特許第6987274号(P6987274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987274
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】アテローム切除システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3207 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
   A61B17/3207
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-555733(P2020-555733)
(86)(22)【出願日】2018年12月27日
(65)【公表番号】特表2021-509079(P2021-509079A)
(43)【公表日】2021年3月18日
(86)【国際出願番号】US2018067764
(87)【国際公開番号】WO2019135976
(87)【国際公開日】20190711
【審査請求日】2020年7月28日
(31)【優先権主張番号】62/613,016
(32)【優先日】2018年1月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500332814
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナン、ナンドゥ
(72)【発明者】
【氏名】グプタ、アキラン
(72)【発明者】
【氏名】ケイピー、ニシン プラサンス
(72)【発明者】
【氏名】フランシス、バスティン
【審査官】 宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−184582(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0022307(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0127272(US,A1)
【文献】 特表2011−501974(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0374716(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22 − A61B 17/221
A61B 17/3207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アテローム切除制御システムにおいて、
駆動メカニズムと、
前記駆動メカニズムの回転位置を検知する位置センサと、
入出力ポートと、
前記位置センサ及び前記入出力ポートと通信するマイクロコントローラとを備え、
前記マイクロコントローラは、受信した前記駆動メカニズムの回転位置の表示に基づいて前記駆動メカニズムの速度を判定し、
判定された前記駆動メカニズムの速度に基づいて駆動メカニズムの速度を調整するための制御信号を決定し、及び、決定された制御信号を入出力ポートを介して出力し、
前記マイクロコントローラは、前記駆動メカニズムの失速が現在の時刻よりも後の所定の期間内に発生することを予測する、アテローム切除制御システム。
【請求項2】
前記駆動メカニズムがタービンである、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記マイクロコントローラと通信し、マイクロコントローラから決定された速度を受け取るコンピューティングデバイスをさらに備え、
前記コンピューティングデバイスは、経時的に受信した前記駆動メカニズムの判定された速度に基づいて前記駆動メカニズムの動作を監視する、請求項1及び請求項2のいずれかに記載の制御システム。
【請求項4】
受信した前記駆動メカニズムの前記判定された速度に関連するデータは、前記コンピューティングデバイスでパスワード保護されている、請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記駆動メカニズムの回転位置のアナログ表示を駆動メカニズムの回転位置のデジタル表示に変換するアナログ・デジタル変換器をさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項6】
マイクロコントローラが、前記判定された駆動メカニズムの速度を速度設定点と比較することによって制御信号を決定する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項7】
前記駆動メカニズムは第1のモード及び第2のモードを有し、前記マイクロコントローラは、前記駆動メカニズムが第1のモードにあるか又は第2のモードにあるかに基づいて決定された制御信号を調整する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記駆動メカニズムは始動時に第1のモードで動作し、前記駆動メカニズムは始動後の所定の時間からは第2のモードで動作する、請求項7に記載の制御システム。
【請求項9】
前記マイクロコントローラは、前記駆動メカニズムの判定された速度に基づく傾向値が閾値に到達するか、又は前記閾値を超えると、前記所定の期間内に前記駆動メカニズムの失速が発生することを予測する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項10】
前記傾向値は、現在判定されている駆動メカニズムの速度と、現在判定されている駆動メカニズムの速度を取得した、ある時刻よりも所定の期間だけ前の時刻における駆動メカニズムの速度との間の差である、請求項に記載の制御システム。
【請求項11】
前記マイクロコントローラは、前記駆動メカニズムの予測失速が発生するまでの時間を予測する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療デバイス、ならびに医療デバイスを製造及び使用するための方法に関する。より詳細には、本発明は、回転型医療デバイス、方法、及びシステムに関し、回転の監視及び制御機能を有する制御システムを有するものを含む、回転型医療デバイス、方法、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な医療機器が、例えば、体腔にアクセスし、体腔内の流体及び構造と相互作用する際に使用するなど、医療用に開発されてきた。これらのデバイスのいくつかには、ガイドワイヤ、カテーテル、ポンプ、モータ、コントローラ、フィルター、グラインダー、針、バルブ、及びそのようなデバイスを送達するために使用される送達デバイス及び/又はシステムが含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらのデバイスは、さまざまな異なる製造方法のいずれかによって製造され、さまざまな方法のいずれかに従って使用できる。既知の医療機器及び方法のうち、それぞれに特定の利点と欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、設計、材料、製造方法、及び医療デバイス及びシステムの代替案を提供する。第1の態様では、アテローム切除術制御システムは、駆動メカニズムと、駆動メカニズムの回転位置を検知するように構成された位置センサと、入出力ポートと、位置センサ及び入出力ポートと通信するマイクロコントローラとを備え、マイクロコントローラは、駆動メカニズムの回転位置について受信した表示に基づいて、駆動メカニズムの速度を判定するように構成されてもよく、判定された駆動メカニズムの速度に基づいて駆動メカニズムの速度を調整するための制御信号を決定し、決定された制御信号を入出力ポートを介して出力する。
