(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各前記電力変換器から出力される交流電圧および交流電流に基づいて、当該電力変換器に接続された前記変換器用変圧器のインピーダンスを算出するインピーダンス算出部をさらに備え、
前記発電機模擬部は、
各前記電力変換器について、当該電力変換器に接続された前記変換器用変圧器のインピーダンスと予め定められたインピーダンスとの第3差分を算出し、算出された前記第3差分と前記第1角周波数とに基づいて、当該電力変換器を制御するための第2角周波数を生成し、
各前記電力変換器について、当該電力変換器に対応する前記第2角周波数に基づいて、当該電力変換器から出力される前記交流電圧の位相を生成する、請求項1に記載の電力制御システム。
前記発電機模擬部は、前記電力変換器に対応する前記角周波数と、前記角周波数と前記平均値との差分と、基準角周波数との加算値を時間積分することにより前記電力変換器から出力される交流電圧の位相を生成する、請求項11に記載の電力制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0014】
実施の形態1.
<全体構成>
図1は、電力制御システムの全体構成の一例を説明するための図である。
図1を参照して、電力制御システムは、制御装置2と、電力系統3と、蓄電設備101,102とを含む。電力系統3は、例えば、三相の交流系統である。線路Lは、線路L1,L2に分岐される。線路Lには、電流検出器60および電圧検出器70が設けられる。線路L1には、電流検出器61および電圧検出器71が設けられる。線路L2には、電流検出器62および電圧検出器72が設けられる。
【0015】
本実施の形態に従う電力制御システムでは、複数の蓄電設備101,102が並列に接続される。複数の蓄電設備101,102は、電力系統3の系統連系点7に接続される。本願明細書では、説明の容易化のため、電力制御システムが2つの蓄電設備を有する構成について説明するが、3つ以上の蓄電設備を有する構成であってもよい。
【0016】
蓄電設備101は、電力変換器31と、蓄電装置41と、変換器用変圧器51とを含む。電力変換器31の直流側には蓄電装置41が接続され、交流側には変換器用変圧器51が接続される。電力変換器31は、蓄電装置41の直流電力を交流電力に変換して、当該交流電力を変換器用変圧器51を介して電力系統3に出力する。また、電力変換器31は、線路L1を介して受電する電力系統3からの交流電力を直流電力に変換して、当該直流電力を蓄電装置41に出力する。これにより蓄電装置41は充電される。
【0017】
蓄電設備102は、電力変換器32と、蓄電装置42と、変換器用変圧器52とを含む。電力変換器32、蓄電装置42および変換器用変圧器52の機能は、それぞれ電力変換器31、蓄電装置41、および変換器用変圧器51の機能と同様である。典型的には、電力変換器32は、蓄電装置42の直流電力を交流電力に変換して、当該交流電力を変換器用変圧器52を介して電力系統3に出力する。また、電力変換器32は、線路L2を介して受電する電力系統3からの交流電力を直流電力に変換して、当該直流電力を蓄電装置42に出力する。
【0018】
図1に示すように、複数の電力変換器31,32は互いに並列接続されているため、各電力変換器31,32からの交流電力の合計である合計電力が電力系統3の系統連系点7に出力される。電力変換器31,32は、例えば、2レベル変換器、3レベル変換器、あるいはモジュラーマルチレベル変換器等の自励式変換器である。また、実施の形態1では、各電力変換器31,32の容量は同一、または同程度であるものとする。例えば、電力変換器31の容量を“SM1”、電力変換器32の容量を“SM2”、基準容量を“SM”とする。この場合、容量SM1および容量SM2の各々と、基準容量SMとの差異が一定割合(例えば、10%)以下である場合、容量SM1および容量SM2は同程度であるとする。具体的には、−0.1≦1−(SM1/SM)≦0.1であり、かつ、−0.1≦1−(SM2/SM)≦0.1である場合、容量SM1および容量SM2は同程度である。蓄電装置41,42は、例えば、電気二重層キャパシタであるが、二次電池であってもよい。
【0019】
制御装置2は、各電力変換器31,32を制御するための装置である。制御装置2は、上位装置5と、下位装置21,22とを含む。上位装置5と下位装置21,22とは互いに通信可能に構成される。下位装置21,22は、電力変換器31,32に対応して設けられる。
【0020】
電流検出器61は、線路L1の三相の交流電流I1を検出する。交流電流I1は、下位装置21へ入力される。電流検出器62は、線路L2の三相の交流電流I2を検出する。交流電流I2は、下位装置22へ入力される。電流検出器60は、線路Lの三相の交流電流Isys(すなわち、系統連系点7の交流電流)を検出する。交流電流Isysは、上位装置5へ入力される。
【0021】
電圧検出器71は、線路L1の三相の交流電圧V1を検出する。交流電圧V1は、下位装置21へ入力される。電圧検出器72は、線路L2の三相の交流電圧V2を検出する。交流電圧V2は、下位装置22へ入力される。電圧検出器70は、線路Lの三相の交流電圧Vsys(すなわち、系統連系点7の交流電圧)を検出する。交流電圧Vsysは、上位装置5へ入力される。
【0022】
上位装置5および下位装置21,22は、連携して各電力変換器31,32の動作を制御する。具体的には、上位装置5および下位装置21の各機能により電力変換器31の動作が制御され、上位装置5および下位装置22の各機能により電力変換器32の動作が制御される。上位装置5および下位装置21,22の各機能および処理の詳細については後述する。
【0023】
<ハードウェア構成>
図2は、上位装置5のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2には、コンピュータによって上位装置5を構成する例が示される。
【0024】
図2を参照して、上位装置5は、1つ以上の入力変換器90と、1つ以上のサンプルホールド(S/H)回路91と、マルチプレクサ(MUX)92と、A/D変換器93と、1つ以上のCPU(Central Processing Unit)94と、RAM(Random Access Memory)95と、ROM(Read Only Memory)96と、1つ以上の入出力インターフェイス97と、補助記憶装置98とを含む。また、上位装置5は、構成要素間を相互に接続するバス99を含む。
【0025】
入力変換器90は、入力チャンネルごとに補助変成器を有する。各補助変成器は、
図1の電流検出器60および電圧検出器70による検出信号を、後続する信号処理に適した電圧レベルの信号に変換する。
【0026】
サンプルホールド回路91は、入力変換器90ごとに設けられる。サンプルホールド回路91は、対応の入力変換器90から受けた電気量を表す信号を規定のサンプリング周波数でサンプリングして保持する。
