(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置関係取得部は、前記正常情報の表示形状の中心点と前記実測データの間の距離と、前記中心点と前記実測データを通る直線と当該直線が交わる前記正常情報の表示形状の辺とがなす角度を、前記正常情報の表示形状における前記実測データの位置関係として算出する
ことを特徴とする請求項1または請求項3記載の機器状態監視装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る機器状態監視装置1の構成を示すブロック図である。機器状態監視装置1は、監視対象の機器の状態値の実測データを、機器の正常な状態を示す正常情報の表示形状と比較した結果に基づいて機器の状態を監視する装置である。機器状態監視装置1は、
図1に示すように、データ取得部11、正常情報取得部12、位置関係取得部13、射影部14、分布推定部15および出力部16を備える。機器状態監視装置1が状態を監視する対象の機器は、機器の各種の状態を検出する各種のセンサが設置されている機器が好ましく、例えば、空気調和機である。
【0014】
データ取得部11は、監視対象の機器の状態値の実測データを取得する。データ取得部11によって、機器の状態を監視する一定期間(例えば、1ヶ月)分の実測データが取得される。実測データは、例えば、機器に設けられた各種センサによって検出されたセンサデータである。監視対象の機器が空気調和機である場合、センサは、例えば、空気調和機の様々な箇所に設置された圧力センサおよび温度センサである。正常情報は、センサデータが示す機器の状態ごとに存在する。
【0015】
正常情報取得部12は、正常情報を取得する。例えば、監視対象の機器が空気調和機である場合、正常情報は、空気調和機の正常な状態でのp−h線図の冷凍サイクルであり、正常情報の表示形状は、当該冷凍サイクル図形である。なお、空気調和機の正常な状態での冷凍サイクル図形は、外気温度に応じて変化する。すなわち、正常情報の表示形状は、外気温度に応じて複数の形状が存在する。
【0016】
また、正常情報取得部12は、圧力センサおよび温度センサによって検出された正常な状態でのセンサデータを用いて、空気調和機の正常な状態での冷凍サイクル(正常情報)を算出することが可能である。すなわち、正常情報取得部12による正常情報の「取得」には、記憶装置に蓄積された正常情報を読み出して取得する場合の他に、機器の状態値の実測データを用いて正常情報を算出して取得することも含まれる。
【0017】
位置関係取得部13は、正常情報の表示形状における実測データの位置関係を取得する。例えば、正常情報の表示形状が多角形である場合、位置関係取得部13は、この多角形における実測データの位置関係として、多角形の中心点と実測データとの間の距離を算出し、多角形の中心点および実測データを通る直線と当該直線が交わる多角形の辺とがなす角度を算出する。多角形の中心点は、例えば、重心である。
【0018】
なお、位置関係取得部13による位置関係の「取得」には、実測データと正常情報を用いて位置関係を算出することの他に、記憶装置に記憶された位置関係データを読み出して取得することも含まれる。
【0019】
射影部14は、複数の正常情報の複数の表示形状と複数の実測データの位置関係に基づいて、複数の実測データを無次元空間へ射影する。ここで、無次元空間とは、複数の正常情報の複数の表示形状が共通の形状で表された空間であり、正常情報の表示形状における実測データの位置関係を用いて表された点(無次元)がプロット(射影)される。
【0020】
共通の形状は、例えば、半径が1の円である。射影部14は、複数の実測データに対応する複数の正常情報の表示形状の中心点を当該円の中心点に当てはめて、正常情報の表示形状の中心点と実測データの位置関係(距離情報および角度情報)を、円形の中心点との位置関係に変換することで、この円を含んだ無次元空間内に複数の実測データをプロットする。無次元空間にプロットされた実測データは、正常情報の表示形状との位置関係で表された無次元値の点である。ただし、無次元空間における点の位置は、正常情報の表示形状と実測データの関係に対応した位置であるため、無次元空間における点の分布は、機器の状態の分布に相当する。
【0021】
分布推定部15は、無次元空間へ射影された複数の実測データに基づいて、機器の状態の分布を推定する。例えば、分布推定部15は、無次元空間にプロットされた複数の点に混合ガウスモデル推定処理を施すことで、無次元空間における点の分布、すなわち、機器の状態の分布を推定する。機器の状態の分布を推定する方法は、無次元空間における点の確率密度分布を推定可能な方法であればよく、例えば、最尤法、ベイズ推定またはEMアルゴリズムを用いることができる。
