(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3の分布推定部は、個々の前記電力設備における発電出力を条件とした条件付確率の和として確率密度分布の和を算出することにより、複数の前記電力設備全体における合計発電出力の確率密度分布を推定すること
を特徴とする請求項1記載の電力制御装置。
前記第3の分布推定部は、相関度合いを表す関数による重み付けによって、個々の前記電力設備における発電出力の確率密度を補正することにより確率密度分布の和を算出すること
を特徴とする請求項1記載の電力制御装置。
前記判定部は、合計発電出力が前記目標値を超える確率が閾値以下であるという第1の判定条件を満たし、かつ、発電出力の期待値を最大化するという第2の判定条件に基づいて、複数の前記電力設備全体における合計発電出力が前記目標値を満たすか否かを判定すること
を特徴とする請求項1記載の電力制御装置。
前記判定部は、目標値を超える合計発電出力の期待値が閾値以下であるという第1の判定条件を満たし、かつ、発電出力の期待値を最大化するという第2の判定条件に基づいて、複数の前記電力設備全体における合計発電出力が目標値を満たすか否かを判定すること
を特徴とする請求項1記載の電力制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る電力制御装置2を備えた発電制御システム1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、発電制御システム1は、電力制御装置2と複数の発電設備3を備えている。電力制御装置2は、個々の発電設備3において発電される電力(以下、発電出力と記載する)を制御することで、複数の発電設備3全体における合計の発電出力を制御する。
【0011】
発電設備3は、電力制御装置2によって電力が制御される電力設備である。また、発電設備3は、再生可能エネルギーを利用した発電設備であり、発電設備3周辺の気象条件などに応じて発電出力が不確定に変動する。以下、複数の発電設備3全てが太陽光発電設備であるものとして説明する。
【0012】
個々の発電設備3において発電された電力は、商用電力系統4に供給される。
図1に示すように、商用電力系統4が発電設備3ごとに接続されてもよいし、複数の発電設備3が1つの連系点で商用電力系統4に接続されてもよい。また、個々の発電設備3は、通信ネットワーク5を介して電力制御装置2と接続されている。通信ネットワーク5は、双方向の通信回線であり、例えば、インターネット、ケーブルテレビネットワーク、一般公衆回線、無線回線またはイーサネット(登録商標)などで構成される。
【0013】
電力制御装置2は、電力抑制管理装置6から第1の制御情報を取得し、取得した第1の制御情報に基づいて、複数の発電設備3における発電出力を制御する。電力抑制管理装置6は、商用電力系統4を管理して運営する電力系統運用者、あるいは、複数の発電事業者を集約するアグリゲータなどが管理する外部の管理装置である。第1の制御情報には、複数の発電設備3全体における合計の発電出力の目標値が含まれる。
【0014】
個々の発電設備3は、
図1に示すように、発電装置31および制御装置32を備える。発電装置31は、太陽光発電パネルを用いて太陽光から直流電力を発電する装置である。制御装置32は、発電装置31によって発電された直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を負荷または商用電力系統4に出力する。また、制御装置32は、電力制御装置2から受信した第2の制御情報に基づいて、発電設備3における発電出力を制御する。第2の制御情報には、個々の発電設備3における発電出力の制御に用いられる制御値が含まれる。
【0015】
図2は、電力制御装置2の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、電力制御装置2は、第1の分布推定部21、第2の分布推定部22、第3の分布推定部23、判定部24、制御値算出部25および通信部26を備える。
【0016】
第1の分布推定部21は、発電出力の抑制制御前の個々の発電設備3における発電出力の変動分布を推定する。発電出力の変動分布とは、推定対象期間において推定される個々の発電設備3における発電出力の時間的な変動を示す分布であり、発電出力の抑制制御が行われる前の発電出力の確率密度分布である。推定対象期間は、発電出力を推定したい未来の期間である。例えば、推定対象期間は、現在から30分先または1時間先の期間といった時分単位の期間であってもよいし、1週間先、1ヶ月先または1年先の期間といった年月日単位の期間であってもよい。個々の発電設備3における発電出力の変動分布は、個々の発電設備3における発電出力の確率密度分布の推定に用いられる。