【0005】
追加又は代替として、第2の態様では、制御システムの駆動メカニズムはタービンとすることができる。
追加又は代替として、第3の態様では、制御システムは、マイクロコントローラと通信し、マイクロコントローラから判定された速度を受け取るように構成されたコンピューティングデバイスをさらに備え、コンピューティングデバイスは、一定の期間にわたって受信した、判定された駆動メカニズムの速度に基づいて、駆動メカニズムの動作を監視するように構成され得る。
【0006】
追加又は代替として、第4の態様では、制御システムは、受信した駆動メカニズムの判定速度に関連するデータは、コンピューティングデバイスにおいてパスワード保護されていてもよい。
【0007】
追加又は代替として、第5の態様では、制御システムは、駆動メカニズムの回転位置のアナログ表示を駆動メカニズムの回転位置のデジタル表示に変換するように構成されたアナログ・デジタルコンバータを含み得る。
【0008】
追加又は代替として、第6の態様では、マイクロコントローラは、判定された駆動メカニズムの速度を速度設定点と比較することによって制御信号を決定するように構成され得る。
【0009】
追加又は代替として、第7の態様では、駆動メカニズムは第1のモード及び第2のモードを有し、マイクロコントローラは、駆動メカニズムが第1のモード又は第2のモードにあるか否かに基づいて決定された制御信号を調整するように構成され得る。
【0010】
追加又は代替として、第8の態様では、駆動メカニズムは、始動時に第1のモードで動作し、始動後の所定の時間に開始する第2のモードで動作するものであってもよい。
追加又は代替として、第9の態様では、マイクロコントローラは、駆動メカニズムの失速が現在時刻後の所定の期間内に発生することを予測するように構成され得る。
【0011】
追加又は代替として、第10の態様では、マイクロコントローラは、駆動メカニズムの判定された速度に基づく傾向値が閾値に達するか、閾値を超えると、所定の期間内に駆動メカニズムの失速が発生することを予測するように構成され得る。
【0012】
追加又は代替として、第11の態様では、傾向値は、現在判定されている駆動メカニズムの速度と、現在判定されている駆動メカニズムの速度を取得した、ある時刻よりも所定の期間だけ前の時刻における駆動メカニズムの速度との間の差であり得る。
【0013】
追加又は代替として、第12の態様では、マイクロコントローラは、駆動メカニズムの予測失速が発生するまでの時間を予測するように構成される。
追加又は代替として、第13の態様において、マイクロコントローラ内のファームウェアを使用してアテローム切除システムの駆動メカニズムを制御する方法は、駆動メカニズムの位置インジケータを受け取る工程と、駆動メカニズムの位置インジケータに基づいて駆動メカニズムの速度を判定する工程と、駆動メカニズムの速度の設定点を受信する工程と、判定された駆動メカニズムの速度と、受信した駆動メカニズムの速度の設定点とに基づいて、駆動メカニズムの速度を調整する制御信号を決定する工程と、決定された制御信号を出力して、駆動メカニズムの速度を調整する工程とを備える。
【0014】
追加又は代替として、第14の態様では、方法は、第1の動作モードに従って初期制御信号を調整する工程と、第2の動作モードによって、初期制御信号を調整する工程であって、駆動メカニズムの始動後の所定の期間が経過した後に制御信号を決定する工程とをさらに含み得る。
【0015】
追加又は代替として、及び第15の態様では、方法は、駆動メカニズムの失速が現在時刻後の所定の期間内に発生することを予測することをさらに含むことができる。
追加又は代替として、第16の態様では、方法は、駆動メカニズムの失速がいつ発生するかを予測する工程をさらに含み得る。
【0016】
追加又は代替として、及び第17の態様では、アテローム切除システムは、長尺状部材に動作可能に接続するように構成される前進アセンブリであって、長尺状部材の長手方向位置を制御するように構成され、及び、駆動メカニズムであって長尺状部材に動作可能に接続し、長尺状部材の回転位置を調整する駆動メカニズムを備える前進アセンブリと、前進アセンブリと通信する制御コンソールとを備えることができ、制御コンソールは入出力ポート及び、マイクロコントローラを備え、マイクロコントローラは、駆動メカニズムの速度を判定し、駆動メカニズムの速度を調整するための制御信号を決定し、及び、駆動メカニズムの速度を調整すべく入出力ポートを介して制御信号を出力する。
【0017】
追加又は代替として、第18の態様では、システムは、制御コンソールと通信して、制御コンソールから駆動メカニズムの速度データを受信するコンピューティングデバイスを備えることができ、コンピューティングデバイスは、受信した駆動メカニズムの速度データに基づいて駆動メカニズムの動作を経時的に監視するように構成される。
【0018】
追加又は代替として、第19の態様では、マイクロコントローラは、初期制御信号を識別し、駆動メカニズムが始動モードにあるか定常状態モードにあるかに基づいて制御信号を調整するように構成され得る。
【0019】
追加又は代替として、及び第20の態様では、マイクロコントローラは、駆動メカニズムの失速がいつ発生するかを決定するように構成され得る。
いくつかの実施形態の上記の要約は、本発明の開示された各実施形態又はすべての実装を説明することを意図していない。以下の図面及び詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【0020】
本発明は、添付の図面に関連して本発明の様々な実施形態を示す以下の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】例示的なアテローム切除システムの概略を示す図。
図2】例示的なアテローム切除システムの概略を示すブロック図。
図3】アテローム切除システムのための例示的なコントローラの概略を示すブロック図。
図4】アテローム切除システムの駆動メカニズムの回転を制御する例示的な方法の概略を示すフローチャート。
図5】アテローム切除システムの駆動メカニズムの回転を制御する例示的な方法の概略を示すフローチャート。