【0022】
出力部16は、機器の状態の監視に用いられるデータを出力する。機器の状態の監視に用いられるデータとしては、例えば、複数の正常情報の複数の表示形状が共通の形状で表され、共通の形状に対して機器の状態の分布が設定された無次元空間が挙げられる。出力部16は、例えば、表示装置に無次元空間を表示させる。
【0023】
次に、機器状態監視装置1の動作について説明する。
図2は、実施の形態1に係る機器状態監視方法を示すフローチャートであり、機器状態監視装置1の動作を示している。まず、データ取得部11は、監視対象の機器の状態値の実測データを取得する(ステップST1)。例えば、データ取得部11は、機器に設置されたセンサによって逐次検出されたセンサデータ(実測データ)を連続的または周期的に入力することで、機器を監視する一定期間(以下、監視期間と記載する)のセンサデータの時系列、すなわち機器の状態値の時系列データを取得する。なお、実測データを記憶装置に記憶しておき、データ取得部11が、記憶装置から実測データを取得してもよい。
【0024】
次に、正常情報取得部12は、監視対象の機器の状態の正常情報を取得する(ステップST2)。例えば、監視対象の機器が空気調和機であり、正常情報の表示形状が、空気調和機の正常な状態でのp−h線図上の冷凍サイクル図形データである場合、正常情報取得部12は、空気調和機に設置された圧力センサおよび温度センサによって検出された正常な状態でのセンサデータを用いて、正常な状態での冷凍サイクル図形データを算出する。また、外気温度に対応する正常な状態での冷凍サイクル図形データを記憶装置に記憶し、正常情報取得部12が、監視期間の外気温度に対応する冷凍サイクル図形データを、記憶装置から逐次取得してもよい。
【0025】
位置関係取得部13は、正常情報の表示形状における実測データの位置関係を取得する(ステップST3)。
図3Aは、複数の正常情報の表示形状と複数の実測データとの関係を示す図であり、監視対象の機器に設置されたセンサによって検出されたセンサデータ(1)に対するセンサデータ(2)の関係を示すグラフである。例えば、位置関係取得部13は、データ取得部11によって取得された実測データと正常情報取得部12によって取得された正常情報を用いて、
図3Aに示すグラフを作成する。
【0026】
図3Aに示すグラフには、センサデータ(1)およびセンサデータ(2)からなる複数の実測データがプロットされ、これらの実測データにそれぞれ対応した複数の正常情報の形状が表示されている。
図3Aに示すように、センサデータ(1)とセンサデータ(2)から特定される状態が同一であっても、機器の外的環境または使用方法によって正常情報の表示形状が様々に変化する場合がある。正常情報の表示形状にばらつきが生じた場合、
図3Aに示すように、実測データと正常情報の表示形状との対応関係が繁雑になるため、機器の状態を正確に認識できなくなる。
【0027】
そこで、機器状態監視装置1は、複数の実測データを、複数の正常情報の複数の表示形状が共通の形状で表された無次元空間へ射影する。これにより、機器状態監視装置1は、機器の複数の状態を、共通の表示形状に基づいて認識することができる。位置関係取得部13は、実測データを無次元空間に射影するための情報として、正常情報の表示形状における実測データの位置関係を取得する。この位置関係は、例えば、正常情報の表示形状の中心点と実測データとの間の距離情報、および、正常情報の表示形状の中心点と実測データを通る直線と当該直線が交わる正常情報の表示形状の辺とがなす角度情報である。
【0028】
射影部14は、複数の正常情報の複数の表示形状と複数の実測データの位置関係に基づいて、複数の実測データを無次元空間へ射影する(ステップST4)。
図3Bは、複数の実測データが射影された実施の形態1における無次元空間を示す図である。例えば、
図3Bに示すように、射影部14は、複数の実測データに対応する複数の正常情報の表示形状の中心点を、無次元空間における円20の中心点20aに当てはめて、正常情報の表示形状の中心点と実測データとの位置関係を、円20の中心点20aとの位置関係に変換することで、複数の実測データを円20にプロットする。
【0029】
無次元空間における点の位置は、射影前の実測データと正常情報の表示形状との関係に対応した位置である。なお、
図3Bに示す成分(1)は、センサデータ(1)の変動に対応した成分であり、成分(2)は、センサデータ(2)の変動に対応した成分である。
【0030】
分布推定部15は、無次元空間へ射影された複数の実測データに基づいて、機器の状態の分布を推定する(ステップST5)。例えば、分布推定部15は、無次元空間にプロットされた複数の点に対して混合ガウスモデル推定処理を施すことで、
