(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の皮膚外用剤、皮膚外用剤用キット及び皮膚外用剤用組成物について、その好ましい実施形態に基づいて説明する。本発明の皮膚外用剤用キット及び皮膚外用剤用組成物はそれぞれ本発明の発泡性皮膚外用剤の一形態である。本発明の発泡性皮膚外用剤は、酸性物質、炭酸ガス発生物質、増粘剤及び下記特定成分を全て同一剤に含んでいてもよく、また複数の剤に分けて含有していてもよく、複数の剤に分ける場合に、4種の成分をどのように分けてもよい。但し、酸性物質と炭酸ガス発生物質と炭酸ガスが発生するために必要な量の水分とは同一剤に含まれないものとする。酸性物質と炭酸ガス発生物質とを含む同一剤の水分量は好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、特に好ましくは8質量%以下である。
【0013】
本発明に係る炭酸ガス発泡性皮膚外用剤は、化粧料、医薬部外品、医薬品のいずれの形態でも使用することができるが、有効性や使用性の観点から、化粧品又は医薬部外品(薬用化粧品)として用いることが好ましく、医薬部外品(薬用化粧品)として用いることが特に好ましい。
【0014】
また、本発明に係る炭酸ガス発泡性皮膚外用剤は、頭皮、頭髪を含む皮膚に外用することができ、パック料、育毛料、洗顔料、クレンジング料、化粧水、乳液、美容ジェル、シャンプー、コンディショナー等、様々な形態で用いることができる。洗い流す場合にはパック料、洗顔料、クレンジング料に用いることが好ましい。
【0015】
まず、本発明の皮膚外用剤、皮膚外用剤用キット及び皮膚外用剤用組成物に用いる主要な各構成成分について説明する。以下、「皮膚外用剤」という場合、炭酸ガス発生物質と酸性物質と水とが接触し、これら3者が混合される前の皮膚外用剤(例えば皮膚外用剤用キット、皮膚外用剤用組成物)を指す場合もあり、あるいは、これらが混合された後の炭酸ガス含有皮膚外用剤(例えば当該キットの2剤を混合して得られるものか又は皮膚外用剤用組成物を含水物質と混合して得られるもの)を指す場合もある。いずれを指すかについては文脈に応じて判断する。以下では、本発明の皮膚外用剤、キット及び組成物に含まれる成分等についてまとめて説明している。
【0016】
<酸性物質>
本発明に用いる酸性物質としては、無機酸、有機酸のいずれでもよく、これらの1種又は2種以上が用いられる。
【0017】
無機酸としてはリン酸、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、酸性へキサメタリン酸ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸カリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、スルファミン酸などが挙げられる。
【0018】
有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等の直鎖脂肪酸又はその塩類、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸又はその塩類、グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸又はその塩類、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、サリチル酸、没食子酸、トロパ酸、アスコルビン酸、グルコン酸等のオキシ酸又はその塩類等が挙げられ、無機酸としては、リン酸、亜硫酸等の無機酸又はその塩類が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0019】
なかでも、安全性、水への溶解性の観点から、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸及びコハク酸が好ましい。
【0020】
本発明の皮膚外用剤における酸性物質の含有量は、美容効果を効率よく発現する観点から、該皮膚外用剤100質量部に対して、0.01質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上20質量部以下であることが更に好ましい。同様に、(1)及び(2)のキットの酸含有組成物中の酸性物質の含有量及び(3)のキットの酸及び塩基含有組成物中の酸性物質の含有量は、該当するキットの2剤の合計量100質量部に対して、0.01質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上20質量部以下であることが更に好ましい。本明細書でいう皮膚外用剤の量は、本発明の皮膚外用剤が2剤以上のキットの場合は、各キットの成分を混合する混合開始時点のキットの各剤の合計量であればよく、皮膚外用剤が1剤式の皮膚外用剤用組成物と含水物質との混合により得られる場合は、この混合開始時点の組成物と含水物質の合計量であればよい。
【0021】
更に、本発明の(1)のキットにおける酸含有組成物(酸含有含水組成物)中の酸性物質の含有量は、該酸含有組成物(酸含有含水組成物)中、0.01質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
本発明の(2)のキットにおける酸含有組成物中の酸性物質の含有量は、該酸含有組成物の固形分中、0.1質量%以上90質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上80質量%以下であることが更に好ましい。
本発明の(3)のキットにおける酸及び塩基含有組成物中の酸性物質の含有量は、該酸及び塩基含有組成物の固形分中、0.01質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上40質量%以下であることが更に好ましい。
本発明の皮膚外用剤用組成物中の酸性物質の含有量は、該皮膚外用剤用組成物の固形分中、0.01質量%以上40質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上30質量%以下であることが更に好ましい。
【0022】
<炭酸ガス発生物質>
本発明に用いる前記酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質としては、前記酸性物質と反応して二酸化炭素を発生する物質であればよい。
【0023】
炭酸ガス発生物質としては、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、セスキ炭酸ナトリウム等の炭酸塩、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム等の炭酸水素塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。これらのうちでも、炭酸水素塩が好ましく使用でき、程よい発泡力を実現することができる点で炭酸水素ナトリウムがより好ましい。
【0024】
本発明の皮膚外用剤における炭酸ガス発生物質の含有量は、皮膚外用剤100質量部に対して、0.01質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。同様に、(1)及び(2)のキットの塩基含有組成物中の炭酸ガス発生物質の含有量及び(3)のキットにおける酸及び塩基含有組成物中の炭酸ガス発生物質の含有量は、該当するキットの2剤の合計量100質量部に対して、0.01質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上20質量部以下であることが更に好ましい。
【0025】
本発明の(1)のキットにおける塩基含有組成物中の炭酸ガス発生物質の含有量は、該塩基含有組成物の固形分中、0.1質量%以上90質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上80質量%以下であることが更に好ましい。
本発明の(2)のキットにおける塩基含有組成物(含水組成物)中の炭酸ガス発生物質の含有量は、該塩基含有組成物中0.01質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
本発明の(3)のキットにおける酸及び塩基含有組成物中の炭酸ガス発生物質の含有量は、該酸及び塩基含有組成物の固形分中、0.01質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上40質量%以下であることが更に好ましい。
本発明の皮膚外用剤用組成物中の炭酸ガス発生物質の含有量は、該皮膚外用剤用組成物の固形分中、0.01質量%以上40質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上30質量%以下であることが更に好ましい。
【0026】
<増粘剤>
