係合部分、30…係合保持具、32…係合溝、35…回路基板、37…吸着ノズル、41…部品実装ステーション、42,43…コンベア、46…バックアッププレート、51…制御装置、52…実装ヘッド移動装置、53…部品撮像用のカメラ、57…画像処理ユニット、60…識別部
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