(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫には、冷蔵庫本体に形成された貯蔵室の開口を塞ぐ観音開き式の扉部を有する構成が知られている。観音開き式の扉部は、冷蔵室左扉及び冷蔵室右扉と、該扉部を閉じた際に、冷蔵室左扉と冷蔵室右扉との間に設けられた第1隙間部を塞ぐ仕切り部材と、を有している。冷蔵室左扉と冷蔵室右扉には、内側周縁に沿って、室内冷気の外部流出を防ぐ扉ガスケットが取り付けられている。仕切り部材は、例えば冷蔵室左扉にヒンジ固定されており、冷蔵室左扉の開閉動作に連動して回動する。また、仕切り部材は、外気と冷蔵室の内部との温度差によって表面に発生する露付きを防止するために、熱伝部材と熱伝部材を加熱するヒータ等の加熱部と、を有している。冷蔵庫は、設置される場所の室温及び湿度に合わせて加熱部による加熱を時間割合で変化させて表面温度を調節し、省エネ性を高めている。
【0003】
ところで、冷蔵庫は、仕切り部材をスムーズに回動させるために、仕切り部材と冷蔵室の天面及び底面との間に第2隙間部を設けている。そのため、冷蔵室左扉及び冷蔵室右扉の扉ガスケットには、該扉ガスケットの側面部から第1隙間部に向かって突き出し、仕切り部材の上方及び下方に設けた第2隙間部を冷蔵庫の外面側から塞ぐヒレ部が設けられている。左右のヒレ部は、冷蔵室左扉と冷蔵室右扉とを閉じた際に重なり合って隙間部を塞ぐ構成である。
【0004】
しかし、ヒレ部は、第2隙間部を通じて冷蔵室の奥側から吹き出される冷気に直接さらされているため、加熱部で加熱しても表面温度が上がり難く、露付きが発生しやすい。そのため、冷蔵庫は、加熱部への通電率をヒレ部の表面温度に基づいて決定することとなり、ヒレ部以外の部分において通電率を余計に掛けることになるので、省エネ性に劣ってしまうおそれがあった。
【0005】
例えば特許文献1には、観音開き式の左右扉部に取り付けられた扉ガスケットの表面に、扉ガスケットに比べて熱伝導率の高いアルミ等の材料を塗布又は蒸着等した冷蔵庫が開示されている。特許文献1の冷蔵庫では、熱伝導率の高い材料によって、冷蔵庫の温度低下による仕切り部材の温度低下を抑制でき、外気温度と仕切り部材との間の温度差を少なくして、仕切り部材に発生する露付きを抑制できる。また、仕切り部材の温度低下が抑制された分だけ、仕切り部材の内部に配設されたヒータによる消費電力の増大を抑制でき、ヒータへの入力電力を低減できるので、省エネ性を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略または簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ、及び配置等は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。
【0013】
実施の形態.
先ず、
図1〜
図4に基づいて、本実施の形態の冷蔵庫100の全体構造について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫を模式的に示した正面図である。
図2は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫の冷蔵室の内部構造を模式的に示した断面図である。
図3は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫の冷媒回路構成図である。
図4は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫の冷媒配管の配置図である。
【0014】
冷蔵庫100は、
図1及び
図2に示すように、前面に開口を有し、内部を複数の仕切り板で仕切られて複数段の貯蔵室が設けられた冷蔵庫本体1と、冷蔵庫本体1の正面に設けられ、各貯蔵室の開口を開閉自在に塞ぐ扉部とで構成されている。冷蔵庫本体1には、冷蔵庫100の内側である樹脂製の内箱10と、冷蔵庫100の外側である鋼板製の外箱11とで密封された空間が形成されている。内箱10と外箱11とで密閉された内部には、例えばウレタンフォームなどの発泡断熱材12が充填されている。
【0015】
冷蔵庫100の背面上部には、
