(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検査ユニットが、対向する2本のレールで構成され、被検査物の両端を前記2本のレールの間に挟んで前記被検査物を搬送する搬送装置を更に有することを特徴とする請求項1に記載の非破壊自動検査システム。
前記検査ユニットが、直線上に延びる一対の撮像側レール、該一対の撮像側レールの延長上で連結される一対のステージレール、該一対のステージレールの延長上で連結される一対の中継レールを更に有し、前記連結される延長方向を搬送方向として、被検査物を前記搬送方向に搬送する搬送装置を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の非破壊自動検査システム。
前記検査ステージは、前記一対のステージレールを保持し、前記一対のステージレールと共に、前記搬送装置から、前記搬送方向に直交する方向に前記一対のステージレールを切り離し、切り離し後は前記3次元直交座標系に沿って自在に並進移動可能であることを特徴とする請求項4に記載の非破壊自動検査システム。
前記イメージセンサは、前記3次元直交座標系に沿った並進移動に伴い、前記検査ステージ上に搭載された前記被検査物に任意の角度で入射し、前記被検査物を透過した前記検査線による前記被検査物の像を撮像することを特徴とする請求項5に記載の非破壊自動検査システム。
前記検査ステージが、前記第1のステージレールを掴みながら前記第1の端部の一部を挟んで保持する第1のチャック機構、前記第2のステージレールを掴みながら前記第2の端部の一部を挟んで保持する第2のチャック機構、前記第2の端部の他の一部を挟んで保持する第3のチャック機構、並びに前記第2及び第3のチャック機構を前記一対のステージレールの幅を広げる方向に移動させる撓解消機構を更に有することを特徴とする請求項8に記載の非破壊自動検査システム。
前記検査の前に前記入口側シャッタを解放し、前記前記撮像側レールを前記供給側レール方向にスライドさせ、前記供給ユニットから前記検査ユニットへ前記被検査物の受け渡しを行うことを特徴とする請求項11に記載の非破壊自動検査システム。
前記中継レールの延長上で連結されるスライド移動可能な搬出側レールを有し、該搬出側レールを介して前記検査ユニットから前記被検査物が搬送されるマーキングユニットと、
前記検査ユニットと前記マーキングユニットとの間に設けられ、前記検査線の透過に対し遮蔽性能を有する出口側シャッタと
を更に備え、
前記検査ユニットにおける検査時には、前記搬出側レールの少なくとも一部を検査ユニット側に収め、前記出口側シャッタを閉じることを特徴とする請求項11又は12に記載の非破壊自動検査システム。
前記検査の終了後に前記出口側シャッタを解放し、前記検査ユニット側に納められていた前記搬出側レールの前記少なくとも一部を前記マーキングユニット側へスライドさせ、前記検査ユニットから前記マーキングユニットへ前記被検査物の受け渡しを行うことを特徴とする請求項13に記載の非破壊自動検査システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0011】
又、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。更に、以下の説明における「左右」、「上下」、「XYZ」又は「回転軸周りの回転」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」に、「右」が「左」になることは勿論である。
【0012】
本発明の実施形態に係る非破壊自動検査システムの外観は、
図1に示すように、供給ユニット2、検査ユニット3、マーキングユニット4及び排出ユニット5を、それぞれ個別ユニットとして連結して備える。供給ユニット2にセットされた被検査物は、検査ユニット3の検査ステージ上の位置に搬送装置を用いて自動搬送される。検査ユニット3において、検査線が検査ステージ上の位置となるように一対のステージレール17,18に保持された被検査物に照射され、被検査物を透過した検査線の透過量に基づいた像をイメージセンサが撮像することによって非接触で検査画像が作成される。
【0013】
非接触で検査するための「検査線」としては、波長0.01nm〜10nmのX線や波長0.01nm以下のγ線等の光子線(電磁波線)が好適に使用可能である。光子線の他、陽子線、重粒子線又は中性子線等の粒子線も使用可能であるが、装置が大がかりになり高価になる。作成された検査画像に基づき被検査物が不良品であるか否かの判定が非接触でなされたのち、被検査物はマーキングユニット4へ搬送される。被検査物が不良品であると判断された場合、マーキングユニット4において被検査物には不良品であることを示す印付けが行われたのち、被検査物は排出ユニット5へ搬送される。
【0014】
実施形態に係る非破壊自動検査システムの対象とする「被検査物」としては、
図19(a)に示すような樹脂モールドされた半導体パッケージの連続体が代表例である。特に、実施形態に係る非破壊自動検査システムは、個々のパッケージに分割される前の状態の半導体パッケージが連続した集合体として存在する板状のリードフレーム連続体の自動検査に好適である。通常このような板状のリードフレーム連続体は、幅10cm×長さ10cm,幅15cm×長さ15cm,幅15cm×長さ20cm,幅20cm×長さ20cm,幅25cm×長さ200cm等,品種毎に異なる平面寸法(幅と長さ)を有している。半導体パッケージの出荷前に被検査物としてのリードフレーム連続体に検査線を照射し、個々の半導体パッケージのワイヤボンディング断線等を検査線の像として自動検査することができる。
【0015】
半導体パッケージの内部は
図7(a)に示すような微細な立体構造をなしているからである。特に、実施形態に係る非破壊自動検査システムは、
図19に示すように第1の端部となる一方の辺と、この第1の端部に平行に対向する第2の端部となる他方の辺を有する長方形又は正方形の板状の形状をなしている。
図19(a),(b),(c)は、それぞれ、個々のパッケージに分割される前の状態の半導体パッケージが連続した集合体を例示しているが、
図19(a),(b),(c)に示した平面パターンに限定されるものではない。
【0016】
例えば、
図19(a)に示す簾状の長方形において、下側の辺を「第1の端部」、この第1の端部に平行に対向する上側の辺を「第2の端部」と定義できる。
図19(b)及び(c)に示した簾状の長方形に対しても同様に「第1の端部」、「第2の端部」が定義できる。
図19に示すような板状のリードフレーム連続体を代表例とする被検査物は、通常、品種毎に異なる平面寸法を有している。出荷前や工程間の検査で被検査物に検査線を照射し、個々の被検査物の内部構造をなす配線の断線等を検査線の像として自動検査することができる。
【0017】
図1の外観図では検査ユニット3の筐体が示されている。検査ユニット3は、筐体の内部に、
図2に示すように、検査線発生部(点源)12と、検査線発生部12から被検査物に照射された検査線を検出するイメージセンサ13を有する撮像ステージ14を備えている。検査ユニット3は、更に検査線発生部12と撮像ステージ14との間に配置され、薄い板状又は簾状の構造をなす被検査物(リードフレーム)が、その上に適宜セット可能な検査ステージ15を構成するステージ底板16を備えている。なお、
図2では検査ステージ15として総称的に図示しているが、
図2に現れている検査ステージ15は、実際には
図3から分かるように検査ステージ15を構成する矩形のプレート状(トレイ状)のステージ底板16の側壁面である。
【0018】
そして、筐体には、検査ユニット3の内部から外部への検査線の漏洩を防ぐための遮蔽材が取り付けられている。検査線に用いられる光子線や粒子線は、多くの場合人体に有害となる危険性を有しているので遮蔽材で検査線の漏洩を防護しているのである。この遮蔽材の一部を構成するように、
