【文献】
Lu Y et al,Rapamycin Regulates iTreg Function through CD39 and Runx1 Pathways,J Immunol Res.,2014年,2014(Article ID 989434),1-8
【文献】
Baratelli F et al,Prostaglandin E2 induces FOXP3 gene expression and T regulatory cell function in human CD4+ T cells,Journal of Immunology,2005年,175(3),1483-1490
【文献】
西尾純子,免疫応答の負の制御:免疫恒常性の維持と疾患治療への応用 抗CD3抗体などによる自己免疫疾患の治療戦略,細胞工学,32(12),2013年,1232-1237
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
cAMPアクチベーターが、プロスタグランジンE2(PGE2)、EP2又はEP4アゴニスト、あるいは膜アデニンシクラーゼアクチベーターを含む群から選択される、請求項1に記載の方法。
TGFβ経路アクチベーターが、TGFβ、骨形成タンパク質(BMP)、成長分化因子(GDF)、抗ミュラー管ホルモン(AMH)、アクチビン及びノーダルを含む群から選択される、請求項1に記載の方法。
mTORインヒビターが、ラパマイシン、ラパマイシン類似体、ワートマニン;テオフィリン;カフェイン;没食子酸エピガロカテキン(EGCG)、クルクミン、レスベラトロル;ゲニステイン、3,3−ジインドリルメタン(DIM)、LY294002(2−(4−モルホリニル)−8−フェニル−4H−1−ベンゾピラン−4−オン)、PP242、PP30、Torin1、Ku−0063794、WAY−600、WYE−687、WYE−354、GNE477、NVP−BEZ235、PI−103、XL765及びWJD008を含む群から選択される、請求項1に記載の方法。
【発明の概要】
【0009】
概要
本発明は、以下の表現型:CD3
+CD4
+Foxp3
+を有するMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞をex vivoで生成するための方法であって、
−TCRαβ細胞アクチベーター並びに以下の作用物質:i)cAMP(環状アデノシン一リン酸)アクチベーター、ii)TGFβ(トランスフォーミング成長因子β)経路アクチベーター、iii)mTORインヒビター、並びに場合によりiv)IL−2、IL−7、IL−15及びTSLPの群において選択される少なくとも1つのサイトカインの存在下で、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞を少なくとも5日間培養することを含む方法に関する。
【0010】
一実施態様では、TCRαβ細胞アクチベーターは、ポリクローナルTCRαβ細胞アクチベーター、好ましくは抗CD3抗体又は抗TCRαβ抗体である。
【0011】
本発明の一実施態様では、αβ細胞アクチベーターは、抗原特異的TCRαβ細胞アクチベーター、好ましくは寛容原性樹状細胞(DC)であり、少なくとも1つの自己ペプチド抗原でパルスされている。
【0012】
一実施態様によれば、cAMPアクチベーターは、プロスタグランジンE2(PGE2)、EP2又はEP4アゴニスト、膜アデニンシクラーゼアクチベーター又は代謝型グルタミン酸レセプターアゴニストを含む群から選択される。
【0013】
一実施態様では、TGFβ経路アクチベーターは、TGFβ、骨形成タンパク質(BMP)、成長分化因子(GDF)、抗ミュラー管ホルモン(AMH)、アクチビン及びノーダルを含む群から選択される。
【0014】
一実施態様では、mTORインヒビターは、ラパマイシン、ラパマイシン類似体、ワートマニン;テオフィリン;カフェイン;没食子酸エピガロカテキン(EGCG)、クルクミン、レスベラトロル;ゲニステイン、3,3−ジインドリルメタン(DIM)、LY294002(2−(4−モルホリニル)−8−フェニル−4H−1−ベンゾピラン−4−オン)、PP242、PP30、Torin1、Ku−0063794、WAY−600、WYE−687、WYE−354、GNE477、NVP−BEZ235、PI−103、XL765及びWJD008である。
【0015】
一実施態様では、本発明の方法は、αβT細胞アクチベーター並びに以下の作用物質:i)cAMP(環状アデノシン一リン酸)アクチベーター、ii)TGFβ(トランスフォーミング成長因子β)経路アクチベーター、iii)mTORインヒビター、並びに場合によりiv)IL−2、IL−7、IL−15及びTSLPの群において選択される少なくとも1つのサイトカインの存在下で、上記生成方法によって取得されたMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞を少なくとも5日間培養するエクスパンション工程をさらに含む。
【0016】
本発明はまた、本発明の方法によって取得可能なex vivo生成MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞集団に関する。
【0017】
本発明はさらに、本発明の方法によって取得可能なex vivo生成及びエクスパンションMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞集団に関する。
【0018】
本発明の別の目的は、炎症条件において依然として安定であるex vivo生成MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞集団である。
【0019】
本発明のさらなる目的は、不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞を含む免疫原性産物である。
【0020】
本発明はまた、不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞と、少なくとも薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0021】
本発明はさらに、不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞と、少なくとも1つのアジュバントとを含むワクチン組成物に関する。
【0022】
本発明の別の目的は、ガンの処置において使用するための本発明の免疫原性産物、医薬組成物又はワクチン組成物に関する。
【0023】
本発明のさらなる目的は、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞と、少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物である。
【0024】
本発明はまた、細胞療法において使用するための本発明の医薬組成物に関する。
【0025】
本発明はさらに、炎症性疾患若しくは自己免疫疾患の処置において使用するための、又は移植拒絶若しくは移植片対宿主病(GVHD)を予防するための上記医薬組成物に関する。
【0026】
定義
本明細書で使用される場合、「制御性T細胞」又は「Treg」は、細胞間接触によって、又はMLR抑制(混合リンパ球反応)によって抑制活性(すなわち、通常T細胞の増殖の阻害)が可能な細胞を指す。これらの細胞は、限定されないが、末梢制御性T細胞、γδ制御性T細胞及び不変制御性T細胞を含む異なるサブ集団を含む。
【0027】
本明細書で使用される場合、「不変制御性T細胞」は、以下の表現型:CD3
+Vα24
+Foxp3
+を有する細胞を指す。これらの細胞は、CD1拘束下で非ペプチド脂質抗原を認識する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「γδ制御性T細胞」は、以下の表現型:γδTCR
+Foxp3
+を有する細胞を指す。これらの細胞は、MHC(主要組織適合複合体)拘束なしで非ペプチドホスホ抗原を認識する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞」は、以下の表現型:CD4
+CD25
+Foxp3
+を有する細胞を指す。これらの細胞は、胸腺由来又は末梢性である。これらの細胞は、それらのαβTCR(T細胞レセプター)によって同定され得、拘束性MHCクラスII(主要組織適合複合体クラスII)分子によって提示されるペプチド(外来ペプチド又は自己ペプチドを含む)を認識し得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、「処置」という用語は、目的が、病理学的なターゲット障害又は症状を予防し又は減速させる(緩和する、軽減する)ことである治療的処置並びに防止的及び予防的手段を指す。処置を必要とするものとしては、障害を既に有するもの、及び障害を有しやすいもの、又は障害を予防すべきものが挙げられる。本発明の治療量のMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞又は治療量の不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞の投与後、患者が、以下:病原性細胞の数の減少;病原性である全細胞のパーセントの減少;及び/又は特定の疾患若しくは症状に関連する症候の1つ以上のある程度の軽減;罹患率及び死亡率の減少、並びに生活の質の問題の改善の1つ以上の観察可能及び/又は測定可能な低減又は非存在を示す場合、被験体又は哺乳動物は、疾患の処置が成功している。疾患の処置及び改善の成功を評価するための上記パラメータは、医師が精通するルーチンな手順によって容易に測定可能である。
【0031】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」は、ターゲットに対する有意なマイナスの又は有害な副作用を引き起こさずに治療的応答を誘導することを目的とする、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞又は不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞の数を指す。治療有効量は、防止的又は予防的作用のために、処置すべき疾患の発症前に投与され得る。あるいは又は加えて、治療有効量は、治療的作用のために、処置すべき疾患の開始後に投与され得る。
【0032】
本明細書で使用される場合、「治療的応答」は、被験体において、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞療法又はMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞ワクチン接種によって誘導される治療的利益を指す。治療的応答としては、(1)処置すべき疾患の発症の遅延若しくは予防;(2)処置すべき疾患の1つ以上の症候の進行、悪化若しくは増悪の減速若しくは停止;(3)処置すべき疾患の症候の改善の誘発;(4)処置すべき疾患の重症度若しくは発生率の減少;又は(5)処置すべき疾患の治癒という事実が挙げられ得る。
【0033】
本明細書で使用される場合、数字の前の「約」は、前記数字の値の10%超又は未満を意味する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「被験体又は患者」は、哺乳動物、好ましくはヒトを指す。本発明では、被験体及び患者という用語は、同じ意味で使用され得る。非ヒト哺乳動物の例としては、ペット、例えばイヌ、ネコ、家畜ブタ、ウサギ、フェレット、ハムスター、マウス、ラットなど;霊長類、例えばチンパンジー、サルなど;経済的に重要な動物、例えばウシ、ブタ、ウサギ、ウマ、ヒツジ、ヤギが挙げられる。一実施態様では、被験体は、医療ケアを受けるのを待っているか、若しくは医療ケアを受けているか、又は医療手順の対象であった/である/になるか、又は疾患の発症についてモニタリングされる。一実施態様では、被験体は、成人(例えば、18歳超の被験体)である。別の実施態様では、被験体は、子供(例えば、18歳未満の被験体)である。一実施態様では、被験体は、男性である。別の実施態様では、被験体は、女性である。
【0035】
本明細書で使用される場合、「同種細胞」は、ある被験体(ドナー)から単離されて別の被験体(レシピエント又は宿主)に注入される細胞を指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「自己細胞」は、単離されて同じ被験体(レシピエント又は宿主)に再び注入される細胞を指す。
【0037】
詳細な説明
本発明は、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞をex vivoで生成するための方法に関する。
【0038】
一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞をex vivoで生成するための方法は、
−TCRαβアクチベーター並びに以下の作用物質:i)cAMP(環状アデノシン一リン酸)アクチベーター、ii)TGFβ(トランスフォーミング成長因子β)経路アクチベーター、iii)mTORインヒビター、並びに場合によりiv)IL−2、IL−7、IL−15及びTSLP(胸腺間質性リンパ球新生因子)の群において選択される少なくとも1つのサイトカインの存在下で、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞を少なくとも5日間培養すること、
−それにより、好ましくはナイーブ(CD45RA
+)T細胞から、ex vivoで生成されたMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞の集団を取得すること
を含む。
【0039】
一実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、当技術分野で周知の任意の技術によって、血液サンプルから取得される。一実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、フローサイトメトリーによって、又は例えばMACSシステムを使用した陰性選択によって、PBMC(末梢血単核細胞)から単離される。
【0040】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+である。
【0041】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD127
+である。
【0042】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD27
+である。
【0043】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、IL−1R1
−である。
【0044】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、IL−6R
−である。
【0045】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、IL−23R
−である。
【0046】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、IL−33R
−である。
【0047】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+CD127
+である。
【0048】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+CD27
+である。
【0049】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD127
+CD27
+である。
【0050】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+IL−1R1
−である。
【0051】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+IL−6R
−である。
【0052】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+IL−23R
−である。
【0053】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+IL−33R
−である。
【0054】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD127
+IL−1R1
−である。
【0055】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD127
+IL−6R
−である。
【0056】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD127
+IL−23R
−である。
【0057】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD127
+IL−33R
−である。
【0058】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD27
+IL−1R1
−である。
【0059】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD27
+IL−6R
−である。
【0060】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD27
+IL−23R
−である。
【0061】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD27
+IL−33R
−である。
【0062】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、IL−6R
−IL−1R1
−である。
【0063】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、IL−23R
−IL−1R1
−である。
【0064】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、IL−33R
−IL−1R1
−である。
【0065】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、IL−23R
−IL−6R
−である。
【0066】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、IL−33R
−IL−6R
−である。
【0067】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、IL−23R
−IL−33R
−である。
【0068】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+CD127
+CD27
+である。
【0069】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+CD127
+IL−1R1
−である。
【0070】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+CD127
+IL−6R
−である。
【0071】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+CD127
+IL−23R
−である。
【0072】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+CD127
+IL−33R
−である。
【0073】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+CD27
+IL−1R1
−である。
【0074】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+CD27
+IL−6R
−である。
【0075】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+CD27
+IL−23R
−である。
【0076】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+CD27
+IL−33R
−である。
【0077】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD127
+CD27
+IL−1R1
−である。
【0078】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD127
+CD27
+IL−6R
−である。
【0079】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD127
+CD27
+IL−23R
−である。
【0080】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD127
+CD27
+IL−33R
−である。
【0081】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+IL−6R
−IL−1R1
−である。
【0082】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+IL−23R
−IL−1R1
−である。
【0083】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+IL−33R
−IL−1R1
−である。
【0084】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+IL−6R
−IL−23R
−である。
【0085】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+IL−6R
−IL−33R
−である。
【0086】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+IL−23R
−IL−33R
−である。
【0087】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD127
+IL−6R
−IL−1R1
−である。
【0088】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD127
+IL−23R
−IL−1R1
−である。
【0089】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD127
+IL−33R
−IL−1R1
−である。
【0090】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD127
+IL−6R
−IL−23R
−である。
【0091】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD127
+IL−6R
−IL−33R
−である。
【0092】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD127
+IL−23R
−IL−33R
−である。
【0093】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD27
+IL−6R
−IL−1R1
−である。
【0094】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD27
+IL−23R
−IL−1R1
−である。
【0095】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD27
+IL−33R
−IL−1R1
−である。
【0096】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD27
+IL−6R
−IL−23R
−である。
【0097】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD27
+IL−6R
−IL−33R
−である。
【0098】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD27
+IL−23R
−IL−33R
−である。
【0099】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、IL−1R1
−IL−6R
−IL−23R
−である。
【0100】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、IL−1R1
−IL−6R
−IL−33R
−である。
【0101】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、IL−6R
−IL−23R
−IL−33R
−である。
【0102】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、IL−1R1
−IL−6R
−IL−23R
−IL−33R
−である。
