特許第6987272号(P6987272)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6987272二重モード動き制御システムおよびピエゾ・モータの動作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987272
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】二重モード動き制御システムおよびピエゾ・モータの動作方法
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/06 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
   H02N2/06
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-552381(P2020-552381)
(86)(22)【出願日】2019年3月21日
(65)【公表番号】特表2021-520177(P2021-520177A)
(43)【公表日】2021年8月12日
(86)【国際出願番号】IB2019052308
(87)【国際公開番号】WO2019186334
(87)【国際公開日】20191003
【審査請求日】2020年11月30日
(31)【優先権主張番号】18164871.8
(32)【優先日】2018年3月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520215407
【氏名又は名称】フィズィーク・インストゥルメンテ(ペーイー)ゲーエムベーハー・ウント・コー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】カルピ,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】クナイプ,ジェローム
【審査官】 三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−74787(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/137044(WO,A1)
【文献】 特開2013−55749(JP,A)
【文献】 特開平9−163770(JP,A)
【文献】 特開2009−95091(JP,A)
【文献】 特開2009−22108(JP,A)
【文献】 特開2017−108540(JP,A)
【文献】 米国特許第7436101(US,B1)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0023657(KR,A)
【文献】 国際公開第2018/134637(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0076965(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スティック−スリップ・ピエゾ・モータを動作させる動き制御システムであって、
高動作速度時に高速度波形を供給するアナログ・ハードウェア回路と、
アナログ・ハードウェア回路を駆動するアナログ・ドライバと、
低動作速度において低速度波形を供給するために、ディジタル信号をアナログ信号に変換するディジタル/アナログ変換器と、
前記アナログ・ハードウェア回路からの出力および前記ディジタル/アナログ変換器からの出力から1つを選択するモード・スイッチと、
前記アナログ・ドライバ、前記アナログ・ハードウェア回路、前記ディジタル/アナログ変換器、および前記モード・スイッチと通信する電子コントローラと、
を備え、前記電子コントローラが、
低速度波形を出力するように前記ディジタル/アナログ変換器を制御し、前記アナログ・ハードウェア回路に高速度波形を出力させるように前記アナログ・ドライバを制御し、
前記アナログ・ハードウェア回路からの前記高速度波形を前記ピエゾ・モータに供給するように、または前記ディジタル/アナログ変換器からの低速度波形を前記ピエゾ・モータに供給ように、前記モード・スイッチを制御する、
ように構成される、動き制御システム。
【請求項2】
請求項1記載の動き制御システムにおいて、前記アナログ・ハードウェア回路が、
電流源と、
