(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
図6は、特許文献1で開示された従来の収納容器を示す概略斜視図であり、
図7は、
図6で示したVII−VIIラインから見た概略断面図であり、
図8は、
図6で示した収納容器が平坦面において横転したときの概略正面図である。
【0003】
これらの図を参照して、収納容器71は、被収納物をその内部に収納することができ、気密性及び可撓性を有するゴム材料よりなり、その内部に気体が封入された円筒形状を有する収納体75と、弾性、気密性及び可撓性を有するゴム材料よりなり、その内部に気体を封入することができ、収納体75の長手方向の両端部近傍の側壁76部分を囲うように取り付けられた一対のドーナツ形状を有する緩衝体81である保護部材82a及び82bとから構成される。
【0004】
収納体75は、その側壁76の長手方向の中央付近で水平方向に、気密状態を保持することができるファスナー77が形成されている。このファスナー77を開閉することによって、被収納物を収納体75内へ出し入れできるようになっている。尚、収納体75は、使用時においては、その内部に気体が封入され、気密状態となっている。一方、脱気時には嵩が小さくなるため、不使用時には保管容積が低減するので使い勝手が向上する。
【0005】
保護部材82a及び82bの各々は、その内部に気体を封入した後に、気密状態を保持するための栓体86a及び86bを各々有している。尚、保護部材82a及び82bは、使用時においては、その内部に気体が封入され、気密状態となっている。一方、脱気時には嵩が小さくなるため、不使用時には保管容積が低減するので使い勝手が向上する。
【0006】
図8を参照して、収納容器71が地面等の平坦面61において横転した場合、保護部材82a及び82bが平坦面61と当接することになり、収納体75は平坦面61と接しないように設定されている。このように構成することにより、輸送時や保管時及び投下時に収納体75が直接衝撃を受けることが少なくなるため、収納状態の安全性が向上するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような従来の収納容器71では、
図8に示したように、投下時に地面等の平坦面61において横転した状態となったとき、保護部材82a及び82bがドーナツ形状であるため、転がりやすく、投下場所から離れた位置に止まる虞があった。
【0009】
又、輸送時や保管時に加えて、災害時におけるヘリコプターから孤立集落への物資投下時において、
図8で示したように収納容器71が横転した際に、収納容器71における露出した収納体75に、地面等の凸部等が当接し、外方から収納体75に衝撃が加わる虞があった。そのため、輸送時や保管時及び投下時においても被収納物をより安全に収納することができる収納容器が望まれていた。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、接地状態が安定する収納容器
を含み、接地時の衝撃が緩和される収納容器構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、
収納容器構造体であって、被収納物と、被収納物の下方に配置された衝撃吸収体と、被収納物と衝撃吸収体とを覆うように配置された収納容器とを備え、収納容器
は、被収納物の外方を覆うように配置される多面体形状の包囲体からなり、包囲体は、その外面の各面を構成する多角形形状の複数の弾性体で構成され
、衝撃吸収体の比重は、収納容器の比重よりも大きくなるように設定されているものである。
【0012】
このように構成すると、外方全体が覆われると共に、収納容器は転動しにくくなる。
又、衝撃吸収体を下にして投下が可能となる。又、収納容器構造体の重心位置が、下方寄りに下がって位置することになる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、多面体形状は、三角錐形状を含むものである。
【0014】
このように構成すると、包囲体は、最少数の弾性体で構成される
。
【0015】
請求項
3記載の発明は、請求項1
又は請求項
2に記載の発明の構成において、弾性体の各々は、展開可能に構成され、被収納物の包囲時には、不連続で残った対向する各辺が連結手段により連結されるものである。
【0016】
このように構成すると、連結箇所が減少する。
