(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の吸気口と、第1の成長カラムと、前記第1の吸気口において検出された粒子を計数するための第1の光学素子と、を有する第1の凝縮粒子カウンタであって、当該第1の凝縮粒子カウンタが、前記第1の吸気口において計数された前記粒子に対応する第1の信号を供給するように構成された、第1の凝縮粒子カウンタと、
第2の吸気口と、第2の成長カラムと、前記第2の吸気口において検出された粒子を計数するための第2の光学素子と、を有する第2の凝縮粒子カウンタであって、当該第2の凝縮粒子カウンタが、前記第2の吸気口において計数された前記粒子に対応する第2の信号を供給するように構成された、第2の凝縮粒子カウンタと、
を備えるシステムであって、
前記第1の凝縮粒子カウンタおよび前記第2の凝縮粒子カウンタは、ウィックを含むように構成され、前記ウィックは、水によって濡らされ、
前記システムは、
前記第1の吸気口に結合されかつ前記第2の吸気口に結合された差圧センサであって、圧力信号を供給するように構成された差圧センサと、
メモリに結合され、前記第1の信号、前記第2の信号、および前記圧力信号を受信し、前記第1の信号と前記第2の信号の比に対応する出力を生成し、前記比を前記圧力信号と相関させるように構成されたプロセッサと、
前記第1の凝縮粒子カウンタおよび前記第2の凝縮粒子カウンタ、前記差圧センサ、前記プロセッサ、および前記メモリを収容するように構成されたハウジングと、
をさらに備える、システム。
前記ハウジングに結合された加速度計をさらに含み、前記加速度計は、検知された加速度に対応する加速度信号を供給するように構成されており、前記プロセッサは、前記加速度信号を受信するように構成される、請求項1に記載のシステム。
前記ウィックは、ナイロン、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、ポリエチレン、ステンレススチール、焼結材料、セラミック、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ニトロセルロース、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、または親水性材料から選択された材料を含む、請求項1に記載のシステム。
前記第1の吸気口は、第1のチューブの第1の端部に結合するように構成され、前記第1のチューブは、保護マスクに結合された第2の端部を有する、請求項1に記載のシステム。
前記第2の吸気口は、第2のチューブの第1の端部に結合するように構成され、前記第2のチューブは、前記保護マスクの近くで終端する第2の端部を有する、請求項12に記載のシステム。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本ユーザ案件の一例は、インサイチュレスピレータフィットテスト用の二重流路超微粒子カウンタを含む。インサイチュレスピレータフィットテストは、ユーザにレスピレータを取り付けて行われ、一部の例では、身体上フィットテストと呼ばれる。
【0009】
一例は、保護マスクをユーザが着用している間の、保護マスクによる濾過可能な気中浮遊汚染物質に対する保護度の測定を対象とする。一例では、マスクのユーザに対する密着性、ならびにマスクのフィルタの効果が評価される。一例は、ユーザが身体活動している間にパラメータを測定するように構成された着用型デバイスである。一例では、レスピレータテストの間のユーザの活動レベルの選択された指数を測定して記録し、それによって、レスピレータ性能を劣化させることがある環境または活動の種類の調査が容易になる。
【0010】
レスピレータの密着性は、ユーザの活動レベルに依存することがある。本ユーザ案件の一例は、使用中のマスクによる保護レベルの評価を対象とする。そのような評価は着用型センサによって対処することができる。
【0011】
一例は、保護マスクの使用時効果を評価するための着用型デバイスを含む。保護度は、マスクのすぐ外側の浮遊微小粒子の個数濃度、およびマスク内部、ユーザの呼吸域内の濃度を測定する水ベース凝縮粒子カウンタを使用して判定することができる。これらの浮遊微小粒子は、マスクを貫通する濾過されない空気の量についてのトレーサとして働く。マスクの内部の粒子個数濃度に対するマスクの外部の粒子個数濃度の比は「防護係数」と呼ばれる。
【0012】
