(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る表示装置を模式的に示す平面図である。
図1に示すように、表示装置1は、アレイ基板2と、画素Pix(画素群)と、駆動回路12と、駆動IC(Integrated Circuit)210と、カソード配線60と、を含む。アレイ基板2は、各画素Pixを駆動するための駆動回路基板であり、バックプレーン又はアクティブマトリクス基板とも呼ばれる。アレイ基板2は、基板21、複数のトランジスタ、複数の容量及び各種配線等を有する。
【0010】
図1に示すように、表示装置1は、表示領域AAと、周辺領域GAとを有する。表示領域AAは、複数の画素Pixと重なって配置され、画像を表示する領域である。周辺領域GAは、複数の画素Pixと重ならない領域であり、表示領域AAの外側に配置される。
【0011】
複数の画素Pixは、表示領域AAにおいて、第1方向Dx及び第2方向Dyに配列される。なお、第1方向Dx及び第2方向Dyは、基板21の表面に対して平行な方向である。第1方向Dxは、第2方向Dyと直交する。ただし、第1方向Dxは、第2方向Dyと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向である。第3方向Dzは、例えば、基板21の法線方向に対応する。なお、以下、平面視とは、第3方向Dzから見た場合の位置関係を示す。
【0012】
駆動回路12は、駆動IC210からの各種制御信号に基づいて複数のゲート線(例えば、リセット制御信号線L5、出力制御信号線L6、画素制御信号線L7、初期化制御信号線L8(
図3参照))を駆動する回路である。駆動回路12は、複数のゲート線を順次又は同時に選択し、選択されたゲート線にゲート駆動信号(例えば、画素制御信号SG)を供給する。これにより、駆動回路12は、ゲート線に接続された複数の画素Pixを選択する。
【0013】
駆動IC210は、表示装置1の表示を制御する回路である。駆動IC210は、基板21の周辺領域GAにCOG(Chip On Glass)として実装される。これに限定されず、駆動IC210は、基板21の周辺領域GAに接続された配線基板の上にCOF(Chip On Film)として実装されてもよい。配線基板は、例えば、フレキシブルプリント基板やリジット基板である。
【0014】
カソード配線60は、基板21の周辺領域GAに設けられる。カソード配線60は、表示領域AAの複数の画素Pix及び周辺領域GAの駆動回路12を囲んで設けられる。言い換えると、カソード配線60は、基板10上に形成された周辺回路と基板21の外縁との間に配置される。複数の発光素子3のカソード(カソード端子22t(
図5参照))は、共通のカソード配線60に接続され、固定電位(例えば、グランド電位)が供給される。より具体的には、発光素子3のカソード端子22t(
図5参照)は、カソード電極22を介して、カソード配線60に接続される。なお、カソード配線60は、基板10の3辺に沿って連続して形成される1つの配線に限らず、基板21上において、いずれかの辺においてスリットを有する2つの部分配線からなってもよく、基板21の少なくとも1つの辺に沿って配置される配線であれば良い。
【0015】
図2は、複数の画素を示す平面図である。
図2に示すように、1つの画素Pixは、複数の画素49を含む。例えば、画素Pixは、第1画素49Raと、第2画素49Rbと、第3画素49Gと、第4画素49Bとを有する。第1画素49Raは、第1色としての原色の第1赤色を表示する。第2画素49Rbは、第1色としての原色の第2赤色を表示する。第3画素49Gは、第2色としての原色の緑色を表示する。第4画素49Bは、第3色としての原色の青色を表示する。第1赤色と第2赤色は、いずれも赤色の光であるが、発光強度及び光のスペクトルの半値幅が異なる。
【0016】
図2に示すように、1つの画素Pixにおいて、第1画素49Raと第2画素49Rbは第2方向Dyで並ぶ。第1画素49Raと第4画素49Bは第1方向Dxで並ぶ。第2画素49Rbと第3画素49Gは第1方向Dxで並ぶ。また、第3画素49Gと第4画素49Bは第2方向Dyで並ぶ。なお、第1色、第2色、第3色は、それぞれ赤色、緑色、青色に限られず、補色などの任意の色を選択することができる。以下において、第1画素49Ra、第2画素49Rb、第3画素49G及び第4画素49Bをそれぞれ区別する必要がない場合、画素49という。
【0017】
画素49は、それぞれ発光素子3と、アノード電極23とを有する。具体的には、第1画素49Ra、第2画素49Rb、第3画素49G及び第4画素49Bは、それぞれ、第1発光素子3Ra、第2発光素子3Rb、第3発光素子3G及び第4発光素子3Bを有する。つまり、第1発光素子3Raと第2発光素子3Rbは第2方向Dyで並ぶ。第1発光素子3Raと第4発光素子3Bは第1方向Dxで並ぶ。第2発光素子3Rbと第3発光素子3Gは第1方向Dxで並ぶ。また、第3発光素子3Gと第4発光素子3Bは第2方向Dyで並ぶ。第1発光素子3Raは第1赤色の光を出射する。第2発光素子3Rbは第2赤色の光を出射する。第3発光素子3Gは、緑色の光を出射する。第4発光素子3Bは、青色の光を出射する。なお、以下において、第1発光素子3Ra、第2発光素子3Rb、第3発光素子3G及び第4発光素子3Bをそれぞれ区別する必要がない場合、発光素子3という。
【0018】
発光素子3は、平面視で、3μm以上、300μm以下程度の大きさを有する無機発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)チップであり、マイクロLED(micro LED)又はミニLED(mini LED)と呼ばれる。各画素にマイクロLEDを備える表示装置1は、マイクロLED表示装置とも呼ばれる。なお、マイクロLEDのマイクロは、発光素子3の大きさを限定するものではない。
【0019】
なお、複数の発光素子3は、4色以上の異なる光を出射してもよい。なお、第1色、第2色、第3色は、それぞれ赤色、緑色、青色に限られず、補色などの任意の色を選択することができる。また、1つの画素Pixに配置される画素49の数は4に限らず、5以上であってもよく、5以上の画素49には、それぞれ異なる色が対応づけられていてもよい。さらに、画素49の配列は、これに限らず、第1画素49Ra、第2画素49Rb、第3画素49G及び第4画素49Bが第1方向Dx及び第2方向Dyのいずれか一方で並ぶように配列されていてもよい。
【0020】
図3は、画素回路を示す回路図である。
図3は、1つの画素49に設けられた画素回路PICAを示しており、画素回路PICAは複数の画素49のそれぞれに設けられている。
図3に示すように、画素回路PICAは、発光素子3と、5つのトランジスタと、2つの容量とを含む。具体的には、画素回路PICAは、駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、画素選択トランジスタSST及びリセットトランジスタRSTを含む。駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、画素選択トランジスタSST及びリセットトランジスタRSTは、それぞれn型TFT(Thin Film Transistor)で構成される。また、画素回路PICAは、第1容量Cs1及び第2容量Cs2を含む。
【0021】
発光素子3のカソード(カソード端子22t)は、カソード電源線L10に接続される。また、発光素子3のアノード(アノード端子23t)は、駆動トランジスタDRT及び出力トランジスタBCTを介してアノード電源線L1に接続される。アノード電源線L1には、アノード電源電位PVDDが供給される。カソード電源線L10には、カソード配線60及びカソード電極22に対応しカソード電源電位PVSSが供給される。アノード電源電位PVDDは、カソード電源電位PVSSよりも高い電位である。
【0022】
アノード電源線L1は、画素49に、駆動電位であるアノード電源電位PVDDを供給する。具体的には、発光素子3には、理想的にはアノード電源電位PVDDとカソード電源電位PVSSとの電位差(PVDD−PVSS)により順方向電流(駆動電流)が供給され発光する。つまり、アノード電源電位PVDDは、カソード電源電位PVSSに対し、発光素子3を発光させる電位差を有している。発光素子3のアノード端子23tはアノード電極23に接続され、アノード電極23とアノード電源線L1との間に、第2容量Cs2が接続される。
【0023】