前記電流源に接続された基準キャパシタと、
前記基準キャパシタを放電する放電スイッチと、
を含み、
前記電流源および前記放電スイッチが、前記アナログ・ドライバによって制御される、動き制御システム。
【請求項3】
請求項2記載の動き制御システムにおいて、前記アナログ・ハードウェア回路が、
前記電流源と前記基準キャパシタとの間に入力接続を有する反転器と、
前記電流源と前記基準キャパシタとの間に接続された第1入力を有する動き方向スイッチであって、前記動き方向スイッチが前記反転器の出力に接続された第2入力を有し、前記動き方向スイッチの出力が、前記モード・スイッチの入力に接続される、動き方向スイッチと、
を含む、動き制御システム。
【請求項4】
請求項3記載の動き制御システムであって、更に、
前記モード・スイッチの出力を受け取るように構成された増幅器と、
前記増幅器の出力を受け取るピエゾ・モータであって、前記制御システムが、機械デバイスの移動のために前記ピエゾ・モータを制御する、ピエゾ・モータと、
を含む、動き制御システム。
【請求項5】
請求項4記載の動き制御システムにおいて、前記アナログ・ハードウェア回路が、フィードバック制御信号を前記アナログ・ドライバに供給する電圧レベル・センサを含み、前記電圧レベル・センサが、前記電流源と前記基準キャパシタとの間に接続された入力接続を有する、動き制御システム。
【請求項6】
請求項4記載の動き制御システムにおいて、前記動き制御システムが、前記機械デバイスに対する位置フィードバックを前記電子コントローラに供給する位置エンコーダを含み、前記動き制御システムが閉ループ・システムである、動き制御システム。
【請求項7】
請求項4記載の動き制御システムにおいて、前記動き制御システムが、位置エンコーダを含まない開ループ・システムである、動き制御システム。
【請求項8】
請求項1記載の動き制御システムにおいて、前記電子コントローラが、プロセッサと非一時的メモリとを含み、前記電子コントローラがユーザ・インターフェースからコマンドを受け取る、動き制御システム。
【請求項9】
請求項8記載の動き制御システムにおいて、前記プロセッサが、動きプロファイルを生成するために、前記ユーザ・インターフェースから受け取ったコマンドを処理し、前記ピエゾ・モータを駆動するために、前記アナログ・ドライバまたは前記ディジタル/アナログ変換器のいずれかに駆動信号を選択的に供給する、動き制御システム。
【請求項10】
請求項1記載の動き制御システムにおいて、前記低速度波形が、前記高速度波形の傾斜よりも小さい傾斜を有する、動き制御システム。
【請求項11】
電子コントローラと、移動が選択されたときに機械デバイスを移動させるアナログ・ドライバとによって、スティック−スリップ・ピエゾ・モータを制御する方法であって、
前記スティック−スリップ・ピエゾ・モータを低速度で動かすために前記電子コントローラによって、ディジタル回路モードで動作するステップと、
前記スティック−スリップ・ピエゾ・モータを高速度で動かすために、前記電子コントローラおよび前記アナログ・ドライバによって、選択的にアナログ回路モードで動作するステップと、
を含み、
前記電子コントローラが、前記ピエゾ・モータの始動時に、前記ディジタル回路モードで動作する、方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、前記電子コントローラが、前記ピエゾ・モータの停止前に、前記ディジタル回路モードで動作する、方法。
【請求項13】
請求項11記載の方法において、前記電子コントローラが、前記スティック−スリップ・ピエゾ・モータに対する既定の動作速度において、ユーザ入力を使用せずに、自動的に前記ディジタル回路モードから前記アナログ回路モードに移行する、方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、前記アナログ回路モードにおいて、前記コントローラが、前記スティック−スリップ・ピエゾ・モータに給電するように、アナログ・ハードウェア回路を駆動する前記アナログ・ドライバに、駆動命令を供給する、方法。
【請求項15】
請求項11記載の方法において、前記方法が、前記ピエゾ・モータが第1既定速度で駆動されているとき、前記ディジタル回路モードから前記アナログ回路モードに移行し、前記方法が、前記第1既定速度よりも低い第2既定速度で前記ピエゾ・モータがアナログ回路モードで駆動されているとき、前記アナログ回路モードから前記ディジタル回路モードに移行する、方法。
