特許第6987252号(P6987252)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987252
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】クラッチ装置を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   F16D 48/02 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
   F16D48/02 640A
   F16D48/02 640J
   F16D48/02 640C
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-532562(P2020-532562)
(86)(22)【出願日】2017年12月13日
(65)【公表番号】特表2021-507186(P2021-507186A)
(43)【公表日】2021年2月22日
(86)【国際出願番号】EP2017082570
(87)【国際公開番号】WO2019114941
(87)【国際公開日】20190620
【審査請求日】2020年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】517175611
【氏名又は名称】ジーケーエヌ オートモーティブ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フィッツ,ルドルフ
(72)【発明者】
【氏名】エッシュ,エーリヒ ルネ
【審査官】 中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−181730(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0048351(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0252632(US,A1)
【文献】 特開2008−275160(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0158264(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 25/00−39/00
F16D 48/00−48/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッチ装置(1)を動作させる方法であって、
前記クラッチ装置(1)は、
互いに摩擦接触している複数のクラッチ板(2)と、
前記クラッチ装置(1)を制御する制御ユニット(3)とを少なくとも備え、
前記クラッチ装置(1)は、前記クラッチ装置(1)の動作時間(4、5)において、複数回較正され、
前記方法は、
a)第1較正(6)を第1時点(7)にて実行し、前記第1較正(6)に続く第2較正(8)を第2時点(9)にて実行するステップであって、
前記第1時点(7)及び前記第2時点(9)は、前記クラッチ装置(1)の第1動作時間(4)の範囲内にあり、第1間隔(10)の範囲内で起きるステップと、
b)後続の第2動作時間(5)における第3時点(12)にて第3較正(11)を少なくとも1回実行するステップであって、
前記第3較正(11)に先行する較正は、前記第3時点(12)に対して第2間隔(13)の範囲内で実行される、ステップと
を少なくとも含み、
前記間隔(10、13)は、自動車(15)の走行距離(14)に応じて、又は、前記クラッチ装置(1)へのエネルギー投入量(16)に応じて、前記制御ユニット(3)により決定され、
前記第1間隔(10)は前記第2間隔(13)よりも短い
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1間隔(10)は、前記エネルギー投入量(16)に応じて決定され、
前記第2間隔(13)は、前記走行距離(14)に応じて決定される
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、
前記第1動作時間(4)における前記各第1間隔(10)は、前記エネルギー投入量(16)に応じて決定され、
前記第1間隔は、30kJ[キロジュール]未満である
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第2間隔(13)は、前記エネルギー投入量(16)に応じて決定可能であり、