駆動トランジスタDRTのソース電極は、アノード電極23を介して発光素子3のアノード端子23tに接続され、ドレイン電極は、出力トランジスタBCTのソース電極に接続される。駆動トランジスタDRTのゲート電極は、第1容量Cs1、画素選択トランジスタSSTのドレイン電極及び初期化トランジスタISTのドレイン電極に接続される。
【0024】
出力トランジスタBCTのゲート電極は、出力制御信号線L6に接続される。出力制御信号線L6には、出力制御信号BGが供給される。出力トランジスタBCTのドレイン電極は、アノード電源線L1に接続される。
【0025】
初期化トランジスタISTのソース電極は、初期化電源線L4に接続される。初期化電源線L4には、初期化電位Viniが供給される。初期化トランジスタISTのゲート電極は、初期化制御信号線L8に接続される。初期化制御信号線L8には、初期化制御信号IGが供給される。すなわち、駆動トランジスタDRTのゲート電極には、初期化トランジスタISTを介して初期化電源線L4が接続される。
【0026】
画素選択トランジスタSSTのソース電極は、映像信号線L2に接続される。映像信号線L2には、映像信号Vsigが供給される。画素選択トランジスタSSTのゲート電極には、画素制御信号線L7が接続されている。画素制御信号線L7には、画素制御信号SGが供給される。
【0027】
リセットトランジスタRSTのソース電極は、リセット電源線L3に接続される。リセット電源線L3には、リセット電源電位Vrstが供給される。リセットトランジスタRSTのゲート電極は、リセット制御信号線L5が接続される。リセット制御信号線L5には、リセット制御信号RGが供給される。リセットトランジスタRSTのドレイン電極は、アノード電極23(発光素子3のアノード端子23t)及び駆動トランジスタDRTのソース電極に接続される。リセットトランジスタRSTのリセット動作により、第1容量Cs1及び第2容量Cs2に保持された電圧がリセットされる。
【0028】
リセットトランジスタRSTのドレイン電極と、駆動トランジスタDRTのゲート電極との間に、第1容量Cs1が設けられる。画素回路PICAは、第1容量Cs1及び第2容量Cs2により、駆動トランジスタDRTの寄生容量とリーク電流とによるゲート電圧の変動を抑制することができる。
【0029】
なお、以下の説明において、アノード電源線L1及びカソード電源線L10を単に電源線と表す場合がある。映像信号線L2、リセット電源線L3及び初期化電源線L4を信号線と表す場合がある。リセット制御信号線L5、出力制御信号線L6、画素制御信号線L7及び初期化制御信号線L8をゲート線と表す場合がある。
【0030】
駆動トランジスタDRTのゲート電極には、映像信号Vsig(または、階調信号)に応じた電位が供給される。つまり、駆動トランジスタDRTは、出力トランジスタBCTを介して供給されたアノード電源電位PVDDに基づいて、映像信号Vsigに応じた電流を発光素子3に供給する。このように、アノード電源線L1に供給されたアノード電源電位PVDDは、駆動トランジスタDRT及び出力トランジスタBCTによって降下するため、発光素子3のアノード端子23tには、アノード電源電位PVDDよりも低い電位が供給される。
【0031】
第2容量Cs2の一方の電極には、アノード電源線L1を介してアノード電源電位PVDDが供給され、第2容量Cs2の他方の電極には、アノード電源電位PVDDよりも低い電位が供給される。つまり、第2容量Cs2の一方の電極には、第2容量Cs2の他方の電極よりも高い電位が供給される。第2容量Cs2の一方の電極は、例えば、アノード電源線L1であり、第2容量Cs2の他方の電極は、駆動トランジスタDRTのソースに接続されたアノード電極23及びこれに接続されたアノード接続電極24である。
【0032】
表示装置1において、駆動回路12(
図1参照)は、複数の画素行を、先頭行(例えば、
図1中の表示領域AAにおいて、最上部に位置する画素行)から順番に選択する。駆動IC210は、選択された画素行の画素49に映像信号Vsig(映像書き込み電位)を書き込み、発光素子3を発光させる。駆動IC210は、1水平走査期間ごとに、映像信号線L2に映像信号Vsigを供給し、リセット電源線L3にリセット電源電位Vrstを供給し、初期化電源線L4に初期化電位Viniを供給する。表示装置1は、これらの動作が1フレームの画像ごとに繰り返される。
【0033】
次に、
図4から
図6を参照しつつ、各トランジスタ及び各配線の具体的な構成例について説明する。
図4は、実施形態に係る表示装置の、2つの画素を拡大して示す平面図である。
【0034】
図4は、第1方向Dxに隣り合う2つの画素49(例えば、第2画素49Rbと第3画素49G)について示す。
図4に示すように、アノード電源線L1、映像信号線L2、リセット電源線L3及び初期化電源線L4は、第2方向Dyに延出する。リセット制御信号線L5、出力制御信号線L6、画素制御信号線L7、初期化制御信号線L8は、第1方向Dxに延出し、平面視で、アノード電源線L1、映像信号線L2、リセット電源線L3及び初期化電源線L4とそれぞれ交差する。また、第1方向Dxに隣り合う2つのアノード電源線L1の間に接続配線L9が設けられている。接続配線L9は、駆動トランジスタDRT、画素選択トランジスタSST及び初期化トランジスタISTを接続する。
【0035】
図4では、各配線及び半導体層を区別するために、アノード電源線L1、映像信号線L2、リセット電源線L3及び初期化電源線L4に斜線を付している。リセット制御信号線L5、出力制御信号線L6、画素制御信号線L7及び初期化制御信号線L8を点線で示している。また、各半導体層61、65、71、75、79にも斜線を付している。アノード接続電極24は、2点鎖線で示している。
【0036】
アノード電源線L1、映像信号線L2、リセット電源線L3、初期化電源線L4及び接続配線L9は、各ゲート線(リセット制御信号線L5、出力制御信号線L6、画素制御信号線L7、初期化制御信号線L8)と異なる層に設けられた金属層で形成されている。
【0037】
各種配線の材料として、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、インジウムスズ酸化物(ITO)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、Ag合金、銅(Cu)、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン又はカーボンナノバッドが用いられる。ここで、アノード電源線L1、映像信号線L2、リセット電源線L3、初期化電源線L4及び接続配線L9のシート抵抗値は、各ゲート線のシート抵抗値以下である。また、アノード電源線L1のシート抵抗値は、各信号線(映像信号線L2、リセット電源線L3、初期化電源線L4)及び接続配線L9のシート抵抗値以下である。例えば、アノード電源線L1のシート抵抗値は、30mΩ/□以上120mΩ/□以下である。各信号線及び接続配線L9のシート抵抗値は、120mΩ/□以上300mΩ/□以下である。また、各ゲート線のシート抵抗値は、300mΩ/□以上3000mΩ/□以下である。これにより、表示装置1は、アノード電源線L1に印加される駆動電圧の電圧降下を抑制し、表示性能の低下を抑制できる。
【0038】
なお、各種配線は、それぞれ、単層に限定されず、積層膜で構成されていてもよい。例えば、各電源線及び信号線はTi/Al/TiあるいはMo/Al/Moの積層構造であってもよく、Alの単層膜であってもよい。また、Ti、Al、Moは合金でもよい。
【0039】
半導体層61、65、71、75、79は、例えば、アモルファスシリコン、微結晶酸化物半導体、アモルファス酸化物半導体、ポリシリコン、低温ポリシリコン(LTPS:Low Temperature Polycrystalline Silicone)又は窒化ガリウム(GaN)で構成される。酸化物半導体としては、IGZO、酸化亜鉛(ZnO)、ITZOが例示される。IGZOは、インジウムガリウム亜鉛酸化物である。ITZOは、インジウムスズ亜鉛酸化物である。半導体層61、65、71、75、79は、いずれも同じ材料、例えば、ポリシリコンで構成されていてもよい。
【0040】
図4に示すように、リセット電源線L3及び初期化電源線L4は、第1方向Dxに隣り合う2つの画素49で共有される。つまり、
図4の左側に示す第2画素49Rbでは、初期化電源線L4は設けられず、映像信号線L2に沿ってリセット電源線L3が設けられている。
図4の右側に示す第3画素49Gでは、リセット電源線L3は設けられず、映像信号線L2に沿って初期化電源線L4が設けられている。これにより、各画素49にリセット電源線L3及び初期化電源線L4を設けた場合に比べて、配線の数を少なくして効率よく配線を配置することができる。
