(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
空調対象空間に設置され、室内熱交換器を備えた室内機と、前記空調対象空間の外に設置され、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機、室外熱交換器、及び前記室外熱交換器に外気を供給する室外送風機を備えた室外機と、前記室外機の凝縮水を加熱し気化させて前記室内機に送る加湿装置と、を備えた暖房運転を行う空気調和機であって、
前記加湿装置は、
前記室外機の前記凝縮水を貯水する貯水容器と、
前記暖房運転時に前記圧縮機と前記室内熱交換器とを接続し、前記圧縮機から吐出された前記冷媒が流れる吐出配管で構成され、前記貯水容器に貯水されている前記凝縮水を前記冷媒の熱により加熱し気化させる加熱部と、を備えた
空気調和機。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る空気調和機100の概略構成を示す構成図である。
図2は、
図1の空気調和機100における貯水容器11の設置位置を示す説明図である。空気調和機100は、少なくとも暖房運転を行うように構成されている。
図1における直線の実線矢印は、空気調和機100の暖房運転時に冷媒が流れる方向を表している。また、
図2の矢印X方向は空気調和機100の室外機2の幅方向を表し、矢印Y方向は室外機2の奥行き方向を表し、矢印Z方向は室外機2の高さ方向を表している。実施の形態1に係る空気調和機100の構成について、
図1〜
図2を用いて説明する。
【0010】
なお、以下に示す図面の形態によって本開示が限定されるものではない。
図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」及び「後」等)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本開示を限定するものではない。これらの方向を示す用語は、特に明示しない限り、室外機2を前方(正面側)から見た場合の方向を表している。
【0011】
(空気調和機100)
空気調和機100は、空調対象空間S(例えば、室内)に設置される室内機3と、空調対象空間Sの外(例えば、屋外)に設置される室外機2と、室外機2で生じた凝縮水Wを加熱し気化させて室内機3に送る加湿装置1と、を備えている。空気調和機100は、冷媒回路Cを有している。
【0012】
冷媒回路Cは、圧縮機23、室内熱交換器31、減圧装置25及び室外熱交換器21等が冷媒配管4により接続されて形成されている。以下、冷媒配管4のうち、空気調和機100の暖房運転時に圧縮機23と室内熱交換器31とを接続する配管を、吐出配管41と称する場合がある。
【0013】
圧縮機23は、冷媒の吸入口23a及び吐出口23bを有し、吸入した冷媒を圧縮して吐出し、冷媒回路Cに循環させる。室内熱交換器31及び室外熱交換器21は、冷媒と周囲の空気とを熱交換させる。減圧装置25は、例えば膨張弁で構成され、冷媒を膨張させ減圧する。また、
図1に示される例では、冷媒回路Cは流路切替装置24を有している。流路切替装置24は、例えば四方弁、又は複数の弁の組み合わせにより構成され、圧縮機23から吐出された冷媒の流路を切り替える。
【0014】
図1に示される例では、冷媒回路Cを構成する機器のうち圧縮機23、流路切替装置24、減圧装置25及び室外熱交換器21が室外機2に設けられ、冷媒回路Cを構成する機器のうち室内熱交換器31が室内機3に設けられている。
【0015】
流路切替装置24により冷媒の流路が切り替えられることで、冷房と暖房とが切り替えられる。暖房運転では、圧縮機23から吐出された冷媒は、室内熱交換器31、減圧装置25、室外熱交換器21の順に流れて圧縮機23に戻る。一方、冷房運転では、圧縮機23から吐出された冷媒は、室外熱交換器21、減圧装置25、室内熱交換器31の順に流れて圧縮機23に戻る。すなわち、室内の暖房時には室内熱交換器31が凝縮器として機能し、室外熱交換器21が蒸発器として機能し、室内の冷房時には室外熱交換器21が凝縮器として機能し、室内熱交換器31が蒸発器として機能する。
【0016】
なお、空気調和機100の冷媒回路Cの構成は上記の構成に限定されない。例えば、流路切替装置24は省略することができる。また、
図1に示される例では減圧装置25は室外機2に配置されているが、室内機3に、あるいは冷媒配管4のうち室内機3と室外機2との間の配管に設けてもよい。
【0017】