【請求項16】
請求項11記載の方法であって、前記機械デバイスに対する位置フィードバックを前記電子コントローラに供給する位置エンコーダを含み、前記ピエゾ・モータを制御する動き制御システムが閉ループ・システムである、方法。
【請求項17】
請求項11記載の方法において、前記電子コントローラが、プロセッサと非一時的メモリとを含み、前記電子コントローラが、ユーザ・インターフェースからコマンドを受け取る、方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、前記アナログ回路モードにおいて動作するとき、前記アナログ・ドライバがアナログ・ハードウェア回路を駆動し、前記アナログ・ハードウェア回路が、電流源と、前記電流源に接続された基準キャパシタと、前記基準キャパシタを放電させる放電スイッチとを含み、前記電流源および前記放電スイッチが、前記アナログ・ドライバによって制御される、方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、前記ディジタル回路モードで動作するとき、前記電子コントローラが、低動作速度において低速度波形を供給するように、ディジタル信号をアナログ信号に変換するディジタル/アナログ変換器を制御する、方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法であって、前記アナログ信号を受け取り、機械デバイスを移動させるために出力をピエゾ・モータに供給するように構成された増幅器を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本願は、2018年3月29日に出願された欧州特許出願第18164871.8号の優先権を主張する。この特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0002】
[0002] 本発明は、スティック・スリップ・ピエゾ・モータの動き制御システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] スティック−スリップ・ピエゾ・モータは、先行技術において公知である。スティック−スリップ圧電モータの一例が、米国特許公開第2015/0076965号に開示されている。物理構造は、結合パッドと摩擦パッドとを含む。
【0004】
[0004] 他のスティック−スリップ・ピエゾ・モータが、2017年4月24日に出願された国際PCT出願第PCT/IB2017/000554号に開示されている。この圧電モータは、ピエゾ・スタックと、後退位置と延出位置との間の移動のためのストリップとを有する。パッドが作用面(actuation surface)と係合し、スプリング・ヘッドがパッドの各々と係合可能である。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 一実施形態では、スティック−スリップ・ピエゾ・モータを動作させる動き制御システムは、高動作速度において高速度波形を供給するアナログ・ハードウェア回路と、アナログ・ハードウェア回路を駆動するアナログ・ドライバと、ディジタル信号をアナログ信号に変換し、低動作速度において低速度波形を供給するディジタル/アナログ変換器とを備える。動き制御システムは、更に、アナログ・ハードウェア回路からの出力およびディジタル/アナログ変換器からの出力から1つを選択するモード・スイッチと、アナログ・ドライバ、アナログ・ハードウェア回路、ディジタル/アナログ変換器、およびモード・スイッチと通信する電子コントローラとを含む。電子コントローラは、低速度波形を出力するようにディジタル/アナログ変換器を制御し、アナログ・ハードウェア回路に高速度波形を出力させるようにアナログ・ドライバを制御し、高速度波形をアナログ・ハードウェア回路からピエゾ・モータに、または低速度波形をディジタル/アナログ変換器からピエゾ・モータに供給するためにモード・スイッチを制御するように構成される。
【0006】
[0006] 他の実施形態では、電子コントローラと、移動(movement)が選択されたときに機械デバイスを移動させる(move)アナログ・ドライバとによってスティック−スリップ・ピエゾ・モータを制御する方法を提供する。この方法は、スティック−スリップ・ピエゾ・モータを低速で動かすために、電子コントローラによってディジタル回路モードで動作するステップと、スティック−スリップ・ピエゾ・モータを高速で動かすために、電子コントローラおよびアナログ・ドライバによってアナログ回路モードで選択的に動作するステップとを含む。電子コントローラは、ピエゾ・モータの始動時に、ディジタル回路モードで動作する。
