特許第6987248号(P6987248)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987248
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】電動車両及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/16 20190101AFI20211213BHJP
   B60L 53/35 20190101ALI20211213BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20211213BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20211213BHJP
   E04H 6/00 20060101ALI20211213BHJP
   E04H 6/02 20060101ALI20211213BHJP
   E04H 6/10 20060101ALI20211213BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20211213BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20211213BHJP
   G16Y 20/30 20200101ALI20211213BHJP
【FI】
   B60L53/16
   B60L53/35
   B60L53/66
   E04H6/42 Z
   E04H6/00 C
   E04H6/02 G
   E04H6/10 A
   H02J7/00 P
   H02J7/00 301B
   G16Y10/40
   G16Y20/30
【請求項の数】14
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2020-527396(P2020-527396)
(86)(22)【出願日】2019年6月13日
(86)【国際出願番号】JP2019023574
(87)【国際公開番号】WO2020004069
(87)【国際公開日】20200102
【審査請求日】2020年12月21日
(31)【優先権主張番号】特願2018-121453(P2018-121453)
(32)【優先日】2018年6月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】町田 圭
【審査官】 笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−236204(JP,A)
【文献】 特開2014−223837(JP,A)
【文献】 特開2011−63944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 53/16
B60L 53/35
B60L 53/66
E04H 6/42
E04H 6/00
E04H 6/02
E04H 6/10
H02J 7/00
G16Y 10/40
G16Y 20/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置を有する電動車両であって
前記蓄電装置と車両外部に設けられた受給電装置との電力の授受を可能とする受給電口と、
前記受給電口の蓋部を駆動する蓋部駆動部と、
前記受給電装置からの信号を受信する通信部と
を備え、
前記受給電装置からの信号及び前記蓋部の周辺を監視する監視部による監視結果に応じて前記蓋部駆動部の駆動を制御する、
電動車両。
【請求項2】
前記受給電装置からの信号に応じて、前記蓋部駆動部に、前記受給電口の前記蓋部を閉蓋させる、請求項1に記載の電動車両。
【請求項3】
前記受給電装置からの信号に応じて、前記蓋部駆動部に、前記受給電口の前記蓋部を開蓋させる、請求項1又は2に記載の電動車両。
【請求項4】
前記監視部を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の電動車両。
【請求項5】
前記監視部は、前記受給電装置に設けられ、
前記受給電装置の前記監視部による監視結果を受信して、受信した前記監視結果に応じて前記蓋部駆動部の駆動を制御する、請求項1から3のいずれか一項に記載の電動車両。
【請求項6】
前記蓋部を開蓋させるときに、前記蓋部の周辺に障害物が存在する場合、前記蓋部駆動部による前記蓋部の開蓋を停止させる、請求項からのいずれか一項に記載の電動車両。
【請求項7】
前記障害物が前記受給電装置の受給電コネクタである場合、前記受給電装置に対して、前記受給電コネクタの移動を指示する、請求項に記載の電動車両。
【請求項8】
前記障害物が人物である場合、警告音を出力する、請求項又はに記載の電動車両。
【請求項9】
前記障害物が車両である場合、前記障害物である前記車両に移動指示を送信する、請求項からのいずれか一項に記載の電動車両。
【請求項10】
前記受給電装置は
受給電用のコネクタと、
前記コネクタを駆動させて前記コネクタと前記受給電口との接続を制御する接続制御装置と
を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の電動車両。
【請求項11】
前記接続制御装置は、前記コネクタの接続制御を、前記蓋部が開蓋された後に実施する、請求項10に記載の電動車両。
【請求項12】
受給電口を有する電動車両であって、
前記受給電口と連結するコネクタを横方向及び上下方向に移動させるコネクタ移動部を有する受給電装置に対して、受給電要求を送信する受給電要求送信部と、
前記受給電要求を受信した前記受給電装置によって送信された、前記受給電口の蓋部を開蓋する開蓋指示を受信する開蓋指示受信部と、
前記開蓋指示受信部が前記開蓋指示を受信したことに応じて、前記受給電口の前記蓋部を開蓋する蓋部駆動部と
を備え
前記蓋部の周辺を監視する監視部による監視結果に応じて前記蓋部駆動部の駆動を制御する、
電動車両。
【請求項13】
前記受給電装置から、前記蓋部を閉蓋する閉蓋指示を受信する閉蓋指示受信部
をさらに備え、
前記蓋部駆動部は、前記閉蓋指示受信部が前記閉蓋指示を受信したことに応じて、前記蓋部を閉蓋する、請求項12に記載の電動車両。
【請求項14】
受給電口を有する電動車両
前記受給電口と連結するコネクタを横方向及び上下方向に移動させるコネクタ移動部を有する受給電装置
を備え、
前記受給電装置は、
前記電動車両から受給電要求を受信する受給電要求受信部と、
前記受給電口の位置と前記電動車両の周囲の状況とに基づいて前記電動車両の受給電を実施できないと判定した場合に、前記電動車両に移動指示を送信する移動指示送信部と
を有し、
前記電動車両は、
前記受給電装置に対して、前記受給電要求を送信する受給電要求送信部と、
前記移動指示送信部によって送信された移動指示を受信する移動指示受信部と、
前記移動指示受信部が受信した移動指示に従って前記電動車両を移動させる移動制御部と
有する、
システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
給電コネクタを対象物の位置に応じて移動するシステムが知られていた(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2009−249856号公報
【解決しようとする課題】
【0003】
電気自動車は駐車中に搭載されている2次電池に外部電源を接続して充電を行うことで走行のためのエネルギーを確保している。外部電源との接続のためには充電用のコネクタと車両に設けられた充電口を接続する必要がある。また充電の必要の有無にかかわらず外部電源と接続して電力の受給を行ういわゆるV2G(Vehicle to Grid)という技術も開発されており、その場合も充電用のコネクタと車両に設けられた充電口を接続する必要がある。
【0004】
充電用のコネクタを車両の充電口に接続させることは運転者にとって手間のかかることであり、自動化することが望まれている。通常使用時の充電、V2G等の要求による受給電を行う場合には接続頻度が高くなり、省力化が望まれている。充電パッド等を用いて電力を出し入れするいわゆる非接触充電の技術も開発されているが、充電効率やコストの点で十分な成果が得られていない。
【一般的開示】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、蓄電装置を有する電動車両が提供される。電動車両は、蓄電装置と車両外部に設けられた受給電装置との電力の授受を可能とする受給電口を備えてよい。電動車両は、受給電口の蓋部を駆動する蓋部駆動部を備えてよい。電動車両は、受給電装置からの信号を受信する通信部を備えてよい。電動車両は、受給電装置からの信号に応じて蓋部駆動部の駆動を制御してよい。