図3Bに示す無次元空間における分布21を推定する。分布21では、実測データに対応する点の数に応じて色または濃淡が決まっており、実測データに対応する点の数は、色が最も濃い領域に最も多く、色が薄くなるに連れて減少する。出力部16は、分布21が設定された無次元空間を、表示装置に表示させる。
【0031】
次に、位置関係取得部13による正常情報における実測データの位置関係の算出処理について詳細に説明する。
図4は、実施の形態1における位置関係算出処理を示すフローチャートであって、
図2のステップST3の処理の詳細を示している。位置関係取得部13は、データ取得部11によって取得された実測データを2次元座標面にプロットし、正常情報取得部12によって取得された正常情報の形状を2次元座標面に表示する(ステップST1a)。
図5は、正常情報の表示形状および実測データを示す図であり、正常情報の表示形状32が表示された2次元座標面にプロットされた実測データ31を示している。
【0032】
図5において、実測データ31は、監視対象の機器に設置されたセンサによって検出されたセンサデータ(1)とセンサデータ(2)から特定される機器の状態値の実測データである。表示形状32は、実測データ31が示す状態についての正常情報であり、頂点32a〜32dの四角形状である。
【0033】
次に、位置関係取得部13は、表示形状32の中心点32eを算出する(ステップST2a)。
図6は、
図5の表示形状32、実測データ31および表示形状32の中心点32eを示す図である。例えば、位置関係取得部13は、表示形状32の外形の重心点を中心点32eとして算出する。
図6において、表示形状32は四角形であることから、位置関係取得部13は、頂点32aと頂点32cを結ぶ対角線と頂点32bと頂点32dを結ぶ対角線との交点を、中心点32eとして算出する。
【0034】
続いて、位置関係取得部13は、表示形状32の中心点32eと実測データ31の間の距離r
aと、表示形状32の中心点32eと実測データ31を通る直線Aと当該直線Aが交わる表示形状32の外形上の辺Bとがなす角度θ
aを算出する(ステップST3a)。
図7は、
図5の表示形状32と実測データ31の位置関係を示す図である。例えば、位置関係取得部13は、実測データ31と中心点32eとを通る直線Aを算出する。この後、位置関係取得部13は、中心点32eと実測データ31との間の距離r
aを算出し、さらに、表示形状32の中心点32eから直線Aと表示形状32の外形上の辺Bとの交点Baまでの距離r
nを算出する。
【0035】
位置関係取得部13は、直線Aの長さである距離r
nに対する距離r
aの相対比r
R(=r
a/r
n)を算出する。続いて、位置関係取得部13は、直線Aと辺Bとがなす角度θ
aを算出する。位置関係取得部13によって算出された相対比r
Rおよび角度θ
aは、表示形状32の中心点32eに対する実測データ31の位置関係データとして、射影部14に出力される。
【0036】
次に射影部14による無次元空間への実測データの射影処理について詳細に説明する。
図8は、実施の形態1における無次元空間への実測データの射影処理を示すフローチャートであって、
図2のステップST4の処理の詳細を示している。
図9は、実施の形態1における無次元空間を示す図である。ここで、無次元空間は、
図9に示すように半径が1の円20が設定された空間である。成分(1)の軸からの角度をθとした場合、円20上の点は(1,θ)で表される。成分(1)は、
図5のセンサデータ(1)の変動に対応した成分であり、成分(2)は、
図5のセンサデータ(2)の変動に対応した成分である。
【0037】
射影部14は、表示形状32における実測データ31の位置関係に基づいて実測データ31を無次元空間へ射影する(ステップST1b)。
図10は、
図9の無次元空間および当該無次元空間に射影された実測データ21aを示す図である。例えば、射影部14は、
図7に示した表示形状32の中心点32eを、
図9に示した無次元空間における円20の中心点20aに当てはめる。次に、射影部14は、距離r
nを、円20の半径に置き換えて、表示形状32の中心点32eから実測データ31までの距離の相対比r
Rと、実測データ31を通る直線Aが表示形状32の辺Bとなす角度θ
aとを用いて、実測データ31を無次元空間にプロットする。これにより、実測データ31が、点(r
R,θ
a)に変換されて無次元空間にプロットされる。
【0038】