図2に示すように、冷蔵庫100の動作を制御する制御部8が設けられている。この制御部8は、例えば、専用のハードウェア、またはメモリーに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう。)で構成されたものである。なお、制御部8を設ける箇所は、図示した形態に限定されない。
【0016】
複数段の貯蔵室は、一例として上から順に冷蔵室20、製氷室21及び小型冷凍室22、野菜室23、冷凍室24で構成されている。各貯蔵室は、設定可能な温度帯(設定温度帯)によって区別されており、例えば、冷蔵室20が約3℃、製氷室21、小型冷凍室22及び冷凍室24が約−12℃〜−18℃、野菜室23が約5℃に設定可能となっている。なお、複数段の貯蔵室の構成は、図示した構成に限定されない。また、各貯蔵室の設定温度もこれに限るものではなく、設置場所及び内容物に応じて適宜設定を変更してもよい。
【0017】
図1に示すように、冷蔵室20は、使用頻度が高く、使用者が腰を屈めずに出し入れができる最上段に配置されている。冷蔵室20の前面開口には、冷蔵室左扉2及び冷蔵室右扉3とで構成された観音開き式の扉部30が設けられている。冷蔵室左扉2及び冷蔵室右扉3は、それぞれ扉回転軸を支えるヒンジ部13により回転自在に軸支されている。冷蔵室左扉2と冷蔵室右扉3との境界には、冷蔵室左扉2と冷蔵室右扉3の開閉を可能とするために、第1隙間部S1が設けられている。また、冷蔵室左扉2と冷蔵室右扉3との間には、扉部30の開閉動作に連動して回動し、第1隙間部S1を冷蔵室20側から閉塞する仕切り部材7が設けられている。
【0018】
また、
図2に示すように、冷蔵室20は、内部を冷蔵室棚20aで区画して複数の貯蔵空間が形成されており、貯蔵物の収納効率を高めた構成とされている。冷蔵室20の背面側には、複数の吹出口17aを有する風路部品17を介して風路25が形成されている。複数の吹出口17aは、冷蔵室棚20aで区画された各貯蔵空間に対応させて形成されている。風路25は、バッフル18aを有するダンパー装置18を介して、冷気を生成する冷却器室に連通している。因みに、
図2に示した矢印X1は、冷蔵室20の天井からの熱漏洩を示している。また、矢印X2〜X6は、冷蔵室20の内奥に設置された風路部品17の吹出口17aから吹出される風量を示している。
【0019】
また、冷蔵庫100には、
図1に示すように、設置される環境に合わせて最適な運転を実現させるために、外気温度を検出する外気温度センサ14と、外気湿度を検出する外気湿度センサ15と、が設けられている。外気温度センサ14及び外気湿度センサ15は、冷蔵室左扉2の上面であってヒンジ部13が設けられた位置に設けられている。なお、外気温度センサ14は、外気温度を検出することができれば、冷蔵室左扉2の上面に限定されず、他の位置でもよい。また、外気湿度センサ15も、外気湿度を検出することができれば、冷蔵室左扉2の上面に限定されず、他の位置でもよい。但し、冷蔵庫100の運転による発熱として、例えば外箱11の内面にアルミテープ等で貼り付けて固定された凝縮配管103〜106等(
図4を参照)の発熱に影響されない位置に、外気温度センサ14及び外気湿度センサ15を設置することが望ましい。外気温度センサ14及び外気湿度センサ15は、冷蔵室左扉2の上面であってヒンジ部13が設けられた位置に設置されることで、前記の凝縮配管103〜106等から距離を設けることができ、発熱の影響を受け難くなる。
【0020】
また、
図2に示すように、冷蔵室20の内部には、冷蔵室20内の温度を検出する冷蔵室温度センサ16が風路部品17の表面に設置されている。冷蔵室温度センサ16は、冷蔵室20内の温度をおよそ検出できれば、どの位置に設置してもよい。制御部8は、冷蔵室温度センサ16が検出した温度に基づいて、ダンパー装置18のバッフル18aを制御し、冷蔵室20へ冷気の送風又は遮断を行う。また、制御部8は、冷蔵室温度センサ16が検出した温度に基づいて、温度補償用で冷蔵室20に設置した図示省略のヒータへ通電を行う。
【0021】
図1に示すように、製氷室21の前面開口には、引き出し式の製氷室扉31が設けられている。小型冷凍室22の前面開口には、引き出し式の小型冷凍室扉32が設けられている。野菜室23の前面開口には、引き出し式の野菜室扉33が設けられている。また、冷凍室24の前面開口には、引き出し式の冷凍室扉34が設けられている。なお、図示することは省略したが、製氷室扉31、小型冷凍室扉32、野菜室扉33及び冷凍室扉34には、室内冷気の外部流出を防ぐ扉ガスケットが、内側周縁に沿って取り付けられている。