【0006】
上記電動車両は、上記受給電装置からの信号に応じて、上記蓋部駆動部に、上記受給電口の上記蓋部を閉蓋させてよい。上記電動車両は、上記受給電装置からの信号に応じて、上記蓋部駆動部に、上記受給電口の上記蓋部を開蓋させてよい。上記電動車両は、上記蓋部の周辺を監視する監視部による監視結果に応じて上記蓋部駆動部の駆動を制御してよい。上記電動車両は、上記監視部を備えてよい。上記監視部は、上記受給電装置に設けられてよく、上記電動車両は、上記受給電装置の上記監視部による監視結果を受信して、受信した上記監視結果に応じて上記蓋部駆動部の駆動を制御してよい。上記受給電装置は、受給電用のコネクタと、上記コネクタを駆動させて上記コネクタと上記受給電口との接続を制御する接続制御装置とを備えてよい。上記接続制御装置は、上記コネクタの接続制御を、上記蓋部が開蓋された後に実施してよい。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、受給電口を有する電動車両が提供される。電動車両は、受給電口と連結するコネクタを横方向及び上下方向に移動させるコネクタ移動部を有する受給電装置に対して、受給電要求を送信する受給電要求送信部を備えてよい。電動車両は、受給電要求を受信した受給電装置によって送信された、受給電口の蓋部を開蓋する開蓋指示を受信する開蓋指示受信部を備えてよい。電動車両は、開蓋指示受信部が開蓋指示を受信したことに応じて、受給電口の前記蓋部を開蓋する蓋部駆動部を備えてよい。電動車両は、受給電装置から、蓋部を閉蓋する閉蓋指示を受信する閉蓋指示受信部をさらに備えてよく、蓋部駆動部は、閉蓋指示受信部が閉蓋指示を受信したことに応じて、蓋部を閉蓋してよい。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、受給電口を有する電動車両が提供される。電動車両は、受給電口と連結するコネクタを横方向及び上下方向に移動させるコネクタ移動部を有する受給電装置に対して、受給電要求を送信する受給電要求送信部を備えてよい。電動車両は、受給電要求を受信した受給電装置によって、受給電口の位置と電動車両の周囲の状況とに基づいて電動車両の受給電を実施できないと判定された場合に、受給電装置によって送信された移動指示を受信する移動指示受信部を備えてよい。電動車両は、移動指示受信部が受信した移動指示に従って電動車両を移動させる移動制御部を備えてよい。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】受給電設備100の一例を概略的に示す。
図2】受給電設備100の一例を概略的に示す。
図3】コネクタ移動部110の一例を概略的に示す。
図4】コネクタ120の旋回エリア130の一例を概略的に示す。
図5】受給電設備100の他の一例を概略的に示す。
図6】受給電設備100の他の一例を概略的に示す。
図7】受給電設備100の他の一例を概略的に示す。
図8】受給電設備100の他の一例を概略的に示す。
図9】受給電設備100の他の一例を概略的に示す。
図10】受給電設備100の他の一例を概略的に示す。
図11】受給電設備100の他の一例を概略的に示す。
図12】受給電設備制御ユニット200の通信環境の一例を概略的に示す。
図13】コネクタ120の接続判断処理710の一例を概略的に示す。
図14】コネクタ120の接続制御処理720の一例を概略的に示す。
図15】コネクタ120の接続制御処理730の一例を概略的に示す。
図16】受給電制御処理740の一例を概略的に示す。
図17】コネクタ解除制御処理750の一例を概略的に示す。
図18】コネクタ解除制御処理760の一例を概略的に示す。
図19】受給電設備制御ユニット200の機能構成の一例を概略的に示す。
図20】車両300の構成の一例を概略的に示す。
図21】制御装置320の機能構成の一例を概略的に示す。
図22】車両800の受給電口及び外界センサの配置例を概略的に示す。
図23】車両800の構成の一例を概略的に示す。
図24】充放電制御ユニット830の通信環境の一例を概略的に示す。
図25】受給電口860及び蓋部870の外観の一例を概略的に示す。
図26】受給電口860及び蓋部870のA−A断面図の一例を示す。
図27】受給電口860及び蓋部870のA−A断面図の一例を示す。
図28】受給電口蓋状態判別処理910の一例を概略的に示す。
図29】受給電口蓋開制御処理920の一例を概略的に示す。
図30】受給電口蓋閉制御処理930の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
図1及び図2は、受給電設備100の一例を概略的に示す。受給電設備100は、受給電装置の一例であってよい。図1は、受給電設備100を上方から俯瞰したものであり、図2は、図1に示すように矢印Aの水平方向から見た図である。本実施形態に係る受給電設備100は、車両300の受給電口と連結するコネクタ120と、コネクタ120を横方向及び上下方向に移動させるコネクタ移動部110とを備える。車両300は、電動車両であってよい。ここでいう電動車両とは、純粋な電気自動車いわゆるEV(Electric Vehicle)であってよく、外部充電可能なハイブリッド車両いわゆるPHEV(Plug−in Hybrid Electric Vehicle)であってもよい。図1に示すX方向、Y方向が横方向であり、Z方向が上下方向であってよい。
【0013】
受給電設備100は、受給電設備制御ユニット200によって制御される。受給電設備制御ユニット200は、受給電設備100と有線接続されていてよく、また、無線接続されていてもよい。
【0014】
受給電設備制御ユニット200は、車両300の位置を示す位置情報を取得する。また、受給電設備制御ユニット200は、車両300の車両情報を取得する。車両情報は、車両300の寸法及び車両300の受給電口の位置等を含む。
【0015】
受給電設備制御ユニット200は取得した位置情報及び車両情報に基づいて、車両300の受給電口の位置を判断する。そして、受給電設備制御ユニット200は、コネクタ移動部110に、コネクタ120を予め定められた高さよりも高い位置で横方向に移動させた後、上下方向に移動させることによって、コネクタ120を受給電口の位置に位置合わせさせることで、コネクタ120を受給電口に連結させる。受給電設備制御ユニット200は、例えば、コネクタ120を予め定められた高さよりも高い位置で横方向に移動させた後、上下方向に移動させることによってコネクタ120を受給電口の位置に位置合わせさせ、その後必要に応じてコネクタ移動部110にコネクタ120を旋回させて、コネクタ120を横方向に移動させることによって、コネクタ120を受給電口に連結させる。予め定められた高さとして、車両300の車高よりも高い高さが設定されてよい。受給電設備制御ユニット200は、コネクタ120を駆動させてコネクタ120と車両300の受給電口との接続を制御する接続制御装置の一例であってよい。
【0016】
受給電設備100は、コネクタ120を介して車両300に電力を給電可能であってよい。また、受給電設備100は、コネクタ120を介して車両300から電力を受電可能であってよい。受給電とは、車両300に対して電力を給電することであってよい。また受給電とは、車両300から電力を受電することであってよい。受給電とは、車両300に対して電力を給電すること、及び、車両300から電力を受電することの両方を含んでもよい。受給電設備100は、受給電エリア102内に受給電口が配置されている車両300に対して、コネクタ120を連結させることができる。
【0017】
上述したように、コネクタ120を予め定められた高さよりも高い位置で横方向に移動させることによって、移動中にコネクタが車両300等に接触してしまうことを防止できる。また、コネクタ120を横方向に移動させた後、上下方向に移動させて受給電口の位置に位置合わせさせることでコネクタ120を車両300の受給電口に連結させることによって、人手を介さずに、コネクタ120を車両300に連結させることができる。これにより、コネクタ120の受給電口への接続を自動化することができ、車両300の使用者の負荷を低減することができる。車両300の充電は日々の日課となるので、接続の自動化は需要が高い。また、本システムを備えた駐車場は充電作業のわずらわしさがなくなるため、パーキング業の付加価値を高められる。また、少ない充電設備で多くの車両300を効率よく充電できる。
【0018】