本ユーザ案件の一例は、超微粒浮遊微小粒子、すなわち、直径が約10nm〜約200nmの範囲の浮遊微小粒子の個数濃度を測定するように構成することができる。これらの超微粒子は当然のことながら、大気中に極めて大量に存在する。保護マスクのすぐ外側および保護マスク内部の超微粒子濃度を計数することによって、環境粒子を対象として使用して、数秒からなる105個を超える程度の期間にわたって防護適性係数を検証することが可能である。したがって、試験用に粒子を立ち込めさせる必要なしに環境粒子を使用して測定を行うことができる。
【0013】
超微粒浮遊微小粒子を単一粒子レベルで検出できるようにするには凝縮成長が必要である。凝縮粒子カウンタの一例は、20nm程度の超微粒子を検出することができる。市販の凝縮粒子カウンタの一例は、ユーザを着座させユーザに卓上機器が取り付けられる静止試験向けに設計される。これは、ユーザが走る、跳躍する、または他の身体活動を行っている間の測定には適していない。
【0014】
本ユーザ案件の一例は、ユーザが身体活動している間保護マスクの内部と外部の両方での超微粒子濃度を測定するように構成された着用型二重流路水ベース凝縮粒子カウンタを含む。一例は、2つの流路を有し、保護マスクの内部と外部で粒子濃度を同時に測定することを可能にする。
【0015】
本ユーザ案件の一例は、測定の間のユーザの活動レベルを評価するための加速度計を含む。本ユーザ案件の一例は、マスク全体にわたる圧力降下を検出するための差圧センサを組み込んでおり、この圧力降下は、ユーザの呼吸の特性および呼吸数を示す。本ユーザ案件の一例は、2つの測定流路の各々のアクティブフロー監視を可能にする。一例では、すべてのこれらのデータが、共通のタイムスタンプとともに内蔵メモリに記録され、それによって、漏れが検出されたときに、その漏れをユーザの活動および呼吸と相関させることができる。従来技術のアルコールベース凝縮粒子カウンタとは異なり、本ユーザ案件の一例は、水ベース凝縮方法を使用しており、したがって、この有機溶剤にユーザをさらすことがなくなるとともに、特別な供給物品が不要になる。さらに、本ユーザ案件の一例は、バッテリー駆動であり、モーショントレランス性が高く、小型である。本ユーザ案件は、ユーザのベスト、ベルト、またはバックパックに取り付けることができる。本ユーザ案件は、測定の間ユーザによって着用されてもよく、能動的な身体上測定が可能になる。
【0016】
発明者らは、特に、発明が解決しようとする課題には、活動するユーザによって着用されたときのレスピレータの密着性の測定を含めることができることを認識した。本ユーザ案件は、保護マスクを着用して周囲環境と除菌空気環境の両方で粒子数を測定すること、ならびに粒子数測定値をユーザ活動レベルの程度と相関させることなどによって、この問題の解決手段を実現するのを助けることができる。
【0017】
これらの非限定的な例の各々は、互いに独立させることができ、または他の例のうちの1以上と、様々な変形を施すことなどによって組み合わせることができる。
【0018】
この概要は、本特許出願のユーザ案件の概要を示すものである。この概要は、本発明の排他的または網羅的な説明ではない。詳細な説明は、本特許出願に関するさらなる情報を提供するために含められている。
【0019】
特許または出願ファイルは、少なくとも1つのカラー図面を含む。カラー図面を含む本特許または特許出願のコピーが、要求に応じておよび必要な手数料の支払いに応じて特許庁によって提供される。
【0020】
図面は必ずしも正確な比率で描かれていないが、それぞれに異なる図において、同じ数字は同様の構成要素を表している。異なる下付き文字を有する同じ数字は、同様の構成要素のそれぞれに異なる例を表すことがある。図面は一般に、本明細書で説明する様々な実施形態を限定ではなく一例として示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本主題の一例は、バッテリー駆動されモーショントレランス性の高い小型機器内で2つの流路における超微粒子濃度個数の同時測定を可能にする。この超微粒子検出のための技法は、モーショントレランス性が高い水ベース粒子凝縮方法を使用する。そのような方法の一例は、特許文献1(Heringら、2017年)に記載されており、特許文献1は、特許文献2(Heringら、2014年)に記載された3段階層流水凝縮技術に基づく。この方法は、アルコールではなく水を使用して凝縮物を超微粒子に添加し、光学的に検出可能な液滴を形成する。さらに、内部で水蒸気が捕捉され、それによって、液体を補充することなく、かつ水容器なしで動作を維持することが可能になる。この技術に基づくユニットは、ぶつかり、揺れ、または姿勢の影響を受けず、この特徴は水容器をなくしたことによるものである。
