特許第6987286号(P6987286)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6987286不具合情報管理システム、不具合情報管理方法および情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6987286
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】不具合情報管理システム、不具合情報管理方法および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20211213BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20211213BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20211213BHJP
【FI】
   G05B23/02 302Z
   G05B19/418 Z
   G05B23/02 T
   G06Q50/04
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2021-83839(P2021-83839)
(22)【出願日】2021年5月18日
【審査請求日】2021年5月18日
(31)【優先権主張番号】202011567178.6
(32)【優先日】2020年12月25日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】林 英松
(72)【発明者】
【氏名】大江 慎一
(72)【発明者】
【氏名】堀田 正人
【審査官】 山村 秀政
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−212560(JP,A)
【文献】 特開2018−073101(JP,A)
【文献】 特開2010−061569(JP,A)
【文献】 特開平05−225196(JP,A)
【文献】 特開2013−139671(JP,A)
【文献】 特開2011−198021(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/190434(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と通信可能な情報処理装置を備え、製品の製造現場における不具合についての情報を管理する不具合情報管理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記携帯端末の使用により前記製造現場の状況が報告される際に前記携帯端末から送信される音声データを含む不具合状況情報を取得する取得部と
前記音声データに示される音声を認識することによって前記音声データをテキストデータへ変換する変換部と、
記テキストデータ解析処理を行い、解析結果を出力する解析部と、
不具合を特定するための不具合特定情報が付記された記憶領域に前記不具合状況情報を格納し、かつ、格納されている前記不具合状況情報についての前記解析結果を前記不具合特定情報に対応付けた管理リストを保持する格納部と、
前記管理リストに前記解析結果を書き込むことによって前記解析結果を保管する保管部と、を備え、
前記管理リストには、不具合の状況を表す項目である複数の管理項目があらかじめ設定されており、
前記解析部は、複数の前記管理項目の各々について前記管理項目に該当するワードを前記テキストデータから抽出する前記解析処理を行い、
前記保管部は、抽出された前記ワードを、前記管理項目ごとに対応付けて前記管理リストに書き込むことによって、前記管理リストに前記解析結果を反映させることを特徴とする不具合情報管理システム。
【請求項2】
前記取得部は、画像データを含む前記不具合状況情報を取得し、
前記格納部は、前記音声データおよび前記画像データを含む前記不具合状況情報を格納することを特徴とする請求項1に記載の不具合情報管理システム。
【請求項3】
前記取得部は、前記携帯端末から送信される前記画像データを取得することを特徴とする請求項2に記載の不具合情報管理システム。
【請求項4】
前記取得部は、前記製造現場に設置されているカメラから送信される前記画像データを取得することを特徴とする請求項2に記載の不具合情報管理システム。
【請求項5】
前記音声データと前記画像データとを、前記不具合特定情報により互いに紐付けて管理することを特徴とする請求項2から4のいずれか1つに記載の不具合情報管理システム。
【請求項6】
前記情報処理装置は、前記管理項目についての状況報告を誘導するための情報を前記携帯端末へ送信することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の不具合情報管理システム。
【請求項7】
前記情報処理装置は、前記情報処理装置と通信可能な管理端末へ前記解析結果を送信することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の不具合情報管理システム。
【請求項8】
前記製造現場にて作業する作業者の生産実績を管理する生産実績管理装置を備え、
前記情報処理装置は、前記解析結果を前記生産実績管理装置へ送信し、
前記生産実績管理装置は、前記解析結果に基づいて、前記作業者の前記生産実績を修正することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の不具合情報管理システム。
【請求項9】
前記情報処理装置は、前記製造現場において不具合が検知された場合に、不具合の状況についての調査の指示を前記携帯端末へ送信することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の不具合情報管理システム。
【請求項10】
携帯端末と通信可能な情報処理装置を備える不具合情報管理システムが製品の製造現場における不具合についての情報を管理する不具合情報管理方法であって、
前記携帯端末の使用により前記製造現場の状況が報告される際に前記携帯端末から送信される音声データを含む不具合状況情報を前記情報処理装置が取得するステップと、
前記情報処理装置が、不具合を特定するための不具合特定情報が付記された記憶領域に前記不具合状況情報を格納するステップと、
前記情報処理装置が、前記音声データに示される音声を認識することによって前記音声データをテキストデータへ変換するステップと、
前記情報処理装置が、不具合の状況を表す項目であってあらかじめ設定された管理項目に該当するワードを前記テキストデータから抽出する解析処理を行い、解析結果を出力するステップと、
前記情報処理装置が、格納されている前記不具合状況情報についての前記解析結果を前記不具合特定情報に対応付けた管理リストに前記解析結果を書き込むことによって前記解析結果を保管するステップと、を含み、
前記管理リストには、不具合の状況を表す項目である複数の前記管理項目があらかじめ設定されており、
前記情報処理装置は
複数の前記管理項目の各々について前記管理項目に該当するワードを前記テキストデータから抽出する前記解析処理を行い、
抽出された前記ワードを、前記管理項目ごとに対応付けて前記管理リストに書き込むことによって、前記管理リストに前記解析結果を反映させることを特徴とする不具合情報管理方法。
【請求項11】
携帯端末と通信可能であって、製品の製造現場における不具合についての情報を管理するための情報処理装置であって、
