(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔粘着シート〕
本実施形態に係る粘着シートは、活性エネルギー線硬化性を有するとともに紫外線吸収性を有する粘着剤から構成される粘着剤層を少なくとも備える粘着シートであり、好ましくは、当該粘着剤層の片面または両面に剥離シートを積層してなる粘着シートである。
【0024】
本実施形態に係る粘着シートの一例としての具体的構成を
図1に示す。
図1に示すように、一実施形態に係る粘着シート1は、2枚の剥離シート12a,12bと、それら2枚の剥離シート12a,12bの剥離面と接するように当該2枚の剥離シート12a,12bに挟持された粘着剤層11とから構成される。なお、本明細書における剥離シートの剥離面とは、剥離シートにおいて剥離性を有する面をいい、剥離処理を施した面および剥離処理を施さなくても剥離性を示す面のいずれをも含むものである。
【0025】
本実施形態に係る粘着シート1は、
図2に例示されるような構成体2の製造に使用することができる。この場合、例えば、第1の構成部材21(一の構成部材)と、粘着シート1の粘着剤層11と、第2の構成部材22(他の構成部材)との積層体を得た後、当該粘着剤層11に対して活性エネルギー線を照射する。これにより、粘着剤層11は硬化して、硬化後粘着剤層11’となり、第1の構成部材21と、硬化後粘着剤層11’と、第2の構成部材22とがこの順に積層された構成体2が得られる。
【0026】
上記硬化後粘着剤層11’は、硬化によってゲル分率が上昇し、凝集力が高くなるとともに、硬化後粘着剤層11’における活性エネルギー線照射面と非照射面がいずれも良好な密着性を発揮する。そのため、得られた構成体2を、例えば、−40℃の低温条件下、95℃の高温条件下、85℃、85%RHといった高温高湿条件下等に72時間置いた場合でも、硬化後粘着剤層11’と構成部材との界面に気泡、浮き、剥がれ等が発生することが抑制され、優れた耐ブリスター性が発揮される。
【0027】
1.粘着シートの物性
(1)差スペクトルに関する条件
本実施形態に係る粘着シート1では、粘着剤層11を構成する粘着剤を用いて、当該粘着剤層の片面に対して光量2000mJ/cm
2の紫外線を照射して、粘着剤層を硬化させた後、硬化後の粘着剤層における紫外線を照射した面である照射面および当該照射面とは反対側の面である非照射面について、それぞれ全反射測定法により赤外吸収スペクトルを測定した場合に、前記照射面についての赤外吸収スペクトルから前記非照射面についての赤外吸収スペクトルを差し引いて得られる差スペクトルにおける、波数700〜1000cm
−1の範囲における吸光度の絶対値の最大値が、0.0001以上、0.012以下となる。
【0028】
上述の通り、本実施形態における粘着剤層11は、活性エネルギー線硬化性を有する粘着剤から構成されており、このような粘着剤層11に対して活性エネルギー線を照射することで、硬化させることができる。ここで、当該粘着剤層11を構成する粘着剤は紫外線吸収性を有しており、このような粘着剤では、粘着剤に照射される活性エネルギー線(特に紫外線)を吸収してしまい、粘着剤層が全く硬化されなかったり、活性エネルギー線照射面と非照射面での硬化度合いに差がでてしまったりして粘着剤を十分硬化させることが難しく、優れた耐ブリスター性および耐光性を発現することは困難と考えられていた。しかしながら、本発明者らは、上述した差スペクトルに着目し、当該差スペクトルに関する上記条件を満たす粘着剤を用いることで、紫外線吸収性を有しているにもかかわらず、過度の活性エネルギー線を照射することなく、粘着剤層を十分に硬化させ、優れた耐ブリスター性および耐光性を発現することができることを見出した。
【0029】
本実施形態における粘着シート1では、上述した差スペクトルに関する条件を満たすことにより、粘着剤層11を構成する粘着剤が紫外線吸収性を有しているにもかかわらず、活性エネルギー線の照射によって粘着剤層11が厚み方向の硬化度合いがムラなく良好に硬化し、優れた凝集性を発現させることができる。また、当該粘着剤層の活性エネルギー線の照射面と非照射面はいずれも好適な密着性を発現する。これらにより、優れた耐ブリスター性を発揮することが可能となる。また、粘着剤層11を構成する粘着剤が紫外線吸収性を有していることにより、製造される構成体2に対して、紫外線をカットするためのコート層を別途設けることなく、粘着剤層11を硬化してなる硬化後粘着剤層11’によって良好な耐光性を実現することができる。このように、本実施形態における粘着シート1では、優れた耐ブリスター性と優れた耐光性とを良好に両立することができる。
【0030】
このような観点から、上述した差スペクトルにおける吸光度の絶対値の最大値は、0.010以下であることが好ましく、特に0.008以下であることが好ましい。なお、上記最大値の下限値については特に限定されず、例えば、0.0005以上であってよく、特に0.0010以上であってよい。
【0031】
また、本実施形態に係る粘着シート1では、照射する紫外線の光量を200mJ/cm
2に変更した以外、光量2000mJ/cm
2の場合と同様に測定される差スペクトルに関する前述した最大値が、0.0001以上であることが好ましく、0.0005以上であることがより好ましく、特に0.001以上であることが好ましく、さらには0.005以上であることが好ましい。また、当該最大値は、0.100以下であることが好ましく、0.080以下であることがより好ましく、特に0.050以下であることが好ましく、さらには0.040以下であることが好ましい。光量200mJ/cm
2の場合の最大値が、このような範囲となることで、光量2000mJ/cm
2の場合の差スペクトルに関する条件を満たし易いものとなる。
【0032】
さらに、本実施形態に係る粘着シート1では、照射する紫外線の光量を1000mJ/cm
2に変更した以外、光量2000mJ/cm
2の場合と同様に測定される差スペクトルに関する前述した最大値が、0.0001以上であることが好ましく、特に0.0005以上であることが好ましく、さらには0.001以上であることが好ましい。また、当該最大値は、0.050以下であることが好ましく、0.030以下であることがより好ましく、特に0.020以下であることが好ましく、さらには0.010以下であることが好ましい。光量1000mJ/cm
2の場合の最大値が、このような範囲となることで、光量2000mJ/cm
2の場合の差スペクトルに関する条件を満たし易いものとなる。
【0033】
なお、以上の各差スペクトルに関する測定方法の詳細は、後述する試験例に記載の通りである。
【0034】
(2)ゲル分率
本実施形態に係る粘着シート1では、粘着剤層11に対し光量2000mJ/cm
2の紫外線を照射して、粘着剤層11を硬化させた場合において、粘着剤層11を構成する粘着剤のゲル分率における当該照射前後の差が、5ポイント以上である。照射前後におけるゲル分率の差が5ポイント以上であることで、硬化後粘着剤層11’の凝集力は十分に高いものとなり、硬化後粘着剤層11’が被着体に対して良好な密着性を発揮するものとなる。その結果、硬化後粘着剤層11’と構成部材とを備える構成体2を高温高湿条件下に置いた場合であっても、優れた耐ブリスター性が発揮される。
【0035】
このような観点から、上記ゲル分率の差は、8ポイント以上であることが好ましく、特に10ポイント以上であることが好ましく、さらには12ポイント以上であることが好ましい。なお、上記ゲル分率の上限値については、後述する粘着力や貯蔵弾性率が所定の範囲となり易くなる観点から、50ポイント以下であることが好ましく、40ポイント以下であることがより好ましく、特に30ポイント以下であることが好ましく、さらには20ポイント以下であることが好ましい。
【0036】
なお、上述したゲル分率の差は、一般的に、粘着剤層の活性エネルギー線硬化性の指標とすることもできる。すなわち、上述したゲル分率に所定の差が生じるものを、活性エネルギー線硬化性を有するものと判断し、所定の差が生じないものを、活性エネルギー線硬化性を有しないものと判断することができる。本実施形態における粘着剤層11では、例えば、上述したゲル分率の差が5ポイント以上である場合に、活性エネルギー線硬化性を有するものということができる。
【0037】
本実施形態に係る粘着シート1では、粘着剤層11を構成する粘着剤(活性エネルギー線の照射によって硬化する前の粘着剤)のゲル分率が、20%以上であることが好ましく、特に30%以上であることが好ましく、さらには38%以上であることが好ましい。また、上記ゲル分率は、90%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましく、特に70%以下であることが好ましく、さらには60%以下であることが好ましく、53%以下であることが最も好ましい。上記ゲル分率が、これらの範囲であることにより、光量2000mJ/cm
2の場合の差スペクトルに関する条件および前述したゲル分率の差を満たし易いものとなる。また、被着体への貼付性(貼り合わせ時の追従性等)が良好なものとなり、被着体への密着性が向上し易くなる。これにより、優れた耐ブリスター性を発揮し易いものとなる。
【0038】
また、本実施形態に係る粘着シート1では、粘着剤層11に対し光量200mJ/cm
2の紫外線を照射して粘着剤層11を硬化させた場合において、それによって得られる硬化後粘着剤層11’を構成する粘着剤のゲル分率が、30%以上であることが好ましく、特に35%以上であることが好ましく、さらには40%以上であることが好ましい。また、上記ゲル分率は、95%以下であることが好ましく、85%以下であることがより好ましく、特に75%以下であることが好ましく、さらには65%以下であることが好ましい。光量200mJ/cm
2の場合のゲル分率が、これらの範囲であることにより、光量200mJ/cm
2および光量2000mJ/cm
2の場合の差スペクトルに関する条件を満たし易いものとなる。また、得られる硬化後粘着剤層11’が好適な凝集性を発現し易くなって、耐ブリスター性を発揮し易いものとなる。
【0039】
また、本実施形態に係る粘着シート1では、粘着剤層11に対し光量1000mJ/cm
2の紫外線を照射して粘着剤層11を硬化させた場合において、それによって得られる硬化後粘着剤層11’を構成する粘着剤のゲル分率が、40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、特に50%以上であることが好ましく、さらには55%以上であることが好ましい。また、上記ゲル分率は、95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましく、特に85%以下であることが好ましく、さらには75%以下であることが好ましい。光量1000mJ/cm
2の場合のゲル分率が、これらの範囲であることにより、光量1000mJ/cm