【0017】
第2の分布推定部22は、第1の分布推定部21によって推定された個々の発電設備3における発電出力の変動分布を用いて、個々の発電設備3に対して設定された制御値に基づいて制御される発電出力の確率密度分布を推定する。個々の発電設備3における発電出力の確率密度分布は、推定対象期間において、制御値算出部25によって算出された制御値に基づいて個々の発電設備3において制御された場合に推定される発電出力の確率密度分布である。
【0018】
第3の分布推定部23は、第2の分布推定部22によって推定された個々の発電設備3における発電出力の確率密度分布に基づいて、複数の発電設備3全体における合計発電出力の確率密度分布を推定する。複数の発電設備3全体における合計発電出力の確率密度分布とは、第2の分布推定部22によって発電設備3ごとに推定された発電出力の確率密度分布の和である。
【0019】
判定部24は、第3の分布推定部23によって推定された複数の発電設備3全体における合計発電出力の確率密度分布に基づいて、複数の発電設備3全体における合計発電出力が目標値を満たすか否かを判定する。例えば、合計発電出力が目標値を満たすか否かは、合計発電出力が目標値を超える確率が一定の割合以下であるという判定条件を満たすか否かで判定される。
【0020】
制御値算出部25は、個々の発電設備3における発電出力の確率密度分布の推定に用いられる制御値を算出する。さらに、制御値算出部25は、判定部24によって複数の発電設備3全体における合計発電出力が目標値を満たさないと判定された場合、複数の発電設備3全体における合計発電出力が目標値を満たす可能性を高めるように、個々の発電設備3に対する制御値を算出する。
【0021】
通信部26は、受信部26Aおよび送信部26Bを備えている。受信部26Aは、外部装置から情報を受信する。例えば、受信部26Aは、通信ネットワーク5を介して、発電設備3、または、気象情報を管理する外部装置から情報を受信する。また、受信部26Aは、通信ネットワーク(通信ネットワーク5あるいはこれとは別の通信ネットワーク)を介して電力抑制管理装置6から情報を受信する。発電設備3周辺の気象情報、個々の発電設備3における発電出力を示す情報および第1の制御情報は、受信部26Aによって受信される。
【0022】
送信部26Bは、通信ネットワーク5を介して外部装置へ情報を送信する。例えば、送信部26Bは、通信ネットワーク5を介して個々の発電設備3へ第2の制御情報を送信する。なお、電力制御装置2は、通信部26を備えていなくてもよい。この場合、電力制御装置2は、電力制御装置2とは別に設けられた通信装置を介して、外部装置と情報のやり取りを行う。
【0023】
図3は、実施の形態1に係る電力制御方法を示すフローチャートであり、電力制御装置2が複数の発電設備3における発電出力を制御する一連の処理を示している。まず、第1の分布推定部21は、発電制御システム1により管理される複数の発電設備3のうち、個々の発電設備3における発電出力の変動分布を推定する(ステップST1)。通信部26は、通信ネットワーク5を介して、推定対象期間において推定された個々の発電設備3周辺の気象情報を外部装置から受信する。第1の分布推定部21は、発電設備3周辺の気象情報に基づいて、個々の発電設備3における発電出力の変動分布を推定する。
【0024】
なお、第1の分布推定部21は、発電設備3周辺の気象情報を用いずに、個々の発電設備3における至近の発電出力実績等から発電出力の変動分布を推定してもよい。個々の発電設備3において発電出力の抑制制御が開始されると、第1の分布推定部21は、至近の発電出力実績を用いて制御前の発電出力の変動分布を推定することができなくなる。この場合、第1の分布推定部21は、気象情報を用いて制御前の発電出力の変動分布を推定する。気象情報としては発電設備3が存在する地点の気象情報が最も好ましい。このため、気象情報の入手先は、外部の気象サーバだけでなく、発電設備3自身が備える観測装置であってもよい。
【0025】
例えば、第1の分布推定部21は、過去の気象情報と、発電設備3ごとの発電出力の実績情報とが対応付けられたデータベースを備えている。第1の分布推定部21は、通信部26によって受信された気象情報に基づいて推定対象期間における気象要素を推定し、データベースから、気象要素の推定値に対応した発電出力の実績情報を抽出する。第1の分布推定部21は、推定対象期間における気象要素の推定値と発電出力の実績情報とに基づいて、推定対象期間における時刻ごとの発電出力の実績値を特定することで、個々の発電設備3における発電出力の変動分布を推定する。なお、データベースは、電力制御装置2とは別に設けられた外部装置が備えてもよい。外部装置は、例えば、気象情報管理装置、発電出力実績管理装置、または、発電出力予測装置などである。