図1に示した供給ユニット2から検査ユニット3のユニット間に、随時又は適宜、自動的に開閉可能な入口側シャッタ71が設けられている。又、遮蔽材の他の一部を構成するように、検査ユニット3からマーキングユニット4のユニット間にも、随時又は適宜、自動的に開閉可能な出口側シャッタ72が設けられている。
【0019】
実施形態に係る非破壊自動検査システムは、
図1に示した供給ユニット2から供給されてきた薄い板状又は簾状等の被検査物を検査ステージ15まで搬送し、撮影を終えた被検査物をマーキングユニット4へ搬送する搬送装置(61,62;17,18;63,64)を有する搬送機構を備えている。即ち、検査ユニット3は、
図1に一部を破断した断面構造として、模式的に図示したように異なる平面寸法に対応できるように幅が可変の2本のレールで構成された搬送装置(61,62;17,18;63,64)を備える。詳細には、この搬送装置(61,62;17,18;63,64)は、直線上に延びる一対の撮像側レール61,62と、この一対の撮像側レール61,62の延長上(一直線上)で連結される一対のステージレール17,18と、この一対のステージレール17,18の延長上となる直線上の方向を「搬送方向」として定義し、この搬送方向に連結される一対の中継レール63,64で構成されている。
【0020】
供給ユニット2は、検査ユニット3内に位置する搬送装置(61,62;17,18;63,64)に薄い板状等の被検査物を搬送するように、直線上に延びる一対の供給側レール65,66を有する。具体的には、この供給側レール65,66が、搬送装置(61,62;17,18;63,64)を構成している一対の撮像側レール61,62の延長上(一直線上)で連結される。マーキングユニット4は、搬送装置(61,62;17,18;63,64)を構成している一対の中継レール63,64の延長上(一直線上)で連結される一対の搬出側レール41,42を有し、この一対の搬出側レール41,42を介して検査ユニット3から被検査物が搬送される。
【0021】
図2、
図3、
図14〜
図16等に示すように、検査ユニット3内に位置する一対のステージレール17、18は、検査ステージ15上に設置されている。後述する
図3にステージレール17、18と、検査ステージ15の関係が示されている。ただし、一対のステージレール17、18は互いに水平に平行配置されているので、
図2においては、ステージレール18がステージレール17の背後に位置し、図示されていない。
【0022】
図1に示すように、撮像側レール61,62はステージレール17、18と供給側レール65,66とが、中継レール63,64はステージレール17、18と搬出側レール41,42とが、搬送ライン上で連続することが可能なように、搬送方向上にそれぞれ配置されている。
図1に示すように、供給側レール65,66、搬送装置(61,62;17,18;63,64)及び搬出側レール41,42は、被検査物の幅に応じて間隔が調整できる平行2線として配置される搬送ライン上で連続することが可能なように配置され、実施形態に係る非破壊自動検査システムの搬送機構が構成されている。
【0023】
検査ユニット3における検査時においては、先ず、供給側レール65,66と撮像側レール61,62の間が分断され、一対の撮像側レール61,62、一対のステージレール17,18、一対の中継レール63,64が検査ユニット3の内部に収められ、入口側シャッタ71が閉じられる。なお、
図1で搬出側レール41,42がマーキングユニット4から排出ユニット5まで連続する2本の一体物として模式的に図示されているが単なる例示に過ぎない。
図1のマーキングユニット4から排出ユニット5に至る領域で、搬出側レール41,42を構成している第1の搬出側レール41及び第2の搬出側レール42が平行2線の対応関係を維持しながら、それぞれ2分割、又は3分割されていてもよい。
【0024】
検査ユニット3における検査時には、同時に中継レール63,64と搬出側レール41,42の間が分断され、一対の搬出側レール41,42を検査ユニット3側に収め、出口側シャッタ72が閉じられる。搬出側レール41,42が2分割又は3分割されている構造の場合は、2分割又は3分割されている内の、検査ユニット3に近い部分となる一対が、他の部分と分離される。そして、分離された一対の搬出側レール41,42の部分が、検査ユニット3の側に収められた後、出口側シャッタ72が閉じられる。
【0025】
入口側シャッタ71と出口側シャッタ72が閉じられたときには、被検査物はステージレール17、18に下から結合した検査ステージ15を構成するステージ底板16上に配置されている。後に
図16を用いて説明するように、被検査物が検査ステージ15を構成するステージ底板16上に配置されたまま、検査ステージ15は撮像側レール61、62及び中継レール63,64から搬送方向に直交する方向に切り離される。検査ステージ15が、搬送方向に直交する方向に切り離された結果、
図2に示すように、検査線発生部12及び撮像ステージ14の間に配置される。
【0026】
従来の非破壊検査装置では、量産現場において、コンベア等の搬送装置上を搬送されてきた被検査物に対して検査を行う際、被検査物を、搬送装置から検査ステージに移載し、検査実行後に再び被検査物を搬送装置に移載し直していた。そのためには、被検査物を移載するための機構、さらに検査ステージに移載後被検査物を固定する等の機構が必要であり、手順が煩雑となり処理能力の低下につながっていた。
【0027】
実施形態に係る非破壊自動検査システムによれば、検査ステージ15は撮像側レール61、62及び中継レール63,64から搬送方向に直交する方向に切り離されるので、搬送装置上を搬送されてきた被検査物に対して被検査物を検査ステージに移載することなく検査でき、省力化が可能である。なお、
図1に示すように、検査ユニット3は更に、外部入力装置8と画像表示装置9とを備える。図示を省略しているが、検査ユニット3は更に位置補正カメラや制御部等を備えてもよい。
【0028】
図2は、実施形態に係る非破壊自動検査システムの検査線発生部12と、検査線発生部12からの検査線が被検査物を透過した像を撮像する撮像ステージ14と、被検査物を搭載する検査ステージ15の相対位置が基準位置にある状態を示している。
図8(a)に示すように検査線発生部12は点光源である。
図8(a)では、検査線発生部12を示す箱の下面の点光源から下方の被検査物60に向かって検査線が照射される。
図2では、符号12を付した箱の下に位置する凸部の下面が、実際の検査線の点光源が位置している。
【0029】
図2に示した検査ステージ15を構成する矩形のステージ底板16が、
図3に示すように幅が可変な一対のステージレール17、18に下から結合しており、製品毎に異なる平面寸法をなす板状等の被検査物がステージ底板16の上の位置にセットされる。点光源の実用可能性から以下の説明では検査線発生部12としてX線を検査線として出射するX線源の場合を例示的に説明するが、実施形態に係る非破壊自動検査システムに用いられる検査線発生部12はX線源に限定されるものではない。検査線発生部12がX線であれば、ステージ底板16は樹脂、セラミックス、若しくはアルミニウム(Al)等の原子番号の小さい軽金属等、X線の透過率が高い材料で構成すればよい。図示を省略するが、ステージ底板16に検査線が透過する孔を空けておけば、検査線発生部12がX線等の場合であっても、ステージ底板16の材料として、原子番号の小さい軽金属等のX線の透過率が高い材料で構成するような留意は不要となる。
【0030】
検査ステージ15を構成するステージ底板16には、
図2、
図3及び