【0017】
請求項
4記載の発明は、請求項
3記載の発明の構成において、連結手段は、各辺に掛け渡す紐状体を含むものである。
【0018】
このように構成すると、収納スペースの調整が可能となる。
【0019】
請求項
5記載の発明は、請求項1から請求項
4のいずれかに記載の発明の構成において、弾性体は、気密性を有する袋体と、袋体に注入された気体とからなるものである。
【0020】
このように構成すると、気体の注入前における弾性体の嵩が低くなる。
【0021】
請求項
6記載の発明は、請求項
5記載の発明の構成において、弾性体は、内部に注入された気体の圧力を調整できる圧力調整手段を更に備えるものである。
【0022】
このように構成すると、弾性性能の調整が可能となる。
【0023】
請求項
7記載の発明は、請求項
5又は請求項
6記載の発明の構成において、弾性体は、変形に伴う内圧の上昇を阻止する内圧調整手段を更に備えるものである。
【0024】
このように構成すると、衝突時における弾性体の反発力が増加しない。
【0025】
請求項
8記載の発明は、請求項
7記載の発明の構成において、内圧調整手段は、弾性体を封止する第1接着層及び第2接着層で構成され、第2接着層の接着力は、第1接着層の接着力より小さいものである。
【0026】
このように構成すると、内圧の上昇に伴い第2接着層の封止が開放される。
【0027】
請求項
9記載の発明は、請求項
7記載の発明の構成において、内圧調整手段は、逃がし弁を含むものである。
【0028】
このように構成すると、弾性体に封入された気体の一部が排出される。
【0029】
請求項
10記載の発明は、請求項1から請求項
9のいずれかに記載の発明の構成において、被収納物を収納する水密性を有する収納体を更に備えたものである。
【0030】
このように構成すると、水の侵入が防止される。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、外方全体が覆われるため、衝撃緩和の効果が向上すると共に、収納容器は転動しにくくなるため、収納容器の接地状態が安定する。
又、衝撃吸収体を下にして投下が可能となるため、接地時の衝撃が緩和される。又、収納容器構造体の重心位置が、下方寄りに下がって位置することになるため、衝撃吸収体を下にした投下が安定する。
【0034】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、包囲体は、最少数の弾性体で構成されるため、コスト的に有利となる
。
【0035】
請求項
3記載の発明は、請求項1
又は請求項
2の記載の発明の効果に加えて、連結箇所が減少するため、収納動作が迅速化する。
【0036】
請求項
4記載の発明は、請求項
3記載の発明の効果に加えて、収納スペースの調整が可能となるため、合理的な収納が可能になる。
【0037】
請求項
5記載の発明は、請求項1から請求項
4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、気体の注入前における弾性体の嵩が低くなるため、収納容器の保管及び運搬が容易となる。
【0038】
請求項
6記載の発明は、請求項
5記載の発明の効果に加えて、弾性性能の調整が可能となるため、被収納物の特性に応じた保護が可能になる。
【0039】
請求項
7記載の発明は、請求項
5又は請求項
6記載の発明の効果に加えて、衝突時における弾性体の反発力が増加しないため、被収納物の損傷が抑制される。
【0040】
請求項
8記載の発明は、請求項
7記載の発明の効果に加えて、内圧の上昇に伴い第2接着層の封止が開放されるため、弾性体の保護機能を調整できる。
【0041】
請求項
9記載の発明は、請求項
7記載の発明の効果に加えて、弾性体に封入された気体の一部が排出されるため、弾性体の保護機能が安定する。
【0042】
請求項
10記載の発明は、請求項1から請求項
9のいずれかに記載の発明の効果に加えて、水の侵入が防止されるため、収納容器の投下場所を選ばない。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、この発明の第1の実施の形態による収納容器からなる収納容器構造体の概略斜視図であり、
図2は、
図1で示したII−IIラインから見た概略端面図であり、
図3は、
図1で示した収納容器を展開した状態を示す概略斜視図である。
【0046】
