(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
対象領域を撮像している赤外線カメラから出力された画像に含まれている複数の画素のそれぞれの評価値として、前記複数の画素におけるそれぞれの画素値の時間的な推移と、外気温の時間的な推移との類似度を算出する類似度算出部と、
前記画像に含まれている複数の画素のうち、前記類似度算出部により算出された評価値が第1の閾値よりも大きい画素を含む領域が、前記画像の中で、窓が在る領域であると判定する窓領域判定部と
を備えた室内レイアウト推定装置。
前記赤外線カメラから出力された複数の画像のそれぞれに含まれている複数の画素の中で、画素位置が互いに同一の複数の画素を含む複数の画素群のそれぞれの評価値として、それぞれの画素群に含まれている複数の画素における画素値の標準偏差を算出する標準偏差算出部と、
前記複数の画素群の中で、前記標準偏差算出部により算出された評価値が第2の閾値よりも大きい画素群を特定し、それぞれの画像に含まれている複数の画素のうち、特定した画素群に含まれている画素を含む領域が、それぞれの画像の中の前景領域であると判定する前景領域判定部と
を備えたことを特徴とする請求項1記載の室内レイアウト推定装置。
前記画素群特定部は、前記赤外線カメラから、前記複数の画像と撮像時刻が異なる新たな画像が出力される毎に、前記複数の画像の中の一部の画像と前記新たな画像とを含む複数の画像のそれぞれに含まれている複数の画素の中で、画素位置が互いに同一の画素を含む複数の画素群のそれぞれを特定し、
前記偏差算出処理部は、前記画素群特定部によりそれぞれの画素群が特定される毎に、前記画素群特定部により特定されたそれぞれの画素群の評価値として、それぞれの画素群に含まれている複数の画素における画素値の標準偏差を算出することを特徴とする請求項3記載の室内レイアウト推定装置。
前記前景領域判定部により判定されたそれぞれの前景領域に含まれている複数の画素の中で、前記対象領域が存在している空間の鉛直方向に相当する方向で下端の位置に存在している画素を床領域画素として特定し、それぞれの前景領域に含まれている床領域画素の全てを含む領域が、それぞれの画像の中で、床が在る領域であると判定する床領域判定部を備えたことを特徴とする請求項2記載の室内レイアウト推定装置。
前記窓領域判定部により判定された窓が在る領域と、前記床領域判定部により判定された床が在る領域とに基づいて、それぞれの画像の中で、壁が在る領域を判定する壁領域判定部を備えたことを特徴とする請求項5記載の室内レイアウト推定装置。
前記前景領域判定部により判定されたそれぞれの前景領域の中で、人間が存在している領域として人間領域を判定する人間領域判定部を備えたことを特徴とする請求項2記載の室内レイアウト推定装置。
前記人間領域判定部により判定されたそれぞれの人間領域に含まれている複数の画素の中で、前記対象領域が存在している空間の鉛直方向に相当する方向で下端の位置に存在している画素を床領域画素として特定し、それぞれの人間領域に含まれている床領域画素の全てを含む領域が、それぞれの画像の中で、床が在る領域であると判定する床領域判定部を備えたことを特徴とする請求項7記載の室内レイアウト推定装置。
前記窓領域判定部により判定された窓が在る領域と、前記床領域判定部により判定された床が在る領域とに基づいて、それぞれの画像の中で、壁が在る領域を判定する壁領域判定部を備えたことを特徴とする請求項8記載の室内レイアウト推定装置。
類似度算出部が、対象領域を撮像している赤外線カメラから出力された画像に含まれている複数の画素のそれぞれの評価値として、前記複数の画素におけるそれぞれの画素値の時間的な推移と、外気温の時間的な推移との類似度を算出し、
窓領域判定部が、前記画像に含まれている複数の画素のうち、前記類似度算出部により算出された評価値が第1の閾値よりも大きい画素を含む領域が、前記画像の中で、窓が在る領域であると判定する
室内レイアウト推定方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る室内レイアウト推定装置2を含む空気調和機を示す構成図である。
図1において、赤外線カメラ1は、一定の時間間隔Δtで、対象領域を繰り返し撮像し、対象領域を撮像した画像として、撮像時刻tが互いに異なるM個の画像G
1〜G
Mを室内レイアウト推定装置2に出力する。Mは、2以上の整数である。
一定の時間間隔Δtは、例えば、1秒間に10フレーム〜1秒間に60フレームのうちの、いずれかのフレームレートでの撮像を可能とする時間間隔である。
【0011】
対象領域は、後述するエアコン4により空気が調整される部屋の一部又は全体であり、対象領域には、窓、床、壁及び人間のほか、机、パソコン等が存在している。
対象領域は、固定されているため、M個の画像G
1〜G
Mは、同一の対象領域が撮像されている画像である。
画像G
m(m=1,・・・,M)は、x軸と平行な方向(以下、「x方向」と称する)と、y軸と平行な方向(以下、「y方向」と称する)とで表される2次元平面の画像である。例えば、画像G
mのx方向は、対象領域が存在している空間の任意の水平方向に相当し、画像G
mのy方向は、対象領域が存在している空間の鉛直方向に相当する。なお、本明細書において、「平行」は、厳密な意味での平行に限らず、略平行を含んでいる。
画像G
mは、N個の画素p
1,m〜p
N,mを含んでおり、画素p
1,m〜p
N,mにおけるそれぞれの画素値pd
1,m〜pd
N,mは、温度を示すものである。Nは、2以上の整数である。
例えば、M個の画像G
1〜G
Mのそれぞれに含まれている画素p
1,1〜p
1,Mは、画素位置が互いに同一の画素であり、画像G
1〜G
Mのそれぞれに含まれている画素p
2,1〜p
2,Mは、画素位置が互いに同一の画素である。同様に、例えば、画像G
1〜G
Mのそれぞれに含まれている画素p
N,1〜p
N,Mは、画素位置が互いに同一の画素である。
【0012】
室内レイアウト推定装置2は、赤外線カメラ1から出力されたM個の画像G
1〜G
Mに基づいて、対象領域の中で、窓が在る領域(以下、「窓領域」と称する)、床が在る領域(以下、「床領域」と称する)及び壁が在る領域(以下、「壁領域」と称する)のそれぞれを判定する。
室内レイアウト推定装置2は、窓領域の判定結果、床領域の判定結果及び壁領域の判定結果のそれぞれを制御部3に出力する。