【0022】
冷蔵庫100は、
図3及び
図4に示すように、冷媒回路の構成要素を吸入配管112で環状に接続し、冷媒を封入して冷却運転を行う構成である。
図3及び
図4に示すように、冷蔵庫100の冷媒回路の構成要素は、圧縮機101、フィンチューブ式の凝縮器102、冷蔵庫100の左側側面に設けられた凝縮配管103、冷蔵庫100の天井に設けられた凝縮配管104、冷蔵庫100の背面側に設けられた凝縮配管105、冷蔵庫100の右側側面に設けられた凝縮配管106、露付き防止配管107、ドライヤ108、毛細管109、冷却器110、及びマフラー111であり、これらが吸入配管112で接続されている。図中の矢印は、冷媒の流れ方向を示している。圧縮機101、凝縮器102、及びドライヤ108は、野菜室23の背面側に設けられた機械室26に設置されている。毛細管109、冷却器110、及びマフラー111は、冷蔵庫100の内部に設けられた空間27に配置されている。天井に設けられた凝縮配管104は、左側側面に設けられた凝縮配管103から天井へ延出して繋げてもよいし、右側側面に設けられた凝縮配管106から繋げてもよい。凝縮配管103〜106は、外箱11の内面側にアルミテープ等で固定されている。また、図示することは省略したが、冷蔵庫100には、圧縮機101及び凝縮器102を冷却する冷却ファンが機械室26に設けられ、冷気を循環させる冷却ファンが冷却器110の上方に設けられている。なお、毛細管109は、冷媒の流れ方向において、凝縮配管103〜106を経過した後に、2本設置してもよい。この場合、ドライヤ108と2本の毛細管109との間に、3方弁を設置する。また、冷却器110は、複数台設置してもよい。更に、左側側面に設けられた凝縮配管103及び右側側面に設けられた凝縮配管106だけで凝縮能力が稼げることができれば、凝縮器102、天井面10aに設けられた凝縮配管104、及び背面側に設けられた凝縮配管105等は設けなくてよい。
【0023】
次に、本実施の形態における冷蔵室20の構造及び冷蔵室左扉2の構造を
図5〜
図10に基づいて詳細に説明する。
図5は、
図1に示したA部であって、冷蔵室左扉を閉じて冷蔵室右扉を開いた状態を示した斜視図である。
図6は、
図1に示したA部におけるVI−VI線矢視であって、冷蔵庫の前面側部分のみを示した断面図である。
図7は、
図6に示したVII−VII線矢視断面図である。
図8は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫の凹部を示した説明図である。
図9は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫の仕切り部材を分解して示した斜視図である。
図10は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫の加熱部の構成を示した説明図である。なお、冷蔵室右扉3は、冷蔵室左扉2と同様の構成であるため、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0024】
図5〜
図8に示すように、冷蔵室20の天井面10aには、仕切り部材7を設けた位置に、上方に向かって凹ませた凹部28が形成されている。凹部28には、冷蔵室左扉2の開閉動作に連動させて仕切り部材7の回動をガイドするガイド突起部90を備えたガイド部材9が設けられている。凹部28は、
図6及び
図8に示すように、内箱10を上方に向かって凹ませて形成されており、外箱11の開口周縁の一部から延伸し、冷蔵室20に向かって折り曲げて形成された舌部19で覆われた構成である。舌部19には、ガイド部材9のガイド突起部90を通す貫通孔19aが形成されている。舌部19は、ネジ部材19bによって凹部28に固定されている。
【0025】
冷蔵室左扉2は、
図5〜
