特許第6987407号(P6987407)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987407
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】抗菌性コロイド及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 59/16 20060101AFI20211220BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20211220BHJP
   B22F 9/00 20060101ALI20211220BHJP
   C09D 189/00 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   A01N59/16 A
   A01P3/00
   B22F9/00 B
   C09D189/00
【請求項の数】15
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-55941(P2020-55941)
(22)【出願日】2020年3月26日
(65)【公開番号】特開2020-164857(P2020-164857A)
(43)【公開日】2020年10月8日
【審査請求日】2020年3月26日
(31)【優先権主張番号】108111403
(32)【優先日】2019年3月29日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】510137489
【氏名又は名称】カオシュン メディカル ユニヴァーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】シー,チ−ジェン
(72)【発明者】
【氏名】リー,チュン−リン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン−ワン,ユアン−ティン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ユ−チン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ユ−シュアン
【審査官】 桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−325467(JP,A)
【文献】 特開2000−016907(JP,A)
【文献】 特表2007−519622(JP,A)
【文献】 特表2012−525383(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0368416(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0021034(US,A1)
【文献】 特表平07−504843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 59/16
A01P 3/00
B22F 9/00
C09D 189/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硝酸イオンを含まない抗菌性コロイドの製造方法であって、
セラミック基材を構成する原料又はその前駆体、銀を含む原料又はその前駆体、及びメソ多孔質構造を形成するテンプレート界面活性剤を提供及び混合して混合物を形成する工程であって、前記セラミック基材を構成する原料又はその前駆体が、少なくともケイ素及び酸素を含む、前記工程と、
ゾルゲル技術により前記混合物を合成して起始ゲルを形成する工程と、
マクロ多孔質構造を有する立体配置テンプレートを提供する工程と、
前記立体配置テンプレートを前記起始ゲルに少なくとも一回浸す工程と、
前記浸された立体配置テンプレート上に400℃以上で熱処理を行ってセラミック基材を形成する工程であって、前記セラミック基材が、階層的メソ・マクロ多孔質構造を有し、前記階層的メソ・マクロ多孔質構造が、そこに嵌め込まれた複数の第一ナノ粒子を有し、前記複数の第一ナノ粒子が、ポジティブ徐放効果を有する、前記工程と、
少なくとも一つの還元性官能基を含有するタンパク質成分を含む媒質を提供する工程であって、前記還元性官能基がS-H又はN-Hであって、銀イオンを銀原子に還元できる、前記工程と、
前記媒質を前記セラミック基材と混合及び振動させて、前記複数の第一ナノ粒子が前記ポジティブ徐放効果により複数のイオンをそこから放出させる工程と、
前記タンパク質成分により前記複数のイオンの一部を還元して核形成及び成長させることで、複数の第二ナノ粒子を形成し、前記抗菌性コロイドを形成する工程と、
フィルターを提供し、セラミック基材を除去する工程と、
を含み、
上記の製造方法のすべての工程を通じて得られた前記抗菌性コロイドが、前記媒質、10nm未満の平均粒径を有する前記複数の第二ナノ粒子、及び20ppmを超える濃度を有する前記複数の金属イオンを含むとを特徴とする、抗菌性コロイドの製造方法。
【請求項2】
前記階層的メソ・マクロ多孔質構造が、複数のマクロポアと、複数のメソポアが配置される壁と、を含み、
前記複数のマクロポアが、前記壁により分離されていることを特徴とする、請求項1に記載の抗菌性コロイドの製造方法。
【請求項3】
前記壁が、前記セラミック基材を構成する原料又はその前駆体から形成され、
前記複数の第一ナノ粒子が、前記原料又はその前駆体から形成されることを特徴とする、請求項に記載の抗菌性コロイドの製造方法。
【請求項4】
前記メソ多孔質構造を形成する前記テンプレート界面活性剤、及び前記浸された立体配置テンプレートが、前記熱処理中に除去され、
前記マクロ多孔質構造が、前記メソ多孔質構造を形成する前記テンプレート界面活性剤、及び前記浸された立体配置テンプレートを除去するためのチャネルを提供することを特徴とする、請求項1に記載の抗菌性コロイドの製造方法。
【請求項5】
前記タンパク質成分が、カゼインであることを特徴とする、請求項1に記載の抗菌性コロイドの製造方法。
【請求項6】
前記カゼインが、動物乳又は植物エキスから得られることを特徴とする、請求項に記載の抗菌性コロイドの製造方法。
【請求項7】
前記カゼインの濃度が、10g/L〜30g/Lであることを特徴とする、請求項に記載の抗菌性コロイドの製造方法。
【請求項8】
前記セラミック基材を構成する原料又はその前駆体の総量が、M1モルであり
前記セラミック基材を構成する原料又はその前駆体に含まれるケイ素の量は、MSiモルであり、
前記銀を含む原料又はその前駆体の量は、Msilverモルであり、
MSiは、M1の少なくとも70%であり、
silverは、M1の10%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の抗菌性コロイドの製造方法。
【請求項9】
silverが、M1の1%であることを特徴とする、請求項に記載の抗菌性コロイドの製造方法。
【請求項10】
硝酸イオンは含まない抗菌性コロイドが、
10nm未満の平均粒径を有する複数のナノ粒子と、
20ppmを超える濃度を有する複数のイオンと、
少なくとも一つの還元性官能基を含有するタンパク質成分を含む媒質と、
を含み、
前記還元性官能基がS-H又はN-Hであって、銀イオンを銀原子に還元できることを特徴とする、抗菌性コロイド。
【請求項11】
前記タンパク質成分が、動物又は植物から得られることを特徴とする、請求項10に記載の抗菌性コロイド。
【請求項12】
前記タンパク質成分が、カゼインであることを特徴とする、請求項10に記載の抗菌性コロイド。
【請求項13】
前記カゼインが、動物乳又は植物エキスから得られることを特徴とする、請求項12に記載の抗菌性コロイド。
【請求項14】
前記カゼインの濃度が、10g/L〜30g/Lであることを特徴とする、請求項12に記載の抗菌性コロイド。
【請求項15】
前記複数の銀イオンが、40ppmを超える濃度を有することを特徴とする、請求項10に記載の抗菌性コロイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願と優先権主張の相互参照