図6】駆動メカニズムの失速がいつ発生するかを決定する例示的な方法の概略を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、様々な変更及び代替の形態が可能であるが、その詳細は、例として図面に示されており、詳細に説明される。しかしながら、その意図は、記載された特定の実施形態に本発明を限定することではないことを理解されたい。それどころか、その意図は、本開示の精神及び範囲に含まれるすべての修正、同等物、及び代替物を網羅することにある。
【0023】
以下の定義された用語については、請求項又は本明細書の他の場所で異なる定義が与えられていない限り、これらの定義が適用される。
本明細書では、すべての数値は、明示的に示されているかどうかにかかわらず、「約」という用語で修飾されていると想定されている。「約」という用語は、一般に、当業者が列挙された値と同等であると考える(例えば、同じ機能又は結果を有する)数値の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語には、最も近い有効数字に四捨五入された数値が含まれ得る。
【0024】
終点による数値範囲の列挙には、その範囲内のすべての数値が含まれる(例えば、1〜5には、1,1.5,2,2.75,3,3.80,4,5が含まれる)。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a 」、「an」、及び「the 」は、内容が明らかに他に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、用語「又は」は、内容が明確に他のことを指示しない限り、一般に「及び/又は」を含む意味で使用される。
【0025】
本明細書における「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、記載された実施形態が1つ以上の特定の特徴、構造、及び/又は特性を含み得ることを示すことに留意されたい。しかしながら、そのような記載は、すべての実施形態が、その特定の特徴、構造、及び/又は特性を含むことを必ずしも意味しない。さらに、特定の特徴、構造、及び/又は特性が一実施形態に関連して説明される場合、明確に逆のことが記載されない限り、そのような特徴、構造、及び/又は特性は、明示的に記載されているかどうかにかかわらず、他の実施形態に関連して使用されてもよいことを理解されたい。
【0026】
以下の詳細な説明は、異なる図面を通じて同様の要素に同一の参照番号を付している図面を参照して読まれるべきである。必ずしも縮尺通りではない図面は、実施形態を例示的に示すものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0027】
心血管疾患及び末梢動脈疾患は、血管内腔の内壁にアテローム性物質が蓄積することにより発生し、アテローム性動脈硬化症として知られる状態を引き起こす。アテローム性及び他の血管沈着物は、血液の流れを制限し、患者の心臓、患者の脚の血管系、患者の頸動脈などに虚血を引き起こす可能性がある。そのような虚血は、痛み、腫れ、治癒しない創傷、切断、脳卒中、心筋梗塞、心臓発作、及び/又は他の状態を引き起こし得る。
【0028】
アテローム性沈着物は、広く多様な特性を有し、いくつかの沈着物は比較的柔らかく、他の沈着物は繊維性になり、及び/又は石灰化している。後者の場合、沈着物はプラークと呼ばれることがある。アテローム性動脈硬化症は、加齢の結果として自然に発生するが、食事、高血圧、遺伝、血管損傷などの要因によって悪化することもある。アテローム性動脈硬化症は、薬物、バイパス手術、及び/又は、血管内拡張又はアテローム性血管又は血管を閉塞する他の物質の除去に依存し得る様々なカテーテルベースのアプローチを含む様々な方法で治療され得る。アテローム切除術は、アテローム性動脈硬化症の治療に使用できるカテーテルベースの医療介入である。
【0029】
アテローム切除術は、プラーク又は他の物質によって閉塞されている患者の血管系の一部を通る血流を回復するために行われる医療介入処置である。アテローム切除処置では、駆動シャフトの端部にあるデバイスを使用して、患者の血管(動脈や静脈など)からプラークやその他の物質を取り込み、又は、除去(例:アブレーション、研磨、切断、剃去など)する。場合によっては、駆動シャフトの端部にあるデバイスは、研磨を行うことができ、及び/又はそれ以外の方法であっても、デバイスが回転してプラーク又は他の障害物と係合すると、血管壁又は血管内の他の障害物からプラークを取り除くように構成される。
【0030】
図1は、アテローム切除システム10を示す。アテローム切除システム10は、駆動アセンブリ12及び制御ユニット14(例えば、コントローラ又は制御コンソール)を含み得る。駆動アセンブリ12及び制御ユニット14は、アテローム切除システム10の別個の構成要素として図1に示されているが、制御ユニット14は、駆動アセンブリ12に組み込まれ得る。
【0031】
駆動アセンブリ12は、他の要素の他に、前進アセンブリ16と、駆動シャフト18(例:可撓性駆動シャフト又は他の駆動シャフト)と、回転デバイス20(例:回転チップ又は他の回転部材)と、長尺状部材22であって、第1の端部(例:近位端)、第2の端部(例:遠位端)、及び第1の端から第2の端まで延び、駆動シャフト18を受け入れるための内腔を有する長尺状部材22とを備えることができる。場合によっては、長尺状部材22は長尺状管状部材であってもよい。回転デバイス20は、回転したときに血管壁のプラーク又は血管内の他の障害物を研磨、アブレーション、切断、剃去するために、粗い、又は鋭い表面を有してもよい。
【0032】
前進アセンブリ16は、前進ツマミ23を含み得、前進ツマミ23、及び駆動シャフト18と通信する駆動メカニズム(例:図2に示す駆動メカニズムであってもよく、タービン、電気モータ、空気モータ、及び/又は他の駆動メカニズムであってもよい)を収容し得る。前進ツマミ23は、長手方向経路に沿って前進して、駆動メカニズム及び回転デバイス20を長手方向に前進させるように構成され得る。駆動メカニズムは、溶接、クランプ接続、接着、ねじ止め、及び/又は高回転速度や回転力に耐えるように構成された他の適切な結合を含むがこれらに限定されない適切な方法で駆動シャフト18に結合されてもよい。駆動シャフト18は、広範囲の速度(例:時計回り又は反時計回りにゼロ(0)回/毎分(RPM)〜250,000RPM以上の間の速度)にわたって回転し得るので、駆動メカニズムと駆動シャフト18との間の結合は、そのような回転速度及びそれに関連する力に耐えるように構成され得る。
【0033】
場合によっては、駆動メカニズムは制御ユニット14と通信することができる。制御ユニット14と通信するとき、駆動メカニズムは、制御ユニットと直接に連動し(例えば、配線を介して直接接続される)、又は間接的に連動(例:複数の配線接続及び/又は1つ以上のデバイスを介して間接的に接続される)し得る。駆動メカニズムと制御ユニット14との間の間接に連動する一例には、圧縮空気によって駆動される駆動メカニズム(例えば、タービン又は空気圧モータ)が含まれ、制御ユニット14がシリンダ25又は他の部品から駆動メカニズムへの圧縮流体の流れを起動することができ(例:制御ユニット14の弁を作動させるか、さもなければ圧縮流体流を作動させる)、これは、駆動メカニズム及び駆動シャフト18の回転をもたらし得る。
