(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る永久磁石同期モータのシャフトに垂直な面における断面図である。
【
図2】実施の形態1に係る永久磁石同期モータのシャフトに垂直な面における断面の永久磁石付近を拡大した断面図である。
【
図3】実施の形態1の対比となる先行技術の永久磁石同期モータのシャフトに垂直な面における断面の永久磁石付近を拡大した断面図である。
【
図4】永久磁石同期モータの突起/凹部の有無による速度―トルク特性を比較した図である。
【
図5】実施の形態1に係る永久磁石同期モータと、対比となる永久磁石同期モータの永久磁石の減磁率分布を比較した図である。
【
図6】実施の形態1に係る永久磁石同期モータと、対比となる永久磁石同期モータの減磁後の誘起電圧の低下率を比較した図である。
【
図7】実施の形態1に係る永久磁石同期モータの変形形態1を示した部分拡大断面図である。
【
図8】実施の形態1に係る永久磁石同期モータの変形形態2を示した部分拡大断面図である。
【
図9】実施の形態2に係る永久磁石同期モータのシャフトに垂直な面における断面の永久磁石付近を拡大した断面図である。
【
図10】実施の形態2に係る永久磁石同期モータと、対比となる永久磁石同期モータの減磁率分布を比較した図である。
【
図11】実施の形態2に係る永久磁石同期モータと、対比となる永久磁石同期モータの減磁前の誘起電圧を比較した図である。
【
図12】実施の形態2に係る永久磁石同期モータと、対比となる永久磁石同期モータの減磁後の誘起電圧低下率を比較した図である。
【
図13】実施の形態2に係る永久磁石同期モータの変形形態1を示した部分拡大断面図である。
【
図14】実施の形態2に係る永久磁石同期モータの変形形態2を示した部分拡大断面図である。
【
図15】実施の形態2に係る永久磁石同期モータの変形形態3を示した部分拡大図である。
【
図16】実施の形態2に係る永久磁石同期モータの変形形態4を示した部分拡大図である。
【
図17】実施の形態2に係る永久磁石同期モータの変形形態5を示した部分拡大断面図である。
【
図18】実施の形態3に係る永久磁石同期モータのシャフトに垂直な面における断面の永久磁石付近を拡大した断面図である。
【
図19】実施の形態3に係る永久磁石同期モータと、対比となる永久磁石同期モータの減磁率分布を比較した図である。
【
図20】実施の形態3に係る永久磁石同期モータと、対比となる永久磁石同期モータの減磁前の誘起電圧を比較した図である。
【
図21】実施の形態3に係る永久磁石同期モータと、対比となる永久磁石同期モータの減磁後の誘起電圧低下率を比較した図である。
【
図22】実施の形態3に係る永久磁石同期モータの変形形態1を示した部分拡大断面図である。
【
図23】実施の形態3に係る永久磁石同期モータの変形形態2を示した部分拡大断面図である。
【
図24】実施の形態3に係る永久磁石同期モータの変形形態3を示した部分拡大断面図である。
【
図25】実施の形態3に係る永久磁石同期モータの変形形態4を示した部分拡大断面図である。
【
図26】実施の形態3に係る永久磁石同期モータの変形形態5を示した部分拡大断面図である。
【
図27】実施の形態4に係る永久磁石同期モータにおけるロータの一例を示した断面図である。
【
図28】実施の形態4に係る永久磁石同期モータにおけるロータの他の例を示した断面図である。
【
図29】実施の形態4に係る永久磁石同期モータにおけるロータの他の例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
実施の形態1に係る永久磁石同期モータについて説明する。
図1は、本実施の形態に係る永久磁石同期モータ100を軸方向と垂直に切断した構成を示す断面図である。ここで、永久磁石同期モータ100におけるロータ20の軸心に沿う方向を軸方向とする。軸方向に垂直なロータ20の断面において、ロータ20の半径に沿う方向を径方向とする。ロータ20の回転方向に沿う方向、すなわち、上記断面においてロータ20の軸心を中心とした円周に沿う方向を周方向とする。
【0010】