2および光量2000mJ/cm
2の場合の差スペクトルに関する条件を満たし易いものとなる。また、得られる硬化後粘着剤層11’が好適な凝集性を発現し易くなって、耐ブリスター性を発揮し易いものとなる。
【0040】
また、本実施形態に係る粘着シート1では、粘着剤層11に対し光量2000mJ/cm
2の紫外線を照射して粘着剤層11を硬化させた場合において、それによって得られる硬化後粘着剤層11’を構成する粘着剤のゲル分率が、40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、特に50%以上であることが好ましく、さらには55%以上であることが好ましく、58%以上であることが最も好ましい。また、上記ゲル分率は、95%以下であることが好ましく、特に90%以下であることが好ましく、さらには85%以下であることが好ましい。光量2000mJ/cm
2の場合のゲル分率が、これらの範囲であることにより、光量2000mJ/cm
2の場合の差スペクトルに関する条件および前述したゲル分率の差を満たし易いものとなる。また、得られる硬化後粘着剤層11’が好適な凝集性を発現し易くなることで、耐ブリスター性を発揮し易いものとなる。
【0041】
なお、以上の各ゲル分率の測定方法の詳細は、後述する試験例に記載の通りである。
【0042】
(3)貯蔵弾性率
本実施形態に係る粘着シート1では、粘着剤層11を構成する粘着剤(活性エネルギー線の照射によって硬化する前の粘着剤)の23℃における貯蔵弾性率が、0.01MPa以上であることが好ましく、0.03MPa以上であることがより好ましく、特に0.05MPa以上であることが好ましく、さらには0.07MPa以上であることが好ましく、耐ブリスター性の観点から特に0.08MPa以上であることが好ましい。また、上記23℃における貯蔵弾性率は、1.00MPa以下であることが好ましく、0.50MPa以下であることがより好ましく、特には0.20MPa以下であることが好ましく、さらには0.10MPa以下であることが好ましい。粘着剤層11を構成する粘着剤の23℃における貯蔵弾性率が、これらの範囲であることにより、光量2000mJ/cm
2の場合の差スペクトルに関する条件を満たし易いものとなる。また、被着体への貼付性(貼り合わせ時の追従性等)が良好なものとなり、被着体への密着性が向上し易くなる。これにより、優れた耐ブリスター性を発揮し易いものとなる。
【0043】
また、本実施形態に係る粘着シート1では、粘着剤層11に対し光量2000mJ/cm
2の紫外線を照射して粘着剤層11を硬化させた場合において、それによって得られる硬化後粘着剤層11’を構成する粘着剤の23℃における貯蔵弾性率が、0.03MPa以上であることが好ましく、特に0.05MPa以上であることが好ましく、さらには0.08MPa以上であることが好ましく、粘着力向上の観点から、0.12MPa以上であることが好ましく、0.15MPa以上であることがより好ましく、特に0.20MPa以上であることが好ましく、さらには0.25MPa以上であることが好ましく、耐ブリスター性向上の観点から、0.26MPa以上であることが最も好ましい。また、上記23℃における貯蔵弾性率は、2.00MPa以下であることが好ましく、特に1.00MPa以下であることが好ましく、さらには0.50MPa以下であることが好ましい。光量2000mJ/cm
2の場合の23℃における貯蔵弾性率が、これらの範囲であることにより、光量2000mJ/cm
2の場合の差スペクトルに関する条件を満たし易いものとなる。
【0044】
なお、以上の各貯蔵弾性率の測定方法の詳細は、後述する試験例に記載の通りである。
【0045】
(4)透過率
本実施形態における粘着剤層11は、波長360nmの光線の透過率が、20%以下であることが好ましく、特に10%以下であることが好ましく、さらには5%以下であることが好ましく、1%以下であることが最も好ましい。波長360nmの光線の透過率が上記範囲であることにより、本実施形態における粘着剤層11は優れた紫外線吸収性を発揮し易くなるとともに、本実施形態に係る粘着シート1を用いて製造される構成体2がより優れた耐光性を有するものとなる。なお、波長360nmの光線の透過率の下限値については特に限定されず、例えば、0%以上であってよく、0.01%以上であってよく、特に0.10%以上であってよく、さらには0.50%以上であってよい。
【0046】
また、本実施形態における粘着剤層11は、波長380nmの光線の透過率が、50%以下であることが好ましく、30%以下であることが好ましく、特に20%以下であることが好ましく、10%以下であることが好ましく、1%以下であることが最も好ましい。波長380nmの光線の透過率が上記範囲であることにより、本実施形態における粘着剤層11は優れた紫外線吸収性を発揮し易くなるとともに、本実施形態に係る粘着シート1を用いて製造される構成体2がより優れた耐光性を有するものとなる。なお、波長380nmの光線の透過率の下限値については特に限定されず、例えば、0%以上であってよく、0.01%以上であってよく、特に0.1%以上であってよく、さらには0.50%以上であってよい。
【0047】
また、本実施形態における粘着剤層11は、波長400nmの光線の透過率が、70%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、特に30%以下であることが好ましく、さらには21%以下であることが好ましい。波長400nmの光線の透過率が上記範囲であることにより、本実施形態における粘着剤層11は優れた紫外線吸収性を発揮し易くなるとともに、本実施形態に係る粘着シート1を用いて製造される構成体2がより優れた耐光性を有するものとなる。なお、波長400nmの光線の透過率の下限値については特に限定されず、例えば、0%以上であってよく、1%以上であってよく、特に5%以上であってよく、さらには10%以上であってよい。
【0048】
なお、以上の各透過率の測定方法の詳細は、後述する試験例に記載の通りである。
【0049】
(5)粘着力
本実施形態に係る粘着シート1では、ソーダライムガラスに対する粘着力(粘着剤層11を紫外線の照射によって硬化する前における粘着力)が、1N/25mm以上であることが好ましく、5N/25mm以上であることがより好ましく、特に10N/25mm以上であることが好ましく、さらには20N/25mm以上であることが好ましく、28N/25mm以上であることが最も好ましい。上記粘着力が1N/25mm以上であることにより、被着体への貼付性が良好なものとなって優れた密着性を発揮し易く、より優れた耐ブリスター性を発揮し易いものとなる。一方、上記粘着力の上限値は特に限定されず、例えば、100N/25mm以下であってよく、80N/25mm以下であってよく、特に60N/25mm以下であってよく、さらには50N/25mm以下であってよい。
【0050】
また、本実施形態に係る粘着シート1では、粘着剤層11に対し光量2000mJ/cm
2の紫外線を照射して粘着剤層11を硬化させた場合における、ソーダライムガラスに対する粘着力が、5N/25mm以上であることが好ましく、10N/25mm以上であることがより好ましく、特に20N/25mm以上であることが好ましく、35N/25mm以上であることが好ましく、42N/25mm以上であることが最も好ましい。上記粘着力が5N/25mm以上であることにより、より優れた耐ブリスター性を発揮し易いものとなる。一方、上記粘着力の上限値は特に限定されず、例えば、100N/25mm以下であってよく、80N/25mm以下であってよく、さらには60N/25mm以下であってよく、さらには50N/25mm以下であってよい。
【0051】
なお、以上の粘着力は、基本的にはJIS Z0237:2009に準じた180度引き剥がし法により測定した粘着力をいい、具体的な試験方法は、後述する試験例に示す通りである。
【0052】
2.粘着シートの構成
(1)粘着剤層
粘着剤層11は、活性エネルギー線硬化性を有するとともに紫外線吸収性を有する粘着剤から構成されるとともに、当該粘着剤が前述した差スペクトルに関する条件を満たすものであれば特に制限されない。特に、粘着剤層11は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、架橋剤(B)とから構成される架橋構造を有するとともに、活性エネルギー線硬化性成分(C)および紫外線吸収剤(E)を含有することが好ましい。このような粘着剤層11は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)、架橋剤(B)、活性エネルギー線硬化性成分(C)および紫外線吸収剤(E)を含有する粘着性組成物(以下「粘着性組成物P」という場合がある。)を架橋(熱架橋)してなる粘着剤により構成することができる。なお、当該粘着性組成物Pは、所望により、光重合開始剤(D)をさらに含有することが好ましい。また、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語も同様である。さらに、「重合体」には「共重合体」の概念も含まれるものとする。
【0053】
上述の粘着性組成物Pを架橋(熱架橋)させて得られる粘着剤層11は、粘着シート1の段階、すなわち被着体に貼付される前の段階では、活性エネルギー線によっては未だ硬化しておらず貯蔵弾性率が比較的低いため、被着体に対して貼合された時に発生する応力を緩和することができる。これにより、被着体に凹凸が存在する面に粘着剤層11を貼合する場合であっても、粘着剤層11が当該凹凸に追従し易く、凹凸近傍に隙間、浮き等が生じることが抑制され、被着体への優れた貼合性を発揮する。また、被着体に貼付される前の段階ではゲル分率も比較的低いため、被着体に対して貼合する際に未硬化成分の可塑的な働きにより被着体表面に濡れ広がり易くなって優れた密着性を発揮する。以上のような被着体への貼合性および密着性に相俟って、耐ブリスター性が優れたものとなる。
【0054】
(1−1)(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、分子内に反応性官能基を有するモノマー(反応性官能基含有モノマー)とを含有することが好ましい。
【0055】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することで、好ましい粘着性を発現することができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であってもよいし、環状構造を有するものであってもよい。
【0056】
アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、上記の中でも、耐ブリスター性の観点から、アルキル基の炭素数が4〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。アルキル基の炭素数が4〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等が好ましく、特に、優れた粘着性および耐ブリスター性が得られる(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルおよび(メタ)アクリル酸イソボルニルが好ましく、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびアクリル酸イソボルニルが特に好ましい。
【0058】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを40質量%以上含有することが好ましく、50質量%以上含有することがより好ましく、特に60質量%以上含有することが好ましく、さらには70質量%以上含有することが好ましい。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを40質量%以上含有すると、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は好適な粘着性を発揮することができる。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを99質量%以下含有することが好ましく、特に95質量%以下含有することが好ましく、さらには90質量%以下含有することが好ましい。特に、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が当該重合体を構成するモノマーとして水酸基含有モノマーを含む場合は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位としての(メタ)アクリル酸アルキルエステルを、85質量%以下含有することが好ましく、特に80質量%以下含有することが好ましく、さらには75質量%以下含有することが好ましい。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを99質量%以下とすることにより、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)中に他のモノマー成分を好適な量導入することができる。
【0059】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として反応性官能基含有モノマーを含有することで、当該反応性官能基含有モノマー由来の反応性官能基を介して、後述する架橋剤(B)と反応し、これにより架橋構造(三次元網目構造)が形成され、所望の凝集力を有する粘着剤が得られる。
【0060】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位として含有する反応性官能基含有モノマーとしては、分子内に水酸基を有するモノマー(水酸基含有モノマー)、分子内にカルボキシ基を有するモノマー(カルボキシ基含有モノマー)、分子内にアミノ基を有するモノマー(アミノ基含有モノマー)などが好ましく挙げられる。これらの反応性官能基含有モノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0061】
上記反応性官能基含有モノマーの中でも、架橋密度を調整し易く所望の凝集力を有する粘着剤を得易い観点から、水酸基含有モノマーまたはカルボキシ基含有モノマーが好ましく、粘着力の観点からは、水酸基含有モノマーが好ましい。
【0062】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。上記の中でも、炭素数が1〜4のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが好ましい。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が好ましく挙げられ、特に、アクリル酸2−ヒドロキシエチルまたはアクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましく挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。中でも、得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の凝集力の点からアクリル酸が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0064】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、反応性官能基含有モノマーを、1質量%以上含有することが好ましく、特に3質量%以上含有することが好ましく、さらには5質量%以上含有することが好ましい。反応性官能基含有モノマーが水酸基含有モノマーである場合、10質量%以上含有することが好ましく、特に18質量%以上含有することが好ましく、さらには24質量%以上含有することが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、反応性官能基含有モノマーを、50質量%以下で含有することが好ましく、特に40質量%以下で含有することが好ましく、さらには30質量%以下で含有することが好ましい。反応性官能基含有モノマーがカルボキシ基含有モノマーである場合、20質量%以下で含有することが好ましく、特に15質量%以下で含有することが好ましく、さらには10質量%以下で含有することが好ましい。
【0065】
また、上記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、窒素原子含有モノマーを含有することも好ましい。窒素原子含有モノマーを構成単位として重合体中に存在させることにより、粘着剤に所定の極性を付与し、ガラスのようなある程度の極性を有する被着体に対しても、親和性に優れたものとすることができる。上記窒素原子含有モノマーとしては、前述した反応性官能基含有モノマーとしてのアミノ基含有モノマーの他に、アミド基を有するモノマー、窒素含有複素環を有するモノマーなどが挙げられ、中でも、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)に適度な剛性を持たせる観点から、窒素含有複素環を有するモノマーが好ましい。
【0066】
窒素含有複素環を有するモノマーとしては、例えば、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルアジリジン、アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニルピラジン、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルフタルイミド等が挙げられ、中でも、より優れた粘着力を発揮するN−(メタ)アクリロイルモルホリンが好ましく、特にN−アクリロイルモルホリンが好ましい。
【0067】
なお、窒素原子含有モノマーとして、例えば、N−ビニルカルボン酸アミド、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルカプロラクタム等を使用することもできる。
【0068】
以上の窒素原子含有モノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として窒素原子含有モノマーを含有する場合、当該窒素原子含有モノマーを0.5質量%以上含有することが好ましく、特に1質量%以上含有することが好ましく、さらには3質量%以上含有することが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、当該窒素原子含有モノマーを20質量%以下含有することが好ましく、特に15質量%以下含有することが好ましく、さらには8質量%以下含有することが好ましい。窒素原子含有モノマーの含有量が上記の範囲内にあると、得られる粘着剤が、ガラス等の被着体に対して優れた粘着性を効果的に発揮することができる。また、前述したゲル分率や貯蔵弾性率を好適な値に調整し易くなる。
【0070】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、所望により、当該重合体を構成するモノマー単位として、他のモノマーを含有してもよい。他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、酢酸ビニル、スチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0071】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、直鎖状のポリマーであることが好ましい。直鎖状のポリマーであることにより、分子鎖の絡み合いが起こりやすくなり、凝集力の向上が期待できるため、耐ブリスター性により優れた粘着剤が得られる。
【0072】
また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、溶液重合法によって得られた溶液重合物であることが好ましい。溶液重合物であることにより、高分子量のポリマーが得られやすくなり、凝集力の向上が期待できるため、耐ブリスター性により優れた粘着剤が得られる。
【0073】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合態様は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
【0074】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量は、下限値として20万以上であることが好ましく、特に30万以上であることが好ましく、さらには40万以上であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量の下限値が上記以上であると、前述したゲル分率や貯蔵弾性率を好適な値に調整し易くなり、得られる粘着剤の耐ブリスター性がより優れたものとなる。
【0075】
また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量は、上限値として200万以下であることが好ましく、150万以下であることがより好ましく、特に100万以下であることが好ましく、さらには80万以下であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量の上限値が上記以下であると、得られる粘着剤の被着体への貼合性や密着性がより優れたものとなる。また、前述したゲル分率や貯蔵弾性率を好適な値に調整し易くなる。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
