特許第6987439号(P6987439)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987439
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】食材供給装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20211220BHJP
【FI】
   A23L7/10 E
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-161135(P2017-161135)
(22)【出願日】2017年8月24日
(65)【公開番号】特開2019-37163(P2019-37163A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2020年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】小根田 育冶
(72)【発明者】
【氏名】神山 孝司
(72)【発明者】
【氏名】中野 達也
【審査官】 村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−057065(JP,A)
【文献】 特開2016−059305(JP,A)
【文献】 特開平09−322726(JP,A)
【文献】 特開2004−073046(JP,A)
【文献】 特開2004−097084(JP,A)
【文献】 特開2007−043948(JP,A)
【文献】 特開2004−196382(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0118300(US,A1)
【文献】 実開昭60−111238(JP,U)
【文献】 特開2012−125206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を貯留する食材貯留部内に並列に設置され、前記食材貯留部内の食材を所定の方向に搬送する第1の搬送手段および第2の搬送手段と、
前記第1の搬送手段および前記第2の搬送手段をそれぞれ駆動する第1の搬送駆動手段および第2の搬送駆動手段と、
前記第1の搬送手段および前記第2の搬送手段に搬送された食材を解すように取り崩しながら落下させる解し手段と、
前記解し手段を駆動する解し駆動手段と、
前記解し手段から落下した食材の重量を計量する計量手段と、
予め設定された重量である設定重量の食材が食材受容部に落下供給されるように前記第1の搬送駆動手段、前記第2の搬送駆動手段および前記解し駆動手段を制御する制御手段とを有し、
前記第1の搬送手段および前記第2の搬送手段は、
前記解し手段の回転軸に対して直角に配置されたシャフトと、前記シャフトの周りに螺旋状に設けられたスクリュと、を備えた搬送スクリュであり、
前記制御手段は、
前記計量手段で計量される食材の重量が前記設定重量に対して所定の計量値に到達するまでは前記第1の搬送駆動手段および前記第2の搬送駆動手段を所定の速度に制御するとともに前記解し駆動手段を所定の速度に制御する第1の制御を実行し、その後、一方の前記搬送駆動手段の駆動を逆転させ、他方の前記搬送駆動手段を徐々に減速させて前記設定重量になったときに前記解し駆動手段とともに停止させる第2の制御を実行する、
ことを特徴とする食材供給装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記第1の制御では、前記計量手段で計量される食材の重量が第1の計量値になるまでは前記第1の搬送駆動手段および前記第2の搬送駆動手段を第1の速度に制御し、次いで、第2の計量値になるまでは前記第1の搬送駆動手段および前記第2の搬送駆動手段を前記第1の速度よりも遅い第2の速度に制御する、
ことを特徴とする請求項1記載の食材供給装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記第2の制御では、他方の前記搬送駆動手段を、前記第1の制御のときの速度よりも遅い速度を初速として徐々に減速させる、
ことを特徴とする請求項1または2記載の食材供給装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記第2の制御では、第1の搬送駆動手段および第2の搬送駆動手段に対して、逆転する動作と前記設定重量になったときに停止する動作とを、前記食材受容部に対する一回の食材の落下供給動作毎に交互に実行させる、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の食材供給装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記第2の制御では、前記解し駆動手段を徐々に減速させて前記設定重量になったときに停止させる、