前記携帯端末の使用により前記製造現場の状況が報告される際に前記携帯端末から送信される音声データを含む不具合状況情報を取得する取得部と
前記音声データに示される音声を認識することによって前記音声データをテキストデータへ変換する変換部と、
記テキストデータ解析処理を行い、解析結果を出力する解析部と、
不具合を特定するための不具合特定情報が付記された記憶領域に前記不具合状況情報を格納し、かつ、格納されている前記不具合状況情報についての前記解析結果を前記不具合特定情報に対応付けた管理リストを保持する格納部と、
前記管理リストに前記解析結果を書き込むことによって前記解析結果を保管する保管部と、を備え、
前記管理リストには、不具合の状況を表す項目である複数の管理項目があらかじめ設定されており、
前記解析部は、複数の前記管理項目の各々について前記管理項目に該当するワードを前記テキストデータから抽出する前記解析処理を行い、
前記保管部は、抽出された前記ワードを、前記管理項目ごとに対応付けて前記管理リストに書き込むことによって、前記管理リストに前記解析結果を反映させることを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製品の製造現場における不具合についての情報を管理する不具合情報管理システム、不具合情報管理方法および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造現場における設備の障害、または製造された製品の不良といった不具合が発生した場合に、製造現場の作業者が、報告用の用紙等への記入または管理システムへの手入力によって、製造現場の管理者へ不具合の状況を報告することがある。かかる状況報告と併せて、作業者が不具合の状況を撮影する場合もある。手書きまたは手入力による状況報告は、手間がかかるものであって、作業者の負担が大きいという問題があった。作業者の負担が大きいために、報告の遅れまたは報告漏れが生じ易いという問題もあった。
【0003】
製品の生産実績によって作業者に報酬が支払われる場合には、不具合を報告することは手間がかかる上に報酬につながらないといったことから、作業者によって積極的に不具合が報告されにくいという問題があった。このようなことから、製造現場の管理者は、製造現場の状況を改善するために、情報を収集し収集された情報を管理する場合において、不具合の状況を把握するために必要な情報を入手することが困難であった。
【0004】
特許文献1には、五感に基づく情報である挙動情報を取得して、プラントにおける異常の予兆を検知するシステムが開示されている。特許文献1のシステムは、点検員が携帯する点検端末装置と、点検端末装置と通信可能な監視端末装置とを備える。特許文献1によると、点検端末装置は、点検員の会話を録音することによって、挙動情報である音声データを取得し、監視端末装置へ音声データを送信する。監視端末装置は、音声データを受信すると、音声データを再生してプラントの責任者に聞かせる。特許文献1の技術によると、状況報告における点検員の負担を小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−212560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1にかかる従来の技術によると、監視端末装置によって取得される挙動情報は、プラントのうち点検員によって特定された箇所における異常の予兆を検知するためだけに使用される。特許文献1のシステムでは、取得された挙動情報が事後分析し易い態様で整理および格納されないため、特許文献1の技術が製造現場に適用されたとしても、製造現場から得られた情報を分析することによる製造現場の改善が困難であった。このように、従来の技術によると、製造現場の状況を報告するための手間を低減させることと、製造現場における不具合についての情報を、容易に分析可能に整理して管理することとの両立が困難であるという問題があった。
【0007】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、製造現場の状況を報告するための手間を低減でき、製造現場における不具合についての情報を、容易に分析可能に整理して管理することができる不具合情報管理システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる不具合情報管理システムは、携帯端末と通信可能な情報処理装置を備え、製品の製造現場における不具合についての情報を管理する。情報処理装置は、携帯端末の使用により製造現場の状況が報告される際に携帯端末から送信される音声データを含む不具合状況情報を取得する取得部と、音声データに示される音声を認識することによって音声データをテキストデータへ変換する変換部とを備える。情報処理装置は、テキストデータ解析処理を行い、解析結果を出力する解析部と、不具合を特定するための不具合特定情報が付記された記憶領域に不具合状況情報を格納し、かつ、格納されている不具合状況情報についての解析結果を不具合特定情報に対応付けた管理リストを保持する格納部と、管理リストに解析結果を書き込むことによって解析結果を保管する保管部とを備える。管理リストには、不具合の状況を表す項目である複数の管理項目があらかじめ設定されている。解析部は、複数の管理項目の各々について管理項目に該当するワードをテキストデータから抽出する解析処理を行う。保管部は、抽出されたワードを、管理項目ごとに対応付けて管理リストに書き込むことによって、管理リストに解析結果を反映させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示にかかる不具合情報管理システムは、製造現場の状況を報告するための手間を低減でき、製造現場における不具合についての情報を、容易に分析可能に整理して管理することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかる不具合情報管理システムの概略構成を示す図
図2】実施の形態1にかかる不具合情報管理システムの機能構成を示す図
図3】実施の形態1にかかる不具合情報管理システムにおけるテキストデータの解析について説明するための図
図4】実施の形態1にかかる不具合情報管理システムが保持する不具合状況管理リストの例を示す図
図5】実施の形態1にかかる不具合情報管理システムにおいて音声データと画像データとを互いに紐付けて管理するための処理について説明するための図
図6】実施の形態1にかかる不具合情報管理システムの動作手順を示すフローチャート
図7】実施の形態2にかかる不具合情報管理システムの概略構成を示す図
図8】実施の形態3にかかる不具合情報管理システムの概略構成を示す図
図9】実施の形態4にかかる不具合情報管理システムの概略構成を示す図
図10】実施の形態4にかかる不具合情報管理システムの機能構成を示す図
図11】実施の形態5にかかる不具合情報管理システムの概略構成を示す図
図12】実施の形態5にかかる不具合情報管理システムの生産実績管理装置による生産実績の管理について説明するための図
図13】実施の形態1から8にかかる不具合情報管理システムが有する管理サーバのハードウェア構成の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、実施の形態にかかる不具合情報管理システム、不具合情報管理方法および情報処理装置を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
実施の形態1.