【0023】
本主題の一例は、着用型レスピレータ保護評価システムを含む。一例は、レスピレータフィットテスト測定向けに構成される。
【0024】
一例は、2つの流路を有し、一方の流路は、保護マスク内部の空間からサンプルを採取し、一方の流路は、マスクのすぐ外側から周囲空気を採取する。一例では、保護マスク内部のユーザの呼吸空間にレスピレータ飲料チューブを介して到達する。たとえば、レスピレータの飲料チューブポートに結合された可撓性チューブを使用して粒子を測定することができる。
【0025】
各流路内の流れは、成長チューブを通過するように構成され、成長チューブにおいて、超微粒子が水凝縮によって拡大されて液滴を形成し、このような液滴が、後で光学検出器によって計数される。これによって、超微粒子をマスク内部とマスクのすぐ外側で同時に検出することができる。
【0026】
この2つの値の比は、保護マスクによる即時保護の程度を表す。一例では、データが1秒おきに報告され、この防護係数の秒単位の読取値が生成される。
【0027】
これらの粒子濃度測定に加えて、本主題の一例ではまた、(1)ユーザの呼吸の深さおよび速度、ならびに(2)ユーザの動きの量のインジケータも監視する。これらの因子は、密着がユーザ活動に依存し得ることから保護マスクの効果を調査するのを容易にすることができる。ユーザの呼吸は、
図1に示すようにマスク全体にわたる圧力降下を検出する差圧センサによって示される。空気が通過するフィルタが圧力降下を生じさせ、この圧力降下は空気流の速度に依存する。したがって、マスク内部と外部との圧力差は呼吸ごとに変動し、その変動の範囲は、ユーザがどれだけ速く空気を引き込むかに依存する。したがって、この測定値はユーザの呼吸の特性および速度を示す。本主題の一例では、このパラメータは、10Hzの割合で記録され、それによって、個々の呼吸を追跡することができる。
【0028】
ユーザの動きおよび姿勢を内蔵加速度計によって監視することができ、加速度計は、50Hzの割合で3つの座標(x、y、およびz方向)の各々において加速度を検出する。このデータセットは、ユーザが静止しているか、歩いているか、走っているか、跳躍しているかなどを判定するのに十分である。これらのすべてのデータは、加速度計内部に共通のタイムスタンプとともに記録され、それによって、漏れが検出されたときに、その漏れをユーザの活動および呼吸と相関させることができる。
【0029】
本主題の一例は、2つの測定流路の各々のアクティブフロー監視を含む。各光学ヘッドから出た流れが、流量測定オリフィスを通過し、圧力トランスデューサが、各流路における流量の読取値を得るように較正される。これによって2つの流路の各々において1秒の時間スケールでアクティブフロー測定が可能になる。これによって、激しい呼吸によって流路間の分流が一時的に変化した場合でも、粒子濃度測定値、すなわち、採取される空気の体積に対する粒子数の比の精度が維持される。測定値が
図1に示されている。
【0030】
本主題の一例では、
図2に示すように、二重流路水凝縮成長チューブおよび小型光学検出器の対において、特許文献1における技術のようなモーショントレランス性の高い粒子凝縮技術を利用する。
【0031】
二重流路成長チューブは、3つの段階を有し、3つの段階は、各々が別々の温度であり、段階間で毛細管作用を介して水を送る連続ウィックによって連結されている。第1の段階は、「コンディショナ」と呼ばれ、流入流を冷却し加湿する。第2の段階は、「イニシエータ」と呼ばれ、流れに水蒸気を加える温かい濡れた壁を有し、それによって、超微粒子の凝縮成長を開始させるのに必要な過飽和が形成される。第3の段階は、「モデレータ」と呼ばれ、流れを冷却し、過飽和条件を維持しつつ水蒸気を回収する。コンディショナ段階およびモデレータ段階内で回収された水は、毛細管作用を介してイニシエータに送られ、そこで蒸発して過飽和を形成する。
【0032】