図2中の白抜き矢印Fwは凝縮水Wの流れを表し、白抜き矢印A1は室外機2における外気の流れを表し、白抜き矢印A2は加湿空気の流れを表している。また、
図1中の白抜き矢印A3は室内空気の流れを表し、白抜き矢印A4は調和空気の流れを表している。ここで、加湿空気とは、外気、及び凝縮水Wが気化した水蒸気を含む空気である。また、室内空気とは、空調対象空間Sの空気である。また、調和空気とは、室内機3において温度及び湿度が調整された空気である。
【0018】
(室外機2)
図2に示されるように、室外機2は室外機筐体20を有し、室外機筐体20には、外気が通る通気口20aが形成されている。
図1に示されるように、室外機2には、上記のとおり冷媒回路Cの圧縮機23、流路切替装置24、減圧装置25及び室外熱交換器21が搭載されている。
【0019】
また、室外機2には、室外熱交換器21に外気(白抜き矢印A1を参照)を供給する室外送風機22と、室外機2で生じた凝縮水W(
図2の白抜き矢印Fwを参照)を受ける凝縮水収集路26と、上記の加湿装置1が設けられている。室外送風機22が駆動することで、
図2に示されるように、室外機筐体20の通気口20aを介して室外熱交換器21に外気が供給される。また、
図1に示されるように、加湿装置1は、凝縮水Wを貯留する貯水容器11を有しており、凝縮水収集路26は、凝縮水Wを加湿装置1の貯水容器11に導くように構成されている。具体的には、
図2に示されるように、凝縮水収集路26は、室外熱交換器21の下方に設けられ、室外機2の横方向(矢印X方向)において圧縮機23に近づくに従い下側となるように傾斜している。凝縮水収集路26における圧縮機23側の端部には、下方に延びた漏斗部26bが形成されている。漏斗部26bの先端部は、貯水容器11に接続されている。
【0020】
図1に示されるように、加湿装置1は、上記の貯水容器11と、この貯水容器11に貯水されている凝縮水Wを加熱し気化させる加熱部14等とを有している。また、加湿装置1は、室外機2と室内機3とを接続した加湿空気搬送配管13と、貯水容器11で気化した水蒸気及び室外機2内に供給された外気を加湿空気(白抜き矢印A2を参照)として室内機3へ送る加湿空気送風機12とを有している。加熱部14は、吐出配管41で構成され、圧縮機23から吐出された高温高圧の冷媒の熱により貯水容器11内の凝縮水Wを加熱し気化させる。より具体的には、一端が圧縮機23の吐出口23bに接続され、且つ他端が室内熱交換器31に接続された吐出配管41において、その一部が貯水容器11の外側に熱接触可能に這わされ、加熱部14として機能する。
【0021】
図1に示される例では、加湿空気搬送配管13は、貯水容器11と、室内機3の室内機筐体30とを接続しており、貯水容器11の内部と室内機筐体30の内部とか連通している。また、
図1に示される例では、加湿空気送風機12は、加湿空気搬送配管13に設けられている。このように構成することで、室内機3へ送る加湿空気を、十分に水蒸気を含んだ加湿空気とすることができる。また、室内機3の内部には室内送風機32によって空気流れが生じているが、加湿空気送風機12に加湿空気搬送配管13が設けられていることにより、加湿空気搬送配管13の加湿空気を室内機3側へ送り、室内機3内の空気流れに合流させることができる。なお、加湿装置1は、吐出配管41で構成される加熱部14が貯水容器11内の凝縮水Wを加熱し気化させる構成であればよく、加湿空気の搬送手段である加湿空気送風機12及び加湿空気搬送配管13の構成については、上記の構成に限定されない。
【0022】
(室内機3)
図1に示されるように、室内機3は室内機筐体30を有し、室内機筐体30には、室内空気(白抜き矢印A3を参照)が通る吸込口30a、及び、調和空気(白抜き矢印A4を参照)が通る吹出口30bが形成されている。室内機3には、上記のとおり冷媒回路Cの室内熱交換器31が搭載されている。また、室内機3には、室内熱交換器31に室内空気を供給する室内送風機32が設けられている。室内送風機32が駆動することで、室内機筐体30の吸込口30aを介して室内機筐体30内に室内空気が吸い込まれ、室内熱交換器31に供給される。室内機筐体30内に吸い込まれた室内空気は、室内熱交換器31で冷媒と熱交換を行うことで加熱又は冷却され、また、室外機2から搬送された加湿空気と合流して調和空気となる。また、室内送風機32が駆動することで、室内機筐体30の吹出口30bを介して空調対象空間Sへ調和空気が吹き出される。
【0023】
図2に基づき、貯水容器11の構成と、室外機2における室外熱交換器21、圧縮機23、貯水容器11及び凝縮水収集路26の配置とについて説明する。