【0041】
駆動トランジスタDRTは、半導体層61、ソース電極62及びゲート電極64を有する。半導体層61、ソース電極62及びゲート電極64は、平面視で、少なくとも一部が重なって配置され、第1方向Dxに隣り合う2つのアノード電源線L1と、出力制御信号線L6と、画素制御信号線L7とで囲まれた領域に設けられる。半導体層61のうち、ゲート電極64と重なる領域の一部にチャネル領域が形成される。駆動トランジスタDRTは、半導体層61と重なって1つのゲート電極64が設けられたシングルゲート構造である。
【0042】
半導体層61は、第1部分半導体層61aを有する。第1部分半導体層61aは、半導体層61と同層で、同じ半導体材料が用いられる。第1部分半導体層61aは、半導体層61から第1方向Dxに突出した部分である。第1部分半導体層61aの第1方向Dxの幅は、半導体層61のうち、出力トランジスタBCTの半導体層65と接続される部分での第1方向Dxの幅よりも大きい。半導体層61は、第1部分半導体層61aを介してソース電極62と接続される。半導体層61及び第1部分半導体層61aは、第1絶縁膜91(
図5参照)及びゲート電極64と重なって設けられており、第1部分半導体層61aとゲート電極64との間に第1容量Cs1が形成される。なお、半導体層61と第1部分半導体層61aとは、それぞれ矩形状に形成されて接続部を介して電気的に接続されていてもよい。
【0043】
出力トランジスタBCTは、半導体層65を有する。半導体層65は駆動トランジスタDRTの半導体層61と接続されており、出力制御信号線L6と平面視で交差する。半導体層65のうち、出力制御信号線L6と重なる領域にチャネル領域が形成される。出力制御信号線L6のうち半導体層65と重なる部分が、出力トランジスタBCTのゲート電極66として機能する。半導体層65の一端側は、アノード電源線接続部L1aと電気的に接続される。アノード電源線接続部L1aは、アノード電源線L1から第1方向Dxに分岐された部分である。これにより、駆動トランジスタDRT及び出力トランジスタBCTには、アノード電源線L1からアノード電源電位PVDDが供給される。
【0044】
図4の右側に示す第3画素49Gでは、初期化トランジスタISTは、半導体層71を有する。
図4の左側に示す第2画素49Rbでは、初期化トランジスタISTは、半導体層71Aを有する。半導体層71、71Aは、それぞれ、初期化制御信号線L8及び分岐信号線L8aと平面視で交差する。半導体層71、71Aのうち、初期化制御信号線L8及び分岐信号線L8aと重なる領域にチャネル領域が形成される。分岐信号線L8aは、初期化制御信号線L8から分岐され、第1方向Dxに延出する。初期化制御信号線L8及び分岐信号線L8aのうち半導体層71、71Aと重なる部分が、それぞれ初期化トランジスタISTのゲート電極74として機能する。つまり、初期化トランジスタISTは、半導体層71、71Aのそれぞれに重なって2つのゲート電極74が設けられたダブルゲート構造である。
【0045】
図4の右側に示す第3画素49Gでは、半導体層71は、第2方向Dyに延出し、一端が接続配線L9に電気的に接続され、他端が初期化電源線接続部L4aに接続される。初期化電源線接続部L4aは、初期化電源線L4から第1方向Dxに分岐された部分である。また、
図4の左側に示す第2画素49Rbでは、半導体層71Aは、第2方向Dyに延出する部分と、第1方向Dxに延出する部分とを有する。半導体層71Aのうち、第2方向Dyに延出する部分の一端が接続配線L9に電気的に接続される。半導体層71Aのうち、第1方向Dxに延出する部分は、平面視でアノード電源線L1及び映像信号線L2と交差して第3画素49Gまで延出し、初期化電源線接続部L4aに電気的に接続される。以上のような構成により、1つの初期化電源線L4は、2つの初期化トランジスタISTに電気的に接続されて、第1方向Dxに隣り合う2つの画素49で共有される。
【0046】
画素選択トランジスタSSTは、半導体層75を有する。半導体層75は、第1方向Dxに延出し、2つの分岐信号線L7aと平面視で交差する。半導体層75のうち、2つの分岐信号線L7aと重なる領域にチャネル領域が形成される。2つの分岐信号線L7aは、画素制御信号線L7から第2方向Dyに分岐された部分である。2つの分岐信号線L7aのうち半導体層75と重なる部分が、それぞれ画素選択トランジスタSSTのゲート電極78として機能する。つまり、画素選択トランジスタSSTは、半導体層75に重なって2つのゲート電極78が設けられたダブルゲート構造である。半導体層75の一端は、映像信号線接続部L2aに接続され、他端は接続配線L9に接続される。映像信号線接続部L2aは、映像信号線L2から第1方向Dxに分岐された部分である。
【0047】
リセットトランジスタRSTは、半導体層79を有する。半導体層79は、第2方向Dyに延出し、リセット制御信号線L5及び分岐信号線L5aと平面視で交差する。半導体層79のうち、リセット制御信号線L5及び分岐信号線L5aと重なる領域にチャネル領域が形成される。分岐信号線L5aは、リセット制御信号線L5から分岐され、第1方向Dxに延出する。リセット制御信号線L5及び分岐信号線L5aのうち、半導体層79と重なる部分が、それぞれリセットトランジスタRSTのゲート電極として機能する。つまり、リセットトランジスタRSTは、ダブルゲート構造である。
【0048】
リセット電源線L3には、第1方向Dxに延出するリセット電源線接続部L3a、L3b及びブリッジ部L3cが接続されている。リセット電源線接続部L3a、L3bはリセット電源線L3と同層の金属層で形成され、ブリッジ部L3cは、リセット電源線接続部L3a、L3bと異なる層、例えば各種ゲート線と同層の金属層で形成される。リセット電源線接続部L3aは第2画素49Rbに設けられ、リセット電源線接続部L3bは、第3画素49Gに設けられる。リセット電源線接続部L3aとリセット電源線接続部L3bとの間に、アノード電源線L1、映像信号線L2及び初期化電源線L4が設けられる。ブリッジ部L3cは、平面視でアノード電源線L1、映像信号線L2及び初期化電源線L4と交差して、リセット電源線接続部L3aとリセット電源線接続部L3bとを接続する。
【0049】
第2画素49Rbにおいて、半導体層79の一端はリセット電源線接続部L3aに接続される。また、第3画素49Gにおいて、半導体層79の一端はリセット電源線接続部L3bに接続される。また、半導体層79の他端は、それぞれ駆動トランジスタDRTの半導体層61に電気的に接続される。つまり、リセットトランジスタRSTの半導体層79の他端は、半導体層61、ソース電極62を介して発光素子3のアノード端子23tに電気的に接続される。以上のような構成により、1つのリセット電源線L3は、2つのリセットトランジスタRSTに電気的に接続されて、第1方向Dxに隣り合う2つの画素49で共有される。
【0050】
第1容量Cs1(
図3参照)は、半導体層61(第1部分半導体層61a)とゲート電極64との間に形成される。アノード接続電極24は、駆動トランジスタDRTと電気的に接続され、少なくともアノード電源線L1と重なって配置される。アノード接続電極24と、アノード電源線L1及びアノード電源線L1に接続された各種配線との間に第2容量Cs2(
図3参照)が形成される。第2画素49Rbで形成される第2容量Cs2と、第3画素49Gで形成される第2容量Cs2は、同程度の大きさであり、それぞれ例えば250fF程度である。
【0051】
また、本実施形態において、発光素子3に駆動電流を供給するための駆動トランジスタDRT及び出力トランジスタBCTは、シングルゲート構造である。初期化トランジスタIST、画素選択トランジスタSST及びリセットトランジスタRSTはダブルゲート構造である。これにより、初期化トランジスタIST、画素選択トランジスタSST及びリセットトランジスタRSTのリーク電流を抑制することができる。
【0052】
次に、表示装置1の断面構成について説明する。
図5は、
図4のV−V’線に沿う断面図である。
図6は、
図4のVI−VI’線に沿う断面図である。なお、
図6では、周辺領域GAに設けられたカソード配線60及びトランジスタTrを模式的に示している。
【0053】
図5に示すように、発光素子3は、アレイ基板2の上に設けられる。アレイ基板2は、基板21、各種トランジスタ、各種配線及び各種絶縁膜を有する。基板21は絶縁基板であり、例えば、ガラス基板、樹脂基板又は樹脂フィルム等が用いられる。
【0054】
本明細書において、基板21の表面に垂直な方向において、基板21から平坦化膜27に向かう方向を「上側」とする。また、平坦化膜27から基板21に向かう方向を「下側」とする。