実施の形態1にかかる不具合情報管理システムは、携帯端末に搭載される通話アプリの活用によって製造現場の情報を収集する。また、実施の形態1にかかる不具合情報管理システムは、収集された情報をデータベース化することによって、容易に分析可能な態様で情報を整理および格納する。製造現場の作業者は、通話アプリを起動して、製造現場における状況を話すことによって、音声による状況報告を行う。また、作業者は、携帯端末を用いて製造現場の状況を撮影し、得られた画像を、状況報告の際に送信する。不具合情報管理システムは、作業者による手書きまたは手入力が必要な場合と比較して、製造現場の状況を報告するための手間を低減できる。不具合情報管理システムは、収集された情報をデータベース化することによって、製造現場における不具合についての情報を、容易に分析可能に整理して管理することができる。
【0013】
図1は、実施の形態1にかかる不具合情報管理システム1の概略構成を示す図である。不具合情報管理システム1は、製品の製造現場における不具合についての情報を管理する。製造現場は、例えば、製品を製造する工場である。
【0014】
不具合情報管理システム1は、携帯端末2と、不具合情報管理サーバである管理サーバ3とを有する。管理サーバ3は、携帯端末2と通信可能な情報処理装置である。
【0015】
携帯端末2は、通話機能と撮影機能とを有する携帯可能な情報処理端末であって、例えばスマートフォンである。携帯端末2は、スマートフォン以外の移動体通信端末、またはタブレット端末などであっても良い。携帯端末2には、通話アプリがインストールされている。通話アプリとしては、コミュニケーションツールとして普及しているメッセンジャーアプリを使用することができる。
【0016】
管理サーバ3は、PC(Personal Computer)などのコンピュータシステムである。管理サーバ3は、製造現場における不具合についての情報の収集および管理と、情報の分析を行う。コンピュータシステムには、不具合情報管理プログラムがインストールされる。不具合情報管理プログラムは、製造現場における不具合についての情報を、管理サーバ3を使用して管理するためのプログラムである。
【0017】
工場の製造ライン5における設備の障害、または製造ライン5での作業によって製造された製品の不良といった不具合が発生した場合に、作業者4は、携帯端末2の通話アプリを起動させ、通話アプリの操作によって管理サーバ3にアクセスする。携帯端末2と管理サーバ3とは、無線通信を介して互いに接続される。無線通信としては、例えば、ローカル5G通信を用いることができる。
【0018】
携帯端末2は、作業者4による操作に従って、管理サーバ3へ不具合状況情報を送信する。作業者4は、管理サーバ3へ不具合状況情報を送信することによって、製造現場における不具合の状況を、製造現場の管理者へ報告する。不具合状況情報は、携帯端末2の使用により製造現場の状況が報告される際に携帯端末2から管理サーバ3へ送信される情報であって、状況の説明に供される情報である。
【0019】
実施の形態1において、不具合状況情報は、音声データと画像データとを含む。作業者4が、通話アプリを起動して製造現場の状況について話すと、作業者4が発した音声を示す音声データが携帯端末2から管理サーバ3へ送信される。また、作業者4が、携帯端末2を用いて製造現場の状況を撮影し、携帯端末2を操作することによって、撮影によって得られた画像データが携帯端末2から管理サーバ3へ送信される。携帯端末2は、通話アプリの画像送信機能によって、管理サーバ3へ画像データを送信することができる。画像データは、静止画データと動画データとのどちらであっても良い。
【0020】
携帯端末2は、不具合状況情報と併せて、不具合特定情報を管理サーバ3へ送信する。不具合特定情報は、作業者4によって報告される不具合を特定するための情報である。不具合特定情報の詳細については後述する。
【0021】
図2は、実施の形態1にかかる不具合情報管理システム1の機能構成を示す図である。携帯端末2は、作業者4による操作に従って、通話アプリ6を起動する。携帯端末2は、不具合状況情報を管理サーバ3へ送信する。
【0022】
管理サーバ3は、不具合状況情報を取得する取得部である入出力インタフェース部11と、不具合状況情報を格納する格納部である管理データベース12と、音声データをテキストデータへ変換する変換部である音声変換部13と、テキストデータの解析処理を行い、解析結果を出力する解析部である文字解析部14と、解析結果を保管する保管部である解析結果保管部15とを有する。また、管理サーバ3は、不具合特定情報を解析する不具合特定情報解析部16と、フォルダ作成管理部17とを有する。
【0023】
管理データベース12は、不具合状況情報を保持する不具合情報管理フォルダを有する。以下、不具合情報管理フォルダを、管理フォルダ18と称する。管理フォルダ18は、不具合状況情報に対応付けられて作成されるフォルダである。フォルダ作成管理部17は、管理フォルダ18を作成する。また、管理データベース12は、不具合状況管理リスト19を保持する。不具合状況管理リスト19は、保管されている不具合状況情報の解析結果を、不具合特定情報に対応付けたリストである。
【0024】
入出力インタフェース部11は、携帯端末2によって送信される不具合状況情報を受信する。また、入出力インタフェース部11は、不具合状況情報とともに送信される不具合特定情報を受信する。不具合特定情報には、通話アプリ6にログインしているユーザ名、送信日時の情報、携帯端末2の位置情報などが含まれる。
【0025】
不具合特定情報解析部16は、入出力インタフェース部11にて受信された不具合特定情報を解析する。不具合特定情報解析部16は、不具合の状況を報告した作業者4を特定するための情報として、ユーザ名すなわち作業者名を取得する。不具合特定情報解析部16は、不具合が報告された日時を特定するための情報として、送信日時の情報を取得する。不具合特定情報解析部16は、不具合が発生した場所を特定するための情報として、携帯端末2の位置情報を取得する。不具合特定情報解析部16は、フォルダ作成管理部17へ不具合特定情報を出力する。
【0026】
不具合特定情報解析部16は、作業者名または携帯端末2の位置情報を基に、不具合が発生した製造ライン5または設備を特定する。不具合特定情報解析部16は、作業者名から製造ライン5を特定する場合、生産スケジュール情報を取得し、生産スケジュール情報と作業者名とに基づいて、当該作業者4が担当する製造ライン5を特定する。生産スケジュール情報は、生産に必要な作業に対し、作業を実施する日時と使用する資源との割り当てを示した情報である。不具合特定情報解析部16は、携帯端末2の位置情報から不具合の発生場所を推定する。不具合特定情報解析部16は、生産予定の製品についての情報である製品情報が生産スケジュール情報に含まれる場合、製品情報に基づいて、不具合が発生した製品を特定しても良い。
【0027】
不具合特定情報解析部16は、不具合特定情報として、携帯端末2の加速度情報を携帯端末2から取得しても良い。不具合特定情報解析部16は、加速度情報を基に携帯端末2が移動した方角を求め、携帯端末2が移動した方角と携帯端末2の位置情報とを基に、不具合が発生した場所を特定しても良い。