本出願は、台湾経済部智慧財産局での2019年3月29日に出願された特許出願第108111403号に基づく利益を主張し、その内容は参考として本明細書に取り入れるものとする。
【0002】
本発明は、抗菌性コロイド及びその製造方法に関し、特に階層的メソ・マクロ多孔質(hierarchically meso-macroporous)構造を有するセラミック基材が、少なくとも一つのタンパク質成分を含む媒質と作用して、その徐放される金属イオンを複数の金属ナノ粒子に還元させることを通して製造される抗菌性コロイド及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、新興の銀ナノ粒子(AgNP)調製方法は、主に緑色媒質活性化合成方法(green medium activation synthesis methods)に基づいている。前記合成方法の大部分は、硝酸銀を銀イオン(Ag)の前駆体として使用し、微生物、植物エキスなどによってAgを還元し、AgNPの安定剤として使用する。前記合成方法では、AgNPの核生成速度と成長速度を制御できない。前記合成されたAgNPは安定ではなく、凝集、堆積及び析出しやすい。前記合成されたAgNPの粒径は大きく(平均粒径〜50nm)、サイズ分布は不均一である。しかしながら、多剤耐性菌(MDRO)を効果的に阻害できるAgNPの粒径は10 nm未満である必要があり、これはMDROを阻害するこれらの合成方法を使用する場合の技術的なボトルネックである。一方、これらの合成方法によって調製されたAgNPは硝酸イオン(NO)を残留し、硝酸イオンは溶液中の還元性陽イオン又は金属イオンに容易に結合し、熱分解中に酸化還元反応を引き起こし、熱的不安定性を持っている。毒性に関して、動物体内の毒性に関する研究は、硝酸銀がAgNPよりはるかに毒性であることを示している。それに、硝酸イオンは環境中に存在する汚染物質であり、最近の研究はそれらが人体の生殖系に有毒である可能性があることを示している。
【0004】
メソ多孔質シリカベース材料は、高い比表面積、低毒性、良好なカプセル化及び徐放性を持つ典型的なアモルファス固体である。以前の研究で合成された銀含有メソ多孔質シリカベース材料は、Agを形成するために脱イオン水又は模擬体液を徐放媒質として使用し、得られたAg濃度は約5 ppmにすぎない。このAg濃度は、ただ一般的な薬剤耐性をもたない菌(大腸菌、黄色ブドウ球菌及び緑膿菌)のみを阻害でき、安定性は低いである。しばらくすると、銀粒子が析出し、不均一な相を示す。以前の研究の大部分は、銀含有メソ多孔質シリカベース材料が細胞への毒性を指摘していない。
【0005】
上記に基づいて、出願人は、上記の欠点を改善するために、従来技術の欠点に鑑み、本発明「抗菌性コロイド及びその製造方法」を提案する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
小さい粒径の金属ナノ粒子と、高濃度の金属イオンと、を含み、硝酸イオンを含まない抗菌性コロイドを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本願は、抗菌性コロイドの製造方法を提案する。前記抗菌性コロイドの製造方法は、セラミック基材を構成する原料又はその前駆体、金属原料又はその前駆体、及びメソ多孔質構造を形成するテンプレート界面活性剤を提供及び混合して混合物を形成する工程であって、前記セラミック基材を構成する原料又はその前駆体は、少なくともケイ素及び酸素を含む前記工程と、ゾルゲル技術により前記混合物を合成して起始ゲルを形成する工程と、マクロ多孔質構造を有する立体配置テンプレートを提供する工程と、前記立体配置テンプレートを前記起始ゲルに少なくとも一回浸す工程と、前記浸された立体配置テンプレート上に400℃以上で熱処理を行ってセラミック基材を形成する工程であって、前記セラミック基材は、階層的メソ・マクロ多孔質構造を有し、前記階層的メソ・マクロ多孔質構造には、嵌め込まれた複数の第一金属ナノ粒子があり、前記複数の第一金属ナノ粒子はポジティブ徐放効果を有する前記工程と、少なくとも一つの還元性官能基を含有するタンパク質成分を含む媒質を提供する工程と、前記媒質を前記セラミック基材と混合及び振動させて、前記複数の第一金属ナノ粒子が前記ポジティブ徐放効果により複数の金属イオンを放出させる工程と、前記タンパク質成分により前記複数の金属イオンの一部を還元して核形成及び成長させ、複数の第二金属ナノ粒子を形成し、前記抗菌性コロイドを形成する工程と、を含み、前記抗菌性コロイドは、前記媒質、10 nm未満の平均粒径を有する前記複数の第二金属ナノ粒子、及び20 ppmを超える濃度を有する前記複数の金属イオンを含み、硝酸イオンを含まない。
【0008】
上述の目的を達成するために、本願は、微生物を含むシステム内の抗菌性コロイドを提案する。前記微生物を含むシステム内の抗菌性コロイドは、10 nm未満の平均粒径を有する複数の金属ナノ粒子と、20 ppmを超える濃度を有する前記複数の金属イオンと、少なくとも一つの還元性官能基を含有するタンパク質成分を含む媒質と、を含み、硝酸イオンを含まなく、前記微生物は、第一状態では第一値A1コロニー形成単位(CFU)を有し、前記抗菌性コロイドが前記システムに入れられて特定の時間が経過した後の第二状態では第二値A2 CFUを有し、(A1−A2)/A1は0.5以上である。
【0009】
上述の目的を達成するために、本願は、抗菌性コロイドを提案する。前記抗菌性コロイドは、10 nm未満の平均粒径を有する複数の金属ナノ粒子と、20 ppmを超える濃度を有する複数の金属イオンと、少なくとも一つの還元性官能基を含有するタンパク質成分を含む媒質と、を含み、硝酸イオンを含まない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下の詳細な説明と添付の図面を参照した後には、本発明の目的及び利点がより容易に理解できる。
図1】本発明の第一実施形態に係る銀含有抗菌性コロイドの製造方法のフローチャートである。
図2】本発明の第一実施形態に係る銀含有抗菌性コロイドの透過型電子顕微鏡画像である。
図3】本発明の第一実施形態に係る銀含有抗菌性コロイドの紫外分光光度計による測定結果を示す図である。
図4】本発明の第一実施形態に係る銀含有抗菌性コロイドの誘導結合プラズマ質量分析計による測定結果を示す図である。
図5】本発明の第一実施形態に係る銀含有抗菌性コロイドを液体培地に添加することによって実施された黄色ブドウ球菌の時間殺菌試験の時間殺菌曲線プロットである。
図6】本発明の第一実施形態に係る銀含有抗菌性コロイドを液体培地に添加することによって実施された緑膿菌の時間殺菌試験の時間殺菌曲線プロットである。
図7】本発明の第一実施形態に係る銀含有抗菌性コロイドを液体培地に添加することによって実施されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA 33592)の時間殺菌試験の時間殺菌曲線プロットである。
図8】本発明の第一実施形態に係る銀含有抗菌性コロイドを液体培地に添加することによって実施されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA 49476)の時間殺菌試験の時間殺菌曲線プロットである。
図9】本発明の第一実施形態に係る銀含有抗菌性コロイドを液体培地に添加することによって実施されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(VISA 700698)の時間殺菌試験の時間殺菌曲線プロットである。
図10】本発明の第一実施形態に係る銀含有抗菌性コロイドを液体培地に添加することによって実施されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(VISA 700699)の時間殺菌試験の時間殺菌曲線プロットである。
図11】本発明の第一実施形態に係る銀含有抗菌性コロイドを液体培地に添加することによって実施されたクレブシエラ・ニューモニエの時間殺菌試験の時間殺菌曲線プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明を実施例に基づいて詳述するが、あくまでも例示であって、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載されており、さらに特許請求の範囲の記載と均等な意味及び範囲内での全ての変更を含んでいる。
