特許第6987253号(P6987253)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987253
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/38 20060101AFI20211213BHJP
   H01H 33/59 20060101ALI20211213BHJP
   H01H 33/42 20060101ALI20211213BHJP
   H01H 9/54 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   H01H33/38 A
   H01H33/59 L
   H01H33/59 P
   H01H33/42 Q
   H01H9/54 H
   H01H9/54 J
【請求項の数】7
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2020-534091(P2020-534091)
(86)(22)【出願日】2019年6月14日
(86)【国際出願番号】JP2019023705
(87)【国際公開番号】WO2020026609
(87)【国際公開日】20200206
【審査請求日】2020年6月15日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2018/028742
(32)【優先日】2018年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】森 貢
(72)【発明者】
【氏名】三ケ田 祐也
(72)【発明者】
【氏名】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】今枝 隆之介
(72)【発明者】
【氏名】相良 雄大
(72)【発明者】
【氏名】森岡 遼太
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−166085(JP,A)
【文献】 特開平07−130254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/38
H01H 33/59
H01H 33/42
H01H 9/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
固定接点が取り付けられ前記筐体に固定された固定端子と、
前記固定接点に対向する可動接点が取り付けられた可動子と、
直線状に移動するプランジャを有する電磁ソレノイドと、
前記プランジャの移動に伴って前記可動子を移動させて、前記可動接点が前記固定接点と開離する遮断状態から前記可動接点が前記固定接点に接触して通電する投入状態へ変化させる伝達機構と、
前記伝達機構に係合して前記投入状態の保持を行い、かつ前記伝達機構との係合を解除して前記投入状態の保持を解除する引き外し機構と
前記電磁ソレノイドのコイルへ通電して前記電磁ソレノイドを駆動する駆動回路と、を備え、
前記伝達機構は、
前記プランジャの移動に伴って前記筐体に固定の第1の軸心回りに回転するレバーと、
一端部が前記レバーの一端部に回転可能に連結され、他端部が前記可動子に回転可能に連結された絶縁バーと、
前記レバーの他端部に取り付けられた係合部と、を備え、
前記引き外し機構は、
前記係合部に向かう方向に付勢された状態で前記筐体に回転可能に取り付けられており、前記遮断状態から前記投入状態へ移行する投入過程で前記係合部と接触した状態を維持し、前記投入状態で前記係合部と係合して前記レバーの前記第1の軸心回りの回転を規制するトリップレバーと、
前記トリップレバーの回転の規制および前記規制の解除を行うトリップバーと、を備える
ことを特徴とする遮断器。
【請求項2】
前記トリップレバーは、
前記第1の軸心を中心とする円弧形状を有し、前記投入過程で前記係合部が移動可能に接触する円弧部と、
前記投入状態において前記係合部と係合する凹部と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の遮断器。
【請求項3】
前記トリップバーは、
円弧部分と平坦部分とが形成され、前記筐体に固定された第2の軸心回りに回転する半円部を備え、
前記トリップレバーは、
前記遮断状態で前記半円部の前記平坦部分に接触して回転が規制され、前記投入状態で前記半円部の前記円弧部分に接触して回転が規制される
ことを特徴とする請求項に記載の遮断器。
【請求項4】
前記駆動回路は、
ダイオードと前記ダイオードに流れる電流を低減する電流低減部との直列体を備え、前記直列体は、前記電磁ソレノイドのコイルに並列接続される
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかつに記載の遮断器。
【請求項5】
前記電流低減部は、抵抗、または、抵抗およびコンデンサを含む
ことを特徴とする請求項4に記載の遮断器。
【請求項6】
前記固定接点と前記可動接点との接触によって導通状態になる電路の過電流または漏電を検出し、検出した結果を示す検出信号を出力する検出部を備え、
前記駆動回路は、
前記検出部から出力される検出信号に基づいて、前記コイルへの通電を停止する
ことを特徴とする請求項5に記載の遮断器。
【請求項7】
前記固定接点と前記可動接点との接触によって導通状態になる電路の過電流または漏電が発生した場合に引き外し指令を出力する引き外しリレーを備え、
前記駆動回路は、
オンスイッチがオン操作された場合に前記電磁ソレノイドを駆動するためのオン信号を出力し、前記電磁ソレノイドのプランジャが投入状態になる動作と連動するマイクロスイッチからの信号に基づき前記オン信号の出力を停止する第1制御回路と、
前記第1制御回路から前記オン信号が出力されている間、前記引き外しリレーからの前記引き外し指令の出力を可能にする第2制御回路と、を備える
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかつに記載の遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投入動作に電磁ソレノイドを利用する遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁ソレノイドを投入動作に利用する遮断器が知られている。例えば、特許文献1には、電磁石のプランジャと可動接触子とを連動させる伝達機構としてリンク機構を有し、電磁石のコイルへの通電によってプランジャを移動させることにより、可動接触子を固定接触子に投入するようにした遮断器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−44927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遮断器において、電磁ソレノイドによる投入動作後の状態である投入状態を引き外し機構によって保持する場合、かかる投入状態を解除する動作である引き外し動作を引き外し機構によって容易に行えることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、引き外し動作を容易に行うことができる遮断器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の遮断器は、筐体と、固定端子
と、可動子と、電磁ソレノイドと、伝達機構と、引き外し機構と、駆動回路とを備える。固定端子は、固定接点が取り付けられ筐体に固定される。可動子は、固定接点に対向する可動接点が取り付けられる。電磁ソレノイドは、直線状に移動するプランジャを有する。伝達機構は、プランジャの移動に伴って可動子を移動させて、可動接点が固定接点と開離する遮断状態から可動接点が固定接点に接触して通電する投入状態へ変化させる。引き外し機構は、伝達機構に係合して投入状態の保持を行い、かつ伝達機構との係合を解除して投入状態の保持を解除する。駆動回路は、電磁ソレノイドのコイルへ通電して電磁ソレノイドを駆動する。伝達機構は、プランジャの移動に伴って筐体に固定の第1の軸心回りに回転するレバーと、一端部がレバーの一端部に回転可能に連結され、他端部が可動子に回転可能に連結された絶縁バーと、レバーの他端部に取り付けられた係合部と、を備え、引き外し機構は、係合部に向かう方向に付勢された状態で筐体に回転可能に取り付けられており、遮断状態から投入状態へ移行する投入過程で係合部と接触した状態を維持し、投入状態で係合部と係合してレバーの第1の軸心回りの回転を規制するトリップレバーと、トリップレバーの回転の規制および規制の解除を行うトリップバーと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、引き外し動作を容易に行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1にかかる遮断器の構成例を示す断面図