【0027】
マルチプレクサ92は、複数のサンプルホールド回路91に保持された信号を順次選択する。A/D変換器93は、マルチプレクサ92によって選択された信号をデジタル値に変換する。なお、複数のA/D変換器93を設けることによって、複数の入力チャンネルの検出信号に対して並列的にA/D変換を実行するようにしてもよい。
【0028】
CPU94は、上位装置5の全体を制御し、プログラムに従って演算処理を実行する。揮発性メモリとしてのRAM95及び不揮発性メモリとしてのROM96は、CPU94の主記憶として用いられる。ROM96は、プログラム及び信号処理用の設定値などを収納する。補助記憶装置98は、ROM96に比べて大容量の不揮発性メモリであり、プログラム及び電気量検出値のデータなどを格納する。
【0029】
入出力インターフェイス97は、CPU94及び外部装置の間で通信する際のインターフェイス回路である。
【0030】
なお、
図2の例とは異なり、上位装置5の少なくとも一部をFPGA(Field Programmable Gate Array)および、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の回路を用いて構成することも可能である。
【0031】
<制御装置の機能構成>
図3は、実施の形態1に従う制御装置2の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3を参照して、制御装置2は、主な機能構成として、発電機模擬部310と、信号生成部320とを含む。
【0032】
発電機模擬部310は、各電力変換器31,32から出力される有効電力の合計である合計有効電力に基づいて同期発電機の特性を模擬することにより、各電力変換器31,32から出力される交流電圧の位相を生成する。具体的には、発電機模擬部310は、上位装置5に含まれる角周波数生成部201と、各下位装置21,22に含まれる位相生成部110とを含む。
【0033】
角周波数生成部201は、交流電流Isysおよび交流電圧Vsysとに基づいて、角周波数偏差Δωを生成する。
図4は、実施の形態1に従う角周波数生成部201の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4を参照して、角周波数生成部201は、有効電力算出部211と、減算器213と、積分器(図中では“1/MS”と表記)215とを含む。
【0034】
有効電力算出部211は、電流検出器60により検出された交流電流Isysと、電圧検出器70により検出された交流電圧Vsysとに基づいて、系統連系点7の有効電力Pgを算出する。有効電力Pgは、電力変換器31から出力される有効電力P1と電力変換器32から出力される有効電力P2とを合計した合計有効電力である。
【0035】
減算器213は、合計有効電力の目標値である有効電力目標値Prefと有効電力Pgとの差分ΔP(=Pref−Pg)を演算する。有効電力目標値Prefは、系統運用者によって適宜設定される。
【0036】
積分器215は、減算器213の出力値(すなわち、差分ΔP)を時間積分して角周波数偏差Δωを出力する。
図4において、積分器215の“M”は模擬発電機の慣性定数である。積分器215により出力される角周波数偏差Δωは、模擬発電機における回転子の角周波数ωと基準角周波数ω0との差分に相当する。基準角周波数ω0は、電力系統3における電力の基準周波数(例えば、50Hzまたは60Hz)の角周波数である。
【0037】
再び、
図3を参照して、各下位装置21,22の位相生成部110は、角周波数偏差Δωと、基準角周波数ω0とに基づいて、各電力変換器31,32から出力される交流電圧の位相θを生成する。なお、位相θは、模擬発電機の電圧位相角に対応する。
【0038】
図5は、実施の形態1に従う位相生成部110の機能構成の一例を示すブロック図である。
図5を参照して、位相生成部110は、加算器112と、積分器(図中では“1/S”と表記)114とを含む。ここでは、下位装置21の位相生成部110の機能について説明するが、下位装置22の位相生成部110の機能についても同様である。
【0039】
加算器112は、角周波数生成部201により生成された角周波数偏差Δωと基準角周波数ω0とを加算した角周波数ω(=Δω+ω0)を出力する。積分器114は、角周波数ωを時間積分して電力変換器31から出力される交流電圧V1の位相θを出力する。同様に、下位装置22の積分器114は、電力変換器32から出力される交流電圧V2の位相θを出力する。すなわち、各下位装置22の積分器114は、同一の位相θを出力する。
【0040】
上記より、発電機模擬部310は、有効電力Pgと有効電力目標値Prefとの差分ΔPに基づいて角周波数偏差Δωを生成し、角周波数偏差Δωに基づいて各電力変換器31,32から出力される交流電圧の位相θを生成する。具体的には、発電機模擬部310は、差分ΔPを時間積分することにより角周波数偏差Δωを生成し、角周波数偏差Δωと基準角周波数ω0との加算値を時間積分することにより各電力変換器31,32から出力される交流電圧の位相θを生成する。
【0041】
再び、
図3を参照して、信号生成部320は、発電機模擬部310により生成された、各電力変換器31,32についての交流電圧の位相に基づいて、各電力変換器31,32に対する制御信号を生成する。具体的には、信号生成部320は、各下位装置21,22に含まれる3相電圧生成部120と、各下位装置21,22に含まれるPWM(Pulse Width Modulation)制御部130とを含む。ここでは、下位装置21の3相電圧生成部120およびPWM制御部130の機能について説明するが、下位装置22の3相電圧生成部120およびPWM制御部130の機能についても同様である。
【0042】
3相電圧生成部120は、系統連系点7の交流電圧Vsysの目標値である目標電圧Vrefの絶対値|Vref|および位相θに基づいて、三相の正弦波電圧Va*,Vb*,Vc*を生成する。具体的には、Va*=|Vref|×sinθ、Vb*=|Vref|×sin(θ+2π/3)、Vc*=|Vref|×sin(θ+4π/3)が生成される。
【0043】
PWM制御部130は、三相の正弦波電圧Va*,Vb*,Vc*のそれぞれに対してパルス幅変調を行ない、PWM信号としての制御信号を生成する。PWM制御部130は、当該制御信号を電力変換器31に出力する。典型的には、制御信号は、電力変換器31に含まれる各スイッチング素子のオンおよびオフを制御するためのゲート制御信号である。下位装置22の3相電圧生成部120およびPWM制御部130についても同様の処理が実行されることで、制御信号が電力変換器32に出力される。
【0044】