【0034】
駆動シャフト18は、1つ以上の様々な材料から形成することができる。例えば、駆動シャフト18は、鋼、ステンレス鋼、及び/又は他の適切な材料を含む様々な材料の1つ以上から形成されてもよい。
【0035】
駆動シャフト18は、患者の脈管構造を通過するための適切な直径及び/又は長さを有し得る。場合によっては、駆動シャフト18は、約0.030センチメートル(cm)以下〜約0.150cm以上の範囲の直径、及び約10(cm)〜約300(cm)の範囲の有効長を有することができる。あるいは、駆動シャフト18は、異なる適切な直径及び/又は異なる適切な長さを有し得る。
【0036】
回転デバイス20は、駆動シャフト18及び長尺状部材22の遠位直径に等しいか又はそれよりも大きい外周を有し得る。回転デバイス20は、両方の回転方向において等しく十分に貫通するように対称的なデザインを有することができるが、これは必須ではなく、回転デバイス20は、一方向のみに貫通するように構成されてもよい。駆動シャフト18の直径は、長尺状部材22の管腔の寸法及び/又は1つ以上の他の要因に依存し得る。
【0037】
回転デバイス20は、駆動シャフト18に結合され得る。駆動シャフト18が第1の端部(例:近位端部分)及び第2の端部(例:遠位端部分)を有する場合、回転デバイス20は、第2の端部又はその近傍で駆動シャフト18に結合され得る。場合によっては、回転デバイス20は、駆動シャフト18の第2の端部の末端に、又はそれに隣接して配置されてもよい。
【0038】
回転デバイス20は、任意の方法で駆動シャフト18に結合され得る。例えば、回転デバイス20は、接着、ねじ止め、溶接、クランプ接続、及び/又は高い回転速度及び力に耐えるように構成された他の適切な接続で駆動シャフト18に結合され得る。駆動シャフト18と駆動メカニズムとの間の接続に関して上記したのと同様に、駆動シャフト18及び/又は回転デバイス20は、時計周り又は反時計回りにゼロ(0)RPM〜250,000RPM以上の速度で回転し得るので、駆動シャフト18及び回転デバイス20は、そのような回転速度及びそれに関連する力に耐えるように構成され得る。
【0039】
駆動アセンブリ12及び制御ユニット14は、通信することが可能であり、同一のハウジングに配置されてもよく、及び/又は別個のハウジング(例:前進アセンブリハウジング26及び制御ユニットハウジング28又は他のハウジング)に配置されてもよい。同じハウジング内であろうと別個のハウジング内であろうと、駆動アセンブリ12及び制御ユニット14は、有線接続(例えば、1つ以上の電線24を介して)及び/又は無線接続を介して通信し得る。有線接続は、必要に応じて、USB 、イーサネット(登録商標)、SPI 、UART、HDMI(登録商標)、及び/又はその他の適切な共通又は専用の有線プロトコルを含むがこれらに限定されない1つ以上の通信プロトコルを介して行うことができる。無線接続は、セルラー通信、ZigBee(商標)、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(登録商標)、IrDA(商標)、専用短距離通信(DSRC)、EnOcean(商標)、及び/又はその他の適切な一般的又は独自のワイヤレスプロトコルを含むがこれらに限定されない好適な1つ以上の通信プロトコルを介して行われる。
【0040】
図1には示されていないが、駆動アセンブリ12は、上記に加えて、及び/又は上記の代替として、1つ以上の動作構造物を備え、かつ/又は収容することができる。例えば、様々な部材の中でも駆動アセンブリ12は、開始/停止ボタン、ゴム足、モード選択ボタン、モード開始/停止ボタン、制御電子機器、駆動回路などを含み得る。
【0041】
制御ユニット14は、(例えば、図1に示されるように)駆動アセンブリ12から分離され得るか、又は駆動アセンブリ12に含まれ得る、いくつかの構造物を含み得る。例えば、図1に示されるように、制御ユニット14は、ディスプレイ30及び制御ツマミ32(例:モータ速度(例:RPM又は他の速度)調整ツマミ又は他の制御ツマミ)を含み得る。追加又は代替として、制御ユニット14は、駆動メカニズム及び/又は駆動アセンブリ12の他の構造物(例:駆動メカニズムの1つ以上の状態)を制御するための1つ以上の他の構造物を含み、それには、プロセッサ、メモリ、入出力デバイス、スピーカー、ボリュームコントロールボタン、オン/オフ電源スイッチ、モータ起動スイッチ、タイマー、時計、及び/又はその他の機能が含まれる。
【0042】
ディスプレイ30は、任意の適切なディスプレイパネル技術を使用する任意の適切なタイプのディスプレイパネルであり得るか、又はそれを含み得る。例えば、ディスプレイ30は、以下のタイプのディスプレイパネルのうちの1つ以上を含み得る:アイドホール(商標)、エレクトロルミネセントディスプレイ(ELD )、電子ペーパー(Eインク(商標)、ジリコン)、発光ダイオードディスプレイ(LED )、陰極線管(CRT )(モノスコープ)、液晶ディスプレイ(LCD )(TFT 、LED 、ブルーフェーズ、 IPS )、プラズマディスプレイパネル(PDP )(ALiS)、デジタル光処理(DLP )、液晶オンシリコン(LCoS)、有機発光ダイオード(OLED)(AMOLED)、有機発光トランジスタ(OLET)、表面-伝導電子放出ディスプレイ(SED )、電界放出ディスプレイ(FED )、レーザーTV(量子ドット、液晶)、MEMSディスプレイ(IMoD、TMOS、DMS )、量子ドットディスプレイ(QD-LED)、フェロ液晶ディスプレイ(FLD )、厚膜誘電体エレクトロルミネセンス技術(TDEL)、テレスコピックピクセルディスプレイ(TPD )、レーザー蛍光体ディスプレイ(LPD )、又はその他のタイプのディスプレイパネル。ディスプレイ30は、入力を受信するための接触検知スクリーンを含み得るが、これは必須ではない。
【0043】
制御ツマミ32は、任意の適切なタイプの制御ツマミであり得る。図1に示されるように、制御ツマミ32は、制御機能(例えば、駆動メカニズム又は他の制御構造物の回転速度)を調整する(例えば、回転又は他の方法で移動)ように調整される物理制御ツマミであり得る。代替的又は追加的に、制御ツマミ32は、接触検知面と相互作用することによって調整され得る仮想制御ツマミであってもよい。
【0044】