図2図1に示す引き外し機構の拡大図
図3】実施の形態1にかかる駆動回路を含む遮断器の電気回路の構成例を示す図
図4】実施の形態1にかかる駆動回路の具体的な構成の一例を示す図
図5】実施の形態1にかかる遮断器の遮断状態を示す構成図
図6図5に示す引き外し機構の拡大図
図7】実施の形態1にかかる遮断器の接点当接開始瞬間の状態を示す構成図
図8図7に示す引き外し機構の拡大図
図9】実施の形態1にかかる遮断器の最大投入位置に達した状態を示す構成図
図10図9に示す引き外し機構の拡大図
図11図9に示す状態からトリップレバーが回転した後の引き外し機構の拡大図
図12】実施の形態1にかかる遮断器の投入完了位置に達した状態を示す構成図
図13図12に示す引き外し機構の拡大図
図14】実施の形態1にかかる電流低減部と制御スイッチの構成例を示す図
図15】実施の形態1にかかる電流低減部と制御スイッチの構成例を示す図
図16】実施の形態1にかかる電流低減部と制御スイッチの構成例を示す図
図17】実施の形態1にかかる鉄心プランジャの移動位置と電磁ソレノイドにかかる負荷量との関係を示す図
図18】MCR機構の構成例を示す図
図19】MCR機構の構成例を示す図
図20】本発明の実施の形態2にかかる駆動回路を含む遮断器の電気回路の構成例を示す図
図21】実施の形態2にかかる遮断器のMCR機能を説明するためのタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態にかかる遮断器を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
実施の形態1にかかる遮断器は、低電圧配電線といった電路を開閉する気中遮断器であり、過電流および漏電の少なくとも一方を検出して電路を遮断する。以下においては、説明の便宜上、Z軸正方向を上方とし、Z軸負方向を下方とし、X軸正方向を右方とし、X軸負方向を左方とし、Y軸正方向を前方とし、Y軸負方向を後方とする。また、以下において、時計回りおよび反時計回りとは、後述する図面上において時計回りおよび反時計回りであることを意味する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態1にかかる遮断器の構成例を示す図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる遮断器1は、絶縁部材で形成された筐体2と、筐体2の壁部2aを貫通して筐体2に各々取り付けられた電源側端子3および負荷側端子4と、筐体2の内部において負荷側端子4に一端部5aが接続された可撓性導体5とを備える。また、遮断器1は、可撓性導体5の他端部5bに一端部6aが接続された可動子6と、筐体2の内部において筐体2に一端部7aが回転可能に取り付けられた可動子ホルダ7と、可動子ホルダ7の他端部7bと可動子6の他端部6bに一端部と他端部とが取り付けられた接圧バネ8とを備える。
【0012】
電源側端子3は、筐体2の外部において不図示の電源側導体に接続され、負荷側端子4は、筐体2の外部において不図示の負荷側導体に接続される。電源側端子3は、筐体2の内部において固定接点10が電気的に接続され、可動子6の他端部6bには、可動接点11が電気的に接続されている。電源側端子3と負荷側端子4は互いに離して固定されている。図1に示す例では、電源側端子3が負荷側端子4の上方に配置されているが、負荷側端子4が電源側端子3の上方に配置されていてもよい。
【0013】
可撓性導体5は、可撓性を有する導体であり、一端部5aが負荷側端子4に接続され他端部5bが可動子6に接続される。かかる可撓性導体5によって負荷側端子4と可動子6とが電気的に接続される。上述したように可動接点11は可動子6に電気的に接続されており、可動接点11が固定接点10に接触することによって、遮断器1は電源側端子3と負荷側端子4とが電気的に接続されて通電する投入状態になる。可動接点11が固定接点10から開離することによって、遮断器1は電源側端子3と負荷側端子4とが電気的に遮断される遮断状態になる。
【0014】
可動子ホルダ7の一端部7aは、ホルダ軸12によってホルダ軸心12aを中心として回転可能に筐体2に取り付けられている。また、可動子ホルダ7の中途部7cは、連結ピン13によって回転可能に可動子6の一端部6aに取り付けられている。可動子ホルダ7には、可動子ストッパ9が設けられる。
【0015】
可動子ストッパ9は、可動子ホルダ7に対して可動子6が連結ピン13を中心に回転する角度に対して制限を与える。可動子6は、図1に示す状態で一端部6aが可動子ストッパ9に当接している。そのため、可動子6の他端部6bが可動子ホルダ7の他端部7bから離れる方向へ回転することが可動子ストッパ9により規制されているが、可動子6の他端部6bが可動子ホルダ7の他端部7bに近づく方向へ回転することは可能である。
【0016】
接圧バネ8は、固定接点10に可動接点11を圧接するためのバネである。接圧バネ8は、図1に示す状態において、自然長よりも短く蓄勢された状態であり、予め一定の初期接圧を有する状態となっている。そのため、可動子6の他端部6bが可動子ホルダ7の他端部7bに近づく方向に回転した場合、可動子6の他端部6bと可動子ホルダ7の他端部7bとの距離が小さくなり、接圧バネ8がさらに蓄勢される。
【0017】
また、遮断器1は、遮断器1の投入アクチュエータとして筐体2の内部に配設される電磁ソレノイド20と、電磁ソレノイド20の駆動力を可動子6に伝達して、可動接点11の固定接点10への接触および開離を行う伝達機構30と、伝達機構30と筐体2とに一端部と他端部とが取り付けられた開極バネ40と、投入状態を維持し且つ投入状態を解除する引き外し機構50と、電磁ソレノイド20を駆動する駆動回路70とを備える。なお、駆動回路70の配置は図1に示す配置に限定されない。
【0018】
電磁ソレノイド20は、磁性体で形成されたヨーク21と、不図示のボビンに巻かれてヨーク21の内側に固定された投入用コイル22と、上下方向に直線状に往復移動可能な鉄心プランジャ23と、鉄心プランジャ23の上部に形成される突出部24とを備える。電磁ソレノイド20および筐体2の少なくとも一方には、鉄心プランジャ23の移動方向を上下方向に案内するための不図示のガイドが設けられており、かかるガイドによって、鉄心プランジャ23は上下方向にのみ変位可能である。なお、鉄心プランジャ23と突出部24とは固定されていればよく、鉄心プランジャ23と突出部24との固定方法は問わない。
【0019】
駆動回路70による投入用コイル22への通電によって、電磁ソレノイド20に電磁吸引力が発生する。かかる電磁吸引力の発生により、鉄心プランジャ23は、上方向へ移動していき、鉄心プランジャ23と投入用コイル22の内部とのギャップ25がなくなったところで鉄心プランジャ23の移動が制限され鉄心プランジャ23が物理的に停止する。このように、鉄心プランジャ23が停止する位置は、鉄心プランジャ23が最も上方向になる位置であり、以下において、最大投入位置または最大移動位置と記載する。なお、鉄心プランジャ23が停止する構造は、上述した例に限定されない。例えば、鉄心プランジャ23の下部に突出部を設け、かかる突出部が投入用コイル22のボビンまたはヨーク21に係止されることで、鉄心プランジャ23が物理的に停止する構成であってもよい。
【0020】
鉄心プランジャ23の位置が最大投入位置になってから一定時間が経過した後、電磁ソレノイド20は、投入用コイル22への通電が停止されることにより電磁吸引力の発生を停止する。電磁ソレノイド20の電磁吸引力がなくなることにより、鉄心プランジャ23は、例えば、鉄心プランジャ23の自重および開極バネ40の開極力によって最大投入位置から下方向へ向けた力が働く。
【0021】
伝達機構30は、電磁ソレノイド20の突出部24に回転可能に一端部31aが連結された連結リンク31と、連結リンク31の他端部31bに回転可能に連結されたレバー32と、レバー32の一端部32aに回転可能に連結された絶縁バー33とを備える。
【0022】
連結リンク31の一端部31aは、連結ピン34によって電磁ソレノイド20の突出部24に回転可能に連結され、連結リンク31の他端部31bは、連結ピン35によってレバー32に回転可能に連結される。