図3は、コネクタ移動部110の一例を概略的に示す。コネクタ移動部110は、走行レール112、サドル114、ガータ116、及びコネクタ支持部122を有する。サドル114が走行レール112を走行すること、及びコネクタ支持部122がガータ116に沿って移動することによって、コネクタ120を横方向に移動させる。また、コネクタ支持部122がコネクタ120を上下方向に移動させる。図2に示すコネクタ移動部110の構造は一例であり、コネクタ120を横方向及び上下方向に移動可能であれば、他の構造を採用してもよい。
【0019】
図4は、コネクタ120の旋回エリア130の一例を概略的に示す。受給電設備制御ユニット200は、コネクタ移動部110に、コネクタ120を旋回させてよい。受給電設備制御ユニット200は、コネクタ120の旋回エリア130を考慮して、コネクタ移動部110にコネクタ120を移動させてよい。
【0020】
図5及び図6は、受給電設備100の他の一例を概略的に示す。図5は、受給電設備100を上方から俯瞰したものであり、図6は、図5に示すように矢印Aの水平方向から見た図である。図1及び図2では、受給電設備100が、1台分のスペースを有する例を挙げて説明したが、受給電設備100は、任意の台数分のスペースを有してよい。図5及び図6では、3台分のスペースを有する受給電設備100を例示している。受給電エリアは102で示す範囲である。この場合、コネクタ移動部110及びコネクタ120を2つ以上設置してもよい。
【0021】
図7及び図8は、受給電設備100の他の一例を概略的に示す。図7は、受給電設備100を上方から俯瞰したものであり、図8は、図7に示すように矢印Aの水平方向から見た図である。図7及び図8では、4台分のスペースを有する受給電設備100を例示している。受給電エリアは102で示す範囲である。この場合、コネクタ移動部110及びコネクタ120を2つ以上設置してもよい。
【0022】
図9は、受給電設備100の他の一例を概略的に示す。図9に示すように、受給電設備100には、受給電エリア102内に受給電口が配置させられれば、任意の角度で複数の車両300が配置されてもよい。受給電エリアは102で示す範囲である。この場合、コネクタ移動部110及びコネクタ120を2つ以上設置してもよい。このような形で受給電設備に対して車両を駐車させることで、車両の駐車自由度が大きく向上する。さらには受給電エリア102内により多くの車両の受給電口を配置することが出来るため、より多くの車両の受給電制御が可能となり、受給電設備100を有効に活用できる。
【0023】
図10及び図11は、受給電設備100の他の一例を概略的に示す。図10は受給電設備100を上方から俯瞰したものであり、図11図10に示すように矢印Aの水平方向から見た図である。上記実施形態では、走行レール112、サドル114、及びガータ116によって、コネクタ120を横方向に移動させる例を挙げて説明したが、これに限らない。コネクタ移動部110は、例えば、図10図11に例示するように、支柱124を中心とした回転移動によってコネクタ120を横方向に移動させてもよい。この場合、上記実施形態で示した水平方向での位置を規定するX座標とY座標は、それぞれR座標と旋回角度θに置き換えることが可能である。受給電エリアは102で示す範囲である。この場合、コネクタ移動部110及びコネクタ120を2つ以上設置してもよい。このような受給電設備においては、車両の駐車自由度が大きく向上する。さらには受給電エリア102内により多くの車両の受給電口を配置することが出来るため、より多くの車両の受給電制御が可能となり、受給電設備100を有効に活用できる。
【0024】
図12は、受給電設備制御ユニット200の通信環境の一例を概略的に示す。受給電設備制御ユニット200は、受給電設備100、車両300、電源ライン400、外部サーバ500、及び携帯端末600と通信可能であってよい。
【0025】
受給電設備制御ユニット200は、受給電設備100との間で各種情報を送受信する。例えば、受給電設備制御ユニット200は、受給電設備100が備える撮像装置によって撮像された車両300の画像情報、受給電設備100によって検知された車両300の周辺に存在する障害物を示す障害物情報、受給電設備100によって検知された車両300の周辺に存在する生体物情報、コネクタ120が有する撮像装置によって撮像されたコネクタ画像情報等を受給電設備100から受信する。また、受給電設備制御ユニット200は、受給電設備100が有するコネクタ120を移動させるコネクタアクチュエータと通信する。
【0026】
受給電設備制御ユニット200は、車両300との間で各種情報を送受信する。例えば、受給電設備制御ユニット200は、車両300の車種を示す車種情報、車両300の寸法及び受給電口の位置等を含む車両情報、受給電要求等を含む受給電情報、車両300の位置を示す車両位置情報等を受信する。
【0027】
受給電設備制御ユニット200は、電源ライン400との間で各種情報を送受信する。例えば、受給電設備制御ユニット200は、電力の供給量等の情報を含む電力供給情報、電力の単価を示す電力単価情報、受給電要求、及び受給電設備100の予約状況を示す設備予約状況等を電源ライン400から受信する。
【0028】
受給電設備制御ユニット200は、外部サーバ500との間で各種情報を送受信する。受給電設備制御ユニット200は、例えば、車両300に対して電力を供給した場合に、車両300の所有者等に対して課金等を行うために、電力量の情報や、料金の情報等を外部サーバ500と通信する。
【0029】
受給電設備制御ユニット200は、携帯端末600との間で各種情報を送受信する。携帯端末600は、例えば、車両300の所有者が使用する端末である。携帯端末600は、例えば、スマートフォン等の携帯電話及びタブレット端末等であってよい。受給電設備制御ユニット200は、例えば、車両300の充電状況を携帯端末600に送信する。具体例として、受給電設備制御ユニット200は、車両300のバッテリの充電完了度や、車両300を満充電するまでにかかる時間等の情報を携帯端末600に送信する。
【0030】
図13は、コネクタ120の接続判断処理710の一例を概略的に示す。図13に示す処理は、受給電設備制御ユニット200が備える制御部が主体となって実行されてよい。各処理は、200msecの周期で実行されてよい。各処理は、200msec以外の周期で実行されてもよく、また、別の信号に同期して実行されてもよい。フローにおける各デシジョンは、基本的に肯定で下に進む。
【0031】
ステップ(ステップをSと省略して記載する場合がある。)7102では、受給電設備100と通信可能な車両300が存在するか否かを確認し、存在する場合はS7106に進む。通信可能な車両300が存在しない場合はS7104に進み、F_CCOKを0にして処理を終了する。F_CCOKは、コネクタ120の移動接続が可能か否かを示すフラグであり、1が可、0が不可に対応する。S7106では、F_CCOKが0か否かを判断し、否定される場合はすでに以前のルーチンで処理が完了し、後述するS7118でフラグが1に設定され、コネクタ120の移動接続が可能(=1)な状態にあるため、接続判断処理710を終了する。
【0032】
S7108では、車両と通信する。受給電設備制御ユニット200から車両へは、受給電設備100の受給電エリア102の情報、充電費用、順番待ち状況、充電予測時間、電力網への給電参加可能性、受給電設備100側から認識した車両の位置情報等が送信される。受給電設備制御ユニット200は、例えば、車両を駐車するスペースを監視する撮像装置によって撮像された画像を参照することによって車両の位置を特定してよい。車両から受給電設備制御ユニット200へは、車両からの情報(車種、受給電要求、駐車(停車)意思の判断、位置情報等)及び車両を撮像した画像情報等が送信される。
【0033】
S7110では、車両の受給電エリア102内への駐車可能性から受給電可能性を判断する。この場合には、必ずしも車両側からの受給電の意思表示は必要としない。受給電可能性がない場合は、接続判断処理710を終了する。S7112では、車両が停止状態にあるかを判断する。これは車両が停止状態にならないと、コネクタ120の移動接続が開始できないからである。車両が停止状態に無い場合には、接続判断処理710を終了する。
【0034】
S7114では、停止した車両の受給電口の近傍にコネクタを接続するために必要な空間が確保されているかを確認する。この際、旋回エリア130と他の駐車車両との位置関係等も考慮してよい。例えば、コネクタ120を旋回可能であっても、他車の乗降に影響が出る場合、さらには後から駐車する別の車両の駐車への配慮等も含めて判断してもよい。
【0035】