図1に示されるように、制御ユニット14は、光ファイバポート34と、電気ポート36と、流体ポート38と、1つ以上の他のポートとのうちの少なくとも1つを含むがこれらに限定されない、1つ以上のポートを備え得る。光ファイバポート34は、光ファイバライン42の光ファイバコネクタ40を受け入れるように構成されてもよく、光ファイバライン42は、駆動メカニズムの位置を光学的に検知するように構成された位置センサに接続され、及び/又は位置センサの一部であってもよい。追加又は代替として、制御ユニット14への異なるタイプの接続を有する他のタイプの位置センサが利用されてもよい。電気ポート36は、電気ライン24の電気コネクタ44を受容するように構成され得、電気ライン24は、駆動アセンブリ12の制御電子機器に接続され得るか、及び/又は制御電子機器の一部であり得る。場合によっては、電線ライン24は、駆動アセンブリ12の主PCBに直接接続されてもよく、駆動アセンブリ12の電気アセンブリに電力を供給するために利用されてもよい。流体ポート38は、流体ライン48の流体ラインコネクタ46を受容するように構成され得、流体ライン48は、駆動メカニズムと接続して駆動メカニズムに動力を供給し得る。駆動メカニズムが電気モータ又は非空気圧駆動メカニズムである場合、流体ポート38、流体ラインコネクタ46、及び/又は流体ライン48は省略されてもよいが、これは必須ではない。
【0045】
図2は、制御ユニット14と通信している駆動メカニズム50及び位置センサ52と、制御ユニット14と通信しているホスト54とを有する、アテローム切除システム10の概略を示すブロック図である。ホスト54は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、リモートサーバ、スマートフォン、及び/又は他のコンピューティングデバイスのうちの1つ以上であり得る。ホスト54は、制御ユニット14と有線及び/又は無線通信することができ、有線又は無線通信は、本明細書に記載される1つ以上の通信プロトコルからなることができる。
【0046】
動作中、位置センサ52は、駆動メカニズム50の回転位置を検知し、検知された駆動メカニズム50の回転位置の表示を制御ユニット14に送信することができる(例えば、光パルス又は他の表示を光ファイバ回線42又は他の配線を介して送信する)。次に、制御ユニット14は、駆動メカニズム50の検出された回転位置の表示を使用して、駆動メカニズム50の速度(RPM)を判定し、監視及び/又は駆動メカニズム50の分析のために駆動メカニズム50の判定された速度をホスト54に出力する。
【0047】
場合によっては、制御ユニット14(例えば、内部のファームウェア)は、所定の間隔で速度データ(例えば、回転速度、横方向速度、縦方向速度など)及び/又は他のデータをサンプリングし、そのデータをホスト54に送ることができる。所定の間隔の例には、1ミリ秒(ms)、2ms、5ms、10ms、及び/又は他の適切な間隔が含まれるが、これらに限定されない。代替的又は追加的に、制御ユニット14は、ホスト54からの要求及び/又は他の入力要求データに応じて、速度データ及び/又は他のデータをサンプリングしてもよい。
【0048】
ホスト54は、制御ユニット14からデータ(例えば、速度データ、オン/オフデータ、失速データ、時間の関数としてのデータなどを含み得るがこれらに限定されない動作データ)を受信するように構成され得る。 例えば、ホスト54は、駆動メカニズム50の速度及び/又は駆動メカニズム50の動作に関連する他のデータの分析を実行し、駆動メカニズムの初期超過(例:始動時の実際の速度対設定点速度)、駆動メカニズム50の定常状態振動、駆動メカニズム50の実行時間にわたる速度変化、及び/又は駆動メカニズム50の他の動作を監視し得る。場合によっては、ホスト54は、速度対時間をグラフにプロットし、及び/又は受信したデータの他のグラフ表示を提供することができる。
【0049】
場合によっては、制御ユニット14からホスト54に送信されるデータは、高レベルのデータセキュリティを確立及び/又は保証するためにパスワード保護されてもよい。パスワード保護プロトコルは、ホスト54における、1つ、2つ、又はそれ以上のレベルのデータアクセスを与えるものでもよい。2つのレベルのデータアクセスを提供するパスワード保護プロトコルの例には、データアクセスの読み取りモードと、データアクセスの読み取り/書き込みモードとが含まれる。読み取りモードでは、データへの読み取り専用アクセスが提供され、ユーザはデータを見ることはできるが、データを操作することはできない。読み取り/書き込みモードは、データへの読み取り/書き込みアクセスを提供し、ユーザがデータを見ることも、データを操作することもできる(例:データに対して実行される分析の変更、データへのメモの追加、データの収集方法の変更等)。場合によっては、プライマリパスワード又はベースパスワードを入力又は提供した後に、パスワード保護プロトコルの読み取りモード又はアクセスにアクセス可能となる。読み取り/書き込みモードは、プライマリ又はベースパスワードと、セカンダリパスワードとを入力又は提供した後にアクセスするものであってもよい。あるいは、ユーザのパスワードにより、読み取りモード又は読み取り/書き込みモードのいずれかに自動的にアクセスでき、必要なパスワードは1つのみにすることもできる。すべての例で必要なわけではないが、パスワードがホスト54に提供されると(例:キーボード、タッチスクリーン、生体認証、及び/又は1つ以上の他の入力インターフェイスを介して)、ホスト54は読み取りモード及び読み取り/書き込みモードの一方又は両方へのアクセスを受け取る前に、制御ユニット14との初期ハンドシェイクを完了することを、パスワードプロトコルによって要求される場合がある。
【0050】
1つの例示的な構成では、駆動メカニズム50の検知された回転位置の表示は光パルスであり得、制御ユニット14は、パルスをアナログ電圧パルスに変換するように構成された構成要素を含み得る(例:駆動メカニズム50の回転位置のアナログ表示)。制御ユニット14は、コントローラ56、アナログ・デジタル(A/D)変換器58、及び1つ以上の入出力ポート60を含むことができる。A/Dコンバータ58は、アナログ電圧パルスをデジタル電圧信号(例:駆動メカニズム50の回転位置のデジタル表示)に変換することができ、コントローラ56のファームウェア62は、所定の間隔で、又はコンピューティングデバイス(例:ホスト54)からの要求に応じて、A/Dコンバータ58から電圧をサンプリングするように構成することができる。場合によっては、位置センサ52からの速度の表示及び/又はホスト54への出力データは、入出力ポート60を通過することができる。
【0051】
コントローラ56は、マイクロコントローラであってもよいし、マイクロコントローラを含んでもよい。追加又は代替として、コントローラは、特定用途向け集積回路(ASIC)及び/又は特定用途向け標準製品(ASSP)のうちの1つ以上を含み得る。図示されていないが、コントローラ56は、プロセッサ及びメモリを含み得、プロセッサは、メモリに動作可能に結合され得る。メモリは、制御アルゴリズム、設定点、サンプリングデータの所定の時間間隔、スケジュール、参照スケジュール、時刻、あるいは速度制限、RMP制限、トルク制限などの診断制限等、任意の好適な情報を保存するために使用できる。メモリは、RAM、ROM、EPROM、フラッシュメモリ、ハードドライブなどを含むがこれらに限定されない1つ以上の適切なタイプの記憶デバイスのいずれかを含むことができる。メモリは、プロセッサによってアクセスされ得るファームウェア62を含み得る。場合によっては、制御ユニット14は、メモリ内に情報を格納することができ、コントローラ56のプロセッサは、その後、格納された情報をメモリから検索して、アテローム切除術用デバイスの動作を行い、及び/又は分析(例:ホスト54による分析)を行う。プロセッサ及び/又はメモリは、タイマーを含み、及び/又はタイマーと通信していてもよい。