【0076】
なお、粘着性組成物Pにおいて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0077】
(1−2)架橋剤(B)
架橋剤(B)は、粘着性組成物Pの加熱により(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を架橋し、三次元網目構造を良好に形成することが可能となる。これにより、得られる粘着剤の凝集力がより向上し、耐ブリスター性がより優れたものとなる。
【0078】
上記架橋剤(B)としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が有する反応性官能基と反応するものであればよく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、アンモニウム塩系架橋剤等が挙げられる。上記の中でも、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が有する反応性基が水酸基の場合、水酸基との反応性に優れたイソシアネート系架橋剤を使用することが好ましく、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が有する反応性基がカルボキシ基の場合、カルボキシ基との反応性に優れたエポキシ系架橋剤を使用することが好ましい。なお、架橋剤(B)は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0079】
イソシアネート系架橋剤は、少なくともポリイソシアネート化合物を含むものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなど、およびそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。中でも水酸基との反応性の観点から、トリメチロールプロパン変性の芳香族ポリイソシアネート、特にトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートおよびトリメチロールプロパン変性キシリレンジイソシアネートの少なくとも一方を使用することが好ましい。
【0080】
エポキシ系架橋剤としては、例えば、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等が挙げられる。中でもカルボキシ基との反応性の観点から、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンが好ましい。
【0081】
粘着性組成物P中における架橋剤(B)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、特に0.05質量部以上であることが好ましく、さらには0.1質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、3質量部以下であることが好ましく、特に2質量部以下であることが好ましく、さらには1質量部以下であることが好ましい。架橋剤(B)の含有量が上記の範囲にあることで、架橋の程度が適度なものとなり、得られる粘着剤は前述したゲル分率や貯蔵弾性率を好適な値に調整し易くなって、耐ブリスター性がより優れたものとなる。
【0082】
(1−3)活性エネルギー線硬化性成分(C)
粘着性組成物Pが活性エネルギー線硬化性成分(C)を含有することにより、粘着性組成物Pを架橋(熱架橋)して得られる粘着剤は、活性エネルギー線硬化性の粘着剤となる。この粘着剤は、被着体貼付後の活性エネルギー線照射による硬化により、活性エネルギー線硬化性成分(C)が互いに重合し、その重合した活性エネルギー線硬化性成分(C)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の架橋構造(三次元網目構造)に絡み付くものと推定される。かかる高次構造を有する粘着剤は、凝集力が高く、高い被膜強度を示すため、耐ブリスター性により優れたものとなる。
【0083】
活性エネルギー線硬化性成分(C)は、活性エネルギー線の照射によって硬化し、上記の効果が得られる成分であれば特に制限されず、モノマー、オリゴマーまたはポリマーのいずれであってもよいし、それらの混合物であってもよい。中でも、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)等との相溶性に優れる多官能アクリレート系モノマーを好ましく挙げることができる。
【0084】
多官能アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジ(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等の2官能型;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能型;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能型;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の5官能型;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能型などが挙げられる。上記の中でも、得られる粘着剤の耐ブリスター性の観点から、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレートおよびトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートの少なくとも一方を使用することが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)との相溶性の観点から、多官能アクリレート系モノマーは、分子量1000未満のものが好ましい。
【0085】
粘着性組成物P中における活性エネルギー線硬化性成分(C)の含有量は、得られる粘着剤を前述したゲル分率および貯蔵弾性率を所望の値にし易くする観点から、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、下限値として1質量部以上であることが好ましく、前述した差スペクトルに関する条件および前述したゲル分率の差を満たし易くする観点からは、2質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、特に5質量部以上であることが好ましく、さらには8質量部以上であることが好ましい。一方、上記含有量は、活性エネルギー線硬化性成分(C)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と相分離することを防止する観点および前述したゲル分率および貯蔵弾性率を所望の値にし易くする観点から、上限値として50質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、特に20質量部以下であることが好ましく、さらには15質量部以下であることが好ましい。
【0086】
(1−4)光重合開始剤(D)
活性エネルギー線硬化性の粘着剤を硬化させるのに使用する活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、粘着性組成物Pは、さらに光重合開始剤(D)を含有することが好ましい。このように光重合開始剤(D)を含有することにより、活性エネルギー線硬化性成分(C)を効率良く重合させることができ、また重合硬化時間および活性エネルギー線の照射量を少なくすることができる。ただし、この光重合開始剤(D)の光吸収波長のピーク領域は、後述する紫外線吸収剤(E)の光吸収波長のピーク領域と異なることが好ましい。これにより、光重合開始剤(D)を開裂させるための波長の活性エネルギー線を照射すれば、紫外線吸収剤(E)に阻害されることなく、光重合開始剤(D)が問題なく開裂する。その結果、活性エネルギー線硬化性成分(C)の硬化反応が良好に進行し、前述した差スペクトルに関する条件および前述したゲル分率の差が満たされ易くなる。なお、本明細書における「光吸収波長のピーク領域」とは、最大吸光度の20%以上の吸光度を有する波長領域をいうものとする。
【0087】
ここで、本実施形態における活性エネルギー線は、波長365nmを超える波長領域に実質的な強度の発光を有するものであることが好ましい。当該波長領域としては、380〜450nmであることが好ましく、390〜410nmであることがより好ましい。また、365nm以下における最大の発光の強度(通常は、365nm近辺に最大のピーク強度を有する)を100%とした場合に、上記波長領域の少なくとも一部に20%以上の強度を有するものであることが好ましい。
【0088】
光重合開始剤(D)は、濃度0.1質量%のアセトニトリル溶液における波長200〜500nmの吸光度の極大吸収波長が350nm以上にあることが好ましく、特に370nm以上にあることが好ましく、さらには380nm以上にあることが好ましい。なお、波長200〜500nmの吸光度の極大吸収波長が複数存在する場合には、少なくとも一つの極大吸収波長が上記範囲にあればよい。これにより、上記活性エネルギー線を照射したときに、後述する紫外線吸収剤(E)に阻害されることなく、光重合開始剤(D)が問題なく開裂して、活性エネルギー線硬化性成分(C)の硬化性がより向上し、得られる粘着剤は凝集力が高くなって、前述した貯蔵弾性率およびゲル分率をより満たし易いものとなる。一方、上記極大吸収波長の上限値は特に制限されないが、粘着剤層11を蛍光灯等の環境光中で保管した場合に硬化反応の進行を防止する観点から、450nm以下であることが好ましく、特に410nm以下であることが好ましく、さらには405nm以下であることが好ましい。
【0089】
また、光重合開始剤(D)の濃度0.1質量%のアセトニトリル溶液における波長380nmの吸光度は、0.3以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、特に1.0以上であることが好ましい。当該吸光度の上限値は特に限定されないが、通常は2.5以下であることが好ましく、特に2.0以下であることが好ましい。吸光度が2.5を超えると、粘着シート形成時又は保管時に、蛍光灯等の環境光により、光重合開始剤(D)による活性エネルギー線硬化性成分(C)の硬化反応が進行し、その後の使用時の耐久性が低下する場合がある。ここで、光重合開始剤(D)の吸光度の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
【0090】
このような光重合開始剤(D)としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0091】