【0026】
図4は、個々の発電設備3における発電出力の変動分布を推定する処理の概要を示す図である。
図4における上側の図は、日射量の実績値に対応する発電出力の実績値を示すグラフである。発電出力の実績値分布Aは、推定対象期間と同一または類似した条件における過去の日射量の実績値から得られた発電出力の実績値の分布である。なお、日射量の実績値は、近傍の日射量計測値から推定された日射量の推定値の実績値、あるいは、日射量予報値の実績値等であってもよい。また、曲線A1は、実績値分布Aにおける発電出力の実績値の平均値を示す曲線である。曲線A1は、実施の形態1に係る電力制御装置2に用いられるデータではないが、説明の便宜として示している。
【0027】
図4における下側の図は、推定対象期間における発電出力の変動分布を示すグラフである。発電出力の変動分布Bは、推定対象期間における各時刻に対応する発電出力の分布の推定値である。第1の分布推定部21は、
図4における上側のグラフに基づいて、発電出力の推定対象時刻ごとに対応する日射量の推定値を特定し、特定した日射量の推定値に対応した発電出力の分布を取得することによって、推定対象期間における発電出力の変動分布Bを、発電設備3ごとに算出する。また、曲線B1は、変動分布Bにおける曲線A1に対応する曲線である。曲線B1は、曲線A1と同様に、実施の形態1に係る電力制御装置2に用いられるデータではないが、説明の便宜として示している。
【0028】
第1の分布推定部21は、事前に定義された発電設備3の発電出力特性に基づいて、発電出力の変動分布を推定してもよい。例えば、第1の分布推定部21は、
図4における上側の図に相当する、過去の日射量の予測値と過去の日射量の実績値とを取得し、日射量の予測値に対する日射量の実績値の分布を算出する。第1の分布推定部21には、発電設備3ごとに事前に定義された発電出力特性が設定される。発電設備3の発電出力特性は、気象要素と発電出力の関係を示す情報であり、例えば、太陽光パネルのパネル特性または設備容量、パネルの設置角等を用いて物理的なモデルによって算出される、あるいは、機械学習等によってあらかじめ推定された係数を用いて算出される。このように設定された発電出力特性により、推定対象期間における気象要素の予測値から上記日射量の実績値の分布を用いて算出される日射量の分布の推定値を、発電出力の実績値に相当する値に変換することで、推定対象期間における発電出力の変動分布が推定される。
また、第1の分布推定部21は、発電出力の実績値から発電出力の変動分布を推定してもよい。例えば、第1の分布推定部21は、
図4における上側の図に相当する過去の発電出力の実績値から、各時刻における発電出力の実績値に対する、当該時刻から一定時間後の発電出力の実績値の分布を算出する。このように算出された発電出力の実績値の分布を用いることで、現在時刻における発電出力の実績値から推定対象期間における発電出力の変動分布が推定される。
【0029】
なお、個々の発電設備3における発電出力の変動分布が事前に推定されている場合は、ステップST2における個々の発電設備3における発電出力の確率密度分布の推定には、事前に推定された変動分布が用いられる。すなわち、個々の発電設備3における発電出力の変動分布が事前に推定されている場合、
図3の一連の処理において、ステップST1の処理が実行されずにステップST2の処理が実行される。
【0030】
第2の分布推定部22は、第1の分布推定部21によって推定された個々の発電設備3における発電出力の変動分布と制御値算出部25によって設定された制御値に基づいて、当該制御値で発電出力が制御された場合における個々の発電設備3における発電出力の確率密度分布を推定する(ステップST2)。
まず、制御値算出部25が、通信部26によって受信された第1の制御情報から複数の発電設備3全体における合計の発電出力の目標値を抽出し、抽出した目標値に基づいて、制御値の初期値を算出する。
【0031】
例えば、制御値算出部25は、複数の発電設備3全体における合計の定格出力に対する個々の発電設備3における定格出力の比を目標値に乗算することで、個々の発電設備3に対する制御値の初期値を算出する。また、制御値算出部25は、複数の発電設備3全体における現在の合計の発電出力に対する個々の発電設備3における現在の発電出力の比を目標値に乗算することで、個々の発電設備3に対する制御値の初期値を算出することもできる。制御値算出部25によって算出された個々の発電設備3に対する制御値の初期値は、第2の分布推定部22に設定される。