なお、上位装置5および下位装置21,22の各機能は、各装置に設けられた処理回路により実現される。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいし、各装置の内部メモリに格納されるプログラムを実行するCPUであってもよい。処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路は、例えば、FPGA、ASIC、またはこれらを組み合わせたもの等で構成される。
【0045】
図3の構成によると、上位装置5から共通の角周波数偏差Δωが各下位装置21,22に入力される。各下位装置21,22における制御方式は同一であるため、下位装置21,22から出力される制御信号は同一となる。そのため、電力変換器31から出力される有効電力P1と、電力変換器32から出力される有効電力P2とは同一となる。このことから、複数の蓄電設備101,102は、各々が独立した仮想発電機ではなく、全体として1台の仮想発電機とみなすことができる。したがって、複数の蓄電設備101,102が個別に仮想発電機として動作した場合と比較して、運転の安定性を向上させることができる。例えば、並列接続された各蓄電設備間で出力が流れこむ現象(すなわち、横流)を防止できる。
【0046】
(変形例1)
複数の蓄電設備101,102を1台の仮想発電機とみなして運転していたとしても、各蓄電設備101,102に含まれる蓄電装置は互いに異なるため、運転状況等により各蓄電装置41,42の電池残量(SOC:state of charge)(%)にばらつきが発生する場合がある。電池残量とは、満充電容量に対する現在の残容量を百分率(0〜100%)で示したものである。各蓄電装置41,42の電池残量にばらつきが発生すると、
図3の構成のように共通の角周波数偏差Δωが各下位装置21,22に入力された場合でも、各蓄電設備101,102間で出力が異なり、協調が不安定になる可能性がある。そこで、変形例1では、各蓄電装置41,42の電池残量に応じて出力を補償する制御を加える構成について説明する。
【0047】
図6は、実施の形態1の変形例1に従う制御装置2の機能構成の一例を示すブロック図である。
図6を参照して、制御装置2は、主な機能構成として、発電機模擬部310Aと、信号生成部320と、電池残量検出部330とを含む。電池残量検出部330は、上位装置5に含まれる。
【0048】
電池残量検出部330は、蓄電装置41の電池残量E1および蓄電装置42の電池残量E2を検出する。具体的には、電池残量検出部330は、蓄電装置41,42の電圧を計測することにより電池残量E1,E2を検出する。あるいは、蓄電装置の出力電圧または出力電流は、電池残量に応じて減少するため、電池残量検出部330は、各蓄電装置41,42の出力電圧または出力電流に基づいて電池残量E1,E2を検出する。
【0049】
発電機模擬部310Aは、
図3の発電機模擬部310における角周波数生成部201を角周波数生成部201Aに置き換えたものに相当する。なお、
図6の位相生成部110の機能構成は、
図5の位相生成部110の機能構成と同様である。
【0050】
角周波数生成部201は、角周波数偏差Δω1a,Δω2aを生成する。
図7は、実施の形態1の変形例1に従う角周波数生成部201Aの機能構成の一例を示すブロック図である。
図7を参照して、角周波数生成部201Aは、
図4の角周波数生成部201に、平均値算出部217と減算器219,223,225,229と比例器221,227とを追加したものである。
【0051】
平均値算出部217は、電池残量検出部330により検出された各電池残量E1,E2の平均値Eavを算出する。減算器219は、平均値Eavと電池残量E1との差分ΔE1(=Eav−E1)を演算する。比例器221は、ゲインK(ただし、K>0)と差分ΔE1とを乗算した乗算値Δω1eを出力する。減算器223は、角周波数偏差Δωと乗算値Δω1eとの差分である角周波数偏差Δω1a(=Δω−Δω1e)を演算する。
【0052】
減算器225は、平均値Eavと電池残量E2との差分ΔE2(=Eav−E2)を演算する。比例器227は、ゲインKと差分ΔE2とを乗算した乗算値Δω2eを出力する。減算器229は、角周波数偏差Δωと乗算値Δω2eとの差分である角周波数偏差Δω2a(=Δω−Δω2e)を演算する。
【0053】
上記のように、角周波数生成部201Aは、電力変換器31に接続された蓄電装置41の電池残量E1と平均値Eavとの差分ΔE1と角周波数偏差Δωとに基づいて、電力変換器31を制御するための角周波数偏差Δω1aを生成する。具体的には、角周波数生成部201Aは、差分ΔE1にゲインKを乗算した乗算値Δω1eを角周波数偏差Δωから減算することにより、角周波数偏差Δω1aを生成する。電力変換器32を制御するための角周波数偏差Δω2aの生成方式についても同様である。
【0054】
再び、
図6を参照して、下位装置21の位相生成部110は、電力変換器31を制御するための角周波数偏差Δω1aに基づいて、電力変換器31から出力される交流電圧の位相θ1aを生成する。具体的には、下位装置21の位相生成部110は、角周波数偏差Δω1aと基準角周波数ω0との加算値を時間積分することにより位相θ1aを生成する。同様に、下位装置22の位相生成部110は、角周波数偏差Δω2aと基準角周波数ω0との加算値を時間積分することにより位相θ2aを生成する。
【0055】
信号生成部320は、発電機模擬部310Aにより生成された位相θ1aに基づいて電力変換器31に対する制御信号を生成し、位相θ2aに基づいて電力変換器32に対する制御信号を生成する。信号生成部320の機能構成は、
図3で説明したものと同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0056】
図6の構成によると、各蓄電装置41,42の電池残量にばらつきが発生した場合に、それを平均化させることができる。例えば、蓄電装置41の電池残量E1が平均値Eavよりも小さく、蓄電装置42の電池残量E2が平均値Eavよりも大きいものとする。この場合、乗算値Δω1eは正の値となり、角周波数偏差Δω1aが角周波数偏差Δωよりも小さくなる(すなわち、Δω1a<Δω)。すなわち、角周波数偏差Δωに対して、仮想発電機の速度を減少させるような補正がなされる。一方、乗算値Δω2eは負の値となり、角周波数偏差Δω2aが角周波数偏差Δωよりも大きくなる(すなわち、Δω2a>Δω)。すなわち、角周波数偏差Δωに対して、仮想発電機の速度を増大させるような補正がなされる。したがって、角周波数偏差Δωに対する補正がなされない場合と比べて、電力変換器31からの出力が減少することで蓄電装置41の出力が減少する一方、電力変換器32からの出力が増大することで蓄電装置42の出力が増大する。これにより、蓄電装置41の電池残量の低下速度が蓄電装置42の低下速度よりも緩やかになり、各蓄電装置41,42の電池残量が平均化される。
【0057】