【0012】
本願は、抗菌性コロイドの製造方法を提供する。前記抗菌性コロイドの製造方法は、セラミック基材を構成する原料又はその前駆体、金属原料又はその前駆体、及びメソ多孔質構造を形成するテンプレート界面活性剤を提供及び混合して混合物を形成する工程であって、前記セラミック基材を構成する原料又はその前駆体は、少なくともケイ素及び酸素を含む前記工程と、ゾルゲル技術により前記混合物を合成して起始ゲルを形成する工程と、マクロ多孔質構造を有する立体配置テンプレートを提供する工程と、前記立体配置テンプレートを前記起始ゲルに少なくとも一回浸す工程と、前記浸された立体配置テンプレート上に400℃以上で熱処理を行ってセラミック基材を形成する工程であって、前記セラミック基材は、階層的メソ・マクロ多孔質構造を有し、前記階層的メソ・マクロ多孔質構造には、嵌め込まれた複数の第一金属ナノ粒子があり、前記複数の第一金属ナノ粒子はポジティブ徐放効果を有する前記工程と、少なくとも一つの還元性官能基を含有するタンパク質成分を含む媒質を提供する工程と、前記媒質を前記セラミック基材と混合及び振動させて、前記複数の第一金属ナノ粒子が前記ポジティブ徐放効果により複数の金属イオンを放出させる工程と、前記タンパク質成分により前記複数の金属イオンの一部を還元して核形成及び成長させ、複数の第二金属ナノ粒子を形成し、前記抗菌性コロイドを形成する工程と、を含み、前記抗菌性コロイドは、前記媒質、10 nm未満、より好ましくは約2 nm〜5 nmの平均粒径を有する前記複数の第二金属ナノ粒子、及び20 ppmを超える濃度を有する前記複数の金属イオンを含み、硝酸イオンを含まない。
【0013】
本発明は、抗菌性コロイドの製造方法を提供し、ここで、セラミック基材を構成する原料又はその前駆体の一つは、オルトケイ酸テトラエチルであってもよい。金属原料又はその前駆体は、硝酸銀(silver nitrate)、硝酸水素金(gold hydrogen nitrate)、硝酸亜鉛六水和物(zinc nitrate hexahydrate)、硝酸第二銅三水和物(cupric nitrate trihydrate)、三硝酸鉄九水和物(iron trinitrate nonahydrate)、又は硝酸ストロンチウム(strontium nitrate)であってもよい。メソ多孔質構造を形成するテンプレート界面活性剤は、熱可逆性ヒドロゲル(Pluronic F-127)であってもよい。
【0014】
本発明は、抗菌性コロイドの製造方法を提供し、ここで、ゾルゲル技術は、セラミック及びガラスを製造するための低温湿式化学合成方法である。この技術は、システムの液相(ゾル)から固相(ゲル)への変換を含む。反応物には一連の加水分解反応と重合反応があり、コロイド懸濁液を形成する。
【0015】
本発明は、抗菌性コロイドを製造する方法を提供し、ここで、立体配置テンプレートは、多孔質生物(porous organism)又は合成多孔質体(synthetic porous body)であってもよい。多孔質生物は天然海綿であってもよく、合成多孔体はポリウレタンフォーム又はポリ乳酸マクロ多孔質構造であってもよい。
【0016】
本発明は、抗菌性コロイドを製造する方法を提供し、ここで、前記階層的メソ・マクロ多孔質構造は、複数のマクロポアと、複数のメソポアが配置される壁と、を含み、前記複数のマクロポアは前記壁により分離されている。前記壁は前記セラミック基材を構成する原料又はその前駆体から形成され、前記複数の第一金属ナノ粒子は前記金属原料又はその前駆体から形成される。前記メソ多孔質構造を形成する前記テンプレート界面活性剤及び前記浸された立体配置テンプレートは、前記熱処理中に除去され、前記マクロ多孔質構造は、前記メソ多孔質構造を形成する前記テンプレート界面活性剤及び前記浸された立体配置テンプレートを除去するためのチャネルを提供する。金属原料又はその前駆体に含まれる硝酸イオンも、熱処理中に除去される。
【0017】
本発明は、抗菌性コロイドを製造する方法を提供し、ここで、還元性官能基がS-H又はN-Hであってもよい。タンパク質成分はカゼインであってもよい。カゼインは、動物乳又は植物エキスから得られてもよい。カゼインの濃度は10g/L〜30g/Lであってもよい。振動の条件は、35℃で24時間、160 rpmで振ることであってもよい。
【0018】
本発明は、抗菌性コロイドの製造方法を提供し、前記抗菌性コロイドを濾過するフィルターを提供し、セラミック基材及び不純物を除去する工程、を更に含む。
【0019】
本発明は、抗菌性コロイドの製造方法を提供し、前記抗菌性コロイドは、微生物の成長を阻害する又は微生物を殺す特性を持っている。前記微生物は、細菌、ウイルス、真菌、又は原生動物であってもよい。前記細菌は、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、クレブシエラ・ニューモニエ、及びそれらの組み合わせから1種類或いは多種類選択されるものであってもよい。
【0020】
本発明は、抗菌性コロイドの製造方法を提供し、前記セラミック基材を構成する原料又はその前駆体の総量がMモルの場合、前記セラミック基材を構成する原料又はその前駆体に含まれるケイ素の量はMSiモルであり、前記金属原料又はその前駆体の量はMmetalモルであり、MSiはMの少なくとも70%であり、MmetalはMの10%以下である。好ましくは、MmetalはMの1%である。
【0021】
本発明は、微生物を含むシステム内の抗菌性コロイドを提供する。前記微生物を含むシステム内の抗菌性コロイドは、10 nm未満の平均粒径を有する複数の金属ナノ粒子と、20 ppmを超える濃度を有する複数の金属イオンと、少なくとも一つの還元性官能基を含有するタンパク質成分を含む媒質と、を含み、硝酸イオンを含まず、前記微生物は、第一状態では第一値A1コロニー形成単位(CFU)を有し、前記抗菌性コロイドが前記システムに入れられて特定の時間が経過した後の第二状態では第二値A2 CFUを有し、(A1−A2)/A1は0.5以上である。
【0022】
本発明は、微生物を含むシステム内の抗菌性コロイドを提供し、ここで、前記微生物は、細菌、ウイルス、真菌、又は原生動物であってもよい。前記細菌は、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、クレブシエラ・ニューモニエ、及びそれらの組み合わせから1種類或いは多種類選択されるものであってもよい。
【0023】
本発明は、微生物を含むシステム内の抗菌性コロイドを提供し、ここで、前記システムは、細胞、生物組織、生物器官、化粧品、薬物、医療器具、又は生体材料である。
【0024】
本発明は、微生物を含むシステムを提供し、システムに生物活性剤及び抗菌性コロイドを特定の期間後に添加し、特定の期間後に抗菌効果が生じ、システムはFIC indexを有する。前記抗菌性コロイドは、10 nm未満の平均粒径を有する複数の金属ナノ粒子と、20 ppmを超える濃度を有する前記複数の金属イオンと、少なくとも一つの還元性官能基を含有するタンパク質成分を含む媒質と、を含み、硝酸イオンを含まない。FIC指数は0.5以下である。
【0025】
本発明は、微生物を含むシステムを提供し、ここで、生物活性剤はゲンタマイシンであってもよい。
【0026】
本発明は、微生物を含むシステムを提供し、ここで、前記抗菌性コロイドは、微生物の成長を阻害する又は微生物を殺す特性を持っている。前記微生物は、細菌、ウイルス、真菌、又は原生動物であってもよい。前記細菌は、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、クレブシエラ・ニューモニエ、及びそれらの組み合わせから1種類或いは多種類選択されるものであってもよい。最も好ましくは、前記細菌はクレブシエラ・ニューモニエであってもよい。
【0027】
本発明は、微生物を含むシステムを提供し、前記システムは、細胞、生物組織、生物器官、化粧品、薬物、医療器具、又は生体材料である。
【0028】