図1に示すように、永久磁石同期モータ100は、ステータ10と、ステータ10に対して回転自在に設けられたロータ20と、を有している。ステータ10は、磁気的ギャップとなる空隙15を介してロータ20の外周を囲むように設けられている。ステータ10は、ステータコア11と、複数のコイル14と、を有している。ステータコア11は、円環上に形成されたコアバック12と、コアバック12から内周側に向かって突出した複数のティース13と、を有している。
【0011】
複数のコイル14は、複数のティース13にそれぞれ巻き付けられている。
図1に示す構成では、12個のティース13と12個のコイル14とが設けられている。本実施の形態では、それぞれ円弧上に形成された複数のコアブロックが円環上に連結されることによりコアバック12が構成されているが、コアバック12は一体に形成されていてもよい。また、コアバック12と各ティース13とが分離して形成されていてもよい。
【0012】
ロータ20は、ロータコア21と、ロータコア21の表面に複数の永久磁石22が周方向に配置された表面側磁石型モータ(SPM)である。永久磁石22は、周方向に隣接する永久磁石22の一方の外径側極性がN極であれば、他方はS極となるように着磁方向が異なるように配置されている。即ち、永久磁石は、隣接する永久磁石同士のステータと対向する面の極性が異極となるように配置されている。
【0013】
ここで、
図1は、ティース13の数とコイル14の数が12個、永久磁石22の数が8個である、いわゆる、8極12スロットの永久磁石同期モータであるが、永久磁石22と、ティース13、コイル14の数の組み合わせはこれに限らなくてもよい。また、ティース13の数とコイル14の数は同数となっているが、これが異なっていてもよい。
【0014】
ロータコア21は、例えば、複数のコア板が軸方向に積層された構成を有している。ロータコア21には、軸方向に貫通したシャフト23を有する。ロータコア21は、径方向に突出した突起24を有し、永久磁石22は、突起24が嵌る凹部25を有する。突起24と、凹部25について
図2を用いて詳細に説明する。
【0015】
図2は、
図1の破線円Eで囲んだ部分の拡大図である。軸中心から径方向に永久磁石22の中央に向かって伸びる放射線RLを定義する。ロータコア21と、永久磁石22とが、接する面を貼付面ASとし、この貼付面ASと凹部25へ変化する点を始点SPとして、放射線RLに平行な線を平行線PLとする。また、凹部25の最外部に接し、放射線RLに垂直な線を接線TLとする。この接線TLと平行線PLが交差する点を交点Aと定義する。永久磁石22の凹部25の最外部から永久磁石22の外径円弧までの最短距離をL1とし、交点Aを通過し、永久磁石22の外径円弧と凹部25の最短距離をL2としたときに、凹部25は、L1≦L2となる形状を有しており、
図1、2においては、凹部角部が円弧形状となっている。
【0016】
図3は、本実施の形態1に係る永久磁石同期モータ100と比較するための従来の永久磁石同期モータを軸方向と垂直に切断した構成を示す断面図である。ここで、ステータについては、図示を省略している。
図3において、説明のない構成については
図1と同様であるとする。
図3において、ロータコア21の突起240と、永久磁石22の凹部250は矩形型となっており、L1>L2の関係となっている。
【0017】
次に、本実施の形態の効果について説明をする。
永久磁石同期モータは、モータ入力電圧Viを越える端子電圧Vtを発生してトルクTを出力することができない。一般的に、回転数が上がると次式(1)〜(4)で示す式に従って端子電圧Vtが増大する。
Vt=√(Vd
2+Vq
2)・・・(1)
Vd=RId+ωLqIq・・・(2)
Vq=RIq+ωΦm+ωLdId・・・(3)
ω=2πf=2π(N/60)pn・・・(4)
ここで、Vd、Vqはdq軸電圧、Rは相抵抗、Id、Iqはdq軸電流、Φmは磁石磁束、Ld、Lqはdq軸インダクタンス、ωは角速度、fは周波数、Nは1分間当たりの回転数、pnは極対数である。永久磁石同期モータでは、高回転におけるトルク出力を増大させる制御方式として、端子電圧増大を抑制する、所謂、弱め磁束制御がある。この弱め磁束制御は磁石磁束Φmを弱める方向にd軸電流Idを通電する制御方式であるが、d軸インダクタンスLdが小さい場合、大きなd軸電流Idを流す必要がある。しかしながら、モータに通電することができる電流には上限があり、インバータからモータに供給する電流をIinvとすると、次式(5)となる。