これらの図を参照して、収納容器構造体1は、被収納物66と、被収納物66を収納する水密性を有する円筒形状の収納体51と、収納体51(被収納物66)の下方に配置された衝撃吸収体56と、収納体51(被収納物66)と衝撃吸収体56とを覆うように配置された収納容器11とから構成される。
【0047】
図1及び
図2を参照して、収納容器11は、収納体51(被収納物66)の外方を覆うように配置される多面体形状の包囲体21からなる。包囲体21は、その外面の各面を構成する多角形形状の複数の弾性体23a〜23dで構成されている。弾性体23dは、衝撃吸収体56の下方に配置されている。
【0048】
ここでは、収納容器11の包囲体21の多面体形状は、三角錐形状から構成されている。三角錐形状は、多面体形状のうち最少の面数である。よって、包囲体21は、最少数である4個の弾性体23a〜23dで構成されるため、コスト的に有利となる。
【0049】
包囲体21の弾性体23a〜23dは、気密性を有し、例えばゴム材料からなる袋体28と、袋体28に注入された気体29とからなる。このように構成することにより、気体の注入前における弾性体23a〜23dの嵩が低いため、収納容器11の保管及び運搬が容易となる。又、収納体51(被収納物66)は、包囲体21の弾性体23a〜23dによって覆われているため、安全に収納される。
【0050】
更に、包囲体21の弾性体23a〜23dは、内部に注入された気体29の圧力を調整できる、例えば空気注入出用バルブのような圧力調整手段41a及び41b等を備えている。このように構成することにより、収納容器11の包囲体21における弾性性能の調整が可能となるため、例えば重量やサイズ等のように被収納物66の特性に応じた保護が可能になる。
【0051】
ここでは、衝撃吸収体56は、弾性体23a〜23dと同様に弾性機能を有するように構成されており、圧力調整手段41cも備えている。
図2を参照して、収納体51(被収納物66)の下方には、弾性体23dに加え、衝撃吸収体56が配置されている。又、衝撃吸収体56の比重は、収納容器構造体1における他の部材の比重よりも大きくなるように設定されている。そのため、収納容器構造体1の重心位置が、下方寄りに下がって位置することになる。これにより、例えば災害時におけるヘリコプターから孤立集落への物資投下のように、収納容器構造体1の衝撃吸収体56を下にして投下することが可能となり、地面等への接地時の衝撃が緩和される。
【0052】
図3を参照して、弾性体23a〜23dの各々は、展開可能に構成され、
図1で示したような収納体51(被収納物66)の包囲時には、不連続で残った対向する各辺26a〜26fが連結手段31a〜31jにより、連結孔25a〜25g等を介して連結される。ここでは、連結手段31a〜31jは、例えばロープのように、各辺26a〜26fに掛け渡す紐状体34a〜34jからなっている。尚、紐状体34a〜34jは、ロープ以外のものであっても良い。
【0053】
又、弾性体23a〜23dの各々は、展開可能であるので、使用により摩耗等した弾性体のみを、新しい弾性体と交換することができ、コスト的に有利である。
【0054】
図3を参照して、収納容器11は、展開された状態であり、弾性体23dの各辺に対向するように弾性体23a〜23cが配置され、連結手段31b〜31dである紐状体34b〜34dにより連結された状態である。
【0055】
収納体51(被収納物66)は、弾性体23dの上方に配置された衝撃吸収体56の上面に載置されている。
【0056】
図3で示した展開状態から
図1で示した使用状態にするには、
図3で示した実線の矢印の方向へ、弾性体23a〜23cの各々を収納体51(被収納物66)の外方を覆うように持ち上げる。そして、
図2で示したように、弾性体23a〜23cの各々に形成された連結孔25a〜25cに、連結手段31aである紐状体34aを通すことで、弾性体23a〜23cを連結させる。
【0057】