【0023】
レバー32は、筐体2に対して絶対位置が固定されたレバー軸心36を中心に回転可能にレバー軸37に取り付けられる。レバー32は、レバー軸37よりも引き外し機構50側の領域が連結リンク31の他端部31bに連結ピン35によって連結される。また、遮断器1の伝達機構30は、係合ピン51を備えており、係合ピン51は、レバー32の他端部32bに固定されている。
【0024】
絶縁バー33は、一端部33aがレバー32の一端部32aに回転可能に連結ピン38によって連結され、他端部33bが連結ピン13によって回転可能に可動子6の一端部6aに取り付けられている。絶縁バー33は、樹脂といった電気絶縁性の高い材料で構成されている。そのため、遮断器1が通電状態である場合に電源側端子3と負荷側端子4との間を流れる電流がレバー32を通じて漏電しない。なお、絶縁バー33の全体が絶縁素材である必要はなく、連結ピン13と連結ピン38との間で絶縁状態となっていれば、一部が導体から構成されていてもよい。
【0025】
レバー32および絶縁バー33は、レバー軸心36とホルダ軸心12aとを固定の回転中心とした4節リンクにおけるトグル機構を構成している。そのため、レバー軸心36と連結ピン38と連結ピン13とが直線状に配置される死点に近づくほど、小さい力で伝達機構30を駆動することができる。突出部24、連結リンク31、レバー32、絶縁バー33、可動子6および可動子ホルダ7は、リンク構造を構成している。
【0026】
開極バネ40は、上述したように、レバー32と筐体2とに一端部と他端部とが取り付けられており、開極バネ40の弾性復元力によって伝達機構30を後述する遮断状態位置へ変位させる方向に付勢している。
【0027】
引き外し機構50は、上述したように、投入状態を維持し且つ投入状態を解除する機能を有する。図2は、図1に示す引き外し機構の拡大図である。なお、図2では、遮断器1の筐体2を破線で示している。
【0028】
図2に示すように、引き外し機構50は、レバー32の他端部32bに固定された係合ピン51に係合するトリップレバー52と、トリップレバー52と筐体2とに一端部と他端部とが取り付けられた第1のリセットバネ53とを備える。また、引き外し機構50は、不図示のアクチュエータの駆動力で回転するトリップバー54と、トリップバー54と筐体2とに一端部と他端部とが取り付けられた第2のリセットバネ55とを備える。
【0029】
係合ピン51は、レバー32の延伸方向と直交する右方にレバー32から突出している。トリップレバー52は、一端部52aには投入過程において係合ピン51と接触する円弧面を有する円弧部56が形成されており、他端部52bが筐体2に固定のトリップレバー軸心60周りに回転可能に取り付けられている。また、トリップレバー52の中途部には、後方側に凹んだ凹部52cが形成されている。かかる凹部52cには、投入状態において係合ピン51と係合する係合面57が形成されている。さらに、トリップレバー52の他端部52bのうち前方側の領域にトリップバー54と係合する係合部59が設けられている。
【0030】
トリップバー54の一端部54aは、トリップバー軸心61を中心に回転可能に筐体2に取り付けられており、トリップバー軸心61を中心とした半円状の半円部58を有している。半円部58は、円弧面を有する円弧部分58aと平坦面を有する平坦部分58bとによって形成されている。
【0031】
不図示のアクチュエータの駆動力で半円部58がトリップバー軸心61を中心として回転し半円部58の円弧部分58aがトリップレバー52の他端部52bに形成された係合部59に係合することで、トリップレバー52の一端部52aの前方側への回転が規制される。
【0032】
第2のリセットバネ55は、上方に向いているトリップバー54の他端部54bを、トリップバー軸心61を中心として前方に向かう方向に回転させる方向へトリップバー54を付勢している。すなわち、第2のリセットバネ55は、トリップバー54を時計回りに付勢している。
【0033】
図3は、実施の形態1にかかる駆動回路を含む遮断器の電気回路の構成例を示す図である。図3に示すように、実施の形態1にかかる遮断器1は、投入用コイル22への通電を行う駆動回路70と、遮断器1の正面に設けられた内部オンスイッチ71と、遮断器1から離れた位置からの遮断器1のオン操作を可能とする外部オンスイッチ72とを備える。遮断器1上部に設けられた端子台に制御電源73が接続されることで、駆動回路70に電力が供給される。
【0034】
また、遮断器1は、遮断器1の正面に設けられた図示しないオフ操作ボタンに連動する内部オフスイッチ74と、遮断器1から離れた位置からの遮断器1のオフ操作を可能とする引き外し付属装置75とを備える。引き外し付属装置75は、駆動回路70の電圧が基準値より低下した場合に、遮断器1を自動的に引き外す制御を行うことができる。
【0035】
また、遮断器1は、電路の過電流または漏電を検出する検出部76と、不図示のアクチュエータを駆動するトリップ用コイル77と、トリップ用コイル77への通電を行う駆動回路78とを備える。検出部76は、1次側が電路に設けられた変流器97と、変流器97の2次側に接続された引き外しリレー98とを備える。引き外しリレー98は、変流器97の2次側電流に基づいて過電流または漏電を検出し、ハイレベルの電圧を引き外し指令として出力する。なお、検出部76は、過電流または漏電を検出して引き外し指令を出力する構成であればよく、図3に示す例に限定されない。
【0036】
駆動回路78は、検出部76から引き外し指令が出力された場合に、トリップ用コイル77への通電を行う。トリップ用コイル77への通電が行われると、不図示のアクチュエータが駆動され、かかるアクチュエータにより図2に示すトリップバー54が反時計回りに回転するように駆動される。これにより、引き外し機構50の伝達機構30との係合が解除される。そのため、可動接点11が固定接点10から開離し、遮断器1が遮断状態になる。
【0037】
駆動回路70は、内部オンスイッチ71を用いたオン操作がある場合または外部オンスイッチ72を用いたオン操作がある場合に、投入用コイル22に電流を流して、投入用コイル22の通電を行う。これにより、鉄心プランジャ23が移動し、固定接点10と可動接点11とが接触して、遮断器1が通電状態になる。
【0038】
また、駆動回路70は、内部オフスイッチ74を用いたオフ操作がある場合、引き外し付属装置75を用いたオフ操作がある場合、または駆動回路70の電圧が基準値より低下した場合、投入用コイル22への通電を停止する。また、駆動回路78は、内部オフスイッチ74を用いたオフ操作がある場合、引き外し付属装置75を用いたオフ操作がある場合、または駆動回路70の電圧が基準値より低下した場合、トリップ用コイル77への通電を行う。
【0039】
図4は、実施の形態1にかかる駆動回路の具体的な構成の一例を示す図である。図4に示すように、実施の形態1にかかる駆動回路70は、整流回路80と、定電圧回路81と、制御回路83と、制御スイッチ84と、直列体85と、抵抗R1,R2,R3とを備える。なお、駆動回路70は、抵抗R4を含む構成であってもよい。
【0040】
整流回路80は、制御電源73から出力される交流電圧を整流して直流電圧Vaへ変換する。定電圧回路81は、整流回路80から出力される直流電圧Vaを降圧して定電圧Vbを出力する。定電圧Vbは、例えば、24Vである。制御回路83は、内部オンスイッチ71、外部オンスイッチ72、内部オフスイッチ74、および引き外し付属装置75の各々の状態、および検出部76による過電流または漏電の検出結果などに基づいて、制御スイッチ84をオン状態またはオフ状態にする。
【0041】
制御スイッチ84は、一端に直流電圧Vaが供給される投入用コイル22の他端とグランドとの間に接続されており、投入用コイル22の他端とグランドとの間の接続および遮断を行う。制御スイッチ84がオン状態である場合、投入用コイル22の他端とグランドとの間が短絡状態であり、投入用コイル22への励磁電流の供給が行われる。また、制御スイッチ84がオフ状態である場合、投入用コイル22の他端とグランドとの間が遮断状態であり、投入用コイル22への励磁電流の供給が停止される。
【0042】
直列体85は、電磁ソレノイド20の投入用コイル22に並列接続される。直列体85は、ダイオード86と電流低減部87とが直列に接続されて構成される。ダイオード86は、アノードが制御スイッチ84に接続され、カソードが電流低減部87の一端に接続される。電流低減部87の他端には、直流電圧Vaが印加される。
【0043】