図16等に示す第1のX軸移動機構30と、第1のY軸移動機構31と、第1のZ軸移動機構32が接続されている。第1のX軸移動機構30、第1のY軸移動機構31、及び第1のZ軸移動機構32によって検査ステージ位置制御機構(30,31,32)を構成している。
【0031】
図3の右下にX−Y−Zデカルト座標系の方向を定義している。X−Y−Zデカルト座標系のY軸はステージレール17の搬送方向と平行であり、Z軸はステージレール17に板状等の被検査物が設置された場合の、被検査物の主面(最も広い面)に垂直な方向と平行であり、X軸はY軸及びZ軸に対して直交する方向であるので、
図2の紙面に直交する方向となる。第1のX軸移動機構30、第1のY軸移動機構31及び第1のZ軸移動機構32のそれぞれは、検査ステージ15を構成するステージ底板16を、X軸、Y軸及びZ軸のそれぞれに平行な方向に並進移動(X−Y−Z移動)させるように設置されている。即ち、検査ステージ位置制御機構(30,31,32が検査ステージ15を、
図3の右下に定義したX−Y−Z方向に駆動する。
【0032】
図16から分かるように、矩形のプレート状(板状)のステージ底板16一方の側面に、四角柱状の第1のY軸移動機構31の側面が接続されている。そして四角柱状の第1のY軸移動機構31の左側端面に、左側の第1のX軸移動機構30が接続され、第1のY軸移動機構31の右側端面に、右側の第1のX軸移動機構30が接続されている。左側の第1のX軸移動機構30及び右側の第1のX軸移動機構30は四角柱状である。左側の第1のX軸移動機構30と第1のY軸移動機構31とが直交する角部に、左側の第1のZ軸移動機構32が、
図5のZ軸方向に立設されている。同様に、右側の第1のX軸移動機構30と第1のY軸移動機構31とが直交する角部に、右側の第1のZ軸移動機構32がZ軸方向に立設されている。
【0033】
透過検査線を検出するイメージセンサ13を搭載する撮像ステージ14は、
図2及び
図6に示すように更に第2のX軸移動機構33と、第2のY軸移動機構34と、第2のZ軸移動機構35と、第1仰角回転機構36と、第2仰角回転機構37とを備える。第2のX軸移動機構33、第2のY軸移動機構34及び第2のZ軸移動機構35のそれぞれは、ステージ移動座標系の3次元直交座標系とは座標原点が異なる3次元直交座標系のX軸、Y軸及びZ軸のそれぞれに平行な方向にイメージセンサ13を並進移動させるように設置されている。この第2のX軸移動機構33、第2のY軸移動機構34及び第2のZ軸移動機構35のそれぞれは、直交3軸に2つの仰角回転軸(θ1,θ2)を加えた5軸座標系に含まれる、ステージ移動座標系の3次元直交座標系とは独立した座標系である。
【0034】
5軸座標系を構成する第1仰角回転機構36は、イメージセンサ13をθ1回転軸の周りに回転させるように設置されている。一方、5軸座標系を構成する第2仰角回転機構37は、イメージセンサ13をθ1回転軸に直交するθ2回転軸の周りに回転させるように設置されている。θ1回転軸はY軸に平行であり、θ2回転軸はX軸に平行であって、θ1回転軸及びθ2回転軸はイメージセンサ13の位置で互いに交わっている。即ち、イメージセンサ13は、検査線発生部(点源)12を極座標の中心とする球面内を移動するように、検査線発生部(点源)12に向かう撮像面(主面)の配向が制御される。この球面内の移動に伴う配向の制御は、上述したステージ移動座標系のX
1−Y
1−Z
1軸と座標原点の異なる独立した5軸座標系に含まれるX
2−Y
2−Z
2―θ1―θ2の5軸の移動を駆動する5軸移動機構(33,34,35,36,37)によって位置及び角度を制御される。
【0035】
ここで、検査ステージ位置制御機構(30,31,32)と5軸移動機構(33,34,35,36,37)とが、互いに異なる座標系であることを示すために、検査ステージ位置制御機構(30,31,32)のデカルト座標系をX
1−Y
1−Z
1と、5軸移動機構(33,34,35,36,37)のデカルト座標系をX
2−Y
2−Z
2と、添え字を付して表記して識別しているが、いずれも包括的には「X−Y−Z座標系」であることに変わりはない。この5軸移動機構(33,34,35,36,37)による5軸移動に際し、イメージセンサ13の撮像面(主面)は、
図8(a)に示した最大立体角Φ
maxの内部において、検査線発生部12に対向する方位(配向)を維持し、被検査物60を透過した検査線による被検査物60の像を、イメージセンサ13が撮像する。
【0036】
図19に示した簾状のリードフレーム連続体のような板状等の被検査物に対応できるように、
図3に示すように検査ステージ15は、ステージ底板16と、ステージ底板16の上に設けられた一対のステージレール17,18を備える。検査ステージ15は、更にピッチ制御機構20と、ピッチ制御機構20を駆動するピッチ変更機構(ピッチ変更アクチュエータ)19と、レール幅制御機構28と、レール幅制御機構28を駆動するレール幅変更機構(レール幅変更アクチュエータ)21と、撓解消機構(撓解消アクチュエータ)29を備える。
【0037】
一対のステージレール17,18は、第1のステージレール17と第2のステージレール18とで構成されている。第1のステージレール17は、第1の上部レール17uと、第1の上部レール17uの下側に対向した第1の下部レール17dとの2枚の板で、薄い板状の被検査物60の一方の端部を挟んで、アリ溝のような第1の溝部を構成し、第1の溝部の構造で被検査物60を移動させる搬送用の第1のガイドを構成している。
【0038】
同様に第2のステージレール18は、第2の上部レール18uと、第2の上部レール18uの下側に対向する第2の下部レール18dとの2枚の板で、薄い板状の被検査物60の他方の端部を挟んで、アリ溝のような第2の溝部を構成し、第2の溝部の構造で被検査物60を移動させる搬送用の第2のガイドを構成している。第2の溝部に所定のクリアランスを介して薄い板状又は簾状等の被検査物60の第2の端部を挟んで、第2の溝部の内部を第2の端部がスライド移動することで被検査物60が搬送可能になっている。
【0039】
断面図の図示を省略しているが、第1のステージレール17も同様に、第1の上部レール17uと、第1の上部レール17uの下側に対向した第1の下部レール17dとの2枚の板で、被検査物60の第1の端部を挿入するガイド溝をなす第1の溝部を構成している。第1の溝部にも所定のクリアランスを介して被検査物60の第1の端部が挿入され、第1の溝部の内部を第1の端部がスライド移動することで被検査物60が搬送可能になっている。
【0040】
なお、
図5に示すように、第2の上部レール18uと第2の下部レール18dとの2枚の板で第2の溝部を構成する構造は例示に過ぎず、第2の上部レール18uと第2の下部レール18dとは一体物でも構わない。同様に、第1の上部レール17uと第1の下部レール17dとは一体物として第1の溝部を構成しても構わない。
【0041】
ピッチ制御機構20やレール幅制御機構28等は台形ネジ、ボールネジやラック・ピニオンで構成できる。ピッチ制御機構20やレール幅制御機構28等を棒ネジ等で構成した場合、ピッチ変更機構19、レール幅変更機構21や撓解消機構29にはサーボモータやステップモータのような電動機を採用できる。更に検査ステージ15は
図3に示すように、第1のチャック機構(22,25)、第2のチャック機構(23,26)及び第3のチャック機構(24,27)を備える。第1のチャック機構(22,25)は 第1の保持部(第1のチャック部)22と第1の保持部22を駆動する第1のシリンダ25から構成される。
【0042】
第2のチャック機構(23,26)は、 第2の保持部(第2のチャック部)23と第2の保持部23を駆動する第2のシリンダ26から構成され、第3のチャック機構(24,27)は、 第3の保持部(第3のチャック部)24と第3の保持部24を駆動する第3のシリンダ27から構成される。一対のステージレール17,18は、ステージ底板16に互いに平行になるように設置されている。