前記第2間隔(13)は、少なくとも50kJ[キロジュール]である
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法であって、
前記複数のクラッチ板(2)は、カーボン板により形成される
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法であって、
少なくとも前記第1動作時間(4)において、前記クラッチ装置(1)を介して目標トルクを伝達することが要求される場合、
前記目標トルクに対する偏移が最大で10%の実トルクが伝達される
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法であって、
少なくとも前記第1動作時間(4)における前記クラッチ装置(1)の調整運転は、試験環境において、エネルギー投入量(16)を適用して前記クラッチ装置(1)のキス点の変化を前記エネルギー投入量(16)の関数として定めることにより決定され、
前記エネルギー投入量(16)と前記キス点との関係は、前記制御ユニット(3)内に保存され、
前記クラッチ装置(1)の前記動作時間(4、5)において実行される前記エネルギー投入量(16)は、前記制御ユニット(3)により決定され、
少なくとも前記第1間隔(10)は、決定された前記エネルギー投入量(16)に応じて、前記制御ユニット(3)により決定される
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法であって、
第1間隔(10)又は第2間隔(13)を超過する場合、
自動車(15)の駆動ユニット(17)が再始動した直後に較正が実行される
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法であって、
第1間隔(10)又は第2間隔(13)を超過する場合、
自動車(15)の駆動ユニット(17)の前記動作時間(4、5)において較正が実行される
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1動作時間(4)は、エネルギー投入量(16)が少なくとも50kJ[キロジュール]のところまでを範囲とする
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチ装置を動作させる方法であって、特に多板クラッチ用、好ましくは、自動車のサイドシャフト上に配置されるクラッチ用のクラッチ装置を動作させる方法に関する。この方法によって、クラッチ装置のクラッチを係合することにより、自動車の駆動ユニットが車軸全体に接続し、トルクが伝達する(ここではクラッチ装置はブースタと呼ばれる)。または、この方法によって、クラッチ装置の2つのクラッチの各クラッチを係合することにより、自動車の駆動ユニットが自動車の車輪のうち1つのみに接続し、トルクが伝達する(ここではクラッチ装置はツインスター(商標)とも呼ばれる)。クラッチ装置は、相互に摩擦接触している少なくとも複数のクラッチ板と、クラッチ装置を制御する制御ユニットとを備える。
【背景技術】
【0002】
自動車で使用されるデフロック(ここではクラッチ装置として使用)の場合は、クラッチ装置を介した目標トルクの伝達を要求する際に、実際に伝達されるトルクを見積もること(のみ)が可能である。この見積値は、キス点を包含する特性曲線に基づいており、クラッチ装置の特性を表している。いわゆる「キス点」というのは、掴み点であり、つまり、クラッチ装置の状態が、又は、互いに摩擦接触するクラッチ板(クラッチ装置のクラッチ)の状態が、クラッチ板を介してトルクが駆動軸から出力軸に今まさに伝達される状態を意味し得る。この特性は、温度及び摩擦係数を考慮して、代表的なクラッチ装置に基づいてテスト環境で確定することができ、制御ユニットにこれを保存しておくことができる。自動車に取り付けられたクラッチ装置の動作時間において、クラッチ板が摩耗していき、摩擦係数が変化する。この結果、特性曲線がシフトし、実際に伝達される実トルクは、目標トルクから偏移する。この対策として、所定の走行距離後又は所定のエネルギー投入量後のいずれかにおいて、(ポストフロー(Nachlauf))較正が実施される。目標トルクと実トルクとの間の偏移を(実質的に)補償するために、較正によって摩耗を埋め合わせ、キス点を上げる(又は、クラッチ板同士がキス点に到達するために移動しなければならない距離の差を埋め合わせる)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