【0055】
駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、画素選択トランジスタSST及びリセットトランジスタRSTは、基板21の一方の面側に設けられる。基板21の一方の面に、アンダーコート膜90、各ゲート線、第1絶縁膜91、半導体層61、65、71、75、第2絶縁膜92、各信号線及び電源線、第3絶縁膜93、アノード接続電極24及びシールド電極26、第4絶縁膜94の順に積層される。
【0056】
アノード接続電極24及びシールド電極26の上に、第4絶縁膜94を介して、アノード電極23及び発光素子3が設けられる。
【0057】
表示装置1において、アレイ基板2は、基板21からアノード電極23までの各層を含む。アレイ基板2には、平坦化膜27、カソード電極22及び発光素子3は含まれない。
【0058】
アンダーコート膜90、第1絶縁膜91、第2絶縁膜92及び第4絶縁膜94は、シリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(SiN)又はシリコン酸化窒化膜(SiON)等の無機絶縁材料が用いられる。また、各無機絶縁膜は、単層に限定されず積層膜であってもよい。また、アンダーコート膜90は設けられていなくてもよい。第3絶縁膜93及び平坦化膜27は、有機絶縁膜あるいは無機有機ハイブリッド絶縁膜(Si−O主鎖に、例えば有機基(メチル基あるいはフェニル基)が結合した材料)である。
【0059】
ゲート電極64、66、74、78は、アンダーコート膜90を介して基板21の上に設けられる。第1絶縁膜91は、ゲート電極64、66、74、78を覆ってアンダーコート膜90の上に設けられる。半導体層61、65、71、75は、第1絶縁膜91の上に設けられる。第2絶縁膜92は、半導体層61、65、71、75を覆って第1絶縁膜91の上に設けられる。
【0060】
図5に示す例では、各トランジスタは、いわゆるボトムゲート構造である。ただし、各トランジスタは、半導体層の上側にゲート電極が設けられたトップゲート構造でもよく、半導体層の上側及び下側の両方にゲート電極が設けられたデュアルゲート構造でもよい。
【0061】
接続配線L9、ソース電極62、72及びドレイン電極67は、第2絶縁膜92の上に設けられる。ソース電極62は第2絶縁膜92に設けられたコンタクトホールを介して第1部分半導体層61a(半導体層61)と電気的に接続される。
【0062】
ドレイン電極67は第2絶縁膜92に設けられたコンタクトホールを介して半導体層65と電気的に接続される。また、初期化トランジスタISTのソース電極72は、第2絶縁膜92に設けられたコンタクトホールを介して半導体層71と電気的に接続される。
【0063】
接続配線L9の一端側は、第2絶縁膜92に設けられたコンタクトホールを介して画素選択トランジスタSSTの半導体層75と電気的に接続される。接続配線L9のうち、半導体層75と重なる部分がドレイン電極77として機能する。また、接続配線L9の他端側は、第2絶縁膜92に設けられたコンタクトホールを介して初期化トランジスタISTの半導体層71と電気的に接続される。接続配線L9のうち、半導体層71と重なる部分がドレイン電極73として機能する。このような構成により、画素選択トランジスタSSTのドレインと初期化トランジスタISTのドレインとが接続配線L9を介して電気的に接続される。
【0064】
第3絶縁膜93は、ソース電極62、72及びドレイン電極67、73、77を覆って、第2絶縁膜92の上に設けられる。第3絶縁膜93の上にアノード接続電極24及びシールド電極26が設けられる。アノード接続電極24は、第3絶縁膜93に設けられたコンタクトホールを介してソース電極62と接続される。シールド電極26は、アノード電極23及び発光素子3の下に設けられる。
【0065】
第4絶縁膜94は、アノード接続電極24及びシールド電極26を覆って、第3絶縁膜93の上に設けられる。アノード電極23は第4絶縁膜94の上に設けられる。アノード電極23は、第4絶縁膜94に設けられたコンタクトホールを介してアノード接続電極24と電気的に接続される。
【0066】
発光素子3は、アノード電極23の上に設けられ、発光素子3のアノード端子23tとアノード電極23が接続される。これにより、発光素子3のアノード端子23tは、駆動トランジスタDRTのソース電極62と電気的に接続される。
【0067】
平坦化膜27は、発光素子3の少なくとも側面3aを覆って第4絶縁膜94の上に設けられる。カソード電極22は、平坦化膜27の上に設けられ、発光素子3のカソード端子22tと接続される。カソード電極22は、表示領域AAから周辺領域GAに亘って設けられており、複数の画素49の発光素子3と電気的に接続される。
【0068】
図6に示すように、基板21の周辺領域GAには、複数のトランジスタとして、駆動回路12(
図1参照)に含まれるトランジスタTr及びカソード配線60が設けられる。カソード配線60は、アノード電源線L1と同層に設けられ、周辺領域GAにおいて第2絶縁膜92の上に設けられる。
図5に示すカソード電極22は、第3絶縁膜93、第4絶縁膜94及び平坦化膜27に設けられたコンタクトホールを介して、カソード配線60と電気的に接続される。また、
図3に示すカソード電源線L10は、カソード配線60及びカソード電極22を含む。
【0069】
トランジスタTrは、半導体層81、ソース電極82、ドレイン電極83及びゲート電極84を含む。トランジスタTrは、画素回路PICAに含まれる各トランジスタと同様の層構成を有しており、詳細な説明は省略する。半導体層81は、第2絶縁膜92の上、すなわち、各半導体層61、65、71、75、79と同層に設けられている。ただし、トランジスタTrは、画素49の各トランジスタと異なる層に設けられていてもよい。
【0070】
図6に示すように、アノード電源線L1、映像信号線L2及びリセット電源線L3は、第2絶縁膜92の上に設けられる。アノード電源線L1の幅は、映像信号線L2及びリセット電源線L3のそれぞれの幅よりも大きい。また、アノード電源線L1の厚さt2は、ゲート電極64の厚さt1(
図5参照)よりも厚い。また、アノード電源線L1の厚さt2は、映像信号線L2及びリセット電源線L3の厚さと等しい。これにより、アノード電源線L1の抵抗値を小さくすることができる。なお、アノード電源線L1の厚さt2は、映像信号線L2及びリセット電源線L3の厚さと異なっていてもよい。
【0071】
各配線の層構成は適宜変更できる。例えば、アノード電源線L1と、映像信号線L2及びリセット電源線L3等の各信号線とが、異なる層に設けられていてもよい。
【0072】
アノード電源線L1と各種ゲート線との間に形成される容量は、デカップリングコンデンサとして用いられる。これにより、デカップリングコンデンサは、アノード電源電位PVDDの変動を吸収して、駆動IC210を安定して動作させることができる。また、デカップリングコンデンサは、表示装置1で発生する電磁ノイズが外部に漏れることを抑制できる。
【0073】
なお、上述した
図3に示す画素回路PICAの構成は適宜変更することができる。例えば1つの画素49での配線の数及びトランジスタの数は異なっていてもよい。
【0074】
図7は、実施形態に係る第1発光素子を示す断面図である。本実施形態の表示装置1において、第1発光素子3Raは、アノード端子23tが下側に設けられカソード端子22tが上側に設けられた、いわゆるフェースアップ構造である。
【0075】
図7に示すように、第1発光素子3Raは、複数の部分発光素子3sと、複数の部分発光素子3sを覆う保護層39と、p型電極37と、n型電極38と、を有する。複数の部分発光素子3sは、p型電極37とn型電極38との間に、それぞれ柱状に形成される。複数の部分発光素子3sは、n型クラッド層33と、発光層34と、p型クラッド層35と、を有する。n型電極38は、n型クラッド層33に電気的に接続される。p型電極37はp型クラッド層35に電気的に接続される。p型電極37の上に、p型クラッド層35、発光層34、n型クラッド層33の順に積層される。n型クラッド層33及びp型クラッド層35は、例えば、窒化ガリウム(GaN)、アルミニウムインジウム燐(AlInP)等の化合物半導体が用いられる。第1発光素子3Raの発光層34は、ユウロピウム(Eu)が添加された窒化ガリウム(GaN)である。
【0076】