【0007】
[0007] 本発明の他の態様は、詳細な説明および添付図面を検討することによって、明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、動き制御システムの実施形態のブロック図である。
図2図2は、二重モード動き制御において、ディジタル回路モードとアナログ回路モードとの間で動作する実施形態のフロー・チャートである。
図3図3は、一実施形態の速度分布を示すグラフである。
図4図4は、一実施形態において動き制御システムがディジタル回路モードで動作しているときの低傾斜波形図(low slope waveform)を示す。
図5図5は、一実施形態における動き制御システムの動作モードに対する、低傾斜波形および高速度波形を示す。
図6図6は、高速度波形を供給するためにアナログ回路モードで動作する実施形態のフロー・チャートを示す。
図7図7は、放電スイッチを制御するアナログ・ドライバからのパルスによって、キャパシタの放電が行われる(provide)実施形態の波形を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0015] 実施形態を詳細に説明する前に、実施形態は、以下の説明において明記するまたは以下の図面において示すコンポーネントの構造および配列の詳細に適用されることには限定されないことは理解されてしかるべきである。他の実施形態は、種々の方法で実施(practice)または実行(carry out)することができる。また、本明細書において使用する表現法および語法は、説明の目的に限ってのことであり、限定と見なしてはならないことも理解されてしかるべきである。「含む」(including)、「備える」(comprising)、または「有する」(having)、およびこれらの変形は、本明細書において使用する場合、以下に列挙される項目およびその均等物、ならびに追加の項目も包含することも意味する。特に指定または限定されない場合、「実装された」(mounted)、「接続された」(connected)、「支持された」(supported)、および「結合された」(coupled)という用語、ならびにこれらの変形は、広義で使用され、直接および関節的双方の実装、接続、支持、および結合を包含する。更に、「接続された」および「結合された」は、物理的または機械的な接続にも結合にも限定されない。
【0010】
[0016] 図1は、二重モード動き制御システム10のブロック図を示す。二重モード動き制御システム10は、入力を電子コントローラ20に供給するユーザ・インターフェース14を含む。電子コントローラ20は、入力/出力(I/O)インターフェース22、プロセッサ24、およびメモリ26を含む。プロセッサ24は、不揮発性メモリ26に格納されている命令を実行するように構成されている。
【0011】
[0017] 図1は、複数のデバイスに接続し、I/Oインターフェース22を介してコントローラ20のプロセッサ24と通信するアナログ・ドライバ28を示す。一実施形態では、アナログ・ドライバ28は特定用途集積回路(ASIC)である。他の実施形態では、アナログ・ドライバ28は、ディジタル信号プロセッサ(DSP)のコンポーネントとして、プロセッサ24と結合されたアナログ回路である。アナログ・ドライバ28は、プロセッサ24よりも高い速度で動作するように構成されている。
【0012】
[0018] 尚、図1に示す電子コントローラ20は、複数のプロセッサ、追加のコンピュータ読み取り可能メモリ、複数のI/Oインターフェース、および/または追加のコンポーネントもしくはモジュール(例えば、ハードウェア、ソフトウェア、またはその組み合わせ)を含むことができることは理解されてしかるべきである。
【0013】