クラッチ装置の動作の改良は常に必要とされており、特に、クラッチ装置の動作時間において、実トルクと目標トルクとを、常時、高い精度で、確実に一致させることは、常に必要とされている。
【0004】
これを基づき、先行技術に関連した前述の問題を少なくとも部分的に解決することが本発明の目的である。特に、クラッチ装置の動作時間において、実トルクと目標トルクとを、常時、高い精度で確実に一致させることができるクラッチ装置を動作させる方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の特徴部分に記載の方法が前述の課題の解決に寄与する。更なる有利な実施形態が、従属請求項の主題事項である。各請求項それぞれの特徴は、技術的に有意な態様で組み合わせ可能であり、且つ、本発明の更なる実施形態を開示しているところの、本明細書の説明的な技術内容及び図の詳細により補完してもよい。
【0006】
クラッチ装置を動作させるための方法を提案する。クラッチ装置は、互いに接触している複数のクラッチ板と、クラッチ装置を制御する制御ユニットとを少なくとも備える。クラッチ装置の動作時間において、クラッチ装置は、複数回較正される。本方法は、
a)第1較正を第1時点にて実行し、第1較正に続く第2較正を第2時点にて実行するステップであって、第1時点及び第2時点は、クラッチ装置の第1動作時間内にあり、第1間隔の範囲内で起きるステップと、
b)後続の第2動作時間における第3時点にて第3較正を少なくとも1回実行するステップであって、第3較正に先行する較正は、第3時点に対して第2間隔の範囲内で実行されるステップと
少なくとも含む。これらの間隔は、自動車の走行距離に応じて、又は、クラッチ装置へのエネルギー投入量に応じて、制御ユニットにより決定される。第1間隔は第2間隔よりも短い。
【0007】
本方法は、特に、第1動作時間中のクラッチ板の調整運転を考慮することを目的としている。特にカーボン板の場合、第1動作時間(クラッチ装置の起動により開始する動作時間であり、クラッチ板は新しい状態から始動する動作時間)中に、顕著な調整運転が起こることが観察された。この場合、キス点の変化の程度、又は、クラッチ装置を係合させるためにクラッチ装置のアクチュエータが各クラッチ板を互いに向かってシフトさせる必要がある移動量の変化の程度が、特に大きい。調整運転の結果として、クラッチ装置の従来の較正と比較すると、目標トルクから実トルクへの30%までの偏移を検出することができた。
【0008】
本事例では、第1動作時間(クラッチ装置の起動により開始する動作時間であり、クラッチ板は新しい状態から始動する動作時間)中に較正(又は較正内に包含される較正工程)を実行するが、第1動作時間の後の第2動作時間において行われる較正とは異なり、特に高い反復頻度で実行することを提案する。
【0009】
較正は、特に、クラッチ装置を作動することを含み、例えば、クラッチ装置のクラッチの各クラッチ板が、クラッチの係合解除位置からキス点までシフトする。その際、これらのクラッチ板を介して(低い)トルクが伝達されるため、キス点を制御ユニットにより検出することができる。
【0010】
較正によりキス点の位置が変化する。そのため、所定のトルクを伝達するには、クラッチ装置のアクチュエータが、各クラッチ板を(変化したキス点の位置に応じて)変化した移動量の分だけシフトさせねばならない。ここでの目的は、目標トルクから実トルクへの偏移を可能な限り小さくすることである。
【0011】
第1動作時間において実行される較正は、特に、所定の第1間隔に従う較正工程において実行される。この場合、間隔は、自動車の走行距離(即ち、自動車の及びクラッチ装置の駆動キロメートルであり、クラッチ装置は自動車のパワートレイン内に取り付けられているものとする)のみに基づいて決まるか、又は、クラッチ装置内へのエネルギー投入量のみに基づいて決まる。
【0012】
第1間隔は、第2間隔よりも(時間的に)短い又は小さい。特に、(これらの間隔の比較のために)両方の間隔に同じ尺度を当てはめるならば、又は、当てはめようとするならば(即ち、両方の間隔を、走行距離又はエネルギー投入量のいずれかに同じように依拠して確定するならば)、第1間隔は第2間隔よりも小さい。
【0013】