【0013】
制御部3は、室内レイアウト推定装置2から出力された判定結果に基づいて、例えば、エアコン4を制御することで、対象領域内の空気を調整する。
エアコン4は、対象領域内の空気を調整する機器である。
図1に示す空気調和機では、制御部3が、エアコン4を制御することで、対象領域内の空気を調整している。しかし、これは一例に過ぎず、制御部3が、扇風機、床暖房機又はパネルヒータ等の機器を制御することで、対象領域内の空気を調整するようにしてもよい。
【0014】
図2は、実施の形態1に係る室内レイアウト推定装置2を示す構成図である。
図3は、実施の形態1に係る室内レイアウト推定装置2のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
室内レイアウト推定装置2は、画像記憶部10、外気温記憶部11、類似度算出部12、窓領域判定部13、標準偏差算出部14、前景領域判定部15、床領域判定部16及び壁領域判定部17を備えている。
【0015】
画像記憶部10は、例えば、
図3に示す画像記憶回路20によって実現される。
画像記憶部10は、赤外線カメラ1から出力されたM個の画像G
1〜G
Mを記憶する。
外気温記憶部11は、例えば、
図3に示す外気温記憶回路21によって実現される。
外気温記憶部11は、例えば、温度計によって、一定の時間間隔Δt’で測定された、測定時刻tが互いに異なるM個の外気温T
1〜T
Mを記憶する。
外気温T
m(m=1,・・・,M)は、対象領域を含む建物の外部の気温であり、対象領域と、建物の外部との間には、窓が存在している。
図2に示す室内レイアウト推定装置2では、外気温記憶部11が、温度計によって測定された外気温T
1〜T
Mを記憶している。しかし、これは一例に過ぎず、室内レイアウト推定装置2の図示せぬ通信部が、例えば、気象データを配信しているインターネット上のサイトから、対象領域を含む建物付近の気温のデータをダウンロードし、外気温記憶部11が、当該気温のデータを外気温T
1〜T
Mとして記憶するようにしてもよい。
【0016】
M個の外気温T
1〜T
Mにおける測定の時間間隔Δt’と、M個の画像G
1〜G
Mにおける撮像の時間間隔Δtとは、同一である。したがって、m番目の外気温T
mの測定時刻t’と、m番目の画像G
mの撮像時刻tとは、同一時刻である。
ただし、測定の時間間隔Δt’と撮像の時間間隔Δtとは、厳密に同一であるものに限るものではなく、実用上問題のない範囲で、測定の時間間隔Δt’と撮像の時間間隔Δtとが互いに異なっていてもよい。また、m番目の測定時刻t’と、m番目の撮像時刻tとは、厳密に同一であるものに限るものではなく、実用上問題のない範囲で、m番目の測定時刻t’と、m番目の撮像時刻tとが互いに異なっていてもよい。
【0017】
類似度算出部12は、例えば、
図3に示す類似度算出回路22によって実現される。
類似度算出部12は、画像記憶部10に記憶されているM個の画像G
1〜G
Mを取得する。
類似度算出部12は、画像G
mに含まれているN個の画素p
1,m〜p
N,mのそれぞれの評価値S
1〜S
Nとして、N個の画素p
1,m〜p
N,mにおけるそれぞれの画素値pd
1,m〜pd
N,mの時間的な推移と、外気温記憶部11に記憶されている外気温T
mの時間的な推移との類似度を算出する。
類似度算出部12は、算出したそれぞれの評価値S
1〜S
Nを窓領域判定部13に出力する。
【0018】
窓領域判定部13は、例えば、
図3に示す窓領域判定回路23によって実現される。
窓領域判定部13は、画像記憶部10に記憶されているM個の画像G
1〜G
Mのうち、いずれか1つの画像G
mを取得する。
窓領域判定部13は、取得した画像G
mに含まれているN個の画素p
1,m〜p
N,mのうち、類似度算出部12により算出された評価値S
n(n=1,・・・,N)が第1の閾値Th
1よりも大きい画素を含む領域が、画像G
mの中の窓領域W
mであると判定する。外気温T
mの時間的な推移との類似度が高いほど、窓領域W
mの可能性が高いため、評価値S
nが第1の閾値Th
1よりも大きい画素を含む領域は、画像G
mの中の窓領域W
mであると判定される。第1の閾値Th
1は、例えば、窓領域判定部13の内部メモリに格納されていてもよいし、
図2に示す室内レイアウト推定装置2の外部から与えられるものであってもよい。
窓領域判定部13は、窓領域W
mの判定結果として、例えば、窓領域W
mが存在している、画像G
m内の座標を示すデータを制御部3及び壁領域判定部17のそれぞれに出力する。
【0019】
標準偏差算出部14は、
図4に示すように、画素群特定部14a及び偏差算出処理部14bを備えている。
標準偏差算出部14は、例えば、
図3に示す標準偏差算出回路24によって実現される。
標準偏差算出部14は、画像記憶部10に記憶されているM個の画像G
1〜G
Mを取得する。
標準偏差算出部14は、M個の画像G
1〜G
Mのそれぞれに含まれている画素p
1,1〜p
N,1、p
1,2〜p
N,2、・・・、p
1,M〜p
N,Mの中で、画素位置が同一の画素を含むN個の画素群(1)〜(N)のそれぞれの評価値v
1〜v
Nを算出する。
画素群(1)は、画素p
1,1、p
1,2、・・・、p
1,Mを含んでおり、画素群(2)は、画素p
2,1、p
2,2、・・・、p
2,Mを含んでいる。また、画素群(N)は、画素p
N,1、p
N,2、・・・、p
N,Mを含んでいる。
標準偏差算出部14は、画素群(n)(n=1,・・・,N)の評価値v
nとして、例えば、画素群(n)に含まれているM個の画素p
n,1〜p
n,Mにおける画素値pd
n,1〜pd
n,Mの標準偏差を算出する。
標準偏差算出部14は、算出したそれぞれの評価値v
1〜v
Nを前景領域判定部15に出力する。
【0020】
図4は、実施の形態1に係る標準偏差算出部14の内部を示す構成図である。
画素群特定部14aは、画像記憶部10に記憶されているM個の画像G
1〜G
Mを取得する。
画素群特定部14aは、M個の画像G
1〜G
Mのそれぞれに含まれている画素p
1,1〜p
N,1、p
1,2〜p
N,2、・・・、p
1,M〜p
N,Mの中で、画素位置が互いに同一の画素を含むN個の画素群(1)〜(N)のそれぞれを特定する。
偏差算出処理部14bは、画素群特定部14aにより特定されたそれぞれの画素群(1)〜(N)の評価値v
