(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
セルに循環ポンプで電解液を循環させると共に、前記セルと電力系統との間に介在される電力変換器を充放電制御部で動作させ、前記セルと前記電力系統との間で充放電を行うレドックスフロー電池の運転方法であって、
前記電解液の循環を停止する際、前記充放電制御部は、前記循環ポンプから前記セルに向う導管に設けられるバルブを閉鎖して前記セル内に前記電解液を残存させ、
前記電力系統の停電時、前記充放電制御部は、前記セル内に残存する前記電解液の電力で前記電力変換器を再起動し、前記電力変換器を介して前記電力を前記循環ポンプに供給させて前記セル内への前記電解液の循環を再開することで、前記セルから前記電力系統への放電を行なう、
レドックスフロー電池システムの運転方法。
前記電力系統の非停電時は、前記セル内の前記電解液の電力が、前記循環ポンプによる前記電解液の循環を再開するために必要となる電力を下回らないように前記セルの充放電を行う請求項3又は請求項4に記載のレドックスフロー電池システムの運転方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[本開示が解決しようとする課題]
レドックスフロー電池システムは、瞬低対策などに用いられるにも関わらず、電力系統の停電時に自力で電力系統に放電できない。レドックスフロー電池システムでは、セル内に電解液を循環させる循環ポンプが停止すると、継続的に充放電できないからである。その対策として、特許文献1では、電力系統の停電時に循環ポンプを駆動する無停電電源装置(Uninterruptible Power Supply:UPS)が設けられている。しかし、循環ポンプを動作させる電力をまかなうためのUPSはレドックスフロー電池の電池容量に応じて大型化するため、設置スペースを多く必要とするという問題や、設置コストがかかるという問題がある。
【0008】
そこで、本開示は、電力系統の停電時に自力で電力系統に放電できるレドックスフロー電池システムを提供することを目的の一つとする。また、本開示は、電力系統の停電時に自力でレドックスフロー電池システムを再起動できるレドックスフロー電池システムの運転方法を提供することを目的の一つとする。
【0009】
[本開示の効果]
本開示のレドックスフロー電池システムによれば、電力系統の停電時に自力で循環ポンプを動作させることができる。
【0010】
本開示のレドックスフロー電池システムの運転方法によれば、電力系統の停電時に自力でレドックスフロー電池システムを再起動することができる。
【0011】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0012】
<1>実施形態に係るレドックスフロー電池システムは、
電力系統との間で充放電を行うセルと、
前記セルに供給される電解液を貯留するタンクと、
前記セルと前記タンクとの間で前記電解液を循環させる循環ポンプと、
前記セルと前記電力系統との間に配置される電力変換器と、
前記電力変換器の動作を制御することで前記セルの充放電を制御する充放電制御部と、
を備えるレドックスフロー電池システムであって、
前記充放電制御部は、前記電力系統の停電を検知したとき、前記セル内に残存する前記電解液の電力を前記循環ポンプに供給するように、前記電力変換器を制御する。
【0013】
上記構成によれば、電力系統の停電時に、セル内に残存する電解液の電力を利用して循環ポンプを動作させることができる。循環ポンプを動作させることができれば、タンク内に貯留される電解液の電力を取り出すことができ、その電力でさらに循環ポンプの動作を継続させることができる。その結果、タンク内の電解液の電力を電力系統に放電することができる。このように、実施形態に係るレドックスフロー電池システムは自力で電力系統に放電できる。
【0014】
電力系統の停電時に自力で放電できる実施形態のレドックスフロー電池システムは、UPSを必要としない。UPSを必要としないことで、例えば次のような効果を得ることができる。
[1]UPSの設置スペースを確保する必要がないため、レドックスフロー電池システムの設置場所の自由度が高い。
[2]UPSの設置スペースに利用していた空間により大型のタンクを設置するなどして、レドックスフロー電池システムの電池容量の向上を図ることができる。
[3]UPSの設置の手間、コストを削減することができる。
【0015】
<2>実施形態に係るレドックスフロー電池システムの一形態として、