かかる電流低減部87は、制御スイッチ84がオン状態からオフ状態になって投入用コイル22の通電が停止された場合に、ダイオード86を介して投入用コイル22に流れる還流電流を低減する。かかる電流低減部87によって、伝達機構30が複雑な構成をとることなく、後述するように、遮断器1の投入動作開始直後に遮断を行うことができる。
【0044】
制御回路83は、論理和回路91,95と、ラッチ回路92と、論理積回路93と、論理否定回路94と、端子T1,T2,T3,T4,T5,T6とを備える。端子T1は、内部オンスイッチ71に接続される。端子T2は、外部オンスイッチ72に接続される。端子T3は、内部オフスイッチ74および引き外し付属装置75を含むスイッチブロックに接続される。端子T4は、検出部76の出力端子に接続される。端子T5は、鉄心プランジャ23が投入状態となる動作と連動するマイクロスイッチ88に接続される。
【0045】
論理和回路91は、端子T1に一方の入力端子が接続され、端子T2に他方の入力端子が接続されている。論理和回路91は、内部オンスイッチ71または外部オンスイッチ72から投入信号が出力された場合に、ラッチ回路92に投入信号を出力する。図4に示す例では、内部オンスイッチ71または外部オンスイッチ72が短絡することで投入信号としてハイレベルの電圧が論理和回路91へ入力され、論理和回路91から投入信号としてハイレベルの電圧がラッチ回路92へ出力される。
【0046】
ラッチ回路92は、例えば、制御スイッチ84をオン状態にしていない状態で、論理和回路91から投入信号が出力されると、オン信号としてハイレベルの電圧を論理積回路93に一定時間出力する。なお、ラッチ回路92は、タイマー回路を内蔵しており、オン信号を出力してから一定時間が経過すると、オフ信号としてローレベルの電圧を論理積回路93に出力する。
【0047】
論理積回路93は、内部オフスイッチ74または引き外し付属装置75から遮断信号が入力される端子T3に一方の入力端子が接続されており、他方の入力端子がラッチ回路92の出力端子に接続されている。論理積回路93は、内部オフスイッチ74または引き外し付属装置75から遮断信号が出力されていない状態で、ラッチ回路92からオン信号が出力されると、制御スイッチ84にハイレベルの電圧をオン信号として出力する。なお、図4に示す例では、遮断信号は、ローレベルの電圧である。
【0048】
制御スイッチ84は、入力端子が端子T6に接続されており、論理積回路93から端子T6を介してオン信号が出力された場合、オン状態になる。制御スイッチ84がオン状態になることで、投入用コイル22への励磁電流の供給が行われる。これにより、鉄心プランジャ23による投入動作が開始する。
【0049】
また、論理積回路93は、ラッチ回路92からオフ信号が出力された場合、または内部オフスイッチ74または引き外し付属装置75から遮断信号が出力された場合、制御スイッチ84にローレベルの電圧をオフ信号として出力する。制御スイッチ84は、論理積回路93から出力される信号がオン信号からオフ信号になった場合、オン状態からオフ状態に切り替わる。制御スイッチ84がオフ状態になることで、投入用コイル22への励磁電流の供給が停止される。
【0050】
論理和回路95は、3入力1出力の論理和回路である。論理和回路95は、第1の入力端子が端子T4に接続され、第2の入力端子が論理否定回路94の出力端子に接続され、第3の入力端子が端子T5に接続される。なお、論理否定回路94の入力端子は、端子T3に接続されている。
【0051】
論理和回路95は、検出部76から引き外し指令が出力された場合、内部オフスイッチ74または引き外し付属装置75から遮断信号が出力された場合、またはマイクロスイッチ88からハイレベルの電圧が出力された場合、ハイレベルの電圧をリセット信号としてラッチ回路92に出力する。ラッチ回路92は、オン信号を出力している状態で、論理和回路95からリセット信号が出力された場合、出力信号をオン信号からオフ信号へ切り替える。なお、制御回路83の構成は図4に示す構成に限定されず、制御回路83は、上述した機能を実現することができる回路であればよい。
【0052】
以上のように構成された遮断器1の動作について、具体的に説明する。図5は、実施の形態1にかかる遮断器の遮断状態を示す構成図であり、図6は、図5に示す引き外し機構の拡大図である。図7は、実施の形態1にかかる遮断器の接点当接開始瞬間の状態を示す構成図であり、図8は、図7に示す引き外し機構の拡大図である。図9は、実施の形態1にかかる遮断器の最大投入位置に達した状態を示す構成図であり、図10は、図9に示す引き外し機構の拡大図であり、図11は、図9に示す状態からトリップレバーが回転した後の引き外し機構の拡大図である。図12は、実施の形態1にかかる遮断器の投入完了位置に達した状態を示す構成図であり、図13は、図12に示す引き外し機構の拡大図である。なお、図5から図13において、筐体2を破線で示している。
【0053】
図5に示すように、遮断器1が遮断状態にある場合、電磁ソレノイド20を構成する鉄心プランジャ23は、開極バネ40によって最下部に達して筐体2と物理的に接触しており、これ以上、下方に降下することはできない。このとき、ギャップ25の大きさは最大となっている。
【0054】
また、鉄心プランジャ23が最下部にある場合、レバー32の他端部32bは、一端部32aよりも下方に位置しており、トリップレバー52の一端部52aと左右方向で対向する位置にある。また、トリップレバー52の一端部52aは、第1のリセットバネ53の弾性復元力によって後方へ張力が与えられている。そのため、レバー32の他端部32bに取り付けられた係合ピン51は、トリップレバー52の一端部52aに形成された円弧部56と接触した状態になっている。
【0055】
遮断器1が遮断状態にある場合、可動子ホルダ7の可動子ストッパ9によって可動子6の他端部6bが可動子ホルダ7の他端部7bから離れる方向への可動子6の回転、すなわち可動子6の時計回りの回転が制限される。そして、接圧バネ8は、上述したように予め一定の初期接圧を有する状態となっているため、固定接点10からの可動接点11への押し付け反力が初期接圧を越えない限りにおいて、可動子ストッパ9から可動子6の一端部6aが離れない。
【0056】
図5に示すように、遮断器1が遮断状態である場合、可動子6の可動接点11と固定接点10との物理的な最短距離である開離距離は最大となっている。図5に示す状態において、図6に示すように、トリップバー54における半円部58の平坦部分58bが、トリップバー54を時計回りに回転させようとする第2のリセットバネ55による弾性復元力によって、トリップレバー52の他端部52bに形成された係合部59の角部分に接触している。そのため、トリップレバー52の回転が制限され、図6に示す状態が維持される。
【0057】
また、トリップレバー52の一端部52aは、トリップレバー52の一端部52aが後方へ向かうようにトリップレバー52を時計回りに回転させようとする第1のリセットバネ53の弾性復元力により、円弧部56においてレバー32の係合ピン51と接触している。これにより、トリップレバー52の時計回りの回転が制限され、図6に示す状態が維持される。
【0058】
次に、遮断器1が遮断状態にある状態において、電磁ソレノイド20の投入用コイル22への通電を行う駆動回路70の動作について図4を参照して説明する。なお、以下においては、制御電源73が駆動回路70に電力を供給しており、かつ整流回路80および定電圧回路81が正常に動作しているものとする。
【0059】
遮断器1が遮断状態にある状態において、内部オンスイッチ71または外部オンスイッチ72がオン操作によって短絡されると、内部オンスイッチ71または外部オンスイッチ72から制御回路83へ投入信号が出力される。制御回路83は、内部オンスイッチ71または外部オンスイッチ72から投入信号が出力されると、制御スイッチ84にオン信号を出力する。これにより、投入用コイル22への通電が行われる。
【0060】
駆動回路70により投入用コイル22への通電が行われると、図7に示すように、鉄心プランジャ23が上方へ移動する。鉄心プランジャ23の上方への移動によって、レバー32がレバー軸心36を中心に回転し、レバー32と絶縁バー33との連結角度が小さくなっていく。連結角度は、レバー32の延伸方向と絶縁バー33の延伸方向とが為す角度であり、遮断器1が図5に示す状態から図7に示す状態へ変化するにつれて連結角度が小さくなる。
【0061】
連結角度が小さくなるにつれて、可動子6が前方へ移動していき、固定接点10と可動接点11とが接触する。可動接点11と固定接点10が当接を開始した瞬間の状態が接点当接開始状態である。このとき、電源側端子3と負荷側端子4との間が固定接点10と可動接点11と可撓性導体5を通じて通電状態となる。
