(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987446
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】消火システム及び消火方法
(51)【国際特許分類】
A62C 99/00 20100101AFI20211220BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20211220BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20211220BHJP
B64D 1/16 20060101ALI20211220BHJP
B64C 19/02 20060101ALI20211220BHJP
B64D 3/00 20060101ALI20211220BHJP
B64F 3/02 20060101ALI20211220BHJP
A62C 3/02 20060101ALN20211220BHJP
A62C 37/00 20060101ALN20211220BHJP
【FI】
A62C99/00
B64C27/08
B64C39/02
B64D1/16
B64C19/02
B64D3/00
B64F3/02
!A62C3/02
!A62C37/00
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-211575(P2017-211575)
(22)【出願日】2017年11月1日
(65)【公開番号】特開2019-83829(P2019-83829A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2020年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】591117413
【氏名又は名称】株式会社菊池製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100180080
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 幸男
(72)【発明者】
【氏名】井口 竹喜
【審査官】
鈴木 貴晴
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第106983978(CN,A)
【文献】
特開平07−108068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00−99/00
B64C 1/00−99/00
B64D 1/00−47/08
B64F 1/00− 5/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無人飛行体を有してなる消火システムであって、
飛行する前記複数の無人飛行体を空中で一列に繋ぐ態様で前記各無人飛行体から吊り下げられて保持される給水ホースと、
前記各無人飛行体に設けられ、前記給水ホースを保持する保持手段と、
地上の水源から前記給水ホースに送水する給水ポンプと、
前記各保持手段に設けられ、前記給水ホース内の水を該給水ホースの放水口側へ加圧する補助ポンプと、
前記各無人飛行体に設けられ、前記無人飛行体の飛行制御及び前記補助ポンプの動作制御を行う制御手段と、
前記給水ホースと一体に形成され、前記各無人飛行体に電力を供給する給電ケーブルと、
前記給水ホースと一体に形成された有線通信ケーブルとを備え、
ここで、前記複数の無人飛行体が前記有線通信ケーブルを介して互いに通信制御可能であり、
前記各保持手段が、互いに隣接する無人飛行体との間で保持する前記給水ホースにかかるテンションを検出するテンション検出手段を更に備えており、
一の無人飛行体の制御手段が、当該無人飛行体の前記テンション検出手段により検出されたテンションに基づいて隣接する他の無人飛行体の方向を判断し、判断した方向に基づいて当該他の無人飛行体の制御手段へ飛行に関する制御信号を送信し、
当該他の無人飛行体の制御手段が、受信した前記制御信号に基づいて当該他の無人飛行体の飛行制御を行うことを特徴とする、消火システム。
【請求項2】
請求項1に記載の消火システムを利用した消火方法であって、