1〜v
Nとして、それぞれの画素群(1)〜(N)に含まれているM個の画素p
n,1〜p
n,Mにおける画素値pd
n,1〜pd
n,Mの標準偏差を算出する。
偏差算出処理部14bは、算出したそれぞれの評価値v
1〜v
Nを前景領域判定部15に出力する。
【0021】
前景領域判定部15は、例えば、
図3に示す前景領域判定回路25によって実現される。
前景領域判定部15は、N個の画素群(1)〜(N)の中で、標準偏差算出部14により算出された評価値v
n(n=1,・・・,N)が第2の閾値Th
2よりも大きい画素群(n)を特定する。
第2の閾値Th
2は、例えば、前景領域判定部15の内部メモリに格納されていてもよいし、
図2に示す室内レイアウト推定装置2の外部から与えられるものであってもよい。
前景領域判定部15は、それぞれの画像G
mに含まれているN個の画素p
1,m〜p
N,mのうち、特定した画素群(n)に含まれている画素p
n,mを含む領域が、それぞれの画像G
mの中の前景領域F
mであると判定する。
前景領域判定部15は、前景領域F
mの判定結果として、例えば、前景領域F
mが存在している、画像G
m内の座標を示すデータを床領域判定部16に出力する。
前景領域は、人間又は動物等の移動体が在る領域である。
【0022】
前景領域F
mは、画像G
mの中で、背景領域B
m以外の領域である。したがって、前景領域判定部15は、先に背景領域B
mを判定し、その後、前景領域F
mを判定するようにしてもよい。この場合、前景領域判定部15は、まず、N個の画素群(1)〜(N)の中で、標準偏差算出部14により算出された評価値v
nが第2の閾値Th
2以下の画素群(n)を特定する。そして、前景領域判定部15は、それぞれの撮像画像G
mに含まれている画素p
1,m〜p
N,mのうち、特定した画素群(n)に含まれている画素p
n,mを含む領域が、それぞれの撮像画像G
mの中の背景領域B
mであると判定する。そして、前景領域判定部15は、撮像画像G
mの中で、背景領域B
m以外の領域が、前景領域F
mであると判定するようにしてもよい。
【0023】
床領域判定部16は、例えば、
図3に示す床領域判定回路26によって実現される。
床領域判定部16は、前景領域判定部15により判定されたそれぞれの前景領域F
mに含まれている複数の画素p
n,mの中で、画像G
mのy方向で下端の位置に存在している画素を床領域画素として特定する。前景領域F
mが、例えば、人間が在る領域であれば、前景領域F
m内の下端の位置は、人間の足元の位置に対応し、人間の足元の位置は、床の位置に対応する。
床領域判定部16は、それぞれの前景領域F
mに含まれている床領域画素の全てを含む領域が、それぞれの画像G
mの中の床領域Y
mであると判定する。
前景領域F
mに含まれている複数の画素p
n,mのうち、画像G
mのy方向で下端の位置に存在している画素は、前景領域F
mに含まれている複数の画素p
n,mのうち、x座標が同一の複数の画素の中で、y座標が最も小さい画素である。
床領域判定部16は、床領域Y
mの判定結果として、例えば、床領域Y
mが存在している、画像G
m内の座標を示すデータを制御部3及び壁領域判定部17のそれぞれに出力する。
【0024】
壁領域判定部17は、例えば、
図3に示す壁領域判定回路27によって実現される。
壁領域判定部17は、窓領域判定部13により判定された窓領域W
mと、床領域判定部16により判定された床領域Y
mとに基づいて、対象領域の中の壁領域K
mを判定する。壁領域K
mの判定方法は、後述する。
壁領域判定部17は、壁領域K
mの判定結果として、例えば、壁領域K
mが存在している、画像G
m内の座標を示すデータを制御部3に出力する。
【0025】
図2では、室内レイアウト推定装置2の構成要素である画像記憶部10、外気温記憶部11、類似度算出部12、窓領域判定部13、標準偏差算出部14、前景領域判定部15、床領域判定部16及び壁領域判定部17のそれぞれが、
図3に示すような専用のハードウェアによって実現されるものを想定している。即ち、室内レイアウト推定装置2が、画像記憶回路20、外気温記憶回路21、類似度算出回路22、窓領域判定回路23、標準偏差算出回路24、前景領域判定回路25、床領域判定回路26及び壁領域判定回路27によって実現されるものを想定している。
【0026】
ここで、画像記憶回路20及び外気温記憶回路21のそれぞれは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、あるいは、DVD(Digital Versatile Disc)が該当する。
また、類似度算出回路22、窓領域判定回路23、標準偏差算出回路24、前景領域判定回路25、床領域判定回路26及び壁領域判定回路27のそれぞれは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、又は、これらを組み合わせたものが該当する。
【0027】
室内レイアウト推定装置2の構成要素は、専用のハードウェアによって実現されるものに限るものではなく、室内レイアウト推定装置2が、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現されるものであってもよい。
ソフトウェア又はファームウェアは、プログラムとして、コンピュータのメモリに格納される。コンピュータは、プログラムを実行するハードウェアを意味し、例えば、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)が該当する。
図5は、室内レイアウト推定装置2が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される場合のコンピュータのハードウェア構成図である。
室内レイアウト推定装置2が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される場合、画像記憶部10及び外気温記憶部11のそれぞれがコンピュータのメモリ31上に構成される。類似度算出部12、窓領域判定部13、標準偏差算出部14、前景領域判定部15、床領域判定部16及び壁領域判定部17の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムがメモリ31に格納される。そして、コンピュータのプロセッサ32がメモリ31に格納されているプログラムを実行する。