この後、射影部14は、表示形状32との位置関係が取得された全ての実測データ31を無次元空間へ射影したか否かを確認する(ステップST2b)。ここで、無次元空間へ射影されていない実測データ31がある場合(ステップST2b;NO)、ステップST1bに戻り、複数の表示形状32の中心点32eが円20の中心点20aに順次当てはめられて、無次元空間への実測データ31の射影処理が実行される。一方、無次元空間へ射影されていない実測データ31がなければ(ステップST2b;YES)、
図8の処理が終了される。
【0039】
分布推定部15は、射影部14によって無次元空間にプロットされた複数の点に対して混合ガウスモデル推定処理を施すことで、
図3Bに示したような無次元空間における分布21を推定する。ここで、分布推定部15によって推定された分布を用いた機器の状態の判定について説明する。
【0040】
図11Aは、無次元空間に射影された実測データの分布21を用いた機器の状態判定の概要を示す図である。分布21は、実測データに対応する点の数に応じて色または濃淡が決まっており、実測データに対応する点の数は、色が最も濃い領域30aに最も多く、色が薄くなるに連れて減少する。
【0041】
図11Aにおいて、成分(1)は、センサデータ(1)の変動に対応した成分であり、成分(2)は、センサデータ(2)の変動に対応した成分である。また、領域30aは、分布21において実測データに対応する点が最も多く、分布21の特性に支配的な影響を与えている。円20は、センサデータ(1)およびセンサデータ(2)からなる実測データが示す機器の正常な状態に対応する。
【0042】
分布推定部15は、分布21の領域30aと円20との位置関係に基づいて、監視対象の機器の状態が正常な状態に近いか否かを判定することが可能である。
図11Aに示す分布21では、領域30aが円20から離れた位置で存在しているので、機器の状態が正常な状態から外れている、すなわち機器の状態が劣化している。このように、機器状態監視装置1では、監視期間における機器の状態の変化傾向を特定することができるので、実測データに偶発的に外れ値が発生しても、その影響が軽減される。
【0043】
図11Bは、無次元空間に射影された実測データの分布21A,21Bを用いた機器の状態劣化判定の概要を示す図である。
図11Bにおいて、分布21Aは、分布推定部15によって推定された機器の状態の分布であり、監視期間(1)に取得された実測データに基づいて推定されたものである。分布21Bは、分布21Aと同じ状態の分布であるが、監視期間(1)よりも時間が経過した監視期間(2)に取得された実測データに基づいて推定された分布である。また、分布21Aおよび分布21Bの外形は、楕円形状である。
【0044】
監視対象の機器の状態が経時変化して分布21Aが分布21Bへ推移する。このとき、分布21Aの中心点30a1から分布21Bの中心点30a2への推移は(r
c,θ
c)で表すことができる。距離r
cは、中心点30a1と中心点30a2の間の距離であり、角度θ
cは、中心点30a1と中心点30a2を結ぶ線分が中心点30a1でなす角度である。同様に、分布21Aの長軸上の点30b1から分布21Bの長軸上の点30b2への推移は(r
m,θ
m)で表すことができ、分布21Aの短軸上の点30c1から分布21Bの短軸上の点30c2への推移は(r
s,θ
s)で表すことができる。
【0045】
分布推定部15は、無次元空間に射影された実測データの分布の推移を表す(r,θ)に基づいて、無次元空間に射影された実測データの分布と、例えば
図11Aに示す円20との位置関係を特定し、特定した位置関係に基づいて、監視対象の機器の状態が劣化したか否かを判定することができる。このように、分布推定部15によって推定された分布の経時的な推移を定量化することで、監視対象の機器の状態劣化を精度よく判定することができる。
【0046】
これまで、無次元空間において複数の正常情報の表示形状を統一した共通の形状が円形である場合を示したが、円形に限定されるものではなく、多角形であってもよい。
【0047】
続いて、実施の形態1に係る機器状態監視装置1の機能を実現するハードウェア構成について説明する。機器状態監視装置1におけるデータ取得部11、正常情報取得部12、位置関係取得部13、射影部14、分布推定部15および出力部16の各機能は、処理回路によって実現される。すなわち、機器状態監視装置1は、
図2のステップST1からステップST5までの処理を実行するための処理回路を備える。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいが、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)であってもよい。
【0048】
図12Aは、機器状態監視装置1の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。