本発明は、抗菌性コロイドを提供する。前記抗菌性コロイドは、10 nm未満の平均粒径を有する複数の金属ナノ粒子と、20 ppmを超える濃度を有する前記複数の金属イオンと、少なくとも一つの還元性官能基を含有するタンパク質成分を含む媒質と、を含み、硝酸イオンを含まない。
【0029】
本発明は、抗菌性コロイドを提供し、より好ましくは、複数の金属イオンは40 ppmを超える濃度を有する。
【0030】
本発明は、抗菌性コロイドを提供し、ここで、セラミック基材を更に含む。
【0031】
本発明は、抗菌性コロイドを提供し、ここで、タンパク質成分は、動物又は植物から得られてもよい。還元性官能基がS-H又はN-Hであってもよい。タンパク質成分がカゼインであってもよい。カゼインは、動物乳又は植物エキスから得られてもよい。タンパク質の濃度は10g/L〜30g/Lであってもよい。
【0032】
本発明は、抗菌性コロイドを提供し、前記抗菌性コロイドは、微生物の成長を阻害する又は微生物を殺す特性を持っている。前記微生物は、細菌、ウイルス、真菌又は原生動物であってもよい。前記細菌は、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、クレブシエラ・ニューモニエ、及びそれらの組み合わせから1種類或いは多種類選択されるものであってもよい。
【0033】
本発明に記載の「抗菌」には、「静菌」及び「殺菌」が含まれる。
【0034】
本発明を適用できる産業には、化粧品産業、歯科材料産業、生物医学材料産業、及び生物医学製薬産業が含まれるが、これらとは限らない。
【0035】
本発明を適用できる製品には、様々な化粧品、抗菌性創傷被覆材、薬剤耐性細菌用の抗菌性創傷被覆材、骨補填材料、抗菌性骨補填材料、消臭口腔ゲル、消臭口腔うがい薬、消臭口腔スプレー、歯科パッチ、歯科の骨補填材料、抗菌性歯科の骨補填材料、抗菌性及び知覚過敏ケア歯磨きの粉、ペットケア口腔スプレー、ペットケア歯磨きの粉、及びペット口臭スプレーが含まれるが、これらとは限らない。
【0036】
従来技術では、銀ナノ粒子(AgNP)は、銀イオン源としてAgNOを使用して調製され、銀イオンは溶液中で完全に解離し、溶液中に徐放されなく、核形成速度及び成長速度を自動的に停止することはできなく、その結果、不均一なサイズ分布と不十分な安定性をもたらし、凝集、堆積、沈殿が発生しやすくなる。本発明において、銀イオンを銀原子に還元し、核形成し、銀ナノ粒子に成長させるプロセスは、タンパク質成分を含む媒質中で行われ、本発明の銀含有セラミック基材は、銀イオンを徐放することができる。製造方法において、タンパク質成分は還元剤及び安定剤の役割を果たし、銀イオンの形成を促進し、銀ナノ粒子の成長を制限する機能を有し、粒子の凝集又はオストワルド熟成を引き起こさない。10 nm以下の均一な直径の緑色合成銀ナノ粒子コロイドを得ることができる。また、本発明の抗菌性コロイドに含まれるタンパク質成分は、還元性官能基を有しており、銀イオンの放出効果を高め、より多くの銀イオンを放出させることができる。
【0037】
一方、本発明の製造方法には熱処理の工程があり、この工程で硝酸イオンが除去される。上記のように、硝酸イオンは熱不安定性と動物毒性を持ち、人体の生殖系に有毒である恐れがある。本発明の抗菌性コロイドの製造方法は、硝酸イオンを除去することができるため、安定性と安全性の利点を有する。
【0038】
第一実施形態
【0039】
本実施形態は、銀含有抗菌性コロイド、その製造方法、及びそれを含むシステムを提供する。実施形態の説明をより詳細かつ完全にするために、図1〜11を参照してください。本発明は、10 nm未満の平均粒径を有する複数の銀ナノ粒子と、20 ppmを超える濃度を有する複数の銀イオンと、少なくとも一つのタンパク質成分を含む媒質と、を含む抗菌性コロイドを掲示している。前記コロイドが微生物を含むシステムに入れられる場合、複数の銀ナノ粒子と複数の銀イオンは、微生物の細胞壁を破壊するか、活性酸素種(ROS)を形成することにより、微生物構造を破壊でき、それにより、微生物の繁殖を阻害する又は微生物を殺す効果を達成する。
【0040】
図1を参照してください。本実施形態は、銀含有抗菌性コロイドの製造方法を提供し、そのプロセス(10)は、最初に、銀イオン(Ag)源として階層的メソ・マクロ多孔質構造を有する銀含有セラミック基材(MMCP−Ag)を形成し(11)、次にタンパク質活性化方法によりコロイドを形成することを含む。階層的メソ・マクロ多孔質構造を有する銀含有セラミック基材を形成するステップ(11)は、セラミック基材を構成する原料又はその前駆体、銀原料又はその前駆体、及びメソ多孔質構造を形成するテンプレート界面活性剤を提供及び混合して混合物を形成する工程であって、前記セラミック基材を構成する原料又はその前駆体は、少なくともケイ素及び酸素を含む前記工程と、ゾルゲル技術により前記混合物を合成して起始ゲルを形成する工程と、マクロ多孔質構造を有する立体配置テンプレートを提供する工程と、前記立体配置テンプレートを前記起始ゲルに少なくとも一回浸す工程と、前記浸された立体配置テンプレート上に400℃以上で熱処理を行って、立体配置テンプレート及びメソ多孔質構造を形成するテンプレート界面活性剤を除去する工程と、を含む。セラミック基材を構成する原料又はその前駆体の一つは、オルトケイ酸テトラエチルである。銀原料又はその前駆体は、硝酸銀であってもよい。メソ多孔質構造を形成するテンプレート界面活性剤は、熱可逆性ヒドロゲル(Pluronic F-127)である。マクロ多孔質構造を有する立体配置テンプレートは、多孔質生物の天然海綿又は合成多孔質体、例えばポリウレタンフォーム又は3Dプリンティング技術により形成されるマクロ多孔質構造のポリ乳酸体。前記セラミック基材を構成する原料又はその前駆体の総量がMモルの場合、前記セラミック基材を構成する原料又はその前駆体に含まれるケイ素の量はMSiモルであり、前記銀原料又はその前駆体の量はMmetalモルであり、MSiはMの少なくとも70%であり、MmetalはMの10%以下である。好ましくは、MmetalはMの1%である。前記階層的メソ・マクロ多孔質構造を有する銀含有セラミック基材は、複数のマクロポアと、複数のメソポアが配置される壁と、を含み、前記複数のマクロポアは前記壁により分離されている。前記壁は前記セラミック基材を構成する原料又はその前駆体から形成され、前記複数の銀ナノ粒子は前記銀原料又はその前駆体から形成され、前記階層的メソ・マクロ多孔質構造に嵌め込まれ、ポジティブ徐放効果を有する。銀ナノ粒子のポジティブ徐放効果は、銀ナノ粒子が、室温で親水性媒質中に1時間に少なくとも2 ppmの濃度の銀イオンを24時間以上ポジティブに放出する。親水性媒質は、生物体液、水を含む溶液、アルコール、人の血液、脱イオン水、微生物培養基、及び模擬体液から1種類或いは多種類選択される。セラミック基材を構成する原料又はその前駆体は、リン、カルシウム又はそれらの組み合わせを更に含む。もちろん、階層的メソ・マクロ多孔質構造を有する銀含有セラミック基材に好適な各種原料又はその前駆体及び銀原料又はその前駆体は、本発明の範囲内であり、これらに限定されない。タンパク質活性化方法のステップは、S−H、N−Hなどの少なくとも一つの還元性官能基を含むタンパク質成分を含む媒質を提供する(12)。本実施形態は、10g/L〜30g/Lのカゼインを含む媒質を使用し、カゼインは動物乳又は植物エキスから得られる。銀含有セラミック基材を、タンパク質成分を含む媒質と攪拌混合し(13)、35℃、160 rpmで24時間振って、階層的メソ・マクロ多孔質構造を有する銀含有セラミック基材から放出される銀イオンが還元、核形成、成長して銀ナノ粒子を再形成することを促進する(14)。最終的に10 nm未満の平均粒径を有する銀ナノ粒子及び20 ppmを超える濃度(最大68 ppm)を有する銀イオンを含む銀含有抗菌性コロイドが調製される(16)。別の実施形態において、調製された抗菌性コロイドは、フィルターを使用して濾過され、階層的メソ・マクロ多孔質構造を有する銀含有セラミック基材及び他の不純物を除去する(15)ことができる。別の実施形態において、タンパク質成分を含む媒質は、モリンダ・シトリフォリア葉抽出物を含む媒質であってもよい。もちろん、タンパク質活性化に適した還元性官能基を含む様々な媒質は、本発明の範囲内であり、それに限定されない。製造方法のフローチャートについて、図1を参照することができる。本実施形態で提案する銀ナノ粒子を含む抗菌性コロイドの製造方法は、従来技術とは異なるため、製造された抗菌性コロイドは硝酸イオンを含まない。