√3×Iinv=√(Id
2+Iq
2)・・・(5)
【0018】
SPM型の永久磁石同期モータが出力するトルクTは、一般的に次式(6)のように、
T=PnΦmIq・・・(6)
であるから、d軸電流Idが増大するとトルクTを出力するためのq軸電流Iqが減少しトルク出力が低下する。従って、高回転でのトルクTを大きくするには少ないd軸電流Idで弱め磁束制御を効果的に得る必要があり、d軸インダクタンスLdを増大する必要がある。このために、
図3に示す構造とすることでd軸インダクタンスLdを向上することができる。
図4は、横軸を速度(回転数)、縦軸をトルク出力とした速度‐トルク特性と呼ばれるものである。
図4に示すように、突起24、および、凹部25を適用することにより、高回転数(高速度)でのトルク出力が増大していることが分かる。
【0019】
しかしながら、このように、永久磁石22の凹部250の形状が矩形型をしていた場合、回転機のような永久磁石22の外径形状が円弧となっている場合、凹部250の角部において、永久磁石22の外径との距離が極端に短くなる。永久磁石には、永久磁石の温度上昇あるいは、着磁方向と反対方向にステータから磁界が加わる反磁界によって永久磁石の残留磁束密度Brが低下する不可逆減磁と呼ばれる現象がある。この不可逆減磁の容易さは、永久磁石の保磁力と、磁気回路で決定されるパーミアンス係数Pcが関係している。パーミアンス係数Pcは、磁石の着磁方向厚さと磁気抵抗に依存する。パーミアンス係数Pcは、永久磁石同期モータのようなステータとロータの磁気的ギャップが狭い磁気回路において、永久磁石の着磁方向厚さをHm、ステータとロータの磁気的ギャップをgmとしたときに次式(7)で近似することができる。
Pc≒Hm/gm・・・(7)
【0020】
図5は、永久磁石22の減磁状態を磁界解析によって計算した結果である。
図5(a)はL1>L2、
図5(b)はL1=L2、
図5(c)はL1<L2の場合における減磁率分布を示している。濃い部分は減磁率が高く、淡い部分は減磁率が低いことを表示している。
図3に示すような永久磁石22外径と凹部250間の最短距離L2が狭くなるような場合、
図5(a)に示すように広い範囲で減磁が進む。
本実施の形態1では、
図1、2に示すように、永久磁石22の外径と凹部25の最短距離L2がL1≦L2となるように永久磁石22の凹部25を円弧形状としている。
【0021】
図5に示すように、L2を長くすることにより減磁が抑制されていることが分かる。また、
図6は、
図5に示した形状における減磁前後の誘起電圧低下率を示したものであり、L1>L2の誘起電圧低下率を1.0として規格化したものである。
図6に示すように、誘起電圧の低下率が先行技術であるL1>L2と比較して小さくなっていることが分かる。ここで、誘起電圧の低下、つまり、磁石磁束Φmの低下につながるものであり、前述したトルクTが低下することに他ならず、低速域のトルク低下することとなる。また、実施の形態1によると
図4に示した速度―トルク特性は変わることなく出力向上の効果を同様に得ることが可能となる。
【0022】
図7は、実施の形態1に係る永久磁石同期モータの変形形態1における部分拡大図である。
図1と
図7で異なる点は、永久磁石22の凹部25の最外部形状が円弧であるか、フラットとなっており角部に丸みを有しているかであるのみであり、本形状においても、得られる効果に差異はない。また、
図8についても、実施の形態1に係る永久磁石同期モータの変形形態2における部分拡大図である。
図8は、永久磁石22の凹部25の角部が斜めに形成されていることが
図1、
図7と異なる点であるが、この形状においても得られる効果は
図1に示した構造と相違はない。
【0023】
また、本実施の形態1で示したロータコア21の突起24と、永久磁石22の凹部25は、全ての面が接しているが、全ての面は接しておらずともよく、ある1面のみが接していてもよい。製造上の観点からは、交差あるいは、製造時の永久磁石の欠け等を防止するのであれば、永久磁石22の凹部25の寸法は、ロータコア21の突起24よりも大きいことが望ましい。また、永久磁石22の取り付けずれの影響によるトルクリップル、コギングトルクの増加を考慮すると、ある面に片寄することで、取付位置のずれを最小化することが可能である。
【0024】
実施の形態2.