【0028】
フォルダ作成管理部17は、不具合特定情報解析部16から不具合特定情報を受け取ると、管理データベース12内に管理フォルダ18を作成する。フォルダ作成管理部17は、不具合特定情報である、作業者名と日時の情報と位置情報とを、作成された管理フォルダ18に付記する。具体的には、フォルダ作成管理部17は、管理データベース12の記憶領域の一部を管理フォルダ18の領域として確保し、確保された領域に不具合特定情報を付記する。管理データベース12は、不具合特定情報が付記された記憶領域に不具合状況情報を格納する。
【0029】
また、フォルダ作成管理部17は、管理フォルダ18に付記された不具合特定情報と同じ不具合特定情報を不具合状況管理リスト19に書き込む。これにより、管理サーバ3は、管理フォルダ18に付記された不具合特定情報の内容を、不具合状況管理リスト19に反映させる。
【0030】
入出力インタフェース部11は、作成された管理フォルダ18に、不具合状況情報である音声データと画像データとを保管する。なお、実施の形態1において、携帯端末2の使用により作業者4から報告される不具合状況情報は、製造ライン5、設備、または製造される製品の不具合についての情報に限られない。不具合状況情報には、作業または判断のしづらさといった、作業者4の気付きに関する情報が含まれても良い。不具合状況情報は、音声データまたは画像データを送信することによって状況を伝えることが可能な情報であって、製造現場の状況の改善につながり得る情報であれば良い。
【0031】
スマートフォンなどの携帯端末2を用いて音声と画像とによって不具合の状況を報告可能であることによって、作業者4による状況を報告するための作業が簡略化可能となる。また、報告に対する心理的な負担を低減することができる。これにより、不具合情報管理システム1は、製造現場の状況の改善につながり得る情報を容易に収集することができる。
【0032】
音声変換部13は、管理フォルダ18に格納された音声データ、または入出力インタフェース部11から取得された音声データを、テキストデータへ変換する。音声変換部13は、音声データを言語データと組み合わせることによって、音声データをテキストデータへ変換する。音声変換部13は、音声認識辞書を有しており、音声データを音響分析した結果と音声認識辞書とを照らし合わせることにより、音声データの音声を認識する。音声変換部13は、認識された音声をテキストに変えることによって、テキストデータを出力する。音声認識辞書の図示は省略する。このように、音声変換部13は、音声データに示される音声を認識することによって音声データをテキストデータへ変換する。
【0033】
音声認識辞書は、音響モデル、言語モデルおよび発音辞書から構成されている。音響モデルは、音の周波数成分または音の時間変化を分析することによって、その音声が表す文字を判別するためのモデルである。例えば、音響モデルは、「こんにちは」の各文字における音の特徴を数値化したものである。言語モデルは、文字列または単語列が日本語として適切か否かを評価するためのモデルであって、日本語テキストを集めて統計処理したものである。発音辞書は、言語モデルの単語と音響モデルとを結びつけるための辞書である。すなわち、音声変換部13は、音響モデルに基づいて音声データの音声を分析した後、発音辞書を用いて単語発音を構成する。また、音声変換部13は、単語発音の並びを言語モデルに基づいて評価する。これにより、音声変換部13は、音声データからテキストデータへの高精度な変換が可能となる。
【0034】
音声変換部13は、文字解析部14へテキストデータを出力する。文字解析部14は、不具合の状況を表す項目であってあらかじめ設定された管理項目に該当するワードをテキストデータから抽出する解析処理を行う。文字解析部14は、解析結果であるワードを解析結果保管部15へ出力する。
【0035】
図3は、実施の形態1にかかる不具合情報管理システム1におけるテキストデータの解析について説明するための図である。「不良分類」、「不良現象」、「不良箇所」および「詳細内容」の各項目は、あらかじめ設定された管理項目の例である。図3には、アジャスタのいくつかの箇所においてネジの締めが緩いという製品の不具合があった場合において、文字解析部14によって抽出されるワードの例を示している。
【0036】
文字解析部14は、各管理項目に該当するワードをあらかじめ学習しておき、当該ワードをテキストデータから抽出する。図3において、例えば「作業不良」は、「不良分類」に該当するワードである。文字解析部14は、管理項目に該当するワードをテキストデータから抽出することによって、テキストデータを、不具合の状況を管理するために必要な情報へ分解していく。
【0037】
文字解析部14は、管理項目ごとのテキストマイニングを実施することによって、管理項目に関係するワードを抽出する。実施の形態1において、文字解析部14は、センチメント分析によってテキストマイニングを実施する。これに限られず、文字解析部14は、対応分析または主成分分析によってテキストマイニングを実施しても良い。
【0038】
解析結果保管部15は、文字解析部14から解析結果を取得すると、不具合状況管理リスト19に解析結果を書き込むことによって、解析結果を管理データベース12に保管する。これにより、管理サーバ3は、解析結果を不具合状況管理リスト19に反映させる。
【0039】
図4は、実施の形態1にかかる不具合情報管理システム1が保持する不具合状況管理リスト19の例を示す図である。「日時」、「報告者」および「不具合発生場所」の各項目は、不具合特定情報の項目である。不具合状況管理リスト19において、「日時」の欄には、不具合が報告された日時の情報が書き込まれる。「報告者」の欄には、作業者名が書き込まれる。「不具合発生場所」の欄には、不具合の発生場所を示す情報が書き込まれる。「不具合発生場所」の欄には、不具合が発生した製造ライン5を示すライン名、製品のうち不具合が発生した部品を示す部品名、不具合が発生した設備を示す設備名などが書き込まれる。
【0040】
「不良分類」、「不良現象」、「不良箇所」および「詳細内容」の各項目は、管理項目である。不具合状況管理リスト19において、「不良分類」、「不良現象」、「不良箇所」および「詳細内容」の各欄には、文字解析部14から取得された解析結果が書き込まれる。
【0041】
「画像保管先」は、画像データが格納されている管理フォルダ18の保存場所を示す。「画像保管先」の欄には、保存場所を示す情報であるアドレスが書き込まれる。フォルダ作成管理部17は、管理フォルダ18を作成した際に、保存場所を示す情報を不具合状況管理リスト19に書き込む。これにより、管理サーバ3は、管理フォルダ18の保存場所を示す情報を、不具合状況管理リスト19に反映させる。
【0042】