n型電極38は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性の導電性材料である。n型電極38は、第1発光素子3Raのカソード端子22tであり、カソード電極22に接続される。また、p型電極37は、第1発光素子3Raのアノード端子23tであり、Pt層37aと、メッキにより形成された厚膜Au層37bと、を有する。厚膜Au層37bは、アノード電極23の載置面23aに接続される。
【0077】
保護層39は、例えばSOG(Spin on Glass)である。保護層39の側面が、第1発光素子3Raの側面3aとなる。平坦化膜27は、保護層39の側面を囲んで設けられる。
【0078】
図8は、実施形態に係る第2発光素子を示す断面図である。第2赤色の光を出射する第2発光素子3Rbは、第1赤色の光を出射する第1発光素子3Raと異なる構造を有する。具体的には、
図8に示すように、第2発光素子3Rbの発光層34Aは、窒化インジウムガリウム(InGaN)と窒化ガリウム(GaN)とが多層に積層された多重量子井戸構造である。なお、第3発光素子3G及び第4発光素子3Bは、第1発光素子3Ra及び第2発光素子3Rbと同様の積層構造を有し、第1発光素子3Raと同様に単層の発光層34を有してもよいし、第2発光素子3Rbと同様に多層の発光層34を有してもよい。
【0079】
図9は、各発光素子の発光強度と波長との関係を模式的に示すグラフである。第1発光素子3Ra、第2発光素子3Rb、第3発光素子3G及び第4発光素子3Bからそれぞれ出射される光のスペクトルにおいて、極大発光波長は、それぞれ620nm、645nm、530nm、450nm程度である。
【0080】
第1発光素子3Raの極大発光波長は、第2発光素子3Rbの極大発光波長の近傍にあり、第1発光素子3Ra及び第2発光素子3Rbはいずれも赤色の光(第1赤色、第2赤色)を出射する。第1赤色の光のスペクトルの波長領域は、第2赤色の光のスペクトルの波長領域と重なる。また、第1赤色の光のスペクトルの半値幅は、第2赤色の光のスペクトルの半値幅よりも小さい。第1赤色の光のスペクトルの発光強度は、第2赤色の光のスペクトルの発光強度よりも大きい。本実施形態では、異なる光のスペクトルを有する第1発光素子3Ra及び第2発光素子3Rbにより赤色を表示することで、良好に画像を表示することができる。
【0081】
次に、
図10及び
図11を参照しつつ、各発光素子の出力階調値の設定方法について説明する。
図10は、信号処理回路の構成を模式的に示すブロック図である。
図11は、入力階調値と、駆動される発光素子との関係を説明するための説明図である。
【0082】
図10に示すように、信号処理回路100は、第1処理回路110と、メモリ115と、バッファ125とを有する。信号処理回路100は、映像信号Vsigに基づいて4つの画素49の各々の出力階調値SoRa、SoRb、SoG、SoBを演算する。映像信号Vsigは画素Pixごとの入力階調値SiR、SiG、SiBを含む。入力階調値SiR、SiG、SiBは、それぞれ赤色、緑色、青色の階調値である。出力階調値SoRaは、第1画素49Raに対応する階調値である。出力階調値SoRbは、第2画素49Rbに対応する階調値である。出力階調値SoGは、第3画素49Gに対応する階調値である。出力階調値SoBは、第4画素49Bに対応する階調値である。信号処理回路100は、例えば
図1に示す駆動IC210に含まれていてもよいし、駆動IC210と別の回路チップとして基板21に設けられていてもよい。以下において、出力階調値SoRa、SoRb、SoG、SoBをそれぞれ区別する必要がない場合、出力階調値Soという。また、入力階調値SiR、SiG、SiBをそれぞれ区別する必要がない場合、入力階調値Siという。
【0083】
バッファ125は、入力階調値Siを記憶する回路である。なお、バッファ125は、1フレーム分の映像信号Vsigに含まれる入力階調値SiR、SiG、SiBを含む入力階調値Siを記憶してもよいし、1フレーム分の映像信号Vsigのうち、一部の映像信号Vsigに含まれる入力階調値Siを取り込んでもよい。
【0084】
メモリ115は、入力階調値SiR、SiG、SiBと、4つの画素49の各々の出力階調値SoRa、SoRb、SoG、SoBとの関係を示す情報を示すデータLUTを含む。データLUTは、例えば、ルックアップテーブル(Look Up Table)のようなテーブルデータである。
【0085】
データLUTは、入力階調値SiRが0以上第1しきい値Lth(
図11参照)以下の範囲では、第1発光素子3Raのみを点灯させる出力階調値SoRa、SoRbが対応付けられている。すなわち、入力階調値SiRが0以上第1しきい値Lth以下の範囲では、出力階調値SoRbは0(階調値0)である。また、データLUTは、入力階調値SiRが第1しきい値Lthよりも大きく、第2しきい値Hth(
図11参照)よりも小さい範囲では、第1発光素子3Ra及び第2発光素子3Rbの両方を点灯させる出力階調値SoRa、SoRbが対応付けられている。第2しきい値Hthは、第1しきい値Lthよりも大きい階調値である。また、データLUTは、入力階調値SiRが第2しきい値Hth以上の範囲では、第1発光素子3Raのみを点灯させる出力階調値SoRa、SoRbが対応付けられている。すなわち、入力階調値SiRが第2しきい値Hth以上の範囲では、出力階調値SoRbは0(階調値0)である。なお、第2しきい値Hthは、入力階調値SiRの最大階調値m(例えば、m=255)以下の所定の数値である。
【0086】
第1処理回路110は、メモリ115から読み出したデータLUTを参照して、入力階調値SiR、SiG、SiBに対応する出力階調値SoRa、SoRb、SoG、SoBを特定する。第1処理回路110は、出力階調値SoRa、SoRb、SoG、SoBを画素Pixに出力する。各画素49は、出力階調値SoRa、SoRb、SoG、SoBに基づいて点灯する。
【0087】
図11に示すように、入力階調値SiRが0以上第1しきい値Lth以下の範囲では、出力階調値SoRa、SoRbに基づいて、第1発光素子3Raが点灯し、第2発光素子3Rbは点灯しない。入力階調値SiRが第1しきい値Lthよりも大きく、第2しきい値Hthよりも小さい範囲では、出力階調値SoRa、SoRbに基づいて、第1発光素子3Ra及び第2発光素子3Rbの両方が点灯する。入力階調値SiRが第2しきい値Hth以上の範囲では、出力階調値SoRa、SoRbに基づいて、第1発光素子3Raのみが点灯し、第2発光素子3Rbは点灯しない。
【0088】
このように、本実施形態では、低階調及び高階調の表示では、発光効率が高い第1発光素子3Raのみを点灯させることで、駆動電流の増大を抑制して良好に表示を行うことができる。また、中間階調の表示では、第1発光素子3Ra及び第2発光素子3Rbの両方を点灯させることで、良好に表示を行うことができる。また、第2発光素子3Rbに供給される駆動電流の増大を抑制することができるので、第2画素49Rbで形成される第2容量Cs2を、他の画素49と同程度の大きさにすることができる。
【0089】
(第1変形例)
図12は、各発光素子の出力階調値の設定方法を説明するためのフローチャートである。第1実施形態では、信号処理回路100は、あらかじめ定められたデータLUTに基づいて出力階調値SoRa、SoRb、SoG、SoBを演算するが、これに限定されない。
図12に示すように、まず、信号処理回路100は、1フレーム画像を取り込む(ステップST1)。具体的には、バッファ125は、1フレーム分の映像信号Vsigを取り込んで、赤色、緑色、青色のそれぞれに対応する入力階調値SiR、SiG、SiBを記憶する。
【0090】
第1処理回路110は、画素Pixごとに、入力階調値SiRが0より大きいか判断する(ステップST2)。言い換えると、画素Pixごとに、赤色の表示があるかどうかを判断する。入力階調値SiRが0である場合(ステップST2、No)、第1処理回路110は、出力階調値SoRa、SoRbとして階調値0を設定する(ステップST3)。なお、階調値0は画素Pixを非点灯状態とする階調値である。設定された出力階調値SoRa、SoRbは画素Pixに出力され、第1発光素子3Ra及び第2発光素子3Rbは非点灯状態となる。一方で、入力階調値SiRが0より大きい場合(ステップST2、Yes)、すなわち入力階調値SiRが1以上の値である場合、第1処理回路110は、入力階調値SiRと、第1しきい値Lth及び第2しきい値Hthとを比較する(ステップST4)。
【0091】