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の食材供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材供給装置に関し、特に、食材貯留部に投入された食材を食材受容部に供給する際の供給速度および量目精度の向上に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弁当や丼物等を作る場合、米飯(食材)を弁当箱や椀等の食材容器(食材受容部)に供給するための食材供給装置が知られている。この食材供給装置は、ホッパ(食材貯留部)内の米飯を計量することにより、一定量の米飯を食材容器に自動的に供給する装置である。
【0003】
食材供給装置においては、米飯を搬送スクリュで搬送し、ドラム型の解しローラで解しながら落下させながら計量し、予め設定された重量の米飯を食材容器に供給して(盛り付けて)いる。
【0004】
ここで、搬送スクリュの搬送速度を速くして食材容器への供給速度(盛付速度)を向上させようとすると量目精度が悪化してしまい、逆に量目精度を向上させようとすると供給速度が遅くなってしまう。つまり、米飯の供給速度と量目精度とはトレードオフの関係にあると言える。
【0005】
なお、米飯の量目精度を向上させる技術として、例えば、特許文献1(特開2004−057065号公報)、特許文献2(特開2004−073046号公報)、特許文献3(特開2004−097084号公報)に記載されたものが知られている。これらの特許文献には、搬送スクリュおよび解しローラの回転速度を、あるいは解しローラの回転速度を、徐々に遅くすることで量目精度を向上させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−057065号公報
【特許文献2】特開2004−073046号公報
【特許文献3】特開2004−097084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した技術によってもなお、供給速度および量目精度の向上には依然として改善の余地があった。
【0008】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、食材受容部に対する食材の供給速度および量目精度の向上を図ることのできる食材供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の食材供給装置は、食材を貯留する食材貯留部内に並列に設置され、前記食材貯留部内の食材を所定の方向に搬送する第1の搬送手段および第2の搬送手段と、前記第1の搬送手段および前記第2の搬送手段をそれぞれ駆動する第1の搬送駆動手段および第2の搬送駆動手段と、前記第1の搬送手段および前記第2の搬送手段に搬送された食材を解すように取り崩しながら落下させる解し手段と、前記解し手段を駆動する解し駆動手段と、前記解し手段から落下した食材の重量を計量する計量手段と、予め設定された重量である設定重量の食材が食材受容部に落下供給されるように前記第1の搬送駆動手段、前記第2の搬送駆動手段および前記解し駆動手段を制御する制御手段とを有し、前記第1の搬送手段および前記第2の搬送手段は、前記解し手段の回転軸に対して直角に配置されたシャフトと、前記シャフトの周りに螺旋状に設けられたスクリュと、を備えた搬送スクリュであり、前記制御手段は、前記計量手段で計量される食材の重量が前記設定重量に対して所定の計量値に到達するまでは前記第1の搬送駆動手段および前記第2の搬送駆動手段を所定の速度に制御するとともに前記解し駆動手段を所定の速度に制御する第1の制御を実行し、その後、一方の前記搬送駆動手段の駆動を逆転させ、他方の前記搬送駆動手段を徐々に減速させて前記設定重量になったときに前記解し駆動手段とともに停止させる第2の制御を実行する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の本発明の食材供給装置は、請求項1記載の発明において、前記制御手段は、前記第1の制御では、前記計量手段で計量される食材の重量が第1の計量値になるまでは前記第1の搬送駆動手段および前記第2の搬送駆動手段を第1の速度に制御し、次いで、第2の計量値になるまでは前記第1の搬送駆動手段および前記第2の搬送駆動手段を前記第1の速度よりも遅い第2の速度に制御する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の本発明の食材供給装置は、請求項1または2記載の発明において、前記制御手段は、前記第2の制御では、他方の前記搬送駆動手段を、前記第1