特許第6987255号(P6987255)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987255
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】エレベータ診断システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/02 20060101AFI20211213BHJP
   B66B 3/02 20060101ALI20211213BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   B66B5/02 S
   B66B3/02 V
   B66B5/00 G
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-535389(P2020-535389)
(86)(22)【出願日】2018年8月8日
(86)【国際出願番号】JP2018029711
(87)【国際公開番号】WO2020031284
(87)【国際公開日】20200213
【審査請求日】2020年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】西江 聡
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−82975(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/150251(WO,A2)
【文献】 特開昭63−258381(JP,A)
【文献】 特開2012−180132(JP,A)
【文献】 特開昭54−146364(JP,A)
【文献】 特開平6−92559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00−5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の乗り場間を昇降する乗りかごを備えたエレベータシステムを診断するエレベータ診断システムであって、
前記乗りかごのかごドアに設けられ、乗場ドアを検出する乗場ドア検出部と、
前記かごドアに設けられ、加速度を計測する加速度計測部と、
前記加速度計測部が前記乗りかごの減速を検出した後、前記乗場ドア検出部が前記乗場ドアを検出してから、前記かごドアが開くまでの前記乗りかごの移動量を着床位置として計測する移動量計測部と、
前記移動量に基づいて、前記乗りかごの着床異常を診断する異常診断部と、
を備えたことを特徴とするエレベータ診断システム。
【請求項2】
複数の乗り場間を昇降する乗りかごを備えたエレベータシステムを診断するエレベータ診断システムであって、
前記乗りかごのかごドアに設けられ、乗場ドアを検出する乗場ドア検出部と、
前記かごドアに設けられ、加速度を計測する加速度計測部と、
前記加速度計測部が前記乗りかごの減速を検出した後、前記乗場ドア検出部が前記乗場ドアを検出してから、前記乗りかごが停止するまでの前記乗りかごの移動量を着床位置として計測する移動量計測部と、
前記移動量に基づいて、前記乗りかごの着床異常を診断する異常診断部と、
を備えたことを特徴とするエレベータ診断システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のエレベータ診断システムであって、
前記乗りかごの着床異常を管制センターまたは保守員に発報する異常発報部を備えることを特徴とするエレベータ診断システム。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のエレベータ診断システムであって、
前記乗り場ドア検出部、前記加速度計測部、前記移動量計測部、および、前記異常診断部は、既設のエレベータシステムに後付けされたものであることを特徴とする、エレベータ診断システム。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のエレベータ診断システムであって、
さらに、前記複数の乗り場毎に最初に計測した着床位置を初期値として記憶する初期値格納部と、
前記複数の乗り場毎に最後に計測した着床位置と前記初期値の差分を着床誤差として記憶する着床誤差格納部と、
を備えたことを特徴とするエレベータ診断システム。
【請求項6】
複数の乗り場間を昇降する乗りかごを備えたエレベータシステムを診断するエレベータ診断システムであって、
前記乗りかごのかごドアに設置された加速度センサと、
前記かごドアに設置された磁気センサと、
前記加速度センサの出力信号に基づき、前記乗りかごの走行状態を検出する走行状態検出部と、