前記給水ポンプにより前記水源から前記給水ホースに送水するステップと、
前記複数の無人飛行体の保持手段に設けられた補助ポンプにより、前記給水ホース内の水を、前記水源から前記給水ホースの放水口側へ順次加圧送水するステップと、
先頭を飛行する無人飛行体の保持手段に設けられた補助ポンプにより、前記放水口から放水目標位置へ放水を行うステップとを含むことを特徴とする消火方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火システム及び消火方法に関し、更に具体的には、マルチコプタなどの無人飛行体を利用した消火システム及び消火方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
山岳地帯や高層ビルなどの高所での消火活動を行う消火方法や消火システムとして、例えば、下記特許文献1に記載の技術がある。当該特許文献1の消火方法は、山や丘陵などの斜面に建てられた神社仏閣・一般住宅などの対象建築物の外部および/または内部あるいは森林に、前記斜面を通じて送ってきた消火水を、ノズルを通じて水噴射するものである。
【0003】
また、下記特許文献2に記載の空中散布式消火装置は、飛行物体に搭載可能で、内部に消火剤が充填された密閉容器の底板の中央部に、前記消火剤の放出口を設けるとともに、この放出口を容器内部より開閉しうる弁体を、常時放出口を閉じる方向に付勢して設け、かつ一端が、容器の上面を貫通して、前記飛行物体に係止可能となっているワイヤの他端に、前記弁体を連結し、ワイヤによる張力により前記弁体を開かせるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−337213号公報
【特許文献2】特開平10−118209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術では、あらかじめ斜面にノズルを埋め込んでおかなくてはならず、ノズルが埋め込まれていない場所での消火はできないという課題がある。また、特許文献2に記載の技術では、一台のヘリコプタ等で消火剤を充填した容器を投下するため、運べる消火剤の量に限りがあり、大規模火災の場合には効率よく消火できないおそれがある。また、有人飛行のため、危険な場所には近づきにくく消火しづらいという課題がある。
【0006】
本発明は、以上のような点に着目したもので、山岳地帯や高層ビルなどの高所の火災でも効率よく消火することができる消火システム及び消火方法を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の消火システムは、空中飛行する複数の無人飛行体と、前記複数の無人飛行体により複数ヶ所が保持される給水ホースと、前記複数の無人飛行体に設けられており、前記給水ホースを保持する保持手段と、水源から前記給水ホースに送水する給水ポンプと、前記保持手段に設けられており、前記給水ホース内の水を、該給水ホースの放水口側へ加圧する補助ポンプと、前記複数の無人飛行体に設けられており、前記無人飛行体の飛行制御及び前記補助ポンプの動作制御を行う制御手段と、前記複数の無人飛行体に電力を供給する給電手段と、を備えたこととした。このため、山岳地帯や高層ビルなどの高所の火災でも効率よく消火することができる。また、無人のため危険な場所での消火活動も可能である。
【0008】
主要な形態の一つは、前記保持手段が、前記給水ホースに連結される貯水手段を備えており、前記補助ポンプにより、前記貯水手段に貯水された水を、前記給水ホースの放水口側へ加圧送水することを特徴とする。これにより、高所での消火活動であっても、揚水圧が不足することなく確実に消火活動が可能となる。
【0009】
他の形態の一つは、前記複数の無人飛行体が通信用の中継手段を備えるとともに、前記中継手段を介して有線通信ケーブルを接続することとしたので、複数の無人飛行体が互いに通信可能である。このため混信が生じるおそれがない。
【0010】
更に他の形態の一つは、前記有線通信ケーブルが、前記給水ホースと一体に形成されていることを特徴とする。このため、給水ホースと一体に引き回すことができ、作業性がよい。
【0011】
更に他の形態の一つは、前記給電手段が、給電ケーブルであることを特徴とする。このため、充電式の場合のような電力不足のおそれがない。
【0012】