実施の形態2に係る永久磁石同期モータについて説明する。
図9は、本実施の形態2に係る永久磁石同期モータを軸方向と垂直に切断し、
図2と同様に永久磁石22の近傍を拡大した断面図である。
図9には、図示していないが
図1と同様にステータ10、ロータ20によって構成されている。
【0025】
図9において、本実施の形態に係る永久磁石同期モータは、実施の形態1に係る永久磁石同期モータと、以下の点で異なる。
永久磁石22の凹部は、凹部251a、凹部251b、凹部251cの3か所を有しており、ロータコア21から径方向に突出する突起は、突起241a、突起241b、突起241cの3つを有している。
また、本実施の形態2において、
図9に示すように、永久磁石22の中央部に位置する凹部251a、および、突起241aが最も外径側に位置している。
ロータコアは1極当たり奇数個の突起を有し、複数の突起を1組の突起とする突起集合体を有し、突起集合体の周方向外側において、凹部は周方向外側の凹部と永久磁石の外径円弧部との間の最短距離L2がL1≦L2に形成されている。
【0026】
実施の形態1で言うところの最短距離L1は、永久磁石22の凹部251aの最外部と、永久磁石22の外径円弧との最短距離となる。また、実施の形態1で言うところの最短距離L2は、
図9に示すように、永久磁石22の凹部251aの最外部に接する接線TLと、永久磁石22の貼付面ASと凹部251b、または、凹部251cに切り替わる周方向最外部の点を始点SPとして、ロータ20のシャフト中心から永久磁石22の中央に向かって伸びる放射線RLに平行な平行線PLとの交点Aを通り、凹部251b、または、251cと、永久磁石22の外径円弧との最短距離となる。
ここで、
図9において、凹部251b、凹部251cは同じ寸法となっているが、必ずしも、同じ寸法である必要はない。しかしながら、トルクリップル、コギングトルク等を低減する観点から考慮すると、同じ寸法である方が望ましい。
【0027】
次に、実施の形態2の効果について説明する。
図10は、本実施の形態2に係る永久磁石22の減磁率分布と、比較となる先行技術の減磁率分布を示した図である。
図10(a)はL1>L2、
図10(b)は実施の形態2の場合における減磁率分布を示している。濃い部分は減磁率が高く、淡い部分は減磁率が低いことを表示している。
図10に示すように、実施の形態2においても実施の形態1と同様に減磁率高い分布が狭くなっていることが分かる。また、
図11、
図12は、先行技術のようなL1>L2の形態と本実施の形態2における減磁前の誘起電圧と減磁後の誘起電圧低下率を示した図である。ここで、各図は先行技術の誘起電圧と誘起電圧低下率を1として規格化した図である。
【0028】
図11、
図12に示すように、本実施の形態2の誘起電圧が、先行技術に対して大きく、減磁によって低下する誘起電圧低下率は、先行技術に対して小さいことが分かる。
以上のことから、永久磁石22に複数の凹部、および、ロータコア21に複数の突起を有する
図9の形態とすることにより先行技術と比較してモータの特性低下を抑制することが可能となる。また、速度―トルク特性の高速域の出力増大効果は、突起を有しているため
図4同様に得ることが可能である。
【0029】
図13、
図14は、実施の形態2に係る永久磁石同期モータの変形形態1、変形形態2における部分拡大図であり、以下の点で
図9と異なる。
ロータコア21の突起241a〜241cと、永久磁石22の凹部 251a〜251cは、形状が異なり、突起241aと突起241b、または、突起241aと突起241cの間に永久磁石22が全て嵌っていなく、空隙を有している。
図14における空隙は、
図13における空隙より大きくなっている。一般的に、永久磁石に使用されるNd−Fe−B系の磁石は重希土類を使用しているため、高価である。このような構成にすることで、永久磁石22の使用量を削減し、コスト低減が可能となる。また、永久磁石の加工を容易にすることもでき、加工のための費用を削減することができる。