【0024】
貯水容器11は、上面11aと、底面11bと、上面11aと底面11bとを接続する側面11cとにより構成され、例えば中空の直方体形状を有している。貯水容器11の上面11aには、第1開口部11d及び第2開口部11eが形成されており、第1開口部11dに、凝縮水収集路26の漏斗部26bの先端が接続され、第2開口部11eに、加湿空気搬送配管13の一端が接続されている。貯水容器11の底面11bには、該底面11bに沿うように吐出配管41の一部すなわち加熱部14が配置されている。
【0025】
なお、貯水容器11は、凝縮水Wを貯水できる構成であればよく、その形状は上記の形状に限定されない。また、
図2に示される例では、第1開口部11d及び第2開口部11eが貯水容器11の上面11aに形成されていたが、これらは、側面11cに形成することができる。
【0026】
図示していないが、室外熱交換器21の下端には脚部が設けられ、室外熱交換器21の下端と室外機筐体20の底面部20bとの間には隙間が形成されている。貯水容器11は、室外機2の横方向(矢印X方向)において圧縮機23よりも室外熱交換器21寄りで、貯水容器11の少なくとも一部が室外熱交換器21の下方の隙間に位置するように配置されている。そして、凝縮水収集路26における下方に延びた漏斗部26bの先端が、貯水容器11の上面11aに接続されている。
【0027】
次に、
図1及び
図2を参照しつつ、空気調和機100の動作について説明する。
図1には、空気調和機100の暖房運転時の状態が示されている。暖房運転時には、流路切替装置24は、圧縮機23の吐出口23bと室内熱交換器31とを接続しており、圧縮機23で圧縮された高温高圧の冷媒は、流路切替装置24を通って室内熱交換器31へ流入する。室内熱交換器31に流入した冷媒は、凝縮し、室内を暖房する。室内熱交換器31で凝縮した冷媒は、減圧装置25で減圧され膨張し、室外熱交換器21へ流入する。室外熱交換器21に流入した冷媒は、蒸発し、流路切替装置24を通って再び圧縮機23に戻る。暖房運転が行われている間、上記の冷凍サイクルが繰り返される。
【0028】
一方、空気調和機100の除霜運転時及び冷房運転時には、流路切替装置24が切り替わり、圧縮機23の吐出口23bと室外熱交換器21とが接続される。除霜運転及び冷房運転が行われているときには、暖房運転が行われているときの冷媒の流れ方向とは逆向きに冷媒が流れる。
【0029】
空気調和機100の暖房運転時には、室外熱交換器21で大気中の水分が凝縮されて凝縮水Wとなる。室外熱交換器21で生じた凝縮水Wは、凝縮水収集路26に落ち、
図2に白抜き矢印Fwで示されるように、傾斜した凝縮水収集路26を通って貯水容器11に貯水される。一方、外気(白抜き矢印A1を参照)は、室外送風機22の駆動によって室外機筐体20内に吸い込まれ、室外熱交換器21を通り、凝縮水収集路26の漏斗部26bを介して貯水容器11に入る。
【0030】
図1に示されるように、貯水容器11に貯水された凝縮水Wは、加熱部14により加熱されることで気化して水蒸気になる。この水蒸気及び室外機筐体20内に吸い込まれた新鮮な外気を含む加湿空気(白抜き矢印A2を参照)は、加湿空気送風機12の駆動により、加湿空気搬送配管13を介して室内機3へ搬送される。加湿空気搬送配管13を介して室外機2から室内機3へ搬送された加湿空気は、室内機筐体30内において室内熱交換器31を通過した室内空気と合流し、加湿空気と室内空気とを含む調和空気となる。そして、暖房運転時には、加湿空気及び室内空気を含む、室内熱交換器31で加熱された調和空気が吹出口30bを介して空調対象空間Sへ吹き出され、空調対象空間Sを暖房し加湿する。また、加湿空気には新鮮な外気が含まれているので、空気調和機100は、空調対象空間Sの暖房及び加湿を行いながら換気を行うことができる。
【0031】
図3は、
図1の空気調和機100における加熱部14と貯水容器11の第1の配置例を示す説明図である。
図4は、
図1の空気調和機100における加熱部14と貯水容器11の第2の配置例を示す説明図である。
図5は、
図1の空気調和機100における加熱部14と貯水容器11の第3の配置例を示す説明図である。
図6は、
図5のA−A断面を示す断面図である。
図7は、
図6の貯水容器11の変形例を示す断面図である。
【0032】
図3〜7に基づき、貯水容器11における加熱部14の配置について説明する。以下、加熱部14を構成する吐出配管41の一部が貯水容器11の底面11bに這わされている場合の配置例について