【0052】
図3は、コントローラ56及びファームウェア62内のファームウェアモジュールのブロック図を示す。図3に示されるように、駆動メカニズム50の位置を示すための位置インジケータ信号63は、コントローラ56で受信され得、ファームウェアモジュールは、位置インジケータ信号63を利用して、)駆動メカニズム50の動作(例:回転)を制御するための制御信号67を開発し得る。
【0053】
ファームウェア62は、様々なファームウェアモジュールを含み得る。図3に示すように、ファームウェア62は、速度フィードバックモジュール64、速度補償モジュール66、及び制動制御モジュール68を含み得る。場合によっては、制動制御モジュール68は、初期超過制御70、定常状態制御72、失速予測器制御74、及び/又は1つ以上の他の構成要素を含むことができる。場合によっては、初期超過制御70、定常状態制御72、及び失速予測器制御74のうちの1つ又は複数は、制動制御モジュール68から分離することができる。代替として、又は図3に示される制御モジュール及びコンポーネントに加えて、他のファームウェアモジュール及び/又はコンポーネントが、必要に応じて利用され得る。ファームウェア62のモジュール64,66,68は、図4〜6の方法に関して以下でより詳細に説明される。
【0054】
図4は、駆動メカニズム50の速度を制御する方法100を示す。方法100では、駆動メカニズム50の位置の指示を(例えば、A/Dコンバータ58及び/又は制御ユニット14の他の構成要素から)受信し(102)、駆動メカニズム50の速度(例えば、RPM又は他の測定値)を判定する(104)。例えば、速度フィードバックモジュール64は、A/Dコンバータ58から出力された駆動メカニズム50の位置のデジタル表示(例えば、パルス又は他の表示)を利用して速度(例えば、RPM又は他のRPMで)を判定し、判定された速度を速度補償モジュール66に提供する。そのような場合、ファームウェア62は、A/Dコンバータ58からの出力を格納することができ、速度フィードバックモジュール64は、A/Dコンバータ58からのその格納された出力をサンプリングして駆動メカニズム50の速度を計算するように構成することができる。代替的又は追加的に、A/Dコンバータ58からの出力は、駆動メカニズム50の速度を計算するため及び/又は他の目的のために、速度フィードバックモジュール64に直接提供されてもよい。
【0055】
場合によっては、速度フィードバックモジュール64は、駆動メカニズム位置の表示(例えば、A/Dコンバータ58からの格納された出力、A/Dコンバータ58からの直接の出力、及び/又は駆動メカニズム位置の他の表示)をサンプリングし、所定の間隔で駆動メカニズム50の速度を判定する。所定の間隔の例は、10ミリ秒、25ミリ秒、50ミリ秒、100ミリ秒、500ミリ秒、秒、及び/又は1つ以上の他の適切な間隔であり得る。 駆動メカニズム位置の表示がパルスである場合、速度フィードバックモジュール64は、所定の間隔中に発生したパルスの数(例えば、最後にサンプルが採取されてからのパルスの数)を判定することができる。
【0056】
受信した駆動メカニズム位置の表示から駆動メカニズム50の速度を判定する(104)ために、速度フィードバックモジュール64は、駆動メカニズム50の速度を計算するために使用される方程式に駆動メカニズム位置の表示を入力することができる。駆動メカニズム位置の表示がパルスであり、駆動メカニズム位置の表示が50ミリ秒ごとにサンプリングされ、速度がRPMで決定される場合の1つの例では、次式を利用することができる。
【0057】
RPM=PulseCount*1.2 式(1)
PulseCountという用語は、所定の間隔iの間に受信した駆動メカニズム位置の表示(例えば、パルス又は他の表示)の数である。あるいは、駆動メカニズム50の速度は、サンプリングレート(例:所定の間隔又は他の間隔)、駆動メカニズムの位置測定のタイプ、及び/又は1つ以上の他の要因に依存し得る1つ以上の他の適切な方法で決定され得る。
【0058】
図4の方法100は、駆動メカニズム50の速度の設定点を(例:制御ユニット14の制御ツマミ32を介して、又は別の適切な方法で)受信する工程(106)と、計算した駆動メカニズム50の速度を受信した設定点と比較して、駆動メカニズム50の速度を制御するように構成された制御信号を決定する工程(108)とを備える。例えば、計算されたRPM又は他の速度測定値を速度補償モジュール66に提供し、受信した設定点速度と比較し、比較に基づいて制御信号67を決定する(108)。駆動メカニズム50の速度が空気圧で制御される場合、制御信号67は、駆動メカニズム50に動力を供給するために提供される流体を調整する弁への制御信号(例:電圧調整制御信号又は他の制御信号)であり得る。駆動メカニズム50の速度が電気的に制御される場合、制御信号67は、駆動メカニズム50への電流又は電圧の量を調整する制御信号であり得る。さらに、駆動メカニズム50の速度に直接的又は間接的に影響を与えるように一般的に構成される、他の適切なタイプの制御信号67が企図される。
【0059】
駆動メカニズム50の速度がRPMで測定されるとき、以下の方程式を利用して、駆動メカニズム50の速度を調整するための制御信号67を決定することができる。
(速度制御信号)=RPM_Y_INTERCEPT−GAIN*RPM 式(2)
ここで、
RPM_Y_INTERCEPT=SET_RPM*GAIN 式(3)
RPMは、式(1)から計算されたRPMであり、GAINは、駆動メカニズム50のキャリブレーション中に識別される構成可能な利得であり、SET_RPMは、アテローム切除システム10のユーザによって決定されるRPM設定点である。
【0060】
制御信号67が計算され、又は他の方法で決定されると(108)、駆動メカニズム50の速度を調整及び/又は維持するために、制御信号67(例:速度制御信号又は他の制御信号)が出力される(110)。場合によっては、計算又は決定された制御信号67は、駆動メカニズム50への流体の流体を制御する弁に、又は直接に駆動メカニズムに出力して、駆動メカニズム50への電圧又は電流を調整することができる。
【0061】
場合によっては、制御信号67は、制動制御モジュール68又はファームウェア62の他のモジュールもしくは構成要素によって修正及び/又は決定されてもよい。一例では、制御信号は、図5に示される方法200に従って調整及び/又は決定されてもよく、制動制御モジュール68は、初期速度(例:RPM又は他の速度)超過時、定常状態速度(例:RPM又は他の速度)振動時、及び/又は駆動メカニズム50の動作中の1つ以上の他の時間において、制御信号を決定して駆動メカニズム50の速度を調整するように構成されてもよい。
