(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
建築物の屋根や屋上等のように、防水を必要とする広い箇所に対し、不透水性の塗膜を形成することにより防水機能を付与することが行われている。こうした塗膜防水工法の一つとして、ウレタン系樹脂を含有する塗料(ウレタン塗料)を用いた防水工事がある。ウレタン塗工は、比較的低価格であり、作業性や仕上がりも良好であり、また幅広い用途に適用可能であることから広く使用されている。
【0003】
ウレタン塗工では通常、まず、防水が必要な箇所(素地)に下塗り材を塗工し、その上に上塗り塗料を塗工することが行われる。また、膜厚を十分に確保するためや仕上がりを良好にするために、上塗り塗料を複数回に分けて塗工することも行われる。このとき、先に形成された塗膜が十分に乾燥し表面のべたつきがなくなるまでには長時間(例えば、半日から数日程度)かかる。このため、塗膜のべたつきがなくなるまで待ってから次の塗工を行うものとすると、工事期間が長くなってしまう。
【0004】
一方、工事期間を短縮させるために、塗膜にべたつきが有る状態で次の塗工を行うことが考えられる。しかしながら、屋根等の広い範囲に塗膜を形成する場合、作業者は塗工面の上を歩行しながら次の塗工を行う必要がある。そのため、塗膜にべたつきが有る状態では、塗工面の上の歩行が困難になったり、塗工の仕上がりに影響が及んだりするおそれがある。
【0005】
上記のような不都合を避けるために、従来、作業者は、自身の靴の裏にポリエチレン製の粘着テープを貼り付けたり、シリコーンを原料とするシーリング材(シリコーンシーラント)を塗布したりすることにより、靴の裏に離型性を付与する等の工夫をしながら塗工作業を行っている。また、ウレタン塗工を行う作業者の靴の裏に貼り付けるシート部材として、布帛の上に、アクリル酸エステル樹脂を主成分とする第1層と、アクリル酸エステル樹脂及びシリコーン樹脂を主成分として含有する第2層とが積層された離型性シート部材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、靴の裏にポリエチレン製の粘着テープを貼り付ける方法により靴の裏に離型性を付与するものとした場合、粘着テープの劣化物(例えば、テープの粘着剤等)が塗膜に付着しやすく、塗工の仕上がりの質が低下することが懸念される。また、靴の裏にシリコーンシーラントを塗布する方法では、塗布したシーラントが乾燥するまでに長時間(3日程度)を要することや、シーラントに含まれるオイルが滲み出て塗工の仕上がりに影響が及ぶことが懸念される。
【0008】
特許文献1に記載のシート部材のように、布帛の上に樹脂膜を形成することにより離型性を付与した場合には、滑り防止性能が十分でないことが懸念される。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、床面に対して離型性が高く、且つ使用者が滑りにくい靴底シートを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するべく、本発明は以下の手段を採用した。
【0011】
第1の構成は、靴の裏に貼り付けられる靴底シートであって、粘着層と、シリコーンゴムにより形成されたゴム層と、を備える積層体であり、前記ゴム層は、前記粘着層が前記靴の裏に貼り付けられた状態において床面に接触される接地面を有し、前記接地面に、シリコーンゴムにより形成され、かつ前記積層体の厚み方向へ突出する多数の突部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記構成の靴底シートは、その接地面がシリコーンゴムにより形成され、かつ接地面に、靴底シートの厚み方向へ突出する多数の突部が形成されている。こうした構成とすることにより、離型性が高く、且つ滑りにくい靴底シートとすることができる。よって、ゴム層が外側になるように上記靴底シートを靴の裏に貼り合わせることにより、使用者がべたつきを有する塗膜の上を歩行することを可能にするとともに、使用者の安全性を確保することができる。また、離型性が高いため、塗工面上を使用者が歩行しても塗膜に及ぼす影響が少なく、膜の仕上がりを良好に保持することができる。