入力階調値SiRが0よりも大きく第1しきい値Lth以下の場合、あるいは入力階調値SiRが第2しきい値Hth以上の場合(ステップST4、Yes)、第1処理回路110は、第1発光素子3Raのみを点灯させる出力階調値SoRa、SoRbを設定する(ステップST5)。より具体的には、出力階調値SoRaとして入力階調値SiRに基づく0より大きい値(階調値SioRa)を設定し、出力階調値SoRbとして階調値0を設定する。設定された出力階調値SoRa、SoRbは画素Pixに出力され、第1発光素子3Raが点灯し、第2発光素子3Rbは非点灯状態となる。
【0092】
入力階調値SiRが第1しきい値Lthよりも大きく、第2しきい値Hthよりも小さい場合(ステップST4、No)、第1処理回路110は、第1発光素子3Ra及び第2発光素子3Rbを点灯させる出力階調値SoRa、SoRbを設定する(ステップST6)。より具体的には、出力階調値SoRaとして入力階調値SiRに基づく0より大きい値(階調値SioRa)を設定し、出力階調値SoRbとして入力階調値SiRに基づく階調値SioRbを設定する。階調値SioRbは、0より大きい値を有する。設定された出力階調値SoRa、SoRbは画素Pixに出力され、第1発光素子3Ra及び第2発光素子3Rbが点灯する。
【0093】
ステップST3、ステップST5、または、ステップST6の処理が完了した場合、第1処理回路110は、入力階調値SiGが0より大きいかを判断する(ステップST7)。言い換えると、第1処理回路110は、緑色の表示があるかどうかを判断する。入力階調値SiGが0である場合(ステップST7、No)、第1処理回路110は、出力階調値SoGとして階調値0を設定する(ステップST8)。設定された出力階調値SoGは画素Pixに出力され、第3発光素子3Gは非点灯状態となる。入力階調値SiGが0より大きい場合(ステップST7、Yes)、すなわち入力階調値SiGが1以上の値である場合、第1処理回路110は、入力階調値SiGに基づく階調値(階調値SioG)を出力階調値SoGとして設定する(ステップST9)。設定された出力階調値SoGは、画素Pixに出力され、第3発光素子3Gが点灯する。
【0094】
ステップST8又はステップST9の処理が完了した場合、第1処理回路110は、入力階調値SiBが0より大きいかを判断する(ステップST10)。言い換えると、第1処理回路110は、青色の表示があるかどうかを判断する。入力階調値SiBが0である場合(ステップST10、No)、第1処理回路110は、出力階調値SoBとして階調値0を設定する(ステップST11)。設定された出力階調値SoBは画素Pixに出力され、第4発光素子3Bは非点灯状態となる。入力階調値SiBが0より大きい場合(ステップST10、Yes)、すなわち入力階調値SiBが1以上の値である場合、第1処理回路110は、入力階調値SiBに基づく階調値(階調値SioB)を出力階調値SoBとして設定する(ステップST12)。設定された出力階調値SoBは、画素Pixに出力され、第4発光素子3Bが点灯する。
【0095】
ステップST11又はステップST12の処理が完了した場合、第1処理回路110は、1フレーム分の全ての画素Pixの出力階調値SoRa、SoRb、SoG、SoBが設定されたかを判断する(ステップST13)。全ての画素Pixの出力階調値Soが設定されていない場合(ステップST13、No)、次の画素Pixに対して、ステップST2からの処理を実行する。全ての画素Pixの出力階調値Soが設定されている場合(ステップST13、Yes)、出力階調値Soの設定処理を完了する。なお、設定処理が完了してから出力階調値SoRa、SoRb、SoG、SoBが画素Pixに出力され、それぞれの画素Pixに配置された発光素子3は、設定された出力階調値SoRa、SoRb、SoG、SoBに基づいて、点灯制御される。
【0096】
なお、出力階調値Soが設定されてから画素Pixに出力されるタイミングは、1フレームの全ての画素の出力階調値Soの設定が完了してからでもよいし、共通するゲート線に接続される1ラインの画素群の設定が完了した段階で画素Pixに出力されてもよい。また、画素Pix単位で出力階調値Soが設定された順に、順次、画素Pixに出力されてもよい。
【0097】
(第2変形例)
図13は、第2変形例に係る信号処理回路の構成を模式的に示すブロック図である。
図14は、第2変形例に係る各発光素子の出力階調値の設定方法を説明するためのフローチャートである。
図13に示すように、信号処理回路100Aは、さらに第2処理回路120を備える。以下の説明では、隣り合う2つの画素Pixを、第1画素群Pix1、第2画素群Pix2と表す。信号処理回路100Aは、第1画素群Pix1の入力階調値SiR、SiG、SiBに基づいて、第1画素群Pix1の各画素49に加え第2画素群Pix2の一部の画素49を点灯させる。
【0098】
第1処理回路110は、
図12で示す処理と同様の処理を行い、出力階調値SoRa、SoRb1、SoG、SoBを第2処理回路120へ出力する。第2処理回路120は、第1処理回路110から受け取った出力階調値SoRb1に対応する駆動電流と、所定のしきい値電流とを比較し、比較結果に基づく出力階調値SoRb2を設定する。信号処理回路100Aは、設定された出力階調値SoRb2を画素Pixに出力する。具体的には、第2処理回路120は、出力階調値SoRb1に基づいて、第2発光素子3Rbに供給される駆動電流を演算する。そして、第2処理回路120は、第2発光素子3Rbの駆動電流が所定のしきい値電流を超えないように、出力階調値SoRb2を設定する。より具体的には、駆動電流が所定のしきい値電流を超える場合、出力階調値SoRb1を、基準階調値SotRbと、保持階調値SorRbに分け、基準階調値SotRbを出力階調値SoRb2として設定する。基準階調値SotRbは、しきい値電流又はしきい値電流以下の駆動電流に対応する階調値であって、出力階調値SoRb2として設定され、第1画素群Pix1の第2発光素子3Rb1に出力される。また、保持階調値SorRbは、メモリ115に入力される。
【0099】
第2処理回路120は、メモリ115に保持階調値SorRbが保持されている場合、保持階調値SorRb及び第2画素群Pix2の入力階調値SiRに基づく階調値SioRbに基づいて、出力階調値SoRb2を設定する。なお、第1画素群Pix1の入力階調値SiRに対応する階調値SioRbを基準階調値SotRbと保持階調値SorRbとに分ける場合は、第2発光素子3Rb1を出力階調値SoRb1で発光させた場合の輝度と、第2発光素子3Rb1と、第2画素群Pix2の第2発光素子3Rb2とをそれぞれ基準階調値SotRbと保持階調値SorRbで発光させた場合の輝度が実質的に等しくなるように設定される。そして、第2画素群Pix2の入力階調値SiRに基づく階調値SioRbと、第1画素群Pix1の入力階調値SiRに基づく階調値SioRbから分けられた保持階調値SorRbとに基づいて、第2画素群Pix2の第2発光素子3Rb2に対する出力階調値SoRb2が設定される。
【0100】
図14のステップST21からステップST26及びステップST7からステップST13は、
図12と同様であるため、詳細な説明は省略する。
図14に示すように、ステップST23、ステップST25の処理が完了した後に、第2処理回路120は、第1処理回路110から出力階調値SoRb1を受け取り、メモリ115に保持階調値SorRbが保持されているかを判断する(ステップST31)。メモリ115に保持階調値SorRbが保持されている場合(ステップST31、Yes)、第2処理回路120は、保持階調値SorRbを出力階調値SoRb2として設定する(ステップST32)。設定された出力階調値SoRb2は画素Pixに出力され、画素Pixに含まれる第2発光素子3Rbが点灯する。また、メモリ115に保持階調値SorRbが保持されていない場合(ステップST31、No)、第2処理回路120は、出力階調値SoRb1(階調値0)を出力階調値SoRb2として設定する(ステップST33)。設定された出力階調値SoRb2は画素Pixに出力され、画素Pixに含まれる第2発光素子3Rbが非点灯状態となる。
【0101】
ステップST26の処理が完了した後に、第2処理回路120は、第1処理回路110から出力階調値SoRb1を受け取り、メモリ115に保持階調値SorRbが保持されているかを判断する(ステップST34)。メモリ115に保持階調値SorRbが保持されている場合(ステップST34、Yes)、第2処理回路120は、出力階調値SoRb1(入力階調値SiRに基づく階調値SioRb)に保持階調値SorRbを加算する(ステップST35)。メモリ115に保持階調値SorRbが保持されていない場合(ステップST34、No)、第2処理回路120は、出力階調値SoRb1(階調値SioRb)に対応する駆動電流がしきい値電流以下か判断する(ステップST36)。
【0102】