各蓄電装置41,42の電池残量にばらつきがある場合、一時的には、電力変換器31から出力される有効電力P1と、電力変換器32から出力される有効電力P2とは異なるが、上記制御により、各蓄電装置41,42の電池残量は平均化され、ばらつきが抑制される。ばらつきが抑制されると、電力変換器31から出力される有効電力P1と、電力変換器32から出力される有効電力P2とは同一となるように収束するため、複数の蓄電設備101,102は全体として1台の仮想発電機としてみなすことができ、運転の安定性を向上させることができる。
【0058】
(変形例2)
複数の蓄電設備101,102を1台の仮想発電機とみなして運転していたとしても、各蓄電設備101,102に含まれる変換器用変圧器51,52は異なる。そのため、経年劣化等により変換器用変圧器51,52のインピーダンスにばらつきが発生する場合がある。この場合、
図3の構成にように共通の角周波数偏差Δωが各下位装置21,22に入力された場合でも、各蓄電設備101,102間で出力が異なり、協調が不安定になる可能性がある。そこで、変形例2では、各変換器用変圧器51,52のインピーダンスに応じて出力を補償する制御を加える構成について説明する。
【0059】
図8は、実施の形態1の変形例2に従う制御装置2の機能構成の一例を示すブロック図である。
図8を参照して、制御装置2は、主な機能構成として、発電機模擬部310Bと、信号生成部320と、インピーダンス算出部340とを含む。インピーダンス算出部340は、上位装置5に含まれる。なお、各変換器用変圧器51,52のインピーダンス公称値は同一であり、“Zo”と表記する。
【0060】
インピーダンス算出部340は、変換器用変圧器51,52のインピーダンスを算出する。具体的には、インピーダンス算出部340は、電力変換器31から出力される交流電圧V1および交流電流I1を取得する。交流電圧V1および交流電流I1は、下位装置21から取得してもよいし、電流検出器61および電圧検出器71から直接取得してもよい。インピーダンス算出部340は、交流電圧V1および交流電流I2に基づいて、電力変換器31に接続される変換器用変圧器51のインピーダンスZ1を算出する。
【0061】
また、インピーダンス算出部340は、電力変換器32から出力される交流電圧V2および交流電流I2を取得する。交流電圧V2および交流電流I2は、下位装置22から取得してもよいし、電流検出器62および電圧検出器72から直接取得してもよい。インピーダンス算出部340は、交流電圧V2および交流電流I2に基づいて、電力変換器32に接続される変換器用変圧器52のインピーダンスZ2を算出する。
【0062】
発電機模擬部310Bは、
図3の発電機模擬部310における角周波数生成部201を角周波数生成部201Bに置き換えたものに相当する。なお、
図8の位相生成部110の機能構成は、
図5の位相生成部110の機能構成と同様である。
【0063】
角周波数生成部201Bは、角周波数偏差Δω1b,Δω2bを生成する。
図9は、実施の形態1の変形例2に従う角周波数生成部201Bの機能構成の一例を示すブロック図である。
図9を参照して、角周波数生成部201Bは、
図4の角周波数生成部201に、減算器239,243,245,249と比例器241,247とを追加したものである。
【0064】
減算器239は、予め定められたインピーダンス(すなわち、公称値Zo)とインピーダンスZ1との差分ΔZ1(=Zo−Z1)を演算する。比例器241は、ゲインKと差分ΔZ1とを乗算した乗算値Δω1zを出力する。減算器243は、角周波数偏差Δωと乗算値Δω1zとの差分である角周波数偏差Δω1b(=Δω−Δω1z)を演算する。
【0065】
減算器245は、公称値ZoとインピーダンスZ2との差分ΔZ2(=Zo−Z2)を演算する。比例器247は、ゲインKと差分ΔZ2とを乗算した乗算値Δω2zを出力する。減算器249は、角周波数偏差Δωと乗算値Δω2zとの差分である角周波数偏差Δω2b(=Δω−Δω2z)を演算する。
【0066】
上記のように、角周波数生成部201Bは、電力変換器31に接続された変換器用変圧器51のインピーダンスZ1と公称値Zoとの差分ΔZ1を算出し、差分ΔZ1と角周波数偏差Δωとに基づいて、電力変換器31を制御するための角周波数偏差Δω1bを生成する。具体的には、角周波数生成部201Bは、差分ΔZ1にゲインKを乗算した乗算値Δω1zを角周波数偏差Δωから減算することにより、角周波数偏差Δω1bを生成する。電力変換器32を制御するための角周波数偏差Δω2bの生成方式についても同様である。
【0067】
再び、
図8を参照して、下位装置21の位相生成部110は、電力変換器31に対応する角周波数偏差Δω1bに基づいて、電力変換器31から出力される交流電圧の位相θ1bを生成する。具体的には、下位装置21の位相生成部110は、角周波数偏差Δω1bと基準角周波数ω0との加算値を時間積分することにより位相θ1bを生成する。同様に、下位装置22の位相生成部110は、角周波数偏差Δω2bと基準角周波数ω0との加算値を時間積分することにより位相θ2bを生成する。
【0068】
信号生成部320は、発電機模擬部310Bにより生成された位相θ1bに基づいて電力変換器31に対する制御信号を生成し、位相θ2bに基づいて電力変換器32に対する制御信号を生成する。信号生成部320の機能構成は、
図3で説明したものと同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0069】
図8の構成によると、各変換器用変圧器51,52のインピーダンスにばらつきが発生した場合に、各電力変換器31,32の出力を平均化させることができる。例えば、変換器用変圧器51のインピーダンスZ1が公称値Zoよりも大きい場合を想定する。この場合、乗算値Δω1zは負の値となり、角周波数偏差Δω1bが角周波数偏差Δωよりも大きくなる(すなわち、Δω1b>Δω)。すなわち、角周波数偏差Δωに対して、仮想発電機の速度を増大させる(すなわち、出力を増大させる)ような補正がなされる。これにより、インピーダンスZ1の増大による出力(例えば、有効電力出力)の減少が、上記制御により補償される。
【0070】
一方、変換器用変圧器51のインピーダンスZ1が公称値Zoよりも小さい場合には、乗算値Δω1zは正の値となり、角周波数偏差Δω1bが角周波数偏差Δωよりも小さくなる(すなわち、Δω1b<Δω)。すなわち、角周波数偏差Δωに対して、仮想発電機の速度を減少させる(すなわち、出力を減少させる)ような補正がなされる。これにより、インピーダンスZ1の減少による出力の増大が、上記制御により補償される。なお、変換器用変圧器52についても同様である。これにより、各変換器用変圧器51,52のインピーダンスZ1,Z2にばらつきが発生した場合であっても、各変換器用変圧器51,52からの出力のばらつきは抑制されるため、複数の蓄電設備101,102は全体として1台の仮想発電機としてみなすことができ、運転の安定性を向上させることができる。
【0071】
実施の形態2.