【0103】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、CD62L
+CD127
+CD27
+IL−1R1
−IL−6R
−IL−23R
−IL−33R
−である。
【0104】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、TCRγδ
−である。
【0105】
別の実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、Vα24
−である。
【0106】
一実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、凍結PBMCから単離され得る。
【0107】
一実施態様では、単離されたCD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞の取得は、任意選択の第1の精製工程によって改善され得る。CD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞は、可溶性抗CD28及び抗CD40抗体の存在下で、抗原パルス寛容原性DC(例えば、オボアルブミンパルス寛容原性DC)によって刺激される。一実施態様では、刺激の時間は、1時間〜24時間、好ましくは10時間〜20時間の範囲であり、より好ましくは約16時間である。刺激後、例えばPBSで細胞を洗浄し、選別のために抗CD154及び抗CD4抗体で染色する。精製CD3
+CD4
+CD25
−CD154
+T細胞を濃縮し、次の活性化工程に使用し得る。
【0108】
一実施態様では、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞は、αβTCR細胞アクチベーターの存在下で活性化される。前記αβTCR細胞アクチベーターは、ポリクローナルαβTCR細胞アクチベーター又は抗原特異的αβTCR細胞アクチベーターであり得る。
【0109】
本発明では、ポリクローナルαβTCR細胞アクチベーターは、TCRαβアクチベーターである。TCRαβアクチベーターの例としては、限定されないが、抗TCRαβ抗体、例えば精製抗ヒトTCRα/β抗体(ref 306702, Biolegend)、抗ヒトαβTCR抗体(ref 11-9986-41, eBioscience)、抗ヒトTCRαβ(ref 563826, BD Biosciences)、TCRα/β抗体(ref GTX80083, GeneTex);抗CD3抗体、例えば精製抗ヒトCD3抗体(ref 344801, BioLegend)、抗CD3抗体(ab5690, Abcam)、精製抗ヒトCD3(ref 14-0038-80, eBioscience)、CD3抗体(ref MA5-17043, Invitrogen antibodies)、CD3モノクローナル抗体(ref ALX-804-822-C100, Enzo Life Sciences)、ヒトCD3抗体(ref 130-098-162, Miltenyi Biotec);マイトジェン、例えばヤマゴボウマイトジェン、イオノマイシン、ホルボールミリスチン酸アセタート(PMA)、フィトヘマグルチニン(PHA)、リポ多糖(LPS)、超抗原、例えばブドウ球菌エンテロトキシン(SPE)、レトロウイルス抗原、連鎖球菌抗原、マイコプラズマ抗原、マイコバクテリウム抗原、ウイルス抗原(例えば、マウス乳ガンウイルス由来の超抗原、狂犬病ウイルス又はヘルペスウイルス)及び内部寄生虫抗原(例えば、原生動物抗原又は蠕虫抗原)が挙げられる。
【0110】
一実施態様では、ポリクローナルTCRαβ細胞アクチベーターは、抗TCRαβ抗体又は抗CD3抗体である。
【0111】
一実施態様では、ポリクローナルTCRαβ細胞アクチベーター、好ましくは抗TCRαβ又は抗CD3抗体は、培養培地中で可溶性である。別の実施態様では、ポリクローナルTCRαβ細胞アクチベーターは、培養プレートにコーティングされる。
【0112】
一実施態様では、ポリクローナルTCRαβ細胞アクチベーターは、フィーダー細胞、好ましくは自己フィーダー細胞の存在下で使用される。
【0113】
フィーダー細胞としては、限定されないが、ΔCD3細胞(T細胞枯渇アクセサリー細胞)、照射PBMC、照射DC、人工APC(抗原提示細胞)、Sf9細胞、昆虫細胞、異なる被験体由来のPBMCプール又はB細胞プール、KCD40L細胞、EBVトランスフォーメーションB細胞株及びEBVトランスフォーメーションリンパ芽球細胞(LCL)が挙げられる。
【0114】
好ましくは、本発明において使用されるフィーダー細胞は、抗CD3コーティングビーズとのインキュベーションによってPBMCから陰性選択によって単離され、次いで、3000radで照射されたΔCD3細胞である。
【0115】
一実施態様では、T細胞/フィーダー細胞の比は、約1:100〜約1:10000、好ましくは1:1000〜1:5000である。本発明の範囲内では、「1:100〜1:10000」という表現は、限定されないが、1:100、1:200、1:300、1:400、1:500、1:600、1:700、1:800、1:900、1:1000、1:1250、1:1500、1:1750、1:2000、1:2250、1:2500、1:2750、1:3000、1:3250、1:3500、1:3750、1:4000、1:4250、1:4500、1:4750、1:5000、1:5250、1:5500、1:5750、1:6000、1:6250、1:6500、1:6750、1:7000、1:7250、1:7500、1:7750、1:8000、1:8250、1:8500、1:8750、1:9000、1:9250、1:9500、1:9750及び1:10000を含む。
【0116】
本発明では、抗原特異的TCRαβ細胞アクチベーターは、寛容原性樹状細胞(DC)である。
【0117】
本明細書で使用される場合、「寛容原性DC」は、寛容を誘導することができるDCを指す。一実施態様では、寛容原性DCは、炎症促進性サイトカイン、例えばIL−12、IL−23又はTNFαよりも多くの抑制性サイトカイン、例えばIL−10及びTGFβを分泌することができる。一実施態様では、DCは、それらが比IL−10:IL−12>1でIL−10及びIL−12を分泌する場合、寛容原性であると定義される。
【0118】
一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で主要組織適合(MHC)クラスIa及び/又はMHCクラスIbを発現する。MHCクラスIa提示は、HLA−A、HLA−B及び/又はHLA−C分子を介した「古典的な」提示を指すのに対して、MHCクラスIb提示は、HLA−E、HLA−F、HLA−G及び/又はHLA−H分子を介した「非古典的な」抗原提示を指す。
【0119】
一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、50%のMHCクラスIa分子及び50%のMHCクラスIb分子を発現する。一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、45%のMHCクラスIa分子及び55%のMHCクラスIb分子を発現する。一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、40%のMHCクラスIa分子及び60%のMHCクラスIb分子を発現する。一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、35%のMHCクラスIa分子及び65%のMHCクラスIb分子を発現する。一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、30%のMHCクラスIa分子及び70%のMHCクラスIb分子を発現する。一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、25%のMHCクラスIa分子及び75%のMHCクラスIb分子を発現する。一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、20%のMHCクラスIa分子及び80%のMHCクラスIb分子を発現する。一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、15%のMHCクラスIa分子及び85%のMHCクラスIb分子を発現する。一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、10%のMHCクラスIa分子及び90%のMHCクラスIb分子を発現する。一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、5%のMHCクラスIa分子及び95%のMHCクラスIb分子を発現する。一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、MHCクラスIb分子のみを発現する。
【0120】
一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、50%のHLA−A、HLA−B及び/又はHLA−C分子並びに50%のHLA−E分子を発現する。一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、45%のHLA−A、HLA−B及び/又はHLA−C分子並びに55%のHLA−E分子を発現する。一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、40%のHLA−A、HLA−B及び/又はHLA−C分子並びに60%のHLA−E分子を発現する。一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、35%のHLA−A、HLA−B及び/又はHLA−C分子並びに65%のHLA−E分子を発現する。一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、30%のHLA−A、HLA−B及び/又はHLA−C分子並びに70%のHLA−E分子を発現する。一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、25%のHLA−A、HLA−B及び/又はHLA−C分子並びに75%のHLA−E分子を発現する。一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、20%のHLA−A、HLA−B及び/又はHLA−C分子並びに80%のHLA−E分子を発現する。一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、15%のHLA−A、HLA−B及び/又はHLA−C分子並びに85%のHLA−E分子を発現する。一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、10%のHLA−A、HLA−B及び/又はHLA−C分子並びに90%のHLA−E分子を発現する。一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、5%のHLA−A、HLA−B及び/又はHLA−C分子並びに95%のHLA−E分子を発現する。一実施態様では、寛容原性DCは、それらの表面上で、HLA−E分子のみを発現する。
【0121】
寛容原性DCを取得するための方法は、当技術分野で周知である。例示的な方法は、CD14
+単球からの寛容原性DCの生成である。例えば、未成熟DCの生成のために、GM−CSF及びIL−4の存在下で、又はGM−CSF及びIFNαの存在下で、CD14
+単球を培養する。
【0122】
寛容原性DCの表面上におけるMHCクラスIa分子の発現を阻害するか又はHLA−E分子の発現を誘導するための方法は周知である。
【0123】
TAPトランスポーター(抗原プロセシングに関連するトランスポーター)の阻害は、MHCクラスIa分子の発現の減少をもたらし、それにより、寛容原性DCの表面上におけるHLA−E分子発現を促進する。
【0124】
小胞体におけるTAPトランスポーターを阻害するための例示的な方法としては、限定されないが、CRISPR−CAS−9技術、サイレンシングRNA、CMV(サイトメガロウイルス)由来のUL−10ウイルスタンパク質を有するトランスフェクションDC、又はウイルスタンパク質の使用が挙げられる。
【0125】
TAPトランスポーターを阻害することができるウイルスタンパク質の例としては、限定されないが、HSV−1 ICP47タンパク質、水痘ウイルスUL49.5タンパク質、サイトメガロウイルスUS6タンパク質又はガンマヘルペスウイルスEBV BNLF2aタンパク質が挙げられる。
【0126】
別の方法は、寛容原性DCの表面上におけるHLA−E発現を変化させずにMHCクラスIa分子の発現を阻害するための化学製品の使用である。化学製品の例としては、限定されないが、5’−メチル−5’−チオアデノシン又はレプトマイシンBが挙げられる。
【0127】
寛容原性DCは、少なくとも1つの自己ペプチド抗原、改変自己ペプチド抗原、過剰発現自己ペプチド抗原又は外来抗原の存在下でパルスされる。「自己ペプチド抗原」は、制御性T細胞が由来する体内で通常発現される抗原を意味する。別の実施態様では、自己抗原は、制御性T細胞が由来する体内で通常発現されるものと同程度であるか、又は別の実施態様ではそれと区別不可能であるが、抗原に直接対応しないものであり得る。別の実施態様では、自己抗原は、体内で発現されると自己反応性T細胞の養成をもたらし得る抗原を指す。一実施態様では、自己抗原は、自己免疫疾患のターゲットである器官において発現される。一実施態様では、自己抗原は、膵臓、甲状腺、結合組織、腎臓、肺、消化器系又は神経系において発現される。別の実施態様では、自己抗原は、膵臓β細胞上で発現される。
【0128】
自己ペプチド抗原、改変自己ペプチド抗原及び過剰発現自己ペプチド抗原の例としては、限定されないが、インスリン、インスリンβ、グルタミン酸デカルボキシラーゼ1(GAD1)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ65(GAD65)、HSP、チログロブリン、核タンパク質、アセチルコリンレセプター、コラーゲン、甲状腺刺激ホルモンレセプター(TSHR)、ICA512(IA−2)及びIA−2β(フォグリン)、カルボキシペプチダーゼH、ICA69、ICA12、甲状腺ペルオキシダーゼ、ネイティブなDNA、ミエリン塩基性タンパク質、ミエリンプロテオリピドタンパク質、アセチルコインレセプター成分、組織適合抗原、移植片拒絶に関与する抗原、並びに変化ペプチドリガンドの抗原性ペプチドが挙げられる。
【0129】
別の実施態様では、自己ペプチド抗原は、ガン細胞由来の免疫原性アポトーシス小体に由来するか、又は組織溶解物に由来する。
【0130】
ガン細胞は、腫瘍生検に由来し得るか、又は循環ガン細胞のエクスパンションに由来し得る。
【0131】
ガン細胞由来の免疫原性アポトーシス小体は、例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン及びミトキサントロンを含むアントラサイクリン;オキサリプラチン、UVC若しくはγ線で処置されたアポトーシス小体放出ガン細胞を用いて取得され得るか、又はドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン及びミトキサントロンを含むアントラサイクリン;オキサリプラチン;UVC若しくはγ線で処置されたガンから直接単離され得る。
【0132】
組織溶解物の例としては、限定されないが、滑液又は炎症性組織溶解物が挙げられる。
【0133】
「外来抗原」は、それに曝露される哺乳動物にとって内因性でもネイティブでもない1つ又は複数の分子を意味する。外来抗原は、哺乳動物において免疫応答、例えば体液性及び/又はT細胞性応答を誘発し得る。一般に、外来抗原は、それに対する抗体の産生をもたらすであろう。外来抗原の例としては、限定されないが、タンパク質(改変タンパク質、例えば糖タンパク質、ムコタンパク質などを含む)、核酸、炭水化物、プロテオグリカン、脂質、ムチン分子、免疫原性治療剤(タンパク質、例えば抗体、特に非ヒトアミノ酸残基を含む抗体、例えば齧歯類、キメラ/ヒト化及び霊長類化抗体を含む)、毒素(ターゲティング分子、例えば抗体に場合によりコンジュゲートされており、ターゲティング分子は免疫原性でもあり得る)、遺伝子治療ウイルスベクター(例えば、レトロウイルス及びアデノウイルス)、移植片(移植片レシピエントの心臓、肺、肝臓、膵臓、腎臓に移植すべき移植片の抗原性成分及び神経移植片成分を含む)、感染性因子(例えば、細菌及びウイルス又は他の生物、例えば原生生物)、同種抗原(すなわち、同じ種の一部のメンバーに存在するが他のメンバーに存在しない抗原)、例えば血液型の差異、ヒトリンパ球抗原(HLA)、血小板抗原、移植器官上で発現される抗原、血液成分、妊娠(Rh)及び血友病因子(例えば、第VTfl因子及び第IX因子)が挙げられる。
【0134】
一実施態様では、自己ペプチド抗原又は外来抗原は、可溶性である。
【0135】
一実施態様では、培養物に追加されるcAMPアクチベーターは、cAMP経路の活性化を可能にする。cAMPアクチベーターの例としては、限定されないが、PGE2(プロスタグランジンE2)、EP2又はEP4アゴニスト、膜アデニンシクラーゼアクチベーター、例えばフォルスコリン又は代謝型グルタミン酸レセプターアゴニストが挙げられる。PGE2の例としては、限定されないが、ref P5640又はP0409のPGE2(Sigma-Aldrich)、ref 2296のPGE2(R&D Systems)、ref 2268のPGE2(BioVision)、ref 72192のPGE2(Stemcell)、ref ab144539のPGE2(Abcam)及びref 14010のPGE2(Cayman Chemical)が挙げられる。
【0136】
一実施態様では、cAMPアクチベーター、好ましくはPGE2は、0.01μM〜10μMの範囲の濃度で使用される。本発明の範囲内では、「0.01μM〜10μM」という表現は、限定されないが、0.02μM、0.03μM、0.04μM、0.05μM、0.06μM、0.07μM、0.08μM、0.09μM、0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1μM、1.5μM、2μM、2.5μM、3μM、3.5μM、4μM、4.5μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μMを含む。特定の実施態様では、PGE2は、0.03μM〜1.5μMの範囲の濃度である。
【0137】
一実施態様では、培養物に追加されるTGFβ経路アクチベーターは、TGFβ経路の活性化を可能にする。TGFβ経路アクチベーターの例としては、限定されないが、TGFβファミリー(TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3)、骨形成タンパク質(BMP)、成長分化因子(GDF)、抗ミュラー管ホルモン(AMH)、アクチビン及びノーダルが挙げられる。TGFβの例としては、限定されないが、ref T7039のTGFβ1(Sigma-Aldrich)、ref T2815のTGFβ2(Sigma-Aldrich)、ref T5425のTGFβ3(Sigma-Aldrich)、ref P01137のヒトTGFβ1(R&D system)、ref 580702のヒトTGFβ1(Biolegend)、ref HZ-1011のTGFβ1(HumanZyme)、ref 14-8348-62のヒトTGFβ1(Affymetrix eBioscience)が挙げられる。
【0138】
一実施態様では、経路アクチベーターは、1ng/ml〜20ng/mlの範囲の濃度で使用される。本発明の範囲内では、「1ng/ml〜20ng/ml」という表現は、限定されないが、2ng/ml、2.5ng/ml、3ng/ml、3.5ng/ml、4ng/ml、4.5ng/ml、5ng/ml、5.5ng/ml、6ng/ml、6.5ng/ml、7ng/ml、7.5ng/ml、8ng/ml、8.5ng/ml、9ng/ml、9.5ng/ml、10ng/ml、11ng/ml、12ng/ml、13ng/ml、14ng/ml、15ng/ml、16ng/ml、17ng/ml、18ng/ml、19ng/mlを含む。特定の実施態様では、TGFβは、2.5ng/ml〜7.5ng/mlの範囲の濃度である。
【0139】
一実施態様では、培養物に追加されるmTORインヒビターは、mTOR経路の阻害を可能にする。mTORインヒビターの例としては、限定されないが、ラパマイシン(シロリムスとも呼ばれる)及びその類似体(ラパログとも呼ばれる);ワートマニン;テオフィリン;カフェイン;没食子酸エピガロカテキン(EGCG);クルクミン;レスベラトロル;ゲニステイン;3,3−ジインドリルメタン(DIM);LY294002(2−(4−モルホリニル)−8−フェニル−4H−1−ベンゾピラン−4−オン);PP242;PP30;Torin1;Ku−0063794;WAY−600;WYE−687;WYE−354;並びにmTOR及びPI3K二重特異性インヒビター、例えばGNE477、NVP−BEZ235、PI−103、XL765及びWJD008が挙げられる。ラパマイシンの例としては、限定されないが、ref R0395のラパマイシン(Sigma-Aldrich)、ref S1039のラパマイシン(Selleckchem)、ref 1292のラパマイシン(Tocris)、ref R-5000のラパマイシン(LC Laboratories)、ref tlrl-rapのラパマイシン(InvivoGen)、ref ab120224のラパマイシン(Abcam)、ref R0395のラパマイシン(Sigma-Aldrich)が挙げられる。
【0140】
臨床的に使用されるラパマイシンと同じ化学クラスの化合物の例としては、限定されないが、エベロリムス(コード名RAD001)、テムシロリムス(コード名CCI-779、NSC 683864)、ゾタロリムス(コード名ABT-578)が挙げられる。
【0141】
一実施態様では、mTORインヒビター、好ましくはラパマイシンは、0.1nM〜50nMの範囲の濃度で使用される。本発明の範囲内では、「0.1nM〜50nM」という表現は、限定されないが、0.2nM、0.3nM、0.4nM、0.5nM、0.6nM、0.7nM、0.8nM、0.9nM、1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、7nM、8nM、9nM、10nM、11nM、12nM、13nM、14nM、15nM、16nM、17nM、18nM、19nM、20nM、21nM、22nM、23nM、24nM、25nM、26nM、27nM、28nM、29nM、30nM、31nM、32nM、33nM、34nM、35nM、36nM、37nM、38nM、39nM、40nM、41nM、42nM、43nM、44nM、45nM、46nM、47nM、48nM、49nMを含む。
【0142】
一実施態様では、IL−2、IL−7、IL−15及びTSLPから選択される少なくとも1つのサイトカインが培養物に追加され得る。
【0143】
一実施態様では、IL−2は、10IU/ml〜1000IU/mlの範囲の濃度で使用される。本発明の範囲内では、「10IU/ml〜1000IU/ml」という表現は、限定されないが、15IU/ml、20IU/ml、25IU/ml、30IU/ml、35IU/ml、40IU/ml、45IU/ml、50IU/ml、55IU/ml、60IU/ml、65IU/ml、70IU/ml、75IU/ml、80IU/ml、85IU/ml、90IU/ml、95IU/ml、100IU/ml、150IU/ml、200IU/ml、250IU/ml、300IU/ml、350IU/ml、400IU/ml、450IU/ml、500IU/ml、550IU/ml、600IU/ml、650IU/ml、700IU/ml、750IU/ml、800IU/ml、850IU/ml、900IU/ml、950IU/mlを含む。特定の実施態様では、IL−2は、50IU/ml〜250IU/mlの範囲の濃度で使用される。
【0144】
一実施態様では、IL−7は、1ng/ml〜100ng/mlの範囲の濃度で使用される。本発明の範囲内では、「1ng/ml〜100ng/ml」という表現は、限定されないが、1ng/ml、5ng/ml、10ng/ml、15ng/ml、20ng/ml、25ng/ml、30ng/ml、35ng/ml、40ng/ml、45ng/ml、50ng/ml、55ng/ml、60ng/ml、65ng/ml、70ng/ml、75ng/ml、80ng/ml、85ng/ml、90ng/ml、95ng/ml、100ng/mlを含む。
【0145】
一実施態様では、IL−15は、1ng/ml〜50ng/mlの範囲の濃度で使用される。本発明の範囲内では、「1ng/ml〜50ng/ml」という表現は、限定されないが、2ng/ml、3ng/ml、4ng/ml、5ng/ml、6ng/ml、7ng/ml、8ng/ml、9ng/ml、10ng/ml、15ng/ml、20ng/ml、25ng/ml、30ng/ml、35ng/ml、40ng/ml、45ng/mlを含む。特定の実施態様では、IL−15は、10ng/ml〜30ng/mlの範囲の濃度で使用される。
【0146】