図3〜7を用いて説明するが、加熱部14は、貯水容器11の側面11c又は上面11aに沿って設けてもよい。ただし、貯水容器11における側面11cの上側又は上面11aに加熱部14が設けられる場合、貯水容器11に凝縮水Wが多く溜まっていないと熱が伝わりにくい。このため、加熱部14は底面11bに設けるのが効果的である。あるいは、加熱部14は、貯水容器11の上面11a、側面11c及び底面11bのうちの複数の面に沿うように配置してもよい。
【0033】
図3に示される第1の配置例では、加熱部14を構成する吐出配管41が、貯水容器11の底面11bに一直線に這わされている。
図4に示される第2の配置例及び
図5に示される第3の配置例では、加熱部14を構成する吐出配管41は、貯水容器11の底面11bに1回又は複数回往復するように這わされており、加熱部14は、1又は複数の折り返し部14aを有する構成とされる。第2の配置例では、貯水容器11の下面視において底面11b内に折り返し部14aが位置し、一方、第3の配置例では、貯水容器11の下面視において底面11bの外に折り返し部14aが位置する。
【0034】
図6に示されるように、貯水容器11の底面11bの表面は平坦な面であり、この底面11bの表面に、加熱部14を構成する吐出配管41が当接するように配置されている。このように、吐出配管41と貯水容器11の表面とを接触させることで、吐出配管41と貯水容器11とが接触していない場合と比べ、貯水容器11及び凝縮水Wの加熱効率が上がる。
図7に示される貯水容器11の変形例では、貯水容器11の底面11bが凹部11fを有し、この凹部11fに加熱部14の一部が嵌まり込む構成とされている。
図7に示される変形例においても、
図6に示される場合と同様に、吐出配管41と貯水容器11とが接触していない場合と比べ、貯水容器11及び凝縮水Wの加熱効率が上がる。また、
図7に示される変形例では、
図6に示される場合よりも加熱部14と貯水容器11との接触面積が大きくなるので、貯水容器11及び凝縮水Wの加熱効率がより高くなる。なお、変形例において加熱部14が側面11c又は上面11aに沿うように配置される場合には、加熱部14が配置される側面11c又は上面11aに、凹部11fを設ければよい。
【0035】
なお、加熱部14と貯水容器11とが接触するよりも凝縮水Wの加熱効率は下がるが、加熱部14と貯水容器11との間に隙間があっても良い。
【0036】
以上のように、実施の形態1に係る空気調和機100は、空調対象空間Sに設置された室内機3と、空調対象空間Sの外に設置された室外機2と、室外機2の凝縮水Wを加熱し気化させて室内機3に送る加湿装置1と、を備え、暖房運転を行う。室内機3は室内熱交換器31を備え、室外機2は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機23と、室外熱交換器21と、室外熱交換器21に外気を供給する室外送風機22とを備えている。加湿装置1は、室外機2の凝縮水Wを貯水する貯水容器11と、吐出配管41で構成され、貯水容器11に貯水されている凝縮水Wを冷媒の熱により加熱し気化させる加熱部14とを備えている。吐出配管41は、暖房運転時に圧縮機23と室内熱交換器31とを接続し、圧縮機23から吐出された冷媒が流れる。
【0037】
これにより、暖房運転時に圧縮機23と室内熱交換器31とを接続する吐出配管41で構成され、貯水容器11に貯水されている室外機2の凝縮水Wを冷媒の熱により加熱し気化させる加熱部14を備える。よって、暖房運転時には圧縮機23から吐出された高温冷媒の熱を凝縮水Wの加熱気化に利用して室内を加湿できるので、従来のような貯水容器11へのヒーターの設置及び駆動が不要となり、暖房運転時に従来よりも消費電力量を削減して加湿を行うことができる。
【0038】
また、加湿装置1は、貯水容器11と室内機3とを接続した加湿空気搬送配管13と、加湿空気搬送配管13に設けられ、貯水容器11で気化した水蒸気及び室外機2内に供給された外気を加湿空気として室内機3へ送る加湿空気送風機12と、を備えている。
【0039】
これにより、室内機3へ送る加湿空気を、水蒸気を十分に含む加湿空気とでき、また、加湿空気搬送配管13に設けられた加湿空気送風機12により、加湿空気搬送配管13の加湿空気を室内機3の内部へ送出し、室内機3内の空気流れに合流させることができる。よって、空調対象空間Sにおける加湿不足を抑制することができる。さらに、外気の新鮮な空気を空調対象空間Sへ供給することで空調対象空間Sを換気する効果も合わせ持つ。
【0040】
実施の形態2.