図7に示すように、板金で形成された扉外枠4と、合成樹脂製の内板5と、扉外枠4と内板5とで囲まれた内部に充填された発泡ウレタン等の断熱材(図示省略)と、内板5の周縁部に沿って設けられた扉ガスケット6と、を有している。また、上記したように、冷蔵室左扉2には、扉部30を閉じた際に、冷蔵室左扉2と冷蔵室右扉3との境界に設けられた第1隙間部S1を冷蔵室20側から閉塞し、冷蔵室20内と外気間の空気の流れを遮断する仕切り部材7が取り付けられている。冷蔵室左扉2及び冷蔵室右扉3は、扉を閉じた際に、扉ガスケット6が外箱11のフランジ部11a及び仕切り部材7に密着するように構成されている。仕切り部材7は、上端部が凹部28内に収まるように設けられ、回動性に支障がないように、舌部19との間に例えば2mm程度の第2隙間部S2が設けられている。つまり、仕切り部材7の上端部は、冷蔵室の天井面10aよりも上方であり、且つ凹部28の上端面よりも下方に配置されている。また、第2隙間部S2は、冷蔵室20の天井面10aよりも上方に位置している。つまり、第2隙間部S2と冷蔵室20の天井面10aとの間に段差29を形成することができる。
【0026】
冷蔵室左扉2の扉ガスケット6には、
図5〜
図7に示すように、冷蔵室右扉3に向かって突き出し、仕切り部材7と天井面10a及び床面との間にそれぞれ設けた第2隙間部S2を塞ぐヒレ部60が、上下に設けられている。一方、冷蔵室右扉3の扉ガスケット6にも、冷蔵室左扉2に向かって突き出し、仕切り部材7と冷蔵室20の天井面10aとの間にそれぞれ設けた第2隙間部S2を塞ぐヒレ部61が、上下に設けられている。左右のヒレ部60及び61は、冷蔵室左扉2と冷蔵室右扉3とを閉じた際に重なり合って、仕切り部材7と天井面10aとの間に設けた第2隙間部S2を塞ぐ構成である。なお、仕切り部材7と床面との間にも、隙間部を塞ぐヒレ部が設けられているが、その説明及び図示は省略する。
【0027】
仕切り部材7は、
図6及び
図9に示すように、凹形状の枠部材70と、枠部材70の開口面を塞ぐ前面板71と、前面板71を枠部材70に取り付けるためのカバー部材72と、前面板71を加熱する加熱部73と、枠部材70の内部に充填された断熱材74と、を有している。
【0028】
枠部材70は、合成樹脂製であり、
図5、
図6及び
図9に示すように、冷蔵室20の高さ方向に沿って縦長に形成されている。枠部材70の上端部には、上側ヒンジ部材75が取り付けられ、上側ヒンジ部材75の上から上側キャップ76が取り付けられている。上側キャップ76には、
図5及び
図6に示すように、ガイド部材9のガイド突起部90に嵌合可能であるガイド溝76aが形成されている。また、枠部材70の下端部には、バネ77を介して下側ヒンジ部材78が取り付けられ、下側ヒンジ部材78の下から下側キャップ79が取り付けられている。バネ77は、仕切り部材7を冷蔵室左扉2の内板5の側に付勢するものである。
【0029】
仕切り部材7は、上記構成により、冷蔵室左扉2が開いた状態であると、冷蔵室左扉2の内板5側に回動して折り畳まれる。一方、仕切り部材7は、
図5〜
図7に示すように、冷蔵室左扉2が閉じた状態にあると、冷蔵室左扉2と冷蔵室右扉3との第1隙間部S1に向かって回動して、該第1隙間部S1を閉塞する。
【0030】
図5、
図6及び
図9に示すように、前面板71は、例えば金属板で構成されている。前面板71は、枠部材70の開口面を塞ぐように縦長に形成され、長手方向の縁部に間隔をあけて複数のツメ受け部71aが設けられている。ツメ受け部71aは、合成樹脂製のカバー部材72に設けられた複数のツメ部に嵌め合わされる。前面板71は、冷蔵室左扉2と冷蔵室右扉3を閉じた際に、扉ガスケット6に内蔵された磁性体の磁力によって扉ガスケット6に密着する。
【0031】
加熱部73は、
図10に示すように、アルミニウム箔73aと、コード状のヒータ73bと、両面テープ73cと、で構成されている。加熱部73は、制御部8によって、例えば冷蔵室温度センサ16が検出した温度に基づきヒータ73bへの通電制御が行われる。加熱部73は、両面テープ73cによって前面板71に貼り付けられている。なお、加熱部73は、両面テープ73cに代えて、例えば糊引きすることで前面板71に貼り付けてもよい。
【0032】
ヒータ73bは、一例としてニクロム線を発熱線とし、ガラス繊維芯材に一定のピッチで巻き付けたものを塩ビの絶縁素材で被覆したコード状のヒータであり、仕切り部材7の幅方向に折り返しながら上下方向に沿って複数段に蛇行させ、アルミニウム箔73aの全体に渡って載置されている。
図6に示すように、蛇行させたヒータ73bの最上段は、凹部28内に配置され、且つ左右のヒレ部60及び61と投影する位置に配置されている。加熱部73によって、第2隙間部S2の温度を電力的に効率良く上げるためである。
【0033】
断熱材74は、例えば発泡スチロールからなり、加熱部73の熱が冷蔵室20に伝達されないようにするために設けられている。