粘着性組成物P中における光重合開始剤(D)の含有量は、活性エネルギー線硬化性成分(C)100質量部に対して、下限値として0.1質量部以上であることが好ましく、特に1質量部以上であることが好ましく、さらには5質量部以上であることが好ましい。また、上限値として30質量部以下であることが好ましく、特に15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることが好ましい。光重合開始剤(D)の含有量が上記の範囲であると、後述する紫外線吸収剤(E)に阻害されにくく、光重合開始剤(D)が問題なく開裂して、活性エネルギー線硬化性成分(C)の硬化性がより向上し、前述した差スペクトルに関する条件および前述したゲル分率の差を満たし易いものとなる。また、前述した貯蔵弾性率およびゲル分率が満たされ易いものとなる。
【0092】
(1−5)紫外線吸収剤(E)
紫外線吸収剤(E)としては、粘着剤層11が紫外線吸収性を達成できるものを使用することができ、粘着剤層11が前述した光学物性を満たすことができる紫外線吸収剤(E)を使用することが好ましい。また、紫外線吸収剤(E)の光吸収波長のピーク領域は、上述した光重合開始剤(D)の光吸収波長のピーク領域と異なることが好ましい。
【0093】
紫外線吸収剤(E)は、濃度0.1質量%のアセトニトリル溶液における波長200〜500nmの吸光度の吸収極大波長が400nm以下にあることが好ましく、特に390nm以下にあることが好ましく、さらには380nm以下にあることが好ましい。なお、波長200〜500nmの吸光度の吸収極大波長が複数存在する場合には、少なくとも一つの吸収極大波長が上記範囲にあればよい。これにより、上記活性エネルギー線を照射したときに、当該紫外線吸収剤(E)に阻害されることなく、光重合開始剤(D)が問題なく開裂して、活性エネルギー線硬化性成分(C)の硬化性がより向上し、得られる粘着剤は凝集力が高くなって、前述した貯蔵弾性率およびゲル分率を満たし易いものとなる。一方、上記吸収極大波長の下限値は、各種部材を紫外線から保護する観点から、200nm以上であることが好ましく、特に250nm以上であることが好ましく、さらには280nm以上であることが好ましい。
【0094】
紫外線吸収剤(E)としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾオキサジノン系、トリアジン系、フェニルサリシレート系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系等の化合物が挙げられ、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0095】
上記紫外線吸収剤(E)の中でも、ベンゾフェノン系化合物またはベンゾトリアゾール系化合物を使用することが好ましく、ベンゾフェノン系化合物を使用することが好ましい。これらの化合物は、前述した(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)や活性エネルギー線硬化性成分(C)等との相溶性に優れる傾向があり、得られる粘着剤が前述した光学物性を満たし易いものとなる。
【0096】
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸水和物、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン等が好ましく挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、オクチル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル]フェニル)プロピオネート、2−エチルヘキシル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル]フェニル)プロピオネート等が好ましく挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0097】
粘着性組成物P中における紫外線吸収剤(E)の含有量は、以下の条件を満たす量であることが好ましい。すなわち、粘着剤層11中における紫外線吸収剤(E)の含有量をX質量%、粘着剤層11の厚さをYμmとしたときに、以下の式(I)が成立する量であることが好ましい。
90≦X×Y≦1000 …(I)
紫外線吸収剤(E)の含有量が上記条件を満たす量であることにより、前述した粘着剤層11の光学物性がより効果的に満たされ易くなる。
【0098】
上記の観点から、上記式(I)におけるX×Yの下限値は、90以上であることが好ましく、120以上であることがより好ましく、特に180以上であることが好ましく、さらには230以上であることが好ましい。また、上記式(I)におけるX×Yの上限値は、1000以下であることが好ましく、600以下であることがより好ましく、特に400以下であることが好ましく、さらには300以下であることが好ましい。
【0099】
粘着性組成物P中における紫外線吸収剤(E)の含有量の下限値は、活性エネルギー線硬化性成分(C)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、0.10質量部以上であることがより好ましく、特に0.50質量部以上であることが好ましく、1.0質量部以上であることが好ましい。紫外線吸収剤(E)の含有量の下限値が上記であると、得られる粘着剤は良好な紫外線吸収性を発揮することができ、優れた耐光性および部材保護性を発揮するものとなる。また、紫外線吸収剤(E)の含有量の上限値は、活性エネルギー線硬化性成分(C)100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましく、特に10質量部以下であることが好ましく、さらには5質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることが最も好ましい。紫外線吸収剤(E)の含有量の上限値が上記範囲であることで、前述した差スペクトルに関する条件を満たし易いものとなり、耐光性と耐ブリスター性とを高いレベルで両立し易いものとなる。また、前述した貯蔵弾性率およびゲル分率が満たされ易いものとなる。
【0100】
(1−6)各種添加剤
粘着性組成物Pには、所望により、アクリル系粘着剤に通常使用されている各種添加剤、例えばシランカップリング剤、帯電防止剤、粘着付与剤、酸化防止剤、光安定剤、軟化剤、充填剤、屈折率調整剤などを添加することができる。なお、後述の重合溶媒や希釈溶媒は、粘着性組成物Pを構成する添加剤に含まれないものとする。
【0101】
ここで、粘着性組成物Pがシランカップリング剤を含有すると、得られる粘着剤は、ガラス部材やプラスチック板との密着性が向上する。これにより、得られる粘着剤は、耐ブリスター性により優れたものとなる。
【0102】
シランカップリング剤としては、分子内にアルコキシシリル基を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物であって、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)との相溶性がよく、光透過性を有するものが好ましい。
【0103】
かかるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等のメルカプト基含有ケイ素化合物、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、あるいはこれらの少なくとも1つと、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有ケイ素化合物との縮合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0104】
粘着性組成物Pがシランカップリング剤を含有する場合、その含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、特に0.05質量部以上であることが好ましく、さらには0.1質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、2質量部以下であることが好ましく、特に1質量部以下であることが好ましく、さらには0.5質量部以下であることが好ましい。シランカップリング剤の含有量が上記範囲であることで、被着体との密着性が向上し、耐ブリスター性が発現し易くなる。
【0105】
(1−7)粘着性組成物の製造
粘着性組成物Pは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を製造し、得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、架橋剤(B)と、活性エネルギー線硬化性成分(C)と、紫外線吸収剤(E)と、所望により、光重合開始剤(D)と、添加剤とを混合することで製造することができる。
【0106】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、重合体を構成するモノマーの混合物を通常のラジカル重合法で重合することにより製造することができる。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合は、所望により重合開始剤を使用して、溶液重合法により行うことが好ましい。重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。
【0107】
重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。アゾ系化合物としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。
【0108】
有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
【0109】
なお、上記重合工程において、2−メルカプトエタノール等の連鎖移動剤を配合することにより、得られる重合体の重量平均分子量を調節することができる。
【0110】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が得られたら、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の溶液に、架橋剤(B)、活性エネルギー線硬化性成分(C)、紫外線吸収剤(E)、所望により、光重合開始剤(D)、添加剤、および希釈溶剤を添加し、十分に混合することにより、溶剤で希釈された粘着性組成物P(塗布溶液)を得ることができる。なお、上記各成分のいずれかにおいて、固体状のものを用いる場合、あるいは、希釈されていない状態で他の成分と混合した際に析出を生じる場合には、その成分を単独で予め希釈溶媒に溶解もしくは希釈してから、その他の成分と混合してもよい。
