【実施例1】
【0016】
ここで、実施形態の電気電子機器収納用箱1の構造について、詳しく説明する。実施形態の電気電子機器収納用箱1は、金属製の支柱15を四本備えている。この支柱15は筐体11の開口部12の奥側に位置する背板32側から前方に突出するように位置している。このような構成とする為、実施形態では、背板32の左右に略コ字状の枠体41を結合している。なお、この略コ字状の枠体41は、両腕部を構成する支柱15と、支柱15間を連結する縦フレーム42が略コ字状に繋がるように構成されている。なお、背板32に枠体41または、支柱15のみを溶接するものであっても良いし、着脱可能に取り付けするものであっても良い。また、背板32には、電気電子機器収納用箱1を壁面等へ取り付ける図示しない取付部を形成している。
【0017】
天井板17や、底面板18や、開口部12の左右側に位置する側面板31からなる側板は、支柱15間を渡すように固定される。また、この支柱15の端部側には扉体13を支持可能な支持部16が備えられている。
図5に示すように、支柱15の先端部に備えられた扉体13の支持部16が、支柱15に対して着脱可能な部材で構成するようにすれば、支柱15に対して部材を挿入すれば、支持部16を設けることができるため、支柱15自体の構造が複雑化することを抑制することができ、製造上のコストの抑制に貢献する。実施形態では、金属製の支柱15の先端部に、樹脂を用いて構成された支持部16を固定している。このため、支柱15を構成する金属板で支持部16を構成することが回避でき、支柱15の折り曲げ作業が複雑となることを抑制できる。
【0018】
側面板31はスライド移動させて固定させたり、側方から取り付けて固定させたりするものとすればよい。
図6及び
図7に示すことから理解されるように、実施形態においては、開口部12の左側に位置する側面板31は、上下に位置する支柱15間に位置させるものであり、扉体13が位置する側から奥側に向けて摺動させること等により取り付けることができる。このように、支柱15間に側面板31を配置する構成であり、各側面板31などが重複して取り付ける構造とはならないため、各々を独立して着脱させることができる。
【0019】
また、開口部12の左側に位置する側面板31は、支柱15間に取り付けた後に左右・上下・後方向への移動を規制する規制部を設けている。また、この側面板31を固定する固定部を設けている。実施形態では固定ねじ100aを固定部としている。各々の規制部の係止方向に対して、固定部は垂直方向から固定することで側面板31の移動を規制させる。なお、
図6乃至
図9に示すことから理解されるように、具体的には、側面板31の一端に後方向に延びる規制片71を突出させている。そして、対応する位置となる、枠体41の縦フレーム42と支柱15の結合部近傍に規制孔43を形成している。また、規制片71の反対端部には、固定部を形成している。実施形態においては、固定部である固定ねじ100aを、支柱15に設けた孔102aを介して、側面板31に設けられた孔101aに取り付けて側面板31を固定するものであるが、筐体11内部側において左右方向から固定できるような構成としている。
【0020】
また、
図2、3、4、6及び10に示すことから理解されるように、開口部12の右側に位置する側面板31は、背面側で支柱15に回動自在に支持されている。支柱15は回動板ピン受け部62によりこの側面板31を軸支している。支柱15に関し、回動板ピン受け部62が設けられた側と反対側の端部にはキャッチ部52を備えている。支柱15の後述する側面板31のスライド移動をガイドするガイド片53に設けたキャッチ部52は、側面板31に形成したキャッチクリップのクリップ部72を保持することができる。なお、実施形態では、キャッチ部52は、ガイド片53に設けた固定用穴63に取り付けられて固定されている。
【0021】
キャッチ部52がクリップ部72を保持した状態においては、この側面板31は仮保持されているだけである。
図11及び
図12に示すことから理解されるように、本実施例の扉体13は、ハンドル82を操作することにより動かすことができるベロ81を備えているが、このベロ81を、側面板31の開放端部に設けられたベロ係止部73と係止させれば、側面板31を固定することができる。したがって、扉体13が開いた状態にされないと、この側面板31は着脱できない構成となっている。
【0022】
図5及び
図13に示すことから理解されるように、実施形態の支持部16は、実施例1の扉体13のピン部83を軸支するピン受け部51と、実施例2に示すラッチ部84を係止させるラッチ受け部55の双方を備えた構成としている。このため、例えば、ピン部83を備えた扉体13からラッチ部84を備えた扉体13に取り換えても、支持部16を変更する必要が無い。なお、支持部16は側面板31の構成にあわせて、ピン受け部51とラッチ受け部55の必要な方だけを備えたものとすることも可能である。支柱15の先端部に備えられた扉体13の支持部16が、扉体13のピン部83を受けるピン受け部51、又は、扉体13に設けたラッチ部84を係止させるラッチ受け部55の少なくとも一方を備えた構成とすれば、支持部16が扉体13を適切に支持することが可能となる。
【0023】