実施の形態2に係る空気調和機100について、
図1を用いて説明する。実施の形態2の空気調和機100では、吐出配管41の構成が限定されている点が、実施の形態1の場合とは異なり、その他の構成は実施の形態1の場合と同様である。実施の形態2では、実施の形態1と同一部分には同一符号を付し、実施の形態1との相違点を中心に説明するものとする。
【0041】
実施の形態2の冷媒回路Cにおいて、吐出配管41は、圧縮機23と室内熱交換器31とを分岐することなく接続する構成とされている。
図1に示される例では、吐出配管41は、圧縮機23の吐出口23bと室内熱交換器31とを接続する1本の配管のみで構成されている。
【0042】
実施の形態2の冷媒回路Cにおいても、実施の形態1の場合と同様に、吐出配管41には、流路切替装置24を設けることができる。また、実施の形態2においても、実施の形態1の場合と同様に、吐出配管41の一部は貯水容器11の外側に熱接触可能に這わされ、凝縮水Wを加熱し気化させる加熱部14として機能する。
【0043】
上記のように吐出配管41が圧縮機23と室内熱交換器31とを分岐することなく接続する構成では、暖房運転とは逆サイクルで冷媒が流れる冷房運転に、室内熱交換器31から圧縮機23へ流れる冷媒が必ず加熱部14を流通することになる。したがって、空気調和機100が冷房運転を行っている時には冷媒の過熱度が付き易くなるので、低外気条件でも冷房運転を効果的に行うことができる。
【0044】
室外機2には、複数の室内機3を接続することができる。室外機2に複数の室内機3が接続される構成では、吐出配管41における室内機3側は複数に分岐し、各分岐管の先が各室内機3の室内熱交換器31と接続される。ここで、圧縮機23と室内熱交換器31とを分岐することなく接続する構成とは、室外機2に複数の室内機3が接続される場合には、吐出配管41における室内機3側が複数に分岐して複数の室内機3の室内熱交換器31と接続された構成を含む概念である。つまり、圧縮機23と室内熱交換器31とを分岐することなく接続する構成とは、吐出配管41が複数の室内熱交換器31と接続するために分岐したものでもよい。ただし、圧縮機23と室内熱交換器31とを分岐することなく接続する構成には、圧縮機23から室内熱交換器31までの間で吐出配管41が分岐点P1及び合流点P2の両方を有するような構成は含まれない。
【0045】
以上のように、実施の形態2に係る空気調和機100では、吐出配管41は、圧縮機23と室内熱交換器31とを分岐することなく接続する。これにより、圧縮機23から室内熱交換器31までの間において圧縮機23から吐出された冷媒の熱損失を最小限とすることができる。
【0046】
実施の形態3.