[0019] 図1に示すプロセッサ24は、少なくともアナログ・ドライバ28からの情報を受け取り、電子コントローラ20のメモリ26に格納されている1つ以上のソフトウェア・モジュール(これを「プログラム」と呼ぶこともある)のために命令を実行することによって、この情報を処理する。プロセッサ24は、メモリ26に情報を格納し、メモリ26から情報を引き出す。情報は、プロセッサ24によって実行されるプログラムによって生成される。メモリ26は、非一時的メモリおよび揮発性メモリ、またはこれらの組み合わせを含む。非一時的メモリは、コンピュータ読み取り可能である。種々の構造において、メモリ26は、オペレーティング・システム・ソフトウェア、アプリケーション/命令データ、およびこれらの組み合わせも格納することができる。他の実施形態では、特定用途集積回路(ASIC)がプロセッサ24の動作を実行する。
【0014】
[0020] 図1に示す二重モード動き制御システム10は、ディジタル回路モードにおいて動作するために、ディジタル/アナログ変換器(DAC)30を含む。一実施形態では、DAC30は16ビット・デバイスであり、電子コントローラ20からのディジタル入力を受け取り、信号線32上に、低速度波形としてアナログ出力信号を供給する。つまり、DAC30は、ディジタル信号をアナログ信号に変換するために設けられている。
【0015】
[0021] 二重モード動き制御システム10は、アナログ出力信号を高速度波形として供給するために、アナログ・ハードウェア回路40を含む。アナログ・ハードウェア回路40は、高速傾斜生成器(high speed slope generator)42を含む。高速傾斜生成器42は、放電スイッチS1、電流源44、および基準キャパシタ46を含む。電流源44は、基準キャパシタ46と直列になっている。放電スイッチS1は、基準キャパシタ46と並列に、接地に接続されている。制御信号線50は、電流源44を制御するために、制御信号をアナログ・ドライバ28から供給する。制御信号線54は、制御信号をアナログ・ドライバ28から放電スイッチS1に供給する。放電スイッチS1は、開/閉またはオン/オフ・スイッチである。
【0016】
[0022] 図1に示すアナログ・ハードウェア回路40は、制御信号線68への入力電気接続があるインバータ64を有する傾斜反転回路60を含む。この入力電気接続は、電流源44と基準キャパシタ46との間にある。傾斜反転回路60は、インバータ64の出力に接続された第1入力コネクタと、信号線68に接続された第2入力コネクタとを有する動き方向スイッチ(motion direction switch)S2を含む。つまり、動き方向スイッチS2は、駆動信号波形の出力をそこから選択的に供給するために、2つの入力コネクタを有する。最終的に、動き方向スイッチS2は、制御信号線69を通じて、アナログ・ドライバ28から制御入力を受け取る。
【0017】
[0023] アナログ・ハードウェア回路40は、信号線68上の信号の電圧レベルを検知する、調節可能な電圧レベル・センサ70を含む。調節可能な電圧レベル・センサ70は、検知した電圧値と比較するために、信号線71上で、予め定められたまたは選択された電圧レベル値をアナログ・ドライバ28から受け取る。電圧レベル・センサ70は、予め定められた電圧レベル値を超過したとき、信号線72上で出力をアナログ・ドライバ28に供給する。
【0018】
[0024] 図1に示す二重モード動き制御システム10は、モード・スイッチS3を含む。モード・スイッチS3は、信号線76に接続され、動き方向スイッチS2からの出力を受け取る入力と、DAC30の出力信号線32からの信号を受け取る入力コネクタとを有する。最終的に、モード・スイッチS3は、制御信号線82を通じて電子コントローラ20から制御信号を受け取る制御入力コネクタを含む。
【0019】
[0025] 図1に示す二重モード動き制御システム10は、更に、増幅器84を含む。増幅器84は、モード・スイッチS3を介して受け取った出力信号を増幅するための出力信号線88を有し、出力信号線88上で、増幅した出力をピエゾ・モータ90に供給する。
【0020】
[0026] 電子コントローラ40は、少なくともアナログ・ドライバ28、アナログ・ハードウェア回路40、ディジタル/アナログ変換器30、およびモード・スイッチS3と通信する。
【0021】
[0027] ある実施形態では、電子コントローラ20は、メモリ26によってまたはユーザ・インターフェース14からの入力によって供給される計算およびプログラミングされた情報に基づいて、ピエゾ・モータ90の位置を決定する。つまり、電子コントローラ20は、位置エンコーダがないオープン・ループ・システムにおいて動作する。
【0022】