【0043】
図5に示すように、第2の保持部23は、第2のステージレール18を包むように取り付けられて第2のステージレール18の外側を掴んでいる。第2の上部レール18uと第2の下部レール18dの間が簾状の被検査物60の第2の端部をガイドしている状況において、第2の保持部23は、被検査物60の第2の端部の一部を挟んで保持する押圧力を印加する力学的作用部の構造になっている。
【0044】
図3から分かるように、第2の保持部23と共に第3の保持部24も第2のステージレール18上に取り付けられており、第2の上部レール18uと第2の下部レール18dが第2の端部をガイドしている状況において、第3の保持部24は、被検査物60の第2の端部の他の一部を挟んで保持する押圧力を印加する力学的作用部の構造になっている。第2の保持部23及び第3の保持部24が、第2のステージレール18を外側から囲み、第2のステージレール18を掴むことにより、第2のステージレール18の検査ステージ15を構成するステージ底板16に対する相対的位置が固定される。
【0045】
図5に対応する図は示していないが、
図3に示すように、第1の保持部22は、第1のステージレール17を囲むように取り付けられており、第1の上部レール17uと第1の下部レール17dが被検査物60の第1の端部をガイドしている状況において、第1の端部の一部を挟んで保持する押圧力を印加する力学的作用部の構造になっている。第1の保持部22が第1のステージレール17を外側から囲むことにより、検査ステージ15を構成するステージ底板16に対する第1のステージレール17の相対的位置が固定される。
【0046】
ピッチ制御機構20が、第2の保持部23及び第3の保持部24に取り付けられているので、ピッチ変更機構19によってピッチ制御機構20を駆動することにより、第2の保持部23及び第3の保持部24の間の距離を変える。
【0047】
レール幅変更機構21はレール幅制御機構28を介して第2のステージレール18に接続されているので、レール幅変更機構21を制御して第2のステージレール18の位置を、第1のステージレール17に対して相対的に移動することで、第1のステージレール17と第2のステージレール18との間の距離を変える。
【0048】
従来の非破壊検査装置等で検査する被検査物では、半導体パッケージ等の被検査物の種類や、半導体パッケージが個々のパッケージに分割される前の集合体として存在する板状のリードフレームの寸法など、被検査物の種類は多様である。量産現場において、寸法の異なる複数の被検査物に対して検査を行う場合、その異なる平面寸法ごとに冶具や装置を用意する必要があり、これら冶具や装置の保守、管理が必要となってくる。また、一つの種類の被検査物を検査したのち異なる平面寸法を有する他の種類の被検査物を検査する際、冶具や装置を用いて調整を行う必要があり、手順が煩雑で時間を要するという問題があった。
【0049】
実施形態に係る非破壊自動検査システムによれば、第1のステージレール17と第2のステージレール18との間の距離が自在に変更できるので、幅寸法の異なる板状等の被検査物の処理が自在に可能になる。この結果、実施形態に係る非破壊自動検査システムによれば、寸法の異なる複数の被検査物に対して検査を行う場合において冶具や装置を用意する必要がなく、簡便に検査できる。
【0050】
図3に示すように、検査ステージ15を構成するステージ底板16上のモータはすべて、検査ステージ15を構成するステージ底板16のZ軸方向の厚みが薄くなるようにX軸又はY軸に沿うように配置されている。検査ステージ15を構成するステージ底板16の厚みを薄く設計することにより、検査線発生部12と検査ステージ15を構成するステージ底板16及び撮像ステージ14との間の距離を縮めることができ、低出力の検査線発生部12でも検査可能な、SN比の高い検査画像を取得することができる。
【0051】
図4は実施形態に係る非破壊自動検査システムの管電流を変化させた際の輝度値のグラフである。
図4中の、丸で表されたデータは、検査ステージ15の厚みを薄く設計しなかった場合の輝度値であり、検査ステージ15の厚みを薄く設計することにより、低い出力でも同等の輝度値が得られている。低出力の検査線発生部12による検査が可能となった結果、必要な遮蔽材の厚みを薄くでき、設備のサイズダウンが可能となる。
【0052】
出荷検査時のリードフレーム連続体は、厚さが0.5mm程度以下の非常に薄い物が多い。このため
図3に示すように、アリ溝のような第1の溝部の構造となる第1の上部レール17uと第1の下部レール17dとの2枚の板の間を搬送用のガイドとし、第2の上部レール18uと第2の下部レール18dとの2枚の板の間を搬送用のガイドとし、薄い板状等の被検査物60の両端部で掴むだけでは、
図5(a)に示すように、薄い幅広の被検査物60は自重で撓み、検査位置により幾何条件が異なってしまう。
図5(a)は、第2の上部レール18uと第2の下部レール18dの間に、被検査物60の一方の端部が所定のクリアランスを介して搬送可能なように挟まれた状態を示している。
図5(a)では、第2のチャック23が被検査物60の一方の端部を挟んでいる状態を示している。
【0053】
薄い幅広の被検査物60を下から支えるバックアップの板を設置すれば被検査物60の撓みや弛みが解消されるが、レール幅が可変なため、バックアップの板を設置することができない。
図3に示した第1のシリンダ25は、第1の保持部22の手前側を力点として、
図3中のZ軸方向に沿って力点を引き上げる。力点を引き上げられることにより、「第1種てこ」を構成している奥側の第1の保持部22の作用点が押し下げられ、被検査物60の第1の端部の一部に押圧力を印加して、第1の端部を保持する。
【0054】
撓解消機構29は、第2の保持部23及び第3の保持部24に取り付けられている。
図5(b)も、
図5(a)と同様に、被検査物60の第2の端部が、第2のステージレール18の側面、即ち第2の上部レール18uと第2の下部レール18dの間に設けられた第2の溝部の間にクリアランスを介して挟まれた状態を示している。第2の溝部が被検査物60の第2の端部を摺動可能なように掴んだのち、第2の保持部23と第3の保持部24が被検査物60の第2の端部を挟んで保持している。第2の保持部23及び第3の保持部24が被検査物60の第2の端部を挟んで保持しているので、撓解消機構29によってX軸とは逆方向へ第2の保持部23及び第3の保持部24を引っ張り、
図5(b)は、
図5(a)とは異なり、被検査物60の両方の端部が、両側に引っ張られている。
【0055】
半導体パッケージ等の板状等の被検査物に対して非接触検査を行う場合、従来は被検査物が薄く幅が広い場合、被検査物自身の自重により撓み(たわみ)が生じる問題があった。被検査物に撓みが生じると検査位置により幾何条件が変わってしまうため、検査を行う時点で被検査物の撓みを抑制するバックアップの板等が必要であった。しかしながら、量産現場における非破壊自動検査システムの検査ステージにバックアップの板等を設置する機構を取り付けると、自動検査等においては、機構が複雑化され手順が煩雑となる。更に被検査物を固定する機構とバックアップの板等を設置する機構とを同時に取り入れると被検査物を固定する機構の被検査物のサイズ汎用性を損なうといった欠点がある。
【0056】
撓解消機構29は、搬送時の搬送装置(61,62;17,18;63,64)のレール間隔よりも、第1のステージレール17と第2のステージレール18のレール間隔を広げる。第1のステージレール17の側面の第1の溝部及び第2のステージレール18の側面の第2の溝部を搬送用のガイドとして機能させ、撓解消機構29が第1のステージレール17と第2のステージレール18のレール間隔を広げることで、