一実施態様では、TSLPは、1ng/ml〜100ng/mlの範囲の濃度で使用される。本発明の範囲内では、「1ng/ml〜100ng/ml」という表現は、限定されないが、1ng/ml、5ng/ml、10ng/ml、15ng/ml、20ng/ml、25ng/ml、30ng/ml、35ng/ml、40ng/ml、45ng/ml、50ng/ml、55ng/ml、60ng/ml、65ng/ml、70ng/ml、75ng/ml、80ng/ml、85ng/ml、90ng/ml、95ng/ml、100ng/mlを含む。
【0147】
一実施態様では、制御性T細胞の他の集団の生成を防止するために、中和抗体が培養物に追加され得る。
【0148】
中和抗体の例としては、限定されないが、抗IFNγ、抗IL−4及び/又は抗IL−12抗体が挙げられる。
【0149】
抗IFNγ抗体の例としては、限定されないが、Affymetrix eBioscience (Ref 14-7318)、R&D systems (Ref MAB285)、Novus Biologicals (Ref AF-485-NA)が挙げられる。
【0150】
抗IL−4抗体の例としては、限定されないが、R&D Systems (Ref MAB304、MAB204又はMAB204)、Affymetrix eBioscience (Ref 14-7048)、GeneTex (Ref GTX10755)が挙げられる。
【0151】
抗IL−12抗体の例としては、限定されないが、Affymetrix eBioscience (Ref 16-7129又は16-8126)、Biolegend (Ref 508803)、R&D systems (Ref MAB219、AF-219又はAB-219)が挙げられる。
【0152】
一実施態様では、本発明の培養において使用される培養培地は、(i)1つ以上のpH緩衝系;(ii)無機塩;(iii)微量元素;(iv)遊離アミノ酸;(v)ビタミン;(vi)ホルモン;(vii)炭素/エネルギー源を含む。
【0153】
無機塩の例としては、限定されないが、臭化カルシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、臭化マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、重炭酸カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、二硫酸カリウム、リン酸水素二カリウム、硝酸カリウム、亜硝酸カリウム、亜硫酸カリウム、硫酸カリウム、重炭酸ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、二硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、硫酸ナトリウム及びそれらの混合物が挙げられる。
【0154】
微量元素の例としては、限定されないが、コバルト(Co)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、セレン(Se)、亜鉛(Zn)及びそれらの塩が挙げられる。
【0155】
遊離アミノ酸の例としては、限定されないが、L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−システイン、L−シスチン、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、タウリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン及びそれらの混合物が挙げられる。
【0156】
ビタミンの例としては、限定されないが、ビオチン(ビタミンH);D−パントテン酸カルシウム;塩化コリン;葉酸(ビタミンB9);ミオイノシトール;ニコチンアミド;ピリドキサール(ビタミンB6);リボフラビン(ビタミンB2);チアミン(ビタミンB1);コバラミン(ビタミンB12);アスコルビン酸;α−トコフェロール(ビタミンE)及びそれらの混合物が挙げられる。
【0157】
炭素/エネルギー源の例としては、限定されないが、D−グルコース;ピルビン酸塩;乳酸塩;ATP;クレアチン;クレアチンリン酸;及びそれらの混合物が挙げられる。
【0158】
一実施態様では、培養培地は、特にGIBCO(登録商標)のIMDM(イスコフ改変ダルベッコ培地)又はGIBCO(登録商標)のRPMI1640培地を含む群において選択される市販の細胞培養培地である。
【0159】
別の実施態様では、培養培地は、無血清培養培地、例えばGIBCO(登録商標)のAIM−V培地、LONZAのX−VIVO10、15及び20培地である。
【0160】
別の実施態様では、培養培地は、特にウシ胎仔血清、プールされたヒトAB血清、サイトカイン及び成長因子を含む群において選択されるさらなる化合物;特にペニシリン、ストレプトマイシン及びそれらの混合物を含む群において選択される抗生物質がさらに補充され得る。
【0161】
一実施態様では、培養培地は、IMDMである。
【0162】
いくつかの特定の実施態様では、培養培地は、IMDM細胞培養培地;1%(w/w)〜5%(w/w)のウシ胎仔血清;10IU/ml〜200IU/mlのペニシリン;10IU/ml〜200IU/mlのストレプトマイシン;0.1mM〜10mMの非必須アミノ酸、特にアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン及びチロシンを含む群において選択されるアミノ酸の混合物;0.5mM〜10mMのグルタミン、10mM〜25mMのHEPES pH7.6〜7.8を含む。
【0163】
一実施態様では、本発明のMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞を生成するための培養は、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間実施される。本発明の範囲内では、「少なくとも5日間」という表現は、限定されないが、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間を含む。
【0164】
一実施態様では、培養培地の一部は、生成培養の経過中に1回、2回、3回、4回又は5回廃棄され、同じ容量の新鮮培養培地と交換される。本発明の範囲内では、「一部」という用語は、培養培地の容量の少なくとも20%(v/v)、少なくとも25%(v/v)、少なくとも30%(v/v)、少なくとも35%(v/v)、少なくとも40%(v/v)、少なくとも45%(v/v)、少なくとも50%(v/v)、少なくとも55%(v/v)、少なくとも60%(v/v)、少なくとも65%(v/v)、少なくとも70%(v/v)、少なくとも75%(v/v)を意味することを意図する。特定の実施態様では、工程a)の培養培地の容量の40%(v/v)〜60%(v/v)が廃棄される。特定の実施態様では、廃棄される容量は、同一容量の新鮮培養培地と交換される。本発明の範囲内では、「新鮮培養培地」という表現は、いかなるCD3
+T細胞とも接触されていない培養培地を指す。
【0165】
一実施態様では、培地は、nTreg極性培地である。本発明者らは、少なくとも1つの上記cAMPアクチベーター、少なくとも1つの上記TGFβ経路アクチベーター及び少なくとも1つの上記mTorインヒビターを含むRPMI培地などの培地として「nTreg極性培地」を定義する。好ましい実施態様では、「nTreg極性培地」は、TGFβ、ラパマイシン及びPGE2を含むRPMI培地を指す。
【0166】
別の実施態様では、培地は、炎症性培地である。本発明者らは、炎症性サイトカイン、例えばIL−1β(10ng/ml)、IL−6(30ng/ml)、IL−21(50ng/ml)、IL−23(30ng/ml)、IL−2(100UI/ml)などを含むIMDMなどの培地として「炎症性培地」を定義する。
【0167】
一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞をex vivoで生成するための方法は、
−自己ΔCD3フィーダー細胞及びコーティング抗CD3抗体の存在下で、並びに以下の作用物質:i)PGE2、ii)TGFβ、iii)ラパマイシン、並びに場合によりiv)IL−2及びIL−15の群において選択される少なくとも1つのサイトカインの存在下で、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞を少なくとも5日間培養すること、
−それにより、ex vivoで生成されたMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞の集団を取得すること
を含む。
【0168】
一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞をex vivoで生成するための方法は、
−少なくとも1つの自己ペプチド抗原で約24時間パルスされた寛容原性DCの存在下で、並びにΔCD3フィーダー細胞の存在下で、並びに以下の作用物質:i)PGE2、ii)TGFβ、iii)ラパマイシン、並びに場合によりiv)IL−2及びIL−15の群において選択される少なくとも1つのサイトカインの存在下で、CD3
+CD4
+CD25
−T細胞を少なくとも5日間培養すること、
−それにより、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞の集団を取得すること
を含む。
【0169】
本発明はまた、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞の生成及びエクスパンションのex vivo方法であって、
−上記のようにMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞を生成すること、
−TCRαβ細胞アクチベーター(好ましくは、自己ΔCD3フィーダー細胞及びコーティング抗CD3抗体、又はΔCD3フィーダー細胞の存在下、少なくとも1つの自己ペプチド抗原で約24時間パルスされた寛容原性DCのいずれか)並びに以下の作用物質:i)cAMP(環状アデノシン一リン酸)アクチベーター(好ましくは、PGE2)、ii)TGFβ(トランスフォーミング成長因子β)経路アクチベーター(好ましくは、TGFβ)、iii)mTORインヒビター(好ましくは、ラパマイシン)、並びに場合によりiv)IL−2、IL−7、IL−15及びTSLPの群において選択される少なくとも1つのサイトカイン(好ましくは、IL−2及び/又はIL−15)の存在下で、生成されたMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞を少なくとも5日間接触させることによってそれらをエクスパンションすること、
−それにより、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞のエクスパンション集団を取得すること
を含むex vivo方法に関する。
【0170】
一実施態様では、ex vivoで生成されたMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞集団は、以下の表現型:CD3
+TCRαβ
+CD45RO
+Foxp3
+に基づいて、フローサイトメトリーによって単離される。
【0171】
一実施態様では、このようにして取得された単離されたMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞集団は、次いで、ポリクローナルT細胞アクチベーターの存在下でこれらの細胞を培養することによって、ex vivoでエクスパンションされる。ポリクローナルαβT細胞アクチベーターの例は、本明細書上に列挙されている。あるいは、エクスパンション中に使用され得るポリクローナルαβT細胞アクチベーターの他の例としては、限定されないが、マイトジェン、例えばPMA/イオノマイシン、超抗原、抗CD3抗体が挙げられる。好ましくは、抗CD3モノクローナル抗体はコーティングされる。一実施態様では、ポリクローナルαβT細胞アクチベーターは、上記フィーダー細胞の存在下で使用され得る。
【0172】
別の実施態様では、このようにして取得された単離されたMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞集団は、次いで、上記抗原特異的TCRαβ細胞アクチベーターの存在下でこれらの細胞を培養することによって、ex vivoでエクスパンションされる。一実施態様では、抗原特異的TCRαβ細胞アクチベーターは、上記フィーダー細胞の存在下で使用され得る。
【0173】
一実施態様では、本発明のex vivo生成MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞をエクスパンションするための培養は、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間実施される。本発明の範囲内では、「少なくとも5日間」という表現は、限定されないが、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間以上を含む。
【0174】
一実施態様では、培養培地の一部は、生成培養の経過中に1回、2回、3回、4回又は5回廃棄され、同じ容量の新鮮培養培地と交換される。本発明の範囲内では、「一部」という用語は、培養培地の容量の少なくとも20%(v/v)、少なくとも25%(v/v)、少なくとも30%(v/v)、少なくとも35%(v/v)、少なくとも40%(v/v)、少なくとも45%(v/v)、少なくとも50%(v/v)、少なくとも55%(v/v)、少なくとも60%(v/v)、少なくとも65%(v/v)、少なくとも70%(v/v)、少なくとも75%(v/v)を意味することを意図する。特定の実施態様では、第1の工程の培養培地の容量の40%(v/v)〜60%(v/v)が廃棄される。特定の実施態様では、廃棄される容量は、同一容量の新鮮培養培地と交換される。本発明の範囲内では、「新鮮培養培地」という表現は、いかなるCD3+T細胞とも接触されていない培養培地を指す。
【0175】
一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、IMDM−5中、自己ΔCD3フィーダー細胞(細胞 125 10
5個/ml)及びコーティング抗CD3抗体(2μg/ml)の存在下で、PGE2(1μM)、TGFβ(5ng/ml)、ラパマイシン(10nM)及びIL−2(100UI/ml)の存在下で、陰性選択によってPBMCから取得されたCD3
+TCRαβ
+CD45RA
+、好ましくはCD3
+TCRαβ
+CD45RA
+CD25
−T細胞(細胞 5.10
3個/ml)を培養することによってex vivoで生成される。1日目に、IL−2(100UI/ml)及びIL−15(10ng/ml)を培養物に追加する。3日ごとに、培地容量の半分を廃棄し、PGE2(50nM)、TGFβ(5ng/ml)、ラパマイシン(1nM)、IL−2(100UI/ml)及びIL−15(10ng/ml)を含む新鮮培地と交換する。細胞がエクスパンションし始めたら、それらを2日又は3日ごとに分割し、PGE2(1μM)、TGFβ(5ng/ml)、ラパマイシン(10nM)及びIL−2(100UI/ml)を含む培地中、△CD3フィーダー細胞及びコーティング抗CD3抗体の存在下で9日ごとに培養し得る。
【0176】
別の実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、IMDM−5中、少なくとも1つの自己ペプチド抗原で約24時間パルスされた寛容原性DCの存在下で、並びにΔCD3フィーダー細胞(細胞 125 10
5個/ml)、PGE2(1μM)、TGFβ(5ng/ml)、ラパマイシン(10nM)及びIL−2(100UI/ml)の存在下で、陰性選択によってPBMCから取得されたCD3
+TCRαβ
+CD45RA
+、好ましくはCD3
+TCRαβ
+CD45RA
+CD25
−T細胞(細胞 5.10
3個/ml)を培養することによってex vivoで生成される。1日目に、IL−2(100UI/ml)、IL−15(10ng/ml)及びTGFβ(5ng/ml)を培養物に追加する。3日ごとに、培地容量の半分を廃棄し、PGE2(50nM)、TGFβ(5ng/ml)、ラパマイシン(1nM)、IL−2(100UI/ml)及びIL−15(10ng/ml)を含む新鮮培地と交換する。細胞がエクスパンションし始めたら、それらを2日又は3日ごとに分割し、ΔCD3フィーダー細胞並びにPGE2(1μM)、TGFβ(5ng/ml)、ラパマイシン(10nM)及びIL−2(100UI/ml)の存在下で9日ごとに寛容原性DCで再刺激し得る。
【0177】
この実施態様では、寛容原性DCは、GMCSF(100ng/ml)及びIL−4(10ng/ml)が補充されたAIMVの存在下で、PBMCから単離されたCD14
+単球を培養することによって取得された。3日目及び6日目に、培地を廃棄し、GM−CSF及びIL−4を含む新鮮培地と交換する。6日目に、自己ペプチド抗原の存在下で、寛容原性DCを24時間パルスする。
【0178】
本発明はまた、上記ex vivo生成方法によって取得可能なMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞に関する。
【0179】
本発明はまた、上記ex vivo生成及びエクスパンション方法によって取得可能なMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞に関する。
【0180】
一実施態様では、本発明の生成及びエクスパンション方法によって取得されたMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞の集団は、細胞 少なくとも10
6個、10
7個、10
8個、10
9個、10
10個を含む。
【0181】
一実施態様では、本発明の生成及びエクスパンション方法によって取得されたMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞の集団は、以下の表現型:CD3
+TCRαβ
+Foxp3
+を有する。
【0182】
一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞の前記集団は、以下の表現型:CD4
+Foxp3
+CD25
+を有する。
【0183】
一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞の前記集団は、以下の表現型:CD4
+Foxp3
+CTLA4
+を有する。
【0184】
一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞の前記集団は、以下の表現型:CD4
+Foxp3
+CD45RO
+を有する。
【0185】
一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞の前記集団は、以下の表現型:CD4
+Foxp3
+CD25
+CTLA4
+を有する。
【0186】
一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞の前記集団は、以下の表現型:CD4
+Foxp3
+CD25
+CD45RO
+を有する。
【0187】
一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞の前記集団は、以下の表現型:CD4
+Foxp3
+CTLA4
+CD45RO
+を有する。
【0188】
一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞の前記集団は、以下の表現型:CD4
+Foxp3
+CD25
+CTLA4
+CD45RO
+CD127
−を有する。
【0189】
一実施態様では、本発明のMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、遺伝子Foxp3の制御性T細胞特異的脱メチル化領域(TSDR)を示さない。一実施態様では、本発明のMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、遺伝子Foxp3の制御性T細胞特異的脱メチル化領域(TSDR)を示す。一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、少なくとも30%、40%、50%を超えるパーセンテージの遺伝子FOXP3のTSDRの脱メチル化を示す。プロモーター脱メチル化のパーセンテージを測定するためのプロトコールは、実施例の材料及び方法のパートに示されている。
【0190】
別の実施態様では、本発明のMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、少なくとも10%、20%、30%、40%又は50%を超えるパーセンテージのFoxp3プロモーター領域中のアセチル化ヒストンの濃縮を示す。アセチル化ヒストンの濃縮をパーセンテージで測定するためのプロトコールは、実施例の材料及び方法のパートに示されている。
【0191】
本発明のMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞の集団の表現型特徴の例は、
図1に示されている。
【0192】
一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞の前記集団は、ナイーブ制御性T細胞において測定されたFoxp3 MFIと少なくとも同等の平均蛍光強度(MFI)で、Foxp3を発現する。本明細書で使用される場合、「ナイーブ制御性T細胞」は、表現型Foxp3
+CD45RA
+CD4
+CD25
+CD127
−を有するT細胞を指す。
【0193】
一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、少なくとも2000の平均蛍光強度(MFI)で、Foxp3を発現する。
【0194】
一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、ナイーブ制御性T細胞において測定されたFoxp3 MFIの少なくとも2倍又は3倍の平均蛍光強度(MFI)で、Foxp3を発現する。
【0195】
一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、少なくとも2000、3000、4000、5000、10000、20000、30000、40000、50000、60000、70000の平均蛍光強度(MFI)で、Foxp3を発現する。
【0196】
一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞集団は、Foxp3を発現する少なくとも65%のCD3
+CD4
+細胞を含む。「少なくとも65%」という表現は、限定されないが、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、752%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、82%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%及び100%を含む。
【0197】
あるいは、本明細書で使用される場合、「発現」という用語は、分子の転写(すなわち、mRNAの発現)又は分子の翻訳(すなわち、タンパク質の発現)を指し得る。一実施態様では、発現の検出は、細胞内検出に対応し得る。別の実施態様では、発現の検出は、表面検出(すなわち、細胞表面で発現される分子の検出)に対応し得る。別の実施態様では、発現の検出は、細胞外検出(すなわち、分泌の検出)に対応し得る。別の実施態様では、発現の検出は、細胞内検出、表面検出及び/又は細胞外検出に対応し得る。発現レベルを決定するための方法は当業者に周知であり、限定されないが、細胞のトランスクリプトーム(発現が分子の転写に関連する実施態様の場合)又はプロテオーム(発現が細胞傷害性分子の翻訳に関連する実施態様の場合)の決定が挙げられる。
【0198】
本発明の一実施態様では、分子の発現は、mRNAレベルで評価される。分子の転写レベルを評価するための方法は、先行技術で周知である。このような方法の例としては、限定されないが、RT−PCR、RT−qPCR、ノーザンブロット、ハイブリダイゼーション技術、例えばマイクロアレイの使用など、及びそれらの組み合わせ、例えば限定されないが、RT−PCRによって取得されたアンプリコンのハイブリダイゼーション、シーケンシング、例えば次世代DNAシーケンシング(NGS)又はRNA−seq(「ホールトランスクリプトームショットガンシーケンシング」としても公知)などが挙げられる。本発明の別の実施態様では、分子の発現は、タンパク質レベルで評価される。サンプル中のタンパク質レベルを決定するための方法は、当技術分野で周知である。このような方法の例としては、限定されないが、免疫組織化学、マルチプレックス法(Luminex)、ウエスタンブロット、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、サンドイッチELISA、蛍光結合免疫吸着測定法(FLISA)、酵素免疫測定法(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、フローサイトメトリー(FACS)などが挙げられる。
【0199】