図13、
図14のように構成することで、誘起電圧は多少低下するものの、実施の形態2と同様の効果を得られるため問題ない。
【0030】
図15は、実施の形態2を示す
図9の変形形態3における部分拡大図であり、突起241a〜241c、及び、凹部251a〜251cの形状が矩形状となって異なる以外は、実施の形態2と同じ構成となっている。このため、実施の形態2と同様の効果を得ることができるため問題ない。
【0031】
図16、
図17は実施の形態2の変形形態として示した
図13、
図14の変形例である変形形態4、変形形態5における部分拡大図である。
図13、
図14とは、突起241a〜241c、凹部251a〜251cの形状が矩形状となって異なる以外は、同様の構成となっている。このため、実施の形態2と同様の効果を得ることが可能であり、問題ない。
本実施の形態2として
図9、
図13〜
図17に示した永久磁石は、3つの突起を有した形状となっているが、突起の数は3以上の奇数で構成されていても問題ない。
【0032】
実施の形態3.
実施の形態3に係る永久磁石同期モータについて説明する。
図18は、本実施の形態3に係る永久磁石同期モータのロータの永久磁石付近を拡大した図で、シャフトの軸方向と垂直に切断した断面図である。
【0033】
図18において、実施の形態1と以下の点で異なる。ロータコア21から突出する突起の数は2個であり、永久磁石22の凹部も2個である。最短距離L1は、永久磁石22の凹部252a、または、凹部252bの最外部と、永久磁石外径円弧との最短距離であり、実施の形態1、2と異なり、永久磁石の中央付近ではない。また、最短距離L2は、以下で定義される。永久磁石の凹部252a、または、凹部252bの最外部に接する接線TLを定義する。ロータコア21と永久磁石22の貼付面ASから永久磁石の凹部252a、または、凹部252bへの切り替え点を始点SPとして、ロータ20の軸中心から永久磁石22の中央に向かって伸びる放射線RLに平行な平行線PLを定義したときに、最短距離L2は、接線TLと平行線PLが交差する交点を通過し、永久磁石22の凹部252a、または、凹部252bと永久磁石22の外径円弧部との最短距離をL2とする。L1とL2の関係は、実施の形態1、2と同様にL1≦L2である。
このように、ロータコアは1極当たり偶数個の突起を有し、複数の突起を1組の突起とする突起集合体を有し、突起集合体の周方向外側において、凹部は周方向外側の凹部と永久磁石の外径円弧部との間の最短距離L2がL1≦L2に形成されている。
【0034】
次に、本実施の形態3の効果について説明する。
図19は、本実施の形態3に係る永久磁石22の減磁率分布と、比較となる先行技術の減磁率分布を示した図である。
図19(a)はL1>L2、
図19(b)は実施の形態2の場合における減磁率分布を示している。濃い部分は減磁率が高く、淡い部分は減磁率が低いことを表示している。
図19に示すように、実施の形態3においても実施の形態1、2と同様に減磁率高い分布が狭くなっていることが分かる。
図20は、先行技術であるL1>L2の誘起電圧を1として規格化し、本実施の形態の誘起電圧と比較した結果である。また、
図21は、先行技術であるL1>L2の誘起電圧低下率を1として規格化して、本実施の形態の誘起電圧低下率と比較した図である。
【0035】
図20に示すように、本実施の形態とすることで、誘起電圧が向上していることが分かる。また、
図21に示すように、誘起電圧低下率は、低下率が減少していることが分かる。これは、磁石中央付近の磁石凹部を無くすことによる効果であり、ステータ10とロータ20の間に発生するトルクに寄与する磁石のギャップ磁束密度の基本波が増大したためである。このため、低速域のトルクを増大することが可能となるとともに、高温時の反磁界によって発生する不可逆減磁による磁石磁束の低下も抑制することが可能となる。つまり、高温下におけるトルク低下を抑制することが可能となる。