図8は、実施の形態3に係る空気調和機100における貯水容器11の設置位置を示す説明図である。
図8に示されるように、実施の形態3では、室外機2における貯水容器11の設置位置及び凝縮水収集路126の構成が、実施の形態1の場合とは異なり、その他の構成は実施の形態1の場合と同様である。実施の形態3では、実施の形態1と同一部分には同一符号を付し、実施の形態1との相違点を中心に説明するものとする。
【0047】
図8に示されるように、室外機2において、圧縮機23の下方には、圧縮機23と室外機筐体20の底面部20bとの間に隙間が設けられている。実施の形態1では、
図2に示されるように、貯水容器11は、室外機2の横方向(矢印X方向)において圧縮機23よりも室外熱交換器21寄りで、貯水容器11の少なくとも一部が室外熱交換器21の下に位置するように配置されていた。実施の形態2では、
図8に示されるように、貯水容器11は、室外機2の横方向(矢印X方向)において室外熱交換器21よりも圧縮機23寄りで、貯水容器11の少なくとも一部が圧縮機23の下方の隙間に位置するように配置されている。
【0048】
また、実施の形態2では、凝縮水収集路126は、室外熱交換器21の下方に配置された水受け部126aと、水受け部126aと貯水容器11とを接続する延長路126bと、を有している。水受け部126aは、室外機2の横方向(矢印X方向)において圧縮機23に近づくに従い下側となるように傾斜している。延長路126bは、水受け部126aにおける圧縮機23側の端部に設けられている。延長路126bは、室外機2の高さ方向(矢印Z方向)において圧縮機23よりも下側まで延びている。
【0049】
図8に示される例では、室外熱交換器21の右側に圧縮機23が配置され、水受け部126aは、右側ほど下方に位置するように傾斜している。また、
図8に示される例では、延長路126bは、水受け部126aの右端部につながった構成とされ、右側且つ下方に延びて貯水容器11の上面11aに接続されている。
【0050】
室外熱交換器21から落ちた凝縮水Wは、
図8に白抜き矢印Fwで示されるように、凝縮水収集路126の水受け部126aを伝って延長路126bへ流れ、延長路126bを介して貯水容器11に流入し、貯水される。一方、室外機筐体20内に吸い込まれた外気(白抜き矢印A1を参照)は、室外熱交換器21を通り、凝縮水収集路126の延長路126bを介して貯水容器11に入る。そして、貯水容器11に貯水された凝縮水Wは、吐出配管41で構成される加熱部14により加熱され気化して水蒸気になる。
図1に示されるように、この水蒸気、及び室外機筐体20内に吸い込まれた外気を含む加湿空気(白抜き矢印A2を参照)が、加湿空気送風機12の駆動により、加湿空気搬送配管13を介して室内機3へ搬送される。
【0051】
以上のように、実施の形態3に係る空気調和機100では、貯水容器11は、圧縮機23の下方に設置されている。これにより、室外熱交換器21の下方に貯水容器11が設置される場合と比べ、吐出配管41が接続された圧縮機23と、貯水容器11との距離が近くなるので、吐出配管41の配管長を短くすることができ、冷媒の熱損失を抑制できる。また、室外熱交換器21の下方に貯水容器11が設置される場合と比べ、吐出配管41における圧縮機23から加熱部14までの配管長を短くすることができるので、加熱部14までの冷媒の熱損失を抑制でき、加熱部14の加熱能力の低下が抑制できる。
【0052】
また、室外機2は、室外熱交換器21の下方に配置された水受け部126aと、水受け部126aと貯水容器11とを接続する延長路126bと、を有する。これにより、簡単な構造で貯水容器11に凝縮水Wを貯水できるので、冷媒の熱損失及び室外機2内の機器配置の制限に応じて貯水容器11を配置することができ、貯水容器11の設置位置の自由度が増す。
【0053】
実施の形態4.