【0041】
図2は、本実施形態で製造された銀含有抗菌性コロイドの透過型電子顕微鏡画像を示し、そこに含まれる銀ナノ粒子は約2nm〜5nmの範囲の粒径を有し、平均粒径は約4 nmで、分布は均一である。図3は、本実施形態で製造された銀含有抗菌性コロイドの紫外分光光度計による測定結果であり、波長413 nmでの銀ナノ粒子(AgNP)の表面プラズマ共鳴特性の吸収ピークを示す。本実施形態で提案する製造方法により、AgNPをうまく合成できることが確認された。
【0042】
別の実施形態は、銀イオン(Ag)源として、異なる銀含有量(2.5mg/mL、5mg/mL、10mg/mL及び20mg/mL)の階層的メソ・マクロ多孔質構造を有する銀含有セラミック基材(SCNS)を使用し、カゼインを含む媒質によって活性化され、銀含有抗菌性コロイドを形成する。誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)を使用し、測定と分析した結果を図4に示す。図4からわかるように、放出された銀イオン濃度は、それぞれ22.2 ppm、22.5 ppm、35.1 ppm及び68.1 ppmである。つまり、SCNSの銀含有量が高いほど、銀イオンを放出する効果が高くなる。この銀イオン濃度は、銀カプセル化バイオガラス溶解方法(silver encapsulated bioglass dissolution method)に関する現在の公開文献に開示されている放出された銀イオン限界濃度(5 ppm)の4〜13倍である。
【0043】
別の実施形態では、セラミック基材のSi:Ca:P:Agモル比が80:15:5:1となるように、1 mol%の銀が階層的メソ・マクロ多孔質構造を有するセラミック基材を構成する原料又はその前駆体に添加される。階層的メソ・マクロ多孔質構造を有する銀含有セラミック基材(SCNS)は、銀イオン(Ag)源として使用され、カゼインを含む媒質によって活性化され、銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)を形成する。銀含有抗菌性コロイドの様々な微生物に対する最小発育阻止濃度(MIC)は、時間殺菌試験によって測定される。本実施形態で形成される銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)は、親水性媒質及び微生物を含む環境又はシステム(液体培地など)に添加されるか、又は添加されない。37℃で特定の期間培養した後、各グループの試験溶液が形成され、各グループの試験溶液における微生物の数が測定される。つまり、特定の量の試験溶液の濁度が測定され、変換されて微生物の数が得られる。試験溶液の濁度は、ELISAリーダーにより波長600 nmの吸光度値(OD値)により測定される。横軸を経過時間、縦軸を吸光度(OD600)として、この環境又はシステムでの試験微生物の時間殺菌曲線がプロットされる。試験微生物は、細菌、ウイルス、真菌又は原生動物であってもよい。前記細菌は、例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-resistant staphylococcus aureus)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、大腸菌(Escherichia coli)、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、及びエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)であってもよい。前記真菌は、例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)であってもよい。液体培地の条件は、銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)エキスの重量(mg)と、トリプティックソイブロス(tryptic soy broth,TSB)などの特定の培地それぞれの体積(ml)の比は、5、10、及び20である。37℃のインキュベーターに置き、24時間で160 rpmの抽出条件で、3000 rpmで5分間遠心分離した後、上清液が吸引される。これが試験サンプルのエキスである。試験微生物を解凍し、特定の各培地(agar)に接種し、特定の温度のインキュベーターで特定の期間培養する。滅菌綿棒で菌株をこすり、各滅菌液体培地に接種する。試験細菌溶液を濁度計で測定し、その濃度を約1.5×10 CFU/ml(colony-forming units per milliliter)に調整する。溶液は、試験サンプルのエキスが調製された96ウェルマイクロタイタープレートに添加され、各ウェル中の細菌溶液の濃度は、接種後約5×10 CFU/mlである。細菌溶液を37℃で培養し、吸光度を1時間ごとに24時間分光光度計で測定し、時間殺菌試験の時間殺菌曲線をプロットして、異なる微生物上の本実施形態の銀含有抗菌性コロイドの最小発育阻止濃度(MIC)を見つける。最小発育阻止濃度(MIC)とは、24時間の培養後に微生物の成長を阻害及び観察できる最低濃度を指す。対照群の条件は、異なる試験菌株を含む各液体培地は、銀含有抗菌性コロイドを含む各試験溶液を添加せずに24時間培養する。
【0044】
本実施形態で形成された銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)の黄色ブドウ球菌、緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA 33592、MRSA 49476、VISA 700698、及びVISA 700699)、並びにクレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae,KP)に対する時間殺菌試験結果を図5〜11に示す。
【0045】
1. 黄色ブドウ球菌の時間殺菌試験:
【0046】
図5は、本発明の第一実施形態に係る銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)を液体培地に添加することによって実施された黄色ブドウ球菌の時間殺菌試験の時間殺菌曲線プロットを示す。液体培地の条件は、銀含有抗菌性コロイドエキスの重量(mg)と、特定の培養液それぞれの体積(ml)の比は、5、10、及び20である。図5から、20mg/mLの銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)エキスの濃度は、細菌の繁殖を阻害する効果が高いことがわかる。10mg/mLの銀含有抗菌コロイド(Casein-SCNS)エキスの濃度は、細菌の繁殖を阻害する効果が限定的であり、黄色ブドウ球菌は10時間目から繁殖する。従って、最小発育阻止濃度(MIC)は10mg/mL〜20mg/mLと推定される。5mg/mLの銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)エキスの濃度は、細菌の繁殖を阻害しない。
【0047】
2. 緑膿菌の時間殺菌試験:
【0048】
図6は、本発明の第一実施形態に係る銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)を液体培地に添加することによって実施された緑膿菌の時間殺菌試験の時間殺菌曲線プロットを示す。液体培地の条件は、銀含有抗菌性コロイドエキスの重量(mg)と、特定の培養液それぞれの体積(ml)の比は、5、10、及び20である。図6から、20mg/mLの銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)エキスの濃度は、細菌の繁殖を阻害する効果が高いことがわかる。10mg/mLの銀含有抗菌コロイド(Casein-SCNS)エキスの濃度は、細菌の繁殖を阻害する効果が限定的であり、緑膿菌は8時間目から繁殖する。従って、最小発育阻止濃度(MIC)は10mg/mL〜20mg/mLと推定される。5mg/mLの銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)エキスの濃度は、細菌の繁殖を阻害しない。