本発明に使用される増粘剤の例としては、化粧料、医薬品分野において用いられ得る各種のものが挙げられる。増粘剤としては、例えば、合成高分子、半合成高分子、天然高分子、粘度鉱物等が使用でき、具体的には、合成高分子としては、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリレーツ/アクリル酸アルキルクロスポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアルキルアクリルアミド/ポリアクリルアミドコポリマー、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、プルロニック、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーをはじめとする親水性合成高分子、半合成高分子としては、例えば、カルボキシメチルセルロース又はその塩類、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スルホン化セルロース誘導体などのセルロース誘導体が挙げられる。その他の半合成高分子として、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸エチレングリコールエステル、デキストリン脂肪酸エステル、ゼラチン脂肪酸エステル、ゼラチン脂肪酸アミドなども挙げられる。天然高分子としては、多糖類及びその誘導体、例えば、キサンタンガム、サクシノグリカン、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、セルロース類、ガラクタン、アラビアガム、トラガントガム、タマリンドガム、寒天、アガロース、マンナン、カードラン、アルギン酸又はその塩類、アラビアゴム、ペクチン、クインシード、デンプン、アルゲコロイド、アルカシーラン、コンドロイチン硫酸又はその塩類、キトサン及びその誘導体、核酸又はその塩類、リボ核酸又はその塩類、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、フィブロイン、エラスチン、ケラチン、セリシン等の水溶性タンパク質、ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸などのムコ多糖類などが挙げられる。粘土鉱物としては、ラポナイト、ベントナイト、スメクタイトカオリナイト、モンモリロナイト等が挙げられる。
上記の塩類としては、アルカリ金属塩が好ましく挙げられ、例えばナトリウム塩やカリウム塩が挙げられる。
【0027】
本発明においては、上記増粘剤1種又は2種以上を使用することができるが、上記増粘剤のなかでも、水への溶解性又は分散性が高いものを用いることが、使用時に未溶解成分や未分散成分に起因する肌のざらつき感を緩和することができるため好ましい。ここで、水への溶解性の良否は、室温程度の水を加え撹拌した際に、瞬時に水に溶けて、あるいは分散して均一に溶解することによって十分な粘度を有することや、溶解時又は分散時にダマを生じないこと等から判断することができる。
【0028】
前述した水への溶解性及び分散性の観点から増粘剤のうちの好ましいものとしては、例えば、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース又はその塩類、ポリビニルアルコール、PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー、アルカシーラン、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、キサンタンガム、サクシノグリカン、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、セルロース誘導体(セルロース類)、ガラクタン、アラビアガム、トラガントガム、タマリンドガム、寒天、マンナン、カードラン、アルギン酸又はその塩類、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン等を挙げることができ、特に好ましいものとして、アルギン酸又はその塩、ヒドロキシエチルエーテル、カルボキシメチルセルロース又はその塩類、キサンタンガム、カラギーナン、タマリンドガム、アルブミンを挙げることができる。
【0029】
本発明の皮膚外用剤に含まれる増粘剤の量は、皮膚外用剤100質量部に対して、0.01質量部以上40質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上30質量部以下であることが更に好ましい。同様に、(1)及び(2)のキットにおける酸含有組成物及び/又は塩基含有組成物中の増粘剤の含有量及び(3)のキットにおける酸及び塩基含有組成物及び/又は含水組成物中の増粘剤の含有量は、該当するキットの2剤の合計量100質量部に対して、0.01質量部以上40質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上30質量部以下であることが更に好ましい。ここでいう酸含有組成物及び/又は塩基含有組成物中の増粘剤の量とはこれらの一方が増粘剤を含有している場合はその量であり、両方が増粘剤を含有している場合はその合計量であり、塩基含有組成物及び/又は含水組成物中の増粘剤の量も同様である。
【0030】
また本発明の皮膚外用剤用組成物中の増粘剤の含有量は、該皮膚外用剤用組成物の固形分中、0.1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上30質量%以下であることが更に好ましい。
【0031】
<水>
本発明で使用できる水は、化粧品、外用医薬品、医薬部外品等で使用できる水を使用することができるが、精製水、蒸留水、膜濾過水、イオン交換水が好ましい。
【0032】
本発明の皮膚外用剤における水の量(又は皮膚外用剤に使用される水の量)は、本発明による美容効果を十分奏させる観点から、皮膚外用剤100質量部に対して、20質量部以上95質量部以下であることが好ましく、30質量部以上90質量部以下であることが更に好ましい。ここでいう水の量は皮膚外用剤用組成物の場合は、水の量と組成物量の合計に対する水の割合である。同様に、(1)〜(3)のキットにおける水の含有量は、該当するキットの2剤の合計量100質量部に対して、20質量部以上95質量部以下であることが好ましく、30質量部以上90質量部以下であることが更に好ましい。ここでいうキットにおける水の量とは、2剤中の水の合計量であり、2剤のうち1剤のみが水を含有している場合の該剤中の水の量である。
【0033】
<多価アルコール>
本発明では皮膚外用剤に多価アルコールを含有することが、後述する特定成分との組み合わせにより高い保湿効果を発揮しうる点から好ましい。多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等のポリグリセリン、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、ソルビトール、ポリグリセリン誘導体、グルコース、フルクトース、グリセルアルデヒド、ラクトース、アラビノース、マルトース等の還元糖、エリスリトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール等の糖アルコールなどが挙げられ、これら1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、保湿効果が高い点から炭素原子数は2以上が好ましく、また、2価以上好ましい。
【0034】
本発明の皮膚外用剤に含有される多価アルコールの量は、上述した特定成分との組み合わせによる美容効果を十分奏させる観点から、皮膚外用剤100質量部に対して、1質量部以上80質量部以下であることが好ましく、5質量部以上70質量部以下であることが更に好ましい。同様に、(1)及び(2)のキットにおける酸含有組成物及び/又は塩基含有組成物中の多価アルコールの含有量及び(3)のキットにおける酸及び塩基含有組成物及び/又は含水組成物中の多価アルコールの含有量は、該当するキットの2剤の合計量100質量部に対して、1質量部以上80質量部以下であることが好ましく、5質量部以上70質量部以下であることが更に好ましい。ここでいう酸含有組成物及び/又は塩基含有組成物中の多価アルコールの量とはこれらの一方が多価アルコールを含有している場合はその量であり、両方が多価アルコールを含有している場合はその合計量であり、塩基含有組成物及び/又は含水組成物中の多価アルコールの量も同様である。
【0035】
本発明の皮膚外用剤は、特定の有効成分(以下特定成分ともいう)を含有することを特徴の一つとする。そのような成分について以下に詳述する。
【0036】
<アスコルビン酸グルコシド>
アスコルビン酸グルコシドとしては、2−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸(AA−2G、アスコルビン酸−2−グルコシド、L−アスコルビン酸 2−グルコシド等と呼ばれる場合もある)が挙げられる。アスコルビン酸グルコシドは自然から分離されたものであってもよく、生化学的に合成されたものであってもよい。アスコルビン酸グルコシドはメラニン生成抑制作用があるとされ、美白用の化粧料・医薬部外品に使用されている。本発明者は、このアスコルビン酸グルコシドによる効果が、酸性物質、炭酸ガス発生物質、増粘剤及び水と混合した場合に得られる炭酸ガス発泡性皮膚外用剤において効率よく奏されることを見出した。アスコルビン酸グルコシドは、(1)〜(3)のいずれのキットに含有されていても良く、また1剤式の皮膚外用剤用組成物に含有されていても良い。アスコルビン酸グルコシドが2剤式のキットに含まれる場合、2剤のうち一方がジェル状であり他方が固形状である剤、2剤のうち一方がジェル状であり他方が液状である剤、2剤ともジェル状である剤、2剤のうち一方が液状であり他方が固形状である剤、又は2剤とも液状である剤のいずれに用いられてもよい。アスコルビン酸グルコシドを含め下記各種の特定成分が含有される剤は固形状であっても液状であってもジェル状であってもよい。