別の実施態様では、少なくとも1つの分子の発現レベルの決定は、分子に対するリガンドの結合を検出及び/又は定量することに対応する。一実施態様では、前記リガンドは、前記分子に特異的な抗体であり、本発明の方法は、前記抗体と前記分子との間に形成された複合体を検出及び/又は定量することを含む。リガンドが、例えば限定されないが、検出可能な分子、例えば抗体定常フラグメント(Fc)又は蛍光化合物(例えば、シアニン色素、Alexa色素、量子色素など)と共有結合的にカップリングされている場合、複合体が検出され得る。リガンドが、当業者に周知の異なる手段でタグ付けされている場合にも、複合体が検出され得る。例えば、限定されないが、本発明で使用されるタグは、ヘマグルチニンタグ、ポリアルギニンタグ、ポリヒスチジンタグ、Mycタグ、Strepタグ、Sタグ、HATタグ、3×Flagタグ、カルモジュリン結合ペプチドタグ、SBPタグ、キチン結合ドメインタグ、GSTタグ、マルトース結合タンパク質タグ、蛍光タンパク質タグ、T7タグ、V5タグ及びXpressタグを含むか又はそれらからなる群より選択されるタグであり得る。したがって、リガンドの使用は、一方では、使用されるリガンドに応じて分子の同定及び検出を可能にし、他方では、形成される複合体の定量を可能にする。
【0200】
一実施態様では、分子の発現レベルの決定は、フローサイトメトリー、免疫蛍光又は画像分析、例えばハイコンテント分析によって行われる。好ましくは、分子の発現レベルの決定は,フローサイトメトリーによって行われる。一実施態様では、フローサイトメトリー分析を行う前に、細胞を固定及び透過処理し、それにより、細胞内タンパク質の検出を可能にする。
【0201】
一実施態様では、細胞集団中の分子の発現レベルの決定は、分子を発現する細胞集団の細胞(すなわち、分子について「+」の細胞)のパーセンテージを決定することを含む。好ましくは、分子を発現する細胞の前記パーセンテージは、FACSによって測定される。
【0202】
「発現する(又は+)」及び「発現しない(又は−)」という用語は当技術分野で周知であり、目的の細胞マーカーの発現レベルを指し、「+」に対応する細胞マーカーの発現レベルは高度又は中程度であり、「+/−」とも称される。「−」に対応する細胞マーカーは、ヌル発現レベルの細胞マーカーであるか、又は前記細胞マーカーを発現する10%未満の細胞集団も指す。
【0203】
目的の細胞マーカーの発現レベルは、このマーカーに特異的な蛍光標識抗体で染色された細胞集団由来の細胞の平均蛍光強度(MFI)と、無関係な特異性を有する蛍光標識抗体であって、しかし同じアイソタイプ、同じ蛍光プローブを有し、同じ種に由来する蛍光標識抗体(アイソタイプコントロールと称される)で染色された同じ細胞集団由来の細胞の蛍光強度(FI)とを比較することによって決定される。このマーカーに特異的な蛍光標識抗体で染色された集団由来の細胞であって、アイソタイプコントロールで染色された細胞と同等のMFI又はそれよりも低いMFIを示す細胞は、このマーカーを発現しないので、(−)又は陰性と表記される。このマーカーに特異的な蛍光標識抗体で染色された集団由来の細胞であって、アイソタイプコントロールで染色された細胞よりも高いMFI値を示す細胞は、このマーカーを発現するので、(+)又は陽性と表記される。
【0204】
一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、ナイーブCD4
+CD25
+CD45RA
+CD127
−制御性T細胞の抑制活性と同様の抑制活性が可能である。細胞集団の抑制活性の決定は当技術分野で周知であり、従来のアッセイ、例えば標準的なポリクローナル細胞間接触Treg抑制アッセイ、又は実施例に記載されている自己MLR抑制アッセイによって実施され得る。
【0205】
本発明の別の目的は、炎症条件に置かれた場合に依然として安定であるMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞の集団である。
【0206】
一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞の前記集団は、炎症条件に置かれた場合に依然として安定である。
【0207】
本明細書で使用される場合、「安定」は、IL−17の分泌がないか又はIL−17の分泌が少なく(すなわち、200ng/ml、100ng/ml、50ng/mlよりも低い)、依然として抑制活性(すなわち、実施例に示されているように、通常T細胞の増殖の阻害)が可能であることを指す。
【0208】
本明細書で使用される場合、「炎症条件」は、芳香族酸、好ましくはトリプトファンが豊富な培地、例えば、炎症性サイトカイン、例えばIL−1β(10ng/ml)、IL−6(30ng/ml)、IL−21(50ng/ml)、IL−23(30ng/ml)、IL−2(100UI/ml)などを含むIMDMなどを指す。制御性T細胞の集団が炎症条件で依然として安定であるかを決定するための方法は、好ましくはコーティングされた抗CD3(4μg/ml)及び好ましくは可溶性形態の抗CD28(4μg/ml)の存在下、上記炎症条件培地中で、制御性T細胞を培養することを含む。36時間〜72時間の培養後、培養上清中のIL−17の存在を測定する。培養上清中のIL−17の認識は、当技術分野で公知の従来の方法、例えばサンドイッチELISA抗IL−17などによって行われ得る。簡潔に言えば、捕捉抗IL−17抗体でプレートをコーティングした後、培養上清を希釈系列で各ウェルに追加する。インキュベーション後、検出抗IL−17抗体を各ウェルに追加する。ELISAは、当技術分野で公知の任意の比色手段によって、例えば、ビオチンで標識された検出抗体、ポリストレプトアビジンHRP増幅システム及びo−フェニレンジアミン二塩酸塩基質溶液を使用して発色される。200ng/ml、100ng/ml、50ng/mlよりも低いIL−17レベルは、IL−17の分泌がないか又はIL−17の分泌が少ないことに対応する。
【0209】
理論に縛られるものではないが、本発明者らは、悪性腫瘍細胞の間質が、制御性T細胞が非常に豊富なTIL(腫瘍浸潤リンパ球)であって、特にNK細胞に対して免疫抑制活性を発揮するTILを含み、おそらくはこれが、局所ガン免疫回避の原因であると主張する。不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、TIL中に存在するMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞に対する免疫応答を誘導し、それにより、それらの免疫抑制活性を防止し、腫瘍細胞に対するエフェクター細胞、例えばNK細胞の細胞傷害活性を可能にするための抗原性ターゲットに相当し得る。したがって、本発明者らは、有効成分として不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞を含むワクチン組成物を使用することを提案する。
【0210】
本発明の1つの目的は、上記不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる免疫原性産物である。
【0211】
一実施態様では、免疫原性産物は、以下の表現型CD3
+CD4
+Foxp3
+を有する上記不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0212】
本明細書で使用される場合、免疫原性産物、医薬組成物、ワクチン又は医薬に関して「から本質的になる」という用語は、少なくとも1つの本発明のMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞集団又は抗体が、前記疫原性産物、医薬組成物、ワクチン又は医薬内で生物学的活性を有する唯一の治療剤又は薬剤であることを意味する。
【0213】
一実施態様では、免疫原性産物は、上記方法によってex vivoで生成及び場合によりエクスパンションされた不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞であって、以下の表現型CD3
+CD4
+Foxp3
+を有する制御性T細胞を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0214】
本発明の別の目的は、上記免疫原性産物と、少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる医薬組成物である。
【0215】
本発明の別の目的は、以下の表現型CD3
+CD4
+Foxp3
+を有する不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞と、少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる医薬組成物である。
【0216】
本発明の別の目的は、上記方法によってex vivoで生成及びエクスパンションされた不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞であって、以下の表現型CD3
+CD4
+Foxp3
+を有する制御性T細胞と、少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる医薬組成物である。
【0217】
本明細書で使用される場合、「賦形剤」という用語は、任意の及び全ての従来の溶媒、分散媒、充填剤、固体担体、水溶液、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを指す。ヒトへの投与では、調製物は、規制当局、例えばFDA Office又はEMAが要求する滅菌性、発熱性、一般的な安全性及び純度の基準を満たすべきである。
【0218】
「薬学的に許容し得る」は、医薬組成物の成分が互いに適合性であり、それが投与される被験体にとって有害ではないことを意味する。薬学的に許容し得る賦形剤の例としては、限定されないが、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0219】
本発明の別の目的は、上記免疫原性産物を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなるワクチン組成物である。
【0220】
本発明の別の目的は、以下の表現型CD3
+CD4
+Foxp3
+を有する不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなるワクチン組成物である。
【0221】
本発明の別の目的は、上記方法によってex vivoで生成及びエクスパンションされた不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞であって、以下の表現型CD3
+CD4
+Foxp3
+を有する制御性T細胞を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなるワクチン組成物である。
【0222】
本明細書で使用される場合、「不活性化」T細胞は、生存可能であるが低下したエフェクター機能を有するか又はエフェクター機能を有しない(すなわち、いかなる病原性能力も喪失している)T細胞を指す。不活性化T細胞の細胞表面マーカーの例としては、限定されないが、7−アミノアクチノマイシンD(7−AAD)、カルレティキュリン及び熱ショックタンパク質90(HSP−90)が挙げられる。したがって、不活性化T細胞は、7−AAD及び/又はカルレティキュリン及び/又はHSP−90を発現する。本発明の不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、それらの抑制活性を喪失しているが、依然として免疫原性である。T細胞エフェクター機能アッセイの例としては、限定されないが、T細胞増殖アッセイが挙げられる。T細胞増殖は、固定T細胞と非固定T細胞とを対比して評価され得る。簡潔に言えば、T細胞増殖アッセイは、固定T細胞と非固定T細胞とを対比して、フローサイトメトリーによって、生きている増殖細胞のパーセンテージを決定することを目的とする。CFSE、抗CD3抗体及び7−AADでT細胞を染色した後、生きている増殖細胞は、ゲーティングCD3
+7−AAD
−細胞におけるCFSE
low画分として定義される。
【0223】
一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、当技術分野で周知の任意の方法によって不活性化される。細胞を不活性化するための方法の例としては、限定されないが、好ましくは約2500〜3000radによる照射、及び/又は化学的不活性化、例えばシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、マイトマイシンC若しくはアントラサイクリンへの曝露が挙げられる。
【0224】
一実施態様では、本発明のワクチン組成物は、少なくとも1つのアジュバントをさらに含む。ワクチン組成物において使用され得るアジュバントの例としては、限定されないが、ISA51;エマルジョン、例えばCFA、MF59、モンタニド、AS03及びAF03;ミネラル塩、例えばミョウバン、リン酸カルシウム、鉄塩、ジルコニウム塩及びAS04;TLRリガンド、例えばTLR2リガンド(例えば、外表面プロテインA又はOspA)、TLR3リガンド(例えば、ポリI:C)、TLR4リガンド(例えば、MPL及びGLA)、TLR5リガンド、TLR7/8リガンド(例えば、イミキモド)、TLR9リガンド(例えば、CpG ODN);多糖、例えばキチン、キトサン、α−グルカン、β−グルカン、フルクタン、マンナン、デキストラン、レンチナン、イヌリン系アジュバント(例えば、ガンマイヌリン);TLR9及びSTINGリガンド、例えばK3 CpG及びcGAMPが挙げられる。本明細書で使用される場合、「アジュバント」は、抗原に対する免疫応答を増強し、及び/又はそれを所望の免疫応答にモデュレーションする薬剤を指す。
【0225】
一実施態様では、不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、少なくとも1つの上記自己ペプチド抗原に特異的である。
【0226】
別の実施態様では、不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、ガン細胞のアポトーシス小体上に存在していた少なくとも1つの自己ペプチド抗原に特異的である。
【0227】
一実施態様では、本発明の免疫原性産物、医薬組成物又はワクチン組成物中に存在する不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、ヒトMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞である。
【0228】
一実施態様では、本発明の免疫原性産物、医薬組成物又はワクチン組成物中に存在する不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、自己MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞である。
【0229】
一実施態様では、本発明の免疫原性産物、医薬組成物又はワクチン組成物中に存在する不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、同種MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞である。
【0230】
別の実施態様では、本発明の免疫原性産物、医薬組成物又はワクチン組成物は、患者にパーソナライゼーションされ得る。本明細書で使用される場合、「パーソナライゼーションされた」免疫原性産物又はワクチン組成物は、少なくとも1つの患者特異的エピトープを用いてex vivoで生成及びエクスパンションされたMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞の使用を指す。この実施態様では、免疫原性産物として又はワクチン組成物中で使用すべきMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、患者から取得されたガン細胞のアポトーシス小体の存在下で、ex vivoで生成及びエクスパンションされ、それにより、少なくとも1つの患者特異的エピトープを提供する。
【0231】
一実施態様では、本発明の免疫原性産物、医薬組成物又はワクチン組成物は、有効成分として不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0232】
一実施態様では、本発明の免疫原性産物、医薬組成物又はワクチン組成物は、有効成分として不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞を少なくとも10
4個、10
5個、10
6個、10
7個、10
8個、10
9個、10
10個含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0233】
一実施態様では、本発明の免疫原性産物、医薬組成物又はワクチン組成物は、有効成分として不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞を約10
4個、5×10
4個、10
5個、5×10
5個、10
6個、5×10
6個、10
7個、5×10
7個、10
8個、5×10
8個、10
9個、5×10
9個、10
10個含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0234】
一実施態様では、本発明のMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞、不活性化MHCII制限性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞、免疫原性産物、医薬組成物又はワクチン組成物は、凍結される。
【0235】
一実施態様では、本発明の免疫原性産物、医薬組成物又はワクチン組成物は、皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注射若しくは静脈内注射によって被験体に投与され得るか、又は腫瘍に直接投与され得る。
【0236】
一実施態様では、本発明の免疫原性産物、医薬組成物又はワクチン組成物は、被験体に少なくとも年1回、2回、3回、4回、5回投与され得る。投与計画の例としては、限定されないが、0日目、0日目の4週間後、0日目の8週間後、0日目の12週間後及び0日目の24週間後における免疫原性産物又はワクチン組成物の投与が挙げられる。
【0237】
本発明の別の目的は、それを必要とする被験体におけるガンを処置するための方法であって、治療有効量の上記本発明の不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞又は免疫原性産物、医薬組成物若しくはワクチン組成物を該被験体に投与することを含む方法である。
【0238】
本発明の別の目的は、ガンに罹患している被験体のTIL中に存在するMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞に対する免疫応答を誘発するための方法であって、治療有効量の上記本発明の不活性化MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞又は免疫原性産物、医薬組成物若しくはワクチン組成物を該被験体に投与することを含む方法である。
【0239】
本発明の免疫原性産物、医薬組成物又はワクチン組成物で処置され得るガンの例としては、限定されないが、副腎皮質ガン腫、肛門ガン、膀胱ガン、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉腫瘍、松果体腫瘍、視床下部神経膠腫、乳ガン、カルチノイド腫瘍、ガン腫、子宮頸ガン、結腸ガン、子宮内膜ガン、食道ガン、肝外胆管ガン、ユーイング腫瘍(pnet)、頭蓋外胚細胞腫瘍、眼ガン、眼内黒色腫、胆嚢ガン、胃ガン、胚細胞腫瘍、性腺外妊娠性絨毛腫瘍、頭頸部ガン、下咽頭ガン、膵島細胞ガン腫、喉頭ガン、白血病、急性リンパ芽球性白血病、口腔ガン、肝臓ガン、肺ガン、小細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、中枢神経系(原発性)リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキン病、非ホジキン病、悪性中皮腫、黒色腫、メルケル細胞ガン腫、転移性扁平上皮ガン、多発性骨髄腫、形質細胞新生物、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性障害、上咽頭ガン、神経芽細胞腫、中咽頭ガン、骨肉腫、卵巣上皮ガン、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓ガン、外分泌膵臓ガン、副鼻腔ガン及び鼻腔ガン、副甲状腺ガン、褐色細胞腫ガン、下垂体ガン、形質細胞新生物、横紋筋肉腫、直腸ガン、腎細胞ガン、唾液腺ガン、セザリー症候群、カポジ肉腫、小腸ガン、軟部組織肉腫、胸腺腫、悪性甲状腺ガン、尿道ガン、子宮ガン、肉腫、異常な小児ガン、膣ガン、外陰ガン又はウィルムス腫瘍、化学療法治療に関連する良性症状、例えばループス、関節リウマチ及び皮膚疾患が挙げられる。
【0240】
一実施態様では、本発明の免疫原性産物、医薬組成物又はワクチン組成物で処置され得るガンとしては、限定されないが、乳ガン、前立腺ガン、卵巣ガン及び神経膠芽腫が挙げられる。
【0241】
本発明の別の目的は、本発明の免疫原性産物を調製するための方法であって、
−処置すべき被験体由来の生物学的サンプル、好ましくは血液サンプルと、場合により、処置すべき被験体由来の腫瘍サンプルとを提供すること、
−該生物学的サンプルから単離されたCD3
+CD4
+CD25
−T細胞、好ましくはCD3
+CD4
+CD25
−CD45RA
+T細胞から、上記のようにMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞をex vivoで生成及びエクスパンションすること、
−前工程で取得されたMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞を不活性化すること、
−それにより、本発明の免疫原性産物を取得すること
を含む方法である。
【0242】
好ましい実施態様では、生成及びエクスパンション工程は、寛容原性樹状細胞(DC)の存在下で行われ、被験体の腫瘍サンプルから取得されたアポトーシス腫瘍小体でパルスされる。
【0243】
本発明の別の目的は、それを必要とする被験体におけるガンを処置するための方法であって、本発明の免疫原性産物、医薬組成物又はワクチン組成物を該被験体に投与することを含む方法である。
【0244】
本発明の別の目的は、それを必要とする被験体におけるガンを処置するための方法であって、
−上記免疫原性産物を調製すること、
−場合により、該免疫原性産物を含む医薬組成物又はワクチン組成物を調製すること、
−場合により、該被験体をプラスマフェレーシスに供すること、
−本発明の免疫原性産物、医薬組成物又はワクチン組成物を該被験体に投与すること
を含む方法である。
【0245】
理論に縛られるものではないが、本発明者らは、免疫抑制機能を発揮するようにコミットされた本発明のMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞が、CD4
+、CD8
+、B細胞又は自然NK細胞を含む自己反応性病原性免疫エフェクター細胞を阻害することができ、そしてこれらは、自己細胞に対してそれらの細胞傷害特性をもはや発揮することができないものであり得ると提案する。
【0246】
本発明の1つの目的は、上記MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞又はMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞集団と、少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる医薬組成物である。
【0247】
本発明の別の目的は、以下の表現型CD3
+CD4
+Foxp3
+を有するMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞と、少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる医薬組成物である。
【0248】
本発明の別の目的は、上記方法によってex vivoで生成及びエクスパンションされたMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞であって、以下の表現型CD3
+CD4
+Foxp3
+を有する制御性T細胞と、少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる医薬組成物である。
【0249】
本発明の1つの目的は、養子療法において使用するための、上記MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞若しくはMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞集団又は医薬組成物である。
【0250】
本発明の別の目的は、炎症性疾患又は自己免疫疾患の処置において使用するための、上記MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞若しくはMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞集団又は医薬組成物である。