【0062】
方法200は、駆動メカニズム50の速度を制御するための初期制御信号を決定する工程202を備える。場合によっては、駆動メカニズム50の速度を制御するための初期制御信号は、式(2)に従って決定されてもよい(202)が、これは必須ではない。方法200は、所定の期間が経過したか否かを決定する工程(204)をさらに備え得る。所定の時間が経過していない場合、方法200は、第1の動作モードに従って(例:以下により詳細に記載するように、初期超過制御70を使用して)初期制御信号を調整して決定された制御信号(例:決定された制御信号67又は他の決定された制御信号)を識別する工程206を備え得る。決定された制御信号は、本明細書に記載するように、駆動メカニズム50の速度を制御するために、アテローム切除システム10のさらなる構成要素に出力され得る(210)。所定の期間が経過した場合、方法200は、第2の動作モードに従って(例:以下により詳細に記載するように、定常状態制御72を使用して)初期制御信号を調整して(208)、決定されたコントローラ信号 (例:決定された制御信号67又は他の決定された制御信号)を識別する工程を含み得る。決定された制御信号は、本明細書に記載するように、駆動メカニズムの速度を制御するために、アテローム切除システム10のさらなる構成要素に出力され得る(210)。
【0063】
方法200及び/又は他の方法で使用するために、制動制御モジュール68は、駆動メカニズム50の初期の速度超過モードに関連する期間中に初期の方程式に従って(例:第1の動作モードに従って)制御信号67を計算するように構成された初期の超過制御70と、最初の速度超過モードに関連する期間が経過した後に、駆動メカニズム50の定常状態速度振動モードの異なる方程式に従って(例:第2の動作モードに従って)制御信号67を計算するように構成された定常状態制御72とを有し得る。さらに、初期速度超過モード及び定常状態速度振動モードで制御信号67を決定するための異なる方程式を使用する代わりに、単一の時間依存方程式を利用してもよく、又は3つ以上の方程式を利用して、初期速度超過モード及び定常状態速度振動モードのときの制御信号67を決定してもよい。
【0064】
初期速度超過モードに関連する期間は、駆動メカニズム50が始動条件に相対して定常状態動作に到達する前の、駆動メカニズム50の始動時の適切な期間であり得る。期間の例には、500ミリ秒、1秒、2秒、及び/又は他の期間が含まれるが、これらに限定されない。
【0065】
初期超過制御70による制御信号への調整(206)は、以下のように、フローキャップ方程式によるものであってもよい。
DAMP_FLOWCAP=(RPM_Y_INTERCEPT−DAC_COUNT_SET_RPM)*DampFactor 式(4)
RPM_Y_INTERCEPTは式(3)から得た値、DAC_COUNT_SET_RPMはSET_RPMのデジタルアナログ変換計数値、DampFactorは駆動メカニズム50のキャリブレーション中に決定される構成可能な係数である。次に、制動制御モジュール68は、式(4)からのDAMP_FLOWCAP値を式(3)からのRPM_Y_INTERCEPT値と比較することができる。
【0066】
RPM_Y_INTERCEPT値がDAMP_FLOWCAP値以下の場合、制動制御モジュール68は、式(2)で決定された速度制御信号を変更しない。RPM_Y_INTERCEPT値がDAMP_FLOWCAP値より大きい場合、制動制御モジュール68は、式(2)の速度制御信号を調整して、次式のように初期超過(速度制御信号)dioの制動制御信号67を決定する。
【0067】
(速度制御信号)dio=(速度制御信号)−(DAMP_FLOWCAP - RPM_Y_INTERCEPT) 式(5)
ここで、「速度制御信号」は式(2)から決定され、DAMP_FLOWCAPは式(4)から決定され、RPM_Y_INTERCEPTは式(3)から決定される。
【0068】
定常状態速度振動モードでの駆動メカニズム50の動作中の定常状態制御72による制御信号の調整(208)は、駆動メカニズム50の現在の決定された速度と駆動メカニズム50前回の決定された速度との間の変化率に基づくことができる。変化率の式の例は次式である。
【0069】
(変化率)=(現在の速度)−(前回の速度) 式(6)
「現在の速度」は、間隔iで式(1)から決定されたRPM値で、「前回の速度」は、間隔i−nで式(1)から決定されたRPM値であり、ここで、nは、現在の間隔iよりも前の間隔の数である。場合によっては、「前回の速度」は、以前の間隔の組に対して式(1)を使用して決定された速度の平均又は他の適切な統計値である場合がある。
【0070】
式(6)から計算された「変化率」の値を使用して、制動制御モジュールは、次のように減衰変化率を決定できる。
DAMP_RATE_OF_CHANGE =(変化率)*(DampFactor)ss 式(7)
「変化率」の値は、式(6)から決定することができ、(DampFactor)ssは、ファームウェア62によって割り当てられた固定値とすることができる。制動制御モジュール68は、DAMP_RATE_OF_CHANGE値に基づいて、式(2)の速度制御信号を調整して、定常状態の制動制御信号である(速度制御信号)dssを決定し、次式のように駆動メカニズム50の初期起動後に安定した速度を維持する。
【0071】
(速度制御信号)dss=(速度制御信号)−DAMP_RATE_OF_CHANGE 式(8)
ここで、「速度制御信号」は式(2)から決定され、DAMP_RATE_OF_CHANGEは式(7)から決定される。
【0072】
図3に示されるように、コントローラ56のファームウェア62は、失速予測制御74を含み得る。場合によっては、失速予測器制御部74は、制動制御モジュール68内にあり、かつ/又は制動制御モジュール68の一部であり、かつ/又は制動制御モジュール68から分離している場合がある。
【0073】
失速予測制御74は、駆動メカニズム50の失速が発生することになること、及び/又は失速がいつ発生するかを予測するように構成することができる。場合によっては、失速予測制御器74は、図6に示すように、失速が発生するかどうか、及びいつ発生するかを判定する方法300に従うように構成されてもよい。
【0074】
図6に示されるように、方法300は、駆動メカニズム50の第1の時刻で決定された速度(RPM又は他の速度測定)を駆動メカニズム50の第2の時刻で決定された速度と比較する工程302を含み得る。場合によっては、第1及び第2の時刻で決定された速度は、上記の式(1)に従って決定されてもよい。代替的又は追加的に、駆動メカニズム50の速度は、1つ以上の他の方法で決定されてもよい。
【0075】