実施形態では、支柱15の先端部に備えられた扉体13の支持部16が、扉体13に設けたラッチ部84を係止させるラッチ受け部55を備え、ラッチ受け部55の後方にラッチ部84と当接可能なラッチ壁部59を備えている。このように、ラッチ受け部55に対応する位置にラッチ壁部59を設けると、ラッチ受け部55の係止位置が見えない場合でも、係止位置までガイドすることが可能となる。また、ラッチ受け部55を使用しない扉体13を採用した場合であっても、ラッチ壁部59は扉体13を閉じる際の当て部材としてそれ以上の扉体13の回動規制をするとともに、扉体13の変形を防止するように機能させることも可能となる。
【0024】
実施形態では、支柱15の先端部に備えられた扉体13の支持部16が、扉体13のピン部83を受けるピン受け部51を備えているが、このピン受け部51は支柱15に固定された側面板31の前方に設けられている。つまり、扉体13を軸支する部位が側面板31の前方に位置するため、この部位は筐体11の端部に位置することになる。したがって扉体13を開放して開口部12を通じて物を出し入れする際に、開口部12が広く形成することとなり扉体13が障害となることが抑制される。また、スライド移動させて着脱させる形式の側面板31を用いる場合、扉体13は側面板31が前方に移動することを抑制するように機能するため、側面板31の脱落を抑制することができる。
【0025】
支持部16が支柱15に固定された状態においては、実施形態の支持部16は、支柱15に設けられた係止部58に当接するように係止する。また、この状態において、側面板31をガイドするガイド片53にも当接する。より具体的には、支持部16に設けられた当接部57が、ガイド片53に当接する。この当接部57には、固定ねじが挿入される固定孔56を備えている。なお、係止部58が設けられている位置と当接部57が設けられている位置は前後方向にずれるように設けられている。このため、扉体13などから支持部16に対して回動させるような力が加えられた場合でも、当接部57と係止部58の双方で当該力を受けているため、支持部16が外れることが抑制される。
【0026】
図11、12及び14に示すことから理解されるように、実施形態の扉体13は、前面に排気口となる複数のスリット87を設けている。ハンドル82が設けられている位置の反対側の端部にはピン部83が設けられている。底面板18側に位置する支持部16及び天井板17側に位置する支持部16は、ピン部83を受けるピン受け部51を備えている。実施形態においては、支持部16から扉体13を外す時には、操作部88を操作してピン部83を上下方向に移動させることにより、ピン部83をピン受け部51から取り外すことができる。
【0027】
天井板17と接する支柱15には、天井板17のスライド移動時にガイド機能を果たすガイド片54を備えている。同様に、底面板18と接する支柱15には、底面板18のスライド移時にガイド機能を果たすガイド片54を備えている。また、天井板17をガイドするガイド片54には、天井板17に設けられた規制穴に挿入する規制凸部54aを設けている。また、
図14乃至
図16に示されていることから理解されるように、底面板18をガイドするガイド片54には、底面板18に設けられた規制穴93に挿入する規制凸部54aを設けている。
【0028】
筐体11の上部に位置する支柱15を渡すように配置された天井板17と、筐体11の下部に位置する支柱15を渡すように配置された底面板18には、スライド移動させる際に支柱15に設けられたガイド片54に引掛ける引掛部91を備えている。
【0029】
ガイド片54の先端に前方に延びるように設けられている規制凸部54aが、底面板18に設けられた規制穴93を通過すると、底面板18のそれ以上のスライド移動が抑制されるため、この状態にした後、固定ねじ100bを上方から挿入して底面板18を固定する。天井板17も底面板18と同様な工程を経れば固定することができる。底面板18と天井板17のスライド方向に対して垂直方向から固定ねじ100bを挿入し移動を規制する構造となっている。
【0030】
なお、規制凸部54aにより移動が規制された状態では、底面板18と背板32との間に空間が生じるように構成されている。同様に、規制凸部により移動が規制された状態では、天井板17と背板32との間に空間が生じるように構成されている。
【0031】
実施形態では、天井板17と背板32との間に位置する空間に、前後方向に並ぶようにパッキン98が配置されている。これらのパッキン98はゴム製やスポンジ材としており、一方は背板32に固定され、他方は天井板17に固定されている。このような構成であるため、天井板17を取り外した状態で扉体13前方から配線を行うことができる。また、配線作業を終えたときに、天井板17をスライド移動させれば、パッキン98間で挟止させるようにして配線を固定することができる。このため、配線作業を行い易くすることができる。
【0032】
実施形態では、底面板18と背板32との間に設けられた空間には、覆い板99が着脱可能となるように構成されている。あらかじめ配線を想定していないときには、この空間は覆い板99で隠すことができる。
【実施例2】
【0033】
次に実施例2について、説明する。
図13、
図17乃至
図19に示されていることから理解されるように、この実施例の扉体13は、支持部16に保持させるためのラッチ部84を備えている。このラッチ部84は扉体係止部84cを用いて扉体13に係止されている。また、ラッチ部84はラッチ受け部55に挿入可能なラッチ片84aを備えている。このラッチ片84aは、ラッチ片操作部84bを操作することで、移動させることができる。