【0013】
さらに、シリコーンゴムにより形成された多数の突部を床面に接地させる構成としているため、塗工面のみならず、種々の材質の床面に対し良好なグリップ性を発揮することができる。これにより、使用者は、歩行する場所に応じて作業中に靴を履き替えたり、靴底シートを靴の裏から剥がしたりしなくて済む。
【0014】
第2の構成は、第1の構成において、前記粘着層と前記ゴム層との間に、クッション性を有する中間層が設けられていることを特徴とする。靴裏の形状(凹凸の程度)や、靴底シートを貼り付ける使用者の技術によっては、靴底シートを靴の裏に貼り付ける際に、靴裏に密着するように靴底シートを上手く貼り付けできないことがある。この場合、靴裏に貼り付けた靴底シートが靴裏から剥がれやすくなったり、シート平面にうねりが生じたりすることによって、塗工の仕上がりに影響が及ぶことが懸念される。この点、ゴム層と粘着層との間にクッション性を有する層を介在させることにより、ゴム層を有する積層体に柔軟性を付与でき、積層体を厚み方向に変形しやすくすることができる。また、靴底シートを靴の裏の形状に追従させて靴裏に密着するように貼り付けやすくすることができる。
【0015】
第3の構成は、第1又は第2の構成において、樹脂フィルムを更に備え、前記樹脂フィルムの一方の面に前記ゴム層が形成されており、前記樹脂フィルムを挟んで前記ゴム層とは反対側に前記粘着層が配置されていることを特徴とする。
【0016】
靴底シートの使用時において、シートの面方向に力が加わると、ゴム層がゴム弾性により面方向に伸びて変形しやすい。また、シリコーンゴムは、例えばイソプレンゴムや天然ゴムに比べると引裂き耐性が低い傾向にある。こうした点を考慮し、第3の構成のように樹脂フィルムを更に設けることで、ゴム層の伸びの抑制と引裂き耐性の向上とを図ることができる。これにより、靴底シートの強度及び耐久性を高めることができ、製品寿命を長くすることができる。また、靴底シートの劣化を抑制することができ、靴底シートの劣化が塗工の仕上がりに及ぼす影響を少なくすることができる。
【0017】
第4の構成は、第1〜第3のいずれかの構成において、前記積層体の厚み方向からみて、前記積層体の外形が前記靴の裏の外形形状に対応しており、かつ前記積層体の大きさが前記靴の裏よりも大きくなっており、前記積層体の外縁のうち少なくとも爪先部分に、外周から内側へ向けて延び、かつ外周側に開放された切り込みを有することを特徴とする。
【0018】
上記構成では、靴底シートが靴の先からはみ出るように靴底シートが靴の裏に貼り付けられた場合、そのはみ出した部分には、外周から内側へ延びる切り込みが形成されている。このため、靴底シートにおける爪先部分のはみ出し部分を靴の周面に沿って折り曲げた場合に、靴底シートが靴の先端部分を覆うように靴底シートを靴の周面にしっかりと貼り付けることができる。また、靴の爪先部分にも靴裏シートを貼り付けることにより、例えば使用者が作業中に足先に体重を掛けるようにしてしゃがんだ場合にも、靴の爪先部分を覆う靴底シートによって、使用者の靴の爪先部分が塗工面に直接接触することを抑制できる。これにより、塗工面に不具合が生じたり、使用者の作業性が低下したりすることを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
以下、第1実施形態の靴底シートについて図面を参照しつつ説明する。なお、
図3では、説明の便宜上、厚み寸法を実際の厚み寸法よりも大きく示している。
【0021】
図1及び
図2に示すように、靴底シート10は、靴30の裏(以下、「靴裏31」という。)に貼り付けられて使用されるシート状部材である。この靴底シート10は特に、建築物の屋根や屋上、ベランダ、バルコニー等の防水工事を行う作業者の靴30(例えば、作業靴や運動靴、安全靴等)の靴裏31に貼り付けられて使用される。なお、以下の説明では、靴底シート10のうち、靴裏31に貼り付けられる面(貼付面11)側を「裏側」、靴底シート10が靴裏31に貼り付けられた状態において地面に接触される面(接地面12)側を「表側」というものとする。