図5(b)に示すように、被検査物60の撓みや弛みが解消され、X線検査における幾何条件を安定させることができる。この結果、実施形態に係る非破壊自動検査システムによれば、簡略化された構造で薄く且つ面積の広い被検査物を検査できる非接触検査装置が提供できる。
【0057】
検査ステージ15を構成するステージ底板16上に設けられた第1の保持部22、第2の保持部23及び第3の保持部24による撓解消機構は、
図1に示したマーキングユニット4において、レーザ標印する際にも適用することができる。マーキングユニット4において、薄型の被検査物60にレーザ標印する際、薄い板状等の被検査物60が自重により撓むため、レーザ標印が安定しない。レーザ標印する際にも保持部による撓解消機構を設置し、被検査物60を保持部で掴み、被検査物60の撓みや弛みを解消することで、レーザ標印を安定して行うことができる。
【0058】
上述したとおり、実施形態に係る非破壊自動検査システムにおける搬送機構(61,62;17,18;63,64)及び検査ステージ15は、対になっているそれぞれのレールとレールの間の幅を変え、幅寸法の異なる板状等の被検査物の処理が自在に対応出来る。即ち、
図1に示した供給ユニット2においては
図3において、一対のステージレール17,18の幅を、検査ステージ15を構成するステージ底板16上に配置した機構を用いて変更したと同様な構造及び手法により、第1の供給側レール65と第2の供給側レール66との間の幅を変え、幅寸法の異なる板状等の被検査物を搭載することができる。
【0059】
検査ユニット3においては、
図3に示した検査ステージ15を構成するステージ底板16上に配置した機構と同様な構造及び手法により、第1の撮像側レール61と第2の撮像側レール62との間、第1のステージレール17と第2のステージレール18との間及び第1の中継レール63と第2の中継レール64との間の幅を変え、幅寸法の異なる板状等の被検査物の検査をすることができる。マーキングユニット4及び排出ユニット5においても、
図3と同様に、第1の搬出側レール41と第2の搬出側レール42との間の幅を変え、幅寸法の異なる板状等の被検査物に対するマーキングと排出をすることができる。
【0060】
一対のステージレール17,18に接続されたレール幅制御機構28及びレール幅変更機構21と同様のネジ等の移動機構や機構が、第1の供給側レール65と第2の供給側レール66のいずれか一方、第1の撮像側レール61と第2の撮像側レール62のいずれか一方、第1の中継レール63と第2の中継レール64のいずれか一方、第1の搬出側レール41と第2の搬出側レール42のいずれか一方のそれぞれに接続されている。これらのレールに接続されたそれぞれのモータを制御することですべての搬送装置の幅を自動制御する。
【0061】
図19に例示した簾状のリードフレーム連続体のように、搬送する被検査物の寸法及び種類は多様である。被検査物の品種ごとに搬送用の冶具や装置や装置を用意する必要があり、これら冶具や装置の保守、管理が必要となってくる。また、被検査物を検査したのち異なる種類の被検査物を検査する際、冶具や装置を用いて搬送システムの調整を行う必要があり、手順が煩雑で時間を要する。実施形態に係る非破壊自動検査システムでは、搬送するリードフレーム等の薄い板状等の被検査物の寸法に合わせて、搬送装置の幅を数値制御により自動で調整することができる。
【0062】
図19に例示したようなリードフレーム連続体の場合、幅だけでなく、搬送方向に測った長さも多様である。
図3に示した検査ステージ15を構成するステージ底板16上に配置した機構は、搬送する被検査物の長さに応じて第2の保持部23及び第3の保持部24の間の距離を数値制御により自動で調整することができる。
【0063】
即ち、搬送装置の場合と同様に、第2の保持部23及び第3の保持部24に関しても、異なる長さを有する板状等の被検査物の検査が、多様に随時対応可なように、第2の保持部23及び第3の保持部24の間の距離を変えることができるため、被検査物の長さが変わっても、その都度冶具や装置を必要としない。したがって、寸法の異なる複数の品種のリードフレームの検査を行う際も、それぞれに冶具や装置を用意することなく、また冶具や装置を用いた調整を省略でき、簡便に寸法の異なる板状等の被検査物を搬送、及び検査を行うことが可能である。
【0064】
間隔の調整された一対の撮像側レール61,62上を搬送される過程において、薄い幅広の被検査物60が検査ステージ15を構成するステージ底板16上に到達していない時点では、
図14に示すように、検査ステージ15を構成するステージ底板16上の間隔の調整された一対のステージレール17,18が搬送ライン上の間隔の調整された一対の撮像側レール61,62の延長上(一直線上)で連結されるように、検査ステージ15が設置される。
【0065】
図15に示すように、薄い幅広の被検査物60が検査ステージ15を構成するステージ底板16上に到達すると、第1の保持部22が、検査ステージ15に対する第1のステージレール17の相対的位置が固定する。更に、第2の保持部23及び第3の保持部24が第2のステージレール18の検査ステージ15に対する相対的位置を固定する。その後、検査ステージ15の第1のX軸移動機構30が作動する。
【0066】
そして、第1のX軸移動機構30によって、検査ステージ15がX軸方向へ移動することによって、検査ステージ15は搬送ラインから分離され、
図16に示すように、点源(図示せず)下へ引き込まれる。検査ステージ15を構成するステージ底板16が点源の下へ引き込まれ、検査が実行されたのち、検査ステージ15の第1のX軸移動機構30が再び作動し、検査ステージ15は搬送装置(61,62;17,18;63,64)の搬送ラインへ戻され、被検査物60はマーキングユニット4へと続く一対の中継レール63,64を搬送される。
【0067】
図6に、撮像ステージ14の詳細を示す。
図2における第1仰角θ1及び第2仰角θ2と同様、
図6に示すθ1回転軸はY軸に平行であり、θ2回転軸はX軸に平行であって、θ1回転軸及びθ2回転軸はイメージセンサ13の位置で互いに交わっている。透過検査線を検出するイメージセンサ13は第1の回転部材67に設置され、第1仰角回転機構36の軸を介して第2の回転部材68に取り付けられている。第2の回転部材68は、第2仰角回転機構37の軸を介して支持部材69に取り付けられており、支持部材69は第2のZ軸移動機構35に取り付けられている。第1仰角回転機構36によって第1の回転部材67を回転させることによってイメージセンサ13をθ1回転軸の周りに回転させる。又、第2仰角回転機構37によって第2の回転部材68を回転させることによって第1の回転部材67をθ2回転軸周りに回転させる。このように、第1仰角回転機構36及び第2仰角回転機構37によってイメージセンサ13を任意の第1仰角θ1及び第2仰角θ2で回転させることができる。
【0068】
搬送ラインを構成する搬送装置(61,62;17,18;63,64)上を搬送されてきた被検査物60を、検査ステージに移載し、検査実行後に再び搬送ラインに移載し直す場合、被検査物60を移載するための機構、さらに検査ステージに移載後被検査物を固定する等の機構が必要であり機構が煩雑になり処理能力が低下する。実施形態に係る非破壊自動検査システムでは、検査ステージ上に搬送ラインを設置するのみで、被検査物60を移載するための機構は設けない。
【0069】
検査ステージ15を搬送装置(61,62;17,18;63,64)の搬送ラインから分離する際は、分離するための新たな機構を設けるのではなく、検査線発生部12により撮影を行う際に検査ステージ15を構成するステージ底板16上の被検査物60に入射する検査線の角度を調整するための機構である第1のX軸移動機構30を分離するための機構としても使用する。搬送ラインと検査ステージを兼用し、被検査物60が検査ステージに到達した時点で検査ステージを分離し点源の下へ引き込む事により、被検査物60を移載する動作を省略でき、機構の簡略化と処理能力の向上が達成される。