【0251】
炎症性疾患又は自己免疫疾患の例としては、限定されないが、急性播種性脳脊髄炎、急性壊死性出血性白質脳炎、アジソン病、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、抗GBM/抗TBM腎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性血管浮腫、自己免疫性再生不良性貧血、自己免疫性自律神経障害、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性高脂血症、自己免疫性免疫不全、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性膵炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性血小板減少性紫斑病、自己免疫性甲状腺疾患、自己免疫性蕁麻疹、軸索及び神経の神経障害、バロ病、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、キャッスルマン病、セリアック病、シャーガス病、慢性疲労症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、慢性再発性多巣性骨髄炎、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡/良性粘膜類天疱瘡、クローン病、コーガン症候群、寒冷凝集素症先天性心臓ブロック、コクサッキー心筋炎、CREST病、本態性混合型クリオグロブリン血症、脱髄性神経障害、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デビック病、円板状ループス、ドレスラー症候群、子宮内膜症、好酸球性食道炎、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、実験的アレルギー性脳脊髄炎、エバンス症候群、線維筋痛症、線維化性肺胞炎、巨大細胞性動脈炎、巨細胞性心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、多発性血管炎を伴う肉芽腫症(ウェゲナー症候群)、グレーヴス病、ギラン・バレー症候群、橋本脳炎、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、妊娠性疱疹、低ガンマグロブリン血症、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、IgG4関連硬化性疾患、免疫調節性リポタンパク質、封入体筋炎、間質性膀胱炎、若年性関節炎、若年糖尿病(1型糖尿病)、若年性筋炎、川崎症候群、ランバート・イートン症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質性結膜炎、線形IgA病、ループス、ライム慢性病、メニエール病、顕微鏡的多発性血管炎、混合性結合組織病、ムーレン潰瘍、ムッハ・ハーベルマン病、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、視神経脊髄炎、好中球減少症、眼瘢痕性類天疱瘡、視神経炎、回帰性リウマチ、連鎖球菌に関連する小児自己免疫性神経精神障害、傍腫瘍性小脳変性症、発作性夜間ヘモグロビン尿症、パリー・ロンバーグ症候群、パーソネージ・ターナー症候群、扁平部炎(末梢ブドウ膜炎)、天疱瘡、末梢神経障害、静脈周囲脳脊髄炎、悪性貧血、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、タイプI、II及びIII自己免疫性多腺症候群、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切除後症候群、プロゲステロン性皮膚炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、乾癬、乾癬性関節炎、壊疽性膿皮症、赤芽球癆、レイノー現象、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィー、ライター症候群、再発性多発性軟骨炎、下肢静止不能症候群、後腹膜線維症、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、シュミット症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、精子及び精巣自己免疫、全身硬直症候群、亜急性細菌性心内膜炎、スサック症候群、交感性眼炎、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、血小板減少性紫斑病、トローザ・ハント症候群、横断性脊髄炎、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、未分化結合組織病、ブドウ膜炎、血管炎、小水疱水疱性皮膚病並びに白斑が挙げられる。
【0252】
炎症性疾患又は自己免疫疾患の例としては、限定されないが、関節リウマチ、1型糖尿病及び多発性硬化症が挙げられる。
【0253】
本発明の別の目的は、移植拒絶、移植片対宿主病(GVHD)の予防において使用するための、上記MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞若しくはMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞集団又は医薬組成物である。
【0254】
一実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、少なくとも1つの上記自己ペプチド抗原に特異的である。
【0255】
別の実施態様では、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、組織溶解物中に存在していた少なくとも1つの自己ペプチド抗原に特異的である。
【0256】
一実施態様では、本発明の医薬組成物は、有効成分としてMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞を少なくとも10
4個、10
5個、10
6個、10
7個、10
8個、10
9個、10
10個含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0257】
一実施態様では、本発明の医薬組成物は、有効成分としてMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞を約10
4個、5×10
4個、10
5個、5×10
5個、10
6個、5×10
6個、10
7個、5×10
7個、10
8個、5×10
8個、10
9個、5×10
9個、10
10個含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0258】
一実施態様では、本発明のMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞集団又は医薬は、凍結される。
【0259】
一実施態様では、本発明の医薬組成物中に存在するMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、ヒトMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞である。
【0260】
一実施態様では、本発明の医薬組成物中に存在するMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、自己MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞である。
【0261】
一実施態様では、本発明の医薬組成物中に存在するMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞は、同種MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞である。
【0262】
一実施態様では、本発明の医薬組成物は、皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注射又は静脈内注射によって被験体に投与され得る。
【0263】
一実施態様では、本発明の医薬組成物は、被験体に少なくとも週1回、2回、3回、4回、5回投与され得る。
【0264】
別の実施態様では、本発明の医薬組成物は、被験体に少なくとも月1回、2回、3回、4回、5回投与され得る。
【0265】
別の実施態様では、本発明の医薬組成物は、被験体に少なくとも3カ月に1回、2回、3回、4回、5回投与され得る。
【0266】
本発明の別の目的は、それを必要とする被験体における炎症性疾患又は自己免疫疾患を処置するための方法であって、治療有効量の上記MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞若しくはMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞集団又は医薬組成物を該被験体に投与することを含む方法である。
【0267】
T細胞ワクチン接種は、クローン型特異的決定基に特異的なT細胞を活性化することによって、免疫原性T細胞を特異的に抑制する制御ネットワークを誘導することが当技術分野で示されている(抗イディオタイプ応答)。加えて、(エルゴトープに対応する)活性化マーカーに対する抗エルゴタイプ応答もまた、ターゲティングされる制御性T細胞集団の抑制を部分的に占め得る。
【0268】
本発明の別の目的は、本発明のMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞のTCR(T細胞レセプター)を認識する抗体である。
【0269】
一実施態様では、本発明のMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞のTCRを認識する抗体は、TCRのCDR1、CDR2及びCDR3(相補性決定領域1、2及び3)の少なくとも1つを認識する。
【0270】
別の実施態様では、本発明のMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞のTCRを認識する抗体は、TCRのCDR3を認識する。
【0271】
本発明の別の目的は、前記抗体と、少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる医薬組成物である。
【0272】
本発明の別の目的は、それを必要とする被験体におけるガンを処置するための前記抗体の使用である。
【0273】
一実施態様では、本発明のMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞に対する抗体は、上記免疫原性組成物を用いた哺乳動物(ヒトを含む)の免疫化後に産生される抗体からなる。
【0274】
別の実施態様では、抗体はまた、例えば前記哺乳動物(前記ヒトを含む)から取得されたB細胞から出発して、それらをコードする関連DNA材料をクローニングすることによって取得され得る。
【0275】
別の実施態様では、本発明のMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞に対する関連リコンビナント抗体を生産するために、抗体はまた、前記哺乳動物(前記ヒトを含む)から収集された抗体のアミノ酸配列を配列決定し、次いで、抗体又はそのCDRを含むその一部をコードするDNA分子を合成することによって取得され得る。
【0276】
本発明の免疫原性組成物を用いた免疫化による本発明のMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞に対する抗体の調製は、技術水準の一般的な技術知識を使用して、当業者によって容易に実施され得る。
【0277】
あるいは、本発明のMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞に対する抗体は、それらを産生するヒトBリンパ球の不死化後に取得され得る;また、それらのcDNAはクローニングされて、リコンビナントDAN技術によってそれら又はそれらの誘導体を生産するためにさらに使用され得る。
【0278】
本明細書における「抗体」という用語は、有用な抗原結合特異性を有する分子を指すために使用される。当業者であれば、この用語はまた、同じ又は極めて類似する機能性を依然として示し得る抗体のフラグメント又は誘導体であるポリペプチドをカバーし得ることを容易に認識するであろう。このような抗体フラグメント又は誘導体は、本明細書で使用される抗体という用語によって包含されることを意図する。受動免疫療法の目的のための「抗体」又は「抗体分子」は、本明細書では、全免疫グロブリン分子だけではなく、MHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞に結合してそれを不活性化する能力を保持するそのフラグメント、例えばFab、F(ab’)2、Fv及び他のフラグメントも意図する。同様に、抗体という用語は、抗体の遺伝子改変誘導体、例えば一本鎖Fv分子(scFv)及びドメイン抗体(dAb)を含む。
【0279】
いくつかの実施態様では、本発明のMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞に対する抗体は、ポリクローナル抗体からなる。
【0280】
いくつかの実施態様では、本発明のMHCII拘束性CD4
+Foxp3
+制御性T細胞に対する抗体は、モノクローナル抗体からなる。
【0281】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書では、任意の単離されたAb、例えば従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマを包含するが、任意の細胞によって産生される単離された単一特異性抗体、例えば哺乳動物細胞株において発現される同一のヒト免疫グロブリンのサンプルなども包含するために使用される。
【0282】
抗体の可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)ドメインは抗原認識に関与するが、これは、初期プロテアーゼ消化実験によって最初に認識された事実である。さらなる確認は、齧歯類抗体の「ヒト化」によって見出された。得られる抗体が齧歯類親抗体の抗原特異性を保持するように、齧歯類起源の可変ドメインをヒト起源の定常ドメインに融合し得る(Morrison et al. (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81, 6851-6855)。抗原特異性が可変ドメインによって付与され、定常ドメインと無関係であることは、全てが1つ以上の可変ドメインを含有する抗体フラグメントの細菌発現を伴う実験から公知である。これらの分子としては、Fab様分子(Better et al (1988) Science 240, 1041); Fv分子(Skerra et al (1988) Science 240, 1038); フレキシブルなオリゴペプチドを介してV.sub.H及びV.sub.Lパートナードメインが連結された一本鎖Fv(ScFv)分子(Bird et al (1988) Science 242, 423; Huston et al (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 5879)並びに単離されたVドメインを含む単一ドメイン抗体(dab)(Ward et al (1989) Nature 341, 544)が挙げられる。特異的結合部位を保持する抗体フラグメントの合成に関与する技術の一般的な総説は、Winter & Milstein (1991, Nature 349, 293-299)に見られる。
【0283】
「ScFv分子」という用語は、フレキシブルなオリゴペプチドを介してVH及びVLパートナードメインが連結された分子を包含する。改変抗体、例えばScFv抗体は、J. Huston et al, (1988) "Protein engineering of antibody binding sites: recovery of specific activity in an anti-digoxin single chain Fv analogue produced in E. coli", Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, pp. 5879-5883及びA. Pluckthun, (1991) "Antibody engineering; Advances from use of E. coli expression systems", Bio/technology 9 (6): 545-51(これらは、参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている技術及びアプローチを使用して作製され得る。
【0284】
本明細書に記載されるように反応性である適切なモノクローナル抗体は、公知の技術、例えば、"Monoclonal Antibodies; A manual of techniques", H Zola (CRC Press, 1988)及び"Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Application", S G R Hurrell (CRC Press, 1982)に開示されているものによって調製され得る。
【0285】
さらなる実施態様は、抗原と接触するマウス抗体の領域(相補性決定領域(CDR))がヒト抗体フレームワークに移植されたヒト化抗体を包含する。このような抗体はほぼ完全にヒトのものであり、患者に投与した場合、いかなる有害な抗体反応もほとんど引き起こさない。いくつかのキメラ抗体又はヒト化抗体が治療薬として登録されており、様々な適応症において現在広く使用されている(Borrebaeck & Carlsson, 2001, Curr. Opin. Pharmacol. 1: 404-408)。
【0286】
抗体がヒト化抗体であるならば好ましい。適切に調製された非ヒト抗体は、公知の方法で、例えば、マウス抗体のCDR領域をヒト抗体のフレームワークに挿入することによって「ヒト化」され得る。ヒト化抗体は、Verhoeyen et al (1988) Science, 239, 1534-1536及びKettleborough et al, (1991) Protein Engineering, 14 (7), 773-783に記載されている技術及びアプローチを使用して作製され得る。
【0287】
別の実施態様では、抗体はまた、リコンビナント技術を使用して生産され得る完全ヒト抗体を包含する。典型的には、数十億の異なる抗体を含む大きなライブラリーが使用される。例えばマウス抗体のキメラ化又はヒト化を用いる以前の技術とは対照的に、この技術は、特異的抗体を生成するために動物の免疫化に依拠しない。その代わり、リコンビナントライブラリーは、多数の予め作製された抗体変異体を含み、ライブラリーは、任意の抗原に特異的な少なくとも1つの抗体を有する可能性が高い。
【0288】
投与頻度は、経時的に患者の血清中の抗体価の低下を追跡することによって臨床的に決定され得るが、いずれにしても、年1〜52回、最も好ましくは年1〜12回の頻度であり得る。抗体の量は、疾患の重症度、又は血清中の抗体の半減期にしたがって変動し得るが、好ましくは、1〜10mg/患者kgの範囲内、好ましくは1〜5mg/患者kgの範囲内、最も好ましくは1〜2mg/患者kgの範囲内であろう。
【実施例】
【0290】
以下の実施例によって、本発明をさらに例証する。
【0291】
材料及び方法
ヒト血液サンプル.健常個体由来の血液サンプルは、Etablissement Francais du Sang (EFS, Paris)に由来するものであった。標準的な手順を使用して、血球細胞を収集する。
【0292】
ヒト腫瘍サンプル.腫瘍組織サンプルは、ルミナルA及びルミナルB乳ガンを有する患者に由来するものであった(Institut Jean Godinot, Reims)。
【0293】
細胞の精製及び培養
Ficoll-Hypaque (Pharmacia)による密度勾配遠心分離によって、末梢血単核細胞(PBMC)を単離する。PBMCを新鮮細胞として使用するか、又は液体窒素で凍結保存する。新鮮又は凍結PBMCのいずれかから、T細胞サブセット及びT細胞枯渇アクセサリー細胞(ΔCD3細胞)を単離する。抗CD3コーティングDynabeads (Dynal Biotech)とのインキュベーションによるPBMCからの陰性選択によって、T細胞枯渇アクセサリー細胞(ΔCD3細胞)を単離し、3000radで照射する(ΔCD3フィーダーと称される)。
【0294】
CD3ビーズ単離キット(Miltenyi Biotec)を用いてCD3
+T細胞を陽性選択する。続いて、抗CD3(SK7)−FITC(Becton Dickinson)、抗CD45RA
+(REA562)−FITC(Miltenyi Biotec)及び抗CD27(0323)−APC efluor780(ebioscience)で選択CD3
+T細胞を標識してから、CD3
+RA
+CD27
+T細胞に選別する。
【0295】
CD4
+T細胞単離キット(Miltenyi Biotecを用いてCD4
+T細胞を陰性選択して、純度 96〜99%でCD4
+T細胞集団を得る。続いて、抗CD4(13B8.2)−FITC(Beckman Coulter)、抗CD25(4E3)−APC(Miltenyi Biotec)及び抗CD127(R34.34)−PE(Beckman Coulter)で選択CD4
+T細胞を標識してから、FACSAria III Cell Sorter (Becton Dickinson)を使用して、CD4
+CD127
−/loCD25
high(pTreg)及びCD4
+CD127
+CD25
neg/dim[通常ヘルパーCD4 T細胞(Tconv)]サブ集団に選別する。
【0296】
MACSシステムを使用して陽性選択によって、PBMCからCD14
+単球を単離する。
【0297】
磁気濃縮(MACSシステム:CD4マイクロビーズ)及びFACs選別後、PBMCからCD3
+CD4
+CD127
+CD45RA
+CD25
−TCRαβ
+MHCII拘束性(ナイーブ通常CD4
+T細胞)を単離する。選別工程前に、抗CD4(13B8.2)−FITC(Beckman Coulter)、抗CD25(4E3)−APC(Miltenyi Biotec)及び抗CD127(R34.34)−PE(Beckman Coulter)、抗TCRαβ−BV421(IP26)(Biolegend)で濃縮CD3
+CD4
+T細胞を染色する。
【0298】
磁気濃縮(MACSシステム:抗iNKTマイクロビーズ及びFACS選別後、PBMCからCD3
+CD45RA
+invTCR Vα24
+CD1拘束性T細胞を単離する。選別工程前に、抗CD3(UCHT−1)V450、抗不変TCR Vα24−JαQ(6B11)−PE(inv TCR Vα24−JαQ(Becton Dickinson)及び抗CD45RA(T6D11)−FITC(Miltenyi Biotec)で濃縮CD3
+invTCR Vα24
+T細胞を染色する。
【0299】
磁気濃縮(MACSシステム:TCRγδ
+T細胞単離キット)及びFACS選別後、PBMCからCD3
+CD45RA
+CD27
+TCRγδ
+非拘束性T細胞を単離する。選別工程前に、抗CD3(UCHT−1)V450、抗TCR panγδ
+PE(IMMU510)(Beckman Coulter)、抗CD27−APC efluor 780(O323)(ebioscience)及び抗CD45RA(T6D11)−FITC(Miltenyi Biotec)で濃縮CD3
+TCRγδ
+T細胞を染色する。
【0300】
2%低酸素状態において、5%SVF、100IU/ml ペニシリン/ストレプトマイシン、1mM ピルビン酸ナトリウム、1mM 非必須アミノ酸、glutamax及び10mM HEPESを補充したIMDM(IMDM−5培地)中で、T細胞サブセットを培養する。
【0301】
乳ガン細胞株及び培養.ヒト乳ガン細胞株MCF−7は、American Type Culture Collection (USA)から入手した。10%ウシ胎仔血清(FBS)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;Invitrogen, USA)中で、細胞を維持する。MCF−7細胞を5μg/ml ドキソルビシンで24時間処置するか、又はγ線照射(20Gy)によって処置する。フローサイトメトリー分析(FACS)によって、アポトーシスの程度をモニタリングする。DCを供給する前に、細胞を十分に洗浄する。
【0302】
TIL単離.腫瘍組織をメスで細分し、ロータリーシェーカー上、2mM グルタミン(Gibco)、50mg/mL ゲンタマイシン及び0.25%ヒト血清アルブミンを補充した、DMEM高グルコース培地中、コラゲナーゼタイプIV(2mg/mL、Roche Diagnostic GmbH)と37℃で一晩インキュベーションすることによって酵素消化した。
【0303】
機能的にコミットされたポリクローナルFOXP3発現制御性T細胞のex vivo生成.