【0022】
靴底シート10は、
図2に示すように、靴裏31の形状に対応する外形形状を有する。靴底シート10の大きさは、成人男性の平均的な靴の大きさ(例えば27センチメートルの靴サイズ)よりも一回り大きく、具体的には、長さLが34cmセンチメートル、幅Wが14センチメートルとなっている。靴底シート10の厚みDは、例えば1.2ミリメートル程度となっている。
【0023】
靴底シート10は、
図3に示すように、複数の層からなる積層体である。靴底シート10は、芯材としての樹脂フィルム13と、樹脂フィルム13の表側の面に設けられたゴム層14と、樹脂フィルム13の裏側に設けられた中間層15と、貼付面11を有する粘着層16とを備えており、これら複数の層が一体化されている。
【0024】
樹脂フィルム13は、硬質の樹脂材料により形成されており、具体的にはポリエチレンテレフタラート(PET)により形成されている。樹脂フィルム13は、靴裏31の形状に対応する形状を有している。樹脂フィルム13の厚みは、例えば0.1ミリメートル程度となっている。なお、樹脂フィルム13は、ポリエチレンテレフタラート以外の樹脂材料により形成されていてもよく、例えばポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等により形成されていてもよい。
【0025】
ゴム層14は、樹脂フィルム13の一方の面に、その面全体に亘ってシート状に形成されている。ゴム層14は、室温硬化型又は加熱硬化型のシリコーンゴムにより形成されており、室温でゴム弾性を示す。このゴム層14は、ポリシロキサン(例えば高重合度のジメチルポリシロキサン等)とシリカとを含有するゴム組成物を用い、これを室温硬化又は加熱硬化することにより形成されている。ゴム層14は、樹脂フィルム13の外形と略同じ外形に形成されている。ゴム層14の厚みは、樹脂フィルム13の厚みよりも大きくされ、0.5ミリメートル程度となっている。なお、樹脂フィルム13とゴム層14との密着性を向上させるために、樹脂フィルム13とゴム層14との間に、シリコーン系粘着剤やアクリル系粘着剤等の粘着剤層が更に設けられていてもよい。
【0026】
図3に示すように、ゴム層14は、靴底シート10の最表層部分を構成する。ゴム層14の表面14aは、靴底シート10が靴裏31に取り付けられた状態において床面に接する接地面12となっている(
図1参照)。表面14aには、靴底シート10の厚み方向へ突出する多数の突部17が形成されている(
図3参照)。これら突部17はシリコーンゴム製であり、ゴム層14の本体部分と一体化されている。具体的には、ゴム層14には、
図2中の一点鎖線で囲まれた部分に示すように、層表面にエンボス加工が施されている。これにより、ゴム層14は、多数の凸部17aが形成されたシリコーンゴム製シートとなっている。
【0027】
ゴム層14に形成されたエンボスの形状(すなわち、凸部17aの形状)は、円形又は楕円形である。これら多数の凸部17aが、表面14aの全域に亘って所定間隔で形成されている。凸部17aの大きさは、径が1ミリメートル程度、高さが0.1〜0.2ミリメートル程度となっている。なお、エンボスの形状は、円形、楕円形に限らず、例えば三角形、四角形等であってもよい。また、模様図柄、線状の凸部であってもよい。
【0028】
中間層15は、発泡材料を用いて形成されたクッション層であり、樹脂フィルム13の裏面全体に亘って形成されている。ここでは、発泡ポリエチレンにより中間層15が形成されている。中間層15は、その表面部分の全体を樹脂フィルム13及びゴム層14により覆われることで、靴底シート10の内層部分を構成する。中間層15の厚みは、樹脂フィルム13の厚みよりも大きくされ、0.5ミリメートル程度となっている。中間層15は、ゴム層14の変形に追従して変形する。