前記加速度センサの出力信号に基づき、前記乗りかごの移動量を計測するかご移動量計測部と、
前記加速度センサと前記磁気センサの出力信号に基づき、前記乗りかごの現在位置を検出するかご位置検出部と、
前記加速度センサまたは前記磁気センサの出力信号に基づき、前記かごドアの開閉状態を検出するかごドア開閉検出部と、
前記走行状態検出部、前記かご移動量計測部、前記かご位置検出部、前記かごドア開閉検出部の出力信号に基づき、前記乗りかごの着床誤差を計測し、該着床誤差が所定の閾値を超過した場合に、着床異常と診断する異常診断部と、
を備えたことを特徴とするエレベータ診断システム。
【請求項7】
請求項6に記載のエレベータ診断システムであって、
前記異常診断部は、前記磁気センサの出力信号に基づき、目的階の乗り場ドアを検出した後、前記かごドア開閉検出部が前記かごドアの開放を検出するまでの前記乗りかごの移動量を着床位置とし、前記着床位置の初期値と計測値の差分を着床誤差とすることを特徴とするエレベータ異常診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗りかごの着床誤差の異常を検出するエレベータ診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータシステムでは、乗りかごの停止位置を制御するために、昇降路内の所定位置に位置検出の基準となる遮蔽板を設置し、乗りかごが備える遮蔽板検出装置が検出した遮蔽板の検出位置を基準に乗りかご移動距離を制御することで、乗りかごを所望の着床位置に停止させていた。
【0003】
しかしながら、このエレベータシステムでは、乗りかごが停止する階床の数に比例して、昇降路内に設置する遮蔽板を増やす必要があり、特に高層ビルにおいては、エレベータシステムの据え付け費用の増大を招いていた。
【0004】
そこで、遮蔽板に代え、乗り場ドアを基準にして乗りかごの着床位置を制御することで、エレベータシステムの部品点数を削減しつつ、所望の着床位置制御を実現するものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−39639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、着床位置の計測にエレベータシステムの制御信号の利用が必要であるため、そもそも制御信号が存在しないリレー式エレベータや、制御信号の意味が不明な他社製のエレベータなど、有意な制御信号を取得できないエレベータシステムを診断対象とする場合には、着床位置の計測や、着床誤差を診断できないという課題があった。
【0007】
そこで、本発明は、有意な制御信号を取得できないエレベータシステムを診断対象とする場合であっても、着床誤差が経年劣化等により拡大したときに、その異常を検出することができるエレベータ診断システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明のエレベータ診断システムでは、乗りかごのかごドアに設けられ、乗場ドアを検出する乗場ドア検出部と、かごドアに設けられ、加速度を計測する加速度計測部と、加速度計測部が乗りかごの減速を検出した後、乗場ドア検出部が乗場ドアを検出してから、かごドアが開くまでの乗りかごの移動量を着床位置として計測する移動量計測部と、移動量に基づいて、乗りかごの着床異常を診断する異常診断部と、を備えたものとした。
【0009】
また、乗りかごのかごドアに設けられ、乗場ドアを検出する乗場ドア検出部と、かごドアに設けられ、加速度を計測する加速度計測部と、加速度計測部が乗りかごの減速を検出した後、乗場ドア検出部が乗場ドアを検出してから、乗りかごが停止するまでの乗りかごの移動量を着床位置として計測する移動量計測部と、移動量に基づいて、乗りかごの着床異常を診断する異常診断部と、を備えたものとした。
【発明の効果】
【0010】
本発明のエレベータ診断システムによれば、有意な制御信号を取得できないエレベータシステムを診断対象とする場合であっても、着床誤差が経年劣化等により拡大したときに、その異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施例のエレベータシステムの概略図。
図2】一実施例のエレベータのドア開閉装置の構成図。
図3】一実施例の乗りかごの稼働中に観測される速度と磁束密度の変化を示す図。
図4】一実施例のエレベータ診断システムの診断処理を示すフローチャート。