駆動メカニズム50の速度が決定される第1及び第2の時刻は、駆動メカニズム50の動作中の任意の適切な時刻であり得る。一例では、第1の時刻に決定された駆動メカニズム50の速度が駆動メカニズム50の現在の速度であるように、第1の時刻が現在の時刻であってもよい。この例では、第2の時刻で決定された駆動メカニズム50の速度が駆動メカニズム50の以前の速度であるように、第2の時刻は現在時刻よりも前の期間であり得る。第1の時刻の駆動メカニズム50の速度と第2の時刻の駆動メカニズム50の速度とを比較する式は次の通りである。
【0076】
RPM偏差=RPMi−t−RPM 式(9)
ここで、RPMは、現在の時刻iにおける駆動メカニズム50の速度であり、RPMi−tは、現在の時刻iよりも前の所定の期間tの時刻における駆動メカニズム50の速度であり、RPM偏差 (例:RPM偏差傾向値)は、現在時刻の前の所定の期間における駆動メカニズム50の速度と現在時刻の駆動メカニズム50の速度との間の差である。現在の時間の前の所定の時間の速度は、現在の時間よりも所定の時間だけ前の1点における単一の速度であってもよいが、現在の時間の前のいくつかの期間の間隔のそれぞれにおける複数の速度の平均、及び/又は、現在時刻より前の時点で決定された速度に関連する他の統計値であってもよい。
【0077】
現在時刻より前の期間は、所定の期間であってもよい。所定の期間の例には、50ミリ秒、100ミリ秒、500ミリ秒、1秒、2秒、及び/又はそれより長い他の適切な所定の期間が含まれることができ、任意で、駆動メカニズム50の速度を判定する複数の時刻の時間での複数の期間であってもよい。
【0078】
方法300では、現時点での駆動メカニズム50の速度と、現時点より前の所定の期間での駆動メカニズム50の速度との差(例:RPM偏差又はRPM偏差傾向値)は、閾値と比較される。次に、第1の時刻での駆動メカニズム50の速度と第2の時刻での駆動メカニズム50の速度との間の差が閾値に達するか、又はそれを超えるかどうかに関して、判定(304)を行うことができる。第1の時刻の駆動メカニズム50の速度と第2の時刻の駆動メカニズム50の速度との間の差が閾値に達しないか、又は超えない場合、失速予測器制御器74は、現在の時間と次の失速予測が行われる時間(例えば、上記の所定の期間に等しいか又は実質的に等しい将来の期間)との間で失速が生じないことを判定し得る(306)。第1の時刻の駆動メカニズム50の速度と第2の時刻の駆動メカニズム50の速度との差が閾値に達するか、又はそれを超える場合、失速予測器制御部74は、現在の時間と次の失速予測が行われる時間(例えば、上記の所定の期間に等しいか又は実質的に等しい将来の期間)との間で失速が発生することを工程308で決定し得る。
【0079】
閾値は、任意の適切な閾値であり得る。一例では、式(9)を使用するとき、閾値はゼロ(0)でもよく、ゼロ(0)未満の数、及び/又は失速の発生がいつ予想されるかを示す1つ以上の他の適切な値であってもよい。
【0080】
失速予測器制御74が判定306、308を行うと、コントローラ56は、判定を表示するために1つ以上の動作をとることができる。場合によっては、上記の1つ以上の動作は、表示画面(例:ディスプレイ30)の失速インジケータを有効又は無効にすること、ライトを有効又は無効にすること、音を有効又は無効にすること、予測された失速又は失速がないことに対応するための駆動メカニズム50制御用の制御信号を有効又は無効にすること、及び/又は1つ以上の他の動作又は非動作を行うことであり得る。
【0081】
失速が発生すると予測された場合、方法300は、いつ失速が発生すると予測されるかを判定する工程(310)を含み得る。場合によっては、失速が予測される時刻は次から決定できる。
【0082】
予測停滞時刻=([所定の期間]/RPM偏差)*(RPM−RPMstall) 式(10)
上の式における「所定の期間」は、駆動メカニズム50の速度が決定され得る第1の時刻と駆動メカニズム50の速度が決定され得る第2の時刻との間の時間であり、RPM偏差は、(例えば、式(9)から決定されるように)現時点で決定された駆動メカニズム50の速度と、現時点より前の所定の時点で決定された駆動メカニズム50の速度との差であり、RPMは、現在の時刻iでの駆動メカニズム50の速度であり、RPMstallは、駆動メカニズム50が失速していると見なされる速度の閾値である。
【0083】
速度の閾値の例(例:RPMstall)には、ゼロ(0)RPM、100RPM、500RPM、1000RPM、1,500RPM、5,000RPM、又はその他の適切な閾値などがあるが、これらに限定されない。追加的に又は代替的に、閾値速度値は、設定点速度又は他のモータパラメータ又は状態の一定のパーセンテージであり得る。場合によっては、失速が実際に発生する前に失速を認識しやすくするために、失速が発生したと見なされる速度の閾値はゼロよりも大きい場合がある。
【0084】
失速が発生すると予測される時間が判定されると(例えば、式(10)からの予測失速時間を使用して)、コントローラ56は、1つ以上の動作を実行することができる。例えば、コントローラ56は、失速が起こり得る予測時間をディスプレイ30に表示し、警報を鳴らし、失速が起こり得る予測時間を聴覚的に示し、制御プログラムに従って駆動メカニズムの動作を変更し、アラートをホスト54に送信し、アラートをリモートデバイス又はモバイルデバイスに送信し、及び/又は1つ以上の他の動作を実行することができる。
【0085】
必ずしも図には描かれていないが、本明細書に記載の方法(例えば、方法100、200、300、及び/又は他の方法)は、本明細書に記載の工程以外の1つ以上の工程を備えてもよく、及び/又は記載の工程は、特に明記されていない限り、必要に応じて1つ以上の工程の順番を変えて行うこともできる。さらに、本明細書に記載の方法は必要に応じて、開始時に、アテローム切除システム10の動作中に、継続的に、所定の間隔で継続的に、及び/又は他の時間に繰り返されてもよい。
【0086】
当業者は、本開示が、本明細書で説明及び企図される特定の実施形態以外の様々な形態で明示され得ることを認識するであろう。例えば、本明細書で説明されるように、様々な実施形態は、様々な機能を実行するものとして説明される1つ以上のモジュールを含む。しかしながら、他の実施形態は、説明された機能を本明細書に説明されたものよりも多くのモジュールにわたって分割する追加のモジュールを含み得る。さらに、他の実施形態は、記載された機能をより少ないモジュールに統合することができる。
【0087】
すべてではない実施形態に関して様々な特徴を説明してきたが、本開示は、それらの特徴が任意の実施形態に含まれ得ることを企図している。さらに、本明細書に記載の実施形態は、記載された様々な特徴のいくつかの組み合わせを省略しているかもしれないが、この開示は、記載された各特徴の任意の組み合わせを含む実施形態を想定している。したがって、添付の特許請求の範囲に記載されている本開示の範囲及び精神から逸脱することなく、形態及び詳細の変更を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6