図2は、二重流路設計における最小化を可能にするためのいくつかの設計態様を示す。3つの段階はブロック21、22、および23によって示されており、一方、光学ヘッド26Aおよび26Bは頂部に位置している。この機器は、3つの熱電気デバイスを使用し、各熱電気デバイスは、共通のヒートシンクを有するヒートポンプとして動作させられる。空気は流路当たり100cc/分で流れる。熱電気デバイスのサイズおよび段階間の継手を、電力消費量を低減させるように調整することができる。光学検出器は、前方散乱検出器の最小化バージョンとすることができる。全焦点距離が維持されたが、各光学ヘッドの幅を1.3インチ(3.30cm)から0.75インチ(1.91cm)に縮小することができる。レーザモジュールは、レーザが位置合わせを可能にするように構成することができ、一方、2つの光学検出器は所定の位置に、すなわち並んで取り付けられる。これらの電子機器は、レーザ制御装置をフォトダイオード検出器電子機器とともに、光学ヘッドに取り付けられた単一のボード上に備えるように構成することができる。一例では、光学系は、完全なモジュールとして構成され、容易に交換することができる。
【0033】
一例は、選択された構成要素および電子機器を小型パッケージに収容するための折畳式基板を含む。ディスプレイおよびマイクロプロセッサチップは、機器の頂部に取り付けられた1つのボード上に位置する。これはエッジコネクタを介して電力盤に接続され、電力盤は、マイクロコネクタ、温度センサ、熱電気デバイス、ポンプなど用のマイクロコネクタ、ならびにUSBおよび電力コネクタを有する。これによって、より薄く、より人間工学的に優れたパッケージが得られる。
【0034】
電気ケーブルおよび圧力センサ接続部を考慮して構成要素を慎重に配置することによってさらなる小型化を実現することができる。
図3は、ケース内の一例の内面図であり、ケース内の内部構成要素の取り付け状態を示す。この例では、電力基板は、左辺に沿って位置し、頂部においてディスプレイボードに接続される。リボンケーブルがメインボードと光学ボードとの間に延びている。電力盤上の様々なマイクロコネクタが側面に取り付けられ、各構成要素まで直線状に延びている。
【0035】
図4は、本主題の一例の外観図を示す。吸気口が前面上に位置し、低効率フィルタによって保護されている。通気流が底面から排気される。バッテリードアも前面上に位置し、容易に手を届かせることができる。ピグテールによってバッテリーを交換することができる。ディスプレイは、頂面上に配置され、デバイスがパウチ内に設置されたときまたはデバイスがオペレータによって保持されている間も見ることができる。組み立て後のシステムが
図5に示されている。バッテリーは、ケースの外側のドアを介して手を届かせることができる。吸気口はバッテリードアを貫通しており、現場で交換可能なダストフィルタを含む。サイズは860cm
3であり、重量はバッテリーを含めて780gである。
【0036】
ユーザインターフェースは、
図6に示すように、ユニットの頂部に取り付けられたディスプレイ(スクリーン)およびボタンによって実現される。ソフトウェアは、メニュードリブン式であり、操作用にアップ/ダウンおよびエンターおよびエスケープボタンが設けられている。電源(オン/オフ)ボタンは、3秒よりも長く押されたときに電源のオンオフを切り替え、他の場合にはエスケープとして働き、ユーザをメニュー内で1レベル上に移動させる。ユーザインターフェースは、表1に示すように、メインスクリーンと3つのサブスクリーンとを有する。メインスクリーンから、ユーザは「counts」を選択し、「counts」は「concentration」または「ratio」の選択肢を与える。濃度スクリーンの例が
図6に示されており、各流路によって測定された個数濃度が表示されている。この例では、両ラインとも周囲空気からのサンプリングであり、したがって、濃度読取値を比較可能である。比サブスクリーンは、2つの流路間の粒子数の比を表示し、2つの流路間の精度(すなわち、1.0±0.1の範囲内の比)を調べるか、または平均環境粒子濃度を平均マスク内濃度で割った移動5秒比として算出されたリアルタイム防護係数を見るのに有用である。5秒間隔は、平均化に使用することができ、一例では、変数として記憶され、ラップトップを介して選択可能とするかまたはスクリーンから選択可能とすることができる。
【0037】
「fit test」スクリーンは、ユーザが事前にプログラムされたフィットテストを実行するのを可能にする。このソフトウェアは、テストプロトコルを機器に接続されたラップトップを介してプログラムするのを可能にするように構成することができる。オペレータは、「enter」を押して起動し、「escape」を押すことによって任意の時点で終了することができる。一例では、スクリーンはPass/FailステータスおよびProtection Factorを各ステップで示し、テストの終了時に累積(調和平均)Protection Factorを示す。最後に表示される概要スクリーンは、各ステップにおける防護係数を示す。