【0037】
本発明において、アスコルビン酸グルコシドは、皮膚外用剤中の量が0.01質量%以上20質量%以下となることがアスコルビン酸グルコシドによる有利な効果を効率よく発揮する観点から好ましい。この観点から、アスコルビン酸グルコシドの皮膚外用剤中の量は0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、0.1質量部以上5質量部以下であることが特に好ましい。同様に、(1)及び(2)のキットにおける酸含有組成物及び/又は塩基含有組成物中のアスコルビン酸グルコシドの含有量及び(3)のキットにおける酸及び塩基含有組成物及び/又は含水組成物中のアスコルビン酸グルコシドの含有量は、該当するキットの2剤の合計量100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上10質量部以下であることが更に好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。ここでいう酸含有組成物及び/又は塩基含有組成物中のアスコルビン酸グルコシドの量とは、これらの一方がアスコルビン酸グルコシドを含有している場合はその量であり、両方がアスコルビン酸グルコシドを含有している場合はその合計量である。酸及び塩基含有組成物及び/又は含水組成物中のアスコルビン酸グルコシドの量についても同様である。
【0038】
アスコルビン酸グルコシドは、(1)のキットに含まれる場合、酸含有組成物(含水組成物)及び塩基含有組成物のうちいずれに含有されていてもよい。アスコルビン酸グルコシドが(1)のキットの酸含有組成物中に含有される場合、アスコルビン酸グルコシドによる有利な効果を効率よく発揮する観点から、その含有量は、該酸含有組成物中0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。またアスコルビン酸グルコシドが(1)のキットの塩基含有組成物中に含有される場合、その含有量は、塩基含有組成物の固形分中0.1質量%以上90質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
【0039】
アスコルビン酸グルコシドは、(2)のキットに含まれる場合、酸含有組成物に含有されていることが、皮膚外用剤においてアスコルビン酸グルコシドによる効果を効率よく発揮できる点から好ましい。一方、塩基含有組成物に含有されている場合、キット中に安定的に存在しにくい。アスコルビン酸グルコシドが(2)のキットの酸含有組成物中に含有される場合、その含有量は、酸含有組成物の固形分中90質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
【0040】
アスコルビン酸グルコシドは、(3)のキットに含まれる場合、酸及び炭酸塩含有組成物及び含水組成物のうちいずれに含有されていてもよい。アスコルビン酸グルコシドが(3)のキットの酸及び炭酸塩含有組成物中に含有される場合、その含有量は、酸及び炭酸塩含有組成物の固形分中0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。またアスコルビン酸グルコシドが(3)のキットの含水組成物中に含有される場合、その含有量は、含水組成物中0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
【0041】
本発明の皮膚外用剤用組成物中のアスコルビン酸グルコシドの含有量は、該皮膚外用剤用組成物の固形分中、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
【0042】
<別の特定成分>
本発明の皮膚外用剤、皮膚外用剤用キット、及び皮膚外用剤用組成物は、アスコルビン酸グルコシド以外の特定の有効成分を含有した場合も、当該成分を含有することによる美容等の効果を発揮することができる。そのような成分を以下に挙げる。なお、本発明の皮膚外用剤用キットに含有される特定成分の、2剤の合計量に対する好ましい割合は、以下に示す皮膚外用剤中の特定成分の好ましい量と同様である。また、皮膚外用剤用組成物における特定成分の好ましい含有量は、以下に示す特定成分の皮膚外用剤の固形分中の好ましい量と同様である。
【0043】
アラントインは、C
4H
6N
4O
3の組成を有する化合物で、グリオキシル酸のジウレイドである。別名5−ウレイドヒダントイン、グリオキシジウレイドともいい、消炎剤として知られる。皮膚外用剤がアラントインを含有する場合、その量は皮膚外用剤中、0.001質量%以上20質量%以下が好ましく、0.01質量%以上10質量%以下がより好ましい。またアラントインの量は皮膚外用剤の固形分中0.01質量%以上30質量%以下が好ましく、0.05質量%以上20質量%以下がより好ましい。
【0044】
アラントインが、(1)のキットの酸含有組成物中に含有される場合、その含有量は、該酸含有組成物中0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。またアラントインが(1)のキットの塩基含有組成物中に含有される場合、その含有量は、塩基含有組成物の固形分中0.01質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
【0045】
アラントインが(2)のキットの酸含有組成物中に含有される場合、その含有量は、酸含有組成物の固形分中0.01質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。またアラントインが(2)のキットの塩基含有組成物中に含有される場合、その含有量は、塩基含有組成物中0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
【0046】
アラントインが(3)のキットの酸及び炭酸塩含有組成物中に含有される場合、その含有量は、酸及び炭酸塩含有組成物の固形分中0.01質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。またアラントインが(3)のキットの含水組成物中に含有される場合、その含有量は、含水組成物中0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
【0047】
トラネキサム酸は、trans−4−(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸とも呼ばれ、消炎剤、美白剤として知られる。皮膚外用剤がトラネキサム酸を含有する場合、その量は皮膚外用剤中、0.01質量%以上20質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましい。またトラネキサム酸の量は皮膚外用剤の固形分中0.1質量%以上80質量%以下が好ましく、1質量%以上70質量%以下がより好ましい。
【0048】
トラネキサム酸が、(1)のキットの酸含有組成物中に含有される場合、その含有量は、該酸含有組成物中0.1質量%以上60質量%以下であることが好ましく、1質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。またトラネキサム酸が(1)のキットの塩基含有組成物中に含有される場合、その含有量は、塩基含有組成物の固形分中1質量%以上90質量%以下であることが好ましく、5質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
【0049】
トラネキサム酸が(2)のキットの酸含有組成物中に含有される場合、その含有量は、酸含有組成物の固形分中1質量%以上90質量%以下であることが好ましく、5質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。またトラネキサム酸が(2)のキットの塩基含有組成物中に含有される場合、その含有量は、塩基含有組成物中0.1質量%以上60質量%以下であることが好ましく、1質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
【0050】
トラネキサム酸が(3)のキットの酸及び炭酸塩含有組成物中に含有される場合、その含有量は、酸及び炭酸塩含有組成物の固形分中0.1質量%以上80質量%以下であることが好ましく、1質量%以上75質量%以下であることがより好ましい。またトラネキサム酸が(3)のキットの含水組成物中に含有される場合、その含有量は、含水組成物中0.01質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
【0051】
d−カンフルは、化学名を(1R,4R)−1,7,7−Trimethylbicyclo[2.2.1]heptan−2−oneといい、二環性モノテルペンケトンの一つでありクスノキ等中に含まれ材片を水蒸気蒸留して得られる。皮膚外用剤がd−カンフルを含有する場合、その量は皮膚外用剤中、0.001質量%以上10質量%以下が好ましい。またd−カンフルの量は皮膚外用剤の固形分中0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0052】