上述の実施の形態1では、各電力変換器31,32の容量は同一(または同程度)である場合を想定し、電力変換器31から出力される有効電力P1と電力変換器32から出力される有効電力P2とを合計した有効電力Pgに基づいて、各電力変換器31,32を制御する構成について説明した。実施の形態2では、各電力変換器31,32の容量が異なり、有効電力P1,P2に基づいて、それぞれ電力変換器31,32を制御する構成について説明する。実施の形態2の全体構成は、
図1に示す実施の形態1の全体構成と同様である。
【0072】
<制御装置の機能構成>
図10は、実施の形態2に従う制御装置2の機能構成の一例を示すブロック図である。
図10を参照して、制御装置2は、主な機能構成として、発電機模擬部315と、信号生成部320とを含む。
【0073】
発電機模擬部315は、各電力変換器31,32から出力される有効電力P1,P2に基づいて同期発電機の特性を模擬することにより、各電力変換器31,32から出力される交流電圧の位相θ1,θ2を生成する。信号生成部320は、発電機模擬部315により生成された位相θ1に基づいて電力変換器31に対する制御信号を生成し、位相θ2に基づいて電力変換器32に対する制御信号を生成する。信号生成部320の機能構成は、
図3で説明したものと同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0074】
発電機模擬部315は、平均値算出部610と、減算器612,614と、角周波数生成部410,420と、位相生成部510,520とを含む。平均値算出部610および減算器612,614は上位装置5に含まれ、角周波数生成部410および位相生成部510は下位装置21に含まれ、角周波数生成部420および位相生成部520は下位装置22に含まれる。
【0075】
平均値算出部610は、電力変換器31,32からそれぞれ出力される有効電力P1,P2の加重平均値である平均値Pavを算出する。電力変換器31の容量をSM1とし、電力変換器32の容量をSM2とする。この場合、Pav=(SM1×P1+SM2×P2)/(SM1+SM2)となる。
【0076】
なお、平均値算出部610は、電流検出器61および電圧検出器71からそれぞれ取得される交流電流I1および交流電圧V1に基づいて有効電力P1を算出し、電流検出器62および電圧検出器72からそれぞれ取得される交流電流I2および交流電圧V2に基づいて有効電力P2を算出する。また、平均値算出部610は、下位装置21,22からそれぞれ有効電力P1,P2を取得してもよい。
【0077】
減算器612は、平均値Pavと有効電力P1との差分ΔP1(=Pav−P1)を演算する。差分ΔP1は下位装置21の発電機模擬部315に入力される。減算器614は、平均値Pavと有効電力P2との差分ΔP2(=Pav−P2)を演算する。差分ΔP2は下位装置22の発電機模擬部315に入力される。
【0078】
角周波数生成部410は、角周波数偏差Δω1を生成する。位相生成部510は、角周波数偏差Δω1に基づいて位相θ1を生成する。角周波数生成部420は、角周波数偏差Δω2を生成する。位相生成部510は、角周波数偏差Δω2に基づいて位相θ2を生成する。
【0079】
図11は、実施の形態2に従う角周波数生成部410および位相生成部510の機能構成の一例を示すブロック図である。角周波数生成部410は、有効電力算出部412と、減算器414と、積分器416とを含む。
【0080】
有効電力算出部412は、交流電流I1および交流電圧V1に基づいて、有効電力P1を算出する。減算器414は、有効電力P1の目標値である有効電力目標値Pref1と有効電力P1との差分に、差分ΔP1を加算した加算値P1x(=Pref1−P1+ΔP1)を演算する。有効電力目標値Pref1は、系統運用者によって適宜設定される。積分器416は、減算器414の出力値(すなわち、加算値P1x)を時間積分して角周波数偏差Δω1を出力する。
【0081】
位相生成部510は、加算器512と、積分器514とを含む。加算器512は、角周波数生成部410により生成された角周波数偏差Δω1と基準角周波数ω0とを加算した角周波数ω1(=Δω1+ω0)を出力する。積分器514は、角周波数ω1を時間積分して電力変換器31から出力される交流電圧V1の位相θ1を出力する。
【0082】
下位装置22に含まれる角周波数生成部420および位相生成部520の機能は、角周波数生成部410および位相生成部510の機能と同様である。具体的には、角周波数生成部420は、交流電流I2および交流電圧V2に基づいて算出される有効電力P2と、有効電力P2の有効電力目標値Pref2との差分に、差分ΔP2を加算した値ΔP2x(=Pref2−P2+ΔP2)を演算する。角周波数生成部420は、値ΔP2xを時間積分して角周波数偏差Δω2を出力する。位相生成部520は、角周波数偏差Δω2と基準角周波数ω0とを加算した角周波数ω2(=Δω2+ω0)を時間積分して、電力変換器32から出力される交流電圧V2の位相θ2を出力する。
【0083】
上記より、
図11の構成において、発電機模擬部315は、有効電力P1,P2と、有効電力目標値Pref1,Pref2と、平均値Pavとに基づいて、各電力変換器31,32から出力される交流電圧の位相θ1,θ2を生成する。具体的には、発電機模擬部315は、有効電力P1と有効電力目標値Pref1との差分に、有効電力P1と平均値Pavとの差分ΔP1を加算した加算値P1xを算出する。発電機模擬部315は、加算値P1xを時間積分することにより角周波数偏差Δω1を生成し、角周波数偏差Δω1と基準角周波数ω0との加算値(すなわち、ω1)を時間積分して位相θ1を生成する。位相θ2の生成方式についても同様である。
【0084】
図11の構成において、平均値Pavは、各蓄電設備101,102を1台の仮想発電機とみなした場合に出力される平均有効電力と考えることができる。そして、平均値Pavと各電力変換器31,32から出力される有効電力との差分が角周波数偏差の補正に利用される。これにより、例えば、電力変換器31から出力される有効電力P1が平均値Pavよりも小さい場合、有効電力P1を平均値Pavまで増大させるために位相θ1を大きくする。そして、この位相θ1を有する電圧波形を電力変換器31が出力することで、有効電力P1が増大する。一方、有効電力P1が平均値Pavよりも大きい場合、有効電力P1を平均値Pavまで減少させるために位相θ1を小さくする。この位相θ1を有する電圧波形を電力変換器31が出力することで、有効電力P1が減少する。