[0028] 他の実施形態では、図1に示す位置エンコーダ94は、ピエゾ・モータ90およびこれと関連付けられた機械デバイスの物理位置データを決定する。位置エンコーダは、信号線98上で物理位置データを電子コントローラ20に供給するように接続されている。
【0023】
[0029] 動作
[0030] 動作において、図1に示す二重モード動き制御システム10は、一実施形態において、図2に示すフロー・チャート100に示すようにして、スティック−スリップ・ピエゾ・モータを制御する方法を実行する。始動動作のとき、電子コントローラ20は新たな動きコマンドが供給されたか否か判定する(ステップ104)。ユーザ・インターフェース14から受け取ったコマンドを考慮して、動きおよび方向を有する新たな軌道が要求されたとき、プロセッサ24はコマンドを処理するか、またそうでなければ動きプロファイルを生成するように動作する(ステップ108)。動きプロファイルの一例は、図3に示す台形状速度分布である。このプロファイルは、圧電モータ90による機械デバイスの所定のまたは計算された移動に対応する。図3に示す速度分布は、縦軸に速度、そして横軸に時間を含む。図3は、低−高速度遷移速度閾値V1に達するまでの、ディジタル回路モードにおけるDAC30の動作を示す。予め定められた動作速度(speed or velocity)閾値V1に達したときに、二重モード動き制御システムの電子コントローラ20は、アナログ・ドライバ28およびアナログ・ハードウェア回路40を、モード・スイッチS3と共に利用することによって、アナログ回路モードに切り替える。圧電モータ90が最大速度に達し、機械デバイスを特定の距離まで移動させたとき、アナログ回路モードは減速し始める。高−低速度遷移閾値V2に達したとき、電子コントローラ20はディジタル回路モードに再度切り替える。速度閾値V2または予め定められた動作速度は、一実施形態では、速度閾値VIよりも低い。
【0024】
[0031] 図2に戻って、新たな軌道を生成した後(ステップ108)、電子コントローラは、次の目標移動位置を計算し(ステップ112)、新たな目標速度を計算する(ステップ116)。次いで、プログラムは、目標速度が速度閾値V1以上の値に対応するか否か判定する(ステップ120)。初期状態では、速度は低い。したがって、電子コントローラ(ステップ120)は、次の電圧レベルを計算し(ステップ124)、次いで所望の圧電電圧を出力のために設定する(ステップ128)処理に進む。その後、コントローラ20は、DAC30からの入力を受け取るようにモード・スイッチS3を設定するか、またはDAC30に接続されたままモード・スイッチを維持する(ステップ132)。その後、DAC30からの電圧を、モード・スイッチS3を介して、増幅器84に供給する(ステップ136)。増幅器88は、関連する機械デバイスを移動させるために、駆動電圧を圧電モータ90に供給する。
【0025】
[0032] コントローラ20のプロセッサ24によって実行されるプログラムは戻る(ステップ104)。新たな動きコマンドが生成されないので(判断ステップ104)、プロセッサ24は、戻って次の目標位置を計算し(ステップ112)、次いで新たな上昇速度を計算する(ステップ116)。速度は閾値VI未満に留まっているので(ステップ120)、プロセッサ24は先に進み、ステップ(ステップ124、128、132、126)を繰り返す。フロー・チャートを通過して戻る毎に、図4に示す上昇速度対時間の関係に表される一実施形態に示すように、DAC30はその出力を徐々に増加させるので、電圧出力はいくらか段階的に増大する。つまり、DAC30は、低速傾斜生成器として、図4に示す低速度波形を得るように動作する。ディジタル回路モードの動作において、最大電圧が得られるまでDAC30を駆動し、次いで電圧出力をリセットする。圧電モータ90の動作において、リセットはスリップに対応する。図5の部分は、DAC30によって出力される波形を示し、第1波形よりも遙かに素早く第2波形W2を生成するために、速度を上昇させる。DAC30は、ディジタル信号をアナログ信号に変換し、モード・スイッチS3を介して波形を増幅器84に供給することによって、低速傾斜生成器として動作する。ピエゾ・モータ90は、機械デバイスを移動させるために、波形を受け取る。
【0026】
[0033] ディジタル回路モードからアナログ回路モードへの切り替え