更に他の形態の一つは、前記給電ケーブルが、前記給水ホースと一体に形成されていることを特徴とする。このため、給水ホースと一体に引き回すことができ、作業性がよい。
【0013】
更に他の形態の一つは、前記給水ホースの放水口に最も近く配置された先頭の無人飛行体の制御手段は、後続の無人飛行体の制御手段へ飛行に関する制御信号を送信し、前記制御信号を受信した後続の無人飛行体の制御手段は、前記受信した制御信号に基づいて無人飛行体の飛行制御を行うとともに、更に後続の無人飛行体がある場合には、後続の無人飛行体の制御手段へ飛行に関する制御信号を送信することとした。このため、前記先頭の無人飛行体から最後尾の無人飛行体へ向けて順次飛行制御を行うことができ、編隊制御が容易となる。
【0014】
更に他の形態の一つは、前記保持手段は、隣接する無人飛行体との間で保持する前記給水ホースにかかるテンションを検出するテンション検出手段を備えており、前記先頭の無人飛行体の制御手段は、前記テンション検出手段により検出されたテンションに基づいて後続の無人飛行体の方向を判断し、判断した方向に基づいて後続の無人飛行体の制御手段へ飛行に関する制御信号を送信し、前記制御信号を受信した後続の無人飛行体の制御手段は、前記受信した制御信号に基づいて無人飛行体の飛行制御を行うとともに、更に後続の無人飛行体がある場合には、前記テンション検出手段により検出されたテンションに基づいて後続の無人飛行体の方向を判断し、判断した方向に基づいて後続の無人飛行体へ飛行に関する制御信号を送信することとした。このため、判断された方向に基づき、より正確な飛行制御を行うことができる。
【0015】
更に他の形態の一つは、前記先頭の無人飛行体に設けられた無線通信手段と、前記無線通信手段を介して前記先頭の無人飛行体の飛行制御を遠隔操作する遠隔操作手段と、を備えることとした。このため、外部からの客観的な情報に基づいて、先頭の無人飛行体をより正確に飛行制御することができる。
【0016】
本発明の消火方法は、前記いずれかに記載の消火システムを利用し、前記給水ポンプにより前記水源から前記給水ホースに送水するステップと、前記複数の無人飛行体の保持手段に設けられた補助ポンプにより、前記給水ホース内の水を、前記水源から前記給水ホースの放水口側へ順次加圧送水するステップと、前記先頭の無人飛行体の保持手段に設けられた補助ポンプにより、前記放水口から放水目標位置へ放水を行うステップと、含むこととした。このため、山岳地帯や高層ビルなどの高所の火災でも効率よく消火することができる。また、無人のため危険な場所での消火活動も可能である。
【0017】
本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、山岳地帯や高層ビルなどの高所の火災でも効率よく消火することができる。また、無人のため危険な場所での消火活動も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】消火システムの全体構成を示す模式図である。
【
図2】無人飛行体から吊り下げられた保持手段を拡大して示す斜視図である。
【
図3】先頭の無人飛行体から吊り下げられた保持手段を拡大して示す斜視図である。
【
図6】消火システムを構成する、特に先頭の無人飛行体に係る機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。最初に、本発明の一実施形態による消火システム100の全体構成の概要を説明する。本実施形態による消火システム100は、空中飛行する複数の無人飛行体10を用いて、山岳地帯や高層ビルなどの高所の火災を消火するものである。
【0021】
無人飛行体10は、例えば、マルチコプタなどが利用可能である。無人飛行体10は、複数の回転翼54を有しており、回転翼54は、モータ52に接続される(
図6参照)。モータ52を制御部50で制御することにより、無人飛行体10の飛行が制御される。
【0022】
複数の無人飛行体10には、それぞれ保持手段20,20´が吊下げられており、前記保持手段20,20´によってホース30が保持される。すなわち、ホース30の複数ヶ所が、無人飛行体10によって保持されている。保持手段20は、
図4に示すように、例えば箱型に形成され、上面に設けた金具22に、無人飛行体10から下げられた吊下げワイヤ12の先端の連結具14をかけることで、全体が無人飛行体10に吊下げられる。