の制御のときの速度よりも遅い速度を初速として徐々に減速させる、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の本発明の食材供給装置は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、前記制御手段は、前記第2の制御では、第1の搬送駆動手段および第2の搬送駆動手段に対して、逆転する動作と前記設定重量になったときに停止する動作とを、前記食材受容部に対する一回の食材の落下供給動作毎に交互に実行させる、ことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の本発明の食材供給装置は、請求項1〜4の何れか一項に記載の発明において、前記制御手段は、前記第2の制御では、前記解し駆動手段を徐々に減速させて前記設定重量になったときに停止させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1の制御が実行されている期間では、多量の食材が短時間のうちに解し手段によって落下し、次の第2の制御が実行されている期間では、解し手段により落下する食材の量が次第に減少することになり、所定の計量値から設定重量に至るまでの食材の重量が精度よく計測されながら最終的に設定重量に到達するので、食材受容部に対する食材の供給速度および量目精度の双方の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態である食材供給装置を示す斜視図である。
図2図1の食材供給装置の断面図である。
図3図1の食材供給装置の構成要素であるホッパおよび搬送スクリュを示す斜視図である。
図4図1の食材供給装置の構成要素である搬送スクリュおよび解しローラを示す斜視図である。
図5図1の食材供給装置の構成要素である搬送スクリュおよび解しローラを図4とは異なる方向から示す斜視図である。
図6図4および図5の平面図である。
図7図6のVII−VII線に沿った断面図である。
図8図1の食材供給装置の構成要素であるシャッタユニットを示す斜視図である。
図9】本実施の形態の食材供給装置の制御系の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0018】
図1は本発明の一実施の形態である食材供給装置を示す斜視図、図2図1の食材供給装置の断面図である。
【0019】
これらの図面に示すように、食材供給装置1は、食材供給部Aおよび食材計量部Bで構成されている。
【0020】
食材供給部Aは、正面板10および当該正面板10の背面に位置する背面板11、ならびにこれら正面板10、背面板11の両側に位置する側面板12により、上部を開口13とした箱体が形成されている。また、背面板11の上端に蝶番(図示せず)を介して連結された蓋14が備えられており、当該蓋14により開口13が開閉されるようになっている。
【0021】
図示するように、正面板10には、表示部15と操作ボタン16とが備えられている。表示部15は、操作コマンドやメッセージ等を表示する画面であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されている。また、操作ボタン16は、食材供給装置1の動作設定を行うためのボタンであり、例えば食材容器(食材受容部)Sに供給される米飯(食材)の重量などが設定される。なお、この操作ボタン16で目標計量値が設定されて動作が開始すると、第1の搬送スクリュ(第1の搬送手段)23aおよび第2の搬送スクリュ(第2の搬送手段)23bによる米飯の搬送動作、これらの搬送スクリュ23a、23bに搬送された米飯の解しローラ(解し手段)24による解し落下動作、解しローラ24から落下した米飯のロードセル(計量手段)41による計量動作、および計量された米飯を食材容器Sに供給するためのシャッタ25の開閉動作が行われる。
【0022】
また、正面板10の下方には、所定の奥行きおよび高さを有した凹部17が形成されている。この凹部17は米飯を盛り付けるときの食材容器Sを収容するに十分な空間を有し、その上方から米飯が落下して食材容器Sに供給される。
【0023】
次に、本実施の形態の食材供給装置の内部構造について、図2図8を用いて説明する。ここで、図3図1の食材供給装置の構成要素であるホッパおよび搬送スクリュを示す斜視図、図4図1の食材供給装置の構成要素である搬送スクリュおよび解しローラを示す斜視図、図5図1の食材供給装置の構成要素である搬送スクリュおよび解しローラを図4とは異なる方向から示す斜視図、図6図4および図5の平面図、図7図6のVII−VII線に沿った断面図、図8図1の食材供給装置の構成要素であるシャッタユニットを示す斜視図である。
【0024】