S7116では、受給電口位置がコネクタ接続可能か否かを判定し、コネクタ接続可の状態の場合、S7118に進み、コネクタ接続不可の状態の場合、S7120に進む。S7118では、F_CCOKが1にされる。F_CCOKは、車両の駐車後に、他の車両の駐車状況等に応じて0にリセットされる場合もある。たとえば、後続車が自車両の受給電口を塞ぐように駐車された場合等である。
【0036】
S7120では、受給電設備への接続には、駐車位置変更が必要なことを車両へ通知する。受給電設備制御ユニット200は、例えば、駐車位置変更が必要なことを示すデータを車両へ送信する。受給電設備制御ユニット200は、コネクタ120を接続可能となる位置を示す位置情報を合わせて車両に通知してもよい。車両300へ現在の駐車位置では、コネクタ120の移動接続が開始できないことを通知し、受給電の意思がある場合には駐車位置の変更を促すことができる。また、自動で駐車位置を変更させることが可能な自動運転装置を備えた車両であれば、駐車位置の変更を自動運転装置に指示してもよい。
【0037】
F_CCOK=0の状態で駐車が完了した場合には、自動でのコネクタ120の接続が不可のままなので、その後の制御は行われない。F_CCOK=1の状態で駐車が完了した場合は、受給電の要求に応じてコネクタ120の自動接続を含むその後の制御が実行される。
【0038】
図14は、コネクタ120の接続制御処理720の一例を概略的に示す。図14に示す処理は、受給電設備制御ユニット200が備える制御部が主体となって実行されてよい。
【0039】
S7202では、F_CCOKが1か否かを判断し、否定される場合はコネクタ120の接続制御処理720を終了する。肯定される場合は、S7204に進む。S7204では、F_CHRQが1か否かを判断する。F_CHRQは、受給電の要求があるか否かを判定するフラグであり、図示しない処理で設定される。フラグは0で要求なし、1で要求ありを示す。F_CHRQは、通常は充電要求であることが多い。これらは、車両からの要求、車両にインプットされた車両管理者からの要求等により設定されてよく、充電量、充電終了時間、充電コストの指標で決定する。また、受給電設備100の混み具合等で順番待ちとなっている場合の状況が変化した場合等予定を変更する場合も考えられる。さらにF_CHRQは、車両管理者等が車両や受給電設備100と通信を行う携帯端末600等から設定できるようにしてもよく、当初充電予定が無かった場合でも携帯端末600を操作することで充電指示を行うことが出来る。電源ライン400と電力をやり取りするV2Gの要求がある場合も充電要求と同様に車両管理者の判断に応じてF_CHRQが設定される。F_CHRQ=0と判断される場合は、受給電の要求が無い状態と判断できるので、コネクタ120の接続制御処理720を終了する。
【0040】
S7206では、F_CCFNが0か否かを判断する。F_CCFNは、コネクタ120が対象の車両に接続されたか否かを判定するフラグであり、0で未接続状態、1で接続状態を示す。F_CCFN=0が否定される場合は、F_CCFN=1であるからすでにコネクタ120が対象の車両に接続されているので、コネクタ120の接続制御処理720を終了する。F_CCFN=0が肯定される場合は、S7208以下の処理に進む。
【0041】
S7208では、車種情報を取得し、車種情報からコネクタ種、コネクタ接続位置等を特定する。S7210では、車両位置情報を取得する。車両位置情報は、車両の駐車状態、向き、障害物の有無等を含む。そして、受給電設備制御ユニット200は、受給電口の位置及び向きを算出する。S7212では、受給電口を覆う蓋部を開蓋する開蓋指示を車両に送信する。車両が、受給電口の蓋部を手動で開けるタイプの車両である場合、受給電設備制御ユニット200は、蓋部が開いているか否かを画像や通信情報から判断してよい。その後、S730のコネクタ接続制御に進む。
【0042】
図15は、コネクタ120の接続制御処理730の一例を概略的に示す。図11に示す処理は、受給電設備制御ユニット200が備える制御部が主体となって実行されてよい。
【0043】
S7302では、F_CCMが0か否かを判定する。F_CCMは、コネクタ120の接続制御中か否かを判定するフラグであり、1で接続制御中、0で接続制御中でないことを示す。最初に接続制御処理730を行う場合には0となっているので、S7304に進み、コネクタ120の目標座標を取得する。なおX、Y、Zは図1及び図2で示される座標に対応する。XTGはコネクタ120を移動させる座標の目標値、X0は算出した受給電口位置の座標、Xaは車両位置、向きから求めたコネクタ接続前に移動させる目標の修正値である。YTGはコネクタ120を移動させる座標の目標値、Y0は算出した受給電口位置の座標、Yaは車両位置、向きから求めたコネクタ接続前に移動させる目標の修正値である。ZTGはコネクタ120を移動させる座標の目標値、Z0は算出した受給電口位置の座標、Zaは車両位置、向きから求めたコネクタ接続前に移動させる目標の修正値である。
【0044】
Xa、Yaで修正する理由はコネクタ120単体の大きさを加味して接続制御を開始すべき位置にコネクタを移動させるためである。ωはコネクタが受給電口と向き合う旋回角度を示し、ωは図3で示される旋回角度に対応する。ωTGはコネクタの旋回角度の目標値、ω0は算出したコネクタの旋回角度である。S7306では、各座標の目標値を定めてコネクタ120の接続制御中の状態になるので、F_CCMを1にセットする。
【0045】
S7308では、現在のZの座標が所定の高さZh以上にあるか否かを判定し、否の場合は、S7310でZ座標をZhになるように制御して、S7324に進む。S7324では、コネクタ120が対象の車両に接続されたか否かを判定するフラグ、F_CCFNを未接続状態に該当する0にセットして、このルーチンを終了する。Zhはコネクタ接続を行う車両300の高さより高い値にすることが望ましく、取得された車種情報等に応じて設定してもよい。またZhは受給電設備周辺に存在する障害物等を考慮して所定の高さ以上(たとえばZh=2.5m)の固定値に設定してもよい。Z≧Zhの場合、S7312に進み、X、Yの座標XTG、YTGに向けて制御する。またコネクタ120をωTGに向けて旋回させ、コネクタと受給電口が向き合うようにする。これらの処理を行う前にZ座標をZh以上に移動させるのは、コネクタ120のX、Y座標を移動や旋回させる場合に車両及びその他の障害物とのと干渉することを防ぐためである。なお、ωTGに向けての旋回はS7312で実行せず、後述するS7320の処理と合わせて実行することも出来る。
【0046】
S7314では、コネクタ120のX、Y座標がそれぞれXTG、YTGになったか否か、及びコネクタ120の旋回角度がωTGになったか否かを判断する。否定される場合は、S7324に進み、コネクタ120の接続制御処理730を繰り返すことで、それぞれの値が目標値に達すまで処理を継続する。それぞれの値が目標値に達したことを判断したらS7316に進み、Z軸を目標値に制御する。この場合、コネクタ120は常に車両の上方から受給電口に向かって降りてくるように制御される。コネクタ120の降下中、コネクタ120に設けられたカメラ、センサ等を用いて障害物を検知して接触の恐れがある場合には降下を中止する。また、障害物との接触を検知した場合にも同様に降下を中止する。また接触を回避するように適宜X方向、Y方向、旋回角度ωを調整してから、Z方向への移動を継続するようにしてもよい。
【0047】
S7318では、Z軸の座標がZTGに制御されたかを判断する。否定される場合は、S7324に進み、コネクタ120の接続制御処理730を繰り返すことで、Z軸の座標が目標値に達すまで処理を継続する。肯定される場合は、X、Y、ω、Zのすべてが目標値に制御された状態であることから、S7320に進んで、受給電口へ最終的に接続する制御を行う。制御はコネクタ先端に設けられたカメラ、レーダ等の情報からアクチュエータを制御して行う。なおコネクタは充電する車種に合わせて複数設けてもよい。S7322では、コネクタ接続が完了したか否かを判定する。否定される場合はS7324に進む。一方、S7322で肯定される場合はコネクタ接続が完了しているので、S7326でコネクタ120が対象の車両に接続されたか否かを判定するフラグF_CCFNを1にセットする。その後、S7328では、コネクタ120の接続制御中か否かを判定するフラグ、F_CCMを0にセットする。
【0048】
なお図10及び図11のような、受給電設備を制御する場合は、図15で示すフローの、X座標、Y座標をそれぞれR座標、旋回角度θに置き換えることで、同様に制御することが可能である。
【0049】
図16は、受給電制御処理740の一例を概略的に示す。図16に示す処理は、受給電設備制御ユニット200が備える制御部が主体となって実行されてよい。