エネルギー投入量[キロジュール]は、特に、クラッチ装置を介して(駆動軸から出力軸へ)及び各クラッチ板を介して伝達される仕事率[ワット]を時間積分したものである。エネルギー投入量は、例えば動作時間中に伝達される(駆動)トルクから決めることができ、必要に応じて、さらに、駆動軸及び出力軸の速度から決めることができる。特に、駆動軸により、自動車の駆動ユニットのトルクがクラッチ装置に伝達され、出力軸により、クラッチ装置から自動車の(少なくとも又は厳密には)車輪の1つにトルクが伝達される。
【0014】
特に、第1間隔は、エネルギー投入量に応じて決定され、第2間隔は、走行距離に応じて決定される。
【0015】
好ましくは、第1動作時間における各第1間隔は、エネルギー投入量に応じて決定され、これらの第1間隔は、30kJ[キロジュール]未満であり、特に20kJ未満であり、好ましくは10kJ以下である。いずれの場合も、第1間隔は、少なくとも2kJであり、好ましくは少なくとも5kJである。
【0016】
第2間隔は、(較正中に走行距離に応じて決定してもよいが)エネルギー投入量に応じて決定してもよい。第2間隔は、少なくとも50kJ[キロジュール]であり、特に少なくとも80kJであり、好ましくは少なくとも100kJである。特に、第2間隔は、大きくとも500kJである。
【0017】
ある実施形態によれば、本方法は、複数のクラッチ板がカーボン板により形成されるクラッチ装置を用いて実行される。
【0018】
特に、少なくとも第1動作時間において、クラッチ装置を介して目標トルクを伝達することが要求される場合、目標トルクに対する偏移が最大で10%の実トルク、好ましくは最大で5%の実トルクが伝達される。
【0019】
ある実施形態によれば、本クラッチ装置の又は代表的なクラッチ装置の、少なくとも第1動作時間において発生する調整運転は、試験環境(試験装置)において、エネルギー投入量を適用してエネルギー投入量に応じて変化するクラッチ装置のキス点を定めることにより決定される。このようにして決定されたエネルギー投入量とキス点との関係は、(自動車に取り付けられている同種のクラッチ装置の)制御ユニット内に保存される。(自動車に取り付けられている)クラッチ装置(クラッチ板は新しい状態から始動する)の動作中に得られるエネルギー投入量は、制御ユニットにより決まる。少なくとも第1間隔は、決められたエネルギー投入量に応じて、制御ユニットにより決定される。
【0020】
特に、第1間隔又は第2間隔を超過する場合、自動車の駆動ユニット(内燃エンジン又は電気機械又はその両方等)が再始動した直後に較正が実行される。
【0021】
特に、第1間隔又は第2間隔を超過する場合、自動車の駆動ユニットの動作中に較正が実行される。
【0022】
第1動作時間は、エネルギー投入量が(好ましくは0kJから始まり)特に少なくとも50kJ[キロジュール]のところ、好ましくは少なくとも80kJのところ、又は少なくとも100kJのところまでを範囲とする。
【0023】
自動車であって、駆動ユニット(自動車の推進用の内燃エンジンや電気駆動ユニット)と、クラッチ装置と、制御ユニットとを少なくとも備える自動車を提案する。制御ユニットは、ここに記載の本方法を実行するのに適しており、ここに記載の本方法を自動車の動作中に実施することができる。
【0024】
疑義を回避するために言えば、本明細書において使用する序数詞(「第1」、「第2」等)は、主として、幾つかの同じような対象物、数値、工程を区別するために(のみ)供されるものであり、すなわち、特に、これらの序数詞が、これら対象物、数値、工程の、互いに対する任意の依存関係や順序を必ずしも定めるものではない。依存関係や順序が必要である場合には、このことは本明細書において明記されるか、あるいは、実際に記載されている実施形態を検討することにより、当業者にとって明らかになる。
【0025】
以下で、図を参照して、本発明及び技術的背景をより詳細に説明する。本発明が図示する例示的な実施形態により限定されることを、意図しないことに言及されるべきである。特に、特段の記載のない限り、図で説明する技術内容の部分的特徴を抽出し、それらを他の構成要素及び本明細書や図からの知見と組み合わせることも可能である。同一の参照符号は同一の対象物を表記するものであり、他の図からの任意の説明を補足として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】自動車を略示する。
図2】クラッチ装置を略示する。
図3】エネルギー投入に対するアクチュエータの作動の第1線図を略示する。