【0032】
図5Aは、個々の発電設備3における発電出力の変動分布と制御値との関係を示す図である。
図5Aにおいて、分布Bおよび曲線B1は、
図4と同じである。
図5Bは、
図5Aに示した時刻Xにおける個々の発電設備3における制御後の発電出力の確率密度分布を示す図である。
図5Aおよび
図5Bにおける制御値は、制御値算出部25によって算出された個々の発電設備3に対する制御値である。
【0033】
第2の分布推定部22は、変動分布Bにおける各時刻の発電出力の変動分布を、例えばヒストグラムとして取得する。変動分布Bに制御値を超える発電出力が含まれていた場合に、第2の分布推定部22は、制御値を超えた分だけ発電出力を抑制することにより制御値を下回るように制御された場合の発電出力を推定し、この抑制された発電出力に対応した頻度を抑制後の発電出力に対応した頻度へと付け替えることで、制御後の発電出力の変動分布を表すヒストグラムを算出し、発電出力の確率密度分布とする。
図5Bに示す曲線Cは、前記発電出力の確率密度分布を示したものである。第2の分布推定部22は、ヒストグラムの代わりに、既知の分布関数を用いてもよい。また、ヒストグラムとして算出された確率密度分布に対して、既知の分布関数による近似または平滑化等の処理が実施されてもよい。
【0034】
次に、第3の分布推定部23は、第2の分布推定部22によって推定された個々の発電設備3における発電出力の確率密度分布に基づいて、複数の発電設備3全体における合計発電出力の確率密度分布を推定する(ステップST3)。
図5Cは、複数の発電設備3全体における合計の発電出力の確率密度分布を示す図である。第3の分布推定部23は、発電設備3ごとに推定された発電出力の確率密度分布の和を算出する。複数の発電設備3全体における合計発電出力の確率密度分布には、
図5Cにおいて符号D1で示すように、目標値を超える発電出力の確率が存在する可能性がある。
【0035】
確率密度分布の和の算出においては、発電設備3間の発電出力が無相関であると仮定して、個々の発電設備3の発電出力を条件とした、条件付確率の和として確率密度分布の和を算出する。または、発電設備3間の発電出力に相関があると仮定して、相関度合いを表す関数による重み付けにより、個々の発電設備3の発電出力の確率密度を補正して確率密度分布の和を算出してもよい。
【0036】
判定部24は、複数の発電設備3全体における合計の発電出力の確率密度分布に基づいて、合計の発電出力が目標条件を満たすか否かを判定する(ステップST4)。判定部24は、曲線Dに基づいて、目標条件の判定に必要な指標を算出し、目標条件が達成されているか否かを判定する。目標条件は、例えば、
図5Cに示した確率密度分布において、合計の発電出力が目標値を超える確率を指標として、これが閾値以下であるという第1の判定条件を満たし、かつ
図5Cに示した確率密度分布において、発電出力の値に応じて重み付けを行い、重み付けされた発電出力の期待値を指標として、発電出力を最大化するという第2の判定条件に基づいて判定される。または、第1の判定条件を、
図5Cに示した確率密度分布において、目標値を超えた発電出力の値に応じて重み付けを行い、重み付けされた目標値を超えた発電出力の期待値を指標として、これが閾値以下であるか否かという判定条件としてもよい。特に、蓄電池が併設された設備、または、電力量のインバランス調整を目的とした制御においては、設備全体の目標値は、例えば、30分コマの積算値等で与えられるため、瞬時的には符号D1で示す目標値を超える発電出力の確率が積極的に許容される。
【0037】
複数の発電設備3全体における合計発電出力が目標条件を満たすと判定した場合(ステップST4;YES)、判定部24は、ステップST2において確率密度分布の推定に用いられた制御値を、個々の発電設備3における発電出力の制御に用いる制御値として確定する(ステップST5)。判定部24は、発電設備3ごとに確定された制御値を、通信部26に出力する。通信部26は、制御値を含む第2の制御情報を、通信ネットワーク5を介して個々の発電設備3に送信する。第2の制御情報に含まれる制御値に基づいて、発電設備3における発電出力が制御される。なお、通信部26は、制御情報生成装置に制御値を送信し、制御情報生成装置が、第2の制御情報を生成し、個々の発電設備3に送信してもよい。制御情報生成装置は電力制御装置2が備えてもよいし、電力制御装置2とは別に設けられた外部装置であってもよい。
【0038】