【0028】
また、
図3では、室内レイアウト推定装置2の構成要素のそれぞれが専用のハードウェアによって実現される例を示し、
図5では、室内レイアウト推定装置2が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される例を示している。しかし、これは一例に過ぎず、室内レイアウト推定装置2における一部の構成要素が専用のハードウェアによって実現され、残りの構成要素がソフトウェア又はファームウェア等によって実現されるものであってもよい。
【0029】
次に、
図1に示す空気調和機の動作について説明する。
赤外線カメラ1は、一定の時間間隔Δtで、対象領域を繰り返し撮像し、対象領域の画像として、撮像時刻tが互いに異なるM個の画像G
1〜G
Mを室内レイアウト推定装置2に出力する。
赤外線カメラ1から出力されたM個の画像G
1〜G
Mは、室内レイアウト推定装置2の画像記憶部10に記憶される。画像記憶部10には、例えば、過去24時間分の画像G
mが記憶される。
【0030】
図6は、室内レイアウト推定装置2の処理手順である室内レイアウト推定方法を示すフローチャートである。
類似度算出部12は、画像記憶部10から、撮像時刻tが互いに異なるM個の画像G
1〜G
Mを取得する。
現在の時刻が例えば19時00分であれば、類似度算出部12は、画像記憶部10から、19時00分を起点として、例えば過去12時間分の画像G
mを取得する。
図7は、過去12時間分の画像G
mのそれぞれに含まれているN個の画素p
1,m〜p
N,mのうち、窓領域W
mに含まれている或る1つの画素p
n,mの画素値pd
n,mの時間的な推移の一例を示す説明図である。
【0031】
また、類似度算出部12は、外気温記憶部11から、測定時刻t’が互いに異なるM個の外気温T
1〜T
Mを取得する。
現在の時刻が19時00分であれば、類似度算出部12は、外気温記憶部11から、19時00分を起点として、過去12時間分の外気温T
mを取得する。
ここでは、類似度算出部12が、過去12時間分の画像G
mを取得し、過去12時間分の外気温T
mを取得している。しかし、これは一例に過ぎず、類似度算出部12が、例えば、過去24時間分の画像G
mを取得し、過去24時間分の外気温T
mを取得するようにしてもよい。
【0032】
類似度算出部12は、画像G
mに含まれているN個の画素p
1,m〜p
N,mのそれぞれの評価値S
1〜S
Nとして、N個の画素p
1,m〜p
N,mにおけるそれぞれの画素値pd
1,m〜pd
N,mの時間的な推移と、外気温T
mの時間的な推移との類似度を算出する(
図6のステップST1)。
例えば、画素p
n,mの画素値pd
n,mの時間的な推移と、外気温T
mの時間的な推移との類似度である評価値S
nは、例えば、以下の式(1)のように表される。
【0033】
図2に示す室内レイアウト推定装置2では、類似度算出部12が、画素p
n,mの評価値S
nとして、式(1)で表される類似度を算出している。しかし、画素p
n,mの評価値S
nとして、画素値pd
n,mの時間的な推移と、外気温T
mの時間的な推移との類似度を算出することができればよく、式(1)で表される類似度に限るものではない。
図8は、類似度算出部12による評価値S
1〜S
Nの算出結果の一例を示す説明図である。
図8において、黒色に近い領域ほど、類似度である評価値S
nが高い領域であることを示している。
類似度算出部12は、算出したそれぞれの評価値S
1〜S
Nを窓領域判定部13に出力する。
【0034】
窓領域判定部13は、画像記憶部10から、撮像時刻tが互いに異なるM個の画像G
1〜G
Mのうち、いずれか1つの画像G
mを取得する。窓領域判定部13が取得する1つの画像G
mは、M個の画像G
1〜G
Mのうちのいずれの画像であってもよい。窓領域判定部13は、例えば、撮像時刻tが最新の時刻の画像G
Mを取得してもよいし、撮像時刻tが最新の時刻よりも古い時刻の画像G
M−1を取得してもよい。
窓領域判定部13は、類似度算出部12により算出されたそれぞれの評価値S
1〜S
Nと、第1の閾値Th
1とを比較する。
窓領域判定部13は、取得した画像G
mに含まれている画素p
n,mの評価値S
nが第1の閾値Th
1よりも大きければ(
図6のステップST2:YESの場合)、画素p
n,mが、窓領域W
m内の画素であると判定する(
図6のステップST3)。
画素p
n,mの評価値S
nが第1の閾値Th
1以下であれば(
図6のステップST2:NOの場合)、画素p
n,mは、窓領域W
m外の画素である。
【0035】
窓領域判定部13は、取得した画像G
mに含まれているN個の画素p
1,m〜p
N,mの中で、窓領域W
m内の画素であると判定した全ての画素p
n,mを含む領域が、画像G
mの中の窓領域W
mであると判定する(
図6のステップST4)。
図9は、窓領域判定部13による窓領域W
mの判定結果の一例を示す説明図である。
図9において、斜線が施されている領域は、窓領域W
mである。なお、
図9では、白色に近い領域ほど、温度が高い領域である。
窓領域判定部13は、窓領域W
mの判定結果として、例えば、窓領域W
mが存在している、画像G
m内の座標を示すデータを制御部3及び壁領域判定部17のそれぞれに出力する。
【0036】
標準偏差算出部14の画素群特定部14aは、画像記憶部10から、撮像時刻tが互いに異なるM個の画像G
1〜G
Mを取得する。
画素群特定部14aは、M個の画像G
1〜G
Mのそれぞれに含まれている画素p
1,1〜p
N,1、p
1,2〜p
N,2、・・・、p
1,M〜p
N,Mの中で、画素位置が互いに同一の画素を含むN個の画素群(1)〜(N)のそれぞれを特定する。
M個の画像G
1〜G
Mのそれぞれに含まれている画素p
1,1〜p
N,1、p
1,2〜p
N,2、・・・、p
1,M〜p
N,Mの中で、例えば、M個の画素p
n,1〜p
n,Mは、画素位置が互いに同一の画素であり、画素群(n)に含まれている。
【0037】
標準偏差算出部14の偏差算出処理部14bは、以下の式(2)に示すように、画素群特定部14aにより特定された画素群(n)の評価値v
nとして、画素群(n)に含まれているM個の画素p