【0029】
なお、中間層15は、発泡ポリエチレン以外の発泡材料により形成されていてもよく、例えば発泡ポリウレタンや発泡ポリプロピレン、EVA(エチレン酢酸ビニル)フォーム等により形成されていてもよい。
【0030】
中間層15は、樹脂フィルム13のうちゴム層14が形成された面とは反対側の面に、接着剤層18を介在させて接着されている。接着剤層18は、シリコーン系接着剤等の合成樹脂系接着剤を塗布することにより形成されている。
【0031】
粘着層16は、中間層15のうちゴム層14が形成された面とは反対側の面(裏面)に、その裏面全域に亘って形成されている。粘着層16は、中間層15の裏面に接着剤が塗布されることにより形成されている。ここでは、アクリル系接着剤により粘着層16が形成されている。粘着層16の裏面は、靴底シート10を靴裏31に貼り付けるための貼付面11となっている。貼付面11には剥離紙19が設けられている。
【0032】
次に、靴底シート10を靴裏31に取り付ける方法、及び靴底シート10を靴裏31に取り付けた際の作用について説明する。
【0033】
建築物の屋根や屋上、ベランダ、バルコニー等のように、防水を必要とする面積が広い箇所には、その箇所に不透水性の塗膜を形成することにより防水機能を付与することが行われている。ウレタン塗料を用いた防水工事は、比較的低価格であり、作業性及び塗工の仕上がりが良好である上、幅広い用途に適用可能であることから、広い面積の床面に防水性を付与するための工法として広く使用されている。
【0034】
靴底シート10の使用前には、貼付面11に剥離紙19が付いたままの状態になっている。防水工事を行う作業者は、まず、剥離紙19を貼付面11から剥がし、貼付面11と靴裏31とを貼り合わせる。このとき、作業者は、靴裏31の面全体が靴底シート10で覆われるように靴底シート10を靴裏31に貼り付ける(
図1参照)。その後、必要に応じて、靴底シート10の靴裏31からはみ出した部分を鋏等で切断する。なお、
図1には、靴底シート10のはみ出し部分を靴裏31の外形に沿って一回り大きめに切断した状態を示している。こうして、靴裏31の面全体が、表面に多数の凸部17aを有するシリコーンゴム製シートを外側に向けた状態で靴底シート10により覆われる。
【0035】
ここで、ウレタン塗工では通常、塗膜の付着性や錆止め性を強化したり、素地の凸凹を調整したりすることを目的として、まず素地に下塗り材(プライマーやフィラー等ともいう。)を塗工し、その上に上塗り塗料を塗工することが行われる。また、上塗り塗料を複数回に分けて塗工することもある。このとき、作業時間を短縮するために、作業者が、先に形成された塗膜の表面のべたつき(タック)がなくなる前にそのべたつきを有する塗膜の上に次の塗膜を形成することがある。この場合、屋根や屋上等のような広い領域に塗膜を形成する際には、作業者は、べたつきを有する塗膜の上を歩行しながら塗工することになる。こうした場合にも、作業者がべたつきを有する塗膜の上をスムーズにかつ安全に歩行でき、しかも塗工の仕上がりに影響が及ばないようにする必要がある。
【0036】
上記に対し、防水工事を行う作業者が、自身の靴裏31に靴底シート10を貼り付け、その貼り付けた状態で塗工作業を行うことにより、先に形成された塗膜に未だべたつきが有る状態でも、作業者は、先に形成された塗膜の良好な仕上がりを保持しつつ、そのべたつきが有る表面を容易にかつ安全に歩行することができる。また、靴底シート10の接地面12には、シリコーンゴムにより形成された多数の凸部17aが設けられているため、ウレタン塗工した部分だけでなく、それ以外の床面に対しても滑りにくい。このため、作業者が塗工箇所から別の場所に移動しようとした場合にも、作業者は滑りにくく、作業者の安全性を確保できる。また、作業者は、滑り防止を図るために、塗工箇所から別の場所に移動する都度わざわざ靴を履き替えたり、靴底シート10を剥がしたりしなくて済む。
【0037】
以上詳述した本実施形態によれば、次の優れた効果が得られる。
【0038】