出力階調値SoRb1に対応する駆動電流がしきい値電流以下である場合(ステップST36、Yes)、第2処理回路120は、出力階調値SoRb1を出力階調値SoRb2として設定する(ステップST37)。設定された出力階調値SoRb2は画素Pixに出力され、画素Pixに含まれる第2発光素子3Rbが点灯する。
【0103】
なお、ステップST35の処理が完了した場合も同様に、第2処理回路120は、保持階調値SorRbが加算された出力階調値SoRb1(階調値SioRb+保持階調値SorRb)に対応する駆動電流がしきい値電流以下であるかを判断する(ステップST36)。出力階調値SoRb1に対応する駆動電流がしきい値電流以下である場合(ステップST36、Yes)、第2処理回路120は、保持階調値SorRbが加算された出力階調値SoRb1を出力階調値SoRb2として設定する(ステップST37)。設定された出力階調値SoRb2は画素Pixに出力され、保持階調値SorRbが加算された出力階調値SoRb1に対応する階調で、画素Pixに含まれる第2発光素子3Rbが点灯する。
【0104】
出力階調値SoRb1に対応する駆動電流がしきい値電流より大きい場合(ステップST36、No)、第2処理回路120は、出力階調値SoRb1(階調値SioRb)より小さい基準階調値SotRbを出力階調値SoRb2として設定する(ステップST38)。より具体的には、第2処理回路120は、出力階調値SoRb1に基づき、基準階調値SotRbと保持階調値SorRbを演算し、基準階調値SotRbを出力階調値SoRb2として設定する。ステップST38の処理が完了した後に、第2処理回路120は、保持階調値SorRbをメモリ115に記録する(ステップST39)。設定された出力階調値SoRb2は画素Pixに出力され、画素Pixに含まれる第2発光素子3Rbが点灯する。
【0105】
なお、ステップST35の処理が完了した場合も同様に、第2処理回路120は、保持階調値SorRbが加算された出力階調値SoRb1(階調値SioRb+保持階調値SorRb)に対応する駆動電流がしきい値電流より大きい場合(ステップST36、No)、第2処理回路120は、保持階調値SorRbが加算された出力階調値SoRb1より小さい基準階調値SotRbを出力階調値SoRb2として設定する(ステップST38)。より具体的には、第2処理回路120は、保持階調値SorRbが加算された出力階調値SoRb1に基づき、基準階調値SotRbと保持階調値SorRbを演算し、基準階調値SotRbを出力階調値SoRb2として設定する(ステップST38)。ステップST38の処理が完了した後に、第2処理回路120は、保持階調値SorRbをメモリ115に記録する(ステップST39)。設定された出力階調値SoRb2は画素Pixに出力され、画素Pixに含まれる第2発光素子3Rbが点灯する。
【0106】
ステップST32、ステップST33、ステップST37又はステップST39の処理が完了した後は、
図12と同様に、信号処理回路100Aは、ステップST7からステップST13の処理を実施する。なお、各ステップSTの実施順は適宜変更可能であり、例えば、ステップST38及びステップST39は同時に実施してもよいし、ステップST39をステップST38より先に実施してもよい。また、ステップST36において、出力階調値SoRb1に対応する駆動電流としきい値電流を比較しているが、これに限らず、しきい値電流に対応する基準階調値SotRbを記録し、出力階調値SoRb1が基準階調値SotRb以下かを判定してもよい。なお、基準階調値SotRbは、全ての画素Pixに共通の値であってもよいし、画素Pix毎に異なる値を有してもよい。
【0107】
第2変形例では、第1画素群Pix1の入力階調値Siに基づいて演算された第2発光素子3Rbに供給される駆動電流がしきい値電流よりも大きい場合に、第1画素群Pix1の第2発光素子3Rbが入力階調値SiRに対応する階調値SioRb1より低い出力階調値(基準階調値SotRb)で点灯し、保持階調値SorRbが保持される。隣接する第2画素群Pix2の出力階調値Soを設定する際に、保持階調値SorRbが加算されることで、第2発光素子3Rbが入力階調値SiRに対応する階調値SioRb2より高い出力階調値(階調値SioRb2+保持階調値SorRb)で点灯する。これによって、隣接する第1画素群Pix1、第2画素群Pix2の2つの第2発光素子3Rbにより合計の発光強度を維持しつつ、第1画素群Pix1の第2発光素子3Rbに流れる駆動電流を抑制することができる。
【0108】
(第3変形例)
図15は、第3変形例に係る各発光素子の出力階調値の設定方法を説明するためのフローチャートである。第2変形例において、第1処理回路110が、ステップST22からステップST26の処理を行い、第2処理回路120がステップST31からステップST39の処理を行うとしたが、これに限られない。第1処理回路110及び第2処理回路120が行う処理を入れ替えてもよい。第3変形例において、第1処理回路110がメモリ115に保持階調値SorRbが保持されているか否かを判定する。なお、各ステップSTにおいて、第2変形例と共通する記載は省略する。
【0109】
第1処理回路110は、1フレーム分の入力階調値Siを取り込み(ステップST121)、保持階調値SorRbがメモリ115に保持されているか否かを判断する(ステップST122)。保持階調値SorRbが保持されていない場合(ステップST122、No)、第1処理回路110は、
図12のステップST2からステップST6までと同様の処理を行う。具体的には、入力階調値SiRが0である場合(ステップST123、No)、及び、入力階調値SiRが第1しきい値Lth以下、若しくは、入力階調値SiRが第2しきい値Hth以上である場合(ステップST125、Yes)は、第1処理回路110は、第2処理回路120を介さずに、出力階調値SoRb2として階調値0を設定する(ステップST124、ステップST126)。また、入力階調値SiRが第1しきい値Lthより大きく、第2しきい値Hthより小さい場合(ステップST125、No)は、第1処理回路110は、入力階調値SiRに基づく階調値SioRbを出力階調値SoRb1として第2処理回路120に出力する(ステップST127)。
【0110】
保持階調値SorRbがメモリ115に保持されている場合(ステップST122、Yes)、第1処理回路110は、保持階調値SorRbを加算した上で、ステップST123からステップST127と同様の処理を実施する。第1処理回路110は、入力階調値SiRが0より大きいかを判断する(ステップST128)。具体的には、入力階調値SiRが0である場合(ステップST128、No)、及び、入力階調値SiRが第1しきい値Lth以下、若しくは、入力階調値SiRが第2しきい値Hth以上である場合(ステップST130、Yes)は、第1処理回路110は、第2処理回路120を介さずに、出力階調値SoRb2として保持階調値SorRbを設定する(ステップST129、ステップST131)。また、入力階調値SiRが第1しきい値Lthより大きく、第2しきい値Hthより小さい場合(ステップST130、No)は、第1処理回路110は、入力階調値SiRに基づく階調値SioRbに保持階調値SorRbを加算した値を出力階調値SoRb1として第2処理回路120に出力する(ステップST132)。
【0111】
第2処理回路120は、第1処理回路110から出力階調値SoRb1を受け取ると(ステップST132、ステップST127)、
図14のステップST36からステップST39と同様の処理を実施する。具体的には、第2処理回路120は、出力階調値SoRb1に対応する駆動電流がしきい値電流以下かを判断する(ステップST133)。出力階調値SoRb1に対応する駆動電流がしきい値電流以下である場合(ステップST133、Yes)、第2処理回路120は、出力階調値SoRb1を出力階調値SoRb2として設定する(ステップST134)。出力階調値SoRb1に対応する駆動電流がしきい値電流より大きい場合(ステップST133、No)、第2処理回路120は、出力階調値SoRb1に基づいて、基準階調値SotRbと保持階調値SorRbに分け、基準階調値SotRbを出力階調値SoRb2として設定し(ステップST135)、保持階調値SorRbをメモリ115に記録する(ステップST136)。
【0112】
ステップST124、ステップST126、ステップST129、ステップST131、ステップST134又はステップST136の処理が完了した後は、
図12と同様に、信号処理回路100Aは、ステップST7からステップST13の処理を実施する。