機能的にコミットされたポリクローナルFOXP3発現CD3
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞のex vivo生成:0日目に、T細胞を48ウェルプレートに細胞 2,5×10
5個/ウェルで播種し、ΔCD3フィーダー(1M)の存在下、プレート結合抗CD3 mAb(4μg/ml)で刺激する。PGE2 1μM、TGFβ 5ng/ml、Rapa 10nMを含むIMDM−5培地(5%SVF、100IU/ml ペニシリン/ストレプトマイシン、1mM ピルビン酸ナトリウム、1mM 非必須アミノ酸、glutamax及び10mM HEPESを補充したIMDM)中で、細胞を培養する。2日目に、IL−2(100IU/ml)を培養物に追加する。3日ごとに、上清容量の半分を廃棄し、IL−2(100UI/ml)を含む新鮮IMDM−5と交換する。11日目に、プレート結合抗CD3 Ab(4μg/ml)で再刺激することによって、これらのCD4
+T細胞株をさらにエクスパンションした。ΔCD3フィーダー、PGE2 1μM、TGFβ 5ng/ml、Rapa 10nM及びIL−2(100UI/ml)の存在下で、再刺激を実施した。次いで、3日ごとに、上清容量の半分を廃棄し、IL−2(100UI/ml)を含む新鮮IMDM−5と交換する。20日目に、フローサイトメトリーによって、エクスパンションCD4
+T細胞の表現型を評価した。CD45RO
+になった刺激ナイーブ通常T細胞の75%は、FOXP3
+を発現する。
【0304】
機能的にコミットされたポリクローナルFOXP3発現不変T細胞のex vivo生成:0日目に、T細胞を96ウェルプレートに細胞 1×10
3個/ウェルで播種し、ΔCD3フィーダー(2.5×10
5個)の存在下、プレート結合抗inv TCR Vα24−JαQ(6B11) mAb(2μg/ml)で刺激する。PGE2 1μM、TGFβ 5ng/ml、Rapa 10nM、IL−2(100UI/ml)及びIL−15(10ng/ml)を含むIMDM−5培地中で、細胞を培養する。3日ごとに、IL−2(100UI/ml)及びIL−15(10ng/ml)を培養物に追加する。12日目に、ΔCD3フィーダー、PGE2 1μM、TGFβ 5ng/ml、Rapa 10nM、IL−2(100UI/ml)及びIL−15(10ng/ml)の存在下、プレート結合抗抗inv TCR Vα24−JαQ(6B11) mAb(2μg/ml)で再刺激することによって、T細胞をさらにエクスパンションする。次いで、3日ごとに、上清容量の半分を廃棄し、IL−2(100UI/ml)及びIL−15(10ng/ml)を含む新鮮IMDM−5と交換する。21日目に、フローサイトメトリーによって、細胞を分析する。CD45RO
+になった刺激CD3+invTCR Vα24
+RA
+T細胞の70%は、Foxp3
+を発現する。
【0305】
機能的にコミットされたポリクローナルFOXP3発現TCRγδ
+T細胞のex vivo生成:0日目に、T細胞を96ウェルプレートに細胞 1×10
3個/ウェルで播種し、ΔCD3フィーダー(2.5×10
5個)の存在下、プレート結合抗TCRγδ mAb(2μg/ml)で刺激する。PGE2 1μM、TGFβ 5ng/ml、Rapa 10nM、IL−2(100UI/ml)及びIL−15(10ng/ml)を含むIMDM−5培地(5%SVF、100IU/ml ペニシリン/ストレプトマイシン、1mM ピルビン酸ナトリウム、1mM 非必須アミノ酸、glutamax及び10mM HEPESを補充したIMDM)中で、細胞を培養する。3日ごとに、上清容量の半分を廃棄し、IL−2(100UI/ml)及びIL−15(10ng/ml)を含む新鮮IMDM−5と交換する。11日目に、プレート結合抗pan TCRγδ Ab(2μg/ml)で再刺激することによって、T細胞をさらにエクスパンションした。ΔCD3フィーダー、PGE2 1μM、TGFβ 5ng/ml、Rapa 10nM及びIL−2(100UI/ml)及びIL−15(10ng/ml)の存在下で、再刺激を実施した。次いで、3日ごとに、上清容量の半分を廃棄し、IL−2(100UI/ml)及びIL−15(10ng/ml)を含む新鮮IMDM−5と交換する。21日目に、フローサイトメトリーによって、細胞を分析する。CD45RO
+になった刺激CD3
+CD45RA
+CD27
+TCRγδ
+T細胞の65%は、Foxp3
+を発現する。
【0306】
機能的にコミットされた抗原特異的FOXP3発現T細胞のex vivo生成:
機能的にコミットされた抗原(オボアルブミン)特異的Foxp3発現CD3
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞のex vivo生成:
a)CD14
+単球からのオボアルブミンロード寛容原性DC(寛容原性単球由来DC(Tol−Mo−DC)と称される)のin vitro生成:未成熟DCの生成のために、100ng/mlリコンビナントヒト顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)及び10ng/ml ヒトリコンビナントIL−4を補充した、1ウェル当たりAIMV 0,5mlを含有する48ウェル平底プレート中で、単球を培養する。3日目に、サイトカインを含有する培地 500μlを追加した。6日目に、Tol−Mo−DCを、1)ウェルから取り出し、IMDM−5(5%SVF、100IU/ml ペニシリン/ストレプトマイシン、1mM ピルビン酸ナトリウム、1mM 非必須アミノ酸、glutamax及び10mM HEPESを補充したIMDM)で2回洗浄し、2)IMDM−5中、48ウェルプレートのウェルに3×10
5個/mlの濃度で追加し、3)特異的Ag(OVA)を含むIMDM−5でパルスする。
【0307】
b)機能的にコミットされた特異的FOXP3発現CD3
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞のex vivo生成及びエクスパンション:0日目に、オボアルブミンパルスtDCを、1)IMDM−5で2回洗浄し、2)照射自己フィーダー 2×10
5個、PGE2 1μM及びRapa 10nMの存在下、IMDM−5中、3×10
5個/mlの濃度で48ウェルプレートのウェルに追加する。精製ナイーブ通常CD4
+T細胞(事前に凍結したPBMCからFACSによって単離)をパルスtDCに追加する。1日目に、IL−2(100IU/ml)及びTGFβ(5ng/ml)を共培養物に追加する。3日ごとに、上清容量の半分を廃棄し、IL−2(100UI/mlを含む新鮮IMDM−5)(T細胞クローニング培地)と交換する。12日目に、ΔCD3フィーダー、PGE2 1μM、TGFβ 5ng/ml、Rapa 10nM、IL−2(100UI/ml)の存在下、ovaパルスtDCで再刺激することによって、これらのT細胞をさらにエクスパンションする。T細胞がエクスパンションし始めたら、T細胞クローニング培地及び照射フィーダーと共に、それらを2〜3日ごとに分割し得る。21日目に、フローサイトメトリーによって、細胞を分析する。CD45RO
+になった刺激ナイーブ通常CD4
+T細胞の85%は、Foxp3
+を発現する。刺激培養条件にかかわらず、nTreg極性培地中で21日間エクスパンションした後、Ova特異的記憶CD3
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞が、制御活性のみを発揮するようにコミットされることを確認するために、nTreg極性培地(IL−2、TGFβ、PGE2及びラパマイシンの組み合わせを含む)又はTH−17極性培地(IL−2、IL−1、IL−6、IL−21、IL−23サイトカインを含有するIMDM培地)中で、ova特異的pTregをさらに3週間培養する。21日間エクスパンションしたFoxp3発現CD3
+CD4
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞を、48ウェルプレート中、ΔCD3フィーダー(1M)の存在下、プレート結合抗CD3 mAb(4μg/ml)で刺激し、3日ごとに、上清容量の半分を廃棄し、新鮮T細胞クローニング培地又はTH−17極性培地と21日間交換する。
【0308】
機能的にコミットされた腫瘍抗原特異的FOXP3発現CD3
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞のex vivo生成:
a)CD14
+単球からの腫瘍ロード寛容原性DC(寛容原性単球由来DC(tDC)と称される)のin vitro生成:100ng/mlリコンビナントヒト顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)及び10ng/ml ヒトリコンビナントIL−4を補充した、1ウェル当たりAIMV 0.5mlを含有する48ウェル平底プレート中で、単球を培養する。3日目に、サイトカインを含有する培地 500μlを追加する。5日目に、GM−CSF(100ng/mL)、IL−4(10ng/mL)を含むAIMV中で、tDCの一部をアポトーシスMCF−7細胞と共に1:2のDC/腫瘍細胞比で24時間共培養する。90%FBS−10%DMSO中で、tDCの別の一部を2×10
6個/バイアルで凍結する。
【0309】
b)機能的にコミットされた腫瘍抗原特異的Foxp3発現CD3
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞のex vivo生成及びエクスパンション:0日目に、腫瘍抗原パルスtDCを、1)IMDM−5で2回洗浄し、2)照射自己フィーダー 2×10
5個、PGE2 1μM及びRapa 10nMの存在下、IMDM−5中、3×10
5個/mlの濃度で48ウェルプレートのウェルに追加する。精製CD3
+CD45RA
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞(事前に凍結したPBMCからFACSによって単離)をパルスtDCに追加する。1日目に、IL−2(100IU/ml)及びTGFβ(5ng/ml)を共培養物に追加する。3日ごとに、上清容量の半分を廃棄し、IL−2(100UI/ml)を含む新鮮IMDM−5(T細胞クローニング培地)と交換する。12日目に、ΔCD3フィーダー、PGE2 1μM、TGFβ 5ng/ml、Rapa 10nM及びIL−2(100UI/ml)の存在下、腫瘍AgパルスtDCで再刺激することによって、これらのT細胞をさらにエクスパンションする。T細胞がエクスパンションし始めたら、T細胞クローニング培地及び照射フィーダーと共に、それらを2〜3日ごとに分割し得る。21日目に、フローサイトメトリーによって、細胞を分析する。CD45RO
+になった刺激ナイーブ通常CD4
+T細胞の88%は、Foxp3
+を発現する。
【0310】
機能的にコミットされた腫瘍抗原特異的FOXP3発現CD3
+invTCR Vα24
+CD1d拘束性T細胞のex vivo生成:
a)CD14
+単球からの腫瘍ロード寛容原性DC(寛容原性単球由来DC(tDC)と称される)のin vitro生成:CD1dを発現する未成熟DCの生成のために、100ng/mlリコンビナントヒト顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)及び10ng/ml ヒトリコンビナントIL−4及びAM580(100nM)を補充した、1ウェル当たりAIMV 0.5mlを含有する48ウェル平底プレート中で、単球を培養する。3日目に、サイトカインを含有する培地 500μlを追加する。5日目に、GM−CSF(100ng/mL)、IL−4(10ng/mL)を含むAIMV中で、tDCの一部をアポトーシスMCF−7細胞と共に1:2のDC/腫瘍細胞比で24時間共培養する。90%FBS−10%DMSO中で、tDCの別の一部を2×10
6個/バイアルで凍結する。
【0311】
b)機能的にコミットされた腫瘍抗原特異的Foxp3発現CD3
+invTCR Vα24
+CD1d拘束性T細胞のex vivo生成及びエクスパンション:0日目に、腫瘍抗原パルスtDCを、1)IMDM−5で2回洗浄し、2)照射自己フィーダー 2×10
5個、PGE2 1μM及びRapa 10nMの存在下、IMDM−5中、3×10
5個/mlの濃度で48ウェルプレートのウェルに追加する。精製CD3
+CD45RA
+invTCR Vα24
+CD1拘束性T細胞(事前に凍結したPBMCからFACSによって単離)をパルスtDCに追加する。1日目に、IL−2(100IU/ml)、IL−15(10ng/ml)及びTGFβ(5ng/ml)を共培養物に追加する。3日ごとに、上清容量の半分を廃棄し、IL−2(100UI/ml)及びIL−15(10ng/ml)を含む新鮮IMDM−5(T細胞クローニング培地)と交換する。12日目に、ΔCD3フィーダー、PGE2 1μM、TGFβ 5ng/ml、Rapa 10nM、IL−2(100UI/ml)及びIL−15(10ng/ml)の存在下、腫瘍AgパルスtDCで再刺激することによって、これらのT細胞をさらにエクスパンションする。T細胞がエクスパンションし始めたら、T細胞クローニング培地及び照射フィーダーと共に、それらを2〜3日ごとに分割し得る。21日目に、フローサイトメトリーによって、細胞を分析する。CD45RO
+になった刺激CD3
+CD45RA
+invTCR Vα24
+細胞の75%は、Foxp3
+を発現する。
【0312】
機能的にコミットされたホスホ抗原特異的FOXP3発現CD3
+TCRγδ
+非拘束性T細胞のex vivo生成:
a)CD14
+単球からの寛容原性DC(寛容原性単球由来DC(Tol−Mo−DC)と称される)のin vitro生成:未成熟DCの生成のために、100ng/mlリコンビナントヒト顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)及び10ng/ml ヒトリコンビナントIL−4を補充した、1ウェル当たりAIMV 0.5mlを含有する48ウェル平底プレート中で、単球を培養する。3日目に、サイトカインを含有する培地 500μlを追加した。6日目に、生成Tol−Mo−DCをウェルから取り出し、IMDM−5(5%SVF、100IU/ml ペニシリン/ストレプトマイシン、1mM ピルビン酸ナトリウム、1mM 非必須アミノ酸、glutamax及び10mM HEPESを補充したIMDM)で2回洗浄し、凍結するか、又は機能的にコミットされたホスホ抗原特異的FOXP3発現CD3
+TCRγδ
+非拘束性T細胞の生成及びエクスパンションに使用する。
【0313】
b)機能的にコミットされたホスホ抗原特異的FOXP3発現CD3
+TCRγδ
+非拘束性T細胞のex vivo生成及びエクスパンション:0日目に、tDCを、照射自己フィーダー 2×10
5個、PGE2 1μM及びRapa 10nM及びゾレドロン酸(100nM)の存在下、IMDM−5中、3×10
5個/mlの濃度で48ウェルプレートのウェルに追加する。精製CD3
+CD45RA
+TCRγδ
+非拘束性T細胞(事前に凍結したPBMCからFACSによって単離)をパルスtDCに追加する。1日目に、IL−2(100IU/ml)、IL−15(10ng/ml)及びTGFβ(5ng/ml)を共培養物に追加する。3日ごとに、上清容量の半分を廃棄し、IL−2(100UI/ml)及びIL−15(10ng/ml)を含む新鮮IMDM−5(T細胞クローニング培地)と交換する。12日目に、ΔCD3フィーダー、PGE2 1μM、TGFβ 5ng/ml、Rapa 10nM、IL−2(100UI/ml)、IL−15(10ng/ml)及びゾレドロン酸(100nM)の存在下、tDCで再刺激することによって、これらのT細胞をさらにエクスパンションする。T細胞がエクスパンションし始めたら、T細胞クローニング培地及び照射フィーダーと共に、それらを2〜3日ごとに分割し得る。21日目に、フローサイトメトリーによって、細胞を分析する。CD45RO
+になった刺激CD3
+CD45RA
+TCRγδ
+T細胞の75%は、Foxp3
+を発現する。
【0314】
機能的にコミットされた腫瘍ホスホ抗原特異的FOXP3発現CD3
+TCRγδ
+非拘束性T細胞のex vivo生成:
a)CD14
+単球からの腫瘍ロード寛容原性DC(寛容原性単球由来DC(tDC)と称される)のin vitro生成:100ng/mlリコンビナントヒト顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)及び10ng/ml ヒトリコンビナントIL−4を補充した、1ウェル当たりAIMV 0.5mlを含有する48ウェル平底プレート中で、単球を培養する。3日目に、サイトカインを含有する培地 500μlを追加する。5日目に、GM−CSF(100ng/mL)、IL−4(10ng/mL)を含むAIMV中で、tDCの一部をアポトーシスMCF−7細胞と共に1:2のDC/腫瘍細胞比で24時間共培養する。90%FBS−10%DMSO中で、tDCの別の一部を2×10
6個/バイアルで凍結する。
【0315】
b)機能的にコミットされた腫瘍ホスホ抗原特異的Foxp3発現CD3
+TCRγδ
+非拘束性T細胞のex vivo生成及びエクスパンション:0日目に、腫瘍抗原パルスtDCを、1)IMDM−5で2回洗浄し、2)照射自己フィーダー 2×10
5個、PGE2 1μM及びRapa 10nMの存在下、IMDM−5中、3×10