【0034】
ヒータ73bのアルミニウム箔73aへの通電において、予め試験などで決定された通電率計算式は、制御部8にプログラミングされている。通電率とは、ヒータ73bに掛ける電圧を時間的に変化させたもので、例えば所定時間10秒のうちに5秒通電し、残り5秒は通電させないという形で定義されるものである。この場合は、通電率50%とする。この通電率計算式は、通電率=a×外気湿度+bである。ここで、a及びbは、A=外気温度−冷蔵室温度の値によって決定される係数であり、Aに値によって変化する。そして、制御部8は、外気温度センサ14で検知された外気温度、外気湿度センサ15で検知された外気湿度、及び冷蔵室温度センサ16で検知された冷蔵室温度に応じて通電率計算式を演算することで、加熱部73への通電率を決定する。この決定された通電率は、仕切り部材7の表面、冷蔵室左扉2及び冷蔵室右扉3の周囲、或いは扉ガスケット6、ヒレ部60及び61などに露が付かない通電率、つまり結露を防止する通電率であり、扉ガスケット6などの温度が高ければその分通電率を落として省エネ化が図れる。
【0035】
ここで、通電率計算式は、基本的には、外気温度および外気湿度が高いほど通電率が大きくなり、冷蔵室20の温度が低いほど通電率が大きくなるようになっている。そして、制御部8は、演算により決定した通電率でヒータ73bへ通電する。
【0036】
なお、本実施の形態における仕切り部材7の構成、ヒータ73bへの通電方法、及び通電率計算式などは、上記構成に限定されるものでない。例えば、カバー部材72がなく、枠部材70、前面板71、加熱部73、断熱材74などで構成することも可能であり、仕切り部材7とヒレ部60とで、第1隙間部S1を塞ぐ構成であればよい。
【0037】
ここで、
図11〜
図16に基づいて舌部19を有する冷蔵庫本体1の製作方法を簡潔に説明する。
図11〜
図16は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫の冷蔵庫本体の製作方法を示した説明図である。先ず、
図11に示すように、ロール状の塗装鋼板材200をシート状にカットする。次に、
図12に示すように、塗装鋼板材200の外周縁に形成するフランジ部11aと、冷蔵室20の天井面10aとなる部分に形成する舌部19と、を形成するために、カット及びピアスを行う。舌部19を形成する部分には、ガイド部材9のガイド突起部90を通すための貫通孔19a、及び舌部19をネジ固定するためのネジ穴19cを形成する。
図12に示す破線は、フランジ部11aを形成するための折り曲げのラインを示している。
【0038】
次に、
図12に示すように、塗装鋼板材200の4辺を矢印の方向に折り曲げて、
図13に示すようにフランジ部11aを形成する。なお、舌部19は、フランジ部11aと共に塗装鋼板材200の縁辺を折り曲げるのみとし、この時点では冷蔵室20の天井面10a側へ折り曲げない。そして、
図13の破線を矢印方向に折り曲げてU字形状の外箱11を形成する。
【0039】
次に、
図14に示すように、外箱11のフランジ部11aを、別工程で形成された内箱10に挿入して、外箱11と内箱10を組み合わせる。このとき、内箱10に形成された凹部28には、前もってガイド部材9が取り付けられている。
【0040】
次に、
図15に示すように、冶具等で舌部19を凹部28側に向かって折り曲げ、
図16に示すように、ネジをネジ孔にねじ込んでガイド部材9に固定する。ガイド部材9のガイド突起部90は、舌部19に形成された貫通孔19aから突出する。本実施の形態に係る冷蔵庫100では、舌部19を設けることで、外気の熱や冷蔵室20の天井面10aに設けた凝縮器の熱を、第2隙間部S2に伝熱させることができ、第2隙間部S2の空気温度を高めることができる。
【0041】
ところで、上記したように、冷蔵庫100は、左右のヒレ部60及び61で第2隙間部S2を冷蔵室20の外面側から塞ぐ構造である。つまり、左右のヒレ部60及び61は、第2隙間部S2に位置する裏側において、断熱材等が存在せず、第2隙間部S2から流れる冷蔵室20の冷気に直接さらされているため、加熱部73で加熱しても表面温度が上がり難く、露付きが発生しやすい。そのため、従来の冷蔵庫では、左右のヒレ部60及び61に露付が発生しないように、加熱部73への通電率を余計に掛けており、省エネ性に問題があった。
【0042】
また、