サリチル酸は、化学式C
7H
6O
3の化合物である。皮膚外用剤がサリチル酸を含有する場合、その量は皮膚外用剤中、0.0001質量%以上10質量%以下が好ましい。またサリチル酸の量は皮膚外用剤の固形分中0.001質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0053】
ビオチンはD−[(+)−cis−ヘキサヒドロ−2−オキソ−1H−チエノ−(3,4)−イミダゾール−4−吉草酸]と呼ばれ、ビタミンB群に分類される水溶性ビタミンの一種である。皮膚外用剤がビオチンを含有する場合、その量は皮膚外用剤中、0.0001質量%以上1質量%以下が好ましい。またビオチンの量は皮膚外用剤の固形分中0.0001質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0054】
レゾルシンは化学式 C
6H
4(OH)
2 で示される化合物であり、1,3−ジヒドロキシベンゼンに相当する。皮膚外用剤がレゾルシンを含有する場合、その量は皮膚外用剤中、0.001質量%以上10質量%以下が好ましい。またレゾルシンの量は皮膚外用剤の固形分中0.01質量%以上20質量%以下が好ましい。
【0055】
トリクロロカルバニリドはトリクロカルバン又は3,4,4’−トリクロロカルバニリドともいう。皮膚外用剤がトリクロロカルバニリドを含有する場合、その量は皮膚外用剤中、0.001質量%以上10質量%以下が好ましい。またトリクロロカルバニリドの皮膚外用剤の固形分中0.01質量%以上20質量%以下が好ましい。
【0056】
トリクロサンは、5−クロロ−2−(2’,4’−ジクロロフェノキシ)フェノールともいう。皮膚外用剤がトリクロサンを含有する場合、その量は皮膚外用剤中、0.0001質量%以上10質量%以下が好ましい。またトリクロサンの量は皮膚外用剤の固形分中0.001質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0057】
塩化ベンゼトニウムは化学式C
27H
42ClNO
2で表され、陽イオン界面活性剤の一種である。皮膚外用剤が塩化ベンゼトニウムを含有する場合、その量は皮膚外用剤中、0.0001質量%以上10質量%以下が好ましい。また塩化ベンゼトニウムの量は皮膚外用剤の固形分中0.001質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0058】
イオウは、化学式Sで表される単体である。皮膚外用剤がイオウを含有する場合、その量は皮膚外用剤中、0.001質量%以上20質量%以下が好ましい。またイオウの量は皮膚外用剤の固形分中0.01質量%以上20質量%以下が好ましい。
【0059】
感光素201号はピオニンとも呼ばれる。皮膚外用剤が感光素201号を含有する場合、その量は皮膚外用剤中、0.0001質量%以上5質量%以下が好ましい。またピオニンの量は皮膚外用剤の固形分中0.0005質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0060】
ピリドキシンは4,5−bis(hydroxymethyl)−2−methylpyridin−3−ol、又はビタミンB6と呼ばれる水溶性の化合物である。皮膚外用剤がピリドキシンを含有する場合、その量は皮膚外用剤中、0.0001質量%以上5質量%以下が好ましい。またピリドキシンの量は皮膚外用剤の固形分中0.0005質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0061】
塩酸ピリドキシンはピリドキシンを塩酸塩にしたものであり、5−Hydroxy−6−methylpyridine−3,4−dimethanol monohydrochlorideとも呼ばれている。皮膚外用剤が塩酸ピリドキシンを含有する場合、その量は皮膚外用剤中、0.001質量%以上10質量%以下が好ましい。また塩酸ピリドキシンの量は皮膚外用剤の固形分中0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0062】
酸化亜鉛は、化学式ZnOで表される。皮膚外用剤が酸化亜鉛を含有する場合、その量は皮膚外用剤中、0.01質量%以上20質量%以下が好ましい。また皮膚外用剤の固形分中0.05質量%以上20質量%以下が好ましい。
【0063】
アルブチンとしては、βアルブチン及びαアルブチンが挙げられ、4−(β−D−グルコピラノシルオキシ)フェノールと呼ばれるβアルブチンが一般的である。皮膚外用剤がアルブチンを含有する場合、その量は皮膚外用剤中、0.01質量%以上20質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましい。またアルブチンの量は、皮膚外用剤の固形分中0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、1質量%以上40質量%以下がより好ましい。
【0064】
アルブチンが、(1)のキットの酸含有組成物中に含有される場合、その含有量は、該酸含有組成物中0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、1質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。またアルブチンが(1)のキットの塩基含有組成物中に含有される場合、その含有量は、塩基含有組成物の固形分中1質量%以上90質量%以下であることが好ましく、5質量%以上85質量%以下であることがより好ましい。
【0065】
アルブチンが(2)のキットの酸含有組成物中に含有される場合、その含有量は、酸含有組成物の固形分中1質量%以上90質量%以下であることが好ましく、5質量%以上85質量%以下であることがより好ましい。またアルブチンが(2)のキットの塩基含有組成物中に含有される場合、その含有量は、塩基含有組成物中0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、1質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
【0066】
アルブチンが(3)のキットの酸及び炭酸塩含有組成物中に含有される場合、その含有量は、酸及び炭酸塩含有組成物の固形分中1質量%以上80質量%以下であることが好ましく、5質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。またアルブチンが(3)のキットの含水組成物中に含有される場合、その含有量は、含水組成物中0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、1質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
【0067】
リン酸−L−アスコルビルマグネシウムは、別名L−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウムと呼ばれる。皮膚外用剤がL−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウムを含有する場合、その量は皮膚外用剤中、0.01質量%以上20質量%以下が好ましい。また皮膚外用剤の固形分中0.05質量%以上20質量%以下が好ましい。
【0068】
ジパルミチン酸アスコルビルは、L−アスコルビン酸2,6−ジパルミテートとも呼ばれる。皮膚外用剤がパルミチン酸アスコルビルを含有する場合、その量は皮膚外用剤中、0.01質量%以上20質量%以下が好ましい。また皮膚外用剤の固形分中0.05質量%以上20質量%以下が好ましい。
【0069】
グリチルリチン酸としては、βグリチルリチン酸が挙げられる。またグリチルリチン酸誘導体としては、グリチルリチン酸ジカリウム(「グリチルリチン酸ニカリウム」とよばれることもある)、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルレチン酸ステアリルが挙げられる。グリチルリチン酸モノアンモニウムは無水物でも、水和物でもよい。皮膚外用剤がこれらのグリチルリチン酸及びその誘導体を含有する場合、これらの一種の量及び合計量は、皮膚外用剤中、0.0001質量%以上10質量%以下が好ましく、0.001質量%以上1質量%以下がより好ましい。またグリチルリチン酸及びその誘導体の含有量は皮膚外用剤の固形分中0.001質量%以上20質量%以下が好ましく、0.005質量%以上10質量%以下がより好ましい。
【0070】
グリチルリチン酸及びその誘導体が、(1)のキットの酸含有組成物中に含有される場合、その含有量は、該酸含有組成物中0.001質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。またグリチルリチン酸及びその誘導体が(1)のキットの塩基含有組成物中に含有される場合、その含有量は、塩基含有組成物の固形分中0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
【0071】