【0062】
また、図6および図8に示すように、レバー軸心36を中心に回転可能なレバー32の先端に取り付けられている係合ピン51は、連結角度が小さくなるにつれて、第1のリセットバネ53によって弾性復元力が与えられたトリップレバー52と接触した状態を維持したまま、トリップレバー52の一端部52aに形成された円弧部56を摺動する。
【0063】
トリップレバー52の円弧部56は、レバー32のレバー軸心36を中心とする円弧で形成されている。そのため、図6に示す状態から図8に示す状態に至るまでの間、係合ピン51が移動してもトリップレバー52の位置は変化しない。
【0064】
遮断器1が接点当接開始状態に達したとき、可動子6は、可動子ホルダ7に設けられた可動子ストッパ9で時計回りの回転が制限されているが、反時計回りの回転は可能である。鉄心プランジャ23が図7に示す接点当接開始状態からさらに前進すると、可動子6の他端部6bに取り付けられた可動接点11に対して固定接点10からの接触反力が増加するため、可動子6の他端部6bが連結ピン13を中心に反時計回りに回転して可動子ホルダ7の他端部7bに近づく。そのため、図7に示す状態から接圧バネ8がさらに蓄勢される。
【0065】
図9に示すように、鉄心プランジャ23の上方への移動によって鉄心プランジャ23の位置が最大投入位置になると、可動接点11が固定接点10からの接触反力によって可動子6の可動子ホルダ7に対する回転の角度が最大となっており、接圧バネ8の蓄勢量も最大となっている。
【0066】
また、鉄心プランジャ23の位置が最大投入位置になると、図10に示すように、トリップレバー52の円弧部56を摺動していた係合ピン51は、トリップレバー52の円弧部56を通過してトリップレバー52の係合面57の上部に達する。そのため、係合ピン51は、トリップレバー52と瞬間的に非接触状態となる。
【0067】
係合ピン51によって時計回りの回転が制限されていたトリップレバー52は、係合ピン51との関係が非接触状態に変化すると時計回りの回転の規制が解除される。そのため、図11に示すように、トリップレバー52の凹部52cは、第1のリセットバネ53の弾性復元力によって時計回りに回転し、係合ピン51に接触する。係合ピン51がトリップレバー52の凹部52cと接触することによって、トリップレバー52の時計回りの回転が規制される。
【0068】
また、係合ピン51がトリップレバー52の係合面57の上部に達してトリップレバー52が回転すると、トリップレバー52によって時計回りの回転が制限されていたトリップバー54が第2のリセットバネ55の弾性復元力によって時計回りに回転し、図10および図11に示すように、半円部58の円弧部分58aが係合部59の上方に回り込んで停止する。なお、遮断器1には、トリップバー54の回転を規制する不図示のストッパが設けられており、図10および図11に示す状態でトリップバー54の回転が規制される。
【0069】
図4に示すマイクロスイッチ88は、鉄心プランジャ23が投入状態になる動作と連動して短絡状態となるため、マイクロスイッチ88からハイレベルの電圧が制御回路83へ出力される。制御回路83は、マイクロスイッチ88からハイレベルの電圧が出力されると、制御スイッチ84へオフ信号を出力する。これにより、鉄心プランジャ23が投入状態になると、投入用コイル22への通電が停止する。なお、鉄心プランジャ23が投入状態である場合、鉄心プランジャ23の位置が最大投入位置である。
【0070】
これにより、鉄心プランジャ23の位置が最大投入位置になった後に、電磁ソレノイド20への通電が完了する。電磁ソレノイド20への通電が完了すると、電磁ソレノイド20による伝達機構30への駆動が解除される。
【0071】
そのため、蓄勢された接圧バネ8による反力が固定接点10と可動接点11との間に作用して、伝達機構30を介して電磁ソレノイド20の鉄心プランジャ23を最大投入位置から遮断状態位置へ移動させる方向へ押し戻そうとする力が発生する。また、鉄心プランジャ23の自重および開極バネ40の開極力によって鉄心プランジャ23を最大投入位置から遮断状態位置へ移動させる方向の力も同時に働いている。これにより、鉄心プランジャ23は図9に示した最大投入位置から下方への移動を開始する。
【0072】
鉄心プランジャ23が最大投入位置から下方へ移動すると、レバー32がレバー軸心36を中心として反時計回りに回転する。レバー32が反時計回りに回転すると、係合ピン51は、レバー軸心36を中心として反時計回りに回転して、図12および図13に示すように、トリップレバー52の係合面57に接触して、鉄心プランジャ23が投入完了位置に達した状態になり、遮断器1の投入動作が完了する。
【0073】
トリップレバー52は、鉄心プランジャ23が投入完了位置になったときに、半円部58の円弧部分58aがトリップレバー52の他端部52bに形成された係合部59の平坦部に係合しており、トリップレバー52の一端部52aの前方側への回転が規制されている。
【0074】
そのため、係合ピン51を通じてトリップレバー52にはトリップレバー軸心60に対して反時計方向に回転させようとする接圧バネ8の反力に基づく力が働いているにも拘わらずトリップレバー52は、図13に示すように、半円部58の円弧部分58aによる回転規制によって回転しない。
【0075】
上述したように、遮断器1が遮断状態である場合、接圧バネ8には一定の初期接圧が予め与えられており、可動接点11が固定接点10に接触を開始した瞬間から固定接点10に対する可動接点11の接圧が強くなるように設定されている。そのため、遮断器1が通電状態である場合、可動接点11と固定接点10との間に生ずる電磁反発力による接点間の開離の発生が予防されるとともに、引き外し指令が発令された後の可動接点11と固定接点10の開離速度、すなわち開極速度を速めることができる。
【0076】
次に、遮断器1における引き外し動作について説明する。遮断器1が図12に示す投入完了位置の状態で電路に過電流または漏電が発生した場合の駆動回路70の動作について図4を参照して説明する。
【0077】
検出部76は、電路の過電流または漏電を検出すると、引き外し指令を出力する。駆動回路78は、検出部76から引き外し指令が出力されると、トリップ用コイル77への通電を行う。トリップ用コイル77への通電が行われると、不図示のアクチュエータが駆動され、かかるアクチュエータによって図12および図13に示すトリップバー54が反時計回りに回転されるように駆動される。
【0078】
トリップバー54の反時計回りの回転によって、トリップバー54の半円部58の円弧部分58aがトリップレバー52の係合部59から離れて、円弧部分58aと係合部59との係合が解除される。そのため、接圧バネ8の反力に基づく力によってトリップレバー軸心60を中心にトリップレバー52が反時計方向に回転し、鉄心プランジャ23が図7に示す状態を経て図5の遮断状態位置に戻る。これにより、遮断器1の引き外しが完了する。
【0079】
ところで、遮断器1における投入動作開始直後においては、制御回路83は、オン信号を出力しており、制御スイッチ84がオン状態であるため、投入用コイル22に励磁電流が流れている。投入用コイル22に励磁電流が流れている状態において、検出部76から引き外し指令が出力されると、制御回路83は、制御スイッチ84にオフ信号を出力する。これにより、投入用コイル22への励磁電流の供給が停止される。
【0080】
制御スイッチ84がオフ状態になることで投入用コイル22への励磁電流の供給が停止されると、投入用コイル22の逆起電力が発生する。かかる逆起電力は、サージ電圧とも呼ばれる。駆動回路70には、サージ電圧によって制御スイッチ84に過電圧が印加されることを防止するためにダイオード86が設けられている。かかるダイオード86は、保護ダイオードまたは還流ダイオードとも呼ばれる。
【0081】
投入用コイル22には、サージ電圧によりダイオード86を介して還流電流が流れる。かかる還流電流を低減するために、遮断器1には、上述したように、ダイオード86に直列に電流低減部87が設けられている。投入用コイル22への励磁電流の供給が停止された場合、電流低減部87によって、ダイオード86を介して投入用コイル22に流れる還流電流が低減される。そのため、還流電流によって投入状態が維持されることを防止でき、投入動作開始直後のプランジャの復帰動作が遅れることが防止される。したがって、伝達機構30を簡素な構成とすることができる。
【0082】