5個/mlの濃度で48ウェルプレートのウェルに追加する。精製CD3
+CD45RA
+TCRγδ
+非拘束性T細胞(事前に凍結したPBMCからFACSによって単離)をパルスtDCに追加する。1日目に、IL−2(100IU/ml)及びTGFβ(5ng/ml)を共培養物に追加する。3日ごとに、上清容量の半分を廃棄し、IL−2(100UI/ml)を含む新鮮IMDM−5(T細胞クローニング培地)と交換する。12日目に、ΔCD3フィーダー、PGE2 1μM、TGFβ 5ng/ml、Rapa 10nM及びIL−2(100UI/ml)の存在下、腫瘍AgパルスtDCで再刺激することによって、これらのT細胞をさらにエクスパンションする。T細胞がエクスパンションし始めたら、T細胞クローニング培地及び照射フィーダーと共に、それらを2〜3日ごとに分割し得る。21日目に、フローサイトメトリーによって、細胞を分析する。CD45RO
+になった刺激ナイーブCD3
+CD45RA
+TCRγδ
+T細胞の75%は、Foxp3
+を発現する。
【0316】
文献に記載されている古典的なプロトコールによる、PBMCから単離したTreg由来のTregのex vivoエクスパンション:
ΔCD3フィーダー(1M)及びIL−2(100UI/ml)及びラパマイシン(100nM)の存在下、プレート結合抗CD3 mAb(4μg/ml)、可溶性抗CD28 Ab(4μg/ml)でCD4
+CD127
−/loCD25
high(Treg)を刺激する。IMDM−5培地中で、細胞を培養する。
【0317】
文献に記載されている古典的なプロトコールによる、PBMCから単離した通常ヘルパーCD4+T細胞由来のTregのex vivo誘導及び生成:
ΔCD3フィーダー(1M)、TGFβ(5ng/ml)及びラパマイシン(100nM)の存在下、プレート結合抗CD3 mAb(4μg/ml)、可溶性抗CD28 Ab(4μg/ml)でCD4
+CD127
+CD25
neg/dim[通常ヘルパーCD4 T細胞(Tconv)]を刺激する。IMDM−5培地中で、細胞を培養する。2日目に、IL−2(100IU/ml)を培養物に追加する。3日ごとに、上清容量の半分を廃棄し、IL−2(100UI/ml)を含む新鮮IMDM−5と交換する。11日目に、プレート結合抗CD3 Ab(4μg/ml)及び抗CD28 Abで再刺激することによって、これらのCD4
+T細胞株をさらにエクスパンションした。ΔCD3フィーダー、TGFβ 5ng/ml、Rapa 10nM及びIL−2(100UI/ml)の存在下で、再刺激を実施した。次いで、3日ごとに、上清容量の半分を廃棄し、IL−2(100UI/ml)を含む新鮮IMDM−5と交換する。
【0318】
Foxp3を発現するCD3+CD4+TCR□β+MHCII拘束性T細胞の改善されたova特異的活性化及びエクスパンション:
オボアルブミンパルスtDCを、1)IMDM−5で2回洗浄し、2)照射自己フィーダー 2×10
5個、PGE2 1μM及びRapa 10nMの存在下、IMDM−5中、3×10
5個/mlの濃度で48ウェルプレートのウェルに追加する。可溶性抗CD28 Ab(1μg/ml−クローンCD28.2)及びCD40−Ab(1μg/ml−クローンG28.5)の存在下で、精製ナイーブ通常CD4
+T細胞(事前に凍結したPBMCからFACSによって単離)をパルスtDCに追加する。16時間の刺激後、細胞をPBS(0.5%BSA)で洗浄し、抗CD154(クローン5C8)−PE及び抗CD4(SK3)−PerCP−eFluor 710で10分間染色する。染色細胞をPEコンジュゲートマイクロビーズ(Miltenyi Biotec)と共にインキュベーションし、MACSカラム(Miltenyi Biotec)を使用することによって濃縮する。次いで、単離したCD154+T細胞を再刺激し、上記のものと同じ最適条件下でエクスパンションする。
【0319】
MLRアッセイのための刺激細胞のin vitro生成:未成熟DC(iDC)の生成のために、20ng/mlリコンビナントヒト顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)及び20ng/ml ヒトリコンビナントIL−4を補充した、1ウェル当たりRPMI−5 0,5mlを含有する48ウェル平底プレート中で、単球を培養する。3日目に、サイトカインを含有する培地 500μlを追加する。5日目に、GM−CSF(20ng/mL)、IL−4(20ng/mL)及び5%FBSを補充したRPMI1640中で、iDCの一部をアポトーシスMCF−7細胞と共に1:2のDC/腫瘍細胞比で24時間共培養する。90%FBS−10%DMSO中で、iDCの別の一部を2×10
6個/バイアルで凍結する。示されている場合、腫瘍壊死因子α(TNF−α;最終20ng/mL)及びPGE2(1μM)でパルスDCを2日間成熟させる(mDC)。いくつかの実験では、TNF及びPGE2(同じ濃度)又はリポ多糖(LPS;10〜1000ng/mL;Sigma)をMLRに直接追加する。抗原ロードDC刺激剤を30Gyで照射する。
【0320】
MLRアッセイのためのTAP阻害刺激細胞のin vitro生成:上記のように取得した成熟DCに、BHV−1由来のUL49.5遺伝子を含有するpGem4Zベクターから合成したRNA 20μgをエレクトロポレーションする(ref: Lampen MH, Verweij MC, Querido B, van der Burg SH, Wiertz EJ, van Hall T. CD8+T cell responses against TAP-inhibited cells are readily detected in the human population. J Immunol. 2010 Dec 1;185(11):6508-17.)。
【0321】
アポトーシスT細胞−DC共培養
未成熟DCを単独で、又はアポトーシス細胞(3つのアポトーシス細胞:1つのiDC)と共に16時間培養した。次いで、抗CD3コーティングマイクロビーズ(Miltenyi Biotec)を使用してアポトーシスT細胞の免疫磁気枯渇によって、DCを精製し、合成RNA 20μgをエレクトロポレーションし又はエレクトロポレーションせず、20ng/ml GM−CSF、20ng/ml ヒトリコンビナントIL−4及び成熟カクテル(TNF−α 20ng/ml及びPGE2 1μM)を補充したRPMI−5中で24時間インキュベーションした。
【0322】
ELISAによるIL−17検出.
ELISAによって、培養上清中のIL−17の存在を測定する。当技術分野で公知の従来の方法、例えばサンドイッチELISA抗IL−17によって、抗IL−17抗体によるIL−17の認識を行い得る。ELISAは、当技術分野で公知の任意の比色手段によって、例えば、ビオチンで標識された検出抗体、ポリストレプトアビジンHRP増幅システム及びo−フェニレンジアミン二塩酸塩基質溶液を使用して発色される。
【0323】
前記方法の一例は、以下である:
−捕捉抗体、例えば抗IL17抗体でプレートをコーティングする、
−ブロッキングバッファー(例えば、PBS中2%カゼイン)でプレートを37℃で90分間ブロッキングする、
−プレートを希釈系列のIL−17標準、サンプル又はネガティブコントロールと共に37℃で90分間インキュベーションする、
−プレートを検出抗体、例えばビオチン化抗IL−17抗体などと共に37℃で90分間インキュベーションする、
−プレートをストレプトアビジン−HRPと共に37℃で30分間インキュベーションし、o−フェニレンジアミン二塩酸塩(OPD)基質溶液を用いて複合体を30分間発色させる。酵素反応を停止した後、分光光度法によって、得られた色の強度を490nmで決定する。
【0324】
当業者であれば、標準曲線による計算後、200ng/ml、100ng/ml、50ng/mlよりも低いIL−17レベルは、IL−17の分泌がないか又はIL−17の分泌が少ないことに対応すると考える。
【0325】
フローサイトメトリー分析.
mAb標識.以下のコンジュゲートmAbを使用する。
【0326】
a)CD3
+T細胞の場合:抗CD4(SK3)−PerCP−eFluor 710、抗TCRαβ(IP26)−APC(ebioscience)、抗CD25(B1.49.9)−PeCy55、抗CD127(R34.34)−APC−AF700(Beckman Coulter)、抗CD3(UCHT1)−BB515抗不変TCR Vα24−JaQ(6B11)−PE、抗Foxp3(259D/C7)−PE−CF594及び抗CD152(BNI3)−BV421、抗CD161(DX12)BV605及び抗CD56(NCAM 16.2)BU395(Becton Dickinson)、抗TCRαβ−BV421(IP26)(Biolegend)、抗TCR panγδ
+PE(IMMU510)(Beckman Coulter)及び抗CD27−APC efluor 780(O323)(ebioscience).BSA/NaN
3(0.5%BSA、0.01%NaN
3)を含有するPBS(FACSバッファー)で希釈したAbの混合物を使用して、表面マーカーについて細胞を染色する(4℃、暗所で30分間)。ebioscienceから入手したFOXP3染色キットを用いて、製造業者の説明書にしたがって、Foxp3及びCTLA−4細胞内染色を実施する。各染色組み合わせのために、適切なアイソタイプコントロールAbを使用する。BD FACSDIVA 8.0.1ソフトウェア(Becton Dickinson)を使用してBD LSR FORTESSAフローサイトメーターによって、サンプルを得る。パーセンテージ(%)又は平均蛍光強度(MFI)で結果を表す。
【0327】
b)誘導特異的Tregの場合:モノクローナル抗Foxp3(259D/C7)−PE−CF594 Ab及びポリクローナル抗IL−1R1−PE(R&D system, FAB269P)を用いて、誘導Treg上におけるIL−1R1の存在を評価した。
【0328】
CFSE染色.PBS中、1μMカルボキシ−フルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)(CellTrace cell proliferation kit; Molecular Probes/Invitrogen)でTconvを細胞 1×10
7個/mLの濃度、37℃で8分間染色する。10%FBSを含有するRPMI1640培養培地で細胞を2回洗浄することによって、標識を停止させる。次いで、細胞を所望の濃度で再懸濁し、続いて、増殖アッセイに使用する。
【0329】
7−AAD(7−アミノ−アクチノマイシンD)染色.7−AADアッセイを使用して、刺激CFSE標識又は非標識nTreg及びTconvのアポトーシスを決定した。簡潔に言えば、20μg/mL核色素7−AAD(Sigma-Aldrich)で培養細胞を4℃で30分間染色する。FSC/7−AADドットプロットは、生細胞(FSC
high/7−AAD
−)とアポトーシス細胞(FSC
high/7−AAD
+)と、アポトーシス小体(FSC
low/7−AAD
+)と、残屑((FSC
low/7−AAD
−)とを区別する。生細胞は、CD3
+7−AAD
−FSC
+細胞として同定される。
【0330】
機能アッセイ
T細胞増殖.酸素正常状態において、5%FBS、100IU/ml ペニシリン/ストレプトマイシン、1mM ピルビン酸ナトリウム、1mM 非必須アミノ酸、glutamax及び10mM HEPESを補充したRPMI(RPMI−5培地)中で、CFSE希釈アッセイによって、T細胞増殖を評価する。共培養完了時に、刺激CFSE標識Tconvを回収し、抗CD3 mAb及び7−AADで共染色し、フローサイトメトリーによって、ゲーティングCD3
+7−AAD
−細胞における生増殖細胞(CFSE low画分として定義される)のパーセンテージを決定する。
【0331】
T細胞アポトーシス誘導:機能的にコミットされた腫瘍抗原特異的FOXP3発現TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞を上記のようにex vivoで生成する。次いで、腫瘍抗原特異的刺激T細胞を254nm(UV−C)で照射し(240mJ/cm2)、6時間培養してから、未成熟DCと共に共培養した。7−AAD染色によって、アポトーシスを確認した。平均して、細胞の75%は7−AAD+である。
【0332】
標準的なポリクローナル細胞間接触Treg抑制アッセイ:規定量のFoxp3 T細胞(血液Treg又はex vivo生成T細胞)の存在下又は非存在下で、レスポンダー細胞として使用するCFSE標識Tconv(4×10
4個/ウェル)をΔCD3フィーダー(4×10
4個/ウェル)と共に4〜5日間培養する。完全RPMI培地 200μL中、0.2μg/mL 抗CD3 mAbでコーティングされた丸底プレート中で、培養を実施する。増殖CFSE lowT細胞のパーセンテージとして、又は以下:
(100×[(Tconv CFSE low細胞のパーセンテージ−nTregとの共培養におけるTconv CFSE lowのパーセンテージ)/Tconv CSFE low細胞のパーセンテージ
のように計算した抑制のパーセンテージとして、結果を表す。
【0333】
自己MLR抑制アッセイ:規定量のFoxp3 T細胞(血液Treg又はex vivo生成T細胞)の存在下又は非存在下で、CFSE標識Tconv CD4
+CD25
−T細胞(5×10
4)を、RPMI−5培地中、パルスiDC 1×10
4個で、又はIL−2(20IU/ml)、IL−1b(10ng/ml)、IL−6(30ng/ml)、IL−21(50ng/ml)及びIL−23(30ng/ml)を補充したIMDM−5培地中、パルスmDC 5×10
3個で5〜6日間刺激する。示されている場合、IL−2(20IU/ml)、IL−1β(10ng/ml)、IL−6(30ng/ml)、IL−21(50ng/ml)及びIL−23(30ng/ml)を補充したIMDM−5培地中で、培養を実施する。増殖CFSE lowT細胞のパーセンテージとして、又は以下:
(100×[(Tconv CFSE low細胞のパーセンテージ−nTregとの共培養におけるTconv CFSE lowのパーセンテージ)/Tconv CSFE low細胞のパーセンテージ
のように計算した抑制のパーセンテージとして、結果を表す。
【0334】
DNAメチル化の測定:古典的には、安定Treg遺伝子シグネチャーは、Treg特異的脱メチル化領域(TSDR)の保存された非コード配列2(CNS2)内の高度に脱メチル化されたCpGアイランドからなるものであった。Christopher Fuhrman (Fuhrman et al, Divergent Phenotypes of Human Regulatory T Cells Expressing the Receptors TIGIT and CD226, 2015, Journal of immunology)によって以前に記載されているように、ゲノムDNAのバイサルファイト処理後に定量的PCRによって、FOXP3遺伝子のTSDR領域のDNAメチル化分析を評価した。簡潔に言えば、必要に応じて、AllPrep DNA/RNA Mini Kit (Qiagen)又はDNeasy tissue kit (Qiagen)を用いて、ヌクレオチドを単離した。EZ DNA Methylation Kit (Zymo Research)を用いて、DNA 500ngに対して、ゲノムDNAのバイサルファイト処理を実施した。DNA標準は、非メチル化バイサルファイト変換ヒトEpiTectコントロールDNA(Qiagen)又は汎用メチル化バイサルファイト変換ヒトコントロールDNA(ZymoResearch)のものであった。大量の標準を取得するために、以下の反応:ZymoTaq PreMixバッファー(Zymo Research) 25μl並びにプライマーFOXP3_TSDRfwd(5’−ATATTTTTAGATAGGGATATGGAGATGATTTGTTTGG−3’配列番号:1)及びFOXP3_TSDRrev(5’−AATAAACATCACCTACCACATCCACCAACAC−3’−配列番号:2) 各0.5μMを含有する反応容量 50μlを使用して、TSDRをPCR増幅した。95℃で10分間インキュベーションした後、増幅を以下のように実施した:95℃で30秒間、55℃で30秒間及び72℃で1分間を50サイクル。QIAquick Gel Extraction Kit (Qiagen)を用いて、増幅PCR産物を精製した。GE NanoVue spectrophotometer (GE Healthcare Life Sciences)を用いて、精製コントロールTSDR DNAの濃度を決定した。メチル化又は脱メチル化ターゲット配列をターゲティングするプローブを用いて、TSDRリアルタイムPCRを実施した。96ウェルホワイトトレイ中で、Roche LightCycler 480 system (Roche Diagnostics)を用いて、反応を実施した。各反応は、LightCycler 480 Probes Master Mix (Roche) 10μl、バイサルファイト変換DNAサンプル又は標準 10ng、各プライマー 1μM及び各プローブ 150nMを含有しており、最終反応容量(final reaction value)は20μlであった。増幅に使用したプローブは、TSDR−フォワード5’−GGTTTGTATTTGGGTTTTGTTGTTATAGT−3’(配列番号:3)及びTSDR−リバース5’−CTATAAAATAAAATATCTACCCTCTTCTCTTCCT−3’(配列番号:4)であった。ターゲット配列検出のためのプローブは、FAM標識メチル化プローブFAM−CGGTCGGATGCGTC−MGB−NFQ(配列番号:5)又はVIC標識非メチル化プローブVIC−TGGTGGTTGGATGTGTTG−MGB−NFQ(配列番号:6)であった。全てのサンプルを3回反復で試験した。リアルタイム増幅のプロトコールは、以下のとおりである:95℃で10分間の初期変性の後、95℃で15秒間及び61℃で1分間を50サイクルにサンプルを供した。14種類の異なる比率の完全メチル化及び脱メチル化テンプレートをリアルタイム標準として使用した。6次多項式を使用して、各サンプルについて、TSDRで脱メチル化された細胞のパーセンテージを推定した。