【0034】
また、扉体13は、天井板17にベロを係止させる鎖錠装置89を備えている。この鎖錠装置89は一般的にコインロックといわれているものである。この扉体13の下端には係止片86を備え、底面板18に形成した係止孔92に係止可能としている。なお、扉体13は、各側面板31や天井板17や底面板18を支柱15間に固定させた後、筐体11に固定すれば良い。
【0035】
実施形態では、支柱15の先端に設けられた支持部16に、ラッチ受け部55を備えており、このラッチ受け部55によりラッチ部84を保持させることができる。このようにすれば、ラッチ部84が左右端部に形成されることになるため、天井板17にラッチ受け部55を形成する必要が無くなる。また、ラッチ部84は扉体13の左右端部に形成されることとなるため、排気を促す為の排気口をラッチ部84より下方に位置させたり、ラッチ部84間を跨ぐように形成させたりする必要がないため、筐体11内の排気を容易に促すことができる。
【0036】
この実施例の側面板31は、一端側に規制片71があることは実施例1と同じであるが、
図20に示すように、他端側には先端位置を変更可能な側板ピン75を備えている。この実施例では、側板ピン75を操作してピンの端部を上下方向に移動させることにより、支持部16に形成したピン固定部61、支柱15に形成したピン固定部64に固定する。
【0037】
ところで、扉体13にはピン受け部51に挿入するピン部83を備えているが、実施形態のピン部83においては、軸状の部位に、操作部88を突出させた形態としている。また、扉体13には、操作部88を移動可能にするL字状のスリット22を備えている。このスリット22は、垂直方向に延びる垂直孔部23と水平方向に延びる水平孔部24を備えている。
【0038】
ピン部83は、図示しないばねにより扉体13の外側方向に付勢されている。このため、ピン部83の突出量を抑制するように操作部88を垂直孔部23に沿って移動させても、操作部88から力を開放すれば、ピン部83はもとの突出した状態に復元しようとする。
【0039】
なお、元の状態に復元したピン部83の操作部88を、水平孔部24に沿って水平方向に移動させれば、ピン部83の垂直方向への移動を抑制することができる。このため、ピン部83がピン受け部51に嵌められた状態で操作部88を水平孔部24の奥側に向かって水平方向に移動させれば、ピン部83の上下方向の移動が規制され、ピン受け部51に嵌められた状態が維持される。
【0040】
図21から
図26に示す例では、支持部16に溝部21を備えている。
図23に示すことから理解されるように、この溝部21は、支持部16の周縁に設けられており、ピン受け部51に繋がっている。この溝部21は、扉体13のピン部83をピン受け部51にガイド可能とするものであり、筐体11の外周を構成する2つの面に沿うように設けられている。より具体的には、溝部21は、左右方向に延びる部位と奥行き方向に延びる部位を備えている。溝部21を外周縁に沿って設けているため、筐体11の前方側若しくは側方側から扉体13を取り付けようとした場合に、どちらの方向から挿入しても溝部21を利用してピン受け部51までガイドすることができる。また、ピン部83が溝部21を乗り越えたとしても、前方側若しくは側方側に引き寄せればどちらの方向に移動させても溝部21を利用してピン受け部51までガイド可能となる。したがって、筐体11が取付者の上方に位置する場合のように、ピン受け部51が視認しにくい場合でも、ピン部83をピン受け部51まで導くことが容易となる。
【0041】
溝部21の幅はピン受け部51の孔径よりも幅狭に形成している。
図24に示すように、溝部21にピン部83が引っ掛かっている状態では、ピン部83が支持部16に十分に係合されていないため、操作部88を水平孔部24に移動させることができず、ピン部83の上下方向への移動規制ができない状態である。そのため、強めの負荷をかければピン部83は溝部21から離脱させることができる。なお、溝部21は様々な扉体13に対応可能にするため、四隅に形成した支持部16の全てに同様の溝部21を形成している。
【0042】
溝部21によってピン受け部51まで導かれたピン部83は、扉体13から突出するように移動する。この際、
図25に示すことから理解されるように、操作部88は水平孔部24の位置まで移動する。そこで、
図26に示すように、操作部88を水平孔部24の奥側に向かって水平方向に移動させれば、ピン部83がピン受け部51から抜けにくい状態とすることができる。
【0043】
なお、ラッチ壁部59には戸当たり25を一体に形成しており、扉体13を勢い良く締めた場合の当て部として作用する。
【0044】
以上、代表的な実施形態について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、背板32の左右側の側面板31に電気電子機器収納用箱1が取り付けられる壁面への取付部を形成し、支柱15を電気電子機器収納用箱1が取り付けられる壁面に対して平行とすることも可能である。
【0045】
また、左右両側に位置する側面板31は各種態様とすることが可能であり、例えば、両側の側面板31をすべて回動式のものとすることも可能である。