【0050】
S7402では、F_CCOKが1か否かを判断し、否定される場合は、車両が受給電設備100との通信が行えない状態であることから、受給電制御処理740の処理を終了する。肯定される場合にはS7404に進み、受給電の要求があるか否かを示すフラグ、F_CHRQの値を確認する。否定される場合は、受給電の要求がないと判断できるので、受給電制御処理740の処理を終了する。肯定される場合は受給電要求があると判断され、S7406に進み、F_CCFN=1?でコネクタが対象の車両に接続されたか否かを判定する。否定される場合は、コネクタが対象の車両に接続されていないため、S7408に進み、コネクタ接続制御を実施する。肯定される場合は受給電可能と判断し、S7410に進んで受給電制御を実施する。受給電の制御内容はF_CHRQ=1を判断する過程で設定されてよい。充電電力量もしくはバッテリ容量の所定値、V2Gによる受給電制御要否、及び制御時間等が設定されてよい。
【0051】
S7412では、現在の要求内容を達成しているか否かを判断して、受給電要求を満足していなければ、S7414に進み、受給電終了を示すフラグであるF_CHFNに、受給電終了を示す0をセットする。現在の要求内容を達成していると判断して受給電終了する場合はS7416に進み、F_CHFNを1にする。その後S7418に進み、今回の受給電要求は達成したのでF_CHRQを0にリセットする。
【0052】
図17は、コネクタ解除制御処理750の一例を概略的に示す。図15に示す処理は、受給電設備制御ユニット200が備える制御部が主体となって実行されてよい。
【0053】
S7502では、F_CCFNが1であるか否かを判定する。F_CCFN=0ならコネクタ120は接続解除されているので処理を終了する。肯定される場合にはS7504に進んで、F_CHFNが1であるか否かを判定する。F_CHFNで、受給電終了を判断し、否定される場合は受給電制御が継続されていると判断し、コネクタ解除制御処理750を終了する。一方肯定される場合は受給電終了と判断し、コネクタ解除制御処理760を実施する。
【0054】
図18は、コネクタ解除制御処理760の一例を概略的に示す。図18に示す処理は、受給電設備制御ユニット200が備える制御部が主体となって実行されてよい。
【0055】
S7602では、F_CCMが0であるか否かを判断する。F_CCMはコネクタ120の移動制御中か否かを判定するフラグであり、1で移動制御中、0で移動制御中でないことを示す。否定される場合はS7606に進む。一方、肯定される場合には、S7604に進み、コネクタ120解除時の目標座標を設定する。XTG、YTGはそれぞれコネクタを移動させるX座標、Y座標の目標値、Xb、Ybはコネクタを収納する座標である。ZTGはZ座標の目標値であり、Zbはコネクタを収納するZ座標である。Zbは前出のZhと同じかより高い位置が望ましく、ZhはZ座標で移動可能な最大の値に設定することも可能である。Xb、Ybは各座標の端や受給電設備100の中央部等の所定の位置でよいが、受給電口が頻繁に置かれる近傍の座標を学習して設定してもよい。また、コネクタ120の旋回角度の目標値ωTGも所定の角度ωbに設定する。
【0056】
XTG、YTG、ZTG、ωTGすべてが設定されたらS7606に進む。S7606では、各座標の目標値を定めてコネクタ120の接続制御中の状態になるので、F_CCMを1にセットする。S7608では、最初に高さ方向の座標ZがZTGとなるようにコネクタ120を移動させる。S7610では、Z=ZTGであるか否かを判断し、否定される場合は、コネクタ120の接続制御処理を繰り返すことで、Zの値がZTGに達すまで処理を継続する。一方、Z=ZTGが肯定される場合にはコネクタ120が目標の高さに達していることから、S7612へ進む。S7612では、コネクタ120のX座標、Y座標、旋回角度ωが、それぞれ目標値となるように制御を行う。S7614では、コネクタ120のX座標、Y座標、旋回角度ωが、それぞれ目標値に達したか否かを判断する。否定される場合は、コネクタ120の接続制御処理を繰り返すことで、X座標、Y座標、旋回角度ωそれぞれの値が目標値に達すまで処理を継続する。肯定される場合は、S7616へ進み、コネクタ120の接続解除が終了したのでF_CCFNを0にセットする。続いて、S7618ではコネクタ120の移動制御が終了したので、F_CCMを0にセットする。そしてS7620に進み、受給電口の蓋部を閉蓋する閉蓋指示を車両に送信し、コネクタ解除制御処理760を終了する。
【0057】
なお図10及び図11のような、受給電設備を制御する場合は、図18で示すフローの、X座標、Y座標をそれぞれR座標、旋回角度θに置き換えることで、同様に制御することが可能である。
【0058】
図19は、受給電設備制御ユニット200の機能構成の一例を概略的に示す。受給電設備制御ユニット200は、位置情報取得部202、車両情報取得部204、コネクタ設定部206、位置判断部208、実施判定部212、移動指示送信部214、移動制御部218、障害物検知部220、警告発生部222、開蓋指示送信部224、閉蓋指示送信部226、範囲判定部230、履歴格納部232、及び配置決定部234を備える。なお、受給電設備制御ユニット200がこれらのすべての構成を備えることは必須とは限らない。
【0059】
位置情報取得部202は、車両300の位置を示す位置情報を取得する。位置情報取得部202は、例えば、受給電設備100が有する撮像装置によって撮像された画像を解析することによって、車両300の位置を示す位置情報を取得する。位置情報取得部202は、車両300から車両位置情報を受信してもよい。
【0060】
車両情報取得部204は、車両300の車両情報を取得する。車両情報取得部204は、車両300から車両情報を受信してよい。
【0061】
コネクタ設定部206は、車両情報取得部204が取得した車両情報に基づいて、コネクタ120を設定する。コネクタ設定部206は、車両300の種類に応じてコネクタ120を設定してよい。例えば、コネクタ設定部206は、車両300の種類毎のコネクタ120の設定を格納しておき、車両情報取得部204が取得した車両情報が示す車両300の種類に対応するコネクタ120の設定を読み出して、当該設定に従ってコネクタ120を設定する。
【0062】
位置判断部208は、位置情報取得部202が取得した位置情報及び車両情報取得部204が取得した車両情報に基づいて車両300の受給電口の位置を判断する。
【0063】
実施判定部212は、車両300と通信することによって、車両300の受給電を実施するか否かを判定する。実施判定部212は、例えば、位置判断部208によって判断された受給電口の位置と、車両300の周囲の状況とに基づいて、車両300の受給電を実施するか否かを判定する。実施判定部212は、例えば、受給電口の付近に他の車両が存在することにより、コネクタ120の進路がふさがれていると判定した場合、車両300の受給電を実施しないと判定する。
【0064】
移動指示送信部214は、実施判定部212によって、車両300の受給電を実施できないと判定された場合に、車両300に対して移動指示を送信する。移動指示送信部214は、例えば、コネクタ120を連結するためには駐車位置変更が必要であることを示すデータを車両300に送信する。移動指示送信部214は、受給電口の位置と、車両300の周囲の状況とに基づいて、コネクタ120を受給電口に連結可能となる車両300の位置を示す位置情報を生成し、当該位置情報を合わせて車両300に送信してもよい。
【0065】
移動制御部218は、コネクタ移動部110に、コネクタ120を予め定められた高さよりも高い位置で横方向に移動させた後、上下方向に移動させ、コネクタ120を車両300の受給電口の位置に位置合わせさせることで、コネクタ120を受給電口に連結する。移動制御部218は、実施判定部212によって、車両300の受給電を実施すると判定された場合に、コネクタ120を受給電口の位置に位置合わせさせ、連結させてよい。移動制御部218は、コネクタ120を受給電口に位置合わせさせた後、コネクタ移動部110に、コネクタ120を横方向に移動させることによって、コネクタ120を受給電口に連結させてよい。移動制御部218は、コネクタ120を介した車両300の受給電が完了した後、コネクタ120を予め定められた高さよりも高い位置に移動してよい。
【0066】
障害物検知部220は、コネクタ120の移動の障害となる障害物を検知する。障害物検知部220は、例えば、受給電設備100が有する撮像装置によって撮像された画像を解析することによって、障害物を検知する。また、障害物検知部220は、受給電設備100から受信した障害物情報によって、コネクタ120の移動の障害となる障害物を検知してもよい。移動制御部218は、障害物検知部220によって障害物が検知された場合、コネクタ移動部110に、コネクタ120の移動を停止させてよい。