【0113】
このように、保持階調値SorRbが保持されているか否かを第1処理回路110で処理することで、一部のステップST(ステップST124、ステップST126、ステップST129、ステップST131)で第2処理回路120を介さずに処理を完了することででき、処理を簡素化することができる。
【0114】
(第4変形例)
図16Aから
図16Cは、1つの画素群における各発光素子の配置パターンの変形例を示す平面図である。実施形態では、1画素Pixにおいて、
図2に示すように、第1発光素子3Ra、第2発光素子3Rb、第3発光素子3G、第4発光素子3Bが配置されるとしたが、各発光素子3の配置パターンはこれに限られない。
図16Aは、第4変形例に係る1つの画素群における各発光素子の第1配置パターンを示す平面図である。
図16Aに示すように、第1配置パターンAP1では、第1発光素子3Raと第2発光素子3Rbは第2方向Dyで並ぶ。第1発光素子3Raと第3発光素子3Gは第1方向Dxで並ぶ。第2発光素子3Rbと第4発光素子3Bは第1方向Dxで並ぶ。また、第3発光素子3Gと第4発光素子3Bは第2方向Dyで並ぶ。
【0115】
なお、第1配置パターンAP1において、第1発光素子3Raと第2発光素子3Rbとの配置を入れ替えてもよいし、あるいは、第3発光素子3Gと第4発光素子3Bとの配置を入れ替えてもよい。第2発光素子3Rbと第1方向Dx又は第2方向に隣り合う位置には、波長が近い第1発光素子3Ra又は第3発光素子3Gが設けられることが好ましい。
【0116】
図16Bは、1つの画素群における各発光素子の第2配置パターンを示す平面図である。
図16Bに示すように、第2配置パターンAP2では、第1発光素子3Raと第2発光素子3Rbは第1方向Dxで並ぶ。第1発光素子3Raと第3発光素子3Gは第2方向Dyで並ぶ。第2発光素子3Rbと第4発光素子3Bは第2方向Dyで並ぶ。また、第3発光素子3Gと第4発光素子3Bは第1方向Dxで並ぶ。
【0117】
なお、第2配置パターンAP2において、第1発光素子3Raと第2発光素子3Rbとの配置を入れ替えてもよいし、あるいは、第3発光素子3Gと第4発光素子3Bとの配置を入れ替えてもよい。また、第1発光素子3Raと第2発光素子3Rbとの配置を入れ替えて、且つ、第3発光素子3Gと第4発光素子3Bとの配置を入れ替えてもよい。つまり、第1発光素子3Raと第2発光素子3Rbとは、第1方向Dxに並び、第2発光素子3Rbと、第3発光素子3G又は第4発光素子3Bとは、第2方向Dyに並ぶ。第2発光素子3Rbと第1方向Dx又は第2方向に隣り合う位置には、波長が近い第1発光素子3Ra又は第3発光素子3Gが設けられることが好ましい。
【0118】
図16Cは、1つの画素群における各発光素子の第3配置パターンを示す平面図である。
図16Cに示すように、第3配置パターンAP3では、第1発光素子3Raと第4発光素子3Bは第1方向Dxで並ぶ。第1発光素子3Raと第3発光素子3Gは第2方向Dyで並ぶ。第4発光素子3Bと第2発光素子3Rbは第2方向Dyで並ぶ。また、第3発光素子3Gと第2発光素子3Rbは第1方向Dxで並ぶ。言い換えると、第1発光素子3Raと第2発光素子3Rbが第1方向Dx及び第2方向Dyのいずれとも交差する斜め方向に配列される。
【0119】
なお、第3配置パターンAP3において、第1発光素子3Raと第2発光素子3Rbとの配置を入れ替えてもよいし、あるいは、第3発光素子3Gと第4発光素子3Bとの配置を入れ替えてもよい。また、第1発光素子3Raと第2発光素子3Rbとの配置を入れ替えて、且つ、第3発光素子3Gと第4発光素子3Bとの配置を入れ替えてもよい。つまり、第1発光素子3Raと、第3発光素子3G又は第4発光素子3Bの一方とは、第1方向Dxに並び、第2発光素子3Rbと、第3発光素子3G又は第4発光素子3Bの一方とは、第2方向Dyに並ぶ。
【0120】
(第5変形例)
図17Aから
図17Cは、2つの画素群における各発光素子の配置パターンの変形例を示す平面図である。実施形態及び第4変形例において、各発光素子の配置パターンについて記載したが、マトリクス状に配置された画素Pixの全てがこの配置である場合、各第1発光素子3Ra、第2発光素子3Rb、第3発光素子3G、第4発光素子3Bは、それぞれ、一定の方向に配置されることとなる。このような場合、特に第2発光素子3Rbのような非点灯状態となりやすい画素が一方向に配列されていると、スジムラとして視認される可能性がある。そこで、第5変形例では、各発光素子3の配置パターンが異なる2種類の画素Pixを配置する。このようにすることで、スジムラの視認を抑制することができる。
【0121】
図17Aは、第5変形例に係る2つの画素群における各発光素子の第4配置パターンを示す平面図である。
図17Aに示すように、第4配置パターンAP4において、第1方向Dxに並ぶ2つの第1画素群Pix1及び第2画素群Pix2は、発光素子3の配置が異なる。
図17A左側の第1画素群Pix1は、
図16Aに示す第1配置パターンAP1と同じ発光素子3の配置であり、
図17A右側の第2画素群Pix2は、第1画素群Pix1の第1発光素子3Raと第2発光素子3Rbとを入れ替えた構成である。このように、複数の画素Pixごとに発光素子3の配置が異なっていてもよい。
【0122】
図17Bは、2つの画素群における各発光素子の第5配置パターンを示す平面図である。
図17Bに示すように、第5配置パターンAP5において、第1画素群Pix1及び第2画素群Pix2は、
図16Bに示す第2配置パターンAP2と同様の発光素子3の配置である。
図17B左側の第1画素群Pix1は、
図16Bに示す第2配置パターンAP2において、第1発光素子3Raと第2発光素子3Rbとの配置を入れ替えて、且つ、第3発光素子3Gと第4発光素子3Bとの配置を入れ替えた構成である。
図17B右側の第2画素群Pix2は、第1画素群Pix1の第1発光素子3Raと第2発光素子3Rbとの配置を入れ替えた構成である。
【0123】
図17Cは、2つの画素群における各発光素子の第6配置パターンを示す平面図である。
図17Cに示すように、第6配置パターンAP6において第1画素群Pix1及び第2画素群Pix2は、
図16Cに示す第3配置パターンAP3と同様の発光素子3の配置である。
図17C左側の第1画素群Pix1は、
図16Cに示す第3配置パターンAP3と同じ発光素子3の配置である。
図17C右側の第2画素群Pix2は、第1画素群Pix1の第1発光素子3Raと第2発光素子3Rbとの配置を入れ替えた構成である。
【0124】
(第6変形例)
図18は、第6変形例に係る発光素子を示す断面図である。表示装置1において、発光素子3はフェースアップ構造に限定されず、発光素子3の下部が、アノード電極23及びカソード電極22に接続される、いわゆるフェースダウン構造であってもよい。
【0125】
図18に示すように、発光素子3Aは、透光性基板31の上に、バッファ層32、n型クラッド層33、発光層34、p型クラッド層35、p型電極36の順に積層される。発光素子3Aは、透光性基板31が上側に、p型電極36が下側になるように実装される。また、n型クラッド層33において、カソード電極22と対向する面側には、発光層34から露出した領域が設けられている。この領域にn型電極38Aが設けられている。
【0126】
p型電極36は、発光層からの光を反射する金属光沢のある材料で形成される。p型電極36はバンプ39Aを介してアノード電極23に接続される。n型電極38Aはバンプ39Bを介してカソード電極22に接続される。絶縁膜97はカソード電極22及びアノード電極23を覆っており、絶縁膜97の開口部分でバンプ39A、39Bは、それぞれアノード電極23及びカソード電極22と接続される。
【0127】
発光素子3Aでは、p型クラッド層35とn型クラッド層33とが直接接合せずに、間に別の層(発光層34)が導入されている。これにより、電子や正孔といったキャリアを発光層34の中に集中させることができ、効率よく再結合(発光)させることが可能となる。本変形例においても、第1発光素子3Raにおいて、ユウロピウム(Eu)が添加された窒化ガリウム(GaN)が、発光層34として採用される。また、第2発光素子3Rbにおいて、数原子層からなる井戸層と障壁層とを周期的に積層させた多重量子井戸構造(MQW構造)が、発光層34として採用される。なお、第3発光素子3G及び第4発光素子3Bは、第1発光素子3Raと同様に単層の発光層34を有してもよいし、第2発光素子3Rbと同様に多層の発光層34を有してもよい。
【0128】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。