靴底シート10の接地面をシリコーンゴムにより形成し、かつその接地面に、厚み方向へ突出する多数の凸部17aを形成した。これにより、防水工事用の塗工を施した塗工面に対する離型性が高く、しかも作業者が滑りにくい靴底シート10とすることができる。
【0039】
また、シリコーンゴムにより形成された多数の凸部17aにより床面に接地させる構成としたため、塗工面のみならず、種々の材質の床面に対し良好なグリップ性を発揮することができる。このため、使用者は、歩行する場所に応じて作業中にわざわざ靴を履き替えたり、靴底シート10を靴裏31から剥がしたりしなくて済む。
【0040】
エンボス加工によりゴム層14の表面に多数の凸部17aを形成したことから、ゴムシートの表面に対し比較的簡単な方法により微細な凸部17aを設けることができる。これにより、靴底シート10のコスト低減を図ることができる。また、多数の凸部17aはゴム層14の本体部分と一体化した状態で形成されていることから、靴底シート10を繰り返し使用しても凸部17aが取れにくく、ゴム層14の表面に凸部17aが形成された状態を継続して保持することができる。
【0041】
靴底シート10では、ゴム層14と粘着層16との間に、クッション性を有する中間層15を介在させたため、ゴム層14を有する積層体に柔軟性を付与でき、厚み方向に変形させやすくすることができる。これにより、作業者が、靴底シート10を靴裏31の形状に追従させて靴裏31に密着するように貼り付けやすくすることができる。また、作業時に靴30の変形に追従して中間層15が変形することにより、靴底シート10を靴30の動きに追従させることができ、作業者の動きを妨げにくくすることができる。
【0042】
靴底シート10において、樹脂フィルム13の表面にゴム層14を形成したため、ゴム層14の伸びの抑制及び引裂き耐性の向上を図ることができる。これにより、靴底シート10の強度及び耐久性を高めることができ、製品寿命を長くすることができる。また、靴底シート10の劣化を抑制することができ、靴底シートの劣化が塗工の仕上がりに及ぼす影響を少なくすることができる。
【0043】
靴底シート10の強度及び耐久性を確保するためには、靴底シート10がある程度の厚みを有していることが望ましい。その一方で、ゴム層14の厚みを増すことにより靴底シート10の厚みを確保しようとすると、靴底シート10の強度及び耐久性を確保できるものの、柔軟性が十分でなく、靴裏31の形状(凹凸の程度)や作業者の技術によっては、靴裏31に密着するように靴底シート10を上手く貼り付けることができないことが考えられる。この点、靴底シート10の内層として、クッション性を有する層(中間層15)をゴム層14と粘着層16との間に介在させる構成としたため、強度及び耐久性と柔軟性とをバランス良く兼ね備えた靴底シート10を得ることができる。
【0044】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について第1実施形態との相違点を中心に説明する。第2実施形態では、靴底シート10の外縁に切り込みが形成されている点で第1実施形態と相違する。なお、本実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0045】
図4に示すように、靴底シート10の外縁には、外側端部から内側に向けて複数(
図4では5個)の切り込み21が形成されている。各切り込み21は、内側から外側に向けて開放されるように鋭角のV字状となっている。また、各切り込み21は、靴底シート10の外縁のうち爪先部22のみに設けられている。なお、切り込み21の数は5個に限らず、4個以下としてもよいし、あるいは6個以上としてもよい。
【0046】
靴底シート10を靴裏31に貼り付ける際には、作業者は、靴底シート10の貼付面11に対し、爪先部分の外縁端部から後退した位置に(例えば、切り込み21の内側端部に靴30の先端部が位置するように)靴裏31を当て、靴裏31に靴底シート10を貼り付ける。その後、爪先部分に形成された靴底シート10のはみ出し部分を靴30の周面に沿って折り曲げて靴30の先端部に貼り付ける。これにより、