図5】一実施例に係る乗りかごの現在位置の検出処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の詳細を、添付の図面に従い説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施例に係るエレベータシステムの概略図である。ここに示すように、本実施例のエレベータシステムは、昇降路に面した複数の乗り場間を昇降する乗りかご1と、乗りかご1の開口に取り付けたかごドア2と、かごドア2を開閉するドア開閉装置3と、かごドア2の外側に設置した3軸加速度センサ4および3軸磁気センサ5と、乗りかご1を昇降させる巻上機6と、乗りかご1の昇降時の負荷を軽減するつり合いおもり7と、乗りかご1とつり合いおもり7の接触をさけるためのプーリ8と、乗りかご1とつり合いおもり7をつなぐ主ロープ9と、かごドア2のドア開閉と連動して開閉する金属製の乗り場ドア10と、エレベータシステムの運行を制御する制御装置11と、3軸加速度センサ4および3軸磁気センサ5の出力信号を基にエレベータシステムを診断する診断装置12から構成されている。また、診断装置12は、有線または無線の通信回線を介して外部の管制センター13と接続されている。
【0014】
なお、これらのうち、3軸加速度センサ4、3軸磁気センサ5、および、診断装置12は、エレベータシステムを据え付けた後であっても取り付け可能なものであり、従って、既設の制御装置11とは独立したエレベータ診断システムを構成するものである。また、図1では、乗り場数が2である建築物を例示しているが、乗り場数は3以上あってもよい。
【0015】
診断装置12は、3軸加速度センサ4と3軸磁気センサ5の出力信号に基づいて、乗りかご1の着床誤差δの異常の有無を診断するものであり、乗りかご1の位置を検出するかご位置検出部12aと、かごドア2の開閉状態を検出するかごドア開閉検出部12bと、乗りかご1の移動量lを計測するかご移動量計測部12cと、エレベータの走行状態を検出する走行状態検出部12dと、上記各部からの信号に基づいて乗りかご1の着床位置Lの異常の有無を診断する異常診断部12eと、異常診断部12eが最初に計測した着床位置Lの初期値Lを階床別に格納する初期値格納部12fと、後述する着床誤差δを階床別に格納する着床誤差格納部12gと、異常診断部12eが着床位置Lを異常と診断した場合に保守員に異常を通知する異常発報部12hと、より構成されている。
【0016】
なお、診断装置12は、具体的には、CPU等の演算装置、半導体メモリ等の主記憶装置、ハードディスク等の補助記憶装置、および、通信装置、スピーカーなどのハードウェアを備えた計算機である。そして、補助記憶装置に記録されたデータベースを参照しながら、主記憶装置にロードされたプログラムを演算装置が実行することで、上述したかご位置検出部12a等を実現するが、以下では、このような周知技術を適宜省略しながら説明する。
【0017】
図2は、かごドア2とドア開閉装置3の構成を表した図である。ここに示すように、かごドア2は、右ドアパネル2Rと左ドアパネル2Lより構成されている。また、ドア開閉装置3は、両ドアパネルの軌道となるドアレール3a、両ドアパネルの駆動力を発生させるドアマシン3b、ドアマシン3bで発生した駆動力を両ドアパネルに伝達するドア駆動用ベルト3c、ドアマシン3bと対に設けられたドア駆動用ベルト3c用のドアプーリ2d、より構成されている。
【0018】
ここで、上述した3軸加速度センサ4と3軸磁気センサ5は、本実施例では左ドアパネル2Lの閉端部付近であって高さ方向の略中間部に、かごドア2の開閉方向をx軸、乗りかご1の昇降方向をy軸、乗りかご1の前後方向をz軸となるよう設置している。なお、図1および図2では、3軸加速度センサ4と3軸磁気センサ5をかごドア2の略中間部に各々1つ設ける構成を例示しているが、かごドア2の上部と下部のそれぞれに3軸加速度センサ4と3軸磁気センサ5を設ける構成としてもよい。なお、両センサは、必ずしも3軸センサである必要はなく、後述する処理に不要な方向の加速度や磁束密度を検出する機能を省略したものとしても良い。
【0019】
図3は、エレベータシステムの稼働中に観測される速度と磁束密度の変化の一例であり、具体的には、乗りかご1が待機階である下階から目的階である上階に移動し、かごドア2が開き、上階の乗り場にいた乗客が乗りかご1に乗車した後、かごドア2が閉まる迄に観測される、乗りかご1の昇降速度と、かごドア2の開閉速度と、3軸磁気センサ5のz軸方向とx軸方向の出力を例示したものである。
【0020】
すなわち、図3(a)、(b)は、3軸加速度センサ4が検出したy軸方向の加速度aとx軸方向の加速度aを積分して求めた速度vと速度vであり、それぞれ、乗りかご1の昇降速度(正は昇り速度、負は降り速度)、かごドア2の開閉速度(正は閉速度、負は開速度)に相当する。また、図3(c)、(d)は、3軸磁気センサ5が検出したz軸方向の磁束密度Mとx軸方向の磁束密度Mであり、それぞれ、乗り場ドア10方向の金属検出状態(Lowは検出時、Highは非検出時)と、かごドア2の開閉状態(Lowは閉時、Highは開時)に相当する。