【0038】
本主題の一例は、内蔵データストレージと、リアルタイムにデータを記憶し伝送するためのWi−Fi機能とを含む。Wi−Fiチャネルは、データをルータに送信し、ルータは次いで、ラップトップコンピュータと通信する。これらのデータは、テキストファイルに記憶され、適切なプログラム(Pythonなど)を介して読み取られ、これらのデータをラップトップによって読取可能にすることができる。内蔵ストレージは、フラッシュメモリを含み、USB接続を介してラップトップにダウンロードされる。一例では、Wi−Fiデータとフラッシュメモリデータは同じファイル構造を共有する。
【0039】
Protection Factorの測定は、非常に低い粒子濃度の測定を伴い、言い換えれば、偽カウントは低くなければならない。このことは、一方のラインでフィルタを用い、他方のラインが周囲空気を採取しながら、長時間(一晩中など)にわたって流路の対を動作させることによって試験することができる。結果の一例が
図7Aおよび
図7Bに示されている。環境粒子濃度は2,000/cm
3〜10,000/cm
3の範囲になったが、濾過空気のラインでは1個未満/時間となった。この1個が防護係数の30秒の読取の間に生じたとしても、対応するマスク内濃度は0.02/cm
3になり、(環境濃度2,000/cm
3において)示される防護係数は105になる。
【0040】
本主題の一例による臨床試験データが
図8Aおよび
図8Bに示されている。防護係数を評価する場合と同様に、一方のサンプリングラインをレスピレータに接続することができ、他方のサンプリング周囲空気をレスピレータに接続することができる。内蔵センサによって測定された加速度、各流路内の個数濃度、ならびに近傍の卓上凝縮粒子カウンタから得た個数濃度、(5秒移動平均として算出された)得られた防護係数が示されている。レスピレータを所定の位置に取り付けると、レベル2システムによって示される防護係数は350から3,500まで変化し、ユーザが立っている間の平均値は4,900であり、ユーザが跳躍している間の平均値は1,100であった。レスピレータを取り外すと、防護係数は0.92となり、両方の流路による環境粒子の測定値が10%内であることが示された。
【0041】
図9A〜
図9Eは、身体上テストについての結果を示し、ここではユーザが着用するベスト上にレスピレータが取り付けられている。この場合の結果は、ケミカルバイオロジカルオペレーショナルアナリシス(Chemical Biological Operational Analysis、CBOAと呼ばれる)の間に行われ、ユーザが途中までマスクを着用するテストを示すことができる。
【0042】
x軸、y軸、およびz軸の各々における加速度計データが
図9Aに示されており、これらのデータはこのテストでは概ね小さかった。一方のトレース上の1−g読取値は重力およびユニットの姿勢を示す。差圧データは、マスクの外部からの空気圧とマスク内部の空気圧との差であり、
図9Bに示されている。
図9のこの例では、差圧は、ユーザが保護マスクを着用した午前9:02直後までほぼゼロである。10Hzで記録されたその後の圧力変動は、ユーザがレスピレータを介して呼吸したことによって生じた圧力降下および過圧によるものである。
図9Cは、流路ごとの流量読取値を示し、読取値は5%変動しているが、これらは主に、ユーザの呼吸によるものではなく、ポンプによって生じる脈動に起因するものである。データはこれらの流量変動に対して補正される。
図9Dは、1秒おきに報告された外部/マスク内粒子濃度比として算出された1Hz防護係数を示す。マスク内部の粒子数が0であるとき、無限防護係数を防止するために濃度に対応する0.5個を想定する。マスクを着用する前、報告される防護係数は約1であり、流路間の一致を示す。マスクを用いた場合、防護係数は約2000であった。
【0043】
同じテストにおける以後のデータは
図10に示されているとおりである。この図は、CBOAの間に行われ、ユーザが最初から最後までマスクを着用したときの身体上テストを示す。
【0044】
この場合、ユーザの活動中には防護係数がかなり変動することが明らかであり、1秒平均値は30〜50,000の範囲であった。
図10A、
図10B、
図10C、
図10D、および