n,1〜p
n,Mにおける画素値pd
n,1〜pd
n,Mの標準偏差を算出する(
図6のステップST5)。
偏差算出処理部14bは、算出したそれぞれの評価値v
1〜v
Nを前景領域判定部15に出力する。
【0038】
前景領域判定部15は、画像記憶部10から、撮像時刻tが互いに異なるM個の画像G
1〜G
Mを取得する。
前景領域判定部15は、標準偏差算出部14により算出されたそれぞれの評価値v
1〜v
Nと第2の閾値Th
2とを比較する。
前景領域判定部15は、N個の画素群(1)〜(N)の中で、評価値v
n(n=1,・・・,N)が第2の閾値Th
2よりも大きければ(
図6のステップST6:YESの場合)、画素群(n)に含まれている画素p
n,mが、前景領域F
m内の画素であると判定する(
図6のステップST7)。
複数の画素群(1)〜(N)の中で、評価値v
nが第2の閾値Th
2以下であれば(
図6のステップST6:NOの場合)、画素群(n)に含まれている画素p
n,mは、背景領域B
m内の画素である。
背景領域B
m内の画素p
n,mの画素値pd
n,mは、時間が経過しても、ほとんど変化しないため、背景領域B
m内の画素p
n,mを含む画素群(n)の評価値v
nは、第2の閾値Th
2以下となる可能性が高い。
一方、前景領域F
m内の画素p
n,mの画素値pd
n,mは、時間の経過に伴って変化するため、前景領域F
m内の画素p
n,mを含む画素群(n)の評価値v
nは、第2の閾値Th
2よりも大きくなる可能性が高い。
なお、窓領域W
m内の画素p
n,mの画素値pd
n,mについても、時間の経過に伴って変化する。しかし、窓領域W
m内の画素p
n,mの画素値pd
n,mの変化は、人間等の移動に伴う画素値pd
n,mの変化と比べると、極めて小さい。したがって、窓領域W
m内の画素p
n,mを含む画素群(n)の評価値v
nは、第2の閾値Th
2以下となる可能性が高い。
【0039】
前景領域判定部15は、M個の画像G
1〜G
Mのそれぞれに含まれている画素p
1,1〜p
N,1、p
1,2〜p
N,2、・・・、p
1,M〜p
N,Mのうち、前景領域F
m内の画素であると判定した全ての画素p
n,mを含む領域が、それぞれの画像G
mの中の前景領域F
mであると判定する(
図6のステップST8)。
前景領域判定部15は、前景領域F
mの判定結果として、例えば、前景領域F
mが存在している、画像G
m内の座標を示すデータを床領域判定部16に出力する。
【0040】
図10は、M個の撮像画像G
1〜G
Mのうち、ある1つの画像G
mの一例を示す説明図である。
図11は、M個の撮像画像G
1〜G
Mのうち、ある1つの画像G
mにおける背景領域B
mと前景領域F
mとを示す説明図である。
図11において、黒色の領域は、背景領域B
mと判定された領域であり、白色の領域は、前景領域F
mと判定された領域である。
図11の例では、前景領域F
mが、人間が存在している領域(以下、「人間領域H
m」と称する)と概ね一致している。なお、
図11では、人間領域H
mの表記は省略されている。
図2に示す室内レイアウト推定装置2では、前景領域F
mが人間領域H
mと一致しているとして、後述する床領域判定部16が、前景領域F
mに基づいて、床領域Y
mを判定する。
【0041】
床領域判定部16は、前景領域判定部15から、前景領域F
mが存在している、画像G
m内の座標を示すデータを取得する。
床領域判定部16は、取得した座標を示すデータに基づいて、M個の画像G
1〜G
Mにおけるそれぞれの前景領域F
mに含まれている複数の画素p
n,mを特定する。
床領域判定部16は、それぞれの前景領域F
mに含まれている複数の画素p
n,mの中で、画像G
mのy方向で、下端の位置に存在している画素を床領域画素として特定する。
前景領域F
mが人間領域H
mと一致していれば、前景領域F
m内の下端の位置は、人間の足元の位置に対応し、人間の足元の位置は、床の位置に対応する。通常、人間は、時間とともに移動する。これは、撮像時刻tが互いに異なるM個の撮像画像G
1〜G
Mのそれぞれにおける人間の位置、つまり、前景領域F
1〜F
Mの位置は互いに異なるものとなり、床の位置に対応する前景領域F
1〜F
M内の下端の位置も互いに異なるものとなることを意味する。したがって、撮像時刻tが互いに異なるM個の撮像画像G
1〜G
Mにおける前景領域F
1〜F
M内の下端の位置を総合することにより、床領域Y
mを推定することができる。
【0042】
床領域判定部16は、前景領域F
1〜F
Mのそれぞれに含まれている床領域画素の全てを含む領域が、床領域Y
mであると判定する(
図6のステップST9)。
床領域判定部16は、床領域Y
mの判定結果として、例えば、床領域Y
mが存在している、画像G
m内の座標を示すデータを制御部3及び壁領域判定部17のそれぞれに出力する。
ここでは、床領域判定部16が、鉛直方向で下端の位置に存在している画素を床領域画素として特定している。しかし、これは一例に過ぎず、床領域判定部16が、鉛直方向で下端の位置に存在している画素のほかに、下端の画素の周囲に存在している複数の画素を床領域画素として特定するようにしてもよい。
【0043】
図12は、M個の画像G
1〜G
Mにおける前景領域F
1〜F
M内の下端の画素を示す説明図である。
図12において、白色の領域は、それぞれの前景領域F
m内の下端の画素を含む領域である。
図12が示している画像は、M個の画像G
1〜G
Mにおけるそれぞれの前景領域F
m内の下端の画素が集められている画像である。
図12では、前景領域F
1内の下端の画素、前景領域F
2内の下端の画素、前景領域F
3内の下端の画素、前景領域F
4内の下端の画素、前景領域F
5内の下端の画素、前景領域F
M−1内の下端の画素、及び、前景領域F
M内の下端の画素を例示している。
図13は、床領域判定部16による床領域Y
mの判定結果の一例を示す説明図である。
図13において、横線が施されている領域は、床領域Y
mである。
図12が示す白色の領域と、
図13が示す床領域Y
mとは、記載の都合上、若干のずれがあるが、概ね一致している。
【0044】
壁領域判定部17は、窓領域判定部13により判定された窓領域W
mと、床領域判定部16により判定された床領域Y
mとに基づいて、対象領域の中の壁領域K
mを判定する(