【0021】
また、図中、時刻tは乗りかご1が待機階(下階)の乗り場ドア10の上端部を通過した時刻、時刻tは乗りかご1が目的階(上階)の乗り場ドア10の下端部に到達した時刻、時刻tと時刻tはかごドア2の開開始時刻と開完了時刻、時刻tと時刻tはかごドア2の閉開始時刻と閉完了時刻を示す。なお、乗り場ドア10はかごドア2と連動して開閉するため、時刻tから時刻tはそれぞれ、乗り場ドア10の開開始時刻、開完了時刻、閉開始時刻、閉完了時刻でもある。
【0022】
乗りかご1が待機階(下階)から目的階(上階)へ移動する場合、図3(a)に示すように、乗りかご1は、加速期間、一定速期間、減速期間を順に経て、目的階(上階)へ到達する。この間、時刻t付近で下階の乗り場ドア10から遠ざかるため、図3(c)に示すように、乗りかご1の前後方向に相当する磁束密度Mが増加する。その後、待機階(下階)の上階の乗り場ドアに接近するため、磁束密度Mが減少し、当該乗り場ドアから遠ざかると、再び磁束密度Mが増加する。磁束密度Mの減少及び増加は、時刻t付近で目的階(上階)の乗り場ドア10に接近するまで繰り返す。従って、磁束密度Mと所定の閾値Mz_thの大小関係から、乗りかご1が乗り場ドア10の近傍にいるかを判定することができる。
【0023】
また、乗りかご1が目的階(上階)に到着すると、かごドア2の開開始時刻である時刻t以降、3軸磁気センサ5を閉端部付近に設置した左ドアパネル2Lが右ドアパネル2Rから遠ざかるため、図3(d)に示すように、かごドア2の開閉方向に相当する磁気密度Mが増加する。その後、かごドア2の閉完了時刻である時刻t付近より、左ドアパネル2Lが右ドアパネル2Rに接近するため、磁気密度Mが減少する。従って、磁束密度Mと所定の閾値Mx_thの大小関係から、かごドア2の開閉状態を判定することができる。
【0024】
次に、本実施例の診断装置12による、乗りかご1の着床位置の診断処理を、図4を用いて説明する。
【0025】
まず、ステップS1では、走行状態検出部12dは、3軸加速度センサ4の出力である加速度aを積分した速度vの絶対値と、所定の閾値vy_th(例えば8m/min)を比較し、速度vの絶対値の方が大きい場合は、乗りかご1が走行中であると判断し、次のステップに進む。一方、速度vの絶対値の方が小さい場合は、ステップS1を繰り返す。
【0026】
ステップS2では、走行状態検出部12dは、速度vの減速を検出した場合に、乗りかご1が目的階に接近し減速を開始したと判断し、次のステップに進む。一方、減速を検出できないときは、ステップS1に戻る。
【0027】
ステップS3では、かご位置検出部12aは、目的階の乗り場ドア10を検出する。具体的には、かご位置検出部12aは、3軸磁気センサ5の磁気密度Mを監視し、これが所定の閾値Mz_thより小さくなった場合、乗りかご1に取り付けた3軸磁気センサ5が目的階の乗り場ドア10の端部に到達したと判断する(図3(c)の時刻t)。一方、磁気密度Mの方が大きい場合は、ステップS3を繰り返す。
【0028】
ステップS4では、かご移動量計測部12cは、目的階の乗り場ドア10に到達した後の乗りかご1の移動量lを、3軸加速度センサ4が出力する加速度aに基づいて計測する。
【0029】
ステップS5では、かご位置検出部12aは、図4の処理と並列して実行される図5の処理結果(後述)を参照することで、乗りかご1の現在位置(現在階床F)を確認し、異常診断部12eに送信する。
【0030】
ステップS6では、かごドア開閉検出部12bは、かごドア2の開閉状態を検出する。具体的には、かごドア開閉検出部12bは、3軸加速度センサ4の出力である磁束密度Mを監視し、これが所定の閾値Mx_thより大きくなった場合、左ドアパネル2Lに取り付けた3軸磁気センサ5が右ドアパネル2Rから遠ざかり、かごドア2が開状態となったと判断し(図3(d)の時刻t)、かご移動量計測部12cにドア開動作検出信号を送信する。一方、磁気密度Mの方が小さい場合は、ステップS3に戻る。なお、ここでは、かごドア2の開閉状態を磁束密度Mに基づいて判別したが、かごドア2の開閉速度を示すVの変化に基づいてかごドア2の開閉状態を判別しても良い。
【0031】
ステップS7では、かご移動量計測部12cは、かごドア開閉検出部12bからドア開動作検出信号を受信した時点で移動量lの計測を終了し、計測した移動量lを着床位置Lとして異常診断部12eに送信する。なお、ステップS6、S7では、乗り場ドア10の検出からかごドア2の開開始までの乗りかご1の移動量lを着床位置Lとしたが、乗り場ドア10の検出から乗りかご1の停止までの乗りかご1の移動量lを着床位置Lとしても良い。
【0032】