【0085】
これにより、各蓄電設備101,102を1台の仮想発電機としてみなした際の有効電力(すなわち、平均値Pav)と、有効電力P1,P2との偏差を補正できる。そのため、各電力変換器31,32は、自己の容量に基づく出力有効電力の限界値までの余裕を同程度確保できる。したがって、急な出力変動等の際に、一方の電力変換器が早期に限界値に達してしまい、それ以上の出力ができないといった事態を回避できる。
【0086】
また、互いに容量が異なる電力変換器31,32に対して、その容量に応じた制御信号が入力される。そのため、複数の電力変換器31,32の容量が互いに異なる場合であってもそれぞれ協調した制御を行なうことができる。また、並列接続された複数の蓄電設備101,102を1台の仮想発電機とみなした場合に、各電力変換器31,32は同程度の出力余裕を確保できる。
【0087】
ここで、
図11に示した位相θ1を生成する制御ロジックにおいて、差分ΔP1を適用する位置は、
図11に示す構成に限られない。
図12は、実施の形態2に従う角周波数生成部410および位相生成部510の機能構成の他の例を示すブロック図である。角周波数生成部410Aは、
図10の角周波数生成部410に対応するが、便宜上“A”との符号を付記している。これは、
図13においても同様である。
【0088】
角周波数生成部410Aは、有効電力算出部412と、減算器414Aと、積分器416,416Aと、加算器418とを含む。減算器414Aは、有効電力P1と有効電力目標値Pref1との差分(すなわち、Pref1−P1)を算出する。積分器416は、当該差分を時間積分して角周波数偏差Δωa1を出力する。積分器416Aは、差分ΔP1を時間積分して角周波数偏差Δωa2を出力する。加算器418は、角周波数偏差Δωa1および角周波数偏差Δωa2を加算して角周波数偏差Δω1を出力する。
【0089】
位相生成部510の構成は、
図11の構成と同様であるためその詳細な説明は繰り返さない。また、位相θ2の生成方式は位相θ1の生成方式と同様である。
【0090】
上記より、
図12の構成において、発電機模擬部315は、有効電力P1と有効電力目標値Pref1との差分を時間積分して角周波数偏差Δωa1を生成し、有効電力P1と平均値Pavとの差分ΔP1を時間積分して角周波数偏差Δωa2を生成する。発電機模擬部315は、角周波数偏差Δωa1と角周波数偏差Δωa2と基準角周波数ω0との加算値(=Δωa1+Δωa2+ω0)を時間積分して位相θ1を生成する。位相θ2の生成方式についても同様である。
図12の構成においても、
図11の構成と同様の作用効果を有する。
【0091】
図13は、実施の形態2に従う角周波数生成部410および位相生成部510の機能構成のさらに他の例を示すブロック図である。角周波数生成部410Bは、有効電力算出部412と、減算器414Aと、積分器416,416Aとを含む。角周波数生成部410Bは、
図12の角周波数生成部410Aから加算器418を削除した構成に相当する。ただし、角周波数生成部410Bでは、角周波数偏差Δωa1および角周波数偏差Δωa2が位相生成部510Bに出力される。その他の構成については
図12の構成と同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0092】
位相生成部510Bは、加算器512と、積分器514,514Aと、加算器516とを含む。加算器512は、角周波数偏差Δωa1と基準角周波数ω0との加算値(=Δωa1+ω0)を出力する。積分器514は、当該加算値を時間積分して位相θa1を出力する。積分器514Aは、角周波数偏差Δωa2を時間積分して位相θa2を出力する。加算器516は、位相θa1と位相θa2とを加算して位相θ1(=θa1+θa2)を出力する。位相θ2の生成方式は位相θ1の生成方式と同様である。
【0093】
上記より、
図13の構成において、発電機模擬部315は、有効電力P1と有効電力目標値Pref1との差分を時間積分して角周波数偏差Δωa1を生成し、有効電力P1と平均値Pavとの差分ΔP1を時間積分して角周波数偏差Δωa2を生成する。発電機模擬部315は、角周波数偏差Δωa1と基準角周波数ω0との加算値(=Δωa1+ω0)を時間積分して位相θa1を生成し、角周波数偏差Δωa2を時間積分して位相θa2を生成する。発電機模擬部315は、位相θa1と位相θa2とを加算することにより位相θ1を生成する。位相θ2の生成方式についても同様である。
図13の構成においても、
図11の構成と同様の作用効果を有する。
【0094】
なお、
図13の例では、積分器416と積分器514との間に加算器512を設けているが、その代わりに、積分器416Aと積分器514Aとの間に加算器512を設ける構成であってもよい。この場合、積分器514は、角周波数偏差Δωa1を時間積分して位相θa1を生成し、積分器514Aは、角周波数偏差Δωa2と基準角周波数ω0との加算値(=Δωa2+ω0)を時間積分して位相θa2を生成する。
【0095】
(変形例1)
図14は、実施の形態2の変形例1に従う制御装置2の機能構成の一例を示すブロック図である。
図14を参照して、制御装置2は、主な機能構成として、発電機模擬部315Aと、信号生成部320とを含む。
【0096】
発電機模擬部315Aは、平均値算出部610Aと、減算器622,624と、角周波数生成部451,452と、位相生成部551,552とを含む。平均値算出部610Aおよび減算器622,624は上位装置5に含まれ、角周波数生成部451および位相生成部551は下位装置21に含まれ、角周波数生成部452および位相生成部552は下位装置22に含まれる。
【0097】
平均値算出部610Aは、角周波数生成部451により生成された角周波数偏差Δωb1と、角周波数生成部421により生成された角周波数偏差Δωb2との平均値Δωav(=(Δωb1+Δωb2)/2)を算出する。
【0098】
減算器622は、平均値Δωavと角周波数偏差Δωb1との差分Δωc1(=Δωav−Δωb1)を演算する。差分Δωc1は角周波数生成部451に入力される。減算器624は、平均値Δωavと角周波数偏差Δωb2との差分Δωc2(=Δωav−Δωb2)を演算する。差分Δωc2は角周波数生成部421に入力される。