図14から図16は、実施の形態1にかかる電流低減部と制御スイッチの構成例を示す図である。図14および図16に示す例では、電流低減部87は、抵抗R10によって構成される。また、図15に示す例では、電流低減部87は、抵抗R10とコンデンサC10とが直列に接続された構成である。
【0083】
図15に示す電流低減部87は、抵抗R10とコンデンサC10とが直列に接続された構成であるが、抵抗R10とコンデンサC10とが並列に接続された構成であってもよい。抵抗R10とコンデンサC10とを含む構成はスナバ回路とも呼ばれる。
【0084】
また、図14および図15に示す例では、NチャンネルMOSFET79aを用いて制御スイッチ84が構成され、図16に示す例では、PチャンネルMOSFET79bを用いて制御スイッチ84が構成されている。図16に示す制御スイッチ84の場合、制御回路83は、図4に示す例とは逆極性となる信号が端子T6から出力されるように構成される。
【0085】
なお、図16において、電流低減部87は、上述したスナバ回路で構成されてもよい。また、投入用コイル22のインダクタンスエネルギーを迅速に抵抗R10で消費できるように、ダイオード86には、ファストリカバリーダイオードを用いることが好適である。
【0086】
投入用コイル22への励磁電流の供給が停止される際、電流低減部87がない場合、ダイオード86を介して投入用コイル22に流れる還流電流によって、電磁ソレノイド20は投入動作を維持しようとする。そのため、遮断器1の投入動作開始直後に遮断することが難しい場合があるが、遮断器1では、電流低減部87を設けているため、ダイオード86を介して投入用コイル22に流れる還流電流を低減することができる。
【0087】
これにより、複雑な伝達機構を用いることなく、遮断器1における投入動作開始直後の遮断を迅速に行うことができる。なお、電流低減部87は、投入用コイル22への励磁電流の供給が停止された後に還流電流が引き外し機構50による引き外しを阻害しないように抵抗R10の値およびコンデンサC10の値が設定される。例えば、電流低減部87を構成する抵抗R10の値は、還流電流による投入力が遮断時の電磁反発力と引き外し力を下回るまで還流電流を低減することができる値に設定される。
【0088】
なお、上述した例では、投入動作開始直後に過電流または漏電が検出された場合の例を説明したが、遮断器1は、投入動作開始直後に内部オフスイッチ74または引き外し付属装置75から遮断信号が出力された場合も、複雑な伝達機構を用いることなく、投入動作開始直後の遮断を行うことができる。
【0089】
ここで、鉄心プランジャ23の移動位置と電磁ソレノイド20にかかる負荷量との関係を説明する。図17は、実施の形態1にかかる鉄心プランジャの移動位置と電磁ソレノイドにかかる負荷量との関係を示す図である。鉄心プランジャ23は、図5に示す位置から図9に示す最大投入位置までの範囲で移動する。
【0090】
以下において、鉄心プランジャ23の上方への移動を前進と記載し、鉄心プランジャ23の下方への移動を後退と記載する。また、鉄心プランジャ23の前進時の移動位置を前進位置と記載し、鉄心プランジャ23の後退時の移動位置を後退位置と記載する。また、鉄心プランジャ23の前進時の電磁ソレノイド20にかかる負荷を前進時負荷と記載し、鉄心プランジャ23の後退時の電磁ソレノイド20にかかる負荷を後退時負荷と記載する。
【0091】
図17に示すように、鉄心プランジャ23の前進位置が遮断状態位置から接点当接開始位置になるまでの遮断状態位置である場合、固定接点10と可動接点11とが接触していない状態で伝達機構30が駆動される。そのため、鉄心プランジャ23の前進位置が遮断状態位置である場合、電磁ソレノイド20にかかる負荷は、相対的に小さい。そして、鉄心プランジャ23の前進位置が接点当接開始位置になると、可動接点11の固定接点10への接触が開始する。そのため、レバー32が、接圧バネ8からの反力を、連結ピン13,38を介しレバー軸心36を中心とする反時計回りの負荷トルクとして受け、電磁ソレノイド20にかかる投入負荷が急激に大きくなる。
【0092】
ところが、鉄心プランジャ23がさらに前進すると、作用点である連結ピン38に働く接圧バネ8からの反力におけるレバー軸心36と連結ピン38を結ぶ直線に垂直な方向の成分が、急激に小さくなる。そのため、レバー軸心36を中心とする反時計回りの負荷トルクが減少し始める。この負荷トルクの減少に応じて、レバー32を回転させるのに必要な電磁ソレノイド20の投入負荷も減少に転じる。
【0093】
鉄心プランジャ23がさらに前進し、前進位置が投入動作開始以降はじめて最大投入位置となった遮断器1の機構状態において、レバー32および絶縁バー33が一直線に近づいた状態となり、レバー32および絶縁バー33で構成されるトグル機構が最も死点に近づく。そのため、連結ピン38に働く接圧バネ8からの反力におけるレバー軸心36と連結ピン38を結ぶ直線に垂直な方向の成分がゼロに近づき、レバー32を回転させるのに必要な電磁ソレノイド20の投入負荷も急激にゼロへと近づいていく。すなわち、遮断状態位置から投入状態位置への変位によって増加する電磁ソレノイド20の投入力に合わせて、レバー32に負荷トルクを加えるために電磁ソレノイド20の鉄心プランジャ23が前進する距離である負荷力作用距離を小さくする構成となっている。したがって、遮断器1の投入動作に電磁ソレノイド20の電磁吸引力を効率良く利用することができるだけでなく、遮断器1の投入動作に必要な負荷力作用距離の変化に合わせたサイズの電磁ソレノイド20を用いることができ、電磁ソレノイド20の小型化および低コスト化を図ることができる。また、実施の形態1にかかる遮断器1では、上述したトグル機構が死点を越える前に鉄心プランジャ23は前進を停止するように構成されており、投入状態から遮断状態への移行時に死点を越えないことから引き外し機構50の構成が複雑になることを回避することができる。
【0094】
遮断器1における接点当接後の状態では、可動接点11と固定接点10の接触により接圧バネ8からの反力を受けた接圧が生じると絶縁バー33およびレバー32を通じてレバー軸37に前後方向の押し付け力が発生する。レバー軸37に対する押し付け力が発生すると、レバー軸37に対する摩擦トルクが発生し、また、連結リンク31を通じて電磁ソレノイド20に伝達される負荷の前後方向の成分による電磁ソレノイド20の上下方向の摺動摩擦負荷が合わさって、無視できない摩擦力として電磁ソレノイド20の投入負荷を増大させる。
【0095】
鉄心プランジャ23が最大投入位置に達した後、鉄心プランジャ23の移動方向が後退に転換する際に、伝達機構30の全体にかかる摩擦力の方向も転換する。そのため、摩擦力に由来する引き外し荷重の減少効果によって投入状態における引き外し機構50への負荷を低減することができる。
【0096】
このように、投入状態における引き外し機構50への負荷を低減することができるため、引き外し機構50の構成を簡易にすることができる。そのため、引き外し機構50の小型化を図ったり、遮断器1の小型化を図ったりすることができ、また、引き外し機構50の部品数を削減することによって引き外し機構50の耐久性において信頼性を上昇させたりすることができる。
【0097】
可動接点11が固定接点10に接触するまでは、連結ピン13,38、レバー軸37、連結ピン34,35の各回転部分における回転に伴う摩擦力が主として発生する。そのため、可動接点11が固定接点10に接触するまでは、レバー軸37に対する摩擦トルクおよび電磁ソレノイド20の上下方向の摺動摩擦負荷は、可動接点11と固定接点10との接触後の接圧バネ8からの反力による接圧が生じた後の状態に比べ小さい。したがって、図17に示すように接点当接前の摩擦力による前進時と後進時との投入負荷の差は、接点当接後の摩擦力による投入負荷の差に比べて小さくなる。
【0098】
遮断器1の一連の投入動作および投入負荷について、遮断器1における電磁ソレノイド20の投入に必要な負荷特性は定式化することができる。例えば、図5図7図9および図12の各状態における電磁ソレノイド20の投入に必要な負荷特性を定式化することで、機構摩擦を利用することで引き外し時の機構負荷を大幅に低減し、電磁ソレノイド20の投入負荷特性にヒステリシスを有する遮断器1の設計が可能である。
【0099】