この収納体51(被収納物66)の包囲時において、不連続で残った対向する辺26a〜26fを、連結手段31e〜31jである紐状体34e〜34jで連結する。弾性体23a及び23bにあっては、辺26a及び辺26eを、連結手段31eである紐状体34e及び連結手段31fである紐状体34fで連結する。即ち、連結手段31eである紐状体34eは、弾性体23aの連結孔25d及び弾性体26bの連結孔25fを通して連結している。連結手段31fである紐状体34fは、弾性体23aの連結孔25e及び弾性体23bの連結孔25gを通して連結している。このように、連結手段31e〜31jである紐状体34e〜34jで連結すると、収納体51(被収納物66)のサイズが大きい場合にも、紐状体34e〜34jを緩めて連結することができ、収納スペースの調整が可能となるため、合理的な収納が可能になる。又、弾性体23a〜23dの各辺26a〜26fにあらかじめ形成された連結孔25a〜25gに対して、連結手段31a〜31jで連結することにより、その都度ごとに最適な連結箇所を設定する必要がなくなり、結果として連結箇所が減少するため、収納動作が迅速化する。
【0058】
次に、弾性体23a〜23cの圧力調整手段41a及び41b等を介して、気体29を袋体28に注入することで、
図1の使用状態になる。尚、投下準備段階において、例えば連結孔25a〜25cに、連結手段31aである紐状体34aに加えて、図示しない吊り下げフックを通し、収納容器構造体1を吊り下げて用いても良い。又、連結孔25a〜25g等に、落下傘を取り付けて、収納容器構造体1を投下させても良い。
【0059】
図4は、平坦面において横転したときの重心の軌跡を示す概略模式図であって、(1)は
図6で示した従来の収納容器であり、(2)は
図1で示した収納容器である。
【0060】
尚、ここでは説明のために、収納容器の重心は、容器の中央にあるものとしている。
【0061】
図4の(1)を参照して、実線で示したように、収納容器71aは、地面等の平坦面61に載置した状態にある。この収納容器71aの状態から平坦面61において、実線の矢印の方向へ、二点鎖線で示した収納容器71b、一点鎖線で示した収納容器71c、破線で示した収納容器71dへと横転する状態を示している。このとき、収納容器71aの重心は、実線で示したように、平坦面61と平行な直線状の軌跡を描く。即ち、横転に際して、位置エネルギーが変動しないので、収納容器71aは、転動しやすい。従って、収納容器71aの平坦面61における接地状態が不安定である。
【0062】
図4の(2)を参照して、実線で示したように、収納容器構造体1の収納容器11aは、地面等の平坦面61に載置した状態にある。この収納容器11aの状態から平坦面61において、実線の矢印の方向へ、二点鎖線で示した収納容器11b、一点鎖線で示した収納容器11c、破線で示した収納容器11dへと横転する状態を示している。このとき、収納容器11aの重心は、実線で示したように平坦面61から上下するように、円弧状の軌跡を描く。即ち、横転に際して、位置エネルギーが変動するので、収納容器11aは、
図4の(1)で示した収納容器71aに比べて、転動しにくい。よって、上方から投下した場合にも投下場所から近い位置に止まるように、収納容器11aの平坦面61における接地状態が安定する。又、収納容器構造体1の収納容器11aにおいて、
図1で示したように収納体51(被収納物66)は、外方全体が包囲体21で覆われているため、地面等に図示しない凸部があっても包囲体21を介して衝撃が伝わることになり、衝撃緩和の効果が向上している。
【0063】
図5は、
図1で示した収納容器の液中における概略斜視図である。
【0064】
図を参照して、収納容器構造体1の収納容器11は、海等における液中に浮かんだ状態にある。液面63上には、実線で示した収納容器11における包囲体21の弾性体23a〜23cの一部が現われている。一方、液面63下には、破線で示した収納容器11の一部が位置している。
【0065】
弾性体23a〜23d及び衝撃吸収体56は、その内部に気体29が注入された気密性を有する袋体28から構成されているため、水密性も発揮し、液中で体積分の浮力を発生する。
【0066】
収納容器11の収納体51は、その内部に被収納物66を収納し、水密性を有している。又、収納体51の上面には、水密性を有するファスナー53が形成されている。これにより、水の侵入が防止されるため、地面や液中を問わず、収納容器11の投下場所を選ばない。
【0067】
図9は、この発明の第2の実施の形態による収納容器の包囲体を構成する弾性体を模式的に表した概略平面図であり、
図10は、
図9で示したX−Xラインから見た概略断面図である。
【0068】
尚、この実施の形態による収納容器構造体の弾性体23は、変形に伴う内圧の上昇を阻止する内圧調整手段43を更に備えるものである。その他の構成は、基本的に第1の実施の形態の収納容器構造体の構成と同様であるため、相違点を中心に説明する。