これらの図面に示すように、食材供給部Aの内部には、食材である米飯を貯留するホッパ(食材貯留部)22が設けられている。ホッパ22は、上端および下端が開口した上部ホッパ22aと、上部ホッパ22aの下端の開口に嵌め込まれてホッパ22の底面を形成する下部ホッパ22bとで構成されている。
【0025】
上部ホッパ22aには、上方より下方へ向かって徐々に狭く形成されており、これによって上端が広口の開口とされるとともに、下端が狭口の開口とされている。なお、ホッパ22には、ホッパ22内の米飯を所定の温度に維持するための保温ヒータ(図示せず)が設けられている。
【0026】
下部ホッパ22bに形成された略半円形の2つの収容溝22b−1内には、第1の搬送スクリュ(第1の搬送手段)23aおよび第2の搬送スクリュ(第2の搬送手段)23bが相互に並列に配置されている。搬送スクリュ23a、23bは、シャフト23−1の周りに螺旋状に設けられたスクリュ23−2を備えており、ホッパ22内の米飯を解しローラ24へと斜め上方に搬送する。
【0027】
第1の搬送スクリュ23aおよび第2の搬送スクリュ23bをそれぞれ回転駆動するために、第1の搬送スクリュ駆動モータ(第1の搬送駆動手段)42aおよび第2の搬送スクリュ駆動モータ(第2の搬送駆動手段)42bが設けられている。これら第1の搬送スクリュ駆動モータ42aおよび第2の搬送スクリュ駆動モータ42bは、第1の減速ギアユニット43aおよび第2の第2の減速ギアユニット43bを介して第1の搬送スクリュ23aおよび第2の搬送スクリュ23bに接続されている。したがって、第1の搬送スクリュ23aは第1の搬送スクリュ駆動モータ42aにより、第2の搬送スクリュ23bは第2の搬送スクリュ駆動モータ42bにより、それぞれ個別に回転駆動される。
【0028】
解しローラ24は搬送スクリュ23a、23bによる米飯搬送端に配置されている。この解しローラ24はドラム型の形状を呈しており、その回転軸は搬送スクリュ23a、23bのシャフト23−1に対して直角に配置されている。この解しローラ24は、解しローラ駆動モータ(解し駆動手段)44(図9)に駆動されて、搬送スクリュ23a、23bから搬送された米飯に対して上方から下方に向かう方向に回転する。
【0029】
解しローラ24の外周には多数の爪24aが設けられており、解しローラ24の回転に伴う爪24aの働きにより、搬送スクリュ23a、23bから搬送された米飯を解すように取り崩しながら落下させる。
【0030】
解しローラ24による米飯の落下経路上には、当該落下経路を開閉することで食材容器Sに対する食材の供給を行う一対のシャッタ25を備えたシャッタユニット26が備えられている。図8に示すように、シャッタユニット26にはシャッタガイド27が設けられており、当該シャッタガイド27に、下方に向けて開閉可能になった一対のシャッタ25が取り付けられている。シャッタガイド27の後方には、シャッタ25の開閉動作を行うシャッタ開閉モータ28aを備えた開閉駆動部28が配置されている。
【0031】
このようなシャッタユニット26によれば、シャッタ25が閉鎖位置になって米飯が落下蓄積され、蓄積された米飯が設定重量(予め設定された重量)に達したならば開放位置になることにより、米飯が食材容器Sへ落下供給される。なお、後述するように載置台40にロードセル41が設置された本実施の形態の食材供給装置においては、設定重量までの米飯が食材容器Sに供給されるまでシャッタ25が開放位置になっており、供給が完了したならば閉鎖位置になるようにしてもよい。
【0032】
食材計量部Bは、図1および図2に示すように、食材供給部Aにおけるシャッタ25の真下に位置して、椀や弁当箱等の食材容器Sが載置される載置台40と、載置台40に載置された食材容器Sに供給される米飯の計量を行うロードセル41とから構成されている。
【0033】
ロードセル41は、検出素子として例えばひずみゲージが用いられ、荷重によるひずみを電気信号に変換する荷重変換器であり、米飯が食材容器Sに投入されたとき、その米飯の重量が計量されるようになっている。
【0034】
次に、以上の構成を有する食材供給装置1の動作について図9を用いて説明する。ここで、図9は本実施の形態の食材供給装置の制御系の機能ブロック図である。
【0035】
図9に示すように、本実施の形態における食材供給装置1は、装置の動作全体を制御するマイクロコンピュータなどで構成される制御部(制御手段)45を備えている。制御部45には、前述した操作ボタン16による設定内容およびロードセル41からの米飯の計量値が逐次入力される。また、制御部45は、操作コマンド等を表示部15に表示させるとともに、第1の搬送スクリュ23aを駆動する第1の搬送スクリュ駆動モータ42a、第2の搬送スクリュ23bを駆動する第2の搬送スクリュ駆動モータ42b、解しローラ24を駆動する解しローラ駆動モータ44、およびシャッタ25の開閉動作を行うシャッタ開閉モータ28aを制御して、設定重量の米飯が食材容器Sに落下供給されるようにする。