図5に示すように、靴の先端部(爪先部)を靴底シート10により覆うことができる。この場合、作業者が作業中に足先に体重を掛けるようにしてしゃがんだ際に、靴30の爪先部分を覆う靴底シート10によって、靴30の爪先部が塗工面に直接接触しないようにすることができる。これにより、塗工面に不具合が生じたり、作業者の作業性が低下したりすることを抑制できる。
【0047】
特に、靴底シート10はシリコーンゴム製のシートを有しており、例えば不織布に比べると柔軟性が低く曲げにくい。この点、本実施形態のように、靴底シート10の爪先部分に切り込み21を設けることにより、靴30の爪先部分を覆うように靴底シート10を貼り付ける際に靴底シート10を折り曲げやすく、靴底シート10と靴30との密着性を向上させることができる。
【0048】
なお、靴底シート10を靴裏31に貼り付けた後であって、靴30の先端部分を靴底シート10で覆う前又は後に、必要に応じて、靴底シート10の靴裏31からはみ出した部分を鋏等で切断してもよい。
【0049】
<他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0050】
・上記実施形態において、靴底シート10は、本発明の効果を損なわない限り、樹脂フィルム13、ゴム層14、中間層15及び粘着層16及び剥離紙19以外の他の層を更に有していてもよい。例えば、中間層15と粘着層16との間に、中間層15側から順に接着層及び第2の樹脂フィルムを更に介在させてもよい。
【0051】
・上記第2実施形態において、靴底シート10の外縁に形成される切り込み21の形状は、
図4に示すような鋭角のV字状に限定されない。例えば、外周から内側に向けて延びる直線状又は曲線状の切り込みを靴底シート10の外縁に形成してもよい。あるいは、切り込み内側に膨らんだ曲線状の切込みを靴底シート10の外縁に形成してもよい。これらの構成であっても、靴底シート10の爪先部分に形成されたはみ出し部分を、靴30の周面に沿って折り曲げて靴30の先端部に貼り付けることにより、靴30の先端部を靴底シート10で覆いやすくすることができる。これにより、作業者がしゃがんで爪先立ちになった場合にも、靴30の先端部と塗工面との間にゴム層14が介在されることにより、靴30の先端部が塗膜に直接接触することを抑制することができる。
【0052】
・上記第2実施形態では、靴底シート10の外縁のうち爪先部22のみに切り込み21を設けたが、爪先部22以外の箇所に切り込み21を設けてもよい。例えば、靴底シート10に、その外周方向の全体に亘って多数の切り込み21が所定間隔で形成された構成とする。この場合、靴底シート10における2つの切り込み21の間のはみ出し部分を靴30の外周に沿って順次折り曲げて貼り付けることにより、靴30の下部の外周全体を靴底シート10で覆うことができる。
【0053】
・靴底シート10の裏面、すなわち剥離紙19のうち粘着層16とは反対側の面に、靴裏31を貼り合わせる位置を使用者に教示するための表示部を設けてもよい。こうした表示部を設けることにより、使用者は、剥離紙19を剥がす前に、靴底シート10を靴裏31に貼り合わせた状態をイメージしやすくなる。このため、靴底シート10を初めて使用する使用者にとっても、靴底シート10を靴裏31に正しく貼り合わせやすいものとすることができる。
【0054】
・上記実施形態では、発泡材料により中間層15を形成したが、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、アセテート繊維等からなる不織布により中間層15を形成し、これにより中間層15がクッション性を有するものとなっていてもよい。
【0055】
・上記実施形態では、靴底シート10の形状を靴裏31の形状に対応する外形形状としたが、その他の外形形状を有する靴底シート10としてもよい。例えば、四角形状(矩形形状)や楕円形状等の外形形状を有するものとしてもよい。