図6のステップST10)。
壁領域判定部17は、壁領域K
mの判定結果として、例えば、壁領域K
mが存在している、画像G
m内の座標を示すデータを制御部3に出力する。
【0045】
以下、壁領域判定部17による壁領域K
mの判定処理を具体的に説明する。
壁領域判定部17は、画像記憶部10から、撮像時刻tが異なるM個の画像G
1〜G
Mのうち、いずれか1つの画像G
mを取得する。壁領域判定部17が取得する1つの撮像画像G
mは、M個の撮像画像G
1〜G
Mのうちのいずれの撮像画像であってもよい。壁領域判定部17は、例えば、撮像時刻tが最新の時刻の画像G
Mを取得してもよいし、撮像時刻tが最新の時刻よりも古い時刻の画像G
M−1を取得してもよい。
また、壁領域判定部17は、床領域判定部16から、床領域Y
mが存在している座標を示すデータを取得する。
【0046】
壁領域判定部17は、床領域Y
mが存在している座標を示すデータに基づいて、床領域Y
mに含まれている複数の画素p
n,mを特定する。
壁領域判定部17は、
図13に示すように、床領域Y
mに含まれている複数の画素p
n,mのうち、画像G
mのy方向で上端の画素をそれぞれ特定する。床領域Y
m内の上端の画素は、床領域Y
mに含まれている複数の画素p
n,mのうち、x座標が同一の複数の画素の中で、y座標が最も大きい画素である。
図13では、床領域Y
m内の上端の画素を9つ例示している。
壁領域判定部17は、
図14に示すように、床領域Y
m内の上端のそれぞれの画素を結ぶ線を含む線を、床面と壁面との境界線に決定する。
図14は、床面と壁面との境界線、床領域Y
m、及び窓領域W
mを示す説明図である。
図14において、横線が施されている領域は、床領域Y
mであり、斜線が施されている領域は、窓領域W
mである。
【0047】
壁領域判定部17は、窓領域判定部13から、窓領域W
mが存在している座標を示すデータを取得する。
壁領域判定部17は、窓領域W
mが存在している座標を示すデータに基づいて、窓領域W
mを特定する。
壁領域判定部17は、画像G
mの中で、床面と壁面との境界線よりも、画像G
mのy方向でy座標が大きい領域のうち、窓領域W
m以外の領域が、壁領域K
mであると判定する。床面と壁面との境界線よりも、画像G
mのy方向でy座標が大きい領域は、図中、床面と壁面との境界線よりも上側の領域である。
壁領域判定部17は、壁領域K
mの判定結果として、例えば、壁領域K
mが存在している、画像G
m内の座標を示すデータを制御部3に出力する。
【0048】
制御部3は、画像記憶部10から、撮像時刻tが互いに異なるM個の画像G
1〜G
Mのうち、いずれか1つの画像G
mを取得する。制御部3が取得する1つの撮像画像G
mは、M個の撮像画像G
1〜G
Mのうちのいずれの撮像画像であってもよい。制御部3は、例えば、撮像時刻tが最新の時刻の画像G
Mを取得してもよいし、撮像時刻tが最新の時刻よりも古い時刻の画像G
M−1を取得してもよい。
制御部3は、窓領域判定部13から窓領域W
mの判定結果を取得し、床領域判定部16から床領域Y
mの判定結果を取得し、壁領域判定部17から壁領域K
mの判定結果を取得する。
制御部3は、取得したそれぞれの判定結果に基づいて、例えば、エアコン4を制御することで、対象領域内の空気を調整する。
【0049】
以下、制御部3による空気の調整例を具体的に説明する。
例えば、窓領域W
mの設定温度がTemp
1、床領域Y
mの設定温度がTemp
2、及び、壁領域K
mの設定温度がTemp
3であるとする。設定温度Temp
1、設定温度Temp
2、及び、設定温度Temp
3のそれぞれは、制御部3の内部メモリに格納されていてもよいし、
図1に示す空気調和機の外部から与えられるものであってもよい。
制御部3は、窓領域W
mの判定結果に基づいて、画像G
mに含まれているN個の画素p
1,m〜p
N,mの中から、窓領域W
mに含まれている複数の画素p
n,mを特定する。
制御部3は、窓領域W
mに含まれている複数の画素p
n,mの画素値pd
n,mが示す温度から、例えば、窓領域W
mの平均温度を算出する。
制御部3は、窓領域W
mの平均温度が、窓領域W
mの設定温度Temp
1と一致するように、エアコン4を制御する。
【0050】
制御部3は、床領域Y
mの判定結果に基づいて、画像G
mに含まれているN個の画素p
1,m〜p
N,mの中から、床領域Y
mに含まれている複数の画素p
n,mを特定する。
制御部3は、床領域Y
mに含まれている複数の画素p
n,mの画素値pd
n,mが示す温度から、例えば、床領域Y
mの平均温度を算出する。
制御部3は、床領域Y
mの平均温度が、床領域Y
mの設定温度Temp
2と一致するように、エアコン4を制御する。
【0051】
制御部3は、壁領域K
mの判定結果に基づいて、画像G
mに含まれている複数の画素p
1,m〜p
N,mの中から、壁領域K
mに含まれている複数の画素p
n,mを特定する。
制御部3は、壁領域K
mに含まれている複数の画素p
n,mの画素値pd
n,mが示す温度から、例えば、壁領域K
mの平均温度を算出する。
制御部3は、壁領域K
mの平均温度が、壁領域K
mの設定温度Temp
3と一致するように、エアコン4を制御する。
【0052】
ここでは、制御部3が、窓領域W
m、床領域Y
m及び壁領域K
mにおけるそれぞれの平均温度を算出している。しかし、これは一例に過ぎず、制御部3が、例えば、窓領域W
m、床領域Y
m及び壁領域K
mにおけるそれぞれの中間温度を算出するようにしてもよい。この場合、制御部3は、窓領域W
m等の中間温度が、窓領域W
m等の設定温度と一致するように、エアコン4を制御する。
【0053】
以上の実施の形態1では、対象領域を撮像している赤外線カメラ1から出力された画像に含まれている複数の画素のそれぞれの評価値として、複数の画素におけるそれぞれの画素値の時間的な推移と、外気温の時間的な推移との類似度を算出する類似度算出部12と、画像に含まれている複数の画素のうち、類似度算出部12により算出された評価値が第1の閾値よりも大きい画素を含む領域が、画像の中で、窓が在る領域であると判定する窓領域判定部13とを備えるように、室内レイアウト推定装置2を構成した。したがって、室内レイアウト推定装置2は、外気温が変化しても、窓領域の誤検出を防ぐことができる。
【0054】
実施の形態2.