図10Eとして示されたプロットは、本システムの一例によって得ることのできるデータの種類を示す。さらに、データは、マスクを着用したときにはマスク性能が変動することを示している。
【0045】
追加事項
本主題の一例は、ユーザが身体活動している間、濾過されない空気のユーザの呼吸域への進入量を同時に測定し、さらに呼吸数および加速度計読取値によって示されるユーザの活動レベルを同時に検出し記録することによって、レスピレータによる保護を測定するための着用型デバイスを含む。小型バッテリー駆動着用型ユニットにおいて、システムは、レスピレータ防護係数を測定することと同時にユーザ活動レベルの重要指標を測定することと組み合わせる。さらに、一例では、アルコールではなく水を使用して超微粒子検出を可能にし、2つの流路を単一のユニットとして組み合わせる。加速度計センサおよび内部/外部マスク差圧センサを備える着用型二重流路水ベース超微粒子計数は、使用時のレスピレータの密着性および完全性をよりよく理解する機会を与える。
【0046】
一例の選択される特徴には以下が含まれる。
− マスクの内部および外部で同時検出するための二重流路
− 約7nm粒子の検出
− 蒸留水または水道水で動作可能(アルコールを必要としない)
− 流路間の±10%精度
− 防護係数に対する1Hz分解能
− ±2gのモーショントレランス性
− 4時間を超えるバッテリー動作
− 各流路のアクティブフロー監視
− 内蔵50Hz加速度計読取値(ユーザの動きを示す)
− 内蔵装置によるマスク全体にわたる差圧の10Hz測定(呼吸を示す)
− 内部データロギング
− Wi−Fiを介したデータ伝送
− 標準フィットテストを備えること
− 780g、860cm
3パッケージ
− ベスト、ベルトストラップ、またはバックパックに取り付けるのを可能にするための移動ポケット
− ソフトウェアが、1以上のユニットからのデータが受信されたときにそのデータを受け付け、処理し、表示する。
【0047】
性能データは、以下を示す。
− 7nmのより低い検出閾値
− 環境粒子個数濃度の値を市販の凝縮粒子カウンタによって得られる粒子個数濃度の値と比較可能
− 姿勢に対する不感応性
− 揺れおよび±2gの加速度に対する不感応性
− 1/時間未満の偽計数率
− ユーザが動いている状態を含め、保護マスクの内部および外部を測定するための実証された機能。
【0048】
本主題の一例では、各々が別個の成長チューブおよび互いに別個の光学系を有する2つの流路を使用する。単一の流路および弁またはスイッチによって選択されるポートを使用するシステムとは異なり、2つのポートを同時に測定することができる。一例では、共通の熱ユニット(加熱および冷却)を使用する。
【0049】
本主題の一例のプロセッサは、差圧センサからの圧力信号を処理し、呼吸数および関連する活動を認識するように構成することができる。
【0050】
ウィック材料には、ナイロン、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、ポリエチレン、ステンレススチール、焼結材料、セラミック、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ニトロセルロース、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはその他の親水性材料を含めることができる。ウィックは、完全な可湿性を有し、毛細管作用によって粒子を送るように設計され、小さい孔(サブミクロン)、一様な孔を有する。
【0051】
ウィックは、蒸留水または水道水によって濡らされる。補給水用の容器を必要としない。自己持続水ウィックを使用する。
【0053】
非特許文献
Hering, S.V.、 Lewis, G.S.、 Spielman, S.R.(2018) A MAGIC Concept for Self−Sustained, Water based, Ultrafine Particle Counting、Aerosol Science and Technology(受理済印刷中).
【0054】
Hering, S. V.、 Speilman, S. R.、 Lewis, G. L. Moderated, water−based condensational growth of particles in a laminar flow、Aerosol Science and Technology 48:401〜40頁、 2014.