【0070】
<不良検出方法>
実施形態に係る不良検出方法を、
図7(a)、
図7(b)、
図8(a)及び
図8(b)を参照して、被検査物60が個々のパッケージに分割される前の状態、即ち簾状の半導体パッケージの連続体(リードフレーム連続体)である場合について説明する。既に述べたように、通常、このような簾状のリードフレーム連続体は、製品仕様に応じて、異なる平面寸法、即ち異なる幅と長さを有している。説明を簡略化する便宜上、
図7及び
図8では被検査物60として単体の半導体パッケージの一部を模式的に表現している。
図7(a)及び
図8(a)は、実施形態に係る非破壊自動検査システムで連続的な自動検査を行う際の検査線発生部12、被検査物60及びイメージセンサ13のそれぞれの位置関係を示す模式図であり、
図7(b)及び
図8(b)は、
図7(a)及び
図8(a)それぞれによって得られた検査画像の模式図である。
【0071】
被検査物60内部のICチップ51とパッケージ基板53a、53b、53cとを結線する直径30μφ〜150μφの微細なボンディングワイヤ52a,52b,52cの断線等を、非破壊自動検査システムで検査する。点光源である検査線発生部12から、搬送装置(61,62;17,18;63,64)を構成している一対のステージレール17,18に下から結合した検査ステージ15を構成するステージ底板16に搭載された被検査物60に検査線が照射され、被検査物60の樹脂54を透過した検査線をイメージセンサ13で検出し、検査画像を作成することで、ボンディングワイヤ52aの断線等を自動検査する。
【0072】
実施形態に係る非破壊自動検査システムの検査線発生部(点源)12は点光源を用いているので、
図8(a)の検査線照射範囲を示す最大立体角Φ
maxの内側は、検査線が均一な強度で照射される。最大立体角Φ
maxは例えば4π/7(=1.8)ステラジアン乃至4π/5(=2.5)ステラジアン程度の値に選べばよいが、この範囲に限定されるものではない。非破壊自動検査システムを構成する検査ユニット3の容積や全体構造の設計上の都合からは、具体的には、最大立体角Φ
max=2π/3ステラジアン程度の値を選択できる。最大立体角Φ
maxを規定する手段はいろいろあるが、例えば、検査線に対する遮蔽率の高い材料からなるスリットを設ければよい。
【0073】
イメージセンサ13は、検査線発生部(点源)12を中心とする最大立体角Φ
maxの内部において、常にイメージセンサ13の撮像面が検査線発生部12に対向する配向となるように、5軸移動機構(33,34,35,36,37)によって、その位置と配向が制御されるように移動する。常にイメージセンサ13の撮像面が点源である検査線発生部12に対向するような配向で移動することにより、被検査物60を透過した検査線による被検査物60の像をイメージセンサ13が撮像する。既に述べたように、検査ステージ位置制御機構(30,31,32)の3次元直交座標系(X
1−Y
1−Z
1)と5軸移動機構(33,34,35,36,37)の5軸(X
2−Y
2−Z
2―θ1―θ2)は、座標原点が異なる互いに独立した座標系である。
【0074】
図7(a)に示すような、板状の被検査物60の面に対して垂直方向のみの指向性の高い検査線による検査画像のみでは、例えば
図7(b)に示すような被検査物60の内部のボンディングワイヤ52aのICチップ51からの浮きや断線等の立体的な不良を検出することができなかった。図示を省略しているが、他のボンディングワイヤ52b,52cのICチップ51からの浮きや、パッケージ基板53b、53cからの浮き等の立体的な不良についても検出することができなかった。
【0075】
これに対し、
図8(a)に示すような、被検査物60の面に対して検査線発生部12からの検査線が最大立体角Φ
maxで斜め入射する検査角を定義するように、検査ステージ位置制御機構(30,31,32)が被検査物60を移動させる。さらに被検査物60の樹脂54を透過検査線が、イメージセンサ13の撮像面に垂直に入射する位置及び方向に、5軸移動機構(33,34,35,36,37)がイメージセンサ13を移動及び回転させる。このような斜め入射の検査角で等方的な撮影することで、従来指向性の高い検査方法では検出できなかった、
図8(a)に示すような、ミクロンレベルの浮きや断線等の立体的な微細な不良を容易且つ確実に検出することができる。
図8(a)では、ボンディングワイヤ52aの一端がICチップ51からから浮いているが、ボンディングワイヤ52aの他端がパッケージ基板53aに接している場合を例示している。
【0076】
図示を省略しているが、ボンディングワイヤ52aの他端がパッケージ基板53aから浮いている場合であっても、大きな最大立体角Φ
maxで検査線を斜め入射させ等方的に照射しているので、同様に容易且つ確実に検出できる。又、図示を省略しているが、
図8(b)に上面図を示した他のボンディングワイヤ52b,52cのICチップ51からの浮きや、パッケージ基板53b、53cからの浮き等についても、大きな最大立体角Φ
maxで斜め入射させて、等方的な検査をすることで、容易且つ確実に立体的な構成となるミクロンレベルを含む微細な不良を検出することができる。
【0077】
図9は、イメージセンサ13及び検査ステージ15を構成する矩形板状のステージ底板16を、
図8(a)と同じ最大立体角Φ
maxを想定した配向位置に移動した場合の図である。イメージセンサ13及び検査ステージ15がいずれも基準位置にセットされている
図2と比較すると、
図9の撮像ステージ14は、
図7(a)の下向き矢印で示した鉛直照射方向からずれた位置にいることが分かる。即ち、
図9の撮像ステージ14は、ステージ移動座標系と座標原点の異なる独立した5軸移動機構(33,34,35,36,37)によって駆動され、
図6に示した直交座標系を基礎としてX
2−Y
2−Z
2―θ1―θ2の5軸に関する移動が可能であるので、
図8(a)に示すような被検査物60の樹脂54を斜め方向に透過した検査線の透過像が、イメージセンサ13の主面に垂直方向に入射できる。
【0078】
検査ステージ位置制御機構(30,31,32)によって、検査ステージ15が移動することにより、固定位置にある検査線発生部12から出射した検査線は、任意の斜め入射の検査角度を定義するように、薄く面積の広い平板状の被検査物60に入射するように掃引される。この結果、固定位置から出射した検査線が被検査物60の広い表面を掃引される。検査ステージ15の移動によって、被検査物60の広い表面を掃引された検査線は、掃引位置で決まる任意の斜め入射の検査角度を定義するように、薄く面積の広い平板状の被検査物60に入射して、被検査物60の平面パターンの任意の位置を検査線が透過する。面積の広い平板状の被検査物60の平面パターンの任意の位置に斜め入射して透過した検査線は、イメージセンサ13の撮像面に垂直入射するように、イメージセンサ13の撮像面の位置と配向が制御される。
【0079】
イメージセンサ13の撮像面の位置と配向の制御は、検査ステージ15を駆動するステージ移動座標系とは別個の5軸移動機構(33,34,35,36,37)によって制御される。5軸移動機構(33,34,35,36,37)によって、最大立体角Φ
max内をX
2−Y
2−Z
2―θ1―θ2の5軸を移動するイメージセンサ13の主面に、被検査物60を透過した検査線が垂直に入射するので、面積の広い平板状の被検査物60の樹脂54の異なる位置を透過した任意の斜め入射の検査角度の検査線が、場所依存性を伴うことなく、イメージセンサ13に効率良く入射する。
【0080】