複数の発電設備3全体における合計の発電出力が目標条件を満たさないと判定した場合(ステップST4;NO)、判定部24は、制御値の変更に用いるパラメータを制御値算出部25に出力する。制御値算出部25は、判定部24から入力したパラメータに基づいて、個々の発電設備3に対する制御値を変更する(ステップST6)。変更後の制御値を用いて、ステップST1からの一連の処理が実行される。制御値の変更は、複数の発電設備3全体における合計発電出力が目標条件を満たすまで繰り返される。または、目標条件を満たすことができない場合であっても、指定された回数を繰り返した後、あるいは、指定の時刻まで繰り返した後に処理を打ち切って、当該時点までの制御値のうち、最も目標条件に近いものが目標条件を満たしたとみなしてもよい。この場合においても、複数の発電設備3全体における合計発電出力が目標条件を満たすと判定される(ステップST4;YES)。
【0039】
制御値の変更に用いるパラメータは、例えば、合計発電出力が目標値を超える確率とこれに対応する判定条件の閾値との差分である。制御値算出部25は、判定部24から入力された合計の発電出力が目標値を超える確率と判定条件の閾値との差分に基づいて、合計発電出力が目標値を超える確率が超過している場合には、個々の発電設備3に対する制御値を、より多くの出力が抑制される方向へ変更し、合計発電出力が目標値を超える確率が超過していない場合には、個々の発電設備3に対する制御値を、より多くの抑制が解除される方向へ変更する。
【0040】
個々の発電設備3に対する制御値の変更は、個々の発電設備3における定格容量に応じて配分される。または、個々の発電設備3に対する制御値の変更は、個々の発電設備3における現在時刻における発電量に応じて配分されるか、あるいは、第1の分布推定部21から入力された個々の発電設備3における発電出力の変動分布を用いて、個々の発電設備3における制御値(変更前の制御値)に対する発電出力の超過量に応じて配分されてもよい。特に、個々の発電設備3における超過量を均等にすることで、発電出力の期待値が最大化される。
【0041】
定格出力がともに10MWである発電設備(A)および発電設備(B)に対して、発電設備(A)および発電設備(B)全体における合計発電出力を、定格出力から20%抑制された16MW(目標値)に制御する場合を例に挙げて説明する。また、このときの発電出力の変動分布は、発電設備(A)および発電設備(B)ともに
図6に示す確率密度分布に従うものと仮定する。この場合、従来の電力制御装置は、発電設備(A)および発電設備(B)における最大出力(制御値)を8MWに抑制することで、全体における合計発電出力を16MW以下に抑制する。
【0042】
しかしながら、発電設備(A)と発電設備(B)がおかれた気象条件の違いによって、例えば、発電設備(A)における発電出力は9MWであるが、発電設備(B)における発電出力は7MWであるという状態が発生し得る。このとき、全体における合計発電出力は16MWとなり、全体の目標値を満たすが、従来の電力制御装置では、発電設備(A)において8MWを上回った発電出力は抑制される。このため、発電設備(A)および発電設備(B)全体における合計発電出力は15MWとなり、全体の目標値16MWに対して過剰に抑制される。例えば、
図6に示す確率密度分布の条件下では、このように過剰な抑制が行われる確率は14%と計算される。
【0043】
これに対して、電力制御装置2は、第1の分布推定部21によって
図6に示した発電設備における発電出力の変動分布を推定することにより、発電設備における発電出力の不確定な変動を制御値の決定に反映する。例えば、
図6に示す確率密度分布の条件下で、発電設備(A)と発電設備(B)の最大出力(制御値)を8MWにした際には、全体の目標値を超過する確率は0%であり、全体における合計発電出力の期待値は13.8MWであると計算される。一方で、発電設備(A)と発電設備(B)の最大出力(制御値)を9MWにした場合には、全体の目標値を超過する確率は5%であり、全体における合計発電出力の期待値は14.0MWであると計算される。従って、判定部24における目標条件として全体の目標値の超過確率において5%の超過を許容する場合は、発電設備(A)と発電設備(B)の最大出力(制御値)を9MWとする制御が採用されるので、従来の電力制御装置による制御値と比較して0.2MWの発電出力の増加が期待される。なお、発電設備における発電出力の不確定な変動を制御値の決定に反映する効果は、合計する発電設備が多くなるほど顕著になり、上記と同じ条件下で、発電設備が10台であれば、全体の目標値を超過する確率は0.1%となり、僅少なリスクを許容することで発電出力の期待値を高めることが可能となる。
【0044】
図7Aは、制御値(1)に基づいた発電設備(1)および発電設備(2)における発電出力の制御の概要を示す図である。
図7Aの左側上方に示すグラフは、発電設備(1)における発電出力の変動分布であり、