実施の形態1において、不具合情報管理システム1は、通話アプリ6の通話機能を用いて送信された音声データを管理サーバ3へ保管する。また、不具合情報管理システム1は、撮影機能を用いた撮影によって携帯端末2が画像データを取得し、携帯端末2によって送信された画像データを管理サーバ3へ保管する。音声データと画像データとは、携帯端末2における互いに別の操作によって管理サーバ3へ保管される。このため、不具合情報管理システム1は、音声データと画像データとを互いに紐付けて管理する必要がある。
【0043】
図5は、実施の形態1にかかる不具合情報管理システム1において音声データと画像データとを互いに紐付けて管理するための処理について説明するための図である。携帯端末2は、状況報告のための最初のアクセスにおいて、音声データまたは画像データを管理サーバ3へ送信する。管理サーバ3は、最初のアクセスにおけるデータの解析によって得られた不具合特定情報を、作成された管理フォルダ18に付記する。
【0044】
管理サーバ3は、最初のアクセスよりも後に受信された音声データまたは画像データについて不具合特定情報を解析し、解析された不具合特定情報と同じ不具合特定情報が付記されている管理フォルダ18に、受信された音声データまたは画像データを格納する。これにより、不具合情報管理システム1は、携帯端末2から送信された音声データと画像データとを、不具合特定情報により互いに紐付けて管理する。
【0045】
なお、上記説明では、管理サーバ3は、最初のアクセスがあったときに管理フォルダ18を作成することとしたが、最初のアクセスよりも後に管理フォルダ18を作成しても良い。管理サーバ3は、最初のアクセスよりも後に管理フォルダ18を作成する場合、当該管理フォルダ18に付記された不具合特定情報と同じ情報によって紐付けられた音声データと画像データとを、当該管理フォルダ18に格納する。この場合も、不具合情報管理システム1は、音声データと画像データとを互いに紐付けて管理することができる。
【0046】
図6は、実施の形態1にかかる不具合情報管理システム1の動作手順を示すフローチャートである。ステップS1において、入出力インタフェース部11は、不具合状況情報である音声データおよび画像データと、不具合特定情報とを取得する。ステップS2において、不具合特定情報解析部16は、入出力インタフェース部11から取得された不具合特定情報を解析する。ステップS3において、フォルダ作成管理部17は、不具合特定情報が付記された管理フォルダ18を作成する。
【0047】
ステップS4において、管理データベース12は、作成された管理フォルダ18に不具合状況情報を格納する。ステップS5において、音声変換部13は、管理フォルダ18に格納された音声データ、または、入出力インタフェース部11から取得された音声データを、テキストデータへ変換する。音声変換部13は、文字解析部14へテキストデータを出力する。
【0048】
ステップS6において、文字解析部14は、テキストデータの解析処理を行い、解析結果保管部15へ解析結果を出力する。ステップS7において、解析結果保管部15は、不具合状況管理リスト19に解析結果を書き込むことによって、管理データベース12に解析結果を保管する。以上により、不具合情報管理システム1は、図6に示す手順による動作を終了する。
【0049】
実施の形態1によると、不具合情報管理システム1は、音声データを含む不具合状況情報を管理サーバ3が取得可能としたことで、製造現場の状況を報告するための手間を低減することができる。また、不具合情報管理システム1は、音声データをテキストデータへ変換し、管理項目に該当するワードをテキストデータから抽出する解析処理を行う。不具合情報管理システム1は、不具合状況管理リスト19において解析結果を保管する。これにより、不具合情報管理システム1は、製造現場における不具合についての情報を、容易に分析可能に整理して管理することができる。
【0050】
また、実施の形態1によると、作業者4による状況報告の負担が低減されることによって、製造現場の状況についての報告数が増加することが期待される。不具合情報管理システム1は、製造現場の状況についての多くの情報を取得できることによって、不具合についての高精度な分析が可能となる。また、不具合情報管理システム1は、不具合についての分析の容易化が可能となる。
【0051】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2にかかる不具合情報管理システム1Aの概略構成を示す図である。実施の形態2にかかる不具合情報管理システム1Aは、携帯端末2と、不具合情報管理サーバである管理サーバ3Aとを有する。不具合情報管理システム1Aは、カメラ7によって製造現場の状況を撮影し、カメラ7が画像データを管理サーバ3Aへ送信する。管理サーバ3Aは、カメラ7への指示機能を備える点が、図2に示す管理サーバ3とは異なる。実施の形態2では、上記の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1とは異なる構成について主に説明する。
【0052】
カメラ7は、製造現場である工場において、製造ライン5を撮影可能な位置に設置されている。工場には、複数のカメラ7が設置されても良い。以下の説明では、工場内の全ての製造ライン5を撮影可能に、工場内には複数のカメラ7が設置されているものとする。カメラ7は、各製造ライン5に設置されても良い。各カメラ7は、管理サーバ3Aへ画像データを送信する通信機能を備える。画像データは、静止画データと動画データとのどちらであっても良い。
【0053】
実施の形態2において、作業者4は、実施の形態1の場合と同様に、携帯端末2を使用して、音声による状況報告を行う。管理サーバ3Aは、携帯端末2からのアクセスを受けると、状況報告があった製造ライン5を特定する。管理サーバ3Aは、送信元である携帯端末2を所持する作業者4を特定し、当該作業者4が担当している製造ライン5を特定することによって、状況報告があった製造ライン5を特定する。管理サーバ3Aは、特定された製造ライン5に設置されているカメラ7に撮影を指示する。カメラ7は、管理サーバ3Aによる指示に従って製造ライン5を撮影し、画像データを管理サーバ3Aへ送信する。なお、管理サーバ3Aは、送信元である携帯端末2の位置を特定し、特定された位置から最も近い位置のカメラ7に撮影を指示しても良い。
【0054】
このようにして、管理サーバ3Aは、不具合状況情報である音声データと画像データとを取得する。不具合情報管理システム1Aは、携帯端末2から送信された音声データとカメラ7から送信された画像データとを、実施の形態1の場合と同様に、互いに紐付けて管理する。
【0055】
実施の形態2によると、不具合情報管理システム1Aは、作業者4が製造現場を撮影しなくても、画像データを取得することができる。不具合情報管理システム1Aは、作業者4による状況を報告するための作業をさらに簡略化できる。
【0056】
なお、カメラ7による撮影は、管理サーバ3Aからの指示を受けることによる場合に限られない。携帯端末2から管理サーバ3へのアクセスをカメラ7が検知し、当該アクセスをトリガとしてカメラ7が撮影を行っても良い。カメラ7は、携帯端末2とのローカル通信によって、携帯端末2から管理サーバ3へのアクセスを検知することができる。
【0057】
実施の形態3.