グリチルリチン酸及びその誘導体が(2)のキットの酸含有組成物中に含有される場合、その含有量は、酸含有組成物の固形分中0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。またグリチルリチン酸及びその誘導体が(2)のキットの塩基含有組成物中に含有される場合、その含有量は、塩基含有組成物中0.001質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
【0072】
グリチルリチン酸及びその誘導体が(3)のキットの酸及び炭酸塩含有組成物中に含有される場合、その含有量は、酸及び炭酸塩含有組成物の固形分中0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。またグリチルリチン酸及びその誘導体が(3)のキットの含水組成物中に含有される場合、その含有量は、含水組成物中0.001質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.050質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
【0073】
グリチルリチン酸及びその誘導体の量についての上記の各好ましい量は、グリチルリチン酸及びその誘導体のうち一種の量であってもよく、グリチルリチン酸及びその誘導体の合計量であってもよい。
【0074】
レチノールは、ビタミンAとも呼ばれる。皮膚外用剤がレチノールを含有する場合、その量は、皮膚外用剤中、0.00001質量%以上20質量%以下が好ましい。また皮膚外用剤の固形分中0.00005質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0075】
パルミチン酸レチノールは、ビタミンAパルミテートとも呼ばれる。皮膚外用剤がパルミチン酸レチノールを含有する場合、その量は、皮膚外用剤中、0.00001質量%以上20質量%以下が好ましい。また皮膚外用剤の固形分中0.00005質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0076】
エストラジオールは、一般名エストラ−1.3.5(10)トリエン−3.17β−ジオールである。エチニルエストラジオールは、一般名17−エチニルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3β,17β−ジオールである。皮膚外用剤がこれらのエストラジオール類を含有する場合、その一種の量及び合計量は、皮膚外用剤中、0.00001質量%以上5質量%以下が好ましい。また皮膚外用剤の固形分中0.00005質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0077】
酢酸dl−αトコフェロール及びニコチン酸dl−αトコフェロールはいずれもビタミンE誘導体として知られる。皮膚外用剤が酢酸dl−αトコフェロール及び/又はニコチン酸dl−αトコフェロールを含有する場合、その1種の量及び合計量は、皮膚外用剤中、0.0001質量%以上10質量%以下が好ましい。また皮膚外用剤の固形分中0.001質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0078】
D−パントテニルアルコールは、(R)−2,4−ジヒドロキシ−N−(3−ヒドロキシプロピル)−3,3−ジメチルブタンアミドとも呼ばれる。皮膚外用剤がD−パントテニルアルコールを含有する場合、その量は、皮膚外用剤中、0.01質量%以上20質量%以下が好ましい。また皮膚外用剤の固形分中0.05質量%以上20質量%以下が好ましい。
【0079】
パントテニールエチルエーテルは、(2R)−N−(3−エトキシプロピル)−2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルブタンアミドとも呼ばれる。皮膚外用剤がパントテニールエチルエーテルを含有する場合、その量は、皮膚外用剤中、0.001質量%以上10質量%以下が好ましい。また皮膚外用剤の固形分中0.005質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0080】
フェノールは、示性式がC
6H
5OHであり、ベンゼンの水素原子の一つがヒドロキシル基に置換した構造を持つ。皮膚外用剤がフェノールを含有する場合、その量は、皮膚外用剤中、0.001質量%以上10質量%以下が好ましい。また皮膚外用剤の固形分中0.005質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0081】
プラセンタは、動物、好ましくはブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヒトの胎盤の細胞分裂を促進する成長因子や他の栄養素、魚の卵巣膜の栄養素、及び植物の胚芽の栄養成分の総称を意味する。本発明に用いるプラセンタとしては、通常化粧品又は医薬部外品として使用できるものであれば特に限定されない。本発明においては、市販の水溶性エキスや粉末を使用することができる。皮膚外用剤がプラセンタを含有する場合、その量は、皮膚外用剤中、0.01質量%以上20質量%以下が好ましい。また皮膚外用剤の固形分中0.05質量%以上20質量%以下が好ましい。
【0082】
これらの特定成分のうちアラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸ステアリル、d−カンフル、サリチル酸、アルブチン及びプラセンタについては、本発明では、2剤式の皮膚外用剤用キットに含有されることが好ましく、特に(1)又は(2)のキットに含有されることが好ましい。これらを含め、特定成分は、1剤式の皮膚外用剤用組成物に含有されていてもよく、2剤式の皮膚外用剤用キットに含有されていてもよいことはいうまでもない。特に使用後の角質水分量を高めたり優れたターンオーバー効果を発揮する点から特定成分が2剤式のキットに用いられることが好ましい。また本発明の皮膚状態改善効果や使用感の向上の効果は増粘剤の種類により限定されるものではないが、これらのうちの所望の効果を、特定成分と組み合わせる増粘剤の種類により更に一層高めることが可能である。
【0083】
各特定成分については、2剤のうち一方がジェル状であり他方が固形状である剤、2剤のうち一方がジェル状であり他方が液状である剤、2剤ともジェル状である剤、2剤のうち一方が液状であり他方が固形状である剤、又は2剤とも液状である剤のいずれに用いられてもよい。酢酸dl−αトコフェロールについては、2剤のうち一方がジェル状であり他方が液状である剤、2剤ともジェル状である剤、2剤のうち一方が液状であり、他方が固形状である剤、又は2剤とも液状である剤に用いられることが好ましい。更にプラセンタについては、2剤のうち一方がジェル状であり他方が固形状である剤、2剤のうち一方がジェル状であり他方が液状である剤、2剤ともジェル状である剤、又は2剤とも液状である剤に用いられることが、好ましい。
【0084】
また(1)〜(3)のキットにおいて、エストラジオール、エチニルエストラジオール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、D−パントテニルアルコール、パントテニールエチルエーテル、フェノール、プラセンタは、含水組成物((1)のキットの酸含有組成物、(2)のキットの塩基含有組成物、(3)のキットの含水組成物)に含まれることがその効果を発揮する上で好ましい。(1)〜(3)のキットにおけるこれら含水組成物に含まれるこれらの特定成分(エストラジオール、エチニルエストラジオール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、D−パントテニルアルコール、パントテニールエチルエーテル、フェノール、プラセンタ)の量は、その2剤の合計量における好ましい割合が、上記で述べた皮膚外用剤中におけるこれら特定成分の好ましい割合と同様の割合であることが好ましい。
【0085】
アラントイン、グリチルリチン酸及びその誘導体、トラネキサム酸、d−カンフル、サリチル酸、ビオチン、レゾルシン、トリクロロカルバニリド、トリクロサン、塩化ベンゾニウム、イオウ、感光素201号、ピリドキシン類、酸化亜鉛、アルブチン、レチノール、パルミチン酸レチノールについては(1)のキットの塩基含有組成物又は酸含有組成物、(2)のキットの酸含有組成物、(3)のキットの酸及び塩基含有組成物に含まれることがその効果を発揮する上で好ましい。(1)〜(3)のキットにおけるこれらの組成物に含まれるこれらの特定成分(アラントイン、グリチルリチン酸及びその誘導体、トラネキサム酸、d−カンフル、サリチル酸、ビオチン、レゾルシン、トリクロロカルバニリド、トリクロサン、塩化ベンゾニウム、イオウ、感光素201号、ピリドキシン類、酸化亜鉛、アルブチン、レチノール、パルミチン酸レチノール)の量は、その2剤の合計量に対する好ましい割合が、上記で述べた皮膚外用剤100質量部に対するこれら特定成分の好ましい割合と同様の割合であることが好ましい。
【0086】
<その他の成分>
本発明の皮膚外用剤はその他有効成分、防腐剤、pH調整剤、油脂、香料、着色剤、酸化防止剤、防菌防かび剤、アルコール、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤、無機塩、滑沢剤、溶剤等の、通常皮膚外用剤に使用される成分の一種以上を使用することができる。これらは本発明の皮膚外用剤用組成物に含有される。また本発明のキットにおいては、添加する成分は第一剤、第二剤いずれか一方の剤に使用することができるし、どちらの剤にも使用しても良い。