【0069】
これらの図を参照して、この実施の形態による包囲体21の例えばゴム材料からなる弾性体23は、平面視円形形状である。包囲体21の弾性体23の袋体28は、2枚の同一の円形形状のシート体の各周縁部45a、45bを半径方向に同一幅で接着剤等によって封止することにより形成されている。この際に、異なる接着強度の接着剤等を用いる等して、袋体28の周縁部45a、45bの一部にあたる第2接着層47の接着力F
2が、その他の部分にあたる第1接着層46であって、第2接着層47と同一周方向長さの部分における接着力F
1よりも小さくなるようにして(F
2<F
1)、弾性体23の内圧調整手段43を形成する。このように構成する理由については後述する。
【0070】
又、弾性体23は、第1の実施の形態の弾性体と同様の圧力調整手段41等を備えている。この圧力調整手段41を介して弾性体23の袋体28内に気体29を注入することで、
図10で示すような使用状態になる。
【0071】
図11は、この発明の第2の実施の形態による被収納物を収納した収納容器の投下後の弾性体及び収納体の状態を表す概略模式図であって、(1)は投下直後の状態を表すものであり、(2)は地面と衝突した直後の状態を表す図であり、(3)は地面との衝突から一定時間が経過した後の状態を表す図である。
【0072】
この
図11では、弾性体の変形過程等が分かりやすいように、収納容器構造体1全体ではなく、被収納物を収納した収納体51及び収納体51の下部に配置された弾性体23のみ表している。
【0073】
図の(1)を参照して、まず、ヘリコプター等から収納容器構造体1を投下する。この時、弾性体23の内圧P
1によって封止を開放しようとする開放力(P
1×(面積)A)と、第1接着層46の接着力F
1と、第2接着層47の接着力F
2とは、(P
1×A)<F
2<F
1の関係になっており、気体は封止されたままである。尚、面積Aは、内圧P
1によって封止部に加わる開放力を換算するための弾性体の形状に基づく固定値を意味する。
【0074】
次に、図の(2)を参照して、投下された収納容器構造体1は、地面等の平坦面61に衝突すると、落下によってかかる力Gとそれに対応する反力Rとがそれぞれかかることになる。すると、落下によってかかる力Gとそれに対応する反力Rとによって、弾性体23は上下から圧縮されることになる。これにより、圧縮力に応じて、弾性体23は、例えば破線で表した形状から実線で表す形状に圧縮される。そうすると、弾性体23の容積が一時的に小さくなるため、弾性体23の内部の気体が圧縮され、弾性体23の内圧P
2は上昇する。
【0075】
この時、弾性体23は、第2接着層47の接着力F
2が第1接着層46の接着力F
1より小さくなるように封止されているため、弾性体23の高まった内圧P
2に基づく開放力(P
2×A)が第2接着層47の接着力F
2を超えると(F
2<(P
2×A)<F
1)、第2接着層47の封止が内圧の大きさに負けて開放される。すると、気体は封止が開放された第2接着層47を通じて徐々に外部に流出するので、弾性体23の内圧P
2は徐々に降下を始める。この時、通常の使用環境下では、内圧P
2はその開放力(P
2×A)が第1接着層46の接着力F
1を超える前に降下を始めることから、開放力(P
2×A)が第1接着層46の接着力F
1を超えることはなく、第1接着層46は開放されずに接着されたままとなる。
【0076】
よって、衝突時における弾性体の反発力が増加しないため、被収納物の損傷が抑制される。又、弾性体23の内圧の上昇に伴い第2接着層47の封止が開放されるため、弾性体23の保護機能を調整できる。
【0077】
更に、図の(3)を参照して、その後も気体は、開放された第2接着層47を通じて弾性体23の外部に流出し続け、内圧P
3が外気圧と等しくなると流出が止まる(P
3×A=0<F
2<F
1)。
【0078】
すると、最終的に弾性体23は、ほぼその素材等の厚み程度まで縮小してしまうが、上述のように、内部の気体は徐々に流出するので、弾性体23は一定の保護機能を有し、収納体51に収納された被収納物の損傷が抑制される。
【0079】
図12は、この発明の第3の実施の形態による被収納物を収納した収納容器の投下後の弾性体及び収納体の状態を表す概略模式図であって、(1)は投下直後の状態を表すものであり、(2)は地面と衝突した直後の状態を表す図であり、(3)は地面との衝突から一定時間が経過した後の状態を表す図である。