前記循環ポンプから前記セルに向う導管に設けられるバルブを備え、
前記充放電制御部は、前記電解液の循環を停止する際、前記バルブを閉鎖して前記セル内に前記電解液を残存させる形態を挙げることができる。
【0016】
レドックスフロー電池システムでは、その運用時に循環ポンプを停止して、セルへの電解液の循環を停止することがある。その際、循環ポンプからセルに向う導管のバルブを閉鎖しておくことで、セル内に電解液が残存するようにしておく。そうすることで、循環ポンプが停止中に電力系統の停電が起こっても、セル内に電解液が残存しているため、実施形態に係るレドックスフロー電池システムは自力で電力系統に放電できる。
【0017】
<3>実施形態に係るレドックスフロー電池システムの一形態として、
前記タンクは、その内部に貯留される前記電解液の液面が前記セルの上端よりも高くなる位置に配置される形態を挙げることができる。
【0018】
上記構成によっても、循環ポンプが停止中に電力系統に停電が起こっても、セル内に電解液が残存しているため、実施形態に係るレドックスフロー電池システムは自力で電力系統に放電できる。タンク内の電解液の液面がセルの上端よりも高い位置に配置されているため、循環ポンプを停止しても重力でセル内に電解液が残存した状態になるからである。
【0019】
<4>実施形態に係るレドックスフロー電池システムの運転方法は、
セルに循環ポンプで電解液を循環させると共に、前記セルと電力系統との間に介在される電力変換器を充放電制御部で動作させ、前記セルと前記電力系統との間で充放電を行うレドックスフロー電池の運転方法であって、
前記電力系統の停電時、前記充放電制御部は、前記セル内に残存する前記電解液の電力で前記電力変換器を再起動し、前記電力変換器を介して前記電力を前記循環ポンプに供給させて前記セル内への前記電解液の循環を再開することで、前記セルから前記電力系統への放電を行なう。
【0020】
上記レドックスフロー電池システムの運転方法によれば、レドックスフロー電池システムが自力で電力系統に放電できる。それは、電力系統の停電時に、セル内に残存する電解液の電力を利用して循環ポンプを動作させられるからである。循環ポンプを動作させることができれば、タンク内に貯留される電解液の電力を取り出すことができ、その電力でさらに循環ポンプの動作を継続させることができる。
【0021】
<5>実施形態に係るレドックスフロー電池システムの運転方法の一形態として、
前記電力系統の非停電時は、前記セル内の前記電解液の電力が、前記循環ポンプによる前記電解液の循環を再開するために必要となる電力を下回らないように前記セルの充放電を行う形態を挙げることができる。
【0022】
電力系統の非停電時、セル内に残存する電解液の電力が循環ポンプの再起動に必要な電力を下回らないようにセルの充放電を行なうことで、電力系統の停電時に確実に循環ポンプを動作させることができる。
【0023】
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、本開示のレドックスフロー電池システムとその運転方法の実施形態を説明する。なお、本願発明は実施形態に示される構成に限定されるわけではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内の全ての変更が含まれることを意図する。
【0024】
<実施形態1>
実施形態に係るレドックスフロー電池システムの説明に先立ち、レドックスフロー電池(以下、RF電池)の基本構成を
図1〜
図3に基づいて説明する。
【0025】
≪RF電池≫
RF電池1は、電解液循環型の蓄電池の一つであって、太陽光発電や風力発電といった新エネルギーの蓄電などに利用されている。このRF電池1の動作原理を
図1に基づいて説明する。RF電池1は、正極用電解液に含まれる活物質イオンの酸化還元電位と、負極用電解液に含まれる活物質イオンの酸化還元電位との差を利用して充放電を行う電池である。RF電池1は、電力変換器30を介して、電力系統9の変電設備90に繋がっており、電力系統9との間で充放電を行なう。本例の電力系統9は交流送電を行う電力系統であって、電力変換器30は交流/直流変換器である。電力系統は直流送電を行う電力系統であっても良く、その場合、電力変換器は直流/直流変換器である。一方、RF電池1は、水素イオンを透過させる隔膜101で正極セル102と負極セル103とに分離されたセル100を備える。
【0026】