【0023】
ホース30は、
図5に示すように、給水ホース32と、給電ケーブル34と、通信ケーブル36(有線LANケーブルなど)が一体に形成されている。具体的には、給水ホース32の外側に、給電ケーブル34と通信ケーブル36を配置し、これらをカバー38で覆うことで、給水ホース32と給電ケーブル34及び通信ケーブル36が一体に形成される。このように、給水ホース32、給電ケーブル34、通信ケーブル36を一体にすることで、ホース30のみを引き回すだけで給水,給電,通信のすべてが可能となり、ホースやケーブルの混線のおそれがなく、作業性がよい。
【0024】
一方、
図1に示すように、海や川などの水源44の近傍には、給水ポンプ40が配置され、ホース42を介して消火用の水が汲み上げられ、前記給水ホース32に送水する。
【0025】
保持手段20,20´は、給水ホース32内の水を放水口32A側へ加圧する補助ポンプ26と貯水槽24をそれぞれ備えている。高所に水を送るためには、相当の揚水圧が必要となるが、水源44にもっとも近い場所に配置された給水ポンプ40のみでは、放水場所に最も近い先頭の無人飛行体10まで水を送る圧力が不足するおそれがある。
【0026】
このため、本実施形態では、各保持手段20に貯水槽24及び加圧のための補助ポンプ26を設けることで、揚水圧の不足を補い、放水口32Aまで確実に送水を行う。前記補助ポンプ26には、ホース30内の給電ケーブル34から駆動用の電力が供給される。また、補助ポンプ26は、無人飛行体10の制御部50に接続され、その駆動が制御される。
【0027】
また、保持手段20には、テンションセンサ28が設けられる。テンションセンサ28は、隣接する無人飛行体10との間で保持するホース30にかかるテンションを検出するものである。本実施形態では、後述するように、テンションセンサ28で検出したテンションに基づいて、後続の無人飛行体10の方向を判断し、判断した方向に基づいて後続の無人飛行体10の制御部50へ飛行に関する制御信号を送信する。
【0028】
更に、ホース30から給電ケーブルと通信ケーブルが分岐した分岐ケーブル46が、前記無人飛行体10に接続されている。分岐ケーブル46によって、給電ケーブルと通信ケーブルを無人飛行体10へ接続することで、無人飛行体10を飛行させるための電力の供給や、無人飛行体10間での有線通信を行うことが可能となる。
【0029】
図6には、消火システム100を構成する一つの無人飛行体に係る機能ブロック図が示される。同図には、先頭の無人飛行機10が代表して示される。無人飛行体10は、無人飛行体10の飛行制御と補助ポンプ26の動作制御を行う制御部50を中心に構成される。
【0030】
制御部50には、補助ポンプ26,テンションセンサ28,モータ52,通信部60,記憶部70,GPS受信部72,撮像装置74が接続されている。制御部50には、中央処理装置(CPU)であって、前記分岐ケーブル46を介して給電ケーブル34に接続され、電力が供給される。
【0031】
モータ52は、無人飛行体10の回転翼54を回転させるもので、制御部50を介して電力が供給されるとともに、前記制御部50から指示された速度に回転が制御される。モータ52の回転動力は前記回転翼54に伝達され、回転翼54を所定の回転数で回転させる。前記モータ52は、回転翼54と同数設けられており、複数の回転翼54ごとに制御可能となっている。
【0032】
制御部50は、通信部60を介して隣接する無人飛行体10や、遠隔操作部80との通信を行う。通信部60は、通信の中継器(例えば、ルータなど)を含み、分岐ケーブル46を介して通信ケーブル36に接続されている。
【0033】
仮に、複数の無人飛行体10のすべてを、Wi−Fiなどの無線通信により遠隔操作するとなると、2.4GHz帯(ISMバンド)では混信が避けられず、隊列制御が困難である。しかしながら、本実施形態では、後述するように、放水場所に最も近い先頭の無人飛行体10のみを遠隔制御し、後続の無人飛行体10に向けて順次、飛行に関する制御信号を有線通信で送信することとしたので、混信の問題が生じることがない。
【0034】
また、前記通信部60には、無線通信を行うためのアンテナ62が接続されている。このアンテナ62を介して、遠隔操作部80と無線通信を行うことで、無人飛行体10を遠隔操作することが可能である。なお、このような遠隔操作は、全ての無人飛行機10で可能であるが、本実施形態では、先頭の無人飛行体10のみ遠隔操作部80との無線通信を行うこととしている。