【0099】
角周波数生成部451は、角周波数偏差Δω1を生成する。位相生成部551は、角周波数偏差Δω1に基づいて位相θ1を生成する。角周波数生成部452は、角周波数偏差Δω2を生成する。位相生成部552は、角周波数偏差Δω2に基づいて位相θ2を生成する。
【0100】
図15は、実施の形態2の変形例1に従う角周波数生成部451および位相生成部551の機能構成の一例を示すブロック図である。角周波数生成部451は、有効電力算出部482と、減算器484と、積分器486と、加算器488とを含む。
【0101】
有効電力算出部482は、交流電流I1および交流電圧V1に基づいて、有効電力P1を算出する。減算器484は、有効電力目標値Pref1と有効電力P1との差分を演算する。積分器486は、当該差分を時間積分して角周波数偏差Δωb1を出力する。角周波数偏差Δωb1は、加算器488および上位装置5に出力される。加算器488は、角周波数偏差Δωb1と差分Δωc1とを加算して角周波数偏差Δω1(=Δωb1+Δωc1)を生成する。
【0102】
位相生成部551は、加算器582と、積分器584とを含む。加算器582は、角周波数偏差Δω1と基準角周波数ω0とを加算した角周波数ω1を出力する。積分器584は、角周波数ω1を時間積分して位相θ1を出力する。下位装置22に含まれる角周波数生成部452および位相生成部552の機能は、それぞれ角周波数生成部451および位相生成部551の機能と同様である。具体的には、角周波数生成部452は、有効電力目標値Pref2と有効電力P2との差分を時間積分して角周波数偏差Δωb2を生成し、角周波数偏差Δωb2と差分Δωc2とを加算して角周波数偏差Δω2を生成する。位相生成部552は、角周波数偏差Δω2と基準角周波数ω0とを加算した角周波数ω2を時間積分して、位相θ2を出力する。
【0103】
上記より、
図14の構成において、発電機模擬部315Aは、電力変換器31に対応する角周波数偏差Δωb1と、基準角周波数ω0と、各角周波数偏差Δωb1,Δωb2の平均値Δωavとに基づいて、電力変換器31から出力される交流電圧の位相θ1を生成する。具体的には、発電機模擬部315Aは、角周波数偏差Δωb1と、差分Δωc1と、基準角周波数ω0との加算値(すなわち、ω1)を時間積分することにより位相θ1を生成する。また、発電機模擬部315Aは、角周波数偏差Δωb2と、差分Δωc1と、基準角周波数ω0との加算値(すなわち、ω2)を時間積分して位相θ2を生成する。
【0104】
図14の構成において、平均値Δωavは、各蓄電設備101,102を1台の仮想発電機とみなした場合における平均角周波数偏差と考えることができる。そして、平均値Δωavと各電力変換器31,32に対応する角周波数偏差Δωb1,Δωb2との差分Δωc1,Δωc2が角周波数偏差の補正に利用される。これにより、例えば、電力変換器31に対応する角周波数偏差Δωb1が平均値Δωavよりも小さい場合、角周波数偏差Δωb1を平均値Δωavまで増大させるために位相θ1を大きくする。一方、角周波数偏差Δωb1が平均値Δωavよりも大きい場合、角周波数偏差Δωb1を平均値Δωavまで減少させるために位相θ1を小さくする。
【0105】
これにより、各蓄電設備101,102を1台の仮想発電機としてみなした際の角周波数偏差(すなわち、平均値Δωav)と、角周波数偏差Δωb1,Δωb2との偏差を補正できる。そのため、複数の電力変換器31,32の容量が互いに異なる場合であってもそれぞれ協調した制御を行なうことができる。また、並列接続された複数の蓄電設備101,102を1台の仮想発電機とみなした制御を行なう際に、各電力変換器31,32は同程度の出力余裕を確保できる。
【0106】
(変形例2)
図16は、実施の形態2の変形例2に従う制御装置2の機能構成の一例を示すブロック図である。
図16を参照して、制御装置2は、主な機能構成として、発電機模擬部315Bと、信号生成部320とを含む。
【0107】
発電機模擬部315Bは、平均値算出部610Bと、減算器632,634と、角周波数生成部651,652と、位相生成部751,752とを含む。平均値算出部610Bおよび減算器632,634は上位装置5に含まれ、角周波数生成部651および位相生成部751は下位装置21に含まれ、角周波数生成部652および位相生成部752は下位装置22に含まれる。
【0108】
平均値算出部610Bは、位相生成部751により生成された位相θb1と、位相生成部752により生成された位相θb2との平均値θav(=(θb1+θb2)/2)を算出する。
【0109】
減算器632は、平均値θavと位相θb1との差分Δθc1(=θav−θb1)を演算する。差分Δθc1は位相生成部751に入力される。減算器634は、平均値θavと位相θb2との差分Δθc2(=θav−θb2)を演算する。差分Δθc2は位相生成部752に入力される。
【0110】
角周波数生成部651は、角周波数偏差Δω1を生成する。位相生成部751は、角周波数偏差Δω1に基づいて位相θ1を生成する。角周波数生成部652は、角周波数偏差Δω1を生成する。位相生成部752は、角周波数偏差Δω2に基づいて位相θ2を生成する。
【0111】
図17は、実施の形態2の変形例2に従う角周波数生成部651および位相生成部751の機能構成の一例を示すブロック図である。角周波数生成部651は、有効電力算出部682と、減算器684と、積分器686とを含む。
【0112】
有効電力算出部682は、交流電流I1および交流電圧V1に基づいて、有効電力P1を算出する。減算器684は、有効電力目標値Pref1と有効電力P1との差分を演算する。積分器686は、当該差分を時間積分して角周波数偏差Δω1を出力する。
【0113】
位相生成部751は、加算器782と、積分器784と、加算器786とを含む。加算器782は、角周波数偏差Δω1と基準角周波数ω0とを加算した加算値を出力する。積分器784は、当該加算値を時間積分して位相θb1を出力する。位相θb1は、加算器786および上位装置5に出力される。加算器786は、位相θb1と差分θc1とを加算した位相θ1を出力する。
【0114】
下位装置22に含まれる角周波数生成部652および位相生成部752の機能は、それぞれ角周波数生成部651および位相生成部751の機能と同様である。具体的には、角周波数生成部652は、有効電力目標値Pref2と有効電力P2との差分を時間積分して角周波数偏差Δω2を生成する。位相生成部752は、角周波数偏差Δω2と基準角周波数ω0とを加算した加算値を時間積分して位相θb2を生成し、位相θb2と差分θc2とを加算して位相θ2を生成する。