正極セル102には正極電極104が内蔵され、かつ正極用電解液を貯留する正極電解液用タンク106が導管108,110を介して接続されている。導管108には循環ポンプ112が設けられており、これら部材106,108,110,112によって正極用電解液を循環させる正極用循環機構100Pが構成されている。同様に、負極セル103には負極電極105が内蔵され、かつ負極用電解液を貯留する負極電解液用タンク107が導管109,111を介して接続されている。導管109には循環ポンプ113が設けられており、これらの部材107,109,111,113によって負極用電解液を循環させる負極用循環機構100Nが構成されている。各タンク106,107に貯留される電解液は、充放電の際に循環ポンプ112,113によりセル102,103内に循環される。充放電を行なわない場合、循環ポンプ112,113は停止され、電解液は循環されない。
【0027】
[セルスタック]
上記セル100は通常、
図2、
図3に示すような、セルスタック200と呼ばれる構造体の内部に形成される。セルスタック200は、サブスタック200s(
図3)と呼ばれる積層構造物をその両側から二枚のエンドプレート210,220で挟み込み、締付機構230で締め付けることで構成されている(
図3に例示する構成では、複数のサブスタック200sを用いている)。
【0028】
サブスタック200s(
図3)は、セルフレーム2、正極電極104、隔膜101、および負極電極105を繰り返し積層し、その積層体を給排板190,190(
図3の下図参照、
図2では省略)で挟み込んだ構成を備える。
【0029】
セルフレーム2は、貫通窓を有する枠体22と、貫通窓を塞ぐ双極板21と、を有している。つまり、枠体22は、双極板21をその外周側から支持している。このようなセルフレーム2は、例えば、双極板21の外周部に枠体22を一体に成形することで作製することができる。また、貫通窓の外周縁部を薄肉に形成した枠体22と、枠体22とは別に作製した双極板21とを用意し、枠体22の薄肉部に双極板21の外周部を嵌めこむことで、セルフレーム2を作製することもできる。このセルフレーム2の双極板21の一面側には正極電極104が接触するように配置され、双極板21の他面側には負極電極105が接触するように配置される。この構成では、隣接する各セルフレーム2に嵌め込まれた双極板21の間に一つのセル100が形成されることになる。
【0030】
図3に示す給排板190,190を介したセル100への電解液の流通は、セルフレーム2に形成される給液用マニホールド123,124と、排液用マニホールド125,126により行われる。正極用電解液は、給液用マニホールド123からセルフレーム2の一面側(紙面表側)に形成される入口スリット(実線で示す湾曲路を参照)を介して正極電極104に供給され、セルフレーム2の上部に形成される出口スリット(実線で示す湾曲路を参照)を介して排液用マニホールド125に排出される。同様に、負極用電解液は、給液用マニホールド124からセルフレーム2の他面側(紙面裏側)に形成される入口スリット(破線で示す湾曲路を参照)を介して負極電極105に供給され、セルフレーム2の上部に形成される出口スリット(破線で示す湾曲路を参照)を介して排液用マニホールド126に排出される。各セルフレーム2間には、Oリングや平パッキンなどの環状シール部材127が配置され、サブスタック200sからの電解液の漏れが抑制されている。
【0031】
≪RF電池システム≫
以上説明したRF電池1の基本構成を踏まえて、実施形態に係るRF電池システムαを
図4に基づいて説明する。
図4では、セル100の構成を簡略化して示しているが、
図3と同様の構成を備えると考えて良い。また、
図4ではセル100の電解液8を模式的に図示しているが、セル100内では、正極電解液8P(正極電解液用タンク106内参照)と、負極電解液8N(負極電解液用タンク107内参照)とが混ざり合うことは無い。
【0032】
本例のRF電池システムαは、RF電池1と、電力変換器30の動作を制御することでセル100の充放電を制御する充放電制御部3と、を備える。本例の充放電制御部3は、電力変換器30に繋がっている。充放電制御部3は、常時、セル100から電力を供給されるように構成しても良いし、電力系統9の非停電時は電力系統9から電力を供給され、電力系統9の停電時はセル100から電力を供給されるように構成しても良い。RF電池1のセル100は、