図4】エネルギー投入に対するアクチュエータの作動の第2線図及び異なる各間隔を略示する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、駆動ユニット17と、クラッチ装置1とを備える自動車15を示す。クラッチ装置1は、自動車の1つの車軸上に配置されている。このクラッチ装置によって、駆動軸18を制御可能な態様で出力軸19に接続することができ、駆動ユニット17から車輪へトルクが伝送される。
【0028】
図2は、クラッチ装置1を示す。このクラッチ装置によって、駆動軸18を制御可能な態様で出力軸19に接続することができ、トルクが伝送される。クラッチ装置1の各クラッチ板2は、アクチュエータ20によって互いに向かって移動し、トルクを伝送するための接続を摩擦によりロックする態様で形成する。アクチュエータ20は、制御ユニット3によって動作する。
【0029】
図3は、(電気機械式)アクチュエータ20を作動させた場合の第1線図を示す。ここでは、クラッチ装置1のエネルギー投入量16(水平軸)に対して、電気駆動される車軸の角度増分21(垂直軸)を示す。曲線23は、クラッチ装置1内へのエネルギー投入量16に応じたキス点の変位を示す。
【0030】
クラッチ装置1の初期起動の後、クラッチ装置1の調整運転がしっかり行われ、即ち、クラッチ装置1の作動の後半のステージと比較して、初期起動の後はキス点の変位が大きいということが分かる。
【0031】
図4は、エネルギー投入量16又は走行距離14(水平軸)に対するアクチュエータ20の作動の第2線図を(図3のように)示し、且つ、異なる間隔10、13を示す。ここでも、曲線23は、変化する角度増分21(垂直軸)によりキス点の変位を示す。
【0032】
本方法のステップa)によれば、第1時点7にて第1較正6が実行され、第1較正6に続いて第2時点9にて第2較正8が実行される。第1時点7及び第2時点9は、クラッチ装置2の第1動作時間4内にあり、第1間隔10の範囲内で起きる。本方法のステップb)によれば、後続の第2動作時間5における第3時点12にて第3較正11が少なくとも1回実行され、第3較正11に先行する較正8、11は、第3時点12に対して第2間隔13の範囲内で実行される。間隔10、13は、制御ユニット3により、(初期段階では)クラッチ装置1へのエネルギー投入量16に応じて決定される(第2間隔13は、その後、自動車15又はクラッチ装置1の走行距離14に応じて決定される)。第1間隔10は第2間隔13よりも短い。
【0033】
本事例において、第1動作時間4中の較正6、8は、第1動作時間4の後の第2動作時間5又は第3動作時間22において行われる較正11とは異なり、つまり、高い反復頻度で実行される。
【0034】
第1動作時間4において実行される第1及び第2較正6、8は、所定の第1間隔10の範囲内の較正工程において実行される。この場合、第1間隔10は、クラッチ装置1内へのエネルギー投入量16のみに基づいて決定される。
【0035】
第2動作時間5において実行される第3較正11は、所定の第2間隔13の範囲内の較正工程において実行される。この場合、第2間隔13は、クラッチ装置1内へのエネルギー投入量16のみに基づいて決定される。
【0036】
第1間隔10は、第2間隔13よりも短い。
【0037】
第1動作時間4における各第1間隔10は、約20kJに相当する。第2動作時間5における各第2間隔は、約100kJに相当する。第1間隔10が短いことにより、第1動作時間4においてまさに行われている調整運転を、より良好に補償できることが分かる。また、これにより、クラッチ装置1の、キス点の変化をより良好に追えることが分かる。
【0038】
第2動作時間5において、第2間隔13は、エネルギー投入量に基づいて決まる。第2動作時間5に続く第3動作時間22においては、第2間隔13は、走行距離14に基づいて決まる。
【0039】
第1動作時間4は、エネルギー投入量16が0kJから約100kJのところまでの範囲である。第2動作時間5は、第1動作時間4の後に続く時間であり、エネルギー投入量16が約300kJのところまでの範囲である。第3動作時間22は、第2動作時間5の後に続く時間であり、第2動作時間5の後からクラッチ装置1の動作時間が終了するところまでの範囲である。
【符号の説明】
【0040】
1 クラッチ装置
2 クラッチ板
3 制御ユニット
4 第1動作時間
5 第2動作時間
6 第1較正
7 第1時点
8 第2較正
9 第2時点
10 第1間隔
11 第3較正
12 第3時点
13 第2間隔
14 走行距離
15 自動車
16 エネルギー投入量
17 駆動ユニット
18 駆動軸
19 出力軸
20 アクチュエータ
21 角度増分
22 第3動作時間
23 曲線
図1
図2
図3
図4