【0115】
上記より、
図16の構成において、発電機模擬部315Bは、電力変換器31に対応する位相θb1と、各位相θb1,θb2の平均値θavとに基づいて、電力変換器31から出力される交流電圧の位相θ1を生成する。具体的には、発電機模擬部315Bは、位相θb1と平均値θavとの差分Δθc1と、位相θb1を加算することにより位相θ1を生成する。発電機模擬部315Bは、位相θb2と平均値θavとの差分Δθc2と、位相θb2を加算することにより位相θ2を生成する。
【0116】
図16の構成において、平均値θavは、各蓄電設備101,102を1台の仮想発電機とみなした場合における平均位相と考えることができる。そして、平均値θavと各電力変換器31,32に対応する位相θb1,θb2との差分Δθc1,Δθc2が位相の補正に利用される。これにより、例えば、電力変換器31に対応する位相θb1が平均値θavよりも小さい場合、位相θb1を平均値θavまで増大させるために位相θ1を大きくする。一方、位相θb1が平均値θavよりも大きい場合、位相θb1を平均値θavまで減少させるために位相θ1を小さくする。
【0117】
これにより、各蓄電設備101,102を1台の仮想発電機としてみなした際の位相(すなわち、平均値θav)と、位相θb1,θb2との偏差を補正できる。そのため、複数の電力変換器31,32の容量が互いに異なる場合であってもそれぞれ協調した制御を行なうことができる。また、並列接続された複数の蓄電設備101,102を1台の仮想発電機とみなした制御を行なう際に、各電力変換器31,32は同程度の出力余裕を確保できる。
【0118】
なお、上述した実施の形態2に従う発電機模擬部(例えば、発電機模擬部315,315A,315B)は、位相θ1,θ2の生成に用いられるパラメータの平均値を算出し、電力変換器に対応するパラメータと各パラメータの平均値とに基づいて、当該電力変換器から出力される交流電圧の位相を生成する。例えば、
図10の発電機模擬部315は、有効電力P1,P2を当該パラメータとして算出する。
図14の発電機模擬部315Aは、角周波数偏差Δωb1,Δωb2を当該パラメータとして算出する。
図16の発電機模擬部315Bは、位相θb1,θb2を当該パラメータとして算出する。
【0119】
その他の実施の形態.
(1)上述した実施の形態では、複数の変換器用変圧器51,52は、電力系統3の系統連系点7に直接接続される構成について説明したが、当該構成に限られない。例えば、複数の変換器用変圧器51,52は、連系用変圧器を介して系統連系点7に接続される構成であってもよい。
【0120】
図18は、電力制御システムの全体構成の他の例を説明するための図である。
図18を参照して、複数の変換器用変圧器51,52と、電力系統3の系統連系点7との間には、連系用変圧器9が設けられている。これにより、複数の変換器用変圧器51,52は、連系用変圧器9を介して系統連系点7に接続される。
図18に示す構成は、特に、電力系統3の系統電圧が高い場合に有用である。以下、その理由について説明する。
【0121】
各変換器用変圧器51,52の一次側(すなわち、電力系統3側)電圧は、電力系統3の系統電圧に合わせる必要がある。そのため、電力系統3の系統電圧が高い場合に、変換器用変圧器51,52を系統連系点7に直接接続すると、変換器用変圧器51,52の一次側電圧と二次側(すなわち、電力変換器側)電圧との差が大きくなる。この場合、変換器用変圧器51,52の設計が過大となる。
【0122】
図18の構成によると、電力系統3の系統連系点7と変換器用変圧器51,52との間に連系用変圧器9を設けられているため、変換器用変圧器51,52の定格電圧を小さくできる。また、連系用変圧器9は、複数の蓄電設備101,102によって共有されているため、電力制御システムの規模縮小およびコスト低減が可能となる。
【0123】
(2)実施の形態2の構成は、各電力変換器31,32の容量が異なる場合に有用であるが、各電力変換器31,32の容量が同一である場合に適用してもよい。
【0124】
(3)上述した制御装置2の各機能構成は、上記とは異なる装置に含まれる構成であってもよい。例えば、
図3では、角周波数生成部201が上位装置5に含まれ、位相生成部110、3相電圧生成部120およびPWM制御部130が下位装置21,22に含まれる構成について説明したが当該構成に限られない。角周波数生成部201および位相生成部110が上位装置5に含まれ、3相電圧生成部120およびPWM制御部130が下位装置21,22に含まれる構成であってもよいし、これらのすべての機能構成が上位装置5に含まれる構成であってもよい。これは、他の
図6、
図8、
図10、
図14および
図16についても同様である。すなわち、制御装置2全体として、各図で説明した機能構成を有していればよく、各機能構成がどの装置に含まれるかは限定されない。
【0125】
(4)上述の実施の形態として例示した構成は、本開示の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能である。また、上述した実施の形態において、他の実施の形態で説明した処理および構成を適宜採用して実施する場合であってもよい。
【0126】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
電力制御システムは、互いに並列に接続された複数の電力変換器(31,32)を備える。複数の電力変換器の各々は、当該電力変換器に接続された蓄電装置(41,42)の直流電力を交流電力に変換して、当該交流電力を変換器用変圧器(51,52)を介して電力系統(3)に出力する。電力制御システムは、合計有効電力に基づいて同期発電機の特性を模擬することにより、各電力変換器から出力される交流電圧の位相を生成する発電機模擬部(310)と、各電力変換器についての交流電圧の位相に基づいて、各電力変換器に対する制御信号を生成する信号生成部(320)とをさらに備える。発電機模擬部(310)は、合計有効電力と合計有効電力の目標値との第1差分に基づいて、第1角周波数を生成し、第1角周波数に基づいて、各電力変換器から出力される交流電圧の位相を生成する。