図1を用いて説明したように、電力系統9との間で充放電を行う。また、RF電池1のタンク106(107)は、セル100に供給される電解液8P(8N)を貯留する。RF電池1の循環ポンプ112(113)は、導管108,110(109,111)を介してセル100とタンク106(107)との間で、電解液8P(8N)を循環させる。
【0033】
本例のRF電池システムαはさらに、循環ポンプ112(113)に電力を供給するポンプ配線4と、導管108(109)に設けられるバルブ5A(5B)と、バルブ5A,5Bに電力を供給するバルブ配線5と、を備える。ここで、本例の循環ポンプ112,113やバルブ5A,5Bは、交流で動作するものを利用している。電力系統9が直流送電系統であれば、循環ポンプ112,113やバルブ5A,5Bは直流で動作するものを利用する。
【0034】
[ポンプ配線]
循環ポンプ112,113に電力を供給するポンプ配線4は、電力変換器30から循環ポンプ112,113に延びている。図示する例とは異なり、ポンプ配線4は、電力変換器30と電力系統9との間から分岐して循環ポンプ112,113に延びていても良い。このような構成とすることで、電力系統9の非停電時には、電力系統9からの電力で循環ポンプ112,113を動作できるし、電力系統9の停電時には、セル100内に残留する電解液8の電力を利用して循環ポンプ112,113を動作できる。循環ポンプ112,113に供給される電力量は、充放電制御部3によって制御される。本例の循環ポンプ112,113の動作信号は、細線矢印で示すように、充放電制御部3から発せられる。動作信号は、循環ポンプ112,113のON/OFFを切り替える信号である。
【0035】
[バルブ]
バルブ5Aは、導管108の途中に設けられて、正極電解液用タンク106からセル100への正極電解液8Pの供給量を調整する。同様に、バルブ5Bは、導管109の途中に設けられて、負極電解液用タンク107からセル100への負極電解液8Nの供給量を調整する。バルブ5A,5Bとしては、モーターで駆動する電動バルブや、ソレノイドで駆動する電磁バルブを利用することができる。
【0036】
[バルブ配線]
バルブ5A,5Bに電力を供給するバルブ配線5は、電力変換器30からバルブ5A,5Bに延びている。図示する例とは異なり、バルブ配線5は、電力変換器30と電力系統9との間から分岐してバルブ5A,5Bに延びていても良い。このような構成とすることで、電力系統9の非停電時には、電力系統9からの電力でバルブ5A,5Bを動作できるし、電力系統9の停電時には、セル100内に残留する電解液8の電力を利用してバルブ5A,5Bを動作できる。本例のバルブ5A,5Bの動作信号は、細線矢印で示すように、充放電制御部3から発せられる。動作信号は、バルブ5A,5BのON/OFFを切り替える信号である。
【0037】
≪RF電池システムの運転方法≫
上記構成を備えるRF電池システムαは、以下のように運転される。
【0038】
[通常運転時]
RF電池システムαの通常運転時(非停電時)、RF電池システムαの充放電制御部3は、図示しないモニタセルでセル100内の電解液8の電圧を監視するなどして、セル100内の電解液8P,8Nの電力が、循環ポンプ112,113による電解液8P,8Nの循環を再開するために必要となる電力を下回らないようにセル100の充放電を制御する。
【0039】
また、RF電池システムαの通常運転時、循環ポンプ112,113を停止して、セル100への電解液8P,8Nの循環を停止することがある。循環ポンプ112,113を停止する状況としては、例えば、RF電池1が十分に充電された場合などを挙げることができる。本例では、電解液8P,8Nの循環を停止する際、RF電池システムαの充放電制御部3は、バルブ5A,5Bを閉鎖してセル100内に電解液8を残存させる。
【0040】
[電力系統の停電時]
電力系統9の停電時、RF電池システムαの充放電制御部3は、セル100内に残存する電解液8の電力を利用して、循環ポンプ112,113を動作させ、タンク106,107内の電解液8P,8Nの電力を電力系統9に放電する。
【0041】
具体的には、充放電制御部3は、電力系統9の電圧の変化に基づいて電力系統9の停電を検知する。電力系統9の停電を検知すると、充放電制御部3は、バルブ5A,5Bが開放されている場合はバルブ5A,5Bを閉鎖してセル100内に電解液8を残存させてから、停電時専用のモードで再起動する。充放電制御部3の再起動の電力は、セル100内に残存する電解液8の電力で行なわれる。
【0042】