図9は、実施の形態4に係る空気調和機100における貯水容器11の設置位置を示す説明図である。実施の形態4の空気調和機100では、室外機2における貯水容器11の設置位置、凝縮水収集路126の構成、及び貯水容器11における凝縮水収集路126の接続位置が、実施の形態3の場合とは異なり、その他の構成は実施の形態1の場合と同様である。実施の形態4では、実施の形態1と同一部分には同一符号を付し、実施の形態1との相違点を中心に説明するものとする。
【0054】
実施の形態1では、
図2に示されるように、貯水容器11は、室外機2の横方向(矢印X方向)において圧縮機23よりも室外熱交換器21寄りで、貯水容器11の少なくとも一部が室外熱交換器21の下に位置するように配置されていた。実施の形態4では、
図9に示されるように、貯水容器11は、室外機2の横方向(矢印X方向)において室外熱交換器21と圧縮機23との間に配置されている。
【0055】
また、実施の形態4では、凝縮水収集路126は、室外熱交換器21の下方に配置された水受け部126aと、水受け部126aと貯水容器11とを接続する延長路126bと、を有している。水受け部126aは、室外機2の横方向(矢印X方向)において圧縮機23に近づくに従い下側となるように傾斜している。延長路126bは、水受け部126aにおける圧縮機23側の端部に設けられている。また、実施の形態4では、凝縮水収集路126の延長路126bが、貯水容器11における室外熱交換器21側の側面11cに接続されている。
【0056】
図9に示される例では、室外熱交換器21の右側に圧縮機23が配置され、水受け部126aは、右側ほど下方に位置するように傾斜している。また、
図9に示される例では、延長路126bは、水受け部126aの右端部につながった構成とされ、右側に延長されて貯水容器11の側面11cに接続されている。
【0057】
以上のように、実施の形態4に係る空気調和機100では、貯水容器11は、室外熱交換器21と圧縮機23との間に設置されている。これにより、実施の形態4においても、実施の形態3の場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、実施の形態1のように室外熱交換器21の下方に貯水容器11が設置される場合と比べ、吐出配管41が接続された圧縮機23と、貯水容器11との距離が近くなるので、吐出配管41の配管長を短くすることができ、冷媒の熱損失を抑制できる。また、室外熱交換器21の下方に貯水容器11が設置される場合と比べ、吐出配管41における圧縮機23から加熱部14までの配管長を短くすることができるので、加熱部14までの冷媒の熱損失を抑制でき、加熱部14の加熱能力の低下が抑制できる。また、貯水容器11及び加熱部14が圧縮機23の側面の一部と対向するので、圧縮機23が高圧シェル圧縮機である場合には、圧縮機23の運転により高温となった圧縮機シェルからの輻射熱により、貯水容器11内の凝縮水Wの加熱蒸発をより促進できる。
【0058】
実施の形態5.
図10は、実施の形態5に係る空気調和機100の概略構成を示す構成図である。
図11は、
図10の制御装置5の機能を示すブロック図である。実施の形態5の空気調和機100では、水位センサ15を備える点及び吐出配管141の構成が、実施の形態1の場合とは異なり、その他の構成は実施の形態1の場合と同様である。実施の形態5では、実施の形態1と同一部分には同一符号を付し、実施の形態1との相違点を中心に説明するものとする。
【0059】
実施の形態5では、加湿装置1は、貯水容器11に貯水された凝縮水Wの水位を検出する水位センサ15を備えている。水位センサ15を備えることで、貯水容器11に貯水された凝縮水Wの有無及び凝縮水Wの水位が把握できるので、検出結果に応じて吐出配管141の冷媒温度あるいは冷媒流量を調整する等といった加熱部14での加熱量の制御に検知結果を使用することができる。
【0060】
以下、水位センサ15の検出結果を加熱部14での加熱量の制御に使用する場合の一構成例について説明する。
【0061】
図10に示されるように、吐出配管141は、分岐点P1及び合流点P2を有する構成とされ、吐出配管141の一部は、並列な2つの配管部に分かれている。2つの配管部のうち一方の配管部の一部は貯水容器11の外側に熱接触可能に這わされ、加熱部14を構成している。つまり、吐出配管141は、加熱部14を構成する加熱配管部141b、及び、加熱部14を構成しない非加熱配管部141aを有する。
図10に示される例では、分岐点P1及び合流点P2は、吐出配管141において流路切替装置24よりも室内熱交換器31側に設けられている。
【0062】
加湿装置1は、加熱配管部141bに流れる冷媒流量を調整する流量調整機構16(
図11参照)を備え、流量調整機構16は、複数の弁で構成される。具体的には、開閉弁又は開度を連続して変更できる弁で構成されている。
図10に示される例では、流量調整機構16(
図11参照)は、非加熱配管部141aに設けられた第1流量調整弁16aと、加熱配管部141bに設けられた第2流量調整弁16bと、により構成されている。
【0063】
また、空気調和機100は、圧縮機23等のアクチュエータの動作を制御することにより空気調和機100に各種運転を行わせる制御装置5を備えている。図示していないが、空気調和機100は、冷媒の温度及び圧力、並びに室内空気の温度等を検出する各種センサを備えている。制御装置5は、これらの各種センサ(不図示)からの検出値に基づき、