【0049】
3. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA 33592)の時間殺菌試験:
【0050】
図7は、本発明の第一実施形態に係る銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)を液体培地に添加することによって実施されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA 33592)の時間殺菌試験の時間殺菌曲線プロットを示す。液体培地の条件は、銀含有抗菌性コロイドエキスの重量(mg)と、特定の培養液それぞれの体積(ml)の比は、5、10、及び20である。図7から、10mg/mL及び20mg/mLの銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)エキスの濃度は、細菌の繁殖を阻害する効果が高いことがわかる。5mg/mLの銀含有抗菌コロイド(Casein-SCNS)エキスの濃度は、細菌の繁殖を阻害する効果が限定的であり、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA 33592)は3時間目から繁殖する。従って、最小発育阻止濃度(MIC)は5mg/mL〜10mg/mLと推定される。
【0051】
4. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA 49476)の時間殺菌試験:
【0052】
図8は、本発明の第一実施形態に係る銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)を液体培地に添加することによって実施されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA 49476)の時間殺菌試験の時間殺菌曲線プロットを示す。液体培地の条件は、銀含有抗菌性コロイド抽出物の重量(mg)と、特定の培養液それぞれの体積(ml)の比は、5、10、及び20である。図8から、10mg/mL及び20mg/mLの銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)エキスの濃度は、細菌の繁殖を阻害する効果が高いことがわかる。5mg/mLの銀含有抗菌コロイド(Casein-SCNS)エキスの濃度は、細菌の繁殖を阻害する効果が限定的であり、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA 49476)は4時間目から繁殖する。従って、最小発育阻止濃度(MIC)は5mg/mL〜10mg/mLと推定される。
【0053】
5. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(VISA 700698)の時間殺菌曲線試験:
【0054】
図9は、本発明の第一実施形態に係る銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)を液体培地に添加することによって実施されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(VISA 700698)の時間殺菌試験の時間殺菌曲線プロットを示す。液体培地の条件は、銀含有抗菌性コロイドエキスの重量(mg)と、特定の培養液それぞれの体積(ml)の比は、5、10、及び20である。図9から、10mg/mL及び20mg/mLの銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)エキスの濃度は、細菌の繁殖を阻害する効果が高いことがわかる。5mg/mLの銀含有抗菌コロイド(Casein-SCNS)エキスの濃度は、細菌の繁殖を阻害する効果が限定的であり、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(VISA 700698)は5時間目から繁殖する。従って、最小発育阻止濃度(MIC)は5mg/mL〜10mg/mLと推定される。
【0055】
6. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(VISA 700699)の時間殺菌曲線試験:
【0056】
図10は、本発明の第一実施形態に係る銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)を液体培地に添加することによって実施されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(VISA 700699)の時間殺菌試験の時間殺菌曲線プロットを示す。液体培地の条件は、銀含有抗菌性コロイドエキスの重量(mg)と、特定の培養液それぞれの体積(ml)の比は、5、10、及び20である。図10から、10mg/mL及び20mg/mLの銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)エキスの濃度は、細菌の繁殖を阻害する効果が高いことがわかる。5mg/mLの銀含有抗菌コロイド(Casein-SCNS)エキスの濃度は、細菌の繁殖を阻害する効果が限定的であり、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(VISA 700699)は7時間目から繁殖する。従って、最小発育阻止濃度(MIC)は5mg/mL〜10mg/mLと推定される。
【0057】
7. クレブシエラ・ニューモニエ(KP)の時間殺菌試験:
【0058】
図11は、本発明の第一実施形態に係る銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)を液体培地に添加することによって実施されたクレブシエラ・ニューモニエの時間殺菌試験の時間殺菌曲線プロットを示す。液体培地の条件は、銀含有抗菌性コロイドエキスの重量(mg)と、特定の培養液それぞれの体積(ml)の比は、5、10、及び20である。図11から、10mg/mL及び20mg/mLの銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)エキスの濃度は、細菌の繁殖を阻害する効果が高いことがわかる。5mg/mLの銀含有抗菌コロイド(Casein-SCNS)エキスの濃度は、細菌の繁殖を阻害する効果が限定的であり、クレブシエラ・ニューモニエは6時間目から繁殖する。従って、最小発育阻止濃度(MIC)は5mg/mL〜10mg/mLと推定される。
【0059】
結論:本発明の第一実施形態の銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)は、上記の試験は微生物の繁殖を阻害する効果を有し、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌及びクレブシエラ・ニューモニエに特に有効である。その理由は、銀含有抗菌性コロイド(Casein-SCNS)が、10 nm未満の平均粒径を有する銀ナノ粒子及び20 ppmを超える濃度を有する銀イオンを含むためである。これらの銀ナノ粒子と遊離した銀イオンは、微生物の細胞壁を破壊するか、又は活性酸素種を形成することにより、微生物構造を破壊でき、それにより、微生物の繁殖を阻害する効果、又は微生物を殺す効果が達成できる。
【0060】
第二実施形態
【0061】
本実施形態は、銀含有抗菌性コロイド、その製造方法、及びそれを含むシステムを提供する。実施形態の説明をより詳細かつ完全にするために、表1〜2を参照してください。本発明は、10 nm未満の平均粒径を有する複数の銀ナノ粒子と、20 ppmを超える濃度を有する複数の銀イオンと、少なくとも一つのタンパク質成分を含む媒質と、を含む抗菌性コロイドを掲示する。本実施形態の銀含有抗菌性コロイドの製造方法は、第一実施形態と同様である。
【0062】