以上のように、実施の形態1にかかる遮断器1は、筐体2と、電源側端子3と、可動子6と、電磁ソレノイド20と、伝達機構30と、駆動回路70とを備える。電源側端子3は、固定端子の一例であり、固定接点10が取り付けられ筐体2に固定される。可動子6は、固定接点10に対向する可動接点11が取り付けられる。電磁ソレノイド20は、直線状に移動する鉄心プランジャ23を有する。鉄心プランジャ23は、プランジャの一例である。伝達機構30は、鉄心プランジャ23の移動に伴って可動子6を移動させて、可動接点11が固定接点10と開離する遮断状態から可動接点11が固定接点10に接触して通電する投入状態へ変化させる。駆動回路70は、電磁ソレノイド20の投入用コイル22へ通電して電磁ソレノイド20を駆動する。駆動回路70は、ダイオード86とダイオード86に流れる電流を低減する電流低減部87との直列体85を備え、直列体85は、電磁ソレノイド20の投入用コイル22に並列接続される。これにより、複雑な機構をとることなく、遮断器1の投入動作開始直後に遮断を行うことができる。したがって、伝達機構30の簡素化を図ることができる。
【0100】
また、電流低減部87は、抵抗R10、または、抵抗R10およびコンデンサC10を含む。これにより、ダイオード86に流れる電流を容易に低減することができる。
【0101】
また、遮断器1は、固定接点10と可動接点11との接触によって導通状態になる電路の過電流または漏電を検出し、検出した結果を示す引き外し指令を検出結果として出力する検出部76を備える。駆動回路70は、検出部76から出力される引き外し指令に基づいて、投入用コイル22への通電を停止する。これにより、遮断器1の投入動作開始直後に電路の過電流または漏電が生じた場合において、複雑な機構をとることなく、遮断器1の投入動作開始直後に遮断を行うことができる。したがって、伝達機構30の簡素化を図ることができる。なお、引き外し指令は、検出信号の一例である。
【0102】
また、実施の形態1にかかる遮断器1は、引き外し機構50を備える。引き外し機構50は、伝達機構30に係合して投入状態の保持を行い、かつ伝達機構30との係合を解除して投入状態の保持を解除する。伝達機構30は、レバー32と、絶縁バー33とを備える。レバー32は、鉄心プランジャ23の移動に伴って筐体2に固定のレバー軸心36回りに回転する。レバー軸心36は、第1の軸心の一例である。絶縁バー33は、一端部33aがレバー32の一端部32aに回転可能に連結され、他端部33bが可動子6に回転可能に連結される。電磁ソレノイド20の鉄心プランジャ23は、レバー32と絶縁バー33とから構成されるトグル機構が死点になる前に鉄心プランジャ23の移動が制限される最大移動位置に到達する。したがって、例えば、鉄心プランジャ23の最大移動位置をトグル機構が死点になる直前の位置に設定することで、トグル機構による梃子の効果により、レバー32を回転させるのに必要な電磁ソレノイド20の投入負荷を急激に0へと近づけることができる。そのため、投入状態に引き外し機構50にかかる負荷を低減することができる。なお、上述した死点になる直前の位置とは、製造誤差があった場合でも、死点に到達しない位置である。最大移動位置は、第1の位置の一例である。また、引き外し機構50は、鉄心プランジャ23が最大移動位置に達した後に後退して投入完了位置にある状態で伝達機構30と係合して投入状態の保持を行う。投入完了位置は、第2の位置の一例である。これにより、鉄心プランジャ23の移動方向が後退に転換する際に、伝達機構30の全体にかかる摩擦力の方向も転換するため、摩擦力に由来する荷重の減少効果、すなわち、投入負荷特性のヒステリシスによって投入状態における引き外し機構50への負荷を低減することができる。したがって、遮断器の引き外し機構を複雑な機構にする必要性を低減することができ、引き外し機構50の小型化および組み立て性の向上を図ることができる。
【0103】
また、遮断器1は、レバー32の他端部32bに取り付けられた係合ピン51を備える。係合ピン51は、係合部の一例である。また、引き外し機構50は、トリップレバー52と、トリップバー54とを備える。トリップレバー52は、係合ピン51に向かう方向に付勢された状態で筐体2に回転可能に取り付けられており、遮断状態から投入状態へ移行する投入過程で係合ピン51と接触した状態を維持し、鉄心プランジャ23が投入完了位置にある状態において係合ピン51と係合してレバー32のレバー軸心36回りの回転を規制する。トリップバー54は、トリップレバー52の回転の規制および規制の解除を行う。このように、引き外し機構50は、係合ピン51を除き、トリップレバー52とトリップバー54を含む少なくとも2つの部材で構成することができるため、引き外し機構50の小型化および組み立て性の向上を図ることができる。また、遮断状態から投入状態にかけてトリップレバー52に係合ピン51を接触させることから、トリップレバー52の係合ピン51から離れる方向への移動可能量を変化させるだけで引き外し動作を容易に行うことができる。
【0104】
また、トリップレバー52は、レバー軸心36を中心とする円弧形状を有し、投入過程で係合ピン51が移動可能に接触する円弧部56と、投入状態において係合ピン51と係合する凹部51cとを備える。これにより、投入過程においてトリップレバー52の位置が変化しないため、伝達機構30を駆動させる電磁ソレノイド20の投入負荷が投入過程においてトリップレバー52によって変動することを抑制できる。
【0105】
また、トリップレバー52は、円弧部分58aと平坦部分58bとが形成され、筐体2に固定されたトリップバー軸心61回りに回転する半円部58を備える。トリップバー軸心61は、第2の軸心の一例である。トリップレバー52は、遮断状態で半円部58の平坦部分58bに接触して回転が規制され、投入状態で半円部58の円弧部分58aに接触して回転が規制される。これにより、トリップレバー52を回転させるだけで、トリップレバー52の係合ピン51から離れる方向への移動可能量を容易に調整することができる。
【0106】
実施の形態2.
実施の形態2にかかる遮断器は、MCR(Making Current Release)機能を実現する駆動回路に設けている点で、実施の形態1にかかる遮断器1と異なる。以下においては、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態1の遮断器1と異なる点を中心に説明する。
【0107】
まず、MCR機能を実現するMCR機構について説明する。MCR機構は、遮断器の投入動作時は瞬時引き外し特性を有効にして投入動作時の短絡事故に対して瞬時トリップさせ、遮断器の投入動作完了後は瞬時引き外し特性を無効にする。これにより、突入電流の大きな負荷機器または下位遮断器との選択協調領域を拡大することができる。
【0108】
図18および図19は、MCR機構の構成例を示す図であり、図18は、遮断器の投入動作時の状態を示し、図19は、遮断器の投入動作完了後の状態を示す。また、以下において、時計回りおよび反時計回りとは、図18および図19において時計回りおよび反時計回りであることを意味する。また、図18および図19に示すMCR機構100は、上述した遮断器1に含まれるものとして説明する。
【0109】
図18に示すMCR機構100は、MCRプレート101と、絶縁板102と、マイクロスイッチ103と、補助板104とを備える。絶縁板102、マイクロスイッチ103、および補助板104は、ネジ105によりMCRプレート101に2点で固定されている。また、マイクロスイッチ103には、ノーマルクローズの端子が用いられている。マイクロスイッチ103には、アクチュエータ106が設けられており、かかるアクチュエータ106は、MCRプレート101に回転可能に支持された回転軸109に固定されている。
【0110】
MCR機構100は、アクチュエータ106の他端に取り付けられた重り107と、MCRプレート101と重り107との間に掛渡されたスプリング108とを備える。スプリング108は、回転軸109を中心として反時計回りに回転させる方向にアクチュエータ106に力を与えている。そのため、遮断器1の投入動作が行われていない状態では、図19に示すように、アクチュエータ106の一端がマイクロスイッチボタン103aを押している。マイクロスイッチ103は、マイクロスイッチボタン103aが押されている間は常時オン信号を図3および図4に示す引き外しリレー98に送信する。これにより、引き外しリレー98において、瞬時引き外し特性が無効となる。
【0111】
アクチュエータ106の受け部106aは遮断器1の主接点を開閉させる機構部におけるレバー軸37の動作を受ける形状である。アクチュエータ106は、遮断器1の投入動作時におけるレバー軸37の回転により受け部106aが回転軸109を中心として時計回りに回転し、一端がマイクロスイッチボタン103aを数ms程度押す。これにより、マイクロスイッチ103は、この数ms程度のオフ信号を引き外しリレー98に送信する。引き外しリレー98において、数ms程度のオフ信号が入力されている間、瞬時引き外し特性が有効となる。このように、MCR機構100は、遮断器1の投入動作時以外においては瞬時引き外し特性を無効にしつつ、遮断器1の投入動作時においては瞬時引き外し特性を有効にすることができる。