図8は、実施の形態3にかかる不具合情報管理システム1Bの概略構成を示す図である。実施の形態3にかかる不具合情報管理システム1Bは、携帯端末2と、不具合情報管理サーバである管理サーバ3Bとを有する。管理サーバ3Bは、管理項目について状況報告を誘導するための情報を携帯端末2へ送信する。実施の形態3では、上記の実施の形態1または2と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1または2とは異なる構成について主に説明する。
【0058】
管理サーバ3Bは、携帯端末2からのアクセスを受けると、各管理項目についての質問事項を携帯端末2へ送信する。当該質問事項は、管理項目についての状況報告を誘導するための情報である。通話アプリ6は、管理サーバ3Bからの情報を受信すると、受信された情報の内容を表す音声を携帯端末2に出力させる。携帯端末2は、「不良分類は何ですか?」または「どのような不良現象ですか?」といった、質問の音声を出力する。
【0059】
管理サーバ3Bは、通話アプリ6を介して、不具合管理に必要な管理項目についての状況を、質問形式で作業者4に確認する。これにより、不具合情報管理システム1Bは、不具合状況情報のヒアリング漏れを低減できる。不具合情報管理システム1Bは、管理項目についての情報に限定して音声データを分析できるため、分析精度を向上させることができる。
【0060】
通話アプリ6は、管理サーバ3Bからの指示に従って作業者4に質問し、質問に対する回答である音声データを管理サーバ3Bへ送信する。図2に示すフォルダ作成管理部17は、質問事項のデータと回答である音声データとを紐付けて、管理フォルダ18に格納する。図2に示す音声変換部13は、管理フォルダ18から質問ごとに音声データを取得し、取得された音声データをテキストデータへ変換する。図2に示す文字解析部14は、管理項目に該当するワードをテキストデータから抽出する解析処理を行う。
【0061】
実施の形態3では、管理サーバ3Bが質問に応じた音声データを取得するため、音声変換部13および文字解析部14は、質問ごとに、質問に応じた内容に絞った学習が可能である。質問に応じた音声データが取得されることにより、音声認識辞書の語数を限定できる。これにより、管理サーバ3Bは、簡単なアルゴリズムを用いて精度良く、不具合管理において必要な情報を抽出することができる。
【0062】
解析結果保管部15は、文字解析部14から解析結果を取得すると、不具合状況管理リスト19に解析結果を書き込むことによって、解析結果を管理データベース12に保管する。これにより、管理サーバ3Bは、解析結果を不具合状況管理リスト19に反映させる。なお、不具合情報管理システム1Bは、実施の形態1の場合と同様に、携帯端末2により送信される画像データを取得する。不具合情報管理システム1Bは、実施の形態2の場合と同様に、カメラ7により送信される画像データを取得しても良い。
【0063】
実施の形態4.
図9は、実施の形態4にかかる不具合情報管理システム1Cの概略構成を示す図である。実施の形態4にかかる不具合情報管理システム1Cは、携帯端末2と、不具合情報管理サーバである管理サーバ3Cとを有する。管理サーバ3Cは、管理サーバ3Cと通信可能な管理端末8へ解析結果を送信する。実施の形態4では、上記の実施の形態1から3と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1から3とは異なる構成について主に説明する。
【0064】
管理端末8は、製造現場の保守部門によって運用される端末装置である。管理端末8は、PCなどのコンピュータシステムである。管理端末8は、スマートフォンなどの、携帯可能な情報処理端末であっても良い。管理サーバ3Cによる解析結果は、管理端末8へリアルタイムに送信される。
【0065】
図10は、実施の形態4にかかる不具合情報管理システム1Cの機能構成を示す図である。管理サーバ3Cは、図2に示す管理サーバ3と同様の機能構成と、送信処理部20とを有する。
【0066】
解析結果保管部15は、文字解析部14から解析結果を取得すると、不具合状況管理リスト19と送信処理部20とへ解析結果を出力する。送信処理部20は、不具合情報管理システム1Cの外部への状況報告のために、得られた解析結果を加工する。例えば、送信処理部20は、解析結果のデータ形式を、管理端末8において閲覧可能な形式へ変更する。また、送信処理部20は、解析結果を、報告用としてあらかじめ決められた表現に加工する。このように、送信処理部20は、解析結果を加工することによって、不具合の状況を報告するための情報である不具合報告情報を生成する。送信処理部20は、不具合報告情報を入出力インタフェース部11へ出力する。入出力インタフェース部11は、不具合報告情報を管理端末8へ送信する。
【0067】
なお、送信処理部20は、画像データの保管先である管理フォルダ18のアドレス、または、音声データの保管先である管理フォルダ18のアドレスを、不具合報告情報に添付しても良い。送信処理部20は、管理フォルダ18に保管されている画像データを、不具合報告情報に添付しても良い。
【0068】
管理端末8は、不具合報告情報を受信すると、不具合報告情報の内容を管理端末8の表示部において表示する。管理端末8は、必要に応じて、不具合報告情報の内容を示す音声を、管理端末8の音声出力部により出力しても良い。表示部および音声出力部の図示は省略する。管理者は、表示部における表示を視認することにより、または管理端末8からの音声を聞くことによって、不具合報告情報の内容を確認する。
【0069】
管理端末8は、管理フォルダ18のアドレスが不具合報告情報に添付されている場合に、表示部にアドレスを表示することによって、管理フォルダ18へのアクセスのための操作を受け付けても良い。アドレスがクリックされることによって、管理端末8は、管理フォルダ18内の画像データまたは音声データを管理データベース12から読み出す。管理端末8は、画像データを読み出すことによって、表示部にて画像を表示する。管理端末8は、音声データを読み出すことによって、音声出力部から音声を出力する。これにより、不具合情報管理システム1Cは、製造現場の状況を管理者に伝達することができる。
【0070】
実施の形態5.