【0087】
本発明の皮膚外用剤、キット及び皮膚外用剤用組成物中において、その他の成分(水、酸性物質、炭酸ガス発生物質、増粘剤、多価アルコール、及び前記特定成分以外の成分)の含有量は合計で30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。
【0088】
<キットの剤形及び成分量>
(1)〜(3)のキットについて更に詳述する。(1)〜(3)のキットにおいて、各キットの含水組成物((1)のキットの酸含有組成物、(2)のキットの塩基含有組成物、(3)のキットの含水組成物)の剤形としてはジェル状又は液状が挙げられる。また、各キットの他方の剤((1)のキットの塩基含有組成物、(2)のキットの酸含有組成物、(3)のキットの酸及び塩基含有組成物))の剤形としては、固形状、液体状、ジェル状等いずれの剤形でもよい。固形状の場合、顆粒状、細粒状、粉末状の形態であることが、他方の剤との混合のしやすさや、製造時のコストの観点から好ましい。
【0089】
<(1)〜(3)のキットの含水組成物>
(1)〜(3)のキットの前記含水組成物における炭酸ガス発生物質、酸性物質及び特定成分の好ましい量は上述した通りである。また(1)〜(3)のキットの前記含水組成物における水分の割合は20質量%以上、特に30質量%以上であることが各キットの他方の剤との混合性等の観点から好ましく、95質量%以下、特に90質量%以下であることが他の成分を含有して皮膚外用剤としての美容効果などを高める点から好ましい。
【0090】
(1)〜(3)のキットの前記含水組成物に多価アルコールを含有させる場合であって、該含水組成物における多価アルコールの割合は、1質量%以上、特に10質量%以上であることが特定成分との組み合わせ等により保湿効果を高める観点から好ましく、90質量%以下、特に80質量%以下、とりわけ70質量%以下であることが他の成分を含有して皮膚外用剤としての美容効果などを高める点から好ましい。
【0091】
その他、(1)〜(2)の各含水組成物には、上述した酸性物質、炭酸ガス発生物質、特定成分が上述した量で含まれることが好ましい。また(1)〜(3)の各含水組成物には、多価アルコール以外の保湿剤、界面活性剤、pH調整剤、揮発性アルコール、油脂類、香料、動植物の抽出物等を添加することができる。例えば、多価アルコール以外の保湿剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、アーモンド、アボカド、アルテア、アロエ、ウスベニアオイ、オノニス、カラスムギ、甘草、クインスシード、クララ(クジン)、クチナシ、グレープフルーツ、クレソン、ゲンチアナ、ゲンノショウコ、ゴボウ、コムギ、サイシン、サボテン、サボンソウ、サンザシ、ジオウ、シモツケ、ショウガ、ゼニアオイ、クワ、タチジャコウソウ、冬虫夏草、ドクダミ、ハッカ、ハトムギ、ハマメリス、バラ、ヒノキ、フキタンポポ、ブドウ、プルーン、ヘチマ、ボダイジュ、ホップ、マツ、マルメロ、マロニエ、メリッサ、ヤグルマソウ、ユリ、ライム、ラベンダー、リンゴ、コメ及びコメヌカ、ブラックカラント、イブキトラノオ、ノイバラ、エゾウコギ、海藻等の植物抽出物が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を使用することができる。
【0092】
なお、液状の剤は、25℃における粘度が、好ましくは5000mPa・s未満であり、より好ましくは4000mPa・s未満である。ジェル状の剤は、25℃における粘度が好ましくは5000Pa・s以上である。この粘度は、例えば粘度計(ブルックフィールド社製 RVT型)により測定される。また液状の剤中における増粘剤の量は好ましくは0.05質量%未満であり、より好ましくは0.01質量%未満であり、特に好ましくは0.005質量%未満である。一方、ジェル状の剤中の増粘剤の量は好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。
【0093】
<(1)のキットの塩基含有組成物、(2)のキットの酸含有組成物、(3)のキットの酸及び塩基含有組成物)>
これら組成物における酸及び炭酸ガス発生物質、特定成分の好ましい量としては上述した通りである。これら組成物が固形状である場合、好ましい増粘剤の量及びその含有量は、他方の剤がジェル状である場合は、これら組成物中0.01質量%以上20質量%以下、特に0.05質量%以上15質量%以下であることが発泡の良好性や炭酸ガス保留性、特定成分による効果の発揮の観点から好ましく、他方の剤が液状である場合は、これら組成物中に0.01質量%以上30質量%以下、特に0.05質量%以上25質量%以下であることが、液剤との混合容易性や発泡性、炭酸ガス保留性、特定成分による効果の発揮の観点から好ましい。
【0094】
また、上述したように(1)のキットの塩基含有組成物、(2)のキットの酸含有組成物、(3)のキットの酸及び塩基含有組成物は、ジェル状、液状であってもよい。その場合におけるこれら組成物における好ましい増粘剤の量としては、上述した(1)〜(3)のキットの前記含水組成物における液状又はジェル状である増粘剤の好ましい量と同様である。また(1)のキットの塩基含有組成物、(2)のキットの酸含有組成物、(3)のキットの酸及び塩基含有組成物がジェル状又は液状である場合、これらの組成物における、水分の割合は7質量%以上、特に10質量%以上、とりわけ20質量%以上であることが発泡性や気泡の持続性等の観点から好ましく、95質量%以下、特に90質量%以下であることが他の成分を含有して皮膚外用剤としての美容効果などを高める点から好ましい。
【0095】
(1)のキットの塩基含有組成物、(2)のキットの酸含有組成物、(3)のキットの酸及び塩基含有組成物に多価アルコールを含有させる場合であって、これらの組成物がジェル状又は液状である場合、これらの組成物における多価アルコールの含有量は、1質量%以上、特に10質量%以上であることが使用時の使いやすさ等の観点から好ましく、90質量%以下、特に80質量%以下、とりわけ70質量%以下であることが他の成分を含有して皮膚外用剤としての美容効果などを高める点から好ましい。(1)のキットの塩基含有組成物、(2)のキットの酸含有組成物、(3)のキットの酸及び塩基含有組成物がジェル状又は液状である場合にこれら組成物に含まれるその他の成分としては、界面活性剤、防腐剤、防腐剤、pH調整剤、香料、着色剤、酸化防止剤、防菌防かび剤等が挙げられる。
【0096】
(1)のキットの塩基含有組成物、(2)のキットの酸含有組成物、(3)のキットの酸及び塩基含有組成物が固形状である場合、顆粒状に造粒する場合は以下の方法が挙げられる。
【0097】
酸性物質及び/又は炭酸ガス発生物質を、その他成分との混合物として造粒することにより顆粒を得る場合、その他成分の含有量としては特に制限はないが、上記顆粒中において95質量%未満とすることが好ましい。その他成分が95質量%を超える含有量で存在する場合、発泡性が低くなるため好ましくない。
上記粉末あるいは顆粒の製造方法は、本実施例に限定されることはなく、乾式破砕造粒法や湿式破砕造粒法、流動層造粒法、高速撹拌造粒法、押し出し造粒法等の常法に従い製造できる。
【0098】
例えば、顆粒の製造においては、顆粒の成形等の機能を有するマトリックス基材を使用しても良い。マトリックス基剤として、低融点化合物を使用する場合は、ビーカー等の容器中で加熱により溶融させた低融点化合物に前記炭酸ガス発生物質を加えて十分撹拌、混合する。必要に応じてこれに適当な添加剤を加えてもよい。これを室温で徐々に冷やしながら更に撹拌し、固まるまで放置する。ある程度固まってきたら冷蔵庫等で急速に冷却してもよい。
【0099】
また、例えば、流動層造粒機に上記材料を投入し、数分間気流で混合し、これに、水を噴霧することにより造粒してもよい。
【0100】
マトリックス基剤に低融点化合物を用いない場合は、ビーカー等の容器中で顆粒化剤を水又はエタノールのような適当な溶媒に溶解又は分散させ、これに前記炭酸ガス発生物質を溶解又は分散させて十分混合した後にオーブン等で加熱して溶媒を除去し、乾燥させる。完全に固まったら粉砕し、粒の大きさを揃えるために篩過した後、顆粒とする。
【0101】
酸性物質及び/又は炭酸ガス発生物質の形状としては、例えば、不規則な形状、平面な形状、多面体形状、球状、しずく状、繊維状、円柱状、微粉状等が特に制限なく採用できる。また、その粒径としては、幅広い範囲のものが、特に制限なく使用できる。特に、取り扱いのしやすさ、粘性組成物との混合のしやすさの点から、粒径分布が1,000μm以下程度のものがより好ましい。本発明における上記粒径分布は、通常のレーザー回折/散乱法によって求めることができる。
【0102】
酸性物質及び/又は炭酸ガス発生物質は、同一剤中に含有されている成分とともに、そのまま配合してもよいが、同一剤内のその他成分と物理的に接触しないように配合され、共存しても良い。この場合、例えば、前記酸性物質及び/又は炭酸ガス発生物質はとその他成分とのいずれか一方又は両方に、これを包むコート層を設けてもよいし、前記炭酸ガス発生物質とその他成分とのいずれか一方又は両方をカプセル化してもよい。また、酸性物質及び/又は炭酸ガス発生物質は互いの成分又は他の成分との間に、これらが直接接しないように前記炭酸ガス発生物質、酸性物質及びその他成分を含有しない層を挟み、圧縮成形してもよい。前記酸性物質及び/又は炭酸ガス発生物質並びにその他成分の同一剤内への共存化手段としては公知の方法が挙げられる。