【0036】
図22は、本実施の形態3に係る永久磁石同期モータの変形形態1における部分拡大図であり、
図18と以下の点で異なる。
図22は、2個の突起242a、突起242bに挟まれた永久磁石22がロータコア21まで伸びておらず途中までとなっている点が異なる。本形態とする理由としては、突起242a、突起242bに挟まれた部分の周方向幅が狭い場合、磁石の割れあるいは欠けが発生する可能性がある他、製造できない可能性がある。このため、生産可能性を考えた場合、永久磁石22の底面が外周側よりも外径側に位置する構造となる方が望ましい。この構成においても
図18に示した本実施の形態3と同様の効果を得ることが可能である。
また、
図23に示したように、突起242a、突起242bに挟まれたロータコアが外径側に位置する変形形態2も考えられる。本変形形態2においても、実施の形態3の効果を同様に得ることが可能である。
【0037】
図24〜
図26は、本実施の形態3に係る永久磁石同期モータの変形形態3、変形形態4、変形形態5における部分拡大図であり、突起および凹部は、永久磁石22の周方向中央を基軸として鏡面対象となっている形状である。なお、このような突起および凹部における鏡面対象による形状構成は、実施の形態1、実施の形態2等、その他の実施の形態でも同様であって、各実施の形態における放射線RLを基軸として鏡面対象となっている。
また、
図24の変形形態3および
図25の変形形態4は、凹部において、最短距離L2を形成する部分の形状は最外部形状が円弧形状となっており、また、
図26の変形形態5は、凹部において、最短距離L2を形成する部分の形状は斜めに形成されている。これらの変形形態においても、実施の形態3の効果を同様に得ることができる。
【0038】
実施の形態4.
実施の形態4に係る永久磁石同期モータについて説明する。
図27は、本実施の形態4に係る永久磁石同期モータにおけるロータ部分をシャフトの軸方向と垂直に切断した構成を示す断面図である。基本的な構成は、実施の形態1〜3と同様であり、以下の点で異なる。
本実施の形態では、
図27に示したようにロータのロータコア21にスリット26が設けられている。本スリット26を配置することにより、永久磁石同期モータにおけるq軸インダクタンスLqを低減することが可能となる。従って、前述の式(1)〜式(4)に記載のωLqIqを低下させることができ、d軸電圧Vdの低減および端子電圧Vtの低減につながる。つまり、電圧飽和を緩和することにつながり速度―トルク特性を増大することが可能となる。
図28、
図29も同様にスリット26が配置されている。なお、
図27は
図2の構成に対応し、
図28は
図9の構成に対応し、
図29は
図18の構成に対応している。
図27〜
図29はスリット配置の一例である。永久磁石同期モータにおけるq軸磁束Φqに対して磁気抵抗が大きくなるようにスリットを配置するものであれば、これらに限定されない。また、
図27〜
図29においてスリットは1極当たり2本配置されているが、それ以上配置されていても問題ない。
【0039】
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
永久磁石(22)はロータコア(21)に設けた突起(24)が嵌るように凹部(25)を有しており、凹部(25)の最外部と永久磁石(22)の外径円弧部との最短距離をL1と定義し、永久磁石(22)の凹部(25)の最外部の接線と、永久磁石(22)とロータコア(21)の貼付面から凹部(25)への切り替えとなる始点として、ロータ(20)のシャフト(23)の中心から、永久磁石(22)に中心に向かう放射線に平行な平行線との交点を通過する永久磁石(22)の凹部(25)と永久磁石(22)の外径円弧部との距離をL2と定義したときに、L2≧L1となる凹部を有している。