図11は、実施の形態5にかかる不具合情報管理システム1Dの概略構成を示す図である。実施の形態5にかかる不具合情報管理システム1Dは、携帯端末2と、不具合情報管理サーバである管理サーバ3Dと、作業者4の生産実績を管理する生産実績管理装置9とを有する。実施の形態5では、上記の実施の形態1から4と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1から4とは異なる構成について主に説明する。
【0071】
生産実績管理装置9は、管理サーバ3Dと通信可能な装置であって、PCなどのコンピュータシステムである。生産実績管理装置9は、製造ライン5における生産実績を収集する。生産実績管理装置9は、良品の個数と不良品の個数とをカウントする。生産実績管理装置9は、良品の個数に基づく生産実績を基に、作業者4の生産実績を算出する。生産実績管理装置9は、製造現場の各作業者4について、生産実績を個別に管理する。
【0072】
作業者4は、製造ライン5、設備、または製品の不具合が発生した場合、携帯端末2を用いて不具合の状況を報告する。携帯端末2から送信された不具合状況情報を管理サーバ3Dが解析した結果、不良品が生じた原因が設備または設計の問題であること、すなわち作業者4に起因しない問題であることが判明したとする。この場合、管理サーバ3Dは、作業者4に起因しない問題によって不良品が発生したことを生産実績管理装置9へ通知するとともに、該当する不良品を示す情報を生産実績管理装置9へ送信する。このように、管理サーバ3Dは、不具合状況情報の解析結果を生産実績管理装置9へ送信する。
【0073】
図12は、実施の形態5にかかる不具合情報管理システム1Dの生産実績管理装置9による生産実績の管理について説明するための図である。図12において、「P1」は、良品の個数に基づく生産実績とする。「P2」は、作業者4に起因しない問題によって発生した不良品の個数に基づく生産実績とする。生産実績管理装置9は、良品の個数に基づく「P1」に、作業者4に起因しない不良品の個数に基づく「P2」を加算する。生産実績管理装置9は、「P1+P2」を作業者4の生産実績とみなして、作業者4の生産実績を管理する。このように、生産実績管理装置9は、管理サーバ3Dから受信した解析結果に基づいて、作業者4の生産実績を修正する。
【0074】
生産実績管理装置9は、作業者4に起因する不良品についての生産実績を作業者4の生産実績から除外するとともに、作業者4に起因しない不良品についての生産実績を、作業者4の生産実績に含めることができる。不良品が生じた原因が設備または設計の問題であった場合に、当該不良品についての生産実績が作業者4の生産実績からは除外されないことから、不具合情報管理システム1Dは、作業者4が不具合の状況を報告することに対するモチベーションの向上を図ることができる。また、工場の経営者は、作業者4に起因する不良品が生じた場合は、当該不良品についての作業実績に基づいた対価の支払いを不要とすることができる。
【0075】
実施の形態6.
実施の形態5では、作業者4が、自身の作業実績において不良品が生じる不具合について、不具合の状況を報告する場合について説明した。すなわち、実施の形態5では、作業者4が、自身の作業実績についての報告を行う。実施の形態6は、作業者4が、他の作業者4の作業実績について報告するための機能を有する点が、実施の形態5とは異なる。実施の形態6にかかる不具合情報管理システム1Dは、実施の形態5にかかる不具合情報管理システム1Dと同様の構成を有する。実施の形態6では、上記の実施の形態5とは異なる動作について主に説明する。
【0076】
他の作業者4の作業実績について報告する場合、作業者4は、報告の対象である作業を特定するための情報として、自己の氏名ではなく当該他の作業者4の氏名を、携帯端末2の通話アプリ6に入力する。作業者4は、当該他の作業者4が作業している製造ライン5の名称を、通話アプリ6に入力する。作業者4は、報告者の氏名として、自己の氏名を通話アプリ6に入力する。携帯端末2は、入力された情報を管理サーバ3Dへ送信する。また、携帯端末2は、上記実施の形態1から5の場合と同様に、不具合状況情報を管理サーバ3Dへ送信する。なお、管理サーバ3Dは、実施の形態2の場合と同様に、カメラ7により送信される画像データを取得しても良い。
【0077】
携帯端末2から送信された不具合状況情報を管理サーバ3Dが解析した結果、不良品が生じた原因が設備または設計の問題であること、すなわち作業者4に起因しない問題であることが判明したとする。この場合、管理サーバ3Dは、作業者4に起因しない問題によって不良品が発生したことを生産実績管理装置9へ通知するとともに、該当する不良品を示す情報を生産実績管理装置9へ送信する。
【0078】
生産実績管理装置9は、作業者4に起因しない問題によって発生した不良品の個数に基づく生産実績を、報告者である作業者4の生産実績に加える。不具合情報管理システム1Dは、作業者4に起因しない不良品の個数に基づく生産実績が報告者の生産実績に加算されることで、作業者4が不具合の状況を報告することに対するモチベーションの向上を図ることができる。なお、生産実績管理装置9は、管理サーバ3Dから送信される情報ではなく、携帯端末2から生産実績管理装置9へ直接送信される情報に基づいて、不良品についての生産実績を報告者の生産実績としてカウントしても良い。
【0079】
実施の形態6において、生産実績管理装置9は、不良品が生じた原因の如何に関わらず、不良品の個数に基づく生産実績を報告者の生産実績に加えることとしても良い。この場合も、不具合情報管理システム1Dは、作業者4が不具合の状況を報告することに対するモチベーションの向上を図ることができる。
【0080】
実施の形態7.