【0036】
ここで、制御部45による搬送スクリュ駆動モータ42a、42b、解しローラ駆動モータ44、およびシャッタ開閉モータ28aの制御について、具体的に説明する。
【0037】
食材容器Sが載置台40に載置されたことが図示しないセンサで検出されると、制御部45は第1の制御および第2の制御を順次実行する。
【0038】
第1の制御は、ロードセル41で計量される米飯の重量が設定重量に対して所定の計量値に到達するまでの間に実行される制御であり、例えば米飯の設定重量が200gの場合において、例えば160gに到達するまでの期間実行される。なお、ここに示す設定重量値や到達の計量値、さらには後述する回転速度などの数値は例示に過ぎず、本発明がこれらの数値に拘束されるものではない。
【0039】
さて、第1の制御では、シャッタ開閉モータ28aによりシャッタ25を閉鎖位置にしておき、第1の搬送スクリュ駆動モータ42aおよび第2の搬送スクリュ駆動モータ42bを所定の速度で回転させて第1の搬送スクリュ23aおよび第2の搬送スクリュ23bにより米飯を解しローラ24へと搬送させるとともに、解しローラ駆動モータ44を所定の速度で回転させて解しローラ24により米飯を解すように取り崩しながらシャッタ25内へ落下させる。なお、第1の制御での第1の搬送スクリュ23aおよび第2の搬送スクリュ23bの回転速度は、例えば400rpmに設定されている。
【0040】
米飯の重量が160g(所定の計量値)に達したならば、第2の制御へと移行する。第2の制御は、ロードセル41で計量される米飯の重量が設定重量(ここでは200g)に到達するまで実行される制御である。
【0041】
この第2の制御では、一方の搬送スクリュ駆動モータ(ここでは、第1の搬送スクリュ駆動モータ42aとする)の駆動を逆転させる。これにより、第1の搬送スクリュ駆動モータ42aに駆動される第1の搬送スクリュ23aが反転して当該第1の搬送スクリュ23aで搬送されている米飯が逆方向に向かう。
【0042】
ここで、第1の搬送スクリュ駆動モータ42aが停止して第1の搬送スクリュ23aの回転が止まるだけでは、第1の搬送スクリュ23aで搬送された米飯が解しローラ24側に残っているので、その残余の米飯が解しローラ24の回転により落下する。これに対して、本願のように、第1の搬送スクリュ駆動モータ42aの駆動が逆転して第1の搬送スクリュ23aで搬送されている米飯が逆方向に向かうと、第1の搬送スクリュ23aで搬送された米飯が解しローラ24側に残ることがないので、残余の米飯が解しローラ24の回転により落下することはない。
【0043】
さて、第2の制御では、さらに他方の搬送スクリュ駆動モータ(ここでは、第2の搬送スクリュ駆動モータ42bとする)を徐々に減速させ、設定重量である200gになったときに解しローラ駆動モータ44とともに停止させる。これにより、第2の搬送スクリュ駆動モータ42bに駆動される第2の搬送スクリュ23bの回転速度が徐々に遅くなり、米飯が設定重量になったときに解しローラ24と同時に回転が停止する。なお、第2の制御での第2の搬送スクリュ23bの回転速度は、初速(第2の制御開始時)が例えば72rpmで、その後徐々に減速して終速の36rpmになり、米飯が設定重量になったときに停止するように設定されている。
【0044】
このような食材供給装置1によれば、米飯の重量が設定重量に対して所定の計量値に到達するまでの間に実行される第1の制御においては、2つの搬送スクリュ駆動モータ42a、42bを所定の速度で回転させて2つの搬送スクリュ23a、搬送スクリュ23bで米飯を解しローラ24と搬送し、当該解しローラ24で米飯を解すように取り崩しながら落下させている。
【0045】
よって、第1の制御が実行されている期間では、多量の米飯が短時間のうちに解しローラ24によって落下することになる。
【0046】
そして、米飯の重量が設定重量に到達するまで実行される第2の制御においては、第1の搬送スクリュ駆動モータ42aの駆動が逆転することで、第1の搬送スクリュ23aで搬送された残余の米飯が解しローラ24の回転により落下することはない。つまり、第2の制御に移行してからは、第2の搬送スクリュ23bで搬送された米飯だけが解しローラ24の回転により落下することになる。そして、その第2の搬送スクリュ23bは、当該第2の搬送スクリュ23bを駆動する第2の搬送スクリュ駆動モータ42bが徐々に減速して米飯の重量が設定重量になったときに解しローラ駆動モータ44とともに停止する。
【0047】
よって、第2の制御が実行されている期間では、ロードセル41で計量される米飯の重量が設定重量に近づくにつれて、解しローラ24の回転により落下する米飯の量が次第に減少することになり、所定の計量値から設定重量に至るまでの米飯の重量が精度よく計測されながら最終的に設定重量に到達する。