【0080】
尚、この実施の形態の収納容器構造体1の弾性体23は、第2の実施の形態とは異なる内圧調整手段43を備えたものである。その他の構成は、基本的に第1の実施の形態の収納容器構造体の構成と同様であるため、相違点を中心に説明する。
【0081】
この
図12では、
図11と同様、弾性体の変形過程等が分かりやすいように、収納容器構造体1全体ではなく、収納体51及び収納体51の下部に配置された弾性体23のみ表している。
【0082】
図の(1)を参照して、具体的には第1の実施の形態の弾性体と同様の構造の弾性体23に、逃がし弁49を更に備えたものである。逃がし弁49は、弾性体23の内圧P
1が一定値(逃がし弁49の設定圧力P)以上になると作動し、瞬時に弁が開いて弾性体23の内部の気体を外部に排出するように設定されている。
【0083】
収納容器構造体1を使用可能な状態とするために、まず圧力調整手段41を介して弾性体23の内部に気体を注入する。すると、内部の内圧P
1が上昇し、弾性体23は膨らんでいく。更に気体を注入し続けると、弾性体23の内圧P
1は更に上昇し、逃がし弁49の設定圧力Pに達すると(P
1=P)、逃がし弁49の弁が開いて気体の一部が外部に排出されるようになる。その時点で気体の注入を停止し、弾性体23の内圧が逃がし弁49の設定圧力Pを下回ると(P
1<P)、逃がし弁49の弁が閉じて、弾性体23は封止される。このように、気体注入量を予め設定しなくても良いため、準備における作業効率が向上する。
【0084】
このような収納容器構造体1をヘリコプター等から投下する。この時、弾性体23の内圧P
1と逃がし弁49の設定圧力Pとは、P
1<Pの関係になっている。
【0085】
次に、図の(2)を参照して、投下された収納容器構造体1は、衝突すると、落下によってかかる力Gとそれに対応する反力Rとがそれぞれかかることになる。すると、落下によってかかる力Gとそれに対応する反力Rとによって、弾性体23は上下から圧縮されることになる。これにより、圧縮力に応じて、弾性体23は、例えば破線で表した形状から実線で表す形状に圧縮される。そうすると、弾性体23の容積が一時的に小さくなるため、弾性体23の内部の気体が圧縮され、弾性体23の内圧P
1は上昇してP
2となる。
【0086】
この時、内圧P
2が逃がし弁49の設定圧力Pの値になった瞬間(P
2=P)、逃がし弁49の弁が作動する。すると、気体は逃がし弁49を介して徐々に外部に排出されるため、内圧P
2は設定圧力Pを超えることはない。
【0087】
よって、衝突時における弾性体23の反発力が増加しないため、収納体51に収納された被収納物の損傷が抑制される。
【0088】
更に、図の(3)を参照して、上述のように、弾性体23の内圧P
3が逃がし弁49の設定圧力Pを下回ると逃がし弁49の弁が閉じるため、気体の排出が止まる(P
3<P)。即ち、弾性体23は、第2の実施の形態とは異なり、内部に気体が内圧P
3を維持する形で残るため、一定の弾性力が維持されることになる。
【0089】
よって、弾性体23に封入された気体の一部が排出されるため、弾性体23の保護機能が安定する。
【0090】
更に、弾性体23自体が損傷していなければ、気体を圧力調整手段41を介して注入し直すことで再利用も可能となるため、コスト面で有利となる。
【0091】
尚、上記の各実施の形態では、収納容器構造体は、被収納物を収納する収納体を備えたものであったが、被収納物と、被収納物の下方に配置された衝撃吸収体と、被収納物と衝撃吸収体とを覆うように配置された収納容器とを備えたものであれば、収納体はなくても良い。又、この場合、衝撃吸収体はなくても良い。
【0092】
又、上記の各実施の形態では、収納体は、特定形状を有するものであったが、被収納物を収納することができるものであれば、他の筒形状や、その他の形状であっても良い。
【0093】
更に、上記の各実施の形態では、収納体は、水密性を有するものであったが、水密性を有さなくても良い。
【0094】
更に、上記の各実施の形態では、収納体は、ファスナーを有するものであったが、水密性を有するものであれば、その他のものであっても良い。又は、上部を紐状のもので縛っても良い。又は、なくても良い。
【0095】
更に、上記の各実施の形態では、弾性体は、特定の圧力調整手段を有するものであったが、内部に注入された気体の圧力を調整できるものであれば、その他のものであっても良い。又は、なくても良い。