[0034] 傾斜の速度が、図3における速度閾値VIを越えて増大する瞬間は、図5における時点tに対応する。図2において、プロセッサ24は高速閾値VIを決定し、高速またはアナログ回路モードに進むように切り替える(判断ステップ120)。次いで、アナログ・ドライバ28を通じて、プロセッサ24は電流源44を設定する(ステップ140)。DAC30は電力を受け取らない。電流源44は、アナログ・ドライバ28からの信号に応答して、選択された電流を出力する。プロセッサ24は次に進んで、モード・スイッチS3が未だアナログ・ハードウェア回路の出力を受け取るように設定されていない場合、アナログ・ハードウェア回路40の出力を受け取るように、モード・スイッチS3を設定する(ステップ144)。次いで、高速傾斜生成器42が動作する(ステップ150)。
【0027】
[0035] 高速動作
[0036] 高速傾斜生成器42を含むアナログ・ハードウェア回路による高速傾斜の生成(ステップ150)を、図6におけるサブルーチンとして示す。つまり、フィードバック・ループを含む演算ステップ150の機能(features)を図6に示す。動作において、電流源44は基準キャパシタ46を充電している。傾斜レベルが電圧閾値に達しないとき、プログラムはステップ152に戻り、基準キャパシタ46の充電を続ける。調節可能なレベル・センサ70が、基準キャパシタ46上に充電された電圧が、アナログ・ドライバ28からの信号線71上に供給される電圧以上であることを検知したとき、所望の電圧閾値が得られたことになる(ステップ152)。基準キャパシタ46上の電圧が閾値に達したとき、電圧レベル・センサ70は、フィードバック制御信号をアナログ・ドライバ28に供給する。アナログ・ドライバ28は、基準キャパシタを放電することによってアナログ・ハードウェア回路40を駆動している(ステップ154)。基準キャパシタ46の放電は、図7に示す波形において表されるように、放電スイッチS1を制御するアナログ・ドライバ28からのパルスによって行われる(provide)。次いで、アナログ・ドライバ28は、傾斜期間を判定し(ステップ156)、速度誤差を計算する(ステップ158)。速度誤差は、電流源を調節するために利用される(ステップ160)。ステップ152から160までは、二重モード動き制御システム10のプロセッサ24の速度よりも遙かに高い速度で繰り返す。図5に示す時点tおよびtの間において、高速傾斜生成が行われる。図5に示す速度よりも遙かに高い傾斜生成速度も考えられる。
【0028】
[0037] 図2に戻って、図6のフロー・チャートをある回数だけ繰り返した後、プログラムは、更に、圧電モータ90を動作させるための順方向/逆方向条件も決定する(判断ステップ170)。逆方向が選択された場合、反転器64からの出力をスイッチS2、S3を介して増幅器84(ステップ136)および圧電モータ90に供給するように、動き方向スイッチS2を切り替える(ステップ174)。順方向が選択された場合(ステップ178)、動き方向スイッチS2は、同じ位置に留まるか、または信号線68がスイッチS2、S3を介して出力を増幅器84に供給するように、動き方向スイッチS2を切り替える(ステップ136)。図2に示すプログラムは、次に、ステップ104において繰り返す。
【0029】
[0038] アナログ回路モードからディジタル回路モードへの切り替え
[0039] 図2において、二重モード動き制御システム10が高速傾斜から低速傾斜に切り替わる瞬間において(ステップ120)、傾斜の速度は、図3における速度閾値V2未満に低下する。これは図5における時点tに対応する。プログラムは、次の電圧レベルを計算し(ステップ124)、DAC30に対して所望の圧電電圧を設定する。そして、モード・スイッチS3を低チャネル出力に切り替える(ステップ132)。ディジタル回路モードは、先に明記した態様で動作する。図3に示すように、速度閾値V2は、速度閾値VI未満である。
【0030】
[0040] 二重モード動き制御システム10は、ピエゾ・モータ90が第1既定速度で駆動されるとき、ディジタル回路モードからアナログ回路モードに移行する方法を実行する。このシステムまたは方法は、ピエゾ・モータ90が、第2既定速度 (speed or velocity)、即ち、第1既定速度(speed or velocity)未満の速度でアナログ回路モードで駆動されるときに、アナログ回路モードからディジタル回路モードに移行する。
【0031】