【0067】
警告発生部222は、障害物検知部220によって障害物が検知された場合に警告を発する。警告発生部222は、例えば、障害物検知部220によって検知された障害物が犬や猫等の生体物である場合、警告音を発する。警告発生部222は、障害物検知部220によって検知された障害物が人間である場合、コネクタ120が移動する妨げになることを音声で通知する警告を発してよい。
【0068】
開蓋指示送信部224は、車両300に対して、受給電口の蓋部を開かせる開蓋指示を送信する。移動制御部218は、例えば、コネクタ120の移動をコネクタ移動部110に開始させる前に、開蓋指示送信部224に、開蓋指示を車両300に対して送信させてよい。車両300が自動で開蓋を行う手段を備えていない場合は、運転者等に開蓋操作を促す表示や音声案内を発生させてもよい。
【0069】
閉蓋指示送信部226は、車両300に対して、受給電口の蓋部を閉じさせる閉蓋指示を送信する。閉蓋指示送信部226は、例えば、受給電口に対するコネクタ120の連結が解除されて、コネクタ120が移動された後に、閉蓋指示を車両300に送信する。車両300が自動で閉蓋を行う手段を備えていない場合は、運転者等に閉蓋操作を促す表示や音声案内を発生させてもよい。
【0070】
範囲判定部230は、コネクタ120が受給電口に連結される前に、コネクタ120を受給電口に連結したときにコネクタ120が他の車両のドアの可動範囲に含まれるか否かを判定する。範囲判定部230は、例えば、受給電設備100から受信した車両の画像情報に基づいて判定する。移動制御部218は、範囲判定部230によってコネクタ120が他の車両のドアの可動範囲に含まれると判定された場合、コネクタ移動部110にコネクタ120の移動を停止させてよい。これにより、コネクタ120を受給電口に連結している間に、他の車両のドアが開かれてコネクタ120と接触してしまうことを防止できる。
【0071】
履歴格納部232は、位置判断部208によって判断された受給電口の位置の履歴を格納する。配置決定部234は、履歴格納部232に格納されている履歴を解析することによって、コネクタ120の初期配置を決定する。配置決定部234は、例えば、履歴格納部232に格納されている履歴から、受給電口の位置となる可能性が高い領域を特定し、当該領域に対する最短位置を、コネクタ120の初期位置として決定する。移動制御部218は、コネクタ120を介した車両300の受給電が完了した後、コネクタ120を、配置決定部234によって決定された初期位置に移動させてよい。これにより、次に車両300が受給電エリア102内に配置された場合の、コネクタ120の移動量を低減させることができる。
【0072】
図20は、車両300の構成の一例を概略的に示す。車両300は、操作部302、表示部304、無線通信部306、撮像部308、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部310、センサ部312、制御装置320、蓄電装置350、受給電口360、蓋部370、及び蓋部駆動部380を備える。なお、車両300がこれらのすべての構成を備えることは必須とは限らない。
【0073】
操作部302は、車両300の使用者による操作を受け付ける。操作部302は、物理的な操作ボタン類を含んでよい。操作部302及び表示部304は、タッチパネルディスプレイであってもよい。操作部302は、音声操作を受け付けてもよい。操作部302は、マイク及びスピーカを含んでよい。
【0074】
無線通信部306は、外部との無線通信を実行する。無線通信部306は、例えば、受給電設備制御ユニット200と通信する。
【0075】
撮像部308は、1又は複数のカメラを含む。カメラは、ドライブレコーダであってもよい。撮像部308が複数のカメラを含む場合、複数のカメラのそれぞれは、車両300の異なる位置に配置される。また、複数のカメラのそれぞれは、異なる撮像方向を撮像する。
【0076】
GNSS受信部310は、GNSS衛星から発信された電波を受信する。GNSS受信部310は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、車両300の位置を特定してもよい。
【0077】
センサ部312は、1又は複数のセンサを含む。センサ部312は、例えば、加速度センサを含む。センサ部312は、例えば、角速度センサ(ジャイロセンサ)を含む。センサ部312は、例えば、地磁気センサを含む。センサ部312は、例えば、車速センサを含む。また、センサ部312は、外界センサを含む。外界センサの例としては、レーダ、超音波センサ、赤外線センサ、及びLIDAR(Light Detection and Ranging)等が挙げられる。
【0078】
レーダは、車両300の周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離及び方位)を検出する。レーダは、車両300の任意の箇所に一つ又は複数が取り付けられる。レーダは、FM−CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置及び速度を検出してもよい。
【0079】
LIDARは、車両300の周辺に光を照射し、散乱光を測定する。LIDARは、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。LIDARは、車両300の任意の箇所に一つ又は複数が取り付けられる。
【0080】
制御装置320は、操作部302、表示部304、無線通信部306、撮像部308、GNSS受信部310、及びセンサ部312を制御して、各種処理を実行する。制御装置320は、例えば、ナビゲーション処理を実行する。制御装置320は、公知のカーナビゲーションシステムが実行するナビゲーション処理と同様のナビゲーション処理を実行してよい。例えば、制御装置320は、GNSS受信部310及びセンサ部312からの出力に基づいて車両300の現在位置を特定して、現在位置に対応する地図データを読み出して表示部304に表示させる。また、制御装置320は、操作部302を介して目的地の入力を受け付け、車両300の現在位置から目的地までの推奨ルートを特定して、表示部304に表示させる。制御装置320は、ルートの選択を受け付けた場合、選択されたルートに従って、表示部304及びスピーカを介して、車両300が走行すべき進路のガイダンスを行う。
【0081】
また、制御装置320は、受給電設備制御ユニット200との間で各種情報を送受信する情報送受信処理を実行する。制御装置320は、例えば、無線通信部306を介して、車両300の車種を示す車種情報、車両300の寸法及び受給電口の位置等を含む車両情報、受給電要求等を含む受給電情報、及び車両300の位置を示す車両位置情報等を受給電設備制御ユニット200に送信する。
【0082】
また制御装置320は、例えば、無線通信部306を介して、移動指示、開蓋指示、及び閉蓋指示等を受給電設備制御ユニット200から受信する。また、制御装置320は、例えば、無線通信部306を介して、受給電設備100が有する撮像装置によって撮像された画像を、受給電設備制御ユニット200から受信する。また、制御装置320は、例えば、無線通信部306を介して、障害物検知部220によって検知する障害物の位置及び種類等を示す障害物情報を受給電設備制御ユニット200から受信する。
【0083】
また、制御装置320は、例えば、車両300の自動運転処理を実行する。制御装置320は、撮像部308及びセンサ部312の出力に基づいて、周囲の物体の位置、種類、速度等を認識する。そして、認識結果を用いて、運転者の操舵、アクセスペダル操作、ブレーキペダル操作及び変速操舵等によらずに、自車の走行、停止及び旋回等を制御する。制御装置320は、例えば、受給電設備制御ユニット200から受信した移動指示に従って、車両300を自動運転によって移動させる。
【0084】
蓄電装置350は、いわゆる車載バッテリであってよい。蓄電装置350は、例えば、受給電設備100から、受給電口360を介して供給される電力を蓄電する。また、蓄電装置350は、車両300に対して駆動電力を供給したり、車両300が有する各構成要素に対して電力を供給したりする。
【0085】
蓋部駆動部380は、受給電口360の蓋部370を駆動する。制御装置320は、例えば、受給電設備制御ユニット200から、蓋部370を開蓋する開蓋指示を受信した場合に、蓋部駆動部380に蓋部370を開蓋させる。また、制御装置320は、例えば、受給電設備制御ユニット200から、蓋部370を閉蓋する閉蓋指示を受信した場合に、蓋部駆動部380に蓋部370を閉蓋させる。