実施の形態5および6では、不良品についての生産実績を作業者4の生産実績に加える場合について説明した。実施の形態7では、生産実績管理装置9は、不良品についての生産実績に係数を乗じて、当該生産実績を作業者4の生産実績に加える。係数は、0より大きくかつ1未満の値であって、例えば0.5である。このように、生産実績管理装置9は、不良品についての生産実績を良品についての生産実績よりも減じて、不良品についての生産実績を作業者4の生産実績に加えることとしても良い。
【0081】
実施の形態8.
実施の形態1では、製造ライン5、設備、または製品の不具合を発見した作業者4が、携帯端末2を用いて管理サーバ3へアクセスすることによって、不具合についての情報が管理される。実施の形態8では、管理サーバ3は、製造現場において不具合が検知された場合に、不具合の状況についての調査の指示を携帯端末2へ送信する。
【0082】
製造ライン5の設備により不具合が検知された場合に、当該設備は、不具合が発生したことを示すエラー情報を管理サーバ3へ送信する。管理サーバ3は、エラー情報の送信元である当該設備から最も近くに居る作業者4、または、当該設備を含む製造ライン5で作業している作業者4に、不具合の状況についての調査を指示する。管理サーバ3は、作業者4が所持している携帯端末2へ、調査を指示するためのメッセージを送信する。指示を受けた作業者4は、実施の形態1の場合と同様に、不具合状況情報を管理サーバ3へ送信する。
【0083】
管理サーバ3は、携帯端末2に搭載されているGPS(Global Positioning System)機能の情報に基づいて、各携帯端末2の現在位置を把握する。管理サーバ3は、各携帯端末2の現在位置を把握することによって、複数の携帯端末2の中から最適な携帯端末2を選択して指示を送信することができる。
【0084】
実施の形態8の場合も、不具合情報管理システム1は、製造現場の状況を報告するための手間を低減することができる。なお、実施の形態2から7にかかる不具合情報管理システム1A,1B,1C,1Dにおいて、管理サーバ3A,3B,3C,3Dは、実施の形態8における管理サーバ3と同様に、作業者4に不具合の状況についての調査を指示することとしても良い。
【0085】
次に、実施の形態1から8にかかる管理サーバ3,3A,3B,3C,3Dのハードウェア構成について説明する。図13は、実施の形態1から8にかかる不具合情報管理システム1,1A,1B,1C,1Dが有する管理サーバ3,3A,3B,3C,3Dのハードウェア構成の例を示す図である。
【0086】
管理サーバ3,3A,3B,3C,3Dは、各種処理を実行する処理部であるプロセッサ31と、内蔵メモリであるメモリ32と、管理サーバ3,3A,3B,3C,3Dの外部の装置との通信を行う通信装置33と、情報を記憶する記憶装置34とを有する。
【0087】
プロセッサ31は、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ31は、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはDSP(Digital Signal Processor)であっても良い。メモリ32は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)またはEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。記憶装置34は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)である。
【0088】
製造現場における不具合についての情報を管理するための不具合情報管理プログラムは、記憶装置34に格納される。プロセッサ31は、記憶装置34に格納されている不具合情報管理プログラムをメモリ32に読み出して、読み出された不具合情報管理プログラムを実行する。通信装置33は、携帯端末2、管理端末8および生産実績管理装置9の各々との通信を行う。
【0089】
不具合情報管理プログラムは、コンピュータシステムによる読み取りが可能とされた記憶媒体に記憶されたものであっても良い。管理サーバ3,3A,3B,3C,3Dは、記憶媒体に記録された不具合情報管理プログラムをメモリ32へ格納しても良い。記憶媒体は、フレキシブルディスクである可搬型記憶媒体、あるいは半導体メモリであるフラッシュメモリであっても良い。不具合情報管理プログラムは、他のコンピュータあるいはサーバ装置からネットワークを介してコンピュータシステムへインストールされても良い。
【0090】
音声変換部13、文字解析部14、解析結果保管部15、不具合特定情報解析部16、フォルダ作成管理部17および送信処理部20の各機能は、プロセッサ31とソフトウェアの組み合わせによって実現される。当該各機能は、プロセッサ31およびファームウェアの組み合わせによって実現されても良く、プロセッサ31、ソフトウェアおよびファームウェアの組み合わせによって実現されても良い。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述され、記憶装置34に格納される。管理データベース12の機能は、記憶装置34の使用により実現される。入出力インタフェース部11の機能は、通信装置33の使用により実現される。管理端末8および生産実績管理装置9の各々は、図13に示すハードウェア構成と同様のハードウェア構成を備える。
【0091】
以上の各実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものである。各実施の形態の構成は、別の公知の技術と組み合わせることが可能である。各実施の形態の構成同士が適宜組み合わせられても良い。本開示の要旨を逸脱しない範囲で、各実施の形態の構成の一部を省略または変更することが可能である。
【符号の説明】
【0092】
1,1A,1B,1C,1D 不具合情報管理システム、2 携帯端末、3,3A,3B,3C,3D 管理サーバ、4 作業者、5 製造ライン、6 通話アプリ、7 カメラ、8 管理端末、9 生産実績管理装置、11 入出力インタフェース部、12 管理データベース、13 音声変換部、14 文字解析部、15 解析結果保管部、16 不具合特定情報解析部、17 フォルダ作成管理部、18 管理フォルダ、19 不具合状況管理リスト、20 送信処理部、31 プロセッサ、32 メモリ、33 通信装置、34 記憶装置。
【要約】
【課題】製造現場の状況を報告するための手間を低減でき、製造現場における不具合についての情報を、容易に分析可能に整理して管理することができる不具合情報管理システムを得ること。
【解決手段】不具合情報管理システム1の情報処理装置は、携帯端末2の使用により製造現場の状況が報告される際に携帯端末2から送信される音声データを含む不具合状況情報を取得する取得部と、不具合を特定するための不具合特定情報が付記された記憶領域に不具合状況情報を格納する格納部と、音声データに示される音声を認識することによって音声データをテキストデータへ変換する変換部と、不具合の状況を表す項目であってあらかじめ設定された管理項目に該当するワードをテキストデータから抽出する解析処理を行い、解析結果を出力する解析部と、不具合特定情報に管理項目が対応付けられた管理リストに解析結果を書き込むことによって解析結果を保管する保管部とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13