図7Aの左側下方に示すグラフは、発電設備(2)における発電出力の変動分布である。
図7Aの右側に示すグラフは、発電設備(1)および発電設備(2)全体における合計の発電出力の変動分布である。前述したものと同様に、定格出力がともに10MWである発電設備(1)および発電設備(2)に対して、発電設備(1)および発電設備(2)全体における合計発電出力を、定格出力から20%抑制された16MW(目標値(A))に制御する場合を示している。制御値(1)は、前述した従来の電力制御装置によって設定された最大出力(制御値)(8MW)である。
【0045】
発電設備(1)と発電設備(2)がおかれた気象条件の違いによって、発電設備(1)における発電出力は9MWであるが、発電設備(2)における発電出力は7MWであるという状態が発生し得る。このとき、全体における合計発電出力は16MWとなり、全体の目標値(A)を満たすが、従来の電力制御装置では、発電設備(1)において8MWを上回った発電出力は抑制される。このため、発電設備(1)および発電設備(2)全体における合計発電出力は15MWとなり、全体の目標値(A)16MWに対して過剰に抑制される。
【0046】
図7Bは、制御値(2)に基づいた発電設備(1)および発電設備(2)における発電出力の制御の概要を示す図である。
図7Bの左側上方に示すグラフは、発電設備(1)における発電出力の変動分布であり、
図7Bの左側下方に示すグラフは、発電設備(2)における発電出力の変動分布である。
図7Bの右側に示すグラフは、発電設備(1)および発電設備(2)全体における合計の発電出力の変動分布である。また、制御値(2)は、判定部24における目標条件として全体の目標値の超過確率において5%の超過を許容する場合に、電力制御装置2によって設定された発電設備(1)と発電設備(2)の最大出力(9MW)である。発電設備(1)と発電設備(2)の制御値(2)を9MWとした場合、従来の電力制御装置による制御値と比較して0.2MWの発電出力の増加が期待される。すなわち、
図7Bに示すように、発電設備(1)および発電設備(2)全体における合計の発電出力は、目標値(A)近くに増加する。
【0047】
また、実施の形態1に係る電力制御装置2の機能を実現するハードウェア構成は、以下の通りである。電力制御装置2における第1の分布推定部21、第2の分布推定部22、第3の分布推定部23、判定部24、制御値算出部25および通信部26の各機能は、処理回路によって実現される。すなわち、電力制御装置2は、
図3に示すステップST1からステップST6までの処理を実行するための処理回路を備えている。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいが、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)であってもよい。
【0048】
図8Aは電力制御装置2の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。
図8Bは電力制御装置2の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。
図8Aおよび
図8Bにおいて、入力インタフェース100は、電力制御装置2へ入力される情報を中継するインタフェースである。出力インタフェース101は、電力制御装置2から出力される情報を中継するインタフェースである。
【0049】
処理回路が
図8Aに示す専用のハードウェアの処理回路102である場合、処理回路102は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、または、これらを組み合わせたものが該当する。電力制御装置2における第1の分布推定部21、第2の分布推定部22、第3の分布推定部23、判定部24、制御値算出部25および通信部26の各機能は、別々の処理回路によって実現されてもよいし、これらの機能がまとめて1つの処理回路によって実現されてもよい。
【0050】
処理回路が
図8Bに示すプロセッサ103である場合、電力制御装置2における第1の分布推定部21、第2の分布推定部22、第3の分布推定部23、判定部24、制御値算出部25および通信部26の機能は、ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。なお、ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述されてメモリ104に記憶される。
【0051】