停電時専用のモードで起動した充放電制御部3は、循環ポンプ112,113を動作させるのに最適な周波数の交流電力を生成し、循環ポンプ112,113を動作させると共に、バルブ5A,5Bを開放する。循環ポンプ112,113が一旦動いてしまえば、タンク106,107内の電解液8P,8Nがセル100に送り込まれ、電解液8P,8Nの電力も取り出せるので、循環ポンプ112,113およびバルブ5A,5Bの動作を継続できる。その結果、タンク106,107内の電解液8P,8Nの電力を電力系統9に放電することができる。
【0043】
≪効果≫
上述したように、本例のRF電池システムαとその運転方法によれば、電力系統9の停電時に自力で放電できるため、RF電池システムαにUPSを必要としない。UPSを必要としないことで、次のような効果を得ることができる。
[1]UPSの設置スペースを確保する必要がないため、RF電池システムαの設置場所の自由度が高い。
[2]UPSの設置スペースに利用していた空間により大型のタンク106,107を設置するなどして、RF電池システムαの電池容量の向上を図ることができる。
[3]UPSの設置の手間、コストを削減することができる。
【0044】
<実施形態2>
実施形態2では、実施形態1とは、セル100内に電解液8を残存させる構成が異なるRF電池システムβを
図5に基づいて説明する。実施形態1と同様の構成については
図4と同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0045】
≪概略構成≫
図5に示す実施形態2の構成では、タンク106,107の電解液8P,8Nの液面が、セル100の上端よりも高くなるようにタンク106,107を配置している。ここで、セル100の上端とは、
図2,3に示す電極104,105が配置される空間の上端である。上記構成とすることで、循環ポンプ112,113の動作・停止に関わらず、セル100内に電解液8が残存した状態にできる。
【0046】
≪RF電池システムの運転方法≫
[通常運転時]
RF電池システムβの通常運転時も、RF電池システムβの充放電制御部3は、図示しないモニタセルでセル100内の電解液8の電圧を監視するなどして、セル100内の電解液8P,8Nの電力が、循環ポンプ112,113による電解液8P,8Nの循環を再開するために必要となる電力を下回らないようにセル100の充放電を制御する。
【0047】
また、RF電池システムβの通常運転時、循環ポンプ112,113を停止して、セル100への電解液8P,8Nの循環を停止する場合、循環ポンプ112,113を停止するだけでセル100内に電解液8を残存させることができる。それは、上述したように、タンク106,107の電解液8P,8Nの液面が、セル100の上端よりも高い位置にあるためである。
【0048】
[電力系統の停電時]
電力系統9の停電時、RF電池システムβの充放電制御部3は、実施形態1の構成と同様に、セル100内に残存する電解液8の電力を利用して、循環ポンプ112,113を動作させ、タンク106,107内の電解液8P,8Nの電力を電力系統9に放電する。
【0049】
具体的には、充放電制御部3は、電力系統9の電圧の低下から電力系統9の停電を検知する。電力系統9の停電を検知すると、充放電制御部3は、停電時専用のモードで再起動する。充放電制御部3の再起動の電力は、セル100内に残存する電解液8の電力で行なわれる。停電時専用のモードで起動した充放電制御部3は、循環ポンプ112,113を動作させるのに最適な周波数の交流電力を生成し、循環ポンプ112,113を動作させる。循環ポンプ112,113が動けば、電解液8P,8Nの電力も取り出せるので、循環ポンプ112,113の動作を継続できる。その結果、タンク106,107内の電解液8P,8Nの電力を電力系統9に放電することができる。
【0050】
≪効果≫
本例の構成によっても、UPSを必要としないため、実施形態1と同様の効果を得ることができる。また、本例の構成は、実施形態1のバルブ5A,5B(
図4参照)とその制御が不要なシンプルな構成であるため、構築が容易で、メンテナンス性に優れる。
【0051】
<用途>
実施形態のRF電池システムα,βは、太陽光発電、風力発電などの新エネルギーの発電に対して、発電出力の変動の安定化、発電電力の余剰時の蓄電、負荷平準化などを目的とした蓄電池システムとして利用できる。また、本実施形態のRF電池システムα,βは、一般的な発電所に併設されて、瞬低・停電対策や負荷平準化を目的とした大容量の蓄電池システムとしても利用することができる。