【0086】
図21は、制御装置320の機能構成の一例を概略的に示す。制御装置320は、受給電要求送信部322、指示受信部324、駆動部制御部326、移動指示受信部328、及び移動制御部330を備える。なお、制御装置320がこれらのすべての構成を備えることは必須とは限らない。
【0087】
受給電要求送信部322は、受給電設備100に対して、受給電要求を送信する。受給電要求送信部322は、受給電設備100の受給電設備制御ユニット200に対して、受給電要求を送信してよい。
【0088】
指示受信部324は、受給電要求送信部322が送信した受給電要求を受信した受給電設備制御ユニット200からの指示を受信する。指示受信部324は、例えば、受給電口360の蓋部370を開蓋する開蓋指示を受信する。指示受信部324は、開蓋指示受信部の一例であってよい。また、指示受信部324は、例えば、受給電口360の蓋部370を閉蓋する閉蓋指示を受信する。指示受信部324は、閉蓋指示受信部の一例であってよい。
【0089】
駆動部制御部326は、蓋部駆動部380を制御する。駆動部制御部326は、指示受信部324が開蓋指示を受信したことに応じて、蓋部駆動部380に、蓋部370を開蓋させる。また、駆動部制御部326は、指示受信部324が閉蓋指示を受信したことに応じて、蓋部駆動部380に、蓋部370を閉蓋させる。
【0090】
移動指示受信部328は、受給電要求送信部322が送信した受給電要求を受信した受給電設備制御ユニット200からの移動指示を受信する。例えば、受給電設備制御ユニット200は、車両300の受給電口360の位置と、車両300の周囲の状況とに基づいて車両300の受給電を実施できないと判定した場合、車両300に対して、移動指示を送信する。移動指示受信部328は、当該移動指示を受信する。移動指示は、例えば、車両300に対する受給電を実施可能な状況にするための移動先を示す移動先位置を含む。また、移動指示は、車両300に対する受給電を実施可能な状況にするための移動先までの移動経路を含んでもよい。移動経路は、移動方向、移動量、及び旋回量等を含んでよい。
【0091】
移動制御部330は、移動指示受信部328が受信した移動指示に従って、車両300を移動させる。移動制御部330は、撮像部308及びセンサ部312の出力に基づいて認識した周囲の物体の位置、種類、速度等を参照しながら、移動指示に含まれる移動先位置に車両300を移動させる。また、移動制御部330は、移動指示に含まれる移動経路に従って、車両300を移動させる。
【0092】
図22は、車両800の受給電口及び外界センサの配置例を概略的に示す。車両800は、電動車両である。車両800は、上述した車両300として機能してもよい。車両800は、上述した受給電設備100に限らず、任意の受給電装置との間で受給電を実施可能である。
【0093】
位置901及び位置902は、車両800の受給電口の位置を示す。車両800は、位置901及び位置902のいずれか一方に受給電口を備えてよい。車両800は、位置901及び位置902の両方に受給電口を備えてもよい。図22に示す位置901及び位置902は一例であり、車両800は、位置901及び位置902以外の位置に受給電口を備えてもよい。
【0094】
位置903、位置904、位置905、位置906、及び位置907は、車両800の外界センサの位置を示す。外界センサの例としては、撮像部、レーダ、赤外線センサ、及び超音波センサ等が挙げられる。位置903及び位置904は、ドアミラー下方であってよい。位置905は、フロントウィンドウの内側であってよい。位置906及び位置907は、バンパー下方であってよい。
【0095】
車両800は、位置903、位置904、位置905、位置906、及び位置907の少なくともいずれかの位置に外界センサを備えてよい。車両800は、位置903、位置904、位置905、位置906、及び位置907のすべての位置に外界センサを備えてもよい。図22に示す位置903、位置904、位置905、位置906、及び位置907は一例であり、外界センサの数は、任意の数であってよく、また、車両800は、位置903、位置904、位置905、位置906、及び位置907以外の位置に外界センサを備えてもよい。
【0096】
受給電口の位置が位置901の場合は、主に位置903の外界センサによる情報に基づいて、受給電口の状態及び受給電口の蓋部を監視可能である。受給電口の位置が位置902の場合は、主に位置906の外界センサによる情報に基づいて、受給電口及び受給電口の蓋部の状態を監視可能である。また、複数の外界センサの情報から車両800の周囲を監視するシステムの中で受給電口の蓋部を監視するようにしてもよい。この場合、複数のカメラからの情報に基づいて、車両の周囲を上方から俯瞰する画像を合成するようなシステムを前提としてよい。車両800が備える外界センサは、受給電口及び受給電口の蓋部を監視する監視部の一例であってよい。
【0097】
車両800は、車両800に対して受給電を行う受給電装置と通信して、受給電装置が備える外界センサによる情報に基づいて、受給電口及び受給電口の蓋部の状態を監視してもよい。受給電装置が備える外界センサは、受給電口及び受給電口の蓋部を監視する監視部の一例であってよい。
【0098】
図23は、車両800の構成の一例を概略的に示す。車両800は、操作部802、表示部804、無線通信部806、撮像部808、GNSS受信部810、センサ部812、制御装置820、蓄電装置850、受給電口860、蓋部870、及び蓋部駆動部880を備える。操作部802、表示部804、無線通信部806、撮像部808、GNSS受信部810、センサ部812、蓄電装置850、受給電口860、蓋部870、及び蓋部駆動部は、操作部302、表示部304、無線通信部306、撮像部308、GNSS受信部310、センサ部312、蓄電装置350、受給電口360、蓋部370、及び蓋部駆動部380と同様であってよい。
【0099】
制御装置820は、制御装置320と同様にナビゲーション処理を実行してよい。制御装置820は、制御装置320と同様に受給電設備制御ユニット200との間で各種情報を送受信する情報送受信処理を実行してよい。制御装置820は、制御装置320と同様に車両800の自動運転処理を実行してよい。
【0100】
制御装置820は、充放電制御ユニット830を有する。充放電制御ユニット830は、例えば、受給電装置からの信号に応じて、蓋部駆動部880の駆動を制御する。充放電制御ユニット830は、例えば、受給電装置から蓋部870を開蓋する開蓋指示を受信したことに応じて、蓋部駆動部880に、蓋部870を開蓋させる。また、充放電制御ユニット830は、例えば、受給電装置から蓋部870を閉蓋する閉蓋指示を受信したことに応じて、蓋部駆動部880に蓋部870を閉蓋させる。
【0101】
充放電制御ユニット830は、外界センサによる、受給電口860及び蓋部870の監視結果に応じて、蓋部駆動部880による蓋部870の駆動を制御してよい。充放電制御ユニット830は、車両800が備える外界センサの監視結果を取得してよい。また、充放電制御ユニット830は、受給電装置が備える外界センサの監視結果を受給電装置から受信してもよい。
【0102】
例えば、充放電制御ユニット830は、蓋部870を開蓋させるときに、蓋部870の周辺に障害物が存在する場合、蓋部駆動部880による蓋部870の開蓋を停止させる。そして、充放電制御ユニット830は、障害物を排除する障害物排除処理を実行する。
【0103】
充放電制御ユニット830は、障害物が受給電装置の受給電コネクタである場合、受給電装置に対して、受給電コネクタの移動を指示してよい。障害物が人物である場合、充放電制御ユニット830は、警告音を出力してよい。また、障害物が車両である場合、充放電制御ユニット830は、当該車両に移動指示を送信してよい。障害物の種類を特定できない場合、充放電制御ユニット830は、例えば、警告音を出力する。障害物排除処理を実行した後、障害物が除去されたことを確認した場合に、充放電制御ユニット830は、蓋部駆動部880に蓋部870を開蓋させる。
【0104】
また、例えば、充放電制御ユニット830は、蓋部870を閉蓋させるときに、蓋部870の周辺に障害物が存在する場合、蓋部駆動部880による蓋部870の閉蓋を停止させる。そして、充放電制御ユニット830は、障害物を排除する障害物排除処理を実行する。障害物排除処理を実行した後、障害物が除去されたことを確認した場合に、充放電制御ユニット830は、蓋部駆動部880に蓋部870を閉蓋させる。
【0105】