図2に示す室内レイアウト推定装置2では、標準偏差算出部14が、M個の画像G
1〜G
Mのそれぞれに含まれている画素p
1,1〜p
N,1、p
1,2〜p
N,2、・・・、p
1,M〜p
N,Mの中で、画素位置が互いに同一の画素を含む複数の画素群(1)〜(N)のそれぞれの評価値v
1〜v
Nを算出している。
実施の形態2では、M個の画像G
1〜G
Mと撮像時刻tが異なる新たな画像が画像記憶部10に記憶される毎に、複数の画素群(1)〜(N)のそれぞれの評価値v
1〜v
Nを算出する室内レイアウト推定装置2について説明する。ここでは、説明の便宜上、新たな画像がG
M+1であるとする。
【0055】
以下、実施の形態2に係る室内レイアウト推定装置2について説明する。
実施の形態2に係る室内レイアウト推定装置2の構成は、実施の形態1に係る室内レイアウト推定装置2の構成と同様であり、実施の形態2に係る室内レイアウト推定装置2を示す構成図は、
図2である。
【0056】
赤外線カメラ1は、M個の画像G
1〜G
Mと撮像時刻tが異なる新たな画像G
M+1を室内レイアウト推定装置2に出力する。
室内レイアウト推定装置2の画像記憶部10は、新たな画像G
M+1を記憶する。
標準偏差算出部14の画素群特定部14aは、新たな画像G
M+1が画像記憶部10に記憶されると、画像記憶部10から、新たな画像G
M+1を取得する。
画素群特定部14aは、先に取得したM個の画像G
1〜G
Mのうち、例えば、最も撮像時刻tが古い画像G
1を破棄する。
画素群特定部14aは、M個の画像G
1〜G
Mの一部である画像、即ち、破棄していない(M−1)個の画像G
2〜G
Mと新たな画像G
M+1とを含むM個の画像G
2〜G
M+1のそれぞれに含まれている画素p
1,2〜p
N,2、p
1,3〜p
N,3、・・・、p
1,M+1〜p
N,M+1のうち、画素位置が互いに同一の画素を含むN個の画素群(1)〜(N)のそれぞれを特定する。
【0057】
ここでは、画素群特定部14aが、先に取得したM個の画像G
1〜G
Mのうち、最も撮像時刻tが古い画像G
1を破棄している。しかし、これは一例に過ぎず、画素群特定部14aが、最も撮像時刻tが古い画像G
1以外の画像を破棄するようにしてもよい。
また、画素群特定部14aが、先に取得したM個の画像G
1〜G
Mのうち、2つ以上の画像を破棄するようにしてもよい。画素群特定部14aは、2つの画像を破棄した場合、破棄していない(M−2)個の画像と新たな画像G
M+1とを含む(M−1)個の画像として、画像G
3〜G
M+1のそれぞれに含まれているN個の画素p
1,3〜p
N,3、p
1,4〜p
N,4、・・・、p
1,M+1〜p
N,M+1のうち、画素位置が互いに同一の画素を含むN個の画素群(1)〜(N)のそれぞれを特定する。
【0058】
標準偏差算出部14の偏差算出処理部14bは、画素群特定部14aがN個の画素群(1)〜(N)のそれぞれを特定する毎に、実施の形態1と同様に、それぞれの画素群(1)〜(N)の評価値v
1〜v
Nとして、それぞれの画素群(1)〜(N)に含まれているM個の画素p
n,1〜p
n,Mにおける画素値pd
n,1〜pd
n,Mの標準偏差を算出する。
偏差算出処理部14bは、算出したそれぞれの評価値v
1〜v
Nを前景領域判定部15に出力する。
したがって、実施の形態2に係る室内レイアウト推定装置2では、M個の画像G
1〜G
Mと撮像時刻tが異なる新たな画像G
M+1が画像記憶部10に記憶される毎に、N個の画素群(1)〜(N)のそれぞれの評価値v
1〜v
Nが更新される。
【0059】
前景領域判定部15は、標準偏差算出部14によりそれぞれの評価値v
1〜v
Nが更新される毎に、それぞれの評価値v
1〜v
Nと第2の閾値Th
2とを比較する。
前景領域判定部15は、実施の形態1と同様に、評価値v
n(n=1,・・・,N)が第2の閾値Th
2よりも大きければ、画素群(n)に含まれている画素p
n,mが、前景領域F
m内の画素であると判定する
前景領域判定部15は、M個の画像G
2〜G
M+1のそれぞれに含まれているN個の画素p
1,2〜p
N,2、p
1,3〜p
N,3、・・・、p
1,M+1〜p
N,M+1のうち、前景領域F
m内の画素であると判定した全ての画素p
n,mを含む領域が、画像G
mの中の前景領域F
mであると判定する。
前景領域判定部15は、前景領域F
mの判定結果として、例えば、前景領域F
mが存在している、画像G
m内の座標を示すデータを床領域判定部16に出力する。
【0060】
以上の実施の形態2では、画素群特定部14aが、赤外線カメラ1から、複数の画像と撮像時刻が異なる新たな画像が出力される毎に、複数の画像の中の一部の画像と新たな画像とを含む複数の画像のそれぞれに含まれている複数の画素の中で、画素位置が互いに同一の画素を含む複数の画素群のそれぞれを特定し、偏差算出処理部14bが、画素群特定部14aによりそれぞれの画素群が特定される毎に、画素群特定部14aにより特定されたそれぞれの画素群の評価値として、それぞれの画素群に含まれている複数の画素における画素値の標準偏差を算出するように、室内レイアウト推定装置2を構成した。したがって、室内レイアウト推定装置2は、外気温が変化しても、窓領域の誤検出を防ぐことができるほか、新たな画像に基づいて、前景領域を判定することができる。
【0061】
実施の形態3.