【0111】
上記希釈溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤などが用いられる。
【0112】
このようにして調製された塗布溶液の濃度・粘度としては、コーティング可能な範囲であればよく、特に制限されず、状況に応じて適宜選定することができる。例えば、粘着性組成物Pの濃度が10〜60質量%となるように希釈する。なお、塗布溶液を得るに際して、希釈溶剤等の添加は必要条件ではなく、粘着性組成物Pがコーティング可能な粘度等であれば、希釈溶剤を添加しなくてもよい。この場合、粘着性組成物Pは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合溶媒をそのまま希釈溶剤とする塗布溶液となる。
【0113】
(1−8)粘着剤層の厚さ
本実施形態に係る粘着シート1における粘着剤層11の厚さは、20μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、特に100μm以上であることが好ましく、さらには150μm以上であることが好ましく、180μm以上であることが最も好ましい。また、粘着剤層11の厚さは、1000μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましく、特に500μm以下であることが好ましく、さらには400μm以下であることが好ましく、300μm以下であることが最も好ましい。粘着剤層11の厚さが上記範囲であることで、所望の粘着力を発揮し易くなるとともに、優れた耐ブリスター性を発揮し易いものとなる。
【0114】
(2)剥離シート
剥離シート12a,12bは、粘着シート1の使用時まで粘着剤層11を保護するものであり、粘着シート1(粘着剤層11)を使用するときに剥離される。本実施形態に係る粘着シート1において、剥離シート12a,12bの一方または両方は必ずしも必要なものではない。
【0115】
剥離シート12a,12bとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。また、これらの架橋フィルムも用いられる。さらに、これらの積層フィルムであってもよい。
【0116】
上記剥離シート12a,12bの剥離面(特に粘着剤層11と接する面)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系の剥離剤が挙げられる。なお、剥離シート12a,12bのうち、一方の剥離シートを剥離力の大きい重剥離型剥離シートとし、他方の剥離シートを剥離力の小さい軽剥離型剥離シートとすることが好ましい。
【0117】
剥離シート12a,12bの厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
【0118】
3.粘着シートの製造
粘着シート1の一製造例としては、一方の剥離シート12a(または12b)の剥離面に、上記粘着性組成物Pの塗布溶液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを熱架橋し、塗布層を形成した後、その塗布層に他方の剥離シート12b(または12a)の剥離面を重ね合わせる。養生期間が必要な場合は養生期間をおくことにより、養生期間が不要な場合はそのまま、上記塗布層が粘着剤層11となる。これにより、上記粘着シート1が得られる。
【0119】
上記加熱処理の加熱温度は、50〜150℃であることが好ましく、特に70〜120℃であることが好ましい。また、加熱時間は、10秒〜10分であることが好ましく、特に50秒〜2分であることが好ましい。なお、加熱処理は、所望の対象物に塗布した粘着性組成物Pの塗膜から希釈溶剤等を揮発させる際の乾燥処理で兼ねることもできる。
【0120】
加熱処理後、必要に応じて、常温(例えば、23℃、50%RH)で1〜2週間程度の養生期間を設けてもよい。この養生期間が必要な場合は、養生期間経過後、養生期間が不要な場合には、加熱処理終了後、粘着剤層11が形成される。
【0121】
粘着シート1の他の製造例としては、一方の剥離シート12aの剥離面に、上記粘着性組成物Pの塗布溶液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを熱架橋し、塗布層を形成して、塗布層付きの剥離シート12aを得る。また、他方の剥離シート12bの剥離面に、上記粘着性組成物Pの塗布溶液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを熱架橋し、塗布層を形成して、塗布層付きの剥離シート12bを得る。そして、塗布層付きの剥離シート12aと塗布層付きの剥離シート12bとを、両塗布層が互いに接触するように貼り合わせる。養生期間が必要な場合は養生期間をおくことにより、養生期間が不要な場合はそのまま、上記の積層された塗布層が粘着剤層11となる。これにより、上記粘着シート1が得られる。この製造例によれば、粘着剤層11が厚い場合であっても、安定して製造することが可能となる。
【0122】
上記粘着性組成物Pの塗布溶液を塗布する方法としては、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等を利用することができる。
【0123】
〔構成体〕
図2に示すように、本実施形態に係る構成体2は、第1の構成部材21(一の構成部材)と、第2の構成部材22(他の構成部材)と、それらの間に位置し、第1の構成部材21および第2の構成部材22を互いに貼合する硬化後粘着剤層11’とを備えて構成される。硬化後粘着剤層11’は、前述した粘着シート1の粘着剤層11を、活性エネルギー線照射により硬化させたものである。
【0124】
本明細書において、硬化後粘着剤層11’とは、粘着剤層11が完全に硬化したものをいい、特に、硬化後粘着剤層11’に対して、さらに活性エネルギー線照射した場合における、当該硬化後粘着剤層11’のゲル分率の上昇率が10%以下となるものをいい、特に当該上昇率が5%以下となるものをいう。
【0125】
この硬化後粘着剤層11’を構成する粘着剤は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と架橋剤(B)とから構成される架橋構造を有するとともに、エネルギー線硬化性成分(C)の硬化物(重合物)を含有し、所望により、さらに光重合開始剤(D)および添加剤を含有することが好ましい。この場合、重合したエネルギー線硬化性成分(C)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と熱架橋剤(B)とから構成される架橋構造に絡み付き、高次構造を形成しているものと推定される。
【0126】
硬化後粘着剤層11’は、前述した粘着シート1の粘着剤層11を硬化してなるものであるため、優れた耐ブリスター性を発揮することができる。そのため、本実施形態に係る構成体2では、第1の構成部材21および第2の構成部材22の少なくとも一方における硬化後粘着剤層11’と接触する面が、樹脂材料からなることが好適である。すなわち、このような樹脂材料からアウトガスが発生した場合であっても、本実施形態における硬化後粘着剤層11’によれば、優れた耐ブリスター性を発揮することができるためである。
【0127】
第1の構成部材21および第2の構成部材22の少なくとも一方は、樹脂板であってもよい。当該樹脂板としては、特に限定されることなく、例えば、ポリカーボネート樹脂板、アクリル樹脂板、PET樹脂板、ポリスチレン樹脂板、ポリプロピレン樹脂板、またはそのハイブリット樹脂板等が挙げられる。また、第1の構成部材21および第2の構成部材22の少なくとも一方は、ガラス板であってもよい。上記ガラス板としては、特に限定されることなく、例えば、化学強化ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、ソーダライムガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、アルミノケイ酸ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス等が挙げられる。さらに、第1の構成部材21および第2の構成部材22の少なくとも一方は、樹脂板およびガラス板等を含む積層体であってもよい。
【0128】
また、前述した粘着シート1の粘着剤層11は、紫外線吸収性を有する粘着剤からなるものであり、構成体2の硬化後粘着剤層11’も紫外線吸収性を有するものとなっているため、優れた耐光性(特に、構成体2を構成する部材を紫外線から保護する性能である部材保護性)を発揮することができる。このため、本実施形態に係る構成体2は、紫外線を長期間照射される可能性のあるものであることが好適であり、中でも移動体の外装に取り付けられる表示体であることが好適である。
【0129】
ここで、移動体とは、地上を移動する車両、空中を飛行する飛行体、水上を移動する船舶等を含む概念であり、また、これらの移動は屋外および屋内のいずれかに限られるものではない。本実施形態に係る構成体2は、特に、屋外の移動体の外装に取り付けられる表示体であることが好適である。また、本実施形態に係る構成体2は、車両または飛行体の外装に取り付けられる表示体であることが好適であり、さらには車両の外装に取り付けられる表示体であることが好適であり、とりわけ電子ナンバープレートであることが好適である。本実施形態に係る構成体2が上述した表示体である場合、第1の構成部材21が、カバー材であり、第2の構成部材22が、表示装置であることが好ましい。
【0130】
第1の構成部材21がカバー材である場合、第1の構成部材21は、上述したような樹脂板、ガラス板、樹脂板とガラス板との積層体であってもよい。第1の構成部材21がカバー材である場合、第1の構成部材21の厚さは、0.3mm以上であることが好ましく、特に0.5mm以上であることが好ましく、さらには1.0mm以上であることが好ましい。また、当該厚さは、30mm以下であることが好ましく、特に20mm以下であることが好ましく、さらには10mm以下であることが好ましい。
【0131】
第2の構成部材22が表示体である場合、当該表示体の例としては、液晶(LCD)パネル、発光ダイオード(LED)パネル、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)パネル等が挙げられる。
【0132】
上記構成体2を製造する方法の例としては、第1の構成部材21と第2の構成部材22とを、前述した粘着シート1の粘着剤層11によって互いに貼合する貼合工程と、貼合後の粘着剤層11に対して、第1の構成部材21および第2の構成部材22の少なくとも一方を介して活性エネルギー線を照射し、粘着剤層11を硬化させて硬化後粘着剤層11’を得る照射工程とを含む方法が挙げられる。
【0133】