【0112】
次に、実施の形態2にかかる遮断器の駆動回路について説明する。図20は、本発明の実施の形態2にかかる駆動回路を含む遮断器の電気回路の構成例を示す図である。図20に示すように、実施の形態2にかかる遮断器1Aの駆動回路70Aは、MCR機能を実現するMCR回路79を有する点で、遮断器1の駆動回路70と異なる。
【0113】
図20に示すように、MCR回路79は、端子T6に接続されて論理積回路93から出力される信号が入力される。論理積回路93からMCR回路79へ入力される信号は、論理積回路93から制御スイッチ84へ入力される信号と同じ信号である。MCR回路79は、論理積回路93から入力される信号に基づいて、引き外しリレー98へオン信号またはオフ信号を出力する。MCR回路79は、制御回路83などと引き外しリレー98との絶縁を保つため、フォトカプラなどを含んで構成される。
【0114】
MCR回路79は、論理積回路93からオン信号が入力される場合、引き外しリレー98へハイレベルの電圧であるオン信号を出力する。引き外しリレー98へ出力されるオン信号は、瞬時引き外し特性を有効にするための信号であり、以下においてMCR制御信号と記載する場合がある。引き外しリレー98は、MCR回路79からMCR制御信号が出力されている状態で、変流器97の2次側電流に基づいて過電流または漏電を検出した場合、駆動回路78へ引き外し指令を出力する。これにより、トリップ用コイル77への通電が行われ、遮断器1Aが遮断状態になる。
【0115】
また、MCR回路79は、論理積回路93からオフ信号が出力される場合、引き外しリレー98へ瞬時引き外し特性を無効にするためのローレベルの電圧を出力する。引き外しリレー98は、MCR回路79からローレベルの電圧が出力されている状態において、変流器97の2次側電流に基づいて過電流または漏電を検出した場合でも駆動回路78へ引き外し指令を出力しない。これにより、遮断器1Aの投入動作完了後は瞬時引き外し特性を無効にすることができる。
【0116】
図21は、実施の形態2にかかる遮断器のMCR機能を説明するためのタイミングチャートである。時刻t1において、内部オンスイッチ71または外部オンスイッチ72がオン操作されると、図21に示すように、ハイレベルの電圧である投入信号が論理和回路91からラッチ回路92へ出力される。ラッチ回路92は、論理和回路91から投入信号が出力されると、ハイレベルの電圧を論理積回路93へ出力する。そのため、論理積回路93は、ハイレベルの電圧をオン信号としてMCR回路79および制御スイッチ84へ出力する。MCR回路79は、論理積回路93からオン信号が出力されている間、ハイレベルの電圧をMCR制御信号として引き外しリレー98へ出力する。これにより、遮断器1Aの投入動作時において瞬時引き外し特性が有効になる。
【0117】
制御スイッチ84は、論理積回路93から端子T6を介してオン信号が出力された場合、オン状態になる。制御スイッチ84がオン状態になることで、投入用コイル22への励磁電流の供給が行われる。これにより、鉄心プランジャ23による投入動作が開始し、時刻t2において、鉄心プランジャ23が投入状態となる動作と連動するマイクロスイッチ88からハイレベルの電圧が制御回路83へ出力される。マイクロスイッチ88からハイレベルの電圧が出力されると、ラッチ回路92がリセットされ、制御回路83から制御スイッチ84へローレベルの電圧がオフ信号として出力される。
【0118】
このように、論理積回路93は、時刻t1から時刻t2までの期間において、ハイレベルの電圧をオン信号として出力するため、MCR回路79は、時刻t1から時刻t2までの期間において、ハイレベルの電圧をMCR制御信号として引き外しリレー98へ出力する。時刻t1から時刻t2までの期間は、例えば、200ms程度であり、これにより、安定したMCR制御信号が引き外しリレー98へ出力される。したがって、MCR制御信号が出力される期間において、引き外しリレー98の瞬時引き外し特性を安定して有効化することができる。
【0119】
また、時刻t2以降において、論理積回路93からローレベルの電圧がオフ信号として出力される。MCR回路79は、論理積回路93からオフ信号が出力されている間、ローレベルの電圧を引き外しリレー98へ出力する。これにより、遮断器1Aの投入完了後において瞬時引き外し特性が無効化される。
【0120】
なお、制御スイッチ84が図16に示す構成である場合、制御回路83は、ローレベルの電圧をオン信号として出力する。この場合、制御回路83には、例えば、論理積回路93と端子T6との間に論理否定回路が設けられる。MCR回路79は、制御回路83からローレベルの電圧であるオン信号が出力されている間、ハイレベルの電圧をMCR制御信号として引き外しリレー98へ出力する。なお、MCR回路79から出力されるMCR制御信号は、ローレベルの電圧であってもよい。この場合、引き外しリレー98は、ローレベルの電圧で瞬時引き外し特性が有効になる。
【0121】
以上のように、実施の形態2にかかる遮断器1Aは、固定接点10と可動接点11との接触によって導通状態になる電路の過電流または漏電が発生した場合に引き外し指令を出力する引き外しリレー98を備える。駆動回路70Aは、第1制御回路の一例である制御回路83と、第2制御回路の一例であるMCR回路79とを備える。制御回路83は、内部オンスイッチ71または外部オンスイッチ72がオン操作された場合に電磁ソレノイド20を駆動するためのオン信号を出力し、電磁ソレノイド20の鉄心プランジャ23が投入状態になる動作と連動するマイクロスイッチ88からの信号に基づきオン信号の出力を停止する。内部オンスイッチ71または外部オンスイッチ72はオンスイッチの一例である。MCR回路79は、制御回路83からオン信号が出力されている間、MCR制御信号を引き外しリレー98へ出力し、引き外しリレー98からの引き外し指令の出力を可能にする。これにより、遮断器1Aでは、図18および図19に示すようなMCR機構100を設けることなく、MCR機能を実現することができる。
【0122】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0123】
1 遮断器、2 筐体、2a 壁部、3 電源側端子、4 負荷側端子、5 可撓性導体、5a,6a,7a,31a,32a,33a,52a,54a 一端部、5b,6b,7b,31b,32b,33b,52b,54b 他端部、6 可動子、7 可動子ホルダ、7c 中途部、8 接圧バネ、9 可動子ストッパ、10 固定接点、11 可動接点、12 ホルダ軸、12a ホルダ軸心、13,34,35,38 連結ピン、20 電磁ソレノイド、21 ヨーク、22 投入用コイル、23 鉄心プランジャ、24 突出部、25 ギャップ、30 伝達機構、31 連結リンク、32 レバー、33 絶縁バー、36 レバー軸心、37 レバー軸、40 開極バネ、50 引き外し機構、51 係合ピン、52 トリップレバー、52c 凹部、53 第1のリセットバネ、54 トリップバー、55 第2のリセットバネ、56 円弧部、57 係合面、58 半円部、58a 円弧部分、58b 平坦部分、59 係合部、60 トリップレバー軸心、61 トリップバー軸心、70,78 駆動回路、71 内部オンスイッチ、72 外部オンスイッチ、73 制御電源、74 内部オフスイッチ、75 引き外し付属装置、76 検出部、77 トリップ用コイル、79 MCR回路、80 整流回路、81 定電圧回路、83 制御回路、84 制御スイッチ、85 直列体、86 ダイオード、87 電流低減部、88 マイクロスイッチ、91,95 論理和回路、92 ラッチ回路、93 論理積回路、94 論理否定回路、97 変流器、98 引き外しリレー、100 MCR機構、101 MCRプレート、102 絶縁板、103 マイクロスイッチ、103a マイクロスイッチボタン、104 補助板、105 ネジ、106 アクチュエータ、106a 受け部、107 重り、108 スプリング、109 回転軸、C10 コンデンサ、R1,R2,R3,R4,R10 抵抗、T1,T2,T3,T4,T5,T6 端子。
図1
図2
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