相乗的静菌試験は、本実施形態で製造された銀含有抗菌性コロイド(緑色媒質AgNP阻害剤)と生物活性剤(例としてゲンタマイシンを使用する)を用いて実施される。FIC indexは、相乗効果の参考指標として使用される。相乗効果とは、二つ以上の物質が互いに混合され、全体的な効果は、各物質単独の利点よりも大きいか、又は各物質単独の欠点よりも小さい現象である。相乗的静菌試験は、実験株としてそれぞれクレブシエラ・ニューモニエ(K. pneumoniae) 700623及びクレブシエラ・ニューモニエ(K. pneumoniae) BAA-1705を用いるチェッカーボード試験を用いて実施される。生物活性剤のゲンタマイシンを最初に160μg. mL−1〜640μg. mL−1に希釈し、50μLのゲンタマイシンを、微生物培養基(MHB)を使用して二倍連続希釈で96ウェルマイクロプレートに横方向に加える。二倍連続希釈では、クレブシエラ・ニューモニエ(K. pneumoniae) 700623に使用されるゲンタマイシンの濃度は、1.25μg. mL−1〜40μg. mL−1の範囲であり、クレブシエラ・ニューモニエ(K. pneumoniae) BAA-1705に使用されたゲンタマイシンの濃度は、5μg. mL−1〜160μg. mL−1の範囲である。TSB培地で抽出された緑色媒質AgNP阻害剤エキスを使用し、緑色媒質AgNP阻害剤エキスの濃度を10mg. mL−1に希釈するために上記手順を繰り返す。50μLの緑色媒質AgNP阻害剤を、MHBを使用して二倍連続希釈で96ウェルマイクロプレートに縦方向に加える。その後、0.31mg. mL−1〜10mg. mL−1の濃度範囲で六回の二倍連続希釈を行う。0.5マクファーランド濁度を細菌溶液の定量標準として使用する(0.5マクファーランド=10 CFU/mL)。次に、細菌溶液の濃度を5×10 CFU/mLに希釈し、100μLの細菌溶液を96ウェルマイクロプレートに加える。最後に、96ウェルマイクロプレートを37℃のインキュベーターに18〜24時間置く。クレブシエラ・ニューモニエ(K. pneumoniae) 700623及びクレブシエラ・ニューモニエ(K. pneumoniae) BAA-1705の静菌効果は、異なる濃度のゲンタマイシン及び緑色媒質AgNP阻害剤と組み合わせて判読される。
【0063】
Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)規格によれば、0.5以下のFICindexは相乗効果を示し、0.5〜2のFICindexは不関効果を示し、2以上のFICindexは拮抗効果を示す。FICindexの式は次のとおりである:
FIC=FICA+FICB
FICA=組み合わせのAのMIC濃度/単独のAのMIC濃度
FICB=組み合わせのBのMIC濃度/単独のBのMIC濃度
【0064】
1. クレブシエラ・ニューモニエ(K. pneumoniae) 700623の相乗効果評価(この実験は少なくとも三回実施される):
【0065】
細菌の繁殖は吸光度値から決定され、実験結果は表1に示される。クレブシエラ・ニューモニエ(K. pneumoniae) 700623については、単独で使用した場合のゲンタマイシンのMICは40μg. mL−1であり、MICで示され、単独で使用した場合の緑色媒質AgNP阻害剤のMICは2.5mg. mL−1であり、MICで示される。組み合わせて使用する場合、ゲンタマイシンの濃度は5μg. mL−1であり、緑色媒質AgNP阻害剤の濃度は0.63mg. mL−1であり、それぞれG-MIC-com及びM-MIC-comで示される。FICindexは、FIC index式により0.377と計算され、クレブシエラ・ニューモニエ(K. pneumoniae) 700623は、プレート上に塗いても24時間繁殖しないことが確認される。0.5未満のFICindexは、ゲンタマイシンが緑色媒質AgNP阻害剤と組み合わされた場合の相乗効果を示す。
【0066】
表1
【表1】
【0067】
2. クレブシエラ・ニューモニエ(K. pneumoniae) BAA-1705の相乗効果評価(この実験は少なくとも三回実施される):
【0068】
細菌の繁殖は吸光度値から決定され、実験結果は表2に示される。クレブシエラ・ニューモニエ(K. pneumoniae) BAA-1705については、単独で使用した場合のゲンタマイシンのMICは40μg. mL−1であり、MICで示され、単独で使用した場合の緑色媒質AgNP阻害剤のMICは5mg. mL−1であり、MICで示される。組み合わせて使用する場合、ゲンタマイシンの濃度は10μg. mL−1であり、緑色媒質AgNP阻害剤の濃度は0.63mg. mL−1であり、それぞれG-MIC-com及びM-MIC-comで示される。FICindexは、FIC index式により0.376と計算され、クレブシエラ・ニューモニエ(K. pneumoniae) BAA-1705は、プレート上に塗いても24時間繁殖しないことが確認される。0.5未満のFICindexは、ゲンタマイシンが緑色媒質AgNP阻害剤と組み合わされた場合の相乗効果を示す。
【0069】
表2
【表2】
【0070】
別の実施形態の生物活性剤は、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗腫瘍剤、抗炎症剤、鎮痛剤、麻酔剤、組織再生剤及びその組み合わせから1種類或いは多種類選択されるものであってもよい。
【0071】
結論:相乗的静菌試験は、本発明の第二実施形態の銀含有抗菌性コロイド及びゲンタマイシンを用いて実施され、FICindex値は0.5未満であり、二つを組み合わせた場合の相乗効果を示す。ゲンタマイシンの濃度は、大幅に低減し、意図された病原菌の抑制を達成し、使用中の副作用を低減することができる。
【0072】
実施例
1、抗菌性コロイドの製造方法は、セラミック基材を構成する原料又はその前駆体、金属原料又はその前駆体、及びメソ多孔質構造を形成するテンプレート界面活性剤を提供及び混合して混合物を形成する工程であって、前記セラミック基材を構成する原料又はその前駆体は、少なくともケイ素及び酸素を含む前記工程と、ゾルゲル技術により前記混合物を合成して起始ゲルを形成する工程と、マクロ多孔質構造を有する立体配置テンプレートを提供する工程と、前記立体配置テンプレートを前記起始ゲルに少なくとも一回浸す工程と、前記浸された立体配置テンプレート上に400℃以上で熱処理を行ってセラミック基材を形成する工程であって、前記セラミック基材は、階層的メソ・マクロ多孔質構造を有し、前記階層的メソ・マクロ多孔質構造には、嵌め込まれた複数の第一金属ナノ粒子があり、前記複数の第一金属ナノ粒子はポジティブ徐放効果を有する前記工程と、少なくとも一つの還元性官能基を含有するタンパク質成分を含む媒質を提供する工程と、前記媒質を前記セラミック基材と混合及び振動させて、前記複数の第一金属ナノ粒子が前記ポジティブ徐放効果により複数の金属イオンを放出させる工程と、前記タンパク質成分により前記複数の金属イオンの一部を還元して核形成及び成長させ、複数の第二金属ナノ粒子を形成し、前記抗菌性コロイドを形成する工程と、を含み、前記抗菌性コロイドは、前記媒質、10 nm未満の平均粒径を有する前記複数の第二金属ナノ粒子、及び20 ppmを超える濃度を有する前記複数の金属イオンを含み、硝酸イオンを含まないことを特徴とする。
2、実施例1に記載の抗菌性コロイドの製造方法において、前記抗菌性コロイドを濾過するフィルターを提供し、セラミック基材及び不純物を除去する工程、を更に含むことを特徴とする。
3、実施例1〜2に記載の抗菌性コロイドの製造方法において、前記階層的メソ・マクロ多孔質構造は、複数のマクロポアと、複数のメソポアが配置される壁と、を含み、前記複数のマクロポアは前記壁により分離されていることを特徴とする。
4、実施例1〜3に記載の抗菌性コロイドの製造方法において、前記壁は前記セラミック基材を構成する原料又はその前駆体から形成され、前記複数の第一金属ナノ粒子は前記金属原料又はその前駆体から形成されることを特徴とする。