【0055】
様々な留意事項
上記の説明は、添付の図面の参照を含み、図面は詳細な説明の一部を形成する。図面は、一例として、本発明を実施することができる特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「例」とも呼ばれる。そのような例は、図示または説明した要素の他の要素を含むことができる。しかし、発明者らは、図示または説明した要素のみが設けられた例も企図する。さらに、発明者らは、本明細書で図示または説明した特定の例(またはその1つもしくは複数の態様)、または他の例(またはその1つもしくは複数の態様)に対する、図示または説明した要素(またはその1つもしくは複数の態様)の任意の組合せまたは変形を使用する例も企図する。
【0056】
本文献と参照によりそのように組み込まれた文献との間で使用状況が矛盾する場合、本文献における使用状況が優先される。
【0057】
本文献では、特許文献では一般的であるが、任意の他の例または「少なくとも1つ」もしくは「1つ以上」の使用とは無関係に1以上を含めるために、「a」または「an」という用語が使用される。本文献では、「or」という用語は包括的でない「または」を指すために使用され、別段の指示がない限り、「AまたはB」は「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、および「AおよびBである」を含む。この文献では、「including」および「in which」という用語は、「comprising」および「wherein」という用語の、平易な英語におけるそれぞれの均等物として使用される。また、以下の特許請求の範囲では、「including」および「comprising」という用語はオープンエンドであり、すなわち、クレームにおいてそのような用語の後に列挙される要素の他の要素を含むシステム、デバイス、物品、組成、構成、またはプロセスは依然としてそのクレームの範囲内と見なされる。さらに、以下の特許請求の範囲では、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語が単にラベルとして使用されており、その対象に対する数値要件が課されるわけではない。
【0058】
「平行」、「垂直」、「丸い」、または「方形」などの幾何学的用語は、文脈上他の意味を示す場合を除いて絶対的数学的精度を必要とするものではない。その代わり、そのような幾何学的用語は、製造機能または均等機能に起因する変形を許容する。たとえば、要素が「丸い」または「概ね丸い」と記載されている場合、厳密には円形でない構成要素(たとえば、わずかに楕円形であるかまたは多辺多角形である構成要素)は依然としてこの記載によって包含される。
【0059】
本明細書で説明する方法例は、少なくとも部分的に実現される機械またはコンピュータとすることができる。いくつかの例は、上記の例に記載された方法を実行するように電子デバイスを構成するように動作可能な指示によって符号化されたコンピュータ可読媒体または機械可読媒体を含むことができる。そのような方法の実装形態は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コードなどを含むことができる。そのようなコードは、様々な方法を実施するためのコンピュータ可読指示を含むことができる。このコードは、コンピュータプログラム製品の一部を形成してもよい。さらに、一例では、このコードは、実行時または他の時間などに1以上の揮発性、非一時的、または不揮発性有形コンピュータ可読媒体上に有形的に記憶することができる。これらの有形コンピュータ可読媒体の例には、限定はしないが、ハードディスク、取り外し可能な磁気ディスク、取り外し可能な光ディスク(たとえば、コンパクトディスクおよびデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードまたはスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)などを含めることができる。
【0060】
上記の説明は、例示的なものであり、限定的なものではない。たとえば、上述の例(またはその1つもしくは複数の態様)を互いに組み合わせて使用してもよい。上記の説明を検討した当業者などによって他の実施形態を使用することができる。この技術的開示の特性を迅速に確認するのを可能にするために要約書が設けられている。要約書は、特許請求の範囲または特許請求の範囲の意味を解釈または限定するためには使用されないことを理解しつつ提出されている。さらに、上記の詳細な説明では、開示を合理化するために様々な特徴がグループ化されてもよい。このことは、請求されない開示された特徴を任意のクレームに必須のものとすると解釈すべきではない。正確に言えば、本発明のユーザ案件が特定の開示された実施形態のすべての特徴にあるとは限らない。したがって、以下の特許請求の範囲は、本明細書によって詳細な説明に例または実施形態として組み込まれており、各クレームは別個の実施形態として独立しており、そのような実施形態を様々な組合せまたは変形として互いに組み合わせることができると考えられる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を、そのようなクレームに適用される均等物の全範囲とともに参照して決定すべきである。
システムは、第1および第2の凝縮粒子カウンタを含み、各カウンタは、吸気口と、成長カラムと、それぞれの吸気口において検出された粒子を計数するための光学素子とを有する。カウンタは、水によって濡らされるウィックを含むように構成される。差圧センサは、第1の吸気口に結合され、第2の吸気口に結合される。センサは、圧力信号を供給するように構成される。プロセッサは、メモリに結合され、第1の信号、第2の信号、および圧力信号を受信し、第1の信号と第2の信号の比に対応する出力を生成し、比を圧力信号と相関させるように構成される。ハウジングは、第1のカウンタ、第2のカウンタ、差圧センサ、プロセッサ、およびメモリを収容するように構成される。