【0096】
更に、上記の第1の実施の形態では、弾性体は、袋体及び袋体に注入された気体からなるものであったが、弾性を有するものであれば、たとえばスポンジのように他のものから形成されても良い。又は、気体ではなく、例えば水のような液体が袋体に注入されたものであっても良い。
【0097】
更に、上記の各実施の形態では、弾性体は、特定の素材から形成されていたが、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリエチレン(PE)等を含むその他の素材から形成されていても良い。
【0098】
更に、上記の各実施の形態では、連結手段は、紐状体からなるものであったが、一部に紐状体を含むものであっても良い。又は、例えばファスナーのように他のものから形成されても良い。連結手段がファスナーから形成された場合には、連結動作が迅速化し、迅速な収納が可能となる。
【0099】
更に、上記の各実施の形態では、弾性体は、各々が紐状体によって連結されたものであったが、例えば底面に位置する弾性体の各辺は、隣接する弾性体とあらかじめ一体化されたものであるように形成されていても良い。又、この場合には、被収納物の包囲時には不連続で残った対向する各辺が連結手段により連結されるものであれば良い。
【0100】
更に、上記の各実施の形態では、包囲体は、三角錐形状を有する多面体形状からなるものであったが、本願における多面体とは、その表面形状が曲線状に膨らんだものや、弾性体の各々の対向する各辺との間に間隙を有するものを含むものとする。又、被収納物の外方を覆うように配置される多面体形状からなり、その外面の各面を構成する多角形形状の複数の弾性体で構成されるものであれば、例えば直方体形状のように、それ以外の多面体形状からなるものであっても良い。更に、多面体形状を構成する各面は、統一された形状ではなく、任意の多角形形状からなるものであっても良い。
【0101】
更に、上記の各実施の形態では、収納容器は、衝撃吸収体を有するものであったが、衝撃吸収体はなくても良い。又、この場合、収納体はなくても良い。
【0102】
更に、上記の各実施の形態では、収納容器は、把手が形成されていなかったが、包囲体の外面に把手が形成されてあっても良い。これにより、収納容器を持ち運びし易くなると共に、固定保持しやすくなる。
【0103】
更に、上記の第2及び第3の実施の形態では、弾性体は、袋体及び袋体に注入された気体からなるものであったが、水等の液体を注入した場合にも同様に適用できる。
【0104】
更に、上記の第2の実施の形態では、弾性体の封止は接着剤により行われるものであったが、これに限らず、ヒートシール等他の方法によるものであっても良い。
【0105】
更に、上記の第2の実施の形態では、内圧調整手段である第2接着層は、一箇所にのみ設けられる構成であったが、複数設ける構成にしても良い。このように構成すると、気体の流出方向の調整が容易となり、弾性体の保護機能の調整が更に容易となる。
【0106】
更に、上記の第2の実施の形態では、内圧調整手段である第2接着層の接着範囲は、特定の大きさで設けられる構成であったが、その接着範囲の大きさや形状等を変更しても良い。このように構成すると、気体の流出スピードの調整が容易となり、弾性体の保護機能の調整が更に容易となる。
【0107】
更に、上記の第2の実施の形態では、内圧調整手段として、第2接着層の接着力をその同一周方向長さの部分における第1接着層の接着力より小さくするために、異なる接着強度の接着剤を袋体の周縁部の半径方向に同一幅で塗布する構成であったが、これに限らない。第2接着層の接着力をその同一周方向長さの部分における第1接着層の接着力より小さくできれば、他の方法であっても良い。例えば、同一の接着強度の接着剤を、第2接着層に該当する部分を第1接着層より半径方向に幅狭く塗布することで、第2接着層の接着力を小さくする構成であっても良い。又、第2接着層に該当する周縁部自体を始めから半径方向に幅狭く形成して接着幅を狭くすることで、第2接着層の接着力を小さくする構成としても良い。
【0108】
更に、上記の第3の実施の形態では、内圧調整手段である逃がし弁は、一箇所にのみ設けられる構成であったが、複数設ける構成にしても良い。
【0109】
更に、上記の第2及び第3の実施の形態では、内圧調整手段は、接着層の接着力の変化や逃がし弁によるものであったが、これに限らず、他の手段によるものであっても良い。