図2に示すように、冷蔵室20の上側は、冷蔵室20の天井からの熱漏洩(矢印X1)が大きい。そのため、冷蔵室20の内奥に設置された風路部品17の吹出口17aから吹出される風量は、冷蔵室20内を区分する冷蔵室棚20a間において、最上段を最も多くしている。なお、
図2中の矢印X2〜X6は、形状が大きい程、風量が多いことを示している。これは、冷蔵室20内の棚温度分布を、ある程度の温度幅に収めるようにするためである。つまり、仕切り部材7は、下部よりも上部が冷やされやすい傾向にある。よって、上部に位置する左右のヒレ部60及び61は、下部に位置する左右のヒレ部(図示省略)よりも、表面温度が上がりにくい傾向となる。そのため、加熱部73への通電率は、上部に位置する左右のヒレ部60及び61の表面温度によって決定される。そこで、第2隙間部S2の温度を上げることができれば左右のヒレ部60及び61の表面温度を上昇させることができ、通電率を削減できる。
【0043】
本実施の形態に係る冷蔵庫100では、前面に開口が設けられ、少なくとも一つの貯蔵室を有する冷蔵庫本体1と、冷蔵室20の開口を開閉自在に塞ぐ観音開き式の左右の扉部30と、扉部30の開閉動作に連動して回動し、左右の扉部30の境界に設けられた第1隙間部S1を冷蔵室20側から閉塞する仕切り部材7と、左右の扉部30の周縁に沿って設けられた扉ガスケット6と、扉ガスケット6から第1隙間部S1に向かって突き出したヒレ部60及び61と、を備えている。冷蔵室20の天井面10aには、仕切り部材7を設けた位置に、上方に向かって凹ませた凹部28が形成されている。仕切り部材7は、上端部が凹部28内に収まるように設けられ、仕切り部材7と凹部28の上端面との間に、回動を可能とする第2隙間部S2が設けられている。凹部28には、仕切り部材7の回動をガイドするガイド部材9が設けられている。
【0044】
つまり、本実施の形態の冷蔵庫100は、第2隙間部S2と冷蔵室20の天井面10aとの間に段差29を形成することができるので、冷蔵室20の奥側から吹き出される冷気が第2隙間部S2に流れ難くなり、第2隙間部S2と冷蔵室20との間で空気の入れ替えが起こり難くなる。また、冷蔵庫100は、凹部28を設けることによって、第2隙間部S2の上方における発泡断熱材12の厚さ薄くなる。そのため、上方向からの熱漏洩(
図1に示す矢印X1)が大きくなり、第2隙間部S2における温度が上がりやすくなる。これらの理由により、冷蔵庫100は、第2隙間部S2の温度を上昇させることができ、ヒレ部60及び61の温度低下を抑制することができるので、加熱部73の通電率を抑制して省エネ化を図ることができる。
【0045】
また、冷蔵庫本体1は、内箱10と、内箱10と共に密閉された空間を形成する金属板から成る外箱11と、を有している。凹部28は、内箱10を上方に向かって凹ませて形成されており、外箱11の開口周縁の一部を延伸し、冷蔵室20に向かって折り曲げて形成された成る舌部19で覆われている。
【0046】
よって、本実施の形態の冷蔵庫100は、舌部19を通じて周囲外気の熱又は天井面10aに設けられた凝縮配管104の熱を、第2隙間部S2まで引き込むことができるので、第2隙間部S2の空気温度が上がりやすくなり、ヒレ部60及び61の温度を上昇させることができる。
【0047】
仕切り部材7は、幅方向に折り返しながら上下方向に沿って複数段に蛇行させたコード状のヒータ73bを有する加熱部73を備えている。ヒータ73bの最上段が、凹部28内に設けられている。よって、本実施の形態の冷蔵庫100は、加熱部73によって、第2隙間部S2の温度を電力的に効率良く上げることができる。また、上記したように、第2隙間部S2と冷蔵室20の天井面10aとの間に段差29が形成されているので、第2隙間部S2の温めた空気が冷蔵室20側に逃げる事態を抑制できるので、第2隙間部S2の温度を維持することができる。
【0048】
以上に本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば観音開き式の左右の扉部30は、冷蔵室20に設けた構成に限定されず、その他の貯蔵室に設けてもよい。また、仕切り部材7は、冷蔵室左扉2に取り付けた構成に限定されず、冷蔵室右扉3に取り付けてもよい。要するに、本発明は、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更及び応用のバリエーションの範囲を含むものである。