ステップS8では、異常診断部12eは、ステップS5で得た現在階床Fに対応した着床位置Lの初期値Lが登録されているか確認し、初期値Lが未登録である場合、ステップS9では、ステップS7で得た着床位置Lを現在階床Fに対応した初期値Lとして初期値格納部12fに格納する。一方、現在階床Fに対応した初期値Lが登録済みである場合は、ステップS10へ進む。
【0033】
ステップS10では、計測した着床位置Lと、初期値格納部12fに格納された現在階床Fに対応した初期値Lの差を、現在階床Fの着床誤差δとして着床誤差格納部12gに階床毎に格納する。
【0034】
ステップS11では、異常診断部12eは、着床誤差δの異常を検出する。具体的には、異常診断部12eは、ステップS10で得た着床誤差δと所定の閾値δth(例えば、20mm)を比較し、着床誤差δの方が大きい場合、現在階床Fでの着床位置Lが異常であると判断し、ステップS12に進む。一方、着床誤差δの方が小さい場合は、異常なしと判断し、図4の処理を終了する。
【0035】
ステップS12では、異常診断部12eは、異常発報部12hに対し発報指令を送信する。発報指令を受けた異常発報部12hは、異常が発生した現在階床Fと着床誤差δを一対の情報として管制センター13に対し発報する。診断装置12からの異常発報を受信した管制センター13では、専門の保守員に連絡し、異常が発生した階床での着床誤差δの是正作業を依頼する。
【0036】
次に、本実施例の診断装置12による、乗りかご1の現在階床Fの検出処理を、図5を用いて説明する。なお、図5は、図4と並列して実施される処理である。また、図示を省略しているが、保守員は、本実施例のエレベータ診断システムを取り付ける際に、エレベータシステムの総階床数Fmaxと初期停止階Fを、図示しない設定ツールを使用して登録している。
【0037】
図5の処理が開始されると、まず、ステップS51では、かご位置検出部12aは、乗りかご1が走行中であるかを判定する。この処理は、図4のステップS1と同等であるので重複説明は省略する。そして、走行中である場合、ステップS52に進む。
【0038】
ステップS52では、かご位置検出部12aは、3軸磁気センサ5が出力する磁束密度Mを監視し、これが低下した場合、すなわち、何らかの金属を検出した場合、ステップS53に進む。
【0039】
ステップS53では、かご位置検出部12aは、3軸加速度センサ4が出力する加速度aを利用し、金属検出中の乗りかご1のy軸方向の移動量lを計測する。
【0040】
ステップS54では、かご位置検出部12aは、ステップ52で検出した金属が、乗り場ドア10であるかを判断する。具体的には、かご位置検出部12aは、ステップS53で得た移動量lと所定の閾値lthを比較し、移動量lの方が大きい場合、検出中の金属が乗り場ドア10であると判断する。ここで、閾値lthは、乗り場ドア10を検出できる任意の値を設定すればよいが、例えば、昇降路内の他の金属機器を乗り場ドア10と判断することがないように、以下の値を設定すれば良い。
【0041】
昇降路内の他の金属機器の最大高さ < 閾値lth < 乗り場ドア10の高さ/2
ステップS55では、かご位置検出部12aは、走行状態検出部12dから乗りかご1の走行方向情報を取得し、走行方向が昇りであれば、ステップS56にて、1階床を加算した現在階床Fに更新する。一方、走行方向が降りであれば、ステップS57にて、1階床を減算した現在階床Fに更新する。
【0042】
以上で説明したように、本実施例のエレベータ診断システムによれば、乗りかごのかごドアに設置した加速度センサと磁気センサの出力信号を使用することにより、エレベータシステムの制御装置の制御信号を使用することなく、エレベータシステムの経年劣化などの影響による乗りかごの着床位置の異常を診断することができる。
【0043】
また、磁気センサを使用することでより精度の高いドア開閉動作を検出できるとともに、ドア開時点での着床位置を計測することができるため、実際の利用者が乗り降りする際の着床状態での着床位置の異常の有無を診断することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 乗りかご、2 かごドア、 2R 右ドアパネル、 2L 左ドアパネル、3 ドア開閉装置、 3a ドアレール、 3b ドアマシン、 3c ドア駆動ベルト、 3d ドアプーリ、4 3軸加速度センサ、5 3軸磁気センサ、6 巻上機、7 つり合いおもり、8 プーリ、9 主ロープ、10 乗り場ドア、11 制御装置、12 診断装置、 12a かご位置検出部、 12b かごドア開閉検出部、 12c かご移動量計測部、 12d 走行状態検出部、 12e 異常診断部、 12f 初期値格納部、 12g 着床誤差格納部、 12h 異常発報部
図1
図2
図3
図4
図5