【0035】
記憶部70は、RAMやROMで構成されている。記憶部70は、飛行に関するデータや、テンションセンサ28で検出された検出結果や、撮像装置74で撮像されたデータなどを記憶する。このほか、無人飛行体10を自律制御する場合には、自律制御用のプログラムなどが記憶部70に格納される。
【0036】
GPS受信部72は、無人飛行体10の位置情報を取得するものである。また、撮像装置74は、画像を撮影するものである。GPS受信部72で受信した位置情報や撮像装置74で撮像した画像データは、記憶部70に格納される。また、必要に応じて、これらの記憶したデータを隣接する無人飛行体10に有線通信により送信し、飛行制御等に利用してもよい。
【0037】
次に、本実施形態による消火システム100における飛行制御について説明する。なお、以降の説明では、給水ホース32の放水口32Aに最も近い位置を保持する無人飛行体10を先頭の無人飛行体といい、それ以降の無人飛行機10を後続の無人飛行体をいい、水源44に最も近い位置の無人飛行体10を最後尾の無人飛行体というものとする。
【0038】
本実施形態では、先頭の無人飛行体10は、無線通信によって遠隔操作部80により飛行制御されるものとする。遠隔操作部80からの制御信号は、アンテナ62及び通信部60を介して制御部50に送られ、制御部50は、受信した制御信号に基づいてモータ52の駆動を制御する。
【0039】
先頭の無人飛行体10の制御部50は、テンションセンサ28により検出されたテンションに基づいて、後続の無人飛行体10の方向を判断し、判断した方向に基づいて後続の無人飛行体10の制御部50へ飛行に関する制御信号を、通信部60及び通信ケーブル36を介して送信する。
【0040】
飛行に関する制御信号を受信した後続の無人飛行体10の制御部50は、受信した制御信号に基づいて無人飛行体10の飛行制御を行う。また、更に後続の無人飛行体10がある場合は、テンションセンサ28により検出されたテンションに基づいて、更に後続の無人飛行体10の方向を判断し、判断した方向に基づいて更に後続の無人飛行体10へ、飛行に関する制御信号を、通信部60及び通信ケーブル36を介して送信する。以上のような制御信号の送信を、最後尾の無人飛行体10、すなわち、水源44の最も近くに配置された無人飛行体10まで順次行う。
【0041】
本実施形態の消火システム100を利用した消火の手順を説明すると、まず、給水ポンプ40により、水源44から給水ホース32に送水する。そして、水源44に最も近い位置に配置された無人飛行体10の保持手段20に設けられた貯水槽24に貯水する。次に、補助ポンプ26により、貯水槽24に貯水した水を、隣接する無人飛行体10との間で保持する給水ホース32に加圧送水する。
【0042】
上述した加圧送水を、給水ホース32の放水口32Aまで順次行い、先頭の無人飛行体10の保持手段20´に設けられた補助ポンプ26により、放水口32Aから放水目標位置へ放水を行う。補助ポンプ26の動作制御は、前記制御部50により行われる。これにより、山火事のように高所での火事であっても、複数の無人飛行体10によりホースを使った消火が可能となる。
【0043】
このように、本実施形態の消火システムによれば、次のような有利な効果がある。
(1)空中飛行する複数の無人飛行体10と、無人飛行体10から吊下げられた保持手段20,20´により複数ヶ所が保持される給水ホース32と、水源44から給水ホース32に送水する給水ポンプ40と、保持手段20,20´に設けられており給水ホース32内の水を放水口32A側へ加圧する補助ポンプ26と、無人飛行体10の飛行制御及び補助ポンプ26の動作制御を行う制御部50と、無人飛行体10に電力を供給する給電ケーブル34を備えることとした。このため、高所での消火活動を効率よく行うことができる。また、無人で消火活動を行うため、有人では危険のおそれがある場所での消火活動も可能である。
(2)保持手段20,20´に貯水槽24を設け、補助ポンプ26により貯水槽24に貯水された水を、給水ホース32の放水口32A側へ加圧送水することとしたので、高所での消火活動であっても、揚水圧不足になることがない。