観点を変えて説明すると、5軸移動機構(33,34,35,36,37)を作動させることにより、撮像ステージ14をY軸及びZ軸に平行な方向に並進移動させて、検査線発生部12が規定する点光源の位置とイメージセンサ13の位置で、平板状の被検査物60に入射する検査線の検査角と実効的な検査立体角が決定される。「実効的な検査立体角」は、点光源がイメージセンサ13の撮像面を見込む立体角であるので、点光源からのイメージセンサ13の撮像面までの距離と、撮像面の有効面積で決まる。撮像面が矩形であれば、実効的な検査立体角は円錐ではなく、四角錐の頂角になる。このとき、最大立体角Φ
max内の検査角と実効的な検査立体角において、イメージセンサ13の主面に、実効的な検査立体角内の検査線が、常に実質的に垂直に入射するように、第1仰角回転機構36を作動させることによりθ1回転軸の周りにイメージセンサ13を回転させている。「実質的に垂直」とは、実効的な検査立体角内の検査線が有効にイメージセンサ13の撮像面に入る限り、厳密な垂直入射でなくても良いという意味である。
【0081】
そして、点光源の位置とイメージセンサ13の位置で決まる検査角度に対応するように、薄く面積の広い平板状の被検査物60の所望の箇所を検査線が透過する位置で、被検査物60の検査位置が決定される。実効的な検査立体角内の検査線を考慮すると、検査線が透過する被検査物60の位置は点ではなく、一定の面積を有する検査領域である。そして、この検査領域の位置が平板状の被検査物60の全領域を掃引移動できるように、第1のY軸移動機構31及び第1のZ軸移動機構32を作動させることにより、検査ステージ15を構成するステージ底板16をY軸及びZ軸に平行な方向に並進移動させる。ただし、被検査物60の面積が小さい場合は、掃引移動は不要なる。
【0082】
図9においては検査ステージ15を構成するステージ底板16及びイメージセンサ13のX軸方向(紙面の垂直方向)への移動については図示されていないが、検査ステージ15を構成するステージ底板16及びイメージセンサ13をステージ移動座標系とは異なるX軸方向へ移動させる場合は、第1のX軸移動機構30及び第2のX軸移動機構33を連動して作動させることによって行う。
【0083】
図8(a)に示す最大立体角Φ
max内の任意の斜め入射角度となる検査角度で検査を行う際、検査ステージ15を構成するステージ底板16及びイメージセンサ13をZ軸に平行な方向へは並進移動させず、Y軸に平行な方向の並進移動のみで検査を行うことは可能である。しかしながら、Z軸に平行な方向への並進移動がない場合、Y軸に平行な方向の並進距離は大きくなり、設備のサイズが大きくなる。また、検査線発生部12から被検査物60、及びイメージセンサ13までの距離が大きくなり、以下に説明するように、検査画像のSN比が下がる。
【0084】
実施形態に係る非破壊自動検査システムによれば、常にイメージセンサ13の撮像面が検査線発生部12に対向する配向となるように、5軸移動機構(33,34,35,36,37)によって、イメージセンサ13の位置とイメージセンサ13の主面(撮像面)の配向が制御されるように移動する。又、被検査物60の平面パターンの内部に検査点を制御する検査ステージ位置制御機構(30,31,32)とイメージセンサ13の位置と配向を制御する5軸移動機構(33,34,35,36,37)とが、互いに座標原点が異なる互いに独立した座標系としているので、面積の広い被検査物60の平面パターンの任意の位置の測定が可能となる。
【0085】
このため、薄く面積の広い平板状の被検査物60であっても、被検査物60の異なる平面位置を透過した検査線による被検査物60の像を、透過位置に依存しないで、常に効率よくイメージセンサ13が撮像できる。したがって、実施形態に係る非破壊自動検査システムによれば、薄く面積の広い平板状の被検査物60であっても、精密且つ複雑な立体構造をなす被検査物の微細な欠陥や不良を高効率且つ正確に検査することができる。
【0086】
<倍率及びSN比の調整方法>
図8(a)に示した検査線発生部12からイメージセンサ13までの検査距離を一定に維持するように、検査距離を半径とする球面に沿ってイメージセンサ13を移動させるためには、軸に平行な方向への並進移動が必要になる。検査距離を半径とする球面上を移動か可能とするように、
図9に示すようなZ軸に平行な方向へ並進移動機構を備えることで検査距離を一定に維持でき、且つ設備のサイズダウンを実現でき、さらに検査画像のSN比の低下を抑えることができる。
【0087】
実施形態に係る非破壊自動検査システムでは、検査画像の倍率及び検査画像のSN比を調整することができる。検査画像の倍率及びSN比の調整方法を、
図2並びに
図10〜
図13を参照して説明する。既に述べたとおり、
図2はイメージセンサ13及び検査ステージ15はいずれも基準位置にセットされた状態を示している。検査画像の倍率は、検査線発生部12から検査ステージ15までの「照射距離」と、検査線発生部12からイメージセンサ13までの「検査距離」の比で決定される。したがって、検査画像の倍率を調整するためには、検査線発生部12から検査ステージ15までの照射距離と、検査線発生部12からイメージセンサ13までの検査距離の比を調整すればよい。又、検査画像のSN比は、検査線発生部12からイメージセンサ13までの検査距離で決定される。したがって、検査画像のSN比を調整するためには、検査線発生部12からイメージセンサ13までの検査距離を調整すればよい。
【0088】
検査画像の倍率を下げるためには、検査線発生部12から検査ステージ15までの照射距離に対する、検査線発生部12からイメージセンサ13までの検査距離を小さくすればよく、検査画像の倍率を上げるためには、検査画像の倍率を下げる場合とは逆に、検査線発生部12から検査ステージ15までの照射距離に対する、検査線発生部12からイメージセンサ13までの検査距離を大きくすればよい。
図10及び
図11に、検査画像の倍率を変えるときの検査ステージ15及び撮像ステージ14の配置の一例を示す。
図10は検査画像の倍率を下げる場合、
図11は倍率を上げる場合である。
【0089】
イメージセンサ13及び検査ステージ15がいずれも基準位置にセットされた
図2と
図10とを比較する。
図10においては、検査ステージ15は基準位置と比較してZ軸に沿って検査線発生部12から遠い位置にセットされ、撮像ステージ14は基準位置と比較してZ軸に沿って検査線発生部12に近い位置にセットされているので、
図2の場合よりも検査画像の倍率は小さい。
図10においては、検査線発生部12からイメージセンサ13までの検査距離を短くしているため、
図2の場合に比べてSN比が大きくなる。検査線発生部12からイメージセンサ13までの検査距離を変えずに、検査ステージ15から検査線発生部12までの照射距離を大きく、検査ステージ15からイメージセンサ13までの検査距離を小さくすれば、SN比を変えずに検査画像の倍率を下げることができる。
【0090】
図11は、
図10とは逆に、検査ステージ15は基準位置と比較してZ軸に沿って検査線発生部12から近い位置にセットされ、撮像ステージ14は基準位置と比較してZ軸に沿って検査線発生部12に遠い位置にセットされている。
図11においては、
図2の場合に比べてSN比が小さく、検査画像の倍率は大きくなる。検査線発生部12からイメージセンサ13までの検査距離を変えずに、検査ステージ15から検査線発生部12までの照射距離を小さく、検査ステージ15からイメージセンサ13までの検査距離を大きくすれば、SN比を変えずに検査画像の倍率を上げることができる。
【0091】
検査画像のSN比を上げるためには、検査線発生部12からイメージセンサ13までの検査距離を小さくすればよく、SN比を下げるためには、検査線発生部12からイメージセンサ13までの検査距離を大きくすればよい。
図12及び
図13に、検査画像のSN比を変えるときの検査ステージ15及び撮像ステージ14の配置の一例を示す。
図12は検査画像のSN比を上げる場合、