【0048】
なお、米飯の重量が設定重量になったならば、シャッタ開閉モータ28aによりシャッタ25が開放位置に移行し、シャッタ25に蓄積された設定重量の米飯が食材容器Sに供給される。
【0049】
したがって、本実施の形態の食材供給装置1によれば、食材容器Sに対する米飯の供給速度および量目精度の双方の向上を図ることが可能になる。
【0050】
なお、前述の説明において、第1の制御では、第1の搬送スクリュ駆動モータ42aおよび第2の搬送スクリュ駆動モータ42bは単一の速度で回転するようになっているが、複数の速度で回転するようにしてもよい。具体的に説明すると、米飯の設定重量が200gの場合において、ロードセル41で計量される米飯の重量が第1の計量値(例えば、120g)になるまでは搬送スクリュ駆動モータ42a、42bを第1の速度(搬送スクリュ23a、23bの回転速度が例えば480rpmとなる速度)に制御し、次いで、第2の計量値(例えば、160g)になるまでは搬送スクリュ駆動モータ42a、42bを第1の速度よりも遅い第2の速度(搬送スクリュ23a、23bの回転速度が例えば360rpmとなる速度)に制御するように、2段階の速度に制御してもよい。
【0051】
また、前述の説明において、第2の制御では、第2の搬送スクリュ駆動モータ42bを、第1の制御のときの速度よりも遅い速度を初速として徐々に減速させているが、初速を第1の制御における速度と同じにすることもできる。但し、その場合、初速と終速との速度差が大きくなることで第2の制御の期間中において米飯の落下量が急激に減少し、結果として米飯の計量精度が悪化してしまわないように留意すべきである。
【0052】
さらに、第2の制御では、第1の搬送スクリュ駆動モータ42aおよび第2の搬送スクリュ駆動モータ42bに対して、逆転する動作と設定重量になったときに停止する動作とを、食材容器Sに対する一回の米飯の落下供給動作毎に交互に実行させるようにしてもよい。このようにすれば、ホッパ22内の米飯を全体的にほぼ均等に減少させることができる。
【0053】
さらに、第2の制御では、第2の搬送スクリュ駆動モータ42bだけではなく、解しローラ駆動モータ44も、徐々に減速させて米飯が設定重量になったときに停止させるようにしてもよい。このようにすれば、ロードセル41で計量される米飯の重量が設定重量に近づくにつれて落下する米飯の量が一層少なくなるので、所定の計量値から設定重量に至るまでの米飯の重量の計測精度がさらに良好になり、結果として、量目精度がより向上する。
【0054】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0055】
例えば前述した実施の形態の食材供給装置1においては、米飯の計量を行うロードセル41が食材容器Sの載置台40に設けられた、いわゆる下計量の構造が採用されているが、ロードセル41がシャッタユニット26に設けられた、いわゆる上計量の構造であってもよい。
【0056】
また、前述した実施の形態の食材供給装置1においては、食材受容部の一例として食材容器Sが示されているが、食材容器Sに限定されるものではなく、例えば落下した米飯を所定の形状に成形するための成形型などであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上の説明では、食材の一例として米飯が適用されているが、これに限定されるものではなく、例えばみじん切りした野菜など、食材である限り様々なものを適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 食材供給装置
22 ホッパ(食材貯留部)
22a 上部ホッパ
22b 下部ホッパ
22b−1 収容溝
23a 第1の搬送スクリュ(第1の搬送手段)
23b 第2の搬送スクリュ(第2の搬送手段)
23−1 シャフト
23−2 スクリュ
24 解しローラ(解し手段)
24a 爪
25 シャッタ
26 シャッタユニット
27 シャッタガイド
28 開閉駆動部
28a シャッタ開閉モータ
40 載置台
41 ロードセル
42a 第1の搬送スクリュ駆動モータ(第1の搬送駆動手段)
42b 第2の搬送スクリュ駆動モータ(第2の搬送駆動手段)
43a 第1の減速ギアユニット
43b 第2の減速ギアユニット
44 解しローラ駆動モータ(解し駆動手段)
45 制御部(制御手段)
A 食材供給部
B 食材計量部
S 食材容器(食材受容部)
図1
図2
図3
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図6
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図9