【0103】
なお、(1)〜(3)のキットが含水組成物同士である場合、両者の混合比率(質量比)は1:0.1以上20以下であることが好ましく、1:0.2以上10以下であることがより好ましい。(1)〜(3)のキットが含水組成物と実質的に水を含有しない組成物(例えば水の割合が5質量%以下である組成物)とからなる場合、両者の混合比率(質量比)は前者:後者が1:0.01以上30以下であることが好ましく、1:0.05以上20以下であることがより好ましい。
【0104】
本発明の皮膚外用剤における(又は炭酸ガス含有皮膚外用剤を得るための混合に用いる)酸性物質、炭酸ガス発生物質、増粘剤、水及び特定成分の各使用量は、その合計量に対し、酸性物質は0.1〜15質量%、炭酸ガス発生物質は0.1〜20質量%、増粘剤は0.1〜20質量%、水は40〜99.6質量%、特定成分は0.01〜30質量%が好ましい。また皮膚外用剤が多価アルコールを含有する場合、皮膚外用剤における(又は炭酸ガス含有皮膚外用剤を得るための混合に用いる)酸性物質、炭酸ガス発生物質、増粘剤、水、特定成分及び多価アルコールの各使用量は、その合計量に対し、酸性物質は0.1〜10質量%、炭酸ガス発生物質は0.1〜10質量%、増粘剤は0.1〜15質量%、水は30〜97質量%、特定成分は0.01〜20質量%、多価アルコールは0.05〜50質量%が好ましい。これら成分の量は、皮膚外用剤を得るためのキットもしくは皮膚外用剤用組成物における量又は該組成物と混合する水分の量として得ることができる。
【0105】
<皮膚外用剤用組成物の使用形態>
本発明の皮膚外用剤用組成物は、固形状、液体状、ジェル状等いずれの剤形でもよいが、他方の剤との混合時の混合のしやすさ、製造時のコストの観点から固形状が好ましく、固形状の中でも特に顆粒状、細粒状、粉末状の形態であることがより好ましい。皮膚外用剤用組成物はその使用に際し、手のひらの上あるいは容器内で含水物質と混合することにより発泡を生じさせる。使用される含水物質としては、通常、化粧品、医薬品等に用いられたり、一般家庭で使用する水を含む液体を挙げることができる。水を含む液体は水そのものであってもよい。具体的には、水道水、蒸留水、膜濾過水、イオン交換水、海洋深層水の他、日本酒、ワイン等の酒類、豆乳、飲むヨーグルト、アセロラジュース、スポーツ飲料、炭酸水等の飲料、米のとぎ汁や等が挙げられる。これらは、単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもかまわない。
【0106】
使用する含水物質の量は、特に限定されることなく広い範囲で使用することが可能であるが、例えば、皮膚外用剤に対し質量で1〜10倍量で加えることが好ましく、2〜5倍量加えることが一層好ましい。1倍量を超える液体を加えることにより、迅速に皮膚外用剤を溶解することができ、又、十分な量の炭酸ガスを発生させることができる。一方、液体を10倍量以内で加えることにより、皮膚外用剤の粘度低下による垂れ落ちを防止することができる。
【0107】
使用する含水物質の温度は、特に限定されることなく広い範囲が使用できるが、予め冷却して使用することが、皮膚外用剤の有する特定成分の働きにより、炭酸ガスの効果を高めることが可能となるため特に好ましい。使用できる温度範囲は、塗布時の使用感や使用者の利便性の観点から、室温程度の水や水道水を使用するのが好ましい。
【0108】
皮膚外用剤用組成物あるいはキットの構成剤が固形物である場合、キットを保存する方法としては、水分を遮断し接触しない状態で保存されていれば、特に制限はない。使用される保存容器の形状は、目的に応じて適宜選択でき、カップ状、チューブ状、バッグ状、瓶状、スティック状、ポンプ状、ジャー状、缶詰状等が挙げられる。また、保存容器を構成する材料は、例えば、プラスチック、ガラス、アルミニウム、紙、各種ポリマー等を単独あるいは2種以上選択して用いることができるが、これらに限定されない。
【0109】
容器の具体例としては、密閉性、内容物の保存安定性、製造コスト等の点で、内面をポリエチレンテレフタレートでラミネートしたアルミスティック、アルミバッグ等の保存容器、チャック付きスタンドパウチ、内面をポリエチレンテレフタレートでラミネートしたアルミフィルム等で蓋をヒートシールしたポリエチレンテレフタレート製の保存容器等が好ましい。
【0110】
<皮膚外用剤の用途>
本発明の皮膚外用剤は、炭酸ガスの作用に起因して皮膚血流量の増加を促すものである。本発明の皮膚外用剤は、肌の色を白くする、肌の水分量を増加させる、水分蒸散量を低減させる、肌弾力を向上させるという、肌改善効果に優れている。また、本発明の皮膚外用剤は、使用時の使用感(混ぜやすさ、泡のなめらかさ、泡の細かさ、泡の均一感、塗りやすさ、垂れにくさ、泡の弾力、炭酸感及びその持続の程度等)に優れるとともに、使用後の使用感(肌のしっとり感、弾力、明るさ、赤み、なめらかさ、すべすべ感、ひきしめ感等)に優れている。また本発明の皮膚外用剤は、皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)を促進する。更に本発明の皮膚外用剤は、炭酸ガス発泡性皮膚外用剤において、特定の有効成分を含有することにより、皮膚細胞の賦活作用を有しており、皮膚細胞の賦活剤として使用できる。また本発明の皮膚外用剤は、細胞賦活作用に起因する皮膚の新陳代謝の活発化やATP産生促進作用などを有する。これらの効果を生かして、本発明の皮膚外用剤は、美白、肌質改善、そばかす改善、肌の若返り、肌の引き締め、部分痩せ、皮膚を清浄にする、肌を整える、肌のキメを整える、皮膚をすこやかに保つ、肌あれを防ぐ、肌をひきしめる、皮膚にうるおいを与える、皮膚の水分,油分を補い保つ、皮膚の柔軟性を保つ、皮膚を保護する、皮膚に乾燥を防ぐ、肌を柔らげる、肌にはりを与える、肌にツヤを与える、肌を滑らかにする、日やけによるシミ・ソバカスを防ぐ、乾燥による小ジワを目立たなくすることを目的とした化粧品だけでなく、肌あれ、あれ性、あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびの予防、油症肌、かみそりまけの予防、日やけによるしみ・そばかすの予防、日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ、肌をひきしめる、肌を清浄にする、肌を整える、皮膚をすこやかに保つ、皮膚にうるおいを与える、皮膚を保護する、皮膚の乾燥を防ぐ等を目的とした、医薬部外品、薬品等の医薬品のいずれにも好適に使用することができる。本発明の皮膚外用剤は、化粧品、医薬部外品としての使用が好ましく、乳液、クリーム、パック剤、ピーリング剤等の化粧品、薬用化粧品としての使用が好ましい。特にその中でもパック剤として使用すると、使用感がよく高い肌状態改善効果が得やすいため好ましい。
【0111】
また、本発明は、酸性物質、該酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質、増粘剤及び水を混合して得られる炭酸ガス発泡性皮膚外用剤であって、更に、上記特定成分を含有する炭酸ガス発泡性皮膚外用剤(炭酸ガス含有組成物)を提供するものである。
【実施例】
【0112】
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。下記の各実施例及び比較例において、使用する原料は特にことわりのない限り、市販品を用いた。なお、下記で用いたアルブチンはβアルブチンである。
【0113】
<発泡性皮膚外用剤の製造>
表1〜表6に記載の各成分を同表に示した組成となるように混合し、各実施例及び比較例の皮膚外用剤用キットを製造した。表1〜表6に記載の各実施例及び比較例において、水を非含有の剤は粉末状であり、水及び増粘剤を有する剤はジェル状、水を有し増粘剤を有しない剤は液状であった。
また下記表7に示した組成の各成分を混合し、粉末状の皮膚外用剤用組成物を製造した。
表1〜表6に記載の各実施例のA剤及びB剤を表1〜表6それぞれに記載の質量で混合して得られた皮膚外用剤は、使用時に皮膚に塗布しやすく、使用しやすいものであった。また、使用後の皮膚に美容効果をもたらすものであった。また、表7の記載の皮膚外用剤用組成物を表7に記載の通り、組成物9g及び水27gとを混合した皮膚外用剤も同様であった。表1〜7において、酸性物質は単に「酸」ともいい、炭酸ガス発生物質は単に「炭酸塩」ともいう。また、「その他」に記載されたグルコースは多価アルコールとしての使途も含むものである。
【0114】
【表1】
【0115】
【表2】
【0116】
【表3】
【0117】
【表4】
【0118】
【表5】
【0119】
【表6】
【0120】
【表7】
【0121】
上記各実施例及び各比較例について、下記の〔評価1〕を行った。
〔評価1〕
被験者として、20代〜30代の健常な女性2名を無作為に選出した。各被験者の前腕内側を洗顔料で洗浄し測定室で15分間安静に過ごさせた。次に前腕内側における発泡性皮膚外用剤塗布予定箇所4cm×4cmの測定部分について下記の方法にて色差、水分蒸散量、角層水分量、弾力の測定を行った。次に、前記の測定部位に上記発泡性皮膚外用剤を塗布し、10分間静置した。その後、発泡性皮膚外用剤を除去し、水で洗浄した。洗浄後15分経過してから発泡性皮膚外用剤使用後における同様の測定を行った。尚、被験者は測定中、測定室にて安静に過ごした。