【0335】
ヒストンアセチル化の測定:Ling Lu (Ling Lu et al, PNAS 2014)によって以前に記載されているように、ChIPアッセイによって、FOXP3遺伝子の4つの異なる部位のヒストンアセチル化分析を評価した。簡潔に言えば、各処置nTreg細胞サンプルの細胞 50,000個を回収し、1%ホルムアルデヒドで架橋し、次いで、溶解バッファー[50mMトリス・HCl、pH8.0、10mM EDTA、1%(wt/vol)SDS、プロテアーゼインヒビターミックス(1:100希釈;Sigma)、1mM PMSF、20mM 酪酸Na] 120μLで溶解した。溶解物中のクロマチンを500〜800bpのフラグメントに超音波処理し、次いで、RIPA ChIPバッファー[10mMトリス・HCl、pH7.5、140mM NaCl、1mM EDTA、0.5mM EGTA、1%(vol/vol)Triton X−100、0.1%(wt/vol)SDS、0.1%(wt/vol)デオキシコール酸Na、プロテアーゼインヒビターミックス(1:100希釈;Sigma)、1mM PMSF及び20mM 酪酸Na] 800μLで希釈した。DynabeadsプロテインG(10μL;Invitrogen)を、H3K4me3(Abcam)又はH3K9ac(Cell Signaling)又は正常ウサギIgGネガティブコントロールChIPグレード抗体 1μgと共に別個に2時間インキュベーションした。次いで、前処理抗体−ビーズ複合体を用いて剪断クロマチン 100μLを免疫沈降し、全インプットDNA抽出のために別の剪断クロマチン 100μLを別個に免疫沈降した。以下のプライマー:プロモーター、5’−ACC GTA CAG CGT GGT TTT TC−3’(配列番号:7)及び5’−CTA CCT CCC TGC CAT CTC CT−3’(配列番号:8);CNS1、5’−CCC AAG CCC TAT GTG TGATT−3’(配列番号:9)及び 5’−GTG TGT CAG GCC TTG TGC TA−3’(配列番号:10);CNS2、5’−GTC CTC TCC ACAACC CAA GA−3’(配列番号:11)及び5’−GAC ACC ACG GAG GAA GAG AA−3’(配列番号:12);並びにCNS3、5’−AGG TGC CGA CCT TTA CTG TG−3’(配列番号:13)及び5’−ACA ATA CGG CCT CCT CCT CT−3’(配列番号:14)を用いてリアルタイムPCRによって、免疫沈降DNAを定量した。
【0336】
古典的な7−AAD/CFSE細胞性細胞傷害性アッセイ:上記のようにCFSEでターゲット細胞を標識し、3×104個/ウェルで96ウェルU底プレート中に3回反復で配置した。CD8+エフェクターT細胞(5:1のE:T比)を追加し、インキュベーションを37℃で6時間行った。実験終了時に、7−AADで死細胞を標識して、溶解細胞を検出した。FACSCalibur機器を使用して、二重陽性染色CFSE及び7−AADを示す領域に基づいて、ターゲット細胞に対する細胞溶解活性を分析した。ネガティブコントロールにおける自然溶解(%)を差し引いた後、CFSE及び7−AADの両方について陽性の細胞/全CFSE陽性細胞として、CD8+T細胞クローンの細胞溶解活性(%)を計算した。次いで、以下の式:
細胞溶解活性(%)[死ターゲット細胞(%)−自然死(%)]×100/[100−自然死(%)]
を使用して、細胞溶解活性のパーセンテージを計算した。
【0337】
結果
a)ポリクローナル後のナイーブCD3
+CD4
+TCRαβ
+MHCII拘束性TにおいてFoxp3発現を誘導するための最適条件.
ヒトPBMCから単離したナイーブ通常CD4
+T細胞(CD3
+CD4
+CD127
+CD45RA
+CD25
−TCRαβ
+MHCII拘束性)から出発して、抑制機能を有するFoxp3
+細胞の分化を誘導する能力について、異なるnTreg極性培地を評価した。
【0338】
図2は、抗CD3 mAbでポリクローナルにex vivo活性化したところ、ナイーブ通常CD4
+T細胞が、それらの刺激培養条件に応じて変動するFoxp3レベルを示すことを示している。IL−2、TGFβ及びラパマイシン又はIL−2、TGFβ、ラパマイシン及びPGE2の組み合わせを含む極性培地は、IL−2及びPGE2の組み合わせ又はIL−2のみよりも高いFoxp3発現をもたらす(B)。また、IL−2、TGFβ、ラパマイシン及びPGE2の組み合わせは、他の組み合わせと比較して、CD3
+CD4
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞において最適強度のFoxp3発現をもたらす(C)。
【0339】
IL−2、TGFβ、PGE2及びラパマイシンの組み合わせを含む極性培地で刺激したナイーブ通常CD4
+T細胞のみが、本発明者らのポジティブコントロールに対応する血中ナイーブ制御性T細胞(CD3
+TCRαβ
+CD4
+CD127
−/lowCD45RA
+CD25
+)のものと同様の又はそれよりも高いレベル及び強度のFoxp3を発現することは興味深い。
【0340】
次に、本発明者らは、ポリクローナルに刺激したFoxp3発現CD3
+CD4
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞の機能的抑制能力を評価した。
図3Aは、標準的なポリクローナル細胞間接触Treg抑制アッセイを使用したところ、IL−2、TGFβ、PGE2及びラパマイシンの組み合わせを含むnTreg極性培地の存在下で、ポリクローナル刺激を使用してex vivoで生成及び21日間エクスパンションしたCD3
+CD4
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞が、IL−2、TGFβ、ラパマイシンの組み合わせ(PGE2なし)を含むnTreg極性培地の存在下で生成したもの、及び新鮮FOXP3発現CD3
+CD4
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞の両方と比較して高い抑制活性を示すことを示している。さらに、
図3Bは、IL−2、IL−1、IL−6、IL−21、IL−23サイトカインを含有する高炎症性培地の存在下で、機能的抑制アッセイを実施したところ、21日間エクスパンションしたこれらのFOXP3発現CD3
+CD4
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞が依然としてそれらの抑制活性を維持するのに対して、これらの刺激培養条件下では、新鮮FOXP3発現CD3
+CD4
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞はそれらの抑制能力を喪失したことを示している。
【0341】
b)抗原特異的活性化後のナイーブCD3
+CD4
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞においてFoxp3発現を誘導するための最適条件.
抗原特異的Tregの抑制能力はポリクローナルTregのものよりもはるかに高いことが研究によって示唆されたので、本発明者らは、刺激培養条件にかかわらず、制御活性のみを発揮するようにコミットされた抗原特異的Foxp3発現CD3
+CD4
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞をex vivoで生成及びエクスパンションするための方法を設定する。
【0342】
図4は、IL−2、TGFβ、PGE2及びラパマイシンの組み合わせを含むnTreg極性培地の存在下では、OVAパルス自己tDCは、ナイーブ通常CD4+T細胞を刺激することができるのに対して(CD25の発現増加及びCD45RAマーカーの喪失)、同じ極性培地の存在下では、非パルス自己tDCはそれらを刺激することができなかった(CD25発現の欠如及びCD45RAマーカーの持続)ことを示している。さらに、上記nTreg極性培地の存在下、OVAパルス自己tDCで特異的に活性化及び21日間エクスパンションした場合、ナイーブ通常CD4
+T細胞は、本発明者らのポジティブコントロールに対応する血中ナイーブ制御性T細胞(CD3
+TCRαβ
+CD4
+CD127
−/lowCD45RA
+CD25
+)によって示されるものと同様のレベル及び強度のFoxp3を発現することができる(
図5)。
【0343】
Foxp3を発現するナイーブCD3
+CD4
+TCRαβ+MHCII拘束性T細胞の抗原特異的活性化及びエクスパンションを改善するために、可溶性抗CD28 Ab(1μg/ml)及びCD40−Ab(1μg/ml)の存在下、OVAパルス自己tDCでプライミングした16時間後、CD154発現ナイーブCD3
+CD4
+TCRαβ
+T細胞を選別する(
図6)。次いで、単離したCD154
+T細胞を再刺激し、上記のものと同じ最適条件下でエクスパンションする。この戦略を使用して、本発明者らは、高度に特異的に機能的にコミットされたFOXP3発現CD3
+TCRαβ+MHCII拘束性T細胞株をex vivoで誘導及び生成することができる。
【0344】
加えて、標準的なポリクローナル細胞間接触Treg抑制アッセイ(
図7A)及び自己MLR抑制アッセイ(
図8A)を使用したところ、21日間エクスパンションしたこれらのova特異的CD3
+CD4
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞は、新鮮Foxp3発現CD3
+CD4
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞と比較して同様の抑制活性を示す。
【0345】
さらに、Ova特異的CD3
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞は、炎症促進条件において抑制機能を果たすそれらの能力を維持する。IL−2、IL−1、IL−6、IL−21、IL−23サイトカインを含有する高炎症性培地の存在下で、両機能的抑制アッセイ(
図7B、
図8B)を実施したところ、これらの刺激培養条件下では、新鮮Foxp3発現CD3
+CD4
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞は、それらの抑制能力を喪失するが、21日間エクスパンションしたFoxp3発現CD3
+CD4
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞は依然として、それらの抑制能力を維持する。高炎症状況におけるそれらの抑制能力の維持は、IL−2、IL−1、IL−6、IL−21、IL−23サイトカインを含有するIMDM培地の存在下、CD3及びCD28で刺激した場合、nTreg極性培地中で21日間エクスパンションした後に、それらが低レベルのIL−17を産生するという事実に起因する可能性がある(
図10A)。
【0346】
刺激培養条件にかかわらず、nTreg極性培地中で21日間エクスパンションした後、Ova特異的CD3
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞が、制御活性のみを発揮するようにコミットされることを確認するために、nTreg又はTH−17極性培地(IL−2、IL−1、IL−6、IL−21、IL−23サイトカインを含有するIMDM培地)中で、ova特異的pTregをさらに3週間培養し、1)高炎症状況の存在下におけるそれらの機能的抑制能力について(
図9)、並びに2)上記のようにCD3及びCD28で刺激した場合のそれらのIL−17産生能力について(
図10)試験した。nTreg又はTH−17極性培地中でさらに21日間培養した後、Ova特異的CD3
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞は依然として、高炎症状況において機能的抑制活性を保持するだけではなく(
図9)、低レベルのL−17も産生する(
図10B)。対照的に、この炎症状況では、新鮮Foxp3発現CD3
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞は、それらの抑制機能を喪失するが、IL−17を産生する。
【0347】
Ova特異的CD3
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞上におけるIL−1R1発現の欠如は、これらの特異的誘導Tregが、炎症環境において安定であり有効に機能する理由を説明し得る。実際、
図11に示されているように、本発明者らが、異なるTreg集団:a)PBMCから単離したex vivo静止Treg、b)ポリクローナル刺激を用いた場合の、PBMCから単離したTreg由来のex vivoエクスパンションTreg、c)Rapa及びTGFβの存在下における、PBMCから単離した通常T細胞由来のポリクローナルin vitro誘導Treg、並びにd)RAPA、TGFβ及びPGE2の存在下における、ナイーブCD4+T細胞から単離したin vitro誘導Ova特異的CD3
+FOXP3+T細胞におけるIL−1R1の発現を評価したところ、本発明者らは、静止Treg、ポリクローナルエクスパンションTreg/誘導Treg上では、誘導Ova特異的CD3
+FOXP3
+T細胞と比較して、IL−1R1が優先的に発現されることを見出した。本発明者らはまた、抑制機能の安定性がIL−1R1発現と逆相関することを観察する。
【0348】
c−アポトーシスCD4
+T細胞ロード樹状細胞を使用した、病原性CD4
+T細胞に対する自己CD8媒介性T細胞応答の誘導.
本発明者らは、腫瘍抗原特異的FOXP3発現TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞(腫瘍細胞免疫回避を促す病原性CD4
+T細胞)を溶解するように機能的にコミットされた自己CD8
+T細胞株を生成するための実験手順を開発した。
【0349】
最初に、本発明者らは、先に記載されているように、腫瘍抗原特異的FOXP3
+発現TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞を誘導するための最適条件を設定した。
図12は、IL−2、TGFβ、PGE2及びラパマイシンの組み合わせを含むnTreg極性培地の存在下では、アポトーシス腫瘍細胞株パルス自己tDC(「腫瘍AgロードtDC」)は、抗原特異的刺激ナイーブ通常CD4
+T細胞(「ナイーブTreg」)において高レベルのFoxp3
+発現(
図12Aの頻度及び
図12BのMFI)を誘導することができるが、同じ極性培地の存在下では、非パルス自己tDC(「非ロードtDC」)は、ナイーブ通常CD4
+T細胞においてFoxp3
+発現を誘導することができなかったことを示している。
【0350】
次いで、本発明者らは、自己CD3
+ナイーブT細胞と共に共培養したアポトーシス病原性CD4
+T細胞をロードした炎症性DC(infDC)が、樹状細胞をロードするために使用した病原性CD4
+T細胞に対するCD8
+T細胞株の生成を誘導することができる培養系を確立した。
図13は、それぞれアポトーシス病原性CD4
+T細胞ロードinfDC(「mDC」)又はTAP阻害DCで誘導した2つのCD8
+クローンが、それらの特異的ターゲット(それらの誘導病原性CD4
+T細胞クローン)を溶解することができることを示している。しかしながら、自己EBV細胞株に対して、両CD8
+クローンを試験したところ、それらは、このターゲットを溶解することができない。
【0351】
d)ルミナルB乳ガンから単離した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)におけるFOXP3
+発現T細胞の存在.
ルミナルA及びBサブタイプは両方とも、エストロゲンレセプター陽性(ER+)及び低悪性度であり、ルミナルA腫瘍は非常に緩徐に成長し、ルミナルB腫瘍はより急速に成長する。ルミナルA腫瘍は、最良の予後を有する。ルミナルB腫瘍は、臨床転帰不良に関連する。本発明者らは、フローサイトメトリーによって、両ルミナルサブタイプ乳ガンから単離したTILにおけるリンパ球の表現型を検査したところ、CD3
+CD4
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞におけるFoxp3発現の存在を見出した。ルミナルA乳房腫瘍から抽出したTILでは、Foxp3は検出されなかった。また、CD3
+CD4
+TCRαβ
+MHCII拘束性T細胞におけるFoxp3の高発現率と乳ガンの臨床転帰不良との間には、正の相関が観察される(
図14)。