(3)無人飛行体10が通信部60を有し、通信部60に備えられた中継手段(ルータなど)に接続された通信ケーブル36により、複数の無線飛行体10が互いに通信できることとした。このため、個々の無人飛行体10を遠隔操作せず、隣接する後続の無線飛行体10へ順次、飛行に関する制御信号を送ることで、混信が生じることなく、複数の無人飛行体10の隊列制御が容易となる。
(4)通信ケーブル36が、給水ホース32と一体に形成されているため、ホース30を引き回すだけで、給水と通信用の配線が可能となり、混線が生じることがなく作業性がよい。
(5)給電ケーブル34が、給水ホース32と一体に形成されているため、ホース30を引き回すだけで、給水と給電用の配線が可能となり、混線が生じることがなく作業性がよい。
(6)給水ホース32の給水口32Aに最も近く配置された先頭の無人飛行体10の制御部50が、後続の無人飛行体の制御部50へ飛行に関する制御信号を送信し、当該制御信号を受信した後続の無人飛行体10の制御部50は、受信した制御信号に基づいて無人飛行体10の飛行制御を行うとともに、更に後続の無人飛行体10がある場合には、後続の無人飛行体10の制御部50へ飛行に関する制御信号を送信することとした。このため、先頭の無人飛行体10から最後尾の無人飛行体へ向けて順次飛行制御を行うことが可能となる。すなわち、先頭の無人飛行体10のみを遠隔操作又は自立制御により操作すればよいため、無線通信の混信等をおこさずに、容易に隊列制御をすることができる。
(7)保持手段20,20´にテンションセンサ28を設け、当該テンションセンサ28により検出されたテンションに基づいて後続の無人飛行体10の方向を判断し、判断した方向に基づいて後続の無人飛行体10へ飛行に関する制御信号を順次送信することとしたので、より正確な飛行制御が可能となる。
【0044】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施形態では、給電ケーブル34を用いた有線給電としたが、これも一例であり、無線給電とすることを妨げるものではない。
(2)前記実施形態では、ホース30から分岐ケーブル46により各無人飛行体10へ給電ケーブル34と通信ケーブル36を接続するバス型としたが、これも一例であり、バス型に限られるものではない。
(3)前記実施形態では、先頭の無人飛行体10を遠隔操作部80との無線通信により遠隔操作することとしたが、これも一例であり、自律制御とすることを妨げるものではない。
(4)前記実施形態では、テンションセンサ28により後続の無人飛行体10の方向を把握して飛行制御を行うこととしたが、これも一例であり、GPS受信部72により取得した位置情報に基づいて飛行制御を行うようにしても。また、撮像装置74により取得した画像をもとに飛行制御を行うようにしてもよい。むろん、これらの飛行制御を組み合わせるようにしてもよい。
(5)前記実施形態では、先頭の無人飛行体10から最後尾の無人飛行体10へ向けて順次飛行制御信号を送信することとしたが、各無人飛行体10を個別に制御することを妨げるものではない。また、このような個別の飛行制御と、前記実施形態に示したリレー式の飛行制御を切り替え可能な構成としてもよい。
(6)先頭の無人飛行体10の撮像手段74で撮影された画像を遠隔操作装置80へ送信し、遠隔操作部80側で受信した画像を確認しながら、先頭の無人飛行体10の位置を制御するようにすることで、より正確な消火活動を行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、複数の無人飛行体により給水ホースを保持し、各無人飛行体に設けられた補助ポンプを用いて放水口まで加圧送水することしたので、消火システムの用途に好適である。特に、山岳地帯や高層ビルなの高所での火災や、人が立ち入りにくい場所での消火活動に好適である。
【符号の説明】
【0046】
10:無人飛行体
12:吊下げワイヤ
14:連結具
20:保持手段
22:金具
24:貯水槽
26:補助ポンプ
28:テンションセンサ
30:ホース
32:給水ホース
32A:放水口
34:給電ケーブル
36:通信ケーブル
38:カバー
40:給水ポンプ
42:ホース
44:水源
46:分岐ケーブル
50:制御部
52:モータ
54:回転翼
60:通信部
62:アンテナ
70:記憶部
72:GPS受信部
74:撮像装置
80:遠隔操作部
100:消火システム