図11に示されるように、圧縮機23の周波数、減圧装置25の開度、室外送風機22及び室内送風機32の各回転数、流路切替装置24の切替えを制御する。
【0064】
また、制御装置5は、暖房運転時には加湿装置1の加湿空気送風機12の回転数も制御する。また、制御装置5には水位センサ15の検出値が入力され、制御装置5は、暖房運転の負荷及び水位センサ15の検出値等に応じて流量調整機構16の第1流量調整弁16a及び第2流量調整弁16bの開度を調整する。
【0065】
制御装置5は、専用のハードウェア、又はメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)で構成されている。なお、CPUは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又はプロセッサともいう。
【0066】
制御装置5が専用のハードウェアである場合、制御装置5は、例えば、単一回路、複合回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。制御装置5が実現する各機能部のそれぞれを、個別のハードウェアで実現してもよいし、各機能部を一つのハードウェアで実現してもよい。
【0067】
制御装置5がCPUの場合、制御装置5が実行する各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリに格納される。CPUは、メモリに格納されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置5の各機能を実現する。ここで、メモリは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、又はEEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリである。
【0068】
制御装置5の機能の一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0069】
制御装置5は、機能部として、主制御部51及び記憶部52を備えている。主制御部51は、入力された情報及び記憶部52に記憶されている情報に基づいて、圧縮機23、減圧装置25、室外送風機22、室内送風機32、流路切替装置24、加湿空気送風機12、及び流量調整機構16等を制御する。記憶部52には、入力された情報、及び、主制御部51が参照する制御パラメータ等が記憶されている。
【0070】
図10に直線の実線矢印で示されるように、空気調和機100の暖房運転時には、圧縮機23で圧縮された高温高圧の冷媒は吐出配管141を通って室内熱交換器31へ流入する。圧縮機23から吐出された冷媒のうち、吐出配管141の分岐点P1で加熱配管部141bへ分流された冷媒は、加熱部14において凝縮水Wへ放熱し、その後、非加熱配管部141aを通過した冷媒と合流点P2において合流して、室内熱交換器31へ流入する。流量調整機構16(
図11参照)は、加熱配管部141bに設けられた第2流量調整弁16bだけでなく、非加熱配管部141aに設けられた第1流量調整弁16aも有している。よって、第1流量調整弁16a及び第2流量調整弁16bの開度を適宜調整することで、合流点P2において室内熱交換器31側へ流れるべき冷媒が加熱配管部141b側に逆流することを防止することができる。
【0071】
以上のように、実施の形態5に係る空気調和機100では、加湿装置1は、貯水容器11に貯水された凝縮水Wの水位を検出する水位センサ15を備えている。これにより、貯水容器11の凝縮水Wの有無及び凝縮水Wの水位が把握できるので、これらの検知結果を、例えば吐出配管141の冷媒温度の調整あるいは吐出配管141の冷媒流量の調整といった制御に使用することができる。
【0072】
また、吐出配管141は、加熱部14を構成する加熱配管部141b、及び加熱配管部141bと並列接続された非加熱配管部141aを有し、加湿装置1は、加熱配管部141bに流れる冷媒流量を調整する流量調整機構16を備える。流量調整機構16は、非加熱配管部141aに設けられた第1流量調整弁16a、及び加熱配管部141bに設けられた第2流量調整弁16bを有する。また、空気調和機100は、水位センサ15により検出された水位に応じて第1流量調整弁16a及び第2流量調整弁16bの開度を調整する制御装置5を備えている。これにより、加熱部14を流れる冷媒流量を調整でき、貯水容器11に貯水された凝縮水Wの量に応じて加熱量を調整することができる。よって、例えば空焚き等が回避できる。
【0073】
なお、各実施の形態を組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、又は省略したりすることが可能である。
空気調和機は、空調対象空間に設置され、室内熱交換器を備えた室内機と、空調対象空間の外に設置され、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機、室外熱交換器、及び室外熱交換器に外気を供給する室外送風機を備えた室外機と、室外機の凝縮水を加熱し気化させて室内機に送る加湿装置と、を備えた暖房運転を行う空気調和機であって、加湿装置は、室外機の凝縮水を貯水する貯水容器と、暖房運転時に圧縮機と室内熱交換器とを接続し、圧縮機から吐出された冷媒が流れる吐出配管で構成され、貯水容器に貯水されている凝縮水を冷媒の熱により加熱し気化させる加熱部と、を備えている。