[0041] 低速傾斜信号を供給するディジタル回路モードでは、プロセッサ24は、リアル・タイムで、所望の信号レベルを、その各サーボ・サイクル中に計算する。この構成では、無限の理論的分解能が得られ、数値(不動小数点)分解能およびDAC30の分解能のみによって限定される。信号を記述するためにメモリに格納される固定値、または電圧ステップと比較して、開示する方法ははるかに正確で柔軟性があり、リアル・タイムで任意の信号形状に変更することが可能になる。しかしながら、パルス・レートがプロセッサ24のサーボ・クロックよりも大幅に低く、このディジタル方法が低速でしか使用できないという制約がある。電子コントローラ40は、ピエゾ・モータ90を停止する前に、ディジタル回路モードで動作する。
【0032】
[0042] この(our)解決策は、低速度信号を生成するディジタル構成を、高速では非常によく動作するが低速には対処できない(handle)ハードウェア生成信号と組み合わせることに独自性がある。
【0033】
[0043] 閉ループ・システム
[0044] 一実施形態では、二重モード動き制御システム10は、ピエゾ・モータ90が設けられた機械デバイスについての位置フィードバックを、電子コントローラ20に提供するために、位置エンコーダ94を含む。直接フィードバックは、閉ループ・システムとして動作することによって、機械デバイスの位置精度を確保する。
【0034】
[0045] 開ループ・システム
[0046] 他の実施形態では、二重モード動き制御システムは、位置エンコーダを含まない開ループ・システムである。プロセッサ24は、ピエゾ・モータ90の動作に基づいて、機械デバイスの位置を判定または計算する。測定も位置検知も行われない。
【0035】
[0047] 追加の機能
[0048] 以上で明記したように、電流源44は、初期状態においてプロセッサ24からの信号に基づいて、アナログ・ドライバ28によって制御される。つまり、プロセッサ24は、アナログ・ドライバ28を通じて、基準キャパシタの充電率を制御し、一方基準キャパシタの充電率が信号の傾斜を決定する。
【0036】
[0049] 図1に示すように、反転器64は、同じ基準キャパシタ46/電流源44から、逆方向のための信号を生成する。つまり、上り傾斜の代わりに、ピエゾ・モータ90による逆方向の移動をトリガする負の傾斜を生成する。
【0037】
[0050] 両方向の信号を生成するために1つの基準キャパシタ46/電流源44を使用することによって、使用可能な範囲内の任意の速度において完全な信号対称性が得られる。他の実施形態では、プロセッサ24が2つの動き方向(motion direction)に対する信号を選択する動き方向スイッチS2を制御する。プロセッサ24は、高および低速度波形のための信号を供給する出力を選択するモード・スイッチS3を制御する。
【0038】
[0051] 一実施形態では、電子コントローラが、スティック−スリップ・ピエゾ・モータに対する既定の動作速度において、ユーザ入力を使用せずに、自動的にディジタル回路モードからアナログ回路モードに移行する。
【0039】
[0052] ある実施形態では、信号形状がピエゾ・モータ90の負荷とは無関係である。つまり、ドライバの構成変更を必要とせずに、任意のピエゾ・モータ90を駆動することができる。
【0040】
[0053] スティック−スリップ・ピエゾ・モータ90に通例必要とされる全ての充電および放電遅延は、プログラミング可能であり、速度および他の条件に基づいて動的に変更される。
【0041】
[0054] スイッチS1、S2、S3は、ある実施形態では、集積回路である。
[0055] 電圧レベル・センサ70は、アナログ・ドライバ28およびプロセッサ20とは別個のエレメントとして示されている。ある実施形態では、電圧レベル・センサ70は、コントローラ20と、アナログ・ハードウェア回路40を駆動するアナログ・ドライバ28とを含むDSPのコンポーネントである。つまり、図1の構成は、例示を目的とするに過ぎない。
【0042】
[0056] 以上のように、実施形態は、とりわけ、二重モード動き制御システム10、およびスティック−スリップ・ピエゾ・モータ90を低速度傾斜または低動作速度時にはディジタル回路モードで動作させ、高速度傾斜または高動作速度時にはアナログ回路モードで動作させる方法を提供する。本発明の種々の特徴および利点について、以下の特許請求の範囲に明記する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7