プロセッサ103は、メモリ104に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、電力制御装置2における第1の分布推定部21、第2の分布推定部22、第3の分布推定部23、判定部24、制御値算出部25および通信部26の機能を実現する。例えば、電力制御装置2は、プロセッサ103によって実行されるときに、
図3に示したフローチャートにおけるステップST1からステップST6までの処理が結果的に実行されるプログラムを記憶するメモリ104を備える。これらのプログラムは、第1の分布推定部21、第2の分布推定部22、第3の分布推定部23、判定部24、制御値算出部25および通信部26の手順または方法をコンピュータに実行させる。メモリ104は、コンピュータを、第1の分布推定部21、第2の分布推定部22、第3の分布推定部23、判定部24、制御値算出部25および通信部26として機能させるためのプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
【0052】
メモリ104は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically−EPROM)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVDなどが該当する。
【0053】
電力制御装置2における第1の分布推定部21、第2の分布推定部22、第3の分布推定部23、判定部24、制御値算出部25および通信部26の機能の一部が専用のハードウェアによって実現され、一部がソフトウェアまたはファームウェアによって実現されてもよい。例えば、通信部26は、専用のハードウェアである処理回路102によって機能が実現され、第1の分布推定部21、第2の分布推定部22、第3の分布推定部23、判定部24および制御値算出部25は、プロセッサ103がメモリ104に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって機能が実現される。このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせにより上記機能を実現することができる。
【0054】
以上のように、実施の形態1に係る電力制御装置2において、発電出力を制御する前の個々の発電設備3における発電出力の確率密度分布を用いて、個々の発電設備3に対して設定された制御値に基づいて制御された場合における発電出力の確率密度分布が推定され、個々の発電設備3における発電出力の確率密度分布に基づいて複数の発電設備3全体における合計発電出力の確率密度分布が推定される。複数の発電設備3全体における合計発電出力の確率密度分布に基づいて、複数の発電設備3全体における合計発電出力が目標値を満たすか否かが判定される。複数の発電設備3全体における合計発電出力が目標値を満たさないと判定された場合に、複数の発電設備3全体における合計発電出力が目標値を満たす可能性を高めるように、個々の電力設備に対する制御値が算出される。これにより、電力制御装置2は、個々の発電設備3における電力のリアルタイム制御に限定されずに、発電出力の抑制による発電機会の損失を低減することができる。
【0055】
これまで発電設備3における発電出力の抑制制御について説明したが、実施の形態1に係る電力制御方法は、発電設備3における発電出力を増加させる制御に対しても適用可能である。この場合、個々の発電設備3は、制御値を下回っていた場合、制御値の発電出力となるように増加制御される。
【0056】
また、これまで電力設備が発電設備3である場合について説明したが、デマンドレスポンスなどの電力負荷を制御する場合においても同様に電力制御することが可能である。この場合、複数の電力設備全体における合計の電力負荷が目標値を満たすように、個々の電力設備における電力負荷が制御される。電力負荷の制御においても制御値に対して抑制させる場合と増加させる場合がある。
【0057】
なお、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
電力制御装置(2)は、個々の発電設備(3)における発電出力の確率密度分布を推定する第1の分布推定部(22)と、複数の発電設備(3)全体における合計の発電出力の確率密度分布を推定する第2の分布推定部(23)と、複数の発電設備(3)全体における合計の発電出力が目標値を満たすか否かを判定する判定部(24)と、複数の発電設備(3)全体における合計の発電出力が目標値を満たさないと判定された場合に、複数の発電設備(3)全体における合計の発電出力が目標値を満たす可能性を高めるように、個々の発電設備(3)に対する制御値を算出する制御値算出部(25)を備える。