5、実施例1〜4に記載の抗菌性コロイドの製造方法において、前記メソ多孔質構造を形成する前記テンプレート界面活性剤及び前記浸された立体配置テンプレートは、前記熱処理中に除去され、前記マクロ多孔質構造は、前記メソ多孔質構造を形成する前記テンプレート界面活性剤及び前記浸された立体配置テンプレートを除去するためのチャネルを提供することを特徴とする。
6、実施例1〜5に記載の抗菌性コロイドの製造方法において、前記タンパク質成分がカゼインであることを特徴とする。
7、実施例1〜6に記載の抗菌性コロイドの製造方法において、前記カゼインは、動物乳又は植物エキスから得られることを特徴とする。
8、実施例1〜7に記載の抗菌性コロイドの製造方法において、前記カゼインの濃度は10g/L〜30g/Lであることを特徴とする。
9、実施例1〜8に記載の抗菌性コロイドの製造方法において、前記セラミック基材を構成する原料又はその前駆体の総量がMモルの場合、前記セラミック基材を構成する原料又はその前駆体に含まれるシリコンの量はMSiモルであり、前記金属原料又はその前駆体の量はMmetalモルであり、MSiはMの少なくとも70%であり、MmetalはMの10%以下であることを特徴とする。
10、実施例1〜9に記載の抗菌性コロイドの製造方法において、MmetalはMの1%であることを特徴とする。
11、実施例1〜10に記載の抗菌性コロイドの製造方法において、前記金属原料又はその前駆体中の金属は、金、銀、ストロンチウム、亜鉛、銅、鉄、及びそれらの組み合わせから1種類或いは多種類選択されることを特徴とする。
12、実施例1〜11に記載の抗菌性コロイドの製造方法において、前記抗菌性コロイドは、微生物の繁殖を阻害する又は微生物を殺す特性を持って、前記微生物は、細菌、ウイルス、真菌又は原生動物であり、前記細菌は、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、クレブシエラ・ニューモニエ、及びそれらの組み合わせから1種類或いは多種類選択されることを特徴とする。
13、実施例1〜12に記載の抗菌性コロイドの製造方法において、前記複数の第二金属ナノ粒子は、2 nm〜5 nmの平均粒径を有することを特徴とする。
14、実施例1〜13に記載の抗菌性コロイドの製造方法において、セラミック基材を構成する原料又はその前駆体の一つは、テトラエチルオルトシリケートであり、金属原料又はその前駆体は、硝酸銀、硝酸水素金、硝酸亜鉛六水和物、硝酸第二銅三水和物、三硝酸鉄九水和物又は硝酸ストロンチウムであり、メソ多孔質構造を形成するテンプレート界面活性剤は、熱可逆性ヒドロゲル(Pluronic F-127)であることを特徴とする。
15、実施例1〜14に記載の抗菌性コロイドの製造方法において、立体配置テンプレートは、多孔質生物又は合成多孔質体であることを特徴とする。
16、実施例1〜15に記載の抗菌性コロイドの製造方法において、多孔質生物は天然海綿であり、合成多孔質体はポリウレタンフォーム又はポリ乳酸マクロ多孔質構造であることを特徴とする。
17、実施例1〜16に記載の抗菌性コロイドの製造方法において、振動の条件は、35℃で24時間、160 rpmで振ることを特徴とする。
18、実施例1〜17に記載の抗菌性コロイドの製造方法において、還元性官能基はS-H又はN-Hであることを特徴とする。
19、微生物を含むシステム内の抗菌性コロイドは、10 nm未満の平均粒径を有する複数の金属ナノ粒子と、20 ppmを超える濃度を有する前記複数の金属イオンと、少なくとも一つの還元性官能基を含有するタンパク質成分を含む媒質と、を含み、硝酸イオンを含まなく、前記微生物は、第一状態では第一値A1コロニー形成単位(CFU)を有し、前記抗菌性コロイドが前記システムに入れられて特定の時間が経過した後の第二状態では第二値A2CFUを有し、(A1-A2)/A1は0.5以上であることを特徴とする。
20、実施例19に記載の微生物を含むシステム内の抗菌性コロイドにおいて、前記微生物は、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、クレブシエラ・ニューモニエ及びそれらの組み合わせから1種類或いは多種類選択されることを特徴とする。
21、実施例19〜20に記載の微生物を含むシステム内の抗菌性コロイドにおいて、前記複数金属ナノ粒子は、2nm〜5nmの平均粒径を有することを特徴とする。
22、実施例19〜21に記載の微生物を含むシステム内の抗菌性コロイドにおいて、還元性官能基はS-H又はN-Hであることを特徴とする。
23、実施例19〜22に記載の微生物を含むシステム内の抗菌性コロイドにおいて、前記タンパク質成分がカゼインであることを特徴とする。
24、実施例19〜23に記載の微生物を含むシステム内の抗菌性コロイドにおいて、前記タンパク質成分の濃度は10g/L〜30g/Lであることを特徴とする。
25、実施例19〜24に記載の微生物を含むシステム内の抗菌性コロイドにおいて、前記システムは、細胞、生物組織、生物器官、化粧品、薬物、医療器具、又は生体材料であることを特徴とする。
26、微生物を含むシステムは、システムに生物活性剤及び抗菌性コロイドを特定の期間後に添加し、特定の期間後に抗菌効果が生じ、システムはFIC indexを有する。前記抗菌性コロイドは、10 nm未満の平均粒径を有する複数の金属ナノ粒子と、20 ppmを超える濃度を有する前記複数の金属イオンと、少なくとも一つの還元性官能基を含有するタンパク質成分を含む媒質と、を含み、硝酸イオンを含まない。FICindexは0.5以下であることを特徴とする。
27、実施例26に記載の微生物を含むシステムにおいて、生物活性剤はゲンタマイシンであることを特徴とする。
28、実施例26〜27に記載の微生物を含むシステムにおいて、前記微生物は、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、クレブシエラ・ニューモニエ及びそれらの組み合わせから1種類或いは多種類選択されることを特徴とする。
29、実施例26〜28に記載の微生物を含むシステムにおいて、前記複数金属ナノ粒子は、2nm〜5nmの平均粒径を有することを特徴とする。
30、実施例26〜29に記載の微生物を含むシステムにおいて、還元性官能基はS-H又はN-Hであることを特徴とする。
31、実施例26〜30に記載の微生物を含むシステムにおいて、前記タンパク質成分がカゼインであることを特徴とする。
32、実施例26〜31に記載の微生物を含むシステムにおいて、前記タンパク質成分の濃度は10g/L〜30g/Lであることを特徴とする。
33、抗菌性コロイドは、10 nm未満の平均粒径を有する複数の金属ナノ粒子と、20 ppmを超える濃度を有する前記複数の金属イオンと、少なくとも一つの還元性官能基を含有するタンパク質成分を含む媒質と、を含み、硝酸イオンを含まないことを特徴とする。
34、実施例33に記載の抗菌性コロイドにおいて、セラミック基材を更に含むことを特徴とする。
35、実施例33〜34に記載の抗菌性コロイドにおいて、前記タンパク質成分は、動物又は植物から得られることを特徴とする。
36、実施例33〜35に記載の抗菌性コロイドにおいて、前記タンパク質成分がカゼインであることを特徴とする。
37、実施例33〜36に記載の抗菌性コロイドにおいて、前記カゼインは、動物乳又は植物エキスから得られることを特徴とする。
38、実施例33〜37に記載の抗菌性コロイドにおいて、前記カゼインの濃度は10g/L〜30g/Lであることを特徴とする。
39、実施例33〜38に記載の抗菌性コロイドにおいて、前記複数の金属イオンは40 ppmを超える濃度を有することを特徴とする。
40、実施例33〜39に記載の抗菌性コロイドにおいて、前記複数金属ナノ粒子は、2nm〜5nmの平均粒径を有することを特徴とする。
41、実施例33〜40に記載の抗菌性コロイドにおいて、前記抗菌性コロイドは、微生物の繁殖を阻害する又は微生物を殺す特性を持って、前記微生物は、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、クレブシエラ・ニューモニエ及びそれらの組み合わせから1種類或いは多種類選択されることを特徴とする。
42、実施例33〜41に記載の抗菌性コロイドにおいて、還元性官能基はS-H又はN-Hであることを特徴とする。
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