実施の形態3では、前景領域判定部15により判定された前景領域F
mの中で、人間が存在している領域を判定する人間領域判定部18を備えている室内レイアウト推定装置2について説明する。
【0062】
図15は、実施の形態3に係る室内レイアウト推定装置2を示す構成図である。
図16は、実施の形態3に係る室内レイアウト推定装置2のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図15及び
図16において、
図2及び
図3と同一符号は同一又は相当部分を示すので詳細な説明を省略する。
室内レイアウト推定装置2は、画像記憶部10、外気温記憶部11、類似度算出部12、窓領域判定部13、標準偏差算出部14、前景領域判定部15、人間領域判定部18、床領域判定部16及び壁領域判定部17を備えている。
【0063】
図16に示す室内レイアウト推定装置2では、前景領域判定部15が、前景領域の判定結果として、前景領域F
mが存在している、画像G
m内の座標を示すデータを人間領域判定部18に出力する。
人間領域判定部18は、例えば、
図16に示す人間領域判定回路28によって実現される。
人間領域判定部18は、前景領域判定部15により判定されたそれぞれの前景領域F
mの中で、人間が存在している領域である人間領域H
mを判定する。
人間領域判定部18は、人間領域H
mの判定結果として、例えば、人間領域H
mが存在している、画像G
m内の座標を示すデータを制御部3及び床領域判定部16のそれぞれに出力する。
【0064】
図15では、室内レイアウト推定装置2の構成要素である画像記憶部10、外気温記憶部11、類似度算出部12、窓領域判定部13、標準偏差算出部14、前景領域判定部15、人間領域判定部18、床領域判定部16及び壁領域判定部17のそれぞれが、
図16に示すような専用のハードウェアによって実現されるものを想定している。即ち、室内レイアウト推定装置2が、画像記憶回路20、外気温記憶回路21、類似度算出回路22、窓領域判定回路23、標準偏差算出回路24、前景領域判定回路25、人間領域判定回路28、床領域判定回路26及び壁領域判定回路27によって実現されるものを想定している。
【0065】
ここで、画像記憶回路20及び外気温記憶回路21のそれぞれは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、あるいは、DVDが該当する。
また、類似度算出回路22、窓領域判定回路23、標準偏差算出回路24、前景領域判定回路25、人間領域判定回路28、床領域判定回路26及び壁領域判定回路27のそれぞれは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又は、これらを組み合わせたものが該当する。
【0066】
室内レイアウト推定装置2の構成要素は、専用のハードウェアによって実現されるものに限るものではなく、室内レイアウト推定装置2が、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現されるものであってもよい。
室内レイアウト推定装置2が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される場合、画像記憶部10及び外気温記憶部11のそれぞれが、
図5に示すコンピュータのメモリ31上に構成される。類似度算出部12、窓領域判定部13、標準偏差算出部14、前景領域判定部15、人間領域判定部18、床領域判定部16及び壁領域判定部17の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムがメモリ31に格納される。そして、
図5に示すコンピュータのプロセッサ32がメモリ31に格納されているプログラムを実行する。
【0067】
また、
図16では、室内レイアウト推定装置2の構成要素のそれぞれが専用のハードウェアによって実現される例を示し、
図5では、室内レイアウト推定装置2が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される例を示している。しかし、これは一例に過ぎず、室内レイアウト推定装置2における一部の構成要素が専用のハードウェアによって実現され、残りの構成要素がソフトウェア又はファームウェア等によって実現されるものであってもよい。
【0068】
次に、
図15に示す室内レイアウト推定装置2の動作について説明する。ただし、人間領域判定部18以外は、
図2に示す室内レイアウト推定装置2と同様であるため、ここでは、主に、人間領域判定部18の動作について説明する。
前景領域判定部15は、実施の形態1と同様に、前景領域F
mを判定すると、前景領域F
mの判定結果として、前景領域F
mが存在している、画像G
m内の座標を示すデータを人間領域判定部18に出力する。
【0069】
図2に示す室内レイアウト推定装置2では、床領域判定部16が、前景領域F
mが人間領域H
mと一致しているとして、前景領域F
mに基づいて、床領域Y
mを判定している。しかし、前景領域F
mと人間領域H
mとが厳密に一致しているとは限らないため、前景領域F
mに基づく床領域Y
mの判定では、床領域Y
mを誤検出する可能性がある。
人間領域判定部18は、前景領域判定部15から前景領域F
mの判定結果を受けると、公知の人体検出方法を用いて、前景領域F
mの中で、人間が存在している領域である人間領域H
mを判定する。
公知の人体検出方法として、例えば、HOGとSVMとを用いる方法が考えられる。HOG(Histogram of Oriented Gradients)は、局所領域の輝度の勾配方向をヒストグラム化している特徴量である。SVM(Support Vector Machine)は、教師あり学習を用いるパターン識別モデルである。
人間領域判定部18は、人間領域H
mの判定結果として、例えば、人間領域H
mが存在している、画像G
m内の座標を示すデータを制御部3及び床領域判定部16のそれぞれに出力する。
【0070】
制御部3は、画像記憶部10から、撮像時刻tが互いに異なるM個の画像G
1〜G
Mのうち、いずれか1つの画像G
mを取得する。制御部3が取得する1つの撮像画像G
mは、M個の撮像画像G
1〜G
Mのうちのいずれの撮像画像であってもよい。制御部3は、例えば、撮像時刻tが最新の時刻の画像G
Mを取得してもよいし、撮像時刻tが最新の時刻よりも古い時刻の画像G
M−1を取得してもよい。
制御部3は、窓領域判定部13から窓領域W
mの判定結果を取得し、床領域判定部16から床領域Y
mの判定結果を取得し、壁領域判定部17から壁領域K
mの判定結果を取得し、人間領域判定部18から人間領域H
mの判定結果を取得する。
【0071】
制御部3は、取得したそれぞれの判定結果に基づいて、例えば、エアコン4を制御することで、対象領域内の空気を調整する。
例えば、人間領域H
mの設定温度がTemp
4であるとする。設定温度Temp
4は、制御部3の内部メモリに格納されていてもよいし、
図1に示す空気調和機の外部から与えられるものであってもよい。
制御部3は、人間領域H
mの判定結果に基づいて、画像G
mに含まれているN個の画素p
1,m〜p
N,mの中から、人間領域H
mに含まれている複数の画素p
n,mを特定する。
制御部3は、人間領域H
mに含まれている複数の画素p
n,mの画素値pd
n,mが示す温度から、例えば、人間領域H
mの平均温度を算出する。
制御部3は、人間領域H
mの平均温度が、人間領域H
mの設定温度Temp
4と一致するように、エアコン4を制御する。
【0072】
ここでは、制御部3が、人間領域H
mの平均温度を算出している。しかし、これは一例に過ぎず、制御部3が、例えば、人間領域H
mの中間温度を算出するようにしてもよい。この場合、制御部3は、人間領域H
mの中間温度が、人間領域H
mの設定温度Temp
4と一致するように、エアコン4を制御する。
【0073】
以上の実施の形態3では、前景領域判定部15により判定された前景領域の中で、人間が存在している領域を判定する人間領域判定部18を備えるように、室内レイアウト推定装置2を構成した。したがって、室内レイアウト推定装置2は、外気温が変化しても、窓領域の誤検出を防ぐことができるほか、人間が存在している領域内の空気を調整することが可能になる。
【0074】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。