上記貼合工程においては、例えば、粘着シート1の一方の剥離シート12aを剥離して、粘着シート1の露出した粘着剤層11を、第1の構成部材21の片面に貼合する。次いで、粘着シート1の粘着剤層11から他方の剥離シート12bを剥離して、粘着シート1の露出した粘着剤層11と第2の構成部材22とを貼合して積層体を得る。また、他の例として、第1の構成部材21および第2の構成部材22の貼合順序を入れ替えてもよい。
【0134】
上記照射工程において照射される活性エネルギー線とは、電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものをいい、具体的には、紫外線や電子線などが挙げられる。活性エネルギー線の中でも、取扱いが容易な紫外線が特に好ましい。
【0135】
上記紫外線の光量は、500mJ/cm
2以上であることが好ましく、特に1000mJ/cm
2以上であることが好ましく、さらには2000mJ/cm
2以上であることが好ましい。本実施形態に係る構成体2における硬化後粘着剤層11’は、前述した粘着シート1の粘着剤層11を硬化させたものであるため、500mJ/cm
2程度の光量であっても、十分に硬化した硬化後粘着剤層11’を得ることができる。なお、上記紫外線の光量の上限値は、過度に紫外線を照射し過ぎない観点において、10000mJ/cm
2以下が好ましく、特に8000mJ/cm
2以下が好ましく、さらには5000mJ/cm
2以下が好ましく、3000mJ/cm
2以下であることが好ましい。
【0136】
なお、紫外線の照度は、例えば50〜1000mW/cm
2程度とすることができる。また、紫外線の照射は、高圧水銀ランプ、フュージョンHランプ、キセノンランプ等を用いて行うことができる。
【0137】
一方、電子線を照射する場合、電子線加速器等によって行うことができ、電子線の照射量は、10〜1000krad程度が好ましい。
【0138】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0139】
例えば、粘着シート1における剥離シート12a,12bのいずれか一方は省略されてもよい。
【実施例】
【0140】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0141】
〔実施例1〕
1.(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の調製
アクリル酸2−エチルヘキシル30質量部、アクリル酸n−ブチル25質量部、4−アクリロイルモルホリン5質量部、アクリル酸イソボルニル15質量部、およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル25質量部を溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を調製した。この(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の分子量を後述する方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)60万であった。
【0142】
2.粘着性組成物の調製
上記工程1で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部(固形分換算値;以下同じ)と、架橋剤(B)としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート0.2質量部と、活性エネルギー線硬化性成分(C)としてのε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート8.0質量部と、光重合開始剤(D)としての、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド0.8質量部と、紫外線吸収剤(E)としての、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(CYTEC INDUSTRIES社製,「サイアソーブUV−24」)1.3質量部と、シランカップリング剤としての3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.2質量部とを混合し、十分に撹拌して、メチルエチルケトンで希釈することにより、粘着性組成物の塗布溶液を得た。
【0143】
3.粘着シートの製造
上記工程2で得られた粘着性組成物の塗布溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した重剥離型剥離シート(リンテック社製,製品名「SP−PET752150」)の剥離処理面に、ナイフコーターで塗布したのち、90℃で1分間加熱処理して塗布層(厚さ:200μm)を形成した。得られた塗布層付きの重剥離型剥離シートにおける塗布層側の面と、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した軽剥離型剥離シート(リンテック社製,製品名「SP−PET381130」)の剥離処理面貼合し、23℃、50%RHの条件下で7日間養生することにより、重剥離型剥離シート/粘着剤層(厚さ:200μm)/軽剥離型剥離シートの構成からなる粘着シートを作製した。
【0144】
なお、上記粘着剤層の厚さは、JIS K7130に準拠し、定圧厚さ測定器(テクロック社製,製品名「PG−02」)を使用して測定した値である。
【0145】
また、前述した重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<測定条件>
・GPC測定装置:東ソー社製,HLC−8320
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK gel superH−H
TSK gel superHM−H
TSK gel superH2000
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
【0146】
〔実施例2〜8,比較例1〜5〕
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を構成する各モノマーの組成、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量(Mw)、架橋剤(B)の種類および配合量、活性エネルギー線硬化性成分(C)の種類および配合量、光重合開始剤(D)の種類および配合量、紫外線吸収剤(E)の配合量ならびにシランカップリング剤の配合量を表1に示すように変更する以外、実施例1と同様にして粘着シートを製造した。
【0147】
〔試験例1〕(差スペクトルに関する測定)
実施例および比較例で得られた粘着シートに対して、軽剥離型剥離シート越しに以下の条件で紫外線を照射して、粘着剤層を硬化させた。
<紫外線照射条件>
・高圧水銀ランプ使用
・照度200mW/cm
2,光量2000mJ/cm
2
・UV照度・光量計はアイグラフィックス社製「UVPF−A1」を使用
【0148】
続いて、硬化後の粘着剤層から軽剥離型剥離シートおよび重軽剥離型剥離シートを剥離した後、硬化後の粘着剤層における紫外線を照射した面(照射面)および当該照射面とは反対側の面(非照射面)のそれぞれについて、フーリエ変換赤外分光分析装置(Perkin Elmer社製,製品名「Spectrum One」)を使用して、全反射測定法(ダイヤモンドを使用、測定範囲:400〜4000cm
−1)により、赤外吸収スペクトルを測定した。
【0149】
そして、照射面についての赤外吸収スペクトルから非照射面についての赤外吸収スペクトルを差し引くことで、差スペクトルを取得した。さらに、当該差スペクトルについて、波数700〜1000cm
−1の範囲における吸光度の絶対値の最大値を特定した。当該最大値を、光量「2000mJ/cm
2」についての差スペクトルに関する最大値として、表2に示す。
【0150】
また、紫外線照射を行わず、紫外線照射による硬化を行っていない粘着剤層についても、上記と同様に最大値を特定した。その最大値を、「未照射」についての差スペクトルに関する最大値として表1に示す。さらに、紫外線照射条件の光量を200mJ/cm
2および1000mJ/cm
2に変更した粘着剤層についても、それぞれ上記と同様に最大値を特定した。これらの最大値を、それぞれ「200mJ/cm
2」および「1000mJ/cm
2」についての差スペクトルに関する最大値として表2に示す。
【0151】
〔試験例2〕(ゲル分率の測定)
実施例および比較例で得られた粘着シートを80mm×80mmのサイズに裁断して、その粘着剤層をポリエステル製メッシュ(メッシュサイズ200)に包み、その質量を精密天秤にて秤量し、上記メッシュ単独の質量を差し引くことにより、粘着剤のみの質量を算出した。このときの質量をM1とする。
【0152】
次に、上記ポリエステル製メッシュに包まれた粘着剤を、室温下(23℃)で酢酸エチルに24時間浸漬させた。その後粘着剤を取り出し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、24時間風乾させ、さらに80℃のオーブン中にて12時間乾燥させた。乾燥後、その質量を精密天秤にて秤量し、上記メッシュ単独の質量を差し引くことにより、粘着剤のみの質量を算出した。このときの質量をM2とする。ゲル分率(%)は、(M2/M1)×100で表される。これにより、粘着剤のゲル分率を導出した。その結果を、「未照射」のゲル分率として表2に示す。
【0153】
また、実施例および比較例で得られた粘着シートに対して、軽剥離型剥離シート越しに、次の紫外線照射条件で紫外線(UV)を照射し、粘着剤層を硬化させた。
<紫外線照射条件>
・高圧水銀ランプ使用
・照度200mW/cm
2,光量2000mJ/cm
2
・UV照度・光量計はアイグラフィックス社製「UVPF−A1」を使用
【0154】
この硬化後の粘着剤層の粘着剤についても、上記と同様にしてゲル分率(%)を導出した。その結果を、「2000mJ/cm
2」のゲル分率として表2に示す。
【0155】
さらに、紫外線照射条件の光量を200mJ/cm
2および1000mJ/cm
2に変更した粘着剤層についても、上記と同様にゲル分率(%)を導出した。これらの結果を、それぞれ「200mJ/cm
2」および「1000mJ/cm
2」のゲル分率として表2に示す。
【0156】
また、「2000mJ/cm
2」のゲル分率から「未照射」のゲル分率を差し引くことで、ゲル分率の差(ポイント)算出した。その結果も表2に示す。
【0157】
〔試験例3〕(粘着剤層の貯蔵弾性率の測定)
実施例および比較例で作製した粘着シートから重剥離型剥離シートおよび軽剥離型剥離シートを剥離し、これにより得られた粘着剤層を複数層積層することで、厚さ3mmの積層体とした。得られた粘着剤層の積層体から、直径8mmの円柱体(高さ3mm)を打ち抜き、これをサンプルとした。