使用後の肌状態測定結果を
図1A〜
図13Bに示す。尚、
図1A〜
図13Bにおける値は、発泡性皮膚外用剤使用前の測定値を1としたときの相対値(変化率)である。色差は数値が大きいほど色が白くなったことを示し、水分蒸散量は数値が小さいほどバリア機能が整っていて良い結果であることを示し、角層水分量は数値が大きいほど良いことを示し、弾力は数値が大きいほど良いことを示す。
【0122】
発泡性皮膚外用剤塗布前後の肌状態は、それぞれ下記の装置を用いて測定した。また、これらの測定は、機器に付属の説明書に記載される標準的な方法で実施した。
・色差:色彩色差計(コニカミノルタ社製CR−400)で測定した。
・水分蒸散量:テヴァメーター(登録商標)TM300(CK社)を用いて測定した。
・角層水分量:皮表角層水分量測定装置SKICON−200EX(アイ・ビイ・エス社製)で測定した。この皮表角層水分量測定装置は、皮膚のコンダクタンス(電気伝導度、単位:μS)を角層の水分量として評価したものである。
・弾力:皮膚粘弾力測定装置Cutometer MPA580(Courage+Khazaka社製)で測定した。
【0123】
図1A〜
図13Bに示すように、特定成分を含有する各実施例の発泡性皮膚外用剤は、これを含有しない各比較例の発泡性皮膚外用剤に比べて、使用前からの色差、角層水分量、弾力の増加が大きく、また水分蒸散量の低下は小さかった。従って特定成分を有する本発明の発泡性皮膚外用剤の肌状態改善効果が高いことは明らかである。
【0124】
上記各実施例及び各比較例について、下記の〔評価2〕を行った。
〔評価2〕
被験者として、20代〜30代の健常な女性3名を無作為に選出した。各被験者の前腕内側を洗顔料で洗浄し測定室で15分間安静に過ごさせた。次に、前腕内側における測定部位に上記発泡性皮膚外用剤を塗布し、10分間静置した。次に、発泡性皮膚外用剤を除去し、水で洗浄した。使用時及び使用後の評価項目(16項目)について、7段階の評価基準に基づいて評価を行った。評価基準を以下の表Aに、結果を以下の表B〜表Gに示す。なお、下記の結果は、3名の評価点の平均値である。
【0125】
【表A】
【0126】
【表B】
【0127】
【表C】
【0128】
【表D】
【0129】
【表E】
【0130】
【表F】
【0131】
【表G】
【0132】
表B〜Gに示すように、特定成分を含有する各実施例の発泡性皮膚外用剤は、これを含有しない各比較例の発泡性皮膚外用剤と比べて、使用時の使用感(混ぜやすさ、泡のなめらかさ、泡の細かさ、泡の均一感、塗りやすさ、垂れにくさ、泡の弾力、炭酸感及びその持続)に優れるとともに、使用後の使用感(肌のしっとり感、弾力、明るさ、赤み、なめらかさ、すべすべ感、ひきしめ感)に優れていた。従って特定成分を有する本発明の発泡性皮膚外用剤の肌状態改善効果が高く、美白、肌質改善、肌の引き締め、肌を整える、肌のキメを整える、肌をひきしめる、皮膚にうるおいを与える、皮膚の柔軟性を保つ、肌を柔らげる、肌にはりを与える、肌を滑らかにする、乾燥による小ジワを目立たなくすることができることは明らかである。
【0133】
上記各実施例及び各比較例について、下記の〔評価3〕を行った。
〔評価3〕(ターンオーバー試験)
被験者(無作為に選出した20代〜30代の健常な女性1名)の前腕内側を洗顔料で洗浄し測定室で15分間安静に過ごさせた。次に前腕内側の測定部位に、セロハンテープ(4cm×1.8cm)を貼付し、一定の圧力で密着させた後、テープをはがす操作を2回繰り返した。測定部位に混合後の発泡性皮膚外用剤を4cm×4cmの範囲に塗布し、10分間静置した。次に、発泡性皮膚外用剤を除去し、水で洗浄した。5分後に塗布前に貼付した部分ではない測定部位にて、同様にテープ貼付→はがすという操作を2回繰り返した。
1枚目のテープは破棄し、2枚目のテープの角層採取面に塩化ビニル樹脂系接着剤を薄くのばし、スライドガラスに貼付した。貼付後、スライドガラスを十分に乾燥させた後、エタノールに10分間浸漬、室温(22℃〜27℃)にて10分以上乾燥させた。その後、キシレンにテープが剥がれるまで浸漬させた。テープ剥離後、30分間〜1時間、さらにスライドガラスをキシレンに浸漬させた。スライドガラスを取り出し、乾燥させた後、染色液(ゲンチアナバイオレットを0.1w/w%及びブリリアントグリーンを0.5w/w%の各濃度にて精製水に溶解させたもの)に15分間浸漬させた。精製水で4〜5回洗浄した後、乾燥させ、光学顕微鏡にて200倍で観察した。得られた観察像について、下記表Hに示す評価基準により、下記表Hに記載の3項目それぞれに係る5段階評価を行った。発泡性皮膚外用剤の使用前及び使用後それぞれの観察像について3項目の評価点(スコア:5〜1点)の合計値を算出し、使用後のスコア合計値から使用前のスコア合計値を差し引いた値を求めた。なお、下記表Hの3項目は全て、皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)の程度を示すものであり、評価点の値が大きいほど、ターンオーバーの程度が大きい。上記で求めたスコア合計値の使用前後の差を
図14〜
図26に示す。また前記の顕微鏡観察で得られた、比較例1、実施例1−19、実施例2−3及び実施例4−3の発泡性皮膚外用剤の使用前後の角層細胞の観察像を
図27に示す。
【0134】
【表H】
【0135】
図14〜
図26に示すように、特定成分を含有する各実施例では、発泡性皮膚外用剤使用後のスコア合計値が使用前から2以上増えた。一方、比較例1〜7では、発泡性皮膚外用剤使用後のスコア合計値が使用前から減少するか、あるいは増加しても使用前との差は1以下にとどまった。また
図27からも、ターンオーバーの指標である角層形態や配列規律性について発泡性皮膚外用剤の使用後における、使用前からの改善が実施例では顕著であるのに対し、比較例では得られないことが明らかである。従って各実施例の発泡性皮膚外用剤は、各比較例に比べてターンオーバーを促進する効果に優れていることが明らかである。
【0136】
本発明で用いる特定成分を、以下の(1)〜(5)の手順の細胞賦活試験に供した。
〔細胞賦活試験1〕
(1)37℃、5体積%CO
2インキュベーター内で75cm
2フラスコを用いて、正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)を10質量%ウシ胎児血清含有ダルベッコ改変イーグル培地(10質量%FBS−DMEM)により培養した。
(2)(1)で培養した細胞を、トリプシン処理により浮遊させた後、75cm
2フラスコから96well plateの各wellに1×10
4cell/wellの細胞密度で播種した。
(3)(2)で播種した細胞を、10質量%FBS−DMEM培地により、37℃、5体積%CO
2インキュベーター内で24時間前培養した。
(4)(3)の前培養後、各wellより培地を除去し、無血清DMEM 200μL/wellにて1回洗浄後、所定濃度に調製した被験物質含有培地を各wellに200μLずつ添加した。被験物質含有培地添加後の細胞を37℃の5体積%CO
2インキュベーター内で24時間培養した。
被験物質含有培地は以下の調製方法1のように調製した。
(被験物質含有培地の調製方法1)
炭酸水素ナトリウム、リンゴ酸、下記表8に記載の増粘剤、及び特定成分としてアルブチンを、炭酸水素ナトリウムの終濃度が62.5mM、リンゴ酸の終濃度が20.8mM、増粘剤及び特定成分の終濃度が下記表8の値となるように無血清DMEMに混合した。
【0137】
【表8】
【0138】
(5)培養後の細胞をPBS200μL/wellで1回洗浄した。
無血清DMEMで30容量倍に希釈したCell Counting Kit−8溶液を150μL/well添加した。その後、37℃、5体積%CO
2インキュベーター内に静置し適度に発色させた後、450nmにおける吸光度を測定した。
得られた吸光度を元に下記式にて細胞賦活活性(%)を算出した。なお、下記式における、Data controlとしては、参考例1のデータを用いた。細胞賦活活性(%)=(Data sample−Data blank) /(Data control−Data blank)×100
【0139】
細胞賦活活性の結果を
図28に示す。
図28に示す通り、特定成分を、増粘剤、酸性成分及び炭酸ガス発生成分と組み合わせることにより、細胞賦活活性を高めることができることが判る。
【0140】
また、下記表9に記載の特定成分を以下の〔細胞賦活試験2〕に供した。
〔細胞賦活試験2〕
被験物質含有培地の調製方法を以下の調製方法2に変更した。また細胞賦活活性(%)の算出の際に、Data controlとして、被験物質無添加の無血清DMEMを用いた。これらの点以外は、前記の〔細胞賦活試験1〕と同様にした。その結果を下記表9に示す。
(被験物質含有培地の調製方法2)
下記表9記載の特定成分を、終濃度が下記表9の値となるように無血清DMEMに混合した。また下記表9において、「炭酸」の項が「有」と記載されている場合には、炭酸水素ナトリウムの終濃度が31.2mM、リンゴ酸の終濃度が6.25mMとなるように、特定成分ともに無血清DMEMに混合した。下記表9において「炭酸」の項が「−」と記載されている場合、特定成分のみを無血清DMEMに混合し、炭酸水素ナトリウム及びリンゴ酸は用いなかった。
【0141】
【表9】
【0142】
以上の通り、発泡性皮膚外用剤が特定成分を含有することにより、細胞賦活活性が高まることが確認された。