図13はSN比を下げる場合である。
図12においては、検査線発生部12から被検査物60までの照射距離と、検査線発生部12からイメージセンサ13までの検査距離の比は一定に保たれたまま、検査ステージ15及び撮像ステージ14が基準位置と比較してZ軸に沿って検査線発生部12に近い遠い位置にセットされており、検査画像の倍率を維持したまま検査画像のSN比を上げることができる。
【0092】
図13は
図12とは逆に、検査線発生部12から被検査物60までの照射距離と、検査線発生部12からイメージセンサ13までの検査距離の比は一定に保たれたまま、検査ステージ15及び撮像ステージ14が基準位置と比較してZ軸に沿って検査線発生部12に近い位置にセットされており、検査画像の倍率を維持したまま検査画像のSN比を下げることができる。
【0093】
<検査ステージの移動>
図14〜
図16は、検査ユニット3の内部において行われる、検査ステージの受け渡し動作を説明する図である。
図14〜
図16は検査ユニット3の内部の図であるが、検査線発生部12と撮像ステージ14は図示されていない。被検査物60が供給ユニット2から検査ユニット3へ搬送されたのち、撮像側レール61,62上を搬送される過程において、被検査物60が検査ステージ15上に到達していない時点では、
図14に示すように、検査ステージ15上のステージレール17,18が搬送ライン上の撮像側レール61,62の延長上(一直線上)で連結されるように、検査ステージ15が設置される。
【0094】
図15に示すように、被検査物60が検査ステージ15上に到達すると、検査ステージ15の第1のX軸移動機構30が作動する。そして、検査ステージ15がX軸方向へ移動することによって検査ステージ15は搬送ラインから分離され、
図16に示すように、点線源(図示せず)下へ引き込まれる。検査ステージ15が点線源の下へ引き込まれ、検査が実行されたのち、検査ステージ15は再び搬送ラインへ戻され、被検査物60はマーキングユニット4へと続く中継レール63,64を搬送される。搬送ライン上を搬送されてきた被検査物60を、検査ステージに移載し、検査実行後に再び搬送ラインに移載し直すと、処理能力が低下し、更に機構が煩雑になる。搬送ラインと検査ステージを兼用し、被検査物60が検査ステージに到達した時点で検査ステージを分離し点線源の下へ引き込むことにより、被検査物60を移載する動作を省略でき、機構の簡略化と処理能力の向上が達成される。
【0095】
<搬送ライン上での接続>
検査線検査時には、検査ユニット3の内部から外部への検査線の漏洩を防ぐため、
図1に示した供給ユニット2から検査ユニット3のユニット間、検査ユニット3からマーキングユニット4のユニット間を、それぞれ遮断材で閉じる必要がある。遮断材で閉じても、供給ユニット2から検査ユニット3のユニット間、検査ユニット3からマーキングユニット4のユニット間において、被検査物60を搬送する必要がある。このため、検査線の透過に対し遮蔽性能を有する入口側シャッタ71及び出口側シャッタ72で搬送経路を開閉自在にする必要がある。入口側シャッタ71及び出口側シャッタ72が閉じた場合、ユニット間で入口側シャッタ71及び出口側シャッタ72によって、搬送経路を構成している搬送ラインが分断され、被検査物60の受け渡しができない。
【0096】
実施形態に係るユニット間の被検査物60の受け渡し方法を、
図17(a)、(b)及び
図18(a)、(b)を参照して説明する。
図17(a)、(b)及び
図18(a)、(b)は、供給ユニット2の供給側レール65,66と、検査ユニット3の撮像側レール61,62と、被検査物60のみを、筐体や入口側シャッタ71等を省略して上面から図示したものである。
【0097】
入口側シャッタ71が開になると、
図17(a)において、被検査物60は供給ユニット2の供給側レール65,66上にある。
図17(b)において、検査ユニット3の撮像側レール61,62をエアシリンダ等の移動機構(アクチュエータ)によって供給側レール65,66方向にスライドさせ、供給ユニット2の供給側レール65,66と検査ユニット3の撮像側レール61,62間の隙間を、供給ユニット2から検査ユニット3へ被検査物60の受け渡しが可能となる程度に小さくし、搬送ラインを連結する。
【0098】
図18(a)において、供給ユニット2から検査ユニット3へ被検査物60の受け渡しを行う。
図18(b)において、検査ユニット3から供給ユニット2へスライドさせていた撮像側レール61,62を検査ユニット3へ戻し、入口側シャッタ71を閉じる。検査ユニット3とマーキングユニット4の間の被検査物60の受け渡しも、供給ユニット2と検査ユニット3の間と同様に、出口側シャッタ72の開にしたときに、搬出側レール41,42の一部又は全部を検査ユニット3側からマーキングユニット4側にスライドさせることによって行う。即ち、既に述べたように、搬出側レール41,42が2分割又は3分割されている構造の場合は、2分割又は3分割されている内の、検査ユニット3に近い部分となる一対の搬出側レール41,42の部分が、検査ユニット3からマーキングユニット4側にスライドされる。
【0099】
従来、量産現場において、大量の被検査物を連続的にX線で検査するにはベルトコンベア式の搬送装置を用いる方法が用いられていた。通常、被検査物を連続的に検査する場合、X線の検査を実施する検査室(検査ユニット)に被検査物を搬送する些細には、ベルトコンベアに被検査物を搭載する準備室(準備ユニット)や供給室(供給ユニット)が必要になる。一方、検査ユニットにおいて、X線を用いた検査を行うときは、操作者に対する安全対策として、X線検査ユニットの内部からのX線の外部への漏洩を防ぐために、X線検査ユニットとその外部との間に遮蔽材が必要である。
【0100】
しかし、従来のベルトコンベア式の搬送装置を用いる場合、X線検査ユニットの外部から、ベルトコンベア上を自動搬送してきた被検査物を、X線検査ユニットへ自動搬送する際に、遮蔽材の厚み分ベルトコンベアが分断され、被検査物の受け渡しができない問題があった。実施形態に係る非破壊自動検査システムによれば、操作者に安全で、立体構造をなす被検査物の微細な欠陥や不良を自動的且つ高効率で検査できる非破壊自動検査システムが提供できる。
【0101】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は上記の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。例えば、上述した実施形態において、幅寸法の異なる板状の被検査物60はリードフレーム等の半導体パッケージを主に、例示的に説明したが、本発明の対象とする被検査物60は、上記において例示したリードフレーム等の構造物に限るものではない。
【0102】
又、
図3等において、第1の保持部22が第1のステージレール17に取り付けられ、第2の保持部23及び第3の保持部24が第2のステージレール18上に取り付けられた構造を示したが例示に過ぎない。例えば、2つの保持部が第1のステージレール17に取り付けられ、1つの保持部が第2のステージレール18上に取り付けられた構造でもよい。或いは、2つ以上の保持部が第1のステージレール17に取り付けられ、3つ以上の保持部が第2のステージレール18上に取り付けられた構造でもよい。
【0103】
図6等において、θ1回転軸をY軸に平行とし、θ2回転軸をX軸に平行とした5軸移動機構(33,34,35,36,37)を説明したが、例示に過ぎない。Z軸に平行なΦ軸の周りに定義される方位角(回転角)の制御機構も付加して6軸移動機構による制御にしてもよい。或いは一方の仰角制御と方位角制御の2軸制御とし、この2軸を含む5軸移動機構による制御にしてもよい。
【0104】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。