【0158】
上記サンプルについて、JIS K7244−6に準拠し、粘弾性測定器(REOMETRIC社製,製品名「DYNAMIC ANALAYZER」)を用いてねじりせん断法により、以下の条件で貯蔵弾性率(G’)(MPa)を測定した。その結果を、「未照射」の貯蔵弾性率として表2に示す。
測定周波数:1Hz
測定温度:23℃
【0159】
また、実施例および比較例で得られた粘着シートに対して軽剥離型剥離シート越しに以下の条件で紫外線を照射することで硬化させた粘着剤層についても、上記と同様にサンプルを作製し、貯蔵弾性率(G’)(MPa)を測定した。その結果を、「2000mJ/cm
2」の貯蔵弾性率として表2に示す。
<紫外線照射条件>
・高圧水銀ランプ使用
・照度200mW/cm
2,光量2000mJ/cm
2
・UV照度・光量計はアイグラフィックス社製「UVPF−A1」を使用
【0160】
〔試験例4〕(粘着力の測定)
実施例および比較例で得られた粘着シートから軽剥離型剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層を、易接着層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡社製,製品名「PET A4300」,厚さ:100μm)の易接着層に貼合し、重剥離型剥離シート/粘着剤層/PETフィルムの積層体を得た。得られた積層体を25mm幅、100mm長に裁断した。
【0161】
続いて、23℃、50%RHの環境下にて、裁断後の上記積層体から重剥離型剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層をソーダライムガラス(日本板硝子社製)に貼付し、栗原製作所社製オートクレーブにて0.5MPa、50℃で、20分加圧することで、測定用サンプルを得た。
【0162】
当該測定用サンプルを、23℃、50%RHの条件下で24時間放置した後、引張試験機(オリエンテック社製,テンシロン)を用い、剥離速度300mm/min、剥離角度180度の条件で粘着力(N/25mm)を測定した。ここに記載した以外の条件はJIS Z 0237:2009に準拠して、測定を行った。その結果を、「未照射」の粘着力として表2に示す。
【0163】
また、上記と同様に作製した測定用サンプルについて、PETフィルム越しに以下の条件で紫外線を照射することで粘着剤層を硬化させた。当該硬化後の測定用サンプルについても、上記と同様に粘着力(N/25mm)を測定した。その結果を、「2000mJ/cm
2」の粘着力として表2に示す。
<紫外線照射条件>
・高圧水銀ランプ使用
・照度200mW/cm
2,光量2000mJ/cm
2
・UV照度・光量計はアイグラフィックス社製「UVPF−A1」を使用
【0164】
〔試験例5〕(透過率の測定)
実施例および比較例で得られた粘着シートにおける粘着剤層について、波長300〜500nmの光線の透過率(%)を、紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製,製品名「UV−3600」)を用いて測定した。得られた結果のうち、波長360nm、380nmおよび400nmについての透過率(%)を表2に示す。
【0165】
〔試験例6〕(吸光度の測定)
実施例および比較例で使用した光重合開始剤D1〜D3(D1〜D3の詳細は後述の通り)の濃度0.1質量%のアセトニトリル溶液を調製し、その溶液における波長200〜500nmの範囲の吸光度を、紫外可視近赤外(UV−Vis−NIR)分光光度計(島津製作所社製,製品名「UV−3600」,光路長10mm)を使用して測定した。その結果に基づき、波長380nmの吸光度、および波長200〜500nmの吸光度における吸収極大波長(nm)を導出した。結果は以下の通りである。
【0166】
[D1(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)]
波長380nmの吸光度:1.5
極大吸収波長:295nm,368nm,380nm,393nm
[D2(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)]
波長380nmの吸光度:1.8
極大吸収波長:295nm,370nm)
[D3(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)]
波長380nmの吸光度:0
極大吸収波長:246nm,280nm,333nm
【0167】
〔試験例7〕(耐ブリスター性の評価)
実施例および比較例で得られた粘着シートの粘着剤層を、厚さ1.1mmの無アルカリガラス板と、プラスチック板(三菱ガス化学社製,製品名「ユーピロン・シート MR−58U」,厚さ:0.7mm)とで挟んだ。その後、50℃、0.5MPaの条件下で30分間オートクレーブ処理し、常圧、23℃、50%RHにて24時間放置した。
【0168】
次に、粘着剤層に対して、上記プラスチック板越しに、以下の条件で紫外線を照射し、粘着剤層を硬化させて硬化後粘着剤層とした。これによって、得られた無アルカリガラス板/硬化後粘着剤層/プラスチック板の積層体を測定用サンプルとした。
<紫外線照射条件>
・高圧水銀ランプ使用
・照度200mW/cm
2,光量2000mJ/cm
2
・UV照度・光量計はアイグラフィックス社製「UVPF−A1」を使用
【0169】
上記測定用サンプルに対し、−40℃の低温環境下にて72時間保管する試験、95℃の高温環境下にて72時間保管する試験、85℃、85%RHの高温高湿条件下にて72時間保管する試験、およびキセノンウェザーオメーター(XeWOM)を用いて、波長300〜400nmの光線を照度60W/m
2で500時間照射する試験をそれぞれ行った。
【0170】
そして、その後、硬化後粘着剤層とプラスチック板との界面における状態を目視により確認し、以下の基準により耐ブリスター性を評価した。結果を表2に示す。
○…界面に気泡や浮き・剥がれが生じなかった。
△…界面に浮き・剥がれは生じなかったものの、軽微な気泡が生じた。
×…界面に気泡や浮き・剥がれが生じた。
【0171】
〔試験例8〕(耐光性の評価)
実施例および比較例で得られた粘着シートの粘着剤層を介して、ハードコート層付き粘着シート(リンテック社製,製品名「HA137−75K5A」,ハードコート層/基材層/粘着剤層(いずれの層も紫外線吸収性なし))の粘着剤層側の面と、厚さ1.1mmの無アルカリガラス板(紫外線吸収性なし)の片面とを貼り合わせた。その後、50℃、0.5MPaの条件下で30分間オートクレーブ処理し、常圧、23℃、50%RHにて24時間放置した。
【0172】
次に、粘着剤層に対して、上記無アルカリガラス板越しに、以下の条件で紫外線を照射し、粘着剤層を硬化させて硬化後粘着剤層とした。これによって、得られたハードコート層/基材層/粘着剤層/硬化後粘着剤層/無アルカリガラス板の積層体を耐光性評価用サンプルとした。
<紫外線照射条件>
・高圧水銀ランプ使用
・照度200mW/cm
2,光量2000mJ/cm
2
・UV照度・光量計はアイグラフィックス社製「UVPF−A1」を使用
【0173】
上記耐光性評価用サンプルに対し、キセノンウェザーオメーター(XeWOM)を用いて、無アルカリガラス板側から波長300〜400nmの光線を照度60W/m
2で500時間照射した。
【0174】
その後、ハードコート層側の面に対して、カッターナイフを用いて、1cm間隔で10cmの長さの切り込みを縦横10か所ずつ入れることで、1cm四方ずつ区切られた格子状の切り込みを設けた。そして、格子状の切り込みの中央部を指の腹で擦り、ハードコート層の脱落の有無を確認した。ここで、上述した光線の照射によりハードコート層が劣化している場合には、ハードコート層の脱落が生じ易いものとなる。以下の基準に基づいて、硬化後粘着剤層によるハードコート層の脱落を抑制する性能、すなわち耐光性を評価した。結果を表2に示す。
○…基材から脱着しなかった。
×…基材から脱着した。
【0175】
ここで、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を100質量部(固形分換算値)とした場合の粘着性組成物の各配合(固形分換算値)を表1に示す。なお、表1に記載の略号等の詳細は以下の通りである。
[(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)]
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
BA:アクリル酸n−ブチル
ACMO:4−アクリロイルモルホリン
IBXA:アクリル酸イソボルニル
HEA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル
AA:アクリル酸
[架橋剤(B)]
B1:トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート
B2:トリメチロールプロパン変性キシリレンジイソシアネート
B3:1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン
[活性エネルギー線硬化性成分(C)]
C1:ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート
C2:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
[光重合開始剤(D)]
D1:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド
D2:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド
D3:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
【0176】
【表1】
【0177】
【表2】
【0178】
表2から分かるように、実施例で得られた粘着シートを使用して形成される硬化後粘着剤層は、耐ブリスター性および耐光性の両方に優れていた。
活性エネルギー線硬化性および紫外線吸収性を有する粘着剤から構成される粘着剤層11を備える粘着シート1であって、粘着剤層11の片面に対して光量2000mJ/cm
の紫外線を照射して硬化させた後、照射面および非照射面について全反射測定法により赤外吸収スペクトルを測定した場合に、照射面の赤外吸収スペクトルから非照射面の赤外吸収スペクトルを差し引いてなる差スペクトルの波数700〜1000cm
の紫外線を照射して硬化させた場合において、粘着剤層11を構成する粘着剤のゲル分率における照射前後の差が、5ポイント以上、50ポイント以下である粘着シート1。かかる粘着シート1によれば、耐光性と耐ブリスター性との両立を良好に実現できる。