図24は、充放電制御ユニット830の通信環境の一例を概略的に示す。充放電制御ユニット830は、車両800が備える各種構成から、車両800に関する各種情報を取得してよい。
【0106】
例えば、充放電制御ユニット830は、蓄電装置850の充電量を示す充電量情報、車両800の使用状況を示す車両使用情報、蓄電装置850の受給電の状況を示す受給電情報、車両800の位置を示す車両位置情報、及び撮像部808による撮像画像を含む車載カメラ画像情報を取得する。また、車両800は、蓋部870の状況と、蓋部駆動部880として機能するアクチュエータの状況を示す情報を取得する。
【0107】
また、充放電制御ユニット830は、車外設備との間で各種情報を送受信する。充放電制御ユニット830は、例えば、受給電設備制御ユニット200に対して車両800の各種情報を送信したり、受給電設備制御ユニット200に関する各種情報を受信したりする。充放電制御ユニット830は、例えば、受給電の実施状況を示す受給電実施情報や、受給電設備制御ユニット200によって検出された受給電口860近傍の障害物情報等を受給電設備制御ユニット200から受信する。
【0108】
また、充放電制御ユニット830は、携帯端末600との間で各種情報を送受信する。携帯端末600は、例えば、車両800の所有者が使用する端末である。充放電制御ユニット830は、例えば、車両800の充電状況を携帯端末600に送信する。具体例として、充放電制御ユニット830は、車両800の蓄電装置850の充電完了度や、車両800を満充電するまでにかかる時間等の情報を携帯端末600に送信する。
【0109】
図25は、受給電口860及び蓋部870の外観の一例を概略的に示す。図26は、受給電口860及び蓋部870のA−A断面図の一例を示す。
【0110】
図26に示す例では、蓋部870は、リッド872及びアーム874を有する。蓋部駆動部880は、例えばアクチュエータによってアーム874を駆動することによりリッド872を移動させて、リッド872の開閉を行う。図26に示す例において、蓋部駆動部880は、アーム874の移動を検知するストロークセンサ882を有する。充放電制御ユニット830は、例えば、ストロークセンサ882による検知結果を取得することによって、リッド872の開閉を検知する。
【0111】
図27は、受給電口860及び蓋部870のA−A断面図の他の一例を示す。ここでは、図26と異なる点を主に説明する。図27に示す例では、蓋部駆動部880がストロークセンサ882を有さず、受給電口860側に、リッド872の開閉を検知する開閉スイッチ884が設定されている。開閉スイッチ884は、リッド872の開の位置及びリッド872の閉の位置の少なくともいずれかで信号を発生する。充放電制御ユニット830は、例えば、開閉スイッチ884によって発生された信号を受信することによって、リッド872の開閉を検知する。
【0112】
図26及び図27に示すリッド872の開閉の検知は例であり、充放電制御ユニット830は、これら以外の方法によって、リッド872の開閉を検知してもよい。例えば、充放電制御ユニット830は、車両800の外界センサ及び受給電装置の外界センサの少なくともいずれかによるセンサ情報によって、リッド872の開閉を検知する。
【0113】
図28は、受給電口蓋状態判別処理910の一例を概略的に示す。図28に示す処理は、充放電制御ユニット830の制御部が主体となって実行されてよい。
【0114】
S9102では、受給電口860の蓋部870のセンサ情報を取得する。充放電制御ユニット830は、例えば、ストロークセンサ882によって検知されたセンサ情報を取得する。また、充放電制御ユニット830は、例えば、開閉スイッチ884によって検知されたセンサ情報を取得する。また、充放電制御ユニット830は、車両800の外界センサ及び受給電装置の外界センサの少なくともいずれかによるセンサ情報を取得する。
【0115】
S9104では、受給電口860の蓋部870が、開状態であるか否を判定する。開状態であると判定した場合、F_CHCOPを1にセットし(S9106)、開状態でないと判定した場合、F_CHCOPを0にセットする(S9108)。F_CHCOPは、蓋部870が開状態であるか閉状態であるかを示すフラグであり、1が蓋開、0が蓋閉に対応する。
【0116】
図29は、受給電口蓋開制御処理920の一例を概略的に示す。図29に示す処理は、充放電制御ユニット830の制御部が主体となって実行されてよい。
【0117】
S9202では、受給電口860の蓋部870の状態を取得する。S9204では、受給電口860の蓋部870の周辺情報を取得する。充放電制御ユニット830は、例えば、車両800の外界センサ及び受給電装置の外界センサの少なくともいずれかによって検知された蓋部870の周辺情報を取得する。
【0118】
S9206では、F_CHCOPが0であるか否を判定する。F_CHCOPが0である場合、S9208に進む。F_CHCOPが0でない場合、蓋部870は既に開蓋されている状態なので、処理を終了する。S9208では、受給電口860の蓋部870の周辺に障害物があるかないかを判定する。あると判定した場合、障害物排除処理を実行する(S9210)。ないと判定した場合、蓋部駆動部880に、蓋部870を開蓋させる。そして、処理を終了する。
【0119】
図30は、受給電口蓋閉制御処理930の一例を概略的に示す。図30に示す処理は、充放電制御ユニット830の制御部が主体となって実行されてよい。
【0120】
S9302では、受給電口860の蓋部870の状態を取得する。S9304では、受給電口860の蓋部870の周辺情報を取得する。充放電制御ユニット830は、例えば、車両800の外界センサ及び受給電装置の外界センサの少なくともいずれかによって検知された蓋部870の周辺情報を取得する。
【0121】
S9306では、F_CHCOPが1であるか否を判定する。F_CHCOPが1である場合、S9308に進む。F_CHCOPが1でない場合、蓋部870は既に閉蓋されている状態なので、処理を終了する。S9308では、受給電口860の蓋部870の周辺に障害物があるかないかを判定する。あると判定した場合、障害物排除処理を実行する(S9310)。ないと判定した場合、蓋部駆動部880に、蓋部870を閉蓋させる(S9312)。そして、処理を終了する。
【0122】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0123】
請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。請求の範囲、または実施の形態に記載されている受給電装置は受電または給電のどちらか一方を可能となっていればよく、必ずしも双方向の受給電を行う装置を指すものではない。したがって受給電装置は給電を行わないような従来型の充電装置であってもよい。
【符号の説明】
【0124】
100 受給電設備、102 受給電エリア、110 コネクタ移動部、112 走行レール、114 サドル、116 ガータ、120 コネクタ、122 コネクタ支持部、124 支柱、130 旋回エリア、200 受給電設備制御ユニット、202 位置情報取得部、204 車両情報取得部、206 コネクタ設定部、208 位置判断部、212 実施判定部、214 移動指示送信部、218 移動制御部、220 障害物検知部、222 警告発生部、224 開蓋指示送信部、226 閉蓋指示送信部、230 範囲判定部、232 履歴格納部、234 配置決定部、300 車両、302 操作部、304 表示部、306 無線通信部、308 撮像部、310 GNSS受信部、312 センサ部、320 制御装置、322 受給電要求送信部、324 指示受信部、326 駆動部制御部、328 移動指示受信部、330 移動制御部、350 蓄電装置、360 受給電口、370 蓋部、380 蓋部駆動部、400 電源ライン、500 外部サーバ、600 携帯端末、710 接続判断処理、720 接続制御処理、730 接続制御処理、740 受給電制御処理、750 コネクタ解除制御処理、760 コネクタ解除制御処理、800 車両、802 操作部、804 表示部、806 無線通信部、808 撮像部、810 GNSS受信部、812 センサ部、820 制御装置、830 充放電制御ユニット、850 蓄電装置、860 受給電口、870 蓋部、880 蓋部駆動部、882 ストロークセンサ、884 開閉スイッチ、901、902、903、904、905、906 位置、910 受給電口蓋状態判別処理、920 受給電口蓋開制御処理、930 受給電口蓋閉制御処理
図1
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