図12Bは、機器状態監視装置1の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。
図12Aおよび
図12Bにおいて、入力インタフェース100は、監視対象の機器に設置されたセンサから機器状態監視装置1へ出力されるセンサデータを中継するインタフェースである。また、出力インタフェース101は、機器状態監視装置1から出力される情報を中継するインタフェースである。
【0049】
処理回路が
図12Aに示す専用のハードウェアの処理回路102である場合、処理回路102は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)またはこれらを組み合わせたものが該当する。機器状態監視装置1におけるデータ取得部11、正常情報取得部12、位置関係取得部13、射影部14、分布推定部15および出力部16の機能を、別々の処理回路で実現してもよく、これらの機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
【0050】
処理回路が
図12Bに示すプロセッサ103である場合、機器状態監視装置1におけるデータ取得部11、正常情報取得部12、位置関係取得部13、射影部14、分布推定部15および出力部16の機能は、ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。なお、ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述されてメモリ104に記憶される。
【0051】
プロセッサ103は、メモリ104に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、機器状態監視装置1におけるデータ取得部11、正常情報取得部12、位置関係取得部13、射影部14、分布推定部15および出力部16の機能を実現する。例えば、機器状態監視装置1は、プロセッサ103によって実行されるときに、
図2に示すフローチャートにおけるステップST1からステップST5の処理が結果的に実行されるプログラムを記憶するためのメモリ104を備える。これらのプログラムは、データ取得部11、正常情報取得部12、位置関係取得部13、射影部14、分布推定部15および出力部16の手順または方法を、コンピュータに実行させる。メモリ104は、コンピュータを、データ取得部11、正常情報取得部12、位置関係取得部13、射影部14、分布推定部15および出力部16として機能させるためのプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
【0052】
メモリ104は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically−EPROM)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVDなどが該当する。
【0053】
機器状態監視装置1におけるデータ取得部11、正常情報取得部12、位置関係取得部13、射影部14、分布推定部15および出力部16の機能の一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、データ取得部11、正常情報取得部12および位置関係取得部13は、専用のハードウェアである処理回路102によって機能を実現し、射影部14、分布推定部15および出力部16は、プロセッサ103がメモリ104に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現する。このように、処理回路はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせにより上記機能を実現することができる。
【0054】
以上のように、実施の形態1に係る機器状態監視装置1は、機器の状態値の実測データを取得するデータ取得部11と、機器の正常な状態を示す正常情報を取得する正常情報取得部12と、正常情報の表示形状における実測データの位置関係を取得する位置関係取得部13と、複数の正常情報の複数の表示形状と複数の実測データの位置関係に基づいて、複数の実測データを、複数の正常情報の複数の表示形状が共通の形状で表された無次元空間へ射影する射影部14と、無次元空間へ射影された複数の実測データに基づいて機器の状態の分布を推定する分布推定部15を備える。これにより、機器の複数の状態を